1: ◆IoH/Hpd1z6 2012/10/04(木) 00:35:14.49 ID:2gqeS00to
・よくある上条さんタイムスリップネタ
・インデックスは最初学園都市ということを分かりながら逃げてる
・口調とか全然わからなかったんだよ
あと、地の文が書くのも読むのも苦手なのでなるべく少なくしてますが、それでもあります。こいつ文書くの下手だなーくらいに思っていただければと。
今日は導入部だけなので少なめ
矛盾点みたいなのあったらどしどし言ってください。
では
2: 2012/10/04(木) 00:36:43.96 ID:2gqeS00to
あれ、ここは……?
……冷たい、寒い。
ああそうか、助かったのか、インデックス……
もうちょっとだけ待ってろ。
すぐ…会いにいく……からな………。
3: 2012/10/04(木) 00:37:12.66 ID:2gqeS00to
とうまとうま!
(ああ、なんだ?)
4: 2012/10/04(木) 00:37:58.92 ID:2gqeS00to
お腹いっぱいご飯を食べさせてくれると嬉しいな
私の名前はね、インデックスって言うんだよ?
(? どうしたんだインデックス?)
5: 2012/10/04(木) 00:38:30.62 ID:2gqeS00to
……、けど。魔術はあるもん
追われてたからね
(そっか……そいつらぶっ飛ばしに行かないとな)
6: 2012/10/04(木) 00:38:56.32 ID:2gqeS00to
神裂火織、と申します
彼女は、大切な親友、なんですよ
(!? これは……)
7: 2012/10/04(木) 00:39:27.48 ID:2gqeS00to
警告、第三章第二節。
侵入者の迎撃を優先します。
(俺の)
8: 2012/10/04(木) 00:39:59.29 ID:2gqeS00to
『聖ジョージの聖域』を発動、侵入者を破壊します
ーーFortis931
ーーSalvare000
(俺の、失った記憶……)
9: 2012/10/04(木) 00:40:38.32 ID:2gqeS00to
ーーー助けて、とうま。
警、こく。最終……章。第、零ーー……。『 首輪、』致命的な、破壊……再生、不可……消
ーーーありがとう、とうま。
(よかった、俺は、俺は……)
10: 2012/10/04(木) 00:41:14.26 ID:2gqeS00to
インデックスを助けられたんだな。
11: 2012/10/04(木) 00:41:46.33 ID:2gqeS00to
とうまとうまー?
(今度はどうしたインデックス?)
またとうまはどこか行ったのかな?
全くとうまはいつもいつも……
12: 2012/10/04(木) 00:42:33.62 ID:2gqeS00to
はやくかえってきてよ、とうま……
私にも相談してほしいんだよ
……心配、なんだから
13: 2012/10/04(木) 00:43:00.80 ID:2gqeS00to
とうまの幸せが私の幸せでもあるんだよ?
とうまの不幸は私の不幸かも……
"インデックスは、とうまの事が大好きだったんだよ?"
今回は、けが、してないといいな……
(悪い、インデックス……)
14: 2012/10/04(木) 00:43:33.95 ID:2gqeS00to
(必ず、帰る)
24: 2012/10/04(木) 14:44:00.67 ID:2gqeS00to
prrrr……
ん……
「ふわぁ…誰だよこんな朝に」pi
「もしもしー?」
起こされたことによる不機嫌を隠さずに俺は電話に出た。
25: 2012/10/04(木) 14:44:52.06 ID:2gqeS00to
「か、上条ちゃん!どうしてそんなに怒ってるのですかー?」
「あれ、小萌先生?どうしたんですか?」
「上条ちゃんはバカだから補習だといってたのですよー。もしかして忘れちゃったのですかー?遅刻しちゃいますよー?」
「……は?」
そこで俺は違和感に気づく。
あれ?何故に夏用のパジャマを来てるんだ?
「全く上条ちゃんは……。夏休み初日からそんなんで大丈夫なのですか?」
夏休み……初日………?
「せ、先生!必ず後から補習は受けるんでちょっと今日は休ませてもらいます!」
「何か用事があるのですか?」
「はい、まあちょっと……」
「はあ……わかったのです。何かあったら先生に相談するのですよー?」
「はい、分かりました、ではまた」pi
26: 2012/10/04(木) 14:46:09.26 ID:2gqeS00to
ふう……って、え?
俺は確かインデックスを助にいって…
そうだインデックスは!?
と、とりあえず土御門に連絡するか……
あれ?連絡先に全然知り合いが登録されてないぞ?
まあとりあえず掛けてみるか。
「もしもし? どうしたかみやん?」
「なあ土御門、ちょっといいか?」
「? まあいいぜよ」
「去年の11月から約9ヶ月半の間俺は何をしてた?」
「何って去年のかみやんなんて俺は知らないにゃー」
……はい?
「いや、すまん、ありがとう。んじゃまた」
27: 2012/10/04(木) 14:48:12.48 ID:2gqeS00to
とりあえず整理しよう。
まず俺はインデックスを助けにフィアンマを倒して、そんで北極海に落ちて……
俺の記憶が何故か戻ってきて、インデックスを不安にさせてたことが分かって。
そんで小萌先生から電話。
……いやいやいや、いろいろとおかしい。
で、土御門によると今俺らは高校1年生。
俺がフィアンマを倒したのが高校1年生の10月30日。
今は高校1年生の夏休み初日。
28: 2012/10/04(木) 14:48:39.27 ID:2gqeS00to
「はあ……不幸だ………」
とりあえずタイムスリップしたってことでいいのか?
あんまり驚かないってとこに今までの生活が出てる気がする……
いや待て。今日は夏休み初日。学園都市でその日は確か7月20日。
取り戻した記憶によると夏休み初日は……
29: 2012/10/04(木) 14:49:19.73 ID:2gqeS00to
「なるほどね」
もう一回チャンスが貰えるってことか。
不幸だー、ともいってらんねーな。
……よし。
そして俺はベランダへ出てそこで気を失っている少女に声をかける。
30: 2012/10/04(木) 14:49:53.06 ID:2gqeS00to
「よう。おかえり、インデックス」
その日はただ暑く、白い少女がとても眩しかった。
35: 2012/10/04(木) 22:25:06.85 ID:2gqeS00to
白い少女の綺麗な指先がピクンと動いた。
36: 2012/10/04(木) 22:25:54.30 ID:2gqeS00to
「よう、起きたか?」
「あれ、ここはどこ?」
「俺んちのベランダ。お前がここで引っかかってた」
「そ、そうなんだ。とりあえずおなかへった、おなかいっぱいご飯を食べさせてくれると嬉しいな」
「ああ、待ってろ。とりあえず入れよ」
「ありがとう、君、優しいんだね」
「い、いや別に……」
インデックスにこんなことを言われたのはいつぶりだろう。
ちょっと恥ずかしい。
そんなことを思いながら台所へと向かう。
37: 2012/10/04(木) 22:26:40.36 ID:2gqeS00to
「……あ」
そういえば昨日は御坂が雷落とした日なんだっけ。
確かこの頃はビリビリって言ってたなー、なんて。
「どうしたのかな?はやくしてくれると嬉しいかも」
「あー、悪いインデックス。昨日御坂が雷落としやがってさー。冷蔵庫の中身全部駄目になってるわ、ほんとすまん」
38: 2012/10/04(木) 22:27:20.21 ID:2gqeS00to
「………」
「? どうした?」
「……君も魔術師なの?」
「は?なんで?」
「私の名前……なんで知ってるの?」
「あ……」
これは……
どうする、俺。
39: 2012/10/04(木) 22:28:40.42 ID:2gqeS00to
……まあいっか、インデックスに対して秘密を持ったらまたインデックスを心配させることが起こるかもしれないんだ。
だから……
「大事な話があるんだ、インデックス」
「うん……」
俺は話す。たとえ信じてもらえなくても。
43: 2012/10/05(金) 18:03:10.69 ID:C6UeYttOo
「まずはお前から自己紹介してもらおうか」
「え? 知ってるんじゃないの?」
「ん、まあ自己紹介は大事だろ、一応初対面なんだし」
「分かったんだよ。私の名前はインデックス。見ての通り教会の者です。ちなみにイギリス清教のほうだね」
「そして魔法名はDedicatus545だね」
「そうか」
「で、君は何なのかな?」
「俺は上条当麻。普通の高校生だよ」
「全く納得出来ないんだよ……。科学の街で何で魔術って聞いて驚かないのかな?やっぱり魔術師なの?いや、この街で魔術のことを信じてもらえることはありがたいんだけどね」
「だって俺のほうがもっと信じられないこと体験してるしなあ」
「それはなにかな?」
「えーと……、そうだインデックス。お前の持ってる10万3000冊の魔道書の中には時間を移動する魔術みたいなのはあるの?」
「う……ほんとに君はどこまで知ってるのかな? 時間を移動する魔術も似たようなのはあるみたいなんだよ。こんなの出来る人がいるとは思えないけどね」
「そっか……。じゃあ言うぞ?」
「はやく言って欲しいかも」
44: 2012/10/05(金) 18:04:46.39 ID:C6UeYttOo
「俺、タイムスリップして来た」
「……」
「何だよその目は」
「いきなりタイムスリップって言われて信じる方がおかしいんだよ!」
これじゃいつかと立場が真逆だ、はは。
「つってもなあ。魔術もそうそう信じれるもんじゃねーだろ」
「それはそうかもしれないけど……」
「じゃあ何か証拠見せたいんだけど、何がいい?」
「じ、じゃあ私が何でここのベランダに引っかかってたか当ててほしいんだよ!」
「そんなんでいいのか? うーんと、まずインデックスは魔術結社の連中に追われてる、そのお前の魔道書を狙ってな。そこで逃げる為に屋上から屋上へ飛び移るはずだったお前は飛んでる最中に撃たれた。それで落っこちてここに引っかかった。無事なのはその『防御結界』のおかげ。どうだ、何か違うところあるか?」
「すごい……全部あってるんだよ」
「だろ? でもな……」
「どうしたの?」
45: 2012/10/05(金) 18:05:14.08 ID:C6UeYttOo
「魔術結社がお前の魔道書を狙って追っかけてるってのは嘘だ」
46: 2012/10/05(金) 18:05:52.06 ID:C6UeYttOo
「なっ……!でも本当に」
「ああ、追われてるのは分かってる。ただそれがお前の魔道書を狙ってるわけではないってことだ」
「じゃあ何を狙ってるのかな?」
「狙ってるんじゃない、お前の為なんだ」
「何を言ってるのかよく分からないかも」
「……それは今日の夜、そいつらと話をしに行くからその時にしよう。少しだけ言うとお前の記憶喪失に関係がある」
「!? ……分かったんだよ」
47: 2012/10/05(金) 18:06:21.43 ID:C6UeYttOo
「さ、この話は終わりだ。インデックス、お前お腹減ってるだろ? 俺も朝食ってねえし飯にするか?」
「そ、そうだ! そんなこと全然忘れてたかも! はやくご飯にして欲しいんだよ、ええと……」
「とうま。お前にはそう呼ばれてたよ」
「そっか、とうま。とうま……、へへっ、呼びやすいかも!」
「そっか、それはよかった。早速で悪いんだけどさ、ご飯、何もねえからちょっと待っててくれるか?」
「ちょっ、とうま!? 今とうまがどっかいっちゃったらまた魔術師がくるかも!」
「あー大丈夫大丈夫。隣行くだけだし。そいつならいろいろと信用出来るし、いろいろな」
「そっか、じゃあいってらっしゃい、とうま」
「ああ、いってきます」
俺にとってはいつものやり取りをし、家を出る。
48: 2012/10/05(金) 18:09:33.60 ID:C6UeYttOo
「……うおっ!」
「よーす」
「なにしてんだよお前」
「上条当麻の部屋から女の声が聞こえたからなー。面白そうだから聞いてたんだぞー。何を喋ってるかは全く聞こえなかったから家入ろうと思って玄関に来たら上条当麻が来たって訳だー」
「なんだよそれ。そうだ、舞夏。お前今何か料理出来ない?2人分の……いや、4人分の昼ご飯作って欲しいんだけど」
「おーそういうことなら任せろー。今日は兄貴が居なくて暇だったからなー。ちょっと待ってろーすぐ作ってくるからなー。でも何で4人分?」
あいつはまた仕事かな?
