1: 2010/10/01(金) 05:13:41.88 ID:3EPVjOwD0
その夜で一番覚えてるのは冬の寒さでした。

台所で夕飯の片づけを終え、3階へと登りました。

結構遅い時間なのにお姉ちゃんの部屋から光が漏れてて気になって見てみるとギー太を抱いたまま布団の上で寝ていました。

憂「…お姉ちゃん、風邪引いちゃうよ。」

寝ているお姉ちゃんにそう言いながら毛布を掛けようとしました。

幸せそうな笑顔で眠るお姉ちゃん。それは実の妹から見てもとても可愛らしく、まるで小さな子犬の用です。

憂「…。」

そう言えば最近お姉ちゃんと寝てないなあ。自室のベットにおいてあるお姉ちゃん用の枕はすっかりぬいぐるみの物になってしまっている。

憂「…そっくり…かなあ?」

パジャマの裾でよだれを拭う。ついでに頬を撫でる。水仕事でひどく冷えた私の指には布越しでもその暖かさと柔らかさが伝わる。

――久しぶりに…いいよね?
けいおん! 1巻 (まんがタイムKRコミックス)
4: 2010/10/01(金) 05:23:40.86 ID:3EPVjOwD0
一度お姉ちゃんを抱き上げて布団の中に入れる。もちろん自分も一緒に。

しっとりと冷たい羽根布団が私たちを包み込む。

部屋の電気も消した。髪も解いてリボンを枕元に置く。

氏んだように眠るお姉ちゃんを少しずつ力を込めて抱きしめる。

”お姉ちゃんは起きない”。そう私は確信した瞬間、頭の中でスイッチが入れ替わった。

幼いころから自分の世界はお姉ちゃんが中心だった。

お姉ちゃんの笑顔を見た回数なら両親よりも多い自身がある。

小さいころは純粋に大好きなお姉ちゃんだったのに年を重ねるに連れ、それが家族愛では無いことにも気づいた。

それだけならいい。私は今、この瞬間も実の姉に欲情していた。

5: 2010/10/01(金) 05:28:57.29 ID:3EPVjOwD0
寝ているお姉ちゃんをいいことに体を弄ったのは今回が初めてじゃなかった。

一番最初は小学生の頃。一緒にお昼寝をしていて先に目が覚めた私はお姉ちゃんの寝顔をみて何も考えず口づけをした。

柔らかくて気持ち良くて夢中でなんども唇を押し付けたらお姉ちゃんが起きてしまった。

あたふたする私に寝ぼけ声で「憂はまだまだ甘えんぼさんなんだね」ってにっこり笑って私を抱きしめそのまま二度寝を続けた。

その次は中学生。この頃から両親は家を空けるようになり寂しかった私はよくお姉ちゃんを自室に呼んでいた。

普段はちょっぴりだらしないお姉ちゃんもこういう時はカッコよくて、両親がいなくて寂しいと素直に言えない私を無言で撫で続けていた。

うとうととする中、自分の腕がお姉ちゃんの小さな膨らみに当たっていることに気が付いた。

6: 2010/10/01(金) 05:36:05.55 ID:3EPVjOwD0
そっと目を開けるともうお姉ちゃんは涎をたらして寝ていて、完全に熟睡モードだった。

ゆっくりと自分の腕を前に押し出す。腕全体にお姉ちゃんの胸の感触が伝わりすごくドキドキした。

そっと谷間に腕を当てると薄いパジャマのおかげか心臓の音が聞こえる。

お姉ちゃんの穏やかな心音とは真逆に私の心臓は壊れるんじゃないかと思うくらい激しくて熱かった。

もう少しこの感触を味わいたい…。そう思って腕をスライドさせようとしたらお姉ちゃんが寝返りを打った。

もしかしたら起きてたのかも…。そう怖くなった私はごまかす様に大げさに抱きつき、さっきのは寝ぼけてたという振りをした。


唯「…すぅ…すぅ…。」

憂「…。」

9: 2010/10/01(金) 05:44:17.65 ID:3EPVjOwD0
これだけ強く抱きしめても起きないから平気かな…。久しぶりに触れるお姉ちゃんの体温。

