1: 2010/09/30(木) 13:00:17.97 ID:D2P/LPVb0
和「ちょっと……学校ではそう呼ばないでって言ってるでしょ」

憂「あれれー、それが人にモノを頼む態度?」

和「え……」

憂「人にお願いするときは、なんて言えばいいのかな?
  頭のいいクソメガネさんなら分かるよね?」

和「が……学校では、その呼び方はやめてください……
  お願いします……」

憂「うーん、言葉だけじゃなあ……態度がなぁ」

和「え、ど、どうしたら……」

憂「土・下・座……」

和「っ……」
けいおん! 1巻 (まんがタイムKRコミックス)
4: 2010/09/30(木) 13:04:44.74 ID:D2P/LPVb0
憂「ほらぁ早くしなよ。人来ちゃうよ?」

和「でも、こんなとこで……
  せめて人の来ないような場所で」

憂「別にどこだって一緒でしょ。
  ホラ早く土下座しなよ、いつもみたいにさぁ」

和「きょろきょろ」

憂「誰もいないからとっととやれっつってんの」

和「……」

憂「ほら、早く……」

和「う……」

澪「あれ、憂ちゃんに和。何やってんだ?」

6: 2010/09/30(木) 13:09:45.84 ID:D2P/LPVb0
憂「あ、澪さ~ん!
  実は今、和さんに相談聞いてもらってたんですー」

澪「相談?」

憂「あーいや大したことじゃないんで気にしないでください!
  和さん、朝早くから呼び出したりしてごめんなさい、
  相談乗ってもらえてとっても助かりました!」

和「あ、ええ……
  相談くらいなら、またいつでも乗るわ……」

憂「ほんとですか、ありがとうございますー」

 キーンコーンカーンコーン

澪「あ、やばチャイム鳴った」

憂「私教室戻りますね、失礼します」たたっ

澪「おう、急がないと遅刻になっちゃうぞー」

和「それは私たちも同じよ……
  さ、早く教室に行きましょう」

澪「うん」

和「……」

7: 2010/09/30(木) 13:14:46.53 ID:D2P/LPVb0
昼休み。

澪「和ー、お昼食べよ」

和「ええ」

澪「今日のお弁当はサンドイッチなんだー。和は?」

和「なにかしらね……」ぱかっ

澪「何?」

和「……」

澪「どうした? 何が入ってたんだよ」

和「ごめんなさい、ちょっと用事思い出したわ。
  生徒会室行ってくるね」たたっ

澪「えっ、ちょっと和……」

9: 2010/09/30(木) 13:19:47.38 ID:D2P/LPVb0
生徒会室。

ガラッ
和「……」

憂「あ、やっと来た。待ちくたびれたよ」

和「お弁当……あれ憂がやったの?」

憂「そうだよ。どうだった、砂弁当の味は」

和「食べられるわけないでしょ……」

憂「えー、どうして?
  せっかくお母さんが朝早く起きて作ってくれたお弁当だよ?
  食べなきゃもったいないじゃん」

和「……」

憂「あのお弁当はどうしたの?」

和「捨てたわよ……お弁当箱も洗った」

憂「へー、捨てたんだー。
  じゃあお母さんに言ってあげないとね。
  和さんはお弁当を捨ててまーす、って」

和「お、親は関係ないじゃない……」

10: 2010/09/30(木) 13:24:50.54 ID:D2P/LPVb0
憂「関係ありありだよ。
  お母さんが作ったお弁当なんだからさ」

和「……」

憂「ああ、どう思うかなー……
  娘のために一生懸命作ったお弁当を
  毎日毎日ゴミ箱に捨ててた、ってお母さんが知ったら」

和「やめて……」

憂「『やめてくださいお願いします』……でしょ」

和「……やめてください、お願いします」どげざっ

憂「へえ、今度は素直に土下座するんだね。
  やっぱり私たち以外に誰もいないから?」

和「……」

憂「ていうかムカツクんだよねー、そういうの。
  土下座さえすれば見逃してもらえると思ってる感じがさー」

和「そ、そんなこと……」

憂「いやいや、そう思ってるでしょ。
  だから私が何も言わなくても自発的に土下座したんでしょ」

11: 2010/09/30(木) 13:29:52.77 ID:D2P/LPVb0
和「……」

憂「安いんだよねー、あんたの土下座は」

和「じゃ、じゃあどうすれば……」

憂「まだ頭上げていいって言ってないでしょ」ふみつけっ

和「あぐっ……」

憂「どうすれば許してもらえるかは自分で考えれば?
  頭いいんでしょ?
  この前の模試でも全国の成績上位者にランクインしてたんでしょ」ぐりぐり

和「あ、ぅぅ……」

憂「それとも教科書の問題しか解けないのかな、
  この脳みそは」ガッ

和「痛っ!」

憂「はーあ、まったくもう……顔上げていいよ」

和「う……」↑

憂「ああやっぱり上げないで。
  あんたの顔見てると腹立ってくるから」

和「……」↓

15: 2010/09/30(木) 13:34:52.20 ID:D2P/LPVb0
憂「あ、そうだ、お金貸してよ。
  10000円でいいからさー」

和「そ、そんなに持ってない……」

憂「はあ? いつも2、3万は持ち歩いとけっていったでしょ?」

和「もう口座のお金もなくなっちゃって……」

憂「えー、もうシケてんなー。
  じゃあ良いよ、あるだけでいいから」

和「……今3000円しかないわ」

