1: 2012/08/02(木) 06:04:42.13 ID:+T4vEQj80
菫「ああ・・・そうらしいな」

照「毛布とお菓子と懐中電灯とラジオ持って来い」

菫「毛布・・?」

照「もふもふシェルターを作るんだ」

菫「あっ・・・?」

照「もふもふシェルターでお菓子食べながら真っ暗にして懐中電灯で照らしながらラジオを聞くんだ」

菫「ワクワクしてない?」

照「無論だ」

菫「お菓子ちょっと豪華にしようか」

照「うん。ブルボンの白いのがいい。チョコのやつ」

菫「はいはい」

咲-Saki- 25巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)
11: 2012/08/02(木) 06:29:02.48 ID:ifufTP0/0
照「仕方ない・・・ちょっと台風止めてくる」

菫「は?」

照「だから台風止めてくるって」

菫「いやいや、何言ってるんだ」

照「止めないでくれ、菫。人類のためなんだ」

菫「だから何を言ってるんだお前は。大体どうやって止めるつもりだ」

照「私のコークスクリューで台風に逆回転を加えることで相頃して・・・」

菫「アホか」

14: 2012/08/02(木) 07:00:21.88 ID:ifufTP0/0
照「・・・ただいま」

菫「本当に行ってきたのか、お前は・・・。 ああもう、びしょびしょじゃないか」

照「ハックシュ」

菫「ああもう・・・こっち来い、拭いてやる」

照「うん・・・」



菫「で。結果を聞くのも馬鹿らしいが・・・どうだった?」

照「・・・いくらコークスクリューを打っても効かなかった」

菫「だろうな」

照「それでも私は諦めずに何度もコークスクリューを打った。激しい雨に打たれながら」

照「何度も、何度も虚空に向かってコークスクリューを打ち続けた」

照「いつの間にかギャラリーが出来ていた」

照「・・・みんな、可哀そうな人を見るような目で私を見ていた」

照「教えて欲しい、菫。私は何かおかしなことをしていたのだろうか」

菫「もう全面的におかしいよお前は」

29: 2012/08/02(木) 10:16:30.65 ID:ifufTP0/0
菫「いいか、照」

照「うん」

菫「人に台風は止められない」

照「・・・インターハイチャンピオンの私でもか」

菫「ああ」

照「・・・このコークスクリューでもか」

菫「台風の風速の方がずっと早いな」


照「・・・それじゃあ」

照「私は、何も出来ないというのか? 今こうしている間にも、大勢の人々が台風の被害を受けているというのに・・・」

照「・・・インターハイチャンプが何だ。台風一つ止められやしないのに」

菫「お、おい。照」

照「しばらく放っておいて欲しい。 ・・・私は、無力だ・・・」

菫(えぇー・・・)

32: 2012/08/02(木) 10:35:34.09 ID:ifufTP0/0
亦野「宮永先輩!」

渋谷「・・・」

菫「亦野に渋谷か」

照「・・・こんなどうしようもない私でも、まだ『先輩』と呼んでくれるんだな」

照「台風を止める力すら持たないというのに」

亦野「先輩・・・」

菫「さっきからこの調子だ。まったく、困ったものだよ・・・」



亦野「・・・力が、欲しいんですね? 台風を止める力が・・・」

菫「えっ」

35: 2012/08/02(木) 10:45:11.93 ID:ifufTP0/0
照「・・・あるのか? そんな力を得る方法が・・・」

菫「いや、あるわけないだろう」

亦野「渋谷、先輩に説明を」

渋谷「今回宮永先輩がとった「コークスクリューで逆回転を加える」という発想はとても良かったです。
    ですが、それには風速が足りなかった。
    ・・・ならば、風速を高めれば良い。台風に匹敵する・・・いや、圧倒するまでの風速を得れば良いのです」

亦野「そこで私の出番です。・・・先輩、私の腕を見てください」

照「・・・すごい筋肉。まるで歴戦をくぐりぬけてきた兵士のような」

亦野「対して先輩の腕はどうですか?」

渋谷「失礼します」

照「あっ、ちょっと待っ」

 ムニ

照「・・・」

渋谷「・・・もちもちですね」

照「・・・そんなことはない。一般的な高校3年生の肉づき」

42: 2012/08/02(木) 11:05:41.71 ID:ifufTP0/0
亦野「そう。つまり宮永先輩にはパワーが足りなかったんです!」

照「パワー・・・」

渋谷「そこで腕の筋肉を鍛えるため、亦野のソビエト軍隊仕込みのトレーニングをこなしてもらいます。
    推測ではコークスクリューのパフォーマンスは数百倍になるかと」

照「・・・そうすれば、私は今よりもっと強くなれるのか?」

亦野「私のトレーニングについてこれれば、ですが」

照「大切な人を護れる力が手に入るのか?」

渋谷「はい」

照「・・・よろしく頼む、二人とも」



菫(あぁぁ、ツッコみたい! そんなこと出来るわけない、とかお前が生まれた時にはソ連は解体してるだろ、とか思いっきり突っ込んでやりたいけど・・・!)

