1: 2012/02/11(土) 21:11:17.47 ID:RyLo+ilC0
それはある冬の日のこと――
京子「綾乃、それで用ってなんだー? こんなさんむいのに屋上なんかに呼び出して……」サムサム
綾乃「と、と、ととととと歳納京子っ!」
京子「おぉう、なんか壊れたラジオみたいになってるぞ……」
綾乃「う、ううるさいわね! とにかく私の話を聞きなさい!」
京子「は、はひ……」
綾乃「歳納京子、私あなたのことが……あの……あなたのことが大好きだったの!」
京子「綾乃、それで用ってなんだー? こんなさんむいのに屋上なんかに呼び出して……」サムサム
綾乃「と、と、ととととと歳納京子っ!」
京子「おぉう、なんか壊れたラジオみたいになってるぞ……」
綾乃「う、ううるさいわね! とにかく私の話を聞きなさい!」
京子「は、はひ……」
綾乃「歳納京子、私あなたのことが……あの……あなたのことが大好きだったの!」
3: 2012/02/11(土) 21:13:34.81 ID:RyLo+ilC0
京子「……」
綾乃「……ちょ、ちょっと。何か言いなさいよ」
京子「知ってた」
綾乃「へっ!?」
京子「こんなこというと自惚れすぎって笑われるかも知れないけど、綾乃の気持ち、知ってたよ。……よく言えたね。ありがとう、綾乃」
綾乃「と、歳納京子ぉ……///」
京子「でも、ちょっとまだ返事はできないかな。……ほんっとーに悪いんだけど、もう少しだけ待ってくれる?」
綾乃「ま、待つわ! 私いつまでも待つんだから!」
京子「ありがと、綾乃」ニコッ
綾乃「~~~~!!/// べ、別に全然気にしてナイアガラよっ!」
京子「あっ、いつもの綾乃だ」
綾乃「いつものって何よ~~~!!」
京子「あははっ」
綾乃「……ちょ、ちょっと。何か言いなさいよ」
京子「知ってた」
綾乃「へっ!?」
京子「こんなこというと自惚れすぎって笑われるかも知れないけど、綾乃の気持ち、知ってたよ。……よく言えたね。ありがとう、綾乃」
綾乃「と、歳納京子ぉ……///」
京子「でも、ちょっとまだ返事はできないかな。……ほんっとーに悪いんだけど、もう少しだけ待ってくれる?」
綾乃「ま、待つわ! 私いつまでも待つんだから!」
京子「ありがと、綾乃」ニコッ
綾乃「~~~~!!/// べ、別に全然気にしてナイアガラよっ!」
京子「あっ、いつもの綾乃だ」
綾乃「いつものって何よ~~~!!」
京子「あははっ」
5: 2012/02/11(土) 21:19:00.75 ID:RyLo+ilC0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
京子「とまあ、綾乃は自分の気持ちを素直に伝えてくれたわけだけど……」
京子「結衣もどう見たって私のこと……」
京子「む~~~、やっぱり自惚れすぎなのかな。私」
京子「でも、仮にそうだとしたら……結衣はきっと自分の気持ちを抑えて、笑って私に『綾乃を幸せにしてやれよな』だなんて言うんだろうなぁ……」
京子「だけど、ここで『今まで通りでいよう』だなんて綾乃に言ったら、せっかく綾乃は勇気を出してくれたのに、私ったらサイテーだよな」
京子「どうしよ……」
京子「鎌……かけてみようかな……」
京子「とまあ、綾乃は自分の気持ちを素直に伝えてくれたわけだけど……」
京子「結衣もどう見たって私のこと……」
京子「む~~~、やっぱり自惚れすぎなのかな。私」
京子「でも、仮にそうだとしたら……結衣はきっと自分の気持ちを抑えて、笑って私に『綾乃を幸せにしてやれよな』だなんて言うんだろうなぁ……」
京子「だけど、ここで『今まで通りでいよう』だなんて綾乃に言ったら、せっかく綾乃は勇気を出してくれたのに、私ったらサイテーだよな」
京子「どうしよ……」
京子「鎌……かけてみようかな……」
6: 2012/02/11(土) 21:23:16.36 ID:RyLo+ilC0
翌日、娯楽部室
京子「いっちばーん!」
結衣「……子供かよ」
京子「子供です」
結衣「確かに」
京子「そういえば結衣さんや、ちと話を聞いてくれないか」
結衣「……どうしたの?」
京子「えーえー、コホン……マイクテステス」
結衣「うわ、わざわざそれやるためだけにマイク持ってきたんか」
京子「なんとなくやってみたかった」
結衣「そうですか」
京子「はい」
結衣「……それで?」
京子「いっちばーん!」
結衣「……子供かよ」
京子「子供です」
結衣「確かに」
京子「そういえば結衣さんや、ちと話を聞いてくれないか」
結衣「……どうしたの?」
京子「えーえー、コホン……マイクテステス」
結衣「うわ、わざわざそれやるためだけにマイク持ってきたんか」
京子「なんとなくやってみたかった」
結衣「そうですか」
京子「はい」
結衣「……それで?」
7: 2012/02/11(土) 21:29:32.24 ID:RyLo+ilC0
京子「ええとですね……不肖私歳納京子~、この度綾乃に愛の告白を受けました!」
結衣「!?」
京子「……結衣?」
結衣「……そうなんだ。綾乃、やっと勇気出せたんだね」
