1: 2010/07/11(日) 00:07:56.71 ID:5SikcHSH0
憂「ただいまー…」


…といっても家には誰もいない。
両親は海外で、お姉ちゃんは部活だからだ。

そして今から私は一人で、帰ってくるお姉ちゃんのためにごはんを作ったり
お風呂掃除をしたり、まぁいわゆる家事をしなければいけない。
私だって高校生なんだし、放課後は友達と遊びにいったり、部活動に励んだりしたい。
けいおん! 1巻 (まんがタイムKRコミックス)
5: 2010/07/11(日) 00:13:22.24 ID:5SikcHSH0

けど両親は昔から家を仕事や旅行で空けがちだったし、お姉ちゃんは昔からやりたいことだけを
やるような性格だったから、自然と私が家のことをするようになった。
それでも高校生になるまではお姉ちゃんは部活に入ってなかったからお姉ちゃんと一緒に帰ったり
一緒に買い物に行ったり、一緒にごはんを作ったりできて別に不満もない、むしろ楽しい生活だった。

でもお姉ちゃんが高校生になってからはそんな生活は変わってしまった。

部活に入ったお姉ちゃんは平日は寄り道して遅くに帰ってきたり、帰ってきても
ごはんを食べて、お風呂に入ってそのあとすぐに寝てしまう。
休みの日だっていつもどこかに出掛けてしまう。
その間は私はずっと一人だ。
そのせいなのかお姉ちゃんに対して最近すごくイライラしてしまう。

前はこんなことありえなかったのに…

8: 2010/07/11(日) 00:18:08.55 ID:5SikcHSH0
唯「ただいま~」

そんな事を考えてる内にお姉ちゃんが帰ってきた。

憂「お姉ちゃん、おかえり。ごはんできてるよ」

唯「憂、ごめんね~…みんなと食べてきちゃった…」

憂「…そうなんだ。じゃあお風呂沸いてるから先に入っちゃって」

唯「ういっす!」


11: 2010/07/11(日) 00:23:06.29 ID:5SikcHSH0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

唯「ういーバスタオルわすれちゃったーもってきてー」

また…?この前も忘れてたよ…

憂「わかったー」

お姉ちゃんってばバスタオルだけじゃなく着替えも忘れてる…
服も脱ぎっぱなしで…いいかげんにしてよね…

憂「…お姉ちゃん着替えもここに置いとくね」

唯「あーい」


14: 2010/07/11(日) 00:28:07.42 ID:5SikcHSH0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

唯「う~い~アイス~」

自分で取ってよ…

憂「…はい」

唯「ありがとー」

21: 2010/07/11(日) 00:33:07.46 ID:5SikcHSH0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

唯「うい~明日ハンバーグたべたーい」

憂「だめだよお姉ちゃん。明日は今日の残り食べちゃわなきゃ」

唯「え~たべたい~たべたい~!」

もう…なんなの…

唯「それに今日の分は憂が食べればいいじゃーん…」


23: 2010/07/11(日) 00:38:04.76 ID:5SikcHSH0
憂「っ…もう……いいかげんにしてよっ!!!」

唯「え…?」

憂「なんなの!?さっきからわがままばっかり言って!!それに明日作れないのは
  お姉ちゃんが連絡もしないで外で食べてきちゃったからじゃん!!」

唯「あ…あ…」

憂「いっつも面倒なことは私に押し付けて!ホントに…いいかげんにしてよ!もう知らない!!」

唯「あ…う…う゛…うあ゛ぁぁあぁあぁん!!!」


27: 2010/07/11(日) 00:43:06.52 ID:5SikcHSH0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ついにお姉ちゃんに対して怒ってしまった。
ただの八つ当たりだったかもしれない。お姉ちゃん泣いちゃったし…
でもお姉ちゃんがわがまま言ったのはホントだし、たまには怒ったほうがいいよね…

…今日はもう寝よう…疲れちゃった。
明日はお休みだし、お姉ちゃんには明日謝まればいいよね…

29: 2010/07/11(日) 00:48:07.76 ID:5SikcHSH0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

