317: 2012/12/24(月) 23:18:31.70 ID:qS/etvcdo

318: 2012/12/24(月) 23:19:54.65 ID:qS/etvcdo
<帰り道編>




「はあ……不幸だ」

せっかく今日は冬休みで、しかもイブだってのに補習かよ……。


319: 2012/12/24(月) 23:20:21.26 ID:qS/etvcdo


今、私こと上条当麻は補習の帰り道である。
まあ、自業自得だと言われればそれまでなんだけどさ……。
それでも今日補習というのはなかなか辛いものであるんだ。

まあ、モテない上条さんには特に用事無いし関係ないですよっと。
……これを学校で言ったら土御門とかには殴られたけど、事実予定がないのだから仕方が無い。

そんな俺を見てかどうかインデックスがイギリスの教会の方に行かずこっちに残ってくれたのは嬉しい。

でも残ってくれたのに補習ってのはやっぱり申し訳ないなあ……。

そんな終わらない思考をぐるぐるとしていたら結構歩いていた。
創約 とある魔術の禁書目録(10) (電撃文庫)

320: 2012/12/24(月) 23:22:04.13 ID:qS/etvcdo
(上、結構歩いていた。を、
いつの間にか、結構歩いていた。
に変更)



……そうだ、スーパー行こう。

インデックスを食べ物でつる訳ではないけど。
ないんだけど、やっぱりたまには贅沢させてあげたい。

財布を確認する。

……一応余裕はある。

よし。


俺はスーパーへ向かうために、歩く方向を変えた。

321: 2012/12/24(月) 23:22:30.58 ID:qS/etvcdo


スーパーを出るともう空は暗くなっていた。
さすが冬だ。
学園都市だろうが冬に日が落ちるのは早い。

……インデックス、喜んでくれるかなあ?

322: 2012/12/24(月) 23:22:57.83 ID:qS/etvcdo



『とうまとうまー、何それ?』

『ん? これか? インデックスのために買ってきたんだ。食べていいぞ』

『ほんと!? ありがとうとうま!』





インデックスの喜ぶ姿が目に浮かんで思わずにやける。

323: 2012/12/24(月) 23:23:57.07 ID:qS/etvcdo


……はっ、いかんいかん。
気が緩んでいると何かしら不幸にあうに決まっている。
例えば、何もないのに転ぶとか、電撃が後ろから飛んでくるとか。


それでもやっぱり、インデックスの喜ぶ顔を思い浮かべるとこっちまで嬉しく感じてしまう。

視界の端に映る、すれ違う通行人や、バチバチと電気を纏った真っ赤っかな少女に見られていた気がしたが、そんなのは気にしない。
何ならスキップをしてもいいくらい気分がいいのだ。

そんなこんなでマンションに着くと、階段を上って行く。
エレベーターでは万が一がないとも限らない。
だって乗るのは俺だ。

324: 2012/12/24(月) 23:24:35.28 ID:qS/etvcdo

部屋の前に近づくにつれて、とてもいい匂いがする。
去年のクリスマスは覚えていないけど、クリスマスっぽい匂いだ。
実際、自分が買ってきたものもそんな匂いがする。

舞夏が土御門につくってやってるのかな?
後で余ったらもらいに行こうかな?


……いやいや二人のクリスマスは邪魔できない。

それよりこんな匂いさせてたら今頃インデックスもお腹空かせてるだろうな、なんて長々と考えながら土御門の部屋も通り過ぎる。

325: 2012/12/24(月) 23:25:04.57 ID:qS/etvcdo

さて。

鍵を挿す、ドアを開ける。


がちゃ



「ただいまー……あれ? お、お邪魔しましたー!」


ばたん

326: 2012/12/24(月) 23:25:47.44 ID:qS/etvcdo


あれ?部屋を間違えたのだろうか。
ドアを開けた瞬間、さっきからのいい匂いが広がったのだ。
おかしい。表札を見る。



『土御門元春』



ですよねー……って、え?

……何で鍵開いたの?あれ?

あ、表札ってこっちじゃねえや。
左を見る。



『上条当麻』



……合ってる。
するとあれはやっぱり家からしてる匂いなのか?
ん?ん? あれ、じゃあ誰が……?

327: 2012/12/24(月) 23:27:09.86 ID:qS/etvcdo


がちゃ



「…………何してるの?」

「へ? あ、いや別に何も」

中から出てきたのはいつもと変わらぬインデックスだった。


「うーん、一回ドア開いた気がするんだけど……」

ただ、一つだけ気になることがある。

「……どうした?」

「何が?」

その変わっていた所といえば、インデックスはおたまを持って、エプロンを付けていたこと。
……非常に家庭的だ。

328: 2012/12/24(月) 23:27:41.38 ID:qS/etvcdo


「あ、いや。いつもと違う格好してるし……。それに何かいい匂いもするしさ」

「あ、気づいてくれた!? 頑張って作ったんだよ! さっ、入って入って」

なんと、あのインデックスが料理を作ってくれたらしい。
インデックスの顔は何故かとても嬉しそうだ。
……俺何かしたかな?


「分かったから引っ張るなって。……ただいま、インデックス。遅くなってごめんな」

「ううん。おかえり、とうま」

329: 2012/12/24(月) 23:28:08.68 ID:qS/etvcdo


リビングに着くと、美味しそうな匂いはさらに広がった。

そして、机には、俺が買ってきたチキンとかなんやらより、さらに美味しそうなそれらが置かれていた。

「……これ、ほんとにインデックスが作ったの?」

「そうだけど……」

「……一人で?」

「むっ、あんまり私をバカにしないで欲しいんだよ」

「ああいや、違うんだ。……すごいな、これ。家にあったもんだけでここまで作れるもんなのか?」

「ふふーん、褒めるといいかも」

330: 2012/12/24(月) 23:28:48.14 ID:qS/etvcdo


笑ってインデックスの頭を撫でようとする。

……が、上に挙げようとした右手は重かった。


「……そうだ、これ買ってきちゃったんだけどどうしようか?」

「わあっ! これはまた豪華なのを買ってきたんだね」

「インデックス、食べられる?」

「任せて!」

「まあ俺も食べるし、残ったら明日の朝とかでもいっか」

左手でインデックスの頭を撫でると、冷蔵庫へ行くついでに台所に手を洗いに行った。

台所へ行くと、とりあえず買ってきたものを冷蔵庫へ入れた。

そして手を洗おうと流し台の前に立って気づく。
流し台の中にある食器や調理器具の中に、おたまがないのだ。
さっきインデックスが持っていたおたまが。

331: 2012/12/24(月) 23:29:26.60 ID:qS/etvcdo



……そういえば今日のご飯に味噌汁なんてあるはずもなく。


おたまは片付けられるべきところにしっかりと片付けられていた。



……あいつ、確信犯か。
思わず笑みがこぼれる。

まあいいや、今日はせっかくインデックスが作ってくれたこんな豪華な夕食なんだ。
美味しく、楽しくいただくとしますか。

332: 2012/12/24(月) 23:30:21.47 ID:qS/etvcdo
<食事編>



「おーし、インデックス。食べるかー」

「はやくはやくー、もう用意できてるよ?」

「何から何までありがとな」

「いつもの感謝の印ってやつかも」

「……そっか、それでもありがとう」

「じゃあいただきます」

「いただきまーす」

「……」

「……食べないの?」

「え? あ、ううん。とうまに先食べてほしいかなー、って……」

「ん? わかった」

インデックスの意図はよく分からないけど、感謝の印とか言ってたくらいだ。
俺のために作ってくれて、俺に先に食べて欲しいのだろう。
一口食べる。

333: 2012/12/24(月) 23:30:59.24 ID:qS/etvcdo

「うまい! いや、ほんとにうまいよ」

「ほんと!? えへへ……」

ああもうかわいいなおい。
思わず左手がインデックスの頭へのびる。

……俺は人の頭を撫でる癖でもあるのだろうか?

「インデックスも食べろよ、お腹減ってるだろ?」

「う、うん。じゃあ……」

「どうだ?」

「おいしいんだよ!!」

「そりゃ自分で一生懸命作ったものだしな」

「とうまのために作ったからだよ」

「そ、そうか?」

「……はじめてご飯を炊いた日を思い出すね」

「あー、あの時は水っぽいとかなんとか言ってたな」

その後も他愛ない話をしながら食を進める。

334: 2012/12/24(月) 23:31:27.55 ID:qS/etvcdo


「「ごちそうさまー」」

「……」

俺は驚いている。
とても驚いている。

「おいしかったねー」

「あ、ああ」

「結局、さっき冷蔵庫に入れたのも全部食べちゃったね」

「あ、ああ」

「……変なとうま」

335: 2012/12/24(月) 23:31:55.63 ID:qS/etvcdo

そう。
インデックスはあの後俺が買ってきた大量のおかずまで、全部食べたのだ。


……まあ俺も食べたけど?
食べましたけど! インデックスはもう食べ過ぎの域に入ってる気がするね、うん。












「あ、そだ。そっちにケーキ寝かせてあるけど、食べる?」

「まだ食べんのかよ!!」

336: 2012/12/24(月) 23:33:12.05 ID:qS/etvcdo


突っ込まずにはいられなかった。
……、というか。
あいつ、ケーキまで作れるようになったのか。
上条さんは感動で涙が出そうですよ……。

およおよとしていた俺に、インデックスは言う。






「……変なとうま」

351: 2013/02/17(日) 00:53:01.58 ID:S/o5CdUBo

こんばんはー


さて、投下するか
短いけど

354: 2013/02/17(日) 09:43:29.96 ID:S/o5CdUBo



「んんっ」

暑い。まだ朝も早い方であるはずなのに目が覚めてしまった。
左を見ると、一方通行が、ベッドの上には御坂妹がいた。


……ん?

355: 2013/02/17(日) 09:44:45.63 ID:S/o5CdUBo


インデックスは俺の右にいた。
何故!?


そういえば寝ぼけたインデックスはひどいんだったなと思い出す俺。

気にしていても仕方が無い。無理だけど。気にはなっちゃうけど。

なんにしても朝飯の準備をしなければならない。
インデックスが地味に服の端を掴んでいるので外してから台所へ向かう。

356: 2013/02/17(日) 09:45:15.28 ID:S/o5CdUBo

パンあるかなー?
……いや、今日はご飯だ。
腹ペコキャラの割合が多い。

さてさて、今日みたいな時でも上条さんはちゃっかりしてますよ?
こんなこともあろうかと、冷凍庫には大量のご飯があるのだ!
これぞ電子レンジを使えないインデックスには食べられないように編み出したご飯の保存法!!

