99: 2014/05/29(木) 21:42:18.16 ID:MhHxRfqU0


前回:【艦これ】瑞鶴「目標、母港執務室の提督……と翔鶴姉ぇ!」

・・-・・翔鶴ト瑞鶴2・・・


瑞鶴「……やっぱり気になる」

翔鶴「気になるって?」

瑞鶴「第三艦隊だよ。あのいつまでーも帰ってこない」

翔鶴「ま、まあ長期遠征だから……」ソウイエバ ミチャッタンダッケ……

瑞鶴「でもさ、この間は帰ってきたんでしょ? 普通なら疲れたーってゆっくり休むものなのにすぐにまた出て行っちゃうなんて。私には信じられないよ」

翔鶴「あはは……」

瑞鶴「他の皆はどう思ってるのかな」

翔鶴「ど、どうなんだろう?」


まともに会った事があるのは提督と自分を含めた極小数だなんて口が裂けても言えない翔鶴さん
艦隊これくしょん -艦これ- 海色のアルトサックス(4) (角川コミックス・エース)
100: 2014/05/29(木) 21:50:10.99 ID:MhHxRfqU0

・・-・・翔鶴ト瑞鶴3・・・


瑞鶴「てーとくさーん。なんか、瑞鶴ちょっと退屈なんだけどー」ヒマヒマー

翔鶴「こ、こら瑞鶴っ。すみません提督。瑞鶴が失礼を……」

提督「いやいやいいよ。今日はあいにくの雨だ。出撃もなく外に出て身体も動かせないとくれば無理ないだろう」

瑞鶴「さーすが提督さん。話わっかるぅ」

翔鶴「もぅ。だいたい瑞鶴はどうしてここにいるのかしら? 来てもいいとは言ったし退屈なのも分かるけれど、提督はお仕事中なのよ」

瑞鶴「だってここには提督さんもいるし、秘書艦やってる翔鶴姉ぇもいるし」

翔鶴「理由になってません!」

提督「まあまあ翔鶴。幸い急ぎの仕事はないし、俺もいい加減集中力が切れたところだ。たまには早めに切り上げたっていいだろうさ。こんな天気だしな」

翔鶴「提督まで……」

提督「今日の仕事は終わり! 翔鶴も後は自由に過ごして構わないよ。妹君も暇を持て余しておられることだし」

瑞鶴「そうでーす。いい加減構ってくれないと不貞腐れるぞ―」

提督「あぁそう言えば、昨日同期の奴が地元の銘菓を送ってきたんだ。数が少ないからみんなには内緒って事で三人で頂くとしようじゃないか」

瑞鶴「やったー! てーとくさんってばもう大好き」ワーイ

翔鶴「………………」



ゴチンッ!!



