1: 2017/07/03(月) 15:09:16.929 ID:PDUBbazc0.net
男「うっ‥‥」

農民「おお、よかった‥‥氏んだかと‥‥」

男「ここは‥‥?」

じいさん「わしの家じゃ‥なんもないがゆっくりしてくれ」

男「ありがとうございます‥‥」

じいさん「行きだおれたようじゃな?」

男「‥‥」

じいさん「なぁに、こんな戦の世の中じゃ」

じいさん「たまには人の心があっても良いじゃろ」

じいさん「狸でも食うとくれ、ほら」スッ

男「はい‥‥」スッ

~~

ガラガラ

若者「帰ったぞ、じいさん」

じいさん「帰ったか、狸できとるぞ」

若者「おい!誰だそいつ!」

男「‥‥」

じいさん「こら!客人に失礼じゃぞ!」

若者「客人‥‥知り合いか?」

じいさん「行き倒れじゃ」

若者「行き倒れて‥‥物騒な‥‥」

じいさん「良いではないか」

若者「ッチ」
ふらいんぐうぃっち(13) (週刊少年マガジンコミックス)
6: 2017/07/03(月) 15:14:43.613 ID:PDUBbazc0.net
~~

男(厠はどこだ?)ウロウロ

若者「なにウロウロしてんだ?」

男「あぁ、若者か‥‥」

若者「気安く呼ぶな」

若者「じいさんはああ言ってるけどよ」

若者「変な真似したら頃すからな」

男「ころす‥‥」

若者「これでも、ちから自慢でね」

男「わかった‥‥」

若者「それだけだ」スッ

男「‥‥‥‥」

じいさん「すまんな‥‥」

男「おじいさん‥‥」

じいさん「両親が殺されたんじゃ‥‥野党に」

男「野党‥‥」

じいさん「他所者は絶対に信用しないのじゃ」

男「‥‥‥‥」

じいさん「気をわるくするな、わしは信用しとるぞ、はっはっは」

男「そうですか‥‥ふふ」

じいさん「しかしなぜ倒れとった?」

男「‥‥」

じいさん「お前さんの服血に汚れとったのう」

じいさん「それに反り血じゃ‥‥」

男「‥‥‥」

じいさん「誰にも秘め事はある‥‥」

じいさん「ということじゃな」

じいさん「まぁ、ゆっくりして行きなさいな」

12: 2017/07/03(月) 15:20:10.379 ID:PDUBbazc0.net
~~次の日

若者「おらっ!」パカッ

若者「おらっ!」パカッ

若者「ふぅ‥‥」

男「‥‥」ジー

若者「見せもんじゃねーぞ」

男「薪割りは‥‥」

若者「?」

男「薪割りはそうじゃない」

若者「はぁ?薪割りにやり方も糞もあるか?」

男「かしてみろ」

若者「おい!」

男「ほっ」スパッ

若者「!」

男「ようはタイミングだ」

男「要所だけ力を込める」スパッ

男「疲れないだろ」

若者「そのくらい知ってたわ!」ガッ

若者「おら!」ガン

男「だから‥‥ここはな‥‥」

15: 2017/07/03(月) 15:27:07.286 ID:PDUBbazc0.net
若者「ついてくんなよ、獲物が逃げる!」

バサバサ

男「声がデカイ」

若者「ッチ」

男「みろ、鹿の足跡だ」

若者「はぁ?」

若者「あぁ、これか」

男「糞がまだ暖かいな‥‥」

若者「きたねーな」

男「こっちだ」

若者「おい!」

~~

若者「どこまでいくんだ‥‥」

男「」スッ

若者「え」

男(鹿だ‥‥)

