1: 2024/06/22(土) 21:40:53.43 ID:5LKjHzWo0.net
ロボット「はい。今までいくつもの時代でスクールアイドルが襲撃されています」

花帆「いくつもの時代?」

ロボット「敵は『MST(ミスト)』を名乗る組織で私たちよりも遥か未来からやってきたと自称しています」

花帆「そんな人たちが来たらどうすればいいの!? 他の時代のスクールアイドルたちは!?」

ロボット「そのために私が別の時代から来ました。あなたたちの戦いをサポートするために」

花帆「戦い?」

ロボット「MSTの襲来に呼応して皆さんも力に目覚めるはずです」

花帆「確かに今朝からすごい力が沸き上がる感覚があるなぁ」

ロボット「力を自覚すれば、自ずと出来ることもわかるはずです」

花帆「あれ、なんかわかる気がする……“Reflection in the mirror”!」

2: 2024/06/22(土) 21:41:19.11 ID:5LKjHzWo0.net
花帆「これがあたしの能力……」

ロボット「それがあなたの適性のようですね。おそらく他の皆さんも――」

コンコン

花帆「もしかして梢センパイ? はーい」

ガチャ

梢「花帆。吟子さんも……あら?」

ロボット「こんにちは、乙宗梢さん。何か異変を感じてここにいらしたのでしょう」

梢「確かにそうなのだけれど、貴女は一体?」

吟子「花帆先輩、梢先輩と、この方は?」

花帆「この子は別の時代からやってきたロボットだよ!」

吟子「え?」

~説明中~

梢「つまりこの力はスクールアイドルを守るためにあると」

吟子「信じるしかないですよね。こんな花帆先輩を見たら」

花帆「見て吟子ちゃん、カチカチだよ!」カチカチ

3: 2024/06/22(土) 21:41:32.28 ID:5LKjHzWo0.net
能力<Reflection in the mirror(スリーズブーケ)>
体の表面を硬化する能力。凹凸のない銀色の表面は鏡のようで、非常に高い強度を誇る。

花帆:能力抜きで頑丈さに優れる上に、全身を隈なく硬化することで絶対的な防御力を誇る。

梢:最高峰のパワー、頑丈さ、スピードを併せ持つ。硬化は同時に体の一部分しかできないが、硬化した拳のラッシュで破壊できないものはない。

吟子:全身の硬化に加え、同じ素材で自由な形を作成し、武器として使用できる。パワーが高く、スピードもそこそこで近接戦が得意だが、防御力は低く能力頼みとなっている。

4: 2024/06/22(土) 21:45:29.08 ID:5LKjHzWo0.net
さやか(朝起きてから何度も時が止まっている。そして私はその間も動くことができた。私はなんとなく、直感でその原因と思われる場所に向かっていた)

小鈴「さやか先輩!」

さやか「小鈴さん、もしかして」

小鈴「徒町、時を止めることができるようになりました!」

さやか「もしかしてさっきから何度も時を止めているのは小鈴さんですか?」

小鈴「えっと、徒町が止めたのは3回ですけど、勝手に時間が止まることもあります」

さやか「はぁ、そうだろうと思ってました」

コンコン

ガチャ

綴理「さや、すず。見て見て、“Sparkly Spot”」

カチッ

さやか「わかってますよ。動けるのは私たちだけなんですから」

5: 2024/06/22(土) 21:45:40.57 ID:5LKjHzWo0.net
能力<Sparkly Spot(DOLLCHESTRA)>
時を止める能力。および時間停止中に動ける能力。

さやか:身体能力が高くスピードに優れる。ただし時間停止は1秒間、インターバルが20秒と性能は低め。他人の時間停止中でも長く動ける。

綴理:身体能力はやや低めだが3秒間の時間停止が可能。インターバルは10秒で、他人の時間停止中は2秒間まで動ける。

小鈴:パワーに秀でているが鈍重。時間停止は2秒までだがインターバルが5秒と短い。他人の時間停止中は3秒まで動ける。

6: 2024/06/22(土) 21:50:20.14 ID:5LKjHzWo0.net
~部室~

梢「集まったわね。来てもらった理由なのだけれど――」

綴理「この子、誰?」

ロボット「こんにちは」

梢「コホン。それで、私たちが突然謎の力に目覚めたことに関して、この子から説明があるそうよ」

ロボット「蓮ノ空女学院の皆さん、はじめまして。私は皆さんに迫る危機をお伝えし、サポートするために別の時代から来ました」

小鈴「別の時代……ジュラ紀ですか!?」

さやか「ジュラ紀にロボットはおろか人すらいませんよ」

綴理「ロボット?」

ロボット「はい。私はとあるスクールアイドルによって作られたロボットです。私を作った方も皆さんと同じ力に目覚め、戦いました」

7: 2024/06/22(土) 21:50:35.12 ID:5LKjHzWo0.net
~説明後~

慈「それでその『MST』とかいうのはいつ来るの?」

ロボット「今からおよそ10時間後です」

花帆「もっと早く準備したかったなぁ」

ロボット「能力を発揮できる時間が一日程度しかないようなので、あまり早く来ても信じていただけなかったでしょう」

さやか「その言い方だと、私たちが能力に目覚めている理由を知らないのですか?」

ロボット「はい。私が作られた時代よりも前からこの現象は起きているみたいです。ただ一つ言えることは、この力がなければとうにスクールアイドルは歴史から抹消されていると」

