375: 2008/12/07(日) 02:49:57 ID:OYWBeCSG

カールスラントでは16歳から飲酒が許可される(ことにしておく)。


ロマーニャもブリタニアもガリアも同様(ということにする)なのは、自国の文化にアルコールは欠かせないからだ。

国土がネウロイに掌握されているとはいえ、私たちは母国に誇りをもっている。

だからこそ酒を飲み、美しい故郷を思い出す。

なのに、こいつはいったいどういう神経なんだ。

だいたいお前の国では16歳はまだ飲んではいけないはずだろう。リベリアン!





「リベリオンは自由の国!何があってもおかしくないの。ちょっとしたスピード違反なんて警官に『寄付』すれば見逃してくれるし。」
「そういうことを言っているんじゃない。仮にも軍人なら国の法律を遵守しろと言っている。」
「カールスラントは16で飲んでいいんだろ?同じ人間なのに生まれが違うから禁止なんておかしいじゃん。」
「屁理屈を言うな。」
「なんだよケチくさいなぁ・・・。」
「とにかく!夕食はもう済んだし今は戦闘待機中だ。分かるか?不測の事態に備えておくべきだ。そんな時間に飲酒するわけにいかん。」
「今はサーニャとエイラに宮藤も飛んでるんだし、あたしらがいなくてもなんとかなるさ。」
「お前はまたそんな気の抜けたことを・・・。」
「もしかして酒は苦手とか?」
「・・・そんなことはない。」
「全然ごまかせてないよ、それ。」
「・・・・・・。」
「ほんっと嘘つくの下手だよなぁ。でもあのワインはかなり甘くてね。ブドウジュースみたいな味だから平気じゃない?」
「しかしだな・・・私は・・・。」
「え、やっぱり飲めないの?」
「・・・・・・以前、一度だけハルトマンに無理矢理付き合わされたが・・・それ以来酒を見るだけで気分が滅入る。」
「へぇ。何を飲んだのさ?ビール?」
「いや、ウォッカとか言ったか・・・。」
「ウォッカぁ?あっはははははは!」
「笑うな!!」
「いやー悪い悪い。けどいきなりウォッカはないよなぁ。きっと中尉に遊ばれたんだよ。」
「言われなくても分かっている・・・。」
「あたしは親交を深めたいと思ってるだけだし、もしやばくなったら介抱してあげる。安心して?」
「・・・一杯だけだ。残りは自分で飲め。」
「オッケー!じゃ、持ってくるから待ってて!」
まったく・・・あいつはいつもこうだ・・・。

376: 2008/12/07(日) 02:51:08 ID:OYWBeCSG
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宮藤に助けられてから数日後、シャーロットは毎晩私の部屋に来るようになった。
『ちょっと話さない?』と部屋に飛び込んできた時こそ欝陶しく思ったが・・・今ではシャーロットの来訪を心待ちにしている自分がいるのだ。
話すことといえば本当に瑣末で、下らないことばかり。
ハンガーでペンキをぶちまけただの、ペリーヌにいたずらを仕掛けただの、よくもまぁ毎日話題が出てくるものだと思う。
だが、そんな話に付き合ってみても不愉快さは全く感じないから不思議だ。
それどころか、適当に相槌をうっているつもりが話に聞く入ってしまって、気付けば深夜になっていることもあった。
どうして時間は止まってくれないのか、と柄にもなく嘆いたのものだった。

ガチャリ

ノックもせずにシャーロットは戻ってきた。
バスケットを手に提げて、おまけにいつも緩んでいる頬をさらに緩ませて。
楽しそうだなと声をかけようとするも、それは飲み込むことにした。
やつときたら、この短期間で私のからかい方をすっかりマスターしているからだ。
何か余計な一言を与えてしまえば、たちまち手玉に取られてしまう。
だから私はなるべく素っ気ないフリをしている(←できてません)。
しかしそれはなんだか淋しいではないか。
せっかくこいつが部屋に来ているのに、勿体ないというか、その・・・。
ああ!いったい私はどうしたというんだ!
こんないい加減で規律にも従わない海の向こうのウィッチに、どうしてこんなに惑わされるというんだ!
機械いじりが好きで、年下のくせに肝が据わっていて、ルッキーニの母親のようで、ズボラの気があるのに面倒見はよくて、
バイクで滑走路から落っこちるくらい不注意で、でもそれを笑い話にするくらいに明るくて、
いつも笑っていて、誰とでも仲良くなれて、風呂好きで、背も高くて、胸は馬鹿みたいに大きいくせに
手足はすらりとしていて、髪はふわふわしていて綺麗で、側にいると何故だか安心できて・・・。
たったそれだけの、それだけのウィッチにどうして――

