335: 2015/06/21(日) 02:42:36.99 ID:e+dmduNG0
最初から:【艦これ】鳳翔「あゝ栄光の、空母機動部隊!」
前回:鳳翔「あゝ栄光の、空母機動部隊!」【幕間4 ~家族がいる幸せ~】
幕間5 ~教えて鳳翔先生~
翔鶴「蒼龍先輩、私思ったんですけど」
蒼龍「うん? どしたのいきなり」
翔鶴「提督はお母さんの、どのあたりが好きになったんでしょうね?」
蒼龍「そういえば聞いたことなかったなぁ」
翔鶴「私は比較的、ここへ来るのが後の方になったので。
蒼龍先輩なら、提督やお母さんをよく見ていらっしゃったんじゃないかと」
蒼龍「ううーん、多分、何処が好きって答えられない気がする」
翔鶴「というと?」
蒼龍「全部だよ全部。私から見ても、お母さんあらゆるところで隙がないもの」
翔鶴「……隙がないのが好k」
蒼龍「言わせないわよ」
336: 2015/06/21(日) 02:47:37.08 ID:e+dmduNG0
翔鶴「思ったのはですね。お母さんをよーく見てみれば、提督に振り向いてもらえるヒントがわかるんじゃないかと」
蒼龍「そうかなー? 私たちがお母さんの真似しても意味ないんじゃないの。別な魅力で勝負すれば……」
翔鶴「それはわかるんですけど。艦載機の扱いはもちろん、
お料理とかの家事も負けてるって、空母としても女性としてもどうかなって思いません?」
蒼龍「……確かにそうかも。私もお料理は練習してるけど、お母さんと比べたらなぁ」
翔鶴「しかも、最近お母さんはオシャレも勉強なさってるんですよ。飛龍先輩や瑞鶴が色々教えてるんです」
蒼龍「本当に勝ち目無くなっちゃうね、今のうちにどうにかしないと」
翔鶴「それじゃ、こっそりお母さんを観察してみましょう。どこかしら隙があるかも……」
337: 2015/06/21(日) 02:51:07.04 ID:e+dmduNG0
◇
摩耶「――カスタードはこんな感じで良いのか?」
鳳翔「そうですね、もう少し混ぜた方がいいと思います……薄力粉はふるっておいたので、これ使って下さい」
摩耶「おう、サンキュー」
那智「……なぜ私まで手伝ってるんだ?」
摩耶「この間のパーティの準備で、色々言ってくれた礼だ。
もうお前にはばれてるってわかったから、色々利用させてもらうぜ」
那智「まったくもう……生地出来たぞ。これでいいか」
鳳翔「ええ、よく出来てますね。タルトレットなので、この小さい型に詰めて下さい」
那智「ああ、わかった」
338: 2015/06/21(日) 02:54:38.62 ID:e+dmduNG0
那智「――しかしな、どうして突然菓子作りなんだ?」
摩耶「あー、それはな……普段食べる甘味と言えば、缶詰が多いだろ?」
那智「そうだな、酒保にはそれくらいしかないが」
摩耶「それに原材料も高めだから、いつも間宮に行けるわけじゃなし」
鳳翔「そうですね、駆逐ちゃんたちもあんまり行けませんね。缶詰は単調な味で物足りないかも」
摩耶「それでも喜んで食べてるのを見てると、その……もっと美味しく食べられねーかって、そう思ったんだよ」
339: 2015/06/21(日) 02:55:51.89 ID:e+dmduNG0
那智「…………」
摩耶「なんだよその顔は!! アタシが菓子作りなんてガラじゃないのは自分が一番わかってるよ!!」
鳳翔「ふふっ、そんなことありませんよ。ねえ?」
那智「ああ。ちょっとお前の思いやりに感動しただけだ、気にするなよ」
摩耶「ふん、どうだか……出来あがってもあんまり食えねーぞ、チビ共優先だからな!!」
那智「はは、わかったわかった」
鳳翔「あ、今日は演習があるので。その子たちの分は私が持って行きますね」
摩耶「そうか、よろしく頼む」
鳳翔「ちゃんと、摩耶さんが作ってくれたって言っておきますからね。うふふ」
摩耶「い、いいよ別に……」
340: 2015/06/21(日) 02:56:54.25 ID:e+dmduNG0
蒼龍「…………」[壁]д・)
翔鶴「…………」[壁]д・)
蒼龍「あれ、おかしいな……この鎮守府、女子力高めじゃない?」
翔鶴「摩耶さんは最古参の1人ですからね、お母さんにも色々教えてもらってるみたいですし」
蒼龍「参ったな、私ももっとお料理頑張らなきゃ」
