1: 2009/03/05(木) 19:13:47.38 ID:uVSdR2qd0
金糸雀「う~ん。今日もいいお天気かしら~」

金糸雀「ふっふーん♪ バイオリンの響きもいいし、
 今日はいい日になりそうかしら~」

金糸雀「む! 弦の響きもいいかしら!
 今宵の小鉄は血に飢えておる…」

金糸雀「なーんて! とう! えい! きゃーっ!」

ガン! ブチ!

金糸雀「…弦が…グス…」
ローゼンメイデン0―ゼロ― 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
3: 2009/03/05(木) 19:19:58.80 ID:uVSdR2qd0
金糸雀「きっ…気にしないでそろそろお昼かしら!」

金糸雀「あむあむ…。うう~ん! 今日の卵焼きも
 絶品かしら~」

ガラガラ

水銀燈「はぁい」

金糸雀「ぶふおおっ!」

水銀燈「うわ! きったないわねぇ…何鼻から卵焼きの欠片
 はみ出させてんのよぉ。ほら、ティッシュ」

5: 2009/03/05(木) 19:22:30.15 ID:uVSdR2qd0
金糸雀「ありがとう。ちーん。ふぅ…って、す、水銀燈が
 いきなり現れるからかしら! しかもこんなお昼時に!」

水銀燈「あら、そんな時間だったのねぇ」

金糸雀「まぁ! しらばっくれても全ては無駄かしら!
 何? 昼餉のおさいそくかしら? ゲロみたいな病院食
 ばっかりだから普通のご飯がうらやましいのかしら?
 おーっほほほほかしら!」

水銀燈「……」シャキン

6: 2009/03/05(木) 19:25:04.16 ID:uVSdR2qd0
金糸雀「誇り高きローゼンメイデン第一ドールであらせられる
 水銀燈おねえたまがカナの様な卑賤なジャンクみたいな
 意地汚い野卑な真似する訳無い事は卑しくもおねえたまの
 妹たるカナが一番良く知っているかしら水銀燈さいこう
 うつくしいかっこいいあたまいいかしらだから首にくい
 込んでいる剣をはなしてくださいおながいしますなんか
 剣からあかいものがしたたっているのでどうかおゆるし
 くださいあしなめますミロード」

7: 2009/03/05(木) 19:33:22.76 ID:uVSdR2qd0
水銀燈「分かればいいのよぉ」

金糸雀「ミスティカがデコからはみ出かけたかしら…」

水銀燈「おデコきらきらして綺麗だったわよぉ。くすくす」

金糸雀「と、ところで本当に何のご用なのかしら?」

水銀燈「ん……」

8: 2009/03/05(木) 19:38:58.37 ID:uVSdR2qd0
金糸雀「し、視線が怖いかしら。カナ、何もやってないかしら。
 …あ! もしかしてこの前真紅の家に行ってみんなで
 お昼寝したとき水銀燈の羽根でおはなこちょこちょして、
 くしゃみさせちゃった事かしら? それともおやつの時に
 用意していたヤクルトをこっそり凍らせておいて、飲め
 なくて困ってイヤイヤしていたのをこっそりほくそえんだ
 事かしら?」

水銀燈「……」ピクピク

9: 2009/03/05(木) 19:43:15.39 ID:uVSdR2qd0
金糸雀「そそそ、それとも、蒼星石に頼まれてこっそり
 くんくんの泣ける回のDVD渡して、それを見てべそべそ泣いて
 いるところを隠し撮りした事かしら? それとも蒼星石に
 頼まれて水銀燈に乗馬マシーンに乗って目をつむって
 深呼吸してって頼んだシーンをビデオ撮りしていた事か
 しら? それとも蒼星石に頼まれた、寝ている時に
 スカートをめくって中身、と言うか実を…」

水銀燈「……」シャキン


11: 2009/03/05(木) 19:48:15.27 ID:uVSdR2qd0
金糸雀「…ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめ
 んなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさ
 いごめんなさいごめんなアオオォォォォーーーー!」



水銀燈「ん~…。いい運動したわぁ。最近腕が
 なまっている気がしてたのよねぇ。…まったく、
 知らないところで一体何やっているんだか」

13: 2009/03/05(木) 19:52:01.75 ID:uVSdR2qd0
金糸雀「…ローザミスティカって、体から出ても近くなら
 何とか自分で戻せるんだって初めて知った
 かしら…」ゼェゼェ…

水銀燈「あたしも初めて知ったわぁ。くすくす、ゾウガメが
 餌食べようとしているみたいだったわよぉ。
 かわいかったわぁ」

金糸雀「なら、背中踏んで進ませないのはやめて欲しかった
 かしら…」

14: 2009/03/05(木) 19:58:58.85 ID:uVSdR2qd0
水銀燈「とにかく、話が進まないのよ。蒼星石は後でボコって…
 あの子の場合、むしろ喜びそうだから困るわぁ」

金糸雀「もう流石に(本当にヤバイ事以外は)隠し事はあり
 ません。で、ほんとのほんとに、一体何のご用で
 来たのかしら?」

水銀燈「んー……」チラ

15: 2009/03/05(木) 20:02:39.66 ID:uVSdR2qd0
金糸雀「だ、だから視線が怖いのかしら! そ、その瞳に
 睨まれると無い事でも白状してしまいそうで怖いかし
 らぁ…。お願いだから睨まないで…」

水銀燈「睨んでいる訳じゃないのよ。ただ、見つめているの」

金糸雀「どき…。どうしてかしら?」

16: 2009/03/05(木) 20:08:00.14 ID:uVSdR2qd0
水銀燈「金糸雀、あなた、抱かれるのって好き?」

金糸雀「はひゃああ! ははは、破廉恥かしら! そんんんな
 だかだかだか抱かれるなんて…!」

水銀燈「変な意味じゃ無いわよ。ちょっとこっち来なさい」ポンポン

金糸雀「ベ、ベッドに来いなんてそんな! いきなり貝合わせ
 なんてまだ早すぎるかしら! 最初はちちくりあい
 から…」

水銀燈「あなたやっぱり変な影響受けているわねぇ…」

20: 2009/03/05(木) 20:21:37.59 ID:uVSdR2qd0
水銀燈(ま、あの子だろうけど…)

