541: 2019/05/05(日) 05:07:21.60 ID:IYa5VeT80
前回:【ラブライブ】千歌「ポケットモンスターAqours!」【その8】
最初から:【ラブライブ】千歌「ポケットモンスターAqours!」【その1】
■Chapter041 『きらきら』
梨子「きゃあああああああああ!!!!!?!!?」
体が背中から自由落下している。
──このまま、地面に激突……つまり、
氏。
そのとき、腰のボールが揺れる。
梨子「っ!!!」
──ボム! ボールは音を立てて、
「ポポ!!」「チコッ!」
ポッポとチコリータが飛び出す。
「ポッポー」
ポッポは私の腕を掴み、羽をばたつかせる。
「チコ!!」
チコリータは私に“つるのムチ”を巻き付け、
「チコッ」
もう一方に伸ばしたムチで岩肌の出っ張りを掴もうとする。
梨子「ポッポ! チコリータ!」
だが、落下速度は僅かに緩んだだけ、
梨子「ダメっ!!!」
咄嗟に二匹を抱き寄せる。
「ポポ!?」「チコッ!!」
このままじゃ一緒に地面に叩きつけられちゃう……!
せめて、少しでも二匹への反動が減るようにと……。
そしてそのまま、私は地面に──。
* * *
梨子「──は……っ……は……っ……」
天を仰向けで見ている私の視線の遠くの方に、今しがた私たちが落ちてきたであろう穴が見えた。
視界にはキラキラとした、粉みたいなものが舞っている。
542: 2019/05/05(日) 05:09:00.07 ID:IYa5VeT80
梨子「いき……てる……っ……?」
落下は止まっていた。
梨子「そ、そうだ! チコリータ! ポッポ!」
「チコ」「ポポ」
抱きしめられたままのチコリータとポッポが腕の中から顔を出す。
梨子「はぁ……よかった……」
ひとまず、無事を確認して、私は身を起こす。
辺りは岩肌に覆われていて──まあ、洞窟に落とされたんだから、当然か……。
ただ、不思議な点がいくつか。洞窟内が薄ぼんやりと明るいこと、
そして、私たちが無事だった、理由。
──白いふわふわとしたものが、私たちの下には広がっていた。
梨子「これ……なんだろ……」
しかも、光っている。
「チコチコ」
気付くと、チコリータが口で私の服を引っ張っていた。
梨子「な、何?」
「チコ」
チコリータは頭の葉っぱで洞窟の奥を指す。そこには……。
「シュ…」「シュー…」
ポケモンが岩の陰に隠れてこっちを見ている。
ただ、そこも光るふわふわのせいで丸見えなんだけど……。
梨子「そうだ……図鑑」
私はポケモン図鑑を開いた。
『ネマシュ はっこうポケモン 高さ:0.2m 重さ:1.5kg
点滅しながら 発光する 胞子を 辺りに ばら撒く。
薄暗く 湿った場所が 好きで 昼は 寝ながら
樹木の 養分を 吸い 夜に 目覚めて 活動する。』
梨子「ネマシュ、胞子……ってことはもしかして、これって……」
──キノコ?
気になって力を入れて押してみると、
──ボフ。
梨子「きゃ!?」
543: 2019/05/05(日) 05:11:30.45 ID:IYa5VeT80
胞子が飛び出して、キラキラと点滅している。
やっぱり、大きなキノコみたいだ……。
とにもかくにも、お陰で助かった。
上を見上げると、先ほど同様、遠くに私たちが落ちてきた穴の口が見える。
あそこから一直線に落ちてきたということだ。
梨子「結構落ちたみたいだね……あの高さじゃポッポも飛べないよね」
「ポポ」
……というか、ペラップでも無理。
垂直に飛ばないといけないし……。
梨子「ここから上に戻るのは無理……」
視線を上から戻して、洞窟内を見回す。
薄ぼんやりと光るキノコに照らされた洞窟内の岩肌には、あちこちに水晶のようなものが見える。
キノコの灯りを反射して、僅かに光っていた。
そういえば、真姫さん、水晶や鉱石を多く含んだ岩石で出来ているって言ってたっけ……。
梨子「そうだ……真姫さん」
真姫さんが合図を出した瞬間、メブキジカから振り落とされた。
梨子「…………」
正直、身体よりも心への精神的なダメージが大きかった。
ずっと、私を見守ってくれていたメブキジカがこんな形で謀反を起こすとは思ってもみなかった。
「チコチコ」
ぼんやりとしていると、チコリータがまた私の服の裾を引っ張っている。
梨子「チコリータ……奥に進もうってこと?」
「チコ」
……確かに、ここでボーっとしていてもしょうがない。
梨子「とりあえず、いけるだけ行ってみようか」
「チコ」
私はふわふわのキノコの上で立ち上がる。
すると、足がずぶずぶと沈みこむ。
キノコは上からの見た目よりもずっと大きく、かなり弾力があるようだ。
歩き辛いキノコの上を転ばないように歩く。
「ポポ」
ポッポが肩に止まり。
「チコ」
チコリータはぴょんぴょんとキノコの上を跳ねながら軽快に前進する。
私たちは洞窟を奥へと進んでいく。
544: 2019/05/05(日) 05:12:36.79 ID:IYa5VeT80
* * *
「ブルル…」
真姫「心配なら、追いかけてもいいのよ? 貴方のレベルなら、登攀することは出来なくても縦穴を降りることは出来るでしょ?」
「ブルル」
真姫「……ま、好きにすればいいけど」
* * *
「チェリ…」
一応チェリムも出してみたけど……。
完全に“ネガフォルム”になってしまっている。
梨子「洞窟の中じゃ、日差しがないからしょうがないか……戻れ」
チェリムの特性“フラワーギフト”は晴れていれば花を咲かせて、元気になるが、反対に日差しがない場所では元気がなくなってしまう。
それにしても……。
梨子「ホントに真姫さん……どういうつもりなのかな」
「チコ?」
梨子「理由があるにしても、普通いきなり落とす……?」
自分の景色を見つけろ……って言ってたけど。
梨子「ずっと洞窟だし……」
確かに薄ぼんやり光ってるキノコは綺麗と言えば綺麗だけど……ちょっと不気味でもある。
夜の虹の話もしてたけど……。
梨子「洞窟の中じゃ、夜空見えないし……」
「チコ」
私の独り言に相槌を打つようにチコリータが鳴く。
ふわふわしたキノコの上を進むたび、岩陰に見切れていたネマシュたちが奥の方に逃げ、しばらく逃げたら、また同じように岩陰から覗いてくる。
そんな光景の繰り返し。
梨子「……ん……」
「ポポ」
耳元でポッポが鳴く。
梨子「…………?」
「ポポ、ポポ」
545: 2019/05/05(日) 05:13:46.28 ID:IYa5VeT80
──何か……変だ……。
頭の中に靄が掛かってくる。
視界に映る、ぼんやりとした光が点滅して……。
「チコチコ!!」「ポポ!!」
梨子「あ……れ…………?」
だんだん、力が抜け……て……。
「チコッ!!!」
──チコリータが鳴くと同時に、ボンボンボンッ! と連続で破裂音がする。
梨子「!?」
音に驚き、意識が戻ってくる。
梨子「な、なに!?」
「チコ!!」
チコリータの方を見ると、自分の頭の葉っぱの上にタネが乗っていた。
それを私に見せるように、放ると──
──ボンッ!!
音を立ててタネが爆ぜる。
“タネばくだん”みたいだ
梨子「わ、私……今寝てた……?」
「チコッ」
チコリータが頷く。
気付けば、大きなキノコの上でうつ伏せになっている。
私は上半身を起こして、頭を振った。
気付いたら眠っていた……いや、眠らされていた。
キノコを踏むたびに、飛び出る、光る胞子を見ていたら、だんだん視界が──。
「ポポッ!!」
梨子「……はっ!!」
今度はポッポの鳴き声で戻ってくる。
梨子「この光、見てると眠くなる効果がある……!?」
私は立ち上がって、走り出す。
このキノコ地帯は思ったより危険だ……!
視線を前に戻すと、
「シュー」「ネマシュー」
また岩陰からネマシュがこっちを覗いている。
梨子「もしかして、あのネマシュたち……!!」
546: 2019/05/05(日) 05:14:51.57 ID:IYa5VeT80
ある疑惑が脳裏に浮かぶ。
梨子「チコリータ! “はっぱカッター”!」
「チコッ!!」
チコリータが頭の葉っぱを振るうと、そこから鋭く硬い葉っぱが飛び出す。
その葉っぱは、ネマシュたちの隠れている岩にぶつかり、硬い音を立てる……が。
「シュー」「ネマシュ」
梨子「やっぱり、逃げない……!!」
私は勝手に臆病なネマシュたちが驚いて逃げてるんだと思っていたけど……違う。
梨子「私が“キノコのほうし”で眠るのを待ってたんだ……!!」
眠った後……養分にするために……!
だが……わかっていても、
視界が揺れる、
「ポポッ!!」
耳元でポッポの大きな声。
梨子「……!! ごめん、ありがとうポッポ」
視界をどこに向けても光が目に入ってきて、気付くと眠りかける。
ポッポがこうして起こしてくれるから、どうにかだけど……。
梨子「ポッポが寝ちゃうのが一番まずい……チコリータ、ポッポに“なやみのタネ”」
「チコ」
チコリータがポッポに向かって、タネを投げつける。
そのタネがポッポの羽毛に紛れると、
「ポッポ…」
ポッポが少しだけ苦い顔をする。
梨子「ごめん、ポッポ! ちょっと我慢して!」
「ポポー」
“なやみのタネ”は対象のポケモンの特性を“ふみん”にする技だ。
チコリータはそもそもくさタイプだから、“キノコのほうし”で眠ることはないが、ポッポは別。
だから、予め眠らないように対策を打つ。
後は──
「シュー」「ネマシュー」
よくよく見ていると、ネマシュたち自身も光る胞子を放っている。
梨子「チコリータ、ネマシュたち、撃退できる?」
「チコッ!!」
梨子「よし! “マジカルリーフ”!」
「チコッ!!」
547: 2019/05/05(日) 05:16:28.57 ID:IYa5VeT80
先ほどの“はっぱカッター”同様、葉っぱを飛ばして攻撃する。
が、さっきの技とは少し違う。
“マジカルリーフ”は周りこむように、一匹のネマシュに炸裂する。
「ネマッシュ!」
この技は必中技。追尾式だ。
攻撃を食らったネマシュはさらに洞窟の奥へと逃走する。
梨子「よし、効いてる!」
「チコッ」
私はそのまま一本道を埋め尽くす、光るキノコの上を全力で走る。
すると、今走っている、通路の先の方で、キノコの道が終わり、開けた空間が見える。
梨子「! 通路の出口……!」
出口を見つけた拍子に、逸ったのか足に力が入る。
梨子「きゃ!?」
足場が悪いこともあったせいか、足がもつれて、身体が前傾のまま、宙を浮く。
柔らかいキノコの上を転がりながら、
梨子「きゃぁっ!!」
通路の外に放り出され、開けた空間を転がる。
梨子「──……痛……くない……?」
「チコチコ」
チコリータの鳴き声を聞きながら顔をあげると、辺りに“グラスフィールド”が敷き詰められていた。
梨子「チコリータがやったの?」
「チコ」
梨子「そっか、ありがとう。怪我せずに済んだよ」
「チコ」
改めて辺りを見回す。
後ろには先ほど走ってきた通路が光っている。
前方には比較的開けた空間が広がり、上方には──。
梨子「何……これ……」
大きな水の塊が浮いている……?
その中を何か、魚のようなポケモンの影が泳いで……。
梨子「いや、違う……これ、水晶……?」
よく見てみると、それは水が浮いているんじゃなくて、透明な水晶の壁を隔てた先に、水が溜まっているだけだと気付く。
まるで、天然の水槽のように。
梨子「すごい……もしかして、クリスタルレイクの湖底……?」
548: 2019/05/05(日) 05:18:17.73 ID:IYa5VeT80
天然水槽の上の方からはわずだが太陽の光が差し込んで、洞窟内を仄かに照らしている。
幻想的な光景だった。
梨子「綺麗……」
「ポポ!」「チコッ!」
梨子「!」
見蕩れていたのも束の間、二匹の声で我に返る。
梨子「ネマシュたちは!?」
視線を下に戻すと、
「マシェー…」
そこにはネマシュよりもさらに大きな傘のキノコを持ったポケモンが怪しく身体を揺らしていた。
『マシェード はっこうポケモン 高さ:1.0m 重さ:11.5kg
点滅する 胞子を 吹き出し 眠りに 誘う。 眠った
獲物の 精気を 腕の 先から 奪うことが 出来る。
仲間が 弱ると その 生気を 送って 助けてあげる。』
梨子「ネマシュの進化系……! 群れのボス」
「マシェー」
マシェード鳴き声と共に辺りいっぱいに“キノコのほうし”をばら撒く。
梨子「!! ポッポ、“かぜおこし”!」
「ポポー!!」
ポッポの羽ばたきによって巻き起こる風で胞子を吹き飛ばす。
この開けた空間なら、さっきみたいに辺り一面を“キノコのほうし”に囲まれるということはない。
好機を逃すまいと、マシェードに視線を戻すと、
「マッシェーー!!!」
マシェードが激しく閃光した。
梨子「きゃっ!?」
咄嗟に目を庇って、腕を上げる。
梨子「っ! ポッポ!? チコリータ!!」
「ポポ」「チコッ」
名前呼ぶと声が返ってくる、どうやら無事みたいだ。
ただ、
梨子「今の“マジカルシャイン”……!」
突然の激しい閃光を浴びて、目がちかちかする。
落ちた視力の先でぼんやりとマシェードが揺れている。
梨子「チコリ──」
チコリータに指示を出そうとした瞬間、急に膝が落ちる。
549: 2019/05/05(日) 05:19:37.79 ID:IYa5VeT80
梨子「な、に……っ……!?」
急に全身から力が抜けていく。
「マシェー」
梨子「こ、れ……マシェードの攻撃……“ちからをすいとる”……?」
どんどん力が抜けていく、
すぐに上半身を起こしていることも出来ず、四つん這い状態になる。
そのすぐ横を、光弾が飛んできて、
「ポポッ!!」
ポッポを弾き飛ばした。
梨子「ポッ、ポ……!!」
恐らく今のは“エナジーボール”だ。
私が体勢を崩して指示が遅れたところに、攻撃が飛んできた。
「マッシェー」
ポッポが戦闘不能になったのをいいことに、マシェードは再び“キノコのほうし”をばら撒く。
梨子「……く……」
急激に眠気が襲ってくる。
「チコッ、チコッ!!」
チコリータが私を葉っぱでぺしぺし叩いている。
梨子「……っ」
奥歯を噛み締めて、眠気を堪える。
梨子「チコ、リータ……! “つるのムチ”……!」
「チコッ!!」
チコリータの伸ばした蔓がマシェードを捕える。
550: 2019/05/05(日) 05:20:15.00 ID:IYa5VeT80
「マシェ!?」
「チコッ!!」
梨子「“しぼりとる”……!!」
「チコッ!!!」
「マシェシェ…!!」
そのまま思いっきりマシェードを蔓で締めあげる。
梨子「ぅ……だめ、だ……今、寝ちゃ……」
「チコッ!!!」
「マーシェー!!!!」
霞む視界、意識がまどろみ始める。
響き渡る鳴き声から、恐らくチコリータとマシェードの力比べ状態。
梨子「チコ、リータ……」
「チコッ」
この攻防を勝ちきらないと、恐らくマシェードの養分になる。
梨子「おね……が、い──」
「!! チコッ──」
……意識が落ちる瞬間。チコリータが眩く光った気がした──。
* * *
551: 2019/05/05(日) 05:22:29.44 ID:IYa5VeT80
────────
──────
────
──
『梨子』
懐かしい声が聞こえる。
『梨子はどんなトレーナーになりたい?』
あれ、なんだっけ……これ……。聞き覚えがある……。
これは……夢……?