憂「ん…もう朝…?」

昨日は慣れないことをしたせいかすぐに眠ってしまった。
昨日のことを思い出すとすごく嫌な気持ちになってもう一度眠ってしまいたくなった。

けど…

憂「お姉ちゃんに謝らないと…」

31: 2010/07/11(日) 00:53:06.39 ID:5SikcHSH0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

憂「お姉ちゃーん…起きてるー…?…あれ?お姉ちゃん?」

お姉ちゃんが部屋にいない。この時間なら絶対に寝てるはずなのに…

憂「私に怒って出掛けちゃったのかな…」

とりあえず下に降りて顔を洗ってこよう…

「ひっ…ひっ…」

なんだか誰かが泣いてる声がする…まさか…お姉ちゃん…?


32: 2010/07/11(日) 00:58:08.12 ID:5SikcHSH0
唯「ひっく…う゛ぃ゛…ひっ…ごべんね…ひっく」

お姉ちゃんは昨日いた位置から一歩も動いていない場所で声をガラガラに枯らしながら泣いていた。

私はその姿を見て頭の中が真っ白になった。
その場から一歩も動けなくなって立ち尽くしてしまった。

どうしようどうしようどうしようお姉ちゃんは私が怒ったあと昨日からずっと
あそこで泣いてたんだ私が寝てるときもずっとずっとどうしようどうしようどうしようどうし


ピリリリリリリリ


そこで全く空気の読めてないタイミングで私の携帯は、私が本来起床するはずだった時間アラームを鳴らしてしまった。

34: 2010/07/11(日) 01:03:05.02 ID:5SikcHSH0
唯「ひっ………?…う゛い゛?」

どうしようどうしようどうしよう

憂「あの…あ…おねえ…ちゃ…あの…」

唯「う…う゛い゛ーー!!!ごべんね゛!!ごべん……ゲホッ…ゲッホ…ごめ…ゲホッ」

憂「お…お姉ちゃん!お水入れてくるから!落ち着いて!」

唯「ゲホッゲホッ…」


35: 2010/07/11(日) 01:08:04.22 ID:5SikcHSH0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

唯「はぁ…はぁ…」

憂「お姉ちゃん…大丈夫…?落ち着いた…?」

唯「う゛いぃ!ごめ゛んなざい!これから自分のことは自分でやるから!
  わがままも言わないから!だから…だから…ぎらい゛にならな゛いで…」

憂「お…お姉ちゃん…」

お姉ちゃんの涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔を見て私の胸は昨日なんでお姉ちゃんに
八つ当たりしちゃったんだろうって後悔の気持ちでいっぱいになった。


37: 2010/07/11(日) 01:13:12.62 ID:5SikcHSH0
憂「お姉ちゃん…私こそごめんなさい…私昨日すごくイライラしてて…お姉ちゃんに
  八つ当たりしちゃった…だから謝るのは私のほうだよ…ごめんね」

唯「うぐ…ひっ…悪いのはわたしだよ…ひっ…これからは憂のためになんでもするから…
  がんばるから…ひっ…だから…嫌いにならないで…」

憂「お姉ちゃんのこと嫌いになんてならないよ…」

そうだよ…お姉ちゃんのこと嫌いになるなんてあり得ない

唯「う゛いーーーーー!!!!」

憂「ごめんね…お姉ちゃん」


38: 2010/07/11(日) 01:13:50.45 ID:5/1f2RT90
こんな反応されたら情も湧いちゃうわ

42: 2010/07/11(日) 01:18:05.42 ID:5SikcHSH0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

一晩中泣いて、よほど疲れたのだろうか、お姉ちゃんはすぐに眠ってしまった。
起きるのはきっと夜だろう。

憂「今日はお姉ちゃんのためにとびっきりおいしいハンバーグを作ろう!うん!」

お姉ちゃんもきっと喜んでくれるよね!


