769: 2012/03/27(火) 21:46:23.40 ID:nv1zmUcn0

勇者「パーティーにまともな奴がいない……」【1】
勇者「パーティーにまともな奴がいない……」【2】
勇者「パーティーにまともな奴がいない……」【3】
勇者「パーティーにまともな奴がいない……」【4】
勇者「パーティーにまともな奴がいない……」【5】
勇者「パーティーにまともな奴がいない……」【6】

勇者の家  夜


ドラゴン「う……」

勇者「はい、ゆっくり息吸って」

ドラゴン「……」スー

勇者「吐いて」

ドラゴン「……」ハー

勇者「はい、もう一回吸って」

ドラゴン「……」スー

勇者「もう一回吐いて」

ドラゴン「……」ハー

ドラゴン「……」

勇者「楽になった?」

ドラゴン「……ああ、すまんな」

勇者「なんか最近多いよな、食い過ぎか?」

ドラゴン「……そうかもな、最近妙に腹が減るし」

ドラゴン「後妙に体がだるいんだ」

勇者「それだけじゃな……他になんかある?」
小林さんちのメイドラゴン : 15 (アクションコミックス)
770: 2012/03/27(火) 21:48:05.64 ID:nv1zmUcn0
ドラゴン「うーん、胸が張ってるような感じがする」

勇者「……それは俺には分からんな……」

ドラゴン「じゃあ女勇者に聞けばいいか?」

勇者「あいつにもわかんねぇ――――」


その瞬間、女勇者の跳び蹴りが勇者に直撃する。


女勇者「勇者、全身の骨を折りますよ」

勇者「跳び蹴りは反則だろ……」

女勇者「黙りなさい」

ドラゴン「じゃあ女勇者は分かるのか?」

女勇者「それは」

勇者「わかんねぇのかよ」

女勇者「私だって気持ち悪くなる事はありますが、胸が張ると言うのはあまり」

勇者「張る胸も無いだろ」

女勇者「両腕にさようならを言いなさい」

勇者「すいません、ごめんなさい」

771: 2012/03/27(火) 21:50:21.57 ID:nv1zmUcn0
女勇者「胸が張るんですか……」

勇者「俺は食い過ぎだと思うんだけどな……」

ドラゴン「でも胃は痛くないぞ」

勇者「じゃあ食い過ぎじゃないのか?」

女勇者「他には?」

ドラゴン「乳Oが布に触れて痛い」

勇者「……俺はそれを聞いてどうすればいいんだ」

女勇者「私に聞かないで下さいよ」

勇者「うーん……」

女勇者「何なんですかね……」

暗殺者「いや、病院行けよ」

勇者・女勇者「……」

暗殺者「素人が考えてたってわかんないんだから病院行った方がいいだろ」

勇者「そ、そうだな」

女勇者「そうですね、明日行きましょうか」

勇者「ああ、頼むな」

暗殺者(病院に行く習慣が無かったんだな、あの二人)

772: 2012/03/27(火) 21:52:44.14 ID:nv1zmUcn0
ドラゴン「オレは病院行っていいのか?」

暗殺者「あ……」

勇者「確かに……」

女勇者「……ここは女大臣に頼んだらどうですか?」

暗殺者「事情も知ってるし、いい人を紹介してくれるかもな」

勇者「……明日頼んでみる」

暗殺者「ああ、頼む」

勇者「ドラゴンはもう大丈夫か?」

ドラゴン「だいぶ楽になってきた」

勇者「無理するなよ」

ドラゴン「ああ」

女勇者「早く寝た方がいいですよ」

勇者「そうだな、ドラゴン、歩けるか?」

ドラゴン「大丈夫だ」スタスタ

暗殺者「仲良し、と言うより勇者が献身的なのか?」

女勇者「いい事じゃないですか」

暗殺者「まあ、そうだな」

773: 2012/03/27(火) 21:53:52.31 ID:nv1zmUcn0
~~~~~~~~~~~~~~~~


次の日 城 お昼休み


女大臣「で、用と言うのはなんですか?」

勇者「ドラゴンの調子が悪いんだ」

女大臣「と、言いますと?」

勇者「最近よく気持ち悪くなるんだって、あと胸が張るとか」

女大臣「……」

勇者「普通の病院はいろいろ面倒臭そうだしさ」

女大臣「まあ、そうですね」

勇者「そこでなんかいい医者知らないかと思って」

女大臣「そうですね……とりあえず今日の夕方に勇者様の家に行きますので、そこで診断しましょうか」

勇者「……え?」

女大臣「ですから私がドラゴンを診察します」

勇者「……出来るの?」

女大臣「はい、大臣ですからそれくらい出来て当然です」

勇者「わかるの?」

774: 2012/03/27(火) 21:54:56.89 ID:nv1zmUcn0
女大臣「はい、医学の試験にもちゃんと合格してますよ」

勇者「……凄いな」

女大臣「それほどではありません」

勇者「あ、もう何の病気かわかるか?」

女大臣「だいたい予想はついてますね」

勇者「……お、重い病気か?」

女大臣「まだ完全に分かった訳ではありませんから言わないでおきます」

勇者「……もし重い病気だったら……」

女大臣「もし何かあっても私が全力で協力しますから」

勇者「……女大臣、お前いい奴だな」

女大臣「ありがとうございます」

勇者「なあ、それって治る病気なのか?」

女大臣「……勇者様は何か勘違いしていませんか?」

勇者「?」

女大臣「とにかく夕方まで待ってて下さい」

勇者「あ、ああ」

女大臣「お昼休み終わりますよ」

775: 2012/03/27(火) 21:56:50.58 ID:nv1zmUcn0
勇者「じゃあ仕事終わったらまたここに来るから」スタスタ

女大臣「そうして下さい」

勇者「……」スタスタ

王「勇者か、何かあったのか?」

女大臣「ドラゴンの調子が悪いと相談されまして」

王「そうか、でお主は何じゃと思うのじゃ?」

女大臣「話を聞いただけで断定はできませんが、妊娠でしょうね」

王「おお、それはめでたいな」

女大臣「勇者様は病気だと思っているようですが」

王「教えなかったのか?」

女大臣「ええ、もし違ったら悪いですし、勇者様の反応も面白そうですし」

王「……まあ、そうかもしれんな」

女大臣「ですので、今日は夕方に帰らせてもらってもよろしいですか?」

王「構わぬぞ、ドラゴンを診断してやれ」

女大臣「ありがとうございます」

776: 2012/03/27(火) 21:57:41.64 ID:nv1zmUcn0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


夕方


勇者「女大臣、いるか?」

女大臣「はい」

女大臣「では、行きましょうか」スタスタ

勇者「ああ、そうするか」スタスタ

女大臣「他に症状は無いんですか?」スタスタ

勇者「あと乳Oが布に擦れて痛いとかって……」スタスタ

女大臣「……」スタスタ

勇者「え、関係無いの?」スタスタ

女大臣「いえ、関係あるかもしれませんし、ないかもしれません」スタスタ

勇者「……なんだよそれ」スタスタ

女大臣「今の所は分かりません」スタスタ

勇者「……」スタスタ

女大臣「とにかく、診断してみない事にはどうしようもありませんし」スタスタ

勇者「……そうだな」スタスタ

勇者「ただいま」ガチャ

女大臣「失礼します」

777: 2012/03/27(火) 21:58:22.21 ID:nv1zmUcn0
女勇者「お久しぶりですね」

女大臣「ええ、久しぶりですね」

暗殺者「ドラゴンの事か?」

女大臣「はい、ドラゴンを診断しようと思いまして」

暗殺者「……そんな事も出来るのか」

女大臣「はい」

女勇者「あなたならもう驚きませんよ」

暗殺者「ああ、なんか女大臣なら納得しちまうもんな」

ドラゴン「女大臣か……」

ドラゴン「う……」

勇者「はい、ゆっくり吸って」サスサス

女大臣「……いつもあんな感じなんですか?」

女勇者「はい、だいたい勇者がああやって擦ってあげてます」

女勇者「夜もずっと起きて様子を見てますし」

女大臣「献身的ですね」

女勇者「ドラゴンのお嫁さんですからね」

勇者「やかましい!!」

785: 2012/03/28(水) 21:51:18.86 ID:Fnml5x3F0
ドラゴン「うう……」

勇者「はい、深呼吸深呼吸、ゆっくりね、ゆっくり」

妹「大丈夫?」

ドラゴン「大丈夫だ……うう……」

勇者「深呼吸ね、深呼吸」

暗殺者「で、病名の予想はついてるのか?」

女大臣「ええ、だいたいは」

ドラゴン「……もう大丈夫だ」

勇者「無理するなよ」

ドラゴン「ああ……」

女大臣「……では始めましょうか」

勇者「ああ」

女大臣「あっちの部屋をお借りしてもよろしいですか?」

勇者「俺とドラゴンの部屋だから別にいいけど」

女大臣「ではドラゴン様、来ていただけますか」ガチャ

ドラゴン「あ、ああ」スタスタ

勇者「俺は?」

女大臣「そこで待っていて下さい」ガチャン

786: 2012/03/28(水) 21:53:49.23 ID:Fnml5x3F0
勇者「わかった」

女勇者「……何するんですか?」

勇者「俺だって知らねぇよ」

暗殺者「まあ、変な事はしないし大丈夫だろ」

勇者「重病だったらどうしよう……」

女勇者「あれだけ元気で重病はないと思いますよ」

勇者「でもさ……」

暗殺者「ドラゴンの事になるとずいぶん心配性だな」

勇者「だって心配だし……」

女勇者「心配する事はいい事ですが、甘やかすのはどうかと思いますよ?」

勇者「別に甘やかしてはないだろ」

女勇者「いい加減卵焼き以外の料理も覚えてもらいたいのですが」

勇者「それって俺関係ない気がするんだけど……」

女勇者「勇者が料理を作れるからと言って甘えているだけですよ」

勇者「……俺にどうしろと?」

女勇者「とにかく料理を覚える様に言ってください」

勇者「……今は言わねぇぞ」

787: 2012/03/28(水) 21:56:09.68 ID:Fnml5x3F0
女勇者「分かってます」

暗殺者「分かってやれ、女勇者は早くドラゴンに一人立ちしてほしいんだ」

女勇者「暗殺者」

暗殺者「すまんすまん」

女勇者「一人で料理出来ないといろいろ不便じゃないですか」

勇者「……まあ、そうだな」

女勇者「だから早く覚えてもらわないと困るんです」

勇者「わかった、とりあえずこれが終わってからでいいか?」

女勇者「構いませんよ」

女大臣「終わりました」ガチャ

勇者「ど、どうだった?」

女大臣「予想どおりでした」

女勇者「……で、何の病気ですか?」

勇者「治るのか、完治するのか?」

女大臣「勇者様、女勇者様、多分あなた方は勘違いしていませんか?」

勇者、女勇者「……え?」

女大臣「ドラゴン様は妊娠しています」

788: 2012/03/28(水) 21:58:09.78 ID:Fnml5x3F0
勇者・女勇者「……え?」

暗殺者「だからドラゴンは勇者の子供を妊娠したって事だろ?」

女大臣「そう言う事です」

勇者「本当に?」

女大臣「ええ、診断してみてはっきりわかりました」

妹「じゃあ私に妹か弟が出来るの!?」

女勇者「ちょっと違いますが……まあそんな感じです」

勇者「て言うか暗殺者はいつごろ気付いてたんだ?」

暗殺者「勇者を部屋に入れなかったから、そういう感じかなとは思ってた」

女大臣「はい、そういう検査は男性が居ない方がいいと教わっていますので」

勇者「……」

ドラゴン「勇者、聞いたか?」スタスタ

勇者「いや、聞いたけど……マジか」

ドラゴン「いつの時のだろうな?」

勇者「そういう事言わない!!」

女大臣「ともかく二人ともおめでとうございます」

勇者「あ、ありがとう」

ドラゴン「ありがとな」

789: 2012/03/28(水) 21:59:03.59 ID:Fnml5x3F0
女大臣「いえ、お礼を言われるほどではありませんよ」

勇者「……何か気をつけた方がいい事ってあるのか?」

女大臣「そうですね、ドラゴン様は好き嫌いせずに何でも食べる事、ただ煙草と酒は駄目ですよ」

ドラゴン「わかった」

女大臣「勇者様はドラゴン様のケアをしてあげて下さい」

勇者「け、ケア?」

女大臣「ドラゴン様を気遣ってあげればいいです」

勇者「わ、わかった」

女大臣「ではお大事に、後日また診断に来ますので」ガチャ

勇者「あ、ああ、わかった」

女勇者「……勇者、ドラゴン、おめでとうございます」

暗殺者「おめでとう」

勇者「ありがとう」

ドラゴン「ありがとな」

女勇者「これからはお腹の赤ちゃんの事もありますから好き嫌いせず何でも食べて下さいね」

ドラゴン「……」

女勇者「返事は?」

790: 2012/03/28(水) 21:59:58.16 ID:Fnml5x3F0
ドラゴン「はい」

女勇者「よろしい」

勇者「……なあ、心のケアって具合的に何すれば――――」

暗殺者「いつもと一緒でいい」

勇者「……そ、そうか?」

暗殺者「下手に気を使い過ぎると逆にストレスになるかもしれないから、気をつけるよ」

勇者「わかった」

女勇者「夕食にしますよ」

暗殺者「とにかく普通にな」スタスタ

勇者「わかったって」スタスタ

ドラゴン「……なんかオレのだけ野菜が多い気がするんだが……」

女勇者「気のせいです、何なら私の野菜と交換しましょうか?」

ドラゴン「いい……」モグモグ

勇者「……」

ドラゴン「何が面白い」

勇者「え?」

ドラゴン「顔がニヤついてるぞ」

792: 2012/03/28(水) 22:04:29.77 ID:Fnml5x3F0
勇者「そうか?」

ドラゴン「ああ」

女勇者「勇者、あなたも野菜は食べて下さいね」

勇者「俺に好き嫌いはない」

女勇者「ならボーっとしてないで早く食べて下さい」

勇者「はいはい」モグモグ

暗殺者「勇者、悪いんだけどキノコを……」ヒソヒソ

女勇者「暗殺者?」

暗殺者「……はい」

女勇者「自分で食べましょうね?」

暗殺者「……でも――――」

女勇者「好き嫌いをしてはダメですよ」

勇者「好き嫌いすると大きくなれないぞ、女勇者みたいに」

暗殺者「……なら食べるか」

女勇者「二人とも、最後の晩餐を楽しんでくださいね」ニッコリ

勇者・暗殺者「すいませんでした」

793: 2012/03/28(水) 22:05:16.99 ID:Fnml5x3F0
~~~~~~~~~~~~~~~~~


勇者の部屋


ドラゴン「驚いたな」

勇者「驚いた」

ドラゴン「まさか妊娠とは……予想もしてなかったぞ」

勇者「俺だってしてねぇよ、ずっと病気だと思ってたし」

ドラゴン「心配性だな、貴様は」

勇者「そりゃ病気なら心配するだろ」

ドラゴン「……ありがとな」

勇者「どういたしまして」

ドラゴン「……」モゾモゾ

勇者「……で、なんでお前は人の布団に入ってきてる訳?」

ドラゴン「ダメか?」

勇者「いや、ダメじゃないけど、この狭い布団に二人ってストレスにならないのか?」

ドラゴン「オレが大丈夫なんだ、大丈夫だろ」

勇者「いや、お前が大丈夫でもな……」

794: 2012/03/28(水) 22:06:10.23 ID:Fnml5x3F0
ドラゴン「下手に生活を変えるよりこの方が落ち着くんだ」

勇者「……わかったわかった」

ドラゴン「……おやすみ」

勇者「ああ、おやすみ」

ドラゴン「……」

勇者(時間見つけて竜王様に聞きに行った方がいいよな……)

勇者(ドラゴンは……連れて行かない方がいいのかな?)

