386: 2012/03/05(月) 21:37:09.26 ID:xNXIhi030

勇者「パーティーにまともな奴がいない……」【1】
勇者「パーティーにまともな奴がいない……」【2】
勇者「パーティーにまともな奴がいない……」【3】
勇者「パーティーにまともな奴がいない……」【4】





勇者「は?」

女大臣「ですから、結婚はどうする気ですか?」

勇者「……いやいや、まだ早ぇよ」

暗殺者「ちょうどいい頃合いだろ」

勇者「いや、まだ早いだろ」

女大臣「勇者様、こういうのは早い方が絶対にいいんですよ」

勇者「いや、だってまだ戦争が終わってまだ一か月も経ってねぇぞ」

暗殺者「勇者、ドラゴンに逃げられてもいいのか?」

勇者「逃げられねぇよ!!」

女大臣「で、三日後に結婚式をしようと思うのですが」

勇者「……また急だな」

女大臣「善は急げですよ、勇者様」

勇者「いやいや……」

暗殺者「さっさと決めろよ、面倒臭い」

勇者「つーか、ドラゴンがいないのに勝手に決めていいのか?」

女大臣「その辺は大丈夫です」

勇者「何が大丈夫?」

女大臣「すでにドラゴン様の了承は得ていますから」
小林さんちのメイドラゴン : 15 (アクションコミックス)
387: 2012/03/05(月) 21:39:22.45 ID:xNXIhi030
勇者「……なんで俺無しで勝手に計画が進んでんだよ……」