京子「そうなんだよ~。だけど、綾乃が勇気を振り絞ってくれたのに、安易に『はい』だなんて答えてもいいのか悩んじゃんってさ~」
京子「(さて、どうでる? 結衣――)」
結衣「! ……京子でも悩むことなんてあるんだな」
京子「京子でもとは失礼な奴だな!」
結衣「冗談だよ。でもさ、私としては、『はい』と答えろだなんて言えないな」
京子「……ですよねー。私もきちんと綾乃の心を受け止めるって決意ができてから――」
結衣「そうじゃなくて」
京子「へっ?」
結衣「……私も……だから……」ボソッ
京子「……結衣?」
結衣「あああぁ~、もう! 私も、京子のことが好きだから!」
結衣「!?」
京子「……結衣?」
結衣「……そうなんだ。綾乃、やっと勇気出せたんだね」
京子「そうなんだよ~。だけど、綾乃が勇気を振り絞ってくれたのに、安易に『はい』だなんて答えてもいいのか悩んじゃんってさ~」
京子「(さて、どうでる? 結衣――)」
結衣「! ……京子でも悩むことなんてあるんだな」
京子「京子でもとは失礼な奴だな!」
結衣「冗談だよ。でもさ、私としては、『はい』と答えろだなんて言えないな」
京子「……ですよねー。私もきちんと綾乃の心を受け止めるって決意ができてから――」
結衣「そうじゃなくて」
京子「へっ?」
結衣「……私も……だから……」ボソッ
京子「……結衣?」
結衣「あああぁ~、もう! 私も、京子のことが好きだから!」
8: 2012/02/11(土) 21:34:29.51 ID:RyLo+ilC0
シーーーン
京子「……やっぱりか」
結衣「……知ってたんか」
京子「……ごめんね。でも、結衣の気持ちを聞かないまま、オッケーするにしろ断るにしろ綾乃の告白に返事をするのは嫌だったから」
結衣「そっか」
京子「ごめん」
結衣「いいよ。そんな優しい京子が、私は……その……///」
京子「あっ、照れてる」
結衣「うるさい!」
京子「えへへ」
結衣「……それで、京子はどうするの?」
京子「結衣の気持ちも聞けたから、一晩考えてみることにするよ」
結衣「そっか」
京子「せっかく告白してもらったのに、ごめんね」
結衣「いいって。でも、相手のことばかり考えて自分の気持ちに嘘をつくのだけはやめなよ」
京子「……やっぱりか」
結衣「……知ってたんか」
京子「……ごめんね。でも、結衣の気持ちを聞かないまま、オッケーするにしろ断るにしろ綾乃の告白に返事をするのは嫌だったから」
結衣「そっか」
京子「ごめん」
結衣「いいよ。そんな優しい京子が、私は……その……///」
京子「あっ、照れてる」
結衣「うるさい!」
京子「えへへ」
結衣「……それで、京子はどうするの?」
京子「結衣の気持ちも聞けたから、一晩考えてみることにするよ」
結衣「そっか」
京子「せっかく告白してもらったのに、ごめんね」
結衣「いいって。でも、相手のことばかり考えて自分の気持ちに嘘をつくのだけはやめなよ」
11: 2012/02/11(土) 21:38:39.99 ID:RyLo+ilC0
翌日、登校中――
結衣「――それで、結論は出たの?」
京子「うん。もうばっちしよ!」
ちなつ「……何の話してるんですか?」
京子「ちなちゅには内緒だよーん!」
ちなつ「ムッキー! なんだから異様にムカつきます!」
あかり「あ、あかりには?」
京子「あかりいたんだ」
あかり「ひどいよぉ!」
結衣「……」
京子「おぉう、噂をすればあそこにいるのは綾乃じゃないか!」
ちなつ「噂してたんですか?」
結衣「……じきに、分かるよ」
ちなつ「へっ?」
結衣「――それで、結論は出たの?」
京子「うん。もうばっちしよ!」
ちなつ「……何の話してるんですか?」
京子「ちなちゅには内緒だよーん!」
ちなつ「ムッキー! なんだから異様にムカつきます!」
あかり「あ、あかりには?」
京子「あかりいたんだ」
あかり「ひどいよぉ!」
結衣「……」
京子「おぉう、噂をすればあそこにいるのは綾乃じゃないか!」
ちなつ「噂してたんですか?」
結衣「……じきに、分かるよ」
ちなつ「へっ?」
13: 2012/02/11(土) 21:44:21.79 ID:RyLo+ilC0
京子「お~~い、あっやの~!」
綾乃「と、とっととととと歳納京子!?///」アセアセ
千歳「お~、歳納さんやんか~。おはよーさーん」
京子「おっはよー、千歳! ……そして綾乃、待たせてごめんね」
綾乃「えっ? ……あっ、えっと……と、と歳納京子?」
京子「あれからさ、私なりに考えてみたんだけど……」
綾乃「え、うぁ、ちょっと歳納京子、ここは道端でみんな見て――」
京子「私も綾乃のこと、大好きです!」
綾乃「~~~~~~!!!!///」プシュー
京子「杉浦綾乃さん、よろしければ私と付き合ってください!」
千歳「き、きたぁぁああああああ!! きたできたできたでぇぇええええ!!」
綾乃「ぅぁ……ぅぁぁあ~~~~~~!!!///」
京子「あ、綾乃?」
綾乃「と、とっととととと歳納京子!?///」アセアセ
千歳「お~、歳納さんやんか~。おはよーさーん」
京子「おっはよー、千歳! ……そして綾乃、待たせてごめんね」
綾乃「えっ? ……あっ、えっと……と、と歳納京子?」
