1: 2019/10/04(金) 18:07:51.49 ID:qYsOfvLU0
2: 2019/10/04(金) 18:09:28.22 ID:qYsOfvLU0
■第一幕 トモダチ■
ーーー学校 教室ーーー
ガララ
同級生A「今日の体育しんどかったわー」
同級生B「ほんとな。マラソン大会の為の外周とか、喜ぶの陸上部くらいだろ……俺昼食い過ぎてめっちゃ脇腹痛くなってた」
同級生A「ゲボッたらお前のあだ名ゲ口リアンにすっから」
同級生B「お前にかけたるわ」
ギャハハ!
少年「……」テクテク
少年(…うるさいな。下らないこと喋り続けるなよ)
少年(まぁいいや。次の授業までに早く着替えちゃわないと)ガサゴソ
少年「……!」
同級生A「」ニヤニヤ
同級生B「」ニタニタ
少年(っ……)
『6月10日 曇りのち、雨
鞄の中に絵の具を散らされた。
町中を自分色に染めたがる"イロヌリ瘴女"なる妖怪に目を付けられたみたいだ。ついてない。』
ーーー学校 教室ーーー
ガララ
同級生A「今日の体育しんどかったわー」
同級生B「ほんとな。マラソン大会の為の外周とか、喜ぶの陸上部くらいだろ……俺昼食い過ぎてめっちゃ脇腹痛くなってた」
同級生A「ゲボッたらお前のあだ名ゲ口リアンにすっから」
同級生B「お前にかけたるわ」
ギャハハ!
少年「……」テクテク
少年(…うるさいな。下らないこと喋り続けるなよ)
少年(まぁいいや。次の授業までに早く着替えちゃわないと)ガサゴソ
少年「……!」
同級生A「」ニヤニヤ
同級生B「」ニタニタ
少年(っ……)
『6月10日 曇りのち、雨
鞄の中に絵の具を散らされた。
町中を自分色に染めたがる"イロヌリ瘴女"なる妖怪に目を付けられたみたいだ。ついてない。』
3: 2019/10/04(金) 18:11:33.81 ID:qYsOfvLU0
ーーー学校ーーー
少年「……はぁ」テクテク
少年(今日もあいつらの居る教室に行かなくちゃいけないのか……早く夏休みにならないかなぁ)
テクテク ガララ...
「あ、来たよ」
「うわ…確かにあれはやってそうな顔してる」
「こっち見てない?きもっ」
ヒソヒソ...
少年「…?」
少年(なんだ?クラスの奴が見てくる…)
少年(……席着こう)
ストッ
...トットットッ
同級生A「なぁ聞いたぜ?」
同級生B「少年さ、お前本当面白いよな」ニヤニヤ
少年「…何だよ」
同級生A「お前昔好きな女子のリコーダー舐めて泣かせたんだって?やっべぇな!今時そんなことするとか勇者かよ!」ゲラゲラ
同級生B「いやー流石だわ!俺たちにゃ出来ないことやってきてるよなぁ!」ギャハハ
少年「はっ!?なんだそれ!そんなことしてるわけないだろ!」
同級生A「今更隠さなくてもいいって!今朝からみんなその話で持ちきりなんだしよ」ニヤニヤ
ヒソヒソ ジロジロ
少年「……っ」
『6月20日 嫌になるほど、晴れ
根も葉もない噂を流された。
雨の様に噂を垂れ流すのが好きな妖怪"イイフラシ"の奴らの仕業だろう。』
少年「……はぁ」テクテク
少年(今日もあいつらの居る教室に行かなくちゃいけないのか……早く夏休みにならないかなぁ)
テクテク ガララ...
「あ、来たよ」
「うわ…確かにあれはやってそうな顔してる」
「こっち見てない?きもっ」
ヒソヒソ...
少年「…?」
少年(なんだ?クラスの奴が見てくる…)
少年(……席着こう)
ストッ
...トットットッ
同級生A「なぁ聞いたぜ?」
同級生B「少年さ、お前本当面白いよな」ニヤニヤ
少年「…何だよ」
同級生A「お前昔好きな女子のリコーダー舐めて泣かせたんだって?やっべぇな!今時そんなことするとか勇者かよ!」ゲラゲラ
同級生B「いやー流石だわ!俺たちにゃ出来ないことやってきてるよなぁ!」ギャハハ
少年「はっ!?なんだそれ!そんなことしてるわけないだろ!」
同級生A「今更隠さなくてもいいって!今朝からみんなその話で持ちきりなんだしよ」ニヤニヤ
ヒソヒソ ジロジロ
少年「……っ」
『6月20日 嫌になるほど、晴れ
根も葉もない噂を流された。
雨の様に噂を垂れ流すのが好きな妖怪"イイフラシ"の奴らの仕業だろう。』
4: 2019/10/04(金) 18:12:19.07 ID:qYsOfvLU0
少女「……」
「少女、どうしたの?」
少女「ん?いや…なんでも」
「それよりさ、今日はどこ行く?」
少女「校庭かなー」
「またー?どうせ今日もノックでしょ」
少女「うん。付き合ってくれる?」
「えー…私はもうパスさせてもらおうかな。行きたいお店あるし」
少女「あはは…そうだよね」
「少女もいい加減その趣味はどうなの?女の子が野球っていうのも変な話」
少女「ほっといて。気が紛れるからやってるだけ」
「ふーん」
5: 2019/10/04(金) 18:20:31.83 ID:qYsOfvLU0
ーーーーーーー
教師「期末テストの結果、返してくぞ。順番に名前呼ぶから取りに来い。まずは少女」
少女「はい」
教師「ぼちぼち…ってとこだな」
教師「猫又娘」
猫又娘「はーい!」
教師「返事だけなら満点なんだがなぁ…もうちょっと真面目に勉強も取り組むように」
猫又娘「…はーい」
教師「二つ編み」
二つ編み「はい」
教師「…うん。言うことなしだ。この調子で頑張れ」
二つ編み「ありがとうございます」
教師「次は──」
少年(……ほんと、うんざりだ)
少年(バカみたいなことしてくるあいつらにも、それに便乗するクラスの奴らも)
少年(…けどもっと嫌んなるのは、みっともない逃避に縋る自分)
少年("アヤカシノート")
少年(いつからだっけな。こんな風にノートに嫌な出来事を書き付けるようになったのは)
少年(あいつらに言い返すこともしないで、自分で考えた妖怪のせいなんかにして……)
教師「派手娘」
派手娘「ん」
教師「…席ぐらい立ちなさい」
派手娘「はぁ?目の前なんだからそのまま渡して下さいよ」
教師「派手娘」
派手娘「…分かったわよ。面倒くさっ」
少年(……いや、どうせ奴ら様の仕業だ。この世の嫌なこと全部全部、悪い妖怪が起こしてるんだ)
少年(だからしょうがないんだよ。僕が何も出来ないのは。相手は恐ろしい妖怪なんだから)
教師「──少年、居ないのか?」
少年「!は、はい」
教師「聞こえてるなら早く来なさい。後回しにするぞ」
クスクスクス
少年「……」スクッ
少年(……はぁ)
少女「………」
.........
教師「期末テストの結果、返してくぞ。順番に名前呼ぶから取りに来い。まずは少女」
少女「はい」
教師「ぼちぼち…ってとこだな」
教師「猫又娘」
猫又娘「はーい!」
教師「返事だけなら満点なんだがなぁ…もうちょっと真面目に勉強も取り組むように」
猫又娘「…はーい」
教師「二つ編み」
二つ編み「はい」
教師「…うん。言うことなしだ。この調子で頑張れ」
二つ編み「ありがとうございます」
教師「次は──」
少年(……ほんと、うんざりだ)
少年(バカみたいなことしてくるあいつらにも、それに便乗するクラスの奴らも)
少年(…けどもっと嫌んなるのは、みっともない逃避に縋る自分)
少年("アヤカシノート")
少年(いつからだっけな。こんな風にノートに嫌な出来事を書き付けるようになったのは)
少年(あいつらに言い返すこともしないで、自分で考えた妖怪のせいなんかにして……)
教師「派手娘」
派手娘「ん」
教師「…席ぐらい立ちなさい」
派手娘「はぁ?目の前なんだからそのまま渡して下さいよ」
教師「派手娘」
派手娘「…分かったわよ。面倒くさっ」
少年(……いや、どうせ奴ら様の仕業だ。この世の嫌なこと全部全部、悪い妖怪が起こしてるんだ)
少年(だからしょうがないんだよ。僕が何も出来ないのは。相手は恐ろしい妖怪なんだから)
教師「──少年、居ないのか?」
少年「!は、はい」
教師「聞こえてるなら早く来なさい。後回しにするぞ」
クスクスクス
少年「……」スクッ
少年(……はぁ)
少女「………」
.........
6: 2019/10/04(金) 18:22:25.16 ID:qYsOfvLU0
教師「お前たち、期末テストが終わったからって気を抜くんじゃないぞ。うちは夏休み前の基礎学力テストがあるんだからな」
教師「内申点に大きく関わってくるから、推薦組もそうだが一般受験組にとっても大事な試験だ」
教師「それが終われば……いよいよ本格的な受験勉強の始まりだ」
少年(受験か…面倒だなぁ嫌だなぁ)
少年(入試なんて、いっそ妖怪が食べてしまってくれたらいいのに)
少年(……ここの奴らと離れられるのだけは清々するけど)
ーーー数日後ーーー
「起立、気を付けー、礼」
全員「さようなら」
ガタッ、ガタッ
「今日から俺塾なんだよね」
「そうなの?あれ、部活は?」
「県予選で負けて引退。いいとこまでいったんだけどさー」
ガヤガヤ
少年(塾…僕もそのうち行けって言われるのかな)
少年(今の成績じゃあんまりいいとこ行けないのは分かってるけど……めんどい)
少年「……ん?あれ…?」
ゴソゴソ
少年(おかしいな、財布、ここに入れといたはずなんだけど)
ガサゴソ
少年「……」
少年(……まさか、あいつら……)
『7月1日 晴れ、のちのち憂鬱
買ったばかりの財布が無くなった。
あームカつく。本当嫌んなる。奴らはきっと知らんぷりだろうし。
……そう、どうせ"カネクイ蟲"にでも喰われたんだ。とんだ災難だ。』
7: 2019/10/04(金) 18:24:41.30 ID:qYsOfvLU0
ーーー翌日ーーー
少年「……」テクテク
少年「……」テクテク
少年(……くそ……)
少年(今日は靴を隠された。これから帰ろうって時にうざったい。そんなことしてる暇があるならお前らこそとっとと帰れよ)
少年「……」テクテク
少年(…靴の事はまあいい。どうせ教室のゴミ箱辺りから出てくる)
少年(それより、もっとまずいのは…)
少年(──ノートをどこかに落としたみたいだ)
少年(見つかるのが教師ならまだいいけど、あんなのがクラスの誰かに見られたら……)
少年(見つけ出さないと。早く、早く…)
少年「……」スタスタ
少年(やっと戻ってきたか、教室)
ガラッ!
