1: ◆iIfvn1jtvs 2012/04/16(月) 21:23:47.30 ID:nLb5OAYD0
オリジナルssです。

※注意

多くの厨二要素、厨二設定が出てきます。
人外ヒロインです。
バトルもあります。







SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1334579027(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)

2: 2012/04/16(月) 21:25:43.10 ID:nLb5OAYD0
学校 夕方


男「疲れたな……とにかく疲れた」

男「……でも今日は金曜日だ、明日から二連休」

男友「男、帰ろうぜ!!」

男「わかったわかった」


肩くらいまでの茶髪でちょっとチャラチャラした感じのイケメン。
これは俺の中学からの友達の男友だ。


男友「早く帰ろうぜ」

男「悪いちょっと待ってくれ」

男友「……おい、早くしろよ」

男「わかってるからちょっと待っててくれ」

男「えーと……これは持って帰らなくていいよな」ガサゴソ

男友「なあ――――」

男「あとちょっと、あとちょっとだから」

男友「……何分?」

男「三分……いや五分」

男友「じゃあ間をとって四分な」

男「分かった」ガサゴソ
小林さんちのメイドラゴン : 15 (アクションコミックス)
3: 2012/04/16(月) 21:28:12.33 ID:nLb5OAYD0
男友「つーかそんな事前の休み時間にやっとけよ」

男「休み時間は極力睡眠時間にあててんだよ、文句言うな」

男友「偉そうに言える事じゃねえけどな」

男「うるせぇ」

男友「……授業中に寝ればいいんじゃん」

男「寝てて授業が分かりませんなんて笑えねぇだろ」

男友「そうかもしれないけどさ……」

男「よし、終わったぞ」

男友「……話を聞けよ」

男「俺は授業中には絶対寝ない」スタスタ

男友「……まあ、それでいいよ」スタスタ

男友「……帰りに女の子でもナンパしてくか?」スタスタ

男「お前一人で行け」スタスタ

男友「なんでだよ、一緒に行こうぜ」スタスタ

男「俺はお前と違って雑食じゃないんだよ」スタスタ

男友「雑食って……ひどい事言うな」スタスタ

男「まぎれもなく真実だろ」スタスタ

男友「まあ、そうなんだけどね」スタスタ

男「まったく……女なら何でもいいってなんだよ」スタスタ

男友「別にいいだろ、俺の勝手」スタスタ

男「はいはい」スタスタ

男友「……あ、そういえば新聞見たか日本に竜が来たんだってさ」スタスタ

4: 2012/04/16(月) 21:30:21.84 ID:nLb5OAYD0
男「……知ってるに決まってんだろ、今はどこもその話題ばっかりじゃねぇか」

男友「それにしても珍しいよな、こんな島国に最高等種の生き物が来るなんて」

男「……別に竜なんて世界中を飛び回ってる訳だし、日本に来てもおかしい訳ではないだろ」

男友「そうか?」

男「世界中に100頭近くいる訳だし、そのうちの数匹が日本に来ても別にそこまで騒ぐ事じゃねぇだろ?」

男友「……まあ、そう言われればそうだな」

男「だろ、だから騒ぎ過ぎなんだよ」

男友「……」

男「あんなに騒ぐから俺が見に行けなくなったじゃねぇか……」

男友「……え、お前見に行きたかったのか」

男「当たり前だろ、竜だぞ、竜!!」

男「でかくて鱗で火を吐くんだぞ、凄ぇじゃん!!」

男友「……いや、そんなに熱く語られても俺にはわからん」

男「なんでわかんねぇかな……」

男友「どう頑張っても、俺には伝わらないな」

男「氏ぬまでに一回は見てみたいな、竜」

男友「そこまでいいもんか?」

男「ロマンだろ、あれこそロマンの塊だろ!!」

男友「竜の神話の読み過ぎだな」

5: 2012/04/16(月) 21:31:29.99 ID:nLb5OAYD0
男「お前も読んでみろって!!」

男友「別にいい、俺は竜なんか見るより女の子見てた方が楽しいからな」

男「お前……変わってるな」

男友「いや、普通はそうだろ」

男「なんて言うのかな、惹かれると言うか懐かしいものがあるんだよ」

男友「あ、そう……じゃあ、俺は寄る所あるから、向こう行くわ、じゃあな」スタスタ

男「おい、まだ終わってねぇぞ!!」

男友「明日聞いてやるから、明日話せ」スタスタ

男「お前明日学校行くのか?」

男友「行かない」スタスタ

男「おい!!」

男「……竜か、見に行きたいな」

男「……」スタスタ

???「失礼、君が男か?」

6: 2012/04/16(月) 21:33:47.39 ID:nLb5OAYD0
男「誰、ですか?」


それは口髭を蓄えた渋いおっさんだった。
オールバックの髪に黒のスーツなので無駄に怖い。


竜王「私の名は竜王だ」

男「……はい?」

竜王「竜王だ」

男「……そ、それは名字、それとも名前?」

竜王「強いて言うなら、呼び名とでも言っておこうか」

男「竜王って、竜の王と書いて竜王?」

竜王「その通り」

男「……ゴメン、意味が全然わかんない」

竜王「言葉通りだ、私は竜を統べる者、竜王だ」

男「……待て、人間が竜を従わせられる訳ないだろ、人間の最新兵器だって竜にとっては玩具なんだぞ?」

竜王「私がいつ人間だと言ったかな」

男「……え、は?」

竜王「だからいつ私が人間だと言った」

7: 2012/04/16(月) 21:36:05.86 ID:nLb5OAYD0
男「待て、竜が人間になるなんて常識的におかしいだろ、あんたバカだろ!!」

竜王「君達の常識を私達にあてはめるのはどうかと思うが?」

男「は?」

竜王「竜は特殊の生き物だ、常識は通じない」

男「特殊って言えばなんでもありって訳じゃねぇぞ」

竜王「もちろんその通りだ、私が言いたいのは君達の常識は通じないと言いたいのだ」

男「……じゃあ証拠を見せてみろよ、そしたら信用してやる」

竜王「よかろう」


そう言うと竜王はいとも簡単に火を吐いた。
どこからどう見ても手品やその類いには見えない。


男「……」

竜王「辺りを燃やすと厄介だからこの程度の火力で我慢してくれ」

男「……」

竜王「まあ、まだ信じられないのならそこら辺を燃やそうか?」

男「……いや、信じるよ」

竜王「そうか、助かるよ」

男「……で、その竜王様が俺に何の用だよ」

竜王「君に頼みたい事があってね」

男「頼みたい事?」

8: 2012/04/16(月) 21:38:35.30 ID:nLb5OAYD0
竜王「こっちに来てくれ」

ドラゴン「……」スタスタ


それは俺と同じくらいの女だった。
何処にでもありそうなジーンズとTシャツを着ていて、両手で茶色っぽい大きな鞄をもっている。
透き通るような真っ白な肌と腰くらいまである白銀の髪が特徴的だった。
顔は全体的に大人びた感じだが、ほんの僅かに幼さが残っている。
ほんの僅かに水色がかった目とすっと通った鼻筋、かなり美人の部類に属するだろう。


男「え、だ、誰?」

ドラゴン「私の名前はドラゴン」

男「え、は?」

ドラゴン「私はドラゴンよ」

男「え……だ、誰?」

竜王「私の娘だ」

男「……いや、え、は!?」

竜王「君にはこの子が何に見えるかい?」

男「何って……人間にしか見えねぇけど……」

ドラゴン「……」

竜王「……そうだ、この子は人間だ」

10: 2012/04/16(月) 21:41:12.03 ID:nLb5OAYD0
男「……それが何だよ」

竜王「ドラゴンは、竜でありながら人間の姿をして生まれて来たんだよ」

男「え、どういう意味?」

竜王「この子は君と同じ、人間だと言う事だ」

男「え、ええ!?」

ドラゴン「……」

竜王「……」

男「でもお前だって人間だろ!!」

竜王「私はとある方法で一時的に人間の姿になっているだけ、だがこの子は竜の姿にはなれない」

男「……理由は?」

竜王「それは私にも分からない」

男「……」

竜王「……では、そろそろ本題に入ろうか」

男「そう言えばまだ入ってなかったな」

竜王「前置きが長くてすまないな」

男「いいからさっさと言えよ」

11: 2012/04/16(月) 21:43:31.69 ID:nLb5OAYD0
竜王「はっきり言おう、君にはこの子を保護してもらいたい」

男「……意味がよくわかんねぇんだけど?」

竜王「言葉通りだ、君の家にこの子をかくまってほしい」

男「ちょ、ちょっと待てよ、意味がわかんねぇ」

竜王「この子はこの通り人間だ」

男「それは分かってるよ、さっき聞いたし」

竜王「竜の事情も複雑でね、竜王の娘が人間だと知れればいろいろ厄介なんだ」

男「……権力争いとかって事か?」

竜王「まあ、そんな所だね」

男「……今まで何とかなって来てたんだろ」

竜王「隠し通すのも限界が近い、そこで君に頼みに来たんだ」

男「……」

竜王「頼む」

男「……ちょっと待ってくれ、なんで俺なんだ」

竜王「君が適任だからだ」

男「だからなんでだよ」

竜王「……そうだな、いや……今はまだ知らなくていい」

13: 2012/04/16(月) 21:45:22.68 ID:nLb5OAYD0
男「……どういう意味だよ」

竜王「そのままの意味だ、まだ君が知るのは早い」

男「だから――――」

竜王「物事を知るにはタイミングと言うものがあるんだ、今はそのタイミングではない」

男「危険な事に巻き込まれるかもしれないのにしっかり理由も説明しない気か?」

竜王「……お願いだ、君の質問に後々全て答える、何かしらの恩返しもする」

男「……」

竜王「嫌なら断ってくれても構わない」

男「……わかったよ」

竜王「いいのか?」

男「ああ、少し興味もあるしな、ただちゃんと全部教えろよ」

竜王「約束は守ろう」

男「あとかくまうって言っても言わないといけない人には本当の事を言うからな」

竜王「最小限で頼む」

男「分かったよ」

竜王「では頼む、ドラゴンも彼の言う事を聞くんだぞ」

ドラゴン「……」

竜王「……少し変わっているが根は優しい子だ、どうかよろしく頼む」

14: 2012/04/16(月) 21:47:20.49 ID:nLb5OAYD0
男「……わかったよ」

竜王「では、近いうちに君の家に行く」スタスタ

男「……待て!!」

竜王「なんだ?」

男「……場所知ってるのか?」

竜王「当たり前だ」スタスタ

男「おいおい……」

ドラゴン「……」スタスタ

男「え?」

ドラゴン「……」スタスタ

男「おい、待て!!」

ドラゴン「……私、認めてないから」

男「は?」

ドラゴン「人間と住む事よ!!」

男「え、は?」

ドラゴン「私は竜なの、人間とは違うの!!」

男「分かったから叫ぶな、うるせぇ」

15: 2012/04/16(月) 21:52:06.04 ID:nLb5OAYD0
ドラゴン「お前の家なんか行かない!!」

男「お前何言ってんの?」

ドラゴン「私は竜として生きる、お前の世話にはならない!!」

男「……勝手にしろよ」

ドラゴン「勝手にする!!」スタスタ

ドラゴン「……」キョロキョロ

男「道分からねぇのかよ!!」

ドラゴン「当たり前じゃない、知らない町なんだから……」

男「……」

ドラゴン「……」

男「じゃあこの町になれるまで俺の家に居ればいいだろ」

ドラゴン「い、嫌よ!!」

男「変なチンピラ共に襲われても知らねぇぞ」

ドラゴン「……ううっ」

男「特に夜は危ないぞ」

ドラゴン「……わ、わかったわよ」

男「ちゃんと付いて来い」スタスタ

ドラゴン「……」スタスタ

男(勢いでこんな事言っちゃったけど良かったのかな……)

男(ま、いいか、さすがに女の子を一人で放置するのもあれだし)

16: 2012/04/16(月) 21:53:54.41 ID:nLb5OAYD0
~~~~~~~~~~~~~


男の家


男「ただいま」ガチャ

ドラゴン「……こ、こんにちは」スタスタ

男「……へー」

ドラゴン「な、何よ」

男「いや、礼儀がしっかりしてるなって思って」

ドラゴン「当たり前でしょ、姿形は人間だから人間の礼儀や社会、生活は生まれてからしっかり叩きこまれたの」

男「ふーん」

ドラゴン「私は竜なのに……」

男「……」

メイド「あ、男さん、おかえりなさい」


この黒っぽいメイド服を纏った胸くらいまでの赤い長髪の女性は俺の家のメイドだ。
母さんの知り合いらしく家にいない母さんの代わりにこの家で住み込みの家政婦として働いている。
多分20歳は超えているのだろうが、顔立ちは全体的に幼く、綺麗より、かわいいと言う表現が似合うような気がする。
なんでも元々は結構ヤバい仕事をしてたとかしてなかったとかって噂だ。


男「ただいま」

メイド「あれ、そちらの女性は……もしかして彼女さんですか!?」

男「違う!!」

17: 2012/04/16(月) 21:55:09.76 ID:nLb5OAYD0
メイド「……っは、まさか如何わしい関係の……ダメです、母親さんが許しても私が許しませんよ!!」

男「おい、勝手に話を進めるな!!」

メイド「なら、早く説明して下さい」

男「俺が説明しようとしたらお前が勝手に妄想を膨らませ始めたんだろうが」

ドラゴン「……」

男「あの人はメイド、この家で家政婦として働いてる」

メイド「よろしくお願いしますね、えーと……」

ドラゴン「ドラゴンよ」

メイド「ドラゴンさん」

メイド「……で、お二人の関係は?」ニヤニヤ

男「お前ちょっとこっち来い」

メイド「秘密の話ですか?」

男「お前、少し静かにしてろ」

メイド「なんですか、もしかして出来ちゃった婚――――!?」

男「マジでちょっと黙ろうか」


俺は出来る限り分かりやすく事情を説明した。

18: 2012/04/16(月) 21:56:37.13 ID:nLb5OAYD0
メイド「……ほう、つまりドラゴンさんをこの家でかくまうと」

男「そう言う事だ、急で悪いな」

メイド「いえ、私は別にいいんですけど」

男「なんだ?」

メイド「なんと言うか……胡散臭い話ですね」

男「俺も半信半疑だけど、とにかく引き受けたし……」

メイド「だいたいその人本当に竜王なんですか?」

ドラゴン「正真正銘の竜の王よ!!」

男「……だってさ」

メイド「わ、わかりました」

男「とりあえずこれからよろしく」

ドラゴン「よろしく」

メイド「よろしくお願いしますね」

男「じゃあ部屋行くから」スタスタ

19: 2012/04/16(月) 21:57:55.24 ID:nLb5OAYD0
メイド「あ、ドラゴンさんも連れて行って下さいね」

男「は?」

メイド「男さんが連れて来たんですから責任をもって守ってあげないとダメですよ」

男「……お前さ」

メイド「じゃあ、私は部屋の掃除がありますから」タタタッ

男「おい!!」

メイド「ドラゴンさんの部屋の準備で忙しいんですよ」

男「……まあ、とにかく来い」スタスタ

ドラゴン「……」スタスタ

男「……」ガチャ

ドラゴン「お邪魔します」スタスタ

男「……」

ドラゴン「……」

男「……とりあえず、部屋はメイドが用意してくれると思うから、あと着替えとかはメイドに聞いてくれ」

ドラゴン「大丈夫、着替えはちゃんと持ってきてるから」

男「あ、そう」

20: 2012/04/16(月) 21:59:33.25 ID:nLb5OAYD0
男「まあ何か困った事があったら俺かメイドに聞いてくれ」

ドラゴン「わかった」

男「……」

ドラゴン「……」

男(あのバカメイド、ほぼ初対面の二人でどうしろって言うんだよ!!)

ドラゴン「……別の住処が見つかったら出ていくから」

男「え?」

ドラゴン「新しい住処が見つかったらすぐそっちに引っ越すから」

男「勝手にしろ、ただちゃんと竜王には報告しろよ」

ドラゴン「……」

男「なんだよ」

ドラゴン「父様は絶対許してくれないわ」

男「……」

ドラゴン「無駄な事だって、言われるはずよ……私は多分これからずっと人間として生きて行かなくちゃいけない……」

男「……」

ドラゴン「それに人間の世話になるなんて……」

男「愚痴ったってどうしようもないと思うんだけど」

21: 2012/04/16(月) 22:01:19.42 ID:nLb5OAYD0
ドラゴン「あなたは――――」

メイド「男さん、手伝って下さい!!」

男「……空気読めよ、バカ野郎」

メイド「バカって言う方がバカなんですよ」

男「聞こえてんのかよ!!」

男「……悪い、ちょっと行ってくる」ガチャ

ドラゴン「……」

男「あいつバカだろ」タタタッ

メイド「お、男さんに教えてもらった通りやってるのに、焦げちゃうんです」

男「……なんで強火なんだよ、火加減調節しろよ」

メイド「わ、忘れてました」

男「忘れてましたじゃねぇよ!!」

メイド「ああ、焦げ臭いにおいが!!」

男「……とにかく俺がやるから」

メイド「す、すいません」

男「なんで料理は理解できないかな……」

22: 2012/04/16(月) 22:02:30.72 ID:nLb5OAYD0
メイド「料理だけは苦手なんですよ」

男「料理以外は出来るんだから料理も努力しろよ」

メイド「努力したからここまで一人で出来たんです」

男「野菜と肉切っただけじゃねぇか!!」

メイド「進歩してるじゃないですか」

メイド「……それにしても、今日が金曜日で良かったですね」

男「え、何が?」

メイド「土日でドラゴンさんの事いろいろ準備できますから」

男「は?」

メイド「私に任せといて下さい、いろいろやっておきますから」ニヤリ

男(ヤバい……恐ろしく不安だ……)

メイド「あ、今不安だと思いませんでしたか?」

男「いや、不安に決まってるだろ」

23: 2012/04/16(月) 22:04:14.17 ID:nLb5OAYD0
メイド「安心して下さい、彼女にもちゃんと人間らしい生活をしてもらいますから」

男「人間らしい生活?」

メイド「はい、人間らしく生きてもらうんです」

男「意味あるのか、それ?」

メイド「後ろを見てるだけじゃ前には進めないって誰かが言ってたじゃないですか」

メイド「あんなに悲観的じゃつまらないと思うんですよ」

男「……」

メイド「男さんと同じクラスでいいですよね」

男「……は?」

メイド「ですから、ドラゴンさんは男さんと同じクラスでいいですよね?」

男「意味がわかんないんだけど」

メイド「男さんと同い年くらいなんですからちゃんと学校に行かないと」

男「行かなくていいよ、あとそんな事出来ねぇだろ!!」

メイド「出来るか出来ないかはやってみないと分かりませんよ」ニヤリ

男「……」

メイド「とにかく楽しむ、それだけです」

29: 2012/04/18(水) 22:02:30.44 ID:0PILZjPs0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~





男「……」

男「いろいろあったせいかな……全然眠たくねぇ……」

男「……トイレ行っとくかな」スタスタ

ウウ…

男「……ん?」

ウウッ……

男「あの部屋から……だよな?」

男「……あいつの部屋だよな」

男「……」

男(こう言うのは覗いちゃダメだ)

男「さっさとトイレに行って寝よう」スタスタ

男「……」


悪いとは思うが俺はその扉をほんの少しだけ開けて中を覗く。


ドラゴン「うう……」

30: 2012/04/18(水) 22:03:45.20 ID:0PILZjPs0
男(え、泣い……てる?)

ドラゴン「私は…………なんで…………」

男(何言ってんだ?)

ドラゴン「…………なんで人間なんか……」

男「え?」

ドラゴン「私は…………人間なんか…………」

男「……」

男「……なんか、見ちゃいけないもん見ちゃったな……」

男「……部屋戻って寝よ」


俺は静かに扉を閉める。


メイド「女の子の部屋を覗くのは犯罪ですよ」スタスタ

男「うお!?」

メイド「大きな声出さないで下さい、バレますよ」

男「お前さ……」

メイド「怒らないで下さい」

31: 2012/04/18(水) 22:06:04.11 ID:0PILZjPs0
男「別に怒ってないけどさ」

メイド「部屋を覗いた時点で私も男さんも同じ穴のムジナじゃないですか」

男「なんだそれ……」

メイド「ドラゴンさんにバラしたら怒りますからね」

男「心配しなくても絶対言わない」

メイド「そうですか」

男「当たり前だ」

メイド「……それにしても、正直私達には想像もつかない悩みですよね」

男「まあ、そうだな」

メイド「男さんは分からないんですか?」

男「竜が好きなだけであいつの気持ちが分かる訳じゃねぇよ」

メイド「……役立たずですね」

男「お前だって役立たずだろ」

メイド「なんかこう、男らしく後ろから抱きしめたり出来ないんですか?」

男「お前バカだろ」

メイド「それくらいしないとやっぱりダメですよ」

男「ほぼ初対面だって言ってんだろ!!」

32: 2012/04/18(水) 22:13:56.94 ID:0PILZjPs0
メイド「男さん……チキンですね」

男「ぶん殴るぞ」

メイド「人を殴る勇気をもっと別の方向に使ったらどうですか?」

男「ドラゴンを抱きしめる勇気に使えと?」

メイド「そういう事です」

男「お前バカだろ」

メイド「さっき聞きました」

男「知ってるよ!!」

メイド「まったく……これは見なかった事にしてくださいね、私も忘れますから」

男「当たり前だ」

メイド「間違ってもドラゴンさんに変な事言っちゃダメですよ」

男「言う訳ないだろ」

メイド「男さん嘘つくの下手くそですから」

メイド「しかも男さんすぐ顔に出ちゃいますし」

男「悪かったな」

男「じゃあ俺は寝る」スタスタ

メイド「おやすみなさい」

男「おやすみ」スタスタ

33: 2012/04/18(水) 22:16:40.92 ID:0PILZjPs0
~~~~~~~~~~~~~~~~~