京子「あれからさ、私なりに考えてみたんだけど……」
綾乃「え、うぁ、ちょっと歳納京子、ここは道端でみんな見て――」
京子「私も綾乃のこと、大好きです!」
綾乃「~~~~~~!!!!///」プシュー
京子「杉浦綾乃さん、よろしければ私と付き合ってください!」
千歳「き、きたぁぁああああああ!! きたできたできたでぇぇええええ!!」
綾乃「ぅぁ……ぅぁぁあ~~~~~~!!!///」
京子「あ、綾乃?」
16: 2012/02/11(土) 21:53:31.45 ID:RyLo+ilC0
綾乃「み、みんなが見てる眼の前でなんてこと言うのよぉぉ~~!!///」
京子「……やっぱマズかったかな?」
綾乃「まずいもなにもナイナイナイアガラよ! その……う、嬉しくて氏にそうソウル特別市よ!」
京子「えへへ、よかった!」ニコッ
千歳「この鼻血 ええでと私が 言ったから 二月十日は京綾記念日や~」ドバドバドバドバ……フラフラ~
あかり「あわわ、池田先輩が大変だよぉ~」アセアセ
ちなつ「こ、これで私と結衣先輩の間の障壁が……グッジョブ、グッジョブですよ、京子先輩! 杉浦先輩!」
結衣「……」
綾乃「あぁぁ~、もう! 早く教室に行くわよ!///」
京子「へ~い」
綾乃「……」
京子「……どったの? 綾乃?」
綾乃「手、つなぎなさいよっ///」ボソッ
京子「もちろんだ~!」ニギッ
綾乃「///」
京子「……やっぱマズかったかな?」
綾乃「まずいもなにもナイナイナイアガラよ! その……う、嬉しくて氏にそうソウル特別市よ!」
京子「えへへ、よかった!」ニコッ
千歳「この鼻血 ええでと私が 言ったから 二月十日は京綾記念日や~」ドバドバドバドバ……フラフラ~
あかり「あわわ、池田先輩が大変だよぉ~」アセアセ
ちなつ「こ、これで私と結衣先輩の間の障壁が……グッジョブ、グッジョブですよ、京子先輩! 杉浦先輩!」
結衣「……」
綾乃「あぁぁ~、もう! 早く教室に行くわよ!///」
京子「へ~い」
綾乃「……」
京子「……どったの? 綾乃?」
綾乃「手、つなぎなさいよっ///」ボソッ
京子「もちろんだ~!」ニギッ
綾乃「///」
18: 2012/02/11(土) 21:58:30.88 ID:RyLo+ilC0
その晩、結衣宅――
結衣「……で、なんでうちにいるわけ? 綾乃に怒られるぞ」
京子「やっぱそっかなー」
結衣「やっぱそっかなー、じゃないよ……ったく。……それで、何か言いたいことでもあるの?」
京子「何でもお見通しか~」
結衣「まあ、長い付き合いだから」
京子「ですよね~」
結衣「……」
京子「……あのさ」
結衣「……何?」
京子「ごめんね、結衣」
結衣「……謝ること、ないよ。京子にとって綾乃の方が魅力的だったってだけだ」
結衣「……で、なんでうちにいるわけ? 綾乃に怒られるぞ」
京子「やっぱそっかなー」
結衣「やっぱそっかなー、じゃないよ……ったく。……それで、何か言いたいことでもあるの?」
京子「何でもお見通しか~」
結衣「まあ、長い付き合いだから」
京子「ですよね~」
結衣「……」
京子「……あのさ」
結衣「……何?」
京子「ごめんね、結衣」
結衣「……謝ること、ないよ。京子にとって綾乃の方が魅力的だったってだけだ」
21: 2012/02/11(土) 22:04:02.98 ID:RyLo+ilC0
京子「……ん~、そういうわけじゃないんだよな~」
結衣「じゃあ、どういう――」
京子「結衣はなんか頼れるお姉さんみたいな感じ!」
結衣「……そっか」
京子「――だった」
結衣「……だった?」
京子「結衣の気持ちを知っちゃったから。これ以上結衣を頼って、結衣を苦しめたくないから。だから、結衣が私のお姉さんなのは今日で最後」
結衣「……私が京子を好きになるわけだ」
京子「そうまじまじと言われると流石の私も照れますな」
結衣「京子でも照れるんだな」
京子「なにおう!?」
結衣「……綾乃を、絶対幸せにしてやれよな」
京子「おう、任せとけ!」
結衣「……不安だなぁ~」
京子「さっきから失礼な結衣だな!」
結衣「じゃあ、どういう――」
京子「結衣はなんか頼れるお姉さんみたいな感じ!」
結衣「……そっか」
京子「――だった」
結衣「……だった?」
京子「結衣の気持ちを知っちゃったから。これ以上結衣を頼って、結衣を苦しめたくないから。だから、結衣が私のお姉さんなのは今日で最後」
結衣「……私が京子を好きになるわけだ」
京子「そうまじまじと言われると流石の私も照れますな」
結衣「京子でも照れるんだな」
京子「なにおう!?」
結衣「……綾乃を、絶対幸せにしてやれよな」
京子「おう、任せとけ!」
結衣「……不安だなぁ~」
京子「さっきから失礼な結衣だな!」
23: 2012/02/11(土) 22:07:43.00 ID:RyLo+ilC0
グゥ~
京子「……お腹が空きました」
結衣「まったく、振った相手にご飯つくってもらう気満々かよ」
京子「麻婆豆腐で!」
結衣「遠慮もなしかよ! ……食後のデザートは?」
京子「ラムレーズン!」
結衣「りょーかい」
京子「……お腹が空きました」
