185: 2019/11/08(金) 00:17:32.91 ID:uBwrWeJb0
最初から:少年「アヤカシノート」第一幕
前回:少年「アヤカシノート」第五幕
■第六幕 マブタのストーカー■
ーーー休み時間ーーー
少年「少女さん…!」
少年「二つ編みさんって…!僕の勘違いじゃないんだよね、このクラスに居たよね!?」
包帯少女「……」
少年「みんなおかしくないか…?二つ編みさんなんて初めから居ないみたいに振る舞って…」
少年「少女さんもあの人のこと覚えてる……んだよね…?」
猫又娘「…ね、こうなったらもう」
包帯少女「………」
包帯少女「少年君、二つ編みさんがどんな人だったかって言える?」
少年「え、と……いつも勉強してる人。少女さんが僕にテスト勉強つけてくれてた時もひたすらやってたっけ」
少年「こんな髪型で、あんまり他の人と話してる印象がないけど…成績は毎回トップだったはず…」
包帯少女「……そうだね」
包帯少女「合ってるよ、ぼくの知る二つ編みさんと」
包帯少女(……)
包帯少女「…今この町に起きてること、きみにも話しておくよ」
.........
少年「──じゃあ…二つ編みさんはそのアヤカシってやつに消されたってこと?」
包帯少女「多分。あの子のおばあちゃんも同じ居なくなり方しててね…その人に関する記憶ごとなくなってるっていう」
少年「………」
少年「……で、そっちの猫又娘さんは……」
猫又娘「どーも、良い子な方の妖禍子、猫又娘ちゃんです♪」
包帯少女「ぼくも初めはちょっとびっくりしたけどね。いたずら好きの猫って思えば違和感ないんじゃない?」
少年「あ、確かに」
猫又娘「あれはみんなを楽しませる手品だからっ」
186: 2019/11/08(金) 00:19:06.66 ID:uBwrWeJb0
少年「…ちなみに、すごい力持ちだったりする?」
猫又娘「力?そうだなー、少年君なら片手で持ち上げられるくらい?」
少年(通りでこの前僕を運べたわけだ)
包帯少女「……それで、ぼくと猫又娘さんはこれから例の神社に向かうつもり」
少年(─!)
包帯少女「…きみは、どうする?」
少年「僕は……」
猫又娘(……少年君……)
少年「………」
包帯少女「………」
包帯少女「…分かった」
包帯少女「少年君はここに居て。他に知り合いが消えてたなんてことがあったら報告してくれる?」
少年「…!」
包帯少女「神社はぼくたちで行ってくるから。きみはきみでしっかり周りを見てて欲しい」
包帯少女「出来るよね」
少年「……まぁ」
包帯少女「頼んだよ」ニッ
少年(っ…)ドキッ
187: 2019/11/08(金) 00:20:08.45 ID:uBwrWeJb0
包帯少女「さてもう行こう。そろそろ予鈴がなっちゃう」
猫又娘「私はいつでもオッケーだよ!」カバンセオイ
包帯少女「行動の早さは見習いたいね…」
包帯少女「…ん、夢見娘さんは?」
猫又娘「あら。ほんとだ、席いないね」
少年「?夢見娘さん?」
猫又娘「そそ。重要参考人としてあの子も連れて行きたいんよ」
猫又娘「彼女も妖禍子だからね。きっと良い子の!」
少年「え」
猫又娘「と言っても私らも全然喋ったことないけどさー」
猫又娘「あ。おーいCくん!」
同級生C「……ん…?」トボトボ
猫又娘「夢見娘さんどこ行ったか知らないかな。きみよく一緒にいるじゃん?」
同級生C「あぁ…それがさ、具合が悪くなったって言って帰っちゃったんだ…」
同級生C「夢見娘さん……はぁ、大丈夫かなぁ」
包帯少女「……神社かもしれない」
猫又娘「私もおんなじこと思った」
包帯少女「急ごう…!」
ガタッ スタスタ
猫又娘「そうそうC君!私と少女さんも体調良くないので早退しますって伝えといて!よろしくー!」ガラッ
タッタッタッ
同級生C「え、なんで俺が…」
「お前転校生さんだけじゃなくて猫又娘とも仲良くなったの?物好きだなぁ」
同級生C「今のが仲良くに見えるかよ。俺は夢見娘ちゃん一筋だっ」キリッ
「いっそ清々しいな…」
少年(………)
188: 2019/11/08(金) 00:21:06.54 ID:uBwrWeJb0
ーーー廊下ーーー
包帯少女「気が利くね、さっきの」タッタッ
猫又娘「でしょでしょー?どうせ先生に言いにいっても揉めるだろうし、逃げるが勝ちってね」タッタッ
包帯少女「…頼りにしてるよ、相棒」タッタッ
包帯少女「なんて」フフッ
猫又娘「…!」タッタッ
猫又娘「任せんしゃい!」ニカッ
ーーーーーーー
夢見娘「………」
夢見娘「………」
夢見娘(………)
夢見娘「……」
「キューキュー」カツカツ
夢見娘「………」
夢見娘(……どうか壊れないで……)
夢見娘(きみのセカイ)
夢見娘「……」スッ
「…?」カツ...
...パタ
包帯少女「気が利くね、さっきの」タッタッ
猫又娘「でしょでしょー?どうせ先生に言いにいっても揉めるだろうし、逃げるが勝ちってね」タッタッ
包帯少女「…頼りにしてるよ、相棒」タッタッ
包帯少女「なんて」フフッ
猫又娘「…!」タッタッ
猫又娘「任せんしゃい!」ニカッ
ーーーーーーー
夢見娘「………」
夢見娘「………」
夢見娘(………)
夢見娘「……」
「キューキュー」カツカツ
夢見娘「………」
夢見娘(……どうか壊れないで……)
夢見娘(きみのセカイ)
夢見娘「……」スッ
「…?」カツ...