瑞鶴「……翔鶴姉ぇが、ぶった」イタイ……

翔鶴「知りません」


素直な瑞鶴にちょっぴりヤキモチ妬きな翔鶴でした

108: 2014/05/30(金) 20:10:09.95 ID:P7QDGKkT0

・・-・・翔鶴ト提督3・・・


提督「なあ翔鶴、機嫌を直してくれよ」

翔鶴「なんの事だかわかりません」プイッ

提督「そろそろお茶の時間にしようと思うんだが……」

翔鶴「たまにはご自身でお淹れになったらいかがでしょうか」ツーン

提督「参ったな。俺は、翔鶴が淹れてくれたお茶がどうしても飲みたいんだよ」

翔鶴「う……」チラッ

提督「ダメかな」

翔鶴「……提督は、瑞鶴に少し甘すぎではありませんか?」チラリ

提督「そうか?」

翔鶴「……私だって、構ってくれないと不貞腐れるぞぉー……」ボソボソ

提督「………………」


ナデナデ


翔鶴「あっ……!」

提督「なんだか久しぶりに翔鶴の本音を聞けた気がするよ」ナデナデ

翔鶴「べ、別にそんなことは」

提督「翔鶴も、瑞鶴みたいにもっと言いたいことは言っていいんだぞ」

翔鶴「で、でも。私は瑞鶴の姉ですし」ヒショカンダシ

提督「二人は見た目こそ違うけどとても良く似てる。双子と言ってもいいくらいだ。でも、姉と妹だと感じる部分はやっぱりあるんだよ」

翔鶴「………………」

提督「なんて言うのかな。末っ子とお姉ちゃんの違い、かな? 瑞鶴は無意識だろうけど甘えたがりで、翔鶴はお姉ちゃんだから我慢しなきゃいけない、みたいな」

提督「末っ子は上の人達に甘えたがるもの。でも、お姉ちゃんだって甘えたっていいんだよ」ナデナデ

翔鶴「………………」

提督「どうかな」

翔鶴「じゃ、じゃあ……」

提督「?」

翔鶴「も、もっと……頭、撫でてください」

提督「おうともさ」ナデナデ

翔鶴「あと……ぎゅって抱きしめてくれなきゃ……ヤダ」

提督「はいはい」ギュウッ

翔鶴「はいは一回でいいです」

提督「はい」ニコニコ


翔鶴さんだって甘えたいのです

113: 2014/05/31(土) 15:30:09.22 ID:II/3Xqlk0
ちょっと独自解釈を多めに含む部分があるのでご注意ください
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・・-・・ワレラ戦艦ニアラズ・・・