暗殺者「お前に言ったって、文句しか言わんだろ」

勇者「そんな訳ねぇだろ!!」

女大臣「じゃあ三日後に決定でいいですね」

勇者「いやいや、招待客とかはどうするんだよ、そんな急じゃ集まれねぇだろ」

女大臣「大丈夫です、すでに招待状は送ってあります」

勇者「だからなんで勝手に計画が進んでんだよ!!」

暗殺者「そう文句を言うな」

勇者「……もう決定なんだろ」

女大臣「簡単に言えばそう言う事になりますね」

暗殺者「ドラゴンと女勇者と俺でだいたい決めといたんだ」

勇者「……で、俺は何を決めればいいんだ?」

女大臣「細かい事は私達が済ませてありますので、後は衣装とかですかね」

勇者「……そういえば場所は何処の予定なんだ?」

女大臣「この城の一室を使う予定です」

勇者「あ、結構大規模なんだ」

女大臣「呼ぶ人数も多めですし、勇者様の家では無理でしょう」

勇者「無理だね」

388: 2012/03/05(月) 21:42:15.06 ID:xNXIhi030
勇者「で、衣裳って俺の?」

女大臣「ドラゴン様のもですよ」

勇者「俺が勝手に決めていいのか?」

暗殺者「後から来る」

勇者「あ、そう」

女勇者「失礼します」ガチャ

ドラゴン「ああ、来てたのか」スタスタ

勇者「来てたのか、じゃねぇよ!!」

ドラゴン「何がだ?」

勇者「いや、ちょっとぐらい俺にも説明してくれよ」

ドラゴン「ああ、すまんな」

勇者「……すまん、じゃねぇよ」

女勇者「今はそんな話は後です」

勇者「いや、後にしちゃダメだろ……」

女大臣「衣装ですが、何か着たいものとかはありますか?」

ドラゴン「ウエディングドレス!!」

389: 2012/03/05(月) 21:43:57.74 ID:xNXIhi030
女勇者「いいですね」

女大臣「ウエディングドレスですか、探してきますね」スタスタ

ドラゴン「頼む」

女勇者「楽しみですね」

ドラゴン「ああ」

勇者「なんであんなに盛り上がってるの?」

暗殺者「ウエディングドレスってのは女の憧れだからな、結婚式だって女の為にある様なもんだ」

勇者「……」

勇者「なあ、俺の衣装は?」

女勇者「勇者のはそこにおいてあります」

勇者「俺のはもう決まってんのかよ!!」

暗殺者「男なんてそんなもんだ」

勇者「……」

女大臣「ドラゴン様、来てもらえますか?」

ドラゴン「あ、ああ」スタスタ

女勇者「試着でしょうね」スタスタ

ドラゴン「しちゃく?」スタスタ

女勇者「一度着てみる事です」スタスタ

ドラゴン「ああ、そう言う事か」スタスタ

390: 2012/03/05(月) 21:46:17.18 ID:xNXIhi030
勇者「……」

暗殺者「お前も着替えたらどうだ?」

勇者「……そうする」


勇者は近くにあったタキシードに着替える。


暗殺者「……なんだろう、若干異和感がある」

勇者「どこが、そして何が」

暗殺者「何なんだろう、腰に刀をさしてないからかな」

勇者「結婚式だからそんなもん持ってちゃダメだろ」

暗殺者「……変だけどまあ、仕方ないか」

勇者「だな」

暗殺者「やっぱ刀さしとけ」スッ

勇者「……ああ」

女勇者「勇者、来てください」

勇者「え?」

暗殺者「ドラゴンの試着が終わったんだろ」

勇者「ああ、そう言う事か」スタスタ

391: 2012/03/05(月) 21:47:55.20 ID:xNXIhi030
ドラゴン「ど、どうだ?」


そこには純白なウエディングドレスを着て天使の様に微笑むドラゴンが立っていた。


勇者「え、あ……いいんじゃねぇかな」

ドラゴン「そ、そうか?」

女勇者「良かったですね」ニッコリ

暗殺者「女勇者、女大臣、ちょっと来てくれ」

女勇者「はい」スタスタ

女大臣「わかりました」スタスタ

勇者「……(二人っきり……)」

ドラゴン「……」

ドラゴン「き、綺麗か?」

勇者「凄く……綺麗だと、思う」

ドラゴン「そうか」

勇者「ま、まあ普段からかわいいし……予想どおりかな」

ドラゴン「それは喜んでいいのか?」

勇者「まあ、俺の予想をはるかに超えた綺麗さだったけど」

392: 2012/03/05(月) 21:48:58.72 ID:xNXIhi030
ドラゴン「……」

勇者「……」

ドラゴン「かわいい奴だな、貴様は」ダキッ

勇者「ちょっ、抱きつくな!!」

ドラゴン「いいだろ、たまには」

勇者「お前昨日もそんな事言って人の布団に入って来ただろ」

ドラゴン「嫌か?」

勇者「別に嫌では無いけどさ」

ドラゴン「ならいいだろ」ダキッ

勇者「ああ、分かった分かった」

女勇者「イチャイチャしてないで他の事もさっさと決めて下さい」

勇者「俺がいつイチャイチャした」

女勇者「現在進行形でしてるでしょ」

女大臣「まあ、他に決める事は無いんですけどね」

勇者「……じゃあ何すればいいんだ?」

女大臣「とりあえず、体調管理をしておいて下さい」

393: 2012/03/05(月) 21:50:21.41 ID:xNXIhi030
勇者「ああっ!!」

女勇者「なんですか、やかましい」

勇者「ドラゴンの両親に挨拶してない!!」

女勇者「……そう言えばそうですね」

勇者「だろ、挨拶に行っとかないと不味いだろ」

ドラゴン「なら竜王様に会うか?」

勇者「竜王……様?」

ドラゴン「ああ、竜の王様だ」

勇者「何それ、凄ぇ気になる」

勇者「……で、何処に住んでるんだ?」

ドラゴン「竜王様に住処は無いぞ、世界中を飛び回ってるんだ」

女勇者「じゃあ会えないんじゃないですか……」

ドラゴン「ドラゴンの山に行けば大丈夫だ」

勇者「ドラゴンの山?」

女勇者「ドラゴンの村の近くにある山の事です」

勇者「ああ、あそこの事ね」

勇者「これから行ってこれば余裕で間に合うよな」

ドラゴン「そうだな」

女勇者「では準備を……」

勇者「あ、いいよ、俺とドラゴンだけで行ってくるよ、二人の問題だし」

女勇者「……そうですね、そうして下さい」

394: 2012/03/05(月) 21:51:20.62 ID:xNXIhi030
~~~~~~~~~~~~~~~~~~


夜 竜の山


勇者「思ったより早く着けたな」

ドラゴン「こっちだ」

勇者「どんどん山奥に入っていってるけど大丈夫なのか?」

ドラゴン「大丈夫じゃなかったら、こんな所には来ない」

勇者「まあ、そうだよな」

ドラゴン「ここだ」


そこには10メートル近くある巨大な門があった。


勇者「……なんだこりゃ」

ドラゴン「オレ達はそっちの小さい門から入るぞ」ガチャ

勇者「メチャクチャ怖いんですけど……」スタスタ

ドラゴン「大丈夫だ、オレがいる」スタスタ

勇者「うん、ありがとう」

395: 2012/03/05(月) 21:51:50.60 ID:xNXIhi030
ドラゴン「まずはブラックドラゴンに会わないとな」スタスタ

勇者「何そのブラックドラゴンって」スタスタ

ドラゴン「この辺りで最年長のドラゴンだ」スタスタ

勇者「そんな偉い人に会うのか……」スタスタ

ドラゴン「緊張するな、そこまで怖い人じゃない」スタスタ

勇者「怖い、普通に怖い……」スタスタ

ドラゴン「ここだ」ガチャ

勇者「失礼します」スタスタ


そこには漆黒の鱗を纏った10メートル近いドラゴンがいた。


ブラックドラゴン「……ドラゴンか、今更ここに何をしに来た」

ドラゴン「竜王様に会おうと思ってな、呼んでもらえるか」

ブラックドラゴン「何の用事だ」

ドラゴン「結婚報告だ」

ブラックドラゴン「結婚?」

勇者「は、初めまして、ドラゴンの婚約者の勇者です」

ブラックドラゴン「まさか本当に人間と結婚するのか?」

406: 2012/03/06(火) 21:44:41.32 ID:a4gumi2M0
ドラゴン「ああ、そうだ」

ブラックドラゴン「……」

勇者(ここで喰われたりしないよな……)

ブラックドラゴン「……いいだろう、竜王を呼ぶ」


そう言うとブラックドラゴンはその場で咆哮した。


勇者「……今のでいいの?」

ブラックドラゴン「ああ、竜の咆哮は千里を駆けるという言葉を知らんのか?」

勇者「知らないです」

ブラックドラゴン「竜王様は速い、すぐに来るだろう」

ブラックドラゴン「……勇者と言ったか、お前は何者だ?」

勇者「え、何者も何も、ただの人間ですけど」

ブラックドラゴン「改造はしてないのか?」

勇者「はい、純粋な人間です」

ブラックドラゴン「……」

407: 2012/03/06(火) 21:46:56.43 ID:a4gumi2M0
勇者(……え、なんか不味い事言った?)

ブラックドラゴン「ドラゴン、勇者の何処が良かったんだ?」

ドラゴン「全部だ」

ブラックドラゴン「……そうか」

勇者「あの、純粋な人間だと不味いんですか?」

ブラックドラゴン「いや、ただドラゴンが人間になってまで恋した相手がどんな人間なのかを知りたかっただけだ」

勇者「……」

ブラックドラゴン「いい人間で安心した、ドラゴンを頼むぞ」

勇者「あ、はい」

ドラゴン「良かったな」

勇者「あ、ああ」

勇者(つーかまだ、竜王に会ってねぇのにこんなに緊張して大丈夫なのか……?)

ブラックドラゴン「そろそろ竜王様が来るぞ」

勇者「あ、はい」

竜王「……」バッサバッサ

勇者(でかい……)

408: 2012/03/06(火) 21:49:42.11 ID:a4gumi2M0
勇者「あれ、かな?」


そこに降りてきたのは真っ白の鱗を身にまとった全長15メートルほどの美しい竜だった。


竜王「……お主がワシを呼んだのか?」

ブラックドラゴン「はい、ドラゴンが話したい事があるそうです」

竜王「そうか」

竜王「……で、話したい事とは何かな?」

ドラゴン「結婚する事になったから報告しようと思ってな」

竜王「……ほう、お主の様なお転婆娘が結婚か」

勇者「え、知ってるのか?」

竜王「うむ、子供の頃から有名だったからな」

竜王「規律すら守れんお転婆者だった」

勇者「……」

ドラゴン「む、昔の事だぞ!!」

勇者「いや、今もそんなに変わってない」

竜王「人間になりたいなどと言って来た時は、気が狂ったのかと思ったぞ」

ドラゴン「きちんと事情を説明しただろ」

竜王「馬鹿者、あんな滅茶苦茶な説明があるか」

勇者「どういう事?」

竜王「この小娘はワシの所に来て『勇者と結婚するために人間になりたい』とだけ言ったのだ」

勇者「……」

409: 2012/03/06(火) 21:51:22.37 ID:a4gumi2M0
ドラゴン「最初っからオレの気持は一つだ、勇者」

勇者「ドラゴン……俺、お前の事だいすきだわ」

ドラゴン「オレもだ」

竜王「……悪いがそのくらいにしてもらえるかな」

勇者「あ、すいません」

ドラゴン「こうして結婚する訳だ、人間になった意味はあっただろ?」

竜王「そうだな、そちらの方もいい人そうだ」

ドラゴン「わかるのか」

竜王「眼を見ればわかる、苦労してきたのだな」

勇者「あ、はい」

竜王「ドラゴンを幸せにしてやってくれ」

勇者「はい」

勇者「……あの、一つ質問があるんだけど」

竜王「何かな?」

勇者「もし、俺とドラゴンの間に子供が生まれたら、どうなるんだ?」

竜王「……そうだな、人間とドラゴンの中間個体が生まれるだろうな」

勇者「中間個体?」

竜王「竜と人間の特徴が合わさったもの、と言えばいいかな」

勇者「それって、いいのか?」

竜王「前例が無い訳ではないが、少ないからな……」

ドラゴン「まあ、生まれてからのお楽しみだな」

勇者「……お前さ」

竜王「……変わらんな、お主は」

ドラゴン「そうか、あははははは!!」

410: 2012/03/06(火) 21:53:37.09 ID:a4gumi2M0
竜王「大変かもしれんが、頑張るのだぞ」

勇者「はい」

ドラゴン「ああ、オレ達なら大丈夫」

竜王「……勇者と言ったかな?」

勇者「ああ、そうだけど」

竜王「少しこちらに来てくれるか?」

勇者「え、別にいいけど」スタスタ

竜王「もう少しこっちだ」

勇者「え、はい」スタスタ

竜王「お主もよく知っておると思うが、ドラゴンはああいう奴だ、頼むぞ」ヒソヒソ

勇者「あ、はい」

竜王「ドラゴンは世間知らずで馬鹿で無鉄砲で無計画なお転婆娘だが……」

勇者「はい、十分に分かってます」

竜王「……そうか、まあお主なら大丈夫そうだ」

勇者「どうも……」

竜王「それと、これはワシからの結婚祝いだ」スッ

411: 2012/03/06(火) 21:55:26.53 ID:a4gumi2M0
勇者「……これですか?」

竜王「うむ、竜の体の一部で作られたペアリングだ」

勇者「よくこんなの作れたな……」

竜王「ワシの古くからの友人に頼んだのだ」

勇者「……ドラゴンと俺が結婚すると思って作っといてくれたのか?」

竜王「まあ、可能性があればの話だったがな」

勇者「そこまでドラゴンの事を?」

竜王「あいつには幸せになってもらいたいからな」

勇者「ありがとうございます」

竜王「仲良く暮らせよ」

勇者「はい」

ドラゴン「何の話だ?」

勇者「お前の話」

ドラゴン「変な事話してないだろうな」

竜王「安心しろ、そんな事言っておらん」

ドラゴン「……勇者、そろそろ帰るぞ」

勇者「あ、ああ」

竜王「ワシが送っていこう、背に乗れ」

勇者「いいの?」

竜王「かまわん」

413: 2012/03/06(火) 21:56:25.63 ID:a4gumi2M0
ドラゴン「久々だな、空を飛ぶのは」

勇者「……」


ドラゴンと勇者は竜王の背中に乗る。


竜王「では行くかな」バッサバッサ

ドラゴン「おお、高い高い」

勇者「……後悔してないのか?」

ドラゴン「何がだ?」

勇者「……その、人間になった事」

ドラゴン「……オレはお前と一緒ならそれでいい」

勇者「……そうか」


勇者はドラゴンに後ろから抱きつく。


ドラゴン「ん、どうした?」

勇者「いや、風が冷たいから……」

ドラゴン「仕方ないな」

勇者「うん、ありがとう」

414: 2012/03/06(火) 21:58:57.33 ID:a4gumi2M0
~~~~~~~~~~~~~~~