水銀燈「とにかく、なんか知らないけど違うわよぉ、
 こうしてあたしが座るから…ほら」

金糸雀「きゃん! …あ」

水銀燈「こんな風に…後ろからぎゅってされるのは好き?
 それとも嫌い? って話」

金糸雀「……」ポー

21: 2009/03/05(木) 20:25:20.37 ID:uVSdR2qd0
水銀燈「金糸雀?」

金糸雀「あ! え? 鞄の裏地に細工して隠してあるかしら」

水銀燈「…何を?」

金糸雀「ななななななんでもありません!」

水銀燈「……。まぁいいわ。今のところは」

金糸雀「永遠にどうでもいい事にしていただけると助かるかしら」

24: 2009/03/05(木) 20:29:49.36 ID:uVSdR2qd0
水銀燈「で、こうやってだっこされるのって嫌? 好き?」

金糸雀「大好き」

水銀燈「即答ねぇ」

金糸雀「カナ、抱っこされるのは大好きかしら。みっちゃんにも
 よく、今みたいな格好でだっこしてもらうから、
 とっても落ち着くかしら。あ、でも勿論、抱かれる人に
 因るかしら」

26: 2009/03/05(木) 20:33:29.87 ID:uVSdR2qd0
水銀燈「じゃあ、あたしだと?」

金糸雀「大好き」

水銀燈「即答ねぇ」

金糸雀「考えてみると今までこんな風にぺったりした事無い
 けど…ものすごく落ち着くかしら。それに、なんだか
 爽やかないい香りがするし…すんすん」

29: 2009/03/05(木) 20:38:42.57 ID:uVSdR2qd0
水銀燈「くすぐったぁい。髪の匂いなんて嗅がないでよぉ」

金糸雀「でもいい香りかしら。それに柔らかいし…」ポケー

水銀燈「ふぅん、ま、不評じゃないみたいねぇ」

金糸雀「……」

水銀燈「金糸雀?」

金糸雀「水銀燈、こっち見て欲しいかしら」

32: 2009/03/05(木) 20:42:17.06 ID:uVSdR2qd0
水銀燈「なぁにぃ?」

金糸雀「…それで、もっとぎゅってして欲しい」

水銀燈「えー? やだぁ、これじゃ抱き合いになっちゃう
 じゃない」

金糸雀「駄目…かしら?」

水銀燈「まぁ、いいけどぉ」

水銀燈「こうすると…あなた本当にちっちゃいのねぇ」

33: 2009/03/05(木) 20:45:23.64 ID:uVSdR2qd0
金糸雀「……」ジー

水銀燈「なんか照れるわぁ」

金糸雀「目をそらさないでほしいかしら」

水銀燈「はいはい。ふふ。おっきいおめめねぇ」

金糸雀「水銀燈は綺麗かしら…。瞳も、お顔も…」

34: 2009/03/05(木) 20:48:53.00 ID:uVSdR2qd0
水銀燈「なによぉ、いきなり。そんな事言われると
 くすぐったいわぁ」

金糸雀「お姉様…。…ちょっとだけ、いいかしら?」

水銀燈「ん? 何を…。おねえさま!? いきなりなに…んむ!?」

金糸雀「…ん…む…」チューー

36: 2009/03/05(木) 20:53:05.44 ID:uVSdR2qd0
水銀燈「……! ……!」ジタバタ

金糸雀「ぷあ…」ポー

水銀燈「…ぷは…。あんた…何してんの? レO?
 変態は蒼星石一人で十分よぉ」

金糸雀「ごめんなさい。なんか、どうしてもちゅってしたく
 なったかしら…」

水銀燈「あれはちゅ、じゃないわよぉ…。…はぁ…あんた、
 こんな甘えん坊だったかしらぁ?」

水銀燈(誰かに変な影響受けてない? ない?)

38: 2009/03/05(木) 20:57:01.92 ID:uVSdR2qd0
金糸雀「分からないの…でも、我慢出来なかったかしら…ぐす…」

水銀燈「何で泣くのよぉ」

金糸雀「なんか…とまらな…うう…ぐす…」

水銀燈「はいはい、付き合うわよ。ほら、ぎゅー」

金糸雀「ふええええん…」

水銀燈「…よしよし…」

水銀燈(あたしも甘くなったもんだわぁ…。ま、いいけど)

41: 2009/03/05(木) 21:00:54.76 ID:uVSdR2qd0
金糸雀「うれしいの…うれしいの…」

水銀燈「何が?」ナデナデ

金糸雀「こうして、水銀燈に抱っこしてもらえる
 日が来るなんて…って思ったら…涙が…」

金糸雀「仲良しになれる日がくるなんて…うう…」

水銀燈「…そうねぇ…。あたしも…妹達に
 こんな風に接する事が出来る用になるなんて…
 金糸雀…。ありがとう」

金糸雀「すいぎ……ふえ…うええええん…!」

43: 2009/03/05(木) 21:04:41.33 ID:uVSdR2qd0
金糸雀「…くぅ……くぅ……」

水銀燈「寝ちゃったわ。ふふ…なんか…可愛いじゃない。
 んーと…ほっぺちゅ」

金糸雀「にゅう…うぅん…」

水銀燈「って、これじゃ金糸雀と一緒じゃない。ふふ。やだぁ。
 ……。ま、気持ち、分からなくも無いわぁ」

水銀燈「そっと寝かせて…じゃあね。あたしの妹…」

金糸雀「もっとだっこかしらぁ…くぅ…」

49: 2009/03/05(木) 21:10:27.93 ID:uVSdR2qd0
金糸雀「…ふぁ…あぁぁ…。あれ? 水銀燈…行っちゃった
 かしら?」

金糸雀「…あ…。まだ、唇に感触が…」モジモジ…

金糸雀「やーん! やーんかしらーーー!」ジタバタジタバタ

金糸雀「うう…あんなに水銀燈の抱っこが気持ちいいなんて
 知らなかったかしら…。蒼星石が犯罪ぎりぎり
 どころか終身刑どんと来いよし来たレベルの盗撮と
 行為をする気持ちが分かった気がするかしら…」

55: 2009/03/05(木) 21:16:16.71 ID:uVSdR2qd0
ギイィ…

蒼星石「    」

金糸雀「ひゃあっ! そ、蒼星石!? クローゼットの中に
 いつから居たのかし…。ぜん…ら? って!
 鼻血が乾いて体中にこびりついてホラーかしら!
 し、至福で恍惚とした表情で、泣きながら気絶して
 いるかしらっ! ああっ! ミスティカがお股から
 はみ出している! 氏なないでかしらーーーっっ!」

61: 2009/03/05(木) 21:20:49.61 ID:uVSdR2qd0
蒼星石「    」

金糸雀「ええと…さ、触るのはちょっと抵抗あるけど…そんな事
 言ってられないし…」

金糸雀「うう…目を瞑って…えい!」

ニュルン

蒼星石「アフゥぅっ!」ビクビクビクッ!