結衣「まったく、振った相手にご飯つくってもらう気満々かよ」
京子「麻婆豆腐で!」
結衣「遠慮もなしかよ! ……食後のデザートは?」
京子「ラムレーズン!」
結衣「りょーかい」
27: 2012/02/11(土) 22:15:42.85 ID:RyLo+ilC0
――――――――
――――
――
京子「マーボーうめえ!」ガツガツ
結衣「いい食べっぷりだなあ」パクパク
京子「美味しい、本当に美味しいよ」ガツガツ
結衣「そっか」
京子「美味しい……おいしい……グスッ……よぉ……」
結衣「……京子?」
京子「……おいしい料理を食べられるのも……グズッ……今日で最後……グスッ……なんだね……」
結衣「……自分で決めたのに、泣くなよ」
京子「だって! だってぇ……ヒグッ……」
結衣「……よしよし。全く、しょうがない子だな。京子は」ナデナデ
京子「うぅぅ……うぁ……私……私ぃ……」
結衣「……綾乃に、いっぱい美味しいものつくってもらうんだよ」ナデナデ
京子「……うん……エグッ……うん!……」
――――
――
京子「マーボーうめえ!」ガツガツ
結衣「いい食べっぷりだなあ」パクパク
京子「美味しい、本当に美味しいよ」ガツガツ
結衣「そっか」
京子「美味しい……おいしい……グスッ……よぉ……」
結衣「……京子?」
京子「……おいしい料理を食べられるのも……グズッ……今日で最後……グスッ……なんだね……」
結衣「……自分で決めたのに、泣くなよ」
京子「だって! だってぇ……ヒグッ……」
結衣「……よしよし。全く、しょうがない子だな。京子は」ナデナデ
京子「うぅぅ……うぁ……私……私ぃ……」
結衣「……綾乃に、いっぱい美味しいものつくってもらうんだよ」ナデナデ
京子「……うん……エグッ……うん!……」
35: 2012/02/11(土) 22:23:31.01 ID:RyLo+ilC0
結衣「……今日はもう早いけど、ねよっか」
京子「でも、でもぉ……エッグ……私もっと結衣とお話……」
結衣「……お話は、私が京子のお姉さんじゃなくなってもできるよ」
京子「結衣ぃ……結衣ぃ……ヒグッ……」
結衣「……あ~、もう、ほら! そんな泣き顔綾乃に見せられないよ」
京子「……私、最後の最後でも……ヒクッ……結衣に迷惑かけちゃった……」
結衣「……今日はまだ私が京子のお姉さんなんだから、迷惑だなんて思ってないよ」
京子「……結衣ぃ……」
結衣「……布団しいて、寝るよ。京子が寝るまで手を握っててあげるから」
京子「……うん」
京子「でも、でもぉ……エッグ……私もっと結衣とお話……」
結衣「……お話は、私が京子のお姉さんじゃなくなってもできるよ」
京子「結衣ぃ……結衣ぃ……ヒグッ……」
結衣「……あ~、もう、ほら! そんな泣き顔綾乃に見せられないよ」
京子「……私、最後の最後でも……ヒクッ……結衣に迷惑かけちゃった……」
結衣「……今日はまだ私が京子のお姉さんなんだから、迷惑だなんて思ってないよ」
京子「……結衣ぃ……」
結衣「……布団しいて、寝るよ。京子が寝るまで手を握っててあげるから」
京子「……うん」
37: 2012/02/11(土) 22:29:52.44 ID:RyLo+ilC0
京子「スー……スー……」
結衣「京子、あんなに泣いてたのに寝ちゃった……」
結衣「……」
結衣「……お姉さん、か」
結衣「……」
結衣「……最初から、勝ち目なんてなかったんだな」
結衣「……正直、京子は絶対私のことが好きだと思ってたのに」
結衣「……それは家族としての“好き”だったんだ……」
結衣「……」ズキッ
結衣「……あはは、今頃になって胸が痛んでやがるの」
結衣「無様な、滑稽な私」
結衣「京子、あんなに泣いてたのに寝ちゃった……」
結衣「……」
結衣「……お姉さん、か」
結衣「……」
結衣「……最初から、勝ち目なんてなかったんだな」
結衣「……正直、京子は絶対私のことが好きだと思ってたのに」
結衣「……それは家族としての“好き”だったんだ……」
結衣「……」ズキッ
結衣「……あはは、今頃になって胸が痛んでやがるの」
結衣「無様な、滑稽な私」
41: 2012/02/11(土) 22:35:04.51 ID:RyLo+ilC0
京子「スー……スー……」
結衣「散々泣いておいて、京子はぐっすり眠ってる」
結衣「私は……眠れるわけない」
ゴーン ゴーン
結衣「……0時、か」
結衣「……もう、京子のお姉さんですらなくなっちゃった」
京子「スー……スー……」
結衣「……お姉さんですらなくなって、私は京子の何者なんだ?」
結衣「……私は一体なんのために――」
結衣「(……あれ、私は本当に何のためにここにいる?)」
結衣「(何のために一人暮らしを始めた?)」
結衣「(何のために京子を部屋に入れた?)」
結衣「(何のため)」
結衣「(何のため――)」
結衣「散々泣いておいて、京子はぐっすり眠ってる」
結衣「私は……眠れるわけない」
ゴーン ゴーン
結衣「……0時、か」
結衣「……もう、京子のお姉さんですらなくなっちゃった」
京子「スー……スー……」
結衣「……お姉さんですらなくなって、私は京子の何者なんだ?」