町   夜


勇者「普通に帰ってこれたな」

ドラゴン「帰ってこれなかったら困るだろ」

勇者「まあ、そうだよな」

ドラゴン「もう帰るか?」

勇者「……それはどういう意味?」

ドラゴン「いや……その、な」

勇者「まあ、この旅が終わったらって約束だったもんな」

ドラゴン「そうだな……」

勇者「ドラゴンがそうしたいならいいよ」

ドラゴン「勇者はどうだ?」

勇者「お前なら、いいかな」

ドラゴン「……」///

勇者「で、どうする、行くの?」

ドラゴン「い、行くか」///

415: 2012/03/06(火) 21:59:33.30 ID:a4gumi2M0
勇者「確か、あっちに宿屋があったよな」

ドラゴン「頼むぞ、勇者」

勇者「いや、俺だってわかんねぇぞ」

ドラゴン「オレだって分からんぞ」

勇者「……」

ドラゴン「どうする?」

勇者「どうしよう……」

ドラゴン「じゃあ誰かに――――」

勇者「お願いだからそれはやめて」

ドラゴン「……そうか」

勇者「まあ、流れとかでなんとでもなるだろ」スタスタ

ドラゴン「じゃあ、そうと決まれば、早く行こうぜ」ダキッ

勇者「……はいはい」スタスタ

ドラゴン「優しく頼むぞ」///

勇者「最初っからそのつもり」

416: 2012/03/06(火) 22:01:04.97 ID:a4gumi2M0
~~~~~~~~~~~~~~~~~


朝  勇者の家


勇者「……」ガチャ

ドラゴン「……寝てるか?」

勇者「た、多分、大丈夫だと思うけど」スタスタ

女勇者「あ、帰ってたんですか」

勇者「……お、女勇者」

ドラゴン「ただいま」

女勇者「早いですね」

勇者「ま、まあな」

女勇者「夜通し歩いて来たんですか?」

勇者「あ、ああ、早く帰ってこないと悪いだろ」

女勇者「……そうですか」

勇者「もう決める事とか無いのか?」

女勇者「無いですね」

勇者「そうか、ドラゴン、今日どうする?」

ドラゴン「女勇者と買い物に行く」

女勇者「言っておきますが、私は毎日買い物に行ってる訳ではないですよ」

417: 2012/03/06(火) 22:02:10.86 ID:a4gumi2M0
勇者「俺はどうしようかな、散歩でも行ってこようかな」

女勇者「……寝なくて大丈夫なんですか?」

勇者「え?」

女勇者「ですから、夜通し歩いて来たんでしょう?」

勇者「あ、ああ、えーと……」

ドラゴン「オレも勇者も若いから大丈夫だ、あははははは!!」

女勇者「ですが……あまり無茶すると結婚式で体を壊しますよ」

勇者「あ、えーと……」

妹「あ、おかえり!!」タタタッ

勇者「あ、ただいま」

勇者(ナイス、妹!!)

妹「どうだった」ダキッ

勇者「別にどうって事もないけど……」

妹「あれ、お兄ちゃんお風呂入ったの?」

勇者「え?」

妹「シャンプーの匂いがするよ」

勇者「ん?」

女勇者「え?」

427: 2012/03/07(水) 21:46:52.07 ID:KEjM58320
ドラゴン「……」

勇者「……」

女勇者「夜通し歩いて来たんじゃないんですか?」

ドラゴン「それはだな……」

勇者「……本当は、明け方に竜王様に乗せてきてもらったんだ」

女勇者「ならなんで最初っからそう言わないんですか」

ドラゴン「女勇者も竜王様に乗ってみたかったんなら、言っちゃ悪いだろ」

女勇者「なんで私が竜王に乗りたいなんて言う勇者みたいな痛い子になってるんですか」

勇者「おい、誰が痛い子だ」

金髪「勇者さん、今日暇っすか?」ガチャ

勇者「……あ、ああ、暇だ」

勇者(よし、これで逃げられる)

金髪「他の奴等が勇者さんのお祝いをしたいって言ってるんすよ」

勇者「なんだそりゃ……まあいいや、ちょっと行ってくるな」

女勇者「はい、わかりました」

428: 2012/03/07(水) 21:48:30.65 ID:KEjM58320
金髪「実は昨日の夜に見た時に言おうと思ったんすけど、ちょっと雰囲気違ったからやめといたんすよ」

女勇者「見間違いじゃないですか?」

金髪「何でですか?」

女勇者「勇者とドラゴンは今日の朝帰って来たんですよ」

金髪「え、でも――――」

勇者「行くぞ、金髪!!」グイグイ

金髪「ちょっ、痛いっす、引っ張らないで下さいよ!!」

女勇者「どういう事ですか?」

ドラゴン「あ、あいつバカだから」

女勇者「まあ、そうでしょうね」

ドラゴン「……」

女勇者「ドラゴン?」

ドラゴン「な、なんだ?」

女勇者「勇者に口止めされましたね?」

ドラゴン「な、何の事だ、オレは何も知らんぞ?」

女勇者「……まあいいです、だいたい見当はついてますから」

ドラゴン「ほ、本当か!?」

女勇者「……」

ドラゴン「あ……」

429: 2012/03/07(水) 21:49:58.15 ID:KEjM58320
~~~~~~~~~~~~~~~~~


夕方


勇者「ただいま」スタスタ

暗殺者「ああ、おかえり」

勇者「……妹と女勇者とドラゴンは?」

暗殺者「買い物に行ったぞ、今日はお赤飯なんだって張り切ってた」

勇者「結婚祝い……にして早過ぎないか?」

暗殺者「さあな、でもおめでたい事があったんじゃないか?」

勇者「なんだろう」

暗殺者「俺に聞くな」

父親「ただいま」ガチャ

勇者「今日も出掛けるのか?」

父親「ああ、そう言えばお前の結婚式は明後日だったよな」

勇者「そうだけど」

父親「酒が出るなら行こうと思うんだが、どうなんだ?」

勇者「俺は知らん」

暗殺者「残念ながら出ない」

父親「……そうか、なら行かないな」

勇者「勝手にしろ」

430: 2012/03/07(水) 21:51:21.16 ID:KEjM58320
父親「なら出掛けてくる」スタスタ

勇者「別に一々言わなくていいよ、分かってるから」

暗殺者「いいのか、肉親だろ?」

勇者「いつもの事だし、別に来なくても問題ないだろ」

暗殺者「確かにあの方があの人らしいか……」

勇者「だろ」

暗殺者「……それにしても遅いな」

勇者「そろそろ帰ってくるだろ」

暗殺者「やっぱり結婚祝いなのか?」

勇者「さあ、俺に聞かれても……」

暗殺者「心当たりとか無いのか?」

勇者「無いな、一切無い」

暗殺者「そうか」

妹「ただいま」スタスタ

勇者「あ、おかえり」

女勇者「今日はお赤飯ですからね」

431: 2012/03/07(水) 21:53:26.85 ID:KEjM58320
勇者「……なあ、なんでお赤飯なんだ?」

女勇者「あなたが一番よくわかっているでしょう?」

勇者「俺?」

ドラゴン「……」

勇者「……」

勇者「……」ガクッ

暗殺者「どうした?」

勇者「何でも無い、何でも無い……」

女勇者「あれですよ、ドラゴンと勇者があれでああなった訳です」

暗殺者「……ああ、そう言う事ね」

勇者「なんでこう簡単に情報が漏れていくのかな……」

ドラゴン「すまんな、バレちゃったんだ」

勇者「もういいよ、朝の時点でもうバレる寸前だったし」

女勇者「そうですね」

勇者「誰のせいだと思ってんだよ!!」

女勇者「主に金髪ですね」

勇者「そうだな、だいたいあいつが悪い」

432: 2012/03/07(水) 21:55:22.27 ID:KEjM58320
~~~~~~~~~~~~~~


勇者の部屋


勇者「ああ、疲れた……」

ドラゴン「そうだな」

勇者「主に昨日の事だけどな」

ドラゴン「あはは、別に隠す事でもないだろ」

勇者「そう言うと思ってた」

ドラゴン「怒ってるか?」

勇者「別に、怒るほどの事でもないだろ」

ドラゴン「……明後日か」

勇者「そうだな」

勇者「長い様で、短い様で……」

ドラゴン「何の事がだ?」

勇者「お前と会ってからの事だよ」

勇者「最初は檻越しだっただろ、で、今はこうして結婚までいった」

ドラゴン「どんな気持ちだ?」

勇者「どんな気持ちって……」

433: 2012/03/07(水) 21:57:43.30 ID:KEjM58320
勇者「素直にうれしいけど、お前はどうだ?」

ドラゴン「オレもだ」

勇者「そうか」

ドラゴン「知ってるか、竜の恋と人の恋は違うんだ」

勇者「そうなのか」

ドラゴン「オレもうまくは説明できんが竜は人間ほど他人を愛したりしないんだ」

勇者「でも竜王はお前の事……」

ドラゴン「あれは恋というよりも、父親的な心配だろう?」

勇者「確かに」

ドラゴン「オレもそうだった」

ドラゴン「所詮は他人だ、そんなものを愛する時が来るなんて思ってなかった」

勇者「……あの時の何がお前をそこまで動かしたんだ?」

ドラゴン「生き方、だろうな」

勇者「生き方?」

ドラゴン「ああ、お前の生き方は美しかった、それこそ竜であるオレが惚れるくらいに」

勇者「……」

ドラゴン「それから、お前と一緒にいるうちにもっと好きになった」

勇者「そうか……」

434: 2012/03/07(水) 21:58:50.82 ID:KEjM58320
ドラゴン「貴様はどうだ?」

勇者「俺は……会った時は竜として好きだった」

勇者「ただ、ずっと一緒にいるうちに、っていうか武器の町でお前が好きなんだって気付いたかな」

ドラゴン「そうか」

勇者「……なんでこんな話してるんだ?」

ドラゴン「たまにはこういう話もいいだろ」

勇者「そうか、そうだな」

勇者「……じゃあ寝るか」

ドラゴン「そうだな」

勇者「よいしょ、っと」ゴロン

ドラゴン「そこはオレの布団だぞ」

勇者「いつもはお前が俺の布団に来てたから、今日は俺がお前の布団に行く」

ドラゴン「……何も変わらなくないか?」

勇者「……そうなんだけどさ」

ドラゴン「まあ、いいか」ゴロン

ドラゴン「……やっぱり――――」

勇者「いや、俺の気持ち的には全然違うから」

435: 2012/03/07(水) 22:00:11.63 ID:KEjM58320
ドラゴン「どういう風にだ?」

勇者「なんていんだろ、積極的になった感じ?」

ドラゴン「……よくわからんな」

勇者「わかんなくていいよ」

ドラゴン「いいのか?」

勇者「俺もなんて言えばいいかわかんないし」

ドラゴン「とりあえず言ってみろ」

勇者「……絶対笑うなよ」

ドラゴン「笑わんよ」

勇者「いつもは襲われてたけど、今日は襲いにきた、みたいな?」

ドラゴン「……あはははははは!!」

勇者「テメェ!!」

ドラゴン「勇者、くすぐるな、あははははは!!」ジタバタ

448: 2012/03/08(木) 21:50:08.66 ID:Q7PmXZZc0
~~~~~~~~~~~~~~~~~


次の日    


勇者「おはよう」スタスタ

女勇者「おはようございます」

女勇者「ドラゴンはどうしたんですか?」

勇者「まだ寝てる」

女勇者「そうですか」

暗殺者「おはよう」スタスタ

妹「みんなおはよう!!」タタタッ

勇者「おはよう」

女勇者「おはようございます」

暗殺者「いよいよ明日だな」

勇者「ああ、明日だ」

女勇者「あ、そう言えばあなた宛てに手紙が届いてますよ」

449: 2012/03/08(木) 21:52:09.14 ID:Q7PmXZZc0
勇者「誰から?」

女勇者「剣士からです」スッ

勇者「なんだろう……」


『勇者さんへ
 結婚おめでとうございます。
 話したい事があるので、町の宿屋に来ていただけないでしょうか。
 結婚式前日というのは十分分かっています。
 時間もそこまでかからないので、来てください。
 もしよろしければ、女勇者さんも来てください。  
          剣士』