最近は受験勉強のせいでちっとも構って貰えなかった。だから今夜だけは好きにさせてほしい。

我ながら理不尽すぎる。寂しいなんて、ただの言い訳。今の私はお姉ちゃんで肉欲を満たしたいだけなのに。

憂「…可愛いよ、お姉ちゃん…。」

くしゃくしゃになった髪を整えるように撫でる。お姉ちゃんの髪はちょっと癖ッ毛で柔らかくて猫さんみたい。
顔を近づけてみるとうっすらとシャンプーの香りがした。首元に手をやると少しべた付く。お姉ちゃんはお風呂も入らず寝ちゃったみたい。

憂「ちゅうしていいかな…。」

返事がないのは分かってる。自分の髪を耳にかけ治しそっと口づけをする。冬の空気のせいか少しだけカサついている。

唇を重ねたまま額を撫で、頬をなぞる。首を通過し鎖骨付近で手が止まる。

今までお姉ちゃんの感触は何度も味わった。抱きしめるたび自分の胸に感じ、腕を組まれるたび右半身に全神経が集中する。
それでも自分の掌の中に収めた事はなかった。やはり体よりも手で触るほうが違うのだろうか。
もう一度お姉ちゃんの顔を見上げる。月夜の中、窓から差し込む青白い光に照らされる。…まだ起きる様子はない。

11: 2010/10/01(金) 05:55:58.01 ID:3EPVjOwD0
一度、唾を飲み込む。掌が尋常じゃないほど汗をかいている。
鎖骨に置いた手を一度首に戻し、また鎖骨にずらす。その上下運動を続け、お姉ちゃんが起きないように細心の注意を払う。

スライドの幅がどんどん広くなりすこしスピードも速くなる。焦らないようにと自分に言い聞かせる。


憂「…はぁ」

思わず身震いがした。今まで体にあたった感触とは違う柔らかさ。そして実際手に収めてみると以外と大きかった。私の手がお姉ちゃんの胸の形沿って置いてある。
同じものを持ってるのに。凍える様な寒さの中、湯たんぽみたいにあったかい。指を少しだけ丸めるとくにゅりと一層柔らかさが伝わった。

13: 2010/10/01(金) 06:04:19.57 ID:3EPVjOwD0
今まで私は世界で一番柔らかくて気持ちいのはお姉ちゃんのほっぺただと思っていた。
それをはるかに超えるこの感触。指先をくねらせ何度も何度もその感触を堪能した。

憂「はぁっ…お、お姉ちゃん…」

いつの間にか息が上がっていた。手を丸めたり広げたりぢているだけなのに。

憂「もう一回…。」

忘れていたキスを交わす。

憂「…もう一回…。」

胸も頬も唇も柔らかい。カサついていたお姉ちゃんの唇はいつの間にか私の唾液で潤い、窓からの月明かりで照らされ色っぽく感じた。

憂「ぁむ…ん…ちゅ…。」

無理やり口を開かせ舌を入れる。お姉ちゃんの味。味なんてしないけれどおいしく感じる。
チュパチュパと水音が部屋に響く。舌も柔らかくてお姉ちゃんの全身はマシュマロでできてるんじゃないかと思った。