梢「そこについてあまり考えている時間はないわね。まずは能力について情報共有をしましょう」

慈「みらくらぱーくの能力は再生能力だよ」

瑠璃乃「といってもルリとめぐちゃんで結構違うんだけどね」

慈「私は傷を治せる能力で、どんな怪我でも生きてさえいれば10秒で元通り!」

梢「私たちが接近して戦うことになるだろうから、慈がいると心強いわね」

花帆「慈センパイはあたしが守りますよ! あたし頑丈ですから」

さやか(花帆さん、体が頑丈なのがよっぽど嬉しいんだろうなぁ)

8: 2024/06/22(土) 21:50:45.69 ID:5LKjHzWo0.net
能力<アイデンティティ(みらくらぱーく!)>
再生能力。ただし再生できる対象が各人によって異なる。

瑠璃乃:破壊された物体を再生できる。直ろうとする力はとても強く抗うことができない。射程距離は20m。身体能力はやや高め。

慈:損傷した身体を再生できる。重傷でも生きてさえいれば10秒で完治する。ただし自分は再生できない。射程距離は20m。身体能力は最低。

姫芽:物体と身体の両方の再生ができる。ただしどちらも直接触れる必要がある。自分は再生できない。身体の再生速度は慈の1/50倍。身体能力は高め。

10: 2024/06/22(土) 21:53:44.79 ID:5LKjHzWo0.net
慈「スリブは硬化でドルケは時間停止かぁ」

姫芽「時間停止はやばい。ラグで止まるだけでも命とりなのに……」

綴理「ボクは3秒まで止められる」

慈「? 止まってるのに3秒ってどういうこと?」

小鈴「あれ、じゃあずっと止められるんですか?」

さやか「なんで小鈴さんもわかってないんですか」

梢「私たちは拳で戦うとして、みんなは吟子さんの作る武器を持つべきだと思うの」

吟子「私は戦闘中でも作れるので状況に応じて変えます」

姫芽「SMG」

吟子「え?」

姫芽「サブマシンガンが欲しい」

吟子「出来ないから」

姫芽「じゃあナイフかな~。投げるのも欲しい」

小鈴「徒町はハンマーがいいです! とにかく大きいの!」

吟子「ちゃんと扱える武器じゃないとだめだよ。力が強くなってるからって」

綴理「止まってる間に、どーんってできるからいいと思う」

さやか「なるほど、大振りで威力の大きいハンマーは時間停止との相性がいいですね」

花帆「さやかちゃん今ので分かったんだ……」

11: 2024/06/22(土) 21:53:59.27 ID:5LKjHzWo0.net
慈「私は回復に専念したいけど、持つなら盾かな」

瑠璃乃「めぐちゃんパワー低めだから盾ごと吹っ飛ばされたりしない?」

慈「いざとなったら捨てるから大丈夫」

綴理「ボクは槍がいいな」

さやか「私はサーベルを下さい。二本お願いします」

花帆「あれ、時間停止があるから一発がでかいのにするんじゃないの?」

さやか「私たちは停止中にたくさん攻撃することを狙います」

花帆「なるほど~」

瑠璃乃「吟子ちゃん、ちょっとこの絵みたいな感じで作ってほしいんだけど」

吟子「えっと、ブーメラン? これは……」


こうして作戦会議と訓練をして敵を迎え撃つことになった。

ロボット「まもなく襲撃の時刻です」

梢「生徒の避難は完了した……いよいよね」

12: 2024/06/22(土) 21:56:36.13 ID:5LKjHzWo0.net
蓮ノ空のグラウンドの上空に黒い穴が開いた。

そこから二つの影が下りてくる。

UMI「おや、お出迎えですか。歓迎されてはいないようですが」

KOTORI「あの子、蓮ノ空のスクールアイドルじゃない。多分時空を超えて干渉する存在だよ」

その姿は制服を着た高校生のようだが、ロボット曰くアンドロイドらしい。

梢「この子の言っていた通りね」

慈「μ’sの姿でスクールアイドルを滅ぼしに来るとか、悪趣味すぎ」

UMI「その様子だと、説明は不要のようですね」

KOTORI「なんでかはわからないけど力も身に着けてるみたい」

UMI「我が名はUMI。歴史からスクールアイドルを抹消するために来ました」

KOTORI「KOTORIです。抵抗するなら、仕方ないよね」

梢「姿かたちは関係ないわ。スクールアイドルを守る、それだけよ」