『わたしはね! きらきらしたとれーなーになりたい!』
『キラキラしたトレーナー……素敵ね! お母さん楽しみにしてる!』
ああ、そうだ……あの日、タマムシシティから旅立つ前日にお母さんとした会話だ……。
これは、私の……記憶だ──。
──
────
『いたい……っ……!! いたいよぉ……っ……!!』
『梨子、大丈夫だから!! すぐにお医者様が見てくれるから……!!』
これは……デルビルに噛まれた後かな。
──
────
『後遺症こそ残りませんが……痕はどうしても……深く牙が刺さったのは内腿だったので、目立つ場所ではありませんが』
──
────
552: 2019/05/05(日) 05:23:21.37 ID:IYa5VeT80
『梨子……』
『あ、何……お母さん……。ちょっと、ボーっとしてた……』
『梨子は今でも旅、出たい……?』
『……あはは、あんな目にあって、今更旅に出たいなんて言わないよ』
『……そう』
……嘘だ。
私はずっと冒険に憧れていた。
──
────
『え、旅に出られるって……』
『遠くの地方でたまたま、貴方と同い年の子が旅立つってことで……梨子、行ってみない?』
『い、いや……でも、私は……』
ホントは行きたい。
私もいろんな世界が見たい。
『梨子がやりたいことなら、お母さん、応援するから……!!』
『お母さん……。……お母さんが、そう、言うなら……』
『ホントに……!? すぐに先方に連絡するわね……!!』
──
────
『梨子、何かあったらメブキジカに頼ってね……!! この子はお母さんの相棒で、きっと梨子の力になってくれるから……!!』
『ブルル』
──
────
『キレイな地方だって聞いたから、たくさんいろんなものを見てきて』
『梨子』
──『キラキラしたトレーナーに』──
* * *
553: 2019/05/05(日) 05:24:37.57 ID:IYa5VeT80
「ベイベイ…」
梨子「……やっと、思い出した……」
「ベイ…」
梨子「私……キラキラしたトレーナーに、なりたかったんだ……っ……」
真姫『──なんで、貴方のお母さんは、“この地方”に旅に出してくれたんだと思う?』
──それは……
梨子「……わたし、が……っ……わたしが……きらきらを、ほしがったから……っ……」
「ベイ」
思い出して、想わず、涙が零れた。
梨子「……かがやきを……っ……ぅっく……っ……さがしたかったから……っ……」
母の愛の深さを、想い出して……。
梨子「……こんな、けしきを……っ……、……わたしに……っ……たくさん……っ……みつけて、ほしかった……から……っ……」
だから、この輝きの地方──オトノキ地方だったんだ。
──天を見上げると、
水晶で出来た水槽の中で
たくさんの光が──ケイコウオたちが、
水の夜空を、
踊っている。
プリズムのように七色に光を乱反射させ、
──タマムシ色の世界が広がっている。
梨子「……おかあさん……っ……わたし……っ……わた、し……っ……」
バカみたいだった。
ちゃんと足を止めて、空を見ればよかった。
私の欲しいものは、きっとここまでにもたくさんあったんだ。
私が見ようとしなかっただけで、
554: 2019/05/05(日) 05:25:33.44 ID:IYa5VeT80
「ベイベイ」「ポポ」
──旅の仲間も。
私が子供のとき夢見た、冒険も、こんなに近くにたくさんあったのに、
梨子「……ベイリーフ……っ……ポッポ……っ……」
「ベイ」「ポポ」
梨子「……いままで……っ……、ちゃんと、むきあえなくって……っ……ごめん、なさい……っ……」
「ベーイ…」「クルッポー」
ベイリーフとポッポが顔を寄せてくる。
梨子「……こんな……、じぶんかって、な……グス……っ……わたしに……っ……いまでも、ついてきてくれて……っ……ヒグ……っ……ありがとぅ……っ」
「ベイベイ…」「ポポッ」
──ずっと私の欲しかった冒険は、すぐ傍にあったんだ。
涙の先で、七色の光が、水中の夜空を踊っている。
クリスタルレイクの虹が……夜の虹が──
梨子「おかぁさん……っ……、……わたしっ……」
──虹色の幻想に包まれて、しゃくりをあげて泣きながら、
梨子「……きらきら……、……みつけたよ……っ……」
私はやっと……。
……やっと、
自分の景色を見つけることが出来た。
──そんな気がしました。
555: 2019/05/05(日) 05:26:57.25 ID:IYa5VeT80
>レポート
ここまでの ぼうけんを
レポートに きろくしますか?
ポケモンレポートに かこんでいます
でんげんを きらないでください...
【クリスタルケイヴ】

主人公 梨子
手持ち ベイリーフ♀ Lv.18 特性:しんりょく 性格:いじっぱり 個性:ちょっぴりみえっぱり
チェリム♀ Lv.29 特性:フラワーギフト 性格:むじゃき 個性:おっちょこちょい
ペラップ♂ Lv.25 特性:するどいめ 性格:ようき 個性:ものおとにびんかん
ドーブル♂ Lv.54 特性:ムラっけ 性格:しんちょう 個性:しんぼうづよい
ポッポ♀ Lv.17 特性:するどいめ 性格:ひかえめ 個性:ものおとにびんかん
バッジ 3個 図鑑 見つけた数:80匹 捕まえた数:8匹
梨子は
レポートを しっかり かきのこした!
...To be continued.
556: 2019/05/05(日) 15:24:28.46 ID:IYa5VeT80
■Chapter042 『星』
梨子「──よい、しょ……!」
ひとしきり泣いた後、私はクリスタルケイヴを歩き回り、外に出る口を見つけ、
梨子「よし……着いた……!」
丘の頂にあるクリスタルレイクへと再び赴いていた。
たぶん、場所的には大きな湖の東側だと思うから、最初に落ちた場所とはちょうど反対側……だとは思うけど、
とりあえず、それはいいや。
梨子「ベイリーフ!」
「ベイベイ」
梨子「“つるのムチ”!」
「ベイ!」
時間帯は既に深夜。静かな湖畔に釣り糸の要領でムチを垂らすと……。
「ベイ」
梨子「! 引いて!」
「ベイ!!」
すぐに、ポケモンが引っかかって、釣りあがる。
「キョキョッキョキョッ」
野生のケイコウオが月夜の中で発光しながら、飛び出した。
『ケイコウオ はねうおポケモン 高さ:0.4m 重さ:7.0kg
太陽を いっぱいに 浴びた 尾ビレの 模様は 暗くなると
鮮やかな 色で 光りだす。 2枚の 尾ビレを 羽ばたかせて
泳ぐ 姿から 別名 湖の アゲハントと 呼ばれている。』
梨子「いけ、ポッポ!!」
「ポポッ──」
ボールから繰り出したポッポが、眩く光る。
梨子「うぅん!!」
マシェードの戦いを経て、経験が溜まったポッポも新しい姿に──。
梨子「ピジョン!!」
「ピジョーーー!!!」
私は、決めた。
この旅を目一杯、楽しむんだって。
いろんな景色を見て、いろんな場所を歩いて、経験して、
戦って、勝ったり、負けたりしながら、
仲間たちと、一人のポケモントレーナーとして……!
梨子「ピジョン!! “つばさでうつ”!!」
「ピジョピジョオーーーー!!!」
557: 2019/05/05(日) 15:26:44.07 ID:IYa5VeT80
空中に飛び出した、ケイコウオを翼で弾く、
「キョキョッ!!!!」
吹っ飛ばされたケイコウオは空中にいるまま、
「キョキョキョ!!!!」
ピジョンを、自らが吹き出した水で狙い打つ。
“みずでっぽう”!
梨子「ピジョン! “オウムがえし”!!」
「ピジョッ!!!」
ピジョンは羽を使って、その“みずでっぽう”をケイコウオに撃ち返す。
「キョキョ!!!」
直後ケイコウオは空中に居るまま、尾ビレをたくみに使って、回転し始める。
すると、その激しく振るわれる尾ビレから、強い風が吹き始めた。
梨子「きゃっ!? 魚なのに、“かぜおこし”!?」
強風に煽られ、打ち返した水は軌道を逸らされ、外れる。
その隙にケイコウオは水へと潜り──
──すぐさま、ピジョンへ向かって、“とびはねる”で距離を詰めてくる。
梨子「ピジョン、“エアカッター”!!」
「ピジョォー!!!!」
ピジョンの翼から空刃が撃ち出される。
「キョキョ、キョキョキョ!!!」
ケイコウオはまたも尾ビレを使って器用に回転しながら、
その尾ビレで“エアカッター”を薙ぎ消す。
梨子「“アクアテール”か……!」
攻撃的なケイコウオはそのまま、ピジョンに空中で突撃しようとしてくる、
梨子「ピジョン! “たつまき”!」
「ピジョッピジョオォーーー!!!」
ピジョンが力一杯羽を羽ばたかせると、目の前に竜巻が発生する。
「キョキョ!? キョキョキョ!?」
その竜巻に飲み込まれた、ケイコウオはさらに高く打ち上げられて、
「キョキョ キョキョキョ」
さすがにこれ以上の空中制御の手段を失ったまま、落ちてくる。
梨子「ベイリーフ! お願い!」
「ベイ!」
558: 2019/05/05(日) 15:28:22.98 ID:IYa5VeT80
ベイリーフに空のモンスターボールを渡して、
「ベーイ!!!」
“つるのムチ”を使っての遠投。
大きく蔓をしならせて、振りかぶったボールは、ケイコウオに吸い込まれるように飛んでいく。
「キョキョ──」
ボールがぶつかり、そのまま吸い込まれたケイコウオは、
湖の水面にボールに入ったまま落ちたあと、
──大人しくなった。
梨子「……やった!」
「ピジョ」
そのボールをピジョンが脚で掴んで持ってくる。
梨子「ありがとう! ピジョン!」
「ピジョピジョ」
梨子「ケイコウオ……ゲットだね」
「ベイベイ」
1番道路でポッポを捕獲して以来の捕獲だ。
梨子「……ベイリーフ、ピジョン……!」
二匹を抱き寄せて、
梨子「ありがとう……」
お礼を言う。
「ベイベイ」「ピジョ」
私が勝手に壁を作っていた二匹と、今こうして一緒に戦って、一緒に捕獲が出来たことが、なんだか嬉しかった。
──パチパチパチ。
背後から拍手が聞こえる。
真姫「いいバトルだったわ」
梨子「真姫さん……!」
気付けば、背後に真姫さんが立っていた。
真姫「吹っ切れたみたいね」
ベイリーフとピジョンを抱きしめて喜ぶ私を見て、真姫さんはそう言う。
梨子「はい……ありがとうございます」
真姫「別にお礼言われるようなことじゃないけど……私は貴方を洞窟に突き落としただけだし」
……まあ、確かにそうだけど。
559: 2019/05/05(日) 15:29:47.86 ID:IYa5VeT80
梨子「その……なんというか、お陰で目が覚めました」
真姫「それは、メブキジカに伝えてあげた方がいいと思うわよ。貴方が落ちた穴の口で、まだ待ってるから」
梨子「! ホントですか!」
真姫「貴方のことを一番心配してたのは、きっとあのメブキジカよ。早く行ってあげなさい」
梨子「はい!」
私が走り出すと、
真姫「メタング、出して」
「メタ」
真姫さんは恐らく手持ちであろう、浮いているメタングに腰掛けたまま、後ろをついてくる。
* * *
「…!!」
梨子「メブキジカ!!」
メブキジカは言われたとおり、私たちが落ちた縦穴の口で待っていた。
私が近付くと、声を掛けるよりも早く、私に気付いて顔をこっちに向けてくれる。
梨子「メブキジカ……お待たせ……!」
「ブルル…」
ずっと帰りを待っていてくれた、メブキジカを抱擁する。
梨子「心配掛けて、ごめんね……ありがとう……」
「ブルル…」
メブキジカはペ口リと私の頬を舐める。
梨子「私……もう、大丈夫だから……」
「ブルル」
真姫「それで、これからどうするの? ジム戦、やる?」
後ろから追いついてきた真姫さんが、そう訊ねてくる。
梨子「……いえ、当分は鍛えなおしたいなって思ってます。私の手持ちたちと」
真姫「そ……“私の手持ち”……ね」
梨子「はい。だから、お母さんから借りていた、ペラップとドーブルと……あと、メブキジカはポケモンセンターに着いたら、返そうと思います。これは、私の冒険だから……」
真姫「ま、いいんじゃない? 貴方がそれがいいと思うなら」
真姫さんはぶっきらぼうな言葉選びだけど、心なしか嬉しそうに言っている気がした。
真姫「ただまあ、メブキジカは不満みたいだけど?」
梨子「え?」
560: 2019/05/05(日) 15:31:07.71 ID:IYa5VeT80
言われて、メブキジカに視線を戻すと、
「ブルル…」
私の頬に鼻をこすりつけてくる。
まるで、離れたくないとでも言わんばかりに。
梨子「メブキジカ……」
私は少しだけ、考えてから……。
梨子「改めて……私と一緒に旅をしてくれる? 今度は保護者としてじゃなくて、仲間として……」
「ブルル!!」
私がそう言うと、メブキジカは一鳴きしてから、私の頬を舐める。
梨子「きゃっ くすぐったいよ、メブキジカ……!」
真姫「決まりみたいね」
* * *
深夜のポケモンセンターでボックスにペラップとドーブルを転送する。
梨子「真姫さん、結局ローズシティまで送ってもらっちゃって……ありがとうございます」
真姫「別にいいわよ……私が連れてったんだし」
真姫さんは相変わらずぶっきらぼうに言葉を返してくる。
梨子「ふふ……優しいですね」
言葉とは裏腹な親切心に、思わず笑ってしまう。
真姫「べ、別に……そんなんじゃないわよ」
私がそう言うと恥ずかしいのか、真姫さんは腕を組んだまま、毛先をくるくると弄り始める。癖なのかもしれない。
梨子「その……優しいついでに、わがまま言っていいですか……?」
真姫「だから、私はそういうんじゃ……。……わがまま?」
梨子「……私を鍛えてくれませんか」
真姫「…………」
梨子「今日一日でいろんな大切なことに気付けました。真姫さんと一緒に居ると、もっといろんな景色が見れるかもしれない……だから、もし迷惑じゃなかったら……私に少しの間、バトルを教えてくれませんか」
私は頭を下げる。
梨子「私の仲間の皆と……一緒に戦う術を」
真姫「……。……ごめんなさい、そういうの柄じゃないの」
……ダメか。さすがに虫が良すぎたかな。
561: 2019/05/05(日) 15:33:04.96 ID:IYa5VeT80
真姫「まあ、でも……」
梨子「?」
真姫「貴方が勝手にバトルの訓練してるところに、たまに横から口出しするくらいなら……別にいいけど」
梨子「……!! 真姫さん……!!」
真姫「ただ、ホント仕事の片手間よ? ジムに病院の研究の仕事に、私は忙しいんだからね」
梨子「いえ、それでも十分です! これから、よろしくお願いします……!」
真姫「……だから、私は貴方が勝手に訓練してるのを見てるだけって……ま、いいけど」
真姫さんは、肩を竦めてから、歩き出す。
真姫「ほら、行くわよ……梨子」
梨子「はい!」
* * *
千歌「──ん……トイレ……」
深夜。海未さんの家で寝泊りしてた私は、布団から身を起こす。
「ワフ…zzz」「マグ…zzz」「スピィ…zzz」「ワゥ…zzz」
辺りを見回すと、手持ちの皆は自分の好きな場所で丸まって寝ている。
ルカリオだけは、部屋の出入り口の近くで座ったまま寝てるけど……。
まあ、あれが好きなんだと思う。たぶん。
私は皆を起こさないように、そーっとトイレへ行くために部屋を出る。
* * *
──海未さんの家はアキハラシティの東端にある道場だった。
今は門下生もいないので実質ちょっと大きい普通の住居らしいけど……。
千歌「あれ?」
トイレからの帰り道、庭で空を眺める海未さんを見つける。
千歌「海未さん?」
海未「千歌? どうしたんですか、もう夜中ですよ」
千歌「んと……トイレから部屋に戻ろうとしたら、海未さんが居たから……」
海未「ああ、そうでしたか……」
海未さんの視線を追うと。
千歌「音ノ木……」
562: 2019/05/05(日) 15:35:10.91 ID:IYa5VeT80
大樹・音ノ木がその存在感を示していた。
千歌「庭から見えるんですね」
海未「大きな樹ですからね。お陰で朝は日当たりが悪くて少し困るのですが……」
千歌「あはは、確かにそれはそうかも……」
二人で並んで、大樹を見上げる。
千歌「ホントにおっきいなぁ……」
何度見ても、その大きさに圧倒される。
海未「千歌は……龍の止まり樹の話は聞いたことがありますか?」
千歌「あ、はい。……流星山で凛さんから聞きました。メテノがぶつかる音、なんですよね」
海未「龍の咆哮のことですね。確かに音はそうなんですが……」
千歌「音は?」
海未「あの大樹は、この地方のほぼ中心に位置しているんです」
……確かに、地図はそんな感じだったかも。
海未「それは、龍神様が空からこの地方全体を見守るため……と子供の頃から教わって来ました」
千歌「龍神様……」
海未「この地方には今、異変が起こっています」
千歌「異変……メテノのこととかですか?」
海未「……それをはじめとして、地方のあちこちで不穏な動きがあるんですが……この異変も龍神様は空から見守ってくれているのかな、と思いまして」
千歌「どうなんだろ……」
この町にもメレシーのおとぎ話みたいな話があるってことだと思うけど……。
千歌「私の感覚では……神様は居ても見てるだけってイメージだけど……」
海未「ふふ……千歌の故郷では、そういう感じなんですか?」
千歌「んー……ウラノホシはホントにそういう感じ、かなぁ……。罰が当たるって、言われたことはあるけど……罰が当たったことないし」
海未「確かに……それは、この上ない実体験ですね」
海未さんはそう言ってくすくすと笑う。
海未「子供の頃……よく三人で──穂乃果と、ことりと一緒に、龍神様に会うためにあの樹を昇ったものです」
千歌「あの樹、子供だけで登るには高くないですか?」
海未「そうですね……ただ、ことりの周りにはいつでも鳥ポケモンがたくさん居たので、意外と安全な木登りでしたよ。専ら音ノ木の周りの太い蔦や茎、葉の上を歩くわけなので、全然楽ではありませんでしたが」
確かに、善子ちゃんと一緒に音ノ木に行ったときも、葉っぱの上で一休みした記憶がある。
2~3人どころか、10人以上乗っても大丈夫そうな、そんなスケールだった。
海未「そういえば、千歌……」
千歌「なんですか?」
海未「ことりのこと……恨まないであげてくださいね」
海未さんは真剣な声音で言う。
563: 2019/05/05(日) 15:36:15.63 ID:IYa5VeT80
千歌「突然、どうしたんですか……?」
海未「いえ……こうして今、千歌と並んで音ノ木を見ているのも、元はと言えば、ことりにいろいろなことを押し付けてしまったからなのかなと、思って……」
……海未さんなりの、ことりさんへのフォロー、ってことかな。
海未「ことりは……背負い込みすぎるきらいがあるので……」
千歌「背負い込みすぎる?」
海未「元からジムリーダー候補だった、私や……穂乃果の役割まで自分が果たさなくちゃいけないなと思っているんです。だから、厳しく人を導くことや、純粋に楽しさを教えることを同時に果たそうとしたりして、空回りしてしまうときがあって……」
梨子ちゃんと私の挑戦に対して、両極端な反応をしていたことを言ってるのかも。
こうして海未さんなりに、ことりさんを気遣ってフォローしてる辺り……。
千歌「……海未さんって」
海未「?」
千歌「ことりさんのこと、大好きなんですね」
ホントに大切な人だから、誰かに嫌いになっても欲しくない、って気持ちなら、わかる気がする。
私も曜ちゃんが人から嫌われるのは、嫌だし。
海未「……ええ、もちろん。大切な幼馴染ですから」
千歌「大丈夫です! 恨んだりなんか、してないですよっ! むしろ、お陰で海未さんに稽古付けて貰えるんだから、感謝したいくらい!」
海未「ふふ、そうですか。なら、安心しました」
海未さんは微笑んでから、
564: 2019/05/05(日) 15:36:50.56 ID:IYa5VeT80
海未「稽古が始まっても同じことが言える根性があることを願っていますよ」
不穏なことを言う。
千歌「うぇ……? そ、そんなに厳しいんですか……?」
海未「……まあ、それも、貴方次第ですよ」
海未さんはそう言ってから、踵を返して、家の中に戻っていく。
海未「長話になってしまいましたね。そろそろ、休みましょう」
千歌「あ、はい!」
私は返事をしながら、海未さんのあとについていく。
そのとき、ふと──
夜空の遥か向こう側に、何かの影が過ぎった気がして、
千歌「……?」
思わず振り返って、再び空を仰ぐ。
でも、そこには星が眩しいくらいに光ってるだけで……。
千歌「気のせい……かな……?」
海未「千歌? 何してるんですか?」
千歌「あ、なんでもないです!」
海未さんに促されて、私も部屋へと戻っていく。
夜には満天の星空が広がる、このオトノキ地方の中心で……明日からは、私の修行がスタートします。
565: 2019/05/05(日) 15:37:48.34 ID:IYa5VeT80
>レポート
ここまでの ぼうけんを
レポートに きろくしますか?