……って補習だっけ。
うわー嫌なこと思い出した。
「ん、まあ俺もそいつも朝も食べてなくてお腹減ってるからな」
まあインデックスが3人分なんだけどな。
「そっかそっかー。じゃあ30分待ってろー、すぐ作ってくるからなー」
「30分で出来るのかよ、はえーな。まあ30分たったら取りにいく」
「んじゃーまたあとでなー」
「ああ、じゃ」
そういって俺らはそれぞれ部屋へ戻る。
30分したらちょうどいい時間かもな、なんて考えながら。
49: 2012/10/05(金) 18:11:06.23 ID:C6UeYttOo
「ただいまー。おーいインデックスー。あと30分たったら美味しいご飯が届くぞ」
「それは楽しみかも! でも30分は長いんだよ……」
「じゃあその間俺のことでも話すか、話し忘れてたこともあるし」
「それがいいかも」
「じゃあ部屋に戻るか」
そんなことを言う。近付いてきたインデックスの頭を"左手"で撫でながら。
51: 2012/10/05(金) 18:36:06.68 ID:C6UeYttOo
「さて、もう一個信じれない話するぞ」
「もう何がきても驚かないんだよ」
「実は俺、超能力や魔術が効かないんだ」
「……え?」
「いや、この右手だけどな、それは」
「え?……え?効かない?何で?」
「何でかは知らない。でもこの右手だけは効かないんだよ。お前のその『歩く教会』も壊れるぞ、やってみるか?」
「やらないんだよそんなこと! というか本当に不思議だね、とうまは」
「俺でも不思議だよ。ああだから俺の右手にはあんまり近づかない方がいいかもな」
「そ、そうさせてもらうんだよ」
「よし、じゃあ今日が終わったらお前の服買いに行くか」
「え、なんで?」
「だって俺の右手があるかぎりお前俺に近づけないだろ?」
「いやいや、そうじゃなくて。何でそこまでしてもらえるのかな?」
「だってお前ここに住むことになるし」
52: 2012/10/05(金) 18:36:37.68 ID:C6UeYttOo
「……え? それは本当に?」
「ああ」
「ということは」
「……?」
「私の『歩く教会』、壊したこと、あるんだね……」
「……すいませんでした」
「まあ私だけど私じゃないから許すんだよ」
「そ、そうか。でもなインデックス。俺がそれ壊したの今日だぞ」
「? 壊れたらどうなるの?」
「そりゃ木っ端微塵に……」
「!?……///」
「……とうま?」
「……はい」
「それは私に言わなくても良かったんじゃないかな?」
「……その通りでございます」
「まあいいんだよ、これでどうせその機会は潰れたんだからね」
何回も見ました、なんて言えるわけもなく。
「じゃあ舞夏に服も無いか聞いてくる、いい匂いもしてきたしもう飯も出来るだろ」
「うん、そうしてもらうんだよ。いってらっしゃい」
「ああ」
53: 2012/10/05(金) 18:37:05.97 ID:C6UeYttOo
そうして俺は隣の部屋を開ける
「舞夏ー、出来てるかー?」
「あとは米が炊けるの待つだけだー」
「そっか、悪いな。ところで舞夏、お前この家に服とかない?」
「数着だけならあるけど、どうしたんだー?」
「いや、うちのやつの服をさ、明日買いに行こうと思ってるんだけどさ、今日の着替えがなくて良かったらかして欲しいんだ」
「おー、そういうことなら持ってけー」
そういって渡されたのは、真っ白なワンピース。
「何から何までありがとな」
「いやいや気にしなくていいぞー」
「そうか」
まあお前の兄貴にはこれからいっぱい無茶振りされるからな、これくらい許してもらおう。
54: 2012/10/05(金) 18:37:32.18 ID:C6UeYttOo
「さあインデックス! 飯だぞー!」
「わー美味しそうなんだよ!はやく食べたいかも!」
「並べといてやるからその前にこの服に着替えて手洗ってこい」
「……」
「どうしたんだ?」
「手洗ってこいって言われてもどこでどうすればいいのか分からないんだよ」
「あ……、そうだな。洗面台はあっちだ。使い方は分かるな?」
「分かった。使い方はあやしいかも」
「じゃあ俺と一緒に行くか、インデックス」
「うん!」
55: 2012/10/05(金) 18:37:59.38 ID:C6UeYttOo
もう二度と記憶を失ったりなんかしない。
インデックスを悲しませる訳にはいかない。
今度は俺自身も含めてインデックスやその周りに手を差し伸べる。
何気ない幸せの一部を噛み締めながら、そう誓う。
62: 2012/10/06(土) 20:52:02.19 ID:NacF4+qEo
いきますのー
63: 2012/10/06(土) 20:52:29.18 ID:NacF4+qEo
「おいしいんだよ!」
「確かにうまいな、さすが舞夏」
「そのまいかっていう人はとうまの彼女か何かなのかな?」
「いやいやそんなことないですよ、インデックスさん。上条さんは全然もてませんからね。あいつは兄貴にべったりだよ。兄貴はあいつにべったりだしな」
「ちょっと変わってるんだね」
「まあ兄貴の方はだいぶ変わってるな、うん」
64: 2012/10/06(土) 20:53:04.49 ID:NacF4+qEo
「あ、そーいや彼女とかで思い出したんだけどさ」
「うん?」
「俺は普段から不幸な目によくあうんだけどさ、前インデックスがこの右手のせいだ、とかいってたなー」
「それは私もそう思うんだよ。神様のご加護とか、運命の赤い糸とか。そういうものがあったとしたら、とうまの右手はそういうものもまとめて消してしまってるんだと思うよ?」
「やっぱり何回聞いてもそれ聞くのはショックだな……。ところで運命の赤い糸ってのは右手にしか結ばれないのか?」
「まさかそんなことを聞かれるとはね。それについては何とも言えないけど、それがどうかしたの?」
「俺の右手は神の奇跡(システム)だって打ち消せるんだ。もし右手にしか結ばれないなら、そんなシステムぶっ壊して左手に結んでやるよ」
「とうまはやっぱりむちゃくちゃだね」
「な、なにをー!」
「ふふっ」
「……それに、」
「ん?」
65: 2012/10/06(土) 20:53:32.34 ID:NacF4+qEo
それに、きっと俺の運命の赤い糸はきっと繋がってる。
俺はお前と会うためにこの世界(かこ)に来た。今ならそう思える。
66: 2012/10/06(土) 20:55:32.46 ID:NacF4+qEo
「いや、なんでもないさ。食べ終わったんなら皿洗うから台所にだしとけよー」
「うん、分かった。あっ、やっぱり手伝うんだよ」
「……まじ?」
「まじも大まじかも! そんなこととうまにだけさせるのは悪いんだよ」
「インデックス……」
「じゃあ2人で洗うか!綺麗にしないと舞夏に怒られるからな」
「それは大変なんだよ!ちゃんと洗わないと!」
「じゃあちょっとずつ家事もやっていくか、ちょうど夏休みだし今の間に覚えて学校が始まったら1人で出来るようになろうな?」
「了解なんだよ!期待して欲しいかも」
「ああ、期待せずに期待しとくよ」
「ひどいっ! 何でそんなこというのかな?」
「えー、だってインデックスっていったらなあ……」
「私っていったら?」
「よく食べる、わがままばっか、手伝わない、ごろごろ。いわゆるニート」
「我ながら酷いかも……。とうまはそんな居候を抱えるなんてやっぱり変なんだね」
「まあ俺だって好きでやってることだしなあ。まあインデックスが手伝ってくれたら嬉しいな、くらいには思ってたけどな。おかげで上条さんの家事スキルはそこら辺のやつには負けませんよ」
「私はとうまを楽させてあげられるようがんばるんだよ」
「ありがとな、インデックス」
そういって俺は"右手"でインデックスの頭をなでる。
インデックスに触れることの出来るしるしとして、その感触を確かめるように。
71: 2012/10/07(日) 23:29:36.51 ID:6zoekSy0o
なんやかんやで楽しい時間は過ぎるのが早い。
家の中の器具の場所や使い方を一通り教え終わった頃には日も暮れかかっていた。
ちなみに風呂と洗剤のことはより詳しく教えた。
「そろそろ晩飯の時間だな」
「何を作るのかな?」
「いや、材料がないから今日は外食してその帰りに買い物して行こうかなと思ってる」
「そっか、初めてなんだよ外食なんて」
「……そうだよな。これからは何回もとは言えないけど連れていってやるからな」
「分かったんだよ!」
「よし、じゃあ準備しろ。とりあえず『歩く教会』に着替えとけ」
「……? 分かった……」
73: 2012/10/07(日) 23:30:17.29 ID:6zoekSy0o
「「じゃあ、いってきまーす!」」
「インデックス、途中何があっても離れるなよ? 絶対だ」
「とうまは過保護過ぎるかも」
「いや、今夜は魔術師とも話する予定だからな」
「そういえばそんなこと言ってたかも」
「おいおい、大丈夫か? お前の完全記憶能力」
「む、バカにしないで欲しいんだよ」
「はいはい」
「……じゃあとうま、手繋いで?」
「ん」
インデックスの右手と俺の左手が繋がる。
ふと下を見ると、仲の良さそうな2人が手を繋いでいた。
それを見て思わず微笑む俺。
後ろからの敵の視線に気付かずに。
74: 2012/10/07(日) 23:31:15.13 ID:6zoekSy0o
「こっちはいろいろ悩んでるのに何仲良く手繋いどんじゃー!」
「とうま後ろ!」
「おう!」
そういって後ろに右手を出すと見覚えのある青白い雷が飛んできた。
「うおっ」
当然のようにそれは消える。
「全く毎回毎回ムカつくわね」
「はあ……なんだビリビリかよ」
御坂でよかったと思う反面、この場面で出会いたくなかったとも思いながら、思い出した懐かしいあだ名で呼ぶ。
「だから私には御坂美琴って名前があるっつってんでしょうがゴルァー!」
そういってまた電撃を飛ばしてくるあいつ。
俺だけならまだいい。
『歩く教会』を着ているとはいえ隣にはインデックスがいる。
それなのに電撃を放った御坂に少し腹が立つ。
75: 2012/10/07(日) 23:31:45.87 ID:6zoekSy0o
「また勝負かービリビリ」
「あの短髪は誰なのかな?」
「あいつは毎日のように電撃を飛ばしてくるビリビリさんだ」
「ふーん、そうなんだ。よろしくね、短髪」
「短髪、ビリビリ……アンタらはー!」
御坂が帯電を始める。
「はいはい悪かったな御坂。で? 悪いけど勝負はまたにしてくれ」
「出来るわけないでしょ!? 今日こそは勝ってやるんだから!」
「はあ……不幸だ…」
「で? その娘は誰なの?」
「ん? こいつか? んーまああれだ」
「あれで分かるわけないでしよ!? はっ、まさか誘拐? アンタはぁー」
「どこに仲良く手繋いでる誘拐犯がいるんだよ」
「説明してくれるまで帰らないわよ!」
76: 2012/10/07(日) 23:33:14.76 ID:6zoekSy0o
どうやら御坂はこれで勝負か事情を話すかどちらかを選べということみたいだ。
「……じゃあ勝負すればいいんだろ?勝負」
「やっとやる気になったわね……。こっちはいろいろあってむしゃくしゃしてんのよ」
「ところで俺はどうしたら勝ちになるんだ?」
「そりゃ私が膝やお尻をついたらでしょ、殴られたくないし」
「つまりこかせばいいんだな」
「まーそういうことよ、さあいくわよ!」
「はあ……じゃあインデックス、3分だけ待ってくれ」
「何よ!3分で終わるわけないでしょ!?」
「こっちは1時間以上攻撃されっぱなしでも全く食らわなかったんだぜ? 今度はこっちからも攻撃するんだ、ちょっとくらい本気出させてくれよ?あ、それと3分で終わらなくても俺の負けでいい。急いでるからな」
「アンタはほんとムカつくわねぇ……」
「こっちはいつでもいいぞー」
「じゃあいかせてもらうわよっ!!」
77: 2012/10/07(日) 23:33:42.37 ID:6zoekSy0o
御坂がまず雷撃の槍を放つ。
こっちは3ヶ月ほどそんな攻撃は受けてきた。進みながらでも受ける事くらいはできる。
「なっ!?」
俺と御坂の距離はもともと10m弱。
もう御坂は目と鼻の先。
電撃が効かなかっただけでなく、さらに近付いてきた俺に慌て、急いで今度は砂鉄を巻き上げる。
しかし砂鉄で何をするかわかっている俺にはあまりこわいものではなく、御坂の右手を掴みにいく。
御坂の右手に触れる寸前、砂鉄に触れるとそれらが全て崩れる。
そして御坂の右手を掴む俺。
そこからは勝負が決まるまでは早かった。
右手を掴んだままで能力を封じ、左腕を御坂の鎖骨当たりに押し当てる。
その瞬間、左腕を押し、右手は引っ張る。
少しバランスを崩したところで足をすくう。
ドンッ
という音の後、御坂の頭に手を置き能力を封じる。
78: 2012/10/07(日) 23:34:10.13 ID:6zoekSy0o
「……っつぅ…」
「お終いだ、御坂」
「アンタ今のが本気なの?」
「ん? んーとあんまりかな。こっちはもっとやばい奴らとやってるからなー」
「……くっ」
「まあ勝負はいつでも受けてやる。ただし俺が1人だけの時だ。それ以外にこの街やインデックス達を巻き込むなら容赦はしない、分かったか?」
「……分かったわよ」
「じゃあな、御坂。また強くなったらこいよ」
「ふんっ」
「じゃ行こうかインデックス」
「うん、とうますごいんだね!」
「いやーそれほどでもないって。お前だって今の状態だったら俺以外の攻撃効かないんだろ?」
「それは私の力じゃないからね、やっぱりとうまはすごいんだよ」
「そっか、ありがとな。ほら、手かせ」
「うん!」
「あ、そうだ御坂」
「何よ?」
79: 2012/10/07(日) 23:34:45.72 ID:6zoekSy0o
「確かに3分では終わらなかった、俺の負けだよ」
80: 2012/10/07(日) 23:35:13.28 ID:6zoekSy0o
「……」
「じゃあな」
(何よアイツ。あんなに強いなんて聞いてないわよ……。それにインデックスって言われてたあの娘。アイツ以外の攻撃が効かないって何なのよもーっ!)