憂「それでいいから早くよこせって言ってんの」

和「わ、分かってるわよ……はい」

憂「ふん、まあ今日は3000円でいいけど……
  ちゃんと金の工面しといてよ、親の財布からパクるとかさー」

和「そ、そんなことできないわ」

憂「できるかできないかじゃないの。やるの。
  分かった?」

和「……」

21: 2010/09/30(木) 13:39:53.66 ID:D2P/LPVb0
憂「返事は?」

和「わかったわ……できるだけ努力してみる……」

憂「じゃあそういうことで頼むよ。
  今日はもういいあらさっさと教室戻りなよ。
  今度は今日足りなかった分もあわせて3万ね」

和「えっ、そ、そんなに……」

憂「3万ね!」

和「……分かった」

憂「分かったらとっとと帰ってよ。
  私はここでお昼食べてから教室戻るから」

和「ええ……じゃあね」
ガチャバタン




和「はあ……」

澪「……和」

和「っ!」

23: 2010/09/30(木) 13:44:54.29 ID:D2P/LPVb0
澪「ごめん……盗み聞きなんてして……」

和「な、なんで……」

澪「様子がおかしかったから、心配でついていったんだ……
  そしたらお弁当捨てたりお弁当箱洗ったりしてるし、
  これはタダゴトじゃないなって思って」

和「……」

澪「生徒会室にいたの……憂ちゃんだよな」

和「ええ」

澪「和のお弁当にいたずらしたのも憂ちゃん……」

和「……そうよ」

澪「もしかして今朝のも……」

和「ご明察ね……おかしいでしょ、
  私、年下の幼馴染にいじめられてるのよ……」

25: 2010/09/30(木) 13:49:55.16 ID:D2P/LPVb0
澪「……なんで、こんなこと」

和「こっちが聞きたいくらいよ」

澪「え……
  理由は分からない、のか」

和「分からない……いや、存在しないんでしょうね。
  いじめなんてそんなものじゃないかしら……
  ただ気に食わないから、あいつは自分より弱いから……
  そんな単純な理由よ、きっと」

澪「……」

和「理由もきっかけもない……
  ずっと昔から私たちはこういう関係だったの」

澪「そ、そんなの酷すぎるよ」

和「もう仕方ないわ……
  私では憂に対して何もできない。諦めたからもういいの」

澪「あ、諦めちゃダメだ……!」

和「澪……」

28: 2010/09/30(木) 13:54:55.54 ID:D2P/LPVb0
澪「私も……いじめられたことあるから分かるんだ。
  諦めるのは一番ダメな選択肢だって」

和「……」

澪「諦めるってのは耐えるってことじゃない。
  耐えることすら放棄して、
  自分の心を頃すってことなんだ」

和「心を頃す?」

澪「そう、心だけが氏んだ……いわば『半分氏人』。
  なんかのアニメでやってた」

和「なにそれ。
  私冗談を聞きたいんじゃないんだけど」

澪「い、いや冗談なんかじゃないって……
  とにかくそんな状態になる前にどうにかしようよ、
  私も力になるからさ」

和「力になるって……どうやって?
  いじめられたことがあるんなら分かるでしょ?
  第三者にどうにか出来ることじゃない、って」

澪「そ、それは確かにそうかも知れないけど……
  でもとにかく独りで耐えるなんてダメだよ、
  何か私に出来ることがあったら……」

和「……ありがとう、その気持ちだけでも嬉しいわ」

29: 2010/09/30(木) 13:59:56.92 ID:D2P/LPVb0
澪「和……」

和「大丈夫よ。私は澪が思ってるほど弱くはないわ。
  いつかこれが終わる時まで耐え切ってみせるから」

澪「そ、そんなの……」

和「私のことを心配してくれるなら余計なことはしないで。
  これだけはお願いよ」

澪「わ、分かった……
  でも耐えきれなくなったらいつでも言ってくれ」

和「ええ……」

 キーンコーンカーンコーン

和「チャイムが鳴ったわ。
  そろそろ戻りましょう」

澪「ああ……」

31: 2010/09/30(木) 14:05:01.58 ID:D2P/LPVb0
放課後。

澪「じゃあ、私軽音部行くね」

和「ええ、また明日」

澪「あの……憂ちゃんのこと……」

和「大丈夫よ、心配しないで。
  今はまだ耐えていられるから……」

澪「う、うん……」

和「ほら、早く行きなさい。
  みんな待ってるんじゃない?」

澪「うん、じゃあまた明日。ばいばい」

和「ばいばい」

和「……」

和「……」


唯「♪~」

和「おいちょっとそこの池沼」

唯「ひっ」

32: 2010/09/30(木) 14:06:58.35 ID:GNlxqj+CO
えっ?

35: 2010/09/30(木) 14:10:02.06 ID:D2P/LPVb0
和「いつ見てもアホ丸出しの顔してるわね」

唯「ご……ごめん」

和「何その口の聞き方。
  『申し訳ありません』……でしょ」

唯「も、もうしわけありません……」

和「まったく、これだから池沼は。
  あんたもう帰るの?」

唯「いや、これから……部活」

和「あっそう。じゃあその前にちょっとツラ貸しなさいよ」

唯「は、はい……」

36: 2010/09/30(木) 14:12:47.79 ID:2OfRsqa0O
おや…?