...パタ
189: 2019/11/08(金) 00:22:13.65 ID:uBwrWeJb0
ーーー神社 境内ーーー
包帯少女「」ゼェ..ゼェ..
包帯少女「やっと、着いた…」
仔猫「」ピョン、ピョンッ
仔猫「……」スススッ
ドロン
猫又娘「ここの階段こんな長かったんね」
猫又娘「だいじょぶ?」
包帯少女「ハァ…ハ…ずるくない…?それ」
猫又娘「いやぁ猫の方が身軽なもので」
猫又娘「さてさて、ここが神社…来るのは初めてだけど…」
(物静かな社)
猫又娘「…なるほどやっぱり、ちょっと空気が違うよ」
包帯少女「夢見娘さんは…」
猫又娘「いないみたい…」
包帯少女「………」
ザッザッ
包帯少女(前来た時はそこまでじっくり見なかったけど)
包帯少女「……」
猫又娘「…お札、だね」
包帯少女「…普通、こんなにびっしり貼るかな」
猫又娘「どうだろ……」
猫又娘「少なくとも何か封じてますよって主張してくれてはいるんね」
猫又娘「これが妖禍子の封印…?」
包帯少女「この中に何があるか分かる?」
猫又娘「分かんないなぁ…お札のせいかもしれないけど、何の変哲もないお社にしか見えない」
包帯少女「そっか…」
包帯少女「」ゼェ..ゼェ..
包帯少女「やっと、着いた…」
仔猫「」ピョン、ピョンッ
仔猫「……」スススッ
ドロン
猫又娘「ここの階段こんな長かったんね」
猫又娘「だいじょぶ?」
包帯少女「ハァ…ハ…ずるくない…?それ」
猫又娘「いやぁ猫の方が身軽なもので」
猫又娘「さてさて、ここが神社…来るのは初めてだけど…」
(物静かな社)
猫又娘「…なるほどやっぱり、ちょっと空気が違うよ」
包帯少女「夢見娘さんは…」
猫又娘「いないみたい…」
包帯少女「………」
ザッザッ
包帯少女(前来た時はそこまでじっくり見なかったけど)
包帯少女「……」
猫又娘「…お札、だね」
包帯少女「…普通、こんなにびっしり貼るかな」
猫又娘「どうだろ……」
猫又娘「少なくとも何か封じてますよって主張してくれてはいるんね」
猫又娘「これが妖禍子の封印…?」
包帯少女「この中に何があるか分かる?」
猫又娘「分かんないなぁ…お札のせいかもしれないけど、何の変哲もないお社にしか見えない」
包帯少女「そっか…」
190: 2019/11/08(金) 00:24:56.04 ID:uBwrWeJb0
包帯少女(……あれ……?)
包帯少女「……」ソーッ
猫又娘「!開けない方が──」
包帯少女「違う、これ」
(裂けた1枚の紙札)
包帯少女「これだけ破れてる」
猫又娘「……ほんとだ」
包帯少女(乱暴に千切られたような跡。破けてるのはこの一枚だけ…)
包帯少女(誰かが破った?それとも──内側から破かれた?)
猫又娘「いつこうなったんだろ。もし最近なんだとしたら…」
包帯少女「………」
包帯少女「……トドノツマリ様」
包帯少女「トドノツマリ様が本当に居るなら、ここで起きたことも町に起きてる異常も何なのか知ってるはず」
包帯少女「神社に誰かの気配を感じるって言ってたよね。それは今もあるの?」
猫又娘「うん、でも…」
猫又娘「何処からするのか分からない」
猫又娘「この山に居るのは間違いないのに、気配自体はそこら中に四散してるんよ」
包帯少女「……山の中探すしかないってこと?」
猫又娘「そうなる……かも」
猫又娘「いっそ願い事すれば出て来てくれないかなぁ」
包帯少女「それで会えたら苦労はしないけど…」
猫又娘「よーし!」
ポンッ
猫又娘「……」ネコミミ&シッポ
猫又娘「──みんなが楽しく笑える世の中に!」
猫又娘「…してくれませんか?」
ーーーーー
少年「──誰にも関わらず、誰にも干渉されない、そんな日々を下さい」
ーーーーー
包帯少女(……)
猫又娘「………」
191: 2019/11/08(金) 00:27:28.94 ID:uBwrWeJb0
猫又娘「…なーんて。それは私の役目ですから、叶えてくれる必要はありません」
猫又娘「ただ、この町に蔓延るお化けたちはみんなから笑顔を奪っていくんです」チラッ
包帯少女(…ぼく?)
猫又娘「だから!ちょっとでいいんです、力を貸してもらえませんか!」
包帯少女「………」
猫又娘「………」
包帯少女「…まあ、ね」
猫又娘「恥ずかしがり屋さんなんだねきっと」
包帯少女「なんで耳と尻尾出したの?」
猫又娘「こうした方が声届くかなーって。トドノツマリ様も同じ妖禍子だからさ」
包帯少女「てっきり魔法でも使うのかと思ったよ」
猫又娘「お社にイタズラでもしたら出て来てくれるかもね」ニシシ
猫又娘「ま、切り替えていきましょー!押してダメならもっと押すだけ」
猫又娘「山の隅から隅まで徹底的に探し回ってやろうじゃないの!」
包帯少女「…それしかないね」
包帯少女(結局ぼくたちが出来ることと言ったらそのくらいしかない…)
...ズキッ
包帯少女(っ……もうあんまり時間がないのに)
猫又娘「──少女さん、後ろ!」
包帯少女「!」クルッ
目玉蛇「シュー…」ニョロニョロ
包帯少女(蛇……?ううん、体中に目が付いてる蛇なんて…)
包帯少女「………妖禍子」
猫又娘「まだ昼間なのに…!?」
猫又娘「とりあえずっ」タッタッ
ポンッ
蛙「ゲコッ」
192: 2019/11/08(金) 00:28:58.03 ID:uBwrWeJb0
猫又娘「……どういうことだろ」
猫又娘「明るい時間にも活動出来るようになった?」
包帯少女「…それかここが特別な場所だから……とか?」
猫又娘「」キョロ..キョロ..