勇者(まあ、言っといた方がいいと思うけど、連れては行かない方がいいよな)

ドラゴン「……」スヤスヤ

勇者「寝るの早ぇな」

勇者「俺はいろいろ心配で寝れねぇのに……」

798: 2012/03/29(木) 22:00:56.76 ID:PWqRgAyX0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


次の日      朝


勇者「俺近いうちに竜王様に会いに行こうと思うんだけど」

ドラゴン「なんでだ?」

勇者「いや、普通妊娠したら相手の父親には伝えるもんだろ」

女勇者「それが一般人としての礼儀と言うものでしょうね」

勇者「だろ、だから俺もいつになるかはわかんねぇけど行ってこようと思うんだ」

ドラゴン「ならオレも――――」

勇者「お前は待ってろ」

ドラゴン「なんで……」

勇者「お前妊婦なんだから」

ドラゴン「でもな……」

暗殺者「妊婦は体が第一だ」

勇者「ああ、さすがにお前をあんな山奥まで連れて行ったら俺が竜王様に怒られる」

ドラゴン「そうか?」

勇者「そう、すぐ帰ってくるから」

ドラゴン「……わかった」

799: 2012/03/29(木) 22:03:07.26 ID:PWqRgAyX0
暗殺者「お前もいろいろ大変だな」

勇者「俺は妊娠してない訳だし、ドラゴンの方がもっと大変だろ」

暗殺者「……お前いい夫だな」

勇者「そうか?」

暗殺者「俺の中ではトップクラスにいい夫だ」

勇者「お前の基準がわからんから喜んでいいのかわかんねぇよ」

女勇者「喜べばいいじゃないですか、珍しく褒められてる訳ですし」

勇者「珍しくは余計だ」

暗殺者「まあ、これからもその感じで頑張れよ」

勇者「言われなくてもそのつもり」

女勇者「いい心がけだと思いますよ」

暗殺者「夫の協力あってこそだからな」

妹「おはよう」

女勇者「おはようございます」

妹「お姉ちゃん、お腹触らせてくれない?」

ドラゴン「いいぞ」

800: 2012/03/29(木) 22:05:15.90 ID:PWqRgAyX0
妹「動く?」

ドラゴン「どうなんだ?」

女勇者「さすがにまだ動かないと思いますよ」

暗殺者「もう少し経ってからだろうな」

女勇者「でしょうね」

ドラゴン「……だってさ」

妹「そうなんだ……」

ドラゴン「動くようになったらまた触ればいいだろ」

妹「いいの?」

ドラゴン「別にいいぞ」

女勇者「妹か弟が出来るのが楽しみなんですね」

勇者「正確には違うけどな」

女勇者「細かい事はいいんですよ、姑ですか、あなたは」

勇者「違ぇよ」

勇者「……じゃあ俺行ってくる」スタスタ

暗殺者「ちゃんと頼んで来いよ」

勇者「はいはい」スタスタ

801: 2012/03/29(木) 22:07:54.25 ID:PWqRgAyX0
~~~~~~~~~~~~~~~~~


昼休み 城の庭


勇者「……」

弓兵「久しぶりだな、勇者」

勇者「……弓兵か……どうしたんだ?」

弓兵「ちょっと用事が女大臣に会ってきたついでだ」

勇者「ふーん……」

弓兵「ずいぶん疲れてるみたいだな」

勇者「寝てないから眠たいだけだ」

弓兵「がはは、若いってのはいいな」

勇者「そんなんじゃねぇよ」

弓兵「?」

勇者「ドラゴンが心配で寝られなかっただけ」

弓兵「病気なのか?」

勇者「妊娠したんだ」

弓兵「……ほ、本当か?」

802: 2012/03/29(木) 22:09:07.90 ID:PWqRgAyX0
勇者「本当だよ」

弓兵「……それはめでたいな、おめでとう」

勇者「ありがとう」

弓兵「で、つわりやらいろいろが心配で一睡もできなかった訳か」

勇者「まあ、そんな感じだ」

弓兵「夫婦仲は大丈夫か?」

勇者「ん?」

弓兵「そういう時って喧嘩しやすいんだよ」

勇者「そうか?」

弓兵「そうだ」

勇者「……」

弓兵「特に神経質な時期はお互いしんどいらしい」

勇者「つまり俺がドラゴンを支えてやればいいんだろ?」

弓兵「まあ、そういう事になるかな」

勇者「なら最初っからその気だよ」

弓兵「……いい夫だな、いや本当に」

803: 2012/03/29(木) 22:11:03.12 ID:PWqRgAyX0
勇者「うるせぇよ」

弓兵「いいね、幸せいっぱいだな」

勇者「……そうだな」

勇者「あんたもさっさと結婚したらどうだ?」

弓兵「俺はまだいいよ」

勇者「あんたならモテるだろ」

弓兵「結婚したら今みたいに仕事を続けていけないだろ、だから今の所結婚する気はない」

勇者「……仕事ね」

弓兵「これから父親になるんだ、頑張れよ」

勇者「ああ、頑張る」

弓兵「じゃあな、喧嘩すんなよ」スタスタ

勇者「……なんだったんだ?」

女大臣「あの人なりに励ましてくれたんですよ」

勇者「……何時から聞いてたんだ?」

女大臣「最初からです」

勇者「予想通りの答えだな」

804: 2012/03/29(木) 22:11:43.64 ID:PWqRgAyX0
女大臣「そうですか?」

勇者「そうだ」

女大臣「……王様に聞きましたが今からでも行ってきて構わないそうです」

勇者「いいのか?」

女大臣「ええ、今は暇な時期ですし、大丈夫です」

勇者「明日の朝から休んでいいか?」

女大臣「構いませんが、どうしてですか?」

勇者「いや、ドラゴンにすぐ帰ってくるって言ってあるし、やっぱり心配だからさ」

女大臣「……わかりました、では明日行ってきてください」

勇者「悪いな」

女大臣「いえ、初めての出産で不安なのは十分分かっていますから」

勇者「……」

女大臣「残りはゆっくり休んでください、寝てないんじゃないですか?」

勇者「なんで知ってるん……聞いてたんだったな」

女大臣「いえ、勇者様の性格を考えれば十分に想像できましたよ」

808: 2012/03/30(金) 22:17:13.57 ID:BiWmi/cU0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


次の日    昼   ドラゴンの山


勇者「ここに来るのってどれくらいぶりだっけ……」

勇者「やっぱ怖ぇな」

勇者「……」

勇者「さっさと行った方が楽だな」ガチャ

勇者「こんにちは」

ブラックドラゴン「……久しぶりだな」

勇者「はい、久しぶりです」

ブラックドラゴン「ん、今日はドラゴンは一緒じゃないのか?」

勇者「はい、今日はちょっと報告がありまして」

ブラックドラゴン「まさか……お前とドラゴンの間に何があったのだ!?」

勇者「え?」

ブラックドラゴン「不倫か、浮気か、暴力か?」

勇者「え、は?」

ブラックドラゴン「あの馬鹿者め……竜王様にあれだけ言われていたのに……」

809: 2012/03/30(金) 22:19:17.01 ID:BiWmi/cU0
勇者「あの、何か勘違いしてませんか?」

ブラックドラゴン「何がだ!?」

勇者「いえ、別に夫婦仲が悪くなった訳じゃないんで……」

ブラックドラゴン「……なら何があったんだ?」

勇者「その……ドラゴンが妊娠しまして」

ブラックドラゴン「お前の子供をか?」

勇者「は、はい」

ブラックドラゴン「本当か?」

勇者「はい、検査もしてもらいましたし」

ブラックドラゴン「……」

勇者「……」

勇者(なんだ、この沈黙……)

ブラックドラゴン「それはめでたい、よかったな」

勇者「あ、はい、ありがとうございます」

ブラックドラゴン「竜王様にも報告せねばな」

勇者「はい」


そう言うとブラックドラゴンは咆哮した。

810: 2012/03/30(金) 22:20:22.83 ID:BiWmi/cU0
ブラックドラゴン「それにしても、ドラゴンに子供か……」

勇者「はい」

ブラックドラゴン「ドラゴンの様子はどうだ?」

勇者「今の所は元気だ」

ブラックドラゴン「人間の出産がこれからが大変なんだろう?」

勇者「はい」

ブラックドラゴン「ドラゴンを気遣ってやってくれ」

勇者「分かりました」

竜王「……」バッサバッサ

勇者(相変わらず大きいな)

竜王「おお、お主か」

勇者「久しぶりだな」

竜王「ん、あのお転婆娘はどうした?」

勇者「自宅で待機中だ」

竜王「何かあったのか?」

勇者「妊娠したんだ」

竜王「……ほう、あのお転婆が母親か」

勇者「ああ」

811: 2012/03/30(金) 22:21:12.16 ID:BiWmi/cU0
竜王「あやつが母親か……ワシも年を取るはずだ」

勇者「で、今日はその報告と聞きたい事があって来たんだ」

竜王「子供の事かな?」

勇者「ああ、具体的にどんな子供が生まれてくるのか教えてほしいんだ」

竜王「ワシもよくは分からんが前例がない訳ではないからな」

勇者「分かる範囲でいいから教えてくれ」

竜王「簡単に言えば性質はドラゴンに近い」

勇者「火を吐いたり、体が異常に頑丈だったりって事?」

竜王「その通りだ」

勇者「他には?」

竜王「他には……特にないな」

勇者「……そうか」

竜王「?」

勇者「いや、一応種族が違う訳だし、どんな子供が生まれてくるか怖かったんだ」

竜王「その気持ちはわかる」

勇者「ありがとな」

竜王「構わぬ」

812: 2012/03/30(金) 22:24:58.65 ID:BiWmi/cU0
竜王「まあ、性格のほうはどうなるかわからんがな」

勇者「……大丈夫だろ」

ブラックドラゴン「ドラゴンの子供だ、どんなやんちゃな子供が生まれる事やら」

竜王「確かに、そうだな」

勇者「俺の子供でもあるんだけど」

ブラックドラゴン「聞けばお前も十分やんちゃみたいだからな」

勇者「そうか?」

ブラックドラゴン「噂に聞いてる」

勇者「あ、そう」

竜王「……ワシ等に出来る事は少ないが、元気な子供が生まれる事を祈っておるぞ」

勇者「ありがとう」

竜王「町まで乗せていこう」

勇者「いいのか?」

竜王「お主はもうワシ等の仲間だ、気にする必要はない」

勇者「悪いな」


勇者はそういうとドラゴンに乗る


ブラックドラゴン「ドラゴンによろしく行っておいてくれ」

勇者「わかってる」

竜王「では、行くぞ」バッサバッサ

813: 2012/03/30(金) 22:26:33.06 ID:BiWmi/cU0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


夕方  町


勇者「本当にありがとう」

竜王「構わぬ、もし子供が生まれたらまた報告に来てくれるかな?」

勇者「最初っからそのつもり」

竜王「……そうか」

勇者「あ、聞いておきたかったんだけど、ドラゴンの好きなものって何か分かるか?」

竜王「……好きなもの?」

勇者「ああ、あいつがまだドラゴンだった頃に好きだったものだ」

竜王「鹿の肉と羊の肉……だったかのう?」

勇者「……また変わったものだな」

竜王「それがどうかしたのか?」

勇者「いや、大変だから好きなもの食わせてあげようと思って」

竜王「その二つが好物だと思うぞ」

勇者「いろいろありがとな」

竜王「ワシに出来ることなどこのくらいだからな」バッサバッサ

竜王「ではまた」バッサバッサ

勇者「ああ、また今度」スタスタ

814: 2012/03/30(金) 22:28:37.75 ID:BiWmi/cU0
勇者「……」スタスタ

暗殺者「お、帰ってきたのか」

勇者「暗殺者か、仕事終わりか?」

暗殺者「ん、まあそんな感じだな」

金髪「勇者さん、お久しぶりっす」

勇者「あれ、お前等一緒だったのか?」

暗殺者「ああ、金髪の手伝いをな」

勇者「?」

金髪「ちょっと諜報の仕事があって」

勇者「あ、そうなんだ」

金髪「それより、ドラゴンさんが妊娠したんですよね」

勇者「暗殺者が言ったのか?」

暗殺者「すまんな、つい口がすべって」

勇者「いや、別にいいんだけどさ……」

金髪「おめでとうっす」

勇者「ありがと」

金髪「勇者さんの子供って事はよほどかっこいいんですよね」ニコニコ

暗殺者「……まだ男って決まった訳じゃないぞ」

815: 2012/03/30(金) 22:30:30.07 ID:BiWmi/cU0
金髪「あ、そうっすね」

勇者「……なんかお前が言うと気持ち悪いんだよな」

金髪「何がっすか?」

勇者「だってお前男のこと好きじゃん」

金髪「な、俺が好きなのはかっこいい人であって男ではないっす!!」

勇者「どうでもいいよ」

金髪「ひどいっす……」

暗殺者「まあ……当然の反応だろうな」

勇者「それより聞きたいんだけど、鹿とか羊の肉ってどっかに売ってないか?」

金髪「また変わったものを探してますね」

勇者「ちょっと事情があってほしいんだけど」

暗殺者「珍しいものだしそうそう売りに出ないと思うし売ってたとして高いだろ」

勇者「だよな……」

金髪「自分で狩りに行った方が早いんじゃないっすか?」

勇者「……そう思うか?」

暗殺者「そうだな」

金髪「そうっすね」

勇者「即答かよ……」

820: 2012/03/31(土) 21:54:48.18 ID:kQbRNdox0
~~~~~~~~~~~~~~~~~