少年「!」
少女「あ…」フリムキ
少年(…誰だっけ。確か同じクラスの……)
少年(…気にしない気にしない。とりあえず靴を見つけてしまおう)チラッ
少年「──!?」
少女「……」
少年(おい……嘘だ……)
少年(この人が手に持ってるの……僕のノート……?)
少年「……」テクテク
少年「……」テクテク
少年(……くそ……)
少年(今日は靴を隠された。これから帰ろうって時にうざったい。そんなことしてる暇があるならお前らこそとっとと帰れよ)
少年「……」テクテク
少年(…靴の事はまあいい。どうせ教室のゴミ箱辺りから出てくる)
少年(それより、もっとまずいのは…)
少年(──ノートをどこかに落としたみたいだ)
少年(見つかるのが教師ならまだいいけど、あんなのがクラスの誰かに見られたら……)
少年(見つけ出さないと。早く、早く…)
少年「……」スタスタ
少年(やっと戻ってきたか、教室)
ガラッ!
少年「!」
少女「あ…」フリムキ
少年(…誰だっけ。確か同じクラスの……)
少年(…気にしない気にしない。とりあえず靴を見つけてしまおう)チラッ
少年「──!?」
少女「……」
少年(おい……嘘だ……)
少年(この人が手に持ってるの……僕のノート……?)
8: 2019/10/04(金) 18:26:18.28 ID:qYsOfvLU0
少年「………」
少女「……これ、あなたのだよね?」
少年「……」
少年「……見たのか?」
少女「…まぁ、ちょっとだけ」
少年「………」
少年(……あぁ……最悪だ……)
少年(最悪の失態)
少年(あんな奴らにいいようにやられてるってだけでも情けないのに、居もしない妖怪なんかのせいだと書き殴って…)
少年(こんな惨めな方法で、自分で自分を甘やかしてんだ)
少年(なのに…)
少女「……」
少年(なんでそんな目で見てくるんだよ)
少年(バカにするならバカにしろよ!哀れむなら哀れめよ!)
少年(何もかも見透かしたようなその目をやめろよ…!)
少年「……」グッ...
少年(さっきからなんなんだ…)
少年(こんなしょうもない僕に何か用かよ……)
少年(情けない……情けない……勝手に涙まで出てきそうだ)
少年(??面白いものが見られて良かったろ?満足したならもう消えてくれ)
少年(……そんなこと言えるはずもない)
少年「は……はは……」
少年「どうしようもないだろ。そんな日記」
少女「………」
少年「さぁ、笑ってくれよ」
少年「こんなバカな僕を」
少女「……」
少女「………」
少女「……ううん」フルフル
少年「…?」
少女「ふふっ、違うよ。バカにしたいとかじゃなくて」
少女「…ねぇ、少年君」
スッ(手を差し出す)
少女「友達になってくれませんか?」
9: 2019/10/04(金) 18:27:43.67 ID:qYsOfvLU0
少年「………は?」
少女「……」ニコッ
少年「え……え?」
少女「もう、いいからっ」ギュッ
グイッ(腕を引く)
少年「わっ」
少女「ちょっと付き合って。最近みんなさ、ぼくの暇つぶしについて来てくれなくなっちゃったんだ」
少年「暇つぶし?な、なにが…」
少女「これだよこれ」
少年「……野球ボールと、バット……?」
ーーー第二校庭ーーー
少女「それじゃ、いくよー」
少年「お、おう」
少女「」スッ
カキン!
ゴロッゴロッ
少年「おっと…!」キャッチ
少女「大丈夫ー?今のでも軽く打ったつもりなんだけどー!」
少年「軽くって言ったって…僕こういうことほとんどしたことないから!」
少女「そうかい?なら良い運動になるよー!」
少年「これからも続ける前提なのか…?」
少女「それよりボールボール!こっち投げて!」
少年「……」
ブンッ
少女「」パシッ
少女「二球目いくよー」
少年「……うーい」
カキン!
.........
10: 2019/10/04(金) 18:30:23.24 ID:qYsOfvLU0
少年「はぁ……はぁ……疲れた…」
少女「少年君、最初の一球以外ほとんど捕れなかったね」フフッ
少年「だから……慣れてないんだって…!」
少年「…きみはいつもこんなことを?」
少女「きみ…?…あ、もしかして少年君、ぼくの名前知らない?」
少年「う……だって喋ったこともなかったし…」
少女「少女だよ。同じクラスの帰宅部の」
少年(同じクラスなのは知ってたけど、帰宅部…)
少年「…部活、引退したとかじゃなくて?」
少女「いや?元から何も入ってないの。…参考までに訊くけど、ぼくって何部の印象?」
少年「えっと……」チラリ
(手に握られたバット)
少年「……野球部?」
少女「……んふ、ははっ」
少女「ねー、今このバットとボールだけ見て言ったでしょ」
少年「そりゃそうだよ。っていうかもうその印象しかないんだけど」
少女「別にぼく、野球が好きってわけじゃないんだ。ただ、こうやって何も考えないで打ったり捕ったりするのが落ち着くんだよね」
少年「……」
少女「ほら、うちの学校って校庭が二つあるじゃない?放課後、部活でこっちの校庭使われること滅多にないからさ、よくこうやって身体動かしてたんだ」
少年「ふーん、通りで。僕も帰宅部だけど、帰りに少女さんのこと見かけた記憶がないわけだ」
少女「そもそも二年生まではクラス違ったけどね。……ま、最近はもう友達もみんなぼくに付き合ってくれなくなっちゃって。そろそろこの趣味も限界かなって思ってたの」
少年「……それで僕を?」
少女「それもある」ニッ
少年「……」
少年(……)
少年「…あの、さ」
少女「ん?」
少年「見たんだよね……その……ノート」
少年「何も…思わなかったの…?」
少女「思ったよ」
少年「……」
11: 2019/10/04(金) 18:33:44.56 ID:qYsOfvLU0
少女「──諦めないで、ちゃんと精一杯抵抗してるんだなって」
少年「え」
少年「抵抗…?あのノートの意味、分かってる…?」
少女「もちろん。やられたこと、妖怪の仕業にして日記みたいにつけてたんでしょ?」
少年「分かってるなら──」
少女「だからだよ」
少年「…?」
少女「例え妖怪のせいにしてるんだとしても、嫌なものは嫌だってはっきりと書いてるじゃん」
少女「きみの気持ちはまだ泣き寝入りしてない」
少年「?!」
少年(僕の…気持ち…)
少女「それにさ、ぼく、前から気に入らなかったんだよね。ああいうの」
少年「同級生A達のこと?」
少女「そ。自分さえ面白ければいいと思ってる。いつまでもちっさい子供のままの精神年齢」
少女「ね、何でちょっかい出されるようになったの?」
少年「……なんか、自分のこと僕って言うのが変だってところから絡まれ始めた…」
少女「……」
少女「あっきれた。そんなしょうもないことでずっといじり続けてるんだ?」
少女「ほんと、どこにでもいるんだよね。少しでも周りと違うところがあると鬼の首取ったみたいに騒ぎ立てる人」
少年「…なんか、少女さんてさ」
少女「なに?」
少年「大人っぽい考え方してるね」
少女「…別に。そういう理に適ってないバカバカしいことが嫌いなだけ」
少女「でも、ぼくとおんなじだね」
少年「え、少女さんもあいつらに…?」
少女「違う違う。"ぼく"、だよ」
少年「……!あ」
少女「ふふ」
少年(…さっきも思ったけど、綺麗な笑い方する人だな…)
12: 2019/10/04(金) 18:35:37.36 ID:qYsOfvLU0
少女「というか!」
少女「なに他人事みたいに話聞いてるの!当事者はきみなんだからね?」
少年「んなこと言ったって……僕から何かしてもますます面倒なことになるだけだよ」
少女「だから、何のためにぼくがいると思ってるの」
少年「…はい?」
少女「あっちは二人、こっちは一人じゃ不公平だもの。ぼくを入れて二人。これで対等」
少年「えー…つまり?」
少女「明日から、ぼくと一緒に過ごせばいいってこと」
少年「……少女さんと?」
少女「」ウンウン
少年「…僕が?」
少女「やっぱり一人の方がいいって?」
少年「い、いやいやそんなこと言ってないけど…!」
少年「……いいの?僕なんかと一緒に居るなんて……」
少女「いいって言ってるでしょう」
少女「あ、その代わり、この二人野球には付き合ってもらうから」ニッ
少年「…次は僕にも打つ方やらせてくれよ?」
少女「!…ふふ、いいよ」
少女「でも、とりあえずそれは少し先になりそう」
少年「え。しばらく僕は捕球の練習してろってこと!?」
少女「違いますー。基礎学力テストが近いでしょ?その勉強しとかないと」
少年「……捕球の方がまだマシだ」
少女「勉強も付き合ってあげるから」
少女「何はともあれ──」
少女「これからよろしくね」ニコッ
少年「……こちらこそ」
13: 2019/10/04(金) 18:36:50.46 ID:qYsOfvLU0
ーーー神社ーーー
(………)
(………)
(……!)
(裂けた1枚の紙札)
(これは……)
(……良くないことになったようで……)
(………)
(油断していた……)
(まさか……歪み出すか……)
(この世界が──)
(………)
(………)
(……!)