金糸雀「嫌な声と嫌な痙攣と共に生き返ったかしら…」

蒼星石「あれ? 僕天国に行ったんじゃなかったの?
 パトラッシュが僕のバター犬で天使が前から後ろから…」

金糸雀「現世へおかえりなさいかしら…」

63: 2009/03/05(木) 21:24:07.96 ID:uVSdR2qd0
雛苺「うまうまー。今日のうにゅーも格別なのーもぎゅもぎゅ」

翠星石「へん、この不氏屋のシュークリームには敵わない
 ですぅもりもり」

真紅「静かになさい。紅茶は静かにたしなむものよ
 ごっきゅごっきゅ」

雛苺「でも真紅もくんくん大音量でくい込む様に見て
 いるのーもぎゅもぎゅ」

67: 2009/03/05(木) 21:27:59.77 ID:uVSdR2qd0
真紅「ジュンのパソコンで7.1chスピーカーシステムを
 購入した甲斐があったのだわごきゅごきゅ」

雛苺「でもジュン、後でのりに馬乗りになってボコられて
 いたのーあぐあぐ」

翠星石「姉ちゃんのアソコがすりすりするぅって喜んでいた
 からいいですよはぐはぐ」

真紅「…やっぱりミーディアム間違った気がするの
 だわぐびぐび」

69: 2009/03/05(木) 21:31:04.13 ID:uVSdR2qd0
ジュン「…どうだ? くんくんの抱き心地は」

水銀燈「ん…。まぁ、悪くは無いわねぇ」

ジュン「しかし、いきなり現れてくんくん抱っこさせろ、
 だもんなぁ。いつから幼児退行しだ……あだだだだ!
 羽根飛ばすな! 痛い痛い痛い! 眼鏡割れるから
 割れるから! ヒビ! ヒビ入ってます!」

73: 2009/03/05(木) 21:34:24.84 ID:uVSdR2qd0
水銀燈「馬鹿な事言うからよぉ。言ったでしょ?
 ちょっと抱き心地を知りたいだけだって…」

ジュン「やっぱり真紅達呼ぼうか? ぬいぐるみより
 姉妹の方がいいだろ?」

水銀燈「嫌よぉ。くんくん見ている時のあの子達って、
 最後には食べかすやら何やらでべちゃべちゃに
 なって戻って来るんだもの」

77: 2009/03/05(木) 21:37:15.25 ID:uVSdR2qd0
ジュン「ふっ。そう思って最近はよだれかけを
 付けさせているんだぞ」

水銀燈「ふぅん…」

水銀燈「……」

水銀燈「よ…!?」

ジュン「ああ、あいつらのカラーに合わせて縫ったんだ。
 この前それが嬉しかったのか付けたままで散歩して
 いる時、うっかりどっかのおじいさんと鉢合わせ
 して人形のフリさせたら、地蔵と思ったらしくて
 拝んでいってたよ」

81: 2009/03/05(木) 21:39:57.24 ID:uVSdR2qd0
水銀燈「…お父様が見たら泣くわぁ」

ジュン「いやいや、それがけっこう似合っているんだぞ?」

水銀燈「尚更よぉ…。はぁ…。誇りあるローゼンメイデンが
 お地蔵様と間違われるなんて…」

ジュン「お地蔵様も偉いんだぞ?」

水銀燈「そう言う事言ってんじゃないの」

ジュン「あ、良かったら水銀燈にも作ろうか?」

水銀燈「要らないわよぉ! 第一こぼしながら食べる様な真似
 しないわよ!」

82: 2009/03/05(木) 21:41:44.09 ID:uVSdR2qd0
ジュン「ま、それはいいけど…。で、話してくれないのか?」

水銀燈「……」

ジュン「無理にとは言わないから、いいけどさ」

水銀燈「…ねぇ、あなた、子供の頃って、だれかに抱っこ
 されると…嬉しかった?」

ジュン「抱っこ? 父さんや母さんにって事?」

水銀燈「…そうね、親しい人にって所」

84: 2009/03/05(木) 21:43:48.55 ID:uVSdR2qd0
ジュン「そうだな…。まぁ、小学校に入る頃になると
 恥ずかしかったけど…」

水銀燈「……」ジー

ジュン「そんなに見るなよ」ムラムラムクムク

水銀燈「……」シャキン

ジュン「分かった分かった。首筋からなんか出ているから
 やめてくれ。好きだったよ。抱っこされるの」

水銀燈「…そうなんだ」

89: 2009/03/05(木) 21:48:56.13 ID:uVSdR2qd0
ジュン「父さんのごつい体に抱っこされると、なんか安定感が
 あって落ち着いて、それに、自分も何となく大きく
 なった気がして好きだった」

水銀燈「ふぅん」

ジュン「母さんだと…いい匂いがして、柔らかくて…眠たく
 なっちゃうのが好きだったな。それと…」

91: 2009/03/05(木) 21:50:29.56 ID:uVSdR2qd0
水銀燈「それと?」

ジュン「抱っこしてくれている時、二人とも僕の目を見て
 くれていたのが、すごく嬉しかった」

水銀燈「目を…」

ジュン「僕は知らないけど、だっこされる時に視線を
 合わせてくれないのって辛いらしい。特に赤ちゃん
 とか幼い子供は」

水銀燈「視線…かぁ」

92: 2009/03/05(木) 21:53:49.51 ID:uVSdR2qd0
水銀燈「大事なの? それ」

ジュン「そうらしい」

水銀燈「へぇ。どんな風に?」

ジュン「記事で見た受け売りだけど、赤ん坊にお乳をあげて
 いる時、赤ん坊を見ないで携帯とかテレビとか、よそを見て
 ばかりいる母親だと、子供が精神的に不安定に
 育つ確率が高いらしいんだ」

水銀燈「……」

95: 2009/03/05(木) 21:57:43.78 ID:uVSdR2qd0
ジュン「言葉とかスキンシップだけじゃなくて、顔を互いに
 見合う事が、とても大事なんだってさ。親がちゃんと
 自分を見てくれているって思うと、すごく安心する
 らしいんだ。喋れなくても関係ないらしい」

水銀燈「見て…くれる…」

97: 2009/03/05(木) 21:59:49.32 ID:uVSdR2qd0
ジュン「独りぼっちじゃない。そう思えるんじゃないかな?
 どんなにくっついていても、視線を合わせて
 くれないって、すごく辛いらしい」


金糸雀『水銀燈、こっち見て欲しいかしら』


水銀燈「……」

水銀燈「……。ジュン、あのね」

ジュン「ん?」

水銀燈「今朝、めぐとね…」

98: 2009/03/05(木) 22:02:48.00 ID:uVSdR2qd0
ジュン「めぐたん!? めぐたんがどうしたんだ?
 告白? 僕に? 運命? 赤い糸? 縛られる運命!?
 むしろ縛られるの?」

水銀燈「帰る」

ジュン「お願いです話してください」

水銀燈「土下座しなくてもいいわよぉ…」

ジュン「おながいします」フリフリ

水銀燈「分かったから腰をあげるな! 尻振るな!」ゲシッ!

