266: 2018/02/03(土) 20:18:14.42 ID:43xwY71A0
最終回安価、はっじまっるよー
前回:提督「……腹減ったな。なんか作るか」秘書艦「提督の手料理……?」【4】
今回はちょっと変則
艦娘は自由(これまでに1度安価で取られてる子もOK)
下1~5の中から、メインの艦娘は>>1が独断で選ぶ
最終艦娘候補は?↓下1~5
前回:提督「……腹減ったな。なんか作るか」秘書艦「提督の手料理……?」【4】
今回はちょっと変則
艦娘は自由(これまでに1度安価で取られてる子もOK)
下1~5の中から、メインの艦娘は>>1が独断で選ぶ
最終艦娘候補は?↓下1~5
267: 2018/02/03(土) 20:18:22.75 ID:SJ3zY6TX0
鳳翔さん
272: 2018/02/03(土) 20:26:21.94 ID:43xwY71A0
※艦娘把握
>>267
8秒って……予測変換に入ってたにしても速すぎないか? 怖えよw
食材安価:下1~5
(ごく普通の家庭の冷蔵庫に入ってるもので。あまりにも不適当そうなものは下にずらします)
>>267
8秒って……予測変換に入ってたにしても速すぎないか? 怖えよw
食材安価:下1~5
(ごく普通の家庭の冷蔵庫に入ってるもので。あまりにも不適当そうなものは下にずらします)
273: 2018/02/03(土) 20:26:36.08 ID:AVjKFb7UO
ブルーチーズ
274: 2018/02/03(土) 20:26:54.53 ID:X8w1s+sGo
納豆
275: 2018/02/03(土) 20:26:59.79 ID:96LmrX5Ho
ボラ
276: 2018/02/03(土) 20:27:19.95 ID:IqFYfzryO
アケビ
277: 2018/02/03(土) 20:27:42.57 ID:oSrqCWKDO
ちくわ
280: 2018/02/03(土) 20:34:22.14 ID:43xwY71A0
※食材把握
候補の艦娘がどれも惹かれる点あって迷う……
更新は気長に待っててねー
候補の艦娘がどれも惹かれる点あって迷う……
更新は気長に待っててねー
286: 2018/02/10(土) 20:15:24.99 ID:BhUq2epA0
(※暗闇の中、響くナレーション)
『【人】を【良】くする、と書いて【食】――――』
『――古来より、人はこの世で、生きるために喰らい、喰らうためにまたこの世に生まれ落ちてきました――――』
『――喰らうことは生きること。よく喰らうことはすなわちよく生きること――――ならば、そこより導き出される真理はひとつ――――』
『強くなりたくば、食らえ!!!』
『朝も昼もなく喰らえッッッッ! 食前食後にさらにその飯を喰らえッッ! 飽くまで喰らえッッ! 飽き果てるまで喰らえッッ! 喰らって喰らって喰らい尽くせッッ!』
『飽き果てるまで喰らいつつも――――なお【足りぬ】戦士であれ!!!』
『戦士たちよ――――お前たちの飢えを満たす【食】は――ここにあるッッ!!!』
カッ!(全照明点灯)
観客席「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおォォッッ!!!」
287: 2018/02/10(土) 20:22:56.50 ID:BhUq2epA0
青葉『観客席の諸君! 腹は、減ってるか――っ!』
\ウオオオオォォォォォォォォォォォォォォ/
青葉『体重計は、怖くないか――っ!』
\ウオオオオォォォォイヤーッ ヤメテーッ/
青葉『天高く、馬も人も艦娘も肥ゆる秋! 鎮守府体育館に設けられた特設ステージの観客席には、熱気と食欲に溢れた大勢の人が詰めかけております!』
青葉『今年の鎮守府祭の目玉イベント、【~愛の烹炊所~食戟の鉄人決定戦・鳳翔VS提督】いよいよ開幕! 司会はわたくし、清く正しい青葉がつとめさせていただきます!』
青葉『ではさっそく、選手入場と参りましょう! まずは青龍の方角!』
青葉『立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花! 良妻賢母ここにあり! 皆さんご存知、鎮守府のお艦! 【居酒屋鳳翔】若女将、鳳翔選手の入場だァ――ッッ!! 一礼してから壇上に向かう割烹着姿は、まさに大和撫子! 日本女性の鑑! 実際奥ゆかしい!』
鳳翔(……は……恥ずかしい……! 青葉ちゃん、もうやめてェ……!///)
290: 2018/02/10(土) 20:36:26.42 ID:BhUq2epA0
青葉『皆さん、盛大な拍手と声援、ありがとうございました!』
『……続きましては、白虎の方角! 当鎮守府を率いて深海棲艦との飽くなき闘争に挑み、暁の水平線に数々の奇跡とさえ言える勝利を刻みつけた、我らが司令官! 深海棲艦の天敵にして、人界の守護者――提督選手の入場です!』
青葉『日本各地の鎮守府を渡り歩いて幾歳月! 殴った上司とついた異名は数知れず! 【横須賀の凶人】【呉の人虎】【佐世保の壊し屋】【舞鶴の人間棲鬼】【パラオの夜叉】【鹿屋の悪魔】【慶良間のマジムン】【泊地喰い】……』
提督「……ちょっと待てや、コラ青葉ァ! 途中からなんか紹介の仕方がおかし過ぎんだろがァ!? だいたい何だ、その物騒な仇名の数々!? 俺自身、聞いたことねえぞ!?」
青葉『そりゃ、各地の皆さん面と向かっては呼べないですからね―。部屋の隅でガタガタ震えながら、こっそり呼んでただけだそうです』
提督「だったらそのまま部屋の隅っこに留めとけよ! 何こんな舞台で大っぴらにしてんの? んな事実、一生知らないままでいれた方が幸せだったわ!」
青葉『情報提供して下さった各鎮守府・泊地の皆さんより伝言です――【今後のご活躍とご健康、ご多幸を心よりお祈りしています――ただし遠くからに限る】』