26: 2010/10/01(金) 07:10:45.62 ID:3EPVjOwD0
憂「…。」

お姉ちゃんの膝を立たせ、一度深呼吸してからゆっくりと開きました。

髪よりも、Yシャツを脱がした時よりも、脇よりも強い匂いがします。

いくら夜中と言えどすっかり暗闇に目が慣れた私にはお姉ちゃんのそこがハッキリと見えました。

ぴっちりと閉じたそこは陰毛で隠れ、一度も男性を受け入れてないと思われます。

綺麗というかなんていうか不思議な感覚に覆われます。やっとでたどり着いた気もします。

…あ、またギー太がこっち見てる…。

100%気のせいですが私には気になってしようがありません、ベットから降りてギー太に触れます。

憂「…ごめんね、今は我慢してね。」

そう言ってスタンドを向こう側にやりました。ギー太はやっぱり怒っているのかなあ。

一緒に寝たり、服を着せたりとまるで動物のように愛でられているギー太です。感情があってもおかしくない気がしちゃいます。

唯「…憂?」

ふと振り返ると、体を起こしたお姉ちゃんが私を見ていました。

29: 2010/10/01(金) 07:26:36.52 ID:3EPVjOwD0
憂「あ…お、お姉ちゃん…。」

全身の血が凍りつく感じがしました。一気に力が抜け、地べたに腰が落ちました。

唯「…なんで私の部屋にいるのぉ…?」

唯「ていうかなんで私裸なの?憂…。」

いくら天然なお姉ちゃんでも寝ている間に裸にされたらおかしいと思うに決まってる。

眠たそうにはしているけど明らかに不審な目で私を見ます。

いつも笑ってるお姉ちゃんのこんな表情初めて見ました。

純真無垢で本気で天使なんじゃないかと思ってしまうくらい可愛いお姉ちゃん。

そんなお姉ちゃんが人を、家族である私不審者を見るような冷たい目で見つめます。

どうしよう…お姉ちゃんに嫌われた…。

31: 2010/10/01(金) 07:45:08.15 ID:3EPVjOwD0
唯「えっと、憂…。」

唯「怒らないから…正直に言ってくれるかな…?」

寝起きの頭で未だに何がなんだかわからないのかな…。話し方はいつも通りだけれど表情は違います。

あなたの妹は寝ている姉に欲情した挙句襲いました。

そんな事をお姉ちゃんに言ったらどうなるか。

唯「ねえ…憂…?」

言わなくても結果は変わりません。私は17年間の築き上げてきた絆を立った数十分で壊してしましました。

34: 2010/10/01(金) 08:11:21.27 ID:3EPVjOwD0
唯「うい…。」

憂「…お姉ちゃん…。」

憂「…ごめんね。」

唯「ふぇ?…んっ」

お姉ちゃんを押し倒しました。もう後には戻れないよ。だったらもう、全部壊して…!

憂「お姉ちゃん…んっ…れろっ」

唯「んっ…憂…やめ」

嫌がるお姉ちゃんに無理やり舌を押し込みます。お姉ちゃんは私の背中を叩いて一生懸命抵抗します。


唯「~~~っ!」

58: 2010/10/01(金) 14:26:03.62 ID:3EPVjOwD0

憂「ねえ、お姉ちゃん…。」

唯「ふぇ…あっ…何?」

憂「好きって言って…憂好きって言って…!」

唯「…。」

この期に及んで私は何を言ってるのだろう。背中に回す手を強めてぎゅっぎゅっとお姉ちゃんを強く抱きしめます。

お姉ちゃんの背中は汗でびしょびしょで私も汗だくで額をつたる水滴がぽつりぽつりとお姉ちゃんの顔にかかります。

59: 2010/10/01(金) 14:31:42.03 ID:3EPVjOwD0
唯「う、憂の…。」

憂「…ん?」

唯「憂の言うとおりにしたら痛くしない…?」

憂「…。」

唯「言う事聞くから…痛くしないでよぉ…。」

憂「…お姉ちゃん…。」

収まりかけた涙がまたぶわりと流れます。

しゃっくりも交じって子供の用に泣くお姉ちゃん。

唯「…憂、好きだよ。」

光の差し込まない目で、お姉ちゃんはうっすら口角を上げ言いました。

61: 2010/10/01(金) 14:38:49.73 ID:3EPVjOwD0
唯「大好きだよ、可愛い妹。」

唯「いっつもおいしいご飯作ってくれて…。」

憂「…。」

唯「優しくて、なんでもできてっ…。」

憂「や…止めて…。」

唯「憂。」

そんなに柔らかく微笑まないで。こんな私に。

お姉ちゃんは痛みから逃れたくて…呪文の様に言っているんでしょ…?