「おい。」
「ぅわあっ!」
「さっきから突っ立ってどうした?早く座りなよ。」

いつの間にかシャーロットはベッドに腰掛けていた。
人が真後ろに移動したことにも気付かないとは、本当にどうかしている・・・。
やれやれと小さく息をついて、テーブルがわりに椅子を引っ張ってきてやった。

「お、気が利くじゃん。ありがと。」

たったそれだけのセリフに、私の胸からは何かがじわりと滲み出すのだ。
くすぐったいような、締め付けられるような、変な気分になって落ち着かなくなる。
心臓はうるさくなるし、身体の動きもぎこちなくなってしまう。
ああ、くそ・・・なんなのだこいつは・・・人をいちいち変な気分にさせておいて!
私の苦悶も知らずに、シャーロットは手慣れた手つきでコルクを抜いて、ワインをグラスに注いだ。

377: 2008/12/07(日) 02:53:13 ID:OYWBeCSG
白ワインなのだろうが、グラスはハチミツのような濃い黄色に染まってゆく。

「はいどうぞ。」
「ずいぶん黄色いな・・・。」
「残念ながら変なものは入ってないんだ。クラッカーとチーズはいかが?」
「いただこう。」
「はいはい。」

今度は食べやすいサイズにチーズを切ってクラッカーに乗せていく。
その横顔はさながら母親のそれだった。

「じゃ、かんぱーい。」

グラスの縁と縁がカツンと音をたてた。
苦い記憶を思い起こし躊躇していると、目で促されてしまったので、腹を括ってワインを喉に流し込んだ。

「・・・甘いな。」

フラウに飲まされた酒とは全くの別物だった。
干しブドウのような甘みと香りが鼻をくすぐり、飲み込むと胸の奥が心地よく熱くなる。
なるほどこれは美味い。

「シロップみたいだろ?この前の買い出しで見つけたんだ。お味はいかがですか?」
「いや・・・これなら飲める。うまいな。」
「よかったぁ。あんた美味いとか不味いとか言わないから不安だったんだ。」
「そうなのか?」
「気付いてないのかよ~・・・。」
こうして私とシャーロットの時間が始まる。
今日もきっと、あっという間に時が過ぎていくのだろう。
乱暴にクラッカーを口に押し込み、ついでに残りのワインもぐいと全て飲み込んだ。
甘いワインと、クラッカーにチーズの複雑な味が舌に残った。


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「大丈夫?酔っ払っちゃった?」
「いや、酔っていない。酔っていないぞぉ。」
誰がどう見ても酔っ払ってると思う。
あたしがワインを持ってバルクホルンの部屋に入ってから一時間が経った。
空いたグラスにワインを注ぐたびに一気に飲み干しちゃうもんだから、すっかり出来上がったのか、語尾はのびて目が据わってる。
普通の白ワインよりも強いって言われてはいたけど、やっぱりそのことを隠すのはまずかったかな。
まぁあたしも酔いが回ってきてはいるけどまだ平気。
平気じゃなさそうなのが目の焦点が合っていない、隣にいる白シャツ姿のウルトラエース。
さっきから暑そうに手で顔を扇いでいる。
ちなみに上着はさっき二人とも脱いでしまったし、お互いシャツ姿なわけだ。
ところで、今シャツを脱がせたらどうなるんだろう・・・ぐでーっとしてるうちにボタンを外して、その後・・・
駄目だ!駄目だ!何を考えてるんだまったく!
第一そーゆー関係になってもいないし、こーゆーのはまだ早いぞあたし!
・・・期待はちょっとしてたけど。

378: 2008/12/07(日) 02:59:35 ID:OYWBeCSG


「暑い・・・。」

ん、シャツのボタン外しちゃってるな・・・おいおい、上から下まで全部外してどうする!
これは相当きてるなぁ・・・水みたいにガバガバ飲むからこうなってるんだな・・・。
飲み方が悪いことが分かったところで、一息つかせないといけないよな。
中佐に絞られたらたまんないし・・・。