ポケモンレポートに かこんでいます
でんげんを きらないでください...
【ローズシティ】【アキハラタウン】

主人公 梨子
手持ち ベイリーフ♀ Lv.20 特性:しんりょく 性格:いじっぱり 個性:ちょっぴりみえっぱり
チェリム♀ Lv.29 特性:フラワーギフト 性格:むじゃき 個性:おっちょこちょい
ピジョン♀ Lv.19 特性:するどいめ 性格:ひかえめ 個性:ものおとにびんかん
ケイコウオ♀ Lv.18 特性:すいすい 性格:わんぱく 個性:ちょっとおこりっぽい
メブキジカ♂ Lv.38 特性:てんのめぐみ 性格:ゆうかん 個性:ちからがじまん
バッジ 3個 図鑑 見つけた数:83匹 捕まえた数:10匹
主人公 千歌
手持ち マグマラシ♂ Lv.29 特性:もうか 性格:おくびょう 個性:のんびりするのがすき
トリミアン♀ Lv.27 特性:ファーコート 性格:のうてんき 個性:ひるねをよくする
ムクバード♂ Lv.29 特性:すてみ 性格:いじっぱり 個性:あばれることがすき
ルガルガン♂ Lv.28 特性:かたいツメ 性格:わんぱく 個性:こうきしんがつよい
ルカリオ♂ Lv.20 特性:せいぎのこころ 性格:ようき 個性:ものおとにびんかん
バッジ 3個 図鑑 見つけた数:109匹 捕まえた数:11匹
梨子と 千歌は
レポートを しっかり かきのこした!
...To be continued.
566: 2019/05/05(日) 16:52:36.77 ID:IYa5VeT80
■Chapter043 『開催! コメコたくましさコンテスト!』 【SIDE You】
司会『さて……たくましさ大会ノーマルランク、優勝者は──』
司会のお姉さんの声と共に、スポットライトが私の前に集まってくる。
司会『エントリーNo.4! ゴーリキーとそのコーディネーターヨウさんです! おめでとうございます──』
* * *
曜「さて……まずはノーマルランク突破だね! ゴーリキーお疲れ様!」
「ゴーリキ!!」
今、私はコメコシティのたくましさ会場に一人。
今回のことりさんからの任務は──。
────────
──────
────
──
ことり「コメコシティのたくましさ大会をノーマル、ウルトラランク続けて一気に勝ち抜くこと!」
そんな高いハードルだった。
おさらいだけど……ノーマルランク優勝は+3ポイント。グレートランクは+6ポイント。ウルトラランクは+9ポイント。
グレートランクはノーマルランク2位以上、ウルトラランクはノーマルランクで優勝すれば挑戦権が貰える。
コメコで稼ぎたいポイントは最低でも+10……ウルトラランクの優勝は今からグランドフェスティバルを目指すなら必須条件だ。
──そうなると、必然的にノーマルランクを優勝。グレートランクを飛ばして、ウルトラランクで優勝する必要がある。
ことり「まあ、ノーマルランクは曜ちゃんなら苦戦しないと思うけど」
曜「い、いきなりウルトラランク一発優勝は、ハードルが高いような……」
お師匠様からの期待が重い……。
ことり「でも、たくましさランクは開催頻度が1ヶ月に1回だし、これを逃すとチャンスはどんどん減っちゃうからね?」
曜「それはそうだけど……」
ことり「むしろ、どこまで行っても曜ちゃんはフソウ大会で絵里ちゃん──えっと、アローラキュウコンのコーディネーターさんね──に勝たないといけないから、他の4大会は出来るだけ早くパスしておかないと。……絵里ちゃん相手に10勝以上勝ち越す自信があるなら別だけど」
曜「むむむ……」
とは言うものの……ことりさんの言う通り、絵里さんは恐らくフソウ大会を今後も勝ち続けるだろう。経験者曰く、それくらい圧倒的に強いみたいだし……。そうなると毎週勝ち点+9ポイント。
現在の持ち点が12ポイントらしいから……10週勝ち抜きで102ポイント。その時点でマスターランクへ昇級してしまう。
つまり、最低でも後9週間……いや、もうあれから1週間弱は経過してるから、8週間ちょっとで他のランクをウルトラランクで抜けている必要がある。
ことり「そのために曜ちゃんにはアドバイスをしておきますっ!」
曜「アドバイス?」
ことり「コンテストの戦い方、ね♪」
567: 2019/05/05(日) 16:54:17.90 ID:IYa5VeT80
──
────
──────
────────
さて、アドバイスをしてくれた張本人のことりさんは、仕事があって現在この場には居ない。
朝にセキレイシティから、コメコシティまでチルタリスの背に乗って、送ってもらったあとは、私だけだ。
ことり『コメコ会場を制覇したら、そのまま4番道路を抜けてダリアシティに向かってね♪ 遅刻したら、次のかしこさ大会は3週間後になっちゃうから、ちゃんと辿り着くようにっ!』
今週末は珍しく、たくましさ大会とかしこさ大会が同時に開かれる週らしく、それ故か、同日の開催ではなく日をずらしての開催らしい。
これが好機だと、ことりさんに二つのコンテストを制覇してこいと送り出されたわけだけど……。
曜「……まあ、言っててもしょうがない! 勝って、コメコシティとダリアシティの二つのウルトラコンテストリボンをことりさんに自慢するんだ!」
ことりさんにはよくしてもらってる。今、私に出来る恩返しはコンテストで勝って、ポイントと優勝リボンを集めることだ。
曜「行くよ! ゴーリキー!」
「ゴーリキ!!」
* * *
司会『レディース・アーンド・ジェントルメーン!! お待たせしました、月に一回、ポケモンたちのたくましさを競う祭典、ポケモンコンテスト・コメコ大会のお時間です!!』
司会の声と共に沸き立つ会場、
司会『さて、早速出場ポケモンとコーディネーターの紹介です! エントリーNo.1……ゴローニャ&ノボル! エントリーNo.2……バクーダ&タモツ! エントリーNo.3……ナゲキ&マコト!』
一匹ずつ順に、スポットライトが当たる。
対戦相手はやまおとこのおじさんがゴローニャ、キャンプファイヤーのお兄さんがバクーダ、バトルガールの女の子がナゲキを使っているようだ。
ゴローニャ、バクーダ、ナゲキ……やっぱり、ウルトラランクともなると、他の3人は最終進化系……。
でも、コンテストでは進化してることがイコールで強さには直結しない。
とにかく、まずは一次審査だ……!!
司会『エントリーNo.4……ゴーリキー&ヨウ! お、おおっと──!?』
スポットライト共にゴーリキーが着ている白を基調とした衣装が光を反射する。
──今回の衣装テーマは……ずばり船乗り……!
真っ白な衣装に袖と襟に青いライン。水兵帽に青いスカーフをして、まさにザ・船乗りな自信作!
やっぱり、たくましさの象徴と言えば船乗り……これしかないよね!
……何故か、ことりさんは、
ことり『ええっと……船乗りさん? う、うーん、確かにたくましいけど……』
と微妙な反応をしていたけど、会場を見ればそれははっきり──
司会『これは……船乗りでしょうか!? たくましさコンテストで衣装まで用意してくるとはよほどの船好きでしょうか!!?』
568: 2019/05/05(日) 16:55:53.66 ID:IYa5VeT80
……あれ?
概ね会場は盛り上がってるけど……なんかちょっとざわついてる?
司会『さあ、一次審査の開始です!! ゴローニャは緑、バクーダは赤、ナゲキは黄色、ゴーリキーは青でお願いします!』
会場審査が始まる。
青は……たぶん会場の3分の1以上はある……!
曜「あれ……おかしいな。ぶっちぎりで一位だと思ったんだけど……」
思わず小さく呟いてしまう。
……あれー?
司会『さて、インパクトのある、船乗り衣装が気持ち優勢でしょうか!! 間もなく投票を締め切りますよー!!』
……なんか思ってたのと反応が違う……けど、まあとりあえず滑り出しは悪くない、かな?
司会『さて、ここで投票締め切りです! それではお待ちかね、二次審査・アピールタイムです!』
それに今回はことりさんから二次審査の戦い方も教わったんだ──
────────
──────
────
──
ことり「まず最初に、コンテストはどうしたら優勝できる?」
曜「ポケモンの魅力を最大限に引き出して、会場のお客さんに見せることだと思うであります!」
即答。
ことり「うん、正解♪ ……でも、コンテストは競技だし、妨害もある。いつでも思い通りに自分のアピールが出来るとは限らないよね」
曜「うん」
ことり「特にたくましさ大会とかっこよさ大会では、妨害技も多いから……妨害特化、荒らし技で周りのアピールを邪魔しながら、結果として一番目立つって言う作戦が他大会に比べて多いの」
曜「えっと……“かみくだく”とか、“のしかかり”とか?」
確かこの二つはたくましさの技の中でも直前にアピールしたポケモンを大きく驚かす技だったはず。
ことり「うん、曜ちゃんよく勉強してるね♪ それは本当に妨害のための技。たくましさだとアピールも両立出来るのは“いわなだれ”とか“だくりゅう”、“ダストシュート”とかかな」
曜「じゃあ、そういうことも踏まえた対策は……」
ことり「“てっぺき”、“とける”、“ワイドガード”とかだね。アピールを両立するなら、“あなをほる”、“かたくなる”とか……その分防御は薄くなっちゃうけど」
こうして部門ごとに技がすらすら出てくるのはさすがことりさんと言ったところだろう。
ことり「状況に応じて、自分も妨害したり、防御技も使える対応型のコーディネーターさんが自然と増えてくのも上位大会の特徴かな。ただね……」
曜「?」
ことり「曜ちゃんが目指すべき作戦はそういうのじゃなくて──」
──
────
──────
────────
569: 2019/05/05(日) 16:56:58.43 ID:IYa5VeT80
司会『さあ、二次審査はゴーリキー、ゴローニャ、ナゲキ、バクーダの順で始まります!』
コンテストは妨害もあるから、アピールが万全に出来るとは限らないけど……。
曜「ゴーリキー! “かいりき”!!」
「ゴーリキ!!!」
《 “かいりき” たくましさ 〔 たくさん アピール できる 〕 ♡♡♡♡
ゴーリキー +♡♡♡♡ ExB+♡
Total [ ♡♡♡♡♡ ] 》
《 エキサイトゲージ【☆★★★★】 》
ゴーリキーは床に指を付きたてた後──
……ステージごと床を、引っぺがした。
司会『おおっと!! いきなり会場をぶっこわしにきたー!!!』
──たくましさをアピールすると、必然的に激しいアピールでコンテスト会場が壊れてしまう。
故にたくましさ会場は開催数が極端に少ないのだ。
頭の痛いジレンマだけど、ウルトラランククラスになったら、使えるアピールは最初から全力で……!!
曜「持ち上げる!」
「リキッッ!!!!!」
そのまま、さっきまで会場ステージの一部だった塊を持ち上げ、
「ゴーーリキッ!!!!!」
音を立てて震脚しながら、ゴーリキーは岩塊を掲げる。
……と、同時に会場が歓声で沸き立った。
司会『もはや、たくましさコンテストでは名物の会場割りですが、やはり圧巻ですね!! 審査員の方々もこれを見に来たと言わんばかりの表情です!!』
……よし! いける……!!
──────
────
──
曜「──目指すべき……?」
ことり「曜ちゃん自身は対応タイプのコーディネーターさんな気はするけど……やりたいことはそうじゃないでしょ?」
曜「やりたいこと……」
ことり「うん、コンテストライブで、どうしたい?」
曜「……自分のポケモンに似合う衣装で、会場を魅了したい」
ことり「うん♪ なら」
曜「最初から最後まで、ポケモンの持ってる魅力で圧倒する……!」
ことり「そういうこと♪ 曜ちゃんの目指すべきところは、とにかく魅力的な衣装と技で会場を沸かせることだけを考えるアピール特化!」
──
────
──────
570: 2019/05/05(日) 16:58:12.92 ID:IYa5VeT80
私が今回目指すのは、とにかくぶっちぎりで周りを置いていくことだ、
ただ、ことりさん曰く──『アピール特化を狙い撃ちした妨害特化もいるから、あくまで方向性として、だけどね』──とのこと。
状況を見て、あまりに狙い撃ちされるようなら、考える必要があるけど、
あくまで第一目標は自分たちのアピールをしっかり決めること……!!
ノボル「ゴローニャ、“てっぺき”だ」
「ゴローニャ」
《 “てっぺき” たくましさ 〔 ほかの ポケモンに 驚かされても がまんできる 〕 ♡ ◆
ゴローニャ◆ +♡ ExB+♡
Total [ ♡♡ ] 》
《 エキサイトゲージ【☆☆★★★】 》
一方ゴローニャは初手は手堅く様子見。
マコト「ナゲキ!! “やまあらし”!!」
「ゲキ!!」
《 “やまあらし” たくましさ 〔 どの コンテストで みせても 必ず 盛り上がる アピール 〕 ♡♡
ナゲキ +♡♡ ExB+♡
Total [ ♡♡♡ ] 》
《 エキサイトゲージ【☆☆☆★★】 》
そんなゴローニャをすかさず、ナゲキが背負い投げる、
──ズン!!