憂「…じゃあ、ちゅうして…。」

唯「…。いいよ。」

私の背中を掴んでいた両腕を私の頬に移動する。

えへへ、と一呼吸置いてお姉ちゃんは私の額に口を付けた。

76: 2010/10/01(金) 15:46:16.47 ID:3EPVjOwD0
一通り舐め終えて、ため息をつきました。

蒸しタオルでもう一度全身を綺麗に拭きなおします。

私はシャワーも浴びません。このまま水に流すのがもったいなくて。

憂「…ギー太。」

スタンドを回し、元に戻しました。

これで私の体以外は行為をする前と変わりません。

大切なものを奪い、失ったのに自分でもびっくりするくらい冷静です。

唯「…ん。」

お姉ちゃんが目を覚ましました。

79: 2010/10/01(金) 15:57:07.55 ID:3EPVjOwD0
憂「…おはよう。」

唯「…寒い…。」

憂「…。」

全身を綺麗にしたお姉ちゃんには私が臭いかもしれませんが抱きしめました。

憂「…あったかい?」

唯「…うん。」

憂「…そっか。」

湿ったお姉ちゃんの髪をできるだけ優しく撫でました。

101: 2010/10/01(金) 21:50:00.82 ID:3EPVjOwD0
私の胸の中でお姉ちゃんは震えていました。

抱きしめても抵抗しないのはまた痛い目に合わせられると思っているからだと思います。

憂「…。」

昔両親がしてくれた用にぽんぽんとお姉ちゃんの頭を撫でます。

唯「…ぐすっ。」

お姉ちゃんはまた涙を流し初めました。

102: 2010/10/01(金) 21:57:22.07 ID:3EPVjOwD0
憂「…もう、痛いことはしないよ?」

唯「…本当?」

憂「うん。」

赤ちゃんの用に私の胸に顔をぐりぐり押し付けて泣いているお姉ちゃん。

憂「…お姉ちゃん…。」

泣きやむまでそっと撫で続けました。

半裸でいた私にはお姉ちゃんの涙が温かくて。

これからの私たちの関係を覚悟しつつもお姉ちゃんが落ち着くまで静かに寄り添いあいました。

103: 2010/10/01(金) 22:07:30.45 ID:3EPVjOwD0
―――

憂「…落ち着いた?」

唯「…。」

憂「…。」

唯「…うい、風邪引いちゃうよ…?」

憂「…うん。」

体を起こし、床に置いた衣類に手を伸ばしました。

唯「あ…。」

憂「?どうしたの?」

唯「…肩…。」

目を向けると肩に歯型が付いていました。

赤紫の内出血に一部は血が滲んで、少し生々しく。

唯「…ごめんね…痛かったよね?」

そう言って私の肩に手を置きます。なに言ってるのお姉ちゃん…。

私なんてもっと酷いことしたのに。

106: 2010/10/01(金) 22:17:36.41 ID:3EPVjOwD0
唯「指も噛んじゃったよね?見せて。」

憂「…。」

右手を差し出すとお姉ちゃんはまじまじと見つめました。

指は歯型にはなっているけれど大したことはありません。きっと明日の朝には治ってると思う。

唯「…後ろ向いて?」

憂「うん…。」

背中は自分では見えないためどうなってるか分かりません。

唯「うゎ…。」

お姉ちゃんの声を聞く限り肩よりも酷いことになっているようです。

確かに少しジンジンとします。

唯「お風呂入ってきなよ憂。消毒してあげる。」

憂「大丈夫だよ。」

お姉ちゃんの体液を流したくない私は断りました。

108: 2010/10/01(金) 22:26:36.95 ID:3EPVjOwD0
唯「でも、ばい菌入っちゃうし…。」

憂「お姉ちゃんも一緒だよ、先にお風呂入ったほうがいいよ?」

唯「…うん。」

お姉ちゃんが体を起こします。すごく気怠そうにふらふらとお風呂場へ向かって行きました。

―――パタン。

憂「…。」

シンとした部屋に私一人がポツンと座り込みます。

109: 2010/10/01(金) 22:36:22.94 ID:3EPVjOwD0
憂「…はぁっ」

ぼふりとベットに飛び込みます。シーツの香りを嗅いでなんとなく窓の景色を眺めました。

月の明かりに自分の右手を掲げてその指をじっと見つめながら。

正直、お姉ちゃんが目を覚ましたら平手をくらって罵倒を浴びるものかと思っていました。

けれど痛みとだるさのあるお姉ちゃんはそんな元気もなかったみたいです。

お姉ちゃんがお風呂から上がったらどうしよう…。

なんて言えばいいの?なんて謝ればいいの?

自分のした事の重大さに頭を抱えました。

113: 2010/10/01(金) 23:02:16.97 ID:3EPVjOwD0
お姉ちゃんがあれだけ抵抗しても、本気で泣いても私は止めなかった。

狂ったように一方的にぶつけて、初体験をあんな形で奪って。

小さいころから誰よりもそばにいてくれた、信用してくれた妹に裏切られて。

それどころか普段と違う表情に余計に欲情して。

興奮すると人は歯止めが効かないのかな?それとも私がおかしいのかな…?