39: 2010/09/30(木) 14:15:02.61 ID:D2P/LPVb0
体育館裏。

和「……」

唯「あ、あの……私、早く部活行かなきゃ」

和「なに? 私より部活の方が大事なわけ?
  あんた自分の立場わかってんの?」

唯「あう……」

和「実は今月ちょっと金欠なのよね。
  金貸してくれない?」

唯「ええ、でも……私ももうお金ないよ……」

和「はあ? いつも2、3万は持ち歩いとけっていったでしょ?」

唯「ご、ごめ……もうしわけありません」

和「はあ、じゃあもういいからあるだけちょうだい」

唯「ほ、ほんとにもうなくって……
  今500円しか持ってない……」

和「500円ってガキじゃないんだから……
  まあ池沼にはお似合いかしらね」

唯「う……」

41: 2010/09/30(木) 14:20:03.27 ID:D2P/LPVb0
和「まあ、足りない分は体で払ってもらうことにするわ」

唯「か、からだでって、どういうこと……」

和「こういうことよっ!」ボカッ

唯「あ、ぐっ……!」

和「うずくまるんじゃないわよ!」ドスッ

唯「ぐぇぁ」

和「ほらもう一発!」ドゴッ

唯「うげっ……うげええええろげろげろ」

和「うわ、ゲロ吐くとか最低……
  ちゃんと掃除しときなさいよ」

唯「うえっ……げほ、げほ……」

和「まだ終わってないわよ」ゲシッ

唯「あだっ!」

44: 2010/09/30(木) 14:25:04.42 ID:D2P/LPVb0
和「この池沼、池沼~」ゲシッ ゲシッ

唯「いたい、いたいよぉ、やめてえ……」

和「オラァ!」ボカーン

唯「いぎゃっ……ううう……」

和「はー、スッキリした。
  これがないと毎日やってらんないわねー。
  ストレス解消にはもってこいだわ」

唯「ううぅ」

和「じゃあ私、生徒会室行くから。
  明日はちゃんとお金持ってくるのよ。分かった?」

唯「は、はい……」


唯(毎日毎日カツアゲに暴力……
  もう耐えられないよ……)

45: 2010/09/30(木) 14:30:05.87 ID:D2P/LPVb0
その夜、平沢家。

憂「おねえちゃーん、晩ご飯できたよー。
  今日はお姉ちゃんの好きなイワシの梅しょうが煮込みだよー。
  デザートはココアのシュークリームだよ」

唯「うん……」

憂「どうしたの、お姉ちゃん。元気ないね」

唯「そ、そんなことないよお……
  わーおいしそーだなーいただきまーすー」

憂「お姉ちゃん、なんか変だよ?
  何かあった?」

唯「な、なにもないよ」

憂「そう……?」

唯(憂に相談してみようと思ったけど……
  いざしようとするとなかなか切り出せないなぁ……
  ていうか和ちゃんと憂は幼馴染で友達なんだし、
  私がこんなこと言ったら二人の仲も壊れちゃうよね)

47: 2010/09/30(木) 14:35:06.98 ID:D2P/LPVb0
唯「あ、そうだ憂」

憂「なに?」

唯「お金……くれないかな」

憂「また? この前もあげなかったっけ」

唯「こ、この前のはあれだよぉ……軽音部でお金が要ったから……」

憂「今度のは?」

唯「えと、家庭科の調理実習の……」

憂「分かったよ、あとであげるね。いくらいるの?」

唯「さんまn……3000円でいいや」

憂「3000円?
  調理実習でそんなに必要なの?」

唯「あーいやあれだよ、私が班のリーダーでさぁ、
  最初に私が一括で払ってあとからみんなに返してもらうっていう……」

憂「ふうん……」

唯(あっ疑われてる……)