女勇者「何の手紙ですか?」

勇者「今日、宿屋に来てほしいって、お前も来れたら来てほしいって書いてあるけど、行くか?」

女勇者「私もですか……なんの事でしょうかね?」

勇者「多分重要な事なんだろ」

女勇者「でしょうね、こんな時期に来てほしいという事ですから」

勇者「で、行くのか?」

女勇者「ええ、私も行きます」

勇者「ああ、わかった」

ドラゴン「おはよう」スタスタ

勇者「あ、おはよう」

450: 2012/03/08(木) 21:54:16.90 ID:Q7PmXZZc0
勇者「じゃあ、朝飯食い終わったら行くか」

女勇者「そうですね」

ドラゴン「ん、何処に行くんだ?」

勇者「剣士が話があるんだってさ」

ドラゴン「何の話だ?」

勇者「さあ、特に何も書いてないからな……」

ドラゴン「……オレも行っていいか?」

勇者「いや、ダメだろ、呼ばれたのは俺と女勇者なんだし」

ドラゴン「……そうか」

勇者「ああ、今日は我慢しろ」

ドラゴン「そうする……」

勇者「そんなに長い話じゃないらしいからすぐに帰ってくる」

ドラゴン「わかった」

女勇者「とりあえず、朝食を食べて下さい、冷めますから」

勇者「ああ」

ドラゴン「わかった」

451: 2012/03/08(木) 21:55:18.81 ID:Q7PmXZZc0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


宿屋前


勇者「何の話なんだろう……」スタスタ

女勇者「もうそろそろ会えるんですから、直接聞いて下さい」スタスタ

勇者「そんな事分かってるよ」ガチャ

剣士「あ、お久しぶりです」スタスタ

勇者「久しぶり」

女勇者「久しぶりですね」

剣士「突然で悪いんですが、部屋に来てもらえませんか?」

勇者「ここで話すんじゃないのか?」

剣士「はい、部屋で待ってる人もいるので」

女勇者「なら、早く行きましょうか」

勇者「そうだな」

剣士「こっちです」スタスタ

女勇者「誰なんでしょうか……」スタスタ

勇者「さあ、でもだいたい見当はついてるだろ……」スタスタ

女勇者「はい、だいたいなら」スタスタ

452: 2012/03/08(木) 21:58:19.25 ID:Q7PmXZZc0
剣士「ここです」ガチャ

勇者母「久しぶりね」

勇者「……久しぶり」

女勇者「お久しぶりです」

勇者「やっぱり俺達を呼んだのはあんただったのか」

剣士「やっぱり?」

勇者「俺と女勇者を呼んだ時点でだいたい見当はついてた」

勇者母「そうね……」

勇者「で、何の話?」

勇者母「まずは結婚おめでとう」

勇者「ありがとう」

勇者母「それで私にも招待状が来たんだけど、私も行ってもいいの?」

勇者「どういう事だ?」

勇者母「ほら、私はあなた達に嫌われてるでしょ、なら行かない方がいいのかなって……」

勇者「そんな事を聞くためにわざわざ呼んだのか?」

勇者母「ええ」

勇者「……」

勇者母「……」

453: 2012/03/08(木) 22:03:00.34 ID:Q7PmXZZc0
勇者「あのさ、まずあんたは来たいの、来たくないの?」

勇者母「私は行きたいわ、でも――――」

勇者「なら、来ればいいじゃん」

勇者母「いいの?」

勇者「俺もドラゴンもそんな事気にしないから」

勇者母「……ありがとう」

勇者「だいたい母親が結婚式に来るのは普通だろ」

女勇者「そうですね、普通は来るものです、許可なんて要りません」

勇者母「ありがとう……」

勇者「別に俺も女勇者もあんたの事嫌いじゃないからさ」

女勇者「そうですね、その自虐的な性格はそこまで好きではありませんが、別に嫌いではないです」

勇者母「でも私はあなた達を放っといて――――」

勇者「だからそう言う自虐的なのをやめろって言ってるの」

454: 2012/03/08(木) 22:04:35.71 ID:Q7PmXZZc0
勇者母「じゃあ、明日行くわね、ドラゴンさんにもよろしく言っておいて」

勇者「ああ、そうするよ」

勇者母「あと、これなんだけど、ドラゴンさんに渡してくれる?」スッ

勇者「……ネックレスをか?」

勇者母「私が使ってたものだけど、よかったら……」

勇者「喜ぶと思う、ありがとな」

勇者母「そう、うれしいわ」

勇者母「あと女勇者にも」スッ

女勇者「私は結婚してませんよ」

勇者母「いいのよ、こんなネックレスでよかったら」

勇者母「女の子なんだからアクセサリーの一つは持っておいた方がいいと思うの」

女勇者「ありがとうございます」

勇者「じゃあそろそろ帰るわ、剣士もちゃんと来いよ」スタスタ

剣士「あ、はい」

女勇者「では、また明日」スタスタ

勇者母「ええ、また明日」

勇者「母さん、明日絶対来いよ」

女勇者「はい、母さんが来てくれないと勇者の親族が妹だけになっちゃいますから」

勇者母「……ええ、そうするわ、絶対行くわね」

467: 2012/03/09(金) 21:43:41.02 ID:0uaZx17f0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


飯屋


勇者「飯屋で食事するのなんて初めてだな……」

女勇者「それはあなただけです」

勇者「そ、そうか……」

女勇者「なんで飯屋でそこまで緊張してるんですか」

勇者「だって酒場と全然感じが違うじゃん」

女勇者「……やっぱりあなたはいろいろな事を経験しておく必要があるようですね」

勇者「そうか、世間の黒い部分はだいたい経験したと思ってたんだけど」

女勇者「戦争終結に尽力した英雄とは思えない台詞ですね」

勇者「結果的に戦争を止めれただけであって、俺の目標は最初っからお前とドラゴンの救出だから」

女勇者「あなたは本当にバカですね」

勇者「何がだよ」

店の人「昼食セットです」コトッ

勇者「あ……どうも……」

女勇者「あ、ありがとうございます」

女勇者「まず、あんな少人数で敵の本拠地に突入すること自体バカ極まりないです」モグモグ

勇者「別に他の部隊も戦ってた訳だから、別に少数って訳でもないだろ」モグモグ

女勇者「何言ってるんですか、あの船に乗り込んだのはあなた達だけですよ」モグモグ

勇者「まあ、そうだけどさ」モグモグ

468: 2012/03/09(金) 21:45:01.32 ID:0uaZx17f0
女勇者「それにヒノキの棒で戦うなんてバカそのものです」モグモグ

勇者「ヒノキの棒なめてると痛い目みるぞ」モグモグ

女勇者「勝手に言ってて下さい」モグモグ

勇者「それにお前との戦いだけだぞ、ヒノキの棒使ったの」モグモグ

女勇者「……もしあの時私が正気に戻って無かったら氏んでたかもしれませんよ」モグモグ

勇者「そうだな、氏んでたかもしれない」モグモグ

女勇者「氏んでたかもしれないって……」

勇者「でも生きてるんだからいいだろ」

女勇者「そうですが……私はあなたの事が心配だから――――」

勇者「それにお前の事は信用してたし」

女勇者「……あなたは私が元に戻るという確信があったんですか?」

勇者「そりゃまあ、仲間だし」

女勇者「甘いですね、本当に甘いです」

勇者「何がだよ」

女勇者「あなたは仲間や知り合いや困った人にとことん甘いですね」

勇者「そうか?」

女勇者「そうです」

469: 2012/03/09(金) 21:47:01.26 ID:0uaZx17f0
女勇者「甘過ぎるといつか身を滅ぼしますよ」

勇者「……でもそんな事言われても俺は変える気は無いよ」

女勇者「そう言うと思ってました」

女勇者「それにあなたの生き方は嫌いではありませんよ」

勇者「お前だって甘いもんな」

女勇者「そうですね」

女勇者「まあ、ヒノキの棒で戦いを挑むのはやはりどうかと思いますがね」

勇者「泣いたくせに」

女勇者「だ、誰がですか!?」

勇者「いや、泣いただろお前」

女勇者「な、泣いてなどいません、あれはちょっと……」///

勇者「ちょっと?」ニヤニヤ

女勇者「黙りなさい!!」///

勇者「女勇者、声大きい」

女勇者「だいたいあれは仕方なかったと言いますか、なんと言いますか……」

勇者「わかったわかった」

女勇者「言っておきますがあれは悔し涙ですからね」

勇者「知ってるし、それ以外の涙だったら俺は対処出来ねぇよ」

470: 2012/03/09(金) 21:51:25.23 ID:0uaZx17f0
女勇者「……誰にも言わないで下さいね」

勇者「言わねぇよ」

女勇者「……ありがとうございます」

勇者「別にいいよ、あんときは俺だって下手したら泣いてたし」

女勇者「ドラゴンを助けた時も泣かなかったんですか?」

勇者「ああ、お前の時もドラゴンの時も、先に泣かれちゃったからさ」

女勇者「ドラゴンも泣いたんですか?」

勇者「いや、でも俺が泣いてたら一緒に泣いちゃってたと思う」

女勇者「じゃあ結局一回も泣かなかったんですか」

勇者「泣かなかった」

勇者「それに男の涙ってかっこ悪いだろ」

女勇者「古い考え方ですね」

勇者「誰が何と言おうと男の涙はかっこ悪い」

女勇者「……あの時、泣かせてくれてありがとうございます」

勇者「……」

女勇者「……」///

女勇者「い、行きましょうか、ドラゴンが待ってるんでしょう?」スタスタ

勇者「ああ、そうだな」スタスタ

471: 2012/03/09(金) 21:52:44.86 ID:0uaZx17f0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