照「・・・♪」

菫(照がすごく嬉しそうでツッコみづらい・・・)

菫(後輩の手前クールキャラを保とうとしているが、口元がにやけてるし手はぱたぱたしてるし・・・

菫(・・・あー、もう! なんなんだあの生き物は!)

46: 2012/08/02(木) 11:18:48.53 ID:ifufTP0/0
渋谷「それでは、早速今からトレーニングを始めていきましょうか」

照「ああ、分かった」


  ドゴォォ


菫「!? えっ? はあっ!?」

照「壁に・・・穴が」

亦野「・・・」パラパラ

渋谷「『上官に対する言葉遣いがなっていない』とのことです」

照「・・・ああ、すまn うぐっ!?」

亦野「・・・」

菫「い、一瞬で照の首を!」

照「っ・・・く・・・」

渋谷「『これで二度目だ。三度目は貴様の命が代償になる』とのことです」

亦野「・・・」パッ

照「がっ・・・! げほっ、げほっ・・・!」

49: 2012/08/02(木) 11:32:14.50 ID:ifufTP0/0
渋谷「大丈夫ですか? 何なら今から辞めても・・・」

照「・・・いや、これくらいがちょうど良い。続けて欲しい」



照「それに・・・台風は、もっと過酷だったよ」

照「台風を倒すなら、これくらいのことには耐えられないとな」

亦野「・・・」フッ

渋谷(誠子が・・・微笑みを・・・!?)

渋谷「・・・『その心意気に免じ、今の言葉遣いは不問とする』とのことです」

亦野「・・・」

渋谷「『まずはランニングから始める』とのことです。先輩、外に出ますよ」

照「・・・はい!」




菫「・・・」

菫「麻雀はどうした」

55: 2012/08/02(木) 11:59:02.51 ID:ifufTP0/0
 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

渋谷「・・・この1ヶ月、よく頑張りましたね。先輩」

亦野「・・・」

渋谷「『もう教えることは何もない。これなら台風など歯牙にもかけん』とのことです」

照「ありがとうございます、上官!」



亦野「・・・もう上官じゃないですよ、宮永先輩。本当に、お疲れ様でした」ニコッ

照「・・・っ」

照「う・・・うわあぁぁん! 亦野、亦野ぉーっ!!」ガバッ

亦野「あっ、先輩っ・・・。 ・・・うん、辛かったですよね」

照「うんっ・・・でも、もう台風を止められるんだな! 私!」

亦野「ええ。自信を持ってください、何せ私が鍛えたんですから」

照「そうだな! 本当にありがとうっ、亦野!」


亦野「・・・さあ、台風を止めに行きましょうか! 先輩!」

照「ああ!」

56: 2012/08/02(木) 11:59:47.71 ID:ifufTP0/0
淡「台風? そんなの、とっくに過ぎちゃいましたよ?」

照「 」

淡「それより、ずいぶんお久しぶりですね。ずっと部活に来ないからみんな心配してたんですよ?」

淡「あっ、聞いてくださいよ! 先輩たちが来なかった理由なんですけど、弘世先輩ったら・・・」

淡「『あの3人は台風に打ち勝つための修行に出た』なんて訳分かんないこと言ってたんですよ!」

淡「台風に勝つって・・・ ・・・ぷっ、あっははは!!」

淡「ご、ごめんなさい。思い出し笑いが・・・くくっ・・・」

淡「ぷふっ・・・だって、自然現象相手に『勝つ』ですよ? 何基準に勝敗決めるんですか? 意味分かんないですよね!」


淡「で、結局何で部活来なかったんですか?」

淡「・・・あの、どうして腕回してるんですか? 今麻雀中じゃないですよ?」

淡「というか、心なしか風圧が強まってるような気がするんですけど」

淡「せ・・・先輩? 目が怖いです・・・。 あn」

コークスクリューツモッ ゴォォッ


カン

57: 2012/08/02(木) 12:00:42.68 ID:e7UqeDtd0
乙!

引用: 照「おい菫!!台風が来るぞ!」