約一ヶ月後   勇者の家


女大臣「妊娠三カ月ですね」

勇者「どうだ?」

女大臣「順調ですよ」

勇者「……そうか」

女大臣「この時期が一番つらい時期です、皆様で支えてあげて下さい」

女勇者「分かってます」

暗殺者「ただやり過ぎるのも良くないぞ」

勇者「いつも通りに、さりげなくって事だろ」

暗殺者「そういう事だ」

女大臣「多少イライラする事があるかもしれませんが大目に見てあげて下さい」

女勇者「十分承知してます、最近よくイライラしているみたいですから」

暗殺者「機嫌悪いもんな……」

暗殺者「特に勇者だぞ」

女勇者「ですね」

勇者「分かってるよ」

821: 2012/03/31(土) 21:57:17.23 ID:kQbRNdox0
女大臣「何かあったら相談して下さい」

勇者「そうする」

女勇者「毎回毎回ありがとうございます」

女大臣「いえ、お礼を言われる様な事はしていませんよ、私に出来る事なんてそれくらいなんですから」

女大臣「あと、頑張ってという言葉はあまり使わない方がいいですよ」

勇者「もう頑張ってるからって事だろ?」

女大臣「はい、そういう事です」

勇者「分かってる」

ドラゴン「女大臣……」スタスタ

女大臣「どうかしましたか?」

ドラゴン「あとどれくらいこれが続くんだ?」

女大臣「約一カ月ですね」

ドラゴン「……」

勇者「今の調子はどうだ?」

ドラゴン「気持ち悪い……」

暗殺者「気分の悪い時は何時でも言ってくれ」

女勇者「そうですね、何時でも言って下さい」

ドラゴン「……ああ、分かった」

822: 2012/03/31(土) 22:00:12.47 ID:kQbRNdox0
女大臣「ではまた来ますね」ガチャ

勇者「ああ」

ドラゴン「う……」

勇者「はい、ゆっくり息吸って」

ドラゴン「分かってる!!」

勇者「……あ、そうか、すまん」

ドラゴン「……オレの方こそすまない」

勇者「いいからいいから」

女勇者「ドラゴン、イライラしているのは分かってますが他人にあたるのは控えてもらえますか?」

ドラゴン「……すまない」

女勇者「別に私に謝らなくてもいいんですよ」

ドラゴン「勇者、すまん」

勇者「いいって」

ドラゴン「……」

勇者「もう大丈夫か?」

ドラゴン「ああ、もう大丈夫だ」

勇者「……なら良かった」

823: 2012/03/31(土) 22:04:35.90 ID:kQbRNdox0
ドラゴン「少し休んでくる……」ガチャ

女勇者「勇者、早く行きなさい」

勇者「わかってるよ」ガチャ

ドラゴン「……何の用だ?」

勇者「心配だっただけだよ」

ドラゴン「すまなかったな」

勇者「お前がつらいのは分かってるよ」

ドラゴン「分かってる?」

勇者「ああ」

ドラゴン「貴様は分かってない……」

勇者「え?」

ドラゴン「勇者はオレがどれだけ大変か分かってない!!」

勇者「そ、そりゃ俺の事じゃないしそこまで詳しくはわかんねぇよ」

ドラゴン「ならなんで分かるなんて言うんだ!!」

勇者「それは……」

ドラゴン「分かった様な事言うな」

勇者「いや、俺だってお前の事が少しでも楽になるようにと思って言ったんだけど」

824: 2012/03/31(土) 22:05:16.29 ID:kQbRNdox0
ドラゴン「言葉で楽になれるか」

勇者「なんでそう捻くれた捉え方をするのかな」

ドラゴン「真実だろ、言葉で楽になれるなら苦労してない」

ドラゴン「……」

勇者「……」

勇者「……ああ、もう!!」ガチャン!

女勇者「ゆ、勇者!?」

勇者「出掛けてくる!!」スタスタ

女勇者「あ、ちょっと――――」

暗殺者「俺が行ってくる」

女勇者「わ、わかりました」

暗殺者「ドラゴンの方を頼む」スタスタ

女勇者「はい」

825: 2012/03/31(土) 22:06:16.19 ID:kQbRNdox0
~~~~~~~~~~~~~~~~~


町外れ


勇者「……」

頃し屋「あれ、何してるの?」ピョンッ

勇者「何の用だ?」

頃し屋「勘違いしないでよ、別に何か用があった訳じゃなくて、見つけたから話しかけただけ」

勇者「あ、そう……」

頃し屋「元気無いね、どうしたの?」

勇者「いろいろあったんだよ、安易な事言った俺が悪いんだけどさ」

頃し屋「喧嘩したんだ」

勇者「そうだよ」

頃し屋「さっさと仲直りしたら?」

勇者「最初っからそのつもりだよ」

暗殺者「……ここに居たのか……」スタスタ

頃し屋「あ、久しぶり」

暗殺者「……お前」

826: 2012/03/31(土) 22:06:58.24 ID:kQbRNdox0
頃し屋「そう怖い顔しないでよ、今は敵でもない訳だし」

暗殺者「……わかった」

勇者「謝ってもこのままじゃまた喧嘩しそうなんだよな……」

頃し屋「何が?」

勇者「妊娠中だからな……」

頃し屋「あ、妊娠したんだ、おめでとう」

勇者「ありがとう」

暗殺者「じゃあ謝らないつもりなのか?」

勇者「謝るけどさ」

暗殺者「けどなんだ?」

勇者「ドラゴンに言われたんだよ、言葉では楽になれないって」

頃し屋「じゃあ言葉以外の何かをしてあげるの?」

勇者「多分……」

暗殺者「何するんだよ」

勇者「まだ決めてない」

暗殺者「なんかないのか?」

勇者「なんかって言われても……」

827: 2012/03/31(土) 22:09:48.75 ID:kQbRNdox0
頃し屋「何かあの子が喜びそうなものはないの?」

勇者「……鹿と羊……かな?」

暗殺者「だからあの時聞いてたのか……」

頃し屋「この町じゃ売ってないけど他の町なら鹿も羊も売ってるよ」

暗殺者「そうか、じゃあ買いに――――」

勇者「待ってくれ」

暗殺者「ん?」

勇者「自分で狩る」

暗殺者「え?」

勇者「だってドラゴンも頑張ってるんだしどっかの店で買って帰るのはあれだろ」

頃し屋「うん、愛ってやつだね」

暗殺者「まあ、愛だな」

頃し屋「手伝おうか?」

勇者「……」

暗殺者「この辺は羊も鹿も居ないんだし、三人で探した方が楽だろ」

勇者「……わかった」

832: 2012/04/01(日) 22:05:24.94 ID:+1arkLhf0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


勇者の家


女勇者「入りますよ」ガチャ

ドラゴン「……女勇者」

女勇者「勇者に何を言ったんですか?」

ドラゴン「……勇者がオレに辛さを分かると言ったんだ」

女勇者「それで?」

ドラゴン「お前に分かるかって言って怒った」

女勇者「……」

ドラゴン「……」

女勇者「まあ、勇者にも落ち度はあると思います」

ドラゴン「……」

女勇者「ですがあなたにも落ち度はありますよ」

ドラゴン「……わかってる」

女勇者「妊娠が十分大変なのは分かります、私も女ですから」

ドラゴン「ああ……」

833: 2012/04/01(日) 22:07:07.32 ID:+1arkLhf0
女勇者「ですが勇者に八つ当たりしてはいけませんよ」

ドラゴン「そうだな……」

女勇者「それにあなたと同じくらい勇者も疲れてましたし」

ドラゴン「そ、そうなのか?」

女勇者「ええ、最近は寝てなさそうでしたし」

ドラゴン「え?」

女勇者「あなたが心配で最近はずっと起きてますよ」

ドラゴン「……」

女勇者「それにあなたの具合が悪くなったらいつもそばにいてあげていますし」

ドラゴン「そうだな」

女勇者「それで仕事にも行ってるんです、かなり疲れていると思いますよ」

ドラゴン「……」

女勇者「別にあなたを責めている訳ではありません、ただ勇者も勇者なりに頑張っている、と言う事です」

ドラゴン「わかった」

女勇者「暗殺者が勇者を探しに行ってます、帰ってきたらちゃんと謝りましょうね」

ドラゴン「ああ、そうする」

834: 2012/04/01(日) 22:09:07.39 ID:+1arkLhf0
ドラゴン「……でも勇者は全然顔とかに出さないよな」

女勇者「……多分生活環境の違いでしょうね」

ドラゴン「生活環境?」

女勇者「ええ、多分私が思っている以上に大変だったと思いますから、そうそう弱音は吐かないと思います」

ドラゴン「……」

女勇者「もちろん言わないだけで疲れてると思いますからちゃんと気遣ってあげないといけませんよ」

ドラゴン「わかった」

女勇者「……昼食にしましょうか」

ドラゴン「勇者達は何時帰ってくるんだ?」

女勇者「分かりませんが、何時帰ってきてもいいようにしておくつもりです」

ドラゴン「……お、オレも手伝う」

女勇者「作れますか?」

ドラゴン「教えてくれ」

女勇者「……いいですよ」

835: 2012/04/01(日) 22:10:28.17 ID:+1arkLhf0
ドラゴン「……でも勇者は全然顔とかに出さないよな」

女勇者「……多分生活環境の違いでしょうね」

ドラゴン「生活環境?」

女勇者「ええ、多分私が思っている以上に大変だったと思いますから、そうそう弱音は吐かないと思います」

ドラゴン「……」

女勇者「もちろん言わないだけで疲れてると思いますからちゃんと気遣ってあげないといけませんよ」

ドラゴン「わかった」

女勇者「昼食にしましょうか」

ドラゴン「勇者達は何時帰ってくるんだ?」

女勇者「分かりませんが、何時帰ってきてもいいようにしておくつもりです」

ドラゴン「……お、オレも手伝う」

女勇者「作れますか?」

ドラゴン「教えてくれ」

女勇者「……いいですよ」

836: 2012/04/01(日) 22:12:59.53 ID:+1arkLhf0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~





頃し屋「うーん、やっぱりいないね」

暗殺者「ここまでいないんだな」

勇者「どうなってんだよ……」

暗殺者「もしかしてこの森にはいないんじゃないか?」

勇者「そんな訳ねぇだろ」

頃し屋「珍しいってだけでちゃんといるはずだよ」

暗殺者「そういうもんかな……」

頃し屋「それにしても……鹿と羊っておいしいのかな」

勇者「食った事無いからわかんねぇよ」

頃し屋「だろうな」

暗殺者「そう簡単に捕まるもんか?」

頃し屋「俺に聞かないでよ」

勇者「とにかくどっちか片方でもいいから捕まえたいな」

837: 2012/04/01(日) 22:15:57.90 ID:+1arkLhf0
暗殺者「どっちとも出会えてないけどな」

頃し屋「まだ一時間しか探してないよ」

暗殺者「どちらかと言えばもう一時間じゃないのか?」

勇者「嫌なら帰ってもいいぞ」

暗殺者「別に嫌とは言ってないだろ」

鹿「……」ガサガサ

勇者・頃し屋・暗殺者「あ……」

鹿「……」タタタッ

暗殺者「し、鹿だ!!」

勇者「わかってるから」タタタッ

頃し屋「やっぱり足速いね」タタタッ

暗殺者「どうやって仕留めるんだ?」タタタッ

勇者「斬る!!」


勇者はそう言うと鹿に向かって斬りかかる。


暗殺者「乱暴だな……」

頃し屋「お前がナイフ投げればいいんじゃないの?」

838: 2012/04/01(日) 22:16:49.05 ID:+1arkLhf0
暗殺者「いや、勇者がやるって言ってるんだし、やらせる」

勇者「……」スタスタ

暗殺者「終わったか?」

勇者「ああ」ズルズル

頃し屋「立派な鹿だね、羊はどうする?」

勇者「もちろん仕留めるさ」ハァハァ

暗殺者「ドラゴン喜ぶといいな」

勇者「そうだな」

頃し屋「羊は俺達で仕留めようか?」

勇者「いや、俺も行く」

暗殺者「大丈夫か?」

勇者「大丈夫」スタスタ

頃し屋「タフだね」

暗殺者「本当にな」

頃し屋「勇者はあの子の事になると本当に周りが見えなくなるよね」

暗殺者「それが勇者の良さだろ」

頃し屋「あはは、だよね」

839: 2012/04/01(日) 22:17:44.39 ID:+1arkLhf0
~~~~~~~~~~~~~~~~


勇者の家  夕方


ドラゴン「……」

女勇者「遅いですね」

ドラゴン「勇者……あの事怒ってるんだろうな……」

女勇者「……」

女勇者「そう思い詰めない方がいいですよ」

ドラゴン「ああ、わかってる……」

女勇者(まったく、何処にいったんですか……)

