1:◆9Q3wwLOd 2024/06/19(水) 20:55:37 ID:???Sa
とまマル

2: 2024/06/19(水) 20:59:27 ID:???Sa
冬毬「マルガレーテは、自身の性格をどのように評価しますか」

マルガレーテ「そうね、一言で表すなら超絶クールかしら。ちょっと、何笑ってるのよ」

冬毬「失礼、つい」

マルガレーテ「なによ、ついって」

冬毬「お気になさらず、っつ、続けてください」

マルガレーテ「私は強いものが好きなの。私自身も、誰よりも強くありたいと思っているわ。なにより、このとおりクールでしょ?…ねえ、さっきからなんなのその顔、言いたいことでもあるわけ?」

3: 2024/06/19(水) 21:01:35 ID:???Sa
冬毬「いえ、クレームをつけるつもりはありませんが、私の認識とは異なるものでしたので」

マルガレーテ「どういうことよ」

冬毬「私から見て、マルガレーテは可愛いですから」

マルガレーテ「か、かわ」

5: 2024/06/19(水) 21:04:47 ID:???Sa
冬毬「ん、どうかしましたか、顔が赤いですが」

マルガレーテ「なんでもない」

冬毬「そうは見えませんが。ほら、耳まで真っ赤に」

マルガレーテ「なんでもないからっ!」

6: 2024/06/19(水) 21:07:23 ID:???Sa
冬毬「ふふっ、なかなか珍しいものが見れました」

マルガレーテ「その言い方、あなた、わざとやったわね」

冬毬「さあ、なんのことでしょう」

マルガレーテ「言っておくけどね、私に言わせれば、冬毬だってすっごく可愛いわよ」

7: 2024/06/19(水) 21:08:47 ID:???Sa
冬毬「なるほど、そうですか」

マルガレーテ「ちょ、そこは流れ的に、恥ずかしがったり照れたりするところでしょ!」

冬毬「そのような見え透いた手には引っかかりません」

マルガレーテ「本気で言ってるのに。なによ、余裕綽々な顔しちゃって」

8: 2024/06/19(水) 21:10:41 ID:???Sa
冬毬「さて、私は姉者と待ち合わせをしているのでこれで」

マルガレーテ「えっ、聞いてないんだけど」

冬毬「私はスケジュールどおりに行動しているだけです。では、また明日」

マルガレーテ「あっ…もう、なんなのよ、勝ち逃げのつもり?」



夏美「冬毬、お待たせですの!ん、何やら嬉しそうな顔、何かいい事でもありましたの?」

9: 2024/06/19(水) 21:14:21 ID:???Sa
次の日

マルガレーテ「冬毬、お昼にするわよ」

冬毬「待ってください、あと少しでノートが取り終わりますので」

マルガレーテ「真面目ね」

冬毬「最後に課題の範囲をメモして…はい、お待たせしました」

10: 2024/06/19(水) 21:17:16 ID:???Sa
マルガレーテ「お昼はお弁当?」

冬毬「いえ、今日は購買でパンを買おうかと」

マルガレーテ「残っているかしら」

冬毬「どうでしょう、出遅れてしまいましたからね」

マルガレーテ「仕方ないわね、もし売り切れていたら私のを分けてあげるわ」

11: 2024/06/19(水) 21:18:54 ID:???Sa
アリガトウゴザイマシター

マルガレーテ「お目当てが無事に買えてよかったわね」

冬毬「はい。この時間にカルボナーラパンが残っているのは、私の計算では6.25%の確率です。非常にレアで幸運だったと評価できます」

マルガレーテ「どんな計算よ。まあいいわ、せっかくだし部室に行って食べましょう」

冬毬「はい」

12: 2024/06/19(水) 21:20:40 ID:???Sa
マルガレーテ「ご馳走様…ふぁぁ」

冬毬「眠そうですね」

マルガレーテ「昨日は遅くまで起きていたから」

冬毬「ソファーで少し寝てはいかがです。時間が来たら私が起こしますので」

13: 2024/06/19(水) 21:22:17 ID:???Sa
マルガレーテ「悪いわよ」

冬毬「寝不足は学生のグレートエネミー、午後からのパフォーマンスにも影響します。遠慮なさらず」

マルガレーテ「ん…ならお言葉に甘えるわ…」

冬毬「おやすみなさい」

マルガレーテ「おやすみ…すぅ…すぅ…」

冬毬「…良い寝顔。ふふ、幸運とは気まぐれですね。統計では導き得ないことばかりです」

14: 2024/06/19(水) 21:23:53 ID:???Sa
昼休み終了間際

マルガレーテ「すぅ…すぅ…」

冬毬「さて、そろそろ起こしてあげましょうか。少々名残惜しい気もしますが」

マルガレーテ「ん、んぅー…?」

冬毬「あっ」

15: 2024/06/19(水) 21:25:02 ID:???Sa
マルガレーテ「ふぁぁ…とまり…?」

冬毬「ここにいますよ。気分はいかがです?」

マルガレーテ「んーっ…悪くないわ。時間は?」

冬毬「大丈夫です。今まさに起こしてあげようと思っていたところです」

16: 2024/06/19(水) 21:26:05 ID:???Sa
