…………………………………………………

【学校】

サターニャ「あっ、ラフィエル！」

ラフィエル「なんですか？サターニャさん」

サターニャ「今夜暇？」

ラフィエル「暇ですけど……」

サターニャ「じゃあ家に泊まってかない？」

ラフィエル「え！いいんですか！？」

サターニャ「もちろんよ！」

ラフィエル「行きます行きます！」

【サタニキア城】

ラフィエル「わー、嬉しいです、まさかサターニャさんが誘ってくれるだなんて……」

サターニャ「なはっ！いいのよ別に！」

サターニャ「あ、そうそう晩御飯何がいい？」

ラフィエル「晩御飯までいいんですか！？」

サターニャ「ええ！」

ラフィエル「サターニャさんの手作り料理ならなんでも！」

サターニャ「分かったわ！首を洗って待ってなさい！」

ラフィエル「首を長くして、ですかね」

サターニャ(ここにさっきの薬を入れて……)

サターニャ(寝る時にあいつがどんな顔をするか……楽しみだわ！)

サターニャ「なーはっはっは！」

ラフィエル「サターニャさん、なんか楽しそうですね」

ラフィエル「ちょっと覗いて見ましょう」

ラフィエル「サターニャさーん、何作ってるんですか？」

サターニャ「……！」ﾋﾞｸｯ

サターニャ「そ、それは出来てからのお楽しみよ！大人しく待っていなさい！」

ラフィエル「むー、分かりました」

サターニャ「……」ﾎｯ

サターニャ「よし、ラフィエルの料理に薬をとかして……と」

サターニャ「できたわ！ラフィエル！シチューよ！」

ラフィエル「わー！すごいです！」

ラフィエル「いただきまーす！」

ラフィエル「」ﾊﾟｸｯ

サターニャ(よし、食べたわね)ﾆﾔﾆﾔ

ラフィエル「美味しいです！！！」

ラフィエル「すごく美味しいです！」

サターニャ「……そう？」

ラフィエル「ほんと美味しいです！毎日でも食べたいくらいです！」

サターニャ「そ、そうかしら？」ﾃﾞﾚﾃﾞﾚ

ラフィエル「そうですよ！」

ラフィエル「はい、サターニャさんも！あーん」

サターニャ「もう、しょうがないわねぇ」

サターニャ「あーん」

ラフィエル「……」ｽｯ

サターニャ「ちょっと！寸前で引かないでよ！！」

ラフィエル「ふふっ、冗談ですよ、はいあーん」

サターニャ「……ったく」

サターニャ「あーん」ﾊﾟｸｯ

ラフィエル「」ｼﾞｰｯ

サターニャ「はいはい、分かってるわよ、はいあーん」

ラフィエル「あーん！」ﾊﾟｸｯ

ラフィエル「美味しいですぅ！」

サターニャ「そんなに褒めてもシチューしかでないわよ」

ラフィエル「じゃあおかわりお願いします！」

サターニャ「はいはい」

サターニャ(あれ、なにか忘れてるような)

サターニャ(……)

サターニャ(ま、いいか)

サターニャ「もうこんな時間ね」

サターニャ「じゃあ、そろそろ寝ましょう！」

ラフィエル「えー、まだ早いですよ」

ラフィエル「サターニャさんの失敗談とか聞かして下さいよ」

サターニャ「だめよ！ってかないわよそんなの！」

ラフィエル「ぶーぶー！」

サターニャ「おやすみ！」

ラフィエル「……おやすみなさい」

ﾌﾟﾂﾝ

サターニャ(あー、楽しかったわね)

サターニャ(たまにはお泊まり会なんてのも……友達みたいでいいわね)

サターニャ(それにしてもなんか忘れてたことがあったような……)

サターニャ(……なんだったっかしら、気になって眠れない)

サターニャ(ラフィエルは寝たかしら)

ラフィエル「……」

サターニャ(寝てるわね)

ラフィエル「うぅ……」

ラフィエル(……ラフィエルのやつ、うなされて……)

サターニャ(……あっ、思い出した！悪夢をラフィエルに見せようと……)

サターニャ(……もしかして)

サターニャ「私もアレ食べちゃってる！！！」

サターニャ「はっ！」

ラフィエル「……」

サターニャ「よかった、起きてないわね」

サターニャ「効果は一日……」

サターニャ「一日寝なきゃいいだけよね」

サターニャ「……とりあえず、ラフィエルのうなされてる姿でも……」

ラフィエル「うぅん……」ﾀﾗｰｯ

サターニャ「一体どんな夢を見てるのかしら」

ラフィエル「……うぅ」

サターニャ「……」

サターニャ(あのラフィエルが)

サターニャ(笑顔をくずして、うなされるほどの悪夢)

サターニャ(もし万一私が寝てしまったら……)

サターニャ(いや、そんなことより)

サターニャ(本当に私はこんなのが見たかったのだろうか)

サターニャ(とても辛そうなラフィエル)

サターニャ(それも、私のせいで……)

サターニャ(私が仕返しとかしようとしたから)