瑞鶴「ねえ提督さん。どうしてここには戦艦が扶桑さんと山城さんしかいないの?」

提督「うん? それは単純に他の艦娘がまだこの鎮守府に来てないってだけだが」

瑞鶴「んーでもさ。建造とか全然やってないよね」

提督「戦艦は作るのにも維持するのにもたくさん資源を食うんだよ」

瑞鶴「それは分かるけどさ―」

提督「あとは……そうだな。約束したからってのもあるかな」

瑞鶴「やくそく?」

提督「ああ。誰にも負けないくらい立派な戦果をあげさせてやるってな」

114: 2014/05/31(土) 15:35:09.50 ID:II/3Xqlk0

・・-・・・・-・・・・-・・

提督『扶桑型の廃棄ですって?』

上司『ああ。あちこちに不備を抱えすぎていてな。改修のたびにドック入りを余儀なくされる。とても運用どころじゃない』

提督『ですが、改修したからには問題は是正されるのでは』

上司『そう思うだろう? 実際は新たな問題が出てくるの繰り返しだ……このままでは対地任務ならともかく、対艦となるととても戦闘どころではない。割に合わないのだよ』

提督『しかし、それは彼女たちにとってあまりにも……』

上司『では、無理やり出撃させて氏場を用意するかね? それならばいっそ彼女達を解体し資源を再利用した方がはるかに"役に立つ"。と言うのが上の意向だ』

提督『………………』

上司『君の言いたいことはわかる。しかし我々は慈善団体ではないし、働けない船を置いておくほど平和な時勢でもないのだ。それは前線に出ている君ならわかるだろう』

提督『……では、うちに下さい』

上司『はぁ?』

提督『うちの艦隊は現在戦艦が一隻もいません。更には母港にも大幅な余裕があります』

上司『し、しかしだな……。話を聞いていたのかね? あの船は誰がどう扱おうと欠陥を抱えているんだぞ?』

提督『もちろん理解しています。……どうせ私の所はトップにそっぽを向かれた窓際です。欠陥戦艦の一隻や二隻いても問題はないでしょう?』

上司『……私は君のことは誰よりも評価しているんだがなあ』

提督『ありがとうございます。では、こうしましょう。上層部の手を煩わせるのもあれなので、処置については私に一任させるというのは』

上司『………………』

提督『上は余計な手間を省くことが出来て幸せ。私も戦艦を入手できて幸せ。どうです、双方に悪い点なんてないでしょう?』

上司『本気かね?』

提督『ええ、それはもう。運用についても一案ありましてね……上手くいったら報告書を持ってきますよ』

上司『……わかった。裏で手配しておくから好きにしたまえ。ただし、毎度のことながら表立った支援はできないし万一の責任は一切負わないからな』

提督『はっ!』

115: 2014/05/31(土) 15:40:07.50 ID:II/3Xqlk0

扶桑『――はぁ。空はあんなに青いのに。私の心は雨模様』

山城『姉さま……私たちは』

扶桑『いいの。私達は"不幸型"。向こう側でも言われていたことでしょう? 何も変わらないわ』

山城『で、でも……!』

扶桑『そうね。本音を言わせてもらえるなら、やっぱり征くなら今度こそ敵と刺し違えたい。例え負けることになっても主砲を撃ち交わしてみたい』

扶桑『そして次生まれてくるときは……貝になりたいわぁ。そうしたら、誰にも迷惑をかけることがないもの』

山城『姉さま……!!』

扶桑『……今日も、本当にいい天気ね。恨めしいくらいの、いい天気』

116: 2014/05/31(土) 15:45:11.25 ID:II/3Xqlk0


提督『……あー、取り込み中のところ済まないんだが、いいかな』

山城『ッ!!』

扶桑『……いよいよ、なんですね?』

提督『何がいよいよかはあえて聞きはしないが、とりあえずこれを渡しに来たんだ』

扶桑『手紙……いえ、辞令ですか?』

提督『そして読んでもらう前に問いたい。扶桑、山城。君たちは戦いたいか?』

扶桑『えっ……?』

山城『ちょっとあなた! 急に何なんですか。あなたまで私と扶桑姉さまのことを馬鹿にしに来たんですか!?
   私の事はともかく、扶桑姉さまを侮辱することは許しませんよ!』

提督『質問をしているのは私の方なんだがなぁ。で、どうなんだ。やる気はあるか?』

山城『だ、だから……!』

扶桑『山城、落ち着きなさい』

山城『姉さま!』

扶桑『……妹の非礼をお詫びいたします』

提督『いや、気にしないでくれ。急にこんな話題を、しかも初対面の人間がしたんだ。無理もない』

扶桑『ありがとうございます。改めて、質問への回答ですが……正直に申し上げまして半々です』

提督『半々?』

扶桑『はい。私達は戦艦。敵と対峙し砲を撃ちあって勝利する。これは魂に刻まれた欲求でもあります』

扶桑『しかし私達は欠陥品。存在自体が多くの方に迷惑をかけるならば、武人として潔く身を引くことも辞しません』

扶桑『この二つの思いが……心の中を埋め尽くしています』

117: 2014/05/31(土) 15:50:07.56 ID:II/3Xqlk0

提督『……では質問を変えようか。もし、君たちが欠陥品でなくなったらどうかな。元気で万全であれば、敵と戦うことに躊躇は?』

山城『そんなの、あるわけないじゃないですか! この身体が人並であれば、私も、扶桑姉さまも、誰にも負ける気はありません!』

扶桑『山城……』

山城『私たちだって、本当は戦いたいんです。扶桑型戦艦此処にありと胸を張って生きたいんです! いつまでもドックにいてばかりの虚弱無駄飯喰らい扱いだなんて、もうたくさん……!!』ポロポロ

扶桑『山城……!』ギュウッ

提督『――わかった。君たちの覚悟はしかと聞かせてもらった。その思いに嘘偽りがないというのであれば、渡した辞令を読んでほしい』



扶桑『…………これは?』



提督『本日を以って、扶桑・山城の両名は我が鎮守府へ転属。私の指揮下に入ってもらう』

扶桑・山城『?!』

提督『同時にドックでの大改装を受けてもらうぞ。その結果ちょっと戦艦としての本来の尊厳はなくなってしまうかもしれないが……望み通り、戦場に出してやる』


提督『そして、誰にも負けないくらい―――扶桑型戦艦此処にありと誇れる立派な戦果をあげさせてやる!』

118: 2014/05/31(土) 15:55:12.17 ID:II/3Xqlk0

・・-・・・・-・・・・-・・

提督「――まあ、そういう事があったんだよ」

瑞鶴「ふぅーん。なんか提督さん、カッコつけすぎじゃない?」ハナシ モッテル?