ふははははー。

357: 2013/02/17(日) 09:45:59.90 ID:S/o5CdUBo





……と、笑っていると。
ベッドの方から物凄い視線を感じる。

「じーっ」

ダラダラと汗が流れる。

「じーっ」

「……あのー、御坂妹さん?」

「何をしているのですか?とミサカは尋ねます」

「ええっとこれはだな……。そう、朝飯の準備だ」

ごまかす。
間違ったことは言ってない。はず。

「なるほど、ではミサカも手伝います」

「いいよいいよもうちょい寝とけって」

「ミサカが手伝いたいのです」

「そ、そっか。んじゃ頼む」

358: 2013/02/17(日) 09:46:42.70 ID:S/o5CdUBo


「では早速ミサカはこの白い塊の味見をしてみます」

「待て! いいから待て!!」

「?」

「そんな可愛く首傾げてもダメなの!」





こいつはもしかすると、いやもしかしなくてもインデックス以上かもしれない……。

「とりあえずそれを置くことからはじめようか……」

359: 2013/02/17(日) 09:47:17.85 ID:S/o5CdUBo


一時間後、ようやく朝飯は完成した。
正直とても疲れた。

ふと時計を見ると、まだ7時だ。
俺、今日はダメかもしれない。

さて、

「起きろよーお前らー」

360: 2013/02/17(日) 09:47:43.52 ID:S/o5CdUBo


「……んみゅぅ」

「おはよう、インデックス」

「ん……おはよ、とうま。ふわぁ」

「顔洗って来い、すっきりするぞ」

「わかったんだよー……」

眠そうだな、あいつ。
まあ仕方ないか。

361: 2013/02/17(日) 09:48:26.50 ID:S/o5CdUBo


「さーて、すっきりしたんだよー!!」

「いきなり元気だな」

「ふっふっふー。あ、でもお手伝い出来なくてごめんね」

「いや、いいんだ。ありがとう」

「でもなんだかとうま疲れてるように見えるよ?」

御坂妹の相手が疲れたなど言ってはいけないと思ったので、慌てて話題を変える。

362: 2013/02/17(日) 09:49:33.77 ID:S/o5CdUBo





「あー、なんだ。……そうだ! 今日は御坂妹が朝飯作るの手伝ってくれたんだよ」

「……」

「……」

「……」

「……うん、なんていうか、お疲れ様」

「……ああうん、ありがとう」

全く話題を帰られていなかったようだ。

「まあとりあえず朝飯は出来たんだ。そこの白いのも起こしてくれ」

「了解!」

元気だなあ……。










「では、ミサカはこの銃で一方……」

「やめなさい」

363: 2013/02/17(日) 09:50:33.89 ID:S/o5CdUBo


「白いお友達ー! 起きるんだよー」

「ほら一方通行、起きろ。飯できてるぞ」

起きない一方通行の肩を揺らそうとするインデックス。

「あらら?」

「こいつ反射してんのかよ」

「はんしゃ?」

「こいつの能力の一部だよ、まあ見てろ」

一方通行の耳に顔を近づける。
そして、

364: 2013/02/17(日) 09:53:01.82 ID:S/o5CdUBo



「おーきーろーーー!!!!って痛ええええええええ!!」

全く起きない。

「えええぇぇ……」

インデックスは呆れているみたいだが、そんなことより俺の耳が痛い。
音を反射されるとこうなんのかよ、と実感した。

「やっぱり全部反射してんなこいつ」

「ぐうぅるるる、気持ち良さそうに眠ってるんだよ……」

「インデックス、待て。今噛み付いたら歯が折れるぞ」

「じゃあどうやって起こすの?」

「任せとけ」

そういうと、ニヤリと笑って力を放出しはじめる。

「……よし。今だ、行け!インデックス!」

「起きるんだよー!!!」

365: 2013/02/17(日) 09:53:51.08 ID:S/o5CdUBo







ガブリ。

366: 2013/02/17(日) 09:54:39.02 ID:S/o5CdUBo



「いってェェェェ!!!!!!」

「おはよう、一方通行」

「……」

「さて、全員飯だぞー」

「わーい」

「ミサカはもう食べました」

「え?あれっ、えっ?」

「じゃあ私もいただきまーす!」

「ええぇぇぇ……。……まあいっか、いただきます」

「…………」

「ん? 一方通行食べないのか?」

「……」

「じゃあ私が食べてあげるん……」

「食べる」

「ん……だよ?」

「食うっつってンだよ」

「んふふー、はいどーぞ」

「……チッ」

「それじゃ改めて、」

「「いただきまーす!」」
「ごちそうさまでした」
「……」

なんてバラバラな奴らだ……。

367: 2013/02/17(日) 09:55:04.43 ID:S/o5CdUBo



こんな感じで、上条さん家の一日はドタバタと始まりました、はあ。

377: 2013/02/18(月) 00:17:43.47 ID:gAYi6Ih7o


朝ご飯を食べ終えると、インデックスが片付けると言ってくれた。
俺も手伝うと言ったが休んでていいよ、と言われた。
何度か言ったが家庭的なインデックスになってくれてとても嬉しい。

「おわったんだよー」

「お疲れ様」

「いえいえ」

さて。

378: 2013/02/18(月) 00:18:14.64 ID:gAYi6Ih7o


「一方通行、どうするよ?」

「何がだ?」

「今日御坂のところ行くか?」

「……知るかよ」

「お前は行きたい?」

「……どっちでもいい」

「そっか、じゃあ早めに終わらせよう」

「……」

「どこか行くの?」

「ああ、ちょっとな」

「……また危ないことしにいくの?」

「大丈夫大丈夫、話し合いだけだし」

「……絶対?」

「ああ、約束する」

「そ、じゃあいってらっしゃい」

「ありがとな、インデックス」

「ミサカはどうすれば?」

「んー、お前はどうしたい?」

「ミサカは……」





「ミサカは、行きたいです、とミサカは断言します」

「……チッ」

「よし……、じゃあ行くか!」

379: 2013/02/18(月) 00:18:45.09 ID:gAYi6Ih7o


「やる気のところ申し訳ないんだけど……」

「ん?」

「シャワーいかないの?」

「……あ」

「……オマエ行け」

「えっ、お前はどうすんの?」

「イイ」

「行かなくてもいいってか?」

「別に汚れてねェ」

380: 2013/02/18(月) 00:19:16.76 ID:gAYi6Ih7o


能力で反射してるから汚れてないのだろうか?
いやでも昨日思い切り地面にチューしてたよなこいつ。
まあいっか、自分でいいっつってるし、気づかなかったらそれはそれで楽しいかもしれない。


「そっか、じゃあ俺行ってくる」

「ではミサカも朝シャワーというものを浴びてみたいので服を……」

「インデックス……」

「了解したんだよ……」

上条さんちは風呂まで危険がいっぱいです。

381: 2013/02/18(月) 00:19:44.33 ID:gAYi6Ih7o









さて、シャワーも浴びてさっぱりな上条さんですが……

「何してんの?」

「ふふふ、ミサカは二度寝した一方通行にここぞとばかりに攻撃します。……うおっ、反射が……」

「……俺は何も見てない、見てないぞ」

「……それは無理があるかも」

「とりあえず一方通行起こすか、もういかなきゃなんねえし」


一方通行は触れられること自体に慣れていないのか、少し揺すっただけで目を覚ました。

382: 2013/02/18(月) 00:20:24.76 ID:gAYi6Ih7o




「おい、もう行くぞ」

「……行くのはイイけどよ、オマエオリジナルがどこにいるか分かンのかよ」

「んーまあ何とかなるんじゃね?」


今まで御坂と会ってきたことを思い出す。
そういや大体いつもあの自販機のとこで電撃を……。

383: 2013/02/18(月) 00:21:06.84 ID:gAYi6Ih7o



んんんんん!?


何であいつはいつもあの自販機のとこにいるんだ?
そんなにあの自販機が好きなのか?よく蹴ってるのに。いや、だからこそ?

それともまさか。





ええー……
もしかして待ち伏せられてたり?電撃のために?

……何ていうか、不幸だ。

384: 2013/02/18(月) 00:21:41.90 ID:gAYi6Ih7o



「どうしたの、とうま」

「ん、いや。上条さんは自分の不幸を嘆いてるだけですよ……」

「? 変なとうま」

「まあ御坂に会うには何とかなる。多分な」

「それじゃあ早くお姉様に会いに行きましょう、とミサカは催促します」

「分かったわかった、んじゃ、インデックス。ごめん、すぐ帰ってくるからな」

「行ってらっしゃい、とうま」

「いってきます」


さて、どうしたものかな……。

385: 2013/02/18(月) 00:23:27.18 ID:gAYi6Ih7o


外に出ると、もうすっかり暑くなっていた。やっぱり夏だ。
一方通行は涼しそうな顔をしている。
何ともずるい能力だと思う。
いっそ能力オフにしてもいいんだけど、また倒れられると俺が暑い。運ばなきゃなんねえし……。

「会いに行くのはいいけどよォ、オリジナルがどこにいンのか分かンのかよ?」

「さっきも聞いたぞー、それ。大丈夫だって。ほら、こっちには御坂妹がいるだろ? 御坂妹、分かるか?」

「いえ、ミサカの能力ではそこまでのことは出来ないと思われます」

「え"……」

「……じゃあどォすンだァ?」

「あー、いや。俺の予想が正しければ、もうすぐ会えると思う」

出来れば正しくないと嬉しいんだけどなあ……。

386: 2013/02/18(月) 00:25:05.43 ID:gAYi6Ih7o




「見つけたわよ!」




はあ……。
これは幸なのか、不幸なのか。
とても複雑な気分だ。

「昨日のこと、きっちり聞かせてもらうわよ!」

「……ウルセェ…………」

「もう少し落ち着いて頂けるとありがたいのですが……」

「ってあれ? アンタたち……!!」

「まあまあ落ち着けって」

「でも……っ!!」

387: 2013/02/18(月) 00:25:32.94 ID:gAYi6Ih7o



「大丈夫だからさ、ここにこいつらがいるのもたまたまじゃないんだ」

「? どういうことよ?」

「今日はお前ら三人で話してもらおうと思って俺が連れてきたんだ。昨日は俺もって思ってたけど、やっぱり当事者同士の方がいいと思って」

「連れてきたってアンタ……。一方通行なんてどっから連れてきたのよ!? 昨日あの後のこと知らないから何とも分からないのよ」

「何処からって……俺の家? みんなでお泊まり会して……」

「ちょ、ちょーっとストーップ!! え? え?」

「昨日はとても楽しかったです、とミサカはお姉様に報告します」

「アンタも行ったの!? ……じゃなくて何もされなかった!?」

388: 2013/02/18(月) 00:26:25.82 ID:gAYi6Ih7o




「はい、強いて言うなら一方通行の涙目が可愛かったです」






389: 2013/02/18(月) 00:27:26.27 ID:gAYi6Ih7o



「「は?」」

「え? いつやったんだよ?」

「あなたとシスターが一方通行を起こしている間に一方通行のおかずに台所にあったタバスコというものを大量に仕込んでおきました、とミサカはニヤリと笑って一方通行を見やります」

「まじで!? いやあ俺も見たかったなあ……あ?」

390: 2013/02/18(月) 00:28:32.56 ID:gAYi6Ih7o



ゴゴゴゴゴゴゴ……




「あはははは……。は、話を戻そうか、御坂妹」

さっきから殺気がやばいのだ。
ダジャレとかでなく、本当に。

辱められた、無視された
そんなつまらない理由でLevel5を二人も爆発させる訳にはいかない。

「そうですね、とミサカは先程からひしひしと感じる殺気に密かに怯えます」

密んでねーぞ、と突っ込んでしまうと本当に爆発しそうなのでやめておく。

391: 2013/02/18(月) 00:29:09.87 ID:gAYi6Ih7o


「で、だ。ちょうどそこにベンチがある」

「……」

「……」

「そうですね、ミサカは確認をします」

怖え、俺はもう折れそうです。

392: 2013/02/18(月) 00:29:53.56 ID:gAYi6Ih7o


「俺は聞かないからじっくり話してもらおうと思うんだがどうだ?」

「……話し合うまでもないわよ」

「……チッ」

御坂がバチバチと帯電し始める。

「やめとけ」

「うっさいわね、こいつには一発……」

393: 2013/02/18(月) 00:30:23.97 ID:gAYi6Ih7o





「やめとけっつってんだよ」








ゾクッ!!!!

394: 2013/02/18(月) 00:30:52.72 ID:gAYi6Ih7o



「……ッ!」

「……おい御坂」

「な、何よ?」

「一回で言うことは聞け、分かったか?」

「……」

395: 2013/02/18(月) 00:33:08.99 ID:gAYi6Ih7o



「……お前は何に腹を立ててたんだ? 一方通行がお前のクローンを暴力で頃すことに、学園都市がそんな残酷な実験をしていることに!お前は悲しんで、そして怒ったんじゃねえのかよ!! じゃあそれを暴力で解決をしようとするんじゃねえよ!」

「で、でも……」

「お前の気持ちはよく分かる。でもな、ここで一方通行を倒すことに何の意味があるんだよ? 学園都市は一方通行を強くするのに御坂のクローンを使ったんだ。 第一位、一方通行が不在。なんてことになったらその能力者を生み出すためにまた御坂妹が使われるかもしれないとかそういうことは何で考えねえんだよ!」

「う……」

「だから能力はしばらく預からせてもらう。とりあえず先にベンチまで行こう。一方通行が歩けないかもしれないし」

396: 2013/02/18(月) 00:33:47.06 ID:gAYi6Ih7o


「……」

「……悪かったな、強く言いすぎたかもしれない。さっきはああ言ったけど、俺はお前も一方通行も御坂妹もみんな友達だと思ってる。だからお前らも仲良くなれ、とは言わねえけど、友達が傷つくのは見たくないんだよ。分かってくれ、な? ああ、でも一発くらい思いっきり殴ってやってくれ」

「……うん」

「後でジュース奢ってやるよ、何がいい?」



「そんな余裕ないくせに……」

「うぐっ……なかなか痛いところを……」

397: 2013/02/18(月) 00:35:04.63 ID:gAYi6Ih7o


「ではミサカはこのヤシの実サイダーというものを……」

「チッ、コーヒーはねェのかよ、使えねェ」

「え、何? お前らも買ってもらう気満々!? っていうか聞こえてたの!?」

「じゃあ私も何か買ってもらおうかしらー?」

「さーあみんな、お話しの時間ですよー」

「私は無視!?」

「……落ち着いたか?」

「え……、あ!…………」

「落ち着かないと言いたいことも言えないからな」

「あの……その、ありがとう」

「んー。……いやでもこいつらがお前を落ち着かせようとしてこんなこと言ったとは思えないよな……と、いうことはマジで買えと?……あれ?不幸だ…………」

「私が貸しにしてあげるわよ」

「はいはい、分かったよ。ほらしっかり話して来いよ?」

「倍にして返してもらうわよー!」

398: 2013/02/18(月) 00:35:58.05 ID:gAYi6Ih7o



行ったか。
これで三人、いや一万人ほど。ちゃんと、前に進めるといいな。





……あれ?
御坂が自販機でジュース買って、三人で飲んでる……。
俺、話し合いが終わったら買うって言ったよな?

