1: 2014/09/25(木) 00:22:22 ID:yegz4nyg
ここは悪の組織のアジト──

圧倒的な強さとカリスマ性を誇るボスの下、

大勢の構成員たちが、日々悲願である世界征服に向けた準備を進めている。





まもなく、組織を支える三人の幹部による定例会議が始まろうとしていた。
ふらいんぐうぃっち(13) (週刊少年マガジンコミックス)
2: 2014/09/25(木) 00:26:51 ID:yegz4nyg
一人目、美少年──

美少年「さぁ~て、次は何して遊ぼっかなぁ」

ボスの息子である少年。
まだ幼いが、ボス以上の才能を秘めており、実力はすでに幹部No.1である。



二人目、女幹部──

女幹部「うふふ……世界征服は遊びじゃないのよ?」

怪しげな魔力をまとった妖艶な女性。
戦闘力だけでなく頭脳も明晰であり、組織のブレーンとして活躍する。



三人目、マッチョ──

マッチョ「ケッ、ガキはお気楽でいいぜ!」

巨体と怪力が自慢の大男。
生身で戦車を相手にしても力負けしない豪傑だが、粗暴なのが玉にキズ。

3: 2014/09/25(木) 00:29:20 ID:yegz4nyg
女幹部「さて……今日の議題は最近現れた政府直属の『ヒーロー』についてよ」

マッチョ「ヒーローか……」

マッチョ「まだ手合わせはしてねぇが、ウチの上級兵もやられたらしいじゃねえか」

女幹部「ええ、要人襲撃を試みていた兵士たちが撃退されたわ」

マッチョ「いったい何者なんだ?」

女幹部「おそらく……政府が長年育成してきた対テロなどの切り札よ」

女幹部「アタシたちの組織が侮れないと分かって、投入してきたんでしょうね」

美少年「ボク、新しい遊び相手ができて嬉しいなぁ~」

美少年「警察や自衛隊の人じゃ、弱すぎて物足りないもん」

4: 2014/09/25(木) 00:32:17 ID:yegz4nyg
女幹部「とにかく、慎重に作戦を練って──」

マッチョ「作戦? んなもん必要ねぇよ! オレ様が出ればそれで済む!」

マッチョ「東の都市あたりで部下を率いて暴れりゃ、ヒーローの方からやってくるだろ!」

マッチョ「そこを一気にブッ叩く!」

美少年「ダメだよ、そんなの」

マッチョ「なんでだよ?」

美少年「だって……東の都市にはボク行きつけのオモチャ屋があるんだ!」

美少年「マッチョさんが暴れて、壊されたら困るもん!」

マッチョ「……は?」

5: 2014/09/25(木) 00:35:25 ID:yegz4nyg
美少年「それにさ、せっかく新しい遊び相手ができたんだ」

美少年「一気にやっつけちゃったらもったいないよ」

美少年「もっとじっくり遊んであげようよ!」

マッチョ「あぁ!? オモチャだの遊び相手だの、なに下らねえこといってやがる!」

マッチョ「ったく、これだからガキはよ……」

マッチョ「オレ様はオレ様のやりたいようにやるぜ! 指図されんのは嫌いだからよ!」

女幹部「ちょ、ちょっと……」

6: 2014/09/25(木) 00:38:38 ID:yegz4nyg
美少年「ふうん……そんなこというんだ、マッチョさん」

美少年「ボクがやめてっていってるのに……」

マッチョ「当たり前だ! なんでお前のいうことを聞かなきゃならねぇんだ!」

マッチョ「いっとくが、ボスの息子だからって──」