103: 2009/03/05(木) 22:06:45.76 ID:uVSdR2qd0
ジュン「オフゥ!」ビクビクッ!

水銀燈(うう…帰りたいわぁ…)

水銀燈「…だ、だから今朝ね…」

ジュン「ふんふん?」

水銀燈「近づかないで」

106: 2009/03/05(木) 22:10:48.13 ID:uVSdR2qd0
水銀燈「…集中治療室?」

めぐ「そ、なんか…やばいみたい」

水銀燈「…めぐ…。でも、そこに行けば、良くなるのよね?」

めぐ「はぁあ…。ま、たぶんね…いままで…ごほっ…
 だって…何度も…入った事あるわ。その度に…
 氏に損なって…また、苦しむ為に生きながらえる
 のが…癪だけどね。うっ…」

水銀燈「めぐ!」

108: 2009/03/05(木) 22:12:21.74 ID:uVSdR2qd0
めぐ「大丈夫。…まぁ、何が? って感じだけど…。
 ふふ。さぁ、もう医者が来るわ。しばらく会えない
 けど…もしもいいかげん、こんなあたしが面倒に
 なったら…命、使っちゃってくれていいからね?」

水銀燈「…めぐ…」

コンコン

めぐ「来ちゃったわ。さ、隠れて」

109: 2009/03/05(木) 22:14:37.23 ID:uVSdR2qd0
水銀燈(ベッドの下がすっかり定番だわぁ…)

ガチャ

医者「おはよう。さぁ、行くよ、めぐ君。大丈夫だ。
 必ず良くなる」

めぐ「…良く、ね。ふふ…。命日が延びるだけの事で
 しょ…う…」

看護士「! 先生! 意識が朦朧としています!」

医者「急ぐんだ! 絶対に助けるぞ!」

めぐ「から……たち……の……」

110: 2009/03/05(木) 22:17:04.52 ID:uVSdR2qd0





水銀燈「めぐ…」



水銀燈「…あなたは氏なないわ」






114: 2009/03/05(木) 22:19:29.98 ID:uVSdR2qd0
水銀燈「……」クスン…

ジュン「そうか…めぐさん、今は…。それで…どうして?」

水銀燈「…だ、だから…」

雛苺「ジューーーン! くんくん面白かったのー!
 えいっ! ジュン登りー!」プニ

雛苺「…はれ? 頭に何かぷにぷにが当たっているの。
 それに体がちっちゃいの」

水銀燈「…重いわよぉ」

115: 2009/03/05(木) 22:22:09.23 ID:uVSdR2qd0
雛苺「あ、水銀燈なのー。Vous allez bien ?」

水銀燈「Tre`s bien, merci. って分かったなら
 離れなさいよぉ」

雛苺「やわらかくてきもちいーからやなのー」スリスリ

水銀燈「やん! くすぐったいわぁ…んっ!」

ジュン「はは。なついてるじゃんか」ハァハァハァハァ

117: 2009/03/05(木) 22:23:45.32 ID:uVSdR2qd0
雛苺「わーい。うにゅーがふたっつなのー」

水銀燈「だ、だから揉まないの! もう…ローゼンメイデンって、
 精神的に幼い子が多すぎないかしらぁ?」

ジュン「その方が色々便利だぞ」

水銀燈「…なんか知らないけど黙りなさい」

ジュン「…その氷の様な視線!」ゾクゾク

水銀燈「ま、雛苺が来たなら丁度いいわ。あなた、ちょっと
 こっち来てだっこ…」

120: 2009/03/05(木) 22:26:03.27 ID:uVSdR2qd0
雛苺「あ! 忘れてたの! ジュン! 次は三期の出して!」

ジュン「また連続で見るのか? 朝からオールシーズン
 三ループ目だぞ」

雛苺「そんなのデフォルトなのよ。水銀燈も一緒に見るのー!」

水銀燈「ちょ、ちょっとぉ! 引っ張らないでよぉ!」

雛苺「いってきまーす」

121: 2009/03/05(木) 22:29:02.00 ID:uVSdR2qd0
真紅「あら、水銀燈。いらっしゃいなのだわぐびぐび」

水銀燈「はぁい。…紅茶を喉ならして飲むのやめてよ…」

翠星石「来てたですか。ま、ようこそですぅがつがつ」

水銀燈「…おじゃましてるわ」(冬眠前のリスみたいな顔ね…)

雛苺「んしょっと、戻ってきたからまた付けるのー。
 水銀燈、首の後ろ結んでほしいのー」

水銀燈「…はいはい。これが例のあれね…」

123: 2009/03/05(木) 22:31:01.77 ID:uVSdR2qd0
水銀燈「……」

真紅「? 何を脱力した顔をしているのだわ?んごんご」

水銀燈「…本当に、カラー地蔵の集合だわぁ」

翠星石「…? 何の話してるですかぁ? あ! 始まる
 ですぅもきゅもきゅ」

雛苺「もぐもぐ」

翠星石「がつがつ」

真紅「ぐびぐび」

127: 2009/03/05(木) 22:32:51.53 ID:uVSdR2qd0
水銀燈(…何この…セサミストリートorスポンジボブ)

雛苺「あ、水銀燈、そう言えばだっこは? もぎゅもぎゅ」

水銀燈「! 雛苺!」

翠星石「だっこ、ですかぁ? はむはむ」

真紅「あなた、だっこなんかされたいの? んぐんぐ」

水銀燈「し、して欲しいんじゃなくて…!」

129: 2009/03/05(木) 22:34:35.85 ID:uVSdR2qd0
雛苺「いいのよー。水銀燈にだっこして欲しいのー。
 あぐあぐ」

水銀燈「…また今度ね」

雛苺「えー? なんでー? だっこだっこー! もきゅもきゅ」

水銀燈「だーめ」

雛苺「ぶー」

水銀燈(…そんな食べかすだらけの格好を抱いたら
 こっちの服もぐちゃぐちゃよぉ…。はぁ…)

130: 2009/03/05(木) 22:35:59.93 ID:uVSdR2qd0
テメーノチハナニイロダー! シンジツハヒトツ! バーロー!