提督「そんな最悪のお祈りメール要るかァ! お前ほんと、何してくれてんの?」
青葉『大丈夫、周囲が何と言おうとも――――青葉は、提督の味方ですから』
提督「この仕打ちの後でキメ顔で言われても信じられねェよ!!」
青葉『……っと、恐縮です、司令官! 時間がおしてますんで、ちゃっちゃと所定の位置に着いてくださーい』
提督「……お前絶対、あとで泣かすからな、覚えとけよ」
292: 2018/02/10(土) 20:43:03.26 ID:BhUq2epA0
青葉『さてさて、両選手が揃ったところで、続きましては、厳正なるジャッジを下す、審査員の紹介と参りましょう!』
青葉『まずは初期艦にしてツンデレ代表、駆逐艦・叢雲審査員! 歯に衣着せぬ辛口の評価が期待できそうです!』
叢雲「誰がツンデレよ! ぶっ飛ばすわよアンタ!」
青葉『おおっと、さっそくのご褒美、恐縮です! 続きましては、綺麗な花には毒の棘! とろける口調と氷の微笑がたまらないと評判! 軽巡洋艦・龍田審査員!』
龍田「あらあら~、随分な言われようだわ~。その舌……落ちても知らないですよ~? うふふ♪」
青葉『あっ……ちょ、ちょおっと深入りしすぎたようです! 続いては審査員の癒やし枠! 貴重なボクっ娘! 少年と少女が同居する危うい魅力にハマる女性ファン多し! 航空巡洋艦・もがみん審査員!』
最上「ちょっと青葉! 少年って何さ! ボク、ちゃんとした女の子なのに!」
青葉『なお、女性ファンの比率としては、【お姉さま・お兄さまとしてめちゃくちゃに敬いたい派】より【妹・弟としてぐちゃめちゃに堕とし……ゲフンゲフン、愛でたい派】が圧倒的な模様!』
最上「だから、お兄さまとか弟とかって何なんだよ、もぉ! ……じゃなくて、ちょ、青葉! 今なんか、さらっと、凄く怖いこと言わなかった!?」
青葉『そしてラストは鎮守府の飢えた狼、重巡洋艦・足柄審査員! 今回は意外にも高いその女子力ではなく、飢えた野獣のごときその食欲と、ベテランガヤ芸人にも匹敵する賑やかし枠としての実力を買われての起用です!』
足柄「へえ……そう……。どうやら私の能力を本当にちゃんと引き出せるのは……あなたが……そう、あなたが二番目になりそうね……!」ジャキッ
青葉『い、以上、審査員の皆さんのご紹介でしたー!』
294: 2018/02/10(土) 20:56:53.48 ID:BhUq2epA0
青葉『ではいよいよ皆さまお待ちかねの、食戟本番に移りましょう!』
青葉『ルールは単純、決められたテーマ食材を使った料理をそれぞれの選手が作り、それを実食の上審査するのみです!』
青葉『あらかじめ観客の皆さんからは、使用するテーマ食材を募集させていただきました!』
青葉『厳正なる抽選の結果、今回テーマ食材として選ばれたのは……【ブルーチーズ】【納豆】【ボラ】【あけび】【ちくわ】の5品!』
青葉『匂いの強いブルーチーズや納豆はもちろんですが……。穫れる場所にもよりますがやはり臭みのあることで知られるボラ……。料理にも使えるものの、皮に苦みがあり扱いの難しいあけび……』
青葉『はっきり言って観客の皆さん、ドSにもほどがあるでしょう! ちくわの存在に安心感より違和感を覚えるって、どんな状況ですかこれ!?』
\ワハハハハハハハハハハハハ/
青葉『ただ、食材に関しては両選手の手腕に期待するとして、ここでひとつ問題が』
青葉『本来ならば調理も含めてこの場で全て行われるべき食戟なのですが……それをやるとあまりにも時間がかかりすぎる上に、衛生面でも問題が生じる可能性があると、保健所からのご指摘がありました』
青葉『そのため、今回はあらかじめテーマ食材を用いた料理を鳳翔・提督両選手に別の厨房で作っていただき、それをこの場に持ち込んで実食・審査する方式に変更させていただいております!』
龍田「あら~、じゃあ料理自体はこの時点で既に出来上がってるって事ぉ? でもぉ、それじゃあ、料理なんて、とっくに冷めちゃってるんじゃないの~?」
青葉『問題ありません! 作った料理は、妖精さんの謎技術によって、完成した瞬間の状態のまま時間を停止されているため、味の劣化や腐敗の心配は一切ありません! ご安心下さい!』
審査員・観客一堂(……大丈夫なのかそれ?)
青葉『さあ、果たして、鳳翔・提督の両選手は、いかにこの難題に応え、いかなる料理を創り上げたのでしょうか!? 青葉、楽しみでたまりません!』
304: 2018/02/12(月) 10:58:42.72 ID:xsEMMi/A0
青葉『それではさっそく、完成した料理を見せていただきましょう!』
青葉『まずは鳳翔さんの料理からです! 鳳翔さん、料理の紹介をお願いします!』
鳳翔『はい、今回お出しする献立は――』
・稲庭うどんの納豆と梅肉とシソの和風冷製すぱげってぃ仕立て
・ボラの龍田揚げ
・チーズ入りちくわとあけびの皮の磯辺揚げ
・あけびのシャーベット』
『――の四品です』
青葉『おおっと! てっきり純和食の献立でくるのかと思いきや、見た目だけならむしろ洋食寄り!? 鳳翔選手、意外にも攻めてきました! では鳳翔さん、背後のモニターで調理の様子をダイジェストで流しながら、料理の説明をお願いしたいと思います!』
305: 2018/02/12(月) 11:05:51.88 ID:xsEMMi/A0
―――
まずはあけびの果肉を、皮の割れたところからスプーンで掬い出します。
黒い種が大量に含まれていますが、種はそのまま食べるとお腹を壊す原因になるので、裏ごしする要領でざるを使って取り除きます。
果肉はそのまま凍らせるだけでシャーベット状に。
種の処理はかなり面倒ですが、途中でかき混ぜたりしなくても完全に凍りつかず、シャーベットになってくれるのはありがたいです。
あけびの皮の部分は薄く削ぎ切りにし、水にさらしてアクを抜いておきます。
次に梅干しを包丁で叩いてペースト状の練り梅を作ります。これは青じそドレッシングに混ぜ合わせておきましょう。
