1:◆oiHx77pVqQ 2018/02/18(日) 22:36:03.71 ID:Dd9OKj1o0


※京太郎スレ。苦手な方はここでブラウザバック

※エタらないこと目標

咲-Saki- 25巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)

2: 2018/02/18(日) 22:37:42.44 ID:Dd9OKj1o0



「そっか……もう明日は東京なんだね」

「……見送り来て欲しいの?……ふふっ、京ちゃんも強情だね」

「まあでも……やめとく。……薄情者?お互い様だよ」

「わたしは結構心配してるんだよ?……そう言うと思った」

「わたしだって、……まあ、いいや。向こうの人に迷惑かけちゃダメだよ」

「……またそうやって。とにかく、お姉ちゃんをよろしくね」

「……うん。……ごめんね。……そう言ってもらえるとわたしも気が楽だよ」


3: 2018/02/18(日) 22:38:48.02 ID:Dd9OKj1o0

「じゃあ、またね。……遅れると悪いでしょ?……だから心配するんだって」

「……うん、また連絡するから。京ちゃんも連絡してきてね。約束だよ」

「おやすみ、京ちゃん」

4: 2018/02/18(日) 22:40:40.48 ID:Dd9OKj1o0

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






京太郎(慣れない一人暮らしでドタバタしてたけど、なんとかこの日を迎えられた)

京太郎「来たぜぬるりと、白糸台……っ」

京太郎(……なんか違う気がする)




5: 2018/02/18(日) 22:42:26.55 ID:Dd9OKj1o0

ガヤガヤ ヤイノヤイノ

京太郎(新入生の山また山の中で、田舎っぺがデカい図体を持て余しております)

京太郎(受験で来てるからなんとなくの勝手はわかるけど)

京太郎(知り合いがいるとこういう時心強いんだけどなあ……まあ、今日は頑張ってみよう)

京太郎(案内によるとクラス分けが掲示板に…あれかな)

京太郎「すみませーん、ちょっと通りまーす」


京太郎(さて、俺の名前は……あったあった)

「ちょっと!ちょっとそこの、でっかいやつ!」

京太郎(クラスと番号確認したら、靴箱に向かって……)

「そこのでっかい金髪!」

京太郎「あ、俺か」

「この淡ちゃんを無視するなんていいどきょーしてるよね!」

京太郎「別に無視するつもりじゃ……ってそっちも金髪じゃねーか」

6: 2018/02/18(日) 22:43:36.24 ID:Dd9OKj1o0

「別にいいじゃん。っていうか見終わったんならどいてくれる?」

京太郎「……ああ、悪い悪い。掲示板見えなかったか」

京太郎「名前探してやろうか?あわい、あわい……」

淡「なんでわたしの名前知ってるの!? もしかしてすとーかー?このへんたい!へんたい!」

京太郎「お前自分で名乗ってただろうが。ああ、字がわかんないから名字言ってくれれば」

淡「なんで知らない人に名前教えないといけないの?やっぱりすとーかー?」

京太郎(め、面倒くせえ……)

7: 2018/02/18(日) 22:45:02.56 ID:Dd9OKj1o0




京太郎(式辞は滞りなく済んで、教室でクラスの顔合わせ)

京太郎(話しやすそうな明るい担任だし、クラスもいい奴が多そう。なんとかやっていけるはず)

京太郎(さて、問題は)チラッ

淡「……」

淡「なんでこっち見んの」ムスッ

京太郎「お前と同じクラスで良かったと思って」

淡「なにそれ」ヒキッ

京太郎「いや、変な意味じゃねーよ」


8: 2018/02/18(日) 22:47:45.47 ID:Dd9OKj1o0

京太郎「違うクラスでろくに話さないまま勘違いが続くとか絶対気まずいだろ?」

京太郎「それよりは関係改善っていうか、仲良くなれる可能性があった方がいいじゃん」

淡「……よくわかんないけど」

京太郎「まあ、だからよろしく頼むぜ」

淡「……ふーん」

淡「この淡ちゃんと仲良くなろうだなんて、100年早いよ!」

京太郎「バカお前、声デカいって」

淡「バカってなんだバカって!」

9: 2018/02/18(日) 22:48:49.85 ID:Dd9OKj1o0
担任「そこの金髪二人、私語は慎んでー」

京太郎「す、すみません」

担任「あと大星、いま先生がしゃべってるから頬杖つくのはやめてね」

淡「……はーい」

京太郎(この時大星、意外に素直……)

10: 2018/02/18(日) 22:52:08.06 ID:Dd9OKj1o0



「きりーつ、礼」

「「ありがとうございました」」



京太郎「大星、お前部活とか入るのか?」

淡「……なんでバカにそんなこと教えないといけないの?」

京太郎「俺の名前はバカじゃねーぞ」

淡「だってバカって言った方がバカなんだよ!あとそこはれでぃーのヒミツだから!」ドヤァ

京太郎「なんだよそのドヤ顔」

淡「ヒミツを知りたがるなんてやっぱりすとーかーだ!またねへんたい!」

京太郎「そういうこと言うな……って行っちまったか」


11: 2018/02/18(日) 22:53:36.34 ID:Dd9OKj1o0

京太郎(テストもあるし麻雀部も明後日かららしいし)

京太郎(今日は大人しく帰るか)



スタスタ

京太郎(三年の教室にいきなり顔出すほど度胸ないし)

京太郎(さすがに入学初日に目をつけられる、とかそんな展開は遠慮したい)

京太郎(だいたい俺にも心の準備が必要ってなわけで)

京太郎(……忘れられてたりしたら凹むなあ)

京太郎「……照さん」


「あっ」


京太郎「えっ」


12: 2018/02/18(日) 22:54:39.68 ID:Dd9OKj1o0



京太郎(あ…ありのまま今起こったことを話すぜ!)

京太郎(『おれが照さんのことを考えてたら照さんが階段から降りてきた』 )

京太郎(ご都合主義だとかボーイミーツガールとかそんなチャチなものじゃ断じてねえ)

京太郎(もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…)


13: 2018/02/18(日) 22:56:23.14 ID:Dd9OKj1o0


照「……」

スタスタ

京太郎(何事もなかったように歩き出した、だと…)

京太郎「ちょ、待ってください照さん!」


スタスタ

京太郎「ま、麻雀部に顔出すんですか?」

照「……今日は休み。一年も説明を受けたはず」

京太郎(あ、しゃべってはくれるんだ)

京太郎「照さん俺ですよ俺。わかりませんか?」

照「私に自分のことを俺なんて言う知り合いはいない」

京太郎(そうだったかもしれないがー!)

京太郎「俺、須賀京太郎です。昔遊んだの覚えてませんか?」

ピタッ

京太郎(あ、止まった)

14: 2018/02/18(日) 22:57:34.01 ID:Dd9OKj1o0

京太郎(振り返った照さんは誰がどう見ても無表情で、でもそれが懐かしさを俺に覚えさせた)

京太郎(昔から照さんはそんな顔してて、でも実はいろんな感情をその奥に隠していた)

京太郎(俺だけが知ってるなんてそれはただのうぬぼれだけど、でも幼馴染みと呼ぶには十分な間柄だと思ってきた)

京太郎(会えた時にかけたい言葉をたくさん準備していたはずなのに、頭は真っ白で何も出てきやしない)

京太郎(……緊張してるな俺。そして嬉しいんだ)

京太郎(またその顔が見られて……)





照「京ちゃんなんて知らない」

京太郎「」





京太郎「いやどう考えても知ってる反応じゃないですか!」

15: 2018/02/18(日) 22:59:41.46 ID:Dd9OKj1o0



照「……間違えた」

京太郎「何をですか」

照「知らない人のふりをするつもりだったのに」

京太郎「ひどくないですか」





照「とにかく私とあなたは知らない人同士。いい?」

京太郎「あっはい……ってなるわけないですよね?」

照「じゃないともう二度と話さない」

京太郎「……何か理由があるんですよね?」

照「……」

京太郎「……分かりましたよ。照さんの頼みなら」

照「それもダメ」

京太郎「……はい?」

照「知らない人が気軽に名前呼びなんてしない」

京太郎「照先輩」

照「だめ」

京太郎「……宮永先輩」

照「……許可する」

京太郎「他人行儀で気持ち悪いんですが」

照「他人だから、須賀くん」

京太郎「須賀くん……」


16: 2018/02/18(日) 23:01:12.45 ID:Dd9OKj1o0

照「……図書室に寄ってから帰るから」

照「先輩のテスト前の勉強に割って入ったりしないよね」

京太郎「…心得ております」

照「よろしい」スタスタ


スタスタスタ ピタッ

クルッ

スタスタ

京太郎「…道、間違えたんですか」

照「……こっちの方が近いから」

京太郎「……そういうことにしておきます」

17: 2018/02/18(日) 23:02:11.94 ID:Dd9OKj1o0


ピタッ

照「……」

京太郎「て…宮永先輩?」

照「……なんでもない」


スタスタ スタ…


京太郎「…俺も帰ろう」


28: 2018/02/20(火) 20:17:16.36 ID:ethqFTtU0



ざわ… ざわ…
ざわ… ざわ…

京太郎「失礼しまーす」ガラッ

「「「……」」」チラッ

京太郎(えっ何この人数)


淡「……」ジトー

京太郎(大星がホールの端からこちらを睨みつけていらっしゃる)

京太郎(……参ったなこれ)




「新入部員の皆さん、ようこそ白糸台高校麻雀部へ」

「部活紹介などで知っているとは思うが改めて自己紹介しておこう」

菫「麻雀部部長、弘世菫だ」


29: 2018/02/20(火) 20:54:36.90 ID:ethqFTtU0



菫「知っての通り私たち麻雀部は、インハイ3連覇を目指して日々励んでいる」

菫「100人越えの部員の中で大会に出れるのは五人、個人の枠もあるが少人数しか全国の舞台には出られない」

菫「できればレギュラーの座を狙って研鑽を積んでもらいたい」

菫「我々三年が安心して引退できるようにな」


菫「ただレギュラーになれなくてもできることはたくさんある」

菫「牌譜の分析や卓の手入れ、部室の清掃、その他もろもろの雑用」

菫「下級生をこき使うつもりはないが、どうしても必要な仕事があるということを理解してもらいたい」

菫「麻雀の力をつける上でも、下積みが必ず役に立つ」

菫「なにより白糸台がトップを走り続けるために、どうか君たちの力を貸してほしい」

菫「不服な者は今引き返した方がいい。むしろそうしてくれ」

菫「惰性でやれるほど甘い部活ではないからな、少なくともここ白糸台では」




30: 2018/02/20(火) 20:59:11.99 ID:ethqFTtU0



菫「さて気がついている人も多いと思うが」

菫「うちの麻雀部は一軍と二軍に分かれて活動している」

京太郎(え…)

京太郎(そんなの聞いてない!)

菫「当然一年は基本的に二軍スタートだ」

菫「わたしは仕事柄こちらに時折顔を出すこともあるが」

菫「一軍と二軍が打つ機会は少ないといっていい」

菫「強者に挑戦したければまずは二軍で実力をつけることだ」

菫「君たちと対局できる日を、一軍部室で待っているよ」



京太郎(あれ、麻雀部なのに照さんに会えない……だと?)