勇者の家


勇者「ただいま」ガチャ

ドラゴン「おかえり」

勇者「これ、母さんがお前にだって」スッ

ドラゴン「ありがとう」

勇者「明日結婚式に来るからお礼言っとけ」

ドラゴン「ああ、わかった」

ドラゴン「勇者、似合うか?」

勇者「似合ってる似合ってる」

女勇者「……ドラゴン、少し来てもらえますか?」

ドラゴン「別にいいぞ」

女勇者「勇者は来ないで下さいね」

勇者「言われなくても行かねぇよ」

女勇者「こっちです」ガチャ

ドラゴン「ああ」スタスタ

472: 2012/03/09(金) 21:57:08.57 ID:0uaZx17f0
女勇者「出来ましたよ」スッ


それは銀色でのブレスレットだった。


ドラゴン「おお、凄いな」

女勇者「昨日届きました」

暗殺者「仕事が早いな」スタスタ

女勇者「武器職人が作ったんですから当たり前です」

暗殺者「俺がそんなガラクタ作る訳無いだろ、ってあんなに文句言ってたのに結局作ってくれたんだもんな」

女勇者「素直じゃないんですよ」

暗殺者「まったくだ」

女勇者「ドラゴン、あなたが持っておいて下さいね」

ドラゴン「ああ、明日渡せばいいんだよな」

女勇者「はい、その通りです」

暗殺者「やっぱり綺麗だな」

ドラゴン「綺麗じゃなきゃ困るだろ」

暗殺者「……まあ、そりゃそうか」

ドラゴン「喜ぶといいな」

暗殺者「お前からのプレゼントなら喜ぶだろ」

ドラゴン「オレからじゃなくて、オレ達からだ」

女勇者「……ふふっ、そうですね」

暗殺者「ああ、喜んでくれるだろ」

473: 2012/03/09(金) 22:00:06.27 ID:0uaZx17f0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


次の日   教会


暗殺者「……結局刀は持ったままかよ」

勇者「うるせぇ、お前がその方がいいって言ったんだろ」

暗殺者「うん、まあ、いいんじゃない?」

女勇者「どうするか分かってますか?」

勇者「知ってるよ」

女勇者「なら安心です」

勇者「で、ドラゴンは何処だ?」

女勇者「今いる訳ないじゃないですか……」

勇者「わ、わかってる!!」

女勇者「絶対分かってなかったでしょ」

女勇者「では私は仕事があるので」スタスタ

勇者「もう始まるぞ」

女勇者「そんな事わかってます、バカなんですか?」

勇者「……」

暗殺者「そろそろ始まるぞ、勇者」ニヤニヤ

勇者「わかってるよ!!」

474: 2012/03/09(金) 22:02:30.70 ID:0uaZx17f0
勇者「……ここで待ってればいいんだよな」

暗殺者「間違っても、刀振り回したりすんなよ」

勇者「俺は何処の野蛮人だ」

イケメン「君ならやりかねないだろ」

勇者「……なんでお前いるの、呼んでないんだけど」

イケメン「弟の結婚式に来るのは普通の事だろ?」

勇者「黙れ、そして帰れ」

イケメン「嫌だね」

勇者「……」

勇者「それより神父は何処だ?」

女大臣「私です」

勇者「お前かよ!!」

女大臣「結婚費用を浮かせるためです」

勇者「あ、そうなんだ……」

ガチャ

女勇者「……」スタスタ

ドラゴン「……」スタスタ

勇者「なんであいつがエスコートしてるの?」ヒソヒソ

475: 2012/03/09(金) 22:04:31.92 ID:0uaZx17f0
暗殺者「あいつが一番向いてるだろ」ヒソヒソ

勇者「まあ、そうか……」ヒソヒソ

暗殺者「いいからドラゴン迎えに行け」ヒソヒソ

勇者「あ、ああ」スタスタ


勇者はドラゴンをエスコートしていく。


金髪「勇者さん……やっぱりかっこいいっす!!」

黒スライム「それしか言う事が無いのか……」

スライム「綺麗ですね」

弓兵「幸せな奴を見るのはやっぱりいいもんだな」

師匠「そうですね、若い人は輝いてるくらいが丁度いいです」

剣士「勇者さん……」

勇者母「二人とも凄くいいわね……」

王「うむ、いい顔つきじゃ」

女大臣「勇者様、あなたはこれからドラゴンを守っていくと誓いますか?」

勇者「誓います」

女大臣「ドラゴン様、あなたはこれから勇者様を支えていくと誓いますか?」

476: 2012/03/09(金) 22:07:36.13 ID:0uaZx17f0
ドラゴン「ああ、誓う」

女大臣「そうですか」ニッコリ

女大臣「では勇者様、指輪を出して下さい」

勇者「ドラゴン、これ」

ドラゴン「竜の指輪……どうしたんだ、これ!?」

勇者「竜王様からもらったペアリングだ」

勇者「お前のはこっち」スッ

ドラゴン「ありがとう……」

勇者「お礼は竜王様に言ってくれ」

ドラゴン「分かってる、ただ貴様にも言っておきたかっただけだ」


勇者とドラゴンは互いの指に指輪をはめる。


女大臣「では、誓いのキスを」

ドラゴン「いつもの感じでいい」

勇者「言われなくても分かってるよ」


勇者はドラゴンと唇を重ねる。


暗殺者「いいじゃん」ニヤニヤ

イケメン「いいものだね」

女勇者「ドラゴン、綺麗ですよ」

弓兵「いいぞ、二人とも」

金髪「かっこいいっす!!」

勇者「うるせぇ!!」

477: 2012/03/09(金) 22:17:47.56 ID:0uaZx17f0
今日はここまでです。

>>459 俺としては別に書いてもらって全然構わないんですが、やっぱりそれぞれイメージを持っているので、もし描くなら>>463さんの言うようにピクシブか何かに上げてもらい、タグにスレタイを入れといてください。荒れる原因にならない様にスレにURLは絶対に張らないでください。

もし見たい人がいるのなら自分で検索して見るようにしてください。(自己責任でお願いします)