勇者「ただいま」ガチャ

女勇者「何処に行って……」

暗殺者「悪かったな」

女勇者「いえ……なんですかそれ?」

勇者「えーと、鹿と羊」

女勇者「鹿と羊!?」

勇者「鹿と羊」

840: 2012/04/01(日) 22:18:25.67 ID:+1arkLhf0
今日はここまでです。

あんまり進めなくてすいません

845: 2012/04/02(月) 22:07:30.01 ID:8Uj+296i0
女勇者「……」

勇者「……」

暗殺者「女勇者はさばけるか?」

女勇者「いえ、多分さばく事は可能ですが……」

勇者「と言うかさばくでいいのか、これ?」

ドラゴン「ゆ、勇者……その……」

勇者「お前羊と鹿どっちが好き?」

ドラゴン「え、鹿がいい……」

勇者「じゃあ鹿切ってくれるか?」

女勇者「わかりました……」

勇者「好きなんだろ?」

ドラゴン「え、ん?」

勇者「鹿と羊」

ドラゴン「あ、ああ」

勇者「よかったよかった」

ドラゴン「オレ、勇者に教えたか?」

勇者「竜王様に教えてもらったんだ」

846: 2012/04/02(月) 22:09:06.23 ID:8Uj+296i0
ドラゴン「そうか……」

勇者「俺に出来る事って言ったらこのくらいだし」

ドラゴン「……」

女勇者「どうやって切るんですか……」

暗殺者「まずは皮を剥ぐんだろ」

女勇者「……やるしかない訳ですね」

暗殺者「そう言う事」

ドラゴン「勇者、悪かったな」

勇者「謝るのは俺の方だよ、てきとうな事言った俺が悪いんだし」

ドラゴン「……」

勇者「ごめん」

ドラゴン「オレも悪かったんだ、頭をあげてくれ」

勇者「……」

ドラゴン「すまなかったな」

勇者「……」

勇者「……飯にするか」

ドラゴン「……そうだな」

847: 2012/04/02(月) 22:11:03.12 ID:8Uj+296i0
女勇者「問題は味です」

ドラゴン「早く食べようぜ」

女勇者「そうですね、いただきます」

ドラゴン・勇者・暗殺者「いただきます」

女勇者「……」モグモグ

女勇者「まあ、おいしいですね」

勇者「なんでちょっと不満げなんだよ」モグモグ

暗殺者「考え過ぎだよ、考え過ぎ」

勇者「うん、うまい」

暗殺者「普通にうまいな」

ドラゴン「懐かしいな……」

暗殺者「昔はよく食べてたのか?」

ドラゴン「ああ、近くに鹿の群れがよく来てたからな」

勇者「空から襲ったのか?」

ドラゴン「ああ、開けた場所だったから簡単に仕留められたからな」

勇者「かっこいいな」

ドラゴン「当たり前だ」

暗殺者「……仲直りできたみたいだな」

女勇者「まったくです」

848: 2012/04/02(月) 22:11:46.64 ID:8Uj+296i0
~~~~~~~~~~~~~~~~~


数ヵ月後  勇者の家


女大臣「順調ですね、もうそろそろ出産ですよ」

勇者「そうか」

ドラゴン「それにしてもよく動くよな」

女大臣「ええ、子供ですから」

勇者「触ったけど凄ぇ動いてたぞ」

女大臣「それが普通なんです」

勇者「あ、そうなんだ」

女大臣「普通よりお腹が大きいのが少し気になりますが、まあそれは後々でいいでしょう」

勇者「大丈夫なのか?」

女大臣「ええ、大した問題ではないでしょうね」

女勇者「出産はいつ頃になりますかね?」

女大臣「それは私にもわかりません」

暗殺者「準備して待てって事だろ」

女大臣「そう言う事ですね」

849: 2012/04/02(月) 22:14:02.15 ID:8Uj+296i0
妹「触っていい?」

ドラゴン「いいぞ」

妹「……動いてるね!!」

ドラゴン「ああ」

女大臣「もし陣痛が始まったならすぐに病院に連れて行ってくださいね」

女勇者「何処の病院ですか?」

女大臣「そうですね……」カキカキ

女大臣「ここの病院に行ってください」スッ

女勇者「わかりました」

勇者「……出産がいつになるかわかんないんじゃ仕事も休めないな……」

暗殺者「ちゃんと連絡してやるから」

勇者「……ちゃんとしろよ」

暗殺者「ちゃんとしてやるからそんな悲しそうな目すんな」

女大臣「ではまた今度」ガチャ

勇者「ああ、いつもありがとな」

850: 2012/04/02(月) 22:14:33.40 ID:8Uj+296i0
勇者「もう少しで出産か……」

女勇者「早いものですね」

妹「もう少しで妹か弟が出来るの?」

勇者「ああ、あと少しだから待ってろ」

コンコン

勇者「ん?」

女勇者「女大臣でしょうか」ガチャ

勇者母「久しぶりね」

勇者「……」

ドラゴン「オレが手紙を送ったんだ」

勇者母「妊娠したって聞いて、来たんだけど……もし嫌なら――――」

勇者「扉開けっぱなしだと困るから、入って来てくれ」

勇者母「え、ええ」スタスタ

854: 2012/04/03(火) 21:42:32.78 ID:gWli54ps0
妹「誰?」

勇者「俺の母さんだ」

妹「え?」

暗殺者「分かり難いかもしれないが勇者とお前のお母さんは同じ人じゃないんだ」

勇者母「あの人は別の奥さんを?」

勇者「ああ、ダメ人間だけどな」

妹「じゃあ私のお母さんでもあるんだね」

暗殺者「……ま、まあそう言うことにもなるな」

妹「よろしくね、お母さん」

勇者母「よろしくね、ええと……」

勇者「妹だ」

勇者母「妹ちゃん、よろしくね」

妹「うん」

女勇者「本当に子供が好きなんですね」

勇者母「……」

女勇者「別に皮肉とかそういう意味じゃありませんよ」

855: 2012/04/03(火) 21:44:44.04 ID:gWli54ps0
勇者「俺も女勇者もあんたの事を許す事はないけど、母親だとは思ってるから」

女勇者「勇者の言う通りです」

勇者母「いいの?」

女勇者「嫌だと言って母親が変わる訳ではありませんからね」

勇者母「……ありがとう」

勇者母「妊娠何ヶ月なの?」

ドラゴン「そう言うのは分からんが、もうすぐ生まれるらしい」

勇者母「もうお母さんなのね……」

ドラゴン「ああ」

勇者母「私みたいになっちゃ駄目よ」

ドラゴン「わかってる」

勇者母「……なら大丈夫そうね」

勇者「ずいぶん自虐的だな」

勇者母「ええ、それだけの事をしてきたんだから……」

勇者「……」

暗殺者「……そういえば剣士はどうしたんだ?」

勇者母「魔王さんの所に行ってるわ」

女勇者「そうですか」

856: 2012/04/03(火) 21:47:15.08 ID:gWli54ps0
勇者母「きっと親離れの時期なのね」

勇者「かもな」

勇者母「でも、後で来るとは言ってたから」

暗殺者「間に合うといいな」

女勇者「そうですね」

勇者母「ドラゴンが出産するまではここにいようと思うんだけど、いいかしら?」

勇者「あんたが居たいだけ居ればいいじゃん」

勇者母「……じゃあお言葉に甘えさせていただくわね」

勇者「勝手にしろ」

ドラゴン「じゃあ飯にしようぜ」

勇者「そうだな」

女勇者「何か食べたいものはありますか?」

勇者母「私が作るわ、それくらいしかできないけど……」

女勇者「……では、お願いしますね」

勇者母「ええ」

857: 2012/04/03(火) 21:48:47.57 ID:gWli54ps0
勇者「なんて言うか……相変わらずだな」

女勇者「ええ、安易に自分を否定して同情してもらおうとしている様な感じはいつも通りですね」

勇者「まったくだ」

暗殺者「……厳しいな」

勇者「一応家族なんだから変な気を使われたくないだけだ」

女勇者「そうですね」

妹「お兄ちゃんもお姉ちゃんもお母さんの事好きなの?」

勇者「ああ、なんだかんだ言っても嫌いじゃない」

女勇者「ええ、嫌いではないですね」

勇者母「こんなものしか作れないけど」

ドラゴン「うまそうだな」

勇者「普通に上手いじゃん」

勇者母「……これくらいしか―――――」

女勇者「素直にありがとうと言ったらどうですか?」

勇者母「……ありがとう」

女勇者「じゃあ食べましょうか」

勇者「ああ」

858: 2012/04/03(火) 21:51:53.61 ID:gWli54ps0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


数日後 城 昼休み


勇者「……」

剣士「……勇者さん」スタスタ

勇者「剣士か、遅かったな」

剣士「母さんが来てると聞いたんで来たんですが、何かあったんですか」

勇者「ドラゴンが妊娠したんだよ」

剣士「え、そうなんですか!?」

勇者「聞いてなかったのか?」

剣士「魔王さんの所でいろいろ勉強してたので……」

勇者「そう言えばそんな事言ってたな」

勇者「……じゃあ最近母さんとは暮らしてないのか?」

剣士「はい、母さんもそこまで頻繁に家に帰ってくる人間じゃありませんから」

勇者「そう言えばそうだったな」

859: 2012/04/03(火) 21:52:46.90 ID:gWli54ps0
勇者「魔王達は元気か?」

剣士「はい、今日も来たいって言ってたんですけど、さすがに町に行くのはあれだったんで」

勇者「いろいろ言っても魔王だからな」

剣士「はい、魔王なんで」

勇者「それにしても魔王が出掛けたいなんて言うの珍しいよな」

剣士「なんでもドラゴンさんに会いたいそうで」

勇者「何のために?」

剣士「さあ、やっぱりなんだかんだ言っても高等種として仲良くしたいんじゃないんですかね」

勇者「お前は結局魔王とどうなったんだ?」

剣士「どうなったって……普通に生活してるだけですよ」

勇者「……なんだそれ」

剣士「僕は魔王さんに魔法を教えてもらって、僕が魔王さんにいろいろな遊びや面白いものを紹介してます」

勇者「ふーん」

剣士「今のお気に入りはポーカーですね」

勇者「だんだん息抜きが出来るようになっていくといいな」

剣士「はい」

860: 2012/04/03(火) 21:56:45.60 ID:gWli54ps0
暗殺者「勇者!!」タタタッ

剣士「あ、お久しぶりです」

暗殺者「久しぶり」

勇者「どうかしたか?」

暗殺者「陣痛が始まったぞ」

勇者「え、マジで?」

暗殺者「ああ、さっさと来い」タタタッ

勇者「あ、ああ」タタタッ

勇者「剣士、お前も来い」

剣士「え、え?」

勇者「母さんもいるから、さっさとしろ」

剣士「で、でも――――」

勇者「早く」

剣士「は、はい」タタタッ

861: 2012/04/03(火) 21:58:27.09 ID:gWli54ps0
~~~~~~~~~~~~~~~


病院   


勇者「ドラゴンは?」

女勇者「中です」

勇者「入っちゃ……ダメだよな」

勇者母「ええ、衛生的にダメでしょうね」

イケメン「まあ、彼女なら大丈夫だろうけどね」

勇者「なんでお前が居るんだよ、呼んでねぇぞ」

イケメン「用事で来ていたら母さんに会ったものでね」

勇者母「一応兄弟なんだから呼んだ方がいいと思って」

勇者「……」

妹「きっと大丈夫だよ」

勇者「それは分かってるから」

女勇者「女大臣を信じましょう」

勇者「女大臣?」

女勇者「ええ」

勇者「え、女大臣は今何処にいるの?」

女勇者「中でドラゴンの出産の手伝いをしてますよ」

勇者「……万能だな」

女勇者「ええ……」

866: 2012/04/04(水) 21:57:56.50 ID:rtW3WxEI0
女勇者「……とにかく今はここで待つ以外何もする事はありませんよ」

勇者「そうだな」

ドラゴン「痛い痛い痛い!!」

勇者・女勇者「……」

勇者「いや、大丈夫なのか、あれ!?」

女勇者「大丈夫です、多分」

勇者「超わめいてたけど」

女勇者「私に聞かないで下さいよ」

勇者「おい」

勇者母「初産はあんなものよ」

勇者「いや、そうかもしれないけどさ……」

イケメン「彼女なら大丈夫さ」

勇者「うるせぇよ、黙ってろ」

イケメン「八つ当たりかい、かっこ悪いね」

勇者「だいたいお前は呼んでねぇぞ」

イケメン「そう怒らないでくれ」

勇者「今怒らなくていつ怒るんだ、教えてくれよ」

867: 2012/04/04(水) 22:00:13.99 ID:rtW3WxEI0
イケメン「今はそう言う時間じゃないと思うけど」

剣士「大丈夫ですかね、あの二人……」

暗殺者「あの二人はああいうのが普通なんだ、気にすんな」

女勇者「ええ、あの二人が仲良くしている方が気持ち悪いです」

ドラゴン「だから痛い!!」

女勇者「ドラゴンは一体何にキレてるんですか……」

暗殺者「ああやって大声出してないとしんどいんだろ」

勇者母「大声を出すと痛みが和らぐのよ」

イケメン「彼女も頑張ってるんだ、君も頑張ったらどうだ?」

勇者「やかましい!!」

勇者母「そのくらいにしておいたら、もうそろそろ生まれるわよ」

勇者「あ、ああ」

イケメン「静かにね」

勇者「お前が言うな」

暗殺者「二人とも黙ってろ」

868: 2012/04/04(水) 22:02:37.69 ID:rtW3WxEI0
勇者「……」

女勇者「そろそろですかね」

勇者母「もう少しじゃないかしら」

勇者「……まだか?」

女勇者「もう少しです」

ドラゴン「え、はぁ!?」

勇者「え、なんだ?」

女勇者「落ち付きなさい」

勇者「いや、今のおかしいだろ」

剣士「勇者さん、落ち付いて」

勇者「いやこれは落ち付けないだろ!!」

女大臣「終わりましたよ」ガチャ

勇者「え、どうなったんだ!?」

女大臣「無事生まれましたよ、二人とも」

勇者「そうか……ん?」

女勇者「え?」

女大臣「どうかしましたか?」

869: 2012/04/04(水) 22:04:13.42 ID:rtW3WxEI0
勇者「いや、二人?」

女大臣「ええ、双子ですよ」

勇者・女勇者「え、え?」

イケメン「男の子二人かい?」

女大臣「いえ、男の子と女の子です」

勇者母「中に入ってもいいかしら?」

女大臣「ええ、構いませんよ」

勇者母「……」スタスタ

勇者「俺も」スタスタ

暗殺者・女勇者「……」スタスタ

剣士「僕もいいですか?」

勇者「別にいいぞ」

剣士「ありがとうございます」

イケメン「剣士、一緒に行こうか」スタスタ

勇者「テメェはダメだ!!」

870: 2012/04/04(水) 22:06:10.05 ID:rtW3WxEI0
暗殺者「うるさいぞ」

勇者「はいはい」スタスタ


そこにはベットで寝ているドラゴンと二人の赤ん坊がいた。


勇者母「うん、元気そうね」

ドラゴン「ああ、ちゃんと元気だ」

女勇者「双子は大変ですよ」

ドラゴン「分かってる」

女大臣「もう大丈夫ですよ」

ドラゴン「ありがとな」

女大臣「いえいえ」

女勇者「では私達は少しはずしますね」スタスタ

剣士「そうですね」スタスタ

勇者母「二人でゆっくりね」スタスタ

暗殺者「俺達も行くか」

イケメン「そうだな」スタスタ

女大臣「そうですね」スタスタ

871: 2012/04/04(水) 22:08:13.83 ID:rtW3WxEI0
勇者「……元気な子供で良かったな」

ドラゴン「ああ、そうだな」

勇者「……」

ドラゴン「……」

勇者「その……なんだ、お疲れ」

勇者「……」

ドラゴン「……」

ドラゴン「……ぷぷっ」

勇者「笑い堪えてんじゃねぇよ!!」

ドラゴン「いや、お疲れって、他になんかないのか?」

勇者「思いつかなかったんだよ」

ドラゴン「まあいい、ありがとな」

勇者「いろいろ迷惑かけて悪かったな」

ドラゴン「じゃあそのお詫びにキスしてくれ」

勇者「……いや、意味が分からない」

ドラゴン「子供が出来てから一度もしてなかったしいいだろ」

872: 2012/04/04(水) 22:09:18.01 ID:rtW3WxEI0
勇者「……マジで言ってる?」

ドラゴン「オレ達以外いないんだし、別にいいだろ」

勇者「……」

ドラゴン「早くしないと来ちまうぞ」

勇者「なんでそんなに活き活きした笑顔してんだよ」

ドラゴン「早く早く」

勇者「……わかったよ」


勇者はドラゴンと唇を重ねる。


ドラゴン「……」

勇者「これでいいか?」

ドラゴン「ああ、満足だ」

勇者「それにしても、あいつ等何して――――」

女勇者・剣士「……」

勇者母「ごめんね、みんながもういいだろうって言うから入ったんだけど」

勇者「何時から?」

873: 2012/04/04(水) 22:11:03.01 ID:rtW3WxEI0
勇者母「ええと……」

女大臣「ドラゴン様がキスをねだる所からです」

勇者「おい!!」

イケメン「別に恥ずかしがる事じゃないだろ、夫婦なんだし」

ドラゴン「そうだな」

勇者「そうだな、じゃねぇよ!!」

暗殺者「バカップルだな」

女勇者「ですね」

勇者「やかましい!!」

剣士「で、でも別に悪い意味じゃ――――」

勇者「こいつ等の言い方に悪意を感じるんだよ!!」

ドラゴン「勇者」

勇者「なんだ、キスならもうしねぇぞ」

ドラゴン「違う、この二人共々、よろしく頼むな」

勇者「……こちらこそよろしく頼む」

880: 2012/04/05(木) 21:43:02.55 ID:KgRpGWRN0
灰色の壁。
鉄の檻。
埃っぽい部屋。
そこが今のオレの居る場所だった。

体がギリギリ入る様な檻の中で人間どもの見せ物になる。
それが今のオレだった。

最初の頃は屈辱的だったが今となっては慣れてきた。
慣れてきてしまっていた。

多分受け入れ始めたんだろう。
この理不尽な状態を。

埃っぽい建物の中には四、五人の人間がいた。
どれも変わり映えのしない格好をし、好奇と恐怖の眼差しをオレに向けている。

つくづく愚かな種族だ。
だから嫌いなんだ。

オレはゆっくりと人間達を見まわし、僅かに火を吐いた。
口からほんの少し火を吐いただけで、それだけで人間達は悲鳴を上げ、逃げるように外に出ていく。

ははっ、愚かだ。
愚かで臆病で卑怯な生き物。
愚かだ、愚か過ぎる。
……まあ、その愚かな人間共の罠にはまりこんな場所に入れられたのはオレな訳だが……。


「ははは、苦し紛れに火を吐くか、さすがは劣等種属」


背の低い、中年の男。
明らかにオレの一撃すら耐えられそうもないこんな屑にオレは捕まった。
寝込みを襲われ一瞬で捕まったのだ。
そうでなければこの程度の生き物に捕まる訳が無い。