戦いが始まった。


能力<Dream Believers(蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ)>

テレパシーで意思疎通をする能力。個人差はない。

13: 2024/06/22(土) 21:59:54.00 ID:5LKjHzWo0.net
まずは敵二人を梢、吟子、姫芽、さやかの4人で囲む。

小鈴、瑠璃乃、綴理が少し離れた場所に位置取り、花帆と慈が後衛となった。

梢(片方ずつ撃破しましょう。UMIに対して例の連携で一気に畳みかけるわ!)

テレパシーで合図を送る梢。

さやか「やぁっ!」

さやかは素早い斬撃を見舞うもUMIにはすべて見切られてしまう。

姫芽がUMIの側方からナイフで突撃をするも、そのまま受け流されてしまった。

即座に吟子が剣で斬りかかる。

UMI「なるほど、見事な連携ですね」

UMIが吟子に向き直った瞬間、姫芽がナイフを投げた。

姫芽(貰った!)

UMI「甘い」ガシッ

さやか「えっ?」クルッ

UMIは側方にいたさやかの腕を掴み自分の後ろに飛ばし、吟子の剣が振り下ろされるよりも先に吟子の胴に掌底を見舞わせていた。

ザクッ

さやか「うぐっ!?」

姫芽のナイフはさやかに刺さり、吟子は吹き飛ばされていた。

梢(三人同時に相手した!? でも今こちらは氏角。“Reflection in the mirror”!)

UMI「不意打ちのつもりなら、殺気を隠したらどうですか?」ガシッ

初撃を防がれるも、梢はかまわずラッシュをかける。

UMI「くっ、大したパワーです。その拳に付き合うのはやめた方がいいですね」

梢「仕留めきれなかった……」

14: 2024/06/22(土) 22:00:11.53 ID:5LKjHzWo0.net
KOTORI「今の連携、まるでテレパシーでも使ってるみたいに息ぴったりだね」

小鈴「えっ!?」

綴理「すず」

UMI「それが分かったところで対処に変わりはありませんが」

梢「そちらこそ、まるで私たち全員のことが見えているかのような捌きようだったわ」

UMI「……乙宗梢、やはり貴女は厄介ですね」

梢(UMIと名乗る敵には氏角がないと考えた方がいいわ)

姫芽「氏角からの不意打ちは効かない……どうしよっか~」

梢(一旦目標を変更、KOTORIを総攻撃するわ)

UMI「テレパシーで作戦会議ですか」

さやかがKOTORIに向かって斬りかかる。

KOTORI「“小夜啼鳥恋詩(ナイチンゲール・ラブソング)”」

ガキン

さやか「なっ!?」

さやかの剣はKOTORIの体の手前で止まった。

KOTORI「私も全方位に隙は無いよ」

KOTORIの周囲に不氏鳥をかたどったオーラが出現していた。

15: 2024/06/22(土) 22:00:32.17 ID:5LKjHzWo0.net
能力<WILD STARS(UMI)>
視界が全方位360°になる。身体能力も全てにおいて一級品で、非常に頑丈。

能力<小夜啼鳥恋詩(KOTORI)>
不氏鳥をかたどったオーラを纏う。オーラは高い強度を誇り全身を守る。高速飛行による突進、翼による斬撃、翼による暴風の発生などが可能。身体能力は低い

16: 2024/06/22(土) 22:04:33.13 ID:5LKjHzWo0.net
梢「なら私が。“Reflection in the mirror”!」

ドガガガガガガ!!!!

梢のラッシュをKOTORIは翼で防いでいた。

メキメキ

KOTORI「!?」

梢(ひびが入った! このまま……)

UMI「させません」

梢「うぐっ!?」

梢はUMIの手刀で吹き飛んだ。

慈「梢! “アイデンティティ”」

綴理(今だ! すず! “Sparkly Spot”)

カチッ

小鈴「ちぇすとー!」

ガンッ!!!!

KOTORIの背後からハンマーによる強烈な一撃。

こちらにもヒビが入った。

17: 2024/06/22(土) 22:04:48.69 ID:5LKjHzWo0.net
小鈴「もう一発!」

カチッ

小鈴「ちぇすとー!!」

ガンッ!!!!