御坂は白井がやってくるまでインデックスと名乗る新たな強敵を思い浮かべ悶々としていたらしい。
81: 2012/10/07(日) 23:36:12.57 ID:6zoekSy0o
「インデックス、ここにしよう」
「うん」
あれから俺たちは近くのファミレスへ入った。
「どれもこれもおいしそうなんだよ! どれでも頼んでいいいのかな?」
うーん……
「まあ今日は初めての外食記念だ、好きなの食え」
結局俺ってインデックスにとことん甘いよな。
「じゃあこれとこれにするんだよ!」
「お、2品だけでいいのか?」
「お昼にいっぱい食べたし、とうまには服も買ってもらうからね、少し遠慮するんだよ」
「そ、そうか」
いつもと違うインデックスに戸惑う。
「で、とうまはどれにするのかな?」
目を輝かせながらインデックスは言う。
「そうだな……」
「じゃあこれとこれにするか」
片方はインデックスの好物を注文する俺。
あの輝く目を見てやっぱりインデックスだなって思い微笑む。
82: 2012/10/07(日) 23:36:50.44 ID:6zoekSy0o
「お待たせしましたー」
「さ、インデックス、食うぞ」
「「いただきまーす!」」
「おいしいね、とうま!」
「ああ、冷凍のオンパレードだけどな」
「むぅ……。とうまはムードがないかも」
「ファミレスでムードもへったくれもないだろ」
「……とうま、それは禁句なんだよ」
「すまんすまん、まあおいしいしいいじゃんか」
「全くとうまはとうまなんだよ」
「何だよそれは!?」
どこかで聞いたことのあるセリフに突っ込んでしまう。
「うるさいんだよ、とうま」
「くそう……。ほらインデックス、これも食えよ」
「え……。ほんとにいいのかな?」
「なにいってんだよ、お前が欲しそうな顔してたからインデックスの好きなやつを注文したんだぞ?いいに決まってるだろ」
「ありがとうとうま!」
83: 2012/10/07(日) 23:37:18.62 ID:6zoekSy0o
「ふふん、上条さんにはインデックスのことなんて何でもお見通しなんですよ」
「とうま、それは真面目に言ってるの?それともギャグ?」
「……」
「……」
「……食うぞインデックス」
「うん……。」
84: 2012/10/07(日) 23:38:29.78 ID:6zoekSy0o
「「ごちそうさま!」」
「だいぶ暗くなったな、こりゃ買い物は全部明日だな」
「じゃああとは魔術師とお話しだけなんだね」
「ああそうだ」
「無茶はしないでね、とうま」
「ああわかってる」
そこで一つ思い出す。
「お、おいインデックス。悪いけどこれに着替えてこい」
「え? 私が危ないからこれを着てるんじゃないの?」
「いや、さっきまではそうだったんだけどな。今からは大丈夫だ。あの魔術師はお前を傷つけることはしない」
「でも攻撃されたんだよ」
「それはお前の『歩く教会』が生きてるからだ。もし会うまでに壊しちまったらお前は攻撃を食らうことになるかもしれない」
「……分かったんだよ。それにしてもよく着替え持ってたね」
「ん? そりゃあいつ壊しちゃうか分からんからなあ」
「笑えないんだよ……」
理由はそれだけじゃないけどな。
85: 2012/10/07(日) 23:38:57.15 ID:6zoekSy0o
「お待たせ、とうま」
「おう、じゃあ出るか」
「あ、これどうしたらいいのかな?」
「うーん……、俺が持つわけにはいかないしな……。あ、すいませーん!」
「はい、どうされました?」
「あの、少しの間だけ荷物預かって頂くことって可能ですかね?」
「はあ……まあ閉店前までなら」
「インデックス、それ預かってもらえ」
「う、うん。これお願いするんだよ」
「必ず閉店までにはとりにきますのでお願いします」
「かしこまりました」
「じゃあもう出るか」
「うん」
「3490円になります」
「じゃあ4000円からで」
「こちらお釣り510円になります」
「ありがとうございましたー」
86: 2012/10/07(日) 23:39:38.30 ID:6zoekSy0o
「よし、インデックス行くぞ」
「いいけど、どこに行くの?」
「そりゃあ決まってる。人払いのルーンが貼られてる場所までさ」
「それならこっちに少し魔翌力を感じるんだよ」
「お、そうかそうか」
87: 2012/10/07(日) 23:40:14.17 ID:6zoekSy0o
「……って前と同じ場所かよ」
「前もここに来たの?」
「ああ、聖人にボコボコにされて3日間寝てたんだと」
「無茶すぎるんだよ……」
「その時はインデックスが看病してくれたんだ」
「む、私もしてあげるんだよ!」
「いや、もうそんな大怪我するつもりはねえよ。風邪の時にでも頼むよ」
「任せて欲しいかも!うちにある機械も使い方だけは覚えてるからね」
「そこはかとなく心配だ……」
「失礼だねとうまは」
「いやいや上条さんは……」
人通りが一気に無くなる。
「……来たね」
「ああ、来たな」
88: 2012/10/07(日) 23:40:40.19 ID:6zoekSy0o
カツ、カツ
静寂の中に広がる足音は2つ。
97: 2012/10/09(火) 16:36:38.81 ID:tIPCE70co
「よう。ルーンの魔術師」
「何故それを? ……ああなるほど人払いのルーンを使っていることから予想したのかい?」
赤毛の魔術師はそう言う。
俺はこいつを知っている。
「いや、それだけじゃないさ。隣にいるのは聖人だろ?」
「……君は一体どこまで知っているんだ?」
「その子に聞いたのですか」
俺が聖人と呼んだ人物が初めて口を開く。
「いや、こいつはちゃんと記憶を失っているさ、こいつはテメェらのことなんて何も知らない」
「何が言いたい?」
「……」
98: 2012/10/09(火) 16:37:07.93 ID:tIPCE70co
赤毛の魔術師はこちらを睨みつけてくる。黒髪の魔術師はまだ冷静なようだ。
こういう反応、いつも通りだなー、なんて思う。
「おいインデックス、お前はイギリス清教内、第零聖堂区『必要悪の教会』所属の魔道書図書館、でいいんだよな?」
「う、うん。ちなみに正式名称はIndex-Librorum-Prohibitorumっていうんだよ」
今まで俯いていたインデックスは俺の問いに対して答える。
その答えを聞いて俺は笑う。
笑みが零れる。
「何がそんなにおかしい」
「だってテメェら、こいつの話をちゃんと聞いてたかよ」
「だからなんだと言っているんだ! こっちは一刻も早くそれを回収したいんだよ」
「やっぱりお前はこいつの話を聞いてねえな。『それ』なんて悲しいこと言うなよ、いくら魔道書図書館だからってさ」
「……要件を言ってください」
「しゃあねえな、テメェらが聞いてねえようだから俺がもう一回言ってやる」
99: 2012/10/09(火) 16:38:00.55 ID:tIPCE70co
「こいつは『必要悪の教会』所属の魔術師だ」
「それがどうした?」
「テメェらの親友だろ? なあ、『必要悪の教会』所属の魔術師、ステイル=マグヌスに神裂火織」
「「「……!?」」」
「驚いたね、そこまで知っているとは。どうやって知ったかは知らないが僕達が何のためにその子を追っているかは知っているのかい?」
「ああ、知っているさ。インデックスの記憶を消すため、だろ?」
「じゃあ何のためにそんなことをしているかは知っているのですか?」
チラリとインデックスの方に目をやる。
インデックスは不安げな顔でこちらを見つめてくる。
俺はインデックスに微笑みかけ、神裂の方を向き直す。
「もちろん。こいつを『一時的』に救うためだろ?」
「そこまで分かってるなら話すことはもうない。早く回収させてくれないか」
「お断りだ」
「「な……ッ!」」
魔術師達の顔が驚愕へと変わる。
100: 2012/10/09(火) 16:38:44.38 ID:tIPCE70co
「君はこの子を見頃しにすると言うのか!」
「人の話は最後まで聞くもんだぜ、ステイル」
「……、で? なんだい?」
「俺なら一時的じゃなくてもう二度と記憶を消さずに済むように出来る」
「ふん、何を言い出すかと思えば」
「助けたくないのか? インデックスを」
「でもどうすることも出来ないんですよ!?」
「まて、神裂。……大した自信だね、能力者。君に一体何ができるって言うんだい?」
「だからこいつを救うことができるって言ってんじゃん」
「ふざけたことを……」
101: 2012/10/09(火) 16:39:37.34 ID:tIPCE70co
ステイルが何かをポケットから取り出す。
それはほんの小さな十字架のついたネックレスだった。
あれには見覚えがある、俺があれ何をしようと大丈夫だ。
「……これはあの子の記憶を[ピーーー]のに必要な道具だ」
ステイルは俺に近付いてその十字架をよく見せてくる。
「これは『魔術』の一品だよ。君が何なのかは知らない。しかしこれは簡単に壊すことは出来ない」
「でもね、どこかに放り投げたり、川に捨てたり、それを持って逃げることは可能だ」
「この子はそのうち頭痛で苦しみ出す。そんな風になる女の子の前でこれを僕から取り上げることが出来るか? これが無ければ彼女は氏ぬ。自分にそんなに自信があるなら僕からこれを奪ってみろ!」
俺はもう迷わない。
「テメェからそれは奪わないし、奪うつもりもない」
右手をそっと十字架に向けて伸ばす。
「ただそれにちょっとばっかり壊れてもらうけどな」
右手が十字架に触れた瞬間、パキンという音がし、チェーンの部分がバラバラになり十字架が地面へと落ちる。
「な、なんてことをしてくれたんだ!!」
ステイルに胸ぐらを掴まれる。
「自信があるならこれを奪えってテメェがいったんだろうが。この十字架は俺がもらうぞ。奪わねえって言ったばっかで悪いけど」
十字架を拾い上げ、ポケットに入れる。
もしかしたらこれがあればオルソラのようにイギリス清教に関係を持てるかもしれない。
もしかしたらインデックスに関して協力しやすくなるかもしれない。
もしかしたら……、
そんな淡い幻想を抱いて。
102: 2012/10/09(火) 16:40:10.85 ID:tIPCE70co
「じゃあ、やってもらおうじゃないか。君の方法とやらをね」
「じゃあ最初に一つだけ言わせてくれ」
「なんだい?」
103: 2012/10/09(火) 16:40:38.14 ID:tIPCE70co
「完全記憶能力で頭がパンクして氏ぬなんてことは、絶対にない」
104: 2012/10/09(火) 16:41:04.91 ID:tIPCE70co
「……は?」
魔術師達が固まる。
ステイルの手が離れる。
まあ俺も前は知らなかったけどな。
「詳しくは知らないけどな。脳には記憶の容れ物がいくつかあって、本をいくら覚えて知識を増やしても思い出などの記憶とは容れ物が違うために圧迫されることはないらしい」
「でも彼女は事実毎年苦しんでいるんですよ? そんなこと……」
「85%」
「……なぜそれを?」
「インデックスが10万3000冊を覚えるのに使った脳の容量だって?」
「ええ、そうですが」
いつの間にか受け答えは神裂に変わっていた。
「じゃあもう一つ聞く。インデックスが記憶を消さなければならなくなったのは何歳からだ?」
「彼女の歳が2桁になってからですが」
「はあ……いいか、テメェら。インデックスが10万3000冊を覚えるのに脳の85%使うだろ? そしたら残りは15%だ。この15%では一年間しか記憶出来ない。ここまではいいか?」
「はい」
「じゃあなんでインデックスは6歳や7歳で氏なずに10歳まで生き延びた?」
「……!」
105: 2012/10/09(火) 16:42:18.32 ID:tIPCE70co
「教会だよ、神裂、ステイル」
「赤ん坊の頃の記憶がどうとかなんてそんな詳しいことまでは知らねえ。ただインデックスの場合魔道書を覚えるということで脳の残り容量は減っていってるはずなんだ。だからやっぱり10歳までに氏ななかったってのはおかしいんだよ。テメェらは教会に騙されてるんだ。禁書目録なんてシステム作った奴がこいつを野放しにするわけ無いだろ。そんな奴らがこんな極東に派遣されるような下っ端のテメェらなんかに本当のことを言うかってんだ」
「じゃあ、僕達のやってたことは何だっていうんだ……。くそっ……!」
「待ってください!じゃあそれがわかったところでどうするんですか?」
「なんだテメェら見てなかったのかよ」
「何をですか?」
「さっき俺が何を壊したかだよ。俺の右手には幻想頃しってのが宿っている。超能力も魔術も効かない、霊装だって壊せる。こいつが今『歩く教会』を着ていないのは間違って触ってしまうと服が破壊されてしまうからだ」
まあ首輪を破壊する時にこいつに触るだろうから着てないってのもあるんだけどな。
「その力でこの子にかかっている魔術を破壊すると言うのですか?」
「ああ、魔術がどこにかかっているかも分っている」
久々にインデックスに向き直る。
「インデックス、俺を信じてくれ」
「さっき魔術師が私を追ってるのは私の為って言ったのはこういうことだったんだね」
「ああ、そうだ。今からインデックスを助ける。少し口を大きく開けてみろ」
「わかったんだよ」
106: 2012/10/09(火) 16:42:47.20 ID:tIPCE70co
俺はインデックスの口に手を入れながら言う。
「おい神裂にステイル。まだ俺のことが信じられないなら信じさせてやる。こいつは魔術が使えないんじゃない」
バキィッ
「こういうとっておきの時に魔術を扱えるようになってるってことをな!」
インデックスの眼球に真っ赤な魔法陣が浮かび上がる。
そして、
107: 2012/10/09(火) 16:43:13.70 ID:tIPCE70co
「ーーー警告、第三章第二節。Index-Librorum-Prohibitorumーーー禁書目録の『首輪』、第一から第三まで全結界の貫通を確認。再生準備……失敗。『首輪』の自己再生は不可能、現状、10万3000冊の『書庫』の保護のため、侵入者の迎撃を優先します」
「ーーー『書庫』内の10万3000冊により、防壁に傷をつけた魔術の術式を逆算……失敗。該当する魔術は発見できず。術式の構成を暴き、対侵入者用の特定魔術を組み上げます」
「ーーー侵入者個人に対して最も有効な魔術の組み込みに成功しました。これより特定魔術『聖ジョージの聖域』を発動、侵入者を破壊します」
108: 2012/10/09(火) 16:45:19.98 ID:tIPCE70co
インデックスが着々と魔術の準備を進める。
ステイル達はまだ状況がよくわかっていないようだ。
「ほら見ろ。インデックスはちゃんと魔術を使っている」
俺はもう、女の子1人救えないような無力な人間になんてならない。なってやらない。
目の前の少女を助けることのできる嬉しさに右手を握り締めた瞬間、ベキリとインデックスが作った亀裂が裂ける。
ゴッ!!と。亀裂の奥から光の柱が襲いかかってきた。
右手を前に出す。
ある程度は打ち消せるが、完全には打ち消せない。
でも俺はこんな攻撃に対する方法を見つけた、手に入れた。強くなったんだ。
何のために家ん中じゃなくて外に出たと思ってんだ。
俺は前に出した右手で光の柱を押さえつけると、手首をねじり、そのベクトルを斜め後方へと無理やりに逃がす。ビルや歩道橋が破壊される音が響く。
今は光の柱を後ろに逃がしていることで俺への負担は少ない。少しずつ前へ進む。
109: 2012/10/09(火) 16:45:53.92 ID:tIPCE70co
あと4m
3m
2m
1m
……0
110: 2012/10/09(火) 16:46:20.43 ID:tIPCE70co
インデックスの作った亀裂、さらにその先の魔法陣を右手で引き裂く。
「警、こく。最終……章。第、零ーー……。『 首輪、』致命的な、破壊……再生、不可……消」
ブツン、とインデックスの口から全ての声が消えた。
……その時インデックスの顔が少し笑った気がした。
そして思い出す。あの北極海での不思議な出来事を。
「ああ、どういたしまして、インデックス」
111: 2012/10/09(火) 16:46:46.83 ID:tIPCE70co
「上です!上!!」
「え?」
突然の叫び声に俺は上を見る。
ビルや歩道橋を破壊した後に生まれた、何十枚もの光り輝く羽がまるでこなあああああああああああああああゆきいいいいいいいいいいいいいいいいいのように舞い降りてくる。
……また、繰り返すのか?
また、怪我をして
また、記憶を失って
また、インデックスが誰か分からなくなって
また、インデックスに嘘をついて
また、インデックスを傷つけて
また、自分にも嘘をついて
そしてまた、インデックスにあんな顔をさせてしまうのか?
113: 2012/10/09(火) 16:48:06.42 ID:tIPCE70co
そんなこと……
そんなこと、あっていいはずがねえだろうがッ!!
パキン
軽い音と共に俺の周りの羽が消える。
(何が……、何が起こったというのですか?)
まだだ、まだ羽はある。
こんなんじゃ足りねえ。
今なら、
こんな力を見つけた今なら、
あとはそれを手に入れるだけ。
……なんだ、簡単なことだったじゃないか。
さあ右腕に集まれ、幻想頃し。
全ての幻想を喰らい尽くせ!!
114: 2012/10/09(火) 16:49:54.48 ID:tIPCE70co
俺はまだまだ、強くなれる。
目の前の少女のために、自分のために。
「ォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオッッッ!!!」
右腕に集まり半透明な竜となった見えない力。
雄叫びをあげたそれが全ての羽を喰らい尽くす。
115: 2012/10/09(火) 16:50:45.60 ID:tIPCE70co
ーーーーーー
ーーーー
ーー
インデックスは?
インデックスは無事か?
見るとインデックスは気持ち良さそうに眠っていた。
……あーあ、この白いワンピースどうしようか。
舞夏だったら汚れててもちゃんと綺麗にしてくれるよな? うん。
いや、そもそも受けとって貰もらえるか?
あーでもやっぱり『歩く教会』じゃなくてよかった、マジで。
この力使ってたらあれ壊れて、インデックスの噛みつきだけじゃ無くてステイルや神裂の攻撃も受けてただろうからな。
あれ、でもその前インデックスに触ったっけ? あれ?
『歩く教会』で思い出したけどあの店まだ閉まってねえよな?
竜がただの右腕の姿に戻る時、俺はそんなことを考えていた。
116: 2012/10/09(火) 16:51:12.88 ID:tIPCE70co
街には人が戻り始める。
ここが学園都市ということもあるのか、この時間帯そんなに人が多いわけではない。
粉々になった羽の欠片が街頭の光を受けてインデックスを照らす。
目の前の少女は白く輝いていた。
117: 2012/10/09(火) 16:51:40.56 ID:tIPCE70co
その日はただ暑く、白い少女がとても眩しかった。
118: 2012/10/09(火) 16:52:37.95 ID:tIPCE70co
「上です!上!!」
「え?」
突然の叫び声に俺は上を見る。
ビルや歩道橋を破壊した後に生まれた、何十枚もの光り輝く羽がまるでこなあああああああああああああああゆきいいいいいいいいいいいいいいいいいのように舞い降りてくる。
……また、繰り返すのか?