31: 2018/02/20(火) 21:10:34.50 ID:ethqFTtU0


菫「さて、今日は顔合わせ替わりに新入生同士で自由に打ってもらいたい」

菫「親交を深めるいい機会だ。自己紹介なども兼ねてやってくれればと思う」

菫「少数かもしれないが初心者だったり卓にはあまり触れたことのない者もいるだろう」

菫「優しく教えてやってくれ。仲良く頼むよ」



ガヤガヤ

京太郎(やっちまったなぁ)ガックシ

京太郎(下調べはぼんやりと、体験入学も遠いからって行かなかったのは失敗だったか)

京太郎(……頑張るしかない)


淡「ちょっと!」

淡「なんでここにいるの!」

京太郎「またお前か……来ると思ってたけど」

淡「れでぃーのヒミツなのによくも…やっぱりバカはすとーかーだったんだ」

京太郎「いや不可抗力だし」

淡「ふかこーりょく?なにそれ」

京太郎「俺にはどうしようもないことだってこと。大星が麻雀部に入るなんて知りようがないし」

淡「ふーん……」

32: 2018/02/20(火) 21:18:24.70 ID:ethqFTtU0

淡「淡ちゃんのわからない言葉を使うなんて、で、れ、えっと、れがしー?」

京太郎「デリカシーな」

淡「そうでりかしーがない!……えっと」

京太郎「どうせ俺の名前も覚えてないんだろ」

淡「へ?……ふん、どうせバカの名前なんて覚えるひつようなんてな痛っ!」ズビシッ

菫「さっきから聞いていれば馬鹿馬鹿馬鹿って、馬鹿者はどっちだ」

淡「あ~……スミレ先輩のデコピン痛ぁい」

京太郎(えっなにこのフランク)

33: 2018/02/20(火) 21:28:51.12 ID:ethqFTtU0

菫「えっと……須賀、だったな」

京太郎「は、はい」

菫「あ…大星とは知り合いか?」

京太郎「あ、いえ、クラスメートってだけで」

菫「そうか……こいつの操縦役がいると助かるんだがな」

京太郎「いやぁ、勘弁してくださいよ……ところでどうして名前を」

菫「部長が部員の名前覚えていたらおかしいか?」

京太郎「……ごもっともでございます弘世部長」

菫「……フフッ。冗談だ。さすがにまだ全然覚えてないさ」

34: 2018/02/20(火) 21:31:38.96 ID:ethqFTtU0
菫「大星に関しては体験入学に来てたからな。あれだけのキャラとインパクトを残せば嫌でも覚える」

京太郎「インパクト……?」

菫「ああ、こいつの打ち方なんだが……まあこれは対局してのお楽しみにしておくといい」

京太郎「は、はぁ……」

菫「大星、彼の名前は覚えただろうな」

淡「……須賀」

菫「……まあいい。部員同士が馬鹿馬鹿言い合うよりはマシだ」

菫「須賀と話が終わったら行くから少し待っててくれるか」

淡「しょーがないなー」


35: 2018/02/20(火) 21:35:29.23 ID:ethqFTtU0


菫「そして須賀だが……君は体験入学に来てなかったようだし、話さなければいけないことがあった」

京太郎(……まさか勘づいたとか!)

菫「……そう身構えるな。大した話じゃない」



菫「ここに来て何か気がついたことはなかったか?」

京太郎「ああ……男子がいないってことですかね」

菫「そうだ。全くいないわけじゃないんだが、あいにく幽霊部員ばかりでね」

菫「僭越ながら女子である私が部長をやることになってしまっている」

京太郎「実績からすると妥当じゃないんですか」

菫「ま、まあ……それなりの、自負はあるけれども」

京太郎(凛としたクールなイメージの部長が少し照れてる)

京太郎(これはもしや貴重な場面なのでは?ボブは訝しんだ)


36: 2018/02/20(火) 21:41:17.18 ID:ethqFTtU0
菫「とにかく」コホン

菫「そういう風潮が続いて今年の男子部員は君だけになりそうだ」

菫「おそらく団体メンバーは揃わない」

京太郎「個人戦だけの参加で構わないか、ということですね」

菫「話が早くて助かるよ」

菫「女ばかりで少々居心地が悪いかもしれないが……男手がいるとこちらとしてもとてもありがたい」

京太郎「簡単に逃げたりしませんよ。俺はこのために白糸台に来たんですから」

菫「いい返事だ。……なるほど地元じゃないから体験入学には来なかったんだな……出身は」

淡「せーんーぱーいーもーまちくだびれたー」

菫「……仕方ない、よもやま話はまたいつかにしよう」

京太郎「はい、よろしくお願いします」

菫「ああ、よろしく」フッ

37: 2018/02/20(火) 21:43:49.89 ID:ethqFTtU0




京太郎(さて空いてる卓は……っと)

京太郎「失礼、その対局終わったら入ってもいい?」

「いーよぉ、ちょうど三麻おわったばっかりだし」

「……よろしく」

「よ、よろしくお願いします」

京太郎(さて、力試しといきますか)



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

38: 2018/02/20(火) 21:44:58.75 ID:ethqFTtU0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

菫「ただいま」

誠子「お疲れ様です」

菫「これくらいは疲れたうちには入らないよ……こいつの世話は除いて」

淡「じゃじゃーん!スーパーノヴァ淡ちゃん降臨!」

尭深「部長、お茶飲みますか?淡ちゃんも」コトン

淡「飲む飲むー!さっすが尭深先輩気が利くー」

菫「気が利くって年上に使うべき言葉じゃない……ありがとうな尭深」

尭深「どういたしまして」

誠子「新入生はどうでしたか?」

菫「……今のところ問題児はこいつだけだ」

淡「ぶー、スミレのいじわる」


39: 2018/02/20(火) 22:19:54.60 ID:ethqFTtU0


淡「あわ~」ホッコリ

誠子「尭深の淹れた茶で目一杯リラックスしてますねこの子」

誠子「自分が新入生の頃はこんなに落ち着いていられませんでしたよ」

菫「……普通はそうだ」

菫「私も麻雀推薦だったから自分の実力に自信というものはあったが」

菫「それでも怖気付くものだ」

尭深「淡ちゃん、体験入学の後も顔出しに来てたから……」

菫「私は許可したつもりはないんだが」

菫「ただ淡の実力は……間違いなく本物だからな」

誠子「私危うく負けかけましたからね」

菫「亦野はもう少し危機感を持て……照が同卓だったのが幸いだった」

誠子「…すみません」


淡「ねえねえ、テルーはいないの?」

尭深「先輩は奥で読書してるから邪魔しちゃダメだよ」

淡「えー、今日はテルーに勝ちに来たのに!」



誠子「一度はあんな大口叩いてみたいですね」

菫「同感だ」


40: 2018/02/20(火) 23:38:03.03 ID:ethqFTtU0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

照(……どうして私は本を読んでいるんだろう)

照(内容は全然頭に入ってこないのに)

パタン

>ただいま

>じゃじゃーん!


照(菫の声…と)

照(淡、大星淡ーー面白い打ち方をする新入生)

照(いや、あれは“打つ”って言えるのかな)

照(……私が言えることじゃないけど)


41: 2018/02/20(火) 23:51:23.04 ID:ethqFTtU0



>テルーはいないの?

>邪魔しちゃダメだよ。


照(私も出迎えるべきだったんだろう)

照(部長の仕事は私には荷が重いし菫が適任だと思うけど)

照(…インタビューとか頼まれたことはこなしているつもりだけど)

照(苦手なことは他人に任せて)

照(……結局、逃げてるだけ、なのかな)




照(どうしてこんなことが急に気になるんだろう)

53: 2018/02/21(水) 19:52:16.35 ID:vrTNB2n9O


菫「……照」

照「」ビクッ


照「……なに?」

菫「……お前のその変わり身にはほとほと感心するよ」

菫「尭深のお茶だ、冷めないうちにな」コトン

照「…ありがとう」

菫「余程集中していたのか?別に抜き足差し足で来たつもりじゃないんだが」

照「…昔のこと考えてた」

菫「妹のことか?」

照「……そんなところ」


54: 2018/02/21(水) 19:54:41.69 ID:vrTNB2n9O


ズズッ

菫「……お前には感謝しているよ」コトン

照「急に言われると気持ち悪い」

菫「ひどいな」

照「……私は何もした覚えがない」

菫「今年も部員は大勢入ってくれた」

菫「大勢いさえすればいいとは言わないが……ともかくいいことだろう」

菫「入部動機で一番多かったのはなんだと思う? 」

菫「『宮永照がいるから』だ」

菫「『全国での実績があるから』『強い部員の中で自分を鍛えたいから』 これもお前のおかげだ」

照「……その人たちは何も知らない」

菫「知ってどうなるとも思わないがな」

55: 2018/02/21(水) 20:05:37.65 ID:vrTNB2n9O


菫「なあ照」

菫「お前は麻雀については日本一の高校生だ」

菫「おそらくプロに行ったって通用するさ」

菫「だがそれ以外は普通の女子高生だ。まだ子供だ」

菫「何かうまくいかないことがあっても、それで恥じることはない」

照「……」

菫「……偉そうな口をきいてすまなかったな、部外者のくせにと思ったかもしれんが」

照「菫のそういうところ、きらいじゃない」

菫「…そうか」


56: 2018/02/21(水) 20:07:32.74 ID:vrTNB2n9O


バタッ

菫「なんだ、今日は菓子が全然減っていないじゃないか」

菫「これは雪でも降るかもしれないな」

照「…今から食べる、何か取って」

菫「ほら、ポ◯キー」

照「うん」

照「……」モックモック




照(…甘い)

照(甘いなぁ…)


64: 2018/02/25(日) 00:47:13.38 ID:G6FjrwHf0



「須賀くんはー、あの金髪の子と知り合いなのぉ?」

「……」トン

京太郎「ああ、クラスで席が隣なんだよ」トン

「あ、あの人ちょっと怖い、かも…」トン

京太郎「そうか?あ、それポン」カチャ

京太郎「こう、言っちゃあ悪いけどどこか抜けてるっていうか」トン

「そっかぁ、須賀くん体験入学いなかったもんねぇ」

「なんかこう、ず、ズバーン、ドカーン!って」トン

京太郎(何やったんだ大星)

65: 2018/02/25(日) 00:57:20.98 ID:G6FjrwHf0

京太郎「そういえばインパクトがある奴だった、って弘世部長も」

「……す……さま……」ボソボソ

「あっ、地雷踏んじゃったねぇ」

京太郎「えっ」

ガタッ

「さっき!部長と!菫様とお話ししてたよねっ!名前まで呼んでもらって!」

「ひぃっ!」

京太郎「ぐえっ、首、首締ま…」

「はいストォップ」チョップ

66: 2018/02/25(日) 01:19:26.40 ID:G6FjrwHf0

「……すまない。菫様のこととなると、こう……熱くなってしまって」

京太郎「あぁ、うん、気にしないで(えぇ……)」

「だ、大丈夫、ですか…?」

「この子重度の菫様キチだからねぇ」

「……否定はできない」

京太郎「えぇ……」

京太郎(なぜキチと言われて誇らしげなのか、小一時間問い詰め……いや、やっぱいいわ)

京太郎(延々と語られる図しか見えない)

「部長さんはファンも多くて、し、親衛隊みたいなものがあるとかないとか」

京太郎「……まあ、わからないでもないけど」

「そうか!君も私と親衛隊に入らないか!」パァッ

京太郎「い、いや…男子一人とかきっと変な空気になるし……」

「……そ、それもそうか。残念だな」ズーン

「気にしない方がいいよぉ、さっきも繰り返した光景だしぃ」

京太郎「おぉ、もう……」

67: 2018/02/25(日) 01:32:18.21 ID:G6FjrwHf0


「ま、とりあえず◯◯ちゃんのチョンボって事だけど」

「練習だしこの局ノーカンってことでいいよねぇ」

「「異議なし」」

「……面目ない」

「じゃ、気を取り直して打とぉか」

「り、了解です」

京太郎「うっし、やるか」

68: 2018/02/25(日) 01:56:27.33 ID:G6FjrwHf0



京太郎(さて部長キチさんの親で東一局、俺は南家)

京太郎(卓で打つのは久しぶりだけど……まあ、さっきの局でちゃんと“感じ取れた”)

京太郎(上家のキチさんと下家の子は、なにかオカルトめいた力を持ってる)

京太郎(発動はしてないみたいだけど……おっと配牌は……四向聴かな、うーん)


京太郎(さっきの三麻はキチさんトップ、ふわふわした感じの対面の子が続いて下家の人がハコ寸前)

「ポン!」「チー!」

京太郎(普段のしゃべりはビクビクしてるけどすごく元気な発声、積極的な鳴き)

京太郎(さっきも二鳴きしてたし…でも鳴きをトリガーとして何か変わってるとか、そんな気配はない)

京太郎(とりあえず上がりたいってとこなのかな……ただ捨て牌も理牌もちょっと素直なんだよなあ)

69: 2018/02/25(日) 08:57:43.40 ID:G6FjrwHf0





「ツ、ツモ!タンヤオのみ、300・500です!」



京太郎(……ピシリ、と)