若者「よし、弓で‥‥」スッ

男「まだ遠いな」

若者「当てれる」

男「だろうな、回り込むぞ」

若者「なんで遠回りすんだよ!」

男「狩は弓もいいけど」

男「風向きが大切だ、向かい風だと匂いで気取られない」

若者「匂い‥‥」

17: 2017/07/03(月) 15:31:57.608 ID:PDUBbazc0.net
~~

男「よく狙えよ」

若者「分かってるよ‥‥」ギリリ

若者「はっ」スパッ

鹿「キュオン」バスッ

若者「あたった!」

男「はぁ‥‥」

鹿「」タッタッタ

若者「逃げやがった!」

男「狩りの経験は?」

若者「‥‥ねぇ」

若者「いつもは畑仕事だしな」

男「なら、教えてやる」

男「着いてこい」

若者「もう、見つかんねーよ」

男「かもな‥‥」スッ

若者「おーい!まてよ!」

若者「なんだよ‥‥えらそうに‥‥」

若者「着いていけばいいんだろ!」

19: 2017/07/03(月) 15:44:51.863 ID:PDUBbazc0.net
男「鹿の足跡」

若者「あの鹿か?」

男「少しだけ血が付いてる」

若者「‥‥」

若者「よく見つけたな‥‥」

男「‥‥」

男「お、あれを見ろ」

若者「いた、鹿野郎!」

男「ふふ」

男「弓を貸せ」

若者「なんでだ」

男「教えてやる」

若者「がるる!」

男「‥‥」

男「よし、じゃあ弓を引け」

若者「え、あぁ‥‥」ギリリ

男「肘をもっと張れ」

若者「くっ‥‥」

男「もっと引いて‥‥」

若者「う‥‥お‥‥」ギリリリ

男「よし、保って」

男「狙いは胸だ」

男「少し下」

男「呼吸をあわせろ」

男「鹿の呼吸に‥‥」

若者「‥‥」ギリリリギリ

男「今だ!!」

バシュンッ

ヒュルルル

鹿「キュッ」バスン

20: 2017/07/03(月) 15:50:50.461 ID:PDUBbazc0.net
鹿「キュイ」バタバタ

若者「お、おい、逃げてるぞ!」

男「まぁ、まて」

鹿「キュッ‥‥キュォ」ふらふら

鹿「」ドサッ

若者「倒れた‥‥」

男「お前が運べよ」

若者「なんだと!」

男「ちから自慢なんだろ」ポン

若者「さわんな!うるせぇ!」

男「ははっ」

若者「たくっ、夕刻までに帰れるんだろうなぁ」

男「おい」

若者「え?」

男「まずは血抜きだ‥‥下の沢に降りるぞ」

若者「日が暮れるって!こんな重いのに」

男「かもな‥‥」

~~

若者「夕刻前に着いた‥‥」

男「少しは軽くなっただろ」

若者「まぁな」

じいさん「おお!大物じゃないか!さすが若者!」

若者「‥‥‥‥」

若者「こ、こいつのおかげだけどな‥」

じいさん「ほっ?」

じいさん「」チラ

男「」ニヤッ

じいさん「解体も任せたぞ、男さんお茶でも」

男「ありがたい‥‥」

若者「手伝えやー!!」

27: 2017/07/03(月) 21:27:53.145 ID:PDUBbazc0.net
遅くなりました

30: 2017/07/03(月) 21:40:05.368 ID:PDUBbazc0.net
若者「湯加減はどうだよ?」フー

男「ああ‥‥いいよ」チャポン

若者「あんた、今までは何してたんだ?」フー

男「なんだと思う?」

若者「んー」

若者「マタギとか?」

若者「狩に詳しいし」フー

男「いい線いってるな」

若者「はぐらかさずに教えてくれよ!」

男「ははっ、興味わいたか?」

若者「うるせえ!」

若者(風呂熱くしてやるか‥へへ‥‥)

若者「どうだー?」フーフー

男「あぁ、すごくいいよ」

若者(このやろう‥‥)

若者「」フーッフーッ

男「誰にでも取り柄はあるんだなー気持ちいいぞ」

若者「おい!嘘だろ!」ガバッ

若者「体真っ赤じゃねぇ!あがれあがれ!」

男「あ‥‥」

男「‥‥」ザバッ

若者「熱く‥‥無かったのか‥‥?」

男「‥‥」

若者「おいって!」

男「おじいさん、お先しましたー」ガラガラ

若者(ぜってぇおかしい‥‥)

若者(熱さを感じないなんて‥‥)

若者「男‥‥」

じいさん「あっぢぃぃぃい!!」ゴロンゴロン

じいさん「頃す気か!!」

31: 2017/07/03(月) 21:46:15.089 ID:PDUBbazc0.net
~~

親分「カモはみつかんねーか?‥‥」

野党「からっきしですね」

偵察「親分!ありやしたぜ!村!」タッタッタ

親分「金目は?」

偵察「寂れてますが、女と米がありやしたぜ」

親分「‥‥酒は?」

偵察「おそらく」

親分「十分だ‥‥へへ‥‥」

野党「じゃあそこを?」

親分「ったりめーよ!がはは」

32: 2017/07/03(月) 21:57:48.779 ID:PDUBbazc0.net
男「平和ですね~」

じいさん「じゃな~」

若者「畑耕せお前ら!!」ガッツガッツ

じいさん「老人じゃぞ」

男「客人だぞ」

若者「お前は働け!」

男「人間には適材適所って物があってだな」

農民「たいへんだ~!」タッタッタ

若者「どうした!」

農民「や、野党じゃあ!ここもはよ逃げたほうが‥‥」

若者「」バッ

農民「若者!!そっちは野党が!」

男「おい!!」

じいさん「なんてこった‥‥」

男「あいつ‥‥」

じいさん「1つだけ‥‥」

じいさん「わしの願いを‥‥聞いてくれんかの‥‥?」

男「」

じいさん「きっと親の仇討ちのつもりじゃ‥‥」

じいさん「あやつを止めていただけんか‥‥」

じいさん「たのむ‥‥たのむ‥‥」

男「あんたの飯は最高だったよ」

じいさん「‥‥」

男「命をかけるに足りうるくらいに‥‥」

じいさん「男‥‥さん‥‥」

男「まかせてください‥‥」バッ

農民「あぁ‥‥二人とも終わりじゃて‥‥」

じいさん(あの走方‥‥呼吸法‥‥)