もしかしてこの分も奢れとか言わないよね?


…………。何だ?御坂がこっちを見て……

399: 2013/02/18(月) 00:36:25.28 ID:gAYi6Ih7o








グッ!










グッ!じゃねえよ!倍ってそういうことかよ!!

400: 2013/02/18(月) 00:37:14.88 ID:gAYi6Ih7o



prrrrrrrr……


っと電話か。

ん?誰だ?








ディスプレイには何も書かれていなかった。
公衆電話でもない、非通知でもない。
だとしたら土御門か?
……いや、あいつは俺に今までそんな電話掛けてきたことなんてなかった。

だとしたら魔術師?
もしそうなら土御門ではない。
わざわざ危険をおかしてまで魔術で電話する意味が見当たらない。

イギリス清教かローマ正教か、それ以外の魔術勢力か。

いや、この世界では実験が早く始まっていたりと何かがずれている。
もしかしたら自分の知らない人間かもしれない。







それとも────────。

402: 2013/02/18(月) 00:38:49.02 ID:gAYi6Ih7o




誰からであっても対処出来るよう、ある程度予測を立ててから通話ボタンを押す。

深く息を吸って……。






「……誰だ」






警戒はまだ解かない、相手を確認するまでは。





その"声"は言う。

403: 2013/02/18(月) 00:39:48.90 ID:gAYi6Ih7o













「初めまして、かな。幻想頃し」











406: 2013/02/18(月) 00:59:48.67 ID:gAYi6Ih7o



いじょー

なんと、もう予測されてる……!!

まあバレバレか
一応秘密ってことに

電話かけて来たの誰だ?気になるなー(棒

次の構想は出来てるので早めに来たいとは思ってます






あーなんか楽しくなってきた


「こんなに予定が早まるとは思っていなかったんだがね」

「え?俺が……?」

「なあ、Level5に"なった"時のことって覚えてるか?」

「何と戦えば良いんだよ……」

418: 2013/02/20(水) 07:48:32.89 ID:5X6kGOcFo




「誰だ」

もう一度聞く。

「いやあ、素晴らしい説得だったよ。あれで第三位も大人しくなってくれると有難いんだがね。いくら私でもそうそう何回も停電を起こされると困るんだ」

「……」

……何だこいつは。
まるで俺らの行動を見ているかのような……。

土御門のサーチ魔術みたいなものか?

419: 2013/02/20(水) 07:49:10.24 ID:5X6kGOcFo


……いや、あの時オリアナはサーチに気づいてたはずだ。
ということは、もし魔術なら俺も気づきはしなくともその魔翌力か何かに触れるはず。
そもそも俺は御坂の能力を預かるために力は放出しておいた。
右手以外にしか効かないように手を加えてある魔術だって今となっては意味がないはずだ。
それでも相手には見えている。

……と、いうことは監視カメラか?
ここは学園都市。
さらっと見た程度では見つからないところに監視カメラがあるかもしれない。



ただ、音声まで拾うとなると……。

420: 2013/02/20(水) 07:49:42.71 ID:5X6kGOcFo


「ん? 聞こえていないのか? 確かに音声は入っているはずなんだが……」


それにこいつからは今まで感じたものよりもずっと強い何かを感じる。
電話をしている、ただそれだけなのに。

それだけなのに足が震えてくる。
神の右席と、ローマ正教と戦ったあの時


いや、あの時以上かもしれない。

421: 2013/02/20(水) 07:50:10.13 ID:5X6kGOcFo


「だ、誰なんだよ」

「……これは申し訳ない、私の名前はアレイスター=クロウリー。何、怯えることはないさ」

「アレイスター……?」



聞いたこともない名前だった。


「そうだ、一応学園都市の統括理事長をしている」

「統括理事長ぉ!?」

「そんなに驚くことか?」

「あ、いや……。で、統括理事長様が何の用だ?」


警戒は、さらに増す。
拳を握りしめる。

422: 2013/02/20(水) 07:50:48.37 ID:5X6kGOcFo


「拳を握ってそんなに警戒する必要もない。君は忙しいな」

「なっ……!!」

「ふむ……。こっちから君の様子が見えていることは今の君なら分かってると思ったんだがね」

「何処から見ている……?」

「それは今気にするべき事じゃないだろう?」

「……いいから答えろ」

「……」

「……」

「……」

「……」

「君の逆剥けの数でも数えればいいのかな?」

「やめろ」

「親孝行はしないといけないな」

「余計なお世話だ」

……何だこいつ。
キャラが掴めない。

423: 2013/02/20(水) 07:51:17.96 ID:5X6kGOcFo


「そんなことよりもっと聞きたいことはあるはずだろう?」

「……お前は魔術師か?」

「……君は私の話を聞いていたのか? 仮にも科学のトップが魔術師な訳がないだろう」

「本当か?」

「君の行動を見て、もう少し賢いと思っていたんだが、そうでもないようだ」

余計なお世話だ。
二回目の経験と初めての経験とでは話が違うんだよ、お前と話すのは初めてなんだ。
しかも話をうまいこと交わされてペースすら掴めない。

424: 2013/02/20(水) 07:57:51.21 ID:5X6kGOcFo






……ん?

俺の行動を"見ていた"?


「……おい」

「何だ? 聞きたいことか?」

「お前は何で俺の行動を"見てきた"んだ?」

「私は学園都市の統括理事長なのだよ、ここの住人の生活を把握していても何ら不思議ではあるまい」

「本当にそうか?」

「どうした?」

「わざわざこんなLevel0のしかも能力の発現の可能性が確実に0である俺まで把握できるほど学園都市は進んでいるのか?」

「実際君には私が何処から見ているか分かっていないじゃないか、それぐらいの技術は持っているつもりだが」

425: 2013/02/20(水) 07:58:17.27 ID:5X6kGOcFo


「俺が聞きたいのはそこじゃない、"本当に俺はただのLevel0"なのか?」

「それは自分が一番知っているんじゃないのかね?」

「確かに俺は自分のことをただのLevel0だと思っていたよ。御坂や一方通行はもちろん、御坂妹がやってる演算だって俺には理解できるか分からないくらい馬鹿だってのは分かってる」

「私もそれは把握している」

「黙れ」



いちいち腹の立つ奴だ。
こいつは人を馬鹿にする才能でもあるんだろうか

426: 2013/02/20(水) 07:58:54.60 ID:5X6kGOcFo



「俺もさっきまではそう思っていた」

「急に賢くなったとでも?」

「だからそっちじゃねえよ!」

「何だ、もう少し簡潔に話してくれないか」

「……。本当にただのLevel0がこんなにたくさん魔術師と関わることがあるのか?」

「……君が関わった魔術師は3人だと把握しているが」














…………。それもそうか。

427: 2013/02/20(水) 07:59:21.36 ID:5X6kGOcFo



「じゃあ質問を変える。ただのLevel0が統括理事長なんかとこうやって電話出来るのか? 噂じゃLevel5だってそうそう会えないらしいじゃないか」

「私達だって会ってはいないさ」

「屁理屈はいい。どうなんだ?」

「どうなんだ、とは?」

「本当にただのLevel0なのかってところについてだ」

「……」

「Level0の方が"動かしやすい"からLevel0なんじゃないのか?」

428: 2013/02/20(水) 07:59:48.62 ID:5X6kGOcFo


ずっと気になっていた。
何で俺はこんなに自由なのかと。
土御門のように仕事とかそういうわけでないのに、いつも学園都市や、その周りにいる魔術師と俺は関わってる。
上の連中と言われる奴らの言う通りに動いたこともある。


御坂や一方通行ならもっと簡単に倒せた敵もいただろう。
そりゃ中には幻想頃しがなければどうしようもなかったかもしれない奴らもいたかもしれないけど。

でも何で俺みたいなLevel0に……。

そう思っていた。






だけど、違う。
"Level0"だからこそ動かされてきたんだ。

今、分かった。

429: 2013/02/20(水) 08:00:36.22 ID:5X6kGOcFo


「……いや、凄いじゃないか。やはり少し賢いようだ、これはLevel1くらいにならしてもいいかもしれない」

「……そりゃどーも」

「その質問については正解だと言っておこう。もっとも今日の話は君の能力に関わるものなのだが」

「……!?」

俺の……能力?

「その前に、一つ話をしよう」

「話?」

430: 2013/02/20(水) 08:01:27.44 ID:5X6kGOcFo


「君は魔術師のことをかなり知っているような口ぶりだったが、うちのLevel5についてもよく知っているのかね?」

「Level5……? 俺が知ってるのは御坂と一方通行だけだが」

「いや、少しだけ知ってるというのでもいい。何なら噂でもいい」

「噂……。第二位はこの世に無い物を操るとか第四位は電子でビーム撃つとか、そんなパッとしないようなものばかりなら」

「……続けてくれたまえ」

「第五位は御坂と同じ中学で、何やら女王っぽいらしい。第七位は原石?とか言う能力者で、もしかしたら俺もその原石とかいうものなのかなって思ってたり……」

「ふむ。原石、か。それはひとまず置いておいて、だ。第六位については何も知らないか?」

「……いや、第六位には噂がありすぎてどれがそれに近いのかも分からない。だから他のLevel5とは違って本当に噂でしかないのかなって」

「なかなか鋭いな。じゃあ何故第六位だけ噂でしかないんだ?」

「それは……お前らが必氏に隠しているからじゃないのか?」

「確かにそれもあるな。しかしボロと言うのは出てしまうだろう? 事実、他のLevel5の噂についても大方合っている程度でしかない。しかし逆に言えば間違ってはいないということだ」

「……」

「よく考えてみるといい、実に簡単なことだ」

431: 2013/02/20(水) 08:02:38.69 ID:5X6kGOcFo












「"いない"んだよ、第六位は」










432: 2013/02/20(水) 08:03:04.82 ID:5X6kGOcFo


「……は?」

「聞こえなかったか? 第六位はいないと言ったのだが」

「お、おい。いないってどういうことだよ。学園都市にはLevel5が7人いるんじゃないのかよ?」

「正確には、学園都市にはLevel5が7人いる"予定"だ」

「予定……?」

「そう、予定だ」




予定……。
だからってなぜ俺にそれを言う?
どこに言う必要があったんだ?
魔術師と関わってたりする、ということなのか?

433: 2013/02/20(水) 08:04:07.32 ID:5X6kGOcFo



「私としても、こんなに予定が早まるとは思っていなかったんだがね」

「……どういうことだ」

「おめでとう、今から君が第六位だ」

「…………は?」

「君はどうもさっきから耳が悪いようだな」



え? 俺が……?
俺が第六位?
第六位ってなんだ?







……なんだただのLevel5か。







「ってはぁぁぁぁぁああああああ!?」

434: 2013/02/20(水) 08:04:54.27 ID:5X6kGOcFo



待て待て待て!
理解が追いつかねえ……。

「もう少し落ち着けないのか君は」

「だってLevel5ってしょ、しょ……」

「しょ……?」

「奨学金凄いんだろ? マジかよ!?」

「……驚くところが大分ずれていると思うんだが違うか?」

「いやーこれでインデックスに飯をたくさん食わせてやれる……」

「おい……」

「ほぅ……」

「おい」

「♪」

「……」

435: 2013/02/20(水) 08:05:41.32 ID:5X6kGOcFo




ドゴッ!!!