翔鶴「流石に誰かに教えるほど、まだ上手くありませんからね……」
341: 2015/06/21(日) 03:03:43.47 ID:e+dmduNG0
◇
鳳翔「今さら言う必要も、ないかと思いますが――」
鳳翔「駆逐艦は装甲も薄いうえ、艦1隻の火力では航空機への対処は困難です」
鳳翔「――吹雪ちゃん、私が一番最初に教えたこと、覚えていますね?」
吹雪「はいっ! 僚艦との連携です!」
鳳翔「よろしい。対空砲火の密度は、陣形と僚艦との位置取りに大きく影響を受けます」
鳳翔「――叢雲ちゃん。当鎮守府の駆逐艦で、機銃よりも高角砲を優先装備している理由は?」
叢雲「はいっ! 機動部隊の護衛として、個艦よりも大型艦の防空を重視するためです!」
鳳翔「よろしい。ただし重視とは、身を呈してでもと言っているのではありません。
敵機の投弾を、最小限にするための戦術を磨くということです……」
342: 2015/06/21(日) 03:05:27.69 ID:e+dmduNG0
鳳翔「――満潮ちゃん。初期装備である12.7cm連装砲から、
現在主装備である10cm連装高角砲に換装した際の、一番大きな違いはなんでしたか?」
満潮「はいっ! 対空戦闘用に、仰角を大きく取れるようになったことです!」
鳳翔「よろしい。その通りです……しかし、換装の際は皆さん、新しい主砲の扱いに、随分苦労しましたよね?」
鳳翔「――雪風ちゃん、その理由はわかりますか?」
雪風「はいっ!! わかりません!!」
鳳翔「よろし……ごほん」
343: 2015/06/21(日) 03:09:04.72 ID:e+dmduNG0
鳳翔「……あの戦争での高角砲は、秋月型以前の駆逐艦には装備されていなかったのです。
つまり吹雪型、朝潮型、陽炎型である皆さんは、元々の艦の記憶によって装備を扱うのが難しい、ということです」
鳳翔「もちろんこれだけが理由である、というわけではありませんが、自分の命を預ける艤装と兵装をよく理解し……」
鳳翔「訓練を繰り返して、装備の習熟を行うことが大事なのです。わかりましたね?」
「「「はい!!」」」
鳳翔「本日の訓練は、輪形陣の中心に配置した正規空母の護衛です。評価は個艦でなく、護衛対象の損害状態で行います」
鳳翔「指揮は瑞鶴ちゃん、貴女が執るように。いいですね?」
瑞鶴「はいっ!」
鳳翔「正規空母が大破するか、私の攻撃を3回しのいだ時点で訓練は終了です――では、配置について」
「「「了解!!」」」
344: 2015/06/21(日) 03:12:54.52 ID:e+dmduNG0
鳳翔「――ああ、言い忘れてましたが」
鳳翔「演習用魚雷の中に、1発だけ実弾を混ぜています。危ないので本気で避けるように」
「「「…………」」」
鳳翔「うふふ」
瑞鶴(実弾って……そんなことするわけないのに。最近のお母さん茶目っ気多いな)
吹雪(あ、最初期の鬼教官モードだ……あの頃は訓練の後よく吐いたなぁ)トオイメ
叢雲(いくら鍛錬積んで改二になっても、私たちのしごきは全然変わらないわね)トオイメ
満潮「……雪風、魚雷受けてくれない? あんたならどうせ全部不発でしょ」
雪風「え? 敵の魚雷って当たるものなんですか?」
345: 2015/06/21(日) 03:14:46.58 ID:e+dmduNG0
蒼龍「…………」←双眼鏡
翔鶴「…………」←双眼鏡
蒼龍「相変わらずハードな訓練してるなぁ。どう翔鶴、勝てそう?」
翔鶴「絶対無理です……おかしいですよ、あの動き。どんな妖精さんが操縦してるんでしょう」
蒼龍「妙だよねぇ。お母さんの主力戦闘機は九六式艦戦、たまに零戦21型だけど」
翔鶴「烈風改を使っている赤城先輩、烈風601空の加賀先輩の、お2人合わせてようやく優勢だと仰ってました」
346: 2015/06/21(日) 03:15:35.18 ID:e+dmduNG0
蒼龍「妖精さんとの信頼関係の差なのかなー。私も負けてないと思うんだけど」
翔鶴「ちょっと自信なくしそうです」
蒼龍「翔鶴は十分優秀だからね? 比較対象がぶっとんでるだけで」
『――わずか1回の攻撃で、旗艦含む4隻大破とは……』
『弛み過ぎです!! 演習海域を隊列維持のまま、之字航行で20往復!!』
『『『エー!?!?』』』
―― イマモンクイッタコハ 50オウフク!!