(裂けた1枚の紙札)
(これは……)
(……良くないことになったようで……)
(………)
(油断していた……)
(まさか……歪み出すか……)
(この世界が──)
14: 2019/10/04(金) 18:38:42.45 ID:qYsOfvLU0
ーーー翌日 学校ーーー
少女「おはよ、少年君」
少年「あ、おはよう」
少女「思ったんだけど、ぼくたちって席前後同士だったんだね」
少年「そうだね…」
少年(全然気付いてなかった…)
少女「…なんか少年君、かたくない?具合でも悪い?」
少年「いや、その…」
少年(だってクラスの…それも女子と話すことなんて今までなかったし…)
少女「いっつもこの時間てさ、本読んでなかったっけ」
少年「え、うん」
少女「どんなの読んでるの?よかったら少し教えて欲しいかも」
少年「…今読んでるのはこれで」ゴトッ
少年「舞台はファンタジーチックな世界なんだけど、魔法とか剣とかほとんど出てこなくて、むしろ主人公の女の子が最初記憶喪失でさ──」
少女「うん、うん、それで──」
ガララッ
同級生A「へぇ。それマジなの?」
同級生B「最近やたら噂になってんの、聞いたことない?」
同級生A「いや初めて聞いたわ。その、なんだっけ」
少年(…あいつら…)
同級生B「"トドノツマリ様"な」
同級生A「そうそう。願いを聞いてくれるって、試した奴いんの?」
同級生B「そこまでは知らん。なんか代償として血を抜かれるとか人格を取られるとかいう話だしな」
同級生A「ほーん……お、丁度いい奴がいんじゃん」ニヤ
同級生B「俺も、多分お前とおんなじこと考えてる」ニヤ
少女「おはよ、少年君」
少年「あ、おはよう」
少女「思ったんだけど、ぼくたちって席前後同士だったんだね」
少年「そうだね…」
少年(全然気付いてなかった…)
少女「…なんか少年君、かたくない?具合でも悪い?」
少年「いや、その…」
少年(だってクラスの…それも女子と話すことなんて今までなかったし…)
少女「いっつもこの時間てさ、本読んでなかったっけ」
少年「え、うん」
少女「どんなの読んでるの?よかったら少し教えて欲しいかも」
少年「…今読んでるのはこれで」ゴトッ
少年「舞台はファンタジーチックな世界なんだけど、魔法とか剣とかほとんど出てこなくて、むしろ主人公の女の子が最初記憶喪失でさ──」
少女「うん、うん、それで──」
ガララッ
同級生A「へぇ。それマジなの?」
同級生B「最近やたら噂になってんの、聞いたことない?」
同級生A「いや初めて聞いたわ。その、なんだっけ」
少年(…あいつら…)
同級生B「"トドノツマリ様"な」
同級生A「そうそう。願いを聞いてくれるって、試した奴いんの?」
同級生B「そこまでは知らん。なんか代償として血を抜かれるとか人格を取られるとかいう話だしな」
同級生A「ほーん……お、丁度いい奴がいんじゃん」ニヤ
同級生B「俺も、多分お前とおんなじこと考えてる」ニヤ
15: 2019/10/04(金) 18:40:45.34 ID:qYsOfvLU0
同級生A「おーい、少年よ」
少年「……」
同級生B「無視すんなって(笑)」
少年「…もうすぐ先生来るぞ、座ってろよ」
同級生A「まだ5分以上あるわ。んなことよりさ、お前トドノツマリ様って知ってるか?」
少年「知らない」
同級生B「ま、少年は自分の噂話にも疎いもんな」ククッ
少年「っ」
同級生A「でよ、何でもその人(?)に願いを言うと叶えてくれるんだってよ。お前ちょっとやってみてくんない?」
少年(…全部聞こえてたけどな。代償の話も。どこまで人をバカにすれば気が済むんだ)
同級生A「噂だと場所は神社だって話だぜ。石段の無駄に長いあそこ」
少年「…南町神社だろ?」
同級生A「おう。なぁお前さ、今日か明日かどうせ暇だろうし願い事の一つでも──」
少女「ねぇ、その話長い?」
同級生A「え…」
少女「今ぼくが話してたんだけど、それ長くなるならまた今度でもいいかな?」
同級生A「あ…?いやお前──」
猫又娘「はいはーい、どいてどいてー!」トットットッ
同級生A「おぅ…!?」ドカサレ
同級生B「なんだよ…」サッ
猫又娘「あれ?キミたち、もう先生こっちに歩いて来てるよ?席戻った方がいいんじゃない?」
同級生A・B「「……」」
テクテク
猫又娘「♪」テッテッテッ
少年「……」
少女「……クスッ」ピース
少年「……くふっ」
16: 2019/10/04(金) 18:43:17.97 ID:qYsOfvLU0
ーーー昼休みーーー
同級生A「──なぁどこ行こうとしてたんだよぉ」
少年「どこだっていいだろ…!離せよ…!」
同級生B「昼飯の時間になって速攻で出てこうとしてたじゃん。…もしかして便所飯とかか?」
同級生A「ぎゃっはは!してそー!便所飯始めましたってか?」
少年「してねーよ。時間なくなるから離せって!」
少女「何してんの?」
同級生A「お?」
同級生B「ん?」
少女「…ぼくと少年君、ご飯食べに行くんだけど、何か用?」ツカツカ
同級生A「用っつーか…こいつがどこ行くか聞いてただけで」
少女「ならもう済んだじゃない」
少女「さ、行こ。少年君」スッ
少年「あぁ…」
スタスタスタ...
同級生B「………」
同級生A「……チッ」
ーーー第二校庭 端のベンチーーー
少年「外で昼食べるのって初めてだ」
少女「そうだねー。普通は教室で食べるからね。でもうち中学なのに購買あるし、その辺結構自由なんだと思ってる」パカッ
少年「まぁね…僕は行ったことないけど」カパッ
少女「…お弁当、それお母さんに作ってもらってるの?」
少年「うん」
少女「いいなぁ。ぼくの家親が忙しくてさ、お金渡すか自分で作るかのどっちかだって言われちゃって」
少年「ん…?じゃあそれは自分で?」
少女「そ。どう?最近は少しずつ慣れてきたと思ってるんだけど」
少年「どう、って……」
少年(すごい綺麗に盛り付けられてるし、美味しそう…)
少女「…ふふ、ありがと」
少年「え!?何も言ってないよ!?」
少女「目、見れば分かるから」クスッ
少年「そ、そんな分かりやすい顔してたかな…」
同級生A「──なぁどこ行こうとしてたんだよぉ」
少年「どこだっていいだろ…!離せよ…!」
同級生B「昼飯の時間になって速攻で出てこうとしてたじゃん。…もしかして便所飯とかか?」
同級生A「ぎゃっはは!してそー!便所飯始めましたってか?」
少年「してねーよ。時間なくなるから離せって!」
少女「何してんの?」
同級生A「お?」
同級生B「ん?」
少女「…ぼくと少年君、ご飯食べに行くんだけど、何か用?」ツカツカ
同級生A「用っつーか…こいつがどこ行くか聞いてただけで」
少女「ならもう済んだじゃない」
少女「さ、行こ。少年君」スッ
少年「あぁ…」
スタスタスタ...
同級生B「………」
同級生A「……チッ」
ーーー第二校庭 端のベンチーーー
少年「外で昼食べるのって初めてだ」
少女「そうだねー。普通は教室で食べるからね。でもうち中学なのに購買あるし、その辺結構自由なんだと思ってる」パカッ
少年「まぁね…僕は行ったことないけど」カパッ
少女「…お弁当、それお母さんに作ってもらってるの?」
少年「うん」
少女「いいなぁ。ぼくの家親が忙しくてさ、お金渡すか自分で作るかのどっちかだって言われちゃって」
少年「ん…?じゃあそれは自分で?」
少女「そ。どう?最近は少しずつ慣れてきたと思ってるんだけど」
少年「どう、って……」
少年(すごい綺麗に盛り付けられてるし、美味しそう…)
少女「…ふふ、ありがと」
少年「え!?何も言ってないよ!?」
少女「目、見れば分かるから」クスッ
少年「そ、そんな分かりやすい顔してたかな…」
17: 2019/10/04(金) 18:45:30.32 ID:qYsOfvLU0
少年(………)
少年「…あの、ありがとう」
少女「んー?」ハムハム
少年「あいつら、追い払ってくれたから。僕に突っかかってきてた時に」
少女「呼んでもないのに邪魔してくるからどいてもらっただけだよ」
少年「……僕より男らしい……」ボソッ
少女「聞こえてますよー。本当はきみがあの人達に強く言えば済むことかもしれないんだよ?」
少年「そう…かな…」
少年「そうは思えなくて…調子に乗ってもっとやられる気がする…」
少女「昨日も同じようなこと聞いた」
少年「……」
少女「そう考えちゃうのは仕方ないと思うけどさ……どこかで変えなくちゃ」
少女「他人を変えたいならまず自分が変わること。そうしないと、ずーっとそのままだよ」
少年「……もうすぐ卒業だし、別に僕が変わらなくても、周りが変わっていくよ……」
少女「……」
少女「それも、一つの考え方かもね」
少年「……」...パク
少女「……」ハム..ハム..
少年「………」
少年「…やっぱりさ、怖いよ」
少女「何が?」
少年「こうやって、僕と一緒に居て、あいつらの邪魔してたらさ…少女さんまで変なちょっかい出されそうで…」
少年「僕のせいで少女さんが目付けられるのは……」
少女「………」
少女「……これ、もらうね」ヒョイッ、パク
少年「…?あ!僕の唐揚げ!」
少女「油断大敵です♪」
少女「あのね、きみはそもそもぼくの心配をする資格はありません!」
少年「へ…?」
少女「自分のこともいっぱいいっぱいの人が他人の心配なんか出来なくていいの」
少女「それに、ぼくがそんなこと気にする人だったら、元より少年君と関わろうとなんか思わないよ」
少女「きみは大人しくぼくの"暇つぶし"に付き合ってくれてればいいんです」
少年「………」
少年(……なんだろう……上手く言い表せられないけど)
少年(…心がくすぐったい)
18: 2019/10/04(金) 18:48:12.02 ID:qYsOfvLU0
少女「はい」スッ
少年「!」
少女「唐揚げの代わり。要る?」
少年「卵焼き…?」
少女「なーに?唐揚げとじゃ釣り合わないって?」
少年「そうじゃないけど」
少年(これ、少女さんの箸…)
少年「……食べていいの?」
少女「どうぞどうぞ」
少年「……」
パクリ
少女「!?」
少年「」ムグムグ
少女「ぁ…と…」
少年「」ゴクン
少年「うん、美味しいよ。…ってどうしたの?」
少女「いや、てっきりフタか何かに乗せて食べるもんだと思ってたから…」
少年「……あ」
少年(今、そのまま箸ごと口に入れて……!)