「ぐっふぉ!!」

「こちらの話も少しは聞いてくれないか」

「痛え……。で、何だよ……?」

「第六位になったこと自体にはあまり驚かないのか?」

「いや、十分驚いているさ。でも」

「でも?」

「同時に今はLevel5に匹敵する力が俺には秘められていることも分かってる。だからと言ってそれをそう何回も振りかざすつもりは無いんだけどな。それに今ならお前が予定が早まるって言った意味も分かる。俺もいつかはこうなるはずだったのが、予想以上に早かったってことだろ?」

「……そうか、では今後のことだが」

「……」

「今まで第六位についてはトップシークレットということになっていた。だから君には基本的には黙っていてもらいたい」

「そのくらい守るさ」

「ただし、そうだな……。君の順位である"6"。6人までは言ってもいいこととしようか、流石に全員に秘密というのは、やりにくいこともあるかもしれない。言う人はよく考えておくといい」

「インデックスに言ってもいいのか?」

「ふむ、魔術サイドには黙っておいてもらいたいところだが、同居しているというのなら仕方ない。しかし言った相手には他言無用と言っておけ」

「分かった。……この長電話の要件は以上か?」

「一応だな」

「一応?」

436: 2013/02/20(水) 08:06:11.80 ID:5X6kGOcFo


「少し話は遡るが、第三位───御坂美琴について君はよく知っているようだな」

「……まあそこそこは」

「じゃあ彼女がどのような能力者かについては?」

「電気系統の能力者で……、あとは……。そうだ、唯一努力でLevel5になったとか。俺の学校でもよく取り上げられる」

「確かにその性質から学園都市といえば彼女、というところがあるのは知っているな?」

「それが?」

「しかし君は本当にそう思うか?」

「? どういうことだ?」

「御坂美琴が本当に努力でLevel5になったと思うか?」

「そりゃ……あいつが嘘をついているようには見えないし。まあ多少の才能ってのはあると思うけどさ」

「では、おかしいとは思わなかったのかね? 努力してLevel5になれるのならもう少し数が多くてもいいのではないかと」

「それだけあいつが凄い努力をしてきたってことだろ」

437: 2013/02/20(水) 08:06:39.28 ID:5X6kGOcFo


「……そうか、分かった。では、長い間済まなかった。と、言っておこう。もうそちらの話し合いも終わるようだ。実験は破棄。御坂美琴のクローンは今日は君が入院した病院へ預けておけ、私が連絡を入れておく」

「……分かった」

「そして君とはまた連絡をとることがあるかもしれない。その時を楽しみにしてるよ」

「……俺はもうごめんだけどな」

「ついでに御坂美琴には停電をそう何回も起こさないでくれとも言っておいてくれ」

438: 2013/02/20(水) 08:07:56.82 ID:5X6kGOcFo







プツッ






電話が切れる。







……。

439: 2013/02/20(水) 08:08:23.12 ID:5X6kGOcFo


"御坂美琴が本当に努力でLevel5になったと思うか?"






……どういう意図があって言われたか分からないが、
自分がLevel5になったなどという事や、最後のちょっとした冗談?より、その言葉だけが頭に残る。

何か妙な不安を感じるのだ。

440: 2013/02/20(水) 08:08:52.81 ID:5X6kGOcFo


「終わったわよ。悪かったわね、待たせて。……って何してるの、アンタ」

「ああいや、別に。ちょっと電話が掛かってきただけだ」

「……ミサカは満足です」

「そっか、そりゃ良かった。一方通行はどうだ? ……ってお前…………」

「……」



頬が明らかに変色している。
赤じゃない、青にだ。

……よっぽど強く殴られたようだ。

441: 2013/02/20(水) 08:10:21.47 ID:5X6kGOcFo


「んじゃこの後どうするか、だけど、御坂妹は近くの病院に行ってもらう。話はもうついてある。……道順は分かるか?」

「はい、この辺りの道順は一応記憶しています、とミサカはミサカネットワークから周辺情報を引っ張り出します」

「それは覚えているうちに入るのか……? まあいいや本当は送って行きたいんだけどちょっとこの後用事があるからダメなんだ、悪いな」

「あ、じゃああ私が送るわよ」

「いや、俺はお前らに用があるんだ」

「え、私?」

「ああ」

「ではミサカはもう行った方がよろしいのでしょうか?」

「ごめん、悪いな。何かあったら俺の家に行ってくれ。インデックスも電話は持ってるし何とかなるかもしれないからな」

「了解です、とミサカはミサカネットワークから引っ張り出した情報を元に歩き始めます」

「気をつけてな」

442: 2013/02/20(水) 08:10:58.75 ID:5X6kGOcFo




っと、行ったか。



「さて、もう一度ベンチ戻るぞ」



三人でベンチに腰掛ける。


「で? 用って何?」

「あ、いや、そんな大したことではないんだけど、お前らには聞いておいてもらった方がいいと思って」

「……さっさと要件を言え」

「……お前ら、Level5の繋がりってのはあるの?」

「いやあ、私はコイツの他に一人二人顔知ってるかなーっていうくらいのもんよ?」

「俺も三、四人顔が分かる程度だ。それが?」

「……じゃあさ、第六位については何か知ってるか?」

「第六位……そう言えば聞いたことないわね」

「……」

「それがどうしたっていうのよ?」

「今から言うのは冗談じゃないからな?」

「勿体ぶらずにさっさと言え」








「第六位、俺なんだって」

443: 2013/02/20(水) 08:11:37.01 ID:5X6kGOcFo





「……」

「……」

「……」

「ってはぁぁぁぁぁああああああ!?」

俺と同じ反応ありがとうございます。

「……」

こっちは意外と冷静。

「どういうことよ!? 第六位って……」

「まあ俺の場合科学とも言い切れないみたいだし俺自身本当にLevel5って実感もないんだけどな」

「ちょ、ちょっと待って! ……それは誰から聞いたの?」

「統括理事長」

「…………んんんんんんん!?」

「……まァ、そンだけイレギュラーなら別に不思議ではねェが…………。ヤツは他には何か言ってこなかったのか?」

「何かって?」

444: 2013/02/20(水) 08:12:03.78 ID:5X6kGOcFo


「俺やオリジナル、クローンのこととかよォ、何か言われたっておかしくねェ。ヤツのことだ、その電話で何か企ンでいる可能性もある」

「ん? ……ああ実験は破棄だってさ」

「他には?」

「他は特には……。……いや、一つだけある。でも一方通行じゃなくて御坂に、だけどな」

「そォか、ンじゃ俺は帰る。オリジナルの処理はちゃンとしとけよ」

「処理ってお前……。あ、そうだ、俺のLevelのことは他言無用でよろしくとのことらしいから」

「ケッ、言う必要もねェよ」

「そっか、じゃあな。気をつけて」

「……」

445: 2013/02/20(水) 08:12:35.36 ID:5X6kGOcFo


一方通行も帰って、今は御坂と二人。
統括理事長と聞いて頭がついていかなくなったようだ。

「おーい御坂ー」

「ハッ……! 私は何を……」

「もうみんな帰ったぞ」

「そ、そう……」

「……どうした?」

「……聞かないの?」

「何を?」

「さっきのこと」

「いや、いい。お前らだけで済ませたいことだってあるだろ?」

「そ、ありがと」

「……」

「……」

「……」

「……」





会話が続かない。

446: 2013/02/20(水) 08:13:07.13 ID:5X6kGOcFo


「なあ御坂」

「何?」

「俺のLevelのことは他言無用でよろしくとのことらしいから他の奴には秘密な」

「そ、分かった」

「あと、そう何回も停電を起こさないでくれとも言われた」

「そんなに起こしてないわよ! ……多分」

「多分って……」

「……」

「……」

「……」

「……」






また、会話が途切れる。

447: 2013/02/20(水) 08:14:03.84 ID:5X6kGOcFo


"御坂美琴が本当に努力でLevel5になったと思うか?"

"ヤツのことだ、何か企ンでいる可能性もある"




「なあ御坂」

「何よ?」

「Level5に"なった"時のことって覚えてるか?」

「もちろんよ。あんなに嬉しいと感じたことは無かったわ」

「そっか……。あのさ、良かったら俺に話聞かせてくれないか? 御坂が頑張ってきた話。クローンのことも含めて」

「……分かった」



少し間を開けて、御坂は話し始めた。

「私がまだ小学生の時─────────」

448: 2013/02/20(水) 08:14:39.84 ID:5X6kGOcFo
おそらく、嘘もついてないし、隠してもないだろう。

懐かしく思いながら、同時に悲しむ。
そんな優しい表情で話してくれた。

449: 2013/02/20(水) 08:15:13.53 ID:5X6kGOcFo



「……ずるいわよね、アンタって」


話が一区切りつくと、御坂はそんなことを言った。

「?」

「アンタがそんな奴じゃないのは分かってる。でも今まで頑張ってきたこっちとしては何もしてないのに自分より上に行っちゃうヤツがいるってのは辛いのよ……」

「……そうだな」

450: 2013/02/20(水) 08:15:40.88 ID:5X6kGOcFo



……悪い、御坂。
俺はお前をもっと傷付けないといけないかもしれない。

このことは言うべきか、そうでないか?
……俺には分からない。

なら俺はどうしたい?
俺は……、



俺はこの一連の、クローンことについては真実を知って欲しい。
なら、もう迷わない。

451: 2013/02/20(水) 08:16:12.52 ID:5X6kGOcFo



「なあ御坂」

「……」

「ありがとな、たくさん話してくれて。嬉しいよ」

「……」

「おかげで一つ分かったことがある」

「……?」


御坂は本当に色々話してくれた。




そう、

452: 2013/02/20(水) 08:16:42.44 ID:5X6kGOcFo






「お前がLevel5になることは、ずっと前から決まっていた、かもしれない」








自分がLevel5を目指している"途中"で研究者にDNAマップを渡していることも、包み隠さずに。

453: 2013/02/20(水) 08:17:09.86 ID:5X6kGOcFo


──────────
──────
────
──





あれからどうやって御坂に説明したか、どうやって御坂をなだめたか覚えていない。
でも、ずっと御坂の頭を撫でていたことは覚えている

後、声が出せないほどの驚きと、自分の信じてきた道が崩れてしまったことの悲痛が混ざったあの顔は忘れることができないだろう。

454: 2013/02/20(水) 08:17:42.66 ID:5X6kGOcFo


「……少しは落ち着いたか?」

「……うん」

「悪かった、昨日の今日でショックなことばっかりで」

「いや……大丈夫」

「言わなくても良かったかもしれないけど。だけど、このことも含めてやっと前に進めると思ったんだ。だから言ってしまった、本当にごめん」

「……言ったことを後悔してるの?」

「……」

「……」

「……今この瞬間、後悔してるかって言ったらしてるかもしれない。けど、こっちの方がいいと思ったから言った。それは後悔してない」

455: 2013/02/20(水) 08:18:33.99 ID:5X6kGOcFo


俺がそう言うと
御坂は久しぶりの笑顔を見せて、

「そ。それなら謝らないで。私も後悔してない。してるとしたら、それはこのことを自分で気づけなかったことよ」

俺も御坂の笑顔に応える。
自然に笑みがこぼれた。

「そっか。じゃあそろそろ帰るか

「……ジュース」

「うぐっ……」

「Level5の第六位サマなら財布に余裕あるわよね?」

「いやーあのー、別に今すぐ財布が分厚くなるわけじゃないんだけどなー」

「約束は約束よ、お金なくても買いなさい。誰かさんに泣かされて喉がカラッカラなのよ」

「お前は痛いところを……」

456: 2013/02/20(水) 08:19:09.17 ID:5X6kGOcFo




こんな冗談まじりの会話をしながら、ゆっくりと常盤台の寮に向かって歩いて行った。
御坂とこんなにゆっくり話したのは初めてかもしれない。

とても落ち着いたその空間はとても気持ちのいいもので。
いつの間にか目的の場所に到着していた。


「じゃあな、気をつけて」

「気をつけるも何も帰るのはそこよ、何もあるはずないじゃない」

「ならいいんだ」

「あの……ほ、本当に今日はありがとう!」

「ん」


あの、プライドの高そうな御坂が頭を下げた。
いつもの俺なら、そんな感謝されることなんてしてない、自分のやりたかったことをやっただけだって言うはずなんだけど
こんなに感謝されたら、それはなんか違うんじゃねえかとも思う。
だから特に余計なな謙遜はせず、ただ手を振って自分の家へ向かう。

457: 2013/02/20(水) 08:19:38.99 ID:5X6kGOcFo


……何事もなく家に着いてしまった。
本当にこれで良かったのだろうか。

自分の選んだ道に後悔はない。
考えたってしょうがないか……。



でも、




でも、俺は一体

誰と、何と戦えば良いのだろう……。



答えは出ないままドアを開ける。

458: 2013/02/20(水) 08:20:18.19 ID:5X6kGOcFo





「ただいま、インデックス」




でも、これで俺は日常に帰れる。
インデックスに"おかえり"と、そう言ってもらえることで。

459: 2013/02/20(水) 08:20:51.39 ID:5X6kGOcFo




「おかえりなさい」




























「と、ミサカは家主の帰りに返事をします」

460: 2013/02/20(水) 08:21:27.20 ID:5X6kGOcFo






「お前かよ!!!」



もう無理……何か疲れた………………。


とうま、とうまー!! ちょっと、しっかりしてーっ!!
という声を聞きながら、安心しきってしまった俺の意識は途絶えた。

492: 2013/03/12(火) 23:31:12.93 ID:ZDKaBtObo




「待ちやがれええええええ!!!」

「ああもう不幸だあああああ!」


上条当麻は不幸な人間である。
Level5になろうがそれは変わらない。

不良たちに絡まれている女の子を助けようと思ったら、今度は俺が絡まれてしまっていた。






そんな今日は7月25日。

493: 2013/03/12(火) 23:31:42.09 ID:ZDKaBtObo


────────
──────
────
──




……ふぅ。
やっと巻くことに成功した。

今は補習帰り、時刻は昼。とにかく暑い。



さて、これまでのことを少し。

494: 2013/03/12(火) 23:32:44.72 ID:ZDKaBtObo


あの日、玄関でぶっ倒れた俺は、そのままインデックスと御坂妹にベッドに運ばれたらしい。起きた時はもうすでに夕方になっていた。
インデックスは「大丈夫?」と言いながらお粥を作ってくれていた。風邪じゃないけどとてもありがたかった。
それを食べ終えた後、御坂妹に何でここにいるのか聞いた。
俺は何かあったら来いとは言ったけど、その時にインデックスに連絡して貰うようにも言ったはずだ。
なのにインデックスからの着信はなかった。だから不思議に思ったのだ。