納豆にも梅肉入り青じそドレッシングを加えてよくかき混ぜ、粘りと匂いを抑えつつ、とろみと旨みを足しておきます。
ボラは生だと新鮮なものでも独特の匂いがする場合があるので、おろし生姜ポン酢に漬けたあと、七味を擦り込み、片栗粉をまぶして龍田揚げに。
ブルーチーズはちゃんと熱を通せば、強烈過ぎる匂いが、一転、落ち着いた芳醇な香りに変わります。
細切りにしたものをちくわの穴に詰めて天ぷらに。衣には青海苔を混ぜて磯辺揚げに仕上げました。
チーズに塩気があるので何も付けなくても召し上がっていただけますが、わさびマヨネーズをご用意いたしました。お好みでどうぞ。
先ほどからあく抜きしていたあけびの皮も、水気をよく拭き取ってから衣を付けて、同様に揚げます。こちらは大根おろしと麺つゆで。
揚げ物の油を切っている間に、稲庭うどんも茹であがりました。
冷水で締めて水気を切ったうどんに梅じそドレッシングを絡めます。
極細に刻んだシソの葉ともみ海苔を振りかけ、とろりとした梅肉入り納豆(青じそドレッシング入り)を上からかければ、和風すぱうどんの完成です。お好みでおろし醤油もどうぞ。
揚げ物をお皿に盛り付け、冷凍庫からシャーベットを取り出せば準備完了です。
鳳翔『さあ、どうぞ、召し上がれ♪』
306: 2018/02/12(月) 11:11:29.70 ID:xsEMMi/A0
叢雲「へえ……これはちょっと意外ね」
最上「うどんっていうより、完全に見た目パスタだよこれ!」
足柄「さ~あ、実食よ、食戟よ!! 戦場が、料理が私を呼んでいるわ!!」
龍田「ちょっと~、足柄ちゃん、はしゃぎ過ぎよ~? お食事中に騒ぐのって、良くないと思うの~?」
足柄「そんな事言っても、落ち着いてられないわよ!! これはすごいわ、みなぎってきたわー!!」
鳳翔『……あの、足柄ちゃん? 敵と違って料理は逃げたりしないから、落ち着いて召し上がって下さいね?』
足柄「アッハイ、ごめんなさい、いただきます」
青葉『(さすがお母さん……。テンション上がった足柄が一発で大人しくなった……)さ、さーて、皆さん、お味の方はいかかでしょうか!?』
足柄「シソの香りと梅の酸味がさっぱりしてて……。これはまさに、主食にして前菜!! 食べてるうちに、逆にますます食欲が湧いてくるわ!!」
龍田「納豆パスタって~、嫌いじゃないけど、唇がべたべたするのが気になること多かったのよね~。これはドレッシングと丁寧に混ぜ合わせたおかげかしら、粘りというよりとろみに変わってて、悪くないわ~♪」
叢雲「それだけじゃなくて、納豆にも麺の味付けにも同じドレッシングを使うことで、癖のある食材にも関わらず、上手に味の統一感を持たせているわ」
最上「うん、美味しい! これならボク、幾らでも食べられるよ!」
青葉『おおっと、いきなりの高評価! 個人的には青葉、パスタを【すぱげってぃ】って呼んじゃうお母さんがとっても可愛いと思います! 続いては龍田揚げと天ぷらの揚げ物類!』
龍田「鶏の龍田揚げなら自信あったんだけど~。お魚の扱いではやっぱりかなわないわねえ~。後で作り方教えてもらって天龍ちゃんに食べさせてあげなきゃ~」
足柄「揚げ物ならトンカツ!! と思ってたけど、これは美味しいわ!! 力が、力がみなぎってきちゃう!!」
叢雲「さっきからうるさいわよ、そこの飢えた駄犬。――それにしても、このちくわの磯辺揚げ、いけるわね。衣をかじると、爆発するみたいに熱々のチーズの香りと甘みが口の中に押し寄せてきて……ビールが欲しくなるわ」
最上「えっと……叢雲? 公の場で駆逐艦がその発言は、ボクちょっとどうかと思うな?……だけど、うん、美味しい! あけびもちょっと苦みがあるけど、大人の味って感じだね!」
307: 2018/02/12(月) 11:18:53.68 ID:xsEMMi/A0
青葉『これも好評! 賞賛! 絶賛の嵐ィ!! 揚げ物には妥協を許さない、龍田・足柄の両艦娘を審査員に迎えながら、なお真正面からそこをチョイスするお母さん、素敵です!!』
鳳翔(またお母さんって……。私、みんなと同世代のはずなんだけどなぁ……)
青葉『そしてシメを飾るのは……あけびのシャーベット! 素材をそのまま活かした、鳳翔さんらしいひと品! 正直言って、青葉も食べたいです!!』
最上「口の中で溶けた後は、ぷるっとした感触とほんのりした甘みが感じられて……優しい味」
龍田「氷菓子というより、どこか水菓子をいただいてる感覚だわぁ~。 味は……ラ・フランス? 洋梨にちょっと似てるかも~」
足柄「口に残ってた油を洗い流した後は、微かな甘みだけが余韻を残して……戦いの後の疲れも溶かしてくれそう!!」
叢雲「うーん、私、こういうデザート系はちょっと……え!? な、なにこれ!? 美味ひい! えぇっ!?」
青葉『おおっと、これは珍しい、叢雲初期艦の可愛らしい驚きの表情!? 青葉、ばっちり見ちゃいました! 今の表情、パソコンの壁紙サイズに加工して、全世界に拡散したい気持ちで一杯です!』
叢雲「ア、アンタねぇっ……!! ///(絶対後でシメる)」
青葉『さて、まずは鳳翔さんのお料理の実食が終了いたしました!』
青葉『続いては、司令官に手番が移ります! とはいえ、これだけの料理を食した後! 当然審査員のハードルは上がっていることでしょう! 果たして、実食を控えた提督選手の心境やいかに!!』
提督(……青葉のやつ、いきいきしてんなあ)
312: 2018/02/12(月) 20:52:30.66 ID:xsEMMi/A0
青葉『それでは! 提督選手の料理の紹介です!!』
提督『へいへい、俺のはまあ――こんな感じだ』
・炊きたてほかほかご飯・ボラの刺身のユッケ仕立て
・ペンネの二種盛り(チーズソース&納豆クリームソース)
・あけびの皮とちくわのピリ辛納豆肉味噌炒め
・あけびのヨーグルトプリン