881: 2012/04/05(木) 21:45:20.90 ID:KgRpGWRN0
「何にもしてないのに石を投げつけられるなんて可哀想にな」


相変わらず、言葉が分かっている事も知らずにぺらぺらとしゃべる。
黄ばんだ歯を見せながら汚くに笑う。

やはり人間は下品で愚かだ。
恥知らずで他の種族を見下す、最低の種族。
どうせオレを見て恐怖するか石を投げつけ罵倒するかの二択だろう。
まあ、それが人間と言う生き物なのだから仕方の無い事だがな。

……こんな生き物に捕まったのかと思うと自分で自分を頃したくなってくる。
ああ、こんな生き物に捕まるオレは本当にバカだ。

周りを見渡せば、いつの間にか人間は誰もいなくなっていた。
さっき火を吐いたのがよほど効いたのか、ほぼ尽きる事無く入ってきていた人間も今はいない。

どうせ、一時の事。
一時間もすれば人間達はまた氏体に群がるハゲワシの様に何処からともなく集まってくるだろう。

考えるだけで嫌になってくるので考えるのはこのくらいにしておく。
それに遅かれ早かれ氏ぬのだから何をしても無駄だ。
ならば氏を待つ時くらい竜らしく氏ぬべきだろう。
下手に暴れて氏を拒むのではなく、潔く氏を受け入れる竜らしい氏を。

人が居なくなり静かになったせいか眠気が襲って来た。
考えてみればここに来てからまだ一度も眠っていない。

この窮屈な檻の中ではたして心地よく眠れるかは不明だが、寝ないよりはマシだろう。
体を丸め、目を閉じる。

882: 2012/04/05(木) 21:46:51.04 ID:KgRpGWRN0
こんな時でも体は正直であっという間に睡魔が襲いかかってきた。
よほど疲れていたのだろう。

睡魔の波はゆっくりと体を眠りへと誘い始める。

だが眠りに落ちそうになった時だった。


「大きいですね」

「そりゃドラゴンだしな」


唐突に声が聞こえた。

それは今までの人間とは明らかに違った反応だった。
声色を聞いた限りでは男女二人組の様だ。

そのまま眠ってしまうのもよかったが、目を開け、その二人組を見る。

女の方は鱗の鎧を着ていた。
髪は長く、黒髪で顔は美人と呼ばれるタイプだろう。
いかにも戦士といった風貌だ。

そしてもう一人の男はと言うと女の方とは少し様子が違っていた。
布の服に腰にさした木の棒はあまりにも戦士とはかけ離れている。
例えるなら戦士に憧れる子供の格好といった所だろう。

しかしそれ以上に変わっているのはその男の目だった。
その目は明らかにオレを見ている。
それなのに、そのはずなのにその目は輝いている。

883: 2012/04/05(木) 21:47:56.14 ID:KgRpGWRN0
意味が分からない。
何がそんなに貴様の心を刺激しているんだ。

この男は恐怖するべき存在に純粋に憧れている。
そう感じた。

変わった人間だ。
人間にしておくのが惜しいくらいに。


「人間か、お前達も興味本位でオレを見に来たのか」


皮肉交じりに唸り声を上げる。
もちろんただの独り言、あの男に伝える気はない。


「確かに興味本位だけどそれだけで来たわけじゃねぇぞ」


……一瞬その言葉が誰に向けられたものか分からなかった。
だがその男を見た時、男はオレを見ていた。


「ふん、オレを頃しに来たのか?」

「別にお前を頃すために来たわけじゃねぇから」

884: 2012/04/05(木) 21:49:29.07 ID:KgRpGWRN0
会話が見事に成立する。

オレの言葉が分かるのか?
人間なのに。
いや、それ以前にこの男は人間として何かずれてないか?

頭の中で様々な疑問がぐるぐると渦巻く。
だが疑問はただただ膨らんでいくだけで何一つ解決していかない。


「では何の用だ?」


疑問は余るほどあるが、とりあえず聞きたい事を聞いておく。
まずはこの男の真意を知りたい。


「理由が無いと来ちゃダメか?」

「生意気な人間だな」


その言葉は何時の間にか発せられていた。
人間如きにそんな事を言われたのだ、言い返さない他ない。

……なぜ言い返そうと思ったのだろう……。
普段ならただの戯言と流すはずなのに、今回は言い返した。
これも聞きようによっては戯言と流せる一言だったはずなのに。

まるで自分の思いがわからない。
心が独り歩きしている様な感じだ。

885: 2012/04/05(木) 21:52:32.29 ID:KgRpGWRN0
そんな雲の様な心のもやもやと格闘しているオレをよそに、その男は隣の女と何かの話をしていた。

その女もまた、普通の人間とは少し違った雰囲気をかもしだしている。

まあ、気のせいかもしれないが、なんとなくこの二人は人間から逸脱しているような気がする。


「また今度来るな」


それだけの言葉を言い残し、男は去っていった。
いや、他の人間達に怪しまれないよう一時的に非難したようにも見える。

不思議な奴。
それがあの男の印象だ。
それ以外の表現方法は思いつかない。

もう一度あの男に会いたい。
素直にそう感じていた。

特に変な気持はない。
ただ不思議な人間に興味をもっただけの事だ。

気がつけば目の前にはあの中年の男が立っていた。
相変わらずの下品な笑い方をしているがもはや気にもならない。

今のオレの興味は完全にあの男にあった。


「頭の悪い人間がお前に話しかけていたような。ま、お前には分からないだろうがな」

886: 2012/04/05(木) 21:54:01.49 ID:KgRpGWRN0
男はオレに侮蔑の眼差しを向けながらそう言った。
その目にはさっきの男に対する侮蔑も含まれているのだろう。

この男はさっきの男と正反対の人間だ。
己が一番でそれ以外のものを全て否定する。
オレが知っている人間の姿。

男はまるで何かに陶酔したかのように話し続ける。


「お前の様な下等種族に話しかけるなんてかわいそうな奴だ。まあ、お前の方が可哀想かもしれないがな」


そう言い男は汚い歯を見せ笑った。
唾が辺りに飛び散るが、そんな事は一切気にしていない。

さっきの男と違い、この男には反論はおろか、脅かす気さえ湧いてこない。
それほどの価値も無い様に見える。
多分それはこの男が人間らしい人間だからだろう。

男の戯言を聞きながらオレは体を丸め、眠る体勢に入る。

あの男は遅かれ早かれオレに会いにやってくる。
なら今のこの無駄な時間の内に眠っておくのが得策だろう。

自分があの男を心待ちにしているのがはっきり分かるのがなんとなく悔しいが、その気持ちに嘘は無い。

オレは目を閉じ、ゆっくりと押し寄せる眠りの波にさらわれていった。

887: 2012/04/05(木) 21:55:26.91 ID:KgRpGWRN0














「おい、起きてるか?」


……頭が痛い
多分狭い場所で寝たせいだな。

男の声が聞こえた。
目を開けなくても昼の時の男だと分かる。

目を開けるとそこには予想通りの光景が広がっていた。
男の顔は月明かりで照らされ、青白かった。
その光のせいかその男はまるで人間ではない何かの様にも見える。


「ふん、また来たのか、人間」


何故かまた悪態をついてしまう。
どうしてそんな事を口走ってしまうのかは自分でも分からないからもどかしい。

だが男はそんな悪態も気にせず、檻の前に座るとオレに話しかけてくる。

やっぱり変な奴だ。
人間らしくない人間、と言った方がいいのか?


「また来るって言っただろ。それにお前もどうせ暇なんだろ」

「オレに話しかけてきたのは貴様が初めてだ」

「他の奴らはお前の言葉なんかわかんないからな」

「そうだな、オレは貴様等の言葉がわかるのにな……」


少し皮肉めいた口調になる。

もちろんこの男には全くと言っていいほど関係が無い。
だがやはりこの男が人間である以上見下した皮肉っぽい言い方になってしまう。

888: 2012/04/05(木) 21:56:31.96 ID:KgRpGWRN0
「皮肉か?」


男の返答は予想通りだった。
だが何故かその顔はあまり嫌そうではなく、むしろ同情的な雰囲気さえ感じられる。

仲間でさえそんな表情でオレを見るものはほとんどいない。
なにのなんで人間のお前がなんでそんな目でオレが見るんだ。
お願いだからそんな悲しそうな顔しないでくれ。

オレは男から目を僅かに背け、かもな、とだけ答えた。
それ以外に適切な言葉が出て来なかったと言う方が正しいかもしれないが……。


「そうだ、肉持ってきたけど食うか?」


さっきとは打って変わり、男の表情が楽しそうな表情になる。
会話の流れを変えたかったのかもしれない。

オレとしてもそのほうがありがたい。

「いいのか?」

「お前にあげるために持ってきたんだ」


男はそう言い、干し肉をオレの目の前に置く。

確かに空腹感もあったため、肉をもらう。

889: 2012/04/05(木) 21:58:53.69 ID:KgRpGWRN0
干し肉は硬く、オレにとってはそこまでおいしいとは感じられなかったが、空腹を満たすのには十分だった。
それにこの男から貰った、と言うだけで十分にうれし――――。

……何を考えているんだ、オレは。


「聞きたいんだけどお前は何をして捕まったの?」

「オレは気高き竜だ、人間など相手にはしない、人間共が勝手に騒いでいるだけだ」

「お前はいいのか?」


予想外の返答に言葉が詰まる。

心配されている。
オレが?
たかだか人間に?


「そんな訳のわからない理由で殺されていいのか?」

「殺されたく無いに決まってる。だが、オレがどれだけ足掻いてもここから逃げるのは不可能だ。逃げるのが不可能だとわかっているのに足掻くのは無様だろ?」


それが嘘も偽りも無い、正直な気持ちだった。
殺されたいか殺されたくないかで言われれば殺されたくないに決まっている。
だが竜として生まれた以上、気高き一族に生まれた以上無様な最期を迎える訳にはいかない。
潔く、気高き竜として氏ななければいけない。

890: 2012/04/05(木) 22:00:33.20 ID:KgRpGWRN0
「生きるために足掻くのを無様だとは俺は思わねぇ」

「それは貴様が人間だからだ。オレは気高きドラゴン、無様に生きるよりも美しく散る事に美学を感じる生き物だ」

「気高きドラゴンね……」


男は釈然としないのか首をかしげていた。

そうこれがオレとこの男との違い。
人間と竜との違いだ。

この男も所詮人間と言う事か。


「貴様も物好きだな、オレの話し相手をするなんて」

「変人だからな」

「面白いな、貴様は」

「俺もお前と話してると楽しいよ」

「ふん、お世辞か」

「お世辞とかじゃなく本心だよ」

891: 2012/04/05(木) 22:02:17.64 ID:KgRpGWRN0
……悪態をつこうとするのに言葉が浮かんでこない。

なんと言っていいのか分からないが、とにかく熱い。
体がとにかく熱くなる。
頭も沸騰したように熱く、何も考えられなくなっていく。


「どうした?」

「……何でも無い」

「そ、そうか」


会話が止まり、気まずい時間が流れる。


「……貴様の横にいた女は何者だ?」


な、何を聞いてるんだ。
オレはバカか。
そんな事どうでもいいだろ。


「あいつはただの旅の仲間、それ以上でもそれ以下でもない」

「二人旅か?」

「ああ、仲間募集中だ」

892: 2012/04/05(木) 22:04:19.31 ID:KgRpGWRN0
なんでオレは今ホッとしたんだ。
あの女がこの男の恋人では無かったからか?
……オレは一体何がしたい。

このままの話の流れを変えるために話題を変える。
もしこのままいけば確実にオレは変な事を口走ってしまう自身がある。

「改めて聞こう、貴様の目的は何なんだ?」

「目的なんてねぇよ。ただ俺ドラゴンが好きなんだ、かっこいいし。特にお前は好きだな、かっこいいし話が合うし」


話題を変えた意味なく、結局オレの体はさらに熱くなった。

はは、なんで喜んでんだ。
人間に褒められただけだろ。
しかも人間から外れた異端児の様な奴の褒め言葉で……。

なんと表現していいのか分からないが、とにかく胸の辺りがざわつく。
しかも止めようと思えば思うほどざわつきは大きくなる一方だ。

落ち付け。
まずは落ち付け。
話はそれからだ。

目の前の男から視線を逸らし、何とか心を落ち着かせようとする。

「お前は俺の事どう思う?」

「そうだな……今の所は変わった奴だな」

「今の所は?」

893: 2012/04/05(木) 22:05:32.24 ID:KgRpGWRN0
「印象なんてものは一秒ごとに変わるものだろう」

「まあ、そうだな」


そう言うと男は何故か納得したようにうなずいた。

やはりこの男は人間よりも竜の方が向いている様な気がした。
きっとこの男が竜だったのなら最高にかっこいいのだろう。

もちろん人間臭い所は所々にあるが。

地位や名誉に拘らず、己の考えた道を突き進む。
そして相手と真正面からぶつかる。
その考え方は竜と言うよりオレが好む考え方なのだが、この男はオレのその考え方の模範の様な生き方をしていた、と言うのは少し言い過ぎか……。