300kgの巨体が、コンテスト会場を揺らす。
司会『おおっと、ナゲキがアピールのためにゴローニャを投げ飛ばしました!!』
ノボル「はっはっは、元気だねぇ」
「ゴロー」
一方でゴローニャは丸まったまま、全く動じない。
司会『ゴローニャ、“てっぺき”による防御力を見せ付けます! 一方ナゲキも妨害にはなりませんが、素晴らしいたくましさですね……!』
ぐらぐらとゴローニャの衝撃で揺れるなか、ゴーリキーは岩を持ったままだ。
曜「ゴーリキー、大丈夫っ?」
「リキ!!!!」
どうやら、平気だ。よし、好調なまま次のアピールに──。
思った矢先、
タモツ「バクーダ! “じしん”!」
「バクー!!!」
《 “じしん” たくましさ 〔 アピールが 上手くいった ポケモン みんなを かなり 驚かす 〕 ♡♡ ♥~
バクーダ +♡♡ ExB+♡
Total [ ♡♡♡ ] 》
《 エキサイトゲージ【☆☆☆☆★】 》
バクーダがさらに大きな揺れを発生させる。
571: 2019/05/05(日) 17:08:15.70 ID:IYa5VeT80
曜「わっ!?」
「リキ!!!?」
《 ゴーリキー -♥♥♥
Total [ ♡♡ ] 》
足元を揺らされた衝撃で、ゴーリキーは岩を手から滑らせる。
「ゴローニャッ」
《 ゴローニャ◆
Total [ ♡♡ ] 》
ゴローニャは“てっぺき”で防いでいる。
「ゲキッ」
《 ナゲキ -♥
Total [ ♡♡ ] 》
ナゲキもゴーリキー同様バランスを崩して減点。
司会『おっとぉ!! ここで更なる妨害!! ゴーリキーが岩を落としてしまいました!!』
曜「……!」
タモツ「足元注意だな」
司会『さあ、序盤から激しいアピールの応酬です!!』
曜「……ゴーリキー、ドンマイ!」
「リキ…!!」
……いや、最初から失敗の可能性は折り込み済みだ。
その上で自分のアピールを優先する。
──ペースを乱されないようにするんだ。
《 1ターン目結果 ([ ]内はこのターンまでに手に入れた♡合計)
ゴーリキー ♡♡♡♡♡ ♥♥♥ [ ♡♡ ]
ゴローニャ ♡♡ [ ♡♡ ]
ナゲキ ♡♡♡ ♥ [ ♡♡ ]
バクーダ ♡♡♡ [ ♡♡♡ ] 》
司会『さあ、二次審査2ターン目! バクーダ、ゴーリキー、ゴローニャ、ナゲキの順番にお願いします!』
タモツ「バクーダ! “マグニチュード”!!」
「バグッ!!!!!」
《 “マグニチュード” たくましさ 〔 会場が 盛り上がっている ほど アピールが 気に入られる 〕 ♡~♡♡♡♡♡♡
バクーダ +♡♡♡♡♡♡ ExB+♡
Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡ ] 》
《 エキサイトゲージ【☆☆☆☆☆】 》
──再び、バクーダが会場を揺さぶる。
司会『お、おおっととと、畳み掛けるように、バクーダが会場を揺さぶります!! これは大きな加点が期待できますね!!』
“マグニチュード”は確か、会場の盛り上がりにあわせて評価が変わる技だったはず、更にエキサイトはMAXだから──。
タモツ「バクーダ、ライブアピールだ! “強烈な縦揺れ”を起こせぇ!!」
《 “強烈な縦揺れ” たくましさ 〔 たくましさ部門 じめんタイプの ライブアピール 〕 ♡♡♡♡♡
バクーダ +♡♡♡♡♡
Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡ ] 》
《 エキサイトゲージ【☆☆☆☆☆】⇒【★★★★★】 》
その名の通り、“強烈な縦揺れ”が発生し、それに伴いステージが大きくひび割れる。
572: 2019/05/05(日) 17:09:24.21 ID:IYa5VeT80
司会『たくましいライブアピールが決まりました!!』
バクーダによる、かなりの加点が出来るアピール……しかも全てが噛み合った完璧なタイミングだ。
いや、でもいい。関係ない。
私の戦い方に周りの動きは関係しない。
曜「……ふー」
「リキ」
先ほど、ゴーリキーが手から取りこぼした、岩塊を目の前に、息を整える。
“マグニチュード”の揺れが収まり、私のアピールが一番光る瞬間を見極めて──
曜「“からてチョップ”!!」
「ゴーリキッ!!!!」
《 “からてチョップ” たくましさ 〔 たくさん アピール できる 〕 ♡♡♡♡
ゴーリキー +♡♡♡♡ ExB+♡
Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡ ] 》
《 エキサイトゲージ【☆★★★★】 》
──手刀を振り下ろす。
司会『!! これは素晴らしいチョップだ!! 大きな岩が真っ二つです!!』
目の前の岩が正中からバックリと割れて、そこから開くように崩れ落ちる。
その光景を見て、会場が再び沸きあがる。
曜「……よし!」
大丈夫、負けてない。
ノボル「ゴローニャ」
「ゴローニャ!!!」
今度はゴローニャが、会場を殴りつけ、その反動で割れたステージの欠片が宙を舞う。
ノボル「──“いわおとし"!」
《 “いわおとし” たくましさ 〔 たくさん アピール できる 〕 ♡♡♡♡
ゴローニャ +♡♡♡♡ ExB+♡
Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡ ] 》
《 エキサイトゲージ【☆☆★★★】 》
そのまま、砕かれた破片は岩となって、降り注ぐ。
司会『さあ、再び会場が破壊されています! 2ターン目でありながら、もはや会場はボロボロだぞぉ!?』
──降り注いでくる岩。
避けるか? いや……。
マコト「ナゲキ!!」
「ゲキッ!!」
曜「ゴーリキー、そのままで」
「リキ」
横のバトルガールの女の子が動き出したのを見て、ゴーリキーに動く必要がない旨を伝える。
573: 2019/05/05(日) 17:10:33.37 ID:IYa5VeT80
マコト「“リベンジ”!!」
「ゲキッ!!!」
《 “リベンジ” たくましさ 〔 1番 最後に アピールすると アピールが すごく 上手くいく 〕 ♡♡~♡♡♡♡♡♡
ナゲキ +♡♡♡♡♡♡ ExB+♡
Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡ ] 》
《 エキサイトゲージ【☆☆☆★★】 》
ナゲキは会場中に降り注ぐ岩を拳で叩いて、割り砕き、
──最後に振ってきた多きめな岩を背負い投げるようにして、
「ゲキッ!!!」
会場に叩き付けた。
司会『逆に“いわおとし”を利用してのアピール!! これはたくましい!!』
これは確かにたくましい……!
会場も盛り上がっている、高評価だ。
《 2ターン目結果 ([ ]内はこのターンまでに手に入れた♡合計)
バクーダ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡ [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡ ]
ゴーリキー ♡♡♡♡♡ [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡ ]
ゴローニャ ♡♡♡♡♡ [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡ ]
ナゲキ ♡♡♡♡♡⁵♡♡ [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡ ] 》
司会『さあ、ウルトラランク!! 白熱してまいりました!! 第3ターン、バクーダ、ナゲキ、ゴーリキー、ゴローニャの順です!!』
タモツ「バクーダ! “とっしん”!」
「バクッ!!!」
《 “とっしん” たくましさ 〔 とても アピール できるが このあと 驚きやすくなる 〕 ♡♡♡♡♡♡
バクーダ +♡♡♡♡♡♡ ExB+♡
Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡ ] 》
《 エキサイトゲージ【☆☆☆☆★】 》
第3ターンの開始と同時にバクーダが飛び出す。
ナゲキが最後に背負い投げした、岩に向かって。
そのまま、岩に体をぶち当てて、バクーダがアピールをする。
マコト「ナゲキ!!」
──が、
その岩陰にいた、ナゲキはバクーダをいなすように手を伸ばし、
「バク!?」
マコト「“のしかかり”!」
「ゲキッ!!!」
《 “のしかかり” たくましさ 〔 自分の 前に アピールした ポケモンを かなり 驚かす 〕 ♡ ♥♥♥♥
ナゲキ +♡ ExB+♡
Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡ ] 》
《 エキサイトゲージ【☆☆☆☆☆】 》
そのまま、押さえ込むように圧し掛かる。
574: 2019/05/05(日) 17:11:33.59 ID:IYa5VeT80
「バクゥッ!!?」
《 バクーダ -♥♥♥♥♥♥♥♥
Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡ ] 》
タモツ「!!」
司会『おっと!!! 乗りに乗っていたバクーダをナゲキが手堅く咎めます!!』
──今朝ことりさんとも話してた“のしかかり”。
直前の相手のアピールを激しく咎める技だ。
やはり、妨害合戦になってきた。
加えて、エキサイトゲージはMAXに──
マコト「ナゲキ! “屈強なる鉄砲玉”!!」
「ゲキッ!!!!」
《 “屈強なる鉄砲玉” たくましさ 〔 たくましさ部門 かくとうタイプの ライブアピール 〕 ♡♡♡♡♡
ナゲキ +♡♡♡♡♡
Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡ ] 》
《 エキサイトゲージ【☆☆☆☆☆】⇒【★★★★★】 》
ナゲキが走り出し、周囲に落ちている岩石たちを、その勢いで一気に割り砕く。
司会『さあ、必殺のライブアピールが炸裂しています!!』
周りのポケモンたちが順調をアピールを重ねている。
でも焦るな……いや、むしろ自分たちのアピールをしっかりと……!
曜「ゴーリキー」
「リキ」
ゴーリキーは割り砕かれた岩石たちの中で比較的大きいまま残っているものの前まで、のしのしと歩いていき、
曜「“いわくだき”!!」
「ゴゥ!!!!」
《 “いわくだき” たくましさ 〔 たくさん アピール できる 〕 ♡♡♡♡
ゴーリキー +♡♡♡♡ ExB+♡
Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡ ] 》
《 エキサイトゲージ【☆★★★★】 》
岩に向かって、正拳突き……!!
大きな岩は、
時間差で、
ヒビ入り──割れ崩れた。
曜「……っし!!」
「リキッ!!!」
あくまで私のアピールは手堅く。
ノボル「ゴローニャ、“じならし”だ!」
「ゴローー!!!」
《 “じならし” たくましさ 〔 アピールが 終わっている ポケモン みんなを 驚かす 〕 ♡♡ ♥♥
ゴローニャ +♡♡ ExB+♡
Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡ ] 》
《 エキサイトゲージ【☆☆★★★】 》
575: 2019/05/05(日) 17:13:36.83 ID:IYa5VeT80
ゴローニャがピョンと跳ねて、その体重で再び会場を揺さぶる。
全体妨害技……!!
「リキッ!!!」「バクゥゥゥ!!!!」「ゲキッ」
《 ゴーリキー -♥♥
Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡ ] 》
《 バクーダ -♥♥♥♥
Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡ ] 》
《 ナゲキ -♥♥
Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡ ] 》
不安定な足場に全員が体勢を崩す。
《 3ターン目結果 ([ ]内はこのターンまでに手に入れた♡合計)
バクーダ ♡♡♡♡♡⁵♡♡ ♥♥♥♥♥⁵♥♥♥♥♥¹⁰♥♥ [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡ ]
ナゲキ ♡♡♡♡♡⁵♡♡ ♥♥ [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡ ]
ゴーリキー ♡♡♡♡♡ ♥♥ [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡ ]
ゴローニャ ♡♡♡ [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡ ] 》
司会『さあ、混戦模様ですが、このまま4ターン目です! ナゲキ、ゴーリキー、ゴローニャ、バクーダでお願いします!』
マコト「ナゲキ! “ちきゅうなげ”!!」
「ゲキッ!!!」
《 “ちきゅうなげ” たくましさ 〔 続けて だしても 観客に 飽きられずに アピール できる 〕 ♡♡♡
ナゲキ +♡♡♡ ExB+♡
Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡ ] 》
《 エキサイトゲージ【☆☆☆★★】 》
ナゲキは会場に大量に落ちている岩の中から大きめのモノを選び、背負い投げるようにして、空に放り投げる。
手堅くたくましいアピール。
そしてゴーリキーは、さっきの“いわくだき”がうまく行った証拠か、4ターン目はライブアピールを決めたナゲキに付ける形で2番目のアピール。
ここは最後の大技のことを考えて、
曜「ゴーリキー、“がまん”」
「リキ…」
《 “がまん” たくましさ 〔 この次の アピールを 終わりの方に だすことが できる 〕 ♡♡♡ ④
ゴーリキー④ +♡♡♡ ExB+♡
Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡ ] 》
《 エキサイトゲージ【☆☆☆☆★】 》
ゴーリキーを落ち着かせる。
司会『おっと、ゴーリキー。勢いに任せず、一旦体勢を立て直すようです』
今は精神を集中させる。最後の一撃のために。
ノボル「がっはっは、随分大人しいな! ゴローニャはもっとたくましいぞ!」
「ゴローニャッ!!!!!」
言うと同時にゴローニャが最初のゴーリキーのように床に手を突く。
「ゴロォオーー!!!!!」
そのまま、ゴローニャが鳴き声をあげると──ミシミシと、ヤバイ音が聞こえる。
ステージ上に更なるヒビが入り、
576: 2019/05/05(日) 17:24:06.36 ID:IYa5VeT80
ノボル「ゴローニャ! “ばかぢから”ァ!!」
「ゴロオオオオォニャ!!!!」
《 “ばかぢから” たくましさ 〔 とても アピール できるが このあと 驚きやすくなる 〕 ♡♡♡♡♡♡
ゴローニャ +♡♡♡♡♡♡ ExB+♡
Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡ ] 》
《 エキサイトゲージ【☆☆☆☆☆】 》
曜「うわっ」
マコト「!」
最初のゴーリキーが持ち上げたものよりも、遥かにでかい──と言うか、自分の身体の倍以上ある、さっきまでステージだったものを持ち上げる。
ノボル「がっはっは!!」
司会『4ターン目も会場がぶっ壊されていきます!! もはや、ステージ上に立つ場所がほとんど残っていません!』
司会の人の言う通り、隅の方から指示を出す私たちの立ち位置以外、ほとんど残っていない。更に──
ノボル「ライブアピールチャンスだなぁッ!! ゴローニャ!! “ロック&プリズナー”!!」
「ゴロォォーーー!!!!!!!」
《 “ロック&プリズナー” たくましさ 〔 たくましさ部門 いわタイプの ライブアピール 〕 ♡♡♡♡♡
ゴローニャ +♡♡♡♡♡
Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡ ] 》
《 エキサイトゲージ【☆☆☆☆☆】⇒【★★★★★】 》
ゴローニャの周囲に巨大な石柱が競り上がり、ゴローニャを巻き込んで持ち上げる。
その石柱を内側から穿つように割り砕き、ゴローニャが自らのたくましさをアピールする。
司会『本日3回目のライブアピール!! 各々が自身をアピールするために、破壊の限りを尽くしております!!』
タモツ「なら、さらに壊そう!! バクーダ! “じわれ”!!」
「バクウウウ!!!!!」
《 “じわれ” たくましさ 〔 アピールが 上手くいった ポケモン みんなを かなり 驚かす 〕 ♡♡ ♥~
バクーダ +♡♡ ExB+♡
Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡ ] 》
《 エキサイトゲージ【☆★★★★】 》
バクーダを中心に会場に亀裂が走る。
ノボル「のわっ!?」
「ゴロッ!!!?」
《 ゴローニャ -♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥
Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡ ] 》
ゴローニャはせっかく大きくポイントを稼いだが、“じわれ”による妨害で大きく体勢を崩して、失点してしまう。
《 ナゲキ -♥♥
Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡ ] 》
《 ゴーリキー④ -♥♥
Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡ ] 》
「ゲキッ」「リキ…ッ!!」
ついでと言わんばかりに、ナゲキとゴーリキーも僅かな失点を貰う。
《 4ターン目結果 ([ ]内はこのターンまでに手に入れた♡合計)
ナゲキ ♡♡♡♡ ♥♥ [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡ ]
ゴーリキー④ ♡♡♡♡ ♥♥ [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡ ]
ゴローニャ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡ ♥♥♥♥♥⁵♥♥♥♥♥¹⁰♥♥ [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡ ]
バクーダ ♡♡♡ [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡ ] 》
577: 2019/05/05(日) 17:25:51.00 ID:IYa5VeT80
司会『もはや会場はめちゃくちゃですが、泣いても笑っても、次がラストターン!! バクーダ、ナゲキ、ゴローニャ、ゴーリキーの順でラストアピールです!!』
“がまん”していたため、ゴーリキーは後ろに回される。
「リキ──」
最後の最後に向けて、集中を始める。
タモツ「バクーダ!! “ヘビーボンバー”!!」
「バグゥ!!!!」
《 “ヘビーボンバー” たくましさ 〔 1番最後に アピールすると 会場が とても 盛り上がる 〕 ♡♡♡
バクーダ +♡♡♡ ExB+♡
Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡ ] 》
《 エキサイトゲージ【☆☆★★★】 》
一方一番手、バクーダが飛び出して、先ほどゴローニャが取りこぼした、会場を体重を乗せてさらに踏み砕く。
マコト「ナゲキ!! “ギガインパクト”!!!」
「ゲキッ!!!!」
《 “ギガインパクト” たくましさ 〔 みんなの 邪魔を しまくって 次の アピールは 参加 しない 〕 ♡♡♡♡ ♥♥♥♥
ナゲキ +♡♡♡♡ ExB+♡
Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡ ] 》
《 エキサイトゲージ【☆☆☆★★】 》
「バグゥ!!!」
《 バクーダ -♥♥♥♥
Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡ ] 》
そのバクーダごと、殴り飛ばす破壊の一撃──“ギガインパクト”!!