じいさん(もしや‥‥)

33: 2017/07/03(月) 22:16:59.397 ID:PDUBbazc0.net
野党「へっへへ!見た目より蓄えてんな!この村!」

野党「こっちにも女がいたぜ!」

農民「や、やめてくだされ‥‥」

野党「てめぇはシネ!」ザク

農民「ぎゃぁ」

娘「お父さん!!」

若者(!?)

若者(あいつらぁ‥‥)ピキピキ

若者「頃す‥‥」ギリリリ

スヒュン

野党「ぎゃっ」グサッ

「おい、弓だ!ねらわれてるぞ」

「くそ、どこだ!?どこだ!」

若者(バレるかよ糞ども)ギリリリ

若者「がっ!」バキ

野党「この糞ガキ‥‥」

若者「あ‥‥あぁ‥‥」だらだら

野党「こい」ガシッ

若者「はな‥‥せ‥‥」ズルズル

34: 2017/07/03(月) 22:20:51.176 ID:PDUBbazc0.net
~~

親分「酒だ!もっともってこい!がはは」

野党「へい」タッタッタ

親分「おう、糞ガキ気分はどうだ?」

若者「ころ‥‥す‥‥」

親分「がはは!おもしれぇこいつは最後に頃すぞ!」

娘「いや‥‥やめて‥‥」

「おい、早く変われや!」

「俺もたまってんだよ‥‥」ガクガク

「なかなか上玉だなぁ‥‥へへへ」

若者(糞どもが‥‥糞!糞!)

若者「頃してやる!!てめぇらはぁ!絶対!!」

若者「この畜生どもがぁ!!!」

野党「うるせぇぞ」ガンガン

若者「‥‥かはっ」だらだら

親分「おい、頭はやめろ、もう少し生かしておこう‥‥がはは!」

若者(無力だ‥‥俺は‥‥)

若者(いくら虚勢を張っても)

若者(いくらちから自慢でも‥‥)

若者(野党たちには勝てない‥‥)

若者(また失うのか‥‥村も‥‥全て‥‥)

親分「暗くなってきたな‥‥」

親分「おい、屋敷回りに火を灯せ」

親分「まぁ、抵抗するやつはもう居ないだろうが‥‥がはは」

野党「へい」

35: 2017/07/03(月) 22:39:51.454 ID:PDUBbazc0.net
今気づきましたけど野党じゃなく野盗でした‥‥

37: 2017/07/03(月) 22:44:25.709 ID:8rBDx/XEd.net
与党と野党の戦いかと思ってたわ

38: 2017/07/03(月) 22:47:33.347 ID:PDUBbazc0.net
~~
野盗「くそ‥‥俺も女抱きたいぜ‥‥」

野盗(灯を‥‥)

シュボ

男「‥‥」スラァ

野盗「ひっ」ビクッ

シュバッ

野盗「」ズルッズル

~~

親分「あいつらやけに帰ってこねぇな?」

野盗「別の部屋でお楽しみでしょ‥‥へへ」ガクガク

親分「酒がないってんだよ!もってこい」バッ

野盗「いたっ」ガツン

野盗「へいへい‥‥」スッ

娘「うぅ‥‥うっ‥‥」

野盗「またあとでな、お嬢ちゃん」スッ

ガラガラ

野盗「」

親分「?」

親分「おい?どうした?」

親分「早く行け!」

野盗「」ズルズル

バタン

男「‥‥」

39: 2017/07/03(月) 22:57:20.635 ID:PDUBbazc0.net
親分「な、なんだてめぇ!!」

親分「お前ら!」

「うぉ!なんだこいつ!」

「血まみれじゃねぇか!」

「か、刀を‥‥!」

若者(‥‥?)

若者(だれか‥‥助けに来たのか?)