御坂妹によると、特に何事もなく病院に着くことは出来たらしい。
じゃあ向こうの患者とかがいっぱいだとか先生が忙しかったとかなのか? と聞いてみると御坂妹は違うと言った。

495: 2013/03/12(火) 23:33:19.13 ID:ZDKaBtObo


「一方通行に連れてこられました、とミサカは懇切丁寧に説明します」

……は? と思ったがすぐに納得した。
何でアレイスターとかいう奴の電話のことにあんなに噛み付いてきたのかが不思議だったけど、こういうことだったのか。
あいつも前に進んでくれているのかな? そうだと嬉しいと思う。

「白いお友達がね、いいからこいつ預かれっていきなり言うからびっくりしちゃったんだよ」

インデックスの言葉に俺は苦笑した。
それがあの日起こったこと。

496: 2013/03/12(火) 23:34:29.33 ID:ZDKaBtObo


御坂妹が帰ったあとには、俺がLevel5になったこと、それは他の人には黙っていて欲しいということも言った。
インデックスは凄いね、と喜んでくれたけど、危ないんじゃないか、とも心配してくれた。
今度奨学金が入ったらお腹いっぱいご飯を食べさせてあげれたら嬉しいなと思う。

次の日からは溜まっていた補習だった。
溜まっていたって言ってもこの頃は学校を休んでたってことはなかったから、そんなに状況が厳しいわけではなかった。
それが23日、24日。

24日にはインデックスと銭湯に行った。
前は行けなかったから、同じ日に行くことができて良かったと思う。

そして今日だ。
午前中に補習を終えて、帰る途中。
女の子が絡まれているのを見つけ、話は戻る。

497: 2013/03/12(火) 23:35:45.25 ID:ZDKaBtObo


……少し歩くと、目の前にはコンビニがあった。

ちょうど喉も乾いたし、飲み物でも買おう。
そう思ってコンビニへ入る。

「いらっしゃいませー」

まず飲み物コーナーへ。
こんな時は炭酸が飲みたくなる。
炭酸ジュースを一つカゴにいれる。

……そういえば最近は勉強もしている。
これから何が起こるか分かっている分、早く終わらせないとヤバイのだ。

「コーヒーも買っとくかな」

夜必要になるかもしれないしな。
ブラックとかのが効果はいいのかね?

498: 2013/03/12(火) 23:37:05.01 ID:ZDKaBtObo


「……って一つもねえ!!」

おいまじか……。
どうしたらコーヒーのブラックだけが全部なくなったりするんだよ……。
しゃーない。微糖で我慢だ。

よし、レジへ……っとアイスをインデックスに買ってくか。
もしかしたら御坂妹も来てるかもしれないし、このでかい奴でいいか。俺も余ったら食えるかもしれないしな。

「550円になりまーす、ありがとうございましたー」

外に出るととても暑かった。
コンビニが涼しかっただけに、余計に暑く感じる。

早く家帰ろう。インデックスも待ってるし、暑い。

そう思って近道となる路地裏へ入っていった。

499: 2013/03/12(火) 23:37:57.59 ID:ZDKaBtObo


「あー。涼しいし一石二鳥だな、これ」

と思いながら歩いていると、案の定見つけてしまった。
不良集団である。誰かを囲んでいるようだ。
……また走んなきゃなんねえかな、人数多いし。
いやまあこうなるとはちょっと思ってたんだけどね。


そんなことを考えながら近づいてみると、会話が聞こえてきた。

500: 2013/03/12(火) 23:38:49.07 ID:ZDKaBtObo


「お前、Level0に負けたらしいじゃねえか」

「うそ、マジかよ? じゃあ俺らもいけんじゃね?」

「こいつ倒したら俺らの強さってもんを証明出来んじゃね?」

「……面倒くせェ…」

何だ何だ? 何の会話だ?
Level0が能力者を集団で襲ってるってことでいいのかな?
とりあえず助けに入ってみるか。

「おーい、どうしたんだよこんなところでー……ってお前かよ!!」

「……まァた面倒くせェのが」

「面倒くせえってひどいなお前」

そこまで言って気づく。
こいつの持ってるビニール袋の中に大量のブラックコーヒーが入っていたことに。

「お前か! 俺の缶コーヒーを買って行った奴は!」

「……はァ?」

「上条さんはお前のせいでブラックが買えなかったんだよ!!」

「知るかよ。……っていうか後ろ」

「は? 後ろってお前……」

501: 2013/03/12(火) 23:40:14.11 ID:ZDKaBtObo


「……お前何の用だ。こいつを知ってるような口振りだがこいつは俺らの獲物だ、どけ」

「獲物って……。でもこいつLevel5だぜ? しかも第一位の」

「んなことは知ってんだよ。こいつを倒したら俺らの強さの評価も上がるってもんだろ?」

「出来んのかよそんなこと」

「お前知らねえのかよ。なんでもこいつLevel0に負けたらしいじゃねえか。こいつを肩に担いでるやつを見たってやつがいるんだよ。じゃあ俺たちでも勝てるってことだろ?」

「あー……」

一方通行の方を見る。

「……」

目を逸らすな!

「今の反応見たかよ!? やっぱり噂はマジなんじゃねえか!」

「おいおいマジかよ!」

「やめとけって」

「うっせえな、こんなチャンス滅多にねえだろうが!」

「でもLevel0に負けたからってこいつが弱くなった訳じゃねえだろ?」

「……関係ねえな、というかお前さっきから何様のつもりなんだよ。まずはお前からやるか?」

「やめろって」

「……何でこいつこんなに余裕ぶってんだ? ……ってあ!」

「おい、どうしたよ?」

「なあ、Level5に勝ったLevel0ってやつの特徴覚えてるか?」

「……たしかツンツン頭で、ウニみたいだとかなんとか…」

「ウニじゃねえよバカ野郎!」

502: 2013/03/12(火) 23:41:15.32 ID:ZDKaBtObo


「……」

「……」

「……あ」

「……何やってンだ」

「おいお前ら、まずはこいつからだ! こいつを倒したら第一位を倒した男の更に上だぜ! 今日はラッキーだな!!」

「よっしゃあああああああ!!!」

「ちょ、ああもう一方通行!!」

「ほら、オマエの欲しがってたブラック一本やるから頑張って逃げろ」

「ふざけんな!! ……不幸だああああああ!!!」

今度会ったら絶対ビームしてやる……。
そんな感じで本日二回目の逃走。

503: 2013/03/12(火) 23:43:11.62 ID:ZDKaBtObo


────────
──────
────
──

また、何とか巻いて。
炭酸はもう物凄いことになってたから捨てて、家は目の前。

「ただいまー……」

「おかえりー……ってすごい汗かも!?」

「まあ、ちょっとな……」

「……だいたい分かったんだよ、お疲れ様」

「いや、今回は俺が追いかけられたんだ」

「? 昨日もそうじゃなかった?」

「今日は標的が俺だったってこと」

「何でなのかな?」

「俺が一方通行を倒したLevel0ってのがばれたんだよ」

「え、でもとうまは今……」

「他言無用、って言ったろ? 俺はその辺ではいつもと変わらぬLevel0なんだよ」

「それじゃ外に出るのも危ないかもしれないんじゃ……」

「かもな。まあ何とかなるだろ。いざとなったら一方通行を連れてくる。ふふふ、あいつ覚えとけよ……」

「とうまがなんだか黒いオーラを……」

504: 2013/03/12(火) 23:43:49.61 ID:ZDKaBtObo


「あ、そうだインデックス。アイス買ってきたから溶けないうちに冷凍庫いれといて」

「わあ、おっきいの買ってきたんだね」

「御坂妹が遊びに来てるかもしれないと思ったからな」

「今日は来てないね」

「そっか、まあまた来た時にでもあげてやってくれ」

「了解なんだよ!」

さて、どうすっかな……。
……とりあえず宿題しよう、焦っても仕方がないしな。

505: 2013/03/12(火) 23:44:54.52 ID:ZDKaBtObo


昼食をとった俺は早速宿題に取り掛かることにした。

「とうま、お勉強?」

「ん? ああ、学校の宿題な」

「テレビ消した方がいい?」

「いや、気にすんなよ」

「ありがとう。……宿題見せてもらってもいい?」

「いいけど……」

「うーん」

「どうした?」

「よし、この教科なら何とかなりそうだね」

「?」

「とうまがね、学校に行ってる間暇だったから本棚にある教科書見せてもらったんだけどね」

「あーなるほど、全部覚えちまったってことか」

「うん。だから私も手伝おうと思って」

「マジ?」

「うん、ついでに英語も教えてあげるんだよ」

「それはありがたい、英語話せるようになんねえと今後困るしな」

506: 2013/03/12(火) 23:46:12.20 ID:ZDKaBtObo


「その今後っていうのはいつ? 社会に出てからってこと?」

「いやもうすぐだけど?」

「……やっぱりやめようかな、とうま危ないことしに行くみたいだし」

「お、おい。頼むってインデックスさん!」

「……じゃあ約束。何があっても絶対帰ってきてね」

「ん、もちろん」

何を今更。
こっちは最初からそのつもりだ。

507: 2013/03/12(火) 23:46:40.08 ID:ZDKaBtObo


『じゃあ今から英語で話すんだよ、ちゃんと話せるようになろうね、とうま』

「英語でいきなり話されてもわかんねえよ!!」

「甘いんだよとうま! 教科書見たけど、あんなのできたところでろくに話せないかも。逆に言えば、話せたら学校の授業なんてちょちょいのちょいなんだよ!!」

「だからっていきなり……」

『さあとうま、頑張ろうね? ……ところでお腹空いたんだよ』

「晩ご飯まで我慢しなさい」

「……え? 聞こえてたの?」

「さすがの上条さんもそれくらいは分かるわ!!」

508: 2013/03/12(火) 23:48:00.09 ID:ZDKaBtObo


『ふーん、まあいいけどとうまはバカだからね。もう一回繰り返すけどバカだからこれくらいの英語だともう何言ってるか分からないんじゃないのかな? ……この際不満をぶちまけてあげるんだよ。まず何で夏休みなのに学校行ってるのかな!? それに帰りには女の子を助けてばっかり……。ここ3日間毎日汗だくで帰ってきちゃってさ。見てるこっちの身にもなって欲しいんだよ。ああまたかって思っちゃうよね!! 危ないことにもすぐに首を突っ込む癖も何とかならないのかな?』