また、怪我をして
また、記憶を失って
また、インデックスが誰か分からなくなって
また、インデックスに嘘をついて
また、インデックスを傷つけて
また、自分にも嘘をついて
そしてまた、インデックスにあんな顔をさせてしまうのか?
119: 2012/10/09(火) 16:55:25.15 ID:tIPCE70co
いじょー
インデックス戦終了です
>>112
指摘されるまで気づきませんでした、ありがとうございます
あーまじやらかした。
予定が空けば今日の夜に最後の投下します
遅くても明日には投下するつもりです
では
ほんとすみませんでした、粉雪……
121: 2012/10/09(火) 17:07:01.18 ID:tIPCE70co
「上です!上!!」
「え?」
突然の叫び声に俺は上を見る。
ビルや歩道橋を破壊した後に生まれた、何十枚もの光り輝く羽がまるで粉雪ように舞い降りてくる。
……また、繰り返すのか?
また、怪我をして
また、記憶を失って
また、インデックスが誰か分からなくなって
また、インデックスに嘘をついて
また、インデックスを傷つけて
また、自分にも嘘をついて
そしてまた、インデックスにあんな顔をさせてしまうのか?
130: 2012/10/11(木) 19:09:13.77 ID:gYqpc4Hpo
「どうもありがとうございました」
「また何かあったら来るといいね? あの子もいろいろあるんだろ?」
「はは、なかなか来たいもんじゃないですよ、病院なんて」
「それはそうかもしれないね?」
「それにあいつはここならみてもらえると思ったんで」
「随分と信用されたもんだね?」
「ま、それについてもいろいろあるんですよ。じゃ、失礼します」
131: 2012/10/11(木) 19:09:39.75 ID:gYqpc4Hpo
病院を出ると3人の魔術師がいた。
神裂、インデックスの顔には笑みが、ステイルは真顔を装っているが明らかに嬉しそうだ。
どうやら和解したらしい。
俺は3人に笑いかける。
ステイルは不機嫌そうにタバコに火をつける。
インデックスが嫌そうな顔をする。
それを見て慌ててタバコをしまうステイル。
「「ぶふっ」」
俺と神裂はそのコントに堪えることは出来なかった。
「どうでしたか? 結果は」
「ああ、俺もインデックスも異常なし。全然へっちゃらなんだと」
「それは良かったですね」
「うん!」
インデックスは嬉しそうだ。
132: 2012/10/11(木) 19:10:09.58 ID:gYqpc4Hpo
「じゃあ、僕達はいつまでもここにいても仕方がないからね、帰らさせてもらうよ」
「そうか、じゃあな神裂、ステイル」
「ここにこの子の今後のことが書かれているからしっかり読め………って何で君はこの子がここに残ることをもう分かっているんだい?」
「それは……、ねえ? インデックスさん」
「え? 私に振られても困るだけかも!」
「「ははははっ」」
「……何か上手く誤魔化されたような気分だよ」
「ふふっ。さて、もう時間です。帰りましょう、ステイル」
「ああ、分かっているさ」
「ではお元気で、インデックス、上条当麻」
「じゃあな」
「本当に今回はあの子を救って頂いてありがとうございました」
「気にすんな、俺がしたくてしたことだ」
「それでもやはり……」
「救われぬ者に救いの手を、だろ?」
「!? ……それでもやはりあなたはこちらのことに関しては素人な訳で」
「あーもういーからいーから、また遊びにこいよ? どうせ住所は調べたんだろ?」
「はい……」
「いつでも待ってる。だよな? インデックス」
「もちろんなんだよ!」
「ではまた甘えさせて頂きます」
「かおり、時間は大丈夫なのかな?」
「はっっ!!」
神裂はインデックスの指摘を受けるとステイルの襟元を掴み、跳んで行った。文字通り、跳んで行った。
133: 2012/10/11(木) 19:10:51.88 ID:gYqpc4Hpo
「おーおー。聖人やべー、はえー」
「さすがってところだね」
「さて、今日は何から買いにいこうか?」
「私はお腹が減ってるんだよ」
「やっぱりインデックスはインデックスだな」
「……そこはかとなくバカにしてるね?」
「いやいや、安心しただけだよ。じゃあ先にスーパー寄って昼飯一緒に作るか」
「ふっふーん、私の頭の中の器具の場所や使い方、レシピは未だ健在なんだよ!」
「流石完全記憶能力ってところか?」
「でもこれもとうまのおかげかも。ありがとうね、とうま」
「ああ、どういたしまして、インデックス」
「それでごはん作って食べ終わったら服なんだよ!」
「分かってるよ、お前に似合うの買おうな」
134: 2012/10/11(木) 19:12:00.77 ID:gYqpc4Hpo
「私ほどになればきっとどんなのでも似合うと思うんだよ」
「ああ、そうかもな」
「なななななにを言ってるのかなとうまは!?」
「何ってインデックスはどんな服を着てもきっと似合うんだろうなって」
「そんな恥ずかしいセリフ、平然と言わないで欲しいんだよ!」
「なにおうっ。本当のことなんだからいいだろ? それにお前自分で言ったんじゃねえか」
「はあ……やっぱりとうまはとうまなんだね」
「それさっき上条さんが言った!」
「その前には私が言ったもん!」
「こ、こんなとこで完全記憶能力使うな!」
「覚えてることは仕方がないんだよ」
「うぐ……」
「ねえとうま?」
「ん? なんだインデックス?」
「ううん、何でもない」
「何だよそれ……」
「とうま、とうま」
「……何だよ?」
俺は呆れたように答えた。
なぜなら俺は覚えている。
この後6万回くらい意味も無く名前を呼び続けられる予定だからだ。
だが俺の記憶は外れた。
135: 2012/10/11(木) 19:12:30.71 ID:gYqpc4Hpo
「私ね、こんなだからいろんな魔術師に狙われたりすると思うんだよ」
「……」
「でも私たちの世界ではそれが普通。そんな私が辿る地獄への道に、とうまはついて来てくれる?」
あの時答えられなかった質問。
もう答えなんて決まっている。
「行かない」
「……っ」
インデックスの顔が歪む。
136: 2012/10/11(木) 19:12:57.45 ID:gYqpc4Hpo
「コラ、人の話は最後まで聞け」
不安げな目を俺に向けるインデックス。
「地獄なんて誰が好き好んで行くかってんだ。俺が地獄からひきずりあげるに決まってんだろうが、バカ」
インデックスの顔が明るくなる。
「じゃあその時は……」
「……」
137: 2012/10/11(木) 19:13:26.49 ID:gYqpc4Hpo
「助けてね、とうま」
138: 2012/10/11(木) 19:18:23.49 ID:gYqpc4Hpo
ーーー助けて、とうま。
それは初めて出会った時から、
インデックスが斬られたあの時から、
俺が神裂にやられたあの時から。
記憶を失ってからもずっと。
ずっと、ずっと、言って欲しかった言葉。
139: 2012/10/11(木) 19:19:23.58 ID:gYqpc4Hpo
「ああ、もちろんだ。お前がいつどこにいようと助ける。嫌だって言っても絶対に離さねえ」
「それは勘弁して欲しいかも」
「え?」
「でも私はきっと嫌になんてならない。だから絶対に離さないでね、とうま」
「離すもんか。俺は、きっとお前と会うために過去へやってきたんだ」
そうやって俺たちは手を繋ぐ。
昼ごはんのおかずと買う服を考えながら。
……舞夏にも一着買ってやろう。
このワンピースは汚れ過ぎててきっと受け取ってもらえないだろう。
するとこのワンピースは俺たちが貰わなくちゃいけない。
あー不幸だー。
140: 2012/10/11(木) 19:19:53.07 ID:gYqpc4Hpo
ただ、
「なあ、インデックス」
こんな不幸なら、
「なあに、とうま?」
俺は喜んで貰うつもりだ。
「大事にしろよ、」
141: 2012/10/11(木) 19:20:34.10 ID:gYqpc4Hpo
ーーーその、白いワンピース。
149: 2012/10/12(金) 23:27:35.87 ID:pYD7E40Qo
「さーてインデックス、昼何が食べたい?」
「うーんとね、……。作るんなら簡単なのがいいかも」
「インデックスは作るの初めてだしな。じゃあスーパー行くか」
「楽しみだねとうま」
「……」
「とうま?」
「……いやまて、この時間帯なら」
「どうしたの?」
「ちょーっとだけまってくれ、インデックス」
「なんで?」
「もうちょっとしたらさ、昼だろ? だからさ、弁当とかおかずとかが多めに置いてあるんだよ、しかもちょっと安い」
「なるほどなるほど」
「でも今日はインデックスと料理をする。だから弁当は買わず、おかずだけ買ってメインだけをを今日は作りたいと思う。いきなり全部は難しいからな」
「じゃあ私オムライスがいいかも!」
「わかった、じゃあ卵とかも買っていこうな」
「うん! ふふん、オムライスー♪」
「っと……まだ時間はあるけど今からだと服見るには短すぎるよなあ……。よし、そこの公園行くか」
「わかったんだよ」
150: 2012/10/12(金) 23:28:26.23 ID:pYD7E40Qo
「さて、暇だな」
「暇だね、とうま」
「なあ、ちょっと聞いていいか?」
「なあに?」
「お前ってさ、あの状態の時のこと覚えてるの?」
「うーん、記憶としてはあんまりないかも。夢で見たちょっとした場面っていうくらいの曖昧さかも……」
「そうか」
「何でそんなこと聞くのかな?」
「いや、お前の使ってた魔術にちょっと興味があってさ……」
「どんなやつ?」
「竜王の殺息ってやつ」
「ああ伝説にある聖ジョージのドラゴンの一撃と同じくらいの威力のある魔術のことだね」
「伝説?」
「うん、昔ね、一つの街があってそこに王様と国民達がいたんだよ。そこに悪竜がやって来たんだけど、みんなはそれを倒そうとしたんだよ。そこで怒った悪竜が使ったのが強力なブレスーー竜王の殺息だね」
「竜王? 悪竜なのに?」
「まあその辺はまだいろいろあるんだけど長くなるんだよ」
「ふーん」
「でもなんで急にそんなこと気になったのかな?」
「インデックス、竜王の顎って知ってる?」
「名前は知ってるかも、見たことはないけど」
「そっか……。いや、こいつがそれなんだけどさ」
「オオオオッッ!!」
151: 2012/10/12(金) 23:28:53.51 ID:pYD7E40Qo
「……え?」
「ん?」
「……とうま、ますますおかしくなってるんだよ」
「だよなー、俺でも何が何だか。で、その魔術とか伝説と何か関係ありそう?」
「見た目だけなら関係、というかそのまんまなんだよ」
「はははっ、そうか、じゃあ竜王の殺息ってやつを使えたりしてな」
「そんなのが出来るなら苦労しないんだよ」
「苦労って何にだよ……。でもさ、これだけ見た目がそっくりなら使えそうだよなー」
「そんなことあるわけないかも」
「でもさ、できそうじゃないか?ほらこうやって右手を引いて息を吸って……右手を突き出して息を吐き出す!」
152: 2012/10/12(金) 23:30:23.89 ID:pYD7E40Qo
「あ」
「えっ」
「……」
「……え?」
「……」
「……インデックス、なんか飲み物いるか?」
「え、いいの? ……でもとうまに悪いかも」
153: 2012/10/12(金) 23:33:07.34 ID:pYD7E40Qo
「インデックスが遠慮なんかするなよ。少しくらいわがまま言ってくれた方がインデックスらしく元気でかわいいぞ?」
「か、かわっ……」
「ん?」
「なななななんでもないんだよ! そうだ、私とうまのおすすめがいいなー……」
「? そうか、じゃあ適当に買ってくるから待ってろ」
「い、いってらっしゃいなんだよ」
「おー」
「まったく、とうまは……」
俺の返事の後、インデックスが何か言ってるように聞こえた。
俺の空耳かそんなに大したことじゃないのかは知らないがインデックスは俺を止めようとはしなかったのであまり気にせず自販機へ向かった。
それとあの力はもう使わない、本当の緊急事態の時だけにしよう。
あと、俺の不幸センサーが何か重大なものを壊したって知らせてくる……。
弁償とかないよな?
「はあ、不幸だ……」
154: 2012/10/12(金) 23:35:50.88 ID:pYD7E40Qo
今日も俺は平常運転です。
160: 2012/10/17(水) 21:10:55.56 ID:qcAlTTNXo
「……忘れてた」
俺は今、とてもピンチな状況にいる。
ここの自販機、まともなのがねえ……。
「こんな変なモンばっかじゃインデックスの好みとか関係してくんのかわかんねえ……」
まあいいか、とりあえず1番ましだと思われるものにしよう。
そう考えて財布からお金を出す。
161: 2012/10/17(水) 21:11:44.19 ID:qcAlTTNXo
……はずだった。
「不幸だ……」
また重大なことを忘れていた。
この自販機。金のむやつじゃねーか!
あ、でもそれは紙幣だけなのかな? 硬貨は……、
「使えるのが150円しかない……」
缶は120円。自分は別にいらないんだし、インデックスのだけでも買えればよし。
俺はその100円玉と50円玉を自販機に入れた。
ガコン
「よかった……、買えた」
たまにはこんな幸運があってもいいよな。
162: 2012/10/17(水) 21:12:18.60 ID:qcAlTTNXo
「おーいインデックおわっ」
「はーい♪」
「み、御坂!? なんでここに?」
「失礼ね、私だって自販機くらい利用するわよ。それよりアンタ1人? なんか物凄い威力のありそうなビームがこの辺から見えたんだけど」
「あー……。ごめん、それ俺がやった。出せるかなーって試したら出ちゃった。あとそこにインデックスいる」
「ああそう、それは残念。勝負できないじゃない。…………って、は?」
「ん?」
「ん? じゃないわよ! え? さっきの本当にアンタなの?『出ちゃった、テヘッ♪』 って何!?」
「まあ落ち着け、とりあえずなにしにきたんだ?」
「落ち着けるわけッ……はあ、もういいわ。とりあえずジュースでも飲もうかなー、なんて」
「え? お前自販機使うの?」
「だからさっきも言ったでしょ、自販機くらい使うわよ」
「いや、そうじゃなくてさ、買うの?」
「な、何のことかしら?」
163: 2012/10/17(水) 21:13:42.01 ID:qcAlTTNXo
「まさかとは思うけど、学園都市第三位サマが自販機にケリ入れてジュースただ飲みなんてケチなことはしてないよな?」
「そ、そんなことするわけないデショー。っていうかアンタなんでそんなこと知ってるのよ!?」
「ん? どんなこと?」
「あっ」
「……」
「……」
「……ははっ」
「ちぇいさーっ!」
「……もしもし、警備員ですか?」
「ちょーっとまったー!」
「なんだよ」
「え? 何? 何しようとしたの?」
「そりゃあお前見たらわかるだろ?」
「……」
「そんな顔するなよ御坂。お前が悪いんだからしっかり反省して今後もそういうことや街での電撃の使用をだな……。今のも別に本当に通報してたわけじゃないし冗dってちょ、おいっ」
「アンタはやっぱりムカつくわねーッ!」
「危なかった……」
「チッ、たまにはくらいなさいよ」
「いや、一回でもくらったら氏ぬからね?」
164: 2012/10/17(水) 21:14:20.66 ID:qcAlTTNXo
「そんなことかんk」
「風紀委員ですの! こちらで能力者が暴れているという通報が……ってあら? お姉様?」
「あ、黒子」
「そうなんだよ白井聞いてくれよ。こいつさあ……」
「ちょちょちょちょーい!」
「どうせお姉様が電撃を放ったってとこなのでしょう? そしてその殿方。あなたが『あの馬鹿』ですの?」
「あの馬鹿?」
「ですの。お姉様は毎日帰って来るなりあの馬鹿、あの馬鹿……と。それはもう楽しそうに話していらっしゃいますのよ」
「ちょ、黒子!?」
「電撃のダメージがないところを見るとあなたで間違いないのでしょうけど……。ところで何故わたくしの名前を知っているんですの?」
「それは……。……あれだよ、お前がこの辺じゃ有名な風紀委員だからだよ」
「あら、それは光栄ですの。わたくしお姉様の『露払い』をしている白井黒子といいますの」
「俺は上条当麻。よろしく、白井」
「はい、上条さん。じゃあお姉様。わたくしは見回りに戻りますので。今日は早く帰ってきてくださいな」
「わかってるわよ」
「毎日そう言ってるのに遅いからですの。ごまかすのもそろそろ限界ですのよ?」
「はいはい、じゃあね。早く戻りなさい」
「では失礼しますの、お姉様。上条さん」
165: 2012/10/17(水) 21:14:59.38 ID:qcAlTTNXo
「……」
帰るのが、遅い?