「やはり貴様は変人だ」

「自覚してるよ」

「それにあんたも十分変だ」

「ふふ、氏ぬ前に貴様のような人間に会えてよかった」


それは心からの本心だった。
氏ぬ前に人間とはいえここまで美しい生き方をする者と出会えたのは幸運だ。
冥土の土産としては最高級のものに分類できるだろう。

894: 2012/04/05(木) 22:06:57.28 ID:KgRpGWRN0
「俺もだ、お前に会えて良かった」

「ふふ、かわいい奴だな、貴様は」

「そんな事言ってくれるなんてうれしいね」


男はそう言うとにこりと笑った。

かなりの勇気を必要とした一言をこの男は簡単に受け入れてくれた。
いや、受け流したのかもしれないな。

そういう顔はやめてくれ。
言ったこっちが恥ずかしくなってきそうだ。

オレはゆっくりと息を吸い、少し前から考えていた事を口にする。
多分、最後になるであろう願いを。


「ここで会ったついでだ、オレの願いをきいてくれるか?」

「ここから出してほしいのか?」

「バカ言うな、俺は気高き竜だ、そんな見苦しい事を願ったりしない」


男はオレの言葉に納得したようにうなずくと、そうか、と呟いた。
この男は竜を理解しているのだろう。
竜の生き方を。

895: 2012/04/05(木) 22:09:08.99 ID:KgRpGWRN0
「俺の介錯を頼みたい」


オレの言葉を聞いても男は驚いた顔一つしなかった。
いや、むしろそう言うと思った、と言う感じだ。


「俺にか?」

「氏ぬのなら名も無き村人に殺されるよりも貴様に殺されたい」

「嫌だね」


その言葉はオレの中にゆっくりと入ってきた。
別にその事をどうこう言う気はない。
元々ほとんど初対面の人間に頼む様な事ではないのだ。

妥当な答えだろうな。


「そうか、残ね―――――」

「俺はお前をここから逃がす気でいるからな」


一瞬、頭の中が真っ白になった。
言っている意味が理解できない。
これ以上分かりやすい言い方は無いはずなのに思考が追いつかない。


「お前が無実だとわかった以上、お前を見頃しには出来ないから俺がここから出してやるよ」

「貴様正気か?」

896: 2012/04/05(木) 22:10:13.90 ID:KgRpGWRN0
「ああ正気だ」


男は不敵に笑うと、オレの頭を軽く撫でた。
人間の、男の手は温かく、そして優しかった。

この男が竜なら。
オレが人間なら。
出会う場所が違えば。
そんな無意味な事を考えてしまう。

そんな事叶う訳ないだろ。
だいたいオレは氏ぬんだぞ。
バカバカしい。
本当にバカバカしい。


「じゃあまた明日来るわ」


男はそれだけ言い残し、歩き出す。
あっという間に彼の姿は暗闇へと溶けて行った。

建物の中が静寂に包まれる。


「阿呆が……」


誰にともなくそう呟く。
その言葉がはたして自分に放ったものなのか、男に放ったものなのかは結局分からなかった。

897: 2012/04/05(木) 22:12:19.80 ID:KgRpGWRN0





















結論から言えば、オレは無事あのせまく埃っぽい檻から脱出し、広く清々しい空を飛んでいた。
空を飛ぶ事が。
自由に動ける事がここまで嬉しい事だとは気付かなかった。
皮肉な事にオレはあの出来事でそんな些細な幸せを感じられるようになり、今まで以上に幸せな気分に浸っていた。

もちろん外に出られたのはあの男、勇者のおかげだ。
勇者がいなければ、オレは今頃檻の中にいるか、見せしめとして殺されていただろう。

右に大きく旋回し、動物の群れを空から探す。
それは昔のオレにとってはある種、最高に楽しい時間だった。

だが今は何故かそんな気分にはなれない。

今まで感じた事の無い様な……。
例えるのならまるで胸に穴があき、冷たい風が直接心の中に入ってきている様な感じがした。

くそっ、なんか物足りない。
何がに足りないんだよ。

無理矢理に加速し、自分の出せる限界の速度で空を滑空する。
亜音速で空を駆け抜けていく。

しかし、どんなに爽快感を感じる事は出来ても、心の穴はどうしても埋まらない。
今の状態ではその穴が埋まりそうな気配すらない。

どうなってんだ。
オレは何がほしいんだ。

898: 2012/04/05(木) 22:14:06.94 ID:KgRpGWRN0
自分に問いかけるが当然答えは無い。
問いかけはあっという間に心の闇へと落ちていく。


『特にお前は好きだな、かっこいいし話が合うし』


突然声が聞こえた。

もちろん幻聴だ。
今のオレに話しかけられるものはいない。

考える必要も思い出す必要も無い。
それは昨日の夜の勇者との会話だ。

はは、オレはあいつを求めてるって言うのか。
オレが人間を?
バカバカしい。

その時、オレの顔にとある感触がよみがえった。
昨日のはずなのにひどく懐かしく、ひどく愛おしい感触。
温かく、優しい感触。

オレが……人間を?
もしオレが人間なら、あいつが竜だったなら違っただろう。
ただオレは竜であいつは人間。
それが真実だ。

899: 2012/04/05(木) 22:14:47.79 ID:KgRpGWRN0
だがそれを覆す事の出来る答えはオレの中にすでにあった。
竜に伝わる秘術の一つ。
罪を犯した竜への極刑の一つ。
竜が人間になる術。

翼と力と寿命。
はたしてその全てを捨ててまで叶えたい願いなのだろうか。

答えはすでに決まっていた。

オレは多分―――― いや絶対に恋をしていた。
勇者に、勇者の生き方に恋をしていた。

バカだな。
人間に恋するなんて……。
本当にバカだ。

でも。
それでもオレはあいつの傍に居たい。
あいつの生き様を見届けたい。

それは全てを失ってでも叶えたい願い。
いや、全てを失っても十分おつりがくるくらいの願いだ。

オレはまた旋回し、進む方向を変え、竜の山へと、飛び始めた。
最後の空を堪能するため嫌にゆっくりと。

900: 2012/04/05(木) 22:16:14.92 ID:KgRpGWRN0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


竜の山


ドラゴン「竜王はいるか?」ドスドス

ブラックドラゴン「ど、ドラゴン!?」

ドラゴン「なんだ、まるで氏人を見る様な眼つきだな」

ブラックドラゴン「当たり前だ、お前は竜の村の連中に捕まって……」

ドラゴン「残念ながら、助かったんだ」

ブラックドラゴン「そうか、竜王様もさぞお喜びになるだろう」

ドラゴン「そうだな……」

ブラックドラゴン「竜王様を呼んだ方がいいな」


ブラックドラゴンは咆哮した。


ドラゴン「……」

ブラックドラゴン「どうした?」

ドラゴン「竜王が来てから話す」

ブラックドラゴン「……」

901: 2012/04/05(木) 22:17:40.26 ID:KgRpGWRN0
竜王「……」バッサバッサ

竜王「何の用かな?」

ブラックドラゴン「ドラゴンが生きていました」

ドラゴン「久しいな」

竜王「お主……」

ドラゴン「元気そうだな、竜王」

竜王「生きておったのか」

ドラゴン「ああ、人間に助けられてな」

ブラックドラゴン「人間に?」

ドラゴン「ああ、竜の様な人間にな」

竜王「とにかく、無事で良かったな」

ドラゴン「竜王、貴様に頼みたい事がある」

竜王「なんだ?」

ドラゴン「オレを人間にしてほしい」

ブラックドラゴン「な……!?」

竜王「……」

ドラゴン「秘術を使えば可能だろう?」

902: 2012/04/05(木) 22:18:32.12 ID:KgRpGWRN0
ブラックドラゴン「何を馬鹿な事を……」

竜王「理由は、なんだ?」

ドラゴン「とある男の生き様を近くから見たいと思ったんだ」

竜王「……ほう」

ブラックドラゴン「あれは罪を犯した竜に与える極刑の一つだぞ!!」

ドラゴン「なら、罪を犯してこようか?」

ブラックドラゴン「馬鹿な事を言うな!!」

竜王「お主がそれを望むのなら何も言うまい」

ブラックドラゴン「し、しかし……」

竜王「こやつを放っておけば本気で罪を犯す、なら人間にした方が楽だ」

ブラックドラゴン「……」

ドラゴン「話が分かるな」

竜王「……お主の事は代々語り継がれるだろうな、愚かな竜王の一族のものとして」

ドラゴン「かもしれんな」

ブラックドラゴン「かもしれんでは済まないぞ!!」

ドラゴン「オレが直系なら問題だな、だがオレは傍系だ」

竜王「それでも竜王の一族と言う事に変わりないが?」

ドラゴン「なんと言われようともう決めた事だ」

903: 2012/04/05(木) 22:19:13.49 ID:KgRpGWRN0
竜王「迷いは……無いな?」

ドラゴン「ああ」

ブラックドラゴン「本気ですか?」

竜王「眼を見ろ、こやつは本気だ」

ブラックドラゴン「……」

竜王「想像を絶する痛みがお主の体を襲う、それに耐えられるか?」

ドラゴン「耐える」

竜王「何もかもを捨てるのだな?」

ドラゴン「ああ、捨てるさ」

竜王「……最後に、お主はその人間の生き様に惚れたのか?」

ドラゴン「ああ、竜以上に竜らしい生き様にな」

竜王「……そうか」

竜王「ブラックドラゴン、準備を」

ブラックドラゴン「はい」バッサバッサ

竜王「お主はこれから罪を犯した竜となる、もはや竜王の家系どころか、竜としてすら扱われる事はないだろう」

ドラゴン「覚悟の上だ」

竜王「……そうか」

904: 2012/04/05(木) 22:21:32.15 ID:KgRpGWRN0
~~~~~~~~~~~~~~~~~


ドラゴンの村


ドラゴン「人間になったはいいが、どうするかな……」

ドラゴン「何も分からんぞ」スタスタ

ドラゴン「はあ……困ったな……」スタスタ

勇者「お前が、あそこの女の子ぐらいナイスバディだったら間違いが起こるけど、今のお前なら絶対に起こらねぇよ」

女勇者「勇者、下半身にお別れを言いなさい」ニッコリ

勇者「目が本気なんだけど……」

ドラゴン「見つけたぞ」

ドラゴン「……」ニッコリ

ドラゴン「……」スタスタ

女勇者「勇者、こっちに来ましたよ」ヒソヒソ

勇者「え、もしかして聞こえてた?」ヒソヒソ

女勇者「謝った方がいいのではないですか?」ヒソヒソ

勇者「何を謝るんだよ、ナイスバディーは褒め言葉だろ」ヒソヒソ

女勇者「とにかく何とかしてください!!」ヒソヒソ

勇者「俺に言うなよ、お前が何とかしろよ!!」ヒソヒソ

ドラゴン「久しいな」

勇者「え、はい?」

ドラゴン「会いたかったぞ、勇者」


ドラゴンはそう言うと勇者と唇を重ねた。

905: 2012/04/05(木) 22:23:04.84 ID:KgRpGWRN0
ドラゴン編終了です。

チェックが甘く、ミスがあるかもしれません、すいません。


912: 2012/04/06(金) 21:58:11.44 ID:Vx1W+x0F0
~~~~~~~~~~~~~~~