猫又娘「他には見当たらないけど…」
包帯少女「………」
包帯少女(…昨日の妖禍子の群れ)
包帯少女(二つ編みさんが消えた事件)
包帯少女(そして、それに気付いてた少年君……)
包帯少女「……ねぇ。ぼく嫌な予感がする」
猫又娘「……うん、私も」
包帯少女・猫又娘「「少年君が危ない」」
193: 2019/11/08(金) 00:32:11.73 ID:uBwrWeJb0
ーーー正午前ーーー
少年「……戻って来なかったな、少女さんたち」テクテク
少年「早退扱いで出てったんだから学校には戻らないか」テクテク
少年(それでも帰る時間くらいにはまた来てくれないかなんて思ってた……今一人で居るのはどことなく怖い)
少年(付いていくって言わなかったのは僕だ。でもあの神社に少女さんと一緒に向かうのは……)
少年「………」
少年「……アヤカシ……」
少年(僕たちが神社に行ったあの土曜日以降に現れ始めたって言ってた)
少年(そう、神社に)
少年(僕が少女さんを突き落とした、あの──)
少年「……」
少年(……やっぱり、あれは夢なんかじゃないんだろう)
少年(彼女の包帯も、彼女自身もずっとその違和感を主張していたのに、見て見ぬフリをしようとしてたんだ)
少年(僕があの出来事を幻と思い込ませている間に、彼女たちはずっと立ち向かっていた)
少年(猫又娘さんと少女さんの二人の気持ちに甘えて、何も知ろうとせず、しようとせず…)
少年(……なんだよ、まるで変わってないじゃないか)
少年(少女さんと出会う前──ノートを使って現実逃避していたあの時から)
少年「……くそ……」
少年(…そういえばアヤカシノートが無くなったのも日曜日だったっけ)
少年("アヤカシ"……関係あるのかな)
少年(猫又娘さんに貰ったもう一つのノートは結局何も書いてないや)
ーーーーー
包帯少女「──頼んだよ」ニッ
ーーーーー
少年「……少女さん」
少年(………)
少年(二つ編みさん以外に消えた人はいなかった)
少年(人の痕跡ごと消す妖怪……?)
少年「……」テク...
(本屋)
少年「………」
少年(…このままじゃダメだ)
少年(僕に何が出来るかなんて関係ない)
少年(これは僕自身の問題でもあるんだ)
少年「……戻って来なかったな、少女さんたち」テクテク
少年「早退扱いで出てったんだから学校には戻らないか」テクテク
少年(それでも帰る時間くらいにはまた来てくれないかなんて思ってた……今一人で居るのはどことなく怖い)
少年(付いていくって言わなかったのは僕だ。でもあの神社に少女さんと一緒に向かうのは……)
少年「………」
少年「……アヤカシ……」
少年(僕たちが神社に行ったあの土曜日以降に現れ始めたって言ってた)
少年(そう、神社に)
少年(僕が少女さんを突き落とした、あの──)
少年「……」
少年(……やっぱり、あれは夢なんかじゃないんだろう)
少年(彼女の包帯も、彼女自身もずっとその違和感を主張していたのに、見て見ぬフリをしようとしてたんだ)
少年(僕があの出来事を幻と思い込ませている間に、彼女たちはずっと立ち向かっていた)
少年(猫又娘さんと少女さんの二人の気持ちに甘えて、何も知ろうとせず、しようとせず…)
少年(……なんだよ、まるで変わってないじゃないか)
少年(少女さんと出会う前──ノートを使って現実逃避していたあの時から)
少年「……くそ……」
少年(…そういえばアヤカシノートが無くなったのも日曜日だったっけ)
少年("アヤカシ"……関係あるのかな)
少年(猫又娘さんに貰ったもう一つのノートは結局何も書いてないや)
ーーーーー
包帯少女「──頼んだよ」ニッ
ーーーーー
少年「……少女さん」
少年(………)
少年(二つ編みさん以外に消えた人はいなかった)
少年(人の痕跡ごと消す妖怪……?)
少年「……」テク...
(本屋)
少年「………」
少年(…このままじゃダメだ)
少年(僕に何が出来るかなんて関係ない)
少年(これは僕自身の問題でもあるんだ)
194: 2019/11/08(金) 00:33:59.13 ID:uBwrWeJb0
ーーー本屋ーーー
少年(……うーん)
少年「……」スッ
ペラ..ペラ..
少年(とは言っても少女さんたちの真似事以外に思い付くことはない)
少年(何か手掛かりになること…)
少年「……」ペラ...
少年(人を食べる妖怪、化かす妖怪、連れ去る妖怪)
少年(有名なものからまったく聞かないようなものまで……色々載ってるけど、人を消す妖怪はないな…)
少年「……はぁ……」
少年(…少女さんの言ってた、古書店みたいなところじゃないとアヤカシを書いた本はないのかな)
少年(とりあえず一冊だけでも…)
表紙『怖いほどよく分かる妖怪大辞典』
少年(…あれにするか)
少年「」スッ
──スッ
派手娘「あ」
少年「え」
少年(派手娘さん…!?)
少年(なんでこんな所に…)
少年(というか派手娘さんもこの本を?)
少年(……うーん)
少年「……」スッ
ペラ..ペラ..