あとキャラクターの身体的特徴や年齢はある程度書いてあるので、そこは守ってください。



ドラゴン ・巨O ・赤髪 ・むちむち

女勇者  ・貧O ・ペチャパイ ・Aカップ

暗殺者  ・中性的 ・ナイフ 

頃し屋  ・茶髪  ・鉈

などです。 

487: 2012/03/10(土) 21:52:43.52 ID:k08+jXe+0
~~~~~~~~~~~~~~~~~





勇者「……で、結局宴会かよ」

女勇者「未成年もいるのでみんな酒やビールは飲んでいませんよ」

勇者「当然だろ」

女勇者「はい」

ドラゴン「……勇者、これ」スッ

勇者「ん?」

ドラゴン「オレと女勇者と暗殺者からだ」

勇者「……いいの?」

ドラゴン「だからお前へのプレゼントだ」

勇者「……ありがとう」

ドラゴン「気にいったか?」

勇者「ありがとう……本当にありがとう」

暗殺者「喜んでもらえてよかったな」

ドラゴン「ああ」


勇者はブレスレットを腕につける。


勇者「似合うか?」

ドラゴン「似合ってるぞ」

488: 2012/03/10(土) 21:54:36.74 ID:k08+jXe+0
女勇者「……少し行ってきますね」

勇者「え、何処に?」

女勇者「チョコレートケーキがあるみたいなので」スタスタ

勇者「お菓子かよ!!」

女勇者「当たり前です」スタスタ

暗殺者「俺もちょっと見に行ってみるかな」スタスタ

勇者「勝手に食いに行ってこい」

暗殺者「最初っからそのつもりだ」スタスタ

弓兵「結婚おめでとう」スタスタ

勇者「弓兵、ありがとう」

弓兵「それにしても、若いうちに結婚ってのもいいもんだな」

勇者「弓兵はまだ結婚してなかったんだっけ?」

弓兵「まあな、ハンターの仕事の方を優先し過ぎてたからな、仕方ない」

勇者「そのうちいい人が見つかるだろ」

弓兵「気長に探すさ」

勇者「そうしろ」

弓兵「そうさせてもらうよ、お前より綺麗な嫁さんもらってやるさ」

勇者「よほどの美人じゃないとドラゴンには勝てないと思うぞ」

弓兵「あははははは、偉そうに」

勇者「早く結婚しろよ、おっさん」

弓兵「あはは、ガキが偉そうな事言うなよ」スタスタ

489: 2012/03/10(土) 21:57:05.16 ID:k08+jXe+0
勇者母「二人とも、とっても素敵よ」

勇者「ありがとう」

ドラゴン「ネックレス、ありがとな」

勇者母「いいのよ、とっても似合ってるわ」

ドラゴン「貴様も凄く綺麗だぞ」

勇者母「ありがとう」

勇者「あのさ……」

勇者母「?」

勇者「来てくれてありがとな、母さん」

勇者母「……いいのよ、息子の結婚式に来ない親なんていないわ」

勇者「……そうかもな」

剣士「勇者さん、おめでとうございます」

勇者「ああ、ありがとう」

490: 2012/03/10(土) 21:58:32.81 ID:k08+jXe+0
剣士「……ところで、なんで腰に刀さしてるんですか?」

勇者「あ、それは……なんとなくだ」

剣士「その方が勇者さんらしいです」

勇者「ありがとな」

剣士「いえいえ」

イケメン「改めておめでとう」スタスタ

勇者「ああ、ありがとう」

イケメン「僕も世界を旅したりいろいろな経験をしていろんな正義を見てきた」

イケメン「僕の考え方だけが正義じゃないと言う事もわかったよ」

勇者「そりゃ良かった」

イケメン「だが、僕は僕の正義を貫くよ」

勇者「勝手にしろ、ただもしそれで俺の知り合いや仲間を斬る気ならお前を頃す」

イケメン「そうなったら僕も本気で君を頃す」

勇者・イケメン「……」

イケメン「じゃあまた今度会おう」スタスタ

勇者「……」

剣士「ほ、本気ですか!?」

勇者「本気だよ、俺もあいつも」

491: 2012/03/10(土) 21:59:28.06 ID:k08+jXe+0
勇者母「行くわよ、剣士」スタスタ

剣士「あ、はい、じゃあまた今度」スタスタ

勇者「また今度」

女大臣「おめでとうございます」

王「おめでとう」

勇者「ありがとう」

王「勇者、この城で兵士として働く気はないか?」

勇者「……突然何?」

女大臣「勇者様の強さを見込んでの頼み事です」

勇者「……別にいいよ」

王「では、よろしく頼むぞ」スタスタ

勇者「はいはい」

女大臣「また後日詳しい話をしますので」スタスタ

勇者「了解」

ドラゴン「……」

勇者「暇そうだな」

ドラゴン「オレとしてはこういう堅苦しいのは苦手かな」

勇者「まあ、あとちょっとだ、我慢してくれ」

ドラゴン「ああ」

492: 2012/03/10(土) 22:00:47.57 ID:k08+jXe+0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 
夜    勇者の家


勇者「終わった……」

ドラゴン「もうダメだ……動けん……」

勇者「結婚式って大変なんだな」

ドラゴン「疲れた……」

勇者「うん、分かってる」

頃し屋「お二人さん、元気?」ピョンッ

ドラゴン「な、なんだ!?」

勇者「何の用だ」

頃し屋「そう怖い顔しないでよ、結婚するって聞いたから来たんだよ」

頃し屋「二人ともおめでとう」

勇者・ドラゴン「あ、ありがとう」

頃し屋「うんうん、お似合いに二人だ」

勇者「本当にそれだけか?」

493: 2012/03/10(土) 22:01:55.85 ID:k08+jXe+0
頃し屋「それだけだよ、二人とも幸せにね」

頃し屋「また遊びに来るね」

勇者「……なんだったんだ、あいつ」

ドラゴン「本当にあれだけの為に来たんだな」

勇者「意味わかんねぇな」

ドラゴン「最初っからあんな感じだっただろ」

女勇者「勇者、ドラゴン、お客さんです」

勇者「俺達にか?」

女勇者「はい」

魔王「久しぶりだな」スタスタ

勇者「ま、魔王!?」

ドラゴン「おお、久しぶりだな」

勇者「いや、なんでここに!?」

魔王「結婚すると剣士から聞いてな」

魔王「おめでとう」

勇者・ドラゴン「ありがとう」

魔王「では、そろそろ行くかな」

494: 2012/03/10(土) 22:03:46.39 ID:k08+jXe+0
勇者「もう行くのか?」

魔王「もう少し話がしたいが、兵士共に見つかると厄介だからな、また今度来てくれ、話したい事もあるし」スタスタ

勇者「ああ、また今度行くよ」

女勇者「……どうでしたか?」

勇者「結婚式か?」

女勇者「はい」

勇者「普通に良かったよ、楽しかったし、久々にいろんな奴に会えたし」

ドラゴン「ちょっと疲れたが楽しかったな」

女勇者「楽しんでもらえてよかったです」

勇者「女勇者は楽しめたか?」

女勇者「はい、チョコレートケーキも食べられましたし」

勇者「そこかよ……」

女勇者「はい」

ドラゴン「……これでオレと貴様は正真正銘の夫婦だな」

勇者「そうだな」

女勇者「……」

495: 2012/03/10(土) 22:04:46.27 ID:k08+jXe+0
勇者「女勇者……」

女勇者「なんですか?」

勇者「あのさ……出て行こうなんて考えなくていいからな」

女勇者「……え?」

勇者「だから俺達が結婚するからって別に出ていかなくていいからな」

女勇者「……元からそのつもりです」

女勇者「嫁に行くまではここに居座りますからね」

勇者「……なら氏ぬまでここにいる訳か」

女勇者「ふふっ、それでもいいですか?」

勇者「勝手にしろ」

勇者「暗殺者にもそう言っとけ」

女勇者「暗殺者だって嫁に行くまではここに居座りますから安心しなさい」

勇者「なら安心だ」

女勇者「出来の悪い弟が心配ですから」

勇者「誰がだ」

女勇者「あなた以外いないでしょう」

ドラゴン「オレも女勇者も暗殺者もみんな家族だからな」

女勇者「そうですね」

勇者「俺は?」

ドラゴン「お前は夫だ」

496: 2012/03/10(土) 22:05:20.67 ID:k08+jXe+0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~


勇者の部屋


ドラゴン「夫婦になってから初めての夜だな」

勇者「言っても何も変わんねぇけどな」

ドラゴン「気持ちの問題だ、気持ちの」

勇者「気持ちの問題って言われても……」

ドラゴン「なんかこう、無いのか?」

勇者「と言うと?」

ドラゴン「なんかこう……夫婦がする様な事は」

勇者「俺が知ってる訳ねぇだろ」

ドラゴン「わかった、ならキスしてくれ」

勇者「なんでそうなる!!」

ドラゴン「別にいいだろ、減るもんじゃないし」

勇者「結婚式の時したじゃん」

ドラゴン「あれはあれだろ」

497: 2012/03/10(土) 22:06:15.82 ID:k08+jXe+0
勇者「……どうしてもか?」

ドラゴン「どうしてもだ」

勇者「……今?」

ドラゴン「今すぐだ」

勇者「……」


勇者はドラゴンの頬にキスをする。


勇者「はい、キスしたよ」ゴロン

ドラゴン「待て!!」

勇者「何?」

ドラゴン「口じゃないのか!?」

勇者「一日に二回も口にキスは出来ません、恥ずかしくて」

ドラゴン「……恥ずかしがり屋め!!」


ドラゴンは勇者の布団に潜り込む。


勇者とドラゴンの結婚 END

498: 2012/03/10(土) 22:07:20.78 ID:k08+jXe+0
勇者とドラゴンの結婚は今日で終わりです。

明日は諸事情で書けないので、明後日からは女勇者のとある一日です。

506: 2012/03/12(月) 21:49:20.58 ID:oWmOuIKs0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~


とある日の朝  女勇者の部屋


女勇者「……」ボー

女勇者「朝……ですか……」スタスタ

女勇者「……」ガチャ

女勇者「朝食を作らないといけませんね」ガサゴソ


女勇者は卵入れから卵を取り出し、目玉焼きを作り始める。


女勇者「……」

暗殺者「おはよう」スタスタ

女勇者「おはようございます、朝食は要りますか?」

暗殺者「うーん、軽めのものってあるか?」

女勇者「待って下さいね……」ガサゴソ

女勇者「リンゴでいいですか?」スッ

暗殺者「ああ、悪いな」

女勇者「仕事ですか?」

508: 2012/03/12(月) 21:51:05.88 ID:oWmOuIKs0
暗殺者「ああ、夜には帰ってくると思う」

女勇者「夕飯はいりますか?」

暗殺者「いい、何時に帰ってこれるかちょっと分からん」

女勇者「分かりました」

暗殺者「なら行ってくる」ガチャ

女勇者「行ってらっしゃい」

女勇者(次は誰が起きてくるんでしょうか)


女勇者は作った目玉焼きを皿の上に乗せる。


妹「おはようお姉ちゃん!!」タタタッ

女勇者「おはようございます」

妹「今日は目玉焼き?」

女勇者「はい、目玉焼きです」

妹「今日は私何番?」

女勇者「二番目です、残念でしたね」

妹「え、じゃあ一番は?」

510: 2012/03/12(月) 21:53:53.34 ID:oWmOuIKs0
女勇者「暗殺者です、もう仕事に出て行きましたよ」

妹「いつ?」

女勇者「今さっきです」

妹「く、悔しい!!」

女勇者「また明日頑張ればいいじゃないですか」

妹「う、うん……」

勇者「おはよう」

女勇者「おはようございます」

勇者「今日は目玉焼きか……いつも悪いな」

女勇者「私が好きでやってますから別にいいですよ」

勇者「じゃあ、いただきます」モグモグ

女勇者「今日はずいぶんと早いですね」

勇者「兵士の仕事があるからな」モグモグ

女勇者「そうですか、頑張ってください」

勇者「ああ、まあほどほどに頑張ってくる」

勇者「じゃあ、行ってくるわ」ガチャ

妹「行ってらっしゃい」

勇者「夕方くらいに帰ってくると思うから」スタスタ

女勇者「分かりました」

511: 2012/03/12(月) 21:55:59.13 ID:oWmOuIKs0
女勇者「……さて、今日はどうしましょうか」

妹「何して遊ぶの?」

女勇者「いえ、別に遊ぶ訳ではありませんよ」

ドラゴン「おはよう……」ガチャ

女勇者「おはようございます」

ドラゴン「ん、俺が最後か」

女勇者「はい、そうです」

ドラゴン「やはり朝は苦手だな」

女勇者「仕方ないですよ」

ドラゴン「女勇者は今日出掛けるのか?」

女勇者「はい、ちょっと買い出しに」

女勇者「二人も行きますか?」

妹・ドラゴン「行く!!」

女勇者「なら三人で行きましょうか」

妹「うん」

ドラゴン「そうするか」

512: 2012/03/12(月) 21:56:59.18 ID:oWmOuIKs0
ドラゴン「……なあ女勇者、飯あるか?」

女勇者「ありますよ」

ドラゴン「いつも悪いな」モグモグ

女勇者「……まずあなたは自分でもっと料理が作るようになった方がいいですね」

ドラゴン「そうか?」モグモグ

女勇者「子供が出来て母親が料理を作れなかったら困るでしょ」

ドラゴン「勇者じゃダメなのか?」モグモグ

女勇者「勇者はもう料理を作れます、問題はあなたが肉を焼くしか出来ない事です」

ドラゴン「やっぱりそれだけじゃダメか?」モグモグ

女勇者「せめて包丁くらいは使えるようにしてください」

妹「私も料理したい!!」

女勇者「……そうですね、あなたもそろそろ料理の作り方を覚えた方がいいかもしれませんね」

女勇者「では今日の夕食は三人で作りますよ」

ドラゴン「えー」

女勇者「えー、じゃないです」

513: 2012/03/12(月) 22:00:50.74 ID:oWmOuIKs0
~~~~~~~~~~~~~~~~~