いやちょっと待て。
この頃は俺が毎日追いかけられてたはず。
そのことで門限破ったのは毎日じゃないはずだ。
ということは……
「どうしたのよ?」
「いや、お前なんで早く帰らないんだ? 俺を追いかける以外にもなんかあんの?」
「何でもいいでしょ? ほら、アンタも早く戻りなさい。きっとあの娘待ってるわよ」
「わかった、じゃあな」
御坂妹、探してみるか。
「いや、やっぱり私も行く」
「何で?」
「私もあの娘にいろいろ聞きたいことあるし……」
「そうか、じゃあ行くか」
「うん」
166: 2012/10/17(水) 21:20:14.80 ID:qcAlTTNXo
「あ、でもあいつの過去とか、あいつが何で能力効かないとか、あいつの能力とかは聞くなよ? あ、いや、後の二つは別に……。いやでも、うーん……」
「何でよ? いいじゃない」
「よくねえよ。あいつにも人に言えない事情ってのがあるんだ。お前にもあるだろ? 人には言えないようなこと」
「それは……あるけど」
「それにお前が聞いてもまず信じないだろうしな」
「何でよ?」
「じゃあ例えばさ。あいつが漫画に出てくるような魔法使いだって言われたときああそうですかって信じられるか?」
「いやいや、無理に決まってるでしょそんなの。何よ魔法って、そんなの本当に漫画の世界の話でしょ? 全然科学的じゃない」
「これくらいの話が信じられないなら多分あいつの話は一つも信じることができないぞ」
「何よ、魔法なんてものがあるっていうの!?」
「さあな、ただこっからはお前の踏み込んでいい話じゃない。俺が言えたもんじゃねえけどさ、やっぱりこっち側の人を巻き込むわけにはいかないんだよ」
「な、何のことかさっぱり分からないけど私は学園都市の第三位なのよ? 私に勝てる人なんてここにはそういないわよ」
167: 2012/10/17(水) 21:21:13.69 ID:qcAlTTNXo
「確かに、ここにはいないかもな。でもさ……」
「何よ?」
「実際俺に負けただろ? 無能力者の俺に」
「アンタの無能力は詐欺みたいなもんだからノーカンよ」
「……認めてるじゃねえか」
「何ですって?」
「科学じゃ説明できない力をさ。全然科学的じゃない俺の右手を、お前は何で信じてるんだよ」
「え……」
「世界は広いんだ。お前が一番強いわけじゃない。色んな能力だってある。それと俺は何回も敵にやられて入院してきた。でも御坂に怪我させられたことなんて一回もない」
「それは……私が」
「俺、手加減されてるのに氏にかけたことあるんだよ。本当にこっちは一度も手を出せずに、な」
「……」
「それと御坂。お前もこの街でもお前より強いやつを見たことあるんじゃないのかよ?」
「な、何を……」
「心当たり、あるだろ? 俺以外にお前に勝ったもう一人が」
「っっ!?」
168: 2012/10/17(水) 21:22:01.76 ID:qcAlTTNXo
やっぱり……。御坂が実験について知るのが早すぎる。
何かがおかしい。
「詳しいことは聞かないし言わない。お前にとっては人には知られたくない話なのは分かってる? だからここでこの話は終わり」
「アンタがどこまで、何を、どうやって知ってるかは知らないけど、誰にも言わずにいてくれると嬉しいわ」
「言うわけねえだろ」
「そ、ありがと。早く戻りましょ」
「結局お前も来るんだな」
「詳しいことは聞かないことにするけどね」
「ああ、ありがとう。そうしてやってくれ。でもあいつがうっかり口滑らすかもしれないから先に言っておく。魔法、とは言えねえかもしれねえけど、魔術は本当にある。けどあいつに魔術は使えない。だから証拠は見せられないと思う」
「証拠がないとか尚更信じられないわよそんなの……。でもそのことを聞くのはあの娘から話してきたときだけにするわ」
「いや……」
「何よ?」
「あいつに一度質問したら延々と説明し続けるぞ」
「……」
「……」
「世間話でとどめておくわ」
「ああ」
「ところでアンタのビームは魔術ってやつ?」
「いや、俺にもあいつにも分からん。なんかいろいろと正体不明でさ」
「何よそれ……」
169: 2012/10/17(水) 21:22:31.00 ID:qcAlTTNXo
「悪いインデックス、遅くなった」
「いいんだよ、とうま。途中で短髪がきてくれたし……ってえ?」
「お姉様?」
「た、短髪が2人もいるんだよ」
「……」
「……」
「どうしたの? とうま、短髪」
「ーーーアンタ! 一体どうしてこんな所でブラブラしてんのよ!!」
「何かと問われれば、研修中です、とミサカは簡潔に答えます」
「けん、」
御坂が息を詰まらせ、目を逸らし、何かブツブツ呟いている。
「……おい妹、ちょろっとこっちにきてみよーかー?」
「は? いえミサカにもスケジュールはあります、とーーー」
「いいから、きなさい」
「んじゃ、私達はこっちの道だから。シスターも元気でね」
「う、うん。じゃあね短髪たち。……ねえとうま、短髪のお家は複雑な家庭なのかな?」
170: 2012/10/17(水) 21:22:57.97 ID:qcAlTTNXo
「……まて、お前ら」
「何? 私はもう行きたいんだけど」
「おい、妹の方。ちょっとこっち来い」
「ちょっとアンタ、勝手に何するつもり!?」
「……いいから来いっつってんだよ」
「!? ……わ、分かったわよ、行ってきなさい」
「分かりました、とミサカはお姉様に従います」
お姉様の所に行くのには渋ったくせに……。
相変わらず変わった奴だな。
「じゃあちょっと2人は外してくれ。御坂、インデックスにいろいろ聞きたかったんだろ?」
「今さらなにもないわよ。行けばいいんでしょ? 終わったら呼びなさい。ほら、行くわよ」
「え? 何? 何が起こってるのかな?」
「……悪いな、インデックス」
171: 2012/10/17(水) 21:28:47.94 ID:qcAlTTNXo
「で、何でしょう、とミサカは疑問を口にします」
「……お前、何号だ?」
「このミサカはミサカ10032号です、とミサカはあなたがミサカ達の存在を知っていることに驚きつつも答えます」
「ちょっとまて、じゃあ10031号は?」
「昨日実験が終わったところですが、とミサカは懇切丁寧に説明します」
「は……? もしかして実験場は路地裏か?」
「路地裏とは?とミサカは疑問を口にします」
「あの、古本屋の近くの」
「あなたは実験の関係者なのですか?」
「いや、ただ情報をたくさん知っているだけだ」
「不思議な方ですね、とミサカは少し自分達の情報がばれていることを気味悪がります」
「するとお前はどこで実験するんだ?」
「これ以上は実験の妨げになる恐れがあるのでお答えできません」
「まあいっか、多分あそこだろ。さ、御坂とインデックス呼びに行くぞ。あ、あとインデックスと話してくれてありがとな」
「いえ、いいんですよ、とミサカはめんどくさかったという本音を隠しつつ答えます」
「隠せてないぞー」
172: 2012/10/17(水) 21:29:31.94 ID:qcAlTTNXo
……そうか、実験は何故か1ヶ月ほど早くはじまってるみたいだな。
多分御坂妹は今日の夜実験だろう。20:30か……。
「インデックスー」
「あ、とうまが呼んでるよ、短髪」
「だから私の名前は御坂美琴だって何回も言ってるでしょうが」
「……なあ、御坂妹」
「それは私のことですか?」
「ああ。御坂妹、俺さ、学校通ってるし、馬鹿だし夏休み中も補習行ったりしてるからさ、昼間インデックスを一人にしちゃうんだよ。だからさ、今日が終わったら暇な時は俺の家遊びにきてくれよ」
「ですがミサカは……」
「それ以上は言うな。お前は実験動物なんかじゃない。お前は生きている。似た顔のやつがただ1万人ほどいるだけの人間なんだよ。それにミサカ10032号はこの世界に1人しかいないじゃないか。そしてそいつは俺やインデックスの友達で、御坂の自慢の妹だよ。それはお前が生まれた時から、今も、これからもずっと変わらないことなんだよ」
「……」
「何話してんのよ?」
「いーや、なんでも」
「じゃあインデックス、買い物行くか」
「うん、じゃあね、短髪、クールビューティ」
「何それ!? 私とこの子の差ひどくない?」
「お姉様、そういうところがクールではないのでは?とミサカは当たり前の指摘をします」
「ぐっ……」
「じゃあな御坂……そうだ御坂」
「何よ?」
「ちょっとこい……」
「え? 何?」
俺は御坂に小声で話しかける。
「今日の夜20:00に鉄橋に来てくれ、どんな用事があっても来てくれ」
御坂も小声で返事をする。
「いいけど……何で?」
「お前の毎日の夜更かしを終わらせる」
「え? 何する気よ!?」
「いいからこい、絶対だ。その時話してやる」
「……分かった」
「じゃあな」
「うん、また後で」
「んじゃ御坂妹もまたなー」
「……さようなら」
173: 2012/10/17(水) 21:30:09.57 ID:qcAlTTNXo
「……。さーてインデックス、今日は晩飯のおかずも買うぞー」
「任せて欲しいんだよ!」
「じゃあ多分袋多くなるだろうからいくつか持ってくれよ」
「ふっふーん、お安い御用かも」
「それはよかった」
「行ってしまわれましたね」
「……アンタ、あいつと何話してたの?」
「いや、特に何も話してませんが、とミサカは嘘をつきます」
「アンタの口癖って損ね」
「しょうがないことです」
「で、何話したの?」
「……ミサカはお姉様の妹でいていいんでしょうか?とミサカは質問します」
「何よ、当たり前じゃない。あんな酷いこと言っちゃったけど、私はどんなことをしてでもアンタ達を助けてみせるわ」
「そうですか……。でもミサカはただの実験動物です、とミサカは反論します」
「そんな、そんな悲しいこと言わないで!! アンタは私の妹よ、自慢の妹なのよ……。たった1万人の大切な妹」
「……そうですか。では、お姉様。ミサカはこれで」
「うん、じゃあ、またね」
「はい。……また…」
184: 2012/10/23(火) 20:16:00.97 ID:lyv56LVGo
そんなこんなで俺とインデックスは今スーパーにいる。
時刻は11:30。
「インデックスー。このエリアのおかずなら何買ってもいいぞ」
「本当に!? 本当に何でもいいんだね、とうま!!」
「あ、ああ。まあ……」
「じゃあこれとこれとこれと……」
「あのー、インデックスさーん。3品程度にしていただけるとありがたいんですが……」
「あ、これも……。むむー。どっちにしよう……。どっちもいれちゃえ」
「聞いてねえ……」
「何かな、とうま? 私は今忙しいんだよ」
「たくさん買ってもいいけど、その時は晩飯とかにもまわすぞ」
「……つまりどういうことなのかな?」
「つまりだな、インデックスが10品買ったとするだろ? すると3品は昼、3品は夜。って感じになるけどいいかってことだ」
「そ、それは……。その間手作りが食べれない分辛いかも」
「……じゃあ俺の分も決めてくれ、一緒に食べよう。な、インデックス?」
「とうま、ありがとう!」
やっぱりインデックスに甘い俺であった。
185: 2012/10/23(火) 20:16:27.81 ID:lyv56LVGo
ーーーーーーーーあと、8時間半。
186: 2012/10/23(火) 20:18:06.60 ID:lyv56LVGo
「「ただいまーっ」」
「さあインデックス、おかずはそこおいとけ。まずは冷蔵庫に買ってきたもんいれるぞー」
「わかったんだよ!」
「元気だな」
「ふっふーん。それはとうまと一緒にご飯作るのが楽しみだからかも!」
「そっか、それはよかった」
「だから何をすればいいのかな?」
「じゃあまずは冷蔵庫の使い方をもう一回説明するぞ」
「そんなの覚えてるんだよ、ここが野菜でここがお肉、ここが卵でしょ?」
「おおー、さすがインデックス」
「じゃあいれていくんだよ。ほいっほいっ」
「ちょーとまてー! 考えて入れろよ!」
「ん?」
「そんな入れ方したら全部入らないだろ?」
「え? でも入っちゃったかも」
「Oh……」
「じゃあ、次はお肉いくんだよー!」
「……」
「ふぅ、これもなんとか入ったんだよ」
「なんか才能を感じるな」
「えへへー」
「いや、別の才能な」
「むー、それはどういう意味かな?」
「なんでもねーよ。ほら、オムライスの材料出してくれ」
「分かったんだよ、これとこれかな?」
「ああ、じゃあ作るか」
「はやくするんだよ!」
「お、おう……」
187: 2012/10/23(火) 20:18:36.24 ID:lyv56LVGo
ーーーーーーーーあと8時間。
188: 2012/10/23(火) 20:19:34.68 ID:lyv56LVGo
「「いただきまーす!!」」
「卵がふわふわじゃないんだよ!」
「そりゃインデックスは初めてだからな。そんだけできれば十分だ」
「とうまの卵ずるいかも」
「インデックスも慣れたらこれくらい出来るようになるさ」
「もっとがんばるんだよ!」
「それは楽しみだ。ほらインデックス口開けろ」
「?」
「卵ちょっとやるよ」
「!! あーん」
「あーん」
「おいしいね、とうま」
「だろ? 上条さんにかかればこんなことちょちょいのちょいだ」
「ふっふーん、もうすぐ私、とうまを抜くもんねー」
「はいはい」
「……その余裕が気に入らないんだよ」
「ん? おいインデックス、口にケチャップついてる」
「んー、とれた?」
「いや、逆」
「これでどうかな?」
「もうちょい下かな」
「よし、これで!」
「下行きすぎだ」
「もー! とうまの説明が悪いかも!」
「悪かったな。ほら、うーってしろ」