次の日    公園


男友「…………つまり竜の女の子がお前の家にいる訳ね」

男「まあ、分かりやすく言えばそんな感じかな」

男友「ふーん」

男「……」

男友「で、なんで俺にそんな事を教えたわけ?」

男「正直これからどうなるか全然わかんねぇし、とりあえず信頼できる人に話しといたほうがいいだろ、困った時に頼れるように」

男友「それで俺に話してくれたわけね」

男「……そんな感じかな」

男友「まあ、わかったよ……」

男「突然呼びだして悪かったな」

男友「いいっていいって、幼馴染の頼みだからな」

男友「俺意外と優しいし」

男「自分でいうな」

男友「はいはい」

34: 2012/04/18(水) 22:17:44.85 ID:0PILZjPs0
男「まあ、後でちゃんとドラゴンは紹介してやるから安心しとけ」

男友「ドラゴン?」

男「あ、竜の女の子の名前だよ」

男友「別にいいよ」

男「美人だぞ」

男友「別にいい」

男「え、だってお前女大好き――――」

男友「だってそれ人外じゃん」

男「……は?」

男友「俺は人間の女ならストライクゾーンは広いよ、凄く広い」

男「広いどころか危険球だってストライクのカウントするだろ」

男友「それはお前のストライクゾーンが狭いからだろ」

男「そんな事言ったら世界中の人間の99パーセントはストライクゾーンが狭いって事になるぞ」

男友「ただな、いくらストライクゾーンの広い俺でも人間以外の女の子はちょっとな」

男「本当にかわいいぞ、性格はちょっとあれだけど」

男友「別にいいよ」

男「……」

35: 2012/04/18(水) 22:20:00.52 ID:0PILZjPs0
男友「人外ってなんか嫌だし」

男「……そうか」

男友「だから別にいいよ」

男(ドラゴン……なんかすまん)

男友「で、他には誰に話したんだ?」

男「後はメイドにしか話してない、下手に話し過ぎると危ないし」

男友「だよな……」

男友「隊長さんには話したのか?」

男「まだ話してないけど」

男友「話した方がいいんじゃないか? あの人なら頼りになるし」

男「今の所はいいだろ、下手に借り増やしたくないし」

男友「本当に大丈夫か?」

男「……じゃあ何かあったらちゃんと話すよ」

男友「そうした方が絶対いい」

36: 2012/04/18(水) 22:22:05.26 ID:0PILZjPs0
男「なんかいろいろ悪いな」

男友「いいっていいって、そう遠慮すんな」

男「……そういえば、なんでそこまですんなり信じてくれたんだ?」

男友「え?」

男「だって、普通なら信じないだろ?」

男友「まあ、普通なら頭か心の病気かもしくは虚言癖って思われるだろうな」

男「……だよな」

男友「特にお前が言うと洒落にならないからな、いろいろ」

男「やかましい!!」

男友「まあ、俺だってお前の話じゃなかったら信じてないよ」

男「え?」

男友「お前だから信じてやってんだ」

男友「こんな馬鹿っぽい話だってお前だから信じられるんだよ」

男「男友……」

男友「男……」

男「……俺そういう趣味ねぇから!!」

男友「俺がいつホ〇だって言った」

男「今の流れは確実にダメな流れだったろ!!」

37: 2012/04/18(水) 22:24:05.05 ID:0PILZjPs0
男友「ああ、わざとやった」

男「……テメェ」

男友「とりあえず、俺は本気で信じてるから、安心しろ」

男「……ありがとな」

男友「今は何も起こってないんだよな?」

男「……今の所は何にもない」

男友「何か俺に協力できそうな事があったら何でも頼んでくれ、出来る範囲で協力する」

男「悪いな、本当にありがとう」

男友「いいんだよ、ただそこまで言うなら人間のかわいい女の子を――――」

男「それは無理だ」

男友「なんだよ、面白くねえ……」

男「うるせぇ」

男友「じゃあ、またなんかあったら連絡してくれ」スタスタ

男「ああ、分かった」

男友「夜道で襲われないようにな」

男「ああ、気をつける」

男「……」

男「俺も帰るかな」スタスタ

42: 2012/04/19(木) 21:38:02.85 ID:iAAbnrss0
男「……」スタスタ

男(わかんねぇ事が多過ぎるよな)スタスタ

男「つーかなんで俺なんだ?」スタスタ

男「だいたい何がどうなったら竜の子供が人間になるんだよ」スタスタ

男(意味わかんねぇ……)

男「ただいま」ガチャ

ドラゴン「おかえり」

男「……メイドはどうした?」

ドラゴン「買い物に行くって言ってたわ」

男「あ、そう……」

ドラゴン「すぐに帰ってくるって言ってたわよ」

男「……わかった」

男(昨日のあれのせいで話辛い……)

男(なんか話した方がいいのかな?)

ドラゴン「じろじろ見ないでくれる」

男「あ、すまん……」

ドラゴン「まったく……」

男「……」

43: 2012/04/19(木) 21:39:47.02 ID:iAAbnrss0
男「き、昨日はゆっくり眠れたか?」

ドラゴン「まあまあよ」

男「……そうか」

男「……」

男(話す事無さ過ぎだろ)

ドラゴン「……何、言いたい事があるならはっきり言ってくれない?」

男「は?」

ドラゴン「顔に書いてあるわよ」

男「え、ま、マジで!?」

ドラゴン「私そういうのには敏感なの」

男「あ、そう」

ドラゴン「実際言いたい事があるんでしょ?」

男「いや、別に……」

ドラゴン「あるんでしょ?」

男「……なんでわかるだよ」

ドラゴン「さっき言ったでしょ、そういう事には敏感なの」

男「凄いな……」

ドラゴン「いいからさっさと言いたい事言ってくれない?」

44: 2012/04/19(木) 21:41:23.17 ID:iAAbnrss0
男「わ、わかったよ」

男「……お前はさ、どうしてそんなに人間を嫌う訳?」

ドラゴン「え?」

男「だっていつも人間なんかって言うだろ?」

ドラゴン「……」

男「……」

男「なあ――――」

ドラゴン「あなたは、自分が犬になったらどう思う?」

男「え?」

ドラゴン「どうして犬になんかって思うでしょ?」

男「……まあ、犬になったらそう思うな」

ドラゴン「それと同じ事よ」

男「……」

ドラゴン「誰に何と言われようと私は竜、それは譲れないわ」

男「……」

男「姿は人間でも心は竜なんだな」

ドラゴン「……」

45: 2012/04/19(木) 21:42:28.90 ID:iAAbnrss0
男「……戻れるといいな」

ドラゴン「そうね……本当に戻れたらいいわね」

男「え?」

ドラゴン「……正直言えば私だって不安なのよ」

男「……」

ドラゴン「このまま一生人間なんじゃないかって……」

男「昨日と言ってる事が違う気がするんだけど」

ドラゴン「不安なの……凄くね」

ドラゴン「あなたには分からないと思うけど」

男「……じゃあなんで俺にそんな事話すんだよ」

ドラゴン「話す相手が今はあなたしかいないからよ」

男「なんだそりゃ」

ドラゴン「仕方ないじゃない、私だってあなたに話すのは不本意よ」

男「意味わかんねぇ……」

ドラゴン「まあ、なんとなく懐かしい気がするから話しやすいって言うのもあるかもしれないわね」

男「それって褒められてるのか?」

46: 2012/04/19(木) 21:43:33.91 ID:iAAbnrss0
ドラゴン「私としては褒めてるつもりよ」

男「じゃあ喜んでいいんだよな」

ドラゴン「自分で考えたら?」

男「……じゃあ喜ぶ」

ドラゴン「……」

男「……」

ドラゴン「……ふふっ」

男「なんだよ」

ドラゴン「別に、強いて言うならあなたの顔があまりにバカっぽかったからかな」

男「はぁ!?」

ドラゴン「ごめんごめん」

男「人が真面目に話聞いてるってのに」

ドラゴン「別に真面目に聞いてくれなくていいわよ」

男「なんだそれ」

ドラゴン「あなただってこんなこと突然話されてもどうしようもないでしょ?」

男「そうだけどさ」

ドラゴン「ちょっと疲れてただけだから」

男「明日にはもう戻ってるって事か?」

ドラゴン「ええ、ずるずる引きずるような事は絶対しないわ」

男「男らしいな」

ドラゴン「竜らしいって言ってくれない」

ピンポーン

47: 2012/04/19(木) 21:44:43.09 ID:iAAbnrss0
男「ちょっと行ってくる」スタスタ

男「誰ですか?」ガチャ

竜王「元気そうだね」

男「……もう来たのか?」

竜王「ああ、いろいろ心配だからね」

男「中に入れよ」

竜王「悪いね」スタスタ

ドラゴン「父様……」

竜王「ドラゴン、元気そうだな」

ドラゴン「はい……」

男(もしかして竜王の事苦手なのかな)

竜王「一日でずいぶん馴染んだみたいだな」

男「で、今日は何のためにこんな所まで?」

竜王「今回は本当に様子を見に来ただけだよ」

男「……」

竜王「本当だよ、嘘はついてない」

男「あ、そう」

竜王「二人とも元気で何よりだ」

48: 2012/04/19(木) 21:46:06.98 ID:iAAbnrss0
竜王「ドラゴンもここでゆっくり生活に慣れていけばいい」

男「……」

ドラゴン「……父様」

竜王「なんだ?」

ドラゴン「……ここでの生活に慣れていけばいい、と言う意味が分からなのですが」

男「ああ、俺もそこが引っ掛かってた、どういう意味だ?」

竜王「ここでの生活に慣れていけばいいと言う意味だ、そのままの意味だよ」

ドラゴン「それは人間の生活に慣れていけと言う意味ですか?」

竜王「……」

ドラゴン「私は――――」

竜王「ドラゴン、はっきり言っておこう、お前は竜にはなれない」

ドラゴン「……」

竜王「お前が何故こうなったのかはどうしても分からないんだ」

男「……お前もしかしてドラゴンを人間らしくするために俺に預けたのか?」

竜王「……」

男「もしそうならドラゴンをお前に返すぞ、こいつは竜なんだから」

竜王「確かに半分はドラゴンを人間らしくするためだな」

49: 2012/04/19(木) 21:48:43.73 ID:iAAbnrss0
男「もう半分は?」

竜王「もう半分は本当にドラゴンを敵からかくまうためだ」

竜王「実際金に釣られた者達もいた」

男「本当にか?」

竜王「君に嘘をついても仕方ないだろう」

男「……」

竜王「私が見つけた者達は片付けておいたが、襲われない様に十分注意してくれ」

男「わかったよ」

竜王「では、また今度――――」

ドラゴン「私は……」

竜王「なんだ?」

ドラゴン「私は人間になんてなりたくない!!」

竜王「……」

ドラゴン「私は竜、私は人間になる気なんて無い!!」

竜王「無理だ」

ドラゴン「やってみないと――――」

竜王「探してもなかったんだ、仕方ないだろう」

ドラゴン「……」

50: 2012/04/19(木) 21:51:47.34 ID:iAAbnrss0
男「そんなんでいいのか?」

竜王「何がかな?」

男「そんなすぐに諦めていいのかって事だよ」

竜王「逆に聞くが解決法がないのにどうしろと言うんだ」

男「ないって決まった訳じゃねぇだろ」

竜王「私達が探しまわって見つけられなかったものをか?」

男「人間なめんなよ、俺だってやりゃ出来るんだよ」

竜王「時間の無駄だと思うが?」

男「……テメェ」

竜王「それにこれはドラゴンのためでもある」

男「……何言ってんだ?」

竜王「言葉通りだ、下手に期待させるよりよっぽどいいはずだ」

男「お前は本気でそう思ってるのか?」

竜王「ああ、それがドラゴンのために一番いいと私は思う」

56: 2012/04/20(金) 22:16:47.68 ID:1dr9yXQ90
気がつけば俺は竜王に殴りかかっていた。
痛いほど拳を握りしめ。竜王目掛け跳躍する。

頭ではやめろと叫んでいるのに、体が言う事を聞かない。
多分頭ではなく、心が体を動かしているんだと直感的に感じた。
カッとなってやったと言うのは多分こういう状態の事を言うのだろう。

右ストレートが竜王目掛け一直線に襲い掛かる。
全体重のその一撃にのせ、腕を振り抜く。

だがそんな渾身の力の籠った一撃はかわてしまう。
まるで最初から殴りかかるのが分かっていたかの様にいとも簡単に。

だがそんな事に驚いている暇も無く、カウンター気味に俺の脇腹に蹴りがとんでくる。

回避する暇もない。
竜王の足が脇腹にめり込むのが分かった。

鋭い痛み。

気がつけば俺はあまりの痛さにその場に膝をつき、荒い呼吸をしていた。

ださい……。
多分今まで生きてきた中で最高ランクにださい。

偉そうなこと言ったくせに一瞬でやられるとかありえないだろ……。
いやそれ以前に不意打ちしたくせに反撃食らうってなんだよ……。


「どうした、偉そうな事言ったわりにずいぶん簡単に倒れるんだな」


皮肉をたっぷり含んだ言葉。
明らかに俺を挑発する目的の言い方だ。

57: 2012/04/20(金) 22:20:48.54 ID:1dr9yXQ90
もちろんこんな挑発にのってはいけない事は分かっている。
のってしまえば相手の思うつぼになる事は目に見えている。
だが俺はそれにのってしまう。

別に今の竜王の言葉が頭にきたわけじゃない。
ただこのまま倒れて、竜王に負けを認める事が、ドラゴンを救う手がない事を認める事の様な気がしてしまうのだ。

たった一日程度で彼女の事を知った訳じゃないし、今でも全然わからない。
ただあんなのを見せられたり、あんな事を言われたら放っておけないだろ。
やっぱり女の涙とか弱音って聞きたくないし見たくないんだよ。

奥歯に力を入れ体を起こす。


「んな訳ねぇだろ。さっき言っただろ、やれば出来るって」


そんな事を言いながら立ち上がる。

まだ痛みは残っている様で、少し動くだけで鋭い痛みが脇腹にはしる。

だがそれでももう一度竜王目掛け殴りかかる。
それはさっきより速く、さっきより重い一撃。

だがその攻撃もまるで予測されていたかのようにかわされる。
しかも竜王の方はまだ余裕があるようで顔色一つ変わっていない。

所詮は人間の一撃って事かよ。
こんなにも違うもんなのかよ、人間と竜って……。

58: 2012/04/20(金) 22:22:44.33 ID:1dr9yXQ90
竜王の右足が俺のこめかみ目掛け振り抜かれる。

しかし今回は竜王のカウンターはしっかりかわす。
頭の上を音を立て、足が通過していった。

その隙に俺は相手の顔目掛け蹴りをお見舞いする。

足の甲に衝撃が伝わってくる。
肉と肉がぶつかる様な音が聞こえた。

その瞬間俺は宙を舞っていた。
今自分が見ているのが床なのか天井なのか壁なのか分からなくなる。
そのくせ見える映像は恐ろしく遅い。

気がつけば俺は地面に背中を打ち、仰向けに倒れていた。
呼吸をするだけで辛い。
まるで肺が見えない手で掴まれている様だ。

とっさに投げられたのだと理解する。
いや、理解させられる。

竜王は俺に背を向けていた。
誰がどう見ても俺の負けだ。

情けねぇ。
あれだけ偉そうな事言っておいてこのざまかよ。
かっこ悪過ぎるだろ。


「男さん、大丈夫ですか!?」


そんな感傷に浸っている時に不意に見知った声が聞こえた。

59: 2012/04/20(金) 22:24:30.46 ID:1dr9yXQ90
声をした方を見る。
扉の前にはメイド……正確には右手にRPG、左手にサブマシンガンを持ったメイドが立っていた。

銃口が竜王を狙っているのがこの距離からでもわかる。

メイド服を着たかわいい女性が銃をもっている。
一部の人間なら大喜びしそうだが、残念ながら俺はむしろ恐怖しか感じられなかった。

別にそういうのが嫌いとかそういうのじゃない。
ただあいつの殺意の籠った目があまりに恐ろし過ぎるのだ。
例えるならそう、歴戦の戦士の様な目だ。
さらにもしここであいつがRPGの引き金を引けば俺も爆風に巻き込まれるかもしれない。
いや、確実に巻き込まれる。


「メイド!! ちょっと待――――!!」


俺の言葉よりも先にRPGが撃たれる。

お前は何考えてんだ!!
家の中でそんなもんぶっ放すんじゃねぇ!!

凶悪な音を立てながらそれは真っすぐに竜王を目掛け突き進む。

氏は何か奇跡でも起こらない限り数秒で俺の元へもやってくるはずだ。

俺の目に見えているもの全てがゆっくりになる。
まるでビデオをスロー再生している様に見える。
だからと言って逃げ切れる訳ではないのだが。

60: 2012/04/20(金) 22:28:05.47 ID:1dr9yXQ90
竜王は視界の隅に立っていた。

竜王の右手が真っ赤に燃えており、彼のスーツは肩の部分まで焼け焦げ、右腕が完全に露出している。
その表情はついさっき俺と戦っていた時となんら変わらない。

竜王は一歩前に出ると轟音を上げながら突っ込んでくるRPGを右手で掴んだ。

何かが燃える様な音が響く
異様な熱気が俺の全身を襲う。


「……え?」


その瞬間、PRGは後形も無く、消滅していた。
揶揄でも冗談でもなく、そこにあったはずのRPGの弾がきれいさっぱり消えているのだ。


「初対面の人間にこんな事をするのはどうかと思うが?」


竜王はまるでお茶を掛けられた様な口振りでメイドにそう言い放つ。

もしかしてこいつが消滅させたのか?
……それ以外考えられない。
でもどうやって?
どうなってんだ?

61: 2012/04/20(金) 22:29:20.42 ID:1dr9yXQ90
「まさか燃やすとは、予想外です」


メイドもまた紙を燃やしただけの様な口振りで返す。

なんでこの二人はこんな凄い事をやっておいてこんなに漂々としてられんだよ。
つーか燃やしたって何だよ、火薬ごと焼き払ったのか?