『以上、5品だ』
青葉『これはまた、何とも無国籍というか無手勝流というか節操がないというか……』
提督『うっせえぞ、アオバワレェ……。まあ、ぶっちゃけ俺が食いたいと思ったもんを詰め込んだだけだからな』
青葉『ぶっちゃけ過ぎですよ……青葉、引いちゃいます』
提督『まあ一応、飯にも酒にも合うようには作ったつもりだ。美味いぞ』
青葉『では司令官、料理の説明をお願いします!』
313: 2018/02/12(月) 20:56:55.95 ID:xsEMMi/A0
―――
ボラは、ひと口味見してみたところかなり水が綺麗なところで釣れたものらしく、ほとんど臭いは気にならなかった。
とはいえ、刺身でいただくにはちょっと手を加えた方がいいだろう。
塩を強めに効かせた氷水に漬けてボラの身を締めた後、キッチンペーパーで水気を拭き取る。
日本酒、砂糖、コチュジャン、醤油、オイスターソース、みじん切りにした長ネギ、おろし生姜。
以上を混ぜ合わせたものにごま油を加え、細造りにしたボラの刺身を入れてよく和える。
ボラの刺身の真ん中をくぼませて、ウズラの卵を割り入れれば、ボラの刺身のユッケ仕立ての完成。
ペンネはたっぷりの湯であらかじめ茹で、ゴルゴンゾーラとパルミジャーノチーズを小さく刻んでおく。
フライパンでベーコンを炒め、チーズと生クリームを加えてチーズを溶かし、黒胡椒を加えればチーズとベーコンのソースが出来上がる。
次は、塩と黒胡椒をひとつまみずつ加えてホイップした生クリームに、ひき割り納豆、卵黄、隠し味に麺つゆをちょっぴり加えてかき混ぜれば、とろふわ納豆クリームソースの出来上がり。
ブルーチーズソースと納豆のクリームソースをペンネに絡めて盛り付けて、刻んだパセリを振りかければ、ペンネの二種盛りの完成である。
次はごま油で豚の挽き肉をじっくり炒める。
肉から大量の油がしみ出してくるので、その油でみじん切りにしたニンニクと生姜、鷹の爪を炒め、あけびの皮と厚めにそぎ切りしたちくわを投入して、全体に油が回るまでさらに炒める。
別のフライパンで少しの水と鶏ガラスープの素を火にかけ、納豆を入れてほぐす。
炒めたあけびの皮とちくわと挽き肉に、納豆とスープを加え、水分が飛ぶまでよく炒める。
酒と醤油、砂糖と味噌を加えて味付けし、砕いたミックスナッツを放り込んだら、水溶き片栗粉でとろみをつける。あけびの皮とちくわの納豆肉味噌炒め完成。
あけびの果肉は、飲むヨーグルトを加えて裏ごしすれば簡単に種を取り除ける。
種が取り除けたら、果肉入りの飲むヨーグルトに、レモン果汁と、温めた牛乳で溶かしたゼラチンを加えて、よくかき混ぜる。
容器に入れて冷蔵庫で固め、出来上がったプリンにあけびの果肉を載せればデザートも完成である。
提督「料理は時を移さず食うのが基本。さあ――おあがりよ!」
314: 2018/02/12(月) 21:02:35.59 ID:xsEMMi/A0
最上「……あ、これ凄い! ユッケってお肉のしか食べたこと無かったけど、お魚の方がボク好きかも!」
龍田「これは……このひと品だけでご飯がいけちゃうわね~。確かに、お酒にも合いそうだわ~♪」
足柄「ちょっと、青葉!! ビール持ってきてビール!!」
青葉『ダメに決まってんじゃないですか』
足柄「んにゃあ―!! つらい、つらいわ!! 美味しいんだけど、だからこそつらいわ―!!」
叢雲「ほんっとうるさいわねえ、駄犬改めこの駄猫。……けど、確かにこれはお酒が欲しくなるわね……」
龍田「あら~、こっちのペンネのふわとろのソース、納豆が入ってるのね、面白いわ~。さっきの鳳翔さんとはまた違った方法で、納豆のべたつきを抑えてるのね~」
最上「こっちのチーズが絡んだ方も美味しいよ! すっごく香りも味も濃厚なんだけど、量はそれ程ある訳じゃないから、主食というよりは完全におかずだね」
提督『ぶっちゃけ日本人にとって、ショートパスタはおかずとか酒のあての扱いだからな』
叢雲「炭水化物に炭水化物を合わせるのは、正直ちょっと気になるんだけど……」
足柄「焼きそば弁当とかお好み焼き定食とかうどんに稲荷ずしとか、その辺を気にしはじめたらキリがないわよ。美味しければ問題なし!!」
叢雲「それもそうね。……とは言え……」
最上「あー、もう無理、我慢出来ない! 提督、白いご飯もう一杯ちょうだい!」
足柄「あ、わたしも!! ご飯お代わりお願いするわ!!」
提督『……ふっふっふ、白いご飯と肉味噌炒めの罠に嵌ったな』
最上「ズルいよ提督! 甘辛い濃いめの味付けのピリ辛の肉味噌にあけびの皮の苦みなんて! こんなの、白いご飯が欲しくなってしょうがないじゃないか! あけびの皮の、茄子みたいなとろっとした食感や、ちくわのむちっとした食感を味わってる最中に、不意打ちでカリッとナッツの歯ごたえとか効いてくるし!」
青葉(……あ、これダメなやつです。青葉知ってます。絶対お代わりしたくなるパターンのやつです)
叢雲「……あんたって、本気で勝ちを狙ってくると、ほんっと、えげつないわよねえ」
提督『初期艦殿からのお誉めの言葉、光栄の極み』
叢雲「誉め言葉じゃなくて呆れてんのよ」
315: 2018/02/12(月) 21:04:54.22 ID:xsEMMi/A0
青葉『……さーて、提督選手の実食も大詰め! 各審査員、デザートの実食に入っております』
龍田「デザートは……ヨーグルトとレモンのさっぱりとした酸味が、あけびの甘みを引き立ててるわね~♪」
足柄「あけび単体の甘みだけだと、ユッケやチーズソース、肉味噌炒めの強烈な味や香りにかき消されそうだけど、ヨーグルトの風味の効いたプリンと合わせることで口の中がリセットされるわね!!」
最上「あ、プリンと生のあけび、一緒に掬って食べると、鳳翔さんのシャーベットとはまた違った感覚で美味しい……」