司会『最終アピール!! 大技です!!』
会場を破片が飛び荒び、砂煙が立ち込める。
そんな中、のしのしとボロボロの会場を闊歩する、ゴローニャは──
ノボル「がはは──“だいばくはつ”だ!」
「ゴロ──!!!」
《 “だいばくはつ” うつくしさ 〔 すごいアピールに なるが このあと 最後まで なにも できなくなる 〕 ♡♡♡♡♡♡♡♡
ゴローニャ +♡♡♡♡♡♡♡♡ ExP-♥
Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡ ] 》
《 エキサイトゲージ【☆☆★★★】 》
──大きな破砕音を立て、会場の中心でゴローニャが爆発する。
司会『やはり出ました!! ゴローニャのお家系、“だいばくはつ”!!!』
ただでさえ、無茶苦茶な会場は爆炎を交えて、もはや前が見えない。
このまま、ゴーリキーは存在を忘れられそうな勢いだが、
──それでいい。
曜「ゴーリキー」
「リキ」
この激しいラストアピールの間、一切動かず、精神集中して待っていた。
自分の順番が回ってきたゴーリキーは集中力を高め、
578: 2019/05/05(日) 17:26:38.48 ID:IYa5VeT80
曜「──たくましく……!!」
「リキッ!!!!!!!!」
会場の煙も瓦礫も爆炎も全てを、掻き消すように──
全てを拳圧で消し飛ばす、ただ一発の拳によるアピール……!!
曜「“きあいパンチ”!!」
「ゴゥッッ!!!!」
《 “きあいパンチ” たくましさ 〔 1番 最後に アピールすると アピールが すごく 上手くいく 〕 ♡♡~♡♡♡♡♡♡
ゴーリキー +♡♡♡♡♡♡ ExB+♡
Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡ ] 》
《 エキサイトゲージ【☆☆☆★★】 》
気合いの拳は拳圧だけで、周囲の瓦礫などまるごと、
司会『おぉっと!!?』
全てを吹き飛ばした。
会場が一瞬──シンとなったあと、
司会『……は、破天荒極まる会場の中、最後はゴーリキーが拳圧で全てを吹き飛ばしましたー!!! 最後のアピールは文句なしの大成功です!!』
静寂は司会者さんの実況を皮切りに、歓声に変わる。
曜「──押忍!」
「リキッ…!!」
私は歓声を受けながら、ゴーリキーと共に仁王立ちする。
司会『さあ、これにて二次審査終了です!!」
《 5ターン目結果 ([ ]内はこのターンまでに手に入れた♡合計)
バクーダ ♡♡♡♡♡ ♥♥♥♥ [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡ ]
ナゲキ ♡♡♡♡♡ [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡ ]
ゴローニャ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡ [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡ ]
ゴーリキー ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡ [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡ ] 》
司会『これより、最終結果に移らせていただきます!!』
壮絶な光景になった会場の中、ドラムロールと共に、スクリーンに優勝者の名が──
司会『……それでは、発表します。コメコたくましさコンテスト・ウルトラランク……優勝者は──!!!』
* * *
579: 2019/05/05(日) 17:27:36.49 ID:IYa5VeT80
──コンテスト終了後。
改めて、観客席から会場を眺めてみると……。
曜「あはは……確かにこれは、月イチ開催になるかな……」
ステージ上はほとんどが割れ砕け、陥没している。
アピール中は気づかなかったが、照明や他の大道具も傾いたり、曲がったりしている。
むしろ、これ一ヶ月で直るのかな……?
「ゴゥリキ」
曜「まあ、一個くらいはこういう大味な大会になるのかな……たぶん」
……ポケモンの魅力はそれくらい奥が深い、と言うことにしておこう。
そして、崩れかけの会場の大スクリーンには最終結果が映し出されていた。
《 ポケモン 一次審査 | 二次審査
【ゴローニャ】 〔 ♢♢♢♢♢♢♢♢ | ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡ 〕
【 .バクーダ 】 〔 ♢♢♢♢♢♢♢ | ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡ 〕
【 ナゲキ 】 〔 ♢♢♢♢♢♢♢♢ | ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡ 〕
✿【ゴーリキー】 〔 ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢ | ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡ 〕 》
曜「じゃ……ゴーリキー、いこっか」
「リキ」
ゴーリキーと共に会場を後にする。
4番道路を抜けて、ダリアシティに向かうために、私たちは歩き出す。
私の横をのっしのっしと歩くゴーリキー。
「ゴーリキ」
その胸には、黄色いリボンが──たくましさコンテストウルトラランクを優勝したことを証明するリボンが揺れていた。
──さて、次はダリアかしこさコンテストだ……!!
581: 2019/05/05(日) 18:13:57.40 ID:IYa5VeT80
>レポート
ここまでの ぼうけんを
レポートに きろくしますか?
ポケモンレポートに かこんでいます
でんげんを きらないでください...
【コメコシティ】

主人公 曜
手持ち カメール♀ Lv.25 特性:げきりゅう 性格:まじめ 個性:まけんきがつよい
ラプラス♀ Lv.27 特性:ちょすい 性格:おだやか 個性:のんびりするのがすき
ホエルコ♀ Lv.22 特性:プレッシャー 性格:ずぶとい 個性:うたれづよい
ダダリン Lv.27 特性:はがねつかい 性格:れいせい 個性:ちからがじまん
ゴーリキー♂ Lv.31 ✿ 特性:ふくつのこころ 性格:まじめ 個性:ちからがじまん
タマンタ♀ Lv.12 特性:すいすい 性格:むじゃき 個性:こうきしんがつよい
バッジ 0個 図鑑 見つけた数:106匹 捕まえた数:18匹 コンテストポイント:12pt
曜は
レポートを しっかり かきのこした!
...To be continued.
582: 2019/05/05(日) 19:38:29.32 ID:IYa5VeT80
■Chapter044 『グレイブ団と宝石と?』 【SIDE Ruby】
──ダリアシティ。
花丸ちゃんと一緒に辿り着いたこの街では、街中を研究者や大学の生徒さんが歩き回っています。
ルビィはセキレイシティのときと同じようにコツコツと聞き込み調査をしているところでした。
ルビィ「あの、すいません」
「チャモ」
研究員「? 何かしら」
ルビィ「グレイブ団って人たちがこの辺りに居るって聞いたんですけど……」
研究員「グレイブ団……確かそこの裏道の奥に研究室があった気がするけど……。余り近付かない方がいいと思うわよ」
ルビィ「そうなんですか?」
研究員「宝石の研究をしてるらしんだけど……どうにも、その集め方がかなり強引だって悪い噂を聞くわ」
ルビィ「そうですか……」
研究員「貴方みたいに、ちっちゃい女の子が一人でウロついてたら攫われちゃうかもしれないし……あんまりフラフラしていちゃダメよ」
ルビィ「ぅ……は、はい。ありがとうございます……」
「チャモ…」
ルビィ、これでも15歳なんだけど……。
さて──聞き込みの調査結果……。
ルビィ「やっぱり、グレイブ団さんは街でもちょっと浮いてる人たちみたいだね」
「チャモ?」
宝石に関連する人物像から理亞さんに結び付けようと、グレイブ団の聞き込みを始めて、半日ほど。
グレイブ団はどうやら、宝石を集めていると言う噂が真実味を帯びている。
その中にはポケモンの名前もいくつかあって、
ダリアシティの学生さんや研究員さん曰く、バネブーやパールル、サニーゴと言った宝石を持っているポケモンを捕獲している。
そして、何よりルビィが引っかかったのは、
ルビィ「最近はメレシーやヤミラミの研究をしてるところを見たって人が結構居たこと……」
「チャモ」
ダリアシティは学園都市だから、研究室間での交流が度々あるらしく、中にはグレイブ団の研究室を見に行ったことがある人も居るようで……。
──ただ、気になるのは、人によって評価がわかれるところ。
ポケモンの捕まえ方や、強引さに難色を示す人が多い反面、研究結果や実績などはこの都市内でもそれなりに良いらしい。そのため、同じ研究者として必ずしも悪いとは言い切れないって考えている人も少なくない感じだ。
ルビィ「まあ、場所がわかったからって……一人で勝手に研究室に行くわけにはいかないけど……」
「チャモー」
目の前をとことこ歩くアチャモを目で追いかける。
ルビィ「はぁ……こんなとき、花丸ちゃんが居れば……」
花丸ちゃんなら、ルビィよりもこの街に詳しいだろうし……。
ルビィが一人、溜息を吐いていると──
「アブブ」
アブリーが飛んでくる。
583: 2019/05/05(日) 19:41:00.08 ID:IYa5VeT80
ルビィ「あ、アブリー! おかえり」
「アブアブブ」
アブリーは私が手を持ち上げると、掌の上に留まる。
ルビィ「花丸ちゃん……どうだった?」
「アブブブ」
アブリーは首──がどこかはわかんないけど、恐らく否定の意味で身体を左右に振る。
ルビィ「はぁ……やっぱりかぁ……」
* * *
さて、花丸ちゃんがどこに行ってしまったか……なんだけど、
ルビィはダリア図書館に足を運び、そのまま2階に進んでいく。
──見渡す限り、本、本、本──な館内を奥へと進んでいくと、
花丸「…………」
花丸ちゃんは図書館の奥の方で、本を自分の横に山積みにしたまま読書に耽っていた。
ルビィ「花丸ちゃん」
花丸「…………」
ルビィ「マルちゃん、花丸ちゃーん」
花丸「……ずら? ルビィちゃん、どうしたの?」
ルビィ「どうしたのじゃないよ……聞き込み、そろそろ手伝って欲しいなって……」
花丸「あ、そうだったね! えっと、この本が読み終わったら行くから……」
ルビィ「う、うん……」
それはさっきも聞いた。
──と言うか、今読んでるのさっきの本じゃないし……。
花丸ちゃんは本が大好きで、いつかダリアの大図書館に行ってみたいと言うのは前から、聞かされていたけど……。
まさかここまでとは思わなかった。
花丸「…………」
確かに学校にある小さな図書室の本はほぼ全て読破しちゃったって言ってたし、『大図書館だったら何日も過ごせるね』なんて笑い話をしてたんだけど……。
ルビィ「これじゃ、何日どころか……何年経っても読み終わらないよね……」
花丸「…………」
天井までそびえ立つ本棚を見て、思う。
584: 2019/05/05(日) 19:42:45.34 ID:IYa5VeT80
ルビィ「ねぇ花丸ちゃん」
花丸「…………」
ルビィ「ルビィ、グレイブ団さんのこといろいろ聞き込みしてきたんだけど……」
花丸「……ずら?」
とりあえず、このまま放っておいたら文字通り一生終わらない気がしたから、無理矢理会話を振ってみる。
ルビィ「グレイブ団さんはこの街に研究室を持ってるみたいで、その人たちが宝石を集めてるのはホントみたい。ダリアシティの学生さんとか研究員さんがそう言ってた」
花丸「……確かに研究室同士なら交流もあるだろうし、信憑性があるずら」
ルビィ「うん。あとメレシーやヤミラミの研究もしてるみたい」
花丸「……なるほど、それは確かにマルたちが追ってる人物像に近いね」
ルビィたちが追っている人物像──理亞さん。
ただ、これ以上は恐らく中に入らないとわからない。
ルビィ「だから、花丸ちゃん」
花丸「……わかった。一緒に研究室に行ってみようか」
ルビィ「! うん!」
どうやら、わかってくれたみたい。
近くに積んであった本を棚に戻し始める。
花丸「えっと……じゃあ、この本だけ借りる手続きしてくるから、外で──」
ルビィ「一緒に付いてくね」
花丸「え、大丈夫だよ。ルビィちゃんは先に──」
ルビィ「ほら、早くカウンター行くよ? 花丸ちゃん」
花丸「え、え? う、うん?」
このまま一人にしたら、また花丸ちゃんはここに根っこを生やしちゃうから、
ルビィはそう思って、花丸ちゃんを引き摺るように一緒に貸し出しカウンターに歩いていくことにしました。
* * *
花丸「……グレイブ団は随分、街の目立たないところに研究室があるんだね」
ルビィ「そうだね……」
再び街往く人たちに聞いて、研究室の詳しい場所を教えてもらった。
どうやら、研究室自体は一般開放してるところが多いらしい、
もちろん研究の全てを完全公開したりしてるわけじゃないけど、基本的には来るもの拒まずで研究の同胞を増やすのが目的みたい。
とりあえず二人でそこを目指すことに。
花丸「ルビィちゃん……なんならマル一人で行くのもありだと思うんだけど」
ルビィ「……うーん」
585: 2019/05/05(日) 19:44:42.83 ID:IYa5VeT80
その言葉を聞いてルビィは唸る。
マルちゃんの懸念は、言うまでもない。ルビィの身の安全についてだ。
ルビィは理亞さんに攫われた。その理亞さんを探して、手掛かりになりそうな場所にこれから行くのだから。
──もし、仮に理亞さんがグレイブ団に所属している人間なら、ルビィは狙われる対象になる。
ルビィ「でも、ルビィが言い出したことだし……危険なのはわかってるというか」
花丸「……虎穴に入らずんば、虎子を得ず……ずらね」
どっちにしろ、会えたからと言って、はい落ち着いてお話しましょうと言うことにはたぶんならないと思う。
別に攫われたいわけじゃないけど……。
ルビィ「前と違って、戦う手段はあるし……!」
あのときとは違う。ルビィには4匹の仲間がいる。
花丸「勝つことは出来なくても、騒ぎが起きれば人が来るもんね……」
もし襲われるようなことがあれば手持ちで戦う。戦えば騒ぎになるから、誰かしら来るだろう。
……ちょっと無責任な考え方かもしれないけど……どっちにしろ、探してる当の本人が指名手配犯なわけで……その人を探してる理由もルビィが『ただの悪い人だとは思えない』って言う曖昧な理由だし……。
どうやっても、現状では万人が納得するような理由は、説明出来ない。
ルビィ「それにもし、本当に理亞さんがいたら、花丸ちゃんだって安全とは限らないし」
花丸「……まあ、マルも顔は見られてるもんね」
ルビィ「だから、お互いがお互いを守れるように。一緒にいこ?」
花丸「わかったずら」
花丸ちゃんの了承を得て、ルビィたちはダリアの街を奥へと進んでいきます。
* * *
ルビィ「し、失礼しまーす……」
裏路地を抜けて、少しだけ開けた場所に研究室があった。
言われたとおり一般開放されている場所で、扉を開けて中を覗く。
……中には人気がなかった。
ルビィ「……誰もいないのかな……?」
花丸「無用心ずら」
二人で室内へと入っていく。
入ってすぐ目の前にあるホワイトボードには、
ルビィ「『研究室に御用の方は奥の部屋までお願いします』……だって」
花丸「なんか誘い込まれてる感じがするずら……」
ルビィ「……そうだね」
586: 2019/05/05(日) 19:47:40.28 ID:IYa5VeT80
さて、どうしようか……もとから敵陣の可能性も考えてきてるわけだし、必要以上に立ち往生をする必要もないかもしれない。
室内を見回すと、棚には宝石が置いてある。研究に使うものなのかも。
そのとき、カタカタと腰のボールが震える。
ルビィ「? コラン?」
……また、コランがボールの中で暴れてる。
こんな場所じゃなければ、出してあげるんだけど、
──ボムッ
「ピ」
ルビィ「っわ、勝手に出てきちゃダメだよぉ……」
「ピ…」
花丸「ルビィちゃん、あんまり騒いだら……」
ルビィ「う、うん……コラン今はボールに戻って……」
「ピ…」
ルビィ「……? コラン?」
ふと、コランの様子がいつもと違うことに気付く。
勝手に飛び出た割に……大人しすぎる。
そのまま、ふよふよとコランは奥の部屋のドアに近付いて、
身体を使って、器用にレバータイプのドアノブを上から押して、ドアを開く。
ルビィ「あ、コラン……!」
どうしようか考えていたところだったのに、コランが入っていってしまったせいでルビィたちもなし崩し的に入ることに。
……だけど、奥の部屋にも人気は感じられなかった。
ルビィ「……留守なのかな」
コランはそのまま、部屋の奥の方にある棚に向かってふよふよと飛んでいく。
ルビィ「……?」
花丸「コラン、宝石が気になるずら……?」
コランは棚の前に着くと、その場で止まった。
ルビィ「宝石、というより……棚そのものかな……?」
コランの視線は棚──と言うか、棚の先を見ているようにも見える。
……まあ、壁があるだけなんだけど……。
花丸「それにしても、無用心だね……宝石がそのまま置いてあるなんて」
ルビィ「ん……確かに無用心だけど、ここにあるのは言うほど高価じゃないよ……?」
花丸「ルビィちゃんは金銭感覚がおかしいずら……確かにちっちゃい宝石ばっかだけど」
ルビィ「……ううんそれだけじゃなくて……ここに置いてあるのはホントに安めの宝石だし……」
花丸「……安めってどれくらい……?」
ルビィ「うんと……ほとんど加工してない状態のが多いから、10円もしないくらいのもあるかな。高くても1000円くらい」
花丸「え、そんなに安い宝石ってあるの……?」
ルビィ「宝石って言っても加工してないとそこまでじゃないのも多いんだよ。シリトン、ターコイズ、ラピスラズリ、水晶なんかはあんまり値段しないし」
587: 2019/05/05(日) 19:50:05.79 ID:IYa5VeT80
もちろん大きさとか、状態によっても変わるけど……。
花丸「さすがクロサワ家の子ずら……詳しいね」
ルビィ「メレシーのこと知ろうとすると自然と宝石に詳しくなるから……でも、コラン、ここになにかあるの?」
依然として、静止したまま棚を見つめているコラン。
改めて棚を見てみると、そこにある宝石は普段から人が触っている痕跡が見られる。
そういう意味でも状態の良い宝石とは言い難い。
試しに手に取ってみてみるけど……。
ルビィ「うん……やっぱり、店頭に並んでるものとは違って、そんなに高価な石じゃないと思うよ」
花丸「じゃあ、実験用……とかなのかな?」
ルビィ「……だと思う」
宝石は工業用に加工されるものも多いし、何よりここは研究室だ。研究や実験用途と考えるのが自然だと思う。
いくつか手に取って見て、棚に戻す。
花丸「? ルビィちゃん、なんで並び替えしてるの?」
ルビィ「え? ……あ、えっと……癖で」
言われて気付く。なんとなく、希少性順に並び替えをしてしまっていた。お母さんから将来のために、と宝石目利きの授業を受けていた影響かも……。
……とは言っても、これらの石はさっきも言ったとおりそんなに価値の高いものじゃないから、それなりに詳しくないと希少性順に並び替えたと言ってもわからないだろうけど……。
最後の一個を戻したところで、
──ガコン。
音がした。
ルビィ「ぴぎ!?」
花丸「なんずら?」
何かが外れるような音が鳴り、ガタガタと目の前の棚が揺れ始める。
そのまま、宝石棚が奥側にスライドし始める。
花丸「こ、これは……未来ずら……!!」
ルビィ「え、え、なに……?」
そして、きっちり棚一個分後ろに下がった後、棚が横にスライドし、
ルビィ「こ、これ……」
先ほどまで宝石棚があった場所はぽっかりと口を開けていた。
棚の裏側に通路が出現した。
ルビィ「隠し通路……?」
「ピ」
ルビィ「あ、コラン……!」
コランはふよふよと通路の中に入っていく。
花丸「この先に何かあるずら……?」
ルビィ「ち、ちょっと待って、コラン」
588: 2019/05/05(日) 19:52:27.40 ID:IYa5VeT80
コランを追いかけて、ルビィたちも通路の中へと進むと、
──ガコン。
再び音が鳴る。
ルビィ「ぴぎ!?」
花丸「ずら?」
背後を振り返ると、宝石棚が元に戻ろうとしている──つまり、通路の出入り口が閉まろうとしていた。
ルビィ「え、あ、しまっちゃう!」
早くコランを、戻して外に出ないと……!
