76: 2015/04/29(水) 12:38:04.66 ID:nGgkZAiN0
前回:【艦これ】鳳翔「あゝ栄光の、空母機動部隊!」
第1.1話 ~そんな簡単に観覧車は止まりません~
呉提督「そろそろ良い時間だな。観覧車乗って帰るか」
榛名「は、はい。そうですね……」
呉提督「チケット買ってくるから、ちょっと待っててくれや」
榛名「あ、はい」
榛名「……」
榛名「あーあ、楽しい時間は過ぎるのも早いなぁ……」
榛名「もうちょっとゆっくりして……ううん、だめ、提督はお忙しいんだから」
榛名「今日遊べただけでも良かったと思わなくちゃ」
榛名「……うう、でも……あ、あれ? これは」
――開園1周年企画! 観覧車の天辺で、恋人ともっと仲良くなろう!――
榛名「な、何だろう、これ」
77: 2015/04/29(水) 12:38:57.98 ID:nGgkZAiN0
スタッフ「お客様、ご興味がおありですか?」
榛名「え!? いえ、私はその」
スタッフ「カップル限定の企画でして、観覧車の一番上でストップさせて甘い時間を過ごしてもらおうというものです」
榛名(なんて傍迷惑な企画!!)
スタッフ「止まる時間は1分、1日3組様限定です」
榛名(1日に3回も止まる観覧車って……)
78: 2015/04/29(水) 12:40:03.37 ID:nGgkZAiN0
スタッフ「如何でしょう。本日は残り、1組様分となっておりますが」
榛名「い、いえ、流石にちょっと他の人に迷惑かな、って」
スタッフ「1回転18分のうち1分ですし、より長く楽しんで頂けるので好評ですよ」
榛名「上の方で止まったなら良いかもしれませんけど……」
スタッフ「それに、この企画は今日までなんです。次はいつになるかわかりませんよ」
榛名「……」
スタッフ「この観覧車でキスをしたカップルは、二度と離ればなれにならないという逸話が」
榛名「あ、あの! これ、お願いします!!」
呉提督「おう、お待たせ……何かあったのか?」
榛名「な、何でもありません!! 早く行きましょう!!」
呉提督「お、おい落ち着けって。急いでも並ばないと入れねーぞ」
79: 2015/04/29(水) 12:45:22.07 ID:nGgkZAiN0
第1.2話 ~長門と赤城、お留守番はつらいよ~
長門「もしもし、こちら――ああ、提督か」
長門「――何? 明後日の朝まで帰れない? どういうことだ」
長門「――おいちょっと待て、明日の演習はどうするんだ!?」
長門「――任せるだと!? そんな急に言われても困るぞ!!」
長門「おい、それじゃ鳳翔は――待て、まだ切るな!! あっ……」
陸奥「どうしたの? 何かあった、長門」
長門「……えらいことになった……また鎮守府がひっくり返るぞ」
陸奥「はい?」
80: 2015/04/29(水) 12:47:43.61 ID:nGgkZAiN0
時雨「た、大変だ長門さん!! 五月雨と綾波が洗濯物を運んでたら、2人とも転んで泥だらけにしちゃったんだ!!」
長門「何だと!? あれほどあの2人には誰か監視をつけろと言っておいただろう!!」
那智「大変だ、赤城!! 朝から大淀がてんてこ舞いで、演習任務の受注を忘れたと言ってるぞ!!」
赤城「な、何ですって!? すぐ加賀さんに言って、一番早い飛行機を飛ばして下さい!! 今なら輸送車に追いつけるはずです!!」
妙高「大変です長門さん!! 演習相手が開始時間を早めて欲しいって、もうこちらに向かってるそうです!!」
長門「そんなこと当日に言われても困るぞ!! とりあえず間宮にお茶でも出させて足止めしておいてくれ!!」
山城「大変よ、赤城!! 扶桑姉様が瑞雲と間違えて、零水偵ガン積みのまま演習に出て行っちゃったわ!!」
赤城「だから主砲と水上機をぽこぽこ乗せ換えるのはやめて下さいと言ってたじゃないですか!! いい加減改二の艤装にも慣れて下さい!!」
雪風「お二人とも、しれぇと鳳翔さんからのご連絡です!! 『もう一泊してきてもいいか』だそうです、お返事は!?」
長赤「「スグカエレ!!!!」」
81: 2015/04/29(水) 12:51:32.86 ID:nGgkZAiN0
第1.3話 ~正規空母Presents! ナンパ男ぶった切り 6番勝負~