京太郎(何か来た)

京太郎(じわっと、彼女の中のゲージがぐっと溜まったようなそんな感触)

京太郎(要注意だな)



「そ、それロン!3900!」

「はぁーい」チャラッ

京太郎(連続で和了か…俺の親が流れた)

京太郎(今度は面前だったし、やっぱり鳴きは直接関係ない)

京太郎(安いから助かってるけど次は彼女の親番……このままはマズいな)

70: 2018/02/25(日) 09:36:23.74 ID:G6FjrwHf0


京太郎(さっき感じた感触)

京太郎(相変わらずゲージはいっぱいのまま)

京太郎(たださっきキチさんが鳴いた時…その後数巡収まった感があった)

京太郎(突破口はそこか……手牌は……悪くない)


京太郎「ポン」

「……」

京太郎(やはり鳴くと力が薄れていく)

京太郎(ズレると消えるってことは、牌の引き方に影響を及ぼす類のものだってこと)

京太郎(あれだけ積極的だった鳴きを全然しなくなったことから考えても)

京太郎(『和了ると有効牌が引きやすくなる』)

京太郎(たぶんこんな感じの力だろう)

京太郎(最初やや強引に和了ったのも辻褄が合う)

京太郎(早い段階でずらせたのは本当に良かった…おっ)

京太郎「ロン。役牌ドラ2の3900」

「は、はい…」チャラッ

「うーん、いいようにやられてるねぇ」

京太郎「よし、この調子!」






71: 2018/02/25(日) 09:50:42.61 ID:G6FjrwHf0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー










「それで、勝ったんだ」

『おう。……なんでわかったんだ?』

「わかるよ。京ちゃんの声ウキウキだし」

『マジか……浮かれてるつもりじゃないんだけど』

「ふふっ、大丈夫だよ」

「ちゃんと通用するってわかったんだもん、少々喜んでもばちは当たらないよ」

「それに……」

『それに?』

「…ううん、なんでもない」


72: 2018/02/25(日) 10:14:03.53 ID:G6FjrwHf0



「……そっか。お姉ちゃんがそんなこと…ごめんね」

『咲が謝んなよ。照さんにもきっと……事情があるんだと思う』

「京ちゃん……」

『だから俺は決めた。照さんと打てるようになるまで強くなってみせるって』

『もともとそういう覚悟はできてたし』

『咲とも約束したからな。“照さんと仲直りさせる”って』

「……もう六年も前なんだね」

『照さんも驚くはずさ…“なんだこのでっかい金髪!”って』

「ふふっ、なにそれ」

「……ほんと京ちゃんって、お姉ちゃんに甘いよね」

『え?』

73: 2018/02/25(日) 10:27:44.20 ID:G6FjrwHf0
「昔からそうだよ。お姉ちゃんが好きなお菓子絶対持ってくるし」

「お姉ちゃんが言うことはほぼ無条件で聞いてたし」

『そりゃあまあ……麻雀の先生だったわけだし』

「それにしたって優しすぎると思うよ?」

『こう、なんだろ……照さんは俺にとって“憧れ”の存在ってところ?』

「なんで疑問形なの?」

『いや、あまり深く考えたことなくてな』

「…憧れ、かぁ」

『なんだよ、語彙不足で悪かったな』

『文学少女の宮永さんならもっと上手く表現できるんだろうなー』

「文学少女だなんて、そんな、恥ずかしいよ…」

『そっちかよ』

74: 2018/02/25(日) 12:15:58.97 ID:G6FjrwHf0



『そういえばGWだけどさ、すまん』

『麻雀部の校内合宿があるらしくてさ、そっちには帰れない』

「そっか…しょうがないよ」

「そうだ!おばさんが連絡がなくて心配って」

『えー…まだ10日も経ってないのにさー』

『てかなんで咲に愚痴ってんだよ母さん…』

「そう言わずに…ね?」

『…まあ、考えとくわ』

「ふふっ」

『なんだよその笑いは、頬つつくぞ』

「なんでもないよ。…つつけるものならつついてみてよ」

『こやつ…咲のくせに生意気な』

75: 2018/02/25(日) 12:17:50.16 ID:G6FjrwHf0



ふふっ、京ちゃんってやっぱり甘い。

こんなちんちくりんな私にだって。


あぁ、京ちゃんに言いたい。
言わなきゃいけない。

でも、今はきっとその時じゃないの。
ちゃんと形にしてなきゃ、だめ。

だからもう少しだけ、この胸にしまっておくよ。


「また連絡してね、京ちゃん」

『おう。咲も元気でな』

81: 2018/02/28(水) 23:45:16.65 ID:twVG5ZzS0
こんばんは
気を抜くと数日すぐに経っていけない
ぼちぼち投下していきます

82: 2018/02/28(水) 23:46:44.79 ID:twVG5ZzS0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

京太郎「おはようございまーす」

「あーちょうどいいところに」

「須賀くんおはようさん。来て早々悪いけど仕事頼まれてくれる?」

京太郎「あー了解っす。ちょいとお待ちを」

京太郎(部活が始まって早2週間。男子一人ですがそれなりに上手くやってるつもりです)

「須賀くんも今日はお泊りするの?」

「いやいやいや、言葉には気をつけて?須賀くん男の子だよ?誘ってんの?」

「ないわー、そんな工口工口の思考するのあんたぐらいだわー」

京太郎(……こんな会話してますが基本優しい先輩方です)

京太郎「…それで、お仕事というのは?」

「あ、ほらー須賀くんドン引きしちゃってるよ」

「早く逃げた方がいいよ、この子男日照りだし重いしメンヘラだし」

「人に勝手に属性盛るのやめろよコラァ」

キャピキャピ

京太郎(……頑張れ俺)

83: 2018/03/01(木) 00:02:39.08 ID:n2n3spjy0



京太郎(買い足した食材もろもろを運ぶだけの簡単なお仕事です)コツコツ

京太郎(にしてもこう…菓子の多さ)

京太郎(というか9割方菓子なんじゃ)


バッタリ

京太郎「あ……」

京太郎「おはようございます、部長」

菫「ああ、須賀君か。おはよう。早いな」

菫「その荷物は…」

京太郎「ああ、〇〇先輩から頼まれまして」

菫「そうか、持って来てくれたのか。助かるよ」

菫「ほら、半分貸して」

京太郎「え?……いやぁ、先輩に持たせるなんてそんな」

菫「どうせ部室に行くんだ。それに後輩に大量の荷物を持たせたままだなんて他の部員に示しがつかない」

菫「大した重さじゃないんだろう?私のためと思って持たせてくれ」スッ

京太郎「…そう言われると断れないじゃないですか」

菫「物は言いようだ」フフン

84: 2018/03/01(木) 00:54:44.96 ID:n2n3spjy0





菫「…だからまあ、一年はこの合宿でようやく第一部室行きを狙える、というわけだ」

京太郎「道理で大星がこちらに来てたわけですね」

菫「ああ、特待生とはいえそこは平等にな」

京太郎「でもあいつはかなり打てるんでしょう?」

京太郎「こんなはずじゃなかったとかなんとかブツブツ言ってましたけど」

菫「はぁ……これは説教が必要だな」

京太郎「え、これ俺がチクった形になってません?」

菫「心配するな、君の名は出さない」

京太郎「あー…くれぐれも穏便にお願いします」

菫「ほう、たいそう優しいじゃないか」

京太郎「まあ腐ってもクラスメートなんで」

スタスタ

85: 2018/03/01(木) 01:40:37.64 ID:n2n3spjy0


菫「…もしかしてまだ大星と打ってないのか」

京太郎「あー…なんかタイミングが合わなくて」

菫「まあいいさ、合宿中に手合わせさせるよ。…さて」

菫「到着だ。ようこそ第一部室へ」ガチャ

京太郎「……失礼しまーす」

菫「食材は奥の方…そうそっちだ。冷蔵庫があるからその辺に置いててくれ」

京太郎「了解です」ガサガサ

菫「あー、個人の私物も置いてあるから漁ったりするなよ」

京太郎「しませんよ!」

京太郎(そんなこと言われると気になるだろ!いい加減にしろ!)

86: 2018/03/01(木) 01:41:34.89 ID:n2n3spjy0



京太郎(冷蔵庫はこれ、か……じゃこの辺に)トスッ

京太郎(…見間違いじゃなければ菓子の在庫はまあまあある気がするんだけど)

京太郎(これはお茶缶、まあわかる)

京太郎(…立てかけてある釣竿はなんだ?)


87: 2018/03/01(木) 01:42:19.30 ID:n2n3spjy0



>ガチャ

京太郎(…だれか来た)

京太郎(挨拶だけして早々に退散しよう)

京太郎「部長ー、置いときました、よ…」

照「……」

京太郎(…てる、さん)

88: 2018/03/01(木) 01:45:17.57 ID:n2n3spjy0



菫「なんだ、来てたのか」

照「…今来たところ」

チラッ

京太郎(これ目で合図されてる?)

京太郎「…はじめまして宮永先輩、須賀京太郎です。よろしくお願いします」

菫「ああ照、ほら例の男子部員だ。〇〇に頼んでた菓子、ここまで持ってきてもらったんだ」

照「」ピクッ

照「そう…」

照「ありがと」

京太郎「どういたしまして」

菫(……ほう)


97: 2018/03/02(金) 22:26:14.45 ID:ssJwGGsx0

京太郎「……それじゃ俺はそろそろ戻ります」

菫「もっとゆっくりしていっても構わないが?他のメンバーもそろそろ来るだろうし」

京太郎「いえ……荷物持って来ただけですし、それに」

京太郎「この部室には実力でまた来たいと思います」

菫「そうか……漢だな」

京太郎「そんな大したものじゃないですけど」

京太郎「先輩、……また来ます」

照「……」


98: 2018/03/02(金) 22:28:33.59 ID:ssJwGGsx0



照「……頑張って」


京太郎「……!」

京太郎「はい!」




ガチャリ

菫「爽やかな青年だな」

照「……よくわからない」

菫「そうか」

99: 2018/03/02(金) 22:43:40.20 ID:ssJwGGsx0

照「……」

菫「照、お前」

ガチャ

誠子「おはようございます、遅くなってすみません!」

尭深「おはようございます」オズオズ

照「おはよう、二人とも」

菫「おはよう」

照「……」

菫(まあいい、後にしよう)

菫「よし、揃ったことだし軽く打ち合わせしておこう。今日から忙しくなるしな」

菫「では日程の確認からだが…」


100: 2018/03/02(金) 23:06:42.75 ID:ssJwGGsx0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

淡「うわっ、朝から須賀だ」

京太郎「いつも朝一番会ってるだろうが」

淡「だからこそ!せっかく朝から麻雀なのにそこに須賀がいるのが納得いかない」

京太郎「麻雀部!俺麻雀部なんだけど」

「はいそこの金髪コンビうるさいよー」

淡「…怒られてやんの」ボソボソ

京太郎「お前もだよ大星」ボソボソ

淡「……だいたいいっつもあんたとコンビって言われるの嫌なんだけど」ボソボソ

京太郎「知らねー全く知らねー」ボソボソ

淡「金髪揃ってるのがいけないんだ……染めてきてくれない?」ボソボソ

京太郎「無茶言うな」ボソボソ

101: 2018/03/02(金) 23:32:06.23 ID:ssJwGGsx0


「さてゴールデンウィークということで、お待ちかねの校内強化合宿の始まりですー」

「事前にも説明してるけど、この合宿は第一部室のメンバーとも合同、打つ機会もあるので是非活用して実力を磨いてくださーい」

「あと特に三年・二年の子、例年通りだけど、合宿中の個人戦での上位者には第一部室行きのチャンスがあるから、ここは共に頑張りましょー」

「麻雀のことはそれくらいで、あと合宿自体の説明も一応しとくねー」

「部屋割りは事前に配った通り…といっても学年ごとにいくつか部屋に振り分けただけなんだけど」

「あー、あと須賀くんはどうするんだっけ?」

京太郎「あ、今日はとりあえず帰る予定にしてます」

「りょーかい。一応泊まれる個室は確保してるみたいだから、遠慮なくね」

京太郎「ありがとうございます」

102: 2018/03/02(金) 23:53:06.62 ID:ssJwGGsx0


淡「ちょっと、なんで須賀だけびっぷたいぐうなの?」ボソボソ

京太郎「は?」

淡「個室なんてずーるーい」

京太郎「いやお前…常識的に考えてそうだろ」ボソボソ

淡「よし!この淡ちゃんと勝負しよ!もち麻雀で。私が勝ったら個室は私のものだよ」

京太郎(あ、こいつ全然わかってねえ)