少年「ご、ごめん!だよね、普通そうだよね!?箸洗ってくるよ!貸して貸して!ほんとごめんこんな気持ち悪いこと…!」
少女「……ぷっ、あはは!」
少女「いくらなんでも慌て過ぎ!早口言葉じゃないんだから…んふふ…」カタフルワセ
少年「」ポカン
少女「気持ち悪いなんて思ってないよ。ちょっとびっくりしただけ。箸もこのまま使えるから、ぼくは気にしないよ」
少年(き、気にしないって)
少女「」ハムハム
少年(僕が気にするんですけど……)ドキドキ
19: 2019/10/04(金) 18:49:05.03 ID:qYsOfvLU0
少女「そうそう、後は今日の放課後ね」
少年「あ、もしかして」
少女「うむ」
少女「勉強!」
少年「野球!」
少女「……少年君」
少年「う……」
少女「ぼく言ったよね?基礎学力テストに向けて対策だって」
少年「本当にするのぉ…?」
少女「知ってるんだよ?少年君そんなに成績良くないよね」
少年「」グサリ
少女「基礎なんだから、時間かけてちゃんとやれば確実に点が取れるテストなんです!ここで少しでも内申上げとけば後々本番で効いてくるからさ」
少年「分かってるけどさ」ウーン
少女「…1時間くらい。短く効率的にやろ。ダラダラつまんなく勉強するのも嫌でしょ?」
少年「……」
少年「よろしくお願いします、先生」ペコ
少女「よろしい」ニッコリ
20: 2019/10/04(金) 18:51:27.02 ID:qYsOfvLU0
ーーー夕方 町中ーーー
テク..テク..
黒服男「……」テク..テク..
黒服男「……」テク..テク..
「わははは!おまえの宝はいただいていくぞー!」タタタッ
「待てー!怪盗エックス!この聖剣で成敗してくれる!」タタタッ
「誰が捕まるものかー!わっはっは」タタタッ
ドンッ
「いたっ」
黒服男「………」
「あ……ごめんなさい」
「なにぶつかってんだよっ」
「だって曲がったらいきなり居たんだもん…」
「…あっちの公園で続きやろう!」タッタッ
「待ってよ!」タッタッ
タッタッタッ...
黒服男「……」
黒服男(随分と)
黒服男(ここの景観も変わったものだ)
黒服男(俺の知る頃とはまるで違う。最早別の世界へ足を踏み入れたようだ)
黒服男(……む?)
同級生A「なぁ、お前、俺たちのこと少女になんか言ったのか?」
少年「言ってないけど…」
同級生B「嘘つけ。あいつ明らかに俺らを敵視してたろ」
同級生A「何チクったんだよ。正直に言え」
少年「だからなんも言ってないって」
少年(自分からはな)
テク..テク..
黒服男「……」テク..テク..
黒服男「……」テク..テク..
「わははは!おまえの宝はいただいていくぞー!」タタタッ
「待てー!怪盗エックス!この聖剣で成敗してくれる!」タタタッ
「誰が捕まるものかー!わっはっは」タタタッ
ドンッ
「いたっ」
黒服男「………」
「あ……ごめんなさい」
「なにぶつかってんだよっ」
「だって曲がったらいきなり居たんだもん…」
「…あっちの公園で続きやろう!」タッタッ
「待ってよ!」タッタッ
タッタッタッ...
黒服男「……」
黒服男(随分と)
黒服男(ここの景観も変わったものだ)
黒服男(俺の知る頃とはまるで違う。最早別の世界へ足を踏み入れたようだ)
黒服男(……む?)
同級生A「なぁ、お前、俺たちのこと少女になんか言ったのか?」
少年「言ってないけど…」
同級生B「嘘つけ。あいつ明らかに俺らを敵視してたろ」
同級生A「何チクったんだよ。正直に言え」
少年「だからなんも言ってないって」
少年(自分からはな)
21: 2019/10/04(金) 18:53:39.27 ID:qYsOfvLU0
少年(……)
少年「…お前らこそさ、少女さんが居ないところでしか僕にでかい顔出来ないの?」
同級生A「…あ?」
少年「こんな時間まで僕のこと待ち伏せて…女子一人にビビってるとか?」
同級生A「あんま調子に乗ってんじゃねーぞっ」ドンッ
少年「っ!」ドサッ
同級生B「抑えろって。こんなザコにムキになるなよ」
同級生A「……はー」
同級生A「俺たちにビビって女子に助けてもらってんのはお前だろ?よかったでちゅね、僕ちゃん。守ってくれるママが出来て」
同級生B「ぶはっ!ほんと、だっせーよなぁ」ケラケラ
同級生A「じゃあな弱虫くん。せいぜいおままごとでも続けてな」ハハハ
テクテクテク...
少年「……く…っそぅ……」
少年(やっぱ、俺が言うだけじゃ……)
少年「……」スクッ
少年「帰ったら…ノートに……」ブツブツ
スタスタ...
黒服男「……」
黒服男「……やはり」
黒服男(景色、時代は変われど)
黒服男(──人間は何一つ変わっていない)
黒服男(愚かで傲慢)
黒服男(醜悪な独善)
黒服男「………」
黒服男(…あの男。何を思い、過ごすのだろうか)
黒服男「……」
ススッ...
22: 2019/10/04(金) 18:57:25.99 ID:qYsOfvLU0
ーーー数日後 学校ーーー
少女「もー…普通昼休みに機材運搬とか頼むかな。いくら日直だからって」テクテク
少女「うちの担任人使い荒い気がする」テクテク
少女「……戻ったら少年君に今日の勉強の話でもしてやろっかな。どんな顔するだろ」フッ
...トットットッ
同級生A「……」
同級生B「……」
少女「……何?」
黒服男「ほう、これは……」
黒服男(面白いな)
ーーー教室ーーー
ワイワイ ガヤガヤ
少年「……」
少年「………」
少年(少女さん、荷物運んでくるだけって言ってたけど遅いな…)
少年(ちょっと見てこよう)
少年「」ガタッ
トットットッ...
少女「もー…普通昼休みに機材運搬とか頼むかな。いくら日直だからって」テクテク
少女「うちの担任人使い荒い気がする」テクテク
少女「……戻ったら少年君に今日の勉強の話でもしてやろっかな。どんな顔するだろ」フッ
...トットットッ
同級生A「……」
同級生B「……」
少女「……何?」
黒服男「ほう、これは……」
黒服男(面白いな)
ーーー教室ーーー
ワイワイ ガヤガヤ
少年「……」
少年「………」
少年(少女さん、荷物運んでくるだけって言ってたけど遅いな…)
少年(ちょっと見てこよう)
少年「」ガタッ
トットットッ...
23: 2019/10/04(金) 18:58:12.88 ID:qYsOfvLU0
ーーーーーーー
少女「どいてくれない?そこ邪魔なんだけど」
同級生A「…お前さ、どういうつもりだよ」
少女「は?何が?」
同級生A「何がじゃないっつの。なんであいつの肩持ってんだって訊いてんの」
黒服男(あの娘、かの男を常に見守る者…)
黒服男(否。無償の善意など人の世に存在しない)
黒服男(その心積もり、ついに聞くる時が来たか)
少女「肩を持つ?そうかもね。最近勉強教えてあげてるし」
同級生B「そうじゃない。少年の近くでさ、目障りだから消えてくれって言ってんだよ」
少女「何の目障りになってるの?」
同級生B「そりゃ……」
同級生A「……」
少女「……」
同級生A「…つーかお前、少年のこと好きなん?」
同級生B「おー、なるほど。通りで」
同級生A「マジかぁ。申し訳ないけど、男の趣味見直した方がいいぜ?」
ギャハハ
少女「…答えに詰まったら話を逸らして人格攻撃?ほんと、小物感すごいねあなたたち」
同級生A「は?」
少女「別に少年君のことどう思ってるとか、あなたたちに教える必要ないよね」
同級生B「否定しないってことは好きなんだろ?陰キャラ同士お似合いじゃん」
同級生A「うーわ、おもしれーな。大スキャンダルです!あの少年氏に熱愛が発覚!僕僕コンビの結成と相成りました!」
同級生B「僕僕コンビて(笑)」
少女「……フッ。また噂でも流す?」
少女「この前少年君にしたみたいに」ニヤリ
同級生A・B「「……」」
黒服男「………」
黒服男(……違う)
少女「どいてくれない?そこ邪魔なんだけど」
同級生A「…お前さ、どういうつもりだよ」
少女「は?何が?」
同級生A「何がじゃないっつの。なんであいつの肩持ってんだって訊いてんの」
黒服男(あの娘、かの男を常に見守る者…)
黒服男(否。無償の善意など人の世に存在しない)
黒服男(その心積もり、ついに聞くる時が来たか)
少女「肩を持つ?そうかもね。最近勉強教えてあげてるし」
同級生B「そうじゃない。少年の近くでさ、目障りだから消えてくれって言ってんだよ」
少女「何の目障りになってるの?」
同級生B「そりゃ……」
同級生A「……」
少女「……」
同級生A「…つーかお前、少年のこと好きなん?」
同級生B「おー、なるほど。通りで」
同級生A「マジかぁ。申し訳ないけど、男の趣味見直した方がいいぜ?」
ギャハハ
少女「…答えに詰まったら話を逸らして人格攻撃?ほんと、小物感すごいねあなたたち」
同級生A「は?」
少女「別に少年君のことどう思ってるとか、あなたたちに教える必要ないよね」
同級生B「否定しないってことは好きなんだろ?陰キャラ同士お似合いじゃん」
同級生A「うーわ、おもしれーな。大スキャンダルです!あの少年氏に熱愛が発覚!僕僕コンビの結成と相成りました!」
同級生B「僕僕コンビて(笑)」
少女「……フッ。また噂でも流す?」
少女「この前少年君にしたみたいに」ニヤリ
同級生A・B「「……」」
黒服男「………」
黒服男(……違う)
24: 2019/10/04(金) 19:03:28.71 ID:thfh8h7eO
ーーーーーーー
テクテク
少年「」キョロキョロ
少年「…どこだろう」
少年(確か視聴覚室とか言ってたけど……もうすれ違ったとかかな)
少年「……」テクテク
少年(あの日から毎日、学校では少女さんと一緒に行動している)
少年(彼女は竹を割ったような性格で、何かとおどおどしてしまう僕とは対照に、常に落ち着いている)
少年(でも急かされてるとか見下されてるとかそういうのはなくて……何だか居心地が良い)
少年(僕に突っかかってくるあいつらも少女さんと居る時は手を出してこなくなった)
少年(……彼女は、何だろう)
少年(僕の都合の良い夢とかじゃあないよな…?)