提督「そんな事はないと思うが」モッテナイ!

瑞鶴「ま、だからこそ今の扶桑さんと山城さんがいるのかもね。あんな元気な二人、見たことないもん」

提督「確か今日は二人を中心とした艦隊で演習に出てたはずだ。今頃派手にやってるんじゃないかな」

瑞鶴「……そうだっけ?」アレ?

提督「おいおいしっかりしてくれよ。翔鶴が出撃するから代わりに秘書艦やりたいって言ったのは瑞鶴だろう」

瑞鶴「あ、あははーははっ。あ、提督さんいっぱい話して喉乾いたよね?! 瑞鶴お茶いれてくる―!」ピューン

提督「やれやれ……。さて、あの二人は頑張ってるかな?」

119: 2014/05/31(土) 16:00:12.65 ID:II/3Xqlk0


偵察妖精『演習艦隊発見! 戦艦ニ・巡洋艦ニ・駆逐艦ニ。駆逐艦を先頭に複縦陣で航行中!』


扶桑「来たわね。山城」

山城「はい。扶桑姉さま」

扶桑「……やっぱり、まだ慣れないわね。この甲板は」

山城「砲火力も三分の二になりましたからね。身体が軽くなったのは嬉しいけれど……」

扶桑「でも、不幸じゃないわ。不幸とはもう……」


偵察妖精『演習艦、こちらに気づきました!』


扶桑「っ。まだ距離は十二分にあります。体勢を整えられる前にこちらから先にしかけます。山城!」

山城「水攻晴嵐、全機発艦! 相手に空母はいません。全弾命中を心得なさい!」


グオォォォォォォーン!!      ズンッ……ズンッ……


偵察妖精『駆逐及び戦艦一に撃沈判定! 更に戦艦一にも中破判定出ました!』


扶桑「還ってきたら十分に労いましょう。続いて砲門を開きます。照準は中破戦艦。駆逐隊のみなさんも、射程に入り次第砲雷撃戦を開始してください」


偵察妖精『戦艦の発砲煙を確認! 彼我の距離、二○! 照準修正一番、着弾一〇〇下げ! 二番、着弾ニ〇〇上げ!』


扶桑「行きますよ。山城」

山城「はい、扶桑姉さま!」


扶桑「(――サヨウナラ、不幸型の私。私はもう不幸とは言わないわ。山城のためにも、あの人のためにも、絶対に……!)」


扶桑・山城「全砲門、撃ぇ!!!」

120: 2014/05/31(土) 16:05:08.50 ID:II/3Xqlk0

・・-・・・・-・・・・-・・

上司『扶桑型戦艦は廃艦?』

提督『はい。確かに扶桑・山城の両戦艦は廃艦となりました。書類上からも抹消して頂いて結構です』

上司『そうか……結局潰したというわけか。で、その反対側に持ってるのは何だね?』

提督『おっと。これはこれは。実は今回新しい艦種を実装しましてね。登録の手続きをと』

上司『……これは屁理屈か天の邪鬼というのではないかね?』

提督『まあまあ。少なくとも上層部の言っていた"戦艦"ではありませんから』



その書類には、廃艦となったはずの戦艦扶桑・山城の名前が記されていた。
ただし頭にはもう二文字。"航空"と付いている。


――航空戦艦。
史実では伊勢型のみが試みられた低速戦艦の新たなる可能性。
己の主砲射程をはるかに上回る距離からの水上機による先制航空攻撃。
攻撃後の弾着観測を担うことによっての砲撃命中率向上と合わせた航砲立体攻撃である。

大改装に合わせて問題とされていた不備は妖精たちの手により徹底的に改修された。
最も、その改装に伴って膨大な資源を消費し、しばし鎮守府が機能不全に陥ったと言うのは余談であり蛇足であろう。