「おい!! 何家ん中で重火器ぶっ放ってんだ!!」


我にかえり、感情に身を任せ怒鳴る。
さすがにここでキレない人間はいない。

まだ立ち上がれないので仰向けのまま上半身だけを起こし、メイドを睨む。


「すいません、竜王が本物かどうか試したかったので」


全然詫びているような感じがしないがもはや怒る気にもならない。
正直こいつの頭は壊れてるんだと思う。
いや、完全にどこかが壊れているはずだ。

俺は痛む全身を無理矢理動かし、立ちあがった。

62: 2012/04/20(金) 22:30:41.29 ID:1dr9yXQ90
男「で、もし竜王がRPGの弾を受け止められなかったらどうしてたんだ?」

メイド「弾が爆発して竜王さんが爆発に巻き込まれるだけです」

男「あの距離なら俺も巻き込まれてたぞ」

メイド「そうかもしれませんね」

男「そうかもしれませんねって……」

メイド「竜ならこの程度の攻撃は簡単に防御できると分かってたんです」

竜王「ほう」

メイド「あなた達にとってはこれも玩具にすぎないんですよね?」

竜王「そうだな」

男「だからって問答無用でこんなもんぶっ放すんじゃねぇぞ」

メイド「わかりました」

竜王「……」

メイド「隙ありっ!!」


メイドは左手に持っていたサブマシンガンを乱射した。
しかし竜王はそれを簡単に焼き払う。


メイド「……やっぱりダメですよね」

男「テメェは数秒前に言ったこと忘れたのか!!」

63: 2012/04/20(金) 22:31:34.91 ID:1dr9yXQ90
メイド「すいません」

男「全然反省してないだろ!!」

メイド「反省してますよ」

男「ならそのサブマシンガンをしまえ!!」

メイド「ええー」

男「いいからさっさとしまえ!!」

メイド「はーい」スタスタ

竜王「……邪魔したな」スタスタ

男「待てよ」

竜王「?」

男「俺はドラゴンを元に戻す」

竜王「無駄な事――――」

男「やってみないとわからないだろ」

竜王「……なんであの子にそこまでするんだ?」

男「わ、悪いかよ」

竜王「……勝手にしろ」スタスタ

男「ああ、そうするよ!!」

竜王「あと、ドラゴンを狙っている奴が居る事は確かだ、注意するんだぞ」ガチャ

男「わかったよ」

67: 2012/04/21(土) 21:44:44.92 ID:KOkZbmfj0
男「……」

メイド「ずいぶん疲れてますね」

男「半分はお前のせいだけどな」

メイド「人のせいにしないで下さいよ、男さんが竜王に喧嘩売ったから悪いんじゃないですか」

男「黙れ、今後家の中でRPGをぶっ放すのは禁止だからな」

メイド「えー」

男「えー、じゃねぇよ!!」

メイド「じゃ、じゃあサブマシンガンにします……」

男「百歩譲ってハンドガンだ」

メイド「ええー」

男「だいたい家の中で発砲しようってのが間違ってんだよ」

メイド「わ、わかりましたよ……」

ドラゴン「どういうつもり?」

男「え?」

ドラゴン「私が竜になれる様に協力するってどういう事?」

男「別に、言葉通りの意味だけど」

ドラゴン「本気で言ってるの?」

男「少なくても俺はそのつもりだけど」

ドラゴン「……」

68: 2012/04/21(土) 21:46:55.63 ID:KOkZbmfj0
男「……」

メイド「ドラゴンさん、ここは男さんでもいいから手伝ってもらった方がいいんじゃないですか?」

男「俺でもいいからってどういう意味だよ」

メイド「そのままの意味です」

男「殴り倒すぞ」

ドラゴン「父様達は無理だって言ってるのよ」

男「お前はそれで納得できるのか?」

ドラゴン「……」

男「人間は嫌なんだろ?」

ドラゴン「……そ、そうよ、私は人間じゃない」

男「だから戻るために手伝うって言ってんだ」

ドラゴン「……なんでそこまでしてくれるの?」

男「どうして竜が人間になったのか興味があるからかな」

ドラゴン「……言っとくけど期待はしてないから」

男「別にいいよ、俺だって今の所は当てがある訳じゃないし」

男「……」

ドラゴン「……」

男「でも絶対方法を見つけてくる」

69: 2012/04/21(土) 21:48:59.41 ID:KOkZbmfj0
ドラゴン「……あ、ありがとう」スタスタ

男「え、あ、ああ」

男「……」

メイド「素敵ですね」ニヤニヤ

男「は?」

メイド「いいですね、青春ですね」

男「黙れ」

メイド「思春期って感じで凄くいいですよ」

男「いいからさっさと黙れ」

メイド「さっきの嘘ですよね」

男「え?」

メイド「だから竜が人間になったのが興味があるってやつですよ」

男「何がだよ」

メイド「本当はドラゴンさんが悲しんでいる所を見たくないんじゃないんですか?」

男「……」

メイド「図星ですね」

男「……ああいうのはやっぱり見たくないからな」

メイド「泣いてる所ですか?」

70: 2012/04/21(土) 21:50:27.97 ID:KOkZbmfj0
男「……それもある」

メイド「……」ニヤニヤ

男「なんだよ」

メイド「男さん、優しいですね」

男「うるせぇ」

メイド「なんですか、せっかく褒めてあげてるのに」

男「別にお前に褒められても嬉しくない」

メイド「ひ、ひどい……」

男「あと、明日出掛けるからドラゴンの事頼むぞ」

メイド「え、何処行くんですか?」

男「知り合いでそういうのに詳しい人が居るからその人に話を聞きに行ってくる」

メイド「わかりました」ニヤニヤ

男「……なんだよ」

メイド「いや、ドラゴンさんの為に必氏になってるなと思って」

男「別に必氏ではない」

メイド「またまた、照れちゃって」

男「クビにするぞ」

メイド「すいません、もうしません」

71: 2012/04/21(土) 21:51:35.34 ID:KOkZbmfj0
男「あいつがさっさと竜に戻れば、あいつは竜王の所に帰れて、俺達が面倒見なくて済むだろ」

メイド「……素直じゃないですね」ボソッ

男「なんか言ったか?」

メイド「なんでもありません」

男「とにかく、ドラゴンを狙ってる奴がいるみたいだしお前が守っといてくれよ」

メイド「了解です」

メイド「全力でドラゴンさんをお守りします」


メイドはポケットからハンドガンを取り出す。


男「言っとくけど家の中でRPGは絶対に使うなよ、絶対にだぞ」

メイド「分かってますよ」

男「使ったらクビだからな」

メイド「RPGは絶対使いませんよ」

男「あと手榴弾もな」

メイド「……」

男「わかったか?」

メイド「りょ、了解です……」

72: 2012/04/21(土) 21:53:58.98 ID:KOkZbmfj0
男「じゃあ頼んだ――――痛っ」

メイド「どうしたんですか?」

男「……湿布貼ってくる」スタスタ

メイド「け、怪我したんですか!?」

男「竜王と殴りあってるときに怪我したんだと思う」

男「つーか今更だな、おい」

メイド「湿布の場所わかりますか?」

男「二階の倉庫になってる部屋にあっただろ」

メイド「エーと……多分あってますよね?」

男「俺に聞くな」スタスタ

男「本気で投げやがったな、あいつ」ガチャ

男「えーと……」ガサゴソ

ドラゴン「湿布ならここにあるわよ」

男「あ、すまん」

ドラゴン「……」

男「……」

男「あの、湿布……」

ドラゴン「わ、私が貼ってあげる」

男「え?」

73: 2012/04/21(土) 21:55:00.52 ID:KOkZbmfj0
ドラゴン「背中は自分じゃ貼り辛いでしょ」

男「ま、まあ……」

ドラゴン「それにあなたが怪我したのは私のせいでもあるし……」

男「別にお前のせいじゃねぇよ……」

ドラゴン「……」

男「……」

ドラゴン「いいから服脱いで」

男「……」


俺はTシャツを脱ぐ。


ドラゴン「どの辺?」

男「腰のあたり、だいたいでいい」

ドラゴン「わかった」ペタッ

男「悪いな」

ドラゴン「これからは竜に喧嘩はうらない事ね」

男「……無駄な喧嘩は避けるようにする」

ドラゴン「ええ、そうしたほうがいいわよ」

74: 2012/04/21(土) 21:56:20.00 ID:KOkZbmfj0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


場所不明


竜王「……」バッサバッサ

???「……ずいぶん遅かったのね」

竜王「予想外な事がいろいろあってな」

???「で、どうだったの?」

竜王「ドラゴンも男も元気そうだったぞ」

???「……そう」

竜王「男はまだもう少し時間がかかりそうだな」

???「……まあ仕方ないと言えば仕方ないかもしれないわね」

竜王「男は何処にでもいる様な普通な人間だった」

???「ええ、普通の人間として生きてきたからね」

竜王「……別に普通の人間のまま一生を過ごしてもよかったんではないか?」

???「それは無理よ」

竜王「……」

???「誰にも教えられなくてもいつかは本当の事を知るのよ」

???「そんなの昔から分かってたはずでしょ」

竜王「……そうだな」

竜王「だがドラゴンの件は正直彼には荷が重すぎる様な気がするが?」

???「大丈夫よ、ああ見えてもやれば出来るから」

???「どうせドラゴンを竜に戻すとか言い始めてるんじゃない?」

75: 2012/04/21(土) 21:57:28.88 ID:KOkZbmfj0
竜王「……そんな事を言っていたな」

???「あの子はホントに単純ね」

竜王「まあ、私達ですら見つけられなかった解決策をあの程度の人間の若造が見つけ出せるとは思えんがな」

???「普通の人間なら、ね」

竜王「お前はもう分かっているのか?」

???「私だって彼女を元に戻す方法は分からないわ」

竜王「お前に分からない様な事が男に分かるのか?」

???「ああ見えても私よりずっと優秀よ」

竜王「……どうだかな」

???「もちろん今の段階じゃあ私の方が上よ」

竜王「そんな事は分かりきっている」

???「……じゃあそろそろ行くわね」

竜王「またそのうちここに来るのか?」

???「ええ、何か起こったらちゃんと知らせに来るわ」

???「だからあなたも何かあったらちゃんと伝えに来なさいよ」

竜王「分かっている」

76: 2012/04/21(土) 21:58:40.05 ID:KOkZbmfj0
今日はここまでです。

時折銃が出てきますが、知識が少ないので変な部分があるかもしれません。そしたら教えてください。

81: 2012/04/22(日) 21:50:10.70 ID:DJsjbDT/0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


次の日   公園


男友「昨日の今日かよ」

男「仕方ないだろ、隊長に会うのなんて久しぶりなんだし」

男友「だからって俺を呼ぶなよ、俺だってあの人は得意じゃないし……」

男「俺だって苦手だよ」

男「しかもこんな朝早くに呼んだんだし、絶対機嫌悪いよ」

男友「それはお前が悪いだろ」

男「俺だっていろいろ事情があるんだよ」

男友「お前の都合だな」

男「頼むよ」

男友「……仕方ねーな」

隊長「男、朝っぱらから元気だな」


後ろに束ねた長めの黒髪に黒のパンツスーツ。
顔はきりっとした引き締まっており、すれ違う人が振り返りそうな、どこかの大手企業で美人秘書でもやっていそうな美人。
しかし咥え煙草と腰にぶら下げたデザートイーグルがそんな素敵な雰囲気をぶち壊している。

彼女の名は隊長。
資格を取れば銃が持てるようになった世の中の治安を守る特殊部隊の若き隊長だ。

82: 2012/04/22(日) 21:51:00.60 ID:DJsjbDT/0
男「お、おはようございます」

隊長「ああ、おはよう」

隊長「最高にいい朝だな、休日はいつも昼まで寝ているからこんなに朝が気持ちいいなんて気付かなかった」

男「あはは、そうですか……」

隊長「私を呼びだしたのは男で間違いないな?」

男友「はい、俺も朝に呼び出されました」

男「……すいません」

隊長「別に今は怒ってない、ただもしこんな時間に呼んでおいて下らない事だったら、分かってるな?」


俺の眉間に銃口が突きつけられる。


男「ま、まだ何も言ってないんですけど……」

隊長「準備だ」

男「何の準備ですか……」

隊長「見てわからんか?」

男「……」


俺は金曜日の帰り道からの出来事を隊長に話す。

83: 2012/04/22(日) 21:53:52.19 ID:DJsjbDT/0
隊長「……つまり今お前の家には人間の姿をした竜が居る訳だな?」

男「はい」

隊長「で、その竜は何者かに命を狙われている」

男「そうです」

隊長「で、その竜を元に戻すためとその竜を守るためにに私の力を借りたい訳だな?」

男「その通りです」

隊長「……男、遺言はなんだ?」ニッコリ

男「ですよね……」

隊長「嘘もそこまで来ると笑えるな」ハハハッ

男「は、ははっ……信じて下さいよ」

隊長「いい精神科医を紹介してやる」

男「……」

男友「確かに胡散臭い話ですけど、信じてあげて下さいよ」

男「男友……」

男友「もしこのまま男を精神科医に送ったら心の病気になってる事がバレちゃいますよ」

男「おい!!」

隊長「……まあ、わざわざ嘘をつくためにこんな朝っぱらから私を呼ぶなんてバカな真似はしないだろうからな」

男「そうですよ、なんでわざわざ氏にに行く様な事しなくちゃならないんですか」

84: 2012/04/22(日) 21:55:34.73 ID:DJsjbDT/0
隊長「お前は黙ってろ、間違って引き金を引くぞ」

男「それ間違ってません、故意です」

隊長「私がなんて言ったか分かっているか?」

男「……」

隊長「そのうち証拠は見せてもらうぞ」

男「別にいいですよ」

男「て言うか今から家に来ればいいじゃないですか」

隊長「お前と遊んでいる暇は無い」

男友「なんか用事でもあるんですか?」

隊長「いや、特に何もないが面倒臭いだろ」

男「……」

隊長「で何の情報がほしいんだ?」

男「ええと、とにかく竜に関する情報なら何でもいいです」

隊長「……お前ふざけてるのか?」

隊長「竜に関する情報がどれほどあると思ってるんだ」

男「た、たくさん?」

隊長「当たり前だ、それを全部お前に伝えようと思ったら一週間はかかるぞ」

男「じゃあ神話だけ教えて下さい」


神話は分かりやすく言えば竜と人間の歴史の様なものだ。
誰が書いた、いったいどれくらい前なのかは分からないものだが、そこには昔の竜と人間の事や生態、歴史が事こまかに記されている。
神や七つの大罪などと言ったものも大量に関わってくる複雑なものでいまだに完全に解読されてはいない。
人間が竜を神話個体やファンタジーの生き物と呼ぶのもその神話からだ。

85: 2012/04/22(日) 21:58:56.62 ID:DJsjbDT/0
隊長「図書館で本を借りてこい」

男「神話の全文が書かれた本はありません」

隊長「……はあ、何のために情報が隠されていると思っているんだ……」

男「わかりません」

隊長「間違った情報は世間に混乱を与えるからだ」ガリガリ

男「お願いします」

隊長「悪いが、神話の管理は管轄外だ」

男「調べてもらえませんか?」

隊長「貸しだ」

男「え?」

隊長「これでお前への貸しは五だな」

男「……別にいいですよ」

隊長「ちゃんと貸しは返してくれよ」

男「わかってます」

隊長「まったく、面倒な仕事を増やしやがって……」ブツブツ

男友「神話で何が分かるんだ?」

男「とりあえず片っ端から竜の事を調べ尽くす」

男友「……気が遠くなりそうだな」

男「そうしていかないと話が進まないだろ」

男友「まあな」

86: 2012/04/22(日) 22:01:23.94 ID:DJsjbDT/0
隊長「神話については出来る限り情報を集めておく」

男「お願いします」

隊長「最後にいいか?」

男「なんですか?」

隊長「……こんな朝っぱらから呼びだすな!!」


隊長の右ストレートが俺の顔面にクリティカルヒットする。


男「あげっ!?」

隊長「……ふう、すっきりした」

男「……いや、殴る意味絶対ないでしょ……」

隊長「今度からは本当の緊急以外昼から夕方に呼ぶようにしろ」

男「短すぎるでしょ!!」

隊長「私はお前達と違って忙しいし疲れてるんだ」

男「……そんな滅茶苦茶な……」

隊長「じゃあな」スタスタ

男友「相変わらずだな」

男「ホントだよ……」

87: 2012/04/22(日) 22:03:05.85 ID:DJsjbDT/0
男友「……それにしても、なんでそこまでしてあげるんだ?」

男「もう散々聞かれた」

男友「だって変だろ、ついこの前会った奴の為にそこまで頑張れるなんて」

男「……まあ、そうだよな」

男友「なんで助けようと思ったんだ?」

男「なんて言えばいいかわかんねぇけど……助けたいんだよ」

男友「は?」

男「なんかドラゴン見てると懐かしいと言うかなんというか、不思議な気持ちになるんだよな……」

男友「なんだそれ」

男「俺だってわかんねぇよ」

男「でも助けてあげたいだろ」

男友「……もしかして惚れてる?」

男「違う」

男友「お前のその不思議な気持ちって――――」

男「絶対違う!!」

男友「あ、そう」

88: 2012/04/22(日) 22:06:59.89 ID:DJsjbDT/0
男「そういう感情は一切ない」

男友「わかったよ」

男友「……で、これから神話を探しに行くのか?」

男「ああ、一応一回読んでるけどもう一回読んでみる」スタスタ

男友「見つかるといいな」

男「見つけるんだよ、そのためにわざわざ隊長に頼んだんだ」

男友「なんか手伝えることがあったら呼んでくれ」

男「ああ、わかった」

男友「久々にメイドさんにも会いたいし」

男「……お前そっちが目的か……」

男友「たまには目の保養をしとかないとな」

男「気持ち悪いな、お前」

男友「そんな事言うなよ」

男「……じゃあそろそろ行くな」

男友「じゃあまた明日学校で」

男「ああ、わかった」スタスタ

94: 2012/04/23(月) 21:54:51.33 ID:lVjRwdgA0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


男の家


男「ただいま」

メイド「あ、おかえりなさい」

メイド「……なんですか、その本?」

男「図書館で借りて来た本だよ」

メイド「またずいぶんたくさん借りてきましたね」

男「どれを調べればいいかわかんねぇんだ、仕方ないだろ」

メイド「じゃあ全部読むんですか?」

男「当たり前だろ」

メイド「……気が遠くなりそうですね」

男「別に今すぐじゃなくていいんだし、ゆっくり調べていけばいいだろ」スタスタ

メイド「これから調べるんですか?」

男「ああ、当たり前だろ」

メイド「……」

男「……何?」

95: 2012/04/23(月) 21:57:30.99 ID:lVjRwdgA0
メイド「男さんにしては珍しくやる気満々ですね」

男「珍しくは余計だ」

メイド「そのままいけばドラゴンさんをおとせるかもしれませんよ」

男「お前は何を言ってんだ」

メイド「まあ、私は用事で手伝えませんが、頑張って下さいね」

男「別に手伝ってくれなくていいけど、なんか用事でもあるのか?」

メイド「ええ、ちょっと大事な用事が」

男「なら俺の心配より自分の用事の事心配しろよ」

メイド「大丈夫ですよ、絶対成功させますから」

男「まあ、頑張れ」スタスタ

メイド「はーい」

男「……用事ってなんだろう」ガチャ


俺は今日借りて来た何十冊と言う本を床に置く。


男「まずどれから読もう」

男「……まずは基本的な所を読んだ方がいいかな」

男「『竜の神話』から読んでいくか……」


俺は本を開く。

96: 2012/04/23(月) 21:59:40.65 ID:lVjRwdgA0
『竜の神話』


神は七日間で世界を作り、それを維持して来ました。
世界の均衡を保つ、それが神の役割です。

そんな神の力によって世界は常に均衡を保って成長し続けました。
しかしそんな時、その均衡を破るとある生物が出現します。
それが人間です。

もちろん最初はただの動物の一種でした。
しかし彼等は他の生き物とは違うものをもって生まれていました。
それは傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、強欲、暴食、色欲です。

他の動物には絶対にないそれを人間達は全員もっていました。

神は世界の均衡を乱すその七つ『七つの大罪』と呼び、忌み嫌いました。

神は人間達に様々な試練を与え、人間達の繁栄の邪魔をしました。
そうしなければ人間によって世界の均衡を乱されかねないからです。

しかし、皮肉にも神の与えた試練によって人間達は更に繁栄していきました。
そして人間達は世界の生態系の頂点に立つ者となりました。

人間が世界の生態系の頂点に立った事により、世界の均衡が崩れ始めます。
普通の生き物なら均衡は保たれるのですが、人間はその均衡を崩してしまったのです。

大きな理由は二つ。
まず一つ目は生態系の頂点に立つ人間があまりに多過ぎたこと。
そして二つ目はほぼ全ての人間が尽きる事の無い欲、強欲をもっていた事です。

それにより世界は均衡を失い、人間と言う王によって蹂躙され続けました。

97: 2012/04/23(月) 22:02:54.94 ID:lVjRwdgA0
人間の尽きる事の無い欲によって多くの生き物たちが氏に絶え、多くの土地が帰られて行きました。

そんな均衡の崩れた状態を元に戻すため、神は新たな生き物を生み出します。
それが竜です。

神は人間と同等、それ以上の力を持つ生き物を生み出す事で世界の均衡を取り戻そうとしました。
人間と竜が争う事により、人間の数を減らそうと考えたのです。

しかし神にとって想定のしていなかった事が起こってしまいます。

竜が自我をもってしまったのです。
更に悪い事に竜は人間と同様、『七つの大罪』をもっていました。

しかも竜は人間達の持つありとあらゆる武器でも殺せない、最強の生物として生まれてしまったのです。

このままでは人間の代わりに竜が世界を蹂躙するだけ。
そう考えた神は特定の人間に対竜の力を授けました。

それは人間達は竜にのみ絶大な力を発揮する人間であり、竜と対等に戦える能力でもありました。
言わばその人間達は竜の天敵な訳です。

彼等は俗に『竜頃し』と呼ばれました。

竜頃しと竜。
その二つの力により世界は何とか均衡を手に入れる事が出来、今に至るのです。

98: 2012/04/23(月) 22:04:11.29 ID:lVjRwdgA0


俺は本を閉じる


男「……」

男「……竜頃しね、本当にそんなのいるのかな」

ドラゴン「いるわよ」

男「うわっ!?」

ドラゴン「何をそんなにびっくりする必要がある訳?」

男「……突然出てくるなよ」

ドラゴン「別に私の勝手でしょ」

男「いや、だからさ……」

ドラゴン「竜頃しはいるわよ」

男「いるって……何処にだよ」

ドラゴン「それは、分からないわ」

男「なんだよそれ……」

ドラゴン「でも竜頃しは実在するわ」

ドラゴン「実際に竜の歴史も竜頃しが深く関わってるの」

男「具体的には?」

ドラゴン「……そ、それは……」

99: 2012/04/23(月) 22:05:37.66 ID:lVjRwdgA0
男「わかんねぇのかよ」

ドラゴン「竜の歴史は本とかじゃないの、語り継がれるものなの」

男「だから、よくは分からないと」

ドラゴン「でもきっと父様は知ってるわ」

男「まあ、だろうな」

ドラゴン「歴史だけじゃなくて、竜はあらゆるものを語り継ぐのよ」

男「例えば?」

ドラゴン「昔話や掟なんかも親から子へ語り継がれるの」

男「ふーん……」

ドラゴン「竜頃しもきっとその語り継がれていくものの一つのはずよ」

男「そんなに凄いもんなのか?」

ドラゴン「当たり前じゃない、竜以外で竜を殺せるのは竜頃しだけなのよ」

男「どうやって竜と対等に戦うんだ?」

ドラゴン「そんな事私が知ってる訳ないじゃない」

男「そうだよな」

100: 2012/04/23(月) 22:07:41.44 ID:lVjRwdgA0
ドラゴン「それに竜頃しは人間な訳だから人間であるあなた達の方が詳しいんじゃないの?」