少年(……いや、絶対夢なんかじゃない。彼女と出会ってからこんなに楽しい時間が、夢でたまるか)
少年(勉強に関しては若干圧を感じなくもないけども……)
少年「…ここだ」
札『視聴覚室』
少年(着いたけど)
少年(…居る気配はしないな。やっぱりもう戻ってるんだろうな)
少年「……?」
黒服男「……」(窓の外を眺めている)
少年(……誰だ…?制服みたいな格好だけど……ここの卒業生?)
黒服男「……」
少年「……」
少年(……気にしてもしょうがない。戻らないと、少女さんに探され──)
黒服男「面白いものが見えるよ」
少年「……え」
黒服男「……」
少年「…僕、ですか?」
黒服男「ほら、見てみな」
少年(?面白いもの…確かにこの人さっきから何を)チラリ
少年「──!」
テクテク
少年「」キョロキョロ
少年「…どこだろう」
少年(確か視聴覚室とか言ってたけど……もうすれ違ったとかかな)
少年「……」テクテク
少年(あの日から毎日、学校では少女さんと一緒に行動している)
少年(彼女は竹を割ったような性格で、何かとおどおどしてしまう僕とは対照に、常に落ち着いている)
少年(でも急かされてるとか見下されてるとかそういうのはなくて……何だか居心地が良い)
少年(僕に突っかかってくるあいつらも少女さんと居る時は手を出してこなくなった)
少年(……彼女は、何だろう)
少年(僕の都合の良い夢とかじゃあないよな…?)
少年(……いや、絶対夢なんかじゃない。彼女と出会ってからこんなに楽しい時間が、夢でたまるか)
少年(勉強に関しては若干圧を感じなくもないけども……)
少年「…ここだ」
札『視聴覚室』
少年(着いたけど)
少年(…居る気配はしないな。やっぱりもう戻ってるんだろうな)
少年「……?」
黒服男「……」(窓の外を眺めている)
少年(……誰だ…?制服みたいな格好だけど……ここの卒業生?)
黒服男「……」
少年「……」
少年(……気にしてもしょうがない。戻らないと、少女さんに探され──)
黒服男「面白いものが見えるよ」
少年「……え」
黒服男「……」
少年「…僕、ですか?」
黒服男「ほら、見てみな」
少年(?面白いもの…確かにこの人さっきから何を)チラリ
少年「──!」
25: 2019/10/04(金) 19:05:10.78 ID:thfh8h7eO
同級生A「……──、─!」
少女「──、──?」
同級生B「───。──、──」
少年(少女さん……?)
少年(なんで、あいつらと……)
ーーーーーーー
同級生A「だーかーらー!どこに俺たちが流したっつー根拠があるんだよ!」
少女「根拠、証拠って、推理アニメの犯人の台詞そのもの」
少女「そんなのさ、誰だって分かってるよ。あなたたちが少年君にしてることみんな知ってるし」
少女「…それも知っててあんな茶番やってるんだよね?虚しくならないの?」クスッ
同級生B「あー…お前面倒くさいなぁ」
少女「あなたたちよりはマシだと思うけど」
同級生A「……はっ、正義の味方気取りか」
少女「常識の味方です」フフッ
ーーーーーーー
少女「──」クスッ
少年「……」
少年(何か楽しそう…?いやそんな…)
黒服男「随分仲が良さそうだよね」
少年「……いえ、あの子はあいつら二人が嫌いなのでそんなことは」
黒服男「本当に?俺が見てる時からあんな雰囲気だったけど」
少年「え…」
黒服男「それ、きみの思い込みじゃなくて?よくいるだろう、仲悪いフリしてる人が実は裏では親密な付き合いを続けているなんて」
黒服男「あるいはその逆も」
少年「……」
黒服男「あの女の子も、彼らと楽しく陰口ででも盛り上がっているんじゃないかな?」
黒服男「─一同じクラスの誰かさんの、とか」
26: 2019/10/04(金) 19:07:06.66 ID:thfh8h7eO
少年「……そんなこと……」
黒服男「そう言い切れるか?」
黒服男「きみはあの娘のことをどれだけ知ってる?」
黒服男「あの娘の本質を」
少年「………」
少年(………)
少年(……ないだろ、少女さんに限って)
けどもしも、その通りなら?
少年(………)
本当はあいつらと裏で繋がっていて、僕をからかうための芝居を打ってるだけだとしたら…?
少年(……そんなの……)
少年「……」グッ...
黒服男「………」
黒服男(……そうだ。これだ)
黒服男(感じる、この男の"黒き心")
黒服男(紛うことなき人間の本質)
少年「……少女……」
黒服男(人の心など、信ずるに値しない愚物)
黒服男(裏切り、憎しみ、排他)
黒服男(あらゆる汚物で組成されたもの)
黒服男「……」ニィ
黒服男(…若き男よ。俺がその感情の手助けをしてやろう)スッ...
ドクン
少年「………」
少年(…そう、か。よくよく考えればおかしいことだらけだ)
少年(僕のノートを見ても引かないどころか友達になりたがったり、こんな数日であそこまで仲良くしてくれたり)
少年(初めから全部、あいつらの差し金だったんだ)
少年(僕は結局一人アホみたいに舞い上がって……)
少年「……」
少年(あぁ……嫌だ)
少年(僕をバカにする奴も、陰で嘲笑う奴も、みんなみんな…)
──憎い
27: 2019/10/04(金) 19:08:11.59 ID:thfh8h7eO
ーーーーーーー
同級生A「だー!もうわっかんねーかなぁ!俺たちの前にしゃしゃり出てくるなっつってんの!」
少女「どこで何してようがぼくの勝手じゃない」
同級生B「……あのさ、ムカつくんだよお前。その喋り方とか、余計に」
同級生B「マジで俺らの邪魔しないでくんね?痛い目見ても知らねぇよ?」
少女「……それ脅してるの?」
少女「クスッ、言葉じゃ勝てないから?」
同級生A「………」
同級生B「チッ……」
同級生A「……ぶっ飛ばす」
少女「……その気なら、相手になるけど」
ゴソ...
同級生A「…!?」
同級生B「バット…?」
同級生A「ど…どっから出したんだよ…」
少女「……」ザッ
少女「なに?やるんじゃないの?」スッ...
同級生B「……っ」
同級生B「こいつ、やべぇ…」
同級生A「頭おかしいわ…」
タッタッタッ...
少女「………」
少女「口ほどにもない奴ら」
少女「…なんて、一回口に出して言ってみたかったんだよね」フフ
少女「無駄な時間使った。早く戻ろ」
同級生A「だー!もうわっかんねーかなぁ!俺たちの前にしゃしゃり出てくるなっつってんの!」
少女「どこで何してようがぼくの勝手じゃない」
同級生B「……あのさ、ムカつくんだよお前。その喋り方とか、余計に」
同級生B「マジで俺らの邪魔しないでくんね?痛い目見ても知らねぇよ?」
少女「……それ脅してるの?」
少女「クスッ、言葉じゃ勝てないから?」
同級生A「………」
同級生B「チッ……」
同級生A「……ぶっ飛ばす」
少女「……その気なら、相手になるけど」
ゴソ...
同級生A「…!?」
同級生B「バット…?」
同級生A「ど…どっから出したんだよ…」
少女「……」ザッ
少女「なに?やるんじゃないの?」スッ...
同級生B「……っ」
同級生B「こいつ、やべぇ…」
同級生A「頭おかしいわ…」
タッタッタッ...
少女「………」
少女「口ほどにもない奴ら」
少女「…なんて、一回口に出して言ってみたかったんだよね」フフ
少女「無駄な時間使った。早く戻ろ」
28: 2019/10/04(金) 19:10:04.90 ID:thfh8h7eO
ーーー教室ーーー
少女「ごめん、遅くなっちゃった」
少年「………」
少女「もうお昼の時間半分くらいしかないけど……ってあれ、お弁当先食べててよかったのに」
少女「わざわざ待っててくれたの?そういうとこ、律儀だよね。嫌いじゃない」ニコッ
少年「……」
少女「…少年君?」
少年「ね…あいつらの言ってたさ、あの噂」
少女「噂?」
少年「トドノツマリ様」
少女「それどうせ眉唾ものだよ」
少年「僕、少し気になるかも」
少女「えー……」
少年「今週の土曜日さ、一緒に確かめに行ってみない?」
少女「土曜日……空いてるといえば空いてるけど…」
少年「だめ?」
少女「……じゃあその後、勉強まで付き合ってくれるって言うならいいかなー」
少年「決まりだね、行こう」
少女「即決っ」
少女(…なんか反応が薄い…?)
少女「…テストまで後1週間ちょっと。そろそろスパートかけてくけどついてこれるかな?」
少女「あそこで黙々と勉強してる二つ編みさんみたいに」
二つ編み「……」カキカキ
少女「それとも、ちょっと休憩するとき打ってみようか?今度は少年君がね」
少年「……いや、いいよ。ノックはテストの後でも」
少女「……そう?」
少女(……?)