もはや、彼女たちを虚弱・ドック暮らしの無駄飯喰らいなどと蔑む者はいない。
何故ならば、大海原を翔けるその姿は、今までとまるで違うのだから。

125: 2014/05/31(土) 21:00:07.28 ID:II/3Xqlk0

・・-・・扶桑ト提督1・・・


扶桑「提督、只今帰還いたしました……」ボロボロ

提督「おかえり扶桑。出撃任務ご苦労様。ずいぶんと派手にやられたようだな」

扶桑「えぇ……敵の攻撃が私に集中したもので」ワタシダケ タイハデス

提督「戦果はどうだった?」

扶桑「海域の制圧はほぼ完了しました。散発的な襲撃は続くと思いますが、輸送船団の航行も可能かと」

提督「うん。これで資源の問題が少しでも良くなるといいが……まあ、それはいい」

扶桑「?」

提督「その状態の扶桑に問うことではないかもしれないが、どうだ? 戦うということは」

扶桑「……正直に申し上げますと、攻撃を受ければ痛いですし、被害が自分や山城に集中して落ち込むことも多々あります」

扶桑「でも、やっぱり私は今の方が幸せです。生きること、戦えることが素晴らしいと実感しています」

提督「そうか。俺は、約束を守れてるかな?」

扶桑「はい。山城共々、提督には御恩と感謝の念に堪えません」

提督「ただ力を貸しただけだよ」

扶桑「それでも、です」

提督「……わかった。これからもどうか力を貸してほしい。それと、入渠も忘れずにな」

扶桑「はい。……例えこの身が朽ち果てようと、我が命、常に提督と共に」



瑞鶴「………………」←何人も割り込めぬ雰囲気にどうしようと戸惑っている人

山城「………………」←愛しの姉さまを独占され嫉妬しつつも、嬉しそうな姉を前にビミョウな心境の人

加古「………………」←早く執務室のソファーかベッドで寝たいなあと半ば夢うつつな人


私たちは、空気が読める艦娘です たぶん きっと Maybe...

130: 2014/06/01(日) 16:22:15.54 ID:m8YsptuO0
山城さんに『私の出番は?』と踏んづけられたので投下



・・-・・山城ト提督1・・・


瑞鶴「さーて、今日のお茶はなにかなー?」

翔鶴「もう瑞鶴ったら。本当に執務室をなんだと思っているの?」

瑞鶴「えへへー。そこは気にちゃダメだよ翔鶴姉ぇ」

翔鶴「まったくもぅ……あら?」ナカカラ コエガ


『―――――!』
『――――――』


瑞鶴「あれ、誰か来てるのかな?」

翔鶴「そう、みたいね」


ガチャッ


山城「――だからぁ。ちゃんと聞いてるんですか提督!」

提督「あ、あぁ……もちろんだとも」

山城「せっかく私が今日の姉さまの麗しさを伝えてるって言うのに。愛が足りないわよ愛が」

提督「だからちゃんと聞いて……」

山城「いいえ! この際だから言わせてもらうけど提督はもうちょっと姉さまに気をかけるべきなの。姉さまを蔑ろにするなんて極刑ものよ」


ぎゃーぎゃー


瑞鶴「ど、どうしたんだろう?」

翔鶴「さ、さぁ……」

131: 2014/06/01(日) 16:27:05.25 ID:m8YsptuO0

提督「決してそんな事はないのだが……あ、あぁ翔鶴に瑞鶴! ちょうどいい所に来てくれた!」

瑞鶴「提督さんと山城さん、どうかしたの?」

山城「提督が扶桑姉さまを気にかけないなんて無礼千万なことをしているからお説教しているの」

翔鶴「まぁ」

提督「いや、だからそんな事はしてないって」

山城「いいえ。してました!」

瑞鶴「はーいはいはい。二人とも抑えて、抑えて。ね? それで、そもそもなにが原因なの?」

翔鶴「確かに原因がわからなければなんとも……」

山城「翔鶴ならわかってくれるわよね?! あの扶桑姉さまが無傷で戦場から還ってきたのよ! これはとんでもない事だわ!」

瑞鶴「…………は?」エ、ナニ?