男「確かに、そうだよな」

男「まあ、わかんない事だらけだしもう少し調べるかな」

ドラゴン「……」

男「なんだよ」

ドラゴン「い、いや、私の為にそこまでしてくれてるのに私は何もしてあげられないなって思って……」

男「だから俺は興味があるから調べてるだけでお前の為に調べてる訳じゃねぇよ」

ドラゴン「……」

メイド「ドラゴンさん、ちょっといいですか?」

男「ほら、メイドが呼んでるぞ」

ドラゴン「……無理しない様にね」

男「自分のペースでやるから大丈夫だよ」

ドラゴン「じゃあ行ってくるわね」ガチャ

男「ああ」

男「……」

男「今度竜王に聞いてみるかな」

101: 2012/04/23(月) 22:08:15.53 ID:lVjRwdgA0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


次の日  朝  学校


男「……」

男友「おはよう、でいいんだよな?」

男「……ああ、おはよう……」

男友「なんかずいぶん疲れてるな」

男「悪い……頭痛いから少し休ませてくれ」

男友「お前何したんだよ」

男「何もしてねぇよ、ただ本読んでただけ」

男友「もしかしてずっと調べてたのか?」

男「悪いかよ」

男友「いや、別に悪くは無いけど、限度ってもんがあるだろ」

男「……うるせぇ……」

男友「で、収穫はあったのか?」

男「あったらこんな事になってねぇよ」

男友「結局何にも分からずじまいかよ」

男「ああ、そうだよ」

102: 2012/04/23(月) 22:09:29.85 ID:lVjRwdgA0
女委員長「男、いる?」

男友「ここにいるぞ」

男「……」


この黒髪ストレートの貧O女はこのクラスの委員長だ。
このかわいらしい顔からは想像もできない位腹黒い女で、性格は下手したら隊長より悪いかもしれない。
しかもこいつは厄介な事に先生などには媚びを売るタイプの人間だから余計厄介なのだ。
ちなみに多分このクラスで一番の権力者だと思う。


女委員長「男、頼みたい事があるんだけど」

男「……後じゃダメか?」

女委員長「急用だからダメよ」

男「……何だよ」

女委員長「隣の教室からここへ机を運んでほしいの」

男「お前がやれよ」

女委員長「こんなか弱い女の子に机を運べって言う訳?」

男「もう少し胸に肉が付いたら女の子って言え」


女委員長の拳が俺の顔面に直撃する。


男「……テメェ」

103: 2012/04/23(月) 22:10:26.74 ID:lVjRwdgA0
女委員長「次言ったら頃す」

男「絶対運ばない、お前が運べ、貧O」

女委員長「そんな事言っていいの?」

男「は?」

女委員長「この前あんたに英語のノートを貸してあげたのは何処の誰だったかしら?」

男「……」

女委員長「もしかしてお礼をする気も無い訳?」

男「運べばいいんだろ、運べば!!」

女委員長「素直でよろしい」

男「で、何処に運べばいいんだよ」スタスタ

女委員長「あんたの机の横でいいんじゃない」

男友「またなんで机なんか運ぶんだ?」

女委員長「なんでも転校生が来るらしいわよ」

男友「女か?」

女委員長「そんな心配しなくても、あんたは絶対に幸せになんてなれないから安心しなさい」

男友「毎回思うけど性格悪いよな、お前」

女委員長「ちゃんと自覚はあるわよ」

男「持ってきたぞ」ズルズル

女委員長「あんたの机の横にでも置いておいて」

男「はいはい」

112: 2012/04/24(火) 22:00:21.62 ID:Ao4CNRaG0
男「で、結局転校生は男か女かどっちだ?」

女委員長「女よ、しかも結構な美人さんみたいね」

男友「マジかよ!!」

女委員長「キモいからちょっと黙っててくれない?」

男友「ひどい……」

男「……」

女委員長「興味ないの?」

男「悪いけど今はそんな事考えてる時間がない」

女委員長「……あ、そう」

男友「男は今青春真っ盛りなんだよ」

男「変な誤解与える様な事言ってんじゃねぇよ」

女委員長「ふーん」ニヤニヤ

男友「今お前最高に悪い顔してるぞ」

女委員長「自覚はあるわ」

男「正直どんな奴が来てもどうでもいいよ」

女委員長「面白くないわね」

男「うるせぇ」

113: 2012/04/24(火) 22:01:51.91 ID:Ao4CNRaG0
男「あ、お前等って竜頃しって知ってる?」

男友「竜頃し?」

女委員長「神話のあれでしょ」

男「お前はあれの事どれくらい知ってる?」

女委員長「そこまでは知らないけど、なんで?」

男「いや、知らないなら別にいいよ」

女委員長「?」

男友「それが何か関係あるのか?」

男「今の所はわかんねぇ」

女委員長「何の話?」

男「お前には関係ねぇよ」

女委員長「そんな事言わないで教えなさいよ」

男「嫌だ」

女委員長「あ、そう」

男友「軽いな」

女委員長「別にそこまで聞きたい訳じゃないからいいのよ」

男「だったら教えろとか言うんじゃねぇよ」

114: 2012/04/24(火) 22:03:38.26 ID:Ao4CNRaG0
担任「始めるぞ」ガラガラ

女委員長「はい」スタスタ

男「……」

男友「あいつ先生の前だといい子ぶるよな」

男「あれがあいつのやり方だろ」

担任「号令」

女委員長「起立、礼、着席」

男友「どんな子だろうな」

男「どうでもいい、あと俺寝ていいか?」

男友「勝手にしろよ」

男「お休み」

担任「今日は最初に転校生を紹介しようと思う」

担任「入って来てくれ」

ドラゴン「……」ガラガラ

担任「転校生のドラゴンさんだ」

男「……ん?」

ドラゴン「ドラゴンです、いろいろ分からない事が多いので迷惑を掛けますがよろしくお願いします」

115: 2012/04/24(火) 22:05:36.06 ID:Ao4CNRaG0
男「……」


黒板の前には制服を着たドラゴンが緊張して立っていた。


男「はぁ!?」

担任「どうした?」

男「あ、いえ、何でもないです」

男友「美人だな」ヒソヒソ

男「あ、ああ……」

担任「席はあるか?」

女委員長「準備しておきました」

担任「そうか、いつも気が利くな」

女委員長「当然です」

男「準備したのは俺だけどな」ボソッ

男友「言っても無駄だ」

担任「そこの席に座ってくれ」

ドラゴン「はい」スタスタ

男「……俺の隣じゃねぇか!!」

担任「うるさいぞ」

男友「いいな、そんな美人の隣で」

男「男友、あいつ人間じゃない」ヒソヒソ

116: 2012/04/24(火) 22:08:32.58 ID:Ao4CNRaG0
男友「え?」

男「あいつは竜だ、今現在進行形で家に住んでる竜の女の子だよ」

男友「え……マジかよ……

男「ああ、マジだ」

男友「……なんか突然あの子が魅力的に見えなくなった……」

男「いや、そういう話じゃねぇんだよ」

男友「じゃあなんだよ」

男「いや、いろんな意味でダメだろ」

男友「転校生の美人と同居してるって羨ましがられるだけじゃん」

男「そこが最大の問題だろ」

担任「そこ、うるさいぞ」

男友「まあ、いいじゃん」

男「……お前絶対何にも分かってないだろ」

ドラゴン「……」スタスタ


ドラゴンは俺の横の席に座る。


男「なんでお前がここにいるんだよ」ヒソヒソ

ドラゴン「私だって来たくて来たわけじゃないわよ」ヒソヒソ

男「は?」ヒソヒソ

117: 2012/04/24(火) 22:13:10.11 ID:Ao4CNRaG0
~~~~~~~~~~~~~~~~~


昨日


メイド「クラスは男さんと一緒でいいですよね?」

ドラゴン「え?」

メイド「だからクラスは男さんと一緒でいいですよね?」

ドラゴン「意味が分からないんだけど」

メイド「明日の学校の話ですよ」

ドラゴン「私が?」

メイド「他に誰が居るんですか」

ドラゴン「嫌よ、それじゃあ人間みたいじゃない!!」

メイド「人間みたいに生きてもらわないと困るんですよ」

ドラゴン「……どうして?」

メイド「分かってると思いますがドラゴンさんは狙われてるんです」

メイド「ある程度人間らしい生活をしてもらわないとドラゴンさんを狙ってる奴等に正体がバレる可能性があるんですよ」

ドラゴン「じゃ、じゃあそいつ等にバレない様に学校に行けって事?」

メイド「そういう事です、そうすれば相手にバレる可能性も減りますし」

118: 2012/04/24(火) 22:18:28.11 ID:Ao4CNRaG0
ドラゴン「……い、嫌よ!!」

メイド「別に人間になれとは言ってません、ただ人間の振りをしてほしいんです」

ドラゴン「……」

メイド「私だってドラゴンさんには竜に戻ってもらいたいです、だからこそあなたを守るためにはこうするのが一番なんですよ」

ドラゴン「……わかった」

メイド「ありがとうございます」

メイド「学校に行けばもしかしたら力になってくれる人もいるかもしれませんよ」

ドラゴン「居るの?」

メイド「ええ、男さんはああ見えても意外と交友関係広いんですよ」

ドラゴン「そうなんだ……」

メイド「あ、でも男さんがいいって言う人にしか正体を話しちゃダメですからね」

ドラゴン「わ、分かったわ」

メイド「その他は自由にやって下さい」

ドラゴン「え?」

メイド「もしかしたら何か新しい事が見えてくるかもしれませんし、楽しんで下さいね」ニッコリ

ドラゴン「……」

119: 2012/04/24(火) 22:20:12.87 ID:Ao4CNRaG0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ドラゴン「と言う訳よ」

男「……なんだよそれ」

ドラゴン「私だって出来れば来たくなかったわよ」

男「うん、知ってる」

担任「じゃあ十分後に授業を始めるからな」ガラガラ

女委員長「ドラゴンさんは男と知り合いなの?」

ドラゴン「ええ」

女「どういう関係?」ニヤニヤ

女委員長「どういう関係って言われても……」

男「ただちょっと顔を知ってるだけだよ」

男友「嘘つくな――――」


それを言われる前に男友の腹を殴る。


男友「ほ、本当に言う訳ないじゃん……」

120: 2012/04/24(火) 22:21:35.18 ID:Ao4CNRaG0
男「信じられるか、バカ」

女委員長「で、どの辺に何処に住んでるの?」

ドラゴン「えーと……」

女委員長「なんて名前の場所?」

ドラゴン「名前は分からないけど、男の家よ」

女委員長「……ん?」

男「え?」

女委員長「男の家に住んでるの?」

ドラゴン「住んでるわよ」

男友「え、バカの子なの?」

男「多分分かってないんだと思う……」

ドラゴン「?」

男友「もう女委員長にも話しちゃえよ」

男「後で絶対後悔すると思う」

男友「でもこいつを仲間にしとけば後々楽だぞ」

男「……でもな」

男友「今の所知ってるのって何人だ?」

121: 2012/04/24(火) 22:22:51.69 ID:Ao4CNRaG0
男「お前とメイドと隊長だ」

男友「ならもう一人くらい増えても平気だよ」

男「もしそれで情報が漏れたらどうすんだよ」

男友「女委員長はこんな性格だけど口は固いぞ」

男「全く信用できねぇよ」

女委員長「もしかしてそういう関係?」ニヤニヤ

男「……」

男友「どうする、間違って話が広がっていくぞ」

男「……わかったよ」

女委員長「どうしたの?」

男「絶対誰にも言わないって約束しろ」

女委員長「は?」

男「絶対誰にも言うなよ」

女委員長「この事を?」

男「今から言う事を言うなって事」

女委員長「……なんでそこまで真剣な顔してるのよ」

男「大事な事だからだよ」

126: 2012/04/25(水) 21:54:02.75 ID:hwuh3hLV0
女委員長「話によるわね」

男「……とにかく聞け」


俺は分かりやすくドラゴンの事を説明する。


女委員長「ふーん」

男「いや、ふーんって……」

女委員長「もし本当だとしたら凄い事ね」

男「まあ、そうだな」

男友「て言うか反応薄くないか?」

男「お前だって大差なかっただろ」

男友「内心、メチャクチャびっくりしてたよ」

女委員長「私だってびっくりしてるわよ」

男「全然伝わってこねぇよ」

女委員長「悪かったわね」

男「……絶対誰にも言うなよ」

女委員長「……わかったわ、誰にも言わない」

127: 2012/04/25(水) 21:55:09.78 ID:hwuh3hLV0
男友「珍しいな、お前が何の要求もしないなんて」ニッコリ

女委員長「私は女の味方よ、ドラゴンの力になってあげない訳ないじゃない」

男友「詐欺師みたいな事言ってるな」ヒソヒソ

男「みたいじゃなくてただの詐欺師だろ」ヒソヒソ

女委員長「何か言った?」

男・男友「何でもないです」

ドラゴン「いいの?」

女委員長「いいのよ、困った事があったら何でも聞いてね」

男・男友「……」

男友「気をつけろよ、あいつ平気で嘘つくから」ヒソヒソ

男「わかってる」ヒソヒソ

女委員長「なんか言った?」

男・男友「いえ、何でもないです」

128: 2012/04/25(水) 21:56:02.39 ID:hwuh3hLV0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


昼休み


男「授業どうだった?」

ドラゴン「別に、一回やった事あったし思ったより簡単だったわよ」

男「一回やった事あった?」

ドラゴン「ええ、父様に教えられた勉強の中に今日の授業に似た問題もあったの」

男「凄いな」

ドラゴン「別に凄くはないでしょ」

男「俺から見ればお前は凄いよ」

女委員長「ドラゴン、一緒にご飯食べない?」スタスタ

ドラゴン「え、いいけど……」

女委員長「あ、言っとくけどあんた達は来なくていいから」

男「行かねぇよ」

男友「頼まれたって行くか」

女委員長「他のかわいい女の子もいるわよ」

男友「行っちゃダメですか?」

129: 2012/04/25(水) 21:57:22.49 ID:hwuh3hLV0
女委員長「最高に気持ち悪いわね」

男「そういう事言ってやるなよ」

女委員長「だって実際気持ち悪いじゃない」

男友「一言でそこまで言う事ないだろ……」

男「男友、飯食うぞ」

男友「……わかったよ」

女委員長「じゃあ私達はあっちで食べましょ」スタスタ

ドラゴン「え、う、うん」スタスタ

男「……」モグモグ

男友「……で、その竜頃しが何か関係してるのか?」

男「さあ、今の所はわかんねぇ」

男友「じゃあもしかしたら関係あるかもしれないのか?」

男「もしかしたら、だけどな」

男「それに今の所はそれ以外に調べて何か分かりそうな情報が無いからな」

男友「隊長さんから連絡は?」

男「今の所は無い」

男友「じゃあ今の所はその竜頃しっての以外にドラゴンの事を調べられるもんは無いのか?」

男「だからそうだってさっきも言っただろ」

男友「マジかよ……」

130: 2012/04/25(水) 21:58:52.36 ID:hwuh3hLV0
男「本当だよ」

男友「つーか竜頃しって何だ?」

男「竜を頃す力を持った人間だってさ」

男友「普通の人間と何が違うんだ?」

男「さあ、その辺は知らない」

男友「……何だよそれ」

男「どん本にも詳しい事はほとんど書いてないんだよ」

男友「分かってないって事か?」

男「さあな、ただ何処を探しても書いてなかった」

男友「じゃあどうやって調べるんだよ」

男「自力で調べる」

男友「自力って……」

男「別に本以外でも調べる方法なんて山ほどあるだろ」

男友「……よくそんな面倒臭そうな事をしようと思ったよな」

男「分からないなら調べるしかないだろ」

男友「そりゃそうだけどさ……」

男「ま、ゆっくり調べていくつもりだからすぐには分からないと思うけどな」

男友「とりあえず無茶はしない様にな」

男「分かってるよ」

131: 2012/04/25(水) 22:00:45.93 ID:hwuh3hLV0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~


校舎裏


女委員長「……ふーん、じゃあ男はあなたを竜にするって約束してくれた訳か」

ドラゴン「私もなんでそんな事してくれるのかは分からないんだけど……」

女委員長「あいつがそんな事を言ったんだ」

ドラゴン「うん」

女委員長「別に理由なんて分からなくてもいいんじゃない?」

ドラゴン「え?」

女委員長「それにあいつの性格なら絶対言わないと思うわよ」

ドラゴン「そうだと思うけど……」

女委員長「それに明確な理由すらないかもしれないし」

ドラゴン「……なんでそう言えるの?」

女委員長「勘?」

ドラゴン「……」

女委員長「あいつの性格なら十分あり得るのよ」

ドラゴン「そうなんだ」

132: 2012/04/25(水) 22:03:44.28 ID:hwuh3hLV0
ドラゴン「……女委員長は男の彼女?」

女委員長「まさか、あんな直感で生きてるような人間の彼女なわけ無いじゃない」

女委員長「私はちゃんとリスクとリターンをしっかり考えられる人間が好きなの」

ドラゴン「男は違うの?」

女委員長「あいつは自分に得の無い事でもやりたいとかやらなくちゃって思ったらやるタイプの人間だから」

ドラゴン「……」

女委員長「だからあなたを助けるのも深い理由なんてないのよ」

ドラゴン「そう」

女委員長「あ、でも私もあなたの事には十分協力するつもりよ」

ドラゴン「いいの
?」

女委員長「だって狙われてるんでしょ?」

ドラゴン「うん……私はあんまり自覚が無いけど」

女委員長「あなたが竜になれば悔しがる人が居るわけでしょ」

ドラゴン「多分」

女委員長「私他人の不幸って大好きなの、特に性根が腐った奴の」

ドラゴン「……」

133: 2012/04/25(水) 22:05:15.70 ID:hwuh3hLV0
女委員長「もちろんあなたが困ってるからって言うのもあるわよ、私そこまで性格悪くないし」

ドラゴン「……ありがとう」

女委員長「いいのよ」

女委員長「……あ、そう言えばあなたは男とどういう関係なの?」

ドラゴン「え、別にどういう関係って言う訳じゃないけど」

女委員長「同じ家に住んでるんだし、色恋沙汰になったりしないの?」

ドラゴン「色恋沙汰?」

女委員長「男の事を好きになったりしないのかって事よ」

ドラゴン「……ない、絶対ない!!」///

女委員長「あ、そう」

ドラゴン「私も男もお互いをそういう風に相手を見てないから!!」///

女委員長「わかったから」

ドラゴン「絶対ないからね!!」///

女委員長「わかったから、顔真っ赤よ」

ドラゴン「……」///

134: 2012/04/25(水) 22:06:05.07 ID:hwuh3hLV0
※キャラクター紹介




基本的に直感で行動しするタイプ。
母親は仕事で家におらず父親については彼自身も何も知らない、基本的にはメイドと二人暮らし。
自称やれば出来る子。
竜好き。
男友とは幼馴染。


ドラゴン

竜だが人間に生まれてきてしまった少女。
実は多才で勉強も物凄く出来るし、運動も得意。
人間は嫌いだが、男と男の周りにいる人間とは普通に接している。
ツンデレ。


男友

男の幼馴染。
軽い性格でちょっとチャラい。
ただ根はバカ。


メイド

男の家で住み込みで働く家政婦。
料理以外ならだいたい何でも出来る。
重火器が好きで特にRPGはお気に入り。
戦える家政婦。

139: 2012/04/26(木) 21:46:04.40 ID:FRjWsyFB0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


放課後


男「終わった……」

男友「さっさと帰ろうぜ」

男「ああ」

女委員長「男、時間ある?」スタスタ

男「時間はあるけど、用事は嫌だぞ」

女委員長「ちょっと用事があるんだけど手伝ってくれない?」

男「俺の言った事無視か?」

女委員長「どうせ暇なんだし手伝いなさいよ」

男「確かに暇だけど――――」

女委員長「ドラゴンの事で気付いた事があるの」ボソッ

男「……」

女委員長「……で、どうするの?」

男「わ、わかったよ」

女委員長「じゃあ決定ね」

140: 2012/04/26(木) 21:48:28.11 ID:FRjWsyFB0
男「男友も一緒に――――」

男友「じゃあ俺は帰るな」

男「友達なら待ってるとか手伝ってやるとか言えよ!!」

男友「いや、今日は遊びに行きたいし」

男「……来いよ」

男友「いや、面倒臭いし」

女委員長「ついでだからあんたも手伝いなさいよ」

男友「ついでって何だよ」

女委員長「ついではついでよ」

男「手伝えよ」

男友「嫌だ――――」

女委員長「さすが男友、自分から掃除を手伝ってくれるなんて男前ね!!」

男友「……」

女委員長「ここで帰ったらあんたクラスの女子の評判ガタ落ちよ?」ニッコリ

141: 2012/04/26(木) 21:49:58.25 ID:FRjWsyFB0
男(相変わらずやり方が汚い……)

男友「分かったよ」

女委員長「じゃあ決定ね」

男「ドラゴンは……」

ドラゴン「私は先帰ってるから」

男「一人で大丈夫か?」

ドラゴン「メイドが迎えに来てくれるから大丈夫」

女委員長「ちょっと過保護過ぎない?」

男「うるせぇ」

女委員長「じゃあさっさと行くわよ」

男友「なんで俺まで……」

男「我慢しろ」

142: 2012/04/26(木) 21:50:51.34 ID:FRjWsyFB0
~~~~~~~~~~~~~~~