KOTORI「!?!?」

KOTORIは即座に翼で小鈴を撃ち落とした。

UMI「瞬間移動……?」

KOTORI「おかしい。気づいた時にはすでに一発食らってた」

UMI「ふむ、時間停止でしょうか」

綴理(もう気づかれた。それとあいつ、固い)

梢(大きな隙を作って総攻撃でやっとかしら)

KOTORI「それとあの子、回復の能力だね」

UMI「治癒に時間停止にあのパワー。骨が折れそうです」

18: 2024/06/22(土) 22:07:36.35 ID:5LKjHzWo0.net
瑠璃乃(ねえ、あの鳥の方は総攻撃しないと無理なんでしょ? だったら全視界の方を先に倒すしかなくない?)

さやか(そのようですね。時間停止中で一気に片をつけましょう)

UMI「おそらく私を時間停止中に仕留めに来るはずです」

KOTORI「うん。“小夜啼鳥恋詩”」

KOTORIは翼で暴風を起こして飛び回った。

小鈴「うわっ!」

綴理「ボクたち三人ともいっぺんに近づくのは無理だ」

さやか「少しずつ削りましょう」

梢「なんとしても綴理たちを近づけさせるわ」

吟子「はい!」

UMIを囲って逃がさないようにする梢、吟子、姫芽。

一方KOTORIは慈目掛けて突進をしていた。

姫芽「めぐちゃん先輩!」

花帆「“Reflection in the mirror”!」

19: 2024/06/22(土) 22:08:07.99 ID:5LKjHzWo0.net
ガキン

花帆「このくらいなんてことないんだから!」

慈「ありがとう花帆ちゃん!」

綴理「今だ。“Sparkly Spot”」

カチッ

梢の拳で綴理の方にUMIが仰け反ったタイミングで時間を止めた。

綴理の槍の突きが4発、遅れて近づいたさやかの双剣が左右一太刀ずつ。

カチッ

UMI「!?」

一瞬で突きと斬撃を受け怯んだ隙に、さらに姫芽の投げたナイフが背中に刺さった。

20: 2024/06/22(土) 22:12:34.38 ID:5LKjHzWo0.net
梢「今よ!」

UMI「この程度!」ブン

梢「うっ!?」

綴理「ごめん、ボクたちの攻撃が浅かった」

さやか「というか硬かったですね」

小鈴「すみません、徒町が間に合っていれば」

姫芽(るりちゃん先輩、準備オーケーです)

瑠璃乃(みらくら秘密兵器No.1! いくぜー!)

瑠璃乃は鋭い刃のブーメランをUMI目掛けて投げた。

瑠璃乃の力で投げたブーメランは樹木を両断する威力だったが、UMIは一瞥もせず避けた。

瑠璃乃「“アイデンティティ”!」

UMI(あれは、回復の能力では……)

ブーメランが折り返して再びUMIへ飛んでくる。

UMIは軌道外に移動した。

はずだった。

UMI「このブーメラン、私を追いかけている!?」

21: 2024/06/22(土) 22:12:51.23 ID:5LKjHzWo0.net
UMI「くっ、どこまで逃げても追ってくるようですね」

ブーメランはUMIの眼前まで迫っていた。

UMI「掴み取るしか!」ガシッ

UMIはブーメランの中心、瑠璃乃が投げるときに持っていた部分を正確に掴み、ブーメランを止めた。

UMI「ぐおおっ!?」

回転を止めたブーメランはなおもUMIに引き寄せられていく。

その力はUMIの腕力を大幅に超えていた。

UMI(なんて力……私に引き寄せられて……まさか、再生?)

ブーメランはUMIに突き刺さり、UMIは動きを止めた。

瑠璃乃「よっしゃー!」

UMI(“MOMENT RING”)