◇提督と鳳翔お化け屋敷中
瑞鶴「加賀さん加賀さん! ジェットコースター乗りに行こう!」
加賀「ちょ、ちょっと待って。あの3人を見張ってないと」
飛龍「大丈夫だよ加賀さん。私が付いてるから2人で行っといで」
瑞鶴「ありがと飛龍さん! すぐ戻ってくるからね!」
加賀「ごめんね、それじゃ行って来るわ」
赤城「……」ポップコーンモグモグ
蒼龍「」
翔鶴「うー……頭痛い……」
飛龍「まあ3人ともおとなしいから大丈夫でしょ」
82: 2015/04/29(水) 14:08:52.07 ID:nGgkZAiN0
赤城「……」アイスクリームモグモグ
モブA「さっきから見てたけど随分食べるんだね。お腹空いてるの?」
赤城「……」パンケーキモグモグ
モブA「あ、ごめんね、いきなり話しかけちゃって。君の食べてる姿がすごい可愛くてさ」
赤城「……」タイヤキモグモグ
モブA「あっちに美味しそうなお店見つけたんだけど、一緒に行かない? 奢ってあげるから」
赤城「……」パフェモグモグ
モブA「あの……聞いてる?」
赤城「……」ドーナツモグモグ
モブA「なんだこの人……ダメか」
赤城「……」クッキーモグモグ
赤城「……」
赤城「……ふう。甘いものも1人だと空しいですね」
赤城「……今度は誰かと……いえ、あの人と一緒に……」
赤城「……正々堂々と誘ってみようかしら」
飛龍「赤城さん、ちょっとその辺歩いてきてもいい?」
赤城「ええ、どうぞ」
83: 2015/04/29(水) 14:09:54.52 ID:nGgkZAiN0
蒼龍「」
モブB「……ねえ君、君。さっきからずっとうなだれてるけど、気分でも悪いの?」
蒼龍「……」
モブB「大丈夫? あっちに医務室があるから、連れて行ってあげようか」
蒼龍「……ブツブツ……」
モブB「え、何?」
蒼龍「……右回転は嫌だ右回転は嫌だ右回転は嫌だ……」
モブB「(これアカン奴や)」
モブB「……じ、じゃあねー」
蒼龍「……」
蒼龍「……はっ、あ、あれ? 私一体何を……」
蒼龍「あーあ、提督とコーヒーカップ乗りたかったなー……」
84: 2015/04/29(水) 14:11:46.00 ID:nGgkZAiN0
翔鶴「うーん……」
モブC「ねえ君! ずっとベンチに座ってちゃつまんないよ、俺らとなんか乗りに行かない?」
翔鶴「……? どこか連れて行ってくれるんですか?」
モブC「お、脈アリ? どこでもいいよー、ゴーカートでもパイレーツでも、観覧車でも」
翔鶴「……は? 観覧車?」
モブC「あ、2人じゃ不安? こっちは友達と来てるからさ、君の友達も……」
翔鶴「何言ってんのアンタ。提督と乗れない観覧車なんて何の意味があるっての?」
モブC「えっ」
翔鶴「逆に聞くけど、初対面の人と観覧車乗って何話すの? 今日は良い天気ですねーとか話してみる?」
モブC「」
翔鶴「男の集団で来てる連中、警戒しないとでも思ってんの?」
翔鶴「私がそんなに軽い女に見えたんなら、安っぽい口説き文句考える前に眼医者行きなさい。脳外科の方がいいかもね」
モブC「」
翔鶴「言ってる意味わかるかしら、アンタらは私が遊びにつきあってもいいかなってレベルにさえ達してないの。わかったらさっさと失せなさい」
モブC「ひ、ひぃっ!!」
翔鶴「……」
翔鶴「……はっ、あ、あれ? 私一体何を……」
翔鶴「あーあ、提督と観覧車乗りたいなー……」
85: 2015/04/29(水) 14:16:51.27 ID:nGgkZAiN0
飛龍「すてきなおもいつなぎあわせーてー、すこしずつできるネックレス♪」
モブD「あ、あの……」
飛龍「だれにもーみえない――わたしのほうせき――」
モブD「あの、すみません!! ハンカチ落としましたよ」
飛龍「? え、私? ……いや、これ私のじゃないけど」
モブD「そうですか? おかしいな」
飛龍「……ははぁ、これナンパ? 随分古臭い手使うのねぇ」
モブD「う……やっぱりそうでしょうか」
飛龍「でも、そうやって勇気を振り絞って声掛けてくる所には好感持てるね。私、結構古風なの好きだし」
モブD「本当ですか? それじゃ、良かったら……」
飛龍「でもごめんねー、貴方、ちょっと若すぎなのよね」
