1: 2024/06/07(金) 22:53:04 ID:uyWKRmwI00
花帆「購買に売ってたんだ~」

吟子「なんで購買で売ってるの?」

花帆「やー、あたしってミーハーなとこあるからさ、気になってつい買っちゃった」タハハ…

花帆「えぇと……取説を見ると、機械のボタンを押すと、その人がキスをした回数、誰としたのかが分かるんだって」

吟子「どういう理屈?」

花帆「じゃあ、どうぞ吟子ちゃん!」スッ

吟子「え、ま、待って待って、あっ、つまずいて──あっ!」

花帆「あはっ、ぽ~ちっ♡しちゃったねぇ~」

吟子「うぅ、花帆先輩が急にこっち来るから……」ヘニョン

花帆「ごめんごめん。さてさて、吟子ちゃんのキス遍歴は~っと……」チラッ

キスをした回数:224回

花帆「わーお……」

吟子「うっ、数字で表されると生々しいな……。って、花帆先輩はなんでちょっと引いてるの?」

2: 2024/06/07(金) 22:53:35 ID:uyWKRmwI00
花帆「だ、だって、清楚で奥ゆかし~吟子ちゃんが200回超えてるんだよ? なんていうか……イメージとズレがあるっていうか……」

吟子「なに言っとるん。この回数全部、花帆先輩としたキスでしょ? 人の気も知らんで勝手に盛り下がって……気分悪いわ」フイッ

花帆「えっ、あたしと吟子ちゃんって、そんなにしてたっけ!?」

吟子「ほら、機械の表示をよく見て見なよ。今日の朝したキス、さっき廊下の隅でしたキス、全部記録されてる」

花帆「ほんとだ……。あっ、よく見ればアーカイブ機能もある。吟子ちゃんとしたファーストキス、見ちゃおっかな~。ぽちっ♡」

3: 2024/06/07(金) 22:54:05 ID:uyWKRmwI00


吟子「か、花帆先輩……? なにしとるん……?」

花帆「んー? 吟子ちゃんともっと仲良くなりたいなって」

吟子「な、仲良くたって……ちょっと距離が近い、と思います……」

花帆「……」スリッ

吟子「ひゃっ!」ビクッ

吟子「ふ、太もも撫でないでください! あって間もない人にやることですか!?」

花帆「えー? おかしくないよ~。体の触りっこくらい」

吟子「お、おかしい! 絶対おかしい! ていうか! 膝の上に座んないでください!」

花帆「んふふ……。ね、吟子ちゃん。スリーズブーケにはね、伝統があるんだ」

吟子「な、なんやの藪から棒に……」

花帆「隣に並び立って歌う人は特別な人。だからね、結成、加入の暁には契りを交わす必要があるの」

吟子「ち、契り……?」

花帆「動かないでね……んっ」チュッ

吟子「……!?」ピクッ

花帆「えへへ……。これであたしたち、特別な関係、だね」ニコッ

吟子「は……え……?」ポカーン

4: 2024/06/07(金) 22:54:33 ID:uyWKRmwI00


吟子「あの時の花帆先輩は、本当に強引だった……って、なにこの機能。どういう理屈で当時の映像を映し出せるの?」

花帆「可愛かったなー、初々しい吟子ちゃん。う~ん、伝統伝統!」シミジミ

吟子「伝統を軽薄に使わないで!」

花帆「でも今じゃあ、立場が逆転しちゃってね~……」

吟子「立場……? なんのこと?」

花帆「あはは~、とぼけちゃって~、ほら、今朝のキスをリバイバル! ぽ~ちっ♡」

5: 2024/06/07(金) 22:55:03 ID:uyWKRmwI00


吟子「先輩、先輩。起きて。朝だよ」

花帆「ん~……? 朝ぁ……? もうあと五分……」ゴロン

吟子「もう……。先輩ならしゃきっと起きてよ」ユサユサ

花帆「んみゅう……」

吟子「……早く起きないと、キスしちゃうよ」

花帆「んへへ……」

吟子「だらしない顔……無防備で警戒心なんて全くない……。知ってる? 先輩、呑気な兎はね、簡単に狩られちゃうんだよ」チュッ

花帆「……んぅ?」

吟子「襲われてるのに気付きもしない。あと何度したら、自分の置かれてる状況を理解するのかな」チュッ

花帆「ぁ…、んっ……」

吟子「……今日はいつもより眠りが深いかも。なら、キスだって少し深めにしても……はむっ」

花帆「んぅ、はっ、んっ……」

吟子「ん、んぇろ、ちゅっ、れぇろ…、ん、好きだよ、先輩……、好き、好き……んっ、一生、私の物なんだからね……ちゅっ」

6: 2024/06/07(金) 22:55:37 ID:uyWKRmwI00


吟子「なっ、なっ、なっ……!」カァ~…

吟子「じ、人権侵害! 犯罪だよこんな機械! 花帆先輩もなんか言ってよ!」

花帆「うんうん……今では先輩を襲うようになっちゃって……後輩の立派な成長に、花帆は満足なのです」

吟子「だ、だめだこの人……」

花帆「ん……? あれ。吟子ちゃん、これなに?」スッ

キスをした人数:二人

花帆「ねぇ、これ、なに?」ジッ…

吟子「二人……? 私、花帆先輩としか……あっ!」ピキーン

花帆「吟子ちゃん。二人ってどういうこと? あたし以外ともしてるってこと? まさか梢センパイ? センパイにも伝統って言われて体を許しちゃったの? ねぇ、どうなの?」