少年(とは言っても少女さんたちの真似事以外に思い付くことはない)
少年(何か手掛かりになること…)
少年「……」ペラ...
少年(人を食べる妖怪、化かす妖怪、連れ去る妖怪)
少年(有名なものからまったく聞かないようなものまで……色々載ってるけど、人を消す妖怪はないな…)
少年「……はぁ……」
少年(…少女さんの言ってた、古書店みたいなところじゃないとアヤカシを書いた本はないのかな)
少年(とりあえず一冊だけでも…)
表紙『怖いほどよく分かる妖怪大辞典』
少年(…あれにするか)
少年「」スッ
──スッ
派手娘「あ」
少年「え」
少年(派手娘さん…!?)
少年(なんでこんな所に…)
少年(というか派手娘さんもこの本を?)
195: 2019/11/08(金) 00:34:51.71 ID:uBwrWeJb0
派手娘「あんた、これ読むの?」
少年「あ…うん」
派手娘「ふーん」
ストッ(本を手に取る)
派手娘「じゃ、これあたしが買ってくから」
少年「うん……え!?」
少年「ちょっと待ってよ!僕もそれ読みたいんだって…!」
派手娘「はぁ?その辺に似たようなのいっぱいあんでしょ?」
少年「ここにあるのは大体見ちゃったから…」
派手娘「どーせ立ち読みじゃない」
派手娘「あたしが買った方が絶対読むし、有効活用になんのよ」
少年「そんな横暴な」
派手娘「みみっちいわね。そんなに欲しいなら……」
ヒュッ
少年「!?」
ボスッ!
少年「ぐぇ…!」
少年(お、お腹に…)
派手娘「それ使ってあの包帯ちゃんとボール遊びでもしてなさい」
派手娘「プレゼントにもなって最適でしょ?あたしってやさしー」
派手娘「じゃね」テクテク
少年「う……ぅ……」ウズクマリ
少年(鳩尾に思いっきり入った……)
少年(しかもこのボール、硬式…)
店員「!」ギョッ
店員「君、大丈夫かい…?」
196: 2019/11/08(金) 00:35:58.46 ID:uBwrWeJb0
ーーーーーーー
少年「……酷い目に遭った」テクテク
少年(店員に言い訳するの大変だったし、あの本の在庫は無いって言うし)
少年(なんだってこう、上手くいかないんだよ…)
少年「…やっぱ、少女さんに付いていくべきだったか…?」
少年(……まだ神社に居るのかな)
少年(………)
少年「………」
少年「今日は、帰ろう…」
テクテクテク...
「……」コソッ
.........
少年「……酷い目に遭った」テクテク
少年(店員に言い訳するの大変だったし、あの本の在庫は無いって言うし)
少年(なんだってこう、上手くいかないんだよ…)
少年「…やっぱ、少女さんに付いていくべきだったか…?」
少年(……まだ神社に居るのかな)
少年(………)
少年「………」
少年「今日は、帰ろう…」
テクテクテク...
「……」コソッ
.........
197: 2019/11/08(金) 00:36:53.17 ID:4547r8BBO
少年「……」テクテク
少年「……」テクテク
少年(……?)
少年(何だろう)
少年「………」
少年(…誰かに見られてるような気がする)
...ギョロ
少年「っ!」バッ
少年(……誰もいない)
少年「………」
少年(いや、そもそもここの通り)
少年(こんなに静かだったか…?)
少年「……っ」
少年(なんか、気味悪いな)
少年(さっさと帰──)
「ダメ…触らないで…!」
──ゾクッ
少年(──!?)
少年「ぁ……?」
少年(なんだ、これ……)
少年(意識が……)
少年(立って……られな……)
グラリ...
198: 2019/11/08(金) 00:38:33.83 ID:uBwrWeJb0
ーーーーーーー
夢見娘「……」テクテク
夢見娘「……」テクテク
少年「……」テクテク
夢見娘「……」ミアゲ
(空を舞う妖禍子たち)
夢見娘(今すぐここから離れて)
夢見娘(……って言えたらいいのにな……)
少年「」テクテク
夢見娘(前を歩くきみにとって、理不尽をばら撒くあの子達と)
夢見娘(同じ妖禍子である私はきっと)
夢見娘(…忌むべき存在)
夢見娘「……」
夢見娘(……それでも構わないよ)
夢見娘(きみが悲しまないでいられる世界)
夢見娘(それを守れるなら、私はどんな盾にでもなってあげる)
夢見娘(………)
夢見娘(……それが……)
きみの隣だったら……なぁ。
夢見娘「……」テクテク
夢見娘「……」テクテク
少年「……」テクテク
夢見娘「……」ミアゲ
(空を舞う妖禍子たち)
夢見娘(今すぐここから離れて)
夢見娘(……って言えたらいいのにな……)
少年「」テクテク
夢見娘(前を歩くきみにとって、理不尽をばら撒くあの子達と)
夢見娘(同じ妖禍子である私はきっと)
夢見娘(…忌むべき存在)
夢見娘「……」
夢見娘(……それでも構わないよ)
夢見娘(きみが悲しまないでいられる世界)
夢見娘(それを守れるなら、私はどんな盾にでもなってあげる)
夢見娘(………)
夢見娘(……それが……)
きみの隣だったら……なぁ。
199: 2019/11/08(金) 00:39:30.89 ID:4547r8BBO
少年「」ピタッ...
夢見娘「…!」
夢見娘(止まった…どうしたの…?)
少年「っ!」バッ
夢見娘「」サッ
夢見娘(…気付かれちゃった…?)
夢見娘(……今度は、きみが追いかけてきてくれるのかな……)ドキドキ
夢見娘(──え)
目玉怪物「……」ズズ...
夢見娘(あの子……少年くんの方に……)
夢見娘(………!)
夢見娘「ダメ…触らないで…!」ダッ
目玉怪物「」ベシャッ
少年「」ゾクッ
少年「ぁ……?」グラリ...
夢見娘「…少年くん…!」タッタッ
ギュッ
少年「……ぅ……」
夢見娘(良かった……まだ心は食べられてない……)
目玉怪物「ゴォ…」
夢見娘「…あっち、行って」
目玉怪物「……」
ズズズ...
200: 2019/11/08(金) 00:40:38.33 ID:uBwrWeJb0
少年「うぅ……いや…だ……」
夢見娘「……ごめんなさい」
夢見娘(きみをこんな目に晒してしまうなんて)
夢見娘(……きみを守るなんて、そんな力)
夢見娘(私なんかじゃ、足りないんだろうな)
夢見娘「……」
少年「……ゆるして……」
少年「少女…さ……」
夢見娘(でも)
きみの悪夢を齧ることが出来るのは、私だけ──
ガブリ
201: 2019/11/08(金) 00:41:42.17 ID:uBwrWeJb0
ーーーーーーー
タッタッタッ
猫又娘「……居た!あそこ!」
少年「」
夢見娘「……」
包帯少女「夢見娘、さん…?」
猫又娘「…!」
スタタッ
夢見娘「………」
猫又娘「…何してるの?」
夢見娘「……」
猫又娘「少年君に、何をしたの?」
夢見娘「……守ってた」
夢見娘「あなたたちが、居なかったから」
包帯少女「守るって、少年君を…?」
夢見娘「……」コクッ
夢見娘「……あの子に……」
(遠目に見える目玉の怪物)
猫又娘「あんなのまで…」
包帯少女「っ」
夢見娘「…もう少しで、妖禍子にされるところだった」
少年「」スー..スー..
包帯少女(よく見たら眠ってるだけだ)
猫又娘「私たちを助けてくれたんだ?やっぱりこの子、良い妖禍子ちゃんなんだよ」ヒソヒソ
包帯少女「……」
タッタッタッ
猫又娘「……居た!あそこ!」
少年「」
夢見娘「……」
包帯少女「夢見娘、さん…?」
猫又娘「…!」
スタタッ
夢見娘「………」
猫又娘「…何してるの?」
夢見娘「……」
猫又娘「少年君に、何をしたの?」
夢見娘「……守ってた」
夢見娘「あなたたちが、居なかったから」
包帯少女「守るって、少年君を…?」
夢見娘「……」コクッ
夢見娘「……あの子に……」
(遠目に見える目玉の怪物)
猫又娘「あんなのまで…」
包帯少女「っ」
夢見娘「…もう少しで、妖禍子にされるところだった」
少年「」スー..スー..
包帯少女(よく見たら眠ってるだけだ)
猫又娘「私たちを助けてくれたんだ?やっぱりこの子、良い妖禍子ちゃんなんだよ」ヒソヒソ
包帯少女「……」
202: 2019/11/08(金) 00:44:23.84 ID:uBwrWeJb0
包帯少女「…夢見娘さん」
包帯少女「この際だから訊いておきたい」
夢見娘「……」
包帯少女「あなたは一体、何者なの?」
夢見娘「………」
夢見娘「……私は……」
夢見娘「……」チラリ
少年「」スー..スー..
夢見娘「……彼に望まれて、生まれた…もののヒトリ」
猫又娘「…?」
夢見娘「……」
ガサゴソ
夢見娘「これ…」
猫又娘「あっ!それって」
包帯少女「…"アヤカシノート"」
夢見娘「……少年くんの逃げ場所だった」
猫又娘「逃げ場所?どゆこと?」
包帯少女「…少年君はさ、クラスのバカ連中にしょっちゅうからかわれてたでしょ?」
包帯少女「嫌なことをされる度、妖怪のせいにして日記みたいに書き付けてたの。それがそのノート」
猫又娘(そんな後ろ向きなノートだったんだ…)
夢見娘「……色んな妖禍子を描いてた。その中で一番最初に描いてもらったのが」
夢見娘「私」
包帯少女「え…」
夢見娘「私は彼の嫌なユメを食べるために生まれた妖禍子。少年くんが苦しまないように、ただ静かに見守ってる……」
夢見娘(…だけのはずだった)
猫又娘「…少年君がノートに書いた妖禍子が実体化した…ってこと!?」
猫又娘「なにそれ初めて聞いたよ!なんで私たちに秘密にしてたのかな?」
包帯少女「ううん、多分少年君も知らなかったんだと思う」
包帯少女「知ってたら…それ使って同級生Aたちに仕返しでもしてるんじゃない?」
猫又娘「なるほど」
203: 2019/11/08(金) 00:46:40.26 ID:uBwrWeJb0
包帯少女「夢見娘さん、それ貸してもらってもいい?」
夢見娘「……」スッ
パラパラパラ
包帯少女「…何も書いてない」
猫又娘「あー、そっちは私があげた方だからね。前のは失くしちゃったんだって」
包帯少女(失くした…あんなに大切そうにしてたのに…?)
猫又娘「しっかしほんとに全然使ってないんね。暗いこと書くよりかマシだけど、これはこれで少し寂しいかも」
包帯少女「…夢を食べる妖禍子ってことは…」
夢見娘「……」
包帯少女「………"獏"?」
夢見娘「……そう、呼ばれることもある…」
包帯少女「……」
包帯少女「あなたが少年君を助けてるんだってことは分かった」
包帯少女「じゃあなんで、今になってぼくたちのクラスに転入して来たの?」
包帯少女「少年君の後を付け回したりして…」ボソッ
夢見娘「………それは」
夢見娘「あなたも、よく分かっているはず……」
夢見娘「──この世界の、壊れる音がするから」
夢見娘「笑顔を振り撒くよりも早く」
猫又娘「─!」
夢見娘「歪んだ身体を引き摺るよりも歪に」
包帯少女「……」
夢見娘「闇が……"あのヒト"の嘆きが、すべてを覆い尽くそうとしてる……」
夢見娘「……だからここに来ただけ」
夢見娘「彼の…そばに……」
猫又娘「…もしかして夢見娘さん、この町に何が起きてるのか知ってる…?」
夢見娘「………」
猫又娘「だったら教えてくれないっ?今私たちが相手にしてる妖禍子が何なのか、どうしたらアレらが居なくなるのか」
猫又娘「……"あのヒト"って何?」
204: 2019/11/08(金) 00:48:13.52 ID:uBwrWeJb0
夢見娘「……」
夢見娘「…昔」
夢見娘「人から追われる妖禍子が居た」
夢見娘「大きな身体で、大切に抱えた何かを庇いながら…逃げて、逃げて……」
夢見娘「……でも、最後には息絶えてしまうの」
夢見娘「無慈悲な炎と、たくさんの人に囲まれながら……」
包帯少女(その光景って……)
夢見娘「……私が見た"あのヒト"のユメは、それだけ」
夢見娘「…少女、さん」
包帯少女「!」
夢見娘「あなたはもう、何度か見ている…」
夢見娘「……よね?」
包帯少女「………」
夢見娘「…今この町を飛び交う妖禍子は、みんな"あのヒト"の怒りにあてられた子」
夢見娘「あの子たちを使って、人を妖禍子に変え…"居なかった"ことにしようとしている…」
夢見娘「でも、最初の犠牲者は」
夢見娘「他ならない、あなた」
包帯少女「──」
夢見娘「だから時々、"あのヒト"のユメを見る……見てしまう……」
夢見娘「……違う?」ジッ...
ーーーーー
黒服男「」ニタァ
ーーーーー
包帯少女(一瞬だけ見えた顔)
包帯少女(まさかたまに見るあの夢は、全部あの男の……)
205: 2019/11/08(金) 00:49:29.01 ID:uBwrWeJb0
猫又娘「ちょ、ちょ、ちょっと待って」
猫又娘「さっきから全く付いていけてないんですけど……つまり、どういうこと?」
包帯少女「…この現象には黒幕が居るってことだよ」
猫又娘「それが"あのヒト"?」
包帯少女「そう。私たちを襲ってくる妖禍子はそいつに操られてるんだって」
猫又娘「怒りにあてられるってそういうこと…」
猫又娘「じゃあさ……ここまでのことをする何かが、そのヒトの過去にあったってことだよね?」
夢見娘「……あれ以来、そのユメは見てない……」
包帯少女「ぼくも断片的にしか…」
猫又娘「………」
猫又娘「…結局のところ奴らをどうこうする方法もないままってことか…」
猫又娘「……ま」
猫又娘「ひとまずさ」ポン
夢見娘「…?」
猫又娘「私たちもあなたに協力させてよ」ニコッ
夢見娘「……」
猫又娘「夢見娘さんの力を貸してもらえればこの異常事態の解明もすぐ出来ると思うんよね」
猫又娘「少年君のこと守りたいんでしょ?今までみたいにこそこそしてないで、堂々と隣に居られるよ!」
夢見娘「……」フルフル
夢見娘「……それは無理……」
猫又娘「え」
夢見娘「本来、妖禍子は人の中に居てはいけない存在…」
猫又娘「…そんなこと」
夢見娘(何より……恥ずかしくて、きみの顔、見れないから……)
夢見娘「……」スクッ
夢見娘「…はい」
包帯少女「わ、ちょっと…!」
少年「」ノシッ...
包帯少女(お、重い)
夢見娘「……あなたたちの手伝いはする」
夢見娘「でも隣には居れない」
206: 2019/11/08(金) 00:50:31.25 ID:uBwrWeJb0
夢見娘「……」チラッ...
夢見娘「…少年くんを、お願いします…」
包帯少女「……」
夢見娘「……」...テクテク
テクテク
夢見娘「……」ピタリ
夢見娘「……派手娘さん、なら」
猫又娘「」ピクッ
夢見娘「力になってくれる……かも」
夢見娘「あの子もたくさんの妖禍子と戦ってる…」
テクテクテク...
包帯少女「……派手娘って、あの派手娘さん?」
猫又娘「うちの学校の派手娘さんて言ったら一人しかいないね…」
包帯少女「…派手娘さんまで妖禍子だって言うんじゃ…」
猫又娘「それはないよ。あの人はれっきとした人間…だから多分…」ヒキツリ
包帯少女「?なにその顔」
猫又娘「いやぁ、あの人ちょっと苦手で…」
包帯少女「猫又娘さんにも苦手なものあるんだ」
少年「」ズルッ...
包帯少女「…!…ごめん、少年君支えるの変わってもらいたい…」
猫又娘「ん」ヒョイ
猫又娘(……)
猫又娘「…けどさ、夢見娘さんは正体が分かっても不思議ちゃんだったね」
包帯少女「まぁあの喋り方とか雰囲気とかは独特……あれが獏の性格なのかな」
猫又娘「ノーノーそこじゃあなくって」
猫又娘「…妖禍子は人と居られないなんて言う割に、ずーっと少年君に膝枕してたじゃん」
207: 2019/11/08(金) 00:52:13.77 ID:uBwrWeJb0
ーーーーーーー
「……や………ノート…」
「さっきと…………になる……」
少年(……ん……)
猫又娘「そこは何でも試して──あ」
猫又娘「起きたよ!」
少年(あ…れ……?)
包帯少女「おはよ、少年君」
少年「…!?」
少年(少女さん…!?)
少年(え、っていうか僕見下ろされてる…?ここどこ?何があったんだっけ??)
猫又娘「おーい、寝ぼけてるー?」
包帯少女「無理ないよ、いきなり知らない部屋で目覚めたらね」
包帯少女「ここはぼくの部屋。もう夕方だけど、日付は変わってないよ。土曜日のまま」
包帯少女「…少年君きみはね、妖禍子に襲われたんだよ」
.........
「……や………ノート…」
「さっきと…………になる……」
少年(……ん……)
猫又娘「そこは何でも試して──あ」
猫又娘「起きたよ!」
少年(あ…れ……?)
包帯少女「おはよ、少年君」
少年「…!?」
少年(少女さん…!?)
少年(え、っていうか僕見下ろされてる…?ここどこ?何があったんだっけ??)
猫又娘「おーい、寝ぼけてるー?」
包帯少女「無理ないよ、いきなり知らない部屋で目覚めたらね」
包帯少女「ここはぼくの部屋。もう夕方だけど、日付は変わってないよ。土曜日のまま」
包帯少女「…少年君きみはね、妖禍子に襲われたんだよ」
.........
208: 2019/11/08(金) 00:53:44.60 ID:uBwrWeJb0
少年「……アヤカシノートの、妖怪…?」
少年「夢見娘さんが?」
包帯少女「そう言ってたね」
少年「……」
猫又娘「心当たりある?」
少年「うん、かなり前に…そんな妖怪をノートに書いた覚えがある」
少年「確か、最初のページだったような…」
包帯少女・猫又娘「「!」」
猫又娘「…合ってる、ね」
包帯少女「……」
猫又娘「ねね、試して欲しいことがあるんだ」
猫又娘「ほい」スッ
(アヤカシノートとペン)
少年「…書いてみろ、って?」
猫又娘「うむ」
猫又娘「これは知っての通り本物じゃないし、さっき私たちが書いても何も起きなかったんだけど」
猫又娘「少年君が書けばもしかしたらもしかしたり…?」
少年「……」
少年「………」
少年「…何書けばいいのか…」
猫又娘「何でも──怖くない妖禍子ならどんな子でもオッケー」
少年「そう言われると…んー…」
猫又娘「何なら私とおんなじ猫又ちゃん書いてよ!上手くいけば友達が増えるっ」ニシシッ
少年「………」
少年「」サラサラサラ
『7月20日 一日中曇り
イタズラ好きの猫又が二人に増えていた。ただでさえ賑やかなクラスがもっと活気付いたんじゃないだろうか。』
209: 2019/11/08(金) 00:54:59.38 ID:uBwrWeJb0
三人「「「……」」」
猫又娘「…すぐには変化なしか」
猫又娘「あーあ、これはもう本物のノートで検証しないとダメなんだろーなー。気になるなぁ」
少年(…ノートのことは勿論僕も気になる……けど、もっと気になるのは)
包帯少女「安全な妖禍子が出てくるとは限らないんだから、今思えば実体化しないで良かったかもね」
猫又娘「それ知ってるよー。酸っぱいぶどうって言うんだ」
少年(…どうしてさっき僕は少女さんに膝枕をされていたんだろう)
少年(少女さんはどういうつもりで僕を……気になる……すごく……)
包帯少女「──何かの手掛かりにはなりそうだよね」
包帯少女「ねぇ少年君、あのノートってどこで買ったの?」
少年「!え、と…」
少年「あんまりよく覚えてないんだ…買った記憶はないけどいつの間にか持ってた、みたいな」
猫又娘「そういえばなんで失くしちゃったのかも訊いてなかったね」
少年「っ……」
少年「それは…」
少年(……)
少年「それも、分からない。知らないうちになくなってたから」
少年「……気付いたのは2週間前の日曜日だけど」
包帯少女「…!」
猫又娘「偶然…にしちゃあ出来過ぎてるなぁ。さすがにここまで重なったらさ」
猫又娘「ね、二人とも」
少年「……」
包帯少女「……」
猫又娘(……?)
猫又娘(!…そっかこの二人、まだあの池の話に触れてないのか)
210: 2019/11/08(金) 00:57:08.72 ID:uBwrWeJb0
猫又娘「………」
バシッ
少年「おぅ!?」
猫又娘「まぁまぁ、そう気落ちしなさんな!」
猫又娘「活路はあるよ絶対に」
猫又娘「私たちは今、真相まであと一歩のとこにいる。ここまで酷くなった世界だけど、最後はきっと私たちが──勝つ!」
猫又娘("キミ"が好きだったこの世界……あんなヒトたちに渡してたまるかってね)
包帯少女「……ふふ、確かに勝ち負けの方が分かりやすいね」
猫又娘「フフン」
猫又娘「…きみも」
少年「な、なに?」イテテ...
猫又娘「聞いたよ?あのノート、暗いことばっかり書き殴ってたって」
猫又娘「私のあげたそれ、まだ使ってないんなら今度は楽しいことでも書いてみなよ」ニッ
少年「…普通の日記みたいに?」
猫又娘「そ♪」
猫又娘「嫌いなものばっかり書いてあるなんて寂しいじゃん」
少年「……」チラリ
(窓からのぞく曇り空)
少年(…次晴れた時にでも、書いてみようか?)
──クネクネクネ
少年「…えっ!」
少年(なんだあれ!?)
包帯少女「少年君…?」
(羽をうねらせ飛ぶ妖禍子)
包帯少女「……もしかして、妖禍子が見えてる?」
少年「あ、あれが妖禍子…!?」
猫又娘「なんと」
猫又娘「…妖禍子にされそうになったから、見えちゃうようになったのかね」
猫又娘「良いことなのか悪いことなのか…」
少年(二人とも全然動じてない……あんなのを今まで相手にしてたんだ…)
211: 2019/11/08(金) 01:00:55.48 ID:uBwrWeJb0
包帯少女「……思うにさ、少年君が狙われた以上、一人でいるのはもう危ないんじゃないかな」
猫又娘「そうだね…奴らが見えるって言っても抵抗するすべなんかないわけだし」
猫又娘「また気絶しちゃうかもしんないもんね」チラッ
少年「う…」
包帯少女「うーん」
包帯少女「……じゃあ」
包帯少女「ぼくの家、泊まる?」
少年「………!?」
猫又娘(おー…)
包帯少女「…?何?事情知らない人の所に居ても意味ないでしょ?もうすぐ夏休みだし、数日くらいなら平気だと思うから」
少年「…ちなみに、僕はどこで寝れば…?」
包帯少女「別々に居るのも怖いから、ぼくと一緒に…………!?」
包帯少女「あっ…違うよ!別におかしな意味とかはなくて…!」
猫又娘「いや~実に大胆ですなぁ、少女さん」
包帯少女「そういう意味で言ったんじゃないの!」
猫又娘「そういう意味とはー?」ニヤニヤ
包帯少女「この……!」
シッポダシナサイ!
ニャー!ボウリョクハンターイ!
212: 2019/11/08(金) 01:03:37.71 ID:uBwrWeJb0
少年(少女さんの家で過ごす……)
少年(……)ドキドキ
猫又娘「どうどう…!分かった分かったよ!」
猫又娘「少年君には私が付いてるから、それで手打ちにしよ…!」
包帯少女「…あなたが?」
猫又娘「だいじょーぶ!少年君の家に居る時は見つかんないように」
ドロン
仔猫「ニャーオ」
ドロン
猫又娘「こうやって猫になっとくから」
包帯少女「……ちゃんと少年君の壁になってよ」
猫又娘「ご安心を」
猫又娘「………ん?壁?」
包帯少女「そういうわけだから少年君も、妖禍子に近付いちゃわないよう気を付けること」
少年「う、うん」
包帯少女「…ぼくの家は…普通に遊びに来る分にはいつでも、来てよ」ボソ...
少年「!…」
少年「」コクリ
少年(この騒動が解決したら…お邪魔させてもらおう)
猫又娘「さーて!」
猫又娘「それではおさらいでもしましょっか!」
猫又娘「私たちがこれからやるべきこと、知るべき事実!」
猫又娘「まずはトドノツマリ様と本物のノート探し」
猫又娘「トドノツマリ様は妖禍子の封印方法を知ってるかもしれないし、夢見娘さんが生まれたみたいに本物のノートが大きな鍵になる可能性もあるからね」
少年(……ノートに……トドノツマリ様……)
猫又娘「あとは元凶君の過去」
猫又娘「少女さんが時折見るっていう夢。それが紐解ければ、一連の出来事の根っこを掴める」
包帯少女(……あの夢は強い怒りだけじゃない)
包帯少女(微かに悲しみの念も混ざってる)
猫又娘「そして……あー、これが前途多難なのですが……」
猫又娘「──派手娘さん説得作戦」
213: 2019/11/08(金) 01:05:54.59 ID:uBwrWeJb0
ーーーーーーー
...ガブリ
ここは優しいユメの世界。
少年『……』
だって私の好きなきみがいるから。
夢見娘『……』
少年『……』トットットッ...
ギュッ
ユメのきみは何も喋らないけど、私を優しく抱き締めてくれる。
夢見娘『……』...ギュー
……ねぇ、怖いよ。
きみが居なくなってしまうことが、何よりも怖いの。
この町のひしゃげた不具合が、不条理が全部襲ってきて、きみを飲みこもうとする。
私、きみを守れてるかな?
………。
……うん、分かってる。
所詮はただの自己満足なんだ。
私はマブタの案内人(ストーカー)。
こうしてユメの隙間をかき分けて、きみの温もりを求めているだけ。
...ガブリ
ここは優しいユメの世界。
少年『……』
だって私の好きなきみがいるから。
夢見娘『……』
少年『……』トットットッ...
ギュッ
ユメのきみは何も喋らないけど、私を優しく抱き締めてくれる。
夢見娘『……』...ギュー
……ねぇ、怖いよ。
きみが居なくなってしまうことが、何よりも怖いの。
この町のひしゃげた不具合が、不条理が全部襲ってきて、きみを飲みこもうとする。
私、きみを守れてるかな?
………。
……うん、分かってる。
所詮はただの自己満足なんだ。
私はマブタの案内人(ストーカー)。
こうしてユメの隙間をかき分けて、きみの温もりを求めているだけ。
214: 2019/11/08(金) 01:07:43.57 ID:uBwrWeJb0
少年『……』ギュッ
夢見娘『………』ギューッ...
……本当はね。
本当は──
──きみに護ってほしい。
きまにいっぱい甘えたい。
………でもそれはユメ。
甘くて届かない、ユメ。
夢見娘『……っ……』
私が触れてるこの"きみ"は、私を慰めてくれる私のユメ…。
……ここは悲しい、ユメの世界。
夢見娘(少年くん)
お願い。
どうか来ないで。
残酷な結末も、
午前7時の魔法も──
215: 2019/11/08(金) 01:08:42.40 ID:4547r8BBO
ピピピピッ ピピピピッ
ピピピピッ...
216: 2019/11/08(金) 01:13:43.03 ID:uBwrWeJb0
第六幕はここまでです。
次回第七幕は派手夢に焦点が置かれます。
この物語自体第九幕までを想定してるので、あと3分の1と行ったところです。
次回第七幕は派手夢に焦点が置かれます。
この物語自体第九幕までを想定してるので、あと3分の1と行ったところです。
次回:少年「アヤカシノート」第七幕
引用: 少年「アヤカシノート」
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