結衣「……私は一体なんのために――」
結衣「(……あれ、私は本当に何のためにここにいる?)」
結衣「(何のために一人暮らしを始めた?)」
結衣「(何のために京子を部屋に入れた?)」
結衣「(何のため)」
結衣「(何のため――)」
44: 2012/02/11(土) 22:38:09.02 ID:RyLo+ilC0
結衣「――私は、何のために京子と過ごしてきたのだろう?」
47: 2012/02/11(土) 22:46:29.75 ID:RyLo+ilC0
チュン……チュン……
京子「……あれ? 私寝ちゃってた……」
京子「身体が重い。……気持ちが重いからかな」
京子「……結衣~。結衣~?」
京子「……」
京子「……返事がないや。どこ行っちゃったんだ――」
カチャッ
京子「あ、あれ? 本当に身体が動かせない……縄で縛ってある?」
京子「ちょ、ちょっと結衣? 結衣ー?」
ガチャガチャッ……キィィ
結衣「ふぁ……早朝からドソキホーテなんて、すっかり不良少女だな。私」
京子「あ、結衣? ……た、ただいま」
結衣「ああ。起きてたんだ京子。おかえり」
京子「……あれ? 私寝ちゃってた……」
京子「身体が重い。……気持ちが重いからかな」
京子「……結衣~。結衣~?」
京子「……」
京子「……返事がないや。どこ行っちゃったんだ――」
カチャッ
京子「あ、あれ? 本当に身体が動かせない……縄で縛ってある?」
京子「ちょ、ちょっと結衣? 結衣ー?」
ガチャガチャッ……キィィ
結衣「ふぁ……早朝からドソキホーテなんて、すっかり不良少女だな。私」
京子「あ、結衣? ……た、ただいま」
結衣「ああ。起きてたんだ京子。おかえり」
48: 2012/02/11(土) 22:47:31.50 ID:RyLo+ilC0
チュン……チュン……
京子「……あれ? 私寝ちゃってた……」
京子「身体が重い。……気持ちが重いからかな」
京子「……結衣~。結衣~?」
京子「……」
京子「……返事がないや。どこ行っちゃったんだ――」
カチャッ
京子「あ、あれ? 本当に身体が動かせない……縄で縛ってある?」
京子「ちょ、ちょっと結衣? 結衣ー?」
ガチャガチャッ……キィィ
結衣「ふぁ……早朝からドソキホーテなんて、すっかり不良少女だな。私」
京子「あ、結衣? ……お、おかえり」
結衣「ああ。起きてたんだ京子。ただいま」
京子「……あれ? 私寝ちゃってた……」
京子「身体が重い。……気持ちが重いからかな」
京子「……結衣~。結衣~?」
京子「……」
京子「……返事がないや。どこ行っちゃったんだ――」
カチャッ
京子「あ、あれ? 本当に身体が動かせない……縄で縛ってある?」
京子「ちょ、ちょっと結衣? 結衣ー?」
ガチャガチャッ……キィィ
結衣「ふぁ……早朝からドソキホーテなんて、すっかり不良少女だな。私」
京子「あ、結衣? ……お、おかえり」
結衣「ああ。起きてたんだ京子。ただいま」
51: 2012/02/11(土) 22:53:30.35 ID:RyLo+ilC0
京子「あ、あの……結衣……なんで私の手とか足とか縄で括りつけられてるの?」
結衣「ああ、じきに分かるよ」
京子「じきにって……昨日結衣の気持ちも考えないで甘えちゃったのは、悪かったから。怒ってるんなら言ってよ」
結衣「へっ? 私が怒ってる? 怒ってなんかないよ。甘えてくれたのも嬉しかった」
京子「じゃ、じゃあ――」
結衣「私さ、やっと自分の気持ちに気がついたんだ」
京子「え、えっと、どういうこと?」
結衣「私、京子のことが好きだ」
京子「……それは知ってる、聞いたよ。でも私は綾乃が――」
結衣「うん、それも聞いた。それでね、京子が私に向ける“好き”って家族としての好きでしょ?」
京子「そうだけど……」
結衣「私が京子に向ける“好き”もね、想い人に向ける“好き”じゃなかったんだ。昨日京子に突き放されて、苦しんで、悶えて……やっと気付いた」
京子「……ゆ、結衣?」
結衣「私が京子に抱いてる“好き”はね――」
結衣「ああ、じきに分かるよ」
京子「じきにって……昨日結衣の気持ちも考えないで甘えちゃったのは、悪かったから。怒ってるんなら言ってよ」
結衣「へっ? 私が怒ってる? 怒ってなんかないよ。甘えてくれたのも嬉しかった」
京子「じゃ、じゃあ――」
結衣「私さ、やっと自分の気持ちに気がついたんだ」
京子「え、えっと、どういうこと?」
結衣「私、京子のことが好きだ」
京子「……それは知ってる、聞いたよ。でも私は綾乃が――」
結衣「うん、それも聞いた。それでね、京子が私に向ける“好き”って家族としての好きでしょ?」
京子「そうだけど……」
結衣「私が京子に向ける“好き”もね、想い人に向ける“好き”じゃなかったんだ。昨日京子に突き放されて、苦しんで、悶えて……やっと気付いた」
京子「……ゆ、結衣?」
結衣「私が京子に抱いてる“好き”はね――」
52: 2012/02/11(土) 22:54:07.75 ID:RyLo+ilC0
結衣「『お人形さんが好き』の“好き”だったんだ」ニコッ
54: 2012/02/11(土) 22:55:17.05 ID:mKkqZ7bL0