倉庫


女委員長「あ、それはそっちね」スタスタ

男「……」スタスタ

男友「これはここでいいか?」スタスタ

女委員長「それはあっち」

男友「ああ」スタスタ

男「よし、終わった」

男友「はあ……なんでこんな事……」

女委員長「でも女子の評判は上がったと思うわよ」

男友「そ、そうか?」

男(単純だな、おい)

女委員長「助かったわ、ありがとう」

男「ああ」

男友「ジュースでも奢ってもらいたいよ」

女委員長「自分で買いなさいよ」

男友「いや、それくらい買ってくれよ」

143: 2012/04/26(木) 21:53:04.75 ID:FRjWsyFB0
女委員長「嫌よ」

男「で、気付いた事って何だよ」

女委員長「ああ、そんな話だったわね」

男「さすがに嘘でしたって言ったら怒るぞ」

女委員長「さすがにそこまで性格は悪くないわよ」

男友「普通に悪いだ――――」


女委員長の蹴りが男友のこめかみに直撃する。


男友「すいません……」

男「いや、こんな事しといて性格そこまで悪くない言う方がっておかしいだろ」

女委員長「これは例外よ」

男「わかったからさっさと話せよ」

女委員長「言っとくけどこれから言う事はあくまで私が気付いた事だからね」

男「わかってるよ」

女委員長「……ドラゴンってさ、感情豊かよね」

男「まあ、人並みには豊かだよな」

女委員長「聞きたいんだけどドラゴンって純粋な竜なの?」

男「は?」

144: 2012/04/26(木) 21:55:27.99 ID:FRjWsyFB0
男友「何が言いたいんだ?」

女委員長「あんたは知らないかもしれないけど、竜ってのは感情が乏しいの」

男「乏しい?」

男友「どういう事?」

女委員長「もちろん心の中では人間と同じくらい感情豊かよ、でも表情にはほとんど出ないの」

男友「よく意味が分かんないんだけど?」

女委員長「本当にバカね、竜って言うのは顔に感情がほとんど出ないの」

男友「個人差じゃないのか?」

女委員長「個人差でもあそこまで露骨に感情が顔に出るのは純粋な竜なら有り得ないわよ」

男友「つーか、そこまで露骨に顔に出てたか?」

女委員長「男の事好きかって聞いたら顔を真っ赤にしてたわよ」

男「何聞いてんだよ!!」

女委員長「うるさいうるさい」

男「うるさいじゃねぇよ!!」

女委員長「今はそっちはどうでもいいの、あんたは竜王にも会ったんでしょ、どうだったの?」

男「……確かに竜王もあんまり感情が無かったような」

女委員長「でしょ」

女委員長「いくらドラゴンが人間の姿をしているって言っても、あそこまで感情豊かになるものなの?」

145: 2012/04/26(木) 22:03:51.79 ID:FRjWsyFB0
男「……すまん、分からん」

女委員長「でしょうね」

男友「……また謎が増えただけかよ」

男「謎が増えるだけいいんだよ、謎も何も無かったらどうしようもないだろ」

女委員長「ドラゴンを元に戻すための手がかりになるといいわね」

男「ありがとう」

女委員長「また今度何か手伝ってね」

男友「じゃあそれも調べるのか?」

男「そうだな、そうする」

女委員長「何か分かったら教えてね」

男「分かった」

男友「じゃあ帰るか」

男「そうだな」

女委員長「また明日」

男「ああ、また明日」スタスタ

146: 2012/04/26(木) 22:05:03.96 ID:FRjWsyFB0
※キャラ紹介


隊長

特殊部隊の若き隊長。
美人だがいつも咥えタバコで歩いている。
腰のホルスターには常にデザートイーグルがしまってある。
基本的に武器は何でも使える。
イライラすると他人に八つ当たりする癖がある。
典型的な姉御肌。
男と男友とは知り合い。


女委員長

男と男友のクラスの委員長。
腹黒い性格で、打算的。
数少ない頭脳派キャラ。
嫌いな人間の不幸が大好きで、いろいろな人間の知られたくない情報を集めている。


竜王

竜の王様でドラゴンの父親。
人間の姿は怖いおっさん。
戦闘能力は竜の中でも最強クラス。
ちなみに鱗は蒼い。

147: 2012/04/26(木) 22:06:10.13 ID:FRjWsyFB0
今日はここまで。

もう少し展開の無い状態が続くかもしれません。

151: 2012/04/27(金) 21:52:12.07 ID:oMFuOOyb0
~~~~~~~~~~~~~





男「ただいま」

メイド「おかえりなさい」

男「ドラゴンは?」

メイド「部屋にいると思いますよ」

男「わかった」

メイド「それにしても、家に帰ってきて第一声がそれですか」

男「悪いかよ」

メイド「悪いですね、他に言う事は無いんですか?」

男「例えばなんだよ」

メイド「そうですね、メイドは今日もかわいいねとか」

男「ふざけてんのか?」

メイド「大真面目です」

男「……」

メイド「さあ、早く言って下さい」

男「言うか!!」

152: 2012/04/27(金) 21:53:52.72 ID:oMFuOOyb0
メイド「ひ、ひどい……」

男「うるせぇ」

メイド「なんですか、ドラゴンさんばっかり構って、私は放置ですか」

男「何なんだよお前」

メイド「たまには相手して下さいよ」

男「わかったわかった」

男「今日ドラゴン迎えに来てくれてありがとな」

メイド「いえいえ、簡単な事ですから別にいいんですよ」

メイド「あと、いろんな人に会えて楽しかったって言ってましたよ」

男「あ、そう」

メイド「ドラゴンさん友達いなかったみたいですし、友達が出来て嬉しいんでしょうね」

男「だろうな」

男「じゃあ部屋行くから」スタスタ

メイド「今度ちゃんと相手して下さいよ」

男「ああ、わかってる」スタスタ

153: 2012/04/27(金) 22:01:31.02 ID:oMFuOOyb0
男「……」ガチャ

男「はあ……」

男「わかんない事だらけだよな……」

男「困ったな……」

ドラゴン「男、今いい?」ガチャ

男「……別にいいけど」

ドラゴン「……」スタスタ

男「何?」

ドラゴン「……いや、別に理由とかはないの」

男「……」

ドラゴン「ダメ?」

男「別にいいけど」

ドラゴン「……」

男「……」

ドラゴン「片付けの時、女委員長と話した?」

男「話したけど、それがなんだ?」

154: 2012/04/27(金) 22:02:09.13 ID:oMFuOOyb0
ドラゴン「いや、手伝う前に何かこそこそ話してたみたいだったから、何か大事な話でもあったのかなって思って」

男「別に変った話なんてしてねぇよ」

ドラゴン「……そう」

男「……」

男(絶対あの事気にしてるな……)

男「学校は楽しかったか?」

ドラゴン「まあ、暇つぶしにはなったわ」

男「そうか、なら良かった」

男「これからもやっていけそうか?」

ドラゴン「ええ、女委員長もいい人だしやっていけるわよ」

男「そうか」

ドラゴン「心配されなくても大丈夫よ」

男「……」

ドラゴン「何?」

男「いや、前だったら人間と一緒なんて氏んでも嫌って言ってたんだろうなって思って」

ドラゴン「……普通の人間は嫌いよ、あなたや女委員長達だから楽しいの」

男「……」

ドラゴン「……」///

155: 2012/04/27(金) 22:05:02.58 ID:oMFuOOyb0
男「ん?」

ドラゴン「何でもない、何でもないの!!」///

男「どうしたんだよ」

ドラゴン「本当に何でもないの!!」///

男「?」

メイド「男さん、頼みたい事があるんですけど……」ガチャ

メイド「……」

メイド「す、すいません、お邪魔しちゃったみたいで」

男「出ていかなくていいから、用事って何?」

メイド「買い物に行ってほしいんですけど」

男「行ってくるよ」

メイド「ドラゴンさんも一緒に行ってきたらどうですか?」

男「そんなに出歩いて大丈夫なのか?」

メイド「下手にそうやって隠したりしているとかえって目立っちゃいますよ」

男「……」

ドラゴン「私はいいわよ」

メイド「じゃあお願いします、ここに書いてあるのを買ってきて下さいね」

156: 2012/04/27(金) 22:06:28.67 ID:oMFuOOyb0
~~~~~~~~~~~~~~~


スーパー


男「……あとは、ジャガイモだな」

男「ドラゴン、とって来てくれ」

ドラゴン「いいわよ」スタスタ

男「……」

隊長「スーパーでデートか、いい御身分だな」スタスタ

男「た、隊長さん……」

隊長「私を働かせておいて自分はのんきに彼女とデートか?」

男「ち、違いますよ」

隊長「ほう、どう違うか教えてもらおうか?」


隊長はホルスターのデザートイーグルに手をかける。


男「あれはこの前言ってた竜の女の子ですよ」

隊長「竜の女の子とデートって事か?」

男「デートじゃないですよ」

157: 2012/04/27(金) 22:07:41.31 ID:oMFuOOyb0
隊長「じゃあ何だ?」

男「か、買い物を頼まれたんですよ」

ドラゴン「ジャガイモ取ってきた――――誰?」

隊長「お前が例の竜の女の子か?」

ドラゴン「そ、そうだけど……」

隊長「私は隊長だ、よろしく」

ドラゴン「よ、よろしくお願いします」

隊長「お前の事は男から聞いている」

ドラゴン「男、この人って……」

男「大丈夫、信用できる人だから」

隊長「お前からそんな言葉が出てくるなんて以外だな」

男「お願いですから銃に手をかけるのやめてくれませんか?」

隊長「断る」

男「落ち付きましょうよ、一旦」

隊長「……まったく、こっちは必氏に情報を探してやっていたのに、お前ときたら……」

男「な、何か分かったんですか?」

隊長「少しだけだがな」

158: 2012/04/27(金) 22:08:27.11 ID:oMFuOOyb0
男「何が分かったんですか?」

隊長「そう焦るな」

隊長「まずお前に聞きたい事がある」

ドラゴン「わ、私ですか?」

隊長「ああ、お前だよ」

ドラゴン「な、何ですか?」

隊長「お前は竜の事をどれくらい知っているんだ?」

ドラゴン「え、ある程度はわかるけど……」

隊長「……」

男「何が言いたいんですか?」

隊長「過去、人間と結婚した竜がいた事が分かったんだ」

男「本当ですか?」

隊長「ああ、しかも一匹二匹じゃない、過去多くの竜が人間と結婚し子供をもうけている」

165: 2012/04/28(土) 21:52:59.72 ID:aH0ex4qE0
隊長「今現在でも人間と竜の夫婦は存在している」

男「……ドラゴンは知ってたか?」

ドラゴン「全然知らなかった……」

隊長「竜と人間の友好関係はそこまで良くないんだから、知らなくて当然だ」

ドラゴン「……」

隊長「過去何度も人間と竜は争ってきてる、もちろん全て人間の惨敗だがな」

男「でも今は普通なんじゃないんですか?」

隊長「まさか、今だって何時また争いが起こってもおかしくない状態だ」

男「……」

隊長「上の連中の中は竜を嫌ってたり絶滅させようとしてるいるからな、いつ起こってもおかしくない」

男「じゃあ本にその事が書いてなかったのって……」

隊長「単純に知られていないって言うのもあるが、上の連中も関わってるんだろうな」

男「……」

隊長「これを聞いてどう思う?」

ドラゴン「……」

男「あ、もしかして」

166: 2012/04/28(土) 21:53:34.72 ID:aH0ex4qE0
隊長「残念だがそれは無い」

男「まだ何も言ってないじゃないですか」

隊長「だいたい想像がつく」

隊長「人間と竜の間に生まれた子供がどうなるか分かるか?」

男「それはわからないです……」

隊長「竜と人間の子供は竜が生まれてくるんだ」

男「え、で、でも――――」

隊長「これは絶対だ」

男「……」

隊長「竜の血がよほど薄くならない限り人間に生まれてくる事は無い」

男「……」

隊長「だが何かしらの関係があると私は思う」

男「……俺もです」

ドラゴン「その人間と竜の夫婦が何処にいるかは分からないの?」

隊長「残念ながら分からない」

男「……じゃあ調べてくれませんか?」

隊長「無茶言うな、それだけの情報で見つけられる訳ないだろ」

167: 2012/04/28(土) 21:54:30.74 ID:aH0ex4qE0
男「……じゃあ竜頃しについて調べてくれますか?」

隊長「竜頃しって、あの竜頃しか?」

男「はい、出来れば普通の人間とどう違うかを調べてほしいんですが」

隊長「……わかった、これも貸しだからな」

男「はい」

隊長「ドラゴンも男もあまり目立つような事はするなよ」

ドラゴン「はい」

男「分かってます」

隊長「私の仕事が増えたらたまらないからな」

男「……」

隊長「じゃあな」

男「はい」

男「ドラゴン、帰るぞ」スタスタ

ドラゴン「あ、うん」スタスタ

隊長「気をつけて帰れよ」

男「分かってます」

168: 2012/04/28(土) 21:55:32.30 ID:aH0ex4qE0
~~~~~~~~~~~~~~~~


公園


ドラゴン「……」

男「どうした?」スタスタ

ドラゴン「いや、少し考え事」

男「隊長の言ってた事か?」

ドラゴン「ええ……少し、ある話を思い出してね」

男「昔話?」

ドラゴン「赤い竜と旅人の恋の話よ」

男「なんだそれ」

ドラゴン「私にだって詳しくは分からないけど、何処か物凄く遠くの物話らしいわ」

男「でも竜って地球全体に住んでるんじゃないのか?」

ドラゴン「その辺は私にも分からないわよ」

男「まあいいや、家に帰ってから聞かせてくれ」

ドラゴン「いいわよ」

男「……隊長の言ってた事、お前はどう思うんだ?」スタスタ

ドラゴン「人間になんで恋をするのかまったくわからないわ」

男「言うと思った」

169: 2012/04/28(土) 21:56:39.68 ID:aH0ex4qE0
ドラゴン「分かってたなら聞かないでよ」

男「悪い」

ドラゴン「まったく……」

ドラゴン「逆にあなたはどう思うの?」

男「何が?」

ドラゴン「人間が竜に恋する事」

男「……別に何とも思わねぇけど」

ドラゴン「竜に恋する気持ちが分かる?」

男「実際恋した事なんて無いから分かんねぇよ」

ドラゴン「……そう」

青年「なあ、そこの二人」

男「……何?」

男(不良かよ……関わりたくねぇ)

青年「この辺りで怪しい奴見なかったか?」

男「怪しい奴?」

青年「ああ、とにかく怪しい奴だ」

170: 2012/04/28(土) 21:58:41.71 ID:aH0ex4qE0
ドラゴン「知らないわ」

男「知らない」

青年「そうか」

男「ドラゴン、さっさと行くぞ」ヒソヒソ

ドラゴン「え?」

男「こう言うのと関わっていい事なんて無いからな、行くぞ」ヒソヒソ

ドラゴン「あ、うん」

男「じゃあ」

青年「ああ、悪いな」

男「行くぞ」スタスタ

ドラゴン「うん」スタスタ

青年「……やっぱ竜って言っても人の形してちゃ見つかんないよな」

男「……ん?」

青年「なんだ?」

男「人の姿をした竜?」

青年「ああ、そいつを捕まえてくれってある奴に頼まれたんだ」

171: 2012/04/28(土) 22:01:45.88 ID:aH0ex4qE0
男「……どんな奴に?」

青年「どんな奴って、顔はよく覚えてないけど、結構な額を準備してるみたいだったぜ」

男「……」

青年「気になるのか?」

男「多少だけど」

青年「そいつが言うにはこの辺りにいるのは確実らしいんだ」

男「へぇ……」

青年「人間一人捕まえて大金が貰えるんだ、やらない他ないだろ」

男「……」

青年「どうした?」

男「いや、何でもない」

青年「それにしてもバカだよな、わざわざ人間になってこんな所に来てさ」

男「……」

青年「人間を頃しに来たのか? いやバカにしに来ただけかもな」

青年「どっちにしろ竜ってのはバカみたいなのが多いんだろうな」

男「お前に何が分かってんだ?」

青年「は?」

172: 2012/04/28(土) 22:02:21.91 ID:aH0ex4qE0
男「お前は何が分かってそんな事言ってんだ!!」


俺は青年の顔を全力で殴る。


青年「がっ!!」

ドラゴン「……」

男「お前は先帰ってろ」

ドラゴン「で、でも……」

男「いいから」

ドラゴン「……」スタスタ

青年「て、テメェ!!」

男「……」

青年「黙ってんじゃねえぞ!!」

男「とりあえず聞いといた方がいい事もあるしな」

青年「は?」

177: 2012/04/29(日) 22:02:35.46 ID:yHrFtsH40
今回も反射的に相手に殴りかかってしまった。
多分俺は自分で思っている以上に短気で幼稚なんだと思う。

目の前の青年は明らかに戦う気満々だ。
指をパキパキと鳴らしながら、怒りの籠った目でこちらを睨みつけている。

上等だ。
こっちだってやってやるよ。

俺もまた怒りの籠った目で相手を睨みつける。

何も知らない癖に平気で他人をバカにする奴ほどバカな奴はいねぇ。
特にバカにされたのがドラゴンならなおさらだ。

地面を大きく蹴り、青年目掛け走り出した。
まるでボクサーのように両手で顔を守り、一気に接近する。

相手の右ストレートが放たれるが、大きく体を前に倒し、回避する。
そして相手の懐に潜り込む。

とにかくもう一度この男を殴らなくては気が済まない。
理由は……多分ドラゴンをバカにしたからだ。

右手の振りを最小限に抑え、相手の腹に一撃加える。
拳が何かしらの臓器の様なものを殴ったのが分かった。
まるで水の溜まった風船を殴った様な感触が右手に伝わる。

青年の呻き声が聞こえる。
悲痛で苦しそうな呻き声。

178: 2012/04/29(日) 22:04:38.57 ID:yHrFtsH40
だがそれはすぐに雄叫びへと変化し、それと同時に俺の脇腹に衝撃がはしる。

体が浮くのがわかった。
倒れないようにと必氏で足に力を入れるが、脇腹の痛みのせいでうまく力が入らない。
結局地面に仰向けで倒れこむ。

息を吸うと脇腹に鋭い痛みがはしった。
体を起こそうにも腹への痛みでうまく体が動かない。
普段喧嘩しない分の痛みへの耐性がないんだろう。

前回と言い今回と言いかっこ悪過ぎる……。
自分で自分が嫌になりそうなくらいだよ。

普段なら絶対喧嘩なんかしないはずなのに、ドラゴンと会ってからもう二回も喧嘩していた。
しかも両方とも自分からだ。

ははっ。
なんでこんな事やってんだろうな。
いつもなら絶対喧嘩なんてしないはずだったんだけど

そんな事を考えながら苦笑する。
口元を歪め、苦しそうに笑っている自分の顔が容易に想像できる。


「調子乗ってんじゃねえぞ!!」

179: 2012/04/29(日) 22:08:27.73 ID:yHrFtsH40
そんな声と共に顔に何かがのしかかる。
見えなくても分かる。
足だ。

俺は顔を踏みつけれていた。

だがそんな事をされているにも関わらず、頭の中は冷静だった。


「……バカが」

「ふ、ふざけやがって……」


脇腹に焼ける様な痛みが襲い、地面を体が転がる。
蹴られたのだろう。

青年のまた右足が大きく振り上げられ、脇腹を蹴る動作に入る。
右足はまるで弾丸のように風を切る音を立てながら、脇目もふらず脇腹目掛け襲いかかってくる。

激痛に思わず声が漏れる。
まるで氏に際の様なか細い呻き声だ。

だが捕まえる事が出来た。

180: 2012/04/29(日) 22:10:26.97 ID:yHrFtsH40
俺は相手の顔を見て笑った。
さすがに両手で蹴りを受け止めた衝撃は大きいが、きっちりと相手の足を掴んでいる。


「く、クソ、離せ!!」


お決まりの台詞を叫びながら青年は足を大きく手を振りほどこうとする。

だが逃がさない。
両腕でがっちりと抑え込む。


全力で相手の足をねじり、転ばせる。
相手の関節を外すほどの力で躊躇なくねじった。

硬いもの同士がぶつかり合う様な鈍い音。
多分転んだ拍子に頭でも打ったのだろう。

怒りの籠った呻き声を聞きながら、立ち上がる。
足に力を入れると脇腹がズキズキと痛んだ。


「お前何なんだよ!!」


その言葉に俺は苦笑いを浮かべた。

普通に話していたら突然殴りかかったのだから当然だろう。
誰から見ても悪いのは俺なんだから。
だけど、謝る気は無いし、相手に悪い気も一切無い。

181: 2012/04/29(日) 22:12:06.32 ID:yHrFtsH40
こんな些細な事にキレてバカみたいだと自分でも思う。
けどやっぱり許せない。
特にドラゴンがどんな気持ちで人間でいるか知ってるから余計に……。

助走をつけ、青年目掛けて走り出す。


「何にも知らない癖に、偉そうな事言うんじゃねぇ!!」


渾身の力で相手の腹を蹴り上げる。
つま先が相手の体にめり込むのが分かった。
青年が地面を転がる音が聞こえた。
それは踊る様な一定のリズムを刻んでいる様な音だった。

俺は脇腹の痛みでその場に仰向けに倒れた。
呼吸は荒く、まるで長距離を全力で走り抜いた後の様だ。

何と言うか……自分が変わっていく様な気がした。
例えるなら今まで開けた事の無い様な扉が開けた様な感覚。
しかも開けて閉まった扉は今までとは全く違うものだ。

俺はその原因となった少女の顔を思い浮かべた。
もちろん満面の笑顔で。

182: 2012/04/29(日) 22:12:53.63 ID:yHrFtsH40
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


数分後


隊長「……なんだこれは?」

ドラゴン「わ、私に聞かないでよ」

隊長「おい、起きろ!!」

男「あ、はい……」

隊長「なんだこれは?」

男「いや、その喧嘩になって……」

男「それにしても、なんで隊長が?」

隊長「ドラゴンに呼ばれてきたんだ」

隊長「で、なんでこんなふうになったか説明してもらおうか?」

男「いえ、これはその……」

隊長「これはなんだ」

男「えーとその……」

隊長「おい、起きろ」

青年「ん……」

183: 2012/04/29(日) 22:14:19.11 ID:yHrFtsH40
隊長「目が覚めたか?」

青年「な、何すんだ――――」


青年は隊長に殴りかかるが、それより先に隊長の裏拳が彼の顔面に炸裂する。


青年「うぐ……」

隊長「現行犯だ、言い逃れは出来んぞ」

青年「じゃ、じゃああいつも捕まえろよ」

隊長「ああ、そのつもりだ」

男「え?」


隊長のストレートが脇腹に刺さる。


男「う……」ドサッ

ドラゴン「え、あなた何したいの!?」

隊長「世の中の治安を守ってるだけだ」

隊長「お前は男を連れてこい」

ドラゴン「え……」

隊長「いいから早く」

ドラゴン「わ、わかった」

184: 2012/04/29(日) 22:14:54.45 ID:yHrFtsH40
隊長「ほら、お前の行くぞ」

青年「お、俺は関係ない!!」

隊長「もう一発喰らうか?」

青年「……」

隊長「いい子だ」

男「なんで……俺も……」

隊長「お前が当事者だろうが」

隊長「いいからさっさと来い」

男「……」スタスタ

ドラゴン「だ、大丈夫?」

男「大丈夫」スタスタ

ドラゴン「……」スタスタ

189: 2012/04/30(月) 21:53:51.74 ID:Bvx7dbXY0
~~~~~~~~~~~~~~~~