淡「まだ須賀とは打ってなかったけど……どうせ弱っちいでしょ」

京太郎「まあ強いとは言えないけどさ」

淡「それなら本気出さなくてもいいよね!メッタメタのギッタギタにしてあげる」ニヒヒ

京太郎「今時ジャイアンでもそんなセリフ言わないぞ、ったく……」


103: 2018/03/03(土) 00:00:57.76 ID:SMLlmQ6C0


「……とまあなんやらかんやら説明しましたー。わかんないことがあったらまた質問にきてねー」

「お昼までは予定通り牌譜研究ということで。じゃあ、始め!」



淡「えー、朝から打てると思ってたのにー」ブーブー

京太郎「日程確認してないのが悪い」

淡「ひどーい!ねえ、〇〇ちゃんも須賀はひどいって思うよね?」

「え、あ、わ、私?」

「い、いや…大星さんもちゃんと確認した方がよかった、というか……」

淡「」ガーン

京太郎「ほらもう、他の人に迷惑かけちゃダメだって」

京太郎「ゴメンな、こいつ頭がコレでさ」クルクルパー

淡「なっ!?」

「な、仲良いんだね」

淡「どこが!?こいつなんか、ぜぇぇぇったい、ぜったいぜったいぜったいぶっ飛ばしてやるんだから!ふんだ!」

京太郎「お、おう」


105: 2018/03/03(土) 00:34:53.00 ID:SMLlmQ6C0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

>ほら、この捨て牌はこういう意図で

>ここの鳴きがまずいのかー読めないなー

>たぶん打ってる人そこまで考えてないと思うよ

>身もふたもない!?


京太郎(…腹減った)

京太郎(正確に言うと一時間前から我慢してる)

京太郎(男子高校生にとっては辛い…これも修行か…)

淡「せーんぱーい、もうお腹ペコペコでーす」

京太郎「」ガクッ

「そうだね…よし、そろそろ時間だから午前はここまで!お疲れ様」

「お昼は食堂でカレーの準備ができてるみたいでーす。作ってくれた人に感謝の気持ちを持っていただきましょう」

「ちなみにデザートもあるらしいよ?楽しみだね」

ワーイ

京太郎(女子だな)

「じゃ、各自移動してくださーい」


106: 2018/03/03(土) 01:01:37.56 ID:SMLlmQ6C0




ゾロゾロ

京太郎(トレーを取って行列に並ぶ、給食か)

京太郎(皿を取って……お、自分で注げるんだ)カチャ

京太郎(そいじゃまあ、遠慮なく)

「おー、食べるね男の子」

京太郎「育ち盛りなんで」ニコッ


京太郎(さて、空いた適当な席に、と)

京太郎「すみません、横失礼します」


ガヤガヤ

京太郎(なんだ?)クルッ

京太郎(見慣れない人たち…ああ、第一部室組か)

京太郎(弘世部長、部活紹介で前に出ていたメンバーたち……そして照さん)

京太郎(なぜか大星もいるけど)

京太郎(うるさくないと思ったらこれだよ)

113: 2018/03/05(月) 00:52:18.76 ID:/7s4Y0QQ0


京太郎(あ、プリンあるじゃん。取り忘れた)

京太郎(男がプリン食うのは女々しい?腹に入ればいいんだよ)

京太郎(なりふり構っていられるか!俺は行く!)スタッ



京太郎(よかった、危うく貴重な食糧を失うところだった)ホッ

「そうか、正面は須賀くんだったか」

京太郎(この声は…)チラッ

京太郎「部長!今朝ぶりです」ペコリ

菫「度々顔を合わせて悪いな。飽きるだろう」

京太郎「滅相も無いです、そんな」ゾクッ

京太郎(…どこからか殺気を感じる)

「……」ゴゴゴゴ…

京太郎(違います、故意じゃないんです。信じてください)


114: 2018/03/05(月) 00:53:15.10 ID:/7s4Y0QQ0



京太郎「宮永先輩とかとご一緒じゃなくていいんですか」

菫「あー……心配なのは心配だが、バラバラに座るよう提案したんだ」

菫「一人でも多くの部員と接することができるように」

京太郎「…宮永先輩の隣には大星がいるようですが」

菫「…まあ、仕方ない」

菫「そんなに気になる?」

京太郎「…いえ、そういうわけでは」

菫「そうか」

115: 2018/03/05(月) 00:54:55.02 ID:/7s4Y0QQ0


カチャ カチャ

菫「白糸台の学食は口に合ってるか?」

京太郎「はい、量も十分ですし、それでいて味も妥協がないというか……とにかくこのカレーめっちゃ美味いっすね」

菫「おかわりもあるぞ」

京太郎「…お言葉に甘えて」スッ



京太郎(俺がおかわりするのを確認してか、何人かがおかわりに立ち始めた)

京太郎(男子の俺が率先してないと、遠慮とか恥じらいとかするよな…さすが女子)

京太郎(でもね、たくさん食べる女子も悪くないと思うぞ)グッ


116: 2018/03/05(月) 00:56:00.13 ID:/7s4Y0QQ0


淡「わっ、須賀もおかわりしたんだ」

京太郎(あっ、遠慮とか恥じらいとかないタイプだ…すでにおかわりしてやがる)

京太郎「おう。……その皿は?」

淡「照先輩から頼まれたの!」

京太郎「て…宮永先輩が?」

淡「そう!プリンプッチンしたいからって」

タッタッタッ

京太郎「あ……そう、なんだ」

京太郎(妥協がないのは照さんのプリンへの熱意だった)

京太郎(プッチンしなくてもいいし、するにしてもカレー皿にすればいい。カレーが気になるならちょっと拭けばいいじゃないか)

京太郎(だいいちプッチ〇プリンだぞ)

京太郎(……変わってないな、照さん)


117: 2018/03/05(月) 00:57:28.76 ID:/7s4Y0QQ0


照「……」スルルッ ヒョコッ

照「……」ヒョイッ

照「……」プッチン


照「……」


照「……」エイッエイッ

ポトッ

淡「おぉー」キラキラ

照「…いただきます」

照「……」モックモック

照(おいし……)モックモック

淡「私もしよーっと」



118: 2018/03/05(月) 01:13:09.90 ID:/7s4Y0QQ0


京太郎(カレーの辛さと油が残ったところにこの人為的甘味)

京太郎(特別美味しいというわけじゃないけどたまに食べたくなるこの味)

京太郎(…焼きプリンとかの方が若干好きだけどさ)


京太郎(……遠目でもわかる照さんの甘味好き好きオーラ)

京太郎(俺にしか見えてない?それでも全然構わないんだけど)

京太郎(あー、昔みたいに手作り菓子差し入れできねーかなぁ…)

菫(表情ころころ変わって見てて飽きないんだけど)

菫(何考えているんだこいつは)


128: 2018/03/09(金) 00:12:49.70 ID:YgZEd1qv0


菫「午後は予定通り実戦練習だ」

菫「部室混合、東風戦でどんどん回してもらう。対局表は作ってあるからそれにしたがってくれ」

菫「牌譜は忘れずに整理しておくこと。では始めよう」


京太郎(さて、頑張りますか)





「ロン!3900!」

「くっ……はい」チャラッ

京太郎(すごいな、そんな待ちで斬って捨てるか。いや……その待ちだから和了れるのか、どちらかというと)

京太郎(こう、封じ込められてるのをズアッと…みたいな)




129: 2018/03/09(金) 00:27:51.06 ID:YgZEd1qv0


京太郎(対面の手……これはまずい気がする)コトッ

「よし、これで!」コトッ

京太郎(あらら)

「あー、出ちゃったか…ロン。小三元・対々和・三暗刻」

「ひぃっ!?は、はい…」





「やー須賀くん。調子はどぉ?」コトン

「あーどうも。……ぼちぼち?かな…先輩たちはやっぱり手強いよ」コトン

「またまたぁ。……小耳に挟んだんだけどさぁ、『今年の男子は手強い』って」

京太郎「……誰がそんなこと」

「一人じゃないよぉ、何度か聞いたもん。『結構しつこい』とか『ひたひた追いかけてくる』とか」

京太郎「麻雀の話だよね!?」

「…君たち、話すのはいいけれど集中できないのか」コトン

京太郎「すみません……それ、ロンです」

「は?」

京太郎「…すみません」

「…いや、集中できていないのは私の方だったか。すまない、気を引き締めていく」




130: 2018/03/09(金) 00:40:28.37 ID:YgZEd1qv0


京太郎(…ふぅ、このターンは対局なし、か)

京太郎(別段いい感じもしないんだけどなあ…一位取れないし)

<ゴッ ジャー

京太郎(ん?あちらは確か…給湯室)


ヒョコッ

京太郎「先輩、お茶汲みなら俺やりますよ」

「ひゃっ!?」

京太郎「おっとと…驚かせちゃいましたね」ハハハ

「あ……ううん、平気だよ」

131: 2018/03/09(金) 00:50:46.47 ID:YgZEd1qv0


「よくわたしが先輩だってわかったね」

京太郎「普段見るお顔じゃなかったですし……部活紹介でなんとなく見た覚えがしたんすよ」

「そっか、部活紹介…そんなのもあったね」

「須賀くんはよく人の顔覚えるの?」

京太郎「別にそこまで意識してはないですけど…どうして俺の名前を?」

「一人しかいない男の子だからね……さすがに名前覚えるよ」

「一方的に名前知られてるのも変だよね、自己紹介するよ。渋谷尭深」

京太郎「渋谷先輩…とお呼びすれば」

尭深「それはおまかせで」クスッ

京太郎「了解しました、渋谷先輩」フフッ

132: 2018/03/09(金) 01:22:29.76 ID:YgZEd1qv0

京太郎「ではあらためて渋谷先輩、お茶汲みの雑用は後輩の俺に任せていただけないでしょうか」

尭深「うーん……お茶はわたしが好きで淹れてるだけだからなぁ」

京太郎「あっ…そうなんですね」

尭深「だから…配るの手伝ってくれると助かるな」ニコッ

京太郎「了解です!」

尭深「さて、おしゃべりしている間にお湯もちょうどいい温度になったし」

京太郎「あー、そういう計算があったとは…気づかなかったです」

尭深「まだまだだね」

京太郎「まだまだです」

133: 2018/03/09(金) 01:54:27.66 ID:YgZEd1qv0



尭深「はい、須賀くんの分だよ」

京太郎「ありがとうございます。…ふぅ」

京太郎「なんか落ち着く味ですね」

尭深「そう言ってもらえるとうれしい、かな」


京太郎「じゃあ弘世部長と同じチームなんですね…先輩めちゃくちゃ強いんじゃないですか」

尭深「…そうでもないんだけどね」

尭深「うちの学校の代表選考のルール、知ってる?」

京太郎「あぁ、あれですよね、チーム作って対抗戦で勝ったチームが出る」

京太郎「カーリングの日本代表とかと同じですよね」

尭深「そうなんだ、あんまり知らないけど」

尭深「だから部内で一番強い五人が出るわけじゃないの」

尭深「宮永先輩は別格だけど、ね」

尭深「そしてこの方法の有用性を証明したのが宮永先輩、らしい」

京太郎「有用性?」

尭深「細かいことは聞いたことないんだけどね」


140: 2018/03/10(土) 22:57:22.15 ID:ShDBWZC80
こんばんわ
ゆっくり投下していきます

141: 2018/03/10(土) 23:00:39.53 ID:ShDBWZC80




尭深「だから須賀くんもわたしに勝てる…よ?きっと」

京太郎「勝ったらそのチームに入れる…ってわけじゃないんですよね」ハハッ

尭深「それはそうだよ…まず男の子だし……」

尭深「入りたいの?」

京太郎「……」

京太郎「…できればレベルの高いところで揉まれたいじゃないですか、せっかく来たので」

尭深「やっぱり男の子だね」フフッ


143: 2018/03/10(土) 23:12:37.64 ID:ShDBWZC80






京太郎(これだけ根詰めて打ちまくったのはいつぶりだろ…)

京太郎(もう時間は夕方、次がどうもラストらしい)

京太郎(相手は…)


淡「やっと須賀をぶっ飛ばせる!」

「ラストよろしくねー」

尭深「お手並み拝見、だね」ニコッ

淡「えっ、尭深先輩いつの間に知り合いになったんですかー?」

尭深「あ…、さっきお茶淹れるのを手伝ってもらっちゃって」

淡「ふーん……」

京太郎「何か言いたげだな」

淡「べっつにー、たらしとかへんたいとか思ってないしー」

京太郎「この野郎……」

144: 2018/03/10(土) 23:54:58.33 ID:ShDBWZC80


淡「とにかく、私が勝ったら一人部屋いただくからね!」ズビシッ

「なんの話かな…」

京太郎「もう…渋谷先輩も何か言ってやってくださいよ」

尭深「え、……えっと、えっと、頑張って?」

京太郎「ちがーう!」

淡「たかみーも私の味方!100人力だ!」

尭深「あ、えっと、ごめんね?」

京太郎「大丈夫、大丈夫です…」


145: 2018/03/11(日) 00:07:08.37 ID:ko1Fiorl0


京太郎「では、よろしくお願いします」

「よろしくー」

尭深「…よろしくお願いします」

淡「じゃあ…始めるよ!」ニヤッ

ゴゴゥッ!