……だけど、コランは既にさらに奥の方まで飛んでいってしまっている。
コランを放っておくわけにはいかない。
ルビィはコランを追いかけて、通路を奥に向かって駆け出す。
花丸「あ、ルビィちゃん、待って!」
──ガタン……。
背後で棚が完全に閉まる音がした。
* * *
ルビィ「コラン、どうしたの……!」
「ピ」
コランが再び止まっていた、その場所には、
ルビィ「……え?」
大きく透明な硝子のシリンダー。
そして、中には──
ルビィ「メレシー……」
メレシーが居た。コランとは違う、別のメレシー。
花丸「……ル、ルビィちゃん……」
後ろから花丸ちゃんが遅れて追いついてくる。
花丸「え……こ、これ、メレシーずら?」
ルビィ「う、うん……」
その中でメレシーは固まったまま、動かない。眠っているのかもしれない。
ルビィ「コラン……もしかして、このメレシーに引き寄せられたの?」
「ピ」
589: 2019/05/05(日) 19:58:14.89 ID:IYa5VeT80
肯定とも否定とも取り辛いけど……お姉ちゃんのボルツもコランに何かあると、離れててもわかるみたいだし、メレシー同士何か通じることがあるんだ。恐らくそういうことだと思う。
花丸「このメレシー……クロサワの入江から……?」
ルビィ「ううん、他の地方から捕まえてきたメレシーだと思うよ。入江にいる特殊なメレシーと違って、他の地方に一般的にいる種類だし……」
目の前のメレシーが身に纏っているのは、特殊な宝石ではなく、まさにメレシーの原種とでも言うべきなスタンダードな宝石だ。
……でも、なんでこんなところに……?
改めて、辺りを見回すと、暗がりの中で硝子のシリンダーがいくつもあることに気付く。
その中にはさらに数匹のメレシーに加えて……。
花丸「バネブー、パールル……サニーゴ、ヤミラミ、これはヒトデマンずら……?」
何種類かのポケモンが並んでいた。
いずれも、大人しく眠っている。
ルビィ「……」
明らかに異様な場所だ。
そんなことを考えていると、奥から、
──足音が聞こえてきた。
ルビィ「!?」
花丸「ルビィちゃん!」
花丸ちゃんが咄嗟にルビィの手を引く。
コランを抱きかかえるようにして、そのまま大きなシリンダーの影に隠れるようにして、二人で身を屈める。
程なくして、
「……どうした?」
「……通路の入口の方から音がした気がして……」
女性が二人。
影から、こっそり見てみると、淡い紫の制服を身に纏っていた。
「まさか……この通路への入り方は、団長と幹部、研究員クラスの人間しか知らないはずだ」
……あの人たち、もしかしてグレイブ団……?
研究員1「今日ここにいるのは私たちだけだ。団長は出張中だし、理亞様も現在はクリフのアジトだ」
ルビィ「……!」
研究員2「だから、確認しに来たんじゃない……もしかしたら、通路の開け方が漏れたのかもしれないし」
研究員1「それも今日入るときに変えたばかりだろう? 通路があることに気付く奴が仮にいたとしても、あんな安物の宝石を価値順に並び替えられる人間なんて、我々のような専門家でないと不可能だ」
研究員2「……まあ、それもそうか」
研究員1「早く成果を出さないと、いつまでもここの研究所勤務のままだぞ」
研究員2「……そうね。早くアジトに行けるように、結果出さないと……」
590: 2019/05/05(日) 20:01:07.70 ID:IYa5VeT80
…………。
二人の研究員はそのまま、奥へと引き返して行った。
……ルビィたちの狙いはズバリ的中だった。
先ほど出た名前──“理亞様”。
グレイブ団と理亞さんは関係がある。
その確信が得られた。
更にクリフのアジトに居ると言っていた。居場所もわかった。
成果は十二分、問題は……。
ルビィ「どうやって、脱出しよう……」
中に人がいる以上、開ける方法はあるんだと思うけど、
開けたら、今度こそ、その音を聴きつけてさっきの団員たちが駆けつけてくるだろう。
花丸「ルビィちゃん……」
そう思って、困っていたところに花丸ちゃんが後ろから声を掛けて来る。
ルビィ「は、花丸ちゃん……どうやって、脱出しよう……」
花丸「それなら、こっち……」
ルビィ「……?」
花丸ちゃんはそう言って、身を屈めたまま、奥へと歩いていく。
そこには……。
取っ手のついた、鉄の板が壁に付けられている。
大きさは一辺50cmくらいの正方形。
ルビィ「これは……?」
花丸「たぶんダスト・シュートずら」
ルビィ「ダスト・シュート……?」
花丸「この先がゴミ捨て場に繋がってるずら。ここが秘密の研究所なら、どこか外に通じる、一方通行のゴミ廃棄口があると思って」
ルビィ「! それじゃ……!」
花丸「たぶん、ここを抜ければ外に出られる気がするずら」
どっちにしろ……このままじゃ、最初入ってきた出入り口からは出る方法がない。なら選択肢は一つ。
ルビィ「……降りてみよっか」
花丸「うん」
ルビィたちは、ダスト・シュートを滑り落りることにしました。
* * *
ルビィ「コラン、ちょっとずつね……」
「ピピ」
591: 2019/05/05(日) 20:03:11.47 ID:IYa5VeT80
ダスト・シュート内は狭いけど、身体を伸ばせば子供が通るには困らない大きさだった。
頭の上に掲げるように、コランを持って、ダスト・シュート内の斜面に体を押し付けながら、コランの揚力を利用してゆっくりと降りていく。
上を見ると、花丸ちゃんも同様に、フワンテに掴まって降りてきている。
……そのまま、時間を掛けてゆっくりと降りると、
ダスト・シュートのチューブが終わりを告げると同時に、視界が開け、
ルビィ「……ぅ」
……悪臭が漂ってくる。
眼下にはゴミ袋の山。
ルビィ「コラン、もうちょっと前に……」
「ピピ」
パラシュートの要領で、出来るだけゴミ袋が少ない場所へ向かって、ふわふわと降りていく。
そして、ルビィから少し遅れて、花丸ちゃんとフワンテも降りてくる。
花丸「やっぱり、ゴミ集積所に繋がってたね」
花丸ちゃんが周りを見回しながら、そう言う。
花丸「いくつか、口が見えるし……何個かの研究室で共用してるみたいだね」
確かに、結構な大きさのゴミ集積所みたいだ。
花丸「この大きさだと……1ヶ月に一回くらいの頻度で回収に来るのかな……」
ルビィ「う、うん……」
花丸ちゃんは冷静に分析してるけど……。
ルビィは耐え切れずに鼻と口元を抑える。
花丸「る、ルビィちゃん!?」
ルビィ「ご、ごめん……臭いが……」
花丸「確かに……酷い臭いだね。早く脱出しよっか。たぶん、どこかに人が出入りするための通用口があるはずだから……」
ルビィ「うん……」
頷いて、歩き出した折に、
──ガサ。
ルビィ「……?」
花丸「? ルビィちゃん?」
ルビィ「今……何か動かなかった?」
花丸「え?」
暗がりの中、確かに何かが動いた気がする。
花丸「こんな場所に何かいるわけ……」
592: 2019/05/05(日) 20:05:59.16 ID:IYa5VeT80
花丸ちゃんがそう言った、
──刹那。
何かがこっちに向かって飛んできた。
ルビィ「!! コラン、“うちおとす”!」
「ピピピ!!!」
咄嗟に指示を出し、コランが体から、石を飛ばしてソレを撃ち落した。
花丸「ずら!?」
ルビィ「やっぱり、何かいるよ!」
撃ち落したものを確認すると──。
花丸「ゴミ袋……?」
ゴミ集積所らしいモノが飛んできていた。
でも、ゴミ袋は勝手に飛ばない。
ルビィ「何かが投げてきた……!」
辺りを見回すと、普通のゴミ袋とは別に、いくつかの動いてるゴミ袋が……?
花丸「! あれはヤブクロンずら!」
ルビィ「ヤブクロン……」
図鑑を開く。
『ヤブクロン ゴミぶくろポケモン 高さ:0.6m 重さ:31.0kg
不衛生な 場所を 好む。 ゴミ袋が 産業廃棄物と 化学変化を
起こした ことで ポケモンとして 生まれ変わったと 言われている。
ゲップのように 吐き出す ガスは 吸い込むと 1週間 寝込む。』
「ヤブ…」「ブクロン…」「ヤブクー…」
ヤブクロンたちは、ゴミの影からこっちを睨んでいる。
花丸「ヤブクロンはゴミを食べるポケモンずら! マルたちが急に降って来たから、餌を横取りしに来たんだと思ってるのかも……」
ルビィ「や、ヤブクロンさん! ルビィたちは、たまたま通っただけで餌を奪ったりするつもりじゃ……」
「ヤブ!!!」
有無を言わせず、ヤブクロンの口からなにかが飛び出す、
花丸「ルビィちゃん! 危ない!」
ルビィ「ぴぎぃ!?」
花丸ちゃんの声と共に、咄嗟に転ぶように避ける。
そして、その攻撃がさっきまでルビィがいた場所で弾けると同時に、
──ジュウ……と何かが溶ける音がする。
ルビィ「あ、あわわ!?」
花丸「“アシッドボム”ずら!」
酸による攻撃。完全に敵として認識されてる。
593: 2019/05/05(日) 20:09:29.80 ID:IYa5VeT80
ルビィ「と、とにかく逃げよう……!!」
パッと起き上がって、出口を探して辺りを見回して、気付く。
ルビィ「あ、あれ……もしかして……」
花丸「……囲まれてるずら」
さっきまでただのゴミ袋だと思っていたものがもぞもぞと動いている。
花丸「四面楚歌ずら……」
花丸ちゃんがそんなことを呟くと同時に──
「ヤブ!!!」
ヤブクロンたちが一斉に飛び掛かってきました。
* * *
ルビィ「コラン、“パワージェム”!! ヌイコグマさん、“ぶんまわす”!!」
「ピピ!!」「クーーマーーー」
飛び掛かってくる、ヤブクロンたちを迎撃しながら、とにかく走り回る。
ルビィ「出口はどこー!!」
花丸「とにかく壁伝いに探すしかないずら!! フワンテ、“あやしいかぜ”! ナエトル、“はっぱカッター”!!」
「プワー」「トルッ」
四方八方から飛び掛かってくるヤブクロンをとにかく撃ち落としながら、壁にドアがないかを探す。
ルビィ「ここにもない……!!」
「ヤブ!!!」
花丸「ルビィちゃん伏せて!!」
ルビィ「うゅ!!?」
花丸「ナエトル、“タネばくだん”!」
「トルッ!!」
ルビィの頭上で“ヘドロこうげき”を“タネばくだん”の爆風が吹き飛ばす。
花丸「ルビィちゃん、大丈夫!?」
花丸ちゃんが声を掛けてくるが、その背後に飛び掛かる、別のヤブクロン、
ルビィ「ヌイコグマさん! “アームハンマー”!!」
「クーーマーー」
「ヤブクッ!!!!」
また一匹ヤブクロンを吹っ飛ばす。
花丸「ずら!?」
594: 2019/05/05(日) 20:11:16.08 ID:IYa5VeT80
二人で氏角をフォローしながら戦っているが……。
まずい、キリがない。
とにかく、出口を……!!
そう思って、再び走りだそうとした、ルビィを、
花丸「ルビィちゃんストップ!!」
花丸ちゃんが腕を引いて止める。
ルビィ「な、なに!?」
花丸「“どくびし”が周りにばら撒かれてるずら!!」
ルビィ「!!」
気付けば、辺りに黒くトゲトゲしたものがばら撒かれている。
ルビィ「身動きが……ぅっ……げほげほっ……!!」
花丸「る、ルビィちゃん!? フワンテ、“きりばらい”ずら!」
「プワーー」
ルビィ「ぅ……」
しかも、ヤブクロンたちが“どくガス”を吐き出しているのか、徐々に呼吸も苦しくなってくる。
ルビィ「コランッ……“しんぴのまもり”……!」
「ピピピ」
花丸「る、ルビィちゃん……! 大丈夫……!?」
ルビィ「う、うん……“きりばらい”で吹き飛ばしてくれたから、随分楽になったよ……」
ついでに神秘のベールで毒対策……でも、ジリ貧だ。
花丸「ナエトル! “タネマシンガン”!!」
「ナエトルルルルルル!!!!」
ナエトルが飛び掛かってくる、ヤブクロンたちをタネの銃撃で連続して撃ち落す。
花丸「フワンテはルビィちゃんと一緒に出口を探して!!」
「プワー!」
ルビィ「え!? 花丸ちゃん!?」
花丸「このままじゃ、二人ともやられるずら! ルビィちゃんは出口を……!!」
ルビィ「で、でも!!」
「クーーマーーー」
ルビィ「!? ヌイコグマさん!?」
突然ヌイコグマが、ヤブクロンたちの集団に飛び込んで、
「クマァーーーーーーーー」
“あばれる”!!
「ヤブーー!?」「ブクロー!!?」
花丸「ルビィちゃん! ヌイコグマ借りるよ!!」
ルビィ「……っ!! わかった……!! フワンテさん!!」
「プワー!!」
595: 2019/05/05(日) 20:13:20.05 ID:IYa5VeT80
フワンテを呼び寄せて、走り出す。
ルビィ「コラン! “マジカルシャイン”!!」
「ピピピー!!!!」
「ヤブ!!?」「ヤブブ!!!!」「ブクロン!!!」
前方のヤブクロンを光閃で怯ませ、その隙に通りぬける。
とにかく出口……!!
コランに照らされた集積所内部を見回してみるが……。
ルビィ「見つからない……っ!!」
とにかく、ルビィたちが見つけないと……! 早く……!!