―― ヒェエーー!!!!
347: 2015/06/21(日) 03:17:27.26 ID:e+dmduNG0
◇
翔鶴「結局、お母さんの優秀さを再確認しただけでしたね……」
蒼龍「うん……ホントに、女として敵う所あるのかなって思うよね……」
鳳翔「――あら、私は、貴女たちから学ぶことがいっぱいあるんですよ?」
翔鶴「あ、お母さん! 演習お疲れ様です」
蒼龍「学ぶことって何かな?」
鳳翔「例えば翔鶴ちゃんは、明るいお洋服とか、アクセサリーがよく似合うわよね。
あまり詳しくない私から見ても、健康的でとっても可愛いと思うわ」
鳳翔「お洋服のセンスは勉強したいと思ってるの。今度一緒にお買い物、連れて行ってくれないかしら?」
翔鶴「は、はいっ!! もちろんです、お母さん!!」
348: 2015/06/21(日) 03:18:44.96 ID:e+dmduNG0
蒼龍「ねえねえお母さん、私は私は!?」
鳳翔「そうね、蒼龍ちゃんはいつもすごく元気よね。貴女の笑顔は、鎮守府の皆を元気にしてくれるわ」
鳳翔「それに、いつもうらやましく思っているの。貴女のその、まっすぐで積極的な性格がね」
蒼龍「えへへ、そうかなぁ~」
鳳翔「ええ。……それで、貴女に聞きたいことがあったの」
蒼龍「なになに、何でも聞いて!!」
鳳翔「この間、まっすぐ積極的に……あの人をデートに誘ったわよね」肩ガシッ
蒼龍「」
349: 2015/06/21(日) 03:20:48.42 ID:e+dmduNG0
鳳翔「ねえ、何話したの? 怒らないから言ってみて。さあ、さあ」
翔鶴(ホントに怒らないならそんなこと言いませんよ)
蒼龍「いやー、あれはその……ほら、提督がまだ内緒って言ってたじゃん……」
鳳翔「……あの人がそう言ったことを何故知ってるの?」
鳳翔「……はっ、まさか口裏を合わせて、あんなことやこんなことを!! 白状しなさいっ!!」首ガクガク
蒼龍「そ、そんなことしてたらもっと喜んでるよぉ~……」
翔鶴「ほらほら、落ち着いて下さい。演習後の皆のために、ご飯作りませんと。ね?」
翔鶴(……やっぱり私、お母さんも提督も好きなんですよね)
翔鶴(相思相愛で羨ましいですけど、まだまだ負けませんからね!)
<お題:無双、鳳翔に甘える(蒼龍、翔鶴編)>
350: 2015/06/21(日) 03:22:02.77 ID:e+dmduNG0
次に飛龍編で、その後第3話の予定です。
それでは、またよろしくお願い致します。
351: 2015/06/21(日) 07:47:47.49 ID:JSAZCFEf0
おつでした
鳳翔さんさすがや…
鳳翔さんさすがや…
次回:鳳翔「あゝ栄光の、空母機動部隊!」【幕間6 ~ずっとみんなで~】
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