なんか分からんがインデックスの動きから馬鹿にされていることだけは分かる。
英語も大事だけど、ボディーランゲージも大事なんだなとしみじみ思った。

『って聞いてるのとうま!? 聞いてないみたいだね……。もう文句はいいんだよ、聞いてないなら……』

はあ、不幸だ……。

『いつもありがとう。恥ずかしくて英語でしか言えないけど、いつも感謝しています。ずーっと一緒にいてね。大好き、とうま』

509: 2013/03/12(火) 23:49:10.80 ID:ZDKaBtObo



……いや、そんなこともないかもしれない。
そしてやっぱりお前は俺を馬鹿にしてるな?
俺だって"I love you"の直訳くらいは分かるぞ、インデックス。



「ありがとうな、インデックス。英語と暗記科目はインデックスに教えてもらうことにするよ」

「分かったんだよ」

「アイス食べながらでもいいぞ、とって来いよ」

「いいの? とうまはどうする?」

「俺の分もインデックスが食べてもいいぞ、ほんのお礼だ 」


いつか、今のセリフが全部聞き取れるようになれるといいな。
インテックスの母国語で、インデックスの伝えたいありのままのニュアンスで本音が聞けるようになりたい。


「ほんとに!? ありがとう、とうま!!」

「どうだ、おいしいか?」

「うん!! えへへ……」

510: 2013/03/12(火) 23:49:40.43 ID:ZDKaBtObo


だから、ちょっと頑張ってみようかな。

インデックスの頭をなでながら、そう思う。
ありがとう、インデックス。

513: 2013/03/13(水) 00:03:37.92 ID:wY3r+NiNo


prrrrrr……

……っと、誰だよこんな時に。



「げっ……」

「どうしたの? とうま」

「ああいや、電話だよ電話」





ディスプレイには何も書かれていなかった。

514: 2013/03/13(水) 00:05:21.85 ID:wY3r+NiNo


「……今度はなんだよ」

『君は本当に馬鹿だな。よくも余計なことをやってくれたものだ』

「…お前もか!!」

「……英語の勉強になると思ったんだが……迷惑だったか」

「ああ迷惑だね!! で、用件は?」

「さっき言っただろう」

「は? ……ってだから英語分かんねえって」

「君は本当に馬鹿だな。よくも余計なことをやってくれたものだ。と言ったのだが」

「はあ?」

「心当たり、あるだろう」

515: 2013/03/13(水) 00:06:18.77 ID:wY3r+NiNo


「そんなもの……」

ねえよ、と言いかけて気づく。

「……あ」

「気づいたか」

「……俺、学園都市で生きていけるかな」

「全く。自分から名乗り出るとはまるでウニのような奴だな」

「うるせえ!! なんだよウニみたいなやつって!!」

「……まあいい。このままでは君の顔が学園都市で一番有名になる日が近いかもしれない。一旦学園都市の外に出てきたまえ。時期も夏休みだ、ちょうどいい」

「で、でも俺補習とかもあるし……」

「なんだ、君は自分の命より補習が大事だと言いたいのか」

「いや、そうは言わねえけどさ」

「では、その件に関してはこちらで何とかしておこう。行き先、許可証などを含めてすべての連絡は明日学校で聞くといい」

「……わかった」

両親には悪いけど、連絡はしないでおこう。
またあんなことが起きては困る。

「こちらの用件は以上だ。出発は明日。何か聞きたいことは」

「特にはねえよ」




ブツッ。



電話が切れる。

516: 2013/03/13(水) 00:06:47.61 ID:wY3r+NiNo


「……ふう」

「……誰からだったの?」

「学園都市のお偉いさんだよ、明日から学園都市の外へ旅行だと」

「旅行!? どこに行くのかな?」

「うーん、知らされてねえな」

「なんか楽しみだね!」

「そうだな……」



海、なんだろうか……。

517: 2013/03/13(水) 00:07:33.64 ID:wY3r+NiNo


────────
──────
────
──



次の日。

「いってきます」

「いってらっしゃーい」


午前7:30、俺は家を出た。もちろん学校へ向かうためだ。
今日の朝が早かったために、まだ用意はしていない。
というかそもそも旅行期間がどれだけなのか聞くのを忘れていたから、昨日から用意が出来ていないのだ。
一応2、3日分は用意しておいたけど、情報の隠蔽にどれだけかかるか分からない。
何しろ今回は噂でなく、本人(俺)が直々に認めてしまったのだから。

そんなことを考えていると、学校に……

518: 2013/03/13(水) 00:08:05.38 ID:wY3r+NiNo


というほど学校が近いわけでもなく、ふと殺気を感じて振り返ると後方に見つけたのは不良様方。
前方じゃなくて良かった。非常によかった。



と、いうわけで、今日も




「不幸だああああああああ!!」



夏休み何回目か分からない、鬼ごっこ。

519: 2013/03/13(水) 00:09:04.47 ID:wY3r+NiNo


「はあはあ……あー」

「……随分と走ってきたようね」

「ん? ああ吹寄か。……って何でここに?」

「何よ。あたしがいちゃ悪いって言うの?」」

「いや悪いとかじゃねえんだけどさ。吹寄、補習ないだろ?」

「自習のために来たのよ。家にいてもサボりがちになっちゃうでしょ」

「へー」

「で、貴様はどこへ行くの? そっちは教室じゃないと思うんだけど」

「ちょっと職員室にな」

520: 2013/03/13(水) 00:09:50.13 ID:wY3r+NiNo


「何、貴様また何かやらかしたの!?」

「またってまだ何もしてねえよ」

「本当かしら」

「本当だよ!」

「まあいい。ちょうどあたしも月詠先生に用事があるし、一緒に行ってあげる」

「えー……」

「文句言わないの。何かやましいことでもあるの?」

「いやねえけどさ……」

今回のことはあんまり知られたくねえんだよな……。
特に今回小萌先生には俺の事情話そうと思ってるし。

521: 2013/03/13(水) 00:10:58.43 ID:wY3r+NiNo


「ならいいじゃない。……ところで上条。貴様は噂聞いた?」

「噂?」

「第一位をLevel0が倒したって話」

Levelがアップするとかいう食べ物などに興味がある吹寄だ。
こんな話、やっぱり気になるのだろう。

「あー……」

「やっぱり知らないの、貴様は」

「いや、知らねえっつうか……」

「何よ、はっきりしなさい」

522: 2013/03/13(水) 00:11:49.16 ID:wY3r+NiNo


6人、だったよな、俺が俺のことを言っていい数って。
インデックス、一方通行、御坂。
そうするとあと三人。
で、今回小萌先生には言うつもりだから、後二人として。
……吹寄には言うべきか?

確かにクラスメイトには一人知ってもらった方がやりやすいし、それなら吹寄が一番いいと思う。
土御門は俺と同じく学校にいない時が多いからな。

でも本当にいいのか?

小萌先生はなんだかんだ言って見逃してくれているところがあった。
魔術も一応体験したために、俺が何かをしていることはわかってくれていたようだ。
今回は魔術のことなど何も知らないと思うけど、それでも見逃してくれそうではある。
ただ、吹寄は違った。何も知らないがために、逆に深くまで入り込んで来る。
ここで教えてしまったとして、さらに深く調べようとしてしまうかもしれない。
それでは非常にまずい。


ただ、クラスに一人だけでいい。自分の事情を知ってくれている人がいたら、どんなに楽か。



「……どうしたのよ?」

「……なんでもねえよ。多分職員室でその話も出るだろうから、その時に全部話すよ、全部な」

523: 2013/03/13(水) 00:12:39.44 ID:wY3r+NiNo


……決めた。

全部話した上で、守る。


……何迷ってんだ、最初に決めたじゃねえか。
今回は自分も含めて笑顔でいる、と。自分だけが犠牲になればいいってのは俺を待ってくれている人が悲しむからって。

だから、話そう。
俺の事情を知ってもらって、それでいてこっち側には来させない。
それだとまた俺が犠牲になるから、俺の仕事は、自分を犠牲にせずに敵を倒すこと。

難しいがやるしかない。
学校では小萌先生、吹寄を始め、クラスメイト。家ではインデックス。

俺の居場所は何があっても守る。




絶対に────────。

524: 2013/03/13(水) 00:13:26.15 ID:wY3r+NiNo


「「失礼します」」

「あ、上条ちゃんに吹寄ちゃん、おはようございます」

「おはようございます、先生。今日補習の後教室を使わせて欲しいんですけど……」

「了解なのですよ、じゃあ開けておくのですー」

「じゃあ次俺なんですけど……」

「上条ちゃん、何をしたのですかー? 上条ちゃんに一週間の学園都市の外への外出届、そして補習の免除。そんなの聞いたことないのです!」

「……まあいろいろあるんですよ」

「……貴様本当に何もやってないの?」

「そ、それなんだけどな……」

525: 2013/03/13(水) 00:14:47.41 ID:wY3r+NiNo


一旦唾を飲み込む。
深呼吸をして……

「小萌先生は、第一位がLevel0に負けたって話、聞いたことありますか?」

もう、戻れない。

「あ、はい。聞いたことあるのですよ。それがどうかしたのですか?」

「……そのLevel0が俺って話です」

「……は?」

「ちょ、ちょっと待つのです!! それはいつのことなのです?」

「つい最近ですよ、噂が出始めた頃です。当たり前だけど」

「貴様、ふざけてるの?」

「大真面目だよ」

「でも貴様何も能力ないじゃない。Level5、しかもその中の第一位なんてどうやって倒すのよ」

「能力ないっていうか……。正確には学園都市の機械じゃ測れないっていうか……」

「……どういうこと?」

「俺の右手には幻想頃しってのがある。どんな能力かっていうと、どんな異能の力でも打ち消すって能力だ。だから学園都市の機械じゃ測れないし、打ち消してしまうからどんなに能力開発したってそれが芽生えることはない。ちなみに第一位の能力だって消せる、例外なくな。だから倒せたってわけ」

526: 2013/03/13(水) 00:16:19.01 ID:wY3r+NiNo


「……それが本当だとして、何で学園都市の外へ出ないといけないのです?」

「今では第一位って友達なんですけど、あいつと話してた時にあいつを狙おうとしてる奴らに俺のことがばれちゃって……。俺の命が危ないからって避難命令ってことらしいです」

「じゃあその前に何で第一位なんかに喧嘩売ったのよ。まさか貴様もその第一位を狙う奴らの一員だってこと?」

「それはねえよ。詳しくは話せねえが、あいつや第三位の──御坂美琴の妹を助けただけだ」

「貴様第三位も知り合いだっていうの!?」

「まあな」

「か、上条ちゃんがどんどん遠い存在になっていくのです……」

527: 2013/03/13(水) 00:18:19.53 ID:wY3r+NiNo


「で、もう一つ。さっきはLevel0って言ったけど、第一位を倒した後、統括理事長から電話があってさ。Level5の第六位になったんだ」

「……」

「……どこから突っ込めばいいか分からないんだけど」

「でもそこの外出届が何よりの証拠だぜ? 何かあいつが全部用意してくれたらしいし」

「……まあ確かに」

「……というわけでお願いなんですが、このことは秘密にしておいて欲しいんです。他言無用って言われてるんで」

「じゃあ何であたしに言ったのよ」

「先生には元から言おうと思ってたし吹寄にはクラスメイト代表として知っておいてもらいたいと思ったんだ。実質クラスまとめてるのってお前だろ? だからそういう人に言った方がいいと思ってさ」

「……そ」

「あと先生。学園都市の能力かすら分からない俺の能力ですけど、ちゃんと開発の授業も受けますしそれの補習も受けます。ただ、俺の事情だけは知っておいて欲しかったんです。開発はできないってことを」

「……分かったのです」

「あともうひとつ。連絡しないで学校休んでしまうことがあるかもしれないけど、それについての補習もちゃんと受けるつもりですから心配しないでください」

528: 2013/03/13(水) 00:19:32.32 ID:wY3r+NiNo


「どこか行くつもりなの?」

「困っている人がいたら手を差し伸べる、ただそれだけだ」

「……何を言っても無駄そうね」

「悪いな、必ず帰ってくるから大丈夫だ。クラスのこととか多少手伝えなくなるかもしんねえけど……」

「分かってるわ。サボったりやる気がないとかじゃないならいいの。それくらいならあたし達だけで何とかできる。その代わり絶対にその困ってる人達は助けて、貴様は元気に帰ってきなさい、約束。いや、命令よ」

「分かった、必ず守るよ」

「……先生にも約束してください。危なかったらちゃんと先生に言うのですよ?」

「はい、ありがとうございます」

「じゃあ上条ちゃん、今日ももう帰っていいのです」

「今日の補習も無しってことですか?」

「はい。明日からの準備もいろいろあると思うのです」

「……ありがとうございます」

「……じゃああたしは教室行きます。上条も職員室出るわよ」

「はいはい。じゃ、先生。迷惑かけますけど……」

「任せるのです。それよりも明日はご両親も来てくださるそうなので今日はしっかりと体を休めてくださいね」

529: 2013/03/13(水) 00:20:10.43 ID:wY3r+NiNo




「……え?」

「はい早く行くわよ」

「ちょ、吹寄! 引っ張んなって!! こ、小萌先生! その話詳しく……」

「失礼しました」






ピシャリ。







「……じゃ、上条。家に帰る時に氏なないようにね」

「……妙にリアルなこと言うなよな、んじゃ」

530: 2013/03/13(水) 00:21:01.28 ID:wY3r+NiNo


……ややこしいことになってしまった。

今から両親にくるなというのはおかしい気がする。
いや、それでもあんな術が起きてしまうよりはマシなはずだ。



携帯を手に取る。


prrrrr……

「もしもし、当麻さん?」

「あ、母さんか? 今どこにいる?」

「今は……ええっと、近くのスーパーかしら。とりあえず買い物を済ませて、刀夜さんが帰ってきたら向かうつもりだけれど……」

「ということは、もう家出てるんだな?」

「はい、そうですよ」

「分かった、ありがとう。じゃ」


やばい。
二人とも出ているとなると手遅れだ、魔術が発動する可能性がある。
今さら止めたところで変わらない。


……じゃあやることは一つ。


インデックスがあんな悲惨なことになってはいけない!!