京太郎(っ……なんだこれ)

京太郎(卓についた途端に、人が変わったようなこの威圧感)

京太郎(『怖い』とかなんとか言ってたのはこれか)

京太郎(…今まで対局した中で間違いなく最強レベルだわ、こいつ)


146: 2018/03/11(日) 00:16:33.98 ID:ko1Fiorl0


東一局

京太郎(大星が強烈すぎるけど他二人も何かしらのオカルト持ちで)

京太郎(様子見してる場合じゃねえと意気込んだんだが…この静けさ)コトン

京太郎(…俺だって無策じゃない。大星の牌譜も研究済みだ)

京太郎(開幕五向聴。大星と卓を囲むと必ずそうなるらしい)

京太郎(だからさっきの圧力は配牌が終われば薄くなっていく。とりあえずこれが大星の“力”だ)

京太郎(…それだけじゃない気もするけど)コトン

>ポン

京太郎(…ズレるか。しゃーない、一旦こっちで)

147: 2018/03/11(日) 00:26:39.49 ID:ko1Fiorl0


京太郎(あと、渋谷先輩の第一打)

京太郎(何かがぐっと集まって、先輩の手元に消える。そんなイメージ)

京太郎(要警戒だし、そうでなくても一軍スタメン。学べることは多くある)

京太郎(願わくば、勝ってその先に…)コトン




京太郎(…大星に動きなし)

京太郎(もし言ってた通り手を抜いてるんなら…先行させてもらうぜ、大星)

京太郎「チー!」

カランッ

京太郎(…よし、入った!あとは…)

タンッ タンッ

京太郎(……来た!)

京太郎「ツモ! 自風ドラ3で満貫、2000・4000!」

「おー」

淡「なっ…!」

尭深「ツモられちゃったか…」パタン

京太郎「いや、ちょっと出来過ぎですね」

京太郎(あと一巡遅かったら上がれなかったはず…危ない危ない)

148: 2018/03/11(日) 00:38:42.07 ID:ko1Fiorl0



東二局

京太郎「うし、親番行きます!」カランコロン

淡「むむ…」

ガタン ゴッ

京太郎(またひどい圧、そして五向聴)

京太郎(でも手が進まないわけじゃないしなぁ、まだなんとかなる)

京太郎(…あの地獄は酷かった)

尭深「……」コトン

京太郎(…また何か溜まった)

京太郎(第一打のみ発動する、かぁ…)

京太郎(…考察はあとだ、とりあえず集中しよう)コトン

149: 2018/03/11(日) 00:51:44.58 ID:ko1Fiorl0




尭深「……」チラッ

コトン

京太郎「…ポン」

京太郎(…先輩が鳴かせてくれたおかげでテンパイ)コトン

京太郎(まあ安いんだけど)

京太郎(渋谷先輩は…俺に連荘させたいんだろうか)

京太郎(だとして理由は何だろう)

京太郎(まあ、とりあえずは)

京太郎「ロン。1500の一本場は1800」

京太郎(和了ってから考えるとして)

150: 2018/03/11(日) 01:16:17.75 ID:ko1Fiorl0



東二局一本場

京太郎(先の繰り返し)

京太郎(大星は…)チラッ

淡「……」ムッスー

京太郎(調子でも悪いのかな?)



京太郎「…テンパイ」

淡「テンパイ」

「テンパイ」

尭深「ノーテンです」

京太郎(なんとかテンパイはした、が…)

京太郎(なんか転がされてるような、嫌な感じ)

京太郎(それに動きがないあと二人が不気味なんだよなぁ)

151: 2018/03/11(日) 01:20:13.32 ID:ko1Fiorl0



淡「……尭深先輩」

尭深「どうしたの?」

淡「本気出しても、いいですよね」

尭深「えっ…」

「えっ…」

淡「だってー、先輩味方してくれるって言ったのに須賀のアシストして!ずるい!」

尭深「味方するとは…言ってないかな」ズズッ

尭深「それにこれは私なりの戦略。淡ちゃんもわかるでしょ?」コトン

京太郎(先輩慣れてるなこれは)

淡「それはそーだけどー…」

尭深「私もいろいろ試したいから…ね」

尭深「最初の親番、上がられちゃったのが誤算だったけど」

京太郎「おっと、俺のせいですね」

尭深「勝負だからね、私が弱かっただけ」

(…話に入っていけない)


154: 2018/03/11(日) 01:32:34.61 ID:ko1Fiorl0



尭深「菫先輩も言ってたよね、『できれば自重しなさい』って」

淡「でもでも、じちょーしてたら100人も1000人もやっつけられない!」

淡「出すぎててもやらなきゃいけない時が、れでぃーの淡ちゃんにはあるの!」

尭深「そう…」

淡「あー、絶対わかってない!」

京太郎(お前の中のレディーのイメージってなんなんだ)


155: 2018/03/11(日) 01:48:45.55 ID:ko1Fiorl0



菫「亦野、そっちはどうなった?」

誠子「ほとんど済みましたね。あと…まだ尭深と淡の卓が途中です」

菫「そうか…やけに時間がかかってるじゃないか」

誠子「ああ…尭深が親の連荘支援してたみたいです。東風でハーヴェストを部分的にでも再現できないかって」

菫「それはそれで面白そうだが…牌譜を見せてくれないか」

誠子「はいどうぞ。……そうそう、それもあって例の男子が今トップなんですよ」

菫「ほう。……きっちり満貫和了ってるじゃないか」

誠子「その東一局の鳴きがなかなか鋭いんですよ。それで一巡後にツモ上がり」

誠子「なんかシンパシー感じちゃいますし…勉強になります」

菫「…亦野のそういう姿勢は見習いたいな」

156: 2018/03/11(日) 01:52:14.18 ID:ko1Fiorl0


照「……お疲れ様」テクテク

誠子「お疲れ様です、先輩」

菫「お疲れ。有望株は見つかったか?」

照「…一応気になった子はメモしてある」パラッ

菫「助かるよ。強さが一見してもわからない子もいるし、な……」

誠子「先輩?」

菫「照、この『カメ』ってなんだ?」

照「カメだよ」

誠子「カメ?」

菫「…それがなにかを聞きたいんだが」

照「…よくわからないけど、その子の後ろにカメみたいなのがいた」

照「ギャーギャー鳴いたりこっちに舌伸ばしてきたりうるさかったから、コークスクリューしたらビックリした顔して消えちゃった」

菫「そ、そうか」

誠子「…これ聞かなかったことにしていいですか?」


165: 2018/03/14(水) 00:17:27.82 ID:hbHgKCv10
照「…大丈夫。その後も気配はあったから」

照「たぶん一時的に引っ込んだか、常駐するタイプじゃないんだと思う」

菫「…チェックしておくよ」

誠子「…聞かなかったことにしときますね」


照「…淡と尭深はまだ打ってるの?」

菫「ああ。牌譜見るか?」

照「うん」パラッ

誠子「…卓の進行止まってませんでした?」

菫「そうだな…練習だから多少は構わんが」

照「……」ピクッ

照「…淡」

菫「淡がどうかした…か」ゾクッ

166: 2018/03/14(水) 00:21:29.84 ID:hbHgKCv10
東二局二本場

淡「…ここまで我慢してきたんだから、いいよね」ニヤリ

ド ド ド ド

京太郎「な…」

京太郎(なんと圧倒的な大気…!さっきの圧とは段違いの“凄み”が、こいつにはあるっ…!)

京太郎(…ってふざけてる場合じゃねえ、これはやばい)コトン

ゴ ゴ ゴ ゴ


淡「リーチ!」 チャラン!

京太郎(ダブリー…だと)


誠子「あっちゃー…やっちゃいましたね、秘密兵器」

菫「…ここで本気を…いや…淡は気分屋だからな…」

照「……」

誠子「…やっぱり他校入れなくて正解でしたね」

菫「…それはそうなんだ、が…」

誠子「何かあるんですか?」

菫「ああ……始まったからには仕方がない。様子を見るしか…」

照(……京ちゃん)

167: 2018/03/14(水) 00:24:11.65 ID:hbHgKCv10

京太郎(他人の配牌に影響を与えられるのなら、自分のにそうできても何もおかしくはない)

京太郎(にしても……それにしてもダブリーだよ)タンッ

京太郎(……この局は様子見。いろいろやるには不確定要素が多過ぎる)

淡「……」ニマッ

京太郎(この憎たらしい笑み、強者の余裕…か)


尭深(…私が余計なことしちゃったから)

尭深(ううん、でも……淡ちゃんの姿勢にもたぶん良くないところがあった)

尭深(中途半端で油断してたから、思っていた展開にならなくて焦る)

尭深(私が連荘支援してたのもあるけど…須賀くんが淡ちゃんの予想を超えてきた)

尭深(……あとで反省会、かな)

168: 2018/03/14(水) 00:27:25.86 ID:hbHgKCv10



京太郎(…ダブリーなのに案外和了れないってあるよね)

京太郎(早めのリーチはなんとやら、ってな)

京太郎(とりあえず、これでテンパイ)コトン


(何かと厄介な子だって、先輩たちも言ってたし覚悟はしてたけど!)

(こんなのだなんて、聞いてないよっ……!)


淡「……」スッ

淡「……」ニヤッ

京太郎(…まずっ、何か来る!)

淡「カン!」

ゴゥ!

京太郎(……俺には一瞬、宇宙が見えた)

京太郎(卓は大地で、大星は宙に浮いている)

淡「……」コトン

京太郎(さも当然のように、ろくに見もせず嶺上牌は河へ)

京太郎(さすがに咲みたいにぽんぽん和了らないか)

169: 2018/03/14(水) 00:30:09.29 ID:hbHgKCv10
尭深「……」トン

京太郎(…先輩は安牌か)スッ

京太郎(……この牌は切れない。嫌な予感しかしない)

京太郎(…崩そう)タンッ


淡「……」フッ

淡「ツモ!」

スッ パタタタタタタ

カチャッ

京太郎「裏ドラが、乗った…?」

淡「ツモダブリードラ4で、ハネ満だよ!」ババーン


京太郎(さっき切っていたら直撃されてた)ゾゾッ

京太郎(…ダブリーして暗カンしたら裏が乗ってハネ満確定…?)