ラフィエル「……サターニャ、さん……」

サターニャ「ラフィエル……」

ラフィエル「いか、ないで……ください……」

サターニャ「……」

サターニャ「大丈夫よ、ラフィエル」

サターニャ「私はここにいるわ」ｷﾞｭｯ

ラフィエル「……」

ラフィエル「……」ｽｩｽｩ

サターニャ「……ごめんなさい、ラフィエル」

【翌朝】

ラフィエル「……んん」

サターニャ「あ、ラフィエル、起きた？」

ラフィエル「……あ……サターニャさん」

サターニャ「昨日の事なんだけど、あの……」

ラフィエル「……」ｷﾞｭｰ

サターニャ「ちょ！ラフィエル？！」

ラフィエル「……すいません、暫くこのままでお願いします」

サターニャ「……分かったわ」

サターニャ「ラフィエル……その」

サターニャ「……ごめんなさい」

サターニャ「昨日見た悪夢……あれ、私のせいなの」

ラフィエル「……」ｷﾞｭｰ

サターニャ「シチューにそういう薬入れてて……」

サターニャ「本当にごめんなさい……」

ラフィエル「大丈夫です、ですから……」

ラフィエル「私のそばに……」

サターニャ「……大丈夫、いなくなったりしないわ」

ラフィエル「……」ｷﾞｭｯ

サターニャ(あのラフィエルがこんなに弱るなんて……)

サターニャ(私はなんてことを……)

サターニャ「……安心して、悪夢は１日で効果が切れるわ」

サターニャ「だから、今夜は安心して眠れるはずよ」

ラフィエル「……」

サターニャ「……今日学校休む？」

ラフィエル「……」ｺｸｯ

サターニャ「もうこんな時間……」

サターニャ(朝ごはん作らなきゃ)