少女「ごめん、遅くなっちゃった」
少年「………」
少女「もうお昼の時間半分くらいしかないけど……ってあれ、お弁当先食べててよかったのに」
少女「わざわざ待っててくれたの?そういうとこ、律儀だよね。嫌いじゃない」ニコッ
少年「……」
少女「…少年君?」
少年「ね…あいつらの言ってたさ、あの噂」
少女「噂?」
少年「トドノツマリ様」
少女「それどうせ眉唾ものだよ」
少年「僕、少し気になるかも」
少女「えー……」
少年「今週の土曜日さ、一緒に確かめに行ってみない?」
少女「土曜日……空いてるといえば空いてるけど…」
少年「だめ?」
少女「……じゃあその後、勉強まで付き合ってくれるって言うならいいかなー」
少年「決まりだね、行こう」
少女「即決っ」
少女(…なんか反応が薄い…?)
少女「…テストまで後1週間ちょっと。そろそろスパートかけてくけどついてこれるかな?」
少女「あそこで黙々と勉強してる二つ編みさんみたいに」
二つ編み「……」カキカキ
少女「それとも、ちょっと休憩するとき打ってみようか?今度は少年君がね」
少年「……いや、いいよ。ノックはテストの後でも」
少女「……そう?」
少女(……?)
29: 2019/10/04(金) 19:12:21.65 ID:thfh8h7eO
ーーー夜 少女家ーーー
少女「……」スマホイジイジ
少女「……」スッ、スッ
少女「……んー……」
少女「トドノツマリ様、とどのつまりさま…?」
少女「ダメだなー、どう検索しても引っかからない」
少女(LINEで訊いてみよ。えーと、同じクラスの……)
少女「」スッスッ
少女『トドノツマリ様って知ってる?』
少女「……」
ーーーーー
少年「──いや、いいよ。ノックはテストの後でも」
ーーーーー
少女(……お昼の時から、口数が減った気がする)
少女(気のせいかな)
ピロリン
『知ってるよー。なんか噂になってるやつだよね?神社に居る神様?みたいな』
少女『そうそう。願いを叶えてくれるけど、その代わり何かを取られるって。そんな話聞いたことない?』
『いくつかパターンがあるみたいよ』
『でも意外。少女ってそういうオカルトとか興味ないと思ってた』
少女『んー、まあ誘われたから付いてくだけだよ』
『それで下調べ?結構気合い入ってるじゃん!』
少女『余計な勘繰りしないでよろしい』
少女「……」スマホイジイジ
少女「……」スッ、スッ
少女「……んー……」
少女「トドノツマリ様、とどのつまりさま…?」
少女「ダメだなー、どう検索しても引っかからない」
少女(LINEで訊いてみよ。えーと、同じクラスの……)
少女「」スッスッ
少女『トドノツマリ様って知ってる?』
少女「……」
ーーーーー
少年「──いや、いいよ。ノックはテストの後でも」
ーーーーー
少女(……お昼の時から、口数が減った気がする)
少女(気のせいかな)
ピロリン
『知ってるよー。なんか噂になってるやつだよね?神社に居る神様?みたいな』
少女『そうそう。願いを叶えてくれるけど、その代わり何かを取られるって。そんな話聞いたことない?』
『いくつかパターンがあるみたいよ』
『でも意外。少女ってそういうオカルトとか興味ないと思ってた』
少女『んー、まあ誘われたから付いてくだけだよ』
『それで下調べ?結構気合い入ってるじゃん!』
少女『余計な勘繰りしないでよろしい』
30: 2019/10/04(金) 19:13:00.90 ID:thfh8h7eO
少女『で、パターンがあるって?』
『大抵は願いを叶える対価としてこっちの私物とか身体の一部とか要求されるって話じゃない?』
『けど一つ、私が聞いた中で異色だなって思ったのが』
『願いを聞いてもらうと世界が捻じ曲がるほどの災いが起こる』
少女「はぁ…?」
『んだってー。私的にはそっちの方が後からついてきた創作だと思うんだけどね』
少女「世界って…」
少女(ただの七不思議程度の知名度の割に、大袈裟な話)
少女(余計嘘臭さが助長されてる)
少女(……)
少女「……まぁいっかな」
少女「少年君が満足するまで付き合ってあげますか」ノビー
少女(せっかく向こうから誘ってくれたんだしね)
少女(…そう考えると……ふふっ。ちょっとわくわくしてきたかも)
31: 2019/10/04(金) 19:15:28.63 ID:thfh8h7eO
ーーー土曜日ーーー
少女「……」テクテク
少女「…あ」
タッタッタッ
少年「……」
少女「早いね。もしかして結構待たせちゃった?」
少年「……あんまり」
少女「ほんとに?実は楽しみ過ぎて1時間くらい前から着いてたとか…」
少年「楽しみではあったよ」
少年「というか少女さん、その服…」
少女「ん?あー……最近もう暑くなってきたしさ、今日神社まで行くんだよね?だから動きやすい格好をってね」
少年「それにしたってTシャツとハーフパンツ……男の子みたい」
少女「失礼な。そういう少年君こそ、なんで制服のワイシャツ?学校に立ち寄る用でもあるの?」
少年「…別に、手近なもの着てきただけだよ」
少女「わざわざ着替えて?そのまま私服で来れば良かったのに。…ふふっ、なんか変だね」
少年「」ピクッ
少年「……行くよ」...テクテク
少女「あ、待ってよ」テッテッ
.........
ーーー神社 石段前ーーー
少女「………」
少年「………」
少女「……これ、登るんだよね?」
少年「……うん」
少女「頂上が見えないんだけど」
少年「……」
少女「…そういえば、夏休みに入った後だけど、ここ大きなお祭りがやってるよね」
少女「石段沿いに屋台がずらりと」
少女「…あれに比べたら手ぶらのぼく達の方が身軽で楽なのかな」
少年「……」...トットッ
少女「……」
少女(………)
少女「……」テクテク
少女「…あ」
タッタッタッ
少年「……」
少女「早いね。もしかして結構待たせちゃった?」
少年「……あんまり」
少女「ほんとに?実は楽しみ過ぎて1時間くらい前から着いてたとか…」
少年「楽しみではあったよ」
少年「というか少女さん、その服…」
少女「ん?あー……最近もう暑くなってきたしさ、今日神社まで行くんだよね?だから動きやすい格好をってね」
少年「それにしたってTシャツとハーフパンツ……男の子みたい」
少女「失礼な。そういう少年君こそ、なんで制服のワイシャツ?学校に立ち寄る用でもあるの?」
少年「…別に、手近なもの着てきただけだよ」
少女「わざわざ着替えて?そのまま私服で来れば良かったのに。…ふふっ、なんか変だね」
少年「」ピクッ
少年「……行くよ」...テクテク
少女「あ、待ってよ」テッテッ
.........
ーーー神社 石段前ーーー
少女「………」
少年「………」
少女「……これ、登るんだよね?」
少年「……うん」
少女「頂上が見えないんだけど」
少年「……」
少女「…そういえば、夏休みに入った後だけど、ここ大きなお祭りがやってるよね」
少女「石段沿いに屋台がずらりと」
少女「…あれに比べたら手ぶらのぼく達の方が身軽で楽なのかな」
少年「……」...トットッ
少女「……」
少女(………)
32: 2019/10/04(金) 19:16:58.83 ID:thfh8h7eO
ーーー神社 境内ーーー
少女「はぁ……はぁ……」
少女「さすがに……疲れた……」
少年「」ハァ..ハァ..
少女(少年君なんか肩で息してる)
少女(そんなに無理してでも来たかったのかな。でも……)
少女(それを抜きにしても、石段登ってくる最中一切会話もないなんて…)
少女(4日前くらいからだ。少年君の様子がおかしくなったのは)
少女(どこか後ろ暗いというか、ぼくが話しかける前の少年君に戻っているというか…)
少女(…まさか、見えないところであの二人に嫌がらせされてるんじゃ…)
少年「──少女さん」
少女「!なに?」
少年「なに、じゃなくてさ」
少年「ここだよ。トドノツマリ様が居るって場所」
少年「でも何をすればいいのかな。呼び出す手順なんて聞いたことない…」
少女「そんなの……お願いすればいいんじゃない?」
少年「……」
(数歩前に出る)
少年「……トドノツマリ様!居るならどうか聞いてください!」
少年「僕は平穏な学校生活を送りたいです。誰にも関わらず、誰にも干渉されない、そんな日々を下さい」
少年「……」チラリ
少女「……」
少年「……トモダチなんか、要りません……」ボソッ
少女(……誰にも干渉されない……)
少女(少年君、きみはまだ……)
少年「…叶ったかな」
少女「いくらなんでもせっかち過ぎるよ……学校はまた明後日から!」
少年「………」
少女「はぁ……はぁ……」
少女「さすがに……疲れた……」
少年「」ハァ..ハァ..
少女(少年君なんか肩で息してる)
少女(そんなに無理してでも来たかったのかな。でも……)
少女(それを抜きにしても、石段登ってくる最中一切会話もないなんて…)
少女(4日前くらいからだ。少年君の様子がおかしくなったのは)
少女(どこか後ろ暗いというか、ぼくが話しかける前の少年君に戻っているというか…)
少女(…まさか、見えないところであの二人に嫌がらせされてるんじゃ…)
少年「──少女さん」
少女「!なに?」
少年「なに、じゃなくてさ」
少年「ここだよ。トドノツマリ様が居るって場所」
少年「でも何をすればいいのかな。呼び出す手順なんて聞いたことない…」
少女「そんなの……お願いすればいいんじゃない?」
少年「……」
(数歩前に出る)
少年「……トドノツマリ様!居るならどうか聞いてください!」
少年「僕は平穏な学校生活を送りたいです。誰にも関わらず、誰にも干渉されない、そんな日々を下さい」
少年「……」チラリ
少女「……」
少年「……トモダチなんか、要りません……」ボソッ
少女(……誰にも干渉されない……)
少女(少年君、きみはまだ……)
少年「…叶ったかな」
少女「いくらなんでもせっかち過ぎるよ……学校はまた明後日から!」
少年「………」
33: 2019/10/04(金) 19:18:46.37 ID:thfh8h7eO
少女「……ふぅ」
少女「ねぇ、任せてよ。それくらいのお願いなら、ぼくが叶えてあげるからさ」
少年「……」
少女「これで一応気は済んだ?結局少年君、すぐに叶うかどうか分からないお願いにしちゃったね」
少女「次はぼくが分かりやすいものを試してみようか?超能力に目覚めさせて下さい!……なんてどう?」フフッ
少年「……」ジロッ
少女「…!」
少女(冷たい、目)
少女(……その目はまさか)
少女(──ぼくに向けられてる?)