警察署   一室


男「痛……」

ドラゴン「本当に大丈夫?」

男「大丈夫だって。このくらい別に痛くもない」

ドラゴン「痛いって今言ったじゃない」

男「……」

ドラゴン「脇腹見せて」

男「は?」

ドラゴン「脇腹がどうなってるか見せてって言ってるの」

男「な、なんでお前に見せなくちゃいけないんだよ。嫌だよ」

ドラゴン「見せられないの?」

男「見せられないって言うか見せたくないっていうか」

ドラゴン「いいから見せて」

男「……」

ドラゴン「早くして。それともやっぱり見せられないの?」

190: 2012/04/30(月) 21:57:39.10 ID:Bvx7dbXY0
男「わ、わかったよ……あんまりジロジロ見るなよ」


俺は服を捲りあげる。


ドラゴン「やっぱり痣が出来てるじゃない」

男「放っとけば治る」

ドラゴン「父様と戦った時の傷だってまだ治ってないんでしょ。やせ我慢しないの」

男「う、うるせぇ。あれは仕方ないだろ」

ドラゴン「どう仕方ないのよ。だいたいあなた沸点が低過ぎるのよ」

男「悪かったな」

ドラゴン「父様の時もあの男の時もだけどなんであなたが怒るのよ」

男「……俺だってわかんねぇよ。ただなんとなく殴りかかっちまっただけだよ」

ドラゴン「全然答えになってないわよ」

男「うまく説明できないけどとにかくお前は関係無い」

ドラゴン「……」

男「……」

ドラゴン「なんかいろいろありがとね」

男「別にそういうのいいよ。なんか俺まで悪い気するし」

191: 2012/04/30(月) 21:59:45.17 ID:Bvx7dbXY0
ドラゴン「……」

隊長「二人とも元気そうだな」

男「……」

隊長「そう怖い顔するな。あの時はああする以外なかったんだ」

男「分かってますよ。でもなんで手加減しなかったんですか……」

隊長「私は手加減が出来る様な人間じゃない」

男「……」

隊長「一応家には電話をしておいた。迎えに来ると言ってたぞ」

男「帰ってもいいんですか?」

隊長「痛み分けって所だな。相手の方も叩けば埃のでる体な訳だし、下手に事を荒立てたくないんだろ」

男「そうですか」

男「……あいつは何か言いましたか?」

隊長「いや、まだ何も話しては無い。ただ時間の問題だろうな」

男「あいつは――――」

隊長「ドラゴンからだいたいの話は聞いてる」

男「そうですか……」

隊長「ただ依頼者の方の特定は難しそうだな。情報もほとんど無いし」

192: 2012/04/30(月) 22:02:14.74 ID:Bvx7dbXY0
男「どうしても無理ですか?」

隊長「ほとんど不可能だ」

隊長「とにかくお前達は目立つ行動を控えるべきだな」

ドラゴン「分かってるわ」

隊長「問題は男だが……大丈夫か?」

男「はい」

隊長「間違っても同じような事はするなよ。毎回こんな事をやる訳にもいかないんだ」

コンコン

隊長「どうぞ」

メイド「お、男さん!!」ガチャ

男「メイド。別に迎えに来てくれなくてよかったのに」

メイド「何言ってるんですか!! 怪我はないですか!?」

ドラゴン「脇腹に痣が出来ただけ。他は大丈夫よ」

メイド「そうですか。大きな怪我がなくてよかったですね」

隊長「……男。こいつは誰だ?」

男「ああ、家で働いてるメイドです。家父親も母親も家にいないんで」

メイド「初めまして、メイドと申します」

193: 2012/04/30(月) 22:10:43.25 ID:Bvx7dbXY0
隊長「……」

男「……どうしたんですか?」

隊長「警察署への武器の持ち込みは原則禁止だが?」

メイド「……え、私ですか?」

隊長「当り前だ。じゃあポケットに入ってる手榴弾とマグナムはなんだ」

メイド「護身用の武器もダメなんですか?」

隊長「護身用にしてはやり過ぎじゃないか?」

メイド「ハンドガンなんて低火力な武器じゃ勝てない敵だってたくさんいるじゃないですか」

隊長「ふんっ、高火力が強いとは限らんだろ」

メイド「でも、機動力が高ければ強いって訳でもないじゃないですか」ニッコリ

隊長「……」

メイド「……」

男「……隊長。もう帰っていいですか?」

隊長「ああ、帰ってくれていいぞ」

男「いろいろありがとうございました」ガチャ

ドラゴン「メイドも帰るわよ」スタスタ

メイド「わ、わかりました」スタスタ

194: 2012/04/30(月) 22:12:32.67 ID:Bvx7dbXY0
隊長「……」ガチャ

隊長「……で、お前の仲間は何処にいるんだ?」

青年「し、知らねえよ。何処にいるかなんて全然わかんねえ」

隊長「……ここで嘘をつくのは得策とは思えないが、いいのか?」

隊長「今私がお前の事を調べ上げればすぐにでも逮捕できるだけの材料をそろえて来れるぞ」

青年「クソ、あの訳わかんねえ男のせいで……」

隊長「安心しろ。あいつはこれからお前以上に苦労するんだ」

青年「?」

隊長「話す気になったか?」

青年「……そんな事聞いてどうすんだ」

隊長「少しそいつ等に警告するだけだよ。これ以上その件に関わるなって」

青年「……」

隊長「私はお前達の身を案じているんだぞ。下手をすればお前達全員氏ぬ可能性だってある訳だしな」

青年「誰も逮捕する気は無いんだな?」

隊長「ああ、お前達なんかを逮捕してもそこまでおいしくないし、どうでもいいんだよ」

青年「……公園の傍の空き家だ。そこにみんないる」

隊長「協力に感謝する。じゃあ帰ってくれていいぞ」ガチャ

195: 2012/04/30(月) 22:13:24.64 ID:Bvx7dbXY0
隊長「お前達は手を出すなよ」

警官「で、ですが……本当に捕まえなくていいんですか?」

隊長「どうせまた何かしらの問題を起こすんだ。今は放っておいても構わんだろ」

警官「……」

隊長「何か起こったらお前達で処理してくれていいし、手柄もお前達がもらえばいい」

警官「い、いいんですか?」

隊長「私は出世にそこまで興味が無いんだ。気にしなくていい」

警官「わ、分かりました」

隊長「じゃあ後は任せたぞ」

警官「もう行くんですか?」

隊長「いや、少し会わなくちゃいけない人がいるからもう少し後になるな」スタスタ

警官「そうですか。気をつけて下さいね」

隊長「ああ、そうするよ」スタスタ

196: 2012/04/30(月) 22:14:06.65 ID:Bvx7dbXY0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


自宅


メイド「まったく。喧嘩するのは勝手ですが警察には見つからない様にして下さいね」

男「喧嘩はしていいのかよ……」

メイド「男さんくらいの年齢の人達は喧嘩するのが当たり前じゃないですか」

男「当たり前じゃねぇよ。だいたい今まで俺が喧嘩した事あったか?」

ドラゴン「父様と喧嘩してたじゃない」

男「あれは別だろ。相手が人間じゃないし」

メイド「もしかしてあれですか。娘さんを僕にください的な」

男「お前ちょっと黙ってろ」

メイド「つまんないですね、冗談じゃないですか」

男「その冗談全然面白くないから」

メイド「男さん、ひどい……」

男「うるさい。じゃあ俺ニ階行くからな」スタスタ

メイド「夕飯になったら呼びますね」

男「わかった」

203: 2012/05/01(火) 21:52:12.48 ID:DVuK2Hqr0
男「……」ガチャ

男「はあ……疲れた」

男(まだまだわかんない事だらけだけどドラゴンを治す方法には近づいてるのかな)

男「……近づいてるといいんだけどな」

ドラゴン「何が近づいてるといいの?」ガチャ

男「うわっ!?」

ドラゴン「だからなんでびっくりするのよ」

男「だから人の部屋に入ってくる時はノックくらいしろよ」

ドラゴン「あ、ごめんね」

男「……で、今回は何の用で来た訳?」

ドラゴン「薬持ってきたの。どうせ自分じゃ治療する気も無いんでしょ」

男「こんなの放っとけば治るから薬なんていらねぇよ」

ドラゴン「でも薬を塗った方が治りも早いし、痛みも少ないわよ」

男「……別にいい。薬もったいないし」

ドラゴン「塗ってあげるって言ってるんだから素直に塗って下さいって言いなさいよ」

男「……」

ドラゴン「ほら、さっさと上着脱いで」

204: 2012/05/01(火) 21:53:20.93 ID:DVuK2Hqr0
男「わ、わかったよ」


俺は言われたとおり上着を脱ぐ。


ドラゴン「別に私は気にしてないんだから殴らなくってもいいのに」

男「俺には俺の理由があって殴ったんだよ」

ドラゴン「じゃあ理殴った理由は何?」

男「……あいつ何も知らない癖にあんな事言ってただろ。だから腹が立ったんだ」

ドラゴン「……で、なんであなたが怒るのよ」

男「なんとなくだよ。なんとなく」

ドラゴン「ふふっ。何よそれ」

男「だからなんとなくだよ」

ドラゴン「……ありがとね。なんか私もすっきり出来たし良かったわ」

男「別にお礼なんていいし、警察署でも聞いた」

ドラゴン「そうね」

メイド「男さん、ドラゴンさん、ご飯出来ましたよ!!」

男「……行くぞ」

ドラゴン「うん」

205: 2012/05/01(火) 21:54:28.34 ID:DVuK2Hqr0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


次の日  朝  倉庫


女委員長「ふーん、そんな奴等がね」

男友「お前等気をつけないとホントに誘拐されるぞ」

男「分かってるし、十分用心して生活してるよ」

女委員長「それにしてはずいぶん不用心な気がするけどね」

男「お前の用心と俺の用心は違うんだよ」

男友「まあ、だろうな」

女委員長「短絡的なのが悪いとは言わないけど、少しは考えてから行動するのも大事よ」

男「お前はすぐに損得を計算して行動するもんな」

女委員長「直感と運だけで生きていけるほどバカじゃないだけよ」

男友「そこまで言ってやるなよ」

女委員長「あんたはただの気持ちの悪いバカだけどね」

男友「俺はただのバカかよ……」

女委員長「で、こんな朝から呼び出したんだから何かしら頼みたい事があるんでしょ」

206: 2012/05/01(火) 21:56:02.76 ID:DVuK2Hqr0
男「ああ」

女委員長「用件は何?」

男「どうやらその依頼者ってのはかなりの人数の連中に声をかけたらしい。だからもしかしたらこの学校にもその中の一部がいるかもしれないんだ」

男「だから出来る限りでいいから何かあったらドラゴンを守ってほしいんだ」

女委員長「……」

男「どうだ?」

女委員長「なんでこの場にドラゴンがいないの?」

男「それは……あいつはプライドが高いから人間になんて守ってもらわなくても大丈夫って絶対言うだろうし……」

女委員長「ふーん」

男友「まあ、そう言うのは目に見えてるよな」

男「だからこうやってあいつのいない所で頼んでるんだ」

女委員長「……」

男友「どうしたんだ?」

女委員長「うるさい。ちょっと黙ってて」

男友「……」

女委員長「いいわよ。引き受けてあげる」

男「ありがとう」

男友「何考えたんだ?」

女委員長「何も考えてなんか無いわよ」

207: 2012/05/01(火) 21:56:42.94 ID:DVuK2Hqr0
男友「嘘つけ。お前が何の利益も無しに協力する訳無いだろ」

女委員長「まあ、確かに何かしらの得はあると思ってるわよ」

男「得って?」

女委員長「別にあんたに教える必要じゃないでしょ」

男「まあ、そうだけどさ」

女委員長「あんたはドラゴンとあの子を治す事だけ考えてればいいのよ」

男「なんだよそれ……」

女委員長「言葉通りよ。余計な事考えてる暇があるならさっさとドラゴンを治す方法を見つけないさい」

男「……わかったよ」

女委員長「分かればいいのよ。分かれば」

キーンコーンカーンコーン

女委員長「さっさと教室に戻るわよ」

男「ああ、遅くなると怒られるしな」

男友「なあ、授業サボらないか?」

男「勝手にしろ。俺はサボらねぇぞ」スタスタ

女委員長「私も遠慮するわ」スタスタ

男友「……なんだよ、つまんねぇ」スタスタ

208: 2012/05/01(火) 21:57:17.14 ID:DVuK2Hqr0
~~~~~~~~~~~~~~~~


夕方   公園


男友「ドラゴンと一緒に帰らなくて本当に良かったのか?」スタスタ

男「メイドと女委員長が一緒だし大丈夫だろ。それにあのメンバーと一緒に帰るのはいろいろキツイ」スタスタ

男友「まあ、だろうな」スタスタ

男「……」

男友「男?」

男「……ん?」

男友「どうした?」

男「……いや、ちょっと考え事」

男友「ドラゴンの事か?」

男「まあ、いろいろ整理しとこうと思ってな」

男友「わかんない事とかをか?」

男「ああ。今のとこ分かんないのは本当に竜と人間の夫婦がいるのかとこの前女委員長が言ってた事と竜頃しくらいだな」

男友「……どれも厄介そうだな……」

男「ああ、本当に大変だよ」

男友「何か手がかりになりそうなもんは無いのか?」

男「あるって言えばあるけど、核心を突く手がかりがないんだよな……」

男友「そうか……」

209: 2012/05/01(火) 21:58:09.61 ID:DVuK2Hqr0
竜王「元気そうだね」スタスタ

男「……今度はなんだ?」

男友「え、誰?」

男「竜王。ドラゴンの父親で俺にドラゴンを預けて来た人だよ」

男友「ま、マジで!?」

竜王「その通りだ」

男友「え、なんでここにいるの?」

男「そうなるのは分かるけど一旦落ち付け」

竜王「君が一人になったら会おうと思っていたんだがね。まあ彼も知っているようだしいいかな」

男「丁度いいよ、俺も聞きたい事が山ほどあるし」

男友「……」

男「先に話してくれ。俺の話は後からでも別にいいだろ」

竜王「いや、別に何か話がある訳じゃないんだ。ただ君に会いに来ただけだよ」

男「生存確認みたいなもんか?」

竜王「まあ、そうだな」

男友「ドラゴンには会いに行かないのか?」

210: 2012/05/01(火) 21:59:29.51 ID:DVuK2Hqr0
竜王「そうしたいんだが生憎今は顔を会わせ辛くてね」

男「別に俺もドラゴンもあんたの事を嫌いになったわけじゃねぇぞ」

竜王「そうだとしてもやはり会い辛いものなんだよ」

男「意味わかんねぇ……」

竜王「君も父親になれば分かるだろうね」

男「じゃあ俺の聞きたい事を聞いてもいいか?」

竜王「ああ、構わないよ。私の分かる範囲でなら、だけどね」

男「竜頃しについて知ってるだけ教えてほしいんだ」

竜王「竜頃しはその名の通り竜を頃す者だよ。それ以外の何者でもない」

男「そう言う事じゃなくてもう少し詳しく教えてくれ」

竜王「……正直それを私に聞くのは間違っていると思うよ」

男「は? どういう事だ?」

竜王「竜頃しは人間の唯一の武器な訳だ。なら人間の方が詳しいに決まっているだろう」

男友「確かにな……でもどの本にも書いてなかったって言ってなかったか?」

男「書いて無かったよ。何処にも書いてなかった」

竜王「そんな重要な事を図書館なんて言う場所に置く訳ないだろう」

男「……」

215: 2012/05/02(水) 21:57:34.37 ID:FPt+BUpC0
男友「じゃあ何処にあるんだ?」

竜王「それは私にも分からない」

男「少し調べてみた方がいいか……」

竜王「少なくとも私に聞くより多くの情報が集まると思うよ」

男「あともう一つ聞きたい事があるんだけど。いいか?」

竜王「私は構わないよ」

男「竜と人間の――――」


その瞬間、俺と竜王の間に何かが降ってきた。


男友「なんだ!?」

男「俺にわかるかよ」ゲホゲホ

???「まさか本当に人間に頼んでいたのか。あの半端者の小娘がそんなに大事か?」


それは全身黒ずくめの男だった。
顔まで隠れているのでほとんど見る事が出来ない。


男「誰?」

竜人「竜人、とでも言っておこう」

216: 2012/05/02(水) 21:59:31.92 ID:FPt+BUpC0
男「竜人?」

竜王「……誰だ?」

竜人「知る必要は無い」

男友「なんだよこいつ……」

男「男友。一旦逃げろ」

男友「え?」

男「いいから逃げろ!!」

竜人「あの半端者は何処だ」

男「……ドラゴンの事か?」

竜人「そうだ。あの半端者はどこだ?

男「……」

竜人「お前がかくまっているんだろ?」

男「……もし言わなかったら?」

竜人「力ずくで言ってもらうまでだ」

217: 2012/05/02(水) 22:02:53.01 ID:FPt+BUpC0
その瞬間、強烈な爆風が俺を包んでいた。
肌が焦がす様な熱風が全身を襲う。


「話す気は無いんだな?」


竜人を中心に半径一メートルほどの地面が真っ黒に焦げていた。
地面はまるでガスバーナーで炙った様に炭化していた。

考えなくても体が理解する。
この男は警告の為に辺りを一瞬で焼け焦がしたのだ。
もはや警告と言うより脅しに近い様な気もするが……。

竜人と目が合う。
その目には明らかに殺意の炎が揺れていた。

だが、それは俺も同じ事。
俺もまた怒りの目で竜人を睨みかえす。

竜人の体が僅かに前屈みになる。
地面を蹴る音が響き、竜人が突っ込んでくる。

素早く横に跳び、その攻撃を紙一重で回避する。
その勢いのせいで体のバランスが崩れ、地面に転がってしまう。

218: 2012/05/02(水) 22:05:01.62 ID:FPt+BUpC0
俺は倒れた状態のままついさっきまで自分の経っていた場所を見た。

そこには竜人が膝を突き拳を地面に突き立てていた。
地面は炭化し、もはや原形を留めていない。
そこだけまるで異次元の様な雰囲気を醸し出していた。


「次は、外さんぞ」


竜人は俺の方を見ながらそう言った。
その表情は文字通り『無』であり、感情と言うものがまるでない。
まるで仮面をかぶっているかのように表情が凍りついている。

竜人が跳び、一直線にこちらへと向かってきた。
その姿はさながらミサイルの様だ。

避けられない。
直感的にそう理解する。

俺はとっさに近くにあった木片を盾にしていた。
もちろんその程度で防げるなんて到底思えない。
それは考えるよりも先に体が行動してしまっていたのだ。

体を強烈な熱風が襲う。
熱風に襲われているはずなのに体芯はは氷のように冷え、全身に寒気がはしっていた。

219: 2012/05/02(水) 22:07:16.66 ID:FPt+BUpC0
体が吹き飛び、地面に転がる。
まるでリンチされているかのように全身に痛みがはしった。

目の前のぼやけた光景がゆっくりと鮮明になっていく。


「……生き……てる?」


俺はぼんやりとそう呟いた。
盾にしていた木片は消滅していたがその他は服が多少焦げただけ、体の傷は全て地面を転がった時に出来たものだ。
驚く事に骨すら折れていなかった。

俺は立ちあがりながら竜人を見た。
その顔にはほんの少しだが驚きの表情が浮かんでいる。


「……この姿では火力不足だな」


竜人は自分の体を見ながらそう呟く。
その声には少しの焦りもない。

竜人は俺と竜王を交互に見ると、その場を立ち去って行った。

220: 2012/05/02(水) 22:08:14.82 ID:FPt+BUpC0
男「……何なんだよ、あいつ」ハァハァ

男友「だ、大丈夫か?」スタスタ

男「逃げろって言っただろ」

男友「いや、なんか逃げちゃ悪いかなって……」

男「……いや、そこは逃げようよ」

竜王「無事で良かったな」

男「なんで助けに入らねぇんだよ」

竜王「常に私がいる訳でもないんだ。君自身の強さを見ておこうと思ってね」

男「この前お前と戦っただろ」

竜王「あの時と今回とでは違うだろ」

男「……」

男友「あ、あいつは何なんだよ!!」

竜王「竜だろうな。ドラゴンの事をよく思わない連中の一人だ」

男「なんでここに?」

竜王「私を追って来たのだろう」

男友「じゃあお前が悪いのかよ!!」

竜王「ああ、すまない」

221: 2012/05/02(水) 22:09:17.97 ID:FPt+BUpC0
男「俺の顔がバレたんだけどどうすんだよ」

竜王「安心しろ。私が手をうっておく」

男「お前は信用できない」

竜王「まあ、そう言われても仕方ないな……」

男「当たり前だろ」

竜王「君がどう言おうと勝手だが私はちゃんと何かしらの手は打っておくつもりだ」

男「期待はしないでおくよ」

竜王「勝手にしてくれ」

竜王「そういえばさっきの質問はなんだ?」

男「……竜と人間の夫婦が本当にいるなら何処にいるのか知りたい」

竜王「……調べておこう」

男「頼む」

竜王「他にはないか?」

男「特には無いかな。あったらまた聞く」

竜王「そうか」スタスタ

226: 2012/05/03(木) 22:28:10.87 ID:e2+Z7e0u0
~~~~~~~~~~~~~~~