サターニャ「よいしょっと」ｽｸｯ

ラフィエル「！」ﾋﾞｸｯ

ラフィエル「……」ｷﾞｭｰ

サターニャ「大丈夫大丈夫、朝ごはん作るだけだから」

ラフィエル「……分かりました」ｷﾞｭｰ

サターニャ「……パンと目玉焼きでいいわね」

ラフィエル「はい」

サターニャ「……」ｼﾞｭｰ

ラフィエル「すいません、動きにくいですよね」

サターニャ「大丈夫よ、それに私のせいでこんなことになってるんだし」

ラフィエル「……」

サターニャ「できたわ、食べましょう」

サターニャ「ラフィエル？」

ラフィエル「……」ｷﾞｭｰ

サターニャ「……はい、あーん」

ラフィエル「……」ﾊﾟｸｯ

ラフィエル「美味しいです」

サターニャ「そ、良かったわ」

ラフィエル「ごちそうさまでした」

サターニャ「はーい」

サターニャ「……」

ラフィエル「……」

サターニャ「……学校休むと暇ね」

ラフィエル「ですね～」

サターニャ「……」

ラフィエル「……」

サターニャ「……よし」

サターニャ「私これから寝ようと思うの」

ラフィエル「！？」

ラフィエル「……でも昨日サターニャさんもシチューを」

サターニャ「私のせいでラフィエルがこんなことになったのに」

サターニャ「私だけ何も無いと……」

ラフィエル「でも、私はそんなの望んでません」

サターニャ「……それじゃ私の気が済まないの」

ラフィエル「……そう、ですか」

ラフィエル「……じゃあこれだけは覚えていてください」

ラフィエル「私は、ずっとサターニャさんのそばにいます」

ラフィエル「何があっても、必ず」

サターニャ「ラフィエル……」

サターニャ「……分かったわ、ありがとう」

サターニャ「……大悪魔だもの、悪夢なんかには負けないわ！」

ラフィエル「……はい！」

サターニャ「それじゃ、おやすみ」

ラフィエル「おやすみなさい、サターニャさん」

サターニャ「……」

…………………………………………………

サターニャ「……」ﾊﾟﾁｯ

サターニャ「……今何時？」

ラフィエル「もう朝の7時ですね」

サターニャ「なら時間に余裕があるわね」

ラフィエル「ですね」

サターニャ「それにしてもラフィエル、ずっとおきてたの？」

ラフィエル「はい、サターニャさんが心配で」

サターニャ「……ありがとう」

サターニャ「……でも悪夢どころか夢すら見なかったんだけど」

ラフィエル「……あっ、食べた量が少なかったからでは？」

サターニャ「あぁ、そういう……」

サターニャ「……ごめん、ラフィエルだけが辛い目にあったみたいで」

ラフィエル「気にしてないですよ、じゃあ学校行きましょう」

サターニャ「……そうね」

サターニャ「みんなおはよう」

ガヴリール「おう」

ヴィーネ「おはよう」

ラフィエル「……」

ヴィーネ「どうしたの？ラフィ、調子悪そうだけど」

ラフィエル「実は昨日……」

ラフィエル「サターニャさんに変な薬飲まされて……そのせいで寝不足なんです……」

サターニャ「えっ」

ラフィエル「悪夢を見る薬とかいうのを騙されて飲んでしまって……」

ラフィエル「……うぅ」ﾖﾖﾖ…

ガヴリール「は？お前それマジ？」

サターニャ「え、あの……」

ヴィーネ「……流石にそれはふざけすぎだと思うわよ」

サターニャ「……」

ガヴリール「さすがのお前でも一線は超えないと思ってたんだがな」

ガヴリール「なんか言えよサターニャ」

ガヴリール「……謝りもしないんだな」

ヴィーネ「ちゃんとラフィに謝りなさいよ」

サターニャ「えっ、あの……ごめんなさい」

サターニャ「あの……ラフィエル……」

ガヴリール「謝れ言われてから謝ってもな」

ラフィエル「ひどいです……」

サターニャ「でっ、でも！さっき謝ったじゃない！それにあんた許してくれるって」

ラフィエル「そんなこと言ってません！」

ヴィーネ「さすがに私でも引くわよ……」

サターニャ「……」

ラフィエル「そんな人だとは……いえ、そういえば悪魔でしたね……さよなら、サターニャさん、今までありがとうございました」

サターニャ「え、ちょ、ラフィエル」

ガヴリール「じゃあな、はっきり言って勝負とかしつこかったんだわ」

ヴィーネ「……まあこの調子なら大悪魔になれると思うわよ」

サターニャ「ちょ、みんな……」

サターニャ「……ラフィエル」

サターニャ「あんた……ずっと……」

サターニャ「私のそばにいてくれるって……」

サターニャ「……ずっといてくれるって言ってたのに！」

サターニャ「あれは嘘だったの……？」

サターニャ「ねぇ！ラフィエル！」

サターニャ「答えてよ！」

ラフィエル「……」ｽﾀｽﾀ

モブ「どうしたの？あの胡桃沢さん」

モブ「白羽さんに変な薬飲ませたらしいよ」

モブ「うわ……」

ﾋﾄﾞｰ、ｻｲﾃｰ、ｼﾗﾊｻﾝｶﾜｲｿｰ

サターニャ「……」

サターニャ「……」ｽﾀｽﾀ

サターニャ「……ラフィエル」

サターニャ「ずっとそばにいてくれるって言ってくれたのに……」

サターニャ「ちょっとだけ……嬉しかったのに」

サターニャ「……でもすべて嘘だったなんて」

サターニャ「……」

サターニャ「……帰ろ」

サターニャ「……」ﾄﾎﾞﾄﾎﾞ

サターニャ「ガヴリール……ヴィネット……」

サターニャ「ラフィエル……」

サターニャ「……」

サターニャ「……はぁ」

サターニャ「……」ﾎﾟﾂｰﾝ

サターニャ「また一人ぼっちになっちゃった……」

サターニャ「……」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

サターニャ「うぅ……ｸﾞｽﾝ」

サターニャ「私は……こんなつもりじゃなかったのに」

サターニャ「……もうやり直せないのかな」

サターニャ「以前の様な関係にはもう……」

「サ……ニャさん！」

サターニャ「え……？」

「サタ……ニャさん！」

サターニャ「この声……」

「サターニャさん！」

サターニャ「ラフィエル……？」

「サターニャさん！」

サターニャ「どこ！？どこにいるの、ラフィエル！ねぇ！返事しなさいよ！返事してよ！」

「サターニャさん、大丈夫です」

「私はここにいますから」

サターニャ「ラフィエル……」

サターニャ(そうか、これは夢)

サターニャ(私が見ているただの悪夢)

サターニャ(……右の手から伝わってくる体温が何よりの証拠)

サターニャ(……ずっとそばにいてくれていた)

サターニャ(そばにいて、私の手を……)

…………………………………………………

サターニャ「ん……」

ラフィエル「サターニャさん！」

サターニャ「あ、ラフィエル……」

サターニャ「戻ってこれた……」

サターニャ「……あなたのお陰で悪夢に勝てたわ、ありがとね」

ラフィエル「……いえ、それはサターニャさんが強かったからですよ」

ラフィエル「私なんかすぐに折れてしまって……」

ラフィエル「もしサターニャさんがあの時手を握ってくれなかったら……」

ラフィエル「声をかけてくれなかったら……」

ラフィエル「壊れていたかも知れません」

サターニャ「……ラフィエルはこんな辛い目にあってたのね」

ラフィエル「……いえ、目が覚めたら隣にサターニャさんがいて……」

ラフィエル「とても幸せでした」

サターニャ「そっか」

ラフィエル「……じゃあこれで昨日のこともチャラということで！」

サターニャ「……でも」

ラフィエル「むー、じゃあ」

ラフィエル「あ……いいこと思いつきました！」

サターニャ「本当にこんな事でいいの？」

ラフィエル「はい！」

ラフィエル「次も悪夢に負けないように」

サターニャ「もう悪夢は見ないんだけどね」

ラフィエル「……本当はこうして寝たいだけなんですけどね」

ラフィエル「……こうしてるだけで安心できるというか」

サターニャ「そうね」

サターニャ「……ずっと一緒よ、ラフィエル」

ラフィエル「はい！」

サターニャ「じゃあ」

ｷﾞｭｯ

サターニャ「おやすみ」

おわり

乙