魔王の城


魔王「サキュバスは居るか?」

サキュバス「はい、何でしょうか」

魔王「少し頼みごとがあるんだが、よいか?」

サキュバス「は、はい、喜んで」

魔王「人間達の町に行って本を買ってきてほしいのだ」

サキュバス「ほ、本?」

魔王「書物の事だ、人間達は本と呼んでおるが」

サキュバス「な、なんでそれを?」

魔王「私も人間について少しは知っておこうと思ってな」

サキュバス「わ、わかりました」

魔王「これで買ってきてください」スッ

サキュバス「こ、こんなに高いんですか!?」

魔王「余ったお金はお主の好きなように使ってくれればいい」

サキュバス「い、いいんですか!?」

魔王「構わぬ」

913: 2012/04/06(金) 21:59:37.36 ID:Vx1W+x0F0
サキュバス「あ、ありがとうございます」

悪魔「言っておきますが人間達に正体がバレてはいけませんよ」

サキュバス「わ、わかってます」

悪魔「本当に分かってますか?」

サキュバス「私は魔王様に仕えるものですよ」

悪魔「……そうですね」

サキュバス「そうです」

悪魔「万が一バレたらお仕置きですからね」

サキュバス「あう……」

悪魔「分かりましたね」

サキュバス「わ、わかりました」

悪魔「人間との接触は出来る限り控えるようにするように」

サキュバス「はい」

悪魔「本当に分かってますか?」

サキュバス「わ、分かってますよ!!」

魔王「では、頼むぞ」

サキュバス「は、はい」スタスタ

914: 2012/04/06(金) 22:00:40.35 ID:Vx1W+x0F0
悪魔「迷子にならない様にして下さいね」

サキュバス「わ、わかってます!!」

悪魔「町までは送りますが、帰りは自分で帰ってきてくださいね」

サキュバス「は、はい」

悪魔「町の地図です」スッ

サキュバス「あ、ありがとうございます」

悪魔「とにかく地図をしっかり見るんですよ、そうすれば迷子にはなりません」

サキュバス「わ、わかりました……」

悪魔「じゃあ行きますよ」

サキュバス「は、はい」


悪魔は魔法を詠唱し始める。

915: 2012/04/06(金) 22:02:53.25 ID:Vx1W+x0F0
~~~~~~~~~~~~~~~~





サキュバス「うう……ここ何処……?」ウロウロ

サキュバス「もう全然わかんない……」ウロウロ

サキュバス「……あ、ち、地図を見れば」バサッ

サキュバス「……」

サキュバス「……」

サキュバス「こ、ここ何処?」ウロウロ

妹「どうしたの?」

サキュバス「……あ、あう……に、人間がなんの用!?」

妹「え、私はそうだけど……あなたは違うの?」

サキュバス「……っは、しまった」

妹「あの……」

サキュバス「わ、私も人間よ、あんたと同じ」

妹「だ、だよね」ニッコリ

サキュバス(あ、危ない危ない、お仕置きされる所だった……)

916: 2012/04/06(金) 22:04:45.89 ID:Vx1W+x0F0
妹「で、なんでここをうろうろしてるの?」

サキュバス「そ、その……迷っちゃって……」

妹「迷子なの?」

サキュバス「……そうとも言うし、そうじゃ無いとも……」

妹「迷子?」

サキュバス「……」

妹「……」

サキュバス「そうよ、迷子よ!!」

妹「……何処行くの?」

サキュバス「え?」

妹「私が道教えてあげよっか?」

サキュバス「い、いい――――」

悪魔『人間との接触は出来る限り控えるようにしてくださいね』

サキュバス(危ない危ない……)

サキュバス「だ、大丈夫」

妹「場所分かる?」

サキュバス「だ、大丈夫だから、ありがとね」スタスタ

サキュバス「……」ウロウロ

917: 2012/04/06(金) 22:06:59.17 ID:Vx1W+x0F0
サキュバス「ち、地図を見れば……」バサッ

サキュバス「……」

サキュバス「うう……今何処なの……」

妹「今はここだよ」

サキュバス「……本当に?」

妹「今居るのがここ、行きたい場所は?」

サキュバス「……書物が売ってる場所」

妹「書物……本屋のこと?」

サキュバス「……うん」

妹「本屋はここだよ」

サキュバス「あ、ありがとう」

妹「一人で行ける?」

サキュバス「……ついて来てくれるの?」

妹「いいよ」

918: 2012/04/06(金) 22:07:45.33 ID:Vx1W+x0F0
サキュバス「……ありがとう」

妹「いいよいいよ、一緒に行った方が楽しいし」

サキュバス「あなたもお使い?」

妹「うん、お姉ちゃん達は忙しいから私が代わりに買い物してあげてるの」


一方 お姉ちゃん達


男の子「……」チュウチュウ

ドラゴン「本当に飲むんだな」

女勇者「当たり前でしょう」

ドラゴン「……ただ少しくすぐったいな」

女勇者「我慢してください」

暗殺者「洗濯ってこんな感じでいいのか?」

女勇者「はい、そんな感じです」

女の子「うう……」

女勇者「泣かないで下さいね……お願いだから泣かないで下さいね」

女の子「おぎゃー!!」

暗殺者「泣いてるぞ」

女勇者「……分かってます」

929: 2012/04/07(土) 21:52:41.00 ID:p+gZLNtR0
女勇者は女の子を抱きあげる。


ドラゴン「悪いな」

女勇者「いえ、大変なのは分かってますから」

男の子「あー」

ドラゴン「ん、どうした?」

男の子「だー」

ドラゴン「?」

女勇者「甘えてるんですよ、母親だと思って」

ドラゴン「ああ、そう言う事か」

暗殺者「勇者そっくりだな」

女勇者「まったくです」

ドラゴン「そうか?」

女勇者「最初っから甘えっぱなしだったじゃないですか、勇者は」

暗殺者「ああ、甘えっぱなしだな」

女の子「おぎゃー!!」

女勇者「お願いですから泣き止んで下さい」ナデナデ

930: 2012/04/07(土) 21:55:00.57 ID:p+gZLNtR0
女の子「うう……」

女勇者「よしよし、いい子です、いい子ですね」

ドラゴン「あやすのうまいんだな」

女勇者「子供のあやし方は覚えましたから」

暗殺者「そうやってやるといいのか」

女勇者「……このくらい出来ないと結婚できませんよ」

暗殺者「余計なお世話だ」

女勇者「結婚しない気ですか?」

暗殺者「お前こそ結婚しないのか?」

女勇者「気が向いたらしますよ」

暗殺者「……気が向いたら、ね」

女勇者「急ぐ事も無いでしょう」

暗殺者「ま、そうかもな」

男の子「すー、すー」スヤスヤ

ドラゴン「寝たか」

女勇者「みたいですね」

ドラゴン「いろいろ悪いな」

931: 2012/04/07(土) 21:56:57.67 ID:p+gZLNtR0
女勇者「いえ、別にいいんですよ」

女の子「うー」

女勇者「なんですか?」

女の子「あー」

女勇者「甘えて……るんですかね?」

ドラゴン「そうだろ」

暗殺者「だろうな」

女勇者「でも残念ですが母乳は出ませんよ」

暗殺者「貧Oだからな」

女勇者「関係ありません」

暗殺者「あ、そう」

暗殺者「……怒らないのか?」

女勇者「怖がらせてしまいますから……」

暗殺者「……」プルプル

女勇者「それ以上笑いをこらえるなら怒りますからね」

暗殺者「すいません」

932: 2012/04/07(土) 21:59:15.28 ID:p+gZLNtR0
~~~~~~~~~~~~~~~~~


町中 


妹「ここが本屋だよ」

サキュバス「なんか……書物っぽくない……」

妹「どういう本がほしいの?」

サキュバス「あ、人間の生態がわかる本とかかな」

妹「え?」

サキュバス「あ……えーと」

妹「人間の生態って事は……医療とかって事?」

サキュバス「いや、そういうのじゃなくて、その……」

妹「?」

サキュバス「なんて言うか……」

妹「どんな本がほしいの?」

サキュバス「と、とりあえず人間について分かる本がほしい」

妹「うーん、じゃあとりあえずこれでいいんじゃないかな?」スッ

サキュバス「へー、こんな本あったんだ」

933: 2012/04/07(土) 22:03:20.26 ID:p+gZLNtR0
妹「それでいい?」

サキュバス「えーと……多分大丈夫だと思う」

妹「良かったね」

サキュバス「ありがとう」

妹「じゃあ私お買い物があるから」

妹「じゃあ、またね」

サキュバス「あ、待って」

妹「?」

サキュバス「何かお礼させて」

妹「お礼?」

サキュバス「魔王様から言われてるの、助けられたら何か恩返しをしなさいって」

妹「魔王様?」

サキュバス「あ、その、私のお母さんみたいな人よ」

妹「へー」

サキュバス「何か手伝わせてくれない」

934: 2012/04/07(土) 22:04:13.86 ID:p+gZLNtR0
妹「別にいいよ、私そんなに大変な事してあげてないし……」

サキュバス「お願い」

妹「……じゃあ私のお使いを手伝ってくれる?」

サキュバス「いいわよ」

妹「本当にいいの?」

サキュバス「いいよ」

サキュバス「……」

妹「どうしたの?」

サキュバス「何か忘れてるような……まあ、きっと気のせいよね」

妹「大事な事じゃないの?」

サキュバス「うーん、でも忘れちゃってるし大事な事ではないと思う」

サキュバス「で、まず何処行くの?」

妹「まずは野菜」

サキュバス「場所は?」

妹「あっち」

サキュバス「じゃあ出発!!」タタタッ

935: 2012/04/07(土) 22:06:29.65 ID:p+gZLNtR0
妹「うん」タタタッ

ドンッ

サキュバス「あ、ごめん……なさい」

頃し屋「いいよいいよ、こっちこそごめんね」

町娘「大丈夫、立てる?」

サキュバス「だ、大丈夫」

頃し屋「ごめんね」

町娘「怪我はしてない?」

サキュバス「だ、大丈夫ですから」

頃し屋「ごめんね」スタスタ

町娘「何なら殴ってもいいわよ」ボソッ

サキュバス「い、いいですいいです!!」

町娘「そう、ごめんね」タタタッ

妹「大丈夫?」

サキュバス「だ、大丈夫よ、早く行こ」タタタッ

妹「うん」タタタッ

妹「……あの男の人、何処かで会った様な……」

943: 2012/04/08(日) 21:52:08.04 ID:ZQYjWWre0
一方  頃し屋達


町娘「……ふーん」

頃し屋「ん、何?」

町娘「……やっぱり子供と話すのうまいわね」

頃し屋「そう?」

町娘「ええ、子供相手に仕事してる私よりずっとうまい」

頃し屋「まあ、お前の性格だと子供と本気で喧嘩しそうだしね」

町娘「な、なんでわかるの!?」

頃し屋「だいたい予想がつくよ」

町娘「……悪かったわね」

頃し屋「俺は別にいいと思うけどね、子供と同じ目線に立てて」

町娘「……ありがと」ボソッ

頃し屋「じゃあ行こうか」

町娘「う、うん」

944: 2012/04/08(日) 21:53:30.36 ID:ZQYjWWre0
頃し屋「確かこっちだったよね」スタスタ

町娘「あ、ありがとね」

頃し屋「え、何が?」

町娘「その……誘ってくれて」

頃し屋「この前のお礼だよ、おいしいご飯のお礼」

町娘「……」

頃し屋「ん、どうかしたの?」

町娘「教えてくれない?」

頃し屋「……」

町娘「私、やっぱりお父さんの事知りたいから」

頃し屋「……後悔しても知らないよ」

町娘「いいよ、私、お父さんの事もあなたの事も知りたいから」

頃し屋「……いいよ、でも飯食べた後でいい?」

町娘「いいわよ」

945: 2012/04/08(日) 21:55:59.37 ID:ZQYjWWre0
町娘「……」スタスタ

頃し屋「……」スタスタ

町娘「……いや、何か無いの?」

頃し屋「え?」

町娘「今の結構勇気を出して言ったんだけど」

頃し屋「私、やっぱりお父さんの事知りたいから、って所?」

町娘「その後」

頃し屋「私、お父さんの事もあなたの事も知りたいから、の所?」

町娘「そこ、そこの一部」

頃し屋「俺の事知りたいって事?」

町娘「うん……悪いんだけどもう一回言うのやめてくれない」///

頃し屋「そうだね……友達として知ろうって事はすごく大切だしね」

町娘「……」

頃し屋「ん?」


町娘の右ストレートが頃し屋の顔面にあたる。


頃し屋「顔を本気で殴るのはダメだと思うよ、女の子として……」

町娘「うるさい、行くわよ!!」

頃し屋「……訳わかんないよ」

946: 2012/04/08(日) 21:57:57.68 ID:ZQYjWWre0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


食材屋


妹「えーと、ニンジンとジャガイモと……あとキャベツ下さい」

食材屋「はいよ」スッ

妹「ありがとう」

食材屋「一人で買い物かい、偉いね」

妹「お姉ちゃん達が赤ちゃんのお世話で忙しいからね」

食材屋「いい子だね、40ゴールドでいいよ」

妹「本当に!?」

食材屋「ああ」

妹「ありがとう」

サキュバス「私が持つわ」

妹「え、いいの?」

サキュバス「それじゃあ付いてきただけになっちゃうじゃない」

妹「……じゃあお願い」

サキュバス「任せて」

947: 2012/04/08(日) 21:59:14.72 ID:ZQYjWWre0
妹「後は肉と魚ね」

サキュバス「肉屋と魚屋は?」

妹「あっち」スタスタ

サキュバス「まだ小さいのにお使いして偉いね」スタスタ

妹「私と同じくらいの年じゃないの?」スタスタ

サキュバス「人間と悪魔じゃ寿命が全然違うわよ」スタスタ

妹「悪魔?」

サキュバス「あ、何でもない、関係ないから」

妹「?」

サキュバス「本当に気にしなくていいから」

妹「わかった……じゃあ、行こっか」

サキュバス「そうね」

サキュバス「赤ちゃんって、お姉さん子供が生まれたの?」

妹「うん、男の子と女の子だよ」

サキュバス「かわいい?」

妹「凄くかわいい!!」

948: 2012/04/08(日) 22:02:09.23 ID:ZQYjWWre0
少ないですが今日はここまでです。

急用であまり書けませんでした。すいません

明日からは普段通り投下できるよう頑張ります。

953: 2012/04/09(月) 21:51:20.01 ID:GWVgewZj0
妹「で、お姉ちゃん達は赤ちゃんのお世話で忙しいからお手伝いしてるの」

サキュバス「いい子なのね」

妹「別にそういうのじゃないよ、私みんなに迷惑かけてるし、たまには何かしてあげなくちゃ」

サキュバス(本当にいい子ね)

サキュバス「じゃあ行こっか」スタスタ

妹「あ、うん」スタスタ

妹「……あなたは誰に頼まれてお手伝いしてるの?」スタスタ

サキュバス「魔王様よ」スタスタ

妹「お母さんみたいな人?」スタスタ

サキュバス「うん、優しくって強くって、凄く素敵な人」スタスタ

妹「お姉ちゃんと一緒だね」スタスタ

サキュバス「あなたのお姉ちゃんも強いんだ」スタスタ

妹「うん、狼なら一撃で倒せるって言ってた」スタスタ

サキュバス「……」スタスタ

妹「凄いでしょ」スタスタ

サキュバス「う、うん……」スタスタ

954: 2012/04/09(月) 21:52:29.96 ID:GWVgewZj0
サキュバス(人間って思ったより弱くないのね……)スタスタ

妹「こんにちは」

魚屋「お、今日はお友達と一緒かい?」

妹「うん」

魚屋「かわいい子だね、名前は?」

サキュバス「さ、サキュバスです」

魚屋「サキュバス……また変わった名前だね」

サキュバス「よ、よく言われます」

サキュバス(人間じゃないからね……)

魚屋「そうだ、昨日女大臣が来てたよ」

妹「え、本当?」

魚屋「ああ、君の紹介で来たって言ってたね、宣伝してくれてありがとう」

妹「別に宣伝なんてしてないよ」

魚屋「いやいや、いつもうちの店で買い物してくれるし、うれしいよ」

妹「えへへ」

魚屋「で、今日は何がほしいんだい?」

955: 2012/04/09(月) 21:53:48.26 ID:GWVgewZj0
妹「お勧めの魚!!」

魚屋「はいよ、今日はこれとこれだな」

妹「ありがとう」

魚屋「90ゴールドでいいよ」

妹「はい」チャリン

魚屋「じゃあね」

妹「はい」スタスタ

サキュバス「私が持つわ」

妹「別にいいよ、野菜も持ってもらってるし」

サキュバス「いいからいいから」パシッ

妹「……あ」

サキュバス「次は肉屋でしょ、早く行こ」スタスタ

妹「あ、うん……」スタスタ

妹「……サキュバスっていうんだね」スタスタ

サキュバス「あ、うん、変な名前でしょ」スタスタ

妹「ううん、いい名前だと思うよ」スタスタ

サキュバス「そ、そうかな?」スタスタ

956: 2012/04/09(月) 21:55:45.50 ID:GWVgewZj0
妹「うん、いい名前だよ」スタスタ

サキュバス「……ほ、本当に?」スタスタ

妹「うん、凄く」スタスタ

サキュバス「ありがとう」スタスタ

妹「別にお礼言われる様な事言ってないよ」ニコニコ

妹「こんにちは」

肉屋「ああ、こんにちは」

妹「豚肉下さい」

肉屋「はいよ、100ゴールドな」

妹「はい」チャリン

肉屋「ありがとね」

妹「うん」スタスタ

妹「もう持てないから私が持つね」

サキュバス「……ごめんね、しっかり恩返し出来なくて」

妹「いいよ、二つ持ってもらってるだけで十分」

957: 2012/04/09(月) 21:56:42.41 ID:GWVgewZj0
サキュバス「ねえ、さっき言ってた女大臣ってあなたのお姉ちゃんの事?」

妹「違うよ、女大臣は私の友達」

サキュバス「そうなんだ」

サキュバス(聞いたことある様なない様な……)