48: 2010/09/30(木) 14:40:08.28 ID:D2P/LPVb0
憂「お姉ちゃん、ほんとに何も無いの?
  なんか最近おかしいよ?」

唯「ほ、ほんとに何もないってばぁー……
  調理実習あるんだって、ほんとにほんと」

憂「じゃあメールで律さんに聞いていい?
  調理実習あるかどうか」

唯「えっ」

憂「あるんなら聞いても問題ないよね?」

唯「う……」

憂「メール送るね」ぴっぴっぴっ

唯「あ、だ、ダメ……!」がたっ

憂「なんで止めるの?」

唯「うう、ごめんなさい……
  調理実習は嘘なの」

憂「お姉ちゃん……
  じゃあどうしてお金なんか」

51: 2010/09/30(木) 14:45:10.03 ID:D2P/LPVb0
唯「それは……、…………」

憂「言えない理由なの?」

唯「う、うう」

憂「お姉ちゃん」

唯「うっ、ひっぐ……ごめんなさい、ごめんなさい……
  毎日お金持って来いって言われててぇ……」

憂「な、なにそれ、どういうこと?」

唯「持ってかなかったら……
  蹴られたり殴られたりして……もうやだよぉ、助けて憂……」

憂「お……お姉ちゃん……」

唯「ぐすっひっぐ」

憂「ごめんね、気づいてあげられなくて……
  お姉ちゃんがそんな酷い目にあってたなんて……」

唯「ううう……」

憂「誰にやられたの? 同じクラスの人?」

唯「……」

52: 2010/09/30(木) 14:50:10.86 ID:D2P/LPVb0
憂「言えないの?」

唯「い、言えないよ……」

憂「お願い、言って。
  私が何とかしてあげるから」

唯「で、でもぉ……」

憂「お姉ちゃんだってもうこんなの嫌なんでしょ。
  ほら……」

唯「う……」

憂「……」

唯「……」

憂「……」

唯「……和ちゃん」

憂「の、和さん?
  和さんにカツアゲされてたの!?」

唯「うん……」

憂「あんのクソメガネ……!」

57: 2010/09/30(木) 14:55:11.28 ID:D2P/LPVb0
唯「う、うい?」

憂「ああいやなんでもないよー。
  でも和さんがお姉ちゃんにそんなことしてたなんて……
  いつから始まったの?」

唯「高校入った頃くらいかな……
  そのときはまだ要求される金額は少なかったし
  落とし玉貯金を切り崩して払ってたんだけど……」

憂「そ、そんなに前から……
  気づけなくてごめんなさい、お姉ちゃん……
  つらかったよね……」ぎゅっ

唯「うう……」

憂「でももう大丈夫……私がついてるから。
  明日、私が和さんと話つけてくるから」

唯「だ、だめだよぅ……
  そんなことしたら私、余計にヒドイことされちゃう……」

憂「大丈夫だって言ったでしょ。私に任せて。
  お姉ちゃんが安心して学校行けるようにしたげるから」

唯「う、うん……」

59: 2010/09/30(木) 15:00:11.83 ID:D2P/LPVb0
翌日、学校、校舎裏。

憂「あ、やっと来た……遅いよ」

和「ごめんなさい、日直の仕事があって」

憂「私より日直のほうが大事なんだ?」

和「いや、そういうわけじゃ……」

憂「で、今日はお金持ってきたの?」

和「持ってきたわ……親の目を盗んで財布から抜いてきた」

憂「うっわー、ホントにやったんだー。
  親の金盗むとか人として最低だね……」

和「……」

憂「じゃあ早く頂戴」

和「……はい、3万円」

憂「3万? 足りないよ」

和「えっ……でも昨日は3万って」

憂「あんたが今までお姉ちゃんから巻き上げたお金……
  それも全部返してくれないかな?」

60: 2010/09/30(木) 15:05:12.13 ID:D2P/LPVb0
和「な……なんでそれを」

憂「お姉ちゃんから聞いたよ?
  毎日のようにカツアゲしては暴力を振るってたんだって?」

和「そ、そんなの……唯のでまかせよ」

憂「ふーん……お姉ちゃんの体見たら
  いっぱいアザとか付いてたんだけど」

和「……」

憂「ふふ……ねえ、このこと先生に言ったらどうなると思う?」

和「や、やめて……!」

憂「『やめて下さいお願いします』……でしょうが」

和「や、やめて下さい……お願いします……」どげざ

憂「ふん、無様……無様すぎるよ。
  まーあんたにはその格好がお似合いだよね。
  私に何もやり返せないで
  お姉ちゃんに八つ当たりするようなゴミクズさんにはさ」ぐりぐり

和「あ、うぐ……」

憂「で、お姉ちゃんからいくら巻き上げたの?」

和「覚えてない……」

63: 2010/09/30(木) 15:10:11.96 ID:D2P/LPVb0
憂「はあ? 頭いいんでしょ?
  それくらい覚えときなさいよ!」ガッ

和「あだっ……」

憂「お姉ちゃんを今まで何発殴ったの?」

和「分からない……」

憂「あーもう、さっきから覚えてないだの分からないだの……
  じゃあこの頭はなんのためについてんのさっ!」ドカッ

和「ぐぎゃっ!」

憂「ったく、胸糞悪いな……
  いい? 次お姉ちゃんに手出したら……どうなるかわかってるよね」

和「う……」

憂「じゃあ私もう教室いくから。
  また、放課後にね」

和「……」

 キーンコーンカーンコーン

65: 2010/09/30(木) 15:15:11.96 ID:D2P/LPVb0
教室。

和(まさか唯が憂にチクるとは思わなかった)

澪「あ、和。おはよう」

和(クソ……唯の前じゃ私と憂は普通の幼なじみの関係だし
  憂のことを想って黙っているだろうと踏んだけど……甘かったか。
  所詮池沼は池沼ね……)

澪「和? おーい」

和(もうこれで唯を殴ることは出来ない……
  ったく、どうやってストレス発散しろっていうのよ)

澪「どうした? 具合悪いの?」

和(あの憂も今以上に私に対しての暴力や嫌がらせを
  激しくしてくることは目に見えてる……
  あいつさえいなけりゃ……クソ、クソッ)