「うー」
「はい、食べてよし」
「えへへ、ありがとね」
「はいよ、しゃべりながら食べたらまたつくぞ?」
「うん!」
189: 2012/10/23(火) 20:21:18.63 ID:lyv56LVGo
「「ごちそうさまー!」」
「ふう、食った食った」
「私はまだまだいけるんだよ」
「相変わらずだな、お前は」
「そんなに褒めないで欲しいかも」
「褒めてねえよ、それより用意出来たのか?」
「へ? 何の?」
「何の?ってお前……。服買いにいくんだろ?」
「そういえばそんな話もあったかも」
「……お前、実は魔道書何冊か忘れてるだろ」
「ば、ばかにしないでほしいかも! えっとね、一冊目はね……」
「悪かった、俺が悪かったからもう用意してさっさと行こう! な?」
「とうまから言い出したくせに……」
「あー! あー! 何も聞こえねー。さ、インデックス、買い物だぞ? タノシミダナー」
「……」
「……」
「一冊目はね…」
「あーまじごめんって!」
「許してあげないこともないんだよ」
「っていうか用意出来てるの?」
「あ……」
「お前やっぱり」
「一冊m」
「いいから用意してこい!」
190: 2012/10/23(火) 20:21:45.17 ID:lyv56LVGo
「「いってきまーす!」」
「忘れ物ないか?」
「服を着替えただけで何を忘れる物があるのかこっちが聞きたいくらいかも」
「ま、その調子だったら大丈夫だろ、行くか」
「うん!」
191: 2012/10/23(火) 20:22:20.24 ID:lyv56LVGo
「さてと、着いた訳だけど、まずは何にする?」
「まずはね……下着?」
「あー、そういや普通の服着るならいるよなー……って!?」
「ん? どうしたのかな」
「おおおおおまえ、ワンピースの時し、下着……」
「とうまー!!」
「痛いっ、痛いからやめてインデックスさん! 叩かないで、ここ店ん中ー!」
「まったくとうまは……」
「と、とりあえず好きなの選んでこい」
「とうまは来てくれないの?」
「行けるわけないだろ!?」
「だめ……?」
「そんな可愛い顔してもだめー!」
「わかったんだよ……」
やれやれ。上条さんも男子高校生なんですよ。
そんなとこにいたら周りからどんな目で見られることか……。
192: 2012/10/23(火) 20:22:51.10 ID:lyv56LVGo
「とうまー!」
「お、早かったじゃねえか」
「うん、うん! 早く買お!」
「……なんかいいことあったのか?」
「あっちのほうに可愛い服がいっぱいあったんだよ!」
「そうか、それは早く行かないとな」
193: 2012/10/23(火) 20:23:17.17 ID:lyv56LVGo
「だいぶ買ったな」
「満足かも、ありがとね」
「いいんだよ」
「えへへ」
「……じゃあ帰るか」
「うん♪」
「あ、ちょっとだけ待ってろ」
「え、どこ行くの?」
「すぐ戻ってくるから」
「う、うん」
194: 2012/10/23(火) 20:24:18.94 ID:lyv56LVGo
「悪いな、インデックス」
「ううん、そんなことないんだよ」
「ありがとうな」
「あれ、その白いワンピース……」
「これか? 舞夏に返そうと思ってな」
「それ買いにいってたんだね」
「ああ、じゃあ今度こそ帰るぞ」
「そろそろおやつの時間かも」
「帰りにクレープ買ってやるから今は我慢な」
「やったー、クレープ♪クレープ♪」
あと、携帯も買わなきゃな。
とりあえずは電話の使い方だけ覚えてもらえばいいだけだし……。
そういえばペア契約にすれば電話代が……、これはインデックスとペア契約にしないとな。
そして、
195: 2012/10/23(火) 20:24:45.30 ID:lyv56LVGo
ーーーーーあと5時間。
196: 2012/10/23(火) 20:25:22.54 ID:lyv56LVGo
「「ただいまーっ」」
「おいしかったね、クレープ」
「あそこは上条さんのオススメなんだ」
「また行きたいんだよ」
「また、な」
「そんなことはわかってるかも。あと、このけーたいっていうのもありがとう」
「それは連絡用に必要だろ? 俺だって学校行ったりするんだしさ 」
「うん、そうだね。あと使い方はなんとか覚えたんだよ」
「じゃあ俺にかけてみろ」
「えーっとね……。もしもし?」
「『もしもし?』」
「おおー、つながったんだよ!」
「じゃあ次はこっちから、もしもし?」
「『もしもし?』」
「一応ちゃんと使えてるな」
「また今度メールっていうのも教えてね」
「ああ。それより昨日の今日でだいぶ疲れたな」
「私はそれほどかも」
「若いのは元気だなー」
「とうま、なんか親父くさい」
「何だとーッ」
そこで俺は思い出す。
「っと、ちょっと隣いってくる。服渡してくるわ」
「いってらっしゃーい」
「眠そうだな、やっぱり疲れてるんじゃねえか」
「そ、そんなことはない……かも……」
「休んでていいぞ、晩飯作るときには起こしてやるから」
「今日はとうまに買った服を着て、見せたいんだよ」
「そうか、ありがとうな」
「えへへ」
「じゃあとりあえずいってくるよ」
「うん」
197: 2012/10/23(火) 20:27:29.90 ID:lyv56LVGo
「舞夏ー、いるかー?」
「人の義妹を呼び捨てするなよカミやん」
「んなことどうでもいいけどいるのか?」
「ど、どうでも……」
「落ち込んでねえでさっさと言えよ、こっちは急いでるんだよ」
いや、特に急いでないけど。
「今はいないぜよ。何か用かにゃー? ……はっ、まさかカミやん!」
「あーもう……。お前の思ってるようなことは何もないから」
「ほんとかにゃー? で、もう一回聞くが何の用ぜよ」
「これ、舞夏に渡しといてくれ」
「なっ……これは舞夏が持ってたはずのワンピース……! 上条当麻、貴様!」
「コイツめんどくせえ……。借りてたから返しにきたんだよ」
「借りてた……だと……?」
「あーもう! うちの同居人の服を買いにいくまで借りてただけだよ」
「何!? 同居人だと、カミやん! オレ達が補習受けてる間にカミやんは女の子と……」
……お前は知ってるだろうが、俺の同居人。
「そんないいもんじゃねえよ」
「どんな娘ぜよ? カミやん?」
「銀髪の外国人のシスターで、今お前が頭に思い浮かべた人物だよ」
「……、外国人か、羨ましいぜよカミやん」
「はいはい、分かったからとりあえずそれ渡しといてくれ」
「っくぅーーカミやん! 今日という今日は!」
「うっせえ!!」
疲れた……。
ほんとに疲れた。
198: 2012/10/23(火) 20:29:06.73 ID:lyv56LVGo
「ただいま、インデックス」
「……」
「あれ? インデックスー?」
「……寝てる」
しかもちゃっかり着替えてるし。
「似合ってるぞ、インデックス」
そういって頭をなでる。
「えへへ、ありがと……」
「……起きてるの?」
「……」
「……びっくりさせんなよ」
俺も少し寝ようかな、1時間寝たら17:00だし晩飯作り始めるのにちょうどいいだろ。
それに今日は一方通行とも話さなきゃいけないし……な…………。
─────ありがと、とうま。それと、おやすみ。
インデックスの声を聞いた、気がした。
199: 2012/10/23(火) 20:29:49.64 ID:lyv56LVGo
……ま! きて、……!
「起きて、とうま!」
「うわっ」
「とうま、おはよう」
「やば、俺すっかり寝ちゃってたな」
「うん、ぐっすりだったよ」
「今何時だ?」
「18:00なんだよ」
「悪い、インデックス! 飯すぐ用意するから……ってあれ?」
机の上にはご飯とおかずが2人分並べてあった。
「これ、インデックスがやったのか?」
「うん、そうなんだよ!」
「へー、ありがとうな」
「あ、でもまだご飯の炊き方しか分からなかったから、おかずはお昼買ってきたやつの残りなんだよ……」
「それでも十分だよ、おいしそうじゃないか」
「……うん、そうだね!」
200: 2012/10/23(火) 20:32:05.21 ID:lyv56LVGo
「「いただきまーす!」」
「うええ、ご飯がちょっと水っぽいんだよ……」
「そんなことないぞ、インデックス。ちゃんとおいしいぞ」
「そうかな?」
「そうだ、インデックスが炊いてくれた米だからな」
「そう言われるとそんな気がしてくるんだよ」
「だろ? 自分で作ったご飯はおいしいもんなんだよ」
「早くおかずも作れるようになりたいかも」
「焦らなくても大丈夫だ」
「そうだね」
「あ、インデックス、飯終わったらどうする?」
「どうするって?」
「いやー俺バカだからさ、補習行かなきゃなんねーんだけど行ってないんだわ。だから先生ん家行ってくるんだけどさ……」
「ふーん……」
「な、なんだよ」
「ううん、じゃあ私はお風呂入るね」
「そっか、わかし方は……」
「ちゃんと覚えてるよ」
「くれぐれも洗剤の使い方を間違えるなよ」
「? わかったかも」
201: 2012/10/23(火) 20:32:34.53 ID:lyv56LVGo
「「ごちそうさまー!」」
「じゃあ俺が皿洗うからインデックスは風呂わかしてくれ」
「任せてほしいんだよ!」
さて。
一方通行、か……。
あいつは、俺と同じ────
202: 2012/10/23(火) 20:33:02.70 ID:lyv56LVGo
「じゃあ行ってくる」
「うん、いってらっしゃい」
「今日だけでも何回も家に入ったり出たりしてるな、俺たち」
「ほんとだね」
「風呂はいって、眠かったら寝てていいからな」
「今度こそ大丈夫かも」
「そっか、あんまし無理すんなよ」
「……」
「どうした?」
「さっきのセリフ、とうまにそのまま返すんだよ」
「……」
「いってらっしゃい、補習が長引いて帰れない、とかはやめてね」
「……わかってる」
203: 2012/10/23(火) 20:33:32.76 ID:lyv56LVGo
ーあと1時間。
ありがとう、インデックス。
214: 2012/11/03(土) 22:26:52.64 ID:5DlAwgAQo
さて、御坂に会うために鉄橋まで来たわけですが……
……おっ、いたいた。
「御坂ー、っておま」
いたんだけど……、
「……何よ」
何かかなり落ち込んでいる様子だ。
「何ってお前何でそんな顔してんだよ」
「……別になんでもないわよ」
「何でもないわけないだろ! またあの実験のことか? まさか開始時間が早まったとか?」
「……違うわ、こっちの話」
「じゃあ実験には関係のないことなんだな?」
「いや、関係は……。はあ……。もういい話すわよ、話せばいいんでしょ? とりあえずどこ行くのか知らないけど行きながら話すわ」
「はいはい」
「『樹形図の設計者』って知ってるわよね?」
「ああ、それがどうかしたのか?」
「今日ね、それをハッキングしに行ったのよ」
「え?」
「あれに偽の予言を吐かせたら少しでも実験は止まるんじゃないか、そしたらその間にできることもあるんじゃないか……って」
「……」
「でもね……」
215: 2012/11/03(土) 22:28:12.19 ID:5DlAwgAQo
何故だろう、嫌な予感がする。
違う、嫌な予感しかしない。
冷や汗が湧き出る。
ヤバいヤバいヤバいヤバい。
聞いちゃだめだ聞いちゃだm
「それ、壊れちゃったらし「ごめんなさい!」
216: 2012/11/03(土) 22:28:54.59 ID:5DlAwgAQo
「……は?」
「そ、それ壊れたのいつかわかる?」
「……」
「……」
「昨日まではあった『樹形図の設計者』への依頼が今日は半分以下。あ、いや、そうじゃなくて今日だけ本来の半分以下しか処理されなかったらしいの」
「それでおかしいと思ったら報告書にはこう書いてあった。"『樹形図の設計者』は正体不明の高熱原体の直撃を受け、大破したものと判明。正確な大破時刻は分からないものの、おおよそ9時からの3時間の間であることも判明。また、原因の解明と、この件による『樹形図の設計者』の情報の漏洩を防ぐために残骸の回収を最優先する"って」
217: 2012/11/03(土) 22:30:38.96 ID:5DlAwgAQo
「へ、へー。それはそれはミサカサンナントモウンノワルイコトデ」
「……」
「じゃ、じゃあさっさと行こう、もうすぐだ」
「……待ちなさいよ」
「ひぇっ!?」
「アンタ何か知ってるわけ?」
「かっ、上条さんみたいな一般人はそんな機密事項なんて何も知らないのでゴザイマスヨー?」
「本当のところは?」
「いや、俺本当に知らないって!」
「本当?」
「ああ、多分」
「多分?」
「あ」
「……」
御坂が俺の肩をつかむ、ヤバい。
「言いなさい。今ここで電流流してあげてもいいのよ?」
「……」
……でもたった今もうそれどころじゃなくなった。
218: 2012/11/03(土) 22:31:07.96 ID:5DlAwgAQo
「……流すなら勝手に流せ。今のお前じゃ俺に電気は流せねえよ。それにもう時間がない」
「何よ、アンタそんなこと言ってビビらせるつもり? 電気効かないのはその変な右手だけでしょ? 私が今つかんでるのはアンタの肩なのよ、肩」
「だから勝手に流せって言ってるだろ? 信じれねえならやってみろ、本当に右手だけなのかどうかをな」
「じゃあ遠慮なく……って………え………」
219: 2012/11/03(土) 22:31:47.43 ID:5DlAwgAQo
……御坂はどっちに驚いたのだろう。
俺に電気が効かなかったこと?
それとも……
目の前に御坂と同じ顔をした奴が白髪の男の前にいること?