唯「ういーっ」

116: 2010/10/01(金) 23:09:40.32 ID:3EPVjOwD0
お姉ちゃんの声だ。

唯「タオルないよー。」

憂「…今行くね。」

洋服タンスから衣類とタオルを取り出しお風呂場に向かう。

憂「…お姉ちゃん、ここ置いておくね?」

唯「うん、もう上がるから憂も入っちゃいなよ。」

憂「…うん。」

お姉ちゃんに合わす顔がない。トイレにいく振りをしてお姉ちゃんとすれ違うようにした。

117: 2010/10/01(金) 23:16:09.59 ID:3EPVjOwD0
パジャマを脱いで本日二回目のお風呂に入る。

湯船に浸かると背中と肩が沁みた。

お姉ちゃんが入った後のお風呂。…お姉ちゃんは何を考えていたのかな。

泣いていたのだろうか、私以上に体の痛みに耐えて、この浴槽の中で縮こまっていたのだろうか。

私とお姉ちゃんとのが泡と一緒に流れていく。

憂「お姉ちゃん…ごめんね。」

122: 2010/10/01(金) 23:28:22.38 ID:3EPVjOwD0
唯「ういー。」

憂「お姉ちゃん?」

脱衣所から影が現れる。

唯「背中…大丈夫…?」

憂「うん。」

唯「流すの手伝う?」

憂「大丈夫だよ、気にしないで。」

唯「でも…。」

ドア越しでもシュンとしているのが分かる。今お姉ちゃんが下着でやってきたら私はまたおかしくなるかもしれない。
そうなるのだけは避けたい。でもお姉ちゃんは何もできない自分に落ち込んでいる。そもそも背中の傷は私の自業自得なのに…。

憂「…じゃあ、消毒だけお願いしようかな…?」

124: 2010/10/01(金) 23:34:44.15 ID:3EPVjOwD0
お姉ちゃんの返事がちょっとだけ明るくなった。

あんまり待たせても悪いからさっさとお風呂から上がる。
脱衣所で鏡をみたら確かに傷になっていた。

とは言っても肩甲骨付近が引っ掻き傷で血が出ているくらい。
お姉ちゃんの掴んだ跡がところどころ痣になっていて見た目は汚いけれど傷自体は肩よりも全然浅い。

新しいパジャマに着替えてお姉ちゃんの部屋へ向かう。

扉を開けるとむわっとした匂いがした。

湿気というか汗臭くて生臭い。性行為をした後はこんな匂いになるんだ。

私より先に部屋に戻ったお姉ちゃんもこの匂いを感じたのだろう。

125: 2010/10/01(金) 23:43:47.37 ID:3EPVjOwD0
一風呂浴びたお姉ちゃんはさっきの情緒不安定はなくなり、でもどこか元気がなかった。

唯「マキロン持ってきたから、背中出して?」

憂「…うん。」

ベットに腰掛けるお姉ちゃんの前に正座する。

プシュ、プシュと出が悪そうな音と共に消毒が背中一面に散布される。

憂(…痛っ…)