少女「………」
少年「どうせ後で……するくせにさ……」ポツリ
少女「え?なに?」
少年「……トドノツマリ様、ここじゃないのかもしれない」
少年「噂では神社ってなってたよね?でも神社のどこかまでは具体的に言及されてないし」
少女「だったらどこだっていう話だけど……まさか、石段の1段1段なんて言わないよね!?」
少年「……こっち」スタスタ
少女「どこ行くの!そっち林道…」
スタスタスタ...
少女「……」
少女(絶対、何かあった)
少女(…少年君…後でちゃんと聞いてあげるからね)
少女「」タッタッタッ
(……あの少年、もしや……)
34: 2019/10/04(金) 19:21:11.72 ID:thfh8h7eO
ーーー林道ーーー
少年「……」ザッザッ
少女「……」ザッザッ
少年(………)
ーーーーー
少女「──それくらいのお願いなら、ぼくが叶えてあげるからさ」
ーーーーー
少年(よくもまぁわざとらしいことをペラペラと)
少年(僕が何も知らないと思って…)
ーーーーー
同級生A「──!───」
少女「──」クスッ
ーーーーー
少年(………)ギリ...
少年("友達"なんて都合の良い言葉、振りかざす連中は嫌いだ)
──ドクン
少年「……」ザッザッ
少年(……憎い)
少年(バカ正直に人を信じようとした自分が)
少女「……」ザッザッ
少年(僕を嘲笑う、こいつが)
ザッザッ...
少年「………」
少女「へー……」
(大きな池)
少女「こんなところに池なんかあったんだ。ここ、普段来ることなんてなさそうなのによく知ってたね?」
少年「……」
サッサッサッ(数歩前に出る少女)
少女(でも)
少女「……」ジッ
少女(この池、底が暗くて見えない。そんなに深いのかな)
少女(……ちょっと不気味)
少年「……」ザッザッ
少女「……」ザッザッ
少年(………)
ーーーーー
少女「──それくらいのお願いなら、ぼくが叶えてあげるからさ」
ーーーーー
少年(よくもまぁわざとらしいことをペラペラと)
少年(僕が何も知らないと思って…)
ーーーーー
同級生A「──!───」
少女「──」クスッ
ーーーーー
少年(………)ギリ...
少年("友達"なんて都合の良い言葉、振りかざす連中は嫌いだ)
──ドクン
少年「……」ザッザッ
少年(……憎い)
少年(バカ正直に人を信じようとした自分が)
少女「……」ザッザッ
少年(僕を嘲笑う、こいつが)
ザッザッ...
少年「………」
少女「へー……」
(大きな池)
少女「こんなところに池なんかあったんだ。ここ、普段来ることなんてなさそうなのによく知ってたね?」
少年「……」
サッサッサッ(数歩前に出る少女)
少女(でも)
少女「……」ジッ
少女(この池、底が暗くて見えない。そんなに深いのかな)
少女(……ちょっと不気味)
35: 2019/10/04(金) 19:26:08.47 ID:qYsOfvLU0
少女「……ここでお願いすれば、池から出てきてくれるのかな」
少女「泉の女神様みたいに。金の斧と銀の斧じゃなくて二つの願い事を提示してくれたり?」
少年「……」
──ここでこいつを突き落とせばいい
少年(………)
少年(……この人を……突き落とす……)
少年(あぁそうだ……そうすればこいつもあいつらも少しは懲りるかもな……)
少年(他人を変えたいならまず自分が変わること)
少年(きみもそう言っていたしな)
少年(望み通り、変えてやろうじゃないか…)
少年「……」
少女「さて、早いとこ実証して引き返そうよ。ぼく、ここあんまり長居したくないかも」
少年「」スッ
ソー...(手を伸ばす)
36: 2019/10/04(金) 19:26:48.13 ID:qYsOfvLU0
ーーーーー
少女「──ぼくとおんなじだね」
ーーーーー
少年「………!」
少年(……僕は、何をしようとしてるんだ)
少年(正気の沙汰じゃない…少女さんを池に落とそうとするなんて…!)
ドクンッ!
少年(うっ……頭が、痛い……)
──どうして留まる。それが良心というものか?
少年(ぐ……!)ズキッ
──下らぬ……俺が手を貸してやろう
少年「え……?」スッ
少女「少年君?」フリカエリ
ドンッ
バシャン!
少年「…!?」
少年「少女さんっ!?」
少年(僕が突き落とした!?いや違くて今手が勝手に…!)
37: 2019/10/04(金) 19:28:32.22 ID:qYsOfvLU0
ーーーーーーー
少女(!…!?)
ゴボゴボ
少女(なに…!?池に落ちたの…?)
ーーーーー
少年「」ドンッ
ーーーーー
少女(なんで……少年君……)
少女(…とにかく上に)
グンッ..グンッ
少女(…!上がれない…!どうして…)
少女(それどころかどんどん下に引っ張られてる…!?)
少女「」ゴパッ
少女(息が……)
少女「……っ」グンッ...
(水面に映る少年の姿)
少女(……少年、君……)
少女「………!」
黒服男「」ニタァ
少女(少年君の、後ろに…)
少女(……あれは……だれ……)
少女「………」
ゴポゴポ...
少女(!…!?)
ゴボゴボ
少女(なに…!?池に落ちたの…?)
ーーーーー
少年「」ドンッ
ーーーーー
少女(なんで……少年君……)
少女(…とにかく上に)
グンッ..グンッ
少女(…!上がれない…!どうして…)
少女(それどころかどんどん下に引っ張られてる…!?)
少女「」ゴパッ
少女(息が……)
少女「……っ」グンッ...
(水面に映る少年の姿)
少女(……少年、君……)
少女「………!」
黒服男「」ニタァ
少女(少年君の、後ろに…)
少女(……あれは……だれ……)
少女「………」
ゴポゴポ...
38: 2019/10/04(金) 19:29:31.46 ID:qYsOfvLU0
ーーーーーーー
少年「少女さん……」ヒヤリ
少年(上がってこない…!)
少年(助けないと!このままじゃ少女さんが…!)
少年(僕もこの池に飛び込んで──)
グネ..グネ..
少年「ひっ…!?」アトズサリ
少年「な、何だよ今の…!?」
少年(手…みたいだった…池の底から伸びてくるような無数の何か……)
少年「……あ……」
少年「うわぁあああ!!」ダッ!
タッタッタッ...
.........
...ザッ
黒服男「………」
黒服男「当然の帰結」
黒服男「それがお前達人間の、醜い業だ」
黒服男「………フッ」
黒服男「さぁ、始めようか」
少年「少女さん……」ヒヤリ
少年(上がってこない…!)
少年(助けないと!このままじゃ少女さんが…!)
少年(僕もこの池に飛び込んで──)
グネ..グネ..
少年「ひっ…!?」アトズサリ
少年「な、何だよ今の…!?」
少年(手…みたいだった…池の底から伸びてくるような無数の何か……)
少年「……あ……」
少年「うわぁあああ!!」ダッ!
タッタッタッ...
.........
...ザッ
黒服男「………」
黒服男「当然の帰結」
黒服男「それがお前達人間の、醜い業だ」
黒服男「………フッ」
黒服男「さぁ、始めようか」
39: 2019/10/04(金) 19:31:18.24 ID:qYsOfvLU0
ーーー神社ーーー
(……!)
(やはり……そうか)
(滲み出してしまった)
(この星の歪み……遠い昔の怨恨……)
(………)
少年「──どうか、どうか!お願い致します…!」
(!この者……)
少年「トドノツマリ様!いらっしゃるのなら僕の願いを聞き届けて下さい!」ポロ..ポロ..
(我、驚愕せり)
(外聞もなく泪を零す、矮小な人であるもしかし)
(──未だ嘗て無い程の、強き心)
少年「どうか、元に戻して下さい…!」
少年「溺れてしまったあの子……」ポロポロ
少年「──僕が頃してしまった少女さんを!」ポロポロ
(………)
少年「お願いです……どうか……」
(叶えようか。其の望みを)
少年「ああぁ……僕は……なんで彼女を……」ウツムキ
少年(違うんだ……あんなの僕のしたかったことじゃ……)
...ガタ、ガタガタ
少年「!…この音……神社から…?」
(……!)
(やはり……そうか)
(滲み出してしまった)
(この星の歪み……遠い昔の怨恨……)
(………)
少年「──どうか、どうか!お願い致します…!」
(!この者……)
少年「トドノツマリ様!いらっしゃるのなら僕の願いを聞き届けて下さい!」ポロ..ポロ..
(我、驚愕せり)
(外聞もなく泪を零す、矮小な人であるもしかし)
(──未だ嘗て無い程の、強き心)
少年「どうか、元に戻して下さい…!」
少年「溺れてしまったあの子……」ポロポロ
少年「──僕が頃してしまった少女さんを!」ポロポロ
(………)
少年「お願いです……どうか……」
(叶えようか。其の望みを)
少年「ああぁ……僕は……なんで彼女を……」ウツムキ
少年(違うんだ……あんなの僕のしたかったことじゃ……)
...ガタ、ガタガタ
少年「!…この音……神社から…?」
40: 2019/10/04(金) 19:32:19.71 ID:qYsOfvLU0
(組み替えよう、生命のベースを)
ガタン!
少年「……?」
──ヒュオオォ
(歪んだ憎悪に蝕まれた哀れな少年よ)
(其の意思、確かに伝わった)
ゴオオオォ!