美少年「…………」ゴゴゴ…

マッチョ「?」

美少年「ボクに逆らうと……頃すよ?」ニコッ

マッチョ「!」ゾクッ…

7: 2014/09/25(木) 00:41:45 ID:yegz4nyg
マッチョ「ひ、ひいい……!」

マッチョ「す、すまねぇ……! ゆ、許してくれぇっ!」

マッチョ「悪かった! お前に逆らう気なんてこれっぽっちもなかったんだ!」

美少年「マ、マッチョさん!?」

マッチョ「だから命だけはぁっ!」オドオド…

美少年「マッチョさん、落ちついて! 冗談だよ! ごめんね? ね?」

マッチョ「殺さないでくれえっ! うわぁぁっ!」ガタガタ…

美少年「殺さないよ! 殺さないから……ね?」

8: 2014/09/25(木) 00:44:09 ID:yegz4nyg
マッチョ「……ホント?」チラッ

美少年「ホントだよ、マッチョさん! だって……ボクたち仲間じゃないか!」

マッチョ「だけどお前が本気出したら、オレ様なんて一瞬で……」

美少年「そんなことないって! マッチョさんだって強いじゃない!」

美少年「ほら、自信持って……ね?」

マッチョ「じゃあ……なんで『頃すよ?』なんていったんだよ……」

美少年「そ、それは……」

9: 2014/09/25(木) 00:47:33 ID:yegz4nyg
美少年「実はこないだ、女の人たちに──」



女構成員A『あの……笑顔で“頃すよ?”っていってくれませんか?』

美少年『え、どうして?』

女構成員B『お願いします!』

美少年『よく分かんないけど、そこまでいうんなら……』

美少年『頃すよ?』ニコッ

女構成員A『キャ~、ステキ!』

女構成員B『とってもかっこいいです! ゾクゾクしちゃいました!』



美少年「──って褒められたんだ」

美少年「それで……やってみたんだよ」

美少年「ボクがこういったら、マッチョさんも喜んでくれて」

美少年「ボクのいうことを聞いてくれるんじゃないかって……」

10: 2014/09/25(木) 00:50:30 ID:yegz4nyg
マッチョ「今の話、本当だな? ウソじゃないんだな?」

美少年「ホントだよ! ボクを信じて!」

マッチョ「う~ん……ウソっぽい……」ジロ…

美少年「マッチョさん!」

美少年(ダメだ、どうすれば信じてくれるんだろう……)

美少年(このままじゃ、マッチョさんが自信をなくしちゃう!)

美少年(──そうだ!)

美少年(『頃すよ?』っていったらマッチョさんが怯えちゃったんだから……)

美少年「マッチョさん……生かすよ?」ニコッ

マッチョ「!」

11: 2014/09/25(木) 00:53:45 ID:yegz4nyg
マッチョ「ぐははははっ!」

マッチョ「なるほど、『頃すよ?』の反対に『生かすよ?』か!」

マッチョ「おもしれえ奴だな!」

マッチョ「よぉ~し、抱きしめてやる!」ギュッ…

美少年「わっ! 苦しい!」

マッチョ「お前がもっとガキの頃には、よくこうして抱きしめてやったが──」

マッチョ「さすがにもう嬉しくもなんともねえか!」

美少年「…………」

12: 2014/09/25(木) 00:56:11 ID:yegz4nyg
美少年(マッチョさんの腕……すごく太いのに優しくボクを包んでくれてる)

美少年(マッチョさんの胸板……ぶ厚くて、お父さんみたいに頼もしい)