町中


妹「何買うの?」

女勇者「今の所は決まって無いです」

ドラゴン「それにしても人が多いな」

女勇者「町中なんてこんなもんですよ」

ドラゴン「人が多いのは苦手なんだがな……」

女勇者「これくらいは慣れてもらわないと困ります」

ドラゴン「頑張ってみる」

おばさん「おや、あんた勇者と結婚した人じゃないかい!!」

ドラゴン「誰だ?」

おばさん「勇者の知り合いだよ」

おばさん「それにしても近くで見ても綺麗な人だね、勇者には勿体ないくらい」

ドラゴン「勇者以上の男なんて、いないだろ」

おばさん「あはは、若い夫婦はそうでなくちゃね」

女勇者「なんで勇者が結婚した事を知ってるんですか?」

おばさん「私達の情報量をなめて持っちゃ困るよ」

おばさん「で、あんたも勇者の友達かい?」

女勇者「いえ、勇者の姉です」

おばさん「……ああ、勇者のお母さんの子供ってことね」

514: 2012/03/12(月) 22:02:04.30 ID:oWmOuIKs0
女勇者「ええ、まあそんな感じです」

おばさん「買い出しかい?」

女勇者「はい、買い出しです」

おばさん「まだ若いのに偉いのね」

女勇者「いつもの事ですから」

おばさん「私の息子にも見習わせたいわ」

女勇者「私はそんな大層な人間ではありませんよ」

おばさん「何言ってるの、あんたは立派だよ」

女勇者「え、いえ……」

妹「お姉ちゃんどうしたの?」

ドラゴン「褒められ慣れてないから、どう反応していいか困ってるんだ」

女勇者「ドラゴン、うるさいですよ」

ドラゴン「すまんな」

おばさん「……あ、もうこんな時間だね、あんた達も早くしないと売り切れちゃうよ」

女勇者「そうですね」

女勇者「ドラゴン、妹、行きますよ」スタスタ

ドラゴン「ああ」スタスタ

妹「うん」スタスタ

515: 2012/03/12(月) 22:04:27.61 ID:oWmOuIKs0
女勇者「今日の目標は値切りですからね」スタスタ

ドラゴン「……値切り?」

女勇者「はい、私もほとんどやった事が無いんですが、物を買うお金をまけてもらうんです」

ドラゴン「どうやって?」

女勇者「話術です」

ドラゴン「剣は使わないのか?」

女勇者「使う訳ないじゃないですか!!」

妹「ねえ、なんで値切りなんてするの?」

女勇者「……勇者に値切りを覚えた方がいいと言われたからです」

ドラゴン「そんな理由か」

女勇者「私も値切りを覚えようと思ってましたし、丁度いいので今日値切りの練習をします」

妹「頑張ってね」

女勇者「はい、頑張ります」

ドラゴン「出来るのか?」

女勇者「……やってみないとわからないですね」

妹「お兄ちゃんなら値切るの得意だよ」

女勇者「勇者はいい意味でも悪い意味でも話術が達者ですからね」

妹「でも、お兄ちゃんがお姉ちゃんは口が悪いって褒めてたよ」

女勇者「それは褒めていませんし、あなたにだけは言われたくない!!」

ドラゴン「落ち付け、勇者はここにはいないぞ」

女勇者「と、とにかく、値切って勇者を驚かせますよ」

ドラゴン・妹「おー!!」

522: 2012/03/13(火) 21:43:40.87 ID:H0QGYdTx0
女勇者「では早速行きますよ」スタスタ

ドラゴン・妹「おー!!」スタスタ

女勇者「掛け声はもういいですから」スタスタ

ドラゴン「……で、まずは何を買うんだ?」スタスタ

女勇者「まずは野菜です」スタスタ

女勇者「こんにちは」

おじさん「いらっしゃい」

女勇者「これとこれとこれとこれ、もらえますか」

おじさん「はいよ」

おじさん「200ゴールドね」

女勇者「あの、その……まま、まけてもらえませんか?」

おじさん「……ん?」

女勇者「少しだけまけてもらえませんか?」

おじさん「……」

女勇者「……」

ドラゴン「女勇者、多分それじゃダメだと思うぞ」

妹「うん、私もそう思う」

女勇者「……」

おじさん「……まけてもらいたい時はな、もう少しさりげなく言った方がいいと思うぞ」

523: 2012/03/13(火) 21:47:48.81 ID:H0QGYdTx0
女勇者「さ、さりげなく、ですか……」

おじさん「例えば今日は結構遠くからここまで買い物に来たんですよ、とか」

ドラゴン「でも遠くからなんて来てないぞ」

おじさん「別にそれだけじゃない、他の事言えばいいだけだ」

ドラゴン「……お祝いとかか?」

女勇者「多分……」

おじさん「そう言うの、そう言うのをさりげなく会話に混ぜるとまけてくれるかもしれない」

女勇者「そ、そうですか、ありがとうございます」

おじさん「とりあえず170ゴールドでいいよ、頑張れ」

女勇者「ありがとうございます」チャリン

おじさん「女の武器も使えばうまくいくと思うぞ」

おじさん「特に女の武器は良く効くからな」

女勇者「はい、ありがとうございます」スタスタ

女勇者「行きますよ」スタスタ

ドラゴン「……まけてもらえてな」スタスタ

女勇者「あれをまけてもらったと言っていいのでしょうか……」スタスタ

妹「ちょっと違うと思う」スタスタ

女勇者「……次こそしっかりまけてもらいます」スタスタ

ドラゴン「次は肉か?」スタスタ

524: 2012/03/13(火) 21:49:36.36 ID:H0QGYdTx0
女勇者「はい、次は肉ですね」

ドラゴン「所で女の武器って何だ、剣か?」

女勇者「女の武器は胸とか涙とかかわいさとか、ですかね……」

妹「じゃあお姉ちゃんの武器は涙とかわいさだね」

女勇者「……(悪気はない、悪気は無いんです……)」スタスタ

ドラゴン「つまり色仕掛けって事か」スタスタ

女勇者「女の武器は分からないのに色仕掛けは分かるんですね」スタスタ

ドラゴン「ああ」スタスタ

男「いらっしゃい」

女勇者「これもらえますか?」

男「はいよ、160ゴールドね」

ドラゴン「女勇者、色仕掛けだ」ヒソヒソ

女勇者「い、今ですか!?」ヒソヒソ

ドラゴン「他にいつやるんだ?」ヒソヒソ

女勇者「ならドラゴンの方がいいじゃないですか」ヒソヒソ

ドラゴン「オレじゃあ無理だ、よくわからん」ヒソヒソ

女勇者「私ですか……」ヒソヒソ

妹「頑張って!!」

525: 2012/03/13(火) 21:50:49.12 ID:H0QGYdTx0
女勇者「……」


女勇者は前かがみになり、胸を強調する姿勢をする。


女勇者「ま、まけてほしいな~、て、てへっ☆」

男「……」

女勇者「……」

女勇者「だからやりたくなかったんですよ!!」

ドラゴン「そうか、普通に良かったと思うぞ」

妹「お姉ちゃんかわいい!!」

女勇者「うう……」

男「そ、そんなにまけてほしいなら140ゴールドでいいよ」

女勇者「あ、ありがとうございます」チャリン

女勇者「……」スタスタ

ドラゴン「やったな女勇者!!」スタスタ

女勇者「何もやってません……」スタスタ

妹「お姉ちゃんかわいかったよ」スタスタ

527: 2012/03/13(火) 21:52:30.33 ID:H0QGYdTx0
女勇者「喜んでいいんでしょうか……」スタスタ

ドラゴン「褒められてるんだし、喜べばいいだろ」スタスタ

女勇者「……まったく喜べないです」スタスタ

妹「これからどうするの?」スタスタ

女勇者「一回家に帰ります」スタスタ

妹「何するの?」スタスタ

女勇者「荷物を置きに行くだけです」スタスタ

妹「そうなんだ、てへっ☆」

女勇者「お願いだからそれをもう二度とやらないで下さい」

妹「なんで、かわいいのに……」

女勇者「……私もう二十歳超えてるんですよ」

ドラゴン「知ってるぞ」

女勇者「なのに、てへっ、って……」

ドラゴン「でもかわいかったのは事実だぞ」

女勇者「もうやめて下さい……」

528: 2012/03/13(火) 21:54:00.67 ID:H0QGYdTx0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