カラー地蔵's「「「きゃっきゃっ!」」」

水銀燈「……」

水銀燈(そーっと…)パタン

132: 2009/03/05(木) 22:37:12.19 ID:uVSdR2qd0
ジュン「帰るのか?」

水銀燈「…何で居るの?」

ジュン「めぐさんの事はいいのか?」

水銀燈「ふぅ。人間に心配されるなんて、落ちたもんだわぁ」

ジュン「その人間を、心配してくれているんだろ?」

水銀燈「でも…余計なお世話なのかも知れないわ…」

ジュン「めぐさんの事、好きなんだろ?」

135: 2009/03/05(木) 22:39:24.23 ID:uVSdR2qd0
水銀燈「……」

ジュン「部屋に来いとは言わないから、そこの階段でいいなら、
 座って話そう。ほら、タオルくらい敷くから」

水銀燈「色気ないわねぇ。ま、いいけど…」

ジュン「で、さ」

水銀燈「ん?」

137: 2009/03/05(木) 22:40:38.12 ID:uVSdR2qd0
ジュン「好きな人が心配してくれて、抱きしめたいと思って
 くれている。それを迷惑と思う人間なんか、
 居ないよ」

水銀燈「ジュン…」

ジュン「水銀燈は、めぐさんに、普段抱っこしてもらって
 いるんだろ?」

水銀燈「ええ…(時々変なところ触るけど…)」

139: 2009/03/05(木) 22:42:15.52 ID:uVSdR2qd0
ジュン「嫌か?」(何!? 何!? 今の頬染めた恥じらいの顔!?)

水銀燈「…恥ずかしいけど…でも…暖かい…。安心する…」

ジュン「それを、水銀燈もやってあげたいんだろ?
 でも慣れてないから…じゃないのか?」

水銀燈「ふふ…。見透かされているみたいで…癪…だわぁ」

ジュン「涙ふけよ。ほら」

140: 2009/03/05(木) 22:43:31.65 ID:uVSdR2qd0
水銀燈「素っ気ないハンカチ」

ジュン「ほっとけ」

水銀燈「…ぐす。めぐぅ…」

ジュン「水銀燈」

水銀燈「なによ…きゃ!」

142: 2009/03/05(木) 22:45:14.08 ID:uVSdR2qd0
ジュン「よっと」

水銀燈「こ、こら! ちょっと! 何勝手に抱っこなんて…!」

ジュン「めぐさんにはもちろん敵わないけどさ、悲しい
 時って…こうすると少し楽になるぞ」

水銀燈「…ぐす…うえ…なによぉ…知ったような…
口ぶりなん…か…」

144: 2009/03/05(木) 22:46:40.40 ID:uVSdR2qd0
ジュン「こういう時は、目を合わせなくてもいいと思うんだ。
 気持ちは…伝わるから。まぁ、伝わるといいな、
 だけどな」

水銀燈「うう…ひっく…」

ジュン「よしよし」

水銀燈「…し、仕方ないから…胸を…借りてあげるわぁ…。
 うっく…めぐ…ひっく…」

145: 2009/03/05(木) 22:48:05.77 ID:uVSdR2qd0
ジュン「こんな可愛い水銀燈を残してどうにかなる訳ないさ」

水銀燈「…ひっく…ひっく…ううぅ…」ボロボロ…

水銀燈「……」

ジュン「あ、もういいのか?」

水銀燈「ええ…。迷惑かけたわねぇ」

ジュン「はは。全然だよ」

148: 2009/03/05(木) 22:49:30.75 ID:uVSdR2qd0
水銀燈「ふふ。シャツがびちょびちょ。ごめんなさいねぇ」

ジュン「それも気にしなくていいさ」

水銀燈「ジュン…」

ジュン「ん?」

水銀燈「ありがと」

152: 2009/03/05(木) 22:50:46.73 ID:uVSdR2qd0
ジュン「…あれ? 普通ここでほっぺにちゅ、とかじゃないの?」

水銀燈「おばかさぁん。あたしは安くないわよ。抱っこ
 させてあげたので満足なさい。くすくす。
 じゃ、またね」

ジュン「ああ、またな」

バサバサ…

真紅「帰ったの?」

155: 2009/03/05(木) 22:52:07.97 ID:uVSdR2qd0
ジュン「真紅…聞いてたのか?」

翠星石「まったく、素直じゃない姉ですねぇ」

雛苺「めぐは、きっと大丈夫なの!」

ジュン「お前ら…フッ。姉妹なんだな…」

真紅「ジュン? 何処へ行くの? そっちはトイレよ」

ジュン「ん? いや別にぬくもりを忘れないうちにじゃ
 なくてほんの用足し…」

160: 2009/03/05(木) 22:53:38.41 ID:uVSdR2qd0
翠星石「雛苺、苺轍ですぅ」

雛苺「はいなのー」

ジュン「いやああああ! お願い! この胸の高鳴りが、
 温もりが、鼻腔を満たす甘酸っぱい香りが消えない
 うちに最低三発、いや一発でいいからおねがい
 しますううううう!」

真紅「庭の木に吊しておくのだわ。今夜は雨らしいのだわ」

雛苺「はいなのー」

ジュン「のおおおおおおおおおおっっっ!」

161: 2009/03/05(木) 22:56:16.11 ID:uVSdR2qd0
水銀燈「ふぅ……」

カァズキーーードコニイクンジャーーー!

水銀燈「やだ…。ここって…うっかりだわぁ」

水銀燈「…一応、覗くだけ覗いておこうかし…」

蒼星石「やあ、水銀燈。偶然だね。こんなところで
 逢うなんて」(棒読み)

165: 2009/03/05(木) 22:57:52.94 ID:uVSdR2qd0
水銀燈「……」シャキン

ザクザクズバズバゲシバキドカプスオアアアアー

蒼星石「…氏ぬかと思った(絶頂的な意味で)」

水銀燈「…あんた、少し自重しなさい! あんたの
 影響で最近、金糸雀まで変な気がするのよぉ!」

蒼星石「や、やだなぁ。僕は普通に遊んでいるだけだよ」

水銀燈「どうだか…」




ちょっと離れるんでよろー。

186: 2009/03/05(木) 23:54:03.31 ID:mu/Mvw1f0


蒼星石「それよりも、翠星石に聞いたよ。めぐさんが
 大変なんだって?」

水銀燈「もう知ってるの?」

蒼星石「姉妹同士の噂話ってのはジュン君のアレ一回より
 早いんだよ」

水銀燈「訳分かんない! 分かりたくない!」

187: 2009/03/05(木) 23:57:05.55 ID:mu/Mvw1f0
蒼星石「それで…僕も何か手伝いをしたいと思って…」

水銀燈「それは、まぁ、ありがたいんだけど…」

蒼星石「ま、屋根の上だけど座って座って」

水銀燈「……」チョコン

蒼星石「じゃ、始めるよー」

水銀燈「え? って! ちょっと待った。なんで脱ぎ出すの?
 ここお天道様の下よ? あなたの家の屋根の上よ?」

190: 2009/03/05(木) 23:59:27.25 ID:mu/Mvw1f0
蒼星石「だっこ、でしょ?」

水銀燈「そ、そうだけど…」

蒼星石「人肌同士で抱き合わなくて何がだっこなのさ!
 服なんて邪魔なもの、全て捨てて生まれたままの
 姿で睦み合う事から愛情は生まれるんだ!
 衣服なんて神の生み出した芸術を覆い隠す
 無粋で邪魔な害虫なんだ!」