男の家


ドラゴン「……」

メイド「学校は大変ですか?」スタスタ

ドラゴン「別に、授業も簡単だし女委員長もいるし、全然大変じゃないわよ」

メイド「そうですか」

ドラゴン「何。どうしかしたの?」

メイド「いえ、なんか元気無いなって思って」

ドラゴン「別に、何でもないわよ」

メイド「本当ですか?」

ドラゴン「本当よ」

メイド「……」

ドラゴン「……」

メイド「嘘ですね」

ドラゴン「……」

メイド「……誰にも言いませんから話して下さい」

227: 2012/05/03(木) 22:29:50.37 ID:e2+Z7e0u0
ドラゴン「……本当に?」

メイド「私は嘘はつきませんよ。多分」

ドラゴン「多分って……信用出来ないわよ」

メイド「冗談ですよ。絶対誰にも言いません」

ドラゴン「……」

メイド「男さんの事ですよね?」

ドラゴン「……なんで分かるの?」

メイド「勘です」

ドラゴン「……」

ドラゴン「私が来てまだ一週間も経ってないでしょ」

メイド「そうですね」

ドラゴン「なのに男はあんなに傷だらけでしょ」

メイド「まあ、ずいぶん無茶なことしてるみたいですからね」

ドラゴン「だから、私がいない方がいいんじゃないかなって……私がいたら本当に男が氏ぬんじゃないかって思うの」

メイド「……私には何とも言えません。ただドラゴンさんはそう思うんですか?」

ドラゴン「だって私がいなかったらあんな怪我しないでしょ」

メイド「確かにそうですね」

ドラゴン「ならやっぱり私はいない方がいいのよ……」

228: 2012/05/03(木) 22:32:38.47 ID:e2+Z7e0u0
メイド「でも男さんは怪我の事なんて気にしてませんし、氏ぬって決まった訳じゃないですよ」

ドラゴン「私のせいで怪我してるのは本当でしょ……それに私の事だってまだ一つも謎が解けてないし……」

メイド「そう自分を責めない方がいいですよ」

ドラゴン「……」

メイド「……」

メイド(これは思った以上に悩んでるみたいですね……)

メイド「……」

ドラゴン「……」

男「ただいま」

メイド「あ、お帰りなさい」

ドラゴン「お帰り……どうしたの?」

男「いや、ちょっといろいろあって。別に怪我とかはしてないから大丈夫」

ドラゴン「そ、そう」

メイド「……」

ドラゴン「……」

男「え、何?」

メイド「何でもないですよ」

229: 2012/05/03(木) 22:34:12.49 ID:e2+Z7e0u0
ドラゴン「ええ、何でもないわ」

ドラゴン「……じゃあ二階に行くわね」スタスタ

男「あ、ああ」

メイド「男さん。何があったんですか?」

男「竜に襲われたんだよ。竜王のせいでな」

メイド「……」

男「……何だ?」

メイド「何でもないです」

男「なんか変な感じだな……」

メイド「男さん。ドラゴンさんの事ちゃんと考えて下さいね」

男「え、ああ」

メイド「戻す事じゃなくて、ドラゴンさんの事をですからね」

男「な、なんだよ」

メイド「お願いしますね」

男「わ、わかったよ」

メイド「じゃあご飯になったら呼びますから」スタスタ

男「わ、わかった……」

230: 2012/05/03(木) 22:35:54.04 ID:e2+Z7e0u0
男「……」スタスタ

ドラゴン「大丈夫なの?」

男「聞いてたのか」

ドラゴン「盗み聞きしてたんじゃなくて聞こえちゃったの」

男「どっちでもいいよ」

ドラゴン「その服が焦げてるのも竜のせい?」

男「まあな、ほとんど無傷だから今日は治療はいらないからな」

ドラゴン「なんで私が治療してあげる事が普通みたいになってるのよ」

男「え、違うの?」

ドラゴン「当たり前じゃない。これからは自分で治療しなさいよ」

男「あ、ああ。わかった」

ドラゴン「じゃあね」ガチャ

男「……」ガチャ

男「何であんなに機嫌悪いんだろ……」

男「メイドもなんかいつもと違ってたし……どうなってんだよ」

男「……」

231: 2012/05/03(木) 22:41:00.03 ID:e2+Z7e0u0
~~~~~~~~~~~~~~~~~


とある研究所


隊長「初めまして。学者さんでいいですか?」

学者「ええ。あと敬語を使わなくてもいいですよ。慣れていないんでしょう?」

隊長「……まあな、じゃあ普通に話させてもらうぞ」

学者「構いませんよ」


この白髪交じりで眼鏡の中年の男は学者。
中肉中背の白衣姿でいかにも研究者と言った感じだ。
この男は日本でも数少ない竜研究の第一人者らしい。


学者「今回はどんなご用件ですか?」

隊長「少し長くなるが、構わんか?」

学者「あまりにも長くなると困ります。私も暇な人間でないのでね」

隊長「分かっているよ。普通なら私程度の身分ではあなたに会う事すら出来ないからな」

学者「別にそういう意味じゃないですよ。今は特に忙しいですからね」

隊長「竜が日本に来ているからか?」

学者「はい。竜の事を知るには絶好の機会ですからね」

232: 2012/05/03(木) 22:41:34.97 ID:e2+Z7e0u0
隊長「私の話もその竜に関する事でね」

学者「ええ。知っていますよ」

隊長「……じゃあ聞かせてもらうが、人間の姿をした竜を見た事はあるか?」

学者「ええ、知っていますよ。竜は人間の姿にもなれるそうですね」

隊長「見た事は?」

学者「無いですね」

隊長「……そうか」

学者「あなたの聞きたい事が分かりませんね」

隊長「まだ本当に聞きたい事を聞いてないからな」

学者「ゆっくりと本題に入っていくタイプの方ですか」

隊長「初対面の相手に単刀直入に質問するのはいろいろ危険だからな」

学者「さすがは特殊部隊の隊長ですね」

隊長「今何か気になる事は無いのか?」

学者「いろいろありますよ。人間の姿になっているのではなく、人間の姿でしかいられない竜がいるという噂話とかですね。噂とはいえ興味深い話です」

隊長「……変わった話だな」

学者「ええ、竜の姿をしていない竜の話は私も聞いた事が無いですからね」

隊長「理由は分かるか?」

233: 2012/05/03(木) 22:42:51.07 ID:e2+Z7e0u0
学者「分かりませんよ」

隊長「想像でもいい。お前の意見を聞かせてくれるか?」

学者「詳しくは分かりませんが。何かしらの特殊な力が働いている事は確かでしょうね」

隊長「その力はなんだと思う? もちろん想像で構わん」

学者「すいません。分かりません」

隊長「そうか……」

学者「で、本題と言うのはなんですか?」

隊長「……ああ、そうだったな。竜頃しについて聞きたいんだ」

学者「竜頃しですか。また変わったものを調べていますね」

隊長「少し頼まれてな」

学者「竜頃しと言っても具体的に何をお教えしたらいいですか?」

隊長「分かる事を出来るだけ教えてほしい」

学者「……分かりました」

隊長「頼む」

学者「では、最初にお聞きしますが、あなたは竜頃しを何処までご存知ですか?」

隊長「竜を頃すために特殊な力を持った人間だろ。神話では神が竜への対抗手段として生み出した」

234: 2012/05/03(木) 22:43:30.28 ID:e2+Z7e0u0
学者「そうですが、一つ訂正してよろしいですか?」

隊長「何処か間違っていたか?」

学者「ええ、一か所だけ。竜頃しは竜を頃すためだけの特殊な力を持った人間です。勘違いしないでもらいたい」

隊長「何が違うんだ?」

学者「つまり竜頃しの特殊能力は竜だけに効くものであり、それ以外はただの人間だと言う事です」

隊長「つまり竜頃しと人間の戦いはただの人間同士の戦い、と言う事か?」

学者「そう言う事です。つまり彼等は竜を頃すのではなく、竜しか頃す事が出来ない、とも言えるんです」

隊長「竜以外のものと戦う時はただの人間だからか?」

学者「そう言う事です」

学者「あともう一つ付け加えるとしたら竜頃しには大まかに二種類あるんです」

隊長「二種類?」

学者「はい、大まかに分けた場合ですが、竜頃しは戦闘型と非戦闘型に分ける事が出来るんです」

隊長「……詳しく教えてくれるか?」

学者「はい、わかりました」

235: 2012/05/03(木) 22:44:06.05 ID:e2+Z7e0u0
今日はここまでです。

239: 2012/05/04(金) 22:04:04.02 ID:ZgZzJWwL0
学者「まず戦闘型は言葉通り戦闘で竜と戦う竜頃しの事を言います」

隊長「一つ聞きたいんだが、戦闘型の竜頃しなら人間にも余裕で勝てるんじゃないのか?」

学者「確かに竜と戦っている時の戦闘能力なら十分に人間にも勝てるでしょうが、人間相手ではその力は発揮されないんですよ」

隊長「あくまで竜相手にのみ力を発揮する。と言う事か」

学者「そう言う事です」

学者「それに全ての戦闘型の竜頃しが戦闘能力の強化とは限りませんし」

隊長「戦闘型にもいろいろなタイプがいると言う事か?」

学者「はい、ただ戦闘で竜を頃すと言う事だけでタイプは様々ですから」

隊長「例えばどんな奴がいるんだ?」

学者「最も多いのは肉体強化型ですね。次に多いのは武器強化型でしょうか」

隊長「武器強化型?」

学者「はい。自分の持っている武器を強化……と言うより竜を頃すのに特化したものに変化させる能力を持ったものです」

隊長「詳しく言えばどうなるんだ?」

学者「すいませんが分かりません。あとその他にもいろいろ種類がありますが私は分からないです」

隊長「そうか……非戦闘型というのはどんな奴なんだ?」

学者「私にも詳しくは分かりませんが毒を持った者などがいたそうです」

隊長「毒?」

学者「はい、竜を毒頃すると言う事です」

240: 2012/05/04(金) 22:06:59.39 ID:ZgZzJWwL0
隊長「食われるのか?」

学者「はい。自分から竜に食われるんですよ」

隊長「……竜を頃す事と引き換えに自分も氏ぬわけか」

学者「自分一人の命で竜を一匹殺せれば十分ですよ」

隊長「他にどんなのがいるかは分からないか?」

学者「すいませんが、非戦闘型は情報量が少なくて……」

隊長「そうか……」

学者「……私が分かるのはここまでです。お役に立てましたか?」

隊長「十分だ」

学者「また何か分かればお知らせしますよ」

隊長「助かる」

学者「では私はこれで」スタスタ

隊長「……また来てもいいか?」

学者「時間の余裕があれば何時でも」ニッコリ

隊長「ありがとう。ではまた何時か会おう」スタスタ

隊長「……」ピッ

241: 2012/05/04(金) 22:08:45.82 ID:ZgZzJWwL0
隊長「……」プルルルル

男『はい』

隊長「男。今大丈夫か?」

男『あ、はい。珍しいですね、隊長さんから電話してくるなんて』

隊長「ああ、明日会えるか?」

男『明日ですか……多分大丈夫だと思います』

隊長「じゃあ夕方にいつもの公園だ。わかったな」

男『あ、はい』

隊長「遅れるなよ」

男『え、何があったんですか?』

隊長「いろいろ話したい事がある。詳しくは明日話す」

男『わ、わかりました』

隊長「じゃあまた明日」

男『あ、はい』

隊長「……」ピッ

隊長「さて、じゃあ行くかな」スタスタ

242: 2012/05/04(金) 22:11:44.07 ID:ZgZzJWwL0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


鉄で作られたその建物は空き家と言うより寂れた工場に近い様な佇まいだ。
窓ガラスは全て割れ、中から聞こえてくる笑い声や話し声は完全に外に漏れ、外にいる私にも十分に聞こえていた

煙草に火をつけ、一服する。
いつもならデザートイーグルを構え、中に突入するが、今回は相手が相手なだけに銃が使えない。

まったく。
つまらん相手だ。

煙草を咥えたまま、扉を開ける。
錆びた鉄同士が擦れ合う様な独特の音を立てながら、扉はゆっくりと開く。
鉄と煙草とアルコールが混ざった様な嫌な臭いが外へと流れ出す。

ゆっくりと建物の中を見渡す。

相手は五人。
どれも髪の色がカラフルで、奇抜な服装をしており、彼等の周りには煙草やら酒やらが散乱している。

今の大人達が嘆きたくなる訳だ……。


「誰だ、テメェ?」


髪を真っ赤に染めた男がそう言う。
相手をなめきっているのがはっきりとわかる口調だ。

243: 2012/05/04(金) 22:12:55.34 ID:ZgZzJWwL0
こう言う無礼な態度は嫌いだ。
特に目上や年上の人への敬意の念の欠片の無いこういう態度は特に。


「別にお前等に何かしようって訳じゃない。ただ警告に来ただけだ」


冷静に言うべき事だけを伝える。
こんな無能な連中と下らない話をしていられるほど暇でもない。


「は? お前何様のつもりだよ」


予想通り過ぎる反応に呆れてしまう。
なんでこういう連中は人の話を聞くと言う事を聞こうとしないのかが疑問だ。

……まあ、人の話を聞かないからこそこんな連中になってしまったのだろうが……。
どちらにせよクズと言う事に変わりは無い。


「だから警告に来てやっただけだと言っただろう。あとお前等、口のきき方には気をつけろ」

「何偉そうに言ってんだよ。ババア」


その言葉は私の逆鱗に触れた。
今すぐ銃を構えてこのクソ野郎どもの眉間を撃ち抜いてやってもいいが、さすがにそれは出来ないので必氏で耐える。

244: 2012/05/04(金) 22:14:16.98 ID:ZgZzJWwL0
のたうち回る怒りを抑えながら、クソガキ共を睨みつける。
さっきまでの冷静な私はもはやここにはいない。
苛立ちを抑えながら出来る限り冷静に振る舞う。


「もう一度言う。口のきき方には気をつけろ」


さっきよりも低い声でそう告げる。
これがこのクソガキ共への最後のチャンスだ。

更に私の逆鱗に触れるようなら容赦する気は毛頭ない。


「うるせえよ。ババ――――」


その言葉よりも先に私の蹴りがその男の顔面を捉えていた。
相手の男が痛みを感じる間もなく吹き飛ぶのがわかる。
十分な加速で放ったその一撃によって軽々と一メートルは地面を転がっていた。

下手をすれば骨が折れているかもしれないが私には関係の無い事。
それに悪いのはあちらの方だし、最悪書類を改ざんすればどうとでもなるのだ。


「何してんだテメェ!!」

「何って、世の中を知らないクソガキ共に世の中を教えてやってるんだろ。私はちゃんと注意したぞ」

245: 2012/05/04(金) 22:16:17.99 ID:ZgZzJWwL0
あくまで冷静で大人な対応をする。
もちろん私の中での冷静で大人な対応だが。

目の前の男が殴りかかってくるのが見える。
だが遅い。
それこそ亀のようにのろまと言う言葉がピッタリなほど遅い。
そこら辺のチンピラではあまりに役不足だと言う事か。

頭を下げて相手の攻撃をかわし、そのまま相手の腹を殴る。

たったその一撃で男は呻き声を上げ、嘔吐した。
苦しそうに息を荒げながら、地面に膝をつく。

だが私の攻撃はまだ終わっていない。
そのままの勢いを殺さずに膝をついた男の顔面目掛け回し蹴りをした。

関節が外れる様な、骨が折れる様な音を立てて、男は吹き飛んでいた。
まるで玩具の人形のように地面に体のあらゆる場所を擦りつけながら地面を転がっていく。

受け身すらとれないその姿はあまりに無様で滑稽だ。


「テメェ……」

「銃を使ってないだけありがたいと思えよ。もし使ってたら今頃お前等は壁のシミだぞ」

246: 2012/05/04(金) 22:17:52.27 ID:ZgZzJWwL0
そんな事を言いながらほんの僅かに笑う。
それは邪悪で他人を嘲笑するような笑みだ。

こう言うバカを相手にするのは相手にするでなかなかに面白いものだ。
もちろん暇つぶしとしての意味だが。


「さあ、次はどいつだ? 私は誰でもいいぞ」


僅かに声が高くなったのは楽しんでいる証拠だ。
きっと顔も悪女の様な微笑を浮かべている事だろう。

相手が動くよりも先にこちらが動いた。
一番近くにいる茶髪で髪を逆立てた男の足を払う。

受け身もとれず、背中から地面に叩きつけられた男は苦しそうに呻いていた。
背中を叩きつけたせいか仰向けで荒い呼吸をしている。


「世の中なめてると痛い目見るって覚えとくんだな」


何の躊躇も無く、顔を踏みつける。
トマトの類がつぶれる様な湿っぽい音が響く。
もしかしたら歯の一本や二本折れたかもしれない。

残り二人。

私はゆっくりとそこで茫然と立ち尽くしている二人に向き直った。

247: 2012/05/04(金) 22:18:59.06 ID:ZgZzJWwL0
今日はここまでです。

隊長さんは結構職権乱用するタイプの人です。

251: 2012/05/05(土) 21:51:33.00 ID:RTEOoFKr0
一番近くにいる男の腹に前蹴りを入れる。
かなり手加減もしているし、速度も遅いはずなのに腹を押さえて倒れる辺りこいつ等の弱さがうかがえる。
贅沢は言わないからもう少しくらい粘ってほしい。

止めに相手の頭にかかと落としを決める。
もちろん本気でやれば氏んでしまうのは目に見えているので露骨に手加減する。
この程度のチンピラでは手加減した事すら分からないだろうが。

やっぱり飽きてくるな。

かかと落としをくらった男が意識を失った事を確認すると、最後の一人の方に向き直る。

もし全員で囲んで袋叩きにしていればもう少し時間は稼げただろうに。
体だけでなく頭も弱い証拠だ。


「どうした。私ばっかり攻撃しても面白くないだろ。お前達も攻撃して来たらどうだ?」


嫌みをたっぷり含んだ言葉を最後の一人投げつける。
それに腹を立てて、二人で攻撃してこれば、それはそれで好都合だ。
そこまでの勇気と度胸があれば、の話だが。


「す、すいませんでした……」


ピアスの男の方が頭を下げる。
誠意を見せると言う事なのだろう。
何も言わない私に恐怖しているのか、体が小刻みに震えている。

252: 2012/05/05(土) 21:52:44.10 ID:RTEOoFKr0
目上の人に対して無礼な事をした場合謝るのが当然だな」

「は、はい……」


男の声は小さく、か細い声だった。
それほどに恐怖に怯えているのだろう。


「私も戦う気でここに来た訳じゃない。だがお前達のせいでこうなったのは理解できるな?」


私の問いにピアスの男は無言で頷く。
素直なのかそれともただ怯えているだけなのかはいまいち分からない。


「私の言いたい事は三つだ。まず一つ目に他人への口のきき方は気をつけろ。二つ目に未成年者が酒呑んだり煙草吸ったりするな」


煙草の煙を吐き、一呼吸置く。
微妙な雰囲気に相手の男も戸惑っているように見える。

だがそんな事は気にせず続ける。


「最後に、謝って許してもらえると思ったら大間違いだ」

253: 2012/05/05(土) 21:54:17.53 ID:RTEOoFKr0
その瞬間、相手の表情が凍りついたのが分かった。
まるで仮面の様に表情が固まり、ピクリとも動かない。

だがそんな事を気にせず私はピアスの男に近づく。
わざとゆっくりと、そして露骨に足音を立てて。。

男は僅かに悲鳴を上げながら後ずさりした。
だが足がもつれるのか、そのまま転ぶ。
それでもまだ芋虫のように地面を這いずりながら逃げようとする。

強くは無いが、なかなか面白い反応をしてくれる。

歩く速度を更にゆっくりにする。
足音がゆっくりとしたリズムを刻む音が建物中に響き渡る。

逃げようとする男の地面を這いずる音も聞こえる。

だが追いつくのも時間の問題だろう。


「何時まで逃げる気だ?」


背中を右足で踏みつけそう尋ねる。

男は短い悲鳴を上げながら逃げようとするが、更に強く踏みつけ逃げられない様にする。

254: 2012/05/05(土) 21:55:40.16 ID:RTEOoFKr0
「そうだ。他の連中にも言っといてくれ、これ以上竜の件には関わるなってね」

思い出し、伝えるべき事を伝える。

静寂。

何の音も無い時間がただただ過ぎていく。
お互いに微動だにしない。


「わかったか。お前が伝えるんだぞ」


相手の反応が無いのでもう一度念を押す。
こういう明らかに無駄な時間は嫌いだ。

ピアスの男が無言で頷いた。
黙っていれば何かされると思ったのか、私が話し終わった瞬間に頷いていた。

それを確認すると相手の頭を踏みつける。
硬いもの同士がぶつかり合う様な鈍い音が部屋に響いた。


「はあ……まったく最近のガキ共は教育が足らんな」


煙草を足で踏み消しながら、誰に言う訳でもなく呟いた。

255: 2012/05/05(土) 21:57:10.12 ID:RTEOoFKr0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


夜  男の家


男「トイレ行っとこ」スタスタ

男「……」スタスタ

ドラゴン「……」

男「あれ、まだ起きてたの?」

ドラゴン「え、あ……」

男「どうした?」

ドラゴン「な、何でもないわ」

男「なんか変じゃねぇか?」

ドラゴン「何処が変なの?」

男「いや、なんとなく……」

ドラゴン「気のせいよ、気のせい。私は普段通りよ」

男「そ、そうか。なら別にいいんだけどさ」

ドラゴン「あなたこそこんな夜中にどうしたのよ」

男「トイレだよ」

257: 2012/05/05(土) 21:58:10.97 ID:RTEOoFKr0
ドラゴン「あ、そう」

男「そっちはどうしたんだよ」

ドラゴン「ただ眠れないだけよ」

男「……寝れなくなるほどのなんかがあるのか?」

ドラゴン「別に何にも無いわよ。ただたまにあるじゃない、眠れない日が」

男「ま、まあ、確かに」

ドラゴン「それと同じよ。今日たまたま眠れないだけでいつもは普通に寝てる訳だし」

男「ならいいんだけどさ」

ドラゴン「それより怪我は大丈夫なの?」

男「今日は別に大した怪我なんてしてねぇよ。かすり傷だけ」

ドラゴン「今までの傷も含めて大丈夫って意味よ」

男「別にどうって事ねぇよ。ほとんど痛みも無いし」

ドラゴン「そう、なら良かったわ」

男「やっぱりなんか変じゃね。お前」

ドラゴン「……具体的に何が変なの?」

男「いや、具体的に何って訳じゃないけどさ……なんか変だなって」

ドラゴン「……」

男「悪い。多分俺の思い違いだと思う」

258: 2012/05/05(土) 21:58:56.88 ID:RTEOoFKr0
ドラゴン「あ、当たり前じゃない。思い違いよ」

男「悪いな」

ドラゴン「……ま、まあ、今回は許してあげるわ」

男「……」

ドラゴン「トイレ行かなくていいの?」

男「あ、そうだな。じゃあお休み」

ドラゴン「お休み。さっさと寝なさいよ」

男「お前もな。明日学校だしさっさと寝ろよ」

ドラゴン「分かってるわよ」

男「じゃあお休み」スタスタ

ドラゴン「お休み……」

ドラゴン「……」

ドラゴン「男、メイド。ごめんね……」

259: 2012/05/05(土) 21:59:36.81 ID:RTEOoFKr0
~~~~~~~~~~~~~~~~~