勇者の家


女勇者「疲れましたね……」

ドラゴン「そうか?」

女勇者「精神的に……」

妹「楽しかったね」

ドラゴン「そうだな」

女勇者「良かったですね」

妹「……ねえ、なんでお姉ちゃんはいっつも鎧なの?」

女勇者「別に理由はありませんが、何でですか?」

妹「他の子がお姉ちゃん見てみたいって言ってたから」

女勇者「他の子?」

妹「私の友達、お姉ちゃん達の事話したら会いたいって言ってたの」

女勇者「私にですか?」

妹「あとドラゴンのお姉ちゃんと暗殺者のお姉ちゃんとお兄ちゃん」

女勇者「……つまりみんなと言う事ですか」

529: 2012/03/13(火) 21:54:54.86 ID:H0QGYdTx0
妹「だから綺麗な格好して会ってほしいかなって……」

女勇者「綺麗な格好、難しいですね……」

ドラゴン「スカートとかはいてみたらどうだ?」

女勇者「スカートですか……」

妹「似合うんじゃないかな」

ドラゴン「一回はいてみたらどうだ?」

女勇者「上はどうするんですか?」

ドラゴン「布の服でいいだろ」

女勇者「……一回はいてみます」ガチャ

ドラゴン「女勇者は綺麗だから何でも似合うと思うんだけどな」

妹「うん、自慢のお姉ちゃん」

女勇者「ど、どうですか?」ガチャ


そこには布の服に膝くらいまでのスカートをはいた女勇者が立っていた。


ドラゴン「うん、似合ってるぞ」

妹「うん、凄くかわいい」

女勇者「そ、そうですか?」

531: 2012/03/13(火) 21:55:58.89 ID:H0QGYdTx0
妹「うん」

ドラゴン「それならてへっ、って言っても変じゃないぞ」

女勇者「もう言いませんから」

コンコン

ドラゴン「こんな時間に客?」

妹「もしかしたら少女ちゃん達かも」

女勇者「……友達ですか」

妹「うん」ガチャ

少女「妹ちゃん、今日遊べる?」

妹「いい?」

女勇者「別にいいですよ」

少年「こんちわー」スタスタ

少女「こんにちは」スタスタ

女勇者「ゆっくりしていってください」

妹「これが前言ってたお姉ちゃんとドラゴンのお姉ちゃん」

ドラゴン「ドラゴンだ、よろしく」

女勇者「女勇者です、よろしくお願いします」

532: 2012/03/13(火) 21:56:56.77 ID:H0QGYdTx0
少女「本当に綺麗なお姉さんだ……」

妹「ね、言った通りでしょ」

少年「まあ、普通かな」

少女「少年、失礼でしょ!!」

少年「思った事を言っただけだろ」

女勇者「ドラゴン、言っておきますがくれぐれも感情に身を任せて行動しない様に」

ドラゴン「分かってるよ、オレだってそれほどガキじゃない」

女勇者「では、私はちょっと」スタスタ

少年「……」

ドラゴン「どうしたんだ?」

女勇者「お客が来ているのに何も出さないのは悪いでしょう」

少年「隙あり!!」


少年は女勇者のスカートをめくる。


女勇者「きゃっ!!」

少女「少年!!」

少年「ははは!!」タタタッ

女勇者「この――――!!」

ドラゴン「女勇者、落ち付け」

女勇者「わ、わかってます」

543: 2012/03/14(水) 21:54:55.05 ID:HulXmm4z0
少女「ごめんなさい」

女勇者「いいんですよ、子供のする事ですから」

ドラゴン「落ち付け、落ち付け」

女勇者「もう落ち着いてますから」

ドラゴン「本当に大丈夫か?」

女勇者「私だってあんな事で怒るほど子供じゃありません」

少年「ピンク色だったな」

女勇者「叩き斬りますよ!!」

ドラゴン「だから落ち付け」

女勇者「……も、もう大丈夫です」

妹「私達がちゃんと怒っておくから」

女勇者「……お願いします」

少女「ご、ごめんなさい」

女勇者「あなたが謝る事じゃありませんから」

女勇者「これ、お菓子です」スッ

少女「ありがとうございます」

妹「ありがとう」

544: 2012/03/14(水) 21:58:30.46 ID:HulXmm4z0
ドラゴン「うまそうだな」

女勇者「あなたの場合何でもうまそうじゃないですか」

ドラゴン「まあ、そう言われればそうだな」

少年「……姉妹なのに全然似てないな」

女勇者「私とドラゴンの事ですか?」

少年「あと妹も」

ドラゴン「オレは女勇者達と血は繋がってないからな」

少女「そうなんですか?」

ドラゴン「オレが勇者と結婚したから姉妹なだけで、血は繋がってない」

少年「ふーん」

少女「……でもお姉ちゃんがいるっていいよね、二人とも綺麗だし」

女勇者「そこまでではないですよ」

少年「……暇だなー」

少女「少年!!」

女勇者「ベットと棚のさえ触らなければ自由に見て回っていいですよ」

545: 2012/03/14(水) 22:00:35.79 ID:HulXmm4z0
少年「じゃあ見にいってくる」スタスタ

少女「たく……」

妹「別にいいよ、少年って話してるの苦手だし」

女勇者「男ではよくある事です」

妹「そうなの?」

女勇者「そうです」

ドラゴン「勇者もか?」

女勇者「ええ、人を罵倒している時とドラゴンと会話している時は別ですが」

ドラゴン「人をバカにしてる時の勇者は楽しそうだからな……」

女勇者「少女には姉妹はいないんですか?」

少女「私一人っ子ですから」

少女「別に姉妹がほしい訳じゃないけど、たまにお姉ちゃんとかがいても良かったかなって思うんです」

女勇者「そうですか」

ドラゴン「姉妹か……」

女勇者「ドラゴンにも姉妹はいなかったんですよね?」

ドラゴン「まあな、基本的に生まれてからは一人で生きて来た」

少女「大変だったんですね」

ドラゴン「それほどじゃない、あははははは!!」

女勇者「まったく笑う意味がわかりません……」

少年「……なあ、そろそろ帰った方がいいんじゃないか?」スタスタ

少女「あ、もうこんな時間だ」

546: 2012/03/14(水) 22:02:25.65 ID:HulXmm4z0
女勇者「もう夕方ですか、やっぱり春とはいえ日が落ちるのが早いですね」

少女「ありがとうございました」

女勇者「いえいえ」

妹「また今度ね」

少女「うん、また今度」

少年「隙あり!!」


少年はまた女勇者のスカートをめくる。


女勇者「あなたは……!!」

少年「じゃあな!!」タタタッ

少女「ま、待ちなさい!!」タタタッ

ドラゴン「……本当にピンクなんだな」

女勇者「悪かったですね……」

ドラゴン「別に悪いなんて言ってないだろ」

勇者「ただいま、何今の子?」ガチャ

ドラゴン「女勇者のスカートをめくったんだ、ちなみに色はピンクだ」

547: 2012/03/14(水) 22:04:24.37 ID:HulXmm4z0
勇者「……やっぱり乙女――――」


勇者がその言葉を言い終わる前に女勇者の拳が勇者の顔面をとらえる。


勇者「確かに俺が悪かったかもしれないけど、それはねぇよ……」

女勇者「うるさいです」

勇者「……つーか、珍しい格好だな、スカートなんて」

女勇者「ただの気分ですよ」

勇者「あ、そう」

ドラゴン「勇者も綺麗だと思うよな?」

勇者「ああ、外見は凄く綺麗だ」

女勇者「勇者、左腕にお別れを言いなさい」

勇者「冗談で腕一本もっていこうとするんじゃねぇ!!」

女勇者「私だって冗談です」

勇者「目が笑ってねぇんだよ」

勇者「……ああ、あと、これお土産」スッ

女勇者「なんですか、これ?」

勇者「肉の切れ端、店で売れないし、食べ切れないから持ってってくれって、肉屋のおっさんが言ってた」

女勇者「そ、そうですか」

548: 2012/03/14(水) 22:05:48.05 ID:HulXmm4z0
ドラゴン「じゃあ今日は肉ばっかりか!?」

女勇者「そんな訳ないでしょう、ちゃんと野菜もありますよ」

勇者「……あと、全然関係ないけど、変わった客が来たらしいぞ」

ドラゴン「変わった客?」

勇者「なんでも、まけてほしいな~、てへっ☆、とか言ってきたんだってさ」

女勇者「……」

勇者「ん、どうした?」

妹「それお姉ちゃん」

勇者「……え、本当?」

女勇者「はい……」

勇者「……」

女勇者「……」

妹「かわいかったよ」

勇者「……もう一回言って――――」

女勇者「怒りますよ」

勇者「ですよね……」

ドラゴン「オレが代わりに言ってやってやろうか?」

550: 2012/03/14(水) 22:07:56.15 ID:HulXmm4z0
女勇者「これ以上その話をするなら二人とも斬り捨てますよ」

勇者・ドラゴン「了解」

女勇者「はあ……夕飯にしますよ」

勇者「夕飯は?」

女勇者「サラダと肉、いつも通りです」

勇者「そうか」

ドラゴン「飯だ、飯!!」

女勇者「あなたも作るんですよ」

ドラゴン「……本当か?」

女勇者「本当です」

ドラゴン「どうして――――」

女勇者「どうしてもです」

勇者「まあ、料理くらい作れるようにした方がいいからな」

女勇者「決定ですね」

女勇者「……では作りますよ」ガチャ

ドラゴン「はいはい」スタスタ

妹「はーい」

551: 2012/03/14(水) 22:09:46.47 ID:HulXmm4z0
女勇者「では、ドラゴンはまず大根を切ってもらえますか?」

ドラゴン「ああ」


ドラゴンは包丁を勢いよく振り下ろす。


女勇者「な、何やってるんですか!!」

ドラゴン「大根切ってるだけだ」

女勇者「野菜はこうやって切るんです」トントン

ドラゴン「おお、凄いな!!」

妹「私は?」

女勇者「……妹は野菜を洗って下さい」

妹「はーい」

ドラゴン「あ……」

女勇者「どうしました?」

ドラゴン「包丁が指に当たっただけだ?」

女勇者「だ、大丈夫ですか!?」

ドラゴン「ああ、ただ包丁が欠けたんだが……」

女勇者「……頑丈なんですね」

ドラゴン「まあ、ドラゴンだからな」

552: 2012/03/14(水) 22:11:35.99 ID:HulXmm4z0
~~~~~~~~~~~~~~~~


一時間後


女勇者「……何とか出来あがりましたね」

ドラゴン「ああ」

女勇者「やっぱり毎日作った方がいいようですね」

ドラゴン「そうか?」

女勇者「普通の人間なら指が三本は無くなってますから」

妹「じゃあ、明日も作ろうよ」

女勇者「……そうしましょうか」

ドラゴン「ええー」

女勇者「えー、じゃありません」

勇者「……ずいぶん馴染んだな」

女勇者「そうですね」

勇者「うん、良かった良かった」

女勇者「……あなたのおかげです」ボソッ

勇者「ん?」

女勇者「なんでもないです、夕食にしますよ」

勇者「あ、ああ、そうだな」

553: 2012/03/14(水) 22:14:02.30 ID:HulXmm4z0
女勇者の日常はこれで終わりです。
明日からは別のスピンオフをやっていきます。

554: 2012/03/14(水) 22:16:44.94 ID:mNocZDVg0

引用: 勇者「パーティーにまともな奴がいない……」 ドラゴン「その2だ」