家に向かって全力で走る。

531: 2013/03/13(水) 00:22:00.60 ID:wY3r+NiNo


……この時俺はインデックスの悲劇を思い浮かべて焦っていたが、大切なことに気づいていなかった。
父親は仕事で家をあけている。ここまではいい。
その時に母親は絶対に家にいるのかと言われたら、そうではない。さっきのように買い物に行っている可能性もあるのだ。

つまり何が言いたいかというと。



あの時のが別にいつも通りの行動だった場合、あの時来るのを止めておけばまたこんな魔術は起こらなかったかもしれなかったということだ。


だって週に何回も世界に影響を与えるような大魔術が起きたりはしていないんだから。


それに気づいたのは土御門から俺の家に起きた魔術の詳細をもう一度説明されてからだった。

532: 2013/03/13(水) 00:25:45.22 ID:wY3r+NiNo


「インデックス!!」

「おかえり、とうま。早かったんだね」

「無事か!?」

「……何が?」

「良かった……」


急いで家に帰った俺はまずインデックスの状態を見た。
良かった、何もなってない。

533: 2013/03/13(水) 00:26:57.13 ID:wY3r+NiNo


「……どうしたの、そんなあわてて」

「いや、何もなかったならいいんだ」

「変なの」

「ところでさ、何か大魔術が起こりそうな予感とかしない?」

「うーん……特にはね。何、なにか起こるの?」

まあ確かにこの間の時も気づいてなかったみたいだしな、などと考えながら伝えるべきことを伝える。

「おそらくもうすぐ起こる。いいか、インデックス。旅行は一週間だ。俺たちが準備したのは2、3日分。だから今から用意をする」

「う、うん」

「そこで俺は対策として今から力を俺とお前の周りに放出し続ける。だから」

「歩く教会は入れない、着ない?」

「そういうこと。悪いな、足りなかったら向こうで買えばいいし母さんに買ってきてもらうこともできる」

「そっか、分かったんだよ」

「じゃあ準備するか」

「うん」

「ちなみに行き先はここ。海だってさ。水着も買わないとな」


先生に貰ったプリント類を全部見せる。
場所はこの前と同じ。


「うわあ、何か良さそうなところだね。……って何このとうまのサインだらけの資料」

「Level0でも学園都市の外へ出るのは大変なんだよ」

534: 2013/03/13(水) 00:27:27.66 ID:wY3r+NiNo


それからしばらく用意をして、終わったので寮を出る。
タクシーはあらかじめ呼んでおいた。

「じゃあインデックス。忘れ物ないか?」

「うん、もともと持ってくるものも少ないからね」

「おう、じゃあ行くか!」

「うん!」

535: 2013/03/13(水) 00:27:58.92 ID:wY3r+NiNo


タクシーに乗り込む。
行き先はと聞かれたのでとりあえず学園都市の外の駅名を言っておいた。
そこからは電車だ。

学園都市は普段はあまりそうは思わないが、こう車で移動したりするとやはり小さい。
思っていたよりもすぐにゲートのところまで来てしまった。
インデックスともそんなに話していない。


……まあそれもそうか。景色の話をしようにも、まだ見慣れた景色なのだから。


インデックスのゲストIDも難なく認められ、駅到着。
ここからは電車だ。

インデックスと電車に乗るのは初めてだ。


「電車まだかな?」

「遅れない限りもうすぐだ。……ほら来たきた」

536: 2013/03/13(水) 00:29:04.95 ID:wY3r+NiNo


電車は割とすぐに来た。
乗り込むと、ちょうど二人席が空いていたので、座る。

「ふいー。ねえとうま、電車ってどれくらい乗るの?」

「うーん、着く予定時間から考えて一時間半から二時間くらいじゃねえかな」

今は12:30。着くのはちょうど暑い時間帯の予定だ。

「それよりインデックス。腹減ってない?」

「とっても減ったんだよ」

「正直俺も何か食べたいんだよな……。弁当もう食うか」

「それがいいと思うんだよ!」


海の家に着いたら何か食べれると思っていたが、一応作っておいた弁当。
あり合わせのものだけど、インデックスは美味しそうに食べてくれる。

「おいしいんだよ、とうま!」

「そりゃ良かった。向こうついたらもっとうまいもん食おうな」

「うん!」


さて、俺も食うか。
……あ、容器はちゃんと使い捨てのやつです。
一週間も上条さんのバッグに弁当箱入れておいたらどうなるか分かったもんじゃない。それに荷物にもなるし。

537: 2013/03/13(水) 00:29:50.04 ID:wY3r+NiNo


「「ごちそうさま」」

「食べ終わっちゃったね」

「だな、どうしよう……暇だな」

「そうだね……」

「何する?」

「にゃにしょ……」


……そういえば、さっきから周りに変化がない。
まだあの魔術は起こっていないようだ。
一応対処法は考えてあるにはあるんだけど……。

……まあ今は考えたって仕方ないか。
両親は二人とも家を空けてるみたいだし、もうすぐなのは確かなんだ。





それよりも今は

「なあインデックス。またちょっと英語を教え……」

538: 2013/03/13(水) 00:30:16.50 ID:wY3r+NiNo




ぽすん





「すぅ……」

インデックスの頭が俺の肩に乗る。
心地よい香りがする、とても落ち着く。



俺まで眠たくなってくるが、経験からしてここは絶対に寝てはいけない。
寝過ごすかもしれないし、何より一番怖いのは起きた時俺の肩に寄りかかってるのが青髪ピアスだったらと思うとゾッとする。

……想像したら眠たくなくなってしまった。
これはこれで結果オーライ。
インデックスの頭をなで続けて到着を待つ。

539: 2013/03/13(水) 00:30:46.37 ID:wY3r+NiNo


────────
──────
────
──



「おーい、インデックス。起きろ、次の駅だぞ」

「……うにゃ。……はっ!? ごめんね、寝ちゃってて……。暇だったでしょ?」

「いやいや。確かに暇だったけどインデックスの寝顔見れたからそれはそれでオッケー」

「うー。またとうまはそうやって恥ずかしいことを……」

「あれ、俺何か恥ずかしいこと言った?」

「いいや、別に何もないかも」

「そ、そうか」

「あ、……とうま!! 綺麗な海が見えるんだよ!!」

「ああ、確かに綺麗だな」

さっきから俺は見てるけど、なんて言ったら今度こそ怒られるに決まってる。

540: 2013/03/13(水) 00:31:18.22 ID:wY3r+NiNo


「さて、降りるか」

「うん。楽しみだね、とうま!!」

「ああ。とりあえずまず駅前のこのデパート行くか。インデックスの水着買わねえとな」

「え? いいの?」

「何言ってんだ、せっかく海に来たのに入れないなんて嫌だろ?」

「えへへ……ありがとう」


……何か照れる。


デパートはそこら辺にあるものとほとんど変わらず、女性用の水着売り場はすぐに見つかった。
男子高校生の上条さんとしては、下着売り場に続いて入りにくい店だ。


「ねえとうま、どれがいいかな?」

「好きなのにしろよ、一応お金は多めに持ってきたから」

「むう。そうじゃなくてとうまに選んで欲しいの!」

「……いいのか? 俺のセンスを当てにするなよ?」

「とうまが選んでくれたのなら何でもいいの!」

「わ、分かったよ……」

541: 2013/03/13(水) 00:31:57.57 ID:wY3r+NiNo


インデックスは譲ってくれそうもないので、ここは引いて俺が選ぶことにする。
つってもなあ、水着映えする体型とはお世辞にも言いにくいし……。
あと数年もしたらどうなるかは分からんけどさ。
ふむ……。


「……何か失礼な目線かも」

「い、いやあ、そんなことはないぞインデックス。……ほ、ほらこれなんかどうだ?」


たまたま手にとったのを渡してみる。


「うーん……何か微妙かも」

「微妙ってお前……。インデックスが選べっつったんだろ?」

「そうだけど……」

「何か気に入らないのか?」

「うーん……」


お気に召さないようだ。
別にインデックスならどれ着てもちゃんと似合うと思うんだけどな。





……あ?

542: 2013/03/13(水) 00:32:27.31 ID:wY3r+NiNo


「ちょっと待っててインデックス」

「ん? どうしたの?」


……見つけた。
前にインデックスに買ったのと同じ。
たまたま向いた方向でこれを見つけるとはなかなか運がいいかもしれない。
よし、これにしよう。前も可愛かったし、きっと気に入ってくれるだろう。


「インデックス、これこれ。これなんかどうだ?」

「わあ、可愛いかも……」

「良かった……。それにするか? それともまだもうちょい見てく?」

「いや、これにするんだよ」

「そっか、じゃあ早速レジ行くか」


インデックスの水着、無事購入。

543: 2013/03/13(水) 00:33:45.30 ID:wY3r+NiNo


さっきは母さんに頼めばいいやと思っていたが、どうせデパート来たんだからとインデックスの服と下着を買った。
それにしてもやっぱり下着売り場は恥ずかしかった。
インデックスは下着も俺に選ばせようとしたが、それは丁重にお断りさせていただいた。


「インデックスの肌のこととかはき心地とか、本人じゃないと分からないだろ? 俺が変に選んだせいでインデックスがはけないなんてことがあるかもしれないからな」


っていう言い訳は、今後も使えそうだ。我ながらナイスだったと思う。
代わりに服は全力で選んだ。
これも我ながらナイスだったと思う。インデックスは俺が選んだものにとても満足してくれた。

そうこうしている内に一時間半はデパートの中にいて、出たのは15:30過ぎだった。

544: 2013/03/13(水) 00:35:07.86 ID:wY3r+NiNo


そこからは宿まではまあまあ近いので、そこまで盛り上がった会話もなく。
わあ綺麗だね、くらいのもんで目的地に到着。




「……うーん! やっと着いたか」

「ねえとうま、いっぱいご飯食べれるかな?」

「多分な、とりあえず入ろう」

545: 2013/03/13(水) 00:35:37.00 ID:wY3r+NiNo


「すいませーん!」

「あ、これはこれは」

「あの、予約してた上条ですけど……」

「はあ。……失礼ですがお客様は5人だと」

「あれ、まだ両親は来てないんですか?」

「まあ、はい。連絡取りましょうか?」

「いや、部屋に行ったら自分達で連絡することにしますよ」

受け答えをしてくれたのは、御坂妹になるはずのあの人だ。
二階の部屋に行き、自分達の荷物を置いて、早速電話をかける。

546: 2013/03/13(水) 00:36:05.11 ID:wY3r+NiNo


「あ、母さん?」

「あら、当麻さん。どうしたんですか?」

「あ、いや俺今着いたからってのを一応連絡しておこうと思って」

「そうなんですか? ……えーっと、困りましたね。まだ刀夜さん帰ってないのだけれど……」

「いやごめん急がせるつもりはないんだ。俺の報告したかっただけだし」

「そうかしら。じゃあ刀夜さんが帰ってきたらまた連絡しますね」

「はいよ、んじゃ」

547: 2013/03/13(水) 00:37:07.74 ID:wY3r+NiNo


「お母さん?」

「え、まあな。上条詩菜ってんだ。父さんは上条刀夜。5人って言ってたからあとは多分従妹がくるはず」

「ふーん……」

「……?」

「あ、いや、ごめんね。何でもないんだよ」

「……あ。大丈夫だよ、インデックスも俺の家族さ。な?」

「……ありがと」

「……じゃあ両親はまだみたいだし、海いくか?」

「いいねそれ!」

「んじゃあ上条さんは脱ぐだけだから、インデックスはゆっくり着替えてから来いよ」

「分かったんだよ」

「じゃ、先行ってる」

「うん」


そっか……。
俺の記憶は無くならなかったし、インデックスも助けられたけど、それでもあいつは一年以上前のことは覚えてないんだもんな……。

これからはいろんなところ連れて行って、いろんなもの食べて、たくさん楽しもう。

548: 2013/03/13(水) 00:37:41.53 ID:wY3r+NiNo


海に出て浜辺でパラソルを立てていると、インデックスはやってきた。

「おまたせ」

「おっ、早かったじゃねえか……って」

「何……? そ、そんな見なくても……」

「あ、いやごめん」

「……どう、かな?」

「似合ってるよ、かわいい」

「ほんと!?」

「ああ、さすが上条さんが選んだものなだけある」

「えへへ、ありがとうね」

「ほら、いいから遊んで来いよ。俺は見てるから」

「えー。とうまも遊ぼうよ」

「でもなあ……」

「一人じゃ寂しいかも」

「分かったよ……」


こうして海へと連れられる俺。
出来れば何も起きませんように……。

549: 2013/03/13(水) 00:39:47.05 ID:wY3r+NiNo


特に何が起こるわけでもなく、気がつくとすっかり日も傾いていて、この季節だと18:00前といったところだろうか。

「インデックス、そろそろあがるぞ。もう海も冷えて来るし晩飯もそろそろだろ」

「晩ごはんどんなだろうね?」

「さあな。……あー腹減った」

「とうやとしいなはまだかな? 見たことないけど」

「んー、まだっぽいな。とりあえず中入ろうぜ」

「あ、あの……」

「ん? あ、はい」

「えーっと、お連れ様がもう1時間もすれば到着なさるようです」

「あ、どうも」

「夕食はどうなされますか?」

「あー。インデックス、どうする? 先食うか?」

「……いや、みんなで食べる方がおいしいんだよ」

「んじゃ、待つか」

「では二人ともお連れ様が到着なさってからということでいいんですね?」

「はい、よろしくお願いします」

550: 2013/03/13(水) 00:40:20.88 ID:wY3r+NiNo


「おい、インデックス。よかったのか、先食べなくて」

「いいんだよ。さっきも言った通り、みんなで食べる方がおいしいから」

「じゃあどうする? インデックスは風呂でも入ってくるか?」

「そうするんだよ。汗と海水でちょっとベタベタだからね」

「確かにな。んじゃ風呂。ちょうどいい時間になってるだろ、女の子はお風呂長いと思うし。家ではあんま気にしてなかったけどさ」

「分かったんだよ。じゃあいってくるね」

「おう、ゆっくりして来いよ」


インデックスが風呂へ向かうのを見て俺も風呂の入り口までは向かう。力の範囲はまだいまいち分かっていないからだ。
でもここは男湯女湯の区別がないから入りはしない。
インデックスが上がった後、まだ時間があれば俺も入ればいい。