「ちょっとお水持ってくる。」

椅子にグラスを置いて腰をあげる。
胃薬もついでに――
・・・いや、動けない。手首、掴まれてるし。

「おい・・・どうしたのー?気分悪い?」
「・・・・・・。」

返事のかわりに、掴んだ手首をぐいと引き寄せられた。
中腰だったあたしはバランスを崩し、ベッドにお尻を沈める。
ギシリと床が軋むと今度はあたしの肩が引っ張られ、左腕はバルクホルンに抱きかかえられた。
慌てて引き抜こうとする。けど時既に遅し。手首から下はバルクホルンの太腿に挟まれてしまった。
この体勢まずくね?まずいよな?
二の腕にはこいつの胸の感触が。
そして手の甲が正面に向いたまま腿に挟まれてしまった手首は・・・中指なんて曲げたら・・・まずい所にいってしまう。
ああ、神様どうしよう、これまずいよ。
しかも今度は頬を肩にくっつけてきたよ。さっきより体が密着してるよ。
やばい!冗談になってない!
左手が温かい・・・太腿がなんだか湿ってすごい――
って何を考えてるんだあたしは!湿ってるのは手汗のせいだ!きっとそうだ!
ああんまずいよ。今ぜっっったい顔真っ赤だ・・・顔合わせらんない・・・

379: 2008/12/07(日) 03:00:48 ID:OYWBeCSG

「な、なぁ?水飲むと楽になるからさ、ちょっと手ぇ離してくんない?」
「・・・やだ。」

なんでこんな時に可愛さ全開なんだよ~・・・。
次第にバルクホルンの体重があたしに寄り掛かってくる。
ちょっ意外と重――

ドサッ

「あ、あははは・・・」
やばい。スーパーピンチ。
倒されて起き上がる間もなく、トゥルーデの すごい マウント だ!
お腹の上に乗られたからどうしようもないぞこれ。しかもすごいこっち見てるんだけど。
バルクホルンは腰を少し上げて、猫のように体を前に倒した。
そのまま彼女の両肘があたしの肩をベッドに押し付けてくる。
嫌な予感と共に不機嫌そうな顔が迫ってくるではないか!
これは――やられる!

「おいほんとに酔いすぎだって!」

虚ろな目は返事をしてくれない。
ほんのり顔が朱く染まって、目尻も垂れたバルクホルンの顔・・・息を呑むほど艶かしい。
頬に触れたくなったけど腕が動かせず、ハッと我に返った。
確かにあたしはこいつが好きで、色んなことをしたいけど・・・。
でも・・・っ!
こんなのって・・・嫌だよ・・・。

ぽすん


――あれ?
そこにあったはずの綺麗な顔は、あたしの胸に墜落していた。

「すぅ・・・・・・すぅ・・・」

それも、まるでルッキーニみたいに小さく息をして。

「おーいエースさまー、そこで寝るなー。」
「んぅ・・・。」

肩を揺すっても動く気配はない。
胸を枕にされるのは悪い気分ではないけど、正直どいてほしい。
だってあたしの心臓は、今までになく鼓動を早めているから。
今回ばかりは氏ぬかと思った・・・。
でも、こうしてバルクホルンを抱いて眠るのも・・・いいよね?
あたしはワインの神様に感謝した後、シャツも脱がずにそのまま眠りに落ちていった。

380: 2008/12/07(日) 03:02:45 ID:OYWBeCSG


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『気付くと部屋には日が差し込んでいて、服も着たままで、胃はむかついていて、昨夜のことは思い出せなくて・・・
そして何より私の部屋にシャーロットがいて、おはようなどと声をかけるものだからすっかり混乱してしまった。
だがこの混乱はまだ拍車がかかるのだ。
何故なら、この後私はシャーロットに愛の告白を受けてしまうのだから。』

ミーナ「・・・・・・。」
坂本「どうしたミーナ?それは日記か?」
ミーナ「え、ええ・・・誰かの落とし物みたいで・・・。」
坂本「そうか。あまり中を読んでやるなよ?」
ミーナ「そうね・・・・・・ねぇ、美緒。いいワインがあるんだけど、今晩どう?」






以上です
gdgdなssをgdgdに投下してすみませんww

381: 2008/12/07(日) 03:06:22 ID:ZwdwAFiS
>>380
最近シャーゲル分が足りないと思ってたんだ、GJ!!
どぎまぎするシャーリーもいいが最後のミーナ隊長に吹いたw

引用: ストライクウィッチーズでえpart12