澪「のーどーかぁー」

和(うっせーな聞こえてるっての)
 「ああごめんなさい、澪。ちょっと考え事してて」

澪「あ、そうだったんだ。
  ごめんね邪魔して」

67: 2010/09/30(木) 15:20:11.56 ID:D2P/LPVb0
和「で、何?」

澪「ああ、一時間目移動教室だよ。
  みんなもう行っちゃったぞ」

和「あら、ほんとね……気付かなかったわ」

澪「私たちも早く行こう、和」

和「ええ、そうね……」

澪「和?」

和「……」

澪「どうしたんだよ、和……
  まさかまた憂ちゃんに」

和「……ええ、まあね。
  まあいつものことだし……」

澪「和……」

68: 2010/09/30(木) 15:25:12.61 ID:D2P/LPVb0
和「澪は別に心配してくれなくていいわよ」

澪「いや心配だよ……
  昨日も言ったけどさ、私に出来ることなら力になるから。
  遠慮せず、何でも言ってくれ」

和「ほんとに?
  ほんとになんでもしてくれる?」

澪「もちろんだよ、トモダチじゃないか」

和「ほんとにいいのね?」

澪「ああ、和のためならなんでもするよ」

和「じゃあ一発殴らせて」

澪「は?
  ……え?」

和「聞こえなかった?
  一発殴らせて欲しい、って言ったんだけど」

澪「いや聞こえたけど……意味が分からない……
  なんで殴るんだ、和が、私を」

和「力になってくれるんじゃないの?」

澪「で、でも……そんなこと」

70: 2010/09/30(木) 15:29:02.08 ID:/nWohMRZ0
ワロスwwwwwwwwwwwwwwwww

71: 2010/09/30(木) 15:30:14.03 ID:D2P/LPVb0
和「トモダチっていうのは嘘なの?」

澪「そ、そんなことないけど……
  なんで殴るなんてことになるんだよ、意味が分かんないよ」

和「いいからおとなしく殴られなさいよ!」

澪「ひっ」

和「そう、そんなふうにおとなしくしてればいいのよ。
  じゃあいくわよ」

澪「や、やめ……」

和「ふん!」ボコッ

澪「うっ、ごぇっ……くはっ」

和「ふう……大体あんたウザイのよね……
  力になる、とかトモダチだとか綺麗事ばっか言って……」

澪「ううっ、かはぁ、はぁ」

和「自分もイジメられた経験あるから、ってことで
  仲間意識持たれてもキモいだけなのよね」

澪「の、ど、か……」

75: 2010/09/30(木) 15:35:15.78 ID:D2P/LPVb0
和「何よ、その目……
  生意気ね、在Oのくせに」

澪「なっ……なんでそれを」

和「ふん、先生に頼まれて書類を整理してたときに見ちゃったのよ。
  秋山澪が在Oだったなんて……
  ファンの子たちや、軽音部のみんなが知ったらどう思うかしらね」

澪「や、やめて……
  それだけは……言わないで……」

和「言わないでください、でしょ!」ガスッ

澪「ぐはっ!」

和「ふふ、初めて唯を殴った日を思い出すわ」ボカッ

澪「唯にも……こんなことを」

和「ええ、高校入ってすぐだったかしら。
  でも唯はもう使えなくなっちゃったから」ドカッ

澪「いだっ」

和「代わりに澪を使うことにするわ」バコッ

澪「ぐっ……」

76: 2010/09/30(木) 15:40:16.75 ID:D2P/LPVb0
和「さて、そろそろ移動しないと1時間目に間に合わないわね」

澪「うう……」

和「いい? このことを誰かに漏らしたりしたら……
  澪が在Oだってのを証拠付きで全校生徒にばらすわよ」

澪「……」

和「じゃあ私移動教室行くね」

澪「の、和……」

和「何?」

澪「その……憂ちゃんのことは」

和「私の前でその話をしないで!」バチコーン

澪「ぶぎゃぁ!」

和「そうだ、昼休み、生徒会室に来なさい。
  今の続きをしてあげるから」

澪「っ……」

和「返事は?」

澪「はい……」

79: 2010/09/30(木) 15:45:21.52 ID:D2P/LPVb0
放課後、音楽室。

ガチャ
澪「ごめん、遅れちゃって……」

律「遅いぞ澪ー」

紬「すぐお茶入れるわね」

梓「練習しないんですかあーぁ」

唯「あー澪ちゃん、お昼休みどこ行ってたの?
  みんなでお昼ごはん食べよーねって昨日約束したじゃん!」

澪「え、あ、昼休みな……ごめん、
  ちょっと急に先生に呼ばれちゃってさ……」

律「そうだったのか?
  それじゃー仕方ないな」

紬「明日は一緒に食べましょうね」

澪「うん……」

唯「約束だよー」

澪(ごめん……多分明日も無理だ)

81: 2010/09/30(木) 15:50:16.74 ID:D2P/LPVb0
澪(和……友達だと思ってたのに……
  ただ力になりたかっただけなのに……)

澪(私が間違っていたのかな……
  和は私がウザイって……)

澪(和にあんなに殴られるなんて……
  怖かった……殺されるかと思った……
  でも私が怒らせちゃったから……)

澪(誰かに言ったら私が在Oだってこと
  みんなにバラされちゃう……
  そんなことになったら、
  軽音部はもう今までみたいにやっていけないよな……)

梓「……澪先輩、どうしたんですか?」

澪「え、いや、なにが?」

梓「なにが、じゃないですよ。
  澪先輩……泣いてるじゃないですか」

澪「え……」

唯「あ、ほんとだー。澪ちゃん泣いてる」

82: 2010/09/30(木) 15:55:17.06 ID:D2P/LPVb0
律「な、なんだよ。
  何があったんだよ、澪」

紬「悲しいことでもあったの……?
  良かったら話してくれないかしら」

澪「あ……み、みんな……ぐすっ」
 (……おかしいな、泣いてるって自覚したら
  急に喉の奥が熱くなってきた……)