翔鶴「えっと」アー……

山城「確かに私たち扶桑型は航空戦艦になって、不幸だった過去とは決別したわ。でも、戦場に出れば相手あってのもの。被弾することもままあります」

山城「そんな中で! 扶桑姉さまが無傷で! しかも! 敵戦艦を撃沈したのよ! 功績を褒め称えるとともに宴の一つや二つ催すべきなの」ワカル?!

瑞鶴「あーうん……言いたいことはわかったよ……?」

翔鶴「あはは……」

山城「それを提督ったら、よくやってくれた。ゆっくり休んで疲れを取ってくれ。って。さらりと流し過ぎじゃないかしら」

提督「わ、わかったよ。じゃあ今晩でも扶桑と二人話でも……」

山城「いいえ。扶桑姉さまと二人きりになど私がさせません。って言うか提督、私も無傷だったんですけど?」ホメタタエナサイヨ

提督「」

山城「わ・た・し・も、無傷だったんですけれど??」チャントミテル?



瑞鶴「……ねえ、翔鶴姉ぇ」

翔鶴「な、なに?」

瑞鶴「これってつまりあれかな。嬉しかったの……かな?」

翔鶴「そう、かも」

瑞鶴「どう見ても怒ってるって言うより喜んでるみたいな?」



山城「不幸じゃなくなった私と扶桑姉さまを褒め称えなさいよー」ニコニコ


素直じゃない山城さんはとっても可愛らしいと思います

134: 2014/06/01(日) 20:30:29.63 ID:m8YsptuO0

・・-・・鎮守府ノ母・・・


鳳翔「さぁみなさん。参りますよ」

駆逐艦's『はーい!』



瑞鶴「あれ、鳳翔さんだ。何やってるんだろう」

翔鶴「これから近海での練成航海よ。鳳翔さんは駆逐艦の皆の引率なの」

瑞鶴「あーなんだか分かるかも。ついつい頼りたくなるんだよねえ」

翔鶴「鎮守府での食事も頼りっぱなしだし……本当に頭が上がらないわ」

瑞鶴「私もそれなりにはできるつもりだけど、絶対に敵わないと思う」


瑞鶴「(鳳翔さん。ほんわかとした笑顔と女神のような包容力でみんなの人気者。お母さんみたいな人)」

瑞鶴「(提督さんとの付き合いも長く、この鎮守府では翔鶴姉ぇが来るまで一人で航空戦力を担っていたとか)」

瑞鶴「(今では直接戦闘よりも後方支援が主な仕事。あとは、食事や生活面かな)」

瑞鶴「(鳳翔さんのお陰でみんなが元気でいられると言っても過言じゃあないかもね)」



鳳翔「このまま隊列を崩さず、複縦陣で進みますよ。前後の間隔に気をつけてくださいね」

駆逐艦's『はい!』

135: 2014/06/01(日) 20:35:15.38 ID:m8YsptuO0

・・-・・・・-・・・・-・・

瑞鶴「……あ、なんだか甘ーいいい匂いがする。それに食堂が賑やかだなぁ」


ワイワイ


瑞鶴「?」ヒョコッ


白露「ほーしょーさん、あたし一番おっきいのがいいなー!」

夕立「白露ばっかりずるいっぽい! 夕立もおっきいのがいいっぽい」

川内「ホットケーキと!」

那珂「聞いて!!」

神通「あ、あのっ……」オドオド

鳳翔「ふふふっ。みんなちゃんと大きなホットケーキですよ」

深雪「鳳翔さん! クリームとシロップは好きにかけてもいい?!」

鳳翔「あまりたくさんかけ過ぎてはいけませんよ」

村雨「はいはーい。それじゃあこの村雨さんが、間宮さんで買ったとっておきのアイスクリーム(大)も進呈しちゃいまーす」


わあぁぁぁぁぁぁ!!