なんでや・・・
60: 2012/02/11(土) 23:04:06.35 ID:RyLo+ilC0
京子「……結衣?」ゾッ
結衣「お人形さんを壊されないように、『京子は私が守る』だなんて言い張って」
京子「結衣ぃ……」ゾクッ
結衣「お人形さんと二人きりになるために、娯楽部に付き合って」
京子「結衣、結衣ぃ!」ゾワゾワッ
結衣「お人形さん遊びを楽しむために、親に無理を言って一人暮らしを始めて」
京子「結衣ぃ、やめてよぉ! 結衣ぃ!」ジワッ
結衣「ありがとう京子。京子が教えてくれなきゃ、ずっとこの気持ちに気が付かないまま、私は思い違いをしているところだったよ」
京子「結衣ぃ……こわい……ヒッグ……私結衣が怖いよ……」
結衣「ごめんね。私もこんな風に好意を向けられたら末恐ろしいことだろうとは思うけど、これが私の本当だから」
京子「やだ……結衣ぃ……エグッ」
結衣「ごめんね、ごめんって。でもね……私、お人形さんを独り占めしなきゃ気が済まないんだ」
京子「ひッ……」ゾワゾワゾワッ
結衣「お人形さんを壊されないように、『京子は私が守る』だなんて言い張って」
京子「結衣ぃ……」ゾクッ
結衣「お人形さんと二人きりになるために、娯楽部に付き合って」
京子「結衣、結衣ぃ!」ゾワゾワッ
結衣「お人形さん遊びを楽しむために、親に無理を言って一人暮らしを始めて」
京子「結衣ぃ、やめてよぉ! 結衣ぃ!」ジワッ
結衣「ありがとう京子。京子が教えてくれなきゃ、ずっとこの気持ちに気が付かないまま、私は思い違いをしているところだったよ」
京子「結衣ぃ……こわい……ヒッグ……私結衣が怖いよ……」
結衣「ごめんね。私もこんな風に好意を向けられたら末恐ろしいことだろうとは思うけど、これが私の本当だから」
京子「やだ……結衣ぃ……エグッ」
結衣「ごめんね、ごめんって。でもね……私、お人形さんを独り占めしなきゃ気が済まないんだ」
京子「ひッ……」ゾワゾワゾワッ
66: 2012/02/11(土) 23:15:55.74 ID:RyLo+ilC0
京子「助けて! 誰か助けてぇ!」ジタバタ
結衣「誰もこないよ。ここ、古いけど防音はしっかりしてるらしいし」
京子「やだっ! やだぁ! 離して! 離してぇ! 離してよぉ、結衣ぃ!」ジタバタ
結衣「すぐに離してあげるから、ちょっとの辛抱だと思ってよ」
京子「ほ、本当?」ウルッ
結衣「だって、いくら私が独り占めしたいと思ったって、京子は綾乃のものになっちゃったから。綾乃の気持ちを裏切ることはできないよ」
京子「だ、だったらすぐに――」
結衣「でもね。私だって京子というお人形を諦めたくない。だから妥協することにしたんだ」
京子「そ、それってどういう――」
結衣「うふふ、京子。私いっぱい調べたんだよ。ちょっと高かったけど、必要なものも揃えてきたんだよ」ガサゴソ
京子「やだ、結衣こわい! こわいぃ! いやだよぉ! 助けてよぉ!」
結衣「怖がらないで、ほんのちょっとの辛抱だから……と、あった」
京子「ひッ……やだっ……なにそれっ……」
結衣「誰もこないよ。ここ、古いけど防音はしっかりしてるらしいし」
京子「やだっ! やだぁ! 離して! 離してぇ! 離してよぉ、結衣ぃ!」ジタバタ
結衣「すぐに離してあげるから、ちょっとの辛抱だと思ってよ」
京子「ほ、本当?」ウルッ
結衣「だって、いくら私が独り占めしたいと思ったって、京子は綾乃のものになっちゃったから。綾乃の気持ちを裏切ることはできないよ」
京子「だ、だったらすぐに――」
結衣「でもね。私だって京子というお人形を諦めたくない。だから妥協することにしたんだ」
京子「そ、それってどういう――」
結衣「うふふ、京子。私いっぱい調べたんだよ。ちょっと高かったけど、必要なものも揃えてきたんだよ」ガサゴソ
京子「やだ、結衣こわい! こわいぃ! いやだよぉ! 助けてよぉ!」
結衣「怖がらないで、ほんのちょっとの辛抱だから……と、あった」
京子「ひッ……やだっ……なにそれっ……」
68: 2012/02/11(土) 23:17:37.33 ID:RyLo+ilC0
結衣「何って、見れば分かるだろ――メスだよ」
76: 2012/02/11(土) 23:37:55.64 ID:RyLo+ilC0
サクッ サクッ
ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ
サクッ サクッ サクッ
あああああああああぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああぁぁああ
サクッ サクッ
ああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ
サクッ サクッ
あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああぁぁぁぁああああ
サクッ サクッ サクッ
あぁぁぁぁぁっぁぁぁぁっぁぁぁぁあああああああぁぁぁあぁぁぁぁぁああああああああ
83: 2012/02/11(土) 23:52:02.95 ID:RyLo+ilC0