唯「よしよし」

澪「うう、ゆい~……うええぇぇぇん、びええぇぇぇん」

梓「ただごとじゃない泣きっぷりですね」

律「ほんとになにがあったんだ」

澪「ううううう、ひっぐぐすん」

紬「話してくれるのは
  ゆっくり落ち着いてからでいいから……
  今は私の胸で泣きなさい!」

澪「うう、むぎぃぃぃ!」

紬「澪ちゃん!」ひっし

86: 2010/09/30(木) 16:00:21.28 ID:D2P/LPVb0
数分後。

律「泣き止んだか?」

澪「うぅ……うん」

紬「どうして急に泣き出したり……」

澪「な、なんでもないよ……
  ごめんな、心配かけて。ほんとになんでもないから」

律「バーカ、なんでもない奴がいきなり泣いたりするかよ」

梓「そうですよ澪先輩、
  なんでもないなんてことないくらい見たら分かります」

律「私たちに話してくれよ。
  何か悩んでるんなら、力になるからさ」

紬「そうよ澪ちゃん、私たち友達じゃない」

澪「……」
 (和『ふう……大体あんたウザイのよね……
    力になる、とかトモダチだとか綺麗事ばっか言って……』)

88: 2010/09/30(木) 16:05:20.48 ID:D2P/LPVb0
澪「いいよ、ほんとに……大丈夫だから……」

律「バカ澪!」

澪「!」

律「私たちは友達だぞ、親友だぞ。
  親友が泣いててほっとけるわけないだろ。
  私たちはお前のこと本当に心配してるんだからな。
  『大丈夫だから』なんて言われてハイソウデスカってわけにいくかよ」

紬「そうよ、澪ちゃん。
  遠慮なんかしないで私たちを頼っていいのよ」

澪「で……でも」
 (和『秋山澪が在Oだったなんて……
    ファンの子たちや、軽音部のみんなが知ったらどう思うかしらね』)

梓「そんなに言えないようなことなんですか」

澪(言えるわけがない……
  ここで全部打ち明けてしまったら、
  みんなと和との仲は壊れてしまうし……
  それに私が在Oだってことも……)

唯「……」

89: 2010/09/30(木) 16:10:20.60 ID:D2P/LPVb0
唯「澪ちゃん」

澪「なに?」

唯「もしかして和ちゃんのこと……?」

澪「!」

律「のどか? 和がどうかしたのか?」

澪「ゆ、唯……なんで、知って……」

唯「なんとなく重なって見えたから……
  私と、今の澪ちゃんが」

澪「あっ……そうか、唯も……和に」

唯「……うん」

梓「なんなんですか?
  話がぜんぜん見えませんよ」

唯「……みんな、聞いて。
  実は、和ちゃんは……」

澪「や、やめてくれ!」

唯「澪ちゃん?」

92: 2010/09/30(木) 16:15:22.26 ID:D2P/LPVb0
澪「い、言わないでくれ……
  もしみんなにバラしたら、私は……」

唯「もしかして和ちゃんに脅されてるの?」

律「脅されてる? どういうことだ?」

紬「和ちゃんと何があったの?」

澪「う……」

唯「言おう、澪ちゃん。
  このままじゃなにも変わらない……
  ただ耐えるだけの毎日を送ることになる」

澪「でもっ」

唯「澪ちゃんには私と同じような道を歩んでほしくない……
  それに、和ちゃんに何かされても、酷い目にあわされても、
  私が……いや、私たちが守ってあげるから」

律「そうだよ、澪。
  何があっても私たちは澪の味方だ」

紬「親友のためなら何だってするわよ」

澪「み、みんな……」

93: 2010/09/30(木) 16:20:23.63 ID:D2P/LPVb0
梓「それで和先輩と何が……」

唯「……澪ちゃんは和ちゃんにいじめられてた。
  そうだよね、澪ちゃん」

澪「うん……
  いじめられてたって言っても
  今日初めてだったんだけど」

律「い、いじめられてたって……」

唯「実は私も高校入った時からずっと
  和ちゃんにいじめられてたんだ。
  毎日のように蹴られ殴られ金を取られ……」

澪「私も似たようなことされたよ」

梓「そんな、ひどい……」

紬「どうして言ってくれなかったの?」

唯「言ってもしょうがないと思ったから……
  でももう大丈夫だよ、
  憂が話つけてくれたみたいだから」

梓「でも……それでいいんですか?」

97: 2010/09/30(木) 16:25:23.84 ID:D2P/LPVb0
律「そうだ、梓の言うとおりだ……
  私は今ハラワタが煮えくりかえっている。
  唯や澪の言ったことが本当なら、
  私は和のことを一生許さねえ!」