京太郎(……なんてこった)

淡「じゃあ、次いこうか」ニヤッ

尭深14800 京太郎29300 モブ19300 淡36600

170: 2018/03/14(水) 00:39:00.46 ID:hbHgKCv10

京太郎(もう一度試す…とか悠長なこと言ってらんねえな)

京太郎(そしてこの感じは…)

淡「リーチ!」

京太郎(ねえ皆さん知ってました?ダブリーって連発できるんですって)

京太郎(…手は相変わらずの五向聴。九種九牌…でもない)タンッ

京太郎(さっきのカン裏ドラは偶然……とか、そんな楽観的じゃいられない)

京太郎(当然来るものと仮定してやらなきゃ)

京太郎(…俺、この期に及んで勝とうとしてる)

京太郎(所詮練習なのにな、ハハッ)

京太郎(でもね、引くに引けないところがあるんすよね…男には)

171: 2018/03/14(水) 00:42:09.17 ID:hbHgKCv10



京太郎(ここに来てツモが…手が進まない)

京太郎(親の〇〇さんは…打牌に力がない。聴牌には遠そう)

京太郎(渋谷先輩は…)チラッ

尭深「……」チラッ

京太郎(目が合った)

京太郎(ここから点差が開くのは避けたい。それなら…)

京太郎「……」コトン

尭深「ポン」

京太郎(先輩に和了ってもらうしかないだろ)



淡(むっ…)

淡(たかみーにさっき助けてもらったからってデレデレして)

淡(やっぱりばか。ほんとバカ。ばーかばーか)コトン

尭深「…ロン。3900です」

淡「あわわっ!?」

尭深19700 京太郎29300 モブ19300 淡31700

172: 2018/03/14(水) 01:17:30.35 ID:hbHgKCv10
東四局

淡「……」ジトー

京太郎(やばいです、淡さんがじっと睨んで来ます)

京太郎(さて、泣いても笑ってもここでラスト)

京太郎(俺も二翻つけて和了れれば逆て…ん…)ゾクッ

尭深「……」

京太郎(ここで渋谷先輩……しまった、忘れてた)


京太郎(先輩の配牌に力強さを感じる)

京太郎(第一打のあれは…貯金みたいなもの?)

京太郎(だとすればこの局は…)

淡「リーチ」カチャン

京太郎(迷いなくダブリー)

京太郎(俺だって、まだ)

尭深「……」コトン

京太郎「チー!」

京太郎(諦めるわけにはいかないよな)

173: 2018/03/14(水) 01:25:39.89 ID:hbHgKCv10

尭深(ここまで五局、全部は帰ってこなかったけど)

尭深(しっかり収穫できたのは、いいことだよね)

尭深(淡ちゃんがいる卓でできたことに意味がある)

尭深(…実際に使えるかどうかはまた別問題だけど)

尭深(とにかく、この局は)コトン

京太郎「……」コトン

京太郎(もう一歩、あと少し…)

「……」コトン

淡「……」コトン

尭深「……」






尭深「ツモ」

パララララ

尭深「2000・3900…です」

尭深28600 京太郎27300 モブ17300 淡26800


182: 2018/03/19(月) 00:12:34.13 ID:KgXCBVUt0
すいません、なんか体調おかしいので今日は休みます
申し訳ない
明日大目に投下したい

186: 2018/03/19(月) 23:11:11.19 ID:KgXCBVUt0
こんばんは
ぼちぼち投下ー

187: 2018/03/19(月) 23:22:28.95 ID:KgXCBVUt0


京太郎(一歩、及ばないか……)

淡「っ……!」

尭深「…お疲れ様でした」

「お、お疲れ様でしたっ!」


京太郎「あー……負けちゃいました」

淡「……は?」

京太郎「え?」

淡「なんでよ…なんで素直に勝ったって言わないの!」

京太郎「え?ああ……確かに大星より点は上だけど勝った気しないし」

京太郎「だいいち勝ったの渋谷先輩だし」

淡「そうだけど、そうだけどさ!」

淡「なんか……バカみたい」

京太郎「…え?」

尭深「…淡ちゃん」

淡「もういい!」ダッ

京太郎「あっ、おい待てって!」ガタッ

フラッ

京太郎(……あ)

ガシャーン

「きゃっ!」

尭深「す、がくん……?」


188: 2018/03/19(月) 23:39:17.10 ID:KgXCBVUt0


淡(……ばか)タッタッタッ

淡(ばーか、ばーか)グスッ






菫「おい、大丈夫か!」

照「……」

テク テク テク

照「……」チョコン

照「尭深、手を貸して」

尭深「は、はい!」

菫「…っ、淡は!?」

誠子「先輩、私が追いかけます」

菫「しかし……」

誠子「先輩は他の部員に指示を」

菫「……わかった。よろしく頼む」

誠子「頼まれました」

タッ タッ タッ

189: 2018/03/19(月) 23:48:51.78 ID:KgXCBVUt0


京太郎「……あ、れ…?て、る先輩?」

照「頭打ったりしてない?」

京太郎「大丈夫です…へっちゃらですよ、ちょっとバランス崩しただけで…」

照「起き上がっちゃダメ」キッパリ

京太郎「あ…はい…」

尭深「毛布、使う?」ススッ

照「頭の下に敷こうか。ちょっと持ち上げるよ」

京太郎「すみません…」



菫「……大丈夫か?」

照「特に異常はない…と思う。他の子たちは?」

菫「予定通り各自休憩と風呂だ。少々の動揺は見られたが……あとで説明はしておこう」

京太郎「すみません……大星はどうしました?」

菫「今探してもらっている。……すこし気が立っただけだ、じきに落ち着いて帰ってくるだろう」

190: 2018/03/20(火) 00:04:13.75 ID:GS0un0ly0


菫「それよりも…君にはまた謝らなくてはならないな」

京太郎「…え?」

菫「すまん、私の見通しが甘かった」フカブカ

京太郎「そんな部長…顔上げてください」

京太郎「大星がちょっと本気出して俺があてられちゃっただけじゃないですか」

菫「……経験あるのか」

京太郎「地元でちょっと、ですね」

照「……」

菫「……そうか」

尭深「すみません、何の話を…」

菫「ああ……せっかくだし話しておこう」


菫「高校麻雀は男女で実力差がみられると一般的に言われるが、なぜだと思う?」

尭深「競技人口…ですか?」

菫「それも重要なポイントだが、他にも理由がある」

照「……変な打ち手が多い」

菫「……お前がそれを言うのか…」

照「失礼な」

尭深「男子はそうでもないんですか?」

京太郎「俺はあまり男子と打ったことがないので……」

菫「…ああ。理由はよくわからないそうだが、この年代の女子には不可解な打ち方、何かが見えているような打ち回しをする者が多い」

菫「実際うちの部でも、統計の範囲を超えた過度な打ち方をすることで成績が上がった者が多くいる」

菫「男子にはそれがないか、あってもごく目立たない程度が普通だ」

照「……」

192: 2018/03/20(火) 00:13:21.92 ID:GS0un0ly0
尭深「でもそれと須賀くんが倒れたことにどんな関係が……」

菫「そこにもうひとつ男女差が表れているんだが」

菫「淡のように卓全体に影響を与える雀士と同卓すると、個人差はあるがその気配を感じられることが多い」

菫「つまり雀士が持つ…オカルトとでも言っておこうか、特に強力なオカルトは周囲の人間にも影響を及ぼすということだ」

照「……隠しきれない威圧感」

菫「…それでここが問題なんだが……男子の方がより身体的影響を受けやすいらしい。言い換えると外部の力に対する耐性が低い」

尭深「不思議ですね」

菫「…私も聞きかじっただけだからな、詳しいことはわからない」

菫「だから…今回のことについては想定外だったというか、部長としての監督不行き届きというか…」

京太郎「もうその話は終わりにしません?部長が気に病むことないですって」

京太郎「俺もそれなりに覚悟して白糸台(ここ)に来ましたから」

菫「……そう言ってもらえると救われるよ」

193: 2018/03/20(火) 00:21:03.00 ID:GS0un0ly0

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


第一部室



誠子「ここにいるな、大星」

淡「……」

誠子「電気ぐらいつけたらどうだ」

淡「…スイッチどこかわかんない」グスッ

誠子「…点けるぞ」ポチッ

淡「……っ、まぶし」


194: 2018/03/20(火) 00:27:37.34 ID:GS0un0ly0
コツコツ

誠子「リンゴとオレンジ、どっちがいい?」

淡「……?」

誠子「下でジュース買って来たんだ。奢りだぞ、感謝しろよ」

淡「…オレンジ、ください」

誠子「ほら」

淡「……ありがとうございます」

誠子「おーおー、いつもの元気印はどうしたー。調子狂うじゃないか」バンバン

淡「……」

誠子「…隣、座ってもいい?」

淡「…うん」


195: 2018/03/20(火) 00:34:12.39 ID:GS0un0ly0


誠子「……」

淡「……」

誠子「……悔しかったか」

淡「…うん」

誠子「…ここで負けを知れたのは、大星にとってもいいことだと思うけどな」

淡「でも、こんなところで負けてたら」

誠子「負けてたら、なんだ?」

淡「……こっちの部室、来れないじゃん」



誠子「……はぁ」

誠子「なんかお前勘違いしてないか?」

淡「?」

誠子「負けたことないやつなんて、この部室にいないぞ」

淡「でも……たかみーはいいけど須賀なんかに」

誠子「お前が負けた理由はそこだな、男子だからかなんだか知らないが、甘く見過ぎだ」

淡「……」

誠子「淡は見てなかったかもしれないけど、あの子にはセンスがある」

誠子「状況を読む力があるし、勘もいい。ドラを引いてくる運もある」

誠子「今日の対局を見ての私の個人的な感想だから、別に気に留めなくてもいいけどさ」

196: 2018/03/20(火) 00:42:53.45 ID:GS0un0ly0



誠子「ただ一つ言うとすればな」

誠子「ここは白糸台麻雀部で、目標は団体戦優勝だ」

誠子「お前が今までどうして来たか知らないけど、一人で強くなっていけばいいところじゃないんだ」

誠子「負けて反省して人は強くなれる。だから勝つためには負けが必要なんだ」

淡「そう、なのかな」

誠子「お前はもっと負けを知っていい。それがきっとお前のためになる」

誠子「まあ、結構負けてる私が言っても説得力ないか」ハハッ

淡「……」

誠子「全国までの道筋で負けるわけにはいかない。ならいつ負けられるのか」

誠子「今でしょ」ドヤァ

淡「……」

誠子「……」

淡「…亦野先輩、さすがにそれは古いと思う」

誠子「…すまん、忘れてくれ」

淡「…あはっ」

誠子「…わ、笑うな、忘れろ!」クワッ

淡「あははは、先輩おもしろーい」

誠子「棒読みやめろ!」


197: 2018/03/20(火) 00:46:08.70 ID:GS0un0ly0

淡「あー……おかしかった」

誠子「くっ、つまらんところで恥を…」ブツブツ

淡「……ありがとうございました、先輩」

誠子「え?」

淡「私、頑張るから」

誠子「…おう。私も負けてられないな」

淡「あー、なんかおなか空いちゃったなー。晩御飯なんだろーなー」スクッ

誠子「…忘れてるだろうから言っておくけど、まず部長のところへ直帰だ」

淡「えーやだー、絶対怒られる……ダブリー見せちゃったし」

誠子「…どちらかというと、ラスト二局リー棒を出したことについて言われそうな気がする」

誠子「あれがなければお前が一位だったのに、結果論だけど」

淡「……そっか!よく考えたらそうだった!」

誠子「そういうところだぞ」

淡「だって、たかみーはスロットあるのに須賀が和了らせちゃうし…それどころじゃなかった!」

誠子「なんだそのスロットって…」

誠子「だいいち須賀は初対局なんだから知らなくて当然でしょ?」

淡「でもー、あれさえなければ……一騎打ちなら負けないのに…ぶー」

198: 2018/03/20(火) 00:47:15.31 ID:GS0un0ly0


誠子「だいたいなんでそんなに須賀にこだわるかわからない」

淡「だってね!初日から絡んで来てついてくるんだよ!」

誠子「その話はもう何度も聞いた、解決済み、次」

淡「えー、何回でも聞いてよー」

誠子「何?彼のこと嫌いなの?」

淡「え?べつにきらいじゃないよ?」キョトン

誠子「あ、そう…ならいいけど」


淡「……なんか、でも」

誠子「でも?」

淡「本気で勝負してたの私だけみたいだった」

誠子「…本気でやってなくて対局終わった後立てなくなるか?」

淡「そーだけどさ」

誠子「『勝った気はしない』って、須賀も言ってたじゃない」

誠子「それがすべてだと思うけど」

淡「しんけんしょーぶだった?」

誠子「あ、あぁ…多分」

誠子「心配なら訊いてみればいいじゃないか」

淡「うーん……そだね!そーする!」

淡「あと……」

誠子「?」

淡「心配もせずほったらかしにしたのも、謝る」

誠子「…そうか」

誠子「ついて行ってやろうか?」

淡「ほんと!?亦野先輩だいすきー!」 ガバッ

誠子「…この、調子がいいやつ…」グワングワングワン

誠子(でもまあ、)