マルガレーテ「ん、よかったわ」

冬毬「今まさに起こしてあげようとしていたのです」

マルガレーテ「ありがとう」

冬毬「はい」

17: 2024/06/19(水) 21:27:10 ID:???Sa
マルガレーテ「ええ」

冬毬「…」

マルガレーテ「…?」

冬毬「そういうわけですので、もう一度寝てもらえませんか?」

マルガレーテ「なんでよ」

18: 2024/06/19(水) 21:28:43 ID:???Sa
別の日

冬毬「マルガレーテ」

マルガレーテ「なに?」

冬毬「いえ、呼んでみただけです」

マルガレーテ「そう」

19: 2024/06/19(水) 21:30:13 ID:???Sa
冬毬「マルガレーテ」

マルガレーテ「なによ」

冬毬「いえ、別に」

マルガレーテ「…?」

20: 2024/06/19(水) 21:31:25 ID:???Sa
冬毬「マルガレーテ」

マルガレーテ「だからなんなのよ」

冬毬「なんとなくです」

マルガレーテ「あなた、無駄なことや非効率なことが嫌いでしょ」

21: 2024/06/19(水) 21:32:36 ID:???Sa
冬毬「はい」

マルガレーテ「このやりとりはその極みだと思うけど」

冬毬「私にとってはそうではありません」

マルガレーテ「ああ、そう」

22: 2024/06/19(水) 21:33:51 ID:???Sa
冬毬「…」

マルガレーテ「冬毬」

冬毬「はい」

マルガレーテ「呼んだだけ。お返し」

冬毬「ふふっ」

マルガレーテ「変な冬毬ね」

23: 2024/06/19(水) 21:39:13 ID:???Sa
また別の日

冬毬「ウィーンはオーストリアの首都です」

マルガレーテ「そうね」

冬毬「マルガレーテの苗字もウィーン。ということは、日本人で言えば東京さんということになりますね」

マルガレーテ「東京っていう苗字、見たことないけど」

冬毬「非常に珍しい苗字だったと思います」

マルガレーテ「首都なのに?」

冬毬「はい。もっとも、澁谷なら身近にもいますが」

マルガレーテ「もしかして、それが言いたくてこの話をしたの?」

24: 2024/06/19(水) 21:41:20 ID:???Sa
冬毬「かのん先輩とお揃いですね」

マルガレーテ「ふんっ」

冬毬「ふふっ」

マルガレーテ「その微笑ましいものを見るような目、やめなさいよ」

冬毬「閑話休題。ウィーンと言えば、音楽とチョコレートが有名ですね」

マルガレーテ「ええ。私はそのどちらも愛しているわ」

冬毬「お菓子作りとクラシック音楽が趣味で、チョコレートがお好きですものね。聞くところによると、ザッハトルテはウィーンが発祥だとか」

マルガレーテ「さすが冬毬、物知りね」

25: 2024/06/19(水) 21:42:14 ID:???Sa
冬毬「そしてウィーン・マルガレーテと言えば、私のことが好き」

マルガレーテ「そうそう、私は冬毬のことが大好きで…ってちょっと、なに言わせるのよ!」

冬毬「…っ」

マルガレーテ「人に言わせておいて、本気で照れるのやめなさいよ!」

26: 2024/06/19(水) 21:43:59 ID:???Sa
その日の夜

マルガレーテ「えっと、火加減は…このくらいかな」

マルガレーテ「とろけるチョコの香りも久しぶり。思い返せば、ここのところずっと部活続きだったものね。お菓子作りをする暇もないくらい、来る日も来る日も」

冬毬『マルガレーテ。次のライブに向けて、今日も練習、頑張りましょうね』

マルガレーテ「…カンが鈍っていなければいいけど」

27: 2024/06/19(水) 21:44:57 ID:???Sa
翌日

冬毬「マルガレーテ、おはようございます」

マルガレーテ「おはよう。早速だけど冬毬、これ」

冬毬「これは…チョコのお菓子ですか?もしかして手作りの?」

マルガレーテ「昨日作ったの。最近は色々と忙しくてお菓子作りも久々だったけど、よければ食べて」

28: 2024/06/19(水) 21:46:06 ID:???Sa
冬毬「ありがとうございます。マルガレーテの手作りお菓子だなんて、嬉しいです」

マルガレーテ「…まぁ、好きだからね」

冬毬「ん、なにか言いましたか?」

マルガレーテ「なんでもない。ほら、練習遅れるわよ」

冬毬「はいっ」



終わり

29: 2024/06/19(水) 21:47:26 ID:???Sa
とまマルの日常短編でした。
この二人の呼び方はいくつかありますが、個人的にとまマル呼びが好きなので採用しています。

宣伝となり恐縮ですが、下記はとまマルの過去作です。よろしければ併せてお願いします。

冬毬「マルガレーテ・クロニクル」

ありがとうございました。

30: 2024/06/19(水) 21:50:03 ID:???00
乙!小気味よいやりとりがすごい好みだし可愛かった
過去作の方も読ませてもらおう

引用: マルガレーテ「冬毬クロニクル」