紬「私も同意見よ、りっちゃん!」

梓「私もです!」

律「よし、今から和んとこ殴り込みに行くぞ!」

紬梓「おう!」

澪「ええっ!」

律「澪はここで待ってろ、
  私たちがきっちり話つけてきてやるから」

澪「いやいやいやマズイからそういうの……」

律「いくぞみんな!」だだっ

紬梓「おー!」だだっ

澪「ちょ、ま、待ってぇー!」

唯「私も行くよ」

101: 2010/09/30(木) 16:30:26.85 ID:D2P/LPVb0
生徒会室。

ガチャ
律「おう、和いるか?」

和「いるけど」

律「お前一人だけか、都合いいな」

梓「ですね」

紬「ね」

和「……軽音部全員で、何か用?」

律「何か用、だと?
  お前、澪に酷いことしてくれたらしいな」

和「…………」じろり

澪「ひっ」

梓「どうなんですかっ、和先輩」

和「ええ、したけど?
  殴ったり、蹴ったり、踏みつけたり。
  あとはお金を持ってくるようにも言ったわね」

律「お前……!」

103: 2010/09/30(木) 16:35:31.06 ID:D2P/LPVb0
唯「和ちゃん……」

和「澪はあなたたちに全部言っちゃったのね。
  ならいいわ、こっちにも考えがあるもの」

律「なんだよ、考えって」

和「実は澪はね……」

澪「や、やめてくれ和、それだけは……やめて……」

和「なんで?
  誰かに言ったら私はあなたの秘密をばらす……
  そういう約束だったわよね?
  ばらされたくなかったら黙ってればよかったのに」

紬「それはただの脅迫よ。正当な取引とは言えないわ」

和「そうね、取引が正当じゃないなら
  私は初めから黙ってなくても良かったってことよね」

澪「なっ……」

和「ふふ、みんな、よく聞きなさい」

澪「やめっ……やめてっ」

和「澪はね……なんと在Oなのよーっ!!」ズババーン

澪「やめてくれええぇぇぇっ!」

105: 2010/09/30(木) 16:40:33.45 ID:D2P/LPVb0
唯「……」

律「………」

紬「…………」

梓「……………」

和「ふふっ、あははっ」

澪「うう、うぁぁ……」

律「で……それがどうしたんだ?」

和澪「えっ?」

律「澪が在Oだからどうしたんだって聞いてんだよ」

紬「在Oだろうがなんだろうが、
  澪ちゃんは私たちの大事な友達よ」

梓「そうです! 澪先輩が澪先輩で在ることに、
  在Oかどうかなんて関係ありません!」

澪「み、みんな……」

111: 2010/09/30(木) 16:45:34.31 ID:D2P/LPVb0
和「な、何を言ってるのよ……
  在Oよ、なのよ? 気持ち悪いでしょう?」

梓「今は和先輩のほうが気持ち悪いです!」

和「なっ……」

律「ああ、梓に同意だ。
  和がそんなやつだとは思わなかったよ」

和「……澪が在Oだってこと、全校生徒にばらすわよ。
  あなたたちはオトモダチだからそうして澪を庇っているけど
  赤の他人から見たらどうかしらね……
  澪が在Oだってことにショックを受ける人も
  少なからずいるんじゃないかしら」

澪「……」

和「そして私以外の悪意ある人間から
  いじめの標的にされちゃうでしょうね。
  澪なら分かると思うけど
  見えない悪意、差別心からくるいじめは解決しようがないのよ」

澪「う……」

律「バラしたきゃバラせばいい」

澪「えっ」

118: 2010/09/30(木) 16:50:36.33 ID:D2P/LPVb0
律「それでもし澪がいじめられるようなことがあったら、
  私たちがどんなことをしてでも守ってやる!」

紬「ええ、澪ちゃんは親友だもの」

澪「律、ムギ……ありがとう」

和「し、親友……っ」

梓「それより和先輩こそバラされたらマズイんじゃないんですか」

和「な、なんのこと?」

梓「このことに決まってるじゃないですか。
  唯先輩や澪先輩をいじめていたことですよ」

和「っ……バラすつもりなの?」

梓「さあ、どうしましょうかね」

和「ふん……無理よ。
  こっちには澪が在Oだっていう証拠があるけど、
  あなたたちにはないでしょう?
  私が澪や唯をいじめていた証拠が。
  あなたたちの証言だけじゃ誰も信じないわよ」

122: 2010/09/30(木) 16:55:38.33 ID:D2P/LPVb0
梓「証拠なら有りますよ」

和「えっ?」

梓「さっきからずっと録音してたんです、会話を」カチッ

『ええ、したけど?
 殴ったり、蹴ったり、踏みつけたり。
 あとはお金を持ってくるようにも言ったわね』

梓「……どうですか?」

和「う、や、やめてよ……
  澪が在Oだってことも黙っておいてあげるから……
  このことは……誰にも」

唯「……」

和「お、お願い……
  もうこんなことしないから、ね。
  私たち友達じゃない」

律「ダメだよ、もうお前なんか友達じゃない。
  罰を受けろ。罪を償え、和」

紬「そうよ……あなたがやったことは
  黙っておくには重すぎるわ」

和「くっ……」

128: 2010/09/30(木) 17:00:42.04 ID:D2P/LPVb0
唯「和ちゃん……」

律「さあ、職員室に行こう、和」がしっ

和「触らないで!」ばっ

律「いたっ」

和「なんで私がそんな扱い受けなきゃいけないのよ……
  そうよ、私は悪くない……
  元はといえばすべて憂がいけないのよ」

梓「なんでそこで憂が出てくるんですか」

律「今度は他人のせいにするのか?」

和「ち、違う、本当に憂が……
  そうだ、澪なら知ってるでしょ!?
  私と憂がどういう関係だったかを……」

澪「……」

和「澪!」

澪「しっ…………知らないっ」

和「!!」

132: 2010/09/30(木) 17:05:42.43 ID:D2P/LPVb0
律「ほら、知らないって言ってるぞ」

梓「くだらない嘘つかないでくださいよ」

和「な、なんで……澪こそ嘘つかないでよ……
  力になるって言ってくれたでしょう!? ねえ!!」

澪「……」

律「いいかげんにしろ、和!」

紬「そうよ、澪ちゃん怯えてるじゃない」

和「な、なんで……
  なんで私を裏切るのよ……
  なんで私の言うことは信じてくれないのよ……
  どうして……」

律「ほら和、もう悪あがきはよせって」がしっ

和「触らないでって言ったでしょっ……
  もういい、告げ口でもなんでも勝手にすればいいわ……
  よってたかって私のことバカにして……!」たたっ

律「おい、どこ行くんだ」

和「うるさいわね!
  どこだっていいでしょうが!」
ガチャバタン

139: 2010/09/30(木) 17:12:43.23 ID:D2P/LPVb0
和(なんで、なんでよっ……
  どこで間違ったって言うのよっ……)