男「おはよう」スタスタ

メイド「おはようございます」

男「……あれ、ドラゴンは?」

メイド「まだ寝てるんじゃないですか?」

男「あ、そうかもな。昨日遅くまで起きてたみたいだし」

メイド「……なんで男さんがそんな事まで知ってるのか疑問です」

男「別に変な事じゃねぇからな。ただ夜トイレに行った時にあっただけだよ」

メイド「そうですか。すいませんがドラゴンさんを起こして来てもらえますか?」

男「わかった」スタスタ

男「ドラゴン。朝だぞ」コンコン

男「……」

男「おい、寝てんのか?」コンコン

男「……」

男「入るぞ」ガチャ

260: 2012/05/05(土) 22:04:12.28 ID:RTEOoFKr0
男「……」


部屋にはドラゴンはおろか荷物すら無くなっていた。


男「は?」

男「……なんだこれ」

『男とメイドへ
 突然で悪いけど家を出て行かせてもらいます。
 私は大丈夫なので気にしないで下さい。
   ドラゴン』

男「……」スタスタ

メイド「あれ、どうしました?」

男「はい。これ」スッ

メイド「え、なんですかこれ」

メイド「……」

男「何でだろうな……」

メイド「……男さん」

男「何?」

メイド「私が昨日言った事覚えてますか?」

264: 2012/05/06(日) 21:43:30.26 ID:jjzyY4yZ0
男「ドラゴンの事を考えろってやつか?」

メイド「そうです。男さんドラゴンさんに夜会ったんなら何か気付かなかったんですか?」

男「……なんかいつもとなんとなく違うなって思ったけど」

メイド「その何か違うのが何なのかを考えて下さい」

男「そんな事言われても……」

メイド「ドラゴンさんの気持ちを考えてみてください」

男「気持ち……ね」

メイド「なんで出て行ったのか。その理由があるはずです」

男「そんな事言われてもな……」

メイド「ほんのちょっとでいいから分かればいいんですよ。ドラゴンさんの言ってた事を思い出してみて下さい」

男「……わかんねぇよ」

メイド「じゃあ分かるまで考えて下さい」

男「……お前は分かってるのか?」

メイド「だいたいはわかってます。でも男さんがそれに自分で気付かないと意味が無いんです」

男「自分で分かれってか?」

メイド「そう言う事です」

265: 2012/05/06(日) 21:45:01.15 ID:jjzyY4yZ0
メイド「言っておきますがそれが分かるまで探しに行っちゃダメですからね」

男「なんでだよ」

メイド「原因が分からなければ同じ事の繰り返しですよ」

男「……」

メイド「きっちり原因を知ってください。そのためにドラゴンさんの気持ちを分かってあげてください」

男「……わかった」

メイド「なんでドラゴンさんが出ていったか分かったら探しに行って下さい」

男「ああ」

メイド「これはドラゴンさんと男さんの問題ですからね。当事者同士で解決して下さい」

男「俺とドラゴンとの問題……」

メイド「はい。誰かに聞くのも大事だと思いますけど、男さんとドラゴンさんの問題だと言う事は忘れないで下さい」

男「ああ、わかったよ」

メイド「……学校遅れちゃいますよ」

男「あ、ああ」

266: 2012/05/06(日) 21:48:37.34 ID:jjzyY4yZ0
~~~~~~~~~~~~~~~~~


朝  倉庫


男「……」

男友「どうした?」

男「……」

男友「おい……どうしたんだよ」

女委員長「ドラゴンが出て行ったんだって」

男友「……え?」

女委員長「今言った通りよ。ドラゴンが男の家から出て行ったの」

男友「なんで?」

女委員長「私が知ってる訳ないでしょ」

男友「だよな。じゃあ男はあんな所で何やってんだ?」

女委員長「原因を考えてるんだって」

男友「原因って、ドラゴンが出て行った原因か?」

女委員長「それ以外に何があるのよ。本当にバカね」

267: 2012/05/06(日) 21:50:33.68 ID:jjzyY4yZ0
男友「そうだよな……で、男はいつからああやって考えてるんだ?」

女委員長「さあ、私が来たときにはもうああやって考えてたわ」

男友「ずいぶん考え込んでるんだな」

男「……あれ、男友……いつ来たんだ?」

男友「さっきからずっといたよ」

男「……そうか」

女委員長「で、わかったの?」

男「全然……」

男友「俺達も一緒に考えやろうか?」

男「いい。これは俺とドラゴンの問題だし」

男友「……あ、そう」

女委員長「心当たりとか無い訳?」

男「あったら苦労してねぇよ」

女委員長「何か些細な事でいいから思い出しなさいよ」

男「些細な事……」

男「ダメだ……わかんねぇ」

268: 2012/05/06(日) 21:52:53.42 ID:jjzyY4yZ0
女委員長「時間もそんなに無いんだからさっさと原因を思い出しなさいよ」

男友「え?」

女委員長「当たり前でしょ。ドラゴンはもう出て行ってるんだからどうなってるか分かんない訳だし」

男友「それヤバくない!?」

女委員長「普通にヤバいわよ。でも男が言うに原因が分からないと同じ事の繰り返しになるって言ってるし」

男友「おい、そんな事やってないでさっさと探しに行けよ!!」

男「わかってるよ」

男友「原因なんて後から聞けばいいだろ」

男「メイドが言ってたんだよ。原因が分からなくちゃ意味が無いって」

男友「そうは言っても……」

男「今日中に原因は見つける。で、見つけたらすぐドラゴンを探しに行く」

男友「……」

女委員長「私もそれには賛成よ。けど出来るだけ早くしてね」

男「分かってるよ」

女委員長「とりあえず授業始まるから教室に行くわよ」スタスタ

男「ああ」スタスタ

男友「……」スタスタ

269: 2012/05/06(日) 21:53:41.14 ID:jjzyY4yZ0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~





男「……」

男友「なあ、本当に一人で大丈夫か?」

男「大丈夫」

男友「でも全然わかんないんだろ。しかもドラゴン学校来てないし」

男「普通来る訳無いだろ。来たら俺と会っちまう訳だし」

男友「まあ、そうだけどさ。ドラゴンの事心配じゃないのか?」

男「心配だよ。でも今すぐ探しに行って見つけてもあれだろ」

男友「あれって何だよ」

女委員長「さっきも言ったでしょ。なんで出て行ったのかわかんなくちゃ意味が無いって」

男友「でも先に助けに行った方がいいんじゃないか?」

女委員長「それを決めるのはあんたじゃなくて男よ」

男友「……そうだな」

女委員長「あとそうやってぼんやり考えてるんだったらパン買ってきてくれない?」

男友「今までのいい話が台無しだな」

270: 2012/05/06(日) 21:56:03.58 ID:jjzyY4yZ0
女委員長「暇してるなら誰かの役に立ちなさいよ」

男「……別にいいよ。暇だし」

男友「いいのかよ」

女委員長「じゃあアンパンで頼むわね」

男「わかった。お前も一緒に行くか?」

男友「俺は飯あるからいい」

男「あ、そう」スタスタ

男「……」スタスタ

男「すいません。アンパン一つ」

売店員「どうぞ」

男「ありがとうございます。あ、あと湿布ももらえますか?」

売店員「ありますよ」

男「ありがとうございます」スタスタ

男「……」スタスタ

男「ただいま」スタスタ

男「ほら、アンパン」スッ

女委員長「ありがと」

男友「なんで湿布なんか買ってんの?」

271: 2012/05/06(日) 21:58:16.07 ID:jjzyY4yZ0
男「怪我した所が痛いからだよ」

女委員長「そう言えば喧嘩したり竜に襲われたりしたらしいわね」

男「まあね」

男友「湿布張ってやろうか?」

男「あ、頼む」


俺は服を捲る。


女委員長「湿布はドラゴンに貼って貰ったの?」

男「いいって言ってるのに怪我が早く治るからって貼られたんだ」

男友「なんでお前は普通に青春してんだよ」

男「知るか。それにお前が思ってるような感じじゃないからな」

女委員長「でもドラゴンが心配してくれたんでしょ」

男「あいつは心配性過ぎるんだよ。あとすぐ自分のせいだって思い込むし」

女委員長「ああ見えて繊細なのよ」

男「……」

女委員長「何どうしたの?」

男「いや、あいつやけに俺の怪我の心配とかしてたからさ……」

279: 2012/05/07(月) 22:00:26.98 ID:6l2zJBsP0
男友「いいじゃん。愛じゃん。青春じゃん」

男「いや、愛とかそう言うんじゃなくて……」

女委員長「そう言うんじゃなくて?」

男「なんて言うか……子供とぶつかったら凄く心配するだろ。あんな感じ」

男友「全然わからん」

女委員長「それはあんたの頭が悪いからよ。まあ私もあんまり意味は分かんないけど」

男友「俺と変わらんだろ」

男「……」

女委員長「で、それがどうしたの?」

男「あいつ俺が怪我するといつも自分せいだって言ってたんだよ。だから俺に怪我させない様に出て行ったのかなって……」

女委員長「……」

男友「……」

男「本当に俺とかが巻き込まれない様に出て行ったのか?」

女委員長「私に振らないでよ」

男友「俺だってわからんぞ」

男「……」

女委員長「で、あんたはどうするの?」

男「探しに行く。まだあいつを元に戻してないんだし」

280: 2012/05/07(月) 22:02:20.74 ID:6l2zJBsP0
男友「手伝うぞ」

女委員長「私も手伝うわよ」

男「いいのか?」

男友「友達だろ」

男「悪い……」

男友「いいっていいって」

女委員長「あとで何かしらの報酬は要求するわ」

男「……結局かよ」

女委員長「悪いけど無報酬で協力するほど私は優しくないわよ」

男「先生とかには無報酬で協力したり頼みごと聞いたりしてる癖にか?」

女委員長「ちゃんと報酬はもらってるわよ。いい成績って言う報酬をね」

男友「怖……」

女委員長「あとあんたはドラゴンにあったらなんて言えばいいか考えときなさいよ」

男「お、俺?」

女委員長「あんた以外に誰がいるのよ」

男友「素直に好きだ、でいいんじゃね?」

女委員長「って言ってるけどどう?」

281: 2012/05/07(月) 22:03:53.32 ID:6l2zJBsP0
男「別に好きじゃないから」

男友「……男、自分の気持ちに嘘をつくもんじゃないぞ」

男「何なの、お前?」

女委員長「……あんたがそう思ってるんならそう思ってればいいんじゃない?」

男「何その言い方」

女委員長「別に」

男友「真面目な話、本当にドラゴンには何の気持ちも無いのか?」

男「……何の気持ちも無い訳じゃない。けど好きとかそう言うんじゃないんだよ」

女委員長「まあ、あんたがそう言うんならそうなんだろうね」

男「そうだよ」


キーンコーンカーンコーン


男友「もう昼休み終わりかよ……」

女委員長「残りの話は授業が終わってからね」

男「ああ」

女委員長「じゃあまた後で」スタスタ

282: 2012/05/07(月) 22:05:21.71 ID:6l2zJBsP0
~~~~~~~~~~~~~~~~


町中


ドラゴン「……」

ドラゴン「何処行こうかな……」

ドラゴン(そういえば私そんなにこの町に詳しくないんだよね)

ドラゴン「と、とにかく男達に会わなくていいように遠くに行かなくちゃね」スタスタ

ドラゴン「……」

ドラゴン(男とメイドは今頃どうしてるかな……男は学校行ってるんだろうな……)

ドラゴン(置き手紙だけで出て来ちゃった訳だし、絶対怒ってるよね……)

ドラゴン「男。メイド。ごめんね」

ドラゴン「……」スタスタ

ドラゴン(女委員長達にも話してくれたかな)

ドラゴン「女委員長達にも迷惑かけるかもしれないし、私がいなくなったほうがいいの……」スタスタ

ドラゴン「……男の怪我、本当に大丈夫かな」

283: 2012/05/07(月) 22:08:13.36 ID:6l2zJBsP0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~――


夕方 公園


女委員長「なんでここなの?」

男「隊長と今日会う約束してたんだよ」

女委員長「隊長って?」

男友「俺達の協力者の人。めっちゃ強い。んで機嫌が悪いとめっちゃ怖い」

男「的確な説明だな……」

男友「凄く分かりやすいだろ」

女委員長「ええ、凄くよく分かったわ」

男「……そろそろ来るかな」

隊長「悪いな。遅くなった」スタスタ

男「別に構いませんよ」

隊長「……そっちの子は?」

女委員長「初めまして。男と男友のクラスメイトで女委員長といいます」ニッコリ

男「……相変わらずだな」ボソッ

男友「いつもの事だろ」

284: 2012/05/07(月) 22:15:22.48 ID:6l2zJBsP0
隊長「私は隊長。よろしく頼む」

女委員長「こちらこそ。よろしくお願いします」ニコニコ

隊長「……」

女委員長「どうかしましたか?」ニコニコ

隊長「媚び売るタイプの人間は嫌いじゃないんだが、好きでも無いな……」

女委員長「別に媚びを売ってる気はないですよ」ニコニコ

隊長「いい事を教えてやろう。人間は意識的に笑うと笑顔が露骨になるんだ」

女委員長「それがどうかしましたか?」

隊長「私から見るとお前の笑顔は少し度が過ぎてるように見えるぞ」

女委員長「私は別に媚びを売ってるつもりはありませんよ」

女委員長「それにもし媚びを売ってるにしても、いつも無愛想なあなたよりずっとマシな気がしますけど」

男友「女委員長って凄いんだな……」

男「ああ、久々に実感した」

隊長「……口のきき方がなって無いな。これだからガキは……」

女委員長「私は言いたい事を言ったまでですよ。口のきき方とは関係ないと思いますけど」

男友・男「……」

285: 2012/05/07(月) 22:21:53.26 ID:6l2zJBsP0
隊長「怒らせたなら謝ろう。悪いな、私はお前と違って他人の機嫌を取るのが苦手でね」

女委員長「まるで私がご機嫌とりみたいな言い方ですね」

隊長「違うか?」

男友「隊長絶対怒ってるよ」

男「女委員長も怒ってるだろ」

隊長「私は頭の悪い奴と話すのは嫌いだが頭のいい奴と話すのは嫌いじゃない」

女委員長「私もこういう人と話すのは嫌いじゃないわ」

隊長「……」ニヤリ

女委員長「……」ニッコリ

男「すいません。なんで呼びだしたか教えてもらえませんか」

隊長「ああ、すまないな。こいつとの話が面白くて忘れていた」

男「で、何が分かったんですか?」

隊長「女委員長はどのくらい知ってるんだ?」

男友「俺と同じか、それ以上知ってると思います」

隊長「ならいい。説明する手間が省ける」


隊長は学者の事を説明してくれた。

286: 2012/05/07(月) 22:28:22.66 ID:6l2zJBsP0
途中ですが今日はここまでです。

287: 2012/05/07(月) 22:28:44.98 ID:m5311gOW0

引用: 男「お前は?」ドラゴン「ドラゴンよ」