……タイムリミットだ、御坂。
お前の喧嘩はいつでも受けてやる。
220: 2012/11/03(土) 22:32:15.80 ID:5DlAwgAQo
実験開始まであと10秒。
待ってろ、御坂妹。
そして、
俺と同じ、お前。
234: 2012/11/18(日) 17:36:01.62 ID:vKRmWL8qo
目の前には操車場。
……ば、それ以上『上』を目指す必要性など感じないのでは、とミサカは予測します」
静かな夜だ。
こんな時だと、まだある程度遠くにいる御坂妹、一方通行の会話も聞こえてくる。
235: 2012/11/18(日) 17:36:27.50 ID:vKRmWL8qo
「最強、ねェ」
「最強、さいきょう、サイキョーってかァ? そりゃ確かにそォだ、俺はこの街で一番強い能力者だし、それはつまり世界で最高の能力者って事だろォけどさァ」
「結局、俺はまだ最強止まりなンだよ。この俺は学園都市で最強の能力者。ふン、そンじゃどォして周りの連中はそれを知ってンだ? ぶっちゃけさァ、実際に一方通行と戦ってみて負けたから、だろォ? それって逆に言えば俺の強さは、面白そうだから試しにアイツにケンカを売ってみよう、って程度にしか思われてねェって事だよなァ」
236: 2012/11/18(日) 17:37:05.07 ID:vKRmWL8qo
「……」
御坂は黙って一方通行の言葉を聞いている。
こいつにもあいつや俺と同じところがあると俺は思うし、共感できるところでもあるのだろうか。
それとも。
「御坂、お前はここで待ってろ」
「……本当に助けが必要な時は言いなさいよ」
「うーん、多分大丈夫だろ。あ、でも」
「何よ?」
「一方通行を倒したあとちょっと力を借りるかもな」
「……分かった」
「じゃ、行ってくる」
そして、一方通行が再度言葉を放つ。
237: 2012/11/18(日) 17:37:34.85 ID:vKRmWL8qo
「ダメだよなァ。そンなンじゃ全然ダメだ。そんな最強じゃ全くつまンねェ。俺が目指してンのはその先なンだよ。『挑戦しよう』と思う事が馬鹿馬鹿しく聞こえるぐらいの、そもそも相手が『戦おう』って思う事すら許さねェほどの、絶対的な強さ」
238: 2012/11/18(日) 17:39:18.28 ID:vKRmWL8qo
────────そんな『無敵』って存在に憧れている、
だろ?一方通行。
239: 2012/11/18(日) 17:39:53.21 ID:vKRmWL8qo
「あン?」
「よう、一方通行。御坂妹も元気そうでなによりだ」
「なンだァ? オマエ」
「ミサカはいつも元気ですが、とミサカは貴方がここにいる事への驚きを隠しながら返答します」
「相変わらずだな」
「そうですか?」
「ああ。……っと、そうだ御坂妹。お前にはまだインデックスと遊んでもらうって約束があったよな? あれどうなるんだ?」
「オイ、オマエはさっきから何言ってンだ?」
「うるさい。ちょっと黙っててくれ、今は御坂妹と話してるんだ」
「あァ? オマエ、ナニサマ? 誰に牙剝いてっか分かって口開いてンだろうなァ、オイ。学園都市でも七人しかいねェ超能力者、さらにその中でも唯一無二の突き抜けた頂点って呼ばれてるこの俺に向かって何て口の利き方してンだァ? オマエ、何なンだよ。カミサマ気取りですか、笑えねェ」
「お前の事なら知ってるぞ。しかも今わざわざ自己紹介までしてくれたじゃないか」
「舐めてンのか?」
「てかさ、お前本当に第一位なの? ずっと思ってたんだけどさ」
「はァ?」
240: 2012/11/18(日) 17:40:29.67 ID:vKRmWL8qo
「いやだって見るからに細いし。そんなんで立てんの?」
241: 2012/11/18(日) 17:40:59.39 ID:vKRmWL8qo
「……」
「……」
「……」
「……正直もや」
バシュッ
一方通行の蹴った石がコンテナに当たり、それは小さな爆発を起こす。
それがどうした、俺はちゃんとこいつが第一位だって知ってる。
「……、へェ。オマエ、面白ェな。だがオマエは俺を舐めすぎなンだよ。………………じゃァな」
一方通行が視界から消える。
242: 2012/11/18(日) 17:41:52.28 ID:vKRmWL8qo
が、俺にはあいつがどうくるか分かる。
分かるだけにあとは避けるだけだ。
「ほォ」
「さっきはいいものを見たな。能力がなければ立ってられないって自分で言ったようなもんだよな」
「ふン、そンなこと脳に直接ダメージを食らわない限り無理だろォが。あァ? 何ですかァ? オマエは空間移動能力者ってかァ? 残念だが俺には効かねェよ」
「それは残念だ。だが俺はまた残念なことに無能力者なんだよ」
243: 2012/11/18(日) 17:42:49.81 ID:vKRmWL8qo
でも、
「でも、お前に勝つことならできる」
「……」
一方通行は無言で右手を突き出してくる、避ける。
次は左手、避ける。
避ける、避ける、どんどん避ける。
244: 2012/11/18(日) 17:43:19.97 ID:vKRmWL8qo
「お前じゃ俺には勝てねえよ」
245: 2012/11/18(日) 17:44:41.03 ID:vKRmWL8qo
「……いやオマエ、さっきから避けてばっかりでさァ、全然攻撃翌来ねェンだけど。さっきのはハッタリで実はビビりまくりってオチですってかァ!?」
「え? 攻撃していいの?」
「あン?」
「いや、お前、氏ぬよ?」
「はァ?」
「ああっとその前に一つだけ。お前の能力ってさ、ベクトル変換? だっけ? ベクトル見えんの?」
「何言ってンだ?」
「まあいいや、どうせ知覚化はしてるんだろうし」
「だから何言って────」
「じゃあいくぞ」
246: 2012/11/18(日) 17:46:45.61 ID:vKRmWL8qo
緊急事態、発生だあああ!
「ォォオオオオオオオっ!!!」
ドゴッ!
247: 2012/11/18(日) 17:47:23.68 ID:vKRmWL8qo
「! っく……」
「おー避けてくれてよかった、さすが第一位ってところだな」
「……オマエ、何をした?」
「ん? 腕からビームだけど」
「そンなことを聞いてるンじゃねェ!」
「じゃあ何なんだよ」
「今の、本当に能力での攻撃か?」
「いや、だから俺は能力者じゃないって」
「だとすると、科学の攻撃じゃないのか……」
一方通行が呟く。鋭い。
「やっぱり、さすが第一位だ」
科学を知り尽くしているからこそ、魔術(オカルト)を肯定できる部分があるのだろう。
「──────オマエ、本当に面白ェわ」
「ありがとう」
248: 2012/11/18(日) 17:48:47.29 ID:vKRmWL8qo
「……、どうやって攻撃してるかは分からねェし知らねェがそンなのは関係ねェ。俺はオマエを倒す。いいねェ、強いヤツと戦うってのは。そろそろ実験にも飽きてきたとこなンだよォ」
「そうか、飽きてきたのなら実験とこの戦いはもう終わりにしよう」
「ふン、言ってろ」
249: 2012/11/18(日) 17:49:14.71 ID:vKRmWL8qo
さあ、一方通行。
ここからは話し合いの時間だ。
250: 2012/11/18(日) 17:50:17.58 ID:vKRmWL8qo
ドサッ……
直後、一方通行が地面に倒れた。
251: 2012/11/18(日) 17:55:31.88 ID:vKRmWL8qo
いじょー
上条さんなんでこんなにうざくなったんだろう
上条「お前じゃ俺には勝てねえよ」キリッ
って感じかなあ
毎度毎度レスくださってる方々ありがとうございます
ではまたー
263: 2012/12/16(日) 21:54:56.51 ID:SbZNHjxOo
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……ブフォ」
一方通行はまだ動かない。
264: 2012/12/16(日) 21:55:25.03 ID:SbZNHjxOo
「……は?」
しばらくして、誰かが声を発した。
一方通行がびっくりして発したのか、御坂や御坂妹があまりにもあっけない一方通行に驚いたから発したのか。
でも俺には誰がその声を発したのかわからない
決して集中していたから、ではない。
265: 2012/12/16(日) 21:56:14.58 ID:SbZNHjxOo
……こいつ、ほんと能力ないと立てねーのかよ。
「ブフッ……」
「……」
「……」
「……オイ」
「んんん? なんだ?」
「……オマエ、何をした」
「だからお前の能力をだな」
「だからさっきからそンなことを聞いてるンじゃねェ!」
「じゃあなんだよ、めんどくさい奴だな」
「……チッ、もういい。俺の負けだよ、何にも分かンねェ。さっさと殺せ」
「何で?」
「はァ? 頭大丈夫かオマエ」
「……」
「……」
ほんとにめんどくさい奴だ。
上条さんの頭は大丈夫です、多分。
266: 2012/12/16(日) 21:56:55.10 ID:SbZNHjxOo
「……おーい御坂ー」
「な、何よ!?」
こいつはこいつでいろいろ追いついていないようだ。
「オイコラ」
「こいつちょっと黙らせられない?」
「え? え?」
「……オイ!」
「いや、電撃でちょっとさ。俺こいつと話したいことあるし」
「べ、別にいいけど……。っと、私はその後どうすればいいのよ?」
「無視してンじゃねェ!」
「ああお前は帰っていいぞ。またこの事については報告してやる、ちゃんとこいつとお前と俺の3人で話そう。それより今日はもう寝た方がいい、疲れてるだろ? なんでもずっとほとんど寝てない生活だったらしいしな」
白井が前言ってた、なんて言えず。
267: 2012/12/16(日) 21:57:30.65 ID:SbZNHjxOo
「……オイ」
「そ……、ありがとう…………」
「じゃあ、ちょっと気絶させる程度でいいから」
「……ォィ」
「ほんとに反射とかないんでしょうね」
「それは大丈夫」
「…………」
268: 2012/12/16(日) 21:58:04.88 ID:SbZNHjxOo
御坂まで能力が使えなくなるといけないから、俺は周りに放出した力を右手に戻して、一方通行に触れる。
「じゃ、いくわよ」
「ん」
「……これはちょっと一方通行がかわいそうな気がします、とミサカは」
びくんっ
「ぐえっ……」
「……」
「……」
「……よし解散」
269: 2012/12/16(日) 21:58:41.19 ID:SbZNHjxOo
そう言うと俺は一方通行を担ぎあげる。
「じゃあ俺は家に帰るけど、お前らも気をつけてな。送っていけないのが残念だけど」
「べ、別に私は送ってもらわなくたっていいのよ! この美琴サマが簡単にそこら辺の奴に負けるわけないでしょ、じゃ!」
御坂のケンカ癖が俺にもうつったのだろうか。
このセリフを聞いてちょっと負かしてやりたい、と思ってしまった。
「能力オフ」
「え……、ちょ!? ちょっと戻しなさいよ!」
「はいはい、気をつけて帰れよ」
「ふんっ」
ドスドスという効果音がつきそうな歩き方で御坂は帰っていった。
270: 2012/12/16(日) 21:59:13.13 ID:SbZNHjxOo
「……で、お前はどうすんの?」
「ミサカは……。どうなるのでしょう、とミサカは疑問を口にします」
うーん、前は俺倒れちゃったからどうなったか知らないんだよなあ。
「じゃあさ、ミサカネットワーク?だっけ? それに今日は実験は中止だから回収はいらないって言っとけよ」
「そんな簡単でいいのでしょうか?とミサカは不安を隠せません」
「……知らん。けど何とかなるだろ」
「……そうですか、とミサカは報告が終わったことを報告します」
「おお、じゃあ行こうか」
「何処に行くのですか?」
「あれ? 言ってなかった? 今日はうちに泊まっていけよ、ベットも貸すぞ?」
「そんなことは初めて聞いたのですが、とミサカはミサカの貞操の危機に不安を隠せません」
「安心しろ、こいつもいるしお前がしゃべってくれてたインデックスもいるからさ」
こいつ、とはもちろん俺の右肩に掛かっている一方通行のことだ。
「あのシスターもいるのですか、とミサカは面倒くさかったあの会話を思い出して露骨に嫌な顔をします」
「……ほんと相変わらずだなお前は。ほら、こいつが目覚めるまでに行くぞ」
「……はい」
271: 2012/12/16(日) 21:59:41.07 ID:SbZNHjxOo
ふと上を見上げる。
「……全然気づかなかったけど、今日は、星が綺麗だな」
「そうですか?」
「……これから何回でも見れるさ」
「……」
「……今日は"お泊まり"だな」
「お泊まり?」
「仲のいい友達の家に遊びに行ってそのまま泊まることだよ」
「ミサカは遊びに行くわけではありませんが」
「いいんだよ、そんな細かいことは。不満ならこれからいくらでも来ていいんだぞ?」
「でも、ミサカはこの後しょb」
「ああやめやめ、ほら行くぞ!」
「いきなり手を掴まないでください、とミサカは何とかあなたのペースに合わせて歩きます」
272: 2012/12/16(日) 22:00:10.13 ID:SbZNHjxOo
多分、そんなことはない。
この後も学園都市に利用はされるかもしれないけど、処分なんてことはないはずだ。
そんなことだけは絶対にあってたまるか。
「ところであなたの家はどちらにあるのですか?とミサカは尋ねます」
「え? ああ、こっちこっち。そんな遠くないからな」
「そうですか」
「じゃあ御坂妹。家に帰ったら"ただいま"だぞ?」
「……はい、わかりました、とミサカは承諾します」
「さーてお泊まり会と行くかー」
273: 2012/12/16(日) 22:00:51.21 ID:SbZNHjxOo
ベットは御坂妹とインデックスが使うとして。
……こりゃインデックスになんて言われるかわかんねえな。
まあいいや、今日は全員部屋で一緒に寝るか、さすがにこいつと風呂場に2人は狭いし。
右手こいつと繋がってなきゃなんねえし。
……でも御坂妹は女の子な訳であって、そんな娘と同じ部屋というのはいろいろまずかったりするわけで。
でもそう考えると今までインデックスとどうしてたかと言われると困るけどその時は俺風呂場にいたし。
だから風呂場に行けと言われるとでもこいついるしってなって…………。
今日俺寝られないかも知れないな……。
274: 2012/12/16(日) 22:01:17.99 ID:SbZNHjxOo
「不幸だ……」
結局のところ、学園都市は
というか俺の不幸は今日も夜まで平常運転だった。
279: 2012/12/20(木) 01:30:41.36 ID:lILVSCAeo
「ほら、御坂妹。ここが俺の家だ」
「ミサカが製造された研究所より小さいのですね、とミサカは感想を述べます」
「うぐ……、確かに狭いけど研究所と比べるのはどうかと思うぞ?」
「?」
「……うん、とりあえず入ろう」
「はい、とミサカはおもむろに銃を取り出します」
「だーもう! 普通に開けるんだよ普通に!」
「?」
「まあそうですよね上条さんが悪かったですよ!」
280: 2012/12/20(木) 01:31:15.59 ID:lILVSCAeo
ピンポーン
「はーい」
「インデックスー俺だー」
「あっ、とうま! 今開けるね」
ガチャ
「おかえりとうm……」
バタン
281: 2012/12/20(木) 01:32:15.27 ID:lILVSCAeo
「ただいま、インd……っておい!」
「……とうま」
「……はい、なんでしょう?」
「クールビューティはともかく、その肩に掛かってるのは何かな?」
「何って……うーん。……友達?」
「……とうまは何しに外に行ったの?」
「補習……だけど」
「その補習が長引かなかったのはいいことだけど。いいことなんだけど何持って帰って来てるのかなとうまー!!」
「わ、悪かったインデックス!」
「……どうせとうまは『宿題』を持って帰ってくると思ったから掃除しておいて正解だったかも」
「……ありがとう、インデックス」
「……ふーんだ」
「なあ、インデックス」
「なにかなとうま?」
「……そろそろ開けてくんない!?」
「あ、ごめん忘れてたんだよ」
282: 2012/12/20(木) 01:32:48.29 ID:lILVSCAeo
ガチャ
「ただいま、インデックス」
「おかえり、とうま」
「ほら、御坂妹も」
「ただいま、とミサカh」
バタ「まてまてまて!」
「なんでクールビューティまでただいまとか言ってるのかな!?」
「今日はみんなでお泊まり会だ、住人が増えるとかじゃないから落ちつけ」
「はあ……もういいんだよ。おかえり、みんな」
「やはりミサカは邪魔なのでしょうか?」
「そんなことないさ、ほら入るぞ。インデックス、洗面台まで連れて行ってやってくれ」
「りょうかーい。ほらクールビューティ、こっちなんだよ」
「あーれー、とミサカはなされるがままにします」
「……って靴を脱げ靴をー!!」
……疲れた。
こんな感じで家に入るまでに一苦労あった俺達のお泊まり会がはじまった。
283: 2012/12/20(木) 01:33:52.54 ID:lILVSCAeo
「なあ御坂妹、お前ご飯食べた?」
「?」
「だよなあ食べてるわけないよな」
「おかずの残りがあるけど……」
「おお、それ出してあげてくれ」
インデックスがとても家庭的で嬉しい。
284: 2012/12/20(木) 01:34:59.52 ID:lILVSCAeo
「どうぞー、食べるといいんだよ」
「ありがとうございます、とミサカはいつも摂取している栄養剤でないことに驚きます」
「とりあえず食べてみろよ。それもこれからたくさん食べれるさ」
「食べました、とミサカは報告します」
「早いなおい! あれですか御坂妹もインデックスみたいな腹ペコキャラですかそうですか!!」
「いえ、ミサカは食べるという行為に興味があるだけです、とミサカはこのシスターと同じにしないで欲しいと暗に述べます」
「むっ、それは失礼かも」
「あーはいはい。インデックス、風呂ってまだ沸いてるか?」
「それはもちろん。とうまが入ると思ってたから」
「そっか。じゃあ御坂妹、先に入って来いよ」
「初めての風呂に入るという行為に期待が膨らみます、とミサカは服を脱ぎます」
「うわああ、ちょ、おい!」
「?」
「……インデックス、いろいろと教えてやってくれ」
「しょうがないなあとうまは」
「いや、俺じゃない……」
「なんか言ったかな?」
「いーや、何にも」
「じゃあクールビューティ、お風呂に入るんだよ!」
「了解です」
285: 2012/12/20(木) 01:35:48.36 ID:lILVSCAeo
御坂妹は少し嬉しそうな顔をした気がした。
……確かに御坂妹はこの家で体験することは全てはじめてだもんな。
だからお風呂は心配ではあるんだけど……
まあ今のインデックスなら大丈夫だよな。
『そこひねっちゃダメなんだよ!』
『ちょっとクールビューティ!』
『きゃあああお湯がー!』
大丈夫……だよな?