和(私はただ憂にされたことをそのまま
  他の人にやっていただけなのに……
  それなのになんで私だけがこんな目に……)

和(いやっ間違ってるのは私じゃない……
  澪が悪いんだ、
  澪がみんなにチクったりするから……)

和(でももうこれで澪は使えない……
  唯もダメになっちゃったし……
  くそ、これから何でストレスを発散すれば……
  誰かを的にしないと……
  あの憂のいじめには到底耐えられない)

憂「おーい、クソメガネ~」

和「!!」

憂「何やってるの? こんな物陰で」

和「なっ……何だって良いでしょう」

憂「ふーん、隠すんだ……」

142: 2010/09/30(木) 17:19:44.21 ID:D2P/LPVb0
憂「まあ私は全部知ってるからいいんだけどね」

和「! ……まさかあれは全部……」

憂「ふふ、違うよぉ。
  たまたま生徒会室前を通りかかったら
  中の話が聞こえてきただけ。
  あんたが澪さんをイジメてこうなったのは
  全部あんたの自業自得だよ」

和「っ……」

憂「それにしてもバカだよね、あんたは。
  いじめる相手はちゃんと選ばないと。
  あんたみたいに力はないけど芯の強いヤツが丁度いいんだよ」

和「……」

憂「澪さんみたいに力も心も弱い人間じゃあ
  ああなるのは目に見えてるって。
  ほんとにそういうとこ頭回んないんだね、優等生のくせに」

和「……」

憂「なんとか言いなよ」げしっ

和「あぅっ」

148: 2010/09/30(木) 17:26:44.70 ID:D2P/LPVb0
憂「てゆーかこのままでいいの?」

和「えっ、何が……」

憂「だからー、このままじゃあの5人は
  間違いなく先生のところにあんたのやったことを
  チクリに行っちゃうよ、ってこと」

和「あ……」

憂「あーあ、そしたらどうなるかな……
  お姉ちゃんに毎日のようにやっていた暴力、カツアゲ……
  そして今回の澪さんの件……
  まあ良くて停学、悪くて退学……ってことかな」

和「……」

憂「ふふふん、小学校の時から今まで
  すーっと優等生で通してきた真鍋和が
  イジメをやって高校退学って……情けないね」

和「……」

憂「親はどう思うかなー。
  かわいい娘がこんなふうに育ってしまって」

和「っ……」

憂「……助けてあげようか?」

153: 2010/09/30(木) 17:33:45.91 ID:D2P/LPVb0
和「えっ」

憂「どうする?
  私が説得すれば5人を止められるかも。
  あんたのことも救ってあげられるし、
  またあの5人と仲良く学校生活を送らせてあげるよ」

和「で、できるの……?
  そんなこと本当に……」

憂「そりゃあやってみなけりゃ分からないけど……
  決断は早いほうがいいよ、
  もたもたしてるとチクられちゃうし」

和「あっ、じゃあお願い……
  お願いします、お願いします!」どげざどげざ

憂「ふふ、分かった。
  じゃあ行ってくるから、あんたはここで待ってて」

和「あ、ありがとう……ございます。
  あの、ひとついい……?」

憂「何?」

和「どうして、私のためにそこまで……」

憂「ふふ」

155: 2010/09/30(木) 17:40:47.92 ID:D2P/LPVb0
憂「ふふふふ、あはははは……
  ほんっとこういうことに関しては頭回んないね」

和「えっ」

憂「ただでこんなことやってやるわけないじゃん……
  これは貸しだよ、私からあんたへの」

和「それは、どういう……」

憂「これであんたは、永遠に私のおもちゃだってこと!」

和「なっ……!」

憂「じゃあ行ってくるから、ここでおとなしく待っててね。
  絶対に……逃げちゃだめだからね」

和「は……はい」



憂「あはは、これからも末永くよろしくね、私のクソメガネ!」



       第一部 完
 
 
 

156: 2010/09/30(木) 17:42:01.06 ID:O/roaM1N0
いみふ

157: 2010/09/30(木) 17:42:49.60 ID:Aa+z0mq50
投げてんじゃねええええええええええええええ

160: 2010/09/30(木) 17:43:58.03 ID:D2P/LPVb0
ちょっとウンコしたいんで第二部は七時くらいからやりましゅ
あと実話ではない

161: 2010/09/30(木) 17:44:09.02 ID:RWvddp83P
好きな子いじめちゃうとかそんな話なわけないですよねぇ~
これで終わりはスッキリしませんぜ

162: 2010/09/30(木) 17:48:33.72 ID:V+XTJnBdO
これから和が憂をいじめるんですね

164: 2010/09/30(木) 17:51:14.64 ID:D2P/LPVb0
第二部予告

「綺麗な腕だね、焼き甲斐があるよぉー」
「真鍋さん何言ってるの?」
「まだあと4匹残ってるんだからさ!」
「チェケラッ……チョイ」
「私もあなたには期待してるんだから、頑張ってね」



引用: 憂「おーい、クソメガネ~」