叢雲「この味はまぁ、嫌いじゃないっていうか。別にまた食べてあげても、いいかなって……何よ! べ、別にそんな意味じゃないし! ……でも、まあ……少しは褒めてあげてもいいわ? ……少しだけ、ね」
提督(ツンデレ乙)
青葉(ツンデレ乙)
観客(((((ツンデレ乙)))))
318: 2018/02/12(月) 21:18:42.78 ID:xsEMMi/A0
青葉『以上をもちまして、実食時間は終了です! 鳳翔選手、提督選手、双方の料理ともに完食されました! これより審査に移ります! 果たして、各審査員は、どんな判断を下すのでしょうか!』
青葉『自身の持ち味である【和】のテイストを活かしつつ、意外性を打ち出してきた鳳翔選手か!?』
青葉『はたまた、【たまの休日にお父さんが張り切りすぎちゃった】みたいな攻撃的な献立をぶちかましてきた提督選手に軍配が上がるのか!?』
提督(どーゆー喩えだよ……まあ、解らんでもないが)
青葉『運命の審判が、今、下されるゥ――ッッ!!』
◆参考◆
☆鳳翔☆
・稲庭うどんの納豆と梅肉とシソの和風冷製すぱげってぃ仕立て
・ボラの龍田揚げ
・チーズ入りちくわとあけびの皮の磯辺揚げ
・あけびのシャーベット
☆提督☆
・炊きたてほかほかご飯
・ボラの刺身のユッケ仕立て
・ペンネの二種盛り(チーズソース&納豆クリームソース)
・あけびの皮とちくわのピリ辛納豆肉味噌炒め
・あけびのヨーグルトプリン
↓安価下1~4
『鳳翔』『提督』『引き分け』のいずれかで
319: 2018/02/12(月) 21:19:01.05 ID:AoDHG6Kb0
引き分け
320: 2018/02/12(月) 21:19:28.99 ID:o3jr5wcfo
引き分け
321: 2018/02/12(月) 21:20:37.63 ID:5Hcdx76eo
引き分け
322: 2018/02/12(月) 21:20:43.35 ID:E5iAVPnto
鳳翔
327: 2018/02/14(水) 00:39:00.94 ID:Kj4lR1CA0
青葉『それでは、審査員の皆さんに、判定結果の発表をお願いしましょう!』
青葉『まずは足柄審査員! 判定は――――引き分け!』
青葉『続いて最上審査員! 判定は――――引き分け!』
青葉『次いで龍田審査員! 判定は――――引き分け!』
青葉『なんとなんと! ここまでの判定は、引き分けが3つ並びました! まさに、ギリギリの好勝負! 決着は、最後の審査員、叢雲初期艦の判定に全てが託されました!! 果たして勝者は鳳翔さんか!? 提督か!? それとも引き分けに終わるのか!? さあ、運命の選択は――』
叢雲『あ、あ、あー、マイク入ってる? 入ってんのね? ……あー、盛り上がってるところ申し訳ないんだけど、判定の前に、ちょっと確認いいかしら?』
青葉『は!? は、はあ、何でしょう?』
提督(……すげえ、あのタイミングで話ぶった切りやがった)
鳳翔(……あらあら、叢雲ちゃんったら)
叢雲『今回の勝負――料理を出す順番は、2人が調理開始する前から決まってたのよね?』
青葉『は、はい。ジャンケンで勝った鳳翔さんが先攻ということで。まあ、艦娘の食欲を考えれば、後攻になったとしても、お腹いっぱいで食べられないとかの問題は特にないですし』
叢雲『了解したわ。――そして、あたしの判定はこっち』ポチッ
青葉『(い、いきなりですか!? もう少し勿体ぶるとか盛り上げるとか……!)お、お―っと、叢雲審査員! 選択したのは鳳翔選手! ……と、言うことは! ポイントは1対0、ドロー3! よって勝者は――――鳳翔選手です!!』
観客席「うおおおおおおおおおおっ!!!」
\ワアアアアァァァァパチパチパチパチ/
328: 2018/02/14(水) 00:42:17.35 ID:Kj4lR1CA0
鳳翔「まぁ……うふふ、皆さん、どうもありがとうございます!」
提督「あー、マジかぁぁ!!」
青葉『審査員4名中、3名が引き分けを選ぶという、白熱した勝負でした! それでは、決め手となる判定を下した叢雲審査員に、お話を伺ってみましょう!』
叢雲『えー、面倒くさいからパスしたいんだけど』
青葉『お願いですから空気読んでください』
叢雲『はぁ……しょうがないわね。まず最初に言っておくと……。両者とも、味については申し分なく美味しかったわ』
青葉『おお、意外にも素直な賛辞』
叢雲『どーゆー意味よ、全く。……そうね、いわゆる六味――甘み、酸味、辛み、苦み、塩味、旨みに関しても、双方きちんと盛り込んでいたし、そこは高評価ね』
最上「うん、どっちもすごく美味しかったよ!」
叢雲『見た目でいうと、ちょっと提督のは色合いが寂しかったけど、決定的な差と言えるほどではなかったわ』
龍田「そうねえ~。鳳翔さんの冷製うどんは、梅の赤にシソの緑に海苔の黒と、色合い的にも華やかで、見た目も楽しかったわぁ~♪ それに比べると、提督の料理は、茶色っぽい肉味噌炒めの他のメニューが、ご飯にクリームパスタにヨーグルトゼリーと白っぽい見た目のものが多くて、ちょっと寂しかったかも~。まあ、どっちもすっごく美味しかったけどねぇ~♪」
足柄「私は見た目なんてほとんど気にならなかったわ!! 美味しければ大正義よ!! 口に入れれば一緒だもの!!」
叢雲『意外と高いと見せかけてやっぱり低かった女子力と恥を、それ以上晒したくなかったら黙ってなさい、この駄犬』
足柄「ぬぁんですって―!!」
叢雲『あーもう、話を進めるわよ。……今回の勝負、味のインパクトという点だけでいうなら、むしろ司令官の方が若干上をいってたかもね。――ただ、私が判断を決めたのは、まさにその点なのよ』
提督(どういう事だ?)
青葉『どういう事でしょう?』
叢雲『確かに、今回の料理は、どれも美味しかったわ。…………だけどね。もし、提督の料理が鳳翔の料理より先に出されていたとしたら――――私たちは、今日と同じように、両方の料理を楽しめていたかしら?』
提督(……!!!!)