若者(まさ‥かね‥‥)

男「‥‥」

若者「男‥‥さん‥‥なのか‥‥?」

野盗「うわぁッッ!!たすけてくッッ」

ブシャァァ

ポタッポタッ

若者「あぁ‥‥」

野盗「ぎゃあああああ!」

ブシャァァァア

若者「あんた‥‥ホントに‥‥男さんか‥‥?」ガタガタ

男「‥‥」フッ

ブシャァァ

野盗「あがぁッッ」

40: 2017/07/03(月) 23:06:29.705 ID:PDUBbazc0.net
親分「まま、待ってくれ!」

親分「金か!金がほしいか!?」

男「」

親分「わかった!女だな!?」

男「」スッ

親分「まて!たのむ!命だけは!!」

男「」ブン

親分「ひっ!」

パサッ

若者「縄が‥‥」スッ

男「お前をやるのは俺じゃない」

ガシャ

若者「男さん‥‥」プルプル

男「大丈夫か?」

若者「大丈夫に‥‥みえるか‥‥?」プルプル

男「みえる」

若者「そうか‥‥はは」ガシッ

若者「おい、野盗‥‥」

若者「謝るなら許してやるよ」

親分「ほ、ほんとうか!?」

親分「俺が悪かったぁ!!許してくれぇ!」

親分「二度とここには近づかねぇ!!約束だ‥‥!」

若者「許すわけねぇだろう!!くそ虫が!!」

スバッ

親分「あぎゃぁッッ!!」

ブシャァァ

若者「男さん‥‥ありが‥‥‥‥」

バタン

~~

41: 2017/07/03(月) 23:15:45.852 ID:PDUBbazc0.net
~~

若者「」

じいさん「ありがとう‥‥男さん」

男「‥‥」

じいさん「あんたのおかげでこやつは‥‥」

男「村は‥‥助けられなかった」

じいさん「‥‥仕方ないことじゃ‥‥」

男「‥‥」

男「夜まで待ったから‥‥」

じいさん「野盗はあの人数‥‥仕方な」

男「結局私も‥‥まだもだ非力何です‥」

じいさん「忍の者‥‥じゃな‥‥」

男「‥‥えぇ」

じいさん「また、忍びがなぜ‥‥」

男「話せません‥‥」

じいさん「そうか‥‥」

じいさん「じゃが、あんたはこいつや村の壊滅を防いでくれた」

じいさん「わしはそれだけで十分じゃ」

若者「なんだ、忍びかよ‥‥」

じいさん「若者‥‥!」

若者「お湯の熱を感じなかったのもそれか?」

若者「拷問の訓練ってやつか?」

男「‥‥」

42: 2017/07/03(月) 23:21:17.364 ID:PDUBbazc0.net
若者「狩りは?」

男「子供の頃な‥‥」

若者「‥‥」

若者「あんたがなんであれ」

若者「俺は助かったよ‥‥」

若者「感謝してる」

じいさん「‥‥若者」

若者「なぁ‥‥」

若者「弟子にしてくれよ!」ガバッ

じいさん「こら!まだ体が」

若者「たのむ‥‥力がほしいんだ‥‥みんなを守れるほどの‥‥!」

男「‥‥‥‥ダメだ」

若者「なんで‥‥」

男「もう、忍びの里が無いんだ‥‥」

若者「あんたが稽古つけてくれよ!」

男「忍びの技を持てば‥‥」

男「殺される‥‥」

男「徹底的に探されてな」

若者「それでも‥‥」

男「‥‥」

43: 2017/07/03(月) 23:29:21.766 ID:PDUBbazc0.net
野盗偵察「ふぅ‥‥」

バリバリ

忍「ふう、くっせぇ服だぜ」

忍「野盗つかえねぇな‥‥雑魚が‥‥」

~~

男(この村が襲われたのも‥‥おそらく‥‥)

男(だがそれは口にできない)

男(弱い俺を許してくれぇ)

男「おじいさん‥‥ありがとうございました‥‥」

じいさん「行くのか‥‥」

男「この短い日々‥‥決してご恩を忘れません‥‥」

じいさん「お互い様じゃ‥‥」

若者「まってくれよ!連れてけよ!」ガバ

若者「うっ‥体が‥」

若者「くそっ‥‥」

男「」

若者「俺はもっと強くなるぞ!強くなってあんたに認めて貰うんだ!」

若者「いつか!!きっと!!」

若者「その時は‥‥」

若者「その時は絶対弟子にしろよ!くそ野郎!!」

男「百年はかかるな!お前程度なら!」

若者「なんだとぉ!」

男「だけど、期待してるぞ‥‥」

男「なんたってお前は、ちから自慢君だからな」

若者「‥‥!」

男(‥‥‥‥)

男(さよならだ‥‥これで‥‥)

1部完

44: 2017/07/03(月) 23:29:59.543 ID:PDUBbazc0.net
なんか長くなりそうだけど次の日に続きってあり?

45: 2017/07/03(月) 23:30:32.187 ID:4wx19iiPM.net
いいよ

引用: 【SS】農民「行き倒れか?」男「‥‥」