美少年(マッチョさんの匂い……トレーニングの汗の匂いが心地いいや)クンクン…

美少年「…………」ギュッ…

マッチョ「おい、どうしたんだ? そろそろはなすぞ」

美少年「マッチョさん……」

美少年「ボク、マッチョさんのこと大好きだよ」

マッチョ「おう、オレ様もだよ!」

美少年「だからボク……将来はマッチョさんと結婚する!」

マッチョ「え……!?」

13: 2014/09/25(木) 01:00:08 ID:yegz4nyg
美少年「世界征服したら、結婚しようね、マッチョさん!」

マッチョ「…………」

マッチョ「悪いが、それはできねえ……」

美少年「え、なんで!? ……どうしてさ!?」

マッチョ「お前はボスの息子……いってみりゃ将来のボスだ」

マッチョ「いや、お前はいずれボスを超えるだろう」

マッチョ「そんなお前と、部下であるオレ様がくっつくわけにはいかねえ」

美少年「いいじゃない、そんなの!」

マッチョ「それに……オレ様とお前は男同士だ」

美少年「それはそうだけど……でもボク、マッチョさんが好きなんだ!」

美少年「マッチョさんのこと考えてると、ドキドキが止まらないんだよ!」

14: 2014/09/25(木) 01:03:06 ID:yegz4nyg
マッチョ「ダメだ……!」

美少年「どうして!?」

マッチョ「オレ様には彼女がいるんだ。ぶっちゃけ、結婚も考えてる」

マッチョ「だから……お前と一緒にはなれねえんだ……」

美少年「!」ガーン

美少年「……やだ!」

美少年「ボク、ずっとマッチョさんのたくましい筋肉に憧れてて──」

美少年「ずっとマッチョさんと結婚したかったんだ!」

美少年「マッチョさんが結婚してくれないならボクは……氏ぬよ?」ニコッ

16: 2014/09/25(木) 01:06:10 ID:yegz4nyg
マッチョ「バカヤロウ!」

ドゴォッ!

美少年「うあっ!」

マッチョ「組織の幹部ともあろう者が、軽々しく氏ぬなんていうんじゃねえぜ!」

美少年「ご、ごめんなさい……」

マッチョ「……いや、オレ様も殴ってすまなかった。つい手が出ちまった」

マッチョ「お前もオレ様を殴れ」

美少年「え、でも……」

マッチョ「いいから殴れ! 手加減すんなよ!」

17: 2014/09/25(木) 01:09:47 ID:yegz4nyg
美少年「分かったよ……えいっ!」

ズドォンッ!

マッチョ「ぐえええっ!」

マッチョ「が、がはっ……」ゲホッ…

美少年「だ、大丈夫!?」

マッチョ「平気だ……ナイスパンチ」ニッ

美少年「よかった……」ホッ…

マッチョ(とんでもなく重いパンチだった……アバラが折れてやがる)ズキッ…

マッチョ(へへ……さすがボスの息子だぜ……!)

18: 2014/09/25(木) 01:13:46 ID:yegz4nyg
マッチョ「いいか?」

マッチョ「お前の気持ちってのはおそらく、近所のお兄さんへの憧れみたいなもんだ」

マッチョ「いつかもっと大人になったら……お前も本当の恋愛をする日がくる」

マッチョ「だから氏ぬなんていうな!」

美少年「うん……」

マッチョ「それにたとえ結婚はしなくても、お前とオレ様は仲間だ! な?」

美少年「うんっ!」

マッチョ「ほれ、なでてやる」ナデナデ…

美少年「えへへ……」ニコッ





「おい、お前ら」

マッチョ&美少年「!?」ゾクッ…

19: 2014/09/25(木) 01:21:37 ID:yegz4nyg
女幹部「さっきからアタシを無視して、なに野郎同士でメロドラマしてやがる……」

マッチョ「す、すまねえっ!」

美少年「あわわ……ごめんなさいっ!」

女幹部「いいか? 今度また会議中にこんなことしたら、二人まとめて──」

女幹部「頃す……!」

マッチョ&美少年「…………」ゾゾゾッ…

マッチョ(やっぱり『頃すよ?』なんかより──)ガタガタ…

美少年(『頃す』の方が、ずっと怖い!)ガタガタ…






おわり

20: 2014/09/25(木) 01:25:17 ID:yegz4nyg
補足

元ネタは腐女子あるあるネタです
(多分なんかのアニメの美形キャラのセリフ)

21: 2014/09/25(木) 06:48:31 ID:.tFI9c6E
はい

22: 2014/09/25(木) 09:16:25 ID:9g02uNl6

引用: 美少年「ボクに逆らうと…殺すよ?」ニコッ マッチョ「!」ゾクッ