ぐにゃぁ

~~~~~~~~~~~~

22: 2024/06/22(土) 22:13:07.49 ID:5LKjHzWo0.net
瑠璃乃「“アイデンティティ”!」

UMI(あの能力ですね……)

ブーメランが折り返して再びUMIへ飛んでくる。

UMIは背中に刺さったナイフを抜き、投げ捨てた。

ブーメランはナイフに向かって軌道を変えた。

ブーメランがナイフに衝突し、ナイフの柄の部分がブーメランと一体化した。

UMI「思った通りでしたね。“物体を再生する能力”でブーメランはナイフに引き寄せられていた。あの二つは元々一つの物体だったと」

瑠璃乃「嘘、気づかれた!?」

姫芽「あの一瞬で判断するなんて」

UMI(“MOMENT RING”がなければやられていました。この人数相手に悠長に戦っている場合ではありませんね)


能力<MOMENT RING(μ‘s)>
時間を5秒間巻き戻す能力。インターバルは10分間。同じ能力を持っている場合でも他人の巻き戻しを感知することはできない。

23: 2024/06/22(土) 22:18:09.55 ID:5LKjHzWo0.net
UMI「KOTORI、もう一度」

KOTORI「“小夜啼鳥恋詩”、これでおしまい」

再び不氏鳥が慈めがけて突進を繰り出した。

花帆「無駄なんだから! “Reflection in the mirror”」

UMI「“Anemone heart”」ピシュッ

瑠璃乃「痛っ!?」ドサッ

慈を守ろうと構えていた瑠璃乃はUMIの奇襲を受け転倒した。

それを合図にKOTORIは急旋回をし、標的を瑠璃乃に変更した。

花帆「え? うわぁ!」

急旋回による風圧で花帆が吹き飛ばされた。

慈「るりちゃん!」

慈の能力で瑠璃乃の負傷を治すことはできる。

だが即氏すればそれは叶わない。

無防備な瑠璃乃を守れるものは慈を除いて誰もいなかった。


能力<Anemone heart(UMI、KOTORI)>
素早く針を飛ばす能力。針自体は速いが出が少し遅く、威力も低い。

24: 2024/06/22(土) 22:18:23.45 ID:5LKjHzWo0.net
瑠璃乃「めぐちゃん!?!?」

瑠璃乃をかばった慈は血を流して倒れていた。

姫芽「くっ、今治しますから! “アイデンティティ”!」

流血は止まったが、慈の目は覚めなかった。

瑠璃乃「なんでめぐちゃんが!」

さやか(瑠璃乃さんが即氏するよりは慈先輩が重傷で済む方がマシ……だからって)

UMI「もう一人回復がいましたか。ですが同じようにはいかないみたいですね」

梢「……なんとも卑劣な戦いをするのね」

KOTORI「まだ続けるの? 私もこんなことしたくないよ」

綴理(ひめ、めぐの回復にはどれくらいかかる?)

姫芽(……10分はかかります。どうにかそれまで――)

慈(ご、ふん……)

綴理(めぐ!)

慈(5分あれば、動ける……から。絶対降参するな……!)

梢(……わかったわ。慈も、スクールアイドルも守り切る)

ロボット「Emergency reinforcement mode: ON. Start searching for persons matching the criteria」

25: 2024/06/22(土) 22:24:30.04 ID:5LKjHzWo0.net
UMI「お話は終わりましたか? 降参するならお早めにお願いします」

ビュン

UMI「!?」ガキン

梢「ええ、貴女達を倒すという方針に変わりはないわ」

UMI「そうですか。ならばこちらも変わらず」ヒュン

梢「くっ……」

UMI「おや、どうしました? 先ほどまでの勢いは。変わらないのではなかったのですか」

KOTORI「もう回復してくれる人はいないもんね」

梢「慈は! ……慈はまだ氏んでない」

UMI「では私を倒せばいいでしょう、乙宗梢。貴女が自分の身を省みず私を攻め立てればきっと勝てますよ」

梢「この……!」

綴理「こず」

梢「はぁ!!!」

綴理「“Sparkly Spot”」

26: 2024/06/22(土) 22:24:45.07 ID:5LKjHzWo0.net
綴理が時を止めた。

再び時が動き出したとき、梢は綴理に羽交い絞めにされていた。

梢「綴理!?」

綴理「こず、挑発に乗っちゃ駄目だ。ボクたちはめぐが回復するまで負けなければいい」

吟子「敵を最も牽制できる梢先輩がやられたら、私たちは終わりです」

梢「……ありがとう綴理。冷静になれたわ」

KOTORI「“Anemone heart”」

小鈴「“Sparkly Spot”!」

小鈴はKOTORIの放った針を時を止めてつかみ取り、UMIに向かって投げ返した。

UMI「おっと、この手はもう通用しませんか」

小鈴(徒町の投げ返した針を見ずに避けた。手強い)