誠子(こんなのも悪く、ないな)


199: 2018/03/20(火) 00:50:29.12 ID:GS0un0ly0


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
京太郎「すみません、部屋の準備までしてもらって」

菫「……さっきから謝ってばかりだな。なにか悪さでもしたのか」

京太郎「…そうですね。ありがとうございます」

菫「うん、それでよし」

尭深「お茶、置いときますね」コトン

照「…ありがとう」


京太郎「いいんですかね、俺も泊まって」

菫「こっちは元からそのつもりで準備してたんだ。何より体調に不安のある中一人で帰らせられないよ」

照「…迎えがあるならともかく」

菫「アパートで一人暮らしなんだろう?毎日大変じゃないのか」

京太郎「一応家事はできるように練習して来ましたからね。あとは慣れでなんとか」

尭深「私には無理かなぁ」

200: 2018/03/20(火) 00:51:33.43 ID:GS0un0ly0


菫「身支度は一通り整えてきているんだろう?」

京太郎「はい、言われてたので下着や着替えなどは一応」

菫「それなら構わないさ」

京太郎「でも男一人ですし」

菫「ん?男一人の須賀くんはそれをいいことにいかがわしいことでもするのか?」

京太郎「滅相も無いです!」

菫「それならいいじゃないか。こちらの信用で成り立っているんだから遠慮なく受け取ってくれ」

京太郎「…ありがとうございます」

京太郎(これは素直に喜ぶべきなのか)


201: 2018/03/20(火) 00:55:41.39 ID:GS0un0ly0



菫「まあ正直に言うとだな」

菫「君がここまでやれるとは思っていなかった」

京太郎「先輩…」

菫「一軍候補二人相手に僅差の2位だ。十分誇っていいだろう?」

京太郎「でも、一度対局しただけですし」

菫「その一度で何もできない者も多い。君はそうではない」

菫「点差云々よりも、私は君の打ち回しに実力と可能性を感じるよ」

京太郎「可能性…」

尭深「淡ちゃんが本気出した理由、わかるよね」

京太郎「……」

尭深「勝ちに来た淡ちゃんが勝てなかった。それだけでもすごいことだと私は思うけどな」

京太郎「……恐縮です」

菫「それを尭深が言うのは少し違う気がするがな」

尭深「ほんとですね、すみません」

202: 2018/03/20(火) 01:02:19.44 ID:GS0un0ly0




菫「では、私たちはそろそろ失礼しよう」

菫「夕食はあとで持たせる。風呂だが…今日は出て左の角にあるシャワー室を使ってくれ」

京太郎「わかりました」

尭深「今日はゆっくり休んでね」

照「……」

菫「行くぞ、照」スタスタ

照「…今行く」スッ

203: 2018/03/20(火) 01:03:14.96 ID:GS0un0ly0


照「……」

京太郎「…先輩も、ありがとうございました」

照「ひとついいかな」

京太郎「え……はい、なにか」

照「下の名前で呼んじゃダメって、言ったよね」

京太郎「あ……ごめんなさい」

照「……今日は急だったししょうがない。でも気をつけて」

照「……まだダメだから」

京太郎「まだ……?」

照「お大事に」スタスタ

ガチャン


シーン


京太郎「まだって、…なんだよ」


215: 2018/04/03(火) 23:51:20.76 ID:/Xr2P0vh0
今来ました
ちょろっとですが投下

216: 2018/04/03(火) 23:53:12.03 ID:/Xr2P0vh0



コンコンコン

京太郎「はいど」

淡「ご飯だよ!」バーン

京太郎「…うぞ」

「…ああもうこいつは!」


217: 2018/04/03(火) 23:55:09.06 ID:/Xr2P0vh0



京太郎「でも先輩、ノックしただけまだ成長してると思いますよこいつも」

誠子「ところがどっこい、ノックしたのは私なんだなあこれが」

京太郎「あーなるほど」

淡「む!二人して私のことバカにしてない?」

京太郎「してないしてない」

誠子「うん、してないしてない」

淡「…むー」


218: 2018/04/03(火) 23:56:13.89 ID:/Xr2P0vh0


誠子「……大星」

淡「あー……うん。えっと……ね」

京太郎「どうした」

淡「さっきは……心配も全然しないで……ごめん」

京太郎「……え」

淡「え、ってなに!」

京太郎「いやー、大星さんからそんな言葉が出るとは思いませんで」

淡「むっかー!私だって悪いと思ったらちゃんと謝れるの!」

京太郎「…冗談冗談。そんな気にしなくていいのに」

淡「へ?……怒ってない?」

京太郎「怒ってない怒ってない」

淡「そっか…へへへ」

219: 2018/04/04(水) 00:08:51.59 ID:mayxFyto0

淡「それじゃそれじゃ、もういっこ。えーと……」

京太郎「…なんだよ」

淡「……うん!次は負けないから!」ズビシッ

京太郎「おう!」

淡「だからきょーたろーは私のライバルってことで!」

京太郎「お、おう……名前?」

淡「さっき覚えた!ライバルって名前どうしで呼び合う感じ……そんな感じで!」

京太郎「……わかんねー、ぜっんぜんわっかんねー」

220: 2018/04/04(水) 00:15:55.72 ID:mayxFyto0




誠子「私もさっきの局見てたけど、なかなかいい鳴きしてたね」

京太郎「ありがとうございます……運も良かったんで」

誠子「運も実力のうちって言うしね……あんまり謙虚だと大星がまた機嫌損ねるよ」

淡「むっ……同じ失敗は繰り返さないしー」

京太郎「一回練習で勝ったくらいで大きい顔できませんよ」ハハハ

誠子「言われてるぞ淡」

淡「なんで私なの!」

京太郎「そうだぞ淡」

淡「あわっ…だからなんでよ!」




222: 2018/04/04(水) 00:31:19.35 ID:mayxFyto0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

誠子「…一仕事済んだし、これでゆっくり寝れるよ」カチャカチャ

淡「あー楽しかったー」

誠子「……それより良かったのか?」

淡「何が?」

誠子「あーいや、忘れるくらいのことならいいんだけど」

誠子「本気云々がどーだとかさ」

淡「あー……うん、それね……気にしないことにしたんです!」

誠子「…気にしない」

淡「きょーたろーは遊びでやってないことはわかったし……」

淡「もし本気じゃなかったんなら、私が弱かっただけ」

淡「だから次は勝つ」


223: 2018/04/04(水) 00:46:35.26 ID:mayxFyto0
誠子「ふーん、そっか」

淡「えー、反応薄い」

誠子「私にリアクションを期待してどうする」

淡「ぶーぶー」

誠子「ぶーじゃない。……羨ましいかな。楽しそうで」

淡「先輩は麻雀楽しくないんですか?」

誠子「楽しいよ。でも……背負うものもあるからね」

淡「?」


224: 2018/04/04(水) 00:58:01.26 ID:mayxFyto0


誠子「そんなことよりさ、何あの名前呼び?」

淡「え?よくあるよね、サ◯ケェ!ナ◯トォ!みたいに」

誠子「お前はいつジャンプ漫画の主人公になったんだ」


230: 2018/04/07(土) 00:07:08.53 ID:5WWvrhwc0


チュンチュン


京太郎(……朝か)

京太郎(……)

京太郎(……そうか、合宿か)ムクッ



ザーッ バシャバシャ

京太郎(無駄に早く目が覚めてしまった)

京太郎「ふぅ」フキフキ

京太郎(でもホントすがすがしい朝、須賀だけに)



231: 2018/04/07(土) 00:10:55.93 ID:5WWvrhwc0
京太郎(あ、照さん)

照「……」テクテク

照「ふぁぁ……」



京太郎(…こっちに来る)

京太郎「おはようございます」

照「ぁ…おはよう京ちゃん」

京太郎「え」

テクテク

京太郎(あれ、夢見てんのかな)

232: 2018/04/07(土) 00:13:37.97 ID:5WWvrhwc0
<ザーッ バシャバシャ

<………

<バタバタバタ

京太郎(……戻ってきた)

照「……さっきの無しで」

京太郎「さっきのって何ですか?」

照「……意地悪」

京太郎「また間違えたんですか」

照「寝ぼけてたからノーカン。顔洗って目が覚めた」キリッ

京太郎「…先輩の日常が心配です」

照「?」

京太郎「弘世先輩とかに迷惑かけてませんか?」

照「……ちょっとは、自覚ある」

京太郎「自覚があるなら…まあいいですけど」

233: 2018/04/07(土) 00:15:30.39 ID:5WWvrhwc0


照「……体調はもういいの?」

京太郎「え、…はい、なんとか」

照「そう…気をつけてね」

スタスタスタ

京太郎(行ってしまわれた…)

京太郎(…よし、今日も頑張りますか)パンパン


234: 2018/04/07(土) 00:17:11.09 ID:5WWvrhwc0



京太郎「おはようございまーす」

<おはよう須賀くん おはようさん

パタパタパタ

淡「おはよ、きょーたろー!」

京太郎「おはよう、朝から元気だな淡」

ざわっ

京太郎(あれ、なんか嫌な雰囲気)

淡「?…どうかした?」

京太郎「いや、なんでもない」

235: 2018/04/07(土) 00:33:42.52 ID:5WWvrhwc0



菫「……とまあ、須賀君と淡が付き合い始めたんじゃないかと噂が」

京太郎「誤解です」

誠子「昨日のアレでそうなったらなかなか劇的だけどね」

尭深「ラブロマンス、だね」フフッ

京太郎「先輩たち面白がってるだけですよね!?」

照「……」フキフキ

京太郎「ほら、掃除中なんですから集中してやりましょうよ。宮永先輩黙々とやってるじゃないですか」

菫「上級生に指示するとは大きくなったもんだなあ」

誠子「そーだそーだ」

尭深「ちゃんとやってるよ?『たまたま』須賀君と担当が近くて、『たまたま』この辺の担当が多いから手が空きがちなだけで」

京太郎「先輩方がそっち側だと収拾つかなくなるじゃないですか……」


236: 2018/04/07(土) 00:38:05.15 ID:5WWvrhwc0
菫「ほら、照も何か一言」

照「……」

京太郎(表情変えないままでめっちゃ困ってるんですけど、照さん)

照「……」

照「……お幸せに」

京太郎「ちょ、だから違うんです、誤解ですって!今は麻雀でいっぱいいっぱいで」

誠子「麻雀が恋人って?そんな行き遅れたアラフォー雀士みたいなこと言って」


???(アラサーだよ!?)