193: 2009/03/06(金) 00:04:26.39 ID:Yt/ViqNj0
蒼星石「服なんて無用の長物だね! はんっ!」

水銀燈「お、落ち着きなさい! それジュンが聞いたら
 氏ぬわよ! 言いたい事はあながち間違ってない
 から厄介だけど! その行動は違うわぁ!」

蒼星石「だってだって! ずるいよ水銀燈! 金糸雀とは
 あんなにちゅっちゅしたのに僕とはしてくれないの?」

197: 2009/03/06(金) 00:07:18.51 ID:Yt/ViqNj0
水銀燈「え?」

蒼星石「あ」

水銀燈「…この子は…。まさか…あの時…」

蒼星石「いや…その…以心伝心ってやつで…」

蒼星石「待って待って待って! いくらなんでも
 殺人はまずいよ! 本気で刻んだら洒落に
 ならないから! HDDのコレクションが
 僕の帰りを待っているんだ! いやあああ!」

199: 2009/03/06(金) 00:10:10.40 ID:Yt/ViqNj0
水銀燈「…くす…」

蒼星石「…え? え?」ガクガクブルブル…

水銀燈「…まったく。おばかさぁん」ギュ

蒼星石「!」(だ、抱かれた! 抱いてくれた!)

水銀燈「演技しすぎよぉ…。あからさまだわぁ」

202: 2009/03/06(金) 00:13:00.79 ID:Yt/ViqNj0
蒼星石「な、何が?」

水銀燈「…こんな、体張った馬鹿やって、怒らせて、
 元気にしようとするなんて…あなたらしいわね。ふふ…」

蒼星石「…う、うん…」

水銀燈「ふふ。でも、確かにお肌って暖かいわぁ。
 蒼星石、お肌、綺麗ね」(心はアレだけど…)

蒼星石「そ、そう? あはは。照れるなぁ」

水銀燈「…でも、そろそろ服着なさい」

蒼星石「…うん」

204: 2009/03/06(金) 00:15:33.84 ID:Yt/ViqNj0
水銀燈「ありがとう、おばかでけなげな、
 あたしの妹…」

バサバサ…

蒼星石「…水銀燈」

蒼星石「うう…胸が痛い…」ズキズキ

蒼星石「……」

蒼星石「あ、水銀燈の足の下に仕込んでおいた
 デジカメ回収しないと」

208: 2009/03/06(金) 00:17:56.53 ID:Yt/ViqNj0
水銀燈「…何となく病室に戻ってきたけど…まだ、誰も
 居ないわよねぇ」

水銀燈「…めぐの…まくら…」ギュ…

水銀燈「めぐ…せめて、苦しまずに眠っているといいけど…」

ユラユラ…

水銀燈「…!」

「ぼんじゅーるー」

211: 2009/03/06(金) 00:20:36.08 ID:Yt/ViqNj0
水銀燈(あわわわわ!)ポイッ!

雪華綺晶「お姉様、ごきげんよう」

水銀燈「! き、雪華綺晶! …な、なぁに?
 何か用なの?」

雪華綺晶「テンションが低いです…。しくしく」

水銀燈「…今は、あんたの冗談に付き合う気分じゃ無いのよぉ」

雪華綺晶「…めぐがどうかしましたか?」

水銀燈「! …なんでよ」

213: 2009/03/06(金) 00:23:19.60 ID:Yt/ViqNj0
雪華綺晶「いえ、部屋の主が居ないという事は…それしか」

水銀燈「…ちょっとね。それで、何の用?」

雪華綺晶「はい。お塩を借りたくて」

水銀燈「何よそのお部屋がお隣さん同士のやりとりみたいなのは!
 病室よここ! 病室!」

雪華綺晶「お夕飯のシチューに使う岩塩がうっかり切れていまして…」

218: 2009/03/06(金) 00:26:02.67 ID:Yt/ViqNj0
水銀燈「だからここ病室! 話聞いてる?」

雪華綺晶「大丈夫です。冷蔵庫にアジシオが。
 いつもはアンデスの岩塩なのですが、今日はそれで
 代わりにします」

水銀燈「えぇ? どれ…うわ、ホントにあるし…」

雪華綺晶「お塩、貸してください」

水銀燈「…はい」

雪華綺晶「ありがとうございます。うふふ」

219: 2009/03/06(金) 00:28:51.30 ID:Yt/ViqNj0
水銀燈「この冷蔵庫…よく見ると…うわ、すごい量。
 ヤクルト以外も入ってたのねぇ」

水銀燈「胡椒に豆板醤…タバスコにオイスターソース…
 醤油にマヨネーズ、ケチャップに黒酢蜂蜜
 マスタード…何これ?」

雪華綺晶「食事の調味料です」

水銀燈「…何で知ってるの? あたし知らなかったわよ」

雪華綺晶「時々借りてるんですよ。お姉様が居ない時、お話も
 する時がありますから」

222: 2009/03/06(金) 00:31:10.19 ID:Yt/ViqNj0
水銀燈「え………!?」

雪華綺晶「ふふ。そんな心細そうなお顔なさらないで
 ください」

水銀燈「だ、誰が! 別に…あたしは…」

雪華綺晶「調味料をかけて、無理矢理味を付けて食べるんです」

水銀燈「え?」

225: 2009/03/06(金) 00:34:40.40 ID:Yt/ViqNj0
雪華綺晶「そうしないと、味が分からないから…と」

水銀燈「…めぐ、が?」

雪華綺晶「はい」

水銀燈「めぐ…また味が分かりづらくなっていたの…?」

雪華綺晶「お姉様の前では、元々殆ど食べないんですよね?」

水銀燈「…そうよ」

228: 2009/03/06(金) 00:37:57.81 ID:Yt/ViqNj0
雪華綺晶「体力を付けたい。だから無理矢理食べる。でも、
 調味料だらけで無理矢理食事をしている姿は汚いから
 お姉様には見せたくない。こんなところ見せたら
 嫌われちゃう。そう言ってました」

水銀燈「……」

雪華綺晶「お姉様が居る時は、お姉様が教会に帰ってから…
 残した料理を、後で、そうやって食べているんです」

水銀燈「…そんな…」

230: 2009/03/06(金) 00:40:57.21 ID:Yt/ViqNj0
雪華綺晶「そう言う時のめぐは、祈る様に呟きながら食べます。
 水銀燈と一緒に居たい…そればかりです。
 こんなに調味料をかけた料理が美味しい訳ありません。
 でも、無味よりましだから、やるんです。食べて、
 体力を少しでも付けたいから…。お姉様と一緒に居たいから」