吟子「ち、違う、けど……梢先輩じゃない、けど……」

花帆「なんで言葉が詰まるのかな。あたし、別に気にしないよ? 吟子ちゃんが過去誰と何回しようと、今はあたしの手元にいるんだから。これは確認だから。浮気チェックとかじゃないよ。あたし、そんな面倒くさい女じゃないし」

吟子「……ふ~ん?」

7: 2024/06/07(金) 22:56:06 ID:uyWKRmwI00
花帆「ふ~んって……どうなの吟子ちゃん。答えてよ」

吟子「花帆先輩は、私が他の人とキスしちゃ嫌?」

花帆「嫌だよ! 胸が痛くて、心が潰れちゃいそうだよ……」

吟子「……ぽちっ」

シュウ~ン…

花帆「あっ!」

吟子「機械の電源は切ったから、もう一度私がボタンを押さない限りキスの履歴は遡れないね」

花帆「そんなぁ……。ねぇ、教えてよ吟子ちゃん……。誰としたの……?」

吟子「さっき自分で言ってたよね。私が過去誰と何回しようと気にしないって」

花帆「そ、それはそうだけどぉ……」

吟子「……私と先輩は、一日に平均四回キスする。さっきの履歴通りなら、今年四月に入ってからは先輩としかしてない」

花帆「え?」

吟子「……後は宿題。あの時強引に迫った罰だよ。じっくり考え悩んで苦しんで」

花帆「え、えーっ! ひ、酷いよ吟子ちゃ~ん!」

吟子「酷くない! 花帆先輩が悪いんだからね。右も左も知らない純朴な後輩を弄んだんだから! さよなら!」

花帆「吟子ちゃん! あぁ……いっちゃった……。えと、一日の平均が四回で、四月より前はあたし以外としてない……? んー……? ちゃんと履歴、見ておくんだったなー……一生の不覚……」

花帆「というか吟子ちゃん。自分で純朴な後輩とか言っちゃうんだ」

8: 2024/06/07(金) 22:56:29 ID:uyWKRmwI00
──

吟子「先輩、いつ気付くかな……。私が生まれた瞬間、お母さんが嬉しさ余ってキスしたって。どこの家庭も、ファーストキスはそんな感じ、だよね……?」

吟子「……あれ。もしかして、花帆先輩が答えに辿り着くまで、キスってお預けなのかな」

吟子「やってしまった……かもしれない。い、いやでも、機会はいくらでもあるよね」

吟子「お昼寝してる時とか、色々……って、寝込みを襲うとか人としてどうなの……?」

吟子「あー、もう! それもこれも全部! 花帆先輩が悪いんだからね!」

おしまい

9: 2024/06/07(金) 22:56:57 ID:uyWKRmwI00
おまけ

梢「お疲れ様……と、あら」

花帆「……」スヤァ

梢「これから部活だって言うのに……。いえ、そういえば、今日は体力測定があったはず。なら、仕方ないかしら」

花帆「んへへ……梢センパ~イ」

梢「……私の夢を見ているの? こそばゆいけれど……少し誇らし──」

花帆「吟子ちゃ~ん……むにゃむにゃ」

梢「……」ピクッ

梢「ごほん……誰も、見ていない、わよね」チラッ

梢「なら、少しくらいおいたしても……責めるのは己の良心のみ……」スッ

梢「……」チュ

花帆「……んぇ」

梢「……今は指越しのキスだけれど、小さな私の印……。いつかあなたと、本当のキスを……」

花帆「んぁ……あ、梢センパイ、おつかれさま、れす……んぅ~……」ゴシゴシ

梢「……ふぅ。あらあら。乱暴に瞼を拭ってはいけないわ」

花帆「えへへ……。起きてすぐ見たのが梢センパイって、いいですね」ニコッ

梢「ふふっ。あなたの最初になれて、私も誇らしいわ」クスッ

吟子「お疲れ様です。あ、私が最後ですか」ガララッ

梢「……お疲れ様、吟子さん」ニコッ

花帆「よーし! スリブも勢揃いしたところで! 今日の練習も頑張るぞー! おー!」

おまけ、了

PS.花帆ちゃんのキスした回数、キスした人数はご想像にお任せします

11: 2024/06/08(土) 00:20:38 ID:PvlO1l2U00
メンバー全員に押してもらいたいのだけれど

引用: 【SS】吟子「キスをした回数が分かる機械?」