スパッ
スパッ スパッ スパッ スパッ
スパッ スパッ
スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ
スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ
スパッ スパッ スパッ スパッ
スパッ スパッ
スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ
スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ スパッ
88: 2012/02/11(土) 23:59:10.82 ID:RyLo+ilC0
京子「ぁぁぁ……ぁ……」
結衣「――京子、京子! 見て!」
京子「……ぁ……ぁぁ……」
結衣「京子、子宮! 京子の子宮、取り出せたよ!」
京子「……ぁ……ぁ……」
結衣「見て、これ京子の子宮! 京子の子宮だよ!」
京子「…………」
結衣「――京子、京子! 見て!」
京子「……ぁ……ぁぁ……」
結衣「京子、子宮! 京子の子宮、取り出せたよ!」
京子「……ぁ……ぁ……」
結衣「見て、これ京子の子宮! 京子の子宮だよ!」
京子「…………」
90: 2012/02/12(日) 00:03:27.20 ID:RyLo+ilC0
靄がかかったワタシの目の前に曝されたのは
赤黒くて
液体がぽたぽたと滴っていて
よく分からないけど お肉のようにぶにぶにしていて
お肉のように
お肉のように
お肉ソノモノ
ソレハ
確かニ
ワタシノ
子宮
ダツタ
赤黒くて
液体がぽたぽたと滴っていて
よく分からないけど お肉のようにぶにぶにしていて
お肉のように
お肉のように
お肉ソノモノ
ソレハ
確かニ
ワタシノ
子宮
ダツタ
103: 2012/02/12(日) 00:24:38.39 ID:0HixeHYc0
綾乃「二月十四日、私は私の……恋人を迎えに行きました」
綾乃「友達の家に泊まっているから、迎えに来て欲しいと、前日に言われていました」
綾乃「私は、その友人の家のチャイムを鳴らしました」
綾乃「一度、ピンポンと鳴らしました」
綾乃「……反応は、ありませんでした」
綾乃「二度、三度……合計四度、私はチャイムを鳴らしました」
綾乃「やっぱり反応はありません」
綾乃「私は、恐怖を感じました」
綾乃「……でも、それはエゴイスティックな恐怖でした」
綾乃「私は、捨てられたのではないか。恋人はその友達に靡いて、私のことなど忘れてしまったのではないか」
綾乃「怖くて仕方がありませんでした」
綾乃「だから、それ以上チャイムを鳴らさず、私は学校へと向かうことにしました――」
「続けて」
綾乃「……」
綾乃「友達の家に泊まっているから、迎えに来て欲しいと、前日に言われていました」
綾乃「私は、その友人の家のチャイムを鳴らしました」
綾乃「一度、ピンポンと鳴らしました」
綾乃「……反応は、ありませんでした」
綾乃「二度、三度……合計四度、私はチャイムを鳴らしました」
綾乃「やっぱり反応はありません」
綾乃「私は、恐怖を感じました」
綾乃「……でも、それはエゴイスティックな恐怖でした」
綾乃「私は、捨てられたのではないか。恋人はその友達に靡いて、私のことなど忘れてしまったのではないか」
綾乃「怖くて仕方がありませんでした」
綾乃「だから、それ以上チャイムを鳴らさず、私は学校へと向かうことにしました――」
「続けて」
綾乃「……」
107: 2012/02/12(日) 00:31:59.21 ID:0HixeHYc0
綾乃「学校から帰って……やっぱりどうしても気になって、学校の友人にも諭されて、その友人と共にもう一度恋人のいるであろうアパートへと向かいました」
綾乃「……アパートには、救急車やパトカーが、停まっていました」
綾乃「警官が、沢山いました」
綾乃「私は――醜い私は、その時始めて恐怖しました」
綾乃「恋人を思って、恐怖しました」
綾乃「私の恋人が何か事件に巻き込まれたのではないか――」
綾乃「身体のあちこちから、嫌な汗が滲み出てきました」
綾乃「私は、警官に問い詰めました」
綾乃「ここで、何かあったのか。私の……恋人に何かあったのかと」
「……」
綾乃「……警官は、言いました」
綾乃「君は、七森中の生徒かい、と言いました」
綾乃「私は、頷いて……恐る恐る質問を重ねました」
綾乃「救急車の中に、私の恋人はいますか、と――」
綾乃「……アパートには、救急車やパトカーが、停まっていました」
綾乃「警官が、沢山いました」
綾乃「私は――醜い私は、その時始めて恐怖しました」
綾乃「恋人を思って、恐怖しました」
綾乃「私の恋人が何か事件に巻き込まれたのではないか――」
綾乃「身体のあちこちから、嫌な汗が滲み出てきました」
綾乃「私は、警官に問い詰めました」
綾乃「ここで、何かあったのか。私の……恋人に何かあったのかと」
「……」
綾乃「……警官は、言いました」
綾乃「君は、七森中の生徒かい、と言いました」
綾乃「私は、頷いて……恐る恐る質問を重ねました」