水銀燈「…めぐ…」

雪華綺晶「めぐとお話ししていても、本当、お姉様の事ばかり
 なんです。正直…妬けちゃうくらい」

水銀燈「…めぐ…めぐぅ…」ポロポロ…

234: 2009/03/06(金) 00:43:57.29 ID:Yt/ViqNj0
雪華綺晶「まぁ、調味料がきつすぎて、それで体壊す時も
 あるんですけど」

水銀燈「止めなさいよ!」

雪華綺晶「大丈夫です。隠れてやっていたんですが、
 お医者様も流石にタバスコやら酢やらのの匂いで
 事の成り行きに気付いてくださったので、
 今度から刺激の少ない濃いめの味になるそうです」

水銀燈「…そう」ホッ

雪華綺晶「ぶっちゃけ、今回の集中治療室行きも昨夜食べた
 ハバネロぶっかけプリンが原因なんですが」

水銀燈「だから止めなさいよぉっっ! 蜂蜜あるのに
 なんでよりによってハバネロかけるのよっ!」

237: 2009/03/06(金) 00:48:43.90 ID:Yt/ViqNj0
水銀燈(…今朝、唇がちょっと赤かった気がしていたから、
 お洒落かと思って嬉しかったのに…はぁ…)

雪華綺晶「ところでお姉様」

水銀燈「何?」

雪華綺晶「枕を抱きしめてくねくねする趣味がおありで?」

水銀燈「……」

雪華綺晶「…実体が無いのに…痛みってあるんですね…」

水銀燈「nのフィールドに引っ張り込めばどうって事無いわ」

241: 2009/03/06(金) 00:54:17.16 ID:Yt/ViqNj0
雪華綺晶「とりあえず、からかう場面ではありませんでした。
 申し訳ありません」

水銀燈「もういいわよぉ」

雪華綺晶「お詫びに…どうぞ」

水銀燈「え?」

雪華綺晶「私をめぐと思って…さぁ」

242: 2009/03/06(金) 00:59:07.40 ID:Yt/ViqNj0
水銀燈「さぁって…」

雪華綺晶「ばっちこい」

水銀燈「……」

雪華綺晶「経験は大事です」

水銀燈「…そうね、あんた、わりと大きい方なのよね。
 ちょっと研究させて貰うわよ。胸貸してちょうだい」

246: 2009/03/06(金) 01:03:39.93 ID:Yt/ViqNj0
雪華綺晶「胸でも股でもオーラルでも」

水銀燈「帰る」

雪華綺晶「嘘です」

水銀燈(…何で普通に抱っこ出来る姉妹が居ないの
 かしらぁ…)

249: 2009/03/06(金) 01:05:14.27 ID:Yt/ViqNj0
雪華綺晶「では、オーソドックスに背中から
 まいりましょう」

水銀燈「じゃあ…前に手を回せばいいのよね」

ギュ…

雪華綺晶「はぅん…お姉様…あたたかい…
 首に吐息があはぁん…」

水銀燈「変な声出さない。こうして抱かれるのって、
 気持ちいい?」

251: 2009/03/06(金) 01:08:31.37 ID:Yt/ViqNj0
雪華綺晶「ええ…。本来無防備だから一番警戒する筈の背中を
 預ける行為、それを許せる相手の信頼…それらが
 重なり、言葉の通り身も心も委ねると言う、
 心からの安息効果を感じます」

水銀燈「あんたは…委ねているの? あたしに」

雪華綺晶「ごらんの通りです」

水銀燈「…そう」

253: 2009/03/06(金) 01:10:50.67 ID:Yt/ViqNj0
雪華綺晶「お姉様…」

水銀燈「なぁに?」

雪華綺晶「お腹がすきました」

水銀燈「…そう言えば、調味料借りに来た最中
 だったのよね」

雪華綺晶「ご一緒しませんか?」

水銀燈「今日はいいわ。もうちょっと考えたいし」

雪華綺晶「残念です」

水銀燈「その割には口元が緩んでいるわよ」

256: 2009/03/06(金) 01:13:03.74 ID:Yt/ViqNj0
雪華綺晶「じゅる…。すいません。本当は一人で食べるつもり
 だったので、量があまり無くて…」

水銀燈「一応聞くだけ聞くけど、どれくらい?」

雪華綺晶「お恥ずかしいのですが、寸胴が二つ分
 しか無くて…」

水銀燈「…ゆっくり食べなさぁい」

水銀燈(聞いただけでお腹いっぱいだわぁ)

雪華綺晶「はい。ごきげんよう、お姉様」

水銀燈「ごきげんよう…」

257: 2009/03/06(金) 01:15:53.97 ID:Yt/ViqNj0
水銀燈「…はぁ。こんどはいつの間にかここに
 来ちゃったわぁ」

白崎「おや、水銀燈。こんな時間にどうしたのですか?」

水銀燈「ラプラス…」

白崎「今は白崎ですよ。さぁ、どうぞ」

水銀燈「ヒゲが出てるわよ」

白崎「おやおや」

258: 2009/03/06(金) 01:19:12.52 ID:Yt/ViqNj0
水銀燈「…おじゃまするわ」

白崎「一名様ごあんなーい」

水銀燈「居酒屋じゃないのよ!」

薔薇水晶「よろこんでー」

水銀燈「あんたもノリで返さないで! しかも何
 メイド服着てるのよ!」

薔薇水晶「家の普段着です」

水銀燈「あ、そ…」

259: 2009/03/06(金) 01:21:27.88 ID:Yt/ViqNj0
薔薇水晶「という訳で、お姉様。こんばんは」

水銀燈「こんばんは、薔薇水晶」

槐「やぁ、水銀燈。君が来るなんて珍しいね」

水銀燈「まぁ、ね」

槐「何か困り事でもあるのかい? 表情が暗いよ?」

水銀燈「勘はいいわね…。困り事って言うか…ふぅ」

262: 2009/03/06(金) 01:22:43.87 ID:Yt/ViqNj0
薔薇水晶「お姉様、とりあえず、お茶はいかがですか?
 ローズヒップティーは落ち着きますよ」