27: 2024/06/22(土) 22:29:45.43 ID:5LKjHzWo0.net
UMIが綴理に向かって強襲を仕掛ける。

綴理「う……速い」

槍で何とか応戦する綴理。

UMI「時を止めたらどうですか?」

綴理(今時を止めて離脱しても、そのあとの隙をもう一人にやられる。ボクの“Sparkly Spot”を離脱に使うのはまずい)

吟子(今です、綴理先輩)

綴理「“Sparkly Spot”」

カチッ

綴理「ぎん、ありがとう」

吟子は弓矢を作り出し矢を放っていた。

UMIは矢を避ける準備はできていたが、綴理は突きのラッシュでUMIを矢の軌道上にずらした。

カチッ

UMI「うっ」ザシュッ

綴理「今だ!」

綴理はさらに突きのラッシュを仕掛けた。

28: 2024/06/22(土) 22:30:00.98 ID:5LKjHzWo0.net
ドゴォ

綴理「ぐはっ!」

UMIの回し蹴りを受けた綴理は吹き飛ばされていた。

咄嗟に槍で防ごうとしたが槍ごと折られていた。

吟子「矢は当たったのに……」

UMI「弓の扱いがなっていませんね」

梢「綴理!」

KOTORI「よそ見しちゃだめだよ」

暴風とともにKOTORIが梢に突進を仕掛けた。

梢は受け止めきれず近くにいた吟子、さやかも巻き込まれてしまった。

梢「はぁ、はぁ……」

綴理「……」

慈「うぐっ……」

UMI「もう終わりにしませんか。我々は貴女方の命までは取りません。スクールアイドルを抹消するという目的さえ果たせればよいのです」

29: 2024/06/22(土) 22:34:56.53 ID:5LKjHzWo0.net
綴理が折れた槍を支えにふらふらと立ち上がる。

皆もそれに続いて立ち上がった。

KOTORI「もう無理だよ」

綴理「……」

UMI「愚かな。なぜそうまでして戦うのです?」

綴理「ボクはスクールアイドルだ」

UMI「?」

梢「先輩方が守ってきたこのスクールアイドルクラブを、貴女なんかに奪わせはしないわ」

慈「スクールアイドルなめんな!」

UMI「……仕方ありませんね。KOTORI」

UMIがそう言うとKOTORIは烈風を巻き起こし、乱暴に飛び回った。

さやか「くっ、一体何を……?」

KOTORI(この位置なら、まずは“あの子たち”だね)

KOTORIはスリーズブーケの3人に狙いを定めると、目にもとまらぬ速さで突進を仕掛けた。

3人は即座に反応し硬化で防御するも数100m吹き飛ばされてしまった。

30: 2024/06/22(土) 22:35:15.61 ID:5LKjHzWo0.net
UMI「まずは一人目」ダッ

3人の中で最も近くに倒れていた花帆が標的となった。

瑠璃乃「花帆ちゃん!」

綴理「“Sparkly Spot”!」

カチッ

さやかは花帆の元へ全速力で駆け出す。

3、2、1、

さやかは元居た位置から残り半分ほどまで来た。

さやか(間に合って……!)

カチッ

小鈴「“Sparkly Spot”!」

カチッ

小鈴の2秒で、UMIのすぐ後ろまで追いついた。

剣を投げれば届くくらいの位置だ。

でもそれでは花帆を救えない。

カチッ

さやか「“Sparkly Spot”!」

カチッ

3度目の時間停止。

あと一秒。

UMIはもう花帆の目の前に迫っていた。

さやか(斬り飛ばす!)

さやかは剣を振り上げる。

カチッ

31: 2024/06/22(土) 22:41:32.44 ID:5LKjHzWo0.net
「“Sparkly Spot”」

カチッ

さやか「うおおおおおおおおお!!!!!」

ザシュ

さやかは斬り付けた勢いのままタックルをし、そのまま倒れた。

カチッ

UMI「ぐはっ!?」

さやか「はぁっはぁっ……間に、合った?」

UMIはすぐに体勢を立て直し、倒れているさやかに狙いを定めた。

さやか「!」

「“Reflection in the mirror”」

ガキン

梢「花帆! さやかさん!」シュババ

吟子「よかった、無事で」

花帆「あれ? 今の梢センパイじゃなかったんですか?」

梢「私もよく見えなかったのだけれど」

さやか「おかしい」

吟子「え?」

さやか「今確かに、4回目の時間停止が起きました」

32: 2024/06/22(土) 22:41:50.15 ID:5LKjHzWo0.net
ぽん

慈「!」

「“アイデンティティ”」

姫芽「だ、誰!? あれ、蓮ノ空の制服……?」

「慈、まさか君を癒してあげられる日が来るとはねぃ。もっとも、体の傷だけだけどな」

慈「そんなことないよ。ありがとう、沙知先輩」

綴理「さち!」

梢「沙知先輩! どうしてここに!?」

花帆「沙知先輩、なんで制服着てるんですか!?」