45: 2010/07/11(日) 01:23:05.78 ID:5SikcHSH0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

唯「うい~…」

お姉ちゃんが起きてきたらしい。晩御飯としてもちょうどいい時間だ。

憂「お姉ちゃん、おはよ。はいお水」

唯「ありがと…」

憂「ごはんできてるよ!今日はお姉ちゃんが食べたがってたハンバーグなんだから!」

唯「うい…ごめんね…」

憂「大丈夫だよお姉ちゃん!今日なにも食べてないからおなかすいてるでしょ?
  すっごくがんばって作ったからおいしいよ~ほらっ食べよ?」


48: 2010/07/11(日) 01:28:24.59 ID:5SikcHSH0
唯「うん…いただきます…」

憂「どうかな?」

唯「すっごく…おいしい…!」

憂「でしょ?どんどんおかわりしてね」

唯「えへへ…おいしいよ~憂~おかわり~」

憂「はいはい~♪」

やっとお姉ちゃんが笑ってくれた。やっぱりこの笑顔を見るためなら面倒なこと
だってがんばれちゃうな。


52: 2010/07/11(日) 01:33:09.09 ID:5SikcHSH0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

唯「ごちそうさまー!」

憂「お姉ちゃん食べ過ぎだよ~」

唯「憂のハンバーグがおいしすぎるからしょうがないのです!」

憂「ありがと!お姉ちゃん、アイス食べるでしょ?とってくるよ」

唯「憂ストップ!座ってて!」

憂「え…?う…うん…」

お姉ちゃんが台所にかけていった。
お姉ちゃんが食後にすぐゴロゴロしないなんてすごく珍しい…もしかして初めてかも…


55: 2010/07/11(日) 01:38:05.11 ID:5SikcHSH0

唯「アイス持ってきたよ~でもね…一つしかなかったから…はいっ半分こ!」

憂「え…?ありがとう…」

お姉ちゃんがアイスを自分で取りにいくなんで初めてだ。
それにお姉ちゃんが大好きなアイスを半分こにするなんて…

唯「ういー?食べよ?」

憂「え…あ、うん!」

唯「おいしいねー♪」

憂「…うん!すっごくおいしい!」

お姉ちゃんと半分こしたからだろうか。
今まで食べたどのアイスよりもおいしく感じた。


58: 2010/07/11(日) 01:43:04.41 ID:5SikcHSH0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

唯「ういー…あのね、今日…一緒に寝よ…?」

憂「うん!」

お姉ちゃんと一緒に寝るなんて中学生のころ以来だ。
すごく嬉しい。

唯「あのね憂、お姉ちゃんこれからがんばるから。憂に面倒なこと押し付けたりしないから…」

憂「お姉ちゃん…」

唯「えへへ…おやすみ、憂」

憂「おやすみお姉ちゃん…」



59: 2010/07/11(日) 01:48:12.29 ID:5SikcHSH0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

それからお姉ちゃんは家事をいろいろ手伝ってくれるようになった。
それに前よりも寄り道をしないで家に帰ってきてくれるようにもなった。
なんだか忘れ物も減ってすごくしっかりしてきもする。
嬉しいんだけど、ちょっとさみしいような気もする。

憂「お姉ちゃーん、朝だ…よ…」

唯「おはよ。憂」

それに朝寝坊もしなくなって…

唯「憂、ごはんおいしいよ。いつもありがと」

憂「え…?うん…どういたしまして…」

なんだか別人みたい…


60: 2010/07/11(日) 01:49:39.30 ID:q91ubCyX0
な・・・・唯が唯でなくなっていく・・・・

62: 2010/07/11(日) 01:53:04.50 ID:5SikcHSH0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

唯「憂。お風呂沸いたよ」

憂「ありがとー」

今となっては家事は食事以外、ほとんどお姉ちゃんがやってしまうようになってしまった。

唯「先入っちゃうね」

憂「うん」

この前梓ちゃんに軽音部でのお姉ちゃんの話を聞いたら、練習も積極的にするようになって
ギターも前よりもずっと上達しているみたいだ。
軽音部のみなさんもお姉ちゃんの変化にすごくとまどっているらしい…


65: 2010/07/11(日) 01:58:03.27 ID:5SikcHSH0
唯「憂、アイス半分こにしよ!」

憂「うん!」

でも私からすれば、やっぱりお姉ちゃんはお姉ちゃんだ。


唯「?どうしたの?憂?」

憂「えへへ…お姉ちゃん大好き!」



おわり


67: 2010/07/11(日) 01:58:50.08 ID:MysNpLEj0
おつ!!

引用: 憂「いいかげんにして」