水銀燈「ありがとう…」

薔薇水晶「それで、よろしければ…お話を聞かせてください」

水銀燈「ん…」


263: 2009/03/06(金) 01:26:21.69 ID:Yt/ViqNj0
薔薇水晶「…そうですか…」

槐「そのめぐって子を…素直に抱きしめてあげれば
 いいんじゃないのかい?」

薔薇水晶「めぐさんは、お姉様の事を好きなのでしょう?」

水銀燈「だと…思う。思いたい…」

槐「違いないと思うけどなぁ」

270: 2009/03/06(金) 01:47:35.45 ID:x+7PRmWt0
水銀燈「でも…あたしは…あたしは…めぐを抱きしめられる
 存在なの…?」

薔薇水晶「お姉様?」

水銀燈「あたしは…出来損ないなのよ」

薔薇水晶「お姉様…」

水銀燈「あたしは…妹達を本気で亡き者にして、アリスに
 なろうとしていた…。傷つけていた…。そんな
 狂犬が…あんな優しい子を…抱きしめていいの…?
 う…ぐす…できない…できないわ…ひっく…」

薔薇水晶「……」

274: 2009/03/06(金) 01:50:14.13 ID:x+7PRmWt0

水銀燈「あたしはジャンクよ…。人の心なんて理解
 できない…。優しさを踏みにじって…けなして…。
 誰かに好かれるなんておこがましい存在なのよ…。
 好いてくれる人も居ない…めぐは…本当のあたしを
 知らないだけ…。そんなめぐを抱きしめるなんて…
 うう…」

薔薇水晶「猫だまし。えい」

パン!

水銀燈「!」ビクッ!

薔薇水晶「お姉様。落ち着いてください」

水銀燈「…う…。でも…でも…ぐす…」

薔薇水晶「よいしょ」

水銀燈「な、何よぉ!? いきなりなんで馬乗りになって
 くるのよぉ!」

槐(ば、ばらしーが水銀燈の膝の上に正面から
 乗っかっている…! ナイスシーンっっっ!)

276: 2009/03/06(金) 01:55:07.22 ID:x+7PRmWt0
薔薇水晶「お姉様…」ギュー

水銀燈「…!」

槐(イイヨイイヨ! 足絡めて! ほらほら!
 水銀燈も腕をばらしーの背中に回して回して!
 そーそー! そのおそるおそるの自信なさげな
 手つきが初々しいぃぃぃぃぃ!)

水銀燈「薔薇水晶…」

薔薇水晶「私は、こうしてお姉様を抱きしめられます。
 いいえ、られる、ではなくて抱きしめたいです」

薔薇水晶「他の人の為に、こんなに美しい涙を流すお姉様を、
 嫌いな姉妹なんて、嫌いな人なんて居ません。
 私が証明です」

水銀燈「薔薇…水晶…」

282: 2009/03/06(金) 02:04:50.20 ID:x+7PRmWt0


薔薇水晶「…自信を…自信を持ってください。抱きしめて、
 愛していると言ってあげてください。あの人は、
 誰よりもお姉様にそれを言って欲しいのですから」

水銀燈「…うん…薔薇水晶…うん…」

槐(そうそう! 耳にふーって! ふーって! ああ!
 シャッター音消しておいて正解だったなぁ!)カチカチカチ

蒼星石(そうですよね! シャッター音オフはデフォルト
 ですよね!)カチカチカチ

槐(蒼星石、いつの間に? どうでもいいけど)カチカチカチカチカチカチ

蒼星石(そうですよ。どうでもいいから、撮りましょう!)カチカチカチカチカチカチ

槐(ああ! もちろんだ心の友よ!)カチカチカチカチカチカチカチカチカチ

蒼星石(うわああああ! 秒間30フレームじゃ足りない
 よおぉぉぉ!)カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ

槐(フヒイイィィィィィ!!!!)カチカチカチカチカチカチカチカチカチ
 カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ

284: 2009/03/06(金) 02:10:08.95 ID:x+7PRmWt0
水銀燈「……」

薔薇水晶「……」

槐「どうしたんだい? ばらしー、もっと腰を
 寄せて寄せて! 情熱とか色々なモノがほとばしる
 様な腰つきで!」

蒼星石「ほらほら、もっとぎゅーって、ぎゅーってしてよ
 水銀燈! パッションをパトスだよ!」

水銀燈「……」

薔薇水晶「……」

285: 2009/03/06(金) 02:14:33.69 ID:x+7PRmWt0
薔薇水晶「お姉様、よろしいですか?」

水銀燈「…いいわよぉ」

槐「何? ナニがいいのかな? ナニが!? ナニを?
 ええっ!? パパの目の前で? パパ困っちゃうよ!」

蒼星石「なになになに? 水銀燈? いっちゃう?
 いっちゃう? イッちゃうの?」

薔薇水晶「…許可を」

水銀燈「やっちまえ」

薔薇水晶「びっぐ水晶かもーん」

286: 2009/03/06(金) 02:18:54.87 ID:x+7PRmWt0
『臨時ニュースです。先程住宅街で起きた原因不明の
 爆発による行方不明者一名は会員制人形喫茶経営の…』

めぐ「もう…。物騒ねぇ…。治療室から出てこれたと
 思ったらこんな暗いニュースなんて…」

水銀燈「めぐ!」

めぐ「あっ! 水銀燈! 来てくれたの!」

水銀燈「…もう、出てこられたのね」

めぐ「ふふ。また氏に損ねちゃった…」

水銀燈「馬鹿…」

めぐ「水銀燈…どうしたの? 来てくれないの?」

288: 2009/03/06(金) 02:23:00.69 ID:x+7PRmWt0
水銀燈「めぐ…」

めぐ「どうしたの、そんな不安そうな顔して。
 私は大丈夫よ?」

水銀燈「めぐ…あのね…」

めぐ「ん?」

水銀燈「まだ…まだ…自信が無いの…」

めぐ「自信?」

水銀燈「だから…目を瞑って」

めぐ「ふふ、いいわよ。何してくれるのかな~?」

289: 2009/03/06(金) 02:26:10.57 ID:x+7PRmWt0
水銀燈「大した事じゃ…ないわよぉ。期待…しないでね」

めぐ「期待しちゃおーっと。くすくす」

水銀燈「もう…ほら、目瞑って…」

めぐ「はい…これでいい?」

水銀燈「ん…。めぐ…あのね…」

めぐ「うん」

水銀燈「あのね…」






水銀燈「大好き」ギュ…




292: 2009/03/06(金) 02:29:32.45 ID:WUTogmY1O
乙なんよ

おやすみなんよ

293: 2009/03/06(金) 02:30:03.25 ID:KWJMC5YX0
乙ーおもしろかったよー

313: 2009/03/06(金) 08:03:56.48 ID:x+7PRmWt0
終わったけどほ

314: 2009/03/06(金) 08:06:00.94 ID:x+7PRmWt0
途中送信…
終わったけど保守ありがと。ノシ

引用: 水銀燈「…集中治療室?」