551: 2013/03/13(水) 00:40:48.55 ID:wY3r+NiNo



インデックスは髪も長いし洗い流すのも大変そうだが、40分ほどであがってきた。
浴衣のインデックスもかわいい。

そもそも、俺は10分もあれば流すことは出来るので、結果として二人とも両親が来る前に風呂にはいることができた。

「ふう、二人とも入れて良かったな」

「そうだね」

「あとは両親を待つだけか……って噂をすれば」

552: 2013/03/13(水) 00:42:37.33 ID:wY3r+NiNo


「やあ当麻。久しぶりだな」

「こんばんは、当麻さん」

「おっす」


インデックスはぺこりと頭を下げる。


「……こちらは?」

「あんまり深くは話せないんだけど、こいつは両親とか身内がいないから俺が一緒に住んでる」

「……名前は何ていうんだ?」

「……インデックス、なんだよ」

「……」

「……」

553: 2013/03/13(水) 00:43:44.96 ID:wY3r+NiNo


「……そうか、インデックスちゃん、か。私達のことを親だと思って頼ってくれていいからね。そのかわりといってはなんだが、当麻と仲良くしてやってくれないか」

「も、もちろんなんだよ! ありがとう……」

「……いやあ、それにしても当麻もこんな可愛らしい外国人の娘を連れてくるなんてなあ」

「あらあら、刀夜さん?」

「か、母さん。今のは息子が連れてきた女の子に対するただの感想じゃないか……」

「ふふふ、冗談ですよ。さあ当麻さんにインデックスちゃんも中へ入りましょう? 待たせてごめんなさいね」

「あーやっと飯だ。……ところで母さん」

「何ですか?」

「予約は5人って言ってたけどあと一人誰が来るんだ?」

「あれ、言ってませんでしたっけ? 従妹の乙姫ちゃんが明日の朝遅れて来るって」

「ああやっぱり。いや、5人って聞いた時から何となくそうじゃないかなって思ってたんだけどな」

「そうですか、では夕飯をいただきましょう」

554: 2013/03/13(水) 00:44:28.10 ID:wY3r+NiNo


晩飯も食べ終え、家族みんなでゆっくり話したり。
まあ何だかんだで基本的には母さんとインデックスが話してたのを見てただけだけど。
それもすっかり長くなってしまって、自分の部屋に入ったのは23:30を過ぎた頃だった。
かれこれ三時間以上は話してたのか。


「あー、いっぱい話せて良かったんだよ」

「それはよかった、楽しかったか?」

「うん、まあね。でもちょっと疲れたかも」

「一週間もあるんだ、早く寝てもまだ時間はあるから大丈夫だ」

「……とうまは寝ないの?」

「まあな、いつ魔術起きるかわかんねえし」

「そっか……。じゃあ私も起きてるんだよ」

「い、いや、無理しなくていいんだぞ?」

「ううん、大丈夫かも。電車の中でも寝たからね」

「そうか? じゃあまあ無理しない程度でな」

「うん」

「んじゃとりあえず布団に入るだけ入るか」

「私こっちにする」

「じゃあ俺こっち」

555: 2013/03/13(水) 00:45:00.58 ID:wY3r+NiNo


ごそごそ




「電気消すぞ」

「うん」





パチッ








……ってあれ?
さっきからずっと気にしてなかったけど、何でインデックスとおんなじ部屋なんだろう……?

んーと……










うん、分からん。

556: 2013/03/13(水) 00:45:50.32 ID:wY3r+NiNo


「……」

「……」

「……」

「……」

「……なあインデックス」

「……なあに、とうま」

「明日の朝、俺に向かってあの御坂美琴が飛び込んできても、御坂妹がここの宿の従業員でも、ステイルがここの店主でも、絶対に驚くなよ」

「……? ごめん、さっぱり意味が分からないんだよ」

「そのまんま言った通りだよ。ちなみにそのことについて突っ込んだらこっちが変人扱いされるからな」

「んー、分からないけど分かったんだよ。とにかく何が起きても驚いたらダメなんだね?」

「おう。まあ明日になりゃ分かるさ。……っともうすぐ明日だな」


携帯の時計を見ると23:59とディスプレイには表示されていた。
それをインデックスにも見せようと思い、インデックスに携帯を見せながら言う。

557: 2013/03/13(水) 00:46:19.57 ID:wY3r+NiNo


「ほら、インデックス。もう日付変わるぞ」

「ほんとだ、今変わっ……」






バキン!!







「……ったんだよ?」

「……インデックス、大丈夫か?」

「う、うん。それより何が……。魔術の気配もなかったのに……」

「ちょっと電気つけるぞ」

558: 2013/03/13(水) 00:47:04.04 ID:wY3r+NiNo


パチッ



電気をつけて、インデックスの顔を見る。
声が変わってないから大丈夫だとは思うんだけど……


「よ、よかった……」


ぎゅうっ


「ちょ、とうま!? どうしたの?」

「いや、ほんと良かった」

「ちょっとよく分からないし苦しいかも」

「あ、ごめん。……いやあでもマジで良かった」

「だから何なのか教えてほしいかも!!」

「朝になりゃ嫌でも分かるって。とりあえずもう寝ようぜ」

「むううぅぅ……。……分かったんだよ」

「んじゃ、おやすみ、インデックス」

「おやすみ、とうま」

559: 2013/03/13(水) 00:47:41.86 ID:wY3r+NiNo





パチッ







さて、母さんは誰になっているのだろう?

おやすみ、インデックス。








……いやあほんとに良かった。

560: 2013/03/13(水) 00:48:58.02 ID:wY3r+NiNo


────────
──────
────
──




「おにーちゃーん」




「……結局こいつなのか」


目が覚めると、御坂美琴が一階で甘々ボイスを出している。
前は本人に言ってしまったが、普段のイメージがイメージだけに、あいつが媚び声を出すと果てしなくムカツク。


でも実際はあいつじゃないんだ、あいつじゃない……。


そう自分に言い聞かせて隣で俺の袖を掴んでいるインデックスを起こす。

561: 2013/03/13(水) 00:49:31.05 ID:wY3r+NiNo


「……おいインデックス、起きろ」

「……。……あ、おはよう」

「おう、おはよう。今からよく聞いとけよ」

「? ……何を?」

「いいからいいから」

「むう、とうまは昨日からなんだかケチかも」

「いやだからもうすg……」

562: 2013/03/13(水) 00:50:00.54 ID:wY3r+NiNo


「おにーちゃーん、おーきろー」






「ん? あれ?」

「……」

「え……。短髪?」

「いや、あいつは昨日言ってた俺の従妹だよ」

「で、でも声が」

「もうすぐ部屋入ってくるだろ、まあ見とけ」


そう言って布団の中へ入ってスタンバイ。

563: 2013/03/13(水) 00:50:30.65 ID:wY3r+NiNo


ズバーン!!



扉が開く。
女の子らしい、体重の軽い足音が近づいてきて……


「ほーら、いつまで寝てんのよう、おにーちゃん! 起きろ起きろ起きろ起きろ!」


そう言って飛び込んでくる。











……が、俺は避ける。










ドシャ

564: 2013/03/13(水) 00:51:09.16 ID:wY3r+NiNo


「へぶっ!!」

「……ふん」

「……え?」

「いたた……。ちょっとー、せっかく起こしに来てやった妹に何するわけ? 起きてるんなら起きてるって言ってよ!」

「ああ悪かった、悪かったよ」

「……え?」

「……で、この女の子は?」

「俺の家族?」

「ふーん、彼女?」

「いや、違うけど」

「……一緒に寝てたのに?」

「おかしい?」

「おかしいよう! っていうか彼女じゃないなら私がこうやって抱きついてもいーよねー?」

「暑い。分かったからとりあえず一階へ降りよう。ほら、朝ごはんだ。さっさと行け」

「なにおう! 私はお邪魔ってわけ?」

「俺ら着替えてすらないだろ? 着替えたらすぐ行くから」

「……ふーん、じゃあ早く一階に降りといでよ!」

「はいはい」


たったったっ、という足音とともに去って行く御坂美琴(仮)。

565: 2013/03/13(水) 00:51:36.37 ID:wY3r+NiNo


「……え?」

「ん? どうした?」

「何、今の」

「だから俺の従妹だって」

「……短髪が?」

「いや、御坂じゃねえよ、あれは」

「え、でもどう見ても短髪だったんだよ!!」

「だから何があっても突っ込むなって言ったろ? そんなテンションだとツッコミが追いつかねえぞ、俺の経験からして」

「う……」

566: 2013/03/13(水) 00:52:03.45 ID:wY3r+NiNo


「朝から元気だな、二人とも。おはよう」

「おう、おはよう。父さん」

「んー……おはよう、とうや」

「もう朝飯だってよ。俺らも着替えたら行くから先行っといてくれよ」

「わかった、じゃあ私は母さんを起こしたら行こう」

「ん、じゃあ」



部屋に戻る俺達。

567: 2013/03/13(水) 00:53:58.12 ID:wY3r+NiNo


「……とうやは何ともないんだね」

「まあな。いろいろあるんだよ」

「どういうことなの、これは」

「魔術で外見が入れ替わってるんだよ」

「魔術で外見が? っていうか、とうまの口ぶりからして前も起こったんだよね。じゃあ私も前は誰かと変わってたの?」

「……ああ、うん。まあな」

「誰々!? 気になるんだよ! 背の高い美人さんとかかな!?」

「……いやそんなキラキラした目をされても」

「何で、教えてよ!!」

「えー……」

「むう、ケチ!」

「ケチで結構です」

568: 2013/03/13(水) 00:55:00.11 ID:wY3r+NiNo



ガラッ





「あらあら、当麻さんはインデックスちゃんに意地悪くするのが好きなのかしら」

「……え"、ちょっと待て、その声」

「ああ、あ、あ……」

「? 当麻さんがケチって聞こえたのだけど……どうかしたのかしら?」

「……ひ」

「……ひぁ」

「あらあら、私何かしちゃったのかしら。母さん悲しいわ」

「……」

「……」

「とりあえず二人とも早く着替えてくださいね。刀夜さんも先行ってますし、私も行きますから」

「お、おう……」

「……」





ガラガラ

569: 2013/03/13(水) 00:57:18.64 ID:wY3r+NiNo


「あらあら、当麻さんはインデックスちゃんに意地悪くするのが好きなのかしら」

「……え"、ちょっと待て、その声」

「ちょっとドア開けますよ」




ガラッ




「げっ……」

「ああ、あ、あ……」

「? 当麻さんがケチって聞こえたのだけど……どうかしたのかしら?」

「……ひ」

「……ひぁ」

「あらあら、私何かしちゃったのかしら。母さん悲しいわ」

「……」

「……」

「とりあえず二人とも早く着替えてくださいね。刀夜さんも先行ってますし、私も行きますから」

「お、おう……」

「……」





ガラガラ

570: 2013/03/13(水) 00:58:08.21 ID:wY3r+NiNo


「……」

「……」

「……なあインデックス。お前が誰に変わってたか知りたい?」

「……何かとてつもなく嫌な予感がするけど一応聞いとくんだよ」

「誰であっても嫌がるなよ?」

「うん……」

「……」

「……」

「……」

「……」





「……今母さんを名乗ってた奴」

571: 2013/03/13(水) 00:58:39.40 ID:wY3r+NiNo











「いやぁぁぁぁぁあああああ!!」











572: 2013/03/13(水) 01:03:36.35 ID:wY3r+NiNo

いじょー

思ったよりだいぶ長かった
とりあえず、4巻入りました
詩菜さん可愛い、けど口調難しい……
まあ大体です
というか刀夜さんも乙姫ちゃんも口調難しいですね

ところで詩菜さん4巻で一回当麻ちゃんって呼んでてかわいすぎる

というわけで、ここから解決編へ向かって行きます
次回で完結はしないと思いますけど

【禁書目録】上条「白いワンピース」【後編】

引用: 上条「白いワンピース」