モブD「そ、そうですか」
飛龍「貴方に落ち度は全然なくて申し訳ないんだけど。悪いけど私、年上好みなの」
モブD「……申し訳ありませんでした、失礼します」
飛龍「お、諦めもいいね。大丈夫、きっと良い人が見つかるよ」
飛龍「……」
飛龍「……なんちゃってね。赤の他人の恋路、心配してる場合じゃないでしょ、私」
飛龍「改めて思えば、提督は超優良物件よねー。これでもうちょっと年食ってたらな……」
飛龍「……あーあ……何とかしてよ、多門丸」
86: 2015/04/29(水) 14:18:43.54 ID:nGgkZAiN0
瑞鶴「並んでるわねー」
加賀「そうね、でも30分ぐらいかしらね」
モブE「ねーねー、君たち2人? 可愛いねー」
モブF「この後一緒に回ろうよ。チケット余っちゃってさぁ」
加賀「結構よ」
モブE「そんなこと言わないでさー、きっと楽しいから、ね?」
モブF「俺らも2人じゃつまんないからさ、助けると思って一緒に来てよ」
87: 2015/04/29(水) 14:20:13.55 ID:nGgkZAiN0
瑞鶴(か、加賀さん……)
加賀(瑞鶴、ちょっと私に合わせて)
加賀「貴方たち、2人で来たの?」
モブE「お? そうそう、そっちも2人でしょ? 丁度いいと思ってさ」
加賀「そうなの。こんなところで同好の士に会えてうれしいわ」
モブF「へ? 同好?」
加賀「随分不思議そうな顔するのね? 貴方たちもこんな関係なんでしょ?」
→恋人繋ぎ見せつけ・肩に頭乗せ
モブE「」
モブF「」
瑞鶴「そ、そうよね! 遊園地に来るのに男2人なんて、こうじゃなきゃ考えられないわよね!」
加賀「その通りよ。よかったら連絡先教えてくれない? 今度そういう集まりがあるから紹介してあげるわ」
モブE「お、おい」
モブF「バカ! 逃げるぞ、早く!!」
88: 2015/04/29(水) 14:21:26.36 ID:nGgkZAiN0
加賀「まったく……頭の悪そうな人種ね」
瑞鶴「あ、ありがとう加賀さん。流石機転が利くわね」
加賀「いきなりあんな事してごめんなさいね」
瑞鶴「い、いいのよ! すごく助かったわ」
加賀「貴女も、こういう人混みでは気をつけなさい。なるべく1人になるのは避けるのよ?」
瑞鶴「はぁい。……あの、加賀さん……」
加賀「ん? ……ああ。ごめんなさい、手離すの忘れてたわ」
瑞鶴「う、うん」
瑞鶴「……」
瑞鶴「……恋人繋ぎか。これから誰とするかなんて想像つかないなぁ」
89: 2015/04/29(水) 14:22:50.22 ID:nGgkZAiN0
加賀「何か言ったかしら?」
瑞鶴「あのさぁ、加賀さん。提督さんのことどう思ってる?」
加賀「……上司として信頼できる方だと思ってるけど。そういうことじゃないのよね?」
瑞鶴「うん。男性としてさ」
加賀「そうね……今のところは蒼龍や翔鶴ほどの感情は無いかしらね」
瑞鶴「あ、加賀さんも? 私もおんなじ感じ」
加賀「私、まだ誰かと恋愛したいとか思ったことがないから。誰かとそんな関係になるって、ちょっと想像つかないわね」
瑞鶴「そっかぁ……」
加賀「それに、提督を好きになったら大変よ。まずお母さんに勝たなくちゃならないじゃない」
瑞鶴「あはは、そうそう。だから赤城さんたちも苦労するのよね」
加賀「……今は、提督やお母さんや貴女たちと、みんなで仲良くできればそれで良いんじゃないかと思ってるわ。今はね」
瑞鶴「そうね。提督さんなら私たちを離ればなれにしたりしないだろうし……それからのことは、また考えればいいわよね」
91: 2015/04/29(水) 14:54:07.81 ID:3937n+ROo
乙です
貴重なまとも長門がいてうれしい
貴重なまとも長門がいてうれしい
92: 2015/04/29(水) 16:54:43.24 ID:MTAs9gdw0
乙です。
鳳翔さんがいないだけでも大変なのに、まとめ役の提督も居ないと天手古舞だなw
鳳翔さんがいないだけでも大変なのに、まとめ役の提督も居ないと天手古舞だなw
次回:鳳翔「あゝ栄光の、空母機動部隊!」【第2話】
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