329: 2018/02/14(水) 00:44:35.19 ID:Kj4lR1CA0
青葉『それは……』
叢雲『逆に言えばこういう事ね。【もし、鳳翔が司令官と同じような、インパクトの強い料理を先に出していたとしたら――果たして、司令官の料理を、さっきと同じように楽しめていたかしら?】』
最上「それは……無理だったかも」
龍田「そうねぇ~。鳳翔さんのお料理は、ひとつひとつ丁寧に美味しく作られてはいたけれど、料理法そのものは普通というか、身近なありふれたものだったから、提督のお料理のインパクトが強く感じられたけど……」
最上「先攻の鳳翔さんが、提督と同じようにインパクトの強い料理ばかりを出してたとしたら……。うーん、ちょっとうんざりしちゃってたかも知れないね」
足柄(私は別にそれでも、ガンガン来なさいって感じで全然構わないんだけど……)
青葉『そ、そうしますと、鳳翔選手は、後に控える提督選手の料理のことも考えて、敢えておとなしめの料理をチョイスしたと?』
鳳翔「……うーん、私は別に、提督に気を遣ったとか、手を抜いたとかいう訳じゃないんですよ? ただ、せっかく食べて貰うのなら、私の料理も提督のお料理も、どちらも美味しく食べて貰いたかったので」ニコニコ
提督「……マジか」
叢雲『司令官。あんた、言ってたわよね? 【単に自分が食いたいと思ったものを詰め込んだ】って。確かに美味しかったわ。それは認めてあげる。けど――』
叢雲『ただ単に【美味しい料理】を作ったあんたに対し、【後に控えるあんたの料理まで含めて、食べる人に楽しんでもらえる献立】を考えた鳳翔――その違いは解るわよね?』
提督「ああ……完敗だな。というより、実は勝負にすらなってなかったってことだ。……いや……。それどころか、多分鳳翔さんは、勝負とさえ考えてなかったんだろうな」
鳳翔「うふふ、料理は、作る人と食べる人が楽しめれば、それで充分ですからね。勝ち負けを持ち込んだこと自体、無粋だったのかも知れません」
青葉『えええ……』
最上(ここにきて、イベント自体の全否定発言!?)
足柄(一番空気読まない人がここに居たわね……)
龍田(あらあら~……。でも、鳳翔さんらしいと言えば、らしいかもぉ……うふふ)
330: 2018/02/14(水) 00:47:22.77 ID:Kj4lR1CA0
提督「何はともあれ、結果は結果だ。……鳳翔さん、勉強になりました。やっぱり、いつまで経ってもあなたにはかなわないですよ」
叢雲「全くだわ。まだまだ教育が必要ね。せいぜい精進なさい」
提督「なんでお前がそんなに偉そうなんだよ……」
鳳翔「うふふ、提督も叢雲ちゃん達も、お疲れさまでした」
青葉『……と、ともかく! 特別企画【~愛の烹炊所~食戟の鉄人決定戦・鳳翔VS提督】――――これにて決着です! 両選手ならびに審査員の皆さんに、声援と、盛大な拍手を!!』
観客席「うおおおおおおおおおおっ!!!」
\パチパチパチパチブラボーッ/
青葉『ご来場下さった観客席の皆さま、まことにありがとうございました!』
観客席「うおおおおおおおおおおっ!!!」
青葉『――なお、今回の料理のうち、【鳳翔さんの冷製パスタ風うどん】と【司令官の肉味噌炒め丼】を、明日の間宮食堂の昼営業より、鎮守府祭の期間中、再現・販売させていただく予定です! 皆さま、明日以降の鎮守府祭にも、是非ご来場下さい!』
観客席「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!!」
提督(……いつの間に、そんな手はずを……大淀か霧島あたりの差し金か? ……間宮さん、伊良湖、ごめん。明日以降、デスマーチ確定だわ)
青葉『それでは皆さま、引き続き、鎮守府祭をお楽しみ下さい! 20分の休憩を挟んで、艦娘有志による、ライブステージを開催いたします! 軽巡・那珂、正規空母・加賀も登場! ご期待下さい!』
観客席「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!!」
\ナーカチャン! ナーカチャン! ナーカチャン! ナーカチャン!/
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
※鳳翔編・戦果Resultがあがったヨー!
WINNER:鳳翔
決まり手:貫禄勝ち
332: 2018/02/14(水) 00:50:57.49 ID:Kj4lR1CA0
※もうちょっとだけ続くんじゃ
ちょっと時間をもらって最終更新で鳳翔編エピローグ書かせてもらう
>>1的にはむしろこのエピローグこそが鳳翔編本編
更新は遅くてもこの週末までにはなんとかしたい
ちょっと時間をもらって最終更新で鳳翔編エピローグ書かせてもらう
>>1的にはむしろこのエピローグこそが鳳翔編本編
更新は遅くてもこの週末までにはなんとかしたい
337: 2018/02/16(金) 16:38:39.53 ID:16VcCulA0
鳳翔「……ええ、お疲れさま。……足元が暗いから気をつけてね。……そうそう、風邪を引かないように、お風呂入ってから、あったかくして寝るのよ。…………はい、おやすみなさい。……ええ、また是非いらしてね」
\オヤスミナサーイ/\ゴチソウサマデシター/
鳳翔「…………さて、と」
鳳翔(えーと……。のれんと立て看板は、少し前に仕舞った後だったから問題なし……と)
カラカラカラ……パタン
鳳翔(……明日の営業はお休みだから、仕込みも要らないわね)パタパタ
鳳翔(……洗い物も、みんながお手伝いしてくれたから、ほとんど片付いてるし……本当、いい子達ばかりで助かったわ)
鳳翔(後は、出来るだけ静かに残りの洗い物を片付けて……)
鳳翔(……あっと、いけない。その前に、椅子を並べ直さなきゃ)
鳳翔(静かに……そーっとね)カタン……コトッ……
鳳翔「ふんふん……ふふ~ん……ふふっ♪」
鳳翔(……やだ、私ったら、鼻歌なんて……)
鳳翔(ちょっと……浮かれてるのかしら)
鳳翔(…………いいわよね…………ちょっとくらい♪)
338: 2018/02/16(金) 16:45:39.38 ID:16VcCulA0
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
提督「……ん…………(あれ、俺、いつの間にか寝ちまってたのか……)」ウトウト
提督(……確か、鎮守府祭の打ち上げでさんざん飲まされて……)ウツラウツラ
提督(……青葉が4人がかりで飲み潰されてたのと、脱ぎ始めたポーラがザラに引きずり出されて行ったとこまでは覚えてるんだが……)ウトウト
提督(あー……目を開けるのめんどい。このまま朝まで二度寝したい)ウツラウツラ
提督(……体に伝わる感触からして、多分、鳳翔さんのお店の座敷席に、座布団を並べた上に寝かされて、毛布を掛けてもらってるようだが……)ウトウト
提督(枕がすんげー気持ちいい……ちょっと高さが有り過ぎる気はするけど、ふんわりと頭の重みを受け止めながら、沈み込み過ぎることもなくて……)ウツラウツラ
提督(……ほのかに温かさを感じるのは、明石かが開発した新素材か何かかな? この温もりと感触がまた素晴らしい……)サワサワ
「きゃっ」
提督(…………)サワサワ
提督(…………きゃ?)サワサワ
提督「…………」パチリ
鳳翔「……お、お目覚めでしょうか、提督?///」
提督「」
鳳翔「……///」ニコニコ
提督「……えっと……ほ、鳳翔さん? その……何を?」ダラダラ
鳳翔「そ、その……凄くお疲れだったようで、ぐっすり眠っていらっしゃったので、その、膝枕、などを……///」カアア
提督「……えっと、その、ずっと?」ダラッダラ
鳳翔「…………はい、その、ずっと///」
提督「」ダラダラダラダラ
鳳翔「寝顔……可愛らしかったですよ♪」ニコッ♪
提督「うわあああああああっ!! (ガバアッ) ……すみませんすみません! 鳳翔さんごめんなさい!! 本ッ当に申し訳ありませんでしたぁッ!!!」
(※この後、提督が土下座しながら全力で平謝りし、それをなだめる鳳翔とのやりとりが十数分続くが、割愛)
339: 2018/02/16(金) 16:50:52.78 ID:16VcCulA0
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
提督「いや、その……本当に申し訳ありませんでした」
鳳翔「うふふ、そんなにお気になさらなくても」ニコニコ
提督「……面目ないです。すっかりご迷惑をおかけしてしまって」
鳳翔「はいはい、提督。謝るのはもう、そのくらいで。……正直、私は、悪い気はしてなかったんですよ? ……あんな風に提督を独り占めさせていただけるなんて、役得ですもの」
提督「いやもう、そのくらいで、ほんと勘弁して下さい……///」
鳳翔「あらあら」クスクス
提督(気まずいどころの騒ぎじゃねえ……。こりゃもう一生、この人には頭上がんねえな……)
鳳翔「……それで、提督? この後は……どうなさいますか?」
提督「え?」
鳳翔「すぐに自室にお戻りになりますか? もしくは、何かもう少しお食べになりますか? それとも……」
鳳翔「このまま朝まで……こちらでお過ごしになりますか?///」
提督「え」
鳳翔「……///」
提督(……え、何? マジ? え、嘘? ドッキリ? 青葉の罠? いや鳳翔さんそんな事する人じゃないし、あっでも意外に茶目っ気もある人だったりするしいや待て早まるんじゃない真に受けて冗談だったりしたら取り返しつかないぞでもこんなチャンス逃せるのか俺はいったいどうすればどうするのが正解で何をどうすれば間違いでそうだいっそこのまま勢いに任せていや駄目だ思考を放棄するな考えろ考えろ落ち着け俺冷静に考えるんだまずは素数だ素数を数えるんだ素数がひとつ素数がふたついや違う違うそうじゃない考えろ考えろ俺は俺は俺は)
鳳翔「……ふふっ♪……冗談ですよ」
提督「あ、あは、あはは、や、やだなー、鳳翔さん、冗談がキツいですよー。あっははははは」
鳳翔「うふふ、ごめんなさい、提督。私も今夜は、ちょっとだけお酒が過ぎたみたいで……申し訳ありませんでした」
提督「あ、いえ」
鳳翔「お帰りになるのでしたら、コートお持ちしますね?」パタパタ
提督「あ、は、はい! ありがとうございます!」
提督(あっっ……ぶねえ~~っ!!! ヤバかった! 今ほんっっと~~にヤバかった!! 思わず抱きしめて、ちゅーしちゃいそうになってたもん!!! 踏みとどまった俺、正解!! ……っていうか、ヘタレてた俺、大正解!!!)
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提督「いや、その……本当に申し訳ありませんでした」
鳳翔「うふふ、そんなにお気になさらなくても」ニコニコ
提督「……面目ないです。すっかりご迷惑をおかけしてしまって」
鳳翔「はいはい、提督。謝るのはもう、そのくらいで。……正直、私は、悪い気はしてなかったんですよ? ……あんな風に提督を独り占めさせていただけるなんて、役得ですもの」
提督「いやもう、そのくらいで、ほんと勘弁して下さい……///」
鳳翔「あらあら」クスクス
提督(気まずいどころの騒ぎじゃねえ……。こりゃもう一生、この人には頭上がんねえな……)
鳳翔「……それで、提督? この後は……どうなさいますか?」
提督「え?」
鳳翔「すぐに自室にお戻りになりますか? もしくは、何かもう少しお食べになりますか? それとも……」
鳳翔「このまま朝まで……こちらでお過ごしになりますか?///」
提督「え」
鳳翔「……///」
提督(……え、何? マジ? え、嘘? ドッキリ? 青葉の罠? いや鳳翔さんそんな事する人じゃないし、あっでも意外に茶目っ気もある人だったりするしいや待て早まるんじゃない真に受けて冗談だったりしたら取り返しつかないぞでもこんなチャンス逃せるのか俺はいったいどうすればどうするのが正解で何をどうすれば間違いでそうだいっそこのまま勢いに任せていや駄目だ思考を放棄するな考えろ考えろ落ち着け俺冷静に考えるんだまずは素数だ素数を数えるんだ素数がひとつ素数がふたついや違う違うそうじゃない考えろ考えろ俺は俺は俺は)
鳳翔「……ふふっ♪……冗談ですよ」
提督「あ、あは、あはは、や、やだなー、鳳翔さん、冗談がキツいですよー。あっははははは」
鳳翔「うふふ、ごめんなさい、提督。私も今夜は、ちょっとだけお酒が過ぎたみたいで……申し訳ありませんでした」
提督「あ、いえ」
鳳翔「お帰りになるのでしたら、コートお持ちしますね?」パタパタ
提督「あ、は、はい! ありがとうございます!」
提督(あっっ……ぶねえ~~っ!!! ヤバかった! 今ほんっっと~~にヤバかった!! 思わず抱きしめて、ちゅーしちゃいそうになってたもん!!! 踏みとどまった俺、正解!! ……っていうか、ヘタレてた俺、大正解!!!)