妹「魔法もできるし剣も上手なんだよ」

サキュバス「へー、凄いのね」

妹「うん、お姉ちゃんも女大臣は凄い人だって言ってた」

サキュバス「ふーん」

妹「サキュバスちゃんにはどんなお友達がいるの?」スタスタ

サキュバス「ち、ちゃん!?」スタスタ

妹「うん、サキュバスちゃんでしょ」スタスタ

サキュバス「……まあ、うん、そうね」スタスタ

妹「どんな子が居るの?」スタスタ

サキュバス「うーん、友達って言っていいのかわかんないけど厳しく人が居る」スタスタ

妹「厳しいの?」スタスタ

サキュバス「うん、厳しくて年寄り臭いし、頭は硬いけど凄くいい人」スタスタ

958: 2012/04/09(月) 21:58:02.33 ID:GWVgewZj0
妹「その人の事好きなんだ」

サキュバス「好きって言うより、尊敬してる」

サキュバス「……あ、家ってどっち」スタスタ

妹「こっち、お茶でも飲んでいってよ」スタスタ

サキュバス「え、でもそれじゃあまた――――」スタスタ

妹「お友達が家に遊びに来たらお茶を出してあげるのが普通でしょ」スタスタ

サキュバス「お、お友達?」スタスタ

妹「うん」スタスタ

サキュバス「えーと……誰が?」スタスタ

妹「サキュバスちゃんに決まってるじゃない」スタスタ

サキュバス「……え、あ……」スタスタ

妹「?」スタスタ

サキュバス「わ、私よね?」スタスタ

妹「うん」スタスタ

サキュバス「い、いいの?」スタスタ

妹「うん、いいよ」スタスタ

サキュバス「あ、ありがとう」スタスタ

妹「いいよ、だって友達だもん」スタスタ

妹「行こ」

サキュバス「あ、うん」スタスタ

959: 2012/04/09(月) 21:59:53.30 ID:GWVgewZj0
~~~~~~~~~~~~~~


とある村


悪人「あぐっ」ドサッ

弓兵「動くな」

悪人「て、テメェ……」

弓兵「わざわざ言わなくても分かってるよな?」

悪人「……」

弓兵「余罪なんかはゆっくり調べてやるから安心しろ」

悪人「……くそが」

女大臣「連れて行って下さい」

兵士「はっ!!」


二人の兵士が悪人を連れていく。


弓兵「いろいろ助かった、感謝する」

女大臣「やめて下さい、お礼を言うのは私の方です」

弓兵「これで区切りが付けられそうか?」

女大臣「……いえ、これからですよ」

963: 2012/04/10(火) 22:03:18.92 ID:tOf0cC7S0
女大臣「まだ捕まえただけです、ここからが大変です」

弓兵「余罪の証明……か」

女大臣「はい」

弓兵「材料は?」

女大臣「出来る限り集めるつもりです」

弓兵「……そうか」

女大臣「もちろんあなた方への協力は怠りませんので安心して下さい」

弓兵「まあ、今の所は特に協力してもらう様な事は無いけどな」

女大臣「……そうですか」

弓兵「さて、じゃあ俺は行くかな」

女大臣「いろいろありがとうございました」

弓兵「あ、師匠に会いに行っとかなくていいのか?」

女大臣「はい、全部片付いてから全部報告するつもりです」

弓兵「そうか……」

女大臣「もちろんあの二人にも」

弓兵「……ほら、あの事件の資料だ」スッ

女大臣「え、あ、ありがとうございます」パラパラ

964: 2012/04/10(火) 22:06:25.51 ID:tOf0cC7S0
女大臣「どうしたんですか?」

弓兵「あいつの余罪追及用に借りといたんだ」

女大臣「ならあなたが使った方が……」

弓兵「俺よりよっぽどうまく調べられるだろ?」

女大臣「……」

弓兵「ならお前が調べろ」

女大臣「ありがとうございます」

弓兵「仕事を押し付けたんだ、お礼なんて言うな」

女大臣「……そうですね」

弓兵「……なんでもいいから証拠を見つけろよ」

女大臣「そのつもりです」

弓兵「じゃあそれは任せたぞ」スタスタ

女大臣「はい」

965: 2012/04/10(火) 22:09:43.85 ID:tOf0cC7S0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


勇者の家


妹「ただいま」ガチャ

サキュバス「こんにちは」スタスタ

女勇者「ああ、お友達ですか」

ドラゴン「狭い所だがゆっくりしていけ」

サキュバス「……あ、あれ?」

暗殺者「懐かしいな」

ドラゴン「おお、サキュバスか」

サキュバス「え、え?」

妹「あれ、知ってるの?」

暗殺者「ああ、旅の途中で一回会ってる」

サキュバス「もしかしてお姉ちゃんって……」

妹「うん、ドラゴンお姉ちゃんと女勇者お姉ちゃんだよ」

サキュバス「……そりゃ狼も一撃で倒せる訳ね……」

女勇者「あなたこそ何故町に?」

966: 2012/04/10(火) 22:10:37.87 ID:tOf0cC7S0
ドラゴン「で、なんで妹と一緒なんだ?」

妹「お買い物の途中で仲良くなったの」

暗殺者「……迷子になって妹に助けてもらったのか」

サキュバス「な、なんでそれを……」

暗殺者「お前の昔の事を思い出せば十分想像できるよ」

サキュバス「……」

女勇者「で、二人とも買い物は出来たんですか?」

サキュバス・妹「うん」

女勇者「なら良かったです」

妹「はい、お茶」

サキュバス「あ、ありがとう」

勇者「そう言えば帰り道は大丈夫なのか?」

サキュバス「……」

暗殺者「行きも来てるんだし大丈夫……だよな?」

サキュバス「わ、わかんない……」

勇者・暗殺者「やっぱりか……」

サキュバス「で、でもだいたい道は覚えてるから……」

968: 2012/04/10(火) 22:11:55.79 ID:tOf0cC7S0
魔王「迎えに来たぞ」スタスタ

サキュバス「ま、魔王様!?」

魔王「予想はしておったがやっぱり迷子になっておったか……」

サキュバス「す、すいません」

魔王「いや、別に謝る事ではない」

サキュバス「……」

勇者「来てもいいのか?」

魔王「短時間なら大丈夫だ」

勇者「そうか」

ドラゴン「元気そうだな」

魔王「……子供も生まれておったのか」

勇者「まあな」

魔王「おめでとう」

勇者・ドラゴン「ありがとう」

魔王「サキュバス、そろそろ帰るぞ」

サキュバス「は、はい!!」

魔王「サキュバスがいろいろ世話になったな」

女勇者「それは妹に言って下さい」

969: 2012/04/10(火) 22:15:28.10 ID:tOf0cC7S0
魔王「いろいろ迷惑をかけたな」

妹「友達だもん、別にいいよ」

魔王「……よかったな」

サキュバス「はい」

魔王「では、またな」ガチャ

勇者「また時間があったら遊びに来てくれ」

魔王「ああ、そうさせてもらう」

妹「また遊びに来てね」

サキュバス「うん」スタスタ

魔王「……悪魔には私が言っておこう」スタスタ

サキュバス「え?」

魔王「今回は大目に見るが、次回からは気をつけるようにな、あと道はしっかり覚えるんだぞ」

サキュバス「は、はい」

魔王「では行くぞ」

サキュバス「はい」


魔王は魔法を詠唱し始める。

974: 2012/04/11(水) 21:55:54.71 ID:SeU6hQ5p0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


魔王の城


魔王「ただいま」スタスタ

サキュバス「ただいま帰りました」スタスタ

悪魔「まったく、また迷子になるとは……お仕置きが必要なようですね」

サキュバス「え、え!?」

魔王「まあまあ、サキュバスも初めての町で疲れたんだろ、大目に見てやってくれ」

悪魔「……仕方ありませんね、今回だけ特別ですよ」

サキュバス「あ、ありがとうございます」

魔王「ただ道はしっかり覚える様にするんだぞ」

サキュバス「は、はい」

悪魔「私がしっかり教えておきます」

サキュバス「……はい」

魔王「あんまり厳し過ぎないようにな」

悪魔「わかっています」

サキュバス「……」ホッ

悪魔「サキュバス」

975: 2012/04/11(水) 21:58:43.24 ID:SeU6hQ5p0
サキュバス「え、あ、はい!!」

悪魔「本は買ってこれたんですか?」

サキュバス「あ、はい、これです」スッ

悪魔「……なかなか良さそうな本ですね」パラパラ

サキュバス「ありがとうございます」

魔王「今日は疲れただろ、ゆっくり休め」

サキュバス「は、はい」ガチャ

悪魔「……」

魔王「ふふっ」

悪魔「あの子にしてはよくやりましたね」

魔王「ああ、よくやったよ」

悪魔「迷子になったのは駄目でしたが……」

魔王「まだ小さいんだ、そのくらい大目に見てやってもいいだろ」

悪魔「……そうですね」

魔王「ああして大きくなっていけばいいだろ」

悪魔「はい」

976: 2012/04/11(水) 21:59:37.84 ID:SeU6hQ5p0
~~~~~~~~~~~~~~~~~


女勇者達の部屋


妹「……」スヤスヤ

女勇者「寝ましたね」

暗殺者「そうだな」

女勇者「お使いで疲れたんでしょうね」

暗殺者「だろうな」

女勇者「あなたも疲れてるんなら寝たらどうですか?」

暗殺者「今日は休みだったんだ、疲れてない」

女勇者「慣れない子供の面倒で疲れてるんじゃないですか?」

暗殺者「まあ、多少は疲れてるかもな」

暗殺者「それを言うなら、お前はどうなんだ?」

女勇者「私は慣れていない訳ではありませんよ」

暗殺者「そうか」

女勇者「……」

977: 2012/04/11(水) 22:02:07.76 ID:SeU6hQ5p0
暗殺者「……昼の話の続きだけどさ、お前本気で今は結婚しないのか?」

女勇者「ええ、さっきも言いましたが今の所はする気はないです、ドラゴンの子供といる方が楽しいですし」

暗殺者「子供といる方が、ね……」

女勇者「ええ」

暗殺者「……ならドラゴンと勇者の子供と結婚したらどうだ?」

女勇者「……確かにいい考えですね」

暗殺者「おい」

女勇者「冗談ですよ」

暗殺者「だよな」

女勇者「ま、本当の所は何とも言えませんが、今の所はただの冗談です」

暗殺者「……いろいろ含んだな言い回しだな」

女勇者「正直私にもどうなるかは分かりませんから、断定は出来ませんよ」

暗殺者「まあ、そう言えばそうかもな」

女勇者「それはそれで面白いと思いますけどね、勇者が」

暗殺者「おいおい……」

978: 2012/04/11(水) 22:04:17.14 ID:SeU6hQ5p0
女勇者「あなたこそ結婚する気はないんですか?」

暗殺者「うーん、まあ俺はいろいろ面倒臭いからな」

暗殺者「結婚は難しいだろ」

女勇者「……すいません」

暗殺者「別にいいよ、気にしてないし」

暗殺者「なんだかんだ言ってもここでの生活は楽しいしな」

女勇者「ええ」

暗殺者「まあ、お互いゆっくり考えとくか」

女勇者「そうですね」

暗殺者「……」

暗殺者「本気で考えてるのか?」

女勇者「……どうでしょうね」

979: 2012/04/11(水) 22:04:58.59 ID:SeU6hQ5p0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


勇者の部屋


男の子・女の子「……」スースー

ドラゴン「やっと寝たか」

勇者「泣き疲れたんだろ」

ドラゴン「だろうな」

勇者「……いろいろ手伝えなくて悪いな」

ドラゴン「その気持ちだけで十分だ」

勇者「……いろいろ大変じゃないか?」

ドラゴン「そこまで大変な訳じゃない」

勇者「そうか?」

ドラゴン「そうだ」

ドラゴン「それに女勇者達もいるからそこまで大変じゃない」

勇者「……」

980: 2012/04/11(水) 22:05:48.54 ID:SeU6hQ5p0
ドラゴン「そう心配するな」

勇者「……ああ」

ドラゴン「よしよし、いい子だ」

勇者「……俺は子供じゃねぇぞ」

ドラゴン「そうだな、あははは!!」

勇者「……」

ドラゴン「なんだ、怒ったのか?」

勇者「そんな事で怒ってたら生きていけねぇよ」

ドラゴン「そう言われればそうかもな、あははは!!」

勇者「何がそこまで面白いんだよ……」

ドラゴン「全部だよ、全部」

勇者「……まあ、楽しいのならいいか」

ドラゴン「ああ、楽しい方がいいだろ」

勇者「そうだな」

勇者「……」

ドラゴン「……」

ドラゴン「じゃあ寝るかな」スタスタ

981: 2012/04/11(水) 22:07:49.68 ID:SeU6hQ5p0
勇者「え?」

ドラゴン「え?」

勇者「いや、いつもと違うなと思って……」

ドラゴン「何がだ?」

勇者「いつもだったらキスしろとか言うじゃん」

ドラゴン「言ってほしいのか?」

勇者「いや、そういう訳じゃないけど……」

ドラゴン「……じゃあオレは寝るぞ」

勇者「ちょっと待て!!」

ドラゴン「なんだ」

勇者「キスしてくれ……」ボソッ

ドラゴン「ん?」

982: 2012/04/11(水) 22:10:37.02 ID:SeU6hQ5p0
勇者「キスしてくれ!!」

ドラゴン「……仕方ないな」


ドラゴンは勇者と唇を――――。


男の子「おぎゃー!!」

勇者「……俺があやすよ」


勇者は男の子を抱きあげる。


ドラゴン「頼む」

勇者「どうしたんだ?」ナデナデ

ドラゴン「あやし終わったらキスしてやるよ」

勇者「楽しみにしとくよ」

ドラゴン「ああ、楽しみにしとけ」

983: 2012/04/11(水) 22:13:50.37 ID:SeU6hQ5p0
これでラストになります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

最初は何かと不安だらけで、かなり心配されてしまっていましたが何とか完結出来ました。

ありがとうございました。

984: 2012/04/11(水) 22:15:42.86 ID:SeU6hQ5p0
※次スレ予告

次は恋と正義と弾丸と竜の青春物語(仮)です。

なお、竜の設定はこれとは完全に別物になります。

スレタイ 男「お前は?」ドラゴン「ドラゴンよ」

完全に別物なのでURLは張りません。いろいろ迷惑をかけて申し訳ありません。

ではまた機会があれば。

985: 2012/04/11(水) 22:23:16.66 ID:dMor/v+oo

心から乙
楽しかった

986: 2012/04/11(水) 22:24:27.82 ID:DfZS9fnXo
乙!

987: 2012/04/11(水) 22:29:39.45 ID:nBYoQkljo
長かったですね、乙です

引用: 勇者「パーティーにまともな奴がいない……」 ドラゴン「その2だ」