少年「ん……!」
少年(なんだこの風…!)
(─其の代わり)
(我は欲する)
(そなたの最たる大切物)
ブワァッ!
少年「わっ…!」ズテッ
シーン...
少年「……」
少年「……」
少年「………」
41: 2019/10/04(金) 19:34:23.23 ID:qYsOfvLU0
ーーー夜 自室ーーー
少年「………」
少年「………」
少年(あれから、どう帰ったのかもよく覚えていない)
少年(気が付いたらもう日は沈んでいて、僕は自分の部屋でこうやってただ座っていた)
少年「……」
少年(…日中の出来事は全部夢だったんじゃないか)
少年(不意に、そう思うこともあった)
少年(……けど)
ーーーーー
──バシャン!
ーーーーー
少年(彼女を突き飛ばしたあの感触は、今もはっきりとこの手に残ってる)
少年(……)
少年(僕はどうして少女さんをあんなに憎んだんだ…?)
少年(あいつらと仲良さそうに話をしていたから?……僕を嘲笑うだなんて、彼女がそんなことをしそうにないのは分かっていたはず…)
少年(そう信じさせてくれたはずなのに……)
少年「………」
少年「……寝よう」
少年(寝て起きれば、何か変わってるかもしれない)
少年(──今日の事は全て嘘だった、とか)
少年「……」
ゴロン...
少年「………」
少年「………」
少年(あれから、どう帰ったのかもよく覚えていない)
少年(気が付いたらもう日は沈んでいて、僕は自分の部屋でこうやってただ座っていた)
少年「……」
少年(…日中の出来事は全部夢だったんじゃないか)
少年(不意に、そう思うこともあった)
少年(……けど)
ーーーーー
──バシャン!
ーーーーー
少年(彼女を突き飛ばしたあの感触は、今もはっきりとこの手に残ってる)
少年(……)
少年(僕はどうして少女さんをあんなに憎んだんだ…?)
少年(あいつらと仲良さそうに話をしていたから?……僕を嘲笑うだなんて、彼女がそんなことをしそうにないのは分かっていたはず…)
少年(そう信じさせてくれたはずなのに……)
少年「………」
少年「……寝よう」
少年(寝て起きれば、何か変わってるかもしれない)
少年(──今日の事は全て嘘だった、とか)
少年「……」
ゴロン...
42: 2019/10/04(金) 19:35:29.44 ID:qYsOfvLU0
ーーー神社ーーー
(………)
(……月が、サカサマに見ゆる)
(其の意味を我は知らない)
(されど、濃密な禍々しさ)
(………)
(顕現の時か)
...スッ
サッ..サッ..
幼女「……」
幼女(かつての悲劇、憎しみ)
幼女(二度と起こらぬよう、世界への干渉を避けてきた)
幼女(しかし)
幼女(蓋をし、重石を載せただけでは消えたことにはならぬ)
ーーーーー
少年「──どうか、元に戻して下さい…!」
少年「──僕が頃してしまった少女さんを!」ポロポロ
ーーーーー
幼女(……)
幼女(嗚呼……誰が気付くだろう)
幼女(この星の怪異。歪曲にも似た魅えざる"張り裂け"を──)
幼女「………」
幼女「……」サッ、サッ、サッ
(床に落ちた1冊のノート)
幼女「…これがかの少年の…」
スッ(拾い上げる)
幼女「……」ジッ...
幼女(………)
幼女(…この書物…は一体…?)
(………)
(……月が、サカサマに見ゆる)
(其の意味を我は知らない)
(されど、濃密な禍々しさ)
(………)
(顕現の時か)
...スッ
サッ..サッ..
幼女「……」
幼女(かつての悲劇、憎しみ)
幼女(二度と起こらぬよう、世界への干渉を避けてきた)
幼女(しかし)
幼女(蓋をし、重石を載せただけでは消えたことにはならぬ)
ーーーーー
少年「──どうか、元に戻して下さい…!」
少年「──僕が頃してしまった少女さんを!」ポロポロ
ーーーーー
幼女(……)
幼女(嗚呼……誰が気付くだろう)
幼女(この星の怪異。歪曲にも似た魅えざる"張り裂け"を──)
幼女「………」
幼女「……」サッ、サッ、サッ
(床に落ちた1冊のノート)
幼女「…これがかの少年の…」
スッ(拾い上げる)
幼女「……」ジッ...
幼女(………)
幼女(…この書物…は一体…?)
43: 2019/10/04(金) 19:37:20.17 ID:qYsOfvLU0
ーーー翌日 日曜日 朝ーーー
少年「………」ボー
少年「……」
少年「……」
少年(………)
少年「………」ボー
ーーー昼ーーー
少年「………」ボー
少年「……」ゴロッ...
少年「………」
オヒルハヤクタベチャッテー!
少年「……」
ノソッ...
ーーー夜ーーー
少年「………」
少年「………」
少年(……あ…授業の用意しとかないと)
少年「……」
ガサ..ゴソ..
少年「……あれ」
少年(ノートがない…)
少年(僕の、"アヤカシノート")
少年「……いいや、別に」
少年「………」
少年(明日は学校)
ーーーーー
少女「──きみは大人しくぼくの"暇つぶし"に付き合ってくれてればいいんです」
ーーーーー
少年「……少女さん……」
少年「……」ツー
少年(僕は……僕は………)
少年「うぅ……」ポロ..ポロ..
少年「………」ボー
少年「……」
少年「……」
少年(………)
少年「………」ボー
ーーー昼ーーー
少年「………」ボー
少年「……」ゴロッ...
少年「………」
オヒルハヤクタベチャッテー!
少年「……」
ノソッ...
ーーー夜ーーー
少年「………」
少年「………」
少年(……あ…授業の用意しとかないと)
少年「……」
ガサ..ゴソ..
少年「……あれ」
少年(ノートがない…)
少年(僕の、"アヤカシノート")
少年「……いいや、別に」
少年「………」
少年(明日は学校)
ーーーーー
少女「──きみは大人しくぼくの"暇つぶし"に付き合ってくれてればいいんです」
ーーーーー
少年「……少女さん……」
少年「……」ツー
少年(僕は……僕は………)
少年「うぅ……」ポロ..ポロ..
44: 2019/10/04(金) 19:38:57.15 ID:qYsOfvLU0
ーーー翌日 学校ーーー
「おはよー」
「おはよ。ねぇ先週の数学のプリントやった?今日小テストだよね、確か…」
「えっ。そうだっけ!?」
ガヤガヤ
少年「……」
少年(……)
(空いた少女の席)
少年(………)
「あのぉ二つ編みさん」
二つ編み「…?なに?」
「数学のプリント、写させてくれないっ?」
二つ編み「…いいよ、はい」スッ
「やった!ありがとう!やっぱり二つ編みさんだね~、いざというときのセーフティネット!頼りにしてるよ」
二つ編み「どうも…」
猫又娘「数学の小テストぉ?」
猫又娘「みんな慌てなくていいのに。そんなの変えちゃえばいいんよ、こんな風に!」
ポンッ
「おぉ…」
「また猫又娘の手品か?」
猫又娘「にっしし。これで解決!」
派手娘「そのプリント」
猫又娘「」ギクッ
派手娘「提出用なんだけど、元に戻せんの?」
猫又娘「…あはは、平気平気」
派手娘「ふーん」
派手娘「あと、やるなら先生の目の前でやってくれば?追加のプリントいっぱいもらえるわよ」
猫又娘「いやぁ…プリントだけじゃ済まなさそうだから遠慮しときますよー…」ハハハ...
「おはよー」
「おはよ。ねぇ先週の数学のプリントやった?今日小テストだよね、確か…」
「えっ。そうだっけ!?」
ガヤガヤ
少年「……」
少年(……)
(空いた少女の席)
少年(………)
「あのぉ二つ編みさん」
二つ編み「…?なに?」
「数学のプリント、写させてくれないっ?」
二つ編み「…いいよ、はい」スッ
「やった!ありがとう!やっぱり二つ編みさんだね~、いざというときのセーフティネット!頼りにしてるよ」
二つ編み「どうも…」
猫又娘「数学の小テストぉ?」
猫又娘「みんな慌てなくていいのに。そんなの変えちゃえばいいんよ、こんな風に!」
ポンッ
「おぉ…」
「また猫又娘の手品か?」
猫又娘「にっしし。これで解決!」
派手娘「そのプリント」
猫又娘「」ギクッ
派手娘「提出用なんだけど、元に戻せんの?」
猫又娘「…あはは、平気平気」
派手娘「ふーん」
派手娘「あと、やるなら先生の目の前でやってくれば?追加のプリントいっぱいもらえるわよ」
猫又娘「いやぁ…プリントだけじゃ済まなさそうだから遠慮しときますよー…」ハハハ...
45: 2019/10/04(金) 19:40:17.40 ID:qYsOfvLU0
キーンコーンカーンコーン
教師「ホームルーム始めるぞ。席着けー」ガララ
バタバタ
教師「…ん?なんだ、少女はまだ来てないのか?」
少年「っ…」
教師「珍しいな…誰か連絡のあった人はいないか?学校には特にないんだが」
「えー知らない」
「私も。先週トドノツマリ様のことでLINEしたくらい」
「最近少年君とよく一緒に居たよね」
少年「あ…えっと……」
ガラッ
「すいません、遅くなりました」
少年「!」
少年(この声…!)バッ
少年「……!?」
派手娘「は…?」
二つ編み「……」
猫又娘「うそ…」
包帯少女「……」
ザワッ
教師「どうしたんだ…それ。なにでそんな怪我を…」
包帯少女「いえ、怪我というわけでは……」
包帯少女「…あまり気にしないでください」
少年(なんで……あんな)
少年(右膝、左腕、そして右目。包帯が巻かれている)
少年(生きて、いた…?それともトドノツマリ様が…?)
少年(でも、その包帯姿は……)
包帯少女「………」
46: 2019/10/04(金) 19:42:12.28 ID:qYsOfvLU0
一旦ここまでです。
これで全体の15%くらいです。
これで全体の15%くらいです。
次回:少年「アヤカシノート」第二幕
引用: 少年「アヤカシノート」
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります