217: 2019/12/22(日) 04:19:30.31 ID:hGyrOzpP0
最初から:少年「アヤカシノート」第一幕
前回:少年「アヤカシノート」第六幕
■第七幕 異論を強く唱えるもの■
ーーー翌月曜日 学校ーーー
猫又娘「さてさて、お元気ですかなお二人さん?」
包帯少女「……」
少年「……」
猫又娘「なーんでそうどんよりしてるんかなぁ」
少年「なんでって…また何人か消えて…」
猫又娘「…それを止めるための、私たちでしょうに」
猫又娘「少しでも早く現状を打開する!今はそれだけを考える!」
少年「……それもそうかな」
猫又娘「消えちゃった人だって、きっと元に戻ってくるさ」
包帯少女「そうは言っても、昨日は何の成果も無かったし……外で少年君連れ回すのは辞めた方がいいかもね。危険だよ」
猫又娘「寄ってきた妖禍子(アヤカシ)は私らで撃退したじゃん?」
包帯少女「そうだけど……少年君、身体平気?何ともない?」
少年「今のところは」
猫又娘「私が付いてるんだからノープロブレムです!」
包帯少女「………」
猫又娘「…その目はなんですか。さては信用してないな?」
包帯少女「ううん。ただ、あなた抜けてるところがありそうでハラハラするから」
包帯少女「夜、ちゃんと見張れてる?」
猫又娘「もちろん」
猫又娘「だって一緒に寝てるもん」
218: 2019/12/22(日) 04:21:21.90 ID:hGyrOzpP0
包帯少女「……………は?」
少年「あ…!ち、違うから少女さん!猫の姿で丸まってるだけだから!」
猫又娘「ふふ~ん♪あったかいでしょー?」
少年「今の季節だとちょっと暑苦しいかな…」
猫又娘「うぬぬ」
猫又娘「昨日あれだけじゃれてきたくせに」
少年「尻尾を少し触っただけだろ!?」
少年「あんなにパタパタ動かされちゃ気になるよ」
猫又娘「えー?その後毛並みがどうこうとか言って撫でてきたじゃなーい?」
少年「ゔ……猫又の毛並みなんて誰だって気に──」ハッ
包帯少女「………」
包帯少女「…楽しそうだね??」
少年「あ、遊んでたわけじゃなくて…!」
包帯少女「へぇー…」ジロ
猫又娘「」ビクッ
猫又娘「警護は真面目にやってるから、ね?」
包帯少女「……」
包帯少女「いいけどさ」ボソッ
猫又娘(…素直なんだか素直じゃないんだか)
猫又娘「さって、それよりも!」
猫又娘「今日の本題に入るとしますか」
少年「本当にやるの…?」
猫又娘「えぇえぇ。気持ちはよーく分かります…でも私らの中に引き込めれば絶っっ対心強い味方になる、それは間違いないよ!」
包帯少女「引き込めれば、ね」
三人「………」
派手娘「」ホオヅエ
少年(なんでもあの人もアヤカシと戦ってる人間……らしい)
少年(…アヤカシをちぎっては投げている姿を想像してもあんまり違和感がない)
219: 2019/12/22(日) 04:22:31.46 ID:hGyrOzpP0
猫又娘「派手娘さん攻略作戦」
猫又娘「いよいよ発動する時だよ」
包帯少女「説得作戦とか言ってなかった?」
猫又娘「同じ同じ」
猫又娘「作戦はこう」
猫又娘「まず一人ずつ派手娘さんと話をして説得する」
猫又娘「その時点で納得してくれればよし。それでもダメなら三人で行く」
包帯少女「初めから全員で行けばいいんじゃない?」
猫又娘「……ほら、そこで断られたら一発アウトでしょ?」
包帯少女「何回も話しかけるのも大概だと思うけど…」
猫又娘「と、とにかく!一対一で行った方が礼儀とかなんとかで上手くいくんよ!」
猫又娘「あとは誰から行くかだけど…」
少年・包帯少女「「……」」
猫又娘(うむむ…言い出しっぺの法則で私になりそう…)
少年「…僕が行く」
猫又娘「!」
少年「僕だけ何も出来てないんだ。せめてこういう時くらい力になりたい」
猫又娘「少年君…!」
包帯少女(…なんだか少し、頼もしくなったね)
猫又娘「そう言ってくれると私は信じてたよ」ウンウン
猫又娘「ではトップバッターの少年君、よろしくお願いします」
少年「うん」
猫又娘「」ホッ...
包帯少女(こっちはこっちで、苦手な相手だから後にして欲しいって言えばいいのに)
少年「じゃあ行ってくる」
キーンコーンカーンコーン
少年「……次の授業の後に」
220: 2019/12/22(日) 04:25:01.42 ID:hGyrOzpP0
ーーー休み時間1ーーー
ガヤガヤ
少年「……」
少年(…派手娘さんか…)
少年(この前のことがあるから少し怖いけど……逆にそれが話すきっかけくらいにはなってくれるはず)
少年「──あの」
派手娘「?」
派手娘「あんたか。何?あの本なら貸さないわよ。こう見えてちゃんと読んでるんだから」
派手娘「それとも、この前の仕返しでもしに来た?」ニヤ
少年「そういうのじゃなくて、その…」
少年「……アヤカシのことで……」
派手娘「え?声小さくてよく聞こえないけど」ズイッ
少年「…いや、派手娘さんもアヤカシが見えるんだって聞いて…」
ガヤガヤガヤ
派手娘「だから聞こえないっての」ズズイッ
少年「…!」
少年「…え、えっと…出来るなら派手娘さんにも協力して…」ゴニョゴニョ
派手娘「………」
派手娘「きーこーえーまーせーん!!」
少年「──!?!?」グワァン
少年(み、耳元で……)
ナニナニ?
ハデムスメサンガマタオコッテル
派手娘「言いたいことがあんならはっきり言いなさいよ。ったく」テクテク...
少年「」フラフラ
.........
ガヤガヤ
少年「……」
少年(…派手娘さんか…)
少年(この前のことがあるから少し怖いけど……逆にそれが話すきっかけくらいにはなってくれるはず)
少年「──あの」
派手娘「?」
派手娘「あんたか。何?あの本なら貸さないわよ。こう見えてちゃんと読んでるんだから」
派手娘「それとも、この前の仕返しでもしに来た?」ニヤ
少年「そういうのじゃなくて、その…」
少年「……アヤカシのことで……」
派手娘「え?声小さくてよく聞こえないけど」ズイッ
少年「…いや、派手娘さんもアヤカシが見えるんだって聞いて…」
ガヤガヤガヤ
派手娘「だから聞こえないっての」ズズイッ
少年「…!」
少年「…え、えっと…出来るなら派手娘さんにも協力して…」ゴニョゴニョ
派手娘「………」
派手娘「きーこーえーまーせーん!!」
少年「──!?!?」グワァン
少年(み、耳元で……)
ナニナニ?
ハデムスメサンガマタオコッテル
派手娘「言いたいことがあんならはっきり言いなさいよ。ったく」テクテク...
少年「」フラフラ
.........
221: 2019/12/22(日) 04:26:19.51 ID:hGyrOzpP0
派手娘(朝から無駄に腹立たしいわね)
派手娘(なんでもっと"まっすぐに"こないのよ)
派手娘(弱々しい自己主張。そんなだからバカどもに目付けられるんじゃないの?)
派手娘(この前の騒音野郎とはまったくの逆ね)
===6月某日===
ガタンゴトン ガタンゴトン
派手娘「ふぁーあ…」
派手娘(ねっむい)
派手娘(電車通学失敗だったわ。朝起きるの早いし、この時間座れないし)
プシュー
ゴジョウシャアリガトウゴザイマス
ゾロゾロ
音漏れ男「」~~♪
派手娘「……」
~~♪
派手娘(……はぁ?)
乗客たち「………」
音漏れ男「」~~♪
派手娘「……チッ」
バッ(イヤホンをぶんどる)
音漏れ男「!おい、なにすん──」
派手娘「うっさいのよ!!その雑音!!」
派手娘「自分で分かんないわけ?頭沸いてんじゃない??」
音漏れ男「っ……な、なんだ偉そうに…」
派手娘「あ?」ギロッ
音漏れ男「」ウッ
音漏れ男「…はいはい、俺が悪かったよ。…めんどいやつに絡まれた…」テクテク...
乗客たち「」ポカン
派手娘(ふん、ダサい捨て台詞)
「ねぇあの子の制服って…」
「思った…私たちと同じ学校の…」
=======
222: 2019/12/22(日) 04:27:44.50 ID:hGyrOzpP0
派手娘(気に入らないのよね、ああいうのも)
派手娘(あたしは、納得いかないものに見て見ぬフリをすることが出来ない)
派手娘(ガツンと言ってやらないと気が済まないのよ)
カサッ...(床を這う妖禍子)
派手娘(例えばそう、こいつみたいな捻じくれた奴らとか──)
派手娘(ね!!)
グシャッ
223: 2019/12/22(日) 04:29:00.16 ID:hGyrOzpP0
ーーーーーーー
少年「ごめん、役に立てなかった…」
猫又娘「まさかああも足蹴にされるとはねぇ」
猫又娘「やはり強敵だよ……むぅ…」
包帯少女「まぁ…意気込みやよし、だったよ」
猫又娘「そもそも気になってたんだけどさ」
猫又娘「派手娘さんて昔からあんなに怒りっぽい性格だったの?」
包帯少女「どうかな。ぼくは3年になって初めて同じクラスになったから」
少年「同じく。この前まで話したこともなかった」
猫又娘「この前?派手娘さんと話してみたんだ?」
少年「……ちょっとね」
包帯少女「でもあの人が笑ってるところなら時々見かけるね」
猫又娘「…それ、主に私をいじめてる時でしょ」
包帯少女「……」
猫又娘「……」
包帯少女「…みんなを笑顔にさせたいんでしょ?」
猫又娘「それはなんか違うよね!?」
包帯少女「ま、次はぼくがやってみる」
猫又娘「ん…その、勝算の程は?」
包帯少女「全く分かんない。ぼくは喋ったこともないから」
包帯少女「けど、後に控えてる人が不安そうな目してるし、ぼくが派手娘さんを連れてくるよ」
猫又娘「少女さん…」ウルウル
少年「ごめん、役に立てなかった…」
猫又娘「まさかああも足蹴にされるとはねぇ」
猫又娘「やはり強敵だよ……むぅ…」
包帯少女「まぁ…意気込みやよし、だったよ」
猫又娘「そもそも気になってたんだけどさ」
猫又娘「派手娘さんて昔からあんなに怒りっぽい性格だったの?」
包帯少女「どうかな。ぼくは3年になって初めて同じクラスになったから」
少年「同じく。この前まで話したこともなかった」
猫又娘「この前?派手娘さんと話してみたんだ?」
少年「……ちょっとね」
包帯少女「でもあの人が笑ってるところなら時々見かけるね」
猫又娘「…それ、主に私をいじめてる時でしょ」
包帯少女「……」
猫又娘「……」
包帯少女「…みんなを笑顔にさせたいんでしょ?」
猫又娘「それはなんか違うよね!?」
包帯少女「ま、次はぼくがやってみる」
猫又娘「ん…その、勝算の程は?」
包帯少女「全く分かんない。ぼくは喋ったこともないから」
包帯少女「けど、後に控えてる人が不安そうな目してるし、ぼくが派手娘さんを連れてくるよ」
猫又娘「少女さん…」ウルウル
224: 2019/12/22(日) 04:30:40.65 ID:hGyrOzpP0
ーーー休み時間2ーーー
包帯少女「派手娘さん」
派手娘「あん?」
包帯少女「話があるんだけど、いいかな」
派手娘「嫌」
包帯少女「……」
派手娘「……」
包帯少女「………」
派手娘「………」
.........
包帯少女「ダメだった」
猫又娘「いやいやいやいや」
猫又娘「え?何もしてないよね?門前払いでおしまいだよね??」
猫又娘「せめてもう少し食らいついてさぁ!」
猫又娘「……うぅ…さっきの感動を返しておくれ…」
包帯少女「…なんというか、取りつく島もないって感じで」
少年「うん、そう。すごい分かる。人を寄せ付けないオーラが出てるんだよね」
包帯少女「これ以上邪魔するなって暗に言われてるみたいだった」
猫又娘「?そう?」
猫又娘(確かに普段から怒ってるのはよく見るけど)
猫又娘(何でもかんでも否定してるわけじゃないと思うんだよなぁ)
猫又娘「……ふぅ。分かったよ、私に託されたってことね」
少年「結局また猫又娘さんに任せることになっちゃうな…」
猫又娘「気にしない気にしない」
猫又娘「どうせいつかは派手娘さんと話をつけないとって思ってたから」
猫又娘「私を誰だと思ってるん?愛と勇気のトラブルシューター猫又娘ちゃんだよ」
猫又娘「本気を出せば派手娘さんの一人や二人、なんのその!」
包帯少女「本当は?」
猫又娘「………」
猫又娘「ちょっとだけ、おっかないです」アハハ...
包帯少女「派手娘さん」
派手娘「あん?」
包帯少女「話があるんだけど、いいかな」
派手娘「嫌」
包帯少女「……」
派手娘「……」
包帯少女「………」
派手娘「………」
.........
包帯少女「ダメだった」
猫又娘「いやいやいやいや」
猫又娘「え?何もしてないよね?門前払いでおしまいだよね??」
猫又娘「せめてもう少し食らいついてさぁ!」
猫又娘「……うぅ…さっきの感動を返しておくれ…」
包帯少女「…なんというか、取りつく島もないって感じで」
少年「うん、そう。すごい分かる。人を寄せ付けないオーラが出てるんだよね」
包帯少女「これ以上邪魔するなって暗に言われてるみたいだった」
猫又娘「?そう?」
猫又娘(確かに普段から怒ってるのはよく見るけど)
猫又娘(何でもかんでも否定してるわけじゃないと思うんだよなぁ)
猫又娘「……ふぅ。分かったよ、私に託されたってことね」
少年「結局また猫又娘さんに任せることになっちゃうな…」
猫又娘「気にしない気にしない」
猫又娘「どうせいつかは派手娘さんと話をつけないとって思ってたから」
猫又娘「私を誰だと思ってるん?愛と勇気のトラブルシューター猫又娘ちゃんだよ」
猫又娘「本気を出せば派手娘さんの一人や二人、なんのその!」
包帯少女「本当は?」
猫又娘「………」
猫又娘「ちょっとだけ、おっかないです」アハハ...
225: 2019/12/22(日) 04:31:58.76 ID:hGyrOzpP0
ーーーーーーー
女生徒「ねー、夏休みどこ行こっか?」
男子生徒「俺はどこだっていいぜ。行きたいとこ言ってくれれば」
女生徒「無気力人間か!一緒に考えようよー」
ワイワイ
派手娘(夏休み)
派手娘「……」
派手娘(今年の夏はどうしてこう気に食わないのが多いのよ)
ーーーーー
同級生A「」クスクス
同級生B「」ケラケラ
少年「……」
ーーーーー
派手娘(目障りな連中が居たり)
ーーーーー
包帯少女「……」
ーーーーー
派手娘(…どっか拗らせたようなやつが湧いたり)
派手娘(あの子が包帯を着けるようになった日と、"奴ら"が見え隠れするようになったのは同じ日だった)
派手娘「…!」
女生徒「それでねー、──」
男子生徒「そのチョイスはなかなか──」
妖禍子「」カサカサ
派手娘「……」
ガタッ テクテク
女生徒「ねー、夏休みどこ行こっか?」
男子生徒「俺はどこだっていいぜ。行きたいとこ言ってくれれば」
女生徒「無気力人間か!一緒に考えようよー」
ワイワイ
派手娘(夏休み)
派手娘「……」
派手娘(今年の夏はどうしてこう気に食わないのが多いのよ)
ーーーーー
同級生A「」クスクス
同級生B「」ケラケラ
少年「……」
ーーーーー
派手娘(目障りな連中が居たり)
ーーーーー
包帯少女「……」
ーーーーー
派手娘(…どっか拗らせたようなやつが湧いたり)
派手娘(あの子が包帯を着けるようになった日と、"奴ら"が見え隠れするようになったのは同じ日だった)
派手娘「…!」
女生徒「それでねー、──」
男子生徒「そのチョイスはなかなか──」
妖禍子「」カサカサ
派手娘「……」
ガタッ テクテク
226: 2019/12/22(日) 04:34:54.23 ID:hGyrOzpP0
男子生徒「南町神社の祭りもたまにはいいかも──ん?」
女生徒「…派手娘さん?」
派手娘「どいて、邪魔」
女生徒「ごめんなさ……いえ、なんでわざわざどかなくちゃ──」
派手娘「なに?」ジロッ
男子生徒「…素直にどいとこう」
女生徒「あ、ちょっと…!もう…」
派手娘「……はー」
妖禍子「ギ…」カササ
派手娘「」スッ
グシャッ(踏み潰す)
派手娘(いきなり現れて、無断であたしらの世界を掻き乱してさ)
派手娘(誰も気付かないからってもっと調子付いてきてるわよね)
サラサラ...(消えていく妖禍子)
派手娘「…1匹ならただの雑魚ね」フンッ
派手娘(群れたところで負けるつもりはないけど)
派手娘(…いいわ)
派手娘(やってやろうじゃない)
派手娘(ただでさえ捻くれたこの世界を、あんたらがもっとひん曲げるって言うんなら)
派手娘(あたしはあたしの目の前に現れたあんたらをぶっ飛ばす)
派手娘(先に仕掛けてきたのはそっちなんだからこれは立派な正当防衛よね?)
派手娘(こそこそちまちまと動いてる人たちも居るみたいだけど、あんなんじゃ話にならない)
派手娘(要は納得しないのよ、あたしが!それだけ!)
派手娘(気に入らないものは片っ端から消し飛ばしてやるわ!)
227: 2019/12/22(日) 04:37:03.74 ID:hGyrOzpP0
ポンポン
派手娘「あん?」フリムキ
イケメン「これ、落としたよ。君のでしょ?」
「あれは、クラスで一番モテる爽やか好青年のイケメン君…!」
「派手娘さんにも分け隔てなく接するなんて…仏か…!」
派手娘「ぁ……」
イケメン「ん?」ニコッ
派手娘「……やす……き……」モジッ
イケメン「ははっ、何だい?もっと落ち着いて喋ってごらん」
派手娘「っ……」グッ
派手娘「き、気安く触んな!!」バシーン!
「おおーっとイケメン君吹っ飛ばされたー!?」
「あぁやっぱり鬼の派手娘さんには近付かない方が吉なんだね…」
イケメン「」ピクッ、ピクッ
派手娘「あ……その……」
派手娘(っ…)
派手娘「」タッタッタッ
228: 2019/12/22(日) 04:41:49.84 ID:hGyrOzpP0
ーーー昼休みーーー
「イケメン君大丈夫なの?」
イケメン「平気平気。怪我とかしたわけじゃないから」
「ほんと、怖いよね…派手娘さん。人の親切を暴力で返すなんて」
イケメン「そう言わないであげてよ。彼女には彼女なりの理由があるんだよきっと」
派手娘「……」モヤモヤ
派手娘(理由なんかないっつーの!)
派手娘(んもー…調子狂う…)
派手娘(んな絵に描いたような善人…)
派手娘(いるわけないじゃん)
派手娘(どうせこの世はみんな天邪鬼。心の中で何考えてるかなんてそいつにしか分かりゃしないのよ)
派手娘「……もう一人いたわね」
派手娘(このクラスのお調子者)
派手娘(張りぼてみたいな笑みをひっさげてるあのバカが──)
猫又娘「派ー手ー娘さん♪」
派手娘「うわ」
猫又娘「うわって何…!そんなに私のこと嫌いなの!」
派手娘「…あんた、あたしの神経逆撫するのだけは上手よね」
猫又娘「理不尽だ…まだ何もしてないのに!今日という今日は私に対するその扱い、断固抗議するよ!」プンプン
派手娘(う、鬱陶しい…)
派手娘「はいはいしょうもない抗議なら一人でやってな。何の用?」
猫又娘「……スー…ハー…」
猫又娘「派手娘さん、折り入ってお願いが──」
派手娘「嫌よ帰ってさようなら」
猫又娘「ありま、す…」
猫又娘「……」
派手娘「……」
猫又娘「派手娘さん、折り入ってお願いがあります」
派手娘「なかったことにするんじゃないわよ」
猫又娘「そんなこと言わずにぃ~!話くらい聞いてちょうだいよー!」バッ
派手娘「ちょっ、なんでまとわり付いてくんの!暑苦しいっての…!」
猫又娘「へへっ!派手娘さんが大人しく言うことを聞いてくれるまで離れませんよぉ!」ギュー
派手娘「ウッザ!この上なくウザい!離れないと逆さ吊りにするわよ!」
猫又娘「やれるものならどーぞ♪本気出した私を捕まえられるかな?」
猫又娘(これぞ私の考え出した戦略!)
猫又娘(名付けて……勢いのままなんとかいっちゃおう作戦!)
猫又娘(押せ押せ私!このままじゃじゃ馬さんを丸め込むんだ!)
「イケメン君大丈夫なの?」
イケメン「平気平気。怪我とかしたわけじゃないから」
「ほんと、怖いよね…派手娘さん。人の親切を暴力で返すなんて」
イケメン「そう言わないであげてよ。彼女には彼女なりの理由があるんだよきっと」
派手娘「……」モヤモヤ
派手娘(理由なんかないっつーの!)
派手娘(んもー…調子狂う…)
派手娘(んな絵に描いたような善人…)
派手娘(いるわけないじゃん)
派手娘(どうせこの世はみんな天邪鬼。心の中で何考えてるかなんてそいつにしか分かりゃしないのよ)
派手娘「……もう一人いたわね」
派手娘(このクラスのお調子者)
派手娘(張りぼてみたいな笑みをひっさげてるあのバカが──)
猫又娘「派ー手ー娘さん♪」
派手娘「うわ」
猫又娘「うわって何…!そんなに私のこと嫌いなの!」
派手娘「…あんた、あたしの神経逆撫するのだけは上手よね」
猫又娘「理不尽だ…まだ何もしてないのに!今日という今日は私に対するその扱い、断固抗議するよ!」プンプン
派手娘(う、鬱陶しい…)
派手娘「はいはいしょうもない抗議なら一人でやってな。何の用?」
猫又娘「……スー…ハー…」
猫又娘「派手娘さん、折り入ってお願いが──」
派手娘「嫌よ帰ってさようなら」
猫又娘「ありま、す…」
猫又娘「……」
派手娘「……」
猫又娘「派手娘さん、折り入ってお願いがあります」
派手娘「なかったことにするんじゃないわよ」
猫又娘「そんなこと言わずにぃ~!話くらい聞いてちょうだいよー!」バッ
派手娘「ちょっ、なんでまとわり付いてくんの!暑苦しいっての…!」
猫又娘「へへっ!派手娘さんが大人しく言うことを聞いてくれるまで離れませんよぉ!」ギュー
派手娘「ウッザ!この上なくウザい!離れないと逆さ吊りにするわよ!」
猫又娘「やれるものならどーぞ♪本気出した私を捕まえられるかな?」
猫又娘(これぞ私の考え出した戦略!)
猫又娘(名付けて……勢いのままなんとかいっちゃおう作戦!)
猫又娘(押せ押せ私!このままじゃじゃ馬さんを丸め込むんだ!)
229: 2019/12/22(日) 04:43:50.56 ID:hGyrOzpP0
派手娘「──あ゙ー!分かったわよ、聞いてやるから離しなさい!」
猫又娘「!ほんと!」
派手娘「本当本当」
パッ
派手娘「髪が崩れるわ、まったく…」
猫又娘(…よし、最初にして最大の関門は突破)
猫又娘(後は事情の共有だけ)
猫又娘「…それじゃ、単刀直入に言うね」
猫又娘「あなたの力を貸して欲しい」
派手娘「……」
猫又娘「この町に起きてる異変…派手娘さんも気が付いてるよね?」
猫又娘「化け物たち──妖禍子が闊歩したり、同じクラスの子が消えたり…」
猫又娘「今、私と少年君と少女さんの三人でこの事件を解決する手立てを探してる。そしてあと一歩のところまで来たんよ」
猫又娘「あとは時間との勝負…」
猫又娘「…派手娘さん、妖禍子に触れてもなんともないんね。さっき踏み潰してたの、見えたから」
猫又娘「その力を見込んでお願い!手を貸して!あなたがいれば比喩抜きで百人力なの!」
猫又娘「派手娘さんだってこんなおかしな世のままにしておきたくないでしょ?」
派手娘「………」
猫又娘「ね?」
派手娘(……)
派手娘「はい、聞いてあげた」
派手娘「用は済んだ?じゃ、回れ右してさよなら」
猫又娘「……へ?」
派手娘「無駄に疲れさせることしないで欲しいわ…ったく」
猫又娘「………」
猫又娘(~~!)
猫又娘「な、なな…!」
猫又娘「なんなんそれ!?」
猫又娘「ひとがせっかく真面目に話してるのになんなのその態度!」ガシッ
派手娘「だからひっついてくんなって──」
猫又娘「ははーん、さては怖いんだね?お化けとかそういうの。」
猫又娘「プクク、見かけに寄らずかわいいとこあるんね」
派手娘「フンッ、やっすい挑発。いつの時代の漫画よ」
派手娘「さっきから精一杯強がっちゃって、かわいいのはどっちかしらね?」クスッ
猫又娘「ぬぬぬ…!」
230: 2019/12/22(日) 04:45:53.16 ID:hGyrOzpP0
猫又娘「…いいさ、そっちがそのつもりなら本当に怖いものなしなのか試してあげる…!」フッフッフッ
少年「!猫又娘さん、まさかここでアレに化けるつもりなんじゃ…」
包帯少女「アレ?」
少年「大きな骸骨みたいな妖怪」
猫又娘「腰抜かしても知らないかんね!」
猫又娘「そいや──」
派手娘「いいからとにかく離せっ」パシッ
猫又娘「──!?」グラッ
ドロン
「うお!なんだ何の騒ぎだ!?」
「あそこ。猫又娘さんと派手娘さんが何かしてたみたいだけど」
猫又娘「いつつ…」アタマサスリ
猫又娘「あれ?変わってない…」
猫又娘「ん?」
派手娘「……」テカー
「ハゲ頭…?」
猫又娘(あ)
派手娘「……」
猫又娘「……」
猫又娘「…んくっ」プルプル
「おい見ろよあれ…」クスス
「やめとけって。後で因縁付けられても……ぶふっ」
猫又娘「くく……くふっ…!」
猫又娘「なっはは!ごめ、ごめん!派手娘さん…!グフッ、ちょっと失敗しちゃったみたいで…!」
猫又娘「今、戻すから!…クク」
ドロン
派手娘「……」(元の髪型)
231: 2019/12/22(日) 04:46:49.45 ID:hGyrOzpP0
猫又娘「ひーっ!ダメだ、ツボに入った…!はは、あははは!」
猫又娘(なんでスキンヘッド?がしゃどくろ→骸骨→髪はないってことぉ?スキンはあるのに)
猫又娘(なんにしても)
猫又娘「絶望的に、似合わな過ぎる…!」ゲラゲラ
派手娘「………」
「あ…」
「…ちょっとベランダに避難すっか」
猫又娘「はー、ひー…笑った…」
猫又娘「いやぁ、悪い悪い。あんなことするつもりはなくってさ……プフッ」
猫又娘「ちょっとしたハプニングってことで許しておくれよ」
猫又娘「でもさっきの、ちょっとおいしいなとか思ったでしょ?あはは」チラッ
派手娘「………」ゴゴゴゴ
猫又娘「……はは……」
232: 2019/12/22(日) 04:48:32.62 ID:hGyrOzpP0
ーーーーーーー
...ドドドド
教師「……?」
猫又娘「」ドドド!
教師「おい!廊下を全速力で走る奴があるか」
猫又娘「あ!先生!」
猫又娘「お願いです匿って下さい職員室とかでいいんです!これから勉強も頑張りますからどうか頼みます…!」
教師「は…?ん?どういうことだ?」
シュバババ!
派手娘「せーんせ♪」
教師「おう?今度は派手娘か」
派手娘「ちょっとそこの、後ろに隠れてる子渡してくれません?」
派手娘「"オハナシ"がしたいので」ニッコリ
猫又娘「ひっ…!」
教師「なんだお前たち、喧嘩か?中三になってマジもんの喧嘩とはなぁ…てっきり仲良いと思ってたが――」
派手娘「先生」 ← 虎をも殺せそうな目
教師「……」
教師「…そうだ、午後の授業準備しとかんとな、うん」スタスタスタ
猫又娘「えっ。ちょ、ちょっ!」
派手娘「……」ニコッ
猫又娘「」ダッ
派手娘「」ダッ
ダダダッ
派手娘「ねーなんで逃げんのー?まだ話の途中だったのよねー?止まってくれないと続き話せないわよー?」
猫又娘「だったらその手に持ってる物騒な縄はなに!?何の"ハナシ"をする気なんでしょうか!?」
派手娘「すこーし実験に使うだけよ?」
派手娘「ねー止まってくんない??今なら…」
派手娘「…半頃しで済ませてあげるから」
猫又娘「やだぁ!」
猫又娘(殺される…!)
猫又娘「ほんとに悪気は無かったんだよぉ!許して…!」
ダダダダッ...
...ドドドド
教師「……?」
猫又娘「」ドドド!
教師「おい!廊下を全速力で走る奴があるか」
猫又娘「あ!先生!」
猫又娘「お願いです匿って下さい職員室とかでいいんです!これから勉強も頑張りますからどうか頼みます…!」
教師「は…?ん?どういうことだ?」
シュバババ!
派手娘「せーんせ♪」
教師「おう?今度は派手娘か」
派手娘「ちょっとそこの、後ろに隠れてる子渡してくれません?」
派手娘「"オハナシ"がしたいので」ニッコリ
猫又娘「ひっ…!」
教師「なんだお前たち、喧嘩か?中三になってマジもんの喧嘩とはなぁ…てっきり仲良いと思ってたが――」
派手娘「先生」 ← 虎をも殺せそうな目
教師「……」
教師「…そうだ、午後の授業準備しとかんとな、うん」スタスタスタ
猫又娘「えっ。ちょ、ちょっ!」
派手娘「……」ニコッ
猫又娘「」ダッ
派手娘「」ダッ
ダダダッ
派手娘「ねーなんで逃げんのー?まだ話の途中だったのよねー?止まってくれないと続き話せないわよー?」
猫又娘「だったらその手に持ってる物騒な縄はなに!?何の"ハナシ"をする気なんでしょうか!?」
派手娘「すこーし実験に使うだけよ?」
派手娘「ねー止まってくんない??今なら…」
派手娘「…半頃しで済ませてあげるから」
猫又娘「やだぁ!」
猫又娘(殺される…!)
猫又娘「ほんとに悪気は無かったんだよぉ!許して…!」
ダダダダッ...
233: 2019/12/22(日) 04:49:28.27 ID:hGyrOzpP0
ーーー教室ーーー
少年「……行っちゃったね」
包帯少女「…そうだね」
少年・包帯少女「「……」」
包帯少女「うん、まぁあれは自業自得としか」
少年「あの二人仲良いんだか悪いんだか分かんないね」
少年「これで全敗。あとは…僕たち全員での説得だっけ」
包帯少女「あの子が無事に帰ってこれればね」
少年「1抜けたとか言い出さなきゃいいけど」
包帯少女「そしたら門前払い組二人ででも行ってみる?案外上手くいったりして」
少年「猫又娘さんを差し出すのと引き換えに…とか」
包帯少女「んー?少年君いつからそんな黒い発想をするようになったのかな?」
少年「本気じゃないって」ハハッ
包帯少女「分かってる」フフッ
包帯少女「ひとまずあの子が戻ってくるまで待ってようか」
少年「うん」
少年(……けどそもそも)
少年(本当にそこまでして協力してもらう必要があるのだろうか)
少年(いやもちろん、こんな異常時に助けは一人でも居た方がいいっていうのは理解してるけど)
少年(…派手娘さんのこと教えてくれたのは確か、夢見娘さん…)チラリ
夢見娘「……」スー..スー..
少年「……」
少年(あの人が、僕の作り出した妖禍子だなんて)
少年(気になる。話をしてみたいけど、僕たちの近くには居れないって言ってたらしい…)
少年「……行っちゃったね」
包帯少女「…そうだね」
少年・包帯少女「「……」」
包帯少女「うん、まぁあれは自業自得としか」
少年「あの二人仲良いんだか悪いんだか分かんないね」
少年「これで全敗。あとは…僕たち全員での説得だっけ」
包帯少女「あの子が無事に帰ってこれればね」
少年「1抜けたとか言い出さなきゃいいけど」
包帯少女「そしたら門前払い組二人ででも行ってみる?案外上手くいったりして」
少年「猫又娘さんを差し出すのと引き換えに…とか」
包帯少女「んー?少年君いつからそんな黒い発想をするようになったのかな?」
少年「本気じゃないって」ハハッ
包帯少女「分かってる」フフッ
包帯少女「ひとまずあの子が戻ってくるまで待ってようか」
少年「うん」
少年(……けどそもそも)
少年(本当にそこまでして協力してもらう必要があるのだろうか)
少年(いやもちろん、こんな異常時に助けは一人でも居た方がいいっていうのは理解してるけど)
少年(…派手娘さんのこと教えてくれたのは確か、夢見娘さん…)チラリ
夢見娘「……」スー..スー..
少年「……」
少年(あの人が、僕の作り出した妖禍子だなんて)
少年(気になる。話をしてみたいけど、僕たちの近くには居れないって言ってたらしい…)
234: 2019/12/22(日) 04:50:38.68 ID:hGyrOzpP0
ーーーーーーー
………。
苦しい。
………。
悲しい。
………。
──憎い。
……違うの。
その感情は。
煮えたぎる怒りの奔流は、私じゃなくて──。
ーーーーーーー
「……さん………見娘さん!」
夢見娘「…ん」
同級生C「大丈夫?うなされてたよ」
同級生C「辛い夢でも見てた…?」
夢見娘「………」
夢見娘「……平気……」
同級生C「…嘘だよ」
同級生C「だって涙、出てる」
夢見娘(…!)
夢見娘「」コスコス
夢見娘「……ただのあくび、だから……」
同級生C「………」
夢見娘「………」
………。
苦しい。
………。
悲しい。
………。
──憎い。
……違うの。
その感情は。
煮えたぎる怒りの奔流は、私じゃなくて──。
ーーーーーーー
「……さん………見娘さん!」
夢見娘「…ん」
同級生C「大丈夫?うなされてたよ」
同級生C「辛い夢でも見てた…?」
夢見娘「………」
夢見娘「……平気……」
同級生C「…嘘だよ」
同級生C「だって涙、出てる」
夢見娘(…!)
夢見娘「」コスコス
夢見娘「……ただのあくび、だから……」
同級生C「………」
夢見娘「………」
235: 2019/12/22(日) 04:51:59.51 ID:hGyrOzpP0
同級生C「……お菓子、いる?」
夢見娘「……」コク
スッ...
夢見娘「………」ジー...
夢見娘(そういえば少し…お腹が空いてる…)
夢見娘(……今、何時?時計、時計……)
同級生C「――1時10分。もうすぐ昼休みも終わるとこ」
夢見娘「!」
同級生C「…で、よかった?」
夢見娘「……なんで……」
同級生C「分かったのかって?」
同級生C「ちょびっとだけだけど、夢見娘さんが何考えてるのか分かるようになってきたんだぜぃ」
同級生C「へへっ、これで夢見娘さん検定二級くらいは合格かな」
夢見娘「……」
同級生C「…そのさ、何かあったら気負わず吐き出してよ」
同級生C「愚痴でも弱音でも溜め込んでる方がよっぽど辛いっしょ」
同級生C「俺に出来ることなら……あー、夢見娘さんの助けになりたいから、さ」ポリポリ
夢見娘「………」
同級生C「………」
同級生C(これは…驚いてる顔だろうな)
同級生C(今更ながらあんなクサイ台詞、恥ずかしくなってきた…)
同級生C(けどま、暗い雰囲気は消えたしこれでよかったんだ。うん)
同級生C「さて、次はなんの授業だったかねー」
…クイッ(袖を掴む)
同級生C「…!」
夢見娘「………チャイム、なるまで」
夢見娘「そばに居て…」
同級生C(………!?)
同級生C(夢見娘さん…?)
夢見娘「………」ジッ
同級生C(…この上目遣いは反則だ)
同級生C「喜んで」ニッ
236: 2019/12/22(日) 04:53:04.29 ID:hGyrOzpP0
ーーー放課後ーーー
ガヤガヤ
派手娘「……ふぅ」
派手娘(どこかのアホのせいでいやに疲れる日になったわね)
派手娘(逃げ足だけは速いくせして)
派手娘「…行くか」スクッ
「今日さー部活に顔出してみようと思うんだよね」
「OBとして?いいんじゃない楽しそう」
「夏の大会も近いし、置いてきた後輩たちの成長を見てやろうってね~」
テクテク
...ポトッ
派手娘「?」ヒロイアゲ
派手娘「ねぇ、ちょっと」
派手娘「財布落としたわよ」
「!…あ、派手娘さん…」
「ご、ごめんなさい。変な手をかけさせちゃって…」
「…お願いです、普通に返してあげてください」
派手娘「そりゃ構わないけど」スッ
「」パッ
「行こ」
「う、うん…」
スタスタスタ...
「なに、また派手娘さんが…?」
「こわ…目付けられないようにしないと…」
ヒソヒソ
派手娘「………」
ガヤガヤ
派手娘「……ふぅ」
派手娘(どこかのアホのせいでいやに疲れる日になったわね)
派手娘(逃げ足だけは速いくせして)
派手娘「…行くか」スクッ
「今日さー部活に顔出してみようと思うんだよね」
「OBとして?いいんじゃない楽しそう」
「夏の大会も近いし、置いてきた後輩たちの成長を見てやろうってね~」
テクテク
...ポトッ
派手娘「?」ヒロイアゲ
派手娘「ねぇ、ちょっと」
派手娘「財布落としたわよ」
「!…あ、派手娘さん…」
「ご、ごめんなさい。変な手をかけさせちゃって…」
「…お願いです、普通に返してあげてください」
派手娘「そりゃ構わないけど」スッ
「」パッ
「行こ」
「う、うん…」
スタスタスタ...
「なに、また派手娘さんが…?」
「こわ…目付けられないようにしないと…」
ヒソヒソ
派手娘「………」
237: 2019/12/22(日) 04:54:34.38 ID:hGyrOzpP0
ーーーーーーー
猫又娘「」ソローリ
猫又娘「…あれ?派手娘さんは…」
少年「あ、いつの間に戻ってきてたんだ」
包帯少女「もう居なかったよ。帰っちゃったのかも」
猫又娘「ほ、ほんと…?」キョロキョロ
包帯少女「ぼくたちもちょうど二人で説得しようかって考えてたとこなんだけどね」
猫又娘(………)
猫又娘「探そ」
猫又娘「探し出して、なんとしても協力してもらおう」
猫又娘「作戦最終フェーズ、全員でこっち側に引きずり込む!」
少年「その言い方じゃあまるで悪者みたいだな…」
包帯少女「平気?あなた捕まったら今度こそ何されるか分からないんじゃ」
猫又娘「うぐ……そのときは」
猫又娘「お二人が頼みの綱です」メソラシ
少年「え、本当に猫又娘さんと引き換えにしていいの?」
猫又娘「!?そこは助けて欲しいとこだから!」
包帯少女「少年君…」ハハ...
猫又娘「そりゃあ私も悪かったけどさぁ、あそこまで怒んなくてもいいじゃん…?」
猫又娘「…でも、もっと不満なのは私の話をはぐらかしたこと」
猫又娘「妖禍子のこと絶対気付いているはずなのにあの態度だよ。せめて協力したくないならそうとはっきり言えって感じ!」
猫又娘「だからちゃんと返事もらうまで私は引き下がらないよ!」
猫又娘「」ソローリ
猫又娘「…あれ?派手娘さんは…」
少年「あ、いつの間に戻ってきてたんだ」
包帯少女「もう居なかったよ。帰っちゃったのかも」
猫又娘「ほ、ほんと…?」キョロキョロ
包帯少女「ぼくたちもちょうど二人で説得しようかって考えてたとこなんだけどね」
猫又娘(………)
猫又娘「探そ」
猫又娘「探し出して、なんとしても協力してもらおう」
猫又娘「作戦最終フェーズ、全員でこっち側に引きずり込む!」
少年「その言い方じゃあまるで悪者みたいだな…」
包帯少女「平気?あなた捕まったら今度こそ何されるか分からないんじゃ」
猫又娘「うぐ……そのときは」
猫又娘「お二人が頼みの綱です」メソラシ
少年「え、本当に猫又娘さんと引き換えにしていいの?」
猫又娘「!?そこは助けて欲しいとこだから!」
包帯少女「少年君…」ハハ...
猫又娘「そりゃあ私も悪かったけどさぁ、あそこまで怒んなくてもいいじゃん…?」
猫又娘「…でも、もっと不満なのは私の話をはぐらかしたこと」
猫又娘「妖禍子のこと絶対気付いているはずなのにあの態度だよ。せめて協力したくないならそうとはっきり言えって感じ!」
猫又娘「だからちゃんと返事もらうまで私は引き下がらないよ!」
238: 2019/12/22(日) 04:56:56.71 ID:hGyrOzpP0
ーーー石段麓ーーー
派手娘「……」(体育座り)
派手娘「……」
派手娘(……)
ーーーーー
「──行こ」
「──う、うん…」
ーーーーー
派手娘「……なによ」
派手娘「んな警戒しなくたって何もしないっての」
派手娘「………」
派手娘(…分かってるわよ)
派手娘(腫れ物扱いが自業自得なんてこと)
派手娘(だって仕方ないじゃん。納得いかないものはいかないの!)
派手娘(電車の音漏れ野郎も)
派手娘(不味い料理を平然と出してくる店も)
派手娘("友達"なんて、都合良く利用する奴らも)
ーーーーー
「──ねー、お願い!明日までの宿題、終わったら手伝って!」
「ちょっとは自分でやればー?ってか、あんたいつも二つ編みに見せてもらってなかった?」
「だって今のあの人使えなさそうなんだもん。たまに変な独り言言ってて不気味だしぃ」
「友達じゃなかったの?」
「まっさかー(笑)」
二つ編み「……」テクテク
テクテク...
「あーあ、聞こえてたんじゃない?どっか行っちゃったよ?」
「根暗さんに悪いことしちゃったわぁ。ごめんなさーい」
「全っ然謝る気ないでしょ」
クスクス
派手娘「……」(体育座り)
派手娘「……」
派手娘(……)
ーーーーー
「──行こ」
「──う、うん…」
ーーーーー
派手娘「……なによ」
派手娘「んな警戒しなくたって何もしないっての」
派手娘「………」
派手娘(…分かってるわよ)
派手娘(腫れ物扱いが自業自得なんてこと)
派手娘(だって仕方ないじゃん。納得いかないものはいかないの!)
派手娘(電車の音漏れ野郎も)
派手娘(不味い料理を平然と出してくる店も)
派手娘("友達"なんて、都合良く利用する奴らも)
ーーーーー
「──ねー、お願い!明日までの宿題、終わったら手伝って!」
「ちょっとは自分でやればー?ってか、あんたいつも二つ編みに見せてもらってなかった?」
「だって今のあの人使えなさそうなんだもん。たまに変な独り言言ってて不気味だしぃ」
「友達じゃなかったの?」
「まっさかー(笑)」
二つ編み「……」テクテク
テクテク...
「あーあ、聞こえてたんじゃない?どっか行っちゃったよ?」
「根暗さんに悪いことしちゃったわぁ。ごめんなさーい」
「全っ然謝る気ないでしょ」
クスクス
239: 2019/12/22(日) 04:58:59.54 ID:hGyrOzpP0
派手娘「…あのさ、さっきからうるさいんだけど」
「は?なにいきなり」
派手娘「耳障りなのよ消えてくんない?」
「あ、もしかしてぇ…二つ編みちゃんのお友達なんですかぁー?」
「いがーい!性格とか真逆そうなのに」
「友達料貰ってたりしてます?(笑)」
派手娘「…….」
...ガシッ
「!?」
グググッ メリ...
「い、痛い痛いやめて!」
派手娘「」グリッ
「んぎっ!?いだぁ!!やめて爪剥がれる…!!」
「ちょっと、何して──」
パッ
「ん゙ぅ…!」フラッ
「っと」トサッ
派手娘「…何回も言わせんな。とっとと失せろ」
派手娘「次は剥ぐ」
「ひぃ…!」
スササッ...
ーーーーー
派手娘(共に生きてく気もないくせに薄っぺらい言葉をいいように振りかざす)
派手娘(あたしが嫌いなタイプ)
ーーーーー
少年「──、───」
猫又娘「──♪」
包帯少女「…──?──」
ーーーーー
派手娘「………」
派手娘(………)
派手娘「……ふん……」
派手娘「……」
派手娘「別に、友達とか…」
派手娘(羨ましくなんか、ないし)
240: 2019/12/22(日) 05:00:05.60 ID:hGyrOzpP0
ーーーーーーー
猫又娘「…!居た、あそこ!」
派手娘「……」
少年「まさか本当にここにいるなんて…」
猫又娘「妖禍子を倒し続けてるならたくさん集まる神社に居るかも…って、少女さんの洞察力には感服ですな」
包帯少女「大袈裟だって。…現に妖禍子を相手にしてるわけじゃなさそうだしね」
少年(妖禍子自体はそこらに湧いてるのに……異常な光景だ)
猫又娘「うーむ、むしろあれは」
猫又娘「…落ち込んでる?」
派手娘「……別に、友達とか…」
三人「!」
少年「今の…」
包帯少女「…うん」
猫又娘「ばっちり聞こえた」
少年(やっぱり、派手娘さんでもひとりは寂しいんだ)
包帯少女(あの子も人の子ってことだね)
猫又娘(強がってるのはそっちじゃん。本当は人恋しいくせにさ)
猫又娘「…二人とも!」
派手娘「……」
トットットッ
猫又娘「や、さっきぶり」
少年・包帯少女「「……」」
派手娘「…あんたら…」
派手娘「…よくノコノコあたしの前に出てこれたわね」
猫又娘「……」
猫又娘「いいよ、別に」
猫又娘「私を締め上げるっていうんでしょ?ちょっと理不尽だけど、それくらいであなたの鬱憤が晴れるなら付き合ってあげる」
猫又娘「私は心が広いからねっ」
猫又娘「そん代わし」
スッ(手を差し出す)
猫又娘「あなたのこと、もっと教えてよ」
猫又娘「…!居た、あそこ!」
派手娘「……」
少年「まさか本当にここにいるなんて…」
猫又娘「妖禍子を倒し続けてるならたくさん集まる神社に居るかも…って、少女さんの洞察力には感服ですな」
包帯少女「大袈裟だって。…現に妖禍子を相手にしてるわけじゃなさそうだしね」
少年(妖禍子自体はそこらに湧いてるのに……異常な光景だ)
猫又娘「うーむ、むしろあれは」
猫又娘「…落ち込んでる?」
派手娘「……別に、友達とか…」
三人「!」
少年「今の…」
包帯少女「…うん」
猫又娘「ばっちり聞こえた」
少年(やっぱり、派手娘さんでもひとりは寂しいんだ)
包帯少女(あの子も人の子ってことだね)
猫又娘(強がってるのはそっちじゃん。本当は人恋しいくせにさ)
猫又娘「…二人とも!」
派手娘「……」
トットットッ
猫又娘「や、さっきぶり」
少年・包帯少女「「……」」
派手娘「…あんたら…」
派手娘「…よくノコノコあたしの前に出てこれたわね」
猫又娘「……」
猫又娘「いいよ、別に」
猫又娘「私を締め上げるっていうんでしょ?ちょっと理不尽だけど、それくらいであなたの鬱憤が晴れるなら付き合ってあげる」
猫又娘「私は心が広いからねっ」
猫又娘「そん代わし」
スッ(手を差し出す)
猫又娘「あなたのこと、もっと教えてよ」
241: 2019/12/22(日) 05:02:11.36 ID:hGyrOzpP0
派手娘「…?」
猫又娘「いや、何というか、頼み事をするならお互いのことも知っといた方がいいしさ……えー……はい……」
猫又娘「──もとい、派手娘さんと仲良くなりたいの!それだけ!」
猫又娘「その後でさ、さっきの返事も聞かせてよ」ニヒッ
派手娘「……」
派手娘「……バカ、じゃないの…」
派手娘「ほんと…」
猫又娘「バカで結構」
猫又娘「それできみの笑顔が見れるなら安いものよ」
猫又娘「ってね」
派手娘「……」チラリ
少年「……」コクリ
派手娘「……」チラッ
包帯少女「」フフッ
派手娘(……)
(差し伸べられた手)
派手娘「……」ソッ...
ギュッ
猫又娘「…!」パァア
幼女「」スッ...
派手娘(──っ!)
...ムンズッ
猫又娘「んぇ?」
派手娘「本に書いてあったの」
派手娘「あいつら物の怪は、大きい音が弱点らしいわよ?」スッ
猫又娘「…その手に持ってるものは…?」
派手娘「……」ニヤ
派手娘「こいつはね、あたし手製の…」
242: 2019/12/22(日) 05:03:09.84 ID:hGyrOzpP0
派手娘「──爆竹よ!」
ヒョイ
パァン!
三人「!?」
派手娘「…らぁああああ!」ヒョイヒョイヒョイ
パァン!
猫又娘「に゙ゃぃ!?」
派手娘「いっつもコソコソコソコソ鬱陶しい!イラつかせるんじゃないわよ!!」
パン!パァン!
少年「こ、鼓膜が…!」
派手娘「こんなこじれた世界なんてねぇ!!」
パァン!バチバチッパァンッ!
包帯少女「…、…」(耳を塞ぐ)
派手娘「いっそ全部吹っ飛んじまえっ!!」
パァン!パァン!パン、バチッ!パァン!!
.........
243: 2019/12/22(日) 05:04:57.72 ID:hGyrOzpP0
タッタッタッ
ザッ...
派手娘「やっと見つけた…!」
幼女「……」フリカエリ
派手娘「……」
派手娘「…あんたなんでしょ?こいつら使ってバカげたことしようとしてんの」
(そこら中で気絶している妖禍子たち)
派手娘「お仲間はこの様。消さないだけ有情と思って欲しいわ」
幼女「………」
派手娘「あたし、あんたらの存在が気に食わない」
派手娘「見えないところで静かに暮らしてるだけなら構いやしないのよ」
派手娘「急に出張ってきてあたしらの日常に介入してんのが気に入らないって言ってんの」
派手娘「誰の許可を得てやってるって?少なくともあたしは許すつもりはないから」
派手娘「化け物は化け物の世界に帰りなさい」
幼女「……」
派手娘「……はん、あたしに見つかったのが運の尽きね」
派手娘「あんたにゃここで」
派手娘「──退場してもらうわ!」ダッ
ブンッ
派手娘(こいつさえいなくなれば──!)
スカッ
派手娘「!?」
ズテーン!
派手娘「いっ…たぁ……」
派手娘(今、すり抜けた…?)
派手娘「……」
ヒュッ(小石を投げる)
幼女「……」スルッ...
派手娘「…あんた、霊か何か?」
幼女「………」
派手娘(触れない物の怪とか…)
派手娘(聞いてないわよそんなの。どうしろってのよ)
244: 2019/12/22(日) 05:06:13.71 ID:hGyrOzpP0
幼女「………」
スッ
派手娘「………あ?」
派手娘「…なに、その手」
幼女「……」
ーーーーー
猫又娘「」スッ(手を差し伸べる)
ーーーーー
派手娘(……)
派手娘「まさか、あのバカの真似事なんて言わないわよね?」
派手娘「…あたしをおちょくってる?」
幼女「………」
派手娘「ふざけんな」
派手娘「もー…!」グシャグシャ
派手娘「わっかんない、納得できない!」
派手娘「何がしたいの、あんたら!?」
幼女「……」
派手娘「……」
幼女「………」ジッ...
派手娘「……っ」
派手娘(どうせその手、触れないじゃない…)
派手娘「……今日はこれで引き下がってやるわ」
派手娘「けど覚えときなさい!次会うときは絶対あんたを…!」
派手娘「…あんたを…」
幼女「……?」
派手娘「……ただで済むと思わないことね!!」ピューッ
タッタッタッ...
245: 2019/12/22(日) 05:07:25.95 ID:hGyrOzpP0
幼女「………」
幼女「………」
幼女(…そうだ)
幼女(あれが"人"らしい人間なのだろう)
幼女(異物を廃し、己が領域の秩序を守らんとする)
幼女(ある意味で最も生物としての本能に従順)
幼女「……」
三人「」バタンキュー
幼女「……」チラリ
イロヌリ瘴女「」ピク..ピク..
イイフラシ「」シロメ
カネクイ蟲「……」モゾ...
幼女("創造主"──其の手で自らの世界を描こうとしていた少年よ)
幼女(世界の綻びに立ち会うか)
幼女(そなたらに責はない。遥か昔の軋轢を理不尽に被ったに過ぎぬ)
幼女(然し尚、全てを奪い去らんとする激昂を止めようと言うか)
幼女(妖禍子を有す者とさえ、共闘し…誰が為にこの世界を守る?)
幼女(……誠、摩訶不可思議である)
幼女「………」
幼女(……)
幼女(…我に何が出来よう)
幼女(かの者の憤りに屈し、其の書物一つ奪わせることを許した我が)
幼女(魅えざる"張り裂け"の深潭)
幼女(終焉を告げる夜、其のネジレを直す力など初めから在りもしなかった)
幼女(…だが)
幼女「……そなたの道を敷くことなら可能やもしれぬ」
スッ...
246: 2019/12/22(日) 05:08:47.94 ID:hGyrOzpP0
ーーーーーーー
三人「」
少年「……う、あぁ…」ノソ...
包帯少女「……ん…ケホッ」
少年「…大丈夫?」
包帯少女「なんとかね…。まだ耳がガンガン言ってる気がするけど」
猫又娘「」ピョンッ
猫又娘「あー!氏ぬかと思った…!」
猫又娘「なんなのなんなのあいつ!?ああまでするほど私が嫌いか!?」
少年「手製の爆竹とか言ってた。思った以上にとんでもない人だね…」
猫又娘「対妖禍子用のものなんだろうけど、そんなことは関係ない!」
猫又娘「話は聞かない、文句しか言わない、果てにゃこの仕打ちって…いくらなんでも私らをバカにし過ぎだ!」
包帯少女「…うん。全くもって同意」
包帯少女「これはさすがにやり過ぎてるよねぇ…」ゴゴゴ
猫又娘「いつまでも下手に出てると思ったら大間違いだよ…」ゴゴゴ
少年(おぉ…)
少年(今の二人、絶対敵に回したくないな…)
ーーーーーーー
派手娘「……」テクテク
派手娘「……」テクテク
派手娘「…むしゃくしゃする」
派手娘「ん゙ー!」
派手娘「嫌い…嫌いだわ」
派手娘(人を小馬鹿にしたようなこんな世界も)
派手娘(…それに惑わされるあたし自身も)
ーーーーー
スッ(手を差し伸べる)
ーーーーー
派手娘(…なんだったのよあいつ)
派手娘(あんなのにあたしの何が分かるっていうのよ)
派手娘「……」
──ホントはみんなと仲良くしたい?
派手娘「………」
派手娘「……なわけ」
三人「」
少年「……う、あぁ…」ノソ...
包帯少女「……ん…ケホッ」
少年「…大丈夫?」
包帯少女「なんとかね…。まだ耳がガンガン言ってる気がするけど」
猫又娘「」ピョンッ
猫又娘「あー!氏ぬかと思った…!」
猫又娘「なんなのなんなのあいつ!?ああまでするほど私が嫌いか!?」
少年「手製の爆竹とか言ってた。思った以上にとんでもない人だね…」
猫又娘「対妖禍子用のものなんだろうけど、そんなことは関係ない!」
猫又娘「話は聞かない、文句しか言わない、果てにゃこの仕打ちって…いくらなんでも私らをバカにし過ぎだ!」
包帯少女「…うん。全くもって同意」
包帯少女「これはさすがにやり過ぎてるよねぇ…」ゴゴゴ
猫又娘「いつまでも下手に出てると思ったら大間違いだよ…」ゴゴゴ
少年(おぉ…)
少年(今の二人、絶対敵に回したくないな…)
ーーーーーーー
派手娘「……」テクテク
派手娘「……」テクテク
派手娘「…むしゃくしゃする」
派手娘「ん゙ー!」
派手娘「嫌い…嫌いだわ」
派手娘(人を小馬鹿にしたようなこんな世界も)
派手娘(…それに惑わされるあたし自身も)
ーーーーー
スッ(手を差し伸べる)
ーーーーー
派手娘(…なんだったのよあいつ)
派手娘(あんなのにあたしの何が分かるっていうのよ)
派手娘「……」
──ホントはみんなと仲良くしたい?
派手娘「………」
派手娘「……なわけ」
247: 2019/12/22(日) 05:12:50.54 ID:hGyrOzpP0
ズイッ
派手娘「!」ピタッ
派手娘「っぶな」
派手娘「ちょっと、どこ見て歩いてんの──って」
猫又娘「……」
包帯少女「……」
少年「……」
派手娘「…あぁ?」
派手娘(……)
派手娘「……なに?わざわざあたしを追いかけたきたの?相当暇人なのねあんたら」
派手娘「生憎だけど今日はもう話すことなんかないわ。そこ通してくれないかし……ら…?」
猫又娘「………」ポン..ポン..
派手娘(杓子…?)
派手娘(にしてもでか過ぎる…)
包帯少女「……」カツッ...
派手娘(こっちはバット)
派手娘「…野球でもするの?」
少年「」アセアセ
派手娘(こいつはなによ)
少年「…そ、その、早く謝ってくれた方が…」
派手娘「はぁ?なんであたしが──」
ガキンッ!
派手娘・少年「「」」ビクッ
猫又娘「……そうだねぇ……派手娘さんには同じ目を味わってもらった方が理解出来るんじゃないかなぁ」
猫又娘「話も聞かずにぶっ飛ばされる気持ちがさぁ…」ユラァ...
包帯少女「野球、興味ある?いいね…丁度"ボール"が足りなかったとこだから」ジリ...
少年「派手娘さん…!」
派手娘「ぅ……」
派手娘(……っ……)
派手娘「……す」
派手娘「すいませんでしたぁ!」
派手娘「いくらなんでもやり過ぎました!あの化け物共にストレスが溜まってたんです!」
派手娘「…これでいいっ!?」
248: 2019/12/22(日) 05:15:31.17 ID:hGyrOzpP0
派手娘「…これでいいっ!?」
猫又娘・包帯少女「「……」」
派手娘「な、なに…」
猫又娘「…ほんとに」
猫又娘「ほんっとーに!素直じゃないよねきみ!」
猫又娘「あんね、さっき派手娘さんが呟いてた独り言、私ら聞こえてたんよ」
派手娘「独り言……あ」
ーーーーー
派手娘「──別に、友達とか……」
ーーーーー
猫又娘「私さ、派手娘さんがどういう性格なのかってある程度分かってるつもり。…不本意ながらね」
猫又娘「自分が許せないと思ったものには口を出さずにいられない。違う?」
派手娘「……」
猫又娘「…きっとそんなだから、おいそれと近付いてきてくれる人なんて居なかった」
少年(そっか。自分が理不尽だと思うようなことに、強く反論してただけなんだ)
少年(……僕にその気概の一部でもあれば、あいつらにちょっかい出されることもなかったのかな)
派手娘「………」
派手娘「…見てて苛つくのよ」
派手娘「隠したり、誤魔化したり、理不尽を強要する奴、ましてそれを受け入れてる奴なんかも」
派手娘「この化け物共なんて一番嫌い」
派手娘「…爆竹も、元はあんたらに使う気なんかなかったわ」
派手娘「ただ、化け物のボスみたいのが見えたから…全部吹き飛ばしたくなっただけ」
猫又娘「えっ!?」
少年「ボス…!」
包帯少女「ってことは…会ったんだね!?あの男に!」
派手娘「男?なに言ってんの、こんくらいのちっさい女の子よ」
派手娘「不気味なくらい何も喋んない…おまけに立体映像よろしく身体がすり抜けるわけのわかんない生き物」
派手娘「…あんたの言うあの男って?」
猫又娘「この事件の元凶なんだって。顔も知らないんですけどね…」
包帯少女「……派手娘さんの言うそれってもしかしてさ」
少年「──トドノツマリ様」
猫又娘・包帯少女「「!」」
少年「…あ、いやそうじゃないかなって…」
猫又娘「ふむ…確かに少女さんが借りてきた本にそんな容姿で描かれてたね」
包帯少女(古書店で借りたあの本……二つ編みさん……)
249: 2019/12/22(日) 05:17:48.04 ID:hGyrOzpP0
猫又娘「やっぱりこの山に居たんだ!というか今さっき私らのすぐ近くまで来てたなんて…くぅ…」
猫又娘「派手娘さんっ!」
派手娘「っ…あによ」
猫又娘「ありがとっ!あなたのおかげで一つ懸念点がなくなった!」
猫又娘「間違いなくここらを探せば見つかるってことよね」
派手娘「……つくづく謎だわ、あんた。さっきまで怒ってた相手にお礼?」
猫又娘「それとこれとは別」
猫又娘「もう派手娘さんの返事は聞かないからね。あなたは私たちに協力する!」
猫又娘「…それと、私と友達になること」ニシッ
派手娘「……」
派手娘(………)
派手娘「……悪いけど──」
──シュルルッ
少年(妖禍子…!?)
少年「危ない!」
派手娘「─?」
少年(間に合わない…!まさかこのまま目の前で派手娘さんが消される…?)
少年「──そんなのダメだっ!!」
ピカッ!
少年(眩しっ…!)
包帯少女「ん…!」
猫又娘「にゃっ!?」
ヒュオオオォ!
妖禍子「グウウウゥゥ…!」
ヒュオオォ...
...ストッ
250: 2019/12/22(日) 05:19:19.15 ID:hGyrOzpP0
全員「………」
猫又娘「……これ、アヤカシノート…?」
少年「!」ガサゴソ
少年「僕のカバンに入ってたやつだ」
包帯少女「今、吸い込まれていった…ね」
三人「……」
猫又娘「…す、すごい!」
猫又娘「これ私があげたやつだよね!こんな力があったの!?」
包帯少女「ってことは本物は」
猫又娘「うん。もっと強い力を持ってるに違いないよ」
猫又娘「ねぇねぇ少年君!もっかいやってみせて!」
少年「…今の、僕が狙って起こしたんじゃないんだ」
猫又娘「?じゃあなんでいきなり…」
少年「……」
スッ パラパラ
少年「……あ」
包帯少女「今の妖禍子だね」
猫又娘「どれどれ…」ノゾキコミ
猫又娘「…絵?になっちゃったんだ」
猫又娘「本物のノートは書いた妖禍子が出てくるけど、こっちのノートは妖禍子を吸い込む、と?」
猫又娘(我ながら凄まじいものを作ってしまったのでは)
少年「逆にこれを何冊も使えば奴らを封印出来たりしないかな」
猫又娘「!なるほど!量産なら簡単に出来るから──」
猫又娘「…けど、用意したところで使いこなせるかも分かんないしなぁ。この辺の妖禍子全部となるといくつ必要になるんだろ」
包帯少女「結局のところ、ますます本物を見つけ出さなきゃいけなくなったってことだね」
猫又娘「うむ、そうなるね」
猫又娘「この奇妙な生活もいよいよもって終わりが見えてきたわけだ!」
ワイワイ
251: 2019/12/22(日) 05:20:15.65 ID:hGyrOzpP0
派手娘「……」
派手娘「」クルッ
猫又娘「──ちょっと、どこ行くんよ!」
派手娘「帰るのよ」
猫又娘「もちっと待って。今、明日からの行動予定を決めちゃおうと思うから」
猫又娘「派手娘さんは私と一緒にお山探索してもらおっかなぁ。私らなら大胆に動けそうだし!」
派手娘「…あのね、誰があんたたちに付き合うって言った?」
猫又娘「むっ、この後に及んでまだそんなこと──」
派手娘「あたしに付いてきて欲しいなら、まずその嘘くさい空元気をやめなさいよ」
猫又娘「…え?」
派手娘「作り物みたいに不自然な笑いとか、見苦しくてしょうがない」
派手娘「そういうの嫌いだって言ったばっかでしょうが」
派手娘「」ジロリ
少年・包帯少女「「……」」
派手娘「…人を騙してまで仲良しごっこするの、楽しい?」
猫又娘「──……」
派手娘「……ふん」
スタスタスタ...
猫又娘「………」
猫又娘(……っ……)
252: 2019/12/22(日) 05:22:43.39 ID:hGyrOzpP0
ーーー夜 神社ーーー
幼女「……」
(びっしりと札の張られた社)
幼女「……毒を制すのは、これもまた毒」
幼女「かの者に奪われた者よりも濃密で暗澹たる意思共」
幼女(かつて人に迫害され、封じられた妖禍子を人の世の為に用いる所業など……なんと皮肉なものか)
幼女(妖禍子が人の世に混じればそこには必ず理不尽が生まれ出ずる)
幼女(其の理不尽を防遏していた…はずであった)
幼女(……)
幼女(我の力だけでこの者共を御しきれるか、読めぬところである)
幼女(…そうであろうと、我は見届けたいと思ったのだ)
幼女(彼らの行く末)
幼女(吹きすさぶ激情の終着点──)
幼女(──あの時かの者の命を繋いだ我の選択は、正しかったか否かを)
幼女「……」ソッ...
...カタ、ガタガタガタ
幼女「……」
ビリ、ビリッ、ビリリッ
幼女「……く……」
ベリベリベリッ!
ドタァン!
幼女「……」
(びっしりと札の張られた社)
幼女「……毒を制すのは、これもまた毒」
幼女「かの者に奪われた者よりも濃密で暗澹たる意思共」
幼女(かつて人に迫害され、封じられた妖禍子を人の世の為に用いる所業など……なんと皮肉なものか)
幼女(妖禍子が人の世に混じればそこには必ず理不尽が生まれ出ずる)
幼女(其の理不尽を防遏していた…はずであった)
幼女(……)
幼女(我の力だけでこの者共を御しきれるか、読めぬところである)
幼女(…そうであろうと、我は見届けたいと思ったのだ)
幼女(彼らの行く末)
幼女(吹きすさぶ激情の終着点──)
幼女(──あの時かの者の命を繋いだ我の選択は、正しかったか否かを)
幼女「……」ソッ...
...カタ、ガタガタガタ
幼女「……」
ビリ、ビリッ、ビリリッ
幼女「……く……」
ベリベリベリッ!
ドタァン!
253: 2019/12/22(日) 05:24:07.29 ID:hGyrOzpP0
ーーー翌朝 学校ーーー
ガラッ
派手娘「……」テクテク
猫又娘「──やることは変わらないさ。これからは二手に分かれて動いてくよ」
少年「僕と猫又娘さん?」
猫又娘「んにゃ、私が一人で。きみらはペアでね」
猫又娘「少女さんの方が、もっと積極的に少年君のこと守ってくれそうよね」ニヒッ
派手娘「」テクテク
猫又娘「あ…」
派手娘「……」テクテク
猫又娘「……」
派手娘「」スッ(席に着く)
猫又娘「………」
猫又娘「…んで、明日から夏休みに入っちゃうし、集まる場所とか細かい予定も──」
少年(……猫又娘さん……)
少年(昨日派手娘さんが去ってから、猫又娘さんはいつものように勝気な声で言っていた)
ーーーーー
猫又娘「──私がきみらを騙すだのなんだの、そんなことあるわけないからねっ!」
猫又娘「失礼しちゃうよまったく、あの人は!もう知らない!」
ーーーーー
少年(…確かに僕は、猫又娘さんが僕らを裏切ってどうこうするだとか、そんな考えが浮かんだことはなかった)
少年(派手娘さん……この人には何が見えているんだろう)
ガラッ
派手娘「……」テクテク
猫又娘「──やることは変わらないさ。これからは二手に分かれて動いてくよ」
少年「僕と猫又娘さん?」
猫又娘「んにゃ、私が一人で。きみらはペアでね」
猫又娘「少女さんの方が、もっと積極的に少年君のこと守ってくれそうよね」ニヒッ
派手娘「」テクテク
猫又娘「あ…」
派手娘「……」テクテク
猫又娘「……」
派手娘「」スッ(席に着く)
猫又娘「………」
猫又娘「…んで、明日から夏休みに入っちゃうし、集まる場所とか細かい予定も──」
少年(……猫又娘さん……)
少年(昨日派手娘さんが去ってから、猫又娘さんはいつものように勝気な声で言っていた)
ーーーーー
猫又娘「──私がきみらを騙すだのなんだの、そんなことあるわけないからねっ!」
猫又娘「失礼しちゃうよまったく、あの人は!もう知らない!」
ーーーーー
少年(…確かに僕は、猫又娘さんが僕らを裏切ってどうこうするだとか、そんな考えが浮かんだことはなかった)
少年(派手娘さん……この人には何が見えているんだろう)
254: 2019/12/22(日) 05:25:16.60 ID:hGyrOzpP0
ガララ
教師「悪い悪い、遅れそうになったな」
教師「とりあえず出席だけとってくぞ。この後すぐ体育館に移動だからな」
少年(体育館…終業式の場所もうちょっとマシなところにならないかな。暑いんだよなあそこ)
少年「……?」
少年(あれ…?)
少年「先生!…今日休みの人多くないですか?」
少年(クラスの半分くらいが来てないなんて)
教師「なんだ、寝ぼけてるのか?」
教師「全員居るじゃないか」
少年「──っ」
教師「まぁ、少し無駄な席が多い気もするが…」
派手娘「……チッ」
教師「そうこう言ってる間にもう移動の時間だ。準備しろ準備!」
ガタ、ガタッ
夢見娘「……」
(空席の同級生C)
夢見娘「………」
255: 2019/12/22(日) 05:33:21.43 ID:hGyrOzpP0
七幕はここまでとなります。
次回八幕は過去が明らかになっていきます。
更新間隔が空いてしまっていますが、必ず完結はさせます。
見てくれてる方がいるかは分かりませんが…。
次回八幕は過去が明らかになっていきます。
更新間隔が空いてしまっていますが、必ず完結はさせます。
見てくれてる方がいるかは分かりませんが…。
次回:少年「アヤカシノート」第八幕
引用: 少年「アヤカシノート」
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