沙知「君は……なるほど、なるほどねぃ。来年の私は君たちにちょっかいをかけていたのかな?」

瑠璃乃「ちょっかいどころじゃなかったですよ!」

さやか「お世話にもなりましたけどね」

小鈴「どういうことですか?」

慈「この子が呼んでくれたんだよ。沙知先輩がまだスクールアイドルをやっていた時代から」

ロボット「はい。地理的、時代的に近いスクールアイドルに呼び掛けて来ていただきました」

33: 2024/06/22(土) 22:45:40.40 ID:5LKjHzWo0.net
小鈴「ということは最後に時間を止めたのはこちらの大大先輩ということですか?」

沙知「私はDOLLCHESTRAだからねぃ。時間を止められるのさ」

吟子「あれ、さっき“Reflection in the mirror”でガードしてませんでした?」

沙知「私はスリーズブーケだからねぃ。近接戦闘もできるのさ」

姫芽「え、でもめぐちゃん先輩を治療してた……」

沙知「私はみらくらぱーくだからねぃ。まあ慈専用の回復役ってところかな?」

姫芽「?」

吟子「?」

徒町「えっと、つまり沙知先輩? は3人いるということでしょうか?」

慈「うーん、まあそうかもしれないね」

梢「真面目に話すと、沙知先輩は私たち3人とそれぞれユニットを組んでいたの」

花帆「だからって能力全部使えるのずる過ぎますよ~」

UMI「時空を超えた増援ですか」

KOTORI「硬化はともかく時間停止と回復が増えたのはまずいね」

沙知「さあ、スクールアイドルクラブの反撃と行こうじゃないか」

34: 2024/06/22(土) 22:50:35.27 ID:5LKjHzWo0.net
慈&瑠璃乃「「“アイデンティティ”」」

全員の身体と武器が一瞬にして再生した。

梢「さあ行きましょう。狙いは変わらず――」

綴理「いっぺんに倒そう」

さやか「綴理先輩?」

綴理「ボクたちは、もっとやれる。さちがそれを教えてくれた」

UMI「増援一人で大した威勢ですね」

綴理「“ツバサ・ラ・リベルテ”」

綴理は瞬く間にUMIの目の前に出現した。

UMI「時間停止!? いや違う!」

綴理は槍のラッシュを仕掛けた。

しかしその速さは桁違いに上がっていた。

UMI(速過ぎる……これでは捌き切るので手一杯)

姫芽はナイフ、吟子は矢をUMIの背中目掛けて放った。

UMI(何とかして避けなければ)

綴理「“Sparkly Spot”」

UMIが気付いた時、正面には無数の槍のラッシュ、背中に無数の刃が突き刺さっていた。

35: 2024/06/22(土) 22:50:49.55 ID:5LKjHzWo0.net
能力<“ツバサ・ラ・リベルテ”(綴理、梢、慈、さやか、花帆、瑠璃乃)>

自分とその周囲の時間を加速する能力。“Sparkly Spot”の時間停止中も使用可能。5秒間、速度倍率10倍、インターバルは使用した時間の2倍。

36: 2024/06/22(土) 22:54:23.97 ID:5LKjHzWo0.net
瑠璃乃「“ツバサ・ラ・リベルテ”」

瑠璃乃はブーメランを高速で連射した。

UMI(ナイフと矢、またブーメランを誘導させるものですね)

UMIは刺さったナイフと矢を全て抜き、慈に向かって投げた。

慈「“ツバサ・ラ・リベルテ”」

慈はそれらを目にもとまらぬ速さで躱した。

瑠璃乃「“アイデンティティ”」

UMI「馬鹿なっ!?」

ブーメランは投げたはずのナイフではなくUMIへ向かって進路を変えた。

ブーメランはUMIの身体に埋め込まれた破片に向かって“再生”している。

UMI(そうか、ナイフの先にブーメランの破片が)

さやか「“Sparkly Spot”」

カチッ

さやか「“ツバサ・ラ・リベルテ”。これなら一秒で十分です」

破片を取り除こうとするUMIの手を、さやかは双剣で切り刻んだ。

カチッ

全てのブーメランがUMIの身体を貫いた。

37: 2024/06/22(土) 22:54:40.28 ID:5LKjHzWo0.net
梢「“ツバサ・ラ・リベルテ”」

超高速の拳のラッシュが“小夜啼鳥恋詩”の翼を砕いた。

KOTORI(すぐに持たなくなる……距離を取らないと)

小鈴「“Sparkly Spot”」

カチッ

背後から小鈴が迫る。

小鈴「ちぇすとー!」

ガンッ!!!!

背中にひびが入る。

小鈴「もう一発!」

カチッ

沙知「“Sparkly Spot”」

カチッ

小鈴「ちぇすとー!」

バリーン!!!

“小夜啼鳥恋詩”が砕け散った。

38: 2024/06/22(土) 22:55:06.34 ID:5LKjHzWo0.net
梢「はあああっ!!!」

梢は無防備となったKOTORIに拳を叩き込む。

KOTORI「“MOMENT RING”」

ぐにゃぁ