綾乃「救急車の中に、私の恋人はいますか、と――」
109: 2012/02/12(日) 00:37:45.55 ID:0HixeHYc0
綾乃「警官は何も言いませんでした」
綾乃「私は悟りました。恋人に、何かあったのだ。私の恋人が、あそこにいるのだ」
綾乃「そう思うや、私は駆け出しました。友人の、警官の、救急隊員の制止を振りきって、救急車に駆け込みました」
「……」
綾乃「いました」
綾乃「いたんです」
綾乃「そこには……ウッ……オェ……ウェッ……」
「お、おい、大丈夫か? 無理をするな、辛かったら、話さなくても――」
綾乃「大丈夫……ウェ……続けさせてください……」
綾乃「私は悟りました。恋人に、何かあったのだ。私の恋人が、あそこにいるのだ」
綾乃「そう思うや、私は駆け出しました。友人の、警官の、救急隊員の制止を振りきって、救急車に駆け込みました」
「……」
綾乃「いました」
綾乃「いたんです」
綾乃「そこには……ウッ……オェ……ウェッ……」
「お、おい、大丈夫か? 無理をするな、辛かったら、話さなくても――」
綾乃「大丈夫……ウェ……続けさせてください……」
111: 2012/02/12(日) 00:41:30.68 ID:0HixeHYc0
綾乃「そこには、恋人がいたんです」
綾乃「腹をこじ開けられて」
綾乃「女の子の一番大切な場所を繰り抜かれて」
綾乃「苦しそうに、辛そうに、痛そうに顔を歪めながら瞳を閉じた」
綾乃「歳納京子が」
綾乃「歳納京子が」
綾乃「歳納京子」
綾乃「歳納京子」
綾乃「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
「お、おい! 杉浦! しっかりしろ、杉浦!」
綾乃「西垣先生、お願いします、私の子宮を、私の子宮を抉り出して棺の中の歳納京子に移植してあげてください!」
西垣「む、無茶を言うな! そんなこと、私が引き受けられるわけ――」
綾乃「お願いします! だから先生にこうして話したんです! 思い出したくもないのに――先生に話したんです!」
西垣「だからって、そんな――」
綾乃「お願いします! お願いします! ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
綾乃「腹をこじ開けられて」
綾乃「女の子の一番大切な場所を繰り抜かれて」
綾乃「苦しそうに、辛そうに、痛そうに顔を歪めながら瞳を閉じた」
綾乃「歳納京子が」
綾乃「歳納京子が」
綾乃「歳納京子」
綾乃「歳納京子」
綾乃「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
「お、おい! 杉浦! しっかりしろ、杉浦!」
綾乃「西垣先生、お願いします、私の子宮を、私の子宮を抉り出して棺の中の歳納京子に移植してあげてください!」
西垣「む、無茶を言うな! そんなこと、私が引き受けられるわけ――」
綾乃「お願いします! だから先生にこうして話したんです! 思い出したくもないのに――先生に話したんです!」
西垣「だからって、そんな――」
綾乃「お願いします! お願いします! ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
121: 2012/02/12(日) 00:52:29.14 ID:0HixeHYc0
人を想うあまり、その気持ちが裏目に出て、悲壮な最後を迎えた少女。
現実逃避の末、恋愛感情を玩具に対する愛着に置き換えた少女。
バレンタインデーに子宮をあげたいと喚く少女。
少女は、いとも簡単に狂ってしまう。
日常はいとも簡単に狂ってしまう。
少女のうち、一人は願った――
「こんな楽しい時間がいつまでも続きますように」
だけど、それは叶わなかった。
楽しい時間は、楽しい時間の構成要素でもある恋愛感情によって歪められてしまった。
結局のところ少女達は、もとより欠損した歯車の上で日常を営んでいたのだ。
だからこそ、その崩壊は必然で、避けようのない天災なのだった。
願わくば、どこか別の世界に住まう“少女達”が呪われた日常を、より長く営めんことを――
おわり
現実逃避の末、恋愛感情を玩具に対する愛着に置き換えた少女。
バレンタインデーに子宮をあげたいと喚く少女。
少女は、いとも簡単に狂ってしまう。
日常はいとも簡単に狂ってしまう。
少女のうち、一人は願った――
「こんな楽しい時間がいつまでも続きますように」
だけど、それは叶わなかった。
楽しい時間は、楽しい時間の構成要素でもある恋愛感情によって歪められてしまった。
結局のところ少女達は、もとより欠損した歯車の上で日常を営んでいたのだ。
だからこそ、その崩壊は必然で、避けようのない天災なのだった。
願わくば、どこか別の世界に住まう“少女達”が呪われた日常を、より長く営めんことを――
おわり
134: 2012/02/12(日) 00:57:50.92 ID:5ukFBQ81O
その後が気になる
乙
乙
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