ルビィ「そうだ! フワンテさん!」
「プワー」
ルビィ「ちょっとでもいいから、風が入り込んでくる場所、わからない!?」
「プワー!!」
* * *
前方で暴れまわるヌイコグマ、
その後方から“タネばくだん”、“タネマシンガン”で脇を固める。
殲滅は無理でも、時間稼ぎくらいなら、どうにかマルにも出来る。
「ヤブクッ!!!」
不意に飛び掛かってくる、ヤブクロンも、
花丸「“かみつく”!」
「ナエッ!!」
ナエトルがヤブクロンに噛み付きそのまま、地面に叩き付ける。
どうにか、迎撃が間に合う。
今どきダスト・シュートを使ってるのは珍しいとはいえ、緊急用の出入り口すらないなんてことは絶対ない。
とにかく、マルたちが時間さえ稼げばルビィちゃんたちが、出口を見つけてくれるはずだ。
「クーーマーー!!?」
花丸「ずら!?」
声がして、前方に顔を戻すと、
花丸「ヌイコグマ!!」
何かに投げ飛ばされたヌイコグマを体で受け止める。
花丸「ずらっ」
「クーーマーー…」
596: 2019/05/05(日) 20:14:36.35 ID:IYa5VeT80
突然、ヌイコグマが力負けした……?
再び、視線を戻すと、
「ヤブ…」「ヤブクロ…」
ヤブクロンたちが大人しくなって、道を開け始めた。
花丸「いや、新手……!」
「ダス…」
鳴き声をあげながら、奥から巨大なゴミの塊が歩いてくる。
花丸「ダストダス……!!」
「ダス…!!」
ヤブクロンの進化系──ダストダス。恐らくあいつが群れのボス……!
ダストダスは長い腕をこっちに伸ばし、
「ナエッ!!!」
ナエトルを手で押さえつける。
花丸「ナエトル! “かいりき”!!」
「ナエェェ…!!!!」
ダストダスはその長い手でナエトルをずるずると引き摺り始める。
ナエトルはその場で踏ん張り、耐えているけど……。
体重が違いすぎる。
花丸「ダストダスは107kg……じゃあ、ゴンベで──」
そう思い、加勢のゴンベを出そうとした瞬間。
「ナェ──!!!!」
花丸「!」
目の前でナエトルが光り輝く。
花丸「進化ずら……!! これなら、いけるずら……!!」
「──ガメェ…!!!!」
花丸「引っ張るずら!! ハヤシガメ!!!」
「ガメェーー!!!!」
ナエトルが進化した──ハヤシガメ。進化して体重はナエトルの約10倍の97kg
これならダストダスとの綱引きも一方的じゃなくなる。
花丸「ハヤシガメ!! “ばかぢから”!!」
「ガーメェーー!!!!!」
「ダスダァ!!!!!!」
完全な綱引き勝負。
今度は逆にダストダスが腕ごと引き摺られ始める。
597: 2019/05/05(日) 20:15:41.68 ID:IYa5VeT80
「ダストォ!!!!」
ダストダスが強く足を踏ん張り、再び拮抗状態に、
花丸「“くさむすび”!!」
「ガメ!!」
「ダストダ!!?」
その瞬間を狙って、足元に“くさむすび”を使って、足を引っ掛ける。
バランスを崩した、ダストダスは前のめりになり、そこに追い討ち
花丸「“だいちのちから”ずら!!」
「ガメーー!!!」
転んだダストダスの足元から大地のエネルギーが放出する。
「ダストダァアアアーー!!!!」
ダストダスが怒りの声をあげているが、
そのとき、背後から──
ルビィ「花丸ちゃーん!!!!」
──ビュウと舞い込む風の音と共に、ルビィちゃんの声。
マルはヌイコグマを抱えたまま、踵を返して、
花丸「ハヤシガメ!! 走るずら!!」
「ガメ!!!」
ルビィちゃんの声のする方へと走り出した。
* * *
ルビィ「花丸ちゃん!!」
花丸「ルビィちゃん!!」
ルビィは通用口の扉の外から手を伸ばし、花丸ちゃんの手を掴む。
「ダストダァアアア!!!!!」
後ろから、大きなポケモンが腕を伸ばしてくるのが見える、
ルビィ「!! コラン、“フラッシュ”!!」
「ピピィ!!!」
咄嗟に、コランが花丸ちゃんの後ろに周りこみ、激しく閃光する。
「ダストダァ…!!!!」
その光に怯んだのを見て、
ルビィ「花丸ちゃん!!」
花丸ちゃんを思いっきり引っ張った。
598: 2019/05/05(日) 20:16:45.25 ID:IYa5VeT80
花丸「ずら!!」
そのままの勢いで二人して外に転がる、
ルビィ「コラン!!」
地面に転がったまま、声を張り上げて、コランを呼び戻す。
「ピピィ!!!」
ルビィ「ドア!! 閉めて!!」
「ピピ!!!」
指示に従い、コランは外開きのドアを内側に向かって、体を押し付け、ドアを閉める。
「ダストダァーー!!!!」
集積所内から、再び怒りの声が聞こえるが、
花丸「ハヤシガメ!! 手伝って!!」
「ガメ!!!」
二匹がドアを体で押して、
無理矢理、押し閉めた。
その直後に──ガン!! と激しく何かがドアにぶつかったが──
ルビィ「はぁ……はぁ……」
花丸「ず、ずらぁ……」
それ以降は音が止み、大人しくなった。
ルビィ「は、……はぁ……」
花丸「た、助かった……ずら……」
地面に転がったまま、思わず二人して脱力する。
ルビィたちは、どうにかヤブクロンたちの猛攻を掻い潜り……助かったようです。
599: 2019/05/05(日) 20:18:01.07 ID:IYa5VeT80
* * *
──数分後、やっと呼吸も落ち着いてきたところで。
花丸「この辺りは……6番道路の南辺りみたいだね」
ルビィ「うん」
前方には河が、左手の少し遠方に、大きな橋──恐らく風斬りの道と思われる橋が見える。
さっきまで居た、ゴミ集積場は後方にある切り立った崖の下に位置していて、その崖の上部にはダリアシティが見えた。
花丸「とりあえず……次の目的地は、カーテンクリフかな?」
ルビィ「……うん。理亞さん、そこにいるみたいだから」
グレイブ団の人たちが言っていた通りなら、理亞さんはカーテンクリフにあるらしい、グレイブ団のアジトにいる。
花丸「それなら、登山道具を街で調達しよっか……一日二日じゃ超えられないから」
ルビィ「うん、わかった」
……期せずしてかなり激しい戦いになってしまったけど、
期待以上の情報を得たルビィたちは、次の目的地への赴くための準備と、休息を取りに……一旦ダリアシティへと戻っていくのでした。
600: 2019/05/05(日) 20:19:34.69 ID:IYa5VeT80
>レポート
ここまでの ぼうけんを
レポートに きろくしますか?
ポケモンレポートに かこんでいます
でんげんを きらないでください...
【叡智のゴミ捨て場】

主人公 ルビィ
手持ち アチャモ♂ Lv.17 特性:もうか 性格:やんちゃ 個性:こうきしんがつよい
メレシー Lv.21 特性:クリアボディ 性格:やんちゃ 個性:イタズラがすき
アブリー♀ Lv.16 特性:スイートベール 性格:のんき 個性:のんびりするのがすき
ヌイコグマ♀ Lv.18 特性:もふもふ 性格:わんぱく 個性:ちょっとおこりっぽい
バッジ 0個 図鑑 見つけた数:69匹 捕まえた数:6匹
主人公 花丸
手持ち ハヤシガメ♂ Lv.22 特性:しんりょく 性格:のうてんき 個性:いねむりがおおい
ゴンベ♂ Lv.19 特性:くいしんぼう 性格:のんき 個性:たべるのがだいすき
モココ♂ Lv.20 特性:プラス 性格:ゆうかん 個性:ねばりづよい
キマワリ♂ Lv.18 特性:サンパワー 性格:きまぐれ 個性:のんびりするのがすき
フワンテ♂ Lv.22 特性:ゆうばく 性格:おだやか 個性:ねばりづよい
バッジ 0個 図鑑 見つけた数:69匹 捕まえた数:28匹
ルビィと 花丸は
レポートを しっかり かきのこした!
...To be continued.
602: 2019/05/05(日) 23:51:51.71 ID:IYa5VeT80
■Chapter045 『修行』 【SIDE Chika】
千歌「──……21……22……23……」
……どうして、私はこんなことをしているんだろう。
竹刀を振りながら思う。
海未「千歌。集中が切れていますよ」
千歌「……あのー海未師匠」
海未「……貴方を門下にした覚えはないのですが……なんですか?」
千歌「……なんで素振り?」
私は意味もわからず、竹刀の素振りをしていた。
千歌「ポケモンバトルの修行じゃないんですか……」
海未「これも修行ですよ」
千歌「ホントですか……?」
海未「不服そうですね」
千歌「これでバトルに強くなるのかと……」
海未「基礎訓練は大事ですよ。トレーナーもポケモンも最終的には体力、集中力、判断力が必要ですから」
千歌「……そういうもんなのかな」
海未「わかったら、続けてください。貴方のポケモンたちは皆、真面目に訓練をしていますよ」
言われて、道場の外を見ると、
「マグッマグッ」
「ピピィ!!」
「ハッハッハ!!!」
マグマラシとムクバードとルガルガンがどこから持ってきたのか、体にくくりつけたロープでタイヤを引いている。
「……」
ルカリオは片足を立てたまま、瞑想中。
「ワフ…」
しいたけは寝てる。
千歌「しいたけ、サボってるじゃん……」
思わず、眉を顰める。
千歌「こんなんじゃ、必殺技出来ないですって!」
海未「そう言われましても……」
千歌「なんか、すごいド派手に滝とか割ったりとかしないんですか?」
海未「貴方は修行をなんだと思っているんですか……? 修行とは耐え忍ぶことから始まるのですよ。地道な訓練がいつか実を結ぶ、そういうものです」
千歌「それにしても地味……」
外はすごく良い天気なのに……私は室内で延々と竹刀を振っている。
竹刀は意外と重く、確かにいい運動にはなるんだけど……。
竹刀を振るたびに前髪が揺れる。
603: 2019/05/05(日) 23:53:55.00 ID:IYa5VeT80
千歌「髪……邪魔……師匠~……せめて、髪留め返してくださいぃ……」
海未「……確かにやりづらそうですね」
普段から顔の右側の髪を留めている、トレードマークのヘアピンは、何故か朝、師匠に没収されてしまった。
海未「ただ、今日一日は待ってください」
千歌「うぇぇ……?」
思わず変な呻き声をあげてしまう。
海未「ほら、とにかく。素振り、続けてください」
千歌「はーい……」
* * *
千歌「──……96……97……98……!!」
海未「もう少し、頑張ってください」
千歌「……99……100!!」
やっと100回。
千歌「はっ……はっ……も、もう……無理……っ……」
竹刀を床に置いて、その場にへたり込む。
海未「意外と根性がありますね。素人がいきなり100回も振るのは苦労するのですが」
千歌「正直……50回くらい、から……ずっと、やめたかったです……」
海未「まあ、初日ですから、100回でいいでしょう」
ショニチデスカラ……?
千歌「あのー……参考までに、何回やって欲しいんですか……?」
海未「500回くらいが目標でしょうか」
千歌「無理!! 絶対、無理です!!」
海未「最初は皆、そう思うものですよ」
千歌「師匠!! 私は剣道が強くなりたいんじゃないです!!」
海未「千里の道も一歩からです。3~4ヶ月も続ければ500回なんて……っは」
海未さんが突然……ハッとする。
海未「……考えてみれば、3~4ヶ月も私が見てあげられませんね……」
千歌「…………」
これ、振り損なのでは?
604: 2019/05/05(日) 23:56:33.27 ID:IYa5VeT80
千歌「……さっきも聞きましたけど、これホントにバトルの修行なんですか?」
海未「そうですよ」
千歌「これで何が強くなるんですか……?」
海未「こういうことはその意味を自分で見つけることに意義があります」
千歌「そういうのはいいのっ!! 海未師匠も今さっきそんなに時間ないって言ってたじゃないですか!」
海未「む……それはそうですが……」
海未さんは少しだけ悩んだ後、
海未「……さっきも言いましたが、トレーナーもポケモンと同様、体力、集中力、判断力は常に求められます」
話し始めた。
海未「激しいバトルを続けると、息が切れたりする経験、あるんじゃないですか?」
千歌「……確かに、あります」
海未「思った以上に戦局を意識し、常に自分のポケモン、相手のポケモンの状態を把握し続けることには体力が要ります。体力が尽きてくれば、自然と集中力や判断力も落ちますし、その分ポケモンへの指示の精度は落ちていきます」
千歌「そのための体力作り……ってことですか?」
海未「その通りです。常にトレーナーは状況を把握し、ポケモンに的確な指示を出せなくてはいけない。そういう総合した能力を鍛えるのに素振りは向いてるんですよ」
なるほど、わからなくもない。
海未「それにトレーナーは、ポケモンにとっての目です」
千歌「目……?」
海未「ポケモンの氏角を常に把握し、的確に次の手を指す。その繰り返しによって、信頼関係を育むことが出来れば、ポケモンの判断も早くなる。技の出が早くなれば──」
「クワ」
千歌「!?」
へたり込んでいた私の額に、いつの間にか、カモネギのネギの先端が皮一枚くらいの場所にあった。
海未「こういうことが出来ます」
千歌「カモネギ、外に出してたんですか……?」
海未「いえ、ボールに入れていましたよ。千歌の視界、私の視界、ボールから出たカモネギの攻撃がどこまで届くかを把握していれば、簡単なことです」
確かにこうして実際にやっているのを見ると、達人技ではあるけど、バトルで強いと言うのは頷ける。
千歌「……基礎訓練が大事なのはわかりました」
海未「わかってくれましたか」
千歌「でも、時間ないんですよね……? それなら、尚更ポケモンを使った訓練を早くした方がいいんじゃないですか?」
海未「……軟弱な発想、と言いたいところですが……時間がないのは私の都合ですからね。確かに一理あります。……わかりました。ちょっと段階としては早いのですが、次のステップのため、裏山に行きましょう」
海未さんはそう言って、身を翻した。
* * *
605: 2019/05/05(日) 23:58:40.77 ID:IYa5VeT80
──さて、裏山。
昨日ゴローニャたちを止めた場所。
「ゴローニャ」
千歌「……というか、ゴローニャいるし……」
そこらへんをゴローンやゴローニャが闊歩している。
海未「さて、千歌。ここに岩がありますね」
そう言う海未さんの横には直径1メートルくらいの岩がある。
……運んできたのかな?
海未「この岩、斬れると思いますか?」
千歌「……たぶん無理です」
海未「じゃあ、実際にやってみましょう。カモネギ」
「クワッ」
海未「……“いあいぎり”!!」
一閃。
一息置いて、岩が縦に真っ二つに割れる。
海未「実のところ、岩は斬れます」
千歌「そんなの、海未師匠だけです!!」
海未「まあ、聞きなさい」
千歌「……はい」
海未「今回はわかりやすいように、最初から縦向きに割れるように置いたのですが……岩にも砕けやすい向きがあります」
千歌「向き?」
海未「攻撃が一番通りやすい方向……とでも言うのでしょうか。それは岩に限らず、樹木、草木にも……それどころか、不動じゃないモノ──ポケモンにも存在します」
……つまり、いわゆる──
千歌「急所に当たる……ってやつですか?」
海未「そうですね、概ねその理解で間違っていません。つまり私は岩の急所を突いた。だから、岩が簡単に割れた。と言うことです」
簡単に言うけど……。そんなこと出来るのかな。
606: 2019/05/06(月) 00:01:21.39 ID:UvOtrYsw0
海未「もちろん、モノの強弱の性質を見抜くのは一朝一夕で出来る話ではありません。ましてや、実際のバトルでは相手は動いていますから、その見極めはさらに難しくなるでしょう」
千歌「……それじゃ、やっぱり私には出来ないんじゃ……」
海未「すぐには無理でしょうね。だから、最初はその要因を分解して考えることにしましょう」
千歌「分解?」
海未「まず、対象の弱い方向をなんとなくでもいいので見極めます。この岩で言えば縦向きの衝撃に弱く、横向きの衝撃に強い……というのはさっきなんとなく言いましたね」
千歌「はい」
海未「次に威力です。この岩を破壊できるだけの威力を見極めます。これは壊すだけなら、大きければ大きいほど良いです」
千歌「壊すだけなら……?」
海未「今回は動かない岩ですが……基本的には戦うのは意思を持って動くポケモンです。威力の大きな技はその分、隙も大きい。倒しきれなければ、その隙はリスクに変わってしまいます」
千歌「……なるほど」
海未「そして、三つ目は技そのものの速さです。これがあると攻撃が届くまでの時間も勿論早くなりますし、加えて副次的に威力も上がります。攻撃を外すリスクも攻撃の速度が速いほど下がります。ただ、これはポケモンごとによって根本的な得手不得手があるので、必ずしも技の速度を上げることが出来るわけではないのが、注意点でしょうか」
海未さんが私に向き直る。
海未「弱点の見極め、威力の向上、攻撃の速度。これが今の岩割りの大まかな三つの要素になります」
千歌「えっと……めちゃくちゃすごい威力の技を、すごいスピードで、相手の急所に狙って当てるってことですか……?」
海未「すごく大雑把に言うとそういうことですね。ただ、同時にこれら全ての能力を上げるのは難しいので最初は別々に訓練をします。千歌、もうちょっと岩に近寄ってもらっていいですか?」
千歌「あ、はい」
言われて岩に近付く。
海未「岩の断面を直接、手で触ってみてください」
千歌「? はい」
とりあえず、言われるがままにやってみる。
綺麗に真っ二つに割れた岩肌。すべすべしている。
海未「どうですか?」
千歌「……つるつるです。最初からこんな形だったみたい」
海未「いいでしょう。じゃあ、少し離れてください。カモネギ」
「クワッ」
海未「“いあいぎり”!!」
今度は斜めに、岩が斬れて、ずり落ちる。
海未「この表面はどうですか?」
千歌「えっと……」
つるつるなんじゃないのかな……?