~~~~~~~~~~~~

梢「“ツバサ・ラ・リベルテ”」

超高速の拳のラッシュが“小夜啼鳥恋詩”の翼を砕いた。

KOTORI(一旦“小夜啼鳥恋詩”を解除して時止めから離れないと)

“小夜啼鳥恋詩”を解除して離脱したKOTORIを梢は追えなかった。

5秒間のラッシュは梢からしてみれば50秒間に相当する。

拳もボロボロで息が上がっていた。

KOTORI(あの新しい能力はそこまで長く使えないみたい)

KOTORI「“小夜啼鳥恋詩”」

不氏鳥のオーラが形成されていく。

花帆「“ツバサ・ラ・リベルテ”」

花帆はKOTORIに向かって突進する。

花帆「“Reflection in the mirror”」

全身が鋼鉄のように固くなった花帆の突進は大砲の如く破壊力を有していた。

時間加速により花帆の弾丸は不氏鳥のオーラを形成し終わるよりも早くKOTORIを貫いていた。

39: 2024/06/22(土) 22:59:31.06 ID:5LKjHzWo0.net
UMI「……負け、のようですね」

KOTORI「……うん」

二人の身体からは千切れた配線が飛び出しており、バチバチとショートしていた。

梢「機械さんとはいえ、とどめを刺してあげるのが情けというものかしら」

ピカッ

花帆「うわっ!?」

壊れた二人はどこかへと消えてしまった。

慈「逃げられたじゃん」

梢「ごめんなさい、取り逃がしてしまって」

ロボット「いえ、スクールアイドルは守られました」

綴理「さちが来てくれたから勝てた」

沙知「そういえばお前たち、なんで戦ってたんだ?」

さやか「敵の目的はスクールアイドルを歴史から抹消することだそうで、その標的の一つが蓮ノ空だったみたいです」

瑠璃乃「沙知パイセン、なんも知らないのに来てくれたのスゲー」

沙知「まあ確かに、勢いで来てしまったと言っていい」

40: 2024/06/22(土) 22:59:47.04 ID:5LKjHzWo0.net
今日はちょうど私がスクールアイドルでいられる最後の日だったんだ。
私は一人で部室にいた。

沙知『ぐすっ……』ポロポロ

そしたら急に何もない空間に穴が開いたんだ。

沙知『なんだこれは……梢?』

その穴を覗くと梢たちがいたのが見えたんだ。
その時は夢か何かかと思ったよ。

沙知『他にいる子たちは、知らないな……梢センパイ? これが未来ってことか?』

沙知『そうか、スクールアイドルクラブは続いたんだ。後輩たちが入ってきて……ははっ』

私のしたこと、いやこれからすることが、スクールアイドルクラブを守ったんだと分かったのが嬉しかった。でも……

沙知『なんで戦ってるんだ? しかもなんか厳しい状況だ』

沙知『慈!? 酷い怪我じゃないか!』

私はみんながどんどん傷ついていくのをただ見ているだけだった。
これまでにない絶望だったよ。
スクールアイドルを辞めてまで守ったクラブの未来がこれなのかと。
私は間違っていたのかって。

沙知『スクールアイドルを抹消? そのためにみんなこんなボロボロになるまで』

沙知『もういい、やめてくれ。君たちの命の方が大事だ! 君たちまで失いたくはない!』

綴理『ボクはスクールアイドルだ』

沙知『綴理お前……!』

梢『先輩方が守ってきたこのスクールアイドルクラブを、貴女なんかに奪わせはしないわ』

慈『スクールアイドルなめんな!』

不思議だねぃ。
それまで酷く絶望していたのに、綴理たちの言葉を聞いたら希望で胸がいっぱいになったんだ。
気が付いたら私は穴に向かって飛び込んでいたよ。
そうしたらわかったんだ。
私の力と、私がすべきことが。

41: 2024/06/22(土) 23:04:55.58 ID:5LKjHzWo0.net
ロボット「大賀美沙知さん、救援要請に応じていただきありがとうございました。元の時代にお返しします」

綴理「さち、もう行っちゃうの?」

沙知「名残惜しいけど、あんまり未来のことを知るのももったいないだろう? それに、寂しいなら今の時代の私に会いに行けばいい」

ロボット「記憶に処置を施させていただきます。今日あったことは、夢の出来事だと認識するようになります」

沙知「それは助かるよ。じゃあな」

ロボットが空間に穴を作り出すと、沙知はそこに入っていった。

沙知は元の時代へと帰っていった。

ロボット「私も次の時代へ転移します」

梢「まだ戦いは終わっていないのね」

花帆「ありがとうロボットさん!」

こうして蓮ノ空スクールアイドルクラブ、そしてスクールアイドルは守られたのだった。

42: 2024/06/22(土) 23:05:19.32 ID:5LKjHzWo0.net
~翌日の部室~

花帆「こんにちは~って一番乗りかぁ」

ゴゴゴゴゴゴ

花帆「な、何!?」

きゅう――ようせ―

花帆「これって……違う時代に繋がってる穴?」

たすけて、たすけて

花帆「ええっ! どうしようあたし一人しかいないし、というかもう能力ないのに!」

ズズズ

花帆「穴が小さくなってる!? もうやけだ! えーい!」

シュゥ


おわり

???編に続く

43: 2024/06/23(日) 19:42:22.68 ID:DRN1y9W60.net

引用: 花帆「スクールアイドルを消すために未来から敵が襲来!?」【蓮ノ空編】