京太郎「いやそこまでは言わないですけど」

菫「つまらないな」ニヤニヤ

京太郎「つまらなくて充分です、さあ掃除掃除!」

244: 2018/04/09(月) 00:27:43.91 ID:d6xpN8690
京太郎(さて……午後からは部室昇格をかけての個人戦スタート、か)

京太郎(ここからが正念場)グッ


尭深「緊張してる?須賀くん」

京太郎「それなりに…でもやるしかないんで」

尭深「そっか…やっぱり男の子だね」

京太郎「それ昨日も聞きましたよ…先輩はいいんですか?のんびりしてて」

尭深「だって私たちは観戦する側だし」

京太郎「あ、そうなんですね」

尭深「牌譜分析くらいはするけど…お茶汲み頑張るね」

245: 2018/04/09(月) 00:41:38.20 ID:d6xpN8690





京太郎「ツモ。1000・2000」

京太郎(よし、この調子でいけば……)



「ロン。3900」

京太郎「っ……はい」チャラッ


「テンパイ」

「テンパイ」

京太郎「…ノーテン」

「テンパイ」

250: 2018/04/09(月) 23:05:23.31 ID:d6xpN8690





京太郎(…流れが悪いな)

京太郎(昨日対局してない人もいるからだけど…なんせ上級生が強い)

京太郎(上に絶対行きたいという気持ち、最後のチャンス…とにかく気迫が違う)

京太郎(でも俺だって)

京太郎「ロン!3900」

京太郎(気持ちは負けてない自信がある)







251: 2018/04/09(月) 23:19:21.24 ID:d6xpN8690


京太郎「だー…きっついなぁ」

淡「そんなに疲れることあったっけ?」

京太郎「俺は頭使わないと勝てないんだよ…勝ててないけどさ」

淡「ふーん…あ、今日は私が勝つからね」フフン

京太郎「言ってくれるじゃない淡さんよ」ハッ


254: 2018/04/10(火) 00:38:58.27 ID:dbEnBZId0
京太郎「……」

京太郎(相変わらずの五向聴スタート、ね…)タンッ

京太郎(ま、鳴いてなんとか進めていければ)

淡「チー!」

京太郎「!」

京太郎(…まずい、鳴かれると追いつくのが)


淡「ツモ、2000・4000!」

京太郎(そして平然と満貫ツモっていくというね)

淡「…まだまだいくよ」フンス

京太郎(…このまま乗せたら勝ち目はない。打点は捨てて…)

255: 2018/04/10(火) 01:07:22.87 ID:dbEnBZId0

京太郎「ポン」

京太郎「チー」

京太郎「……ロン、3900」


淡「ポン!」タンッ

京太郎「それロン、2000点」

淡「むっ…はい」

京太郎(攻撃全振りだからある程度取り返せなくはない。だけど…)

256: 2018/04/10(火) 01:13:08.86 ID:dbEnBZId0
淡「ロン!満貫の8000ちょうだいね!」

「はい……」

京太郎(一発がでかいから気を抜けない…)




淡「ロン!7700だよ!」

「あっ……と、飛んじゃいました…」

「何もできなかった…」ガックシ

京太郎「だぁーっ!完全に稼ぎ負けだわこりゃ」

淡「ふっふーん、淡ちゃんの実力を見たか!」

京太郎「あぁ……やっぱり淡は強いな」

淡「でしょでしょー」

257: 2018/04/10(火) 01:14:53.10 ID:dbEnBZId0


淡「…ねえ、きょーたろー」

淡「楽しかった?」

京太郎「もちろん……どうした急に」

淡「いや…やっぱりライバルっていいなって思った!それだけ…またよろしくね!」パタパタパタ

京太郎「…騒がしいやつ」

京太郎「さて…切り替えて次行きますか」

266: 2018/04/13(金) 23:56:41.66 ID:Y/y7NAzT0


京太郎「……悩むな」

淡「さっさと出しちゃえー」

「パスでもいいよぉ」

京太郎「いや、ここは…こっちでどうだ」

「パス」

「パスでーす」

「…パス」

淡「ふっふっふ、甘いねきょーたろー!」バシッ

京太郎「あぁ…やっぱそうなるか」

淡「私が大富豪!」

267: 2018/04/14(土) 00:16:35.35 ID:jy9+MCfv0




京太郎「いまさらだけど…俺ここにいて大丈夫?」

「…本当にいまさらだな」

「その辺は大丈夫。先輩たちに頼まれたから」

京太郎「…何を?」

コンコンコン

菫「失礼するぞ」

淡「おつかれー、待ってたよー」

「……はっ、す、せ、先輩!」ダッ

テキパキ

「お荷物ありがとうございます。どうぞこちらの椅子に」

菫「いや…邪魔するのも悪いからな…」

「そ、そんなこと滅相もない!お茶でも一杯いかがでしょう」

菫「…じゃあお言葉に甘えて、一杯だけ」



淡「…ねえ、あの子なんなの?」ボソボソ

京太郎「気にするな、気にしたら負けだ」ボソボソ

淡「ふーん」

268: 2018/04/14(土) 01:06:24.35 ID:jy9+MCfv0
京太郎「あぁ、この前のお菓子は合宿用だったんですね」

菫「いくら菓子好きがいるからってあの量は片付けられないだろう?普通は」

京太郎「まあそうですけど」

菫(…ふーん)

淡「昨日もね、プチお菓子パーティーやったんだよ!」

京太郎「あー、俺がいない間にそんな楽しそうなことが…」

菫「須賀君は物怖じしないな、女子ばっかりだというのに」

京太郎「そうなるだろう、と心構えはしっかり持ってきたので」

277: 2018/04/15(日) 23:30:46.75 ID:lflZO1sv0


菫「これまではそうじゃなかったのか?」

京太郎「えっと…中学はハンドボールやってたんで」

淡「え?なにそれ?」

「あー、なんか聞いたことある…」

「ほら、有名な人いたじゃん……えーっと」

京太郎「あー…多分、宮◯大輔選手のことじゃないかと」

「それだ、その人だ」

菫「なんでまた」

京太郎「ハンドボールですか?たまたま部活があって面白そうだったからってだけです」

「須賀くん背が高いから映えそう…全然ルールとかわかんないけど」

京太郎「一応県大会決勝までは行けたんですよ?」


278: 2018/04/15(日) 23:46:04.70 ID:lflZO1sv0


菫「でも麻雀もやっていたんだろう?」

京太郎「…小学生の時に教えてもらって。一時期離れてたんですけど…」

京太郎「中学上がってからですね、また一念発起して。部活の合間でネト麻やったり、そこで知り合いになった人に鍛えてもらったり」

「須賀くんってどこ出身?」

京太郎「言ってなかったっけ……長野だけど」

菫「……長野か」

「長野ってあれ、やよやよ言ってるところ?」

「それ多分岐阜」

279: 2018/04/15(日) 23:53:26.13 ID:lflZO1sv0


「麻雀で言ったら……ほら龍門渕って長野だったよね?」

京太郎「そう、そうなんです。龍門渕の先輩方は凄くて」

「えっ、どゆこと……知り合い?」

京太郎「知り合い…まあ、知り合いかな?さっき言ってたネト麻で知り合った人っていうのが龍門渕の執事さんで」

「執事…だ、と…」

淡「執事力53万?」

京太郎「なんだ急に」

淡「…なんかそう言わないといけない気がした」

菫「…須賀くんはルーラしたり路上でティーセット広げたりは」

京太郎「そんなことしませんよ!先輩がボケてどうするんですか」

菫「いや、そんな君をどこかで見たような気がして」

京太郎「執事の知り合いはいますけど執事見習いにはなってませんから!料理とかちょっと習ったくらいですから!」

淡「え、きょーたろー料理できるんだ。いがーい」

280: 2018/04/16(月) 00:28:10.93 ID:Leq0rRDc0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
京太郎(結局その後、いつか手料理なりデザートなり振る舞う約束をする羽目になって)

京太郎(いや全員分とか無理よ?レギュラー分とかで精一杯よ?)

京太郎(…部長から直接聞けたわけじゃないですが、俺がぼっちにならないよう手を回してくださってたようです)


京太郎(さて、昨日の続きの個人戦後半……ここまでは大体中位、若干中の上…くらい?)

京太郎(…もうちょっと頑張んないとな)

282: 2018/04/16(月) 00:59:16.10 ID:Leq0rRDc0





「……」タンッ

京太郎「チー」

京太郎(すこし強引だけどテンパイ…しかも単騎待ち)

京太郎(でもこの巡り、しっかりはまって……あとは何巡目か)スッ

京太郎(…来た!)「ツモ、自風ドラ1の500・1000」





京太郎(…13巡目、対面の親が張ってるけど生牌はもうない)

京太郎(無いんだけど、この南の対子は捨てられる。親にとっちゃダブ南だけど)タンッ

「……」

「……」タンッ

「……」タンッ

「ロン。12000」

京太郎(あちゃー)


京太郎(もうちょっと攻撃に活かせる何かあればなあ、違うんだけど。こればっかりは長年の課題)

京太郎(打点低いんだよね…だから男子地味だって言われるんだよ)


283: 2018/04/16(月) 01:10:58.38 ID:Leq0rRDc0




京太郎「うっす、淡」

淡「あ、私の結果聞きたい?聞きたいでしょー?」

京太郎「いいや全然」

淡「またまたー…昨日も今日もはめつのいきおいだったよ!」

京太郎「破竹の勢いな、なにお前大金貢いだり裏で不適切な関係があったりすんの?」

淡「?」

京太郎「…いや、わかんないのならいい、わかんない方がいいや。疲れて自分で何言ってるかわからん」


288: 2018/04/18(水) 23:35:42.62 ID:KrhQFu9U0


淡「…緊張してるの?」

京太郎「緊張というか…ナーバスになって」

淡「なーばすって何?頭痛いの?」

京太郎「……頭も痛いわ、うん」

淡「きょーたろーなら大丈夫でしょ」

京太郎「…え」

淡「だってこの淡ちゃんがライバルと認めたやつだよ?」ムフー

京太郎「…うん、まあ、そうだな」

京太郎「一応礼言っとく」

淡「一応ってなに!」ウガー

289: 2018/04/18(水) 23:50:15.65 ID:KrhQFu9U0

コツコツコツ

菫「…皆揃っているようだな」

菫「さて、第一へ昇格するメンバーを発表する」

菫「所属チームが内定している者はそれも合わせて発表するから、静かにして聞くように」

菫「では学年順にいく。三年、……」



京太郎(…やっぱり三年が多い、な)

京太郎(そういや何人昇格するとか、何も言ってなかった気がする)

京太郎(…もっと自信持てよ、須賀京太郎!)

291: 2018/04/19(木) 00:23:39.52 ID:Do6imYeH0



菫「最後は一年だ。…大星淡。チーム虎姫」

ざわっ

京太郎(ああ、…まあこれは分かってた)

京太郎(しかし淡が、一年レギュラー最有力か……)

京太郎(妥当なんだけど……凄えな)


京太郎(俺も頑張ったんだけどなあ…みんなそうだろうけどさ)

京太郎(このチャンスを逃すと、)



菫「須賀京太郎、チーム虎姫預かり。…以上だ」

京太郎「……」

292: 2018/04/19(木) 00:44:47.30 ID:Do6imYeH0
菫「呼ばれたメンバーはこの後顔合わせや説明のため移動。その他はこの個人戦の牌譜研究をしてもらうから対局していたホールへ」

菫「反省を生かして次に繋げてもらえればと、思う。以上」


京太郎(いま、呼ばれた?)

淡「やったじゃんきょーたろー!」

京太郎「……」

淡「きょーたろー?」

京太郎「なあ、ちょっと頬引っ張って」

淡「よいしょ」グイッ

京太郎「い…痛って!もういい、もういいからストップストップ」


293: 2018/04/19(木) 00:54:19.49 ID:Do6imYeH0


京太郎「あー、いてて…思いっきり引っ張ることねーじゃん」

淡「だって引っ張ってって言ったのきょーたろーでしょ…」

淡「それよりやっぱりほら!私が言った通りだった!」

京太郎「あ?……うん、まあな」

淡「えー、もっとリアクションしてよー」

淡「もっとほめて、ほめちぎって?」

京太郎「はいはい、淡さんはすごいですねー」

淡「でしょー」ムフー

京太郎(ちょろい)


295: 2018/04/19(木) 01:01:24.05 ID:Do6imYeH0


菫「ほら、二人とも行くぞ」

淡「はーい」トコトコ

京太郎「……」

京太郎(これで……また照さんと……打てるのか)

京太郎「……」グッ

京太郎「いよっしゃあああぁぁぁ!」



296: 2018/04/19(木) 01:08:44.49 ID:Do6imYeH0
ちょっと悩んだけどここで切る
テンポ悪くてすみません

297: 2018/04/19(木) 07:27:19.72 ID:rYwZDxsgO
自分のペースでええぞええぞ

298: 2018/04/19(木) 08:28:51.24 ID:iQnQ/PNlo
乙 止まらないだけ有り難い界隈だ

引用: 照「京ちゃんなんて知らない」京太郎「」