そう思って触ってみて、
千歌「……あれ?」
海未「気付きましたか」
千歌「触ってみると……少しだけ、凸凹してる……?」
見た目ではほとんどさっきと変わらない断面だけど……確かに手で、指で、撫でてみると、わずかに引っかかりを感じる。
海未「さて……どうしてこんな違いが生まれるのかわかりますか?」
607: 2019/05/06(月) 00:03:11.41 ID:UvOtrYsw0
海未さんがそう問い掛けてくる。
千歌「……目で見ただけじゃ、わからない違いがあるから……かな?」
海未「そういうことです。それじゃ、縦と斜め、どっちが斬れやすそうか、想像できますか?」
千歌「縦!」
即答する。
海未「正解です。岩は目で見ただけではわかりませんが、実は縦向きの力に弱かったということですね。これが岩の急所の方向です」
千歌「岩の、急所……」
海未「こうやって、とにかく触ったり、性質を知ることそのものが、トレーナーに求められる経験や知識です。それじゃ、実際にやってみましょうか。ポケモンを出してください」
千歌「あ、はい! マグマラシ!」
マグマラシをボールから出す。
「マグ!!」
千歌「マグマラシ! “いわくだき”!」
「マグッ!!!」
岩が上から下に向かって……!!
──ピシピシと、音を立ててから、割れて崩れる。
千歌「…………」
砕けた岩を持ってみる。
海未「これが、綺麗に割れるようになると、それだけ力のロスがない。よりダメージが通ったという証明になります」
砕けた欠片はツルツルの面と、凸凹の面がある。
海未「ただ、それこそ私がやったように、岩の性質を完全に見抜き、的確な角度に攻撃を加えるのは、トレーナーにもポケモンにもかなりの経験と知識が必要です。なので、それを補うために、威力を──」
千歌「マグマラシ、さっきの“いわくだき”……炎を纏ったまま出来る?」
海未「……千歌?」
……出来るだけ、縦に真っ直ぐ。炎を纏って、振り下ろすイメージで……。
千歌「マグマラシ! “いわくだき”!」
「マグッ!!!」
──音を立てて、岩が砕ける。
でも……さっきよりも砕けた破片が少ない。
海未「…………」
千歌「さっきよりうまく出来てるね! ……よし、じゃあ次はもっと下まで薙ぐ感じで……」
「マグッ」
千歌「あ、えっと海未師匠」
海未「え、は、はい」
海未さんはハッとしたように私の声に応える。
608: 2019/05/06(月) 00:05:31.71 ID:UvOtrYsw0
千歌「? ……これどれくらい続ければいいですか?」
海未「……そうですね、とにかく今日は時間の許す限りたくさんやってください。マグマラシだけでなく、手持ちの他のポケモンとも」
千歌「了解です!」
海未「ただ、トリミアン──しいたけというニックネームでしたか。あの子だけは恐らく、こういう戦い方は向いてないので、とりあえずは他の訓練メニューを用意しましょう」
千歌「あ、はーい」
私はボールから皆を出す。
海未「それでは、しいたけ。着いて来てもらっていいですか?」
「ワフ」
海未さんはそう言って、しいたけと一緒に走り出す。
体力作りなのかもしれない。
千歌「よし! じゃあ、皆! こっちはこっちでやってみよう!」
「マグ!!」「ピピィ!!」「ワゥ!!」「グゥォ」
訓練──スタート……!
* * *
──ローズシティ。
梨子「ベイリーフ!! “マジカルリーフ”!!」
「ベイベイ!!」
通信室から、ジムのバトルスペースを覗くと、梨子がジムポケモン相手に戦っている姿が見える。
真姫「ふふ、随分生き生きしてるじゃない」
思わず、笑ってしまう。
後で、時間が出来たらアドバイスの一つでもしてあげようかと思う。
──さて、それはそれとして。私には仕事がある。
医者としての研究もそうなのだが……それ以外にもポケモンの生態研究や研究機材の取り寄せなどがある。
私には他の人にはないコネクションがいくつかあって、それを利用して同業者たちに機材などの斡旋をしているのだ。
最近はホシゾラシティに、ポケモンの持つタイプのエネルギーを感知できる装置を送りつけたところ。
真姫「凛がまともに使ってるのかは知らないけど……」
書類や研究資料、論文、送られて来ているメールに目を通しながら、有用そうなものがないかを調べる。
真姫「あら……? これ、鞠莉からのメールね」
鞠莉はお得意様だ。
しかも、一方的にこっちから機材を斡旋しているだけじゃなく、最近はクロサワの入江から取れる鉱物取引の仲介もしてもらっている。
装飾品としての加工はもちろんだが、鉱石や宝石はそもそも研究用途や工学的用途が多い。
故に鉱石の取れるクロサワの家と、工業都市であるローズシティとは切っても切れない関係にある。
609: 2019/05/06(月) 00:08:43.56 ID:UvOtrYsw0
真姫「……出せる鉱石の量が減るって話みたいね……」
メールに書かれていたのは、最近クロサワの入江が賊に襲撃されたこと、そしてそれに伴って採掘量がしばらく減ると言う報告だった。
真姫「まあ、仕方ないわね」
襲撃を受けたと言うのは、もうニュースになっていたし知っていたことだ。
こればかりはしょうがないだろう。
メール文章をスクロールしながら、目を通し。
真姫「……は?」
その末尾に、用途のよくわからない注文が、ついでのようにくっついているのを見つける。
真姫「…………」
少し悩んだが、私はとりあえずそのままパソコンから鞠莉へ直接電話を掛けた。
──数コールの後、
鞠莉『ハァーイ☆ 真姫さん、どうかしたの?』
相変わらず、気の抜ける底抜けに明るい声が聞こえてくる。
映像通話の画面には明るい金髪に特徴的な髪型の女性──オハラ・鞠莉博士。
真姫「どうかしたの? じゃないわよ、マリー。何、あの注文……」
鞠莉『Oh メールを見たと言うことデスネ。取り寄せ、無理かしら?』
真姫「……無理ではないけど。アレって、基本的には警察が押収するような代物ものなのよ?」
鞠莉『もちろんわかってマース! ただ、モンスターボールの機構の研究に使いたくてデスネ……』
真姫「モンスターボールの機構?」
鞠莉『正確にはモンスターボールの原型についての研究デスネ』
真姫「……確か、ちょっと前に60年前のモンスターボールとか送ったわよね」
鞠莉『Yes! その説は助かりました。まさか、あんなものまで手に入るなんて、真姫様サマサマだよネ!』
60年程前のモンスターボール……開閉スイッチがまだ、ネジ式で今では全く流通していないものだ。研究者やマニアの間では“レトロボール”と言う通称で呼ばれている。
確か取り寄せたソレは1960年が製造年だったかしら……。
今のモンスターボールに比べると、即効性に欠けるし、使い勝手はかなり悪い……が、
モンスターボールの基本理論の発見から、たった30年程であれだけポケモンの携帯性の高いものが流通していたと言うのは、素直に興味深い話だった。
真姫「ま、それはいいんだけど……くれぐれも変な事に使わないでよね? 機材提供元ってことで、私まで嫌疑を掛けられたりしたら堪ったもんじゃないし……」
鞠莉『それはもちろんデース! 真姫さんに迷惑を掛けないのは大前提だヨ』
真姫「わかってるならいいけど……手配しておく」
鞠莉『助かりマース!』
まあ……マリーが仲介に入ってからは、クロサワ家から入ってくる鉱石の種類も前より増えたし。
悪いことに使うのでなければ、構わない。それこそ、コネクションがないと手に入らないような代物だし。
……ふと、鞠莉と連絡を取っていて、今すぐそこのバトルフィールドでトレーニングの真っ最中の梨子のことを思い出す。
610: 2019/05/06(月) 00:10:09.89 ID:UvOtrYsw0
真姫「そういえば……貴方のところから旅に出た図鑑所有者が来たわよ」
鞠莉『Oh? ホントデスか?』
真姫「梨子って子よ」
鞠莉『梨子デスか? ...Hmm. それで梨子はどんな様子なのかしら?』
鞠莉の反応からしても、図鑑とポケモンを貰うときも随分とふてぶてしかったのかもしれないわね。
真姫「今は真面目にトレーニング中よ」
鞠莉『...What? 真姫さんが面倒見てるの?』
真姫「ま、成り行き上ね」
鞠莉『どんな調子……?』
真姫「“旅の仲間”と仲良くやってるわよ。チコリータも無事、ベイリーフに進化して、今はうまくいってるみたい」
鞠莉『……そうデスか』
画面の向こうで鞠莉が安堵するのがわかった。
真姫「もともと真面目で、よく勉強もしてるし……あとは経験さえ積めば、強いトレーナーになるわよ」
鞠莉『ジムリーダー様のタイコバンがあるのは、頼もしい限りデース』
真姫「ま、そういうことだから」
とりあえず、博士としてはこれだけ聞ければ安心だろう。
この後、二三言葉を交わしてから、通話は終了した。
真姫「……さて」
一通り、メールチェックも終えて、私は立ち上がる。
真姫「マリーにもああ言っちゃったし……少し真面目に面倒見てあげようかしらね」
そう言って、私はバトルフィールドの梨子の元へ、向かうのだった。
* * *
──アキハラタウン。
夕方頃に、ポケギアが鳴る。
相手は──
海未「もしもし、ことりですか?」
ことり『あ、海未ちゃん……そっちは大丈夫?』
海未「ええ、問題ありませんよ」
問題がないどころか……。
海未「千歌は強くなりますよ」
私はそう言い切っていた。
611: 2019/05/06(月) 00:11:33.25 ID:UvOtrYsw0
ことり『……! そっか』
海未「好奇心が強いからでしょうか……実地に入ったら、凄い勢いでコツを掴んでいます。まるで──」
まるで──私は思わず幼馴染の名前を言い掛けて、なんとなく言葉を飲み込んだ。
ことり『……ふふっ そっか』
海未「……え、ええ」
ことり『とにかく、順調そうなら安心したかな』
海未「安心したのなら、何よりです」
ことり『うん♪ それじゃ、用事はそれだけだから……』
海未「はい。再戦の目処が立ったら此方から改めて連絡するので」
ことり『了解♪』
通話が切れる。
海未「……さて、そろそろ千歌を迎えに行きましょうか。しいたけ行きますよ」
「ワフ」
そう呟いて、千歌を置いてきた、裏山の麓にしいたけと一緒に足を向ける。
* * *
千歌「ふー……あ、師匠~!」
海未さんの姿を認めて、私は思わず手を振る。
海未さんは一度辺りを見回してから、
海未「……岩、最初より増えていませんか?」
怪訝な顔をした。
千歌「あ、えっとですね……」
私が説明しようと後ろを振り向くと、
「ゴローニャ」
丁度ゴローニャが岩を運んできたところだった。
612: 2019/05/06(月) 00:13:35.24 ID:UvOtrYsw0
海未「ゴローニャ? 捕まえたのですか?」
千歌「あ、いや……なんかトレーニングしてるうちになんか仲良くなりました! そしたら岩を運ぶのを手伝ってくれて!」
海未「そ、そうですか……それで何個くらい割りましたか?」
千歌「とりあえず、10個くらい」
海未「……随分捗ったみたいですね」
千歌「割れ方とか見てみると全部、岩ごとに微妙違って、なんか割るのが楽しくなっちゃって……」
海未「ふふ、楽しみながら出来るのなら、それはいい傾向だと思いますよ」
千歌「でも、なんか修行って、もっと辛い感じの想像してたから、これでちゃんと強くなれるのかなぁって」
海未「……その辛い感じの素振りを投げ出してここに来ているんですが?」
千歌「ぅぐ……まあ、それはーそのーそれはそれでー」
海未「……冗談です。大丈夫です、確実に貴方の力になっていますよ、その証拠に」
千歌「?」
海未「マグマラシの様子を見てください」
言われて、マグマラシの方を見ると、
「マグ…!!」
マグマラシがぷるぷると小刻みに震えていた。
千歌「! これって……!」
ムクバードのときと同じ……!
マグマラシはそのまま光り輝いて──。
「マグゥ──」
新しい姿へと、
「──バグフー…!!」
千歌「進化した……!!」
ヒノアラシから2度目の進化……!!
『バクフーン かざんポケモン 高さ:1.7m 重さ:79.5kg
燃え盛る 体毛を 持っている。 燃え上がる 爆風は
全てを 一瞬で 焼き尽くすほどに 熱い。 灼熱の 炎で
周りに 陽炎を 作り出して 姿を 隠す ことが 出来る。』
千歌「やったー!! バクフーン!!」
「バクフーン!!!」
海未さんの言う通り、力になってるみたいだ……!
新しい力を手に入れた、バクフーンに思わず抱きつく。
海未「進化、おめでとうございます。努力の証拠ですね」
千歌「はいっ! よっし、やる気が湧いてきた、明日も頑張るぞー!!」
海未「やる気ついでに、これ返しますね」
千歌「? あ、私の髪留め……」
朝、海未さんに渡した髪留めを返される。
613: 2019/05/06(月) 00:15:32.12 ID:UvOtrYsw0
千歌「ん……?」
よく見ると、髪留めの中心辺りに不思議な色で輝く石が付けられていた。
海未「それはキーストーンと言います」
千歌「キーストーン?」
海未「メガシンカするときに使うものです」
千歌「! メガシンカ……!!」
ことりさんの使っていた、ポケモンを著しく強化する術のことだ。
海未「もっとも、ポケモンごとに対応するメガストーンがないとメガシンカは出来ませんが……そのうち使うことになると思ったので、今日そのヘアピンを加工しました」
千歌「も、貰っちゃっていいんですか!?」
海未「ええ、勿論」
千歌「えへへ、やったー! ありがとうございます!」
マグマラシがバクフーンに進化して、さらにキーストーンも貰って……!!
私の修行は順調に滑り出しました──!
* * *
──その夜。
私は千歌が眠ったあとに、再び裏山の麓に足を運んでいました。
海未「10個……ですか」
最初に用意した岩石は5個。これが全部割り砕ければ、初日としては十分だと思っていた。
千歌が砕いたであろう破片を拾い上げる。
海未「……やはり、ただ殴りつけただけではなく。うまいこと炎熱も使っていますね」
岩自体を急激に熱して、割れやすくしている。
私が教えたわけではない。
千歌は直感で、すぐにこの答えに辿り着いた。
勘が良い。
海未「パワーの不足をトレーナーの考えた工夫で補う」
今日は進んでも、弱点の見極めまでのつもりでしたが……パワー補強もトレーナー側から出来るアプローチはほぼクリア。
予定よりも断然早く進んでいる。
海未「……これは、もしかするかもしれませんね」
誰に言うでもなく、私は夜空に向かって呟いていた。
614: 2019/05/06(月) 00:16:47.95 ID:UvOtrYsw0
>レポート
ここまでの ぼうけんを
レポートに きろくしますか?
ポケモンレポートに かこんでいます
でんげんを きらないでください...
【アキハラタウン】【ローズシティ】

主人公 千歌
手持ち バクフーン♂ Lv.36 特性:もうか 性格:おくびょう 個性:のんびりするのがすき
トリミアン♀ Lv.33 特性:ファーコート 性格:のうてんき 個性:ひるねをよくする
ムクバード♂ Lv.33 特性:すてみ 性格:いじっぱり 個性:あばれることがすき
ルガルガン♂ Lv.34 特性:かたいツメ 性格:わんぱく 個性:こうきしんがつよい
ルカリオ♂ Lv.29 特性:せいぎのこころ 性格:ようき 個性:ものおとにびんかん
バッジ 3個 図鑑 見つけた数:112匹 捕まえた数:12匹
主人公 梨子
手持ち ベイリーフ♀ Lv.26 特性:しんりょく 性格:いじっぱり 個性:ちょっぴりみえっぱり
チェリム♀ Lv.30 特性:フラワーギフト 性格:むじゃき 個性:おっちょこちょい
ピジョン♀ Lv.25 特性:するどいめ 性格:ひかえめ 個性:ものおとにびんかん
ケイコウオ♀ Lv.24 特性:すいすい 性格:わんぱく 個性:ちょっとおこりっぽい
メブキジカ♂ Lv.38 特性:てんのめぐみ 性格:ゆうかん 個性:ちからがじまん
バッジ 3個 図鑑 見つけた数:86匹 捕まえた数:10匹
千歌と 梨子は
レポートを しっかり かきのこした!
...To be continued.
続き:【ラブライブ】千歌「ポケットモンスターAqours!」【その10】
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