341: 2018/02/16(金) 16:58:47.61 ID:16VcCulA0
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
鳳翔「――提督、今日はお疲れ様でした。忘れ物はなさってませんか?」
提督「大丈夫ですよ。そう何度も何度も帽子を忘れたりしませんから」
鳳翔「……うふふ、次の日に最上ちゃんが取りに来た事もありましたね」
提督「……その節はご迷惑お掛けしました」
鳳翔「いえいえ、お気になさらないで下さい。…………あっ、提督。 お帰りの前にその……少し、少しだけお待ちください」
提督「はい?」
鳳翔「実はその……提督が眠ってしまった後、ある艦娘がちょっとだけお顔に悪ふざけを」
提督「え?……ひょっとして、俺、今、顔に落書きでもされてますか?」
鳳翔「は、はい、実はその通りでして……。お伝えするのが遅くなって申し訳ありません。今お拭きしますから」
提督「いや、それくらいの事なら別に……」
鳳翔「駄目ですよ。うっかり服の袖で擦ったりして、色が移ったりしたら大変ですもの。……すぐ済みますので、ちょっと屈んで下さいますか?」フキフキ
提督「最後の最後まで、今日はほんとにすいません……」
提督(……あ……。鳳翔さんの手から、石鹸の匂いがする……。何か、母親に世話焼かれてるみたいで、妙に気恥ずかしい……)
鳳翔「――はい、綺麗に取れましたよ。……あの、悪ふざけした艦娘の事は……」
提督「……大丈夫、鳳翔さんにその子のことを告げ口しろとは言いませんよ。これくらい、むしろ甘えられてる証明みたいなものですからね。怒ったりもしてません」
鳳翔「それを聞いて安心しました。……では提督、今日は遅くまでありがとうございました。ゆっくり、お休みになってくださいね」
提督「こちらこそ遅くまでありがとうございました。鳳翔さんも、鎮守府祭の間はずっと間宮食堂の手伝いに駆り出されて、その上、今夜の打ち上げの手配まで……。ずいぶんとお疲れでしょう? 今夜と明日は、ゆっくり休んで下さい」
鳳翔「そうですね。私が無茶しては、ダメですものね。……お言葉に甘えて、明日はゆっくりお休みさせていただきます」
提督「はい。……では、失礼します」
鳳翔「おやすみなさい、提督。足元に気をつけてお帰り下さいね」
提督「おやすみなさい、鳳翔さん」
342: 2018/02/16(金) 17:02:53.51 ID:16VcCulA0
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
カラカラカラ……パタン
鳳翔「…………はぁ……」
鳳翔「…………別に、泊まっていって下さっても……良かったんですよ?」
鳳翔「…………」
鳳翔(……提督。ごめんなさい)
鳳翔(……以前あなたがここで酔って、帰りに帽子を忘れて行った時のこと)
鳳翔……(私はあの夜、帽子の事を気付いていたのに、それをあなたに黙っていました)
鳳翔(……そうすれば、次の日にあなたがまた来てくれるのではないかと、そう期待して)
鳳翔(……帽子は結局、次の日に、最上ちゃんが受け取りに来てしまった訳ですから――まったく、浅はかな事をしてしまったものです)
鳳翔(これを知ったら…………あなたは私を、馬鹿な女と笑うのでしょうか)
鳳翔(馬鹿な女の、馬鹿な想いに…………気付いてくれるのでしょうか)
鳳翔(…………)
鳳翔「ふふっ……なーんて、ね。……今夜は本当、どうしちゃったのかしら、私」
鳳翔「……やっぱり、少し酔ってるのかしらね……。提督にも言われましたし、早く休みましょうか」
343: 2018/02/16(金) 17:04:16.70 ID:16VcCulA0
鳳翔(……ねえ、提督)
鳳翔(私には、夢があるんです)
鳳翔(ささやかだけど、大事な夢)
鳳翔(頑張って、頑張って頑張って……いつか平和な海を取り戻せたら)
鳳翔(……その時は、あなたと2人、旅がしたい)
鳳翔(いつか…いつか2人でのんびりと、船旅を楽しみたい)
鳳翔(平和な世界で、いつか2人で、小さなお店でも開きたい)
鳳翔(……そこには私がいて、あなたがいて、みんながお客さんとして来てくれて……)
鳳翔(毎日が騒々しくて、慌ただしくて……でもみんな、楽しそうに笑ってる)
鳳翔(いつか、いつか本当にそんな日が来てくれるのなら……)
344: 2018/02/16(金) 17:05:56.43 ID:16VcCulA0
鳳翔「……その日まで、私をずっと、あなたの側に居させて下さい。……提督」
そう呟いて。
女は切なげに握りしめたハンカチに、
愛おしげな視線を向ける。
先刻、愛しい男の頬の汚れを拭ったはずの、そのハンカチ。
ハンカチに付いた、その汚れは――――
――――何故か、女の唇を彩る口紅と、同じ色をしていた。
鳳翔編エピローグ:FIN.
345: 2018/02/16(金) 17:13:07.44 ID:16VcCulA0
※投下終了
以上を持ちまして完結とさせていただきます
初の安価スレでしたが、楽しく書かせていただきました
機会があればまたよろしくお願いいたします
HTML依頼までは多少日を空けますので、作ってみた報告とか雑談等ご自由にどうぞ
お粗末さまでした
以上を持ちまして完結とさせていただきます
初の安価スレでしたが、楽しく書かせていただきました
機会があればまたよろしくお願いいたします
HTML依頼までは多少日を空けますので、作ってみた報告とか雑談等ご自由にどうぞ
お粗末さまでした
346: 2018/02/16(金) 17:15:57.47 ID:nYhTCzG50
完走乙です
鳳翔編も素晴らしかった
御馳走様でした!
鳳翔編も素晴らしかった
御馳走様でした!
347: 2018/02/16(金) 17:39:12.78 ID:xQiYd5x0O
やっぱりこう…お艦は最高やな!
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