お姉ちゃんに心配されたくなくて沁みるのを我慢しました。

唯「…肩も塗るからこっち向いて。」

憂「…。」

くるりと一回転してお姉ちゃんの方に顔を向けます。ベットに腰掛けるお姉ちゃんを見上げて。

唯「…。」

肩の傷は背中より深いので塗り薬をつけられた。お姉ちゃんの指が私の肩の歯型をなぞります。

126: 2010/10/01(金) 23:50:43.86 ID:3EPVjOwD0
鼻をすする音が聞こえて目をやるとまたお姉ちゃんが泣いていました。

唯「ううっ…ぐすっ…。」

憂「お、お姉ちゃん…。」

唯「いつもの、憂だぁ…。」

憂「…。」

憂「…怖かった?」

唯「…うん。」

憂「…痛かった?」

唯「…すごく。」

憂「…ごめんなさい。」

128: 2010/10/01(金) 23:53:58.44 ID:3EPVjOwD0
憂「今も怖い?」

涙を拭いながらお姉ちゃんは首を縦に振りました。

憂「抱きしめていい?」

唯「…何もしないなら。」

憂「何もしないよ。」

唯「…憂、おいで。」

131: 2010/10/02(土) 00:09:33.61 ID:HHW5mC5L0
私の事怖いと思っているのに抱きしめさせてくれるんだ。

お姉ちゃん優しすぎるよ。

服を整えてお姉ちゃんの横に座る。上半身だけを曲げてお姉ちゃんの背中に手を回した。

憂「…いっぱい痣つけちゃってごめんね。」

唯「痛くないから大丈夫だよ。」

穏やかな声でそう言われる。痛みじゃなくてキスマークの意味で言ったんだけどなあ。

唯「憂がね、」

憂「うん。」

唯「知らない人みたいで…。」

憂「うん。」

唯「顔とかもいつもとちがくて」

憂「うん。」

唯「…怖かったあ…。」

132: 2010/10/02(土) 00:16:14.68 ID:HHW5mC5L0
憂「ごめんねお姉ちゃん…。」

ぎゅっと力を込めて言った。

憂「お姉ちゃんは今だって私の事心配してくれてるのに」

憂「私は最初から自分の事しか考えてなくて…」

憂「傷つけて…」

憂「怖がらせて…。」

憂「本当に…ぐすっ」

唯「ういー…ずずっ」

135: 2010/10/02(土) 00:38:21.96 ID:HHW5mC5L0
抱きしめ返すお姉ちゃんの温もりは以前と変わりませんでした。

私は最初からただお姉ちゃんと抱き合いたかっただけなのかもしれません。

何度も何度も謝りました。私の傷を気にして背中ではなく腰に手を回すお姉ちゃんの優しさにさらに涙があふれました。

唯「…あ。」

憂「…どうしたの?」

唯「指…。」

憂「大したことないから大丈夫だよ。」

唯「でも消毒くらいは…。」

憂「…。」

私の右手を両手で包み込みます。いつだったか冬の日に登校した時私がしたように。

大げさだよ、と言うと家事をする大切な手なんだからとお姉ちゃんに言われました。

140: 2010/10/02(土) 00:46:00.21 ID:HHW5mC5L0
唯「…憂覚えてる?」

憂「…何が?」

唯「小っちゃい頃。お母さんがよくやってたんだよ」

唯「怪我が早くなるおまじない」

そう言うとえへへとはにかんでお姉ちゃんが私の指に口を当てました。

憂「お、お姉ちゃん…っ」

唯「…懐かしいね。」

もう私に対しての恐怖は完全になくなったみたいで私に笑いかけてくれました。

布越しに背中と肩にもキスをしてくれました。

憂「お姉ちゃん…。」

顔が紅潮します。さっきの緊張感はまるでなかったかの用に胸が高まります。

唯「…舌も噛んじゃったよね…。」

147: 2010/10/02(土) 01:08:10.14 ID:HHW5mC5L0
憂「え、お姉ちゃん…んっ」

唯「ん…ういー。」






お姉ちゃんは人より少し天然すぎる所があるのかもしれません。

寝込みを襲うような人間になんも警戒心もなくキスをして。

唇を離し、お姉ちゃんはいつもの笑顔に戻っていました。

その子犬のような表情に沈下していた感情が蘇っくるのが分かります。

お姉ちゃんと私の匂いの交じった部屋。お姉ちゃんの首筋から見える私のキスマーク。

お姉ちゃんが可愛すぎて愛おしすぎて、我慢しなければ行けないのに…。

148: 2010/10/02(土) 01:12:46.96 ID:HHW5mC5L0


憂「…私も…。」

憂「お姉ちゃんの傷つけた所…キスしたい…。」

唯「ほえ?」


ベットから立ち上がり、ギー太の元へ向かいます。

窓際に置いてあるギターは外の気温を受けて弦がキンキンに冷えていました。

唯「?なんでギー太ひっくり返すの?」

憂「…なんでだと思う?」



お姉ちゃん、ごめんね。





終わり。

150: 2010/10/02(土) 01:15:43.36 ID:fgffiW/tO
な、なん

どうなるんだこれいちおつ!

153: 2010/10/02(土) 01:18:08.15 ID:QyxY61YMO
ここからが本番だろ…

引用: 憂「夜這い」