286: 2012/12/20(木) 01:36:21.88 ID:lILVSCAeo
「ン……」
「お、起きたか」
「あン?」
「おはよう」
「……」
「ん? どうした?」
「ここはどこだ?」
「どこって俺ん家」
「はァ?」
「いやだから俺ん家」
「……」
(ちょっと待て意味分かンねェ。何がどォなってやがる!?)
「おーい?」
「……とりあえず手を離せ」
「いや」
「離さねェと……」
「離さないと?」
「チッ、何でもねェよ」
「まあ離してもいいんだけどな」
287: 2012/12/20(木) 01:37:01.79 ID:lILVSCAeo
そう言って一方通行から手を離す。
もちろん手を離す前に力を放出しておいた。
「……オイ」
「なんだ?」
「状況が変わってねェじゃねェか!」
「まあまあ落ち着けって、ゆっくり話でもしようぜ。あいつらもまだまだあがってこないと思うし」
「アイツらだァ?」
「うちの同居人とミサカ10032号のことだよ。今日はみんなでお泊まり会だ」
「……チッ。ふざけたことを」
「……なあ一方通行」
「……」
「こういうのも、悪くないと思わないか?」
「……」
「……」
「……」
288: 2012/12/20(木) 01:37:39.87 ID:lILVSCAeo
「なあ、なんでお前は実験に参加しちまったんだよ」
「……教える必要もねェ」
「まあ確かにそうなんだけどさ」
「……」
「……俺さ、記憶喪失だったんだよ」
「……はァ?」
「でも今は違う、ちゃんと思い出すことが出来た」
「くっだらねェ。だからどォした」
「確かにお前にとっちゃそうかも知れないな。でもな、おかげでわかったことが一つあったんだ」
「……」
「お前が実験に参加しちまった理由だよ」
「……チッ」
「俺は記憶を失ってた時、ずっとお前が実験をしてた理由が分からなかった。なんでわざわざ無敵を目指す必要があるのか、と」
「……」
「でも、俺の記憶が戻った時、一方通行は俺に似ていると思った」
「……」
289: 2012/12/20(木) 01:38:17.06 ID:lILVSCAeo
「俺は、不幸すぎて。お前は、強すぎたんだ」
「俺は、昔から不幸だった。お前の能力を消したこの右手。それが運とかそういうのまで片っ端から消してるかららしい」
「そのせいでちっちゃい頃は疫病神なんて言われて周りの人間には近づいてもらえなかった。今でこそ不幸の避雷針なんていう風にちょっとしたギャグみたいに流してくれる友達がいる。でも昔はそうじゃなかったんだ。それがこの学園都市に来た理由でもある。運なんてオカルトなモノと縁のない学園都市にって」
「そんな俺がまっすぐ生きてこれたのは、いつも支えてくれた両親のおかげだ。こんな俺でも自慢の息子だと言ってくれる、な。とても感謝してるよ」
「一方通行はどうだ? そういう人はいたか?」
「……忘れた」
「……。一方通行は強すぎて、その力のせいで友達を失ってしまった。違うか?」
「……知らねェよ」
「そっか。まあここからは俺の妄想だと思って聞いてくれ」
また、話し出す。
290: 2012/12/20(木) 01:40:34.78 ID:lILVSCAeo
「……だから一方通行はもう誰も傷つけたくない、そう思っていた。だから一人になればいいと思った」
俺自身、そう思っていた。周りが不幸にならないように、誰も近づけちゃいけないと。
だから、同じ。
「そこで一方通行はこの実験の話を聞いた。もう誰も傷付けなくていいようになる、と。Level6になることで、もう誰も自分と戦わなくていい。そう言われた」
「だからやってみようと思った。……でも、実際は妹達を殺さなければいけないと言われた」
「最初はこんな実験やめようと思った。でもあいつらは人形だから別に頃したって構わないと言われた」
291: 2012/12/20(木) 01:41:01.42 ID:lILVSCAeo
……そう。
俺と一方通行の違いは、多分ここなんだ。
俺には優しい、優しい両親がいた。
例え、自分の元を離れてでも息子が幸せになれるようにと願ってくれる、両親が。
ただ、こいつは違った。
こいつには、その心を利用しようとする研究者達がたくさんいた。
強すぎたために。
そのために友達を傷付けたくなかった、当たり前のことじゃないか。
それを利用しようとするなんてまともじゃない。
292: 2012/12/20(木) 01:41:29.85 ID:lILVSCAeo
「……とまあ勝手に思ってるわけなんですけどね」
「……くっだらねェ」
「確かにくだらない話だったな。でも、俺はこの話が多少は合ってるという自信はある」
293: 2012/12/20(木) 01:42:34.08 ID:lILVSCAeo
何故なら、
俺は知っているんだ。
10月の終わりに、一方通行が妹達を助けるために自分が壊れるまで悩んでいたことを。
俺にもう一回妹達を助けろ、打ち止めを助けろ、とそんな八つ当たりをしてしまうほどに。
最強のはずのあいつが、あんなにも悩んでいた。
そういえば9月の終わりに、打ち止めが俺にあの人を助けて、って言ってきたけど、あれも一方通行のことなんだなと思う。
あの娘には何回か会ったことがある。
その全てで"あの人"の話をしていた。
294: 2012/12/20(木) 01:43:14.12 ID:lILVSCAeo
ほら、一方通行。
お前はこんなに信頼されるほどに優しい人間だったんじゃないか。
295: 2012/12/20(木) 01:43:49.68 ID:lILVSCAeo
「……罪を犯したことは確かだ。お前が悪いし、償っていかなくちゃならない」
「でも、それ以上に俺はお前を利用しようとした奴らが許せない。お前を不幸にしようとした奴らが、だ」
だから、
「だから、お前は幸せにならなくちゃいけないんだよ」
「……意味分かンねェ」
「それが、お前の出来る精一杯の反抗だと俺は思う」
「……」
「……だから、まずは俺と友達になろう、一方通行」
296: 2012/12/20(木) 01:44:16.77 ID:lILVSCAeo
自分でも何を言っていたのか分からない。
今一方通行に話したことなんてほとんど覚えてない。
でも一生懸命に伝えようとしたことだけは覚えている。
なら大丈夫。
きっとこいつには伝わったはずだ。
また、きっと─────。
297: 2012/12/20(木) 01:45:09.84 ID:lILVSCAeo
「ふう、いいお湯でした、とミサカは感想を述べます」
「おー、それは良かったな」
「とてつもなく疲れたんだよ…………」
「お疲れ様」
「とうまも入る? それともお友達も?」
「今日は遅いから寝ることにするよ。明日、朝シャワー浴びる」
「お友達はどうするのかな?」
「……俺も入らねェ」
「じゃあ栓抜いてくるからとうまはお布団よろしくね」
「ん、わかった。ありがとう」
「ミサカは何をすればいいのでしょうか?」
「ん? じゃあこっちの布団持って」
「こうですか?」
「そうそう、そのままひいて。……っと俺はこっちにひいてと」
「終わったんだよ」
「おうありがとう。じゃあインデックスと御坂妹はベッド使ってくれ。俺らは布団」
「ほら、クールビューティこっちだよ」
寝る順番は、壁から
インデックス、御坂妹、一方通行、俺になった。
「じゃあもう寝るか」
「電気は?」
「それならミサカが」
「ちっがーう! リモコンこっちにあるから! んじゃ消すぞ?」
「……zzz」
プチン
298: 2012/12/20(木) 01:45:45.23 ID:lILVSCAeo
「……おやすみ。ってもう寝てるよインデックス」
いろいろしてくれたからな、今日は。
「本当にありがとう、インデックス。おやすみ」
インデックスにそう言って布団に入る。
「……一方通行」
「……」
「能力は、寝たら使えない。俺の場合演算とかじゃないからな。じゃあおやすみ」
「……チッ」
俺も疲れた、もう寝よう。
299: 2012/12/20(木) 01:46:13.80 ID:lILVSCAeo
……意識がなくなる寸前に聞いたのは、ゴソゴソという音だった。
───────おやすみ、一方通行。
300: 2012/12/20(木) 01:47:30.95 ID:lILVSCAeo
いじょー
ここからは番外編みたいな感じでいきます
301: 2012/12/20(木) 01:47:57.29 ID:lILVSCAeo
「……チッ」
くっだらねェ、本当にくだらない。
この無能力者もその話も。
逃げたと思われるのはしゃくに思われたからとりあえず俺は布団に入る。
302: 2012/12/20(木) 01:48:51.29 ID:lILVSCAeo
何が友達、だ。
このシスターまでそんなことを言いやがった。
平和ボケにも程がある。
俺は一万人も頃した人間だ。
なぜこいつらはそんな奴の前で無防備に寝られる?
一番分からねえのはこのクローンだ。
何でそんなに俺を恐れない?
分からない、何も分からない。
寝返りをうって、上を向く。
……ベッドからはそのクローンが顔を出していた。
目が合う。
303: 2012/12/20(木) 01:52:49.28 ID:lILVSCAeo
「眠れないのですか?とミサカは尋ねます」
「……知らねェよ」
「一方通行はお泊まり会というモノを経験したことはあるのですか?とミサカ質問を変えてみます」
「……ない」
「そうですか、では今日が初めてなのですね、とミサカは確認をとります」
意味が分からないが眠れそうにないので答えることにした。
304: 2012/12/20(木) 01:53:19.24 ID:lILVSCAeo
「それが?」
「これが、おそろい、というものなのでしょうか」
少し違うと思うが知ったことじゃない。
「そうなンじゃねェの?」
「楽しい、ですね」
「……」
305: 2012/12/20(木) 01:53:48.84 ID:lILVSCAeo
「実験をしている時には気づきませんでしたが、とミサカ前置きをします。空気はとても澄んで、星はこんなにも綺麗で、あなたや友人達が隣にいる。それは、こんなにも楽しいと感じるものなのですね、とミサカ初めての感情に戸惑います」
306: 2012/12/20(木) 01:54:23.83 ID:lILVSCAeo
「……そォかよ」
……何をやってるんだ、俺は。
こいつは俺なんかより、ずっと。
人を頃すことに違和感を覚えなくなった俺なんかより、ずっと。
ずっと人間らしいじゃないか。
307: 2012/12/20(木) 01:54:57.90 ID:lILVSCAeo
「ミサカが氏ぬまでにこんな感情を教えてくれてありがとうございます、とミサカ感謝の気持ちを伝えます」
「感謝ならこの寝てるやつにしとけよ」
「それでもミサカが生まれたのはあなたがいたからです」
「……」
くっだらねェ。
「では、そろそろ寝ましょう。明日の実験はハードになりそうです。今日の分もあるので、とミサカは原因を述べます」
「明日は……」
「?」
308: 2012/12/20(木) 01:55:50.87 ID:lILVSCAeo
「いや、なンでもねェよ。明日からもこんな星空が見れるといいな」
本当にくだらない。
「……はい。ミサカは冬の空が見てみたいです、とミサカは冬の空が綺麗だという知識を引っ張り出します」
「……そォかよ。冬になったら嫌でも見れる」
「その時は、ミサカも連れて行ってください」
「……当たり前だ」
「では、おやすみなさい」
「……」
309: 2012/12/20(木) 01:56:33.92 ID:lILVSCAeo
こんなのは、俺のガラじゃない。
冬の空くらい、勝手に見に行ってろ。
勝手に。
310: 2012/12/20(木) 01:57:53.69 ID:lILVSCAeo
……そういえば、この隣で寝ている無能力者は何故俺のことを前から知っている風な口ぶりだったのだろう。
そんなことをふと思いついた時にはいつの間にかやってきた眠気に負けそうになってきていた。
311: 2012/12/20(木) 02:06:40.17 ID:lILVSCAeo
いじょー
そういえばまだ御坂と話していない一方通行と上条さん
いつになったら3巻は終わるのやら
まあ4巻は速攻で終わるつもりだからいいんだけど
……っとその前に2巻か
御坂も自分がクローン達を頃したって言ってるくらいに責任や罪は感じてるから一方通行を一方的に責めるのはおかしいとは思うんだけど、やっぱり直接頃したのは一方通行だから責める気持ちも分かるし……という難しいところだなあと思いますね
【禁書目録】上条「白いワンピース」【中編】
312: 2012/12/20(木) 11:23:17.31 ID:chBXV5+40
乙でした
引用: 上条「白いワンピース」
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