鳳翔「あらあら。あまり食べ過ぎたらお夕飯が食べられなくなっちゃうから気をつけるんですよ」


はーいッ!!


瑞鶴「うっはー。みんな元気だなあ」イイナー

鳳翔「あら? 瑞鶴さんもいかがですか」タクサンツクリマシタノデ

瑞鶴「うんっ。いつもいつもありがとう鳳翔さん」

鳳翔「いえいえそんな。私では皆さんのようにお役に立てないので、こんな形でしかお手伝いできませんけど……」

瑞鶴「そんなことないよ! 鳳翔さんが美味しいご飯を作ってくれるからみんな頑張れるんだもん。感謝してもしきれないよ」

鳳翔「あらあら。うふふっ。私でも皆さんのお役に立てるのなら、嬉しいですね」

瑞鶴「あれ、鳳翔さん。そっちのお皿のは?」

鳳翔「これは提督と翔鶴さんの分です。これから持って行こうとしてたんですよ」

瑞鶴「あ、じゃあ私が持って行くよ。ちょうど翔鶴姉ぇに用事あるから」

鳳翔「まぁ。ではお願いできますか?」

瑞鶴「うんっ」


瑞鶴「(鳳翔さんの周りには、いつも必ず人が集まる。特に駆逐艦の子たちには本当にお母さんみたいな人なんだろうなあ)」

瑞鶴「(提督さんにも同じような感じだし。……あっちは、お父さん?)」


鳳翔さんは女神

140: 2014/06/01(日) 21:30:04.24 ID:m8YsptuO0

・・-・・鳳翔ト提督1・・・


瑞鶴「(……ん? あそこにいるのは――)」


鳳翔「はい、提督」ドウゾ

提督「ああ。ありがとう鳳翔」

鳳翔「今日は良い月が出ています。それに風も」

提督「月を見ながらちびりと酒を飲むのもまた一興、かな。ほら、鳳翔も」

鳳翔「ありがとうございます。では一献」

提督「わざわざ月がよく見える所を探して縁側を拵えた甲斐があるってもんだ。酒が美味すぎる」

鳳翔「まあ、そんな理由だったんですか?」クスクス

提督「皆の前での建前は、鳳翔たちが洗濯物を干しやすいように、だったかな」

鳳翔「うふふっ」


提督「……これで後はススキの穂と団子があれば、気分は立派な十五夜ってところか」

鳳翔「ふふっ、そうですね。……ふぅ。お酒もたまにはいいものですね。疲れを忘れそうです」

提督「鳳翔には手間ばかりかけさせてしまうな。申し訳ない」

鳳翔「いいえ。全く苦ではありませんよ。むしろ私のような旧式艦では戦場でお役に立てませんから。適材適所でしょう」

提督「鳳翔が旧式なら、俺なんかとっくに廃艦処分だな」

鳳翔「またご冗談を。謙遜のし過ぎはいけませんよ」サ、モウヒトツドウゾ

提督「いやはや。本当に鳳翔には敵わないな」

鳳翔「……提督。私は私の出来る事を精一杯頑張ります。ですから、これからもお側に居させてくださいね」

提督「もちろん。こちらこそ頼りにしているよ。鳳翔」


瑞鶴「(……邪魔しないでおこうっと)」ソーット……


この雰囲気だけは壊しちゃいけないと察した瑞鶴でした

146: 2014/06/02(月) 21:30:02.96 ID:9++oKBUR0
【悲報】翔鶴の誕生日(?)をすっぽかした結果…………



・・-・・誕生日1・・・


翔鶴「提督は立派な方です」ニコニコ

翔鶴「常に私たちを導いてくれます」ニコニ

翔鶴「そんな提督に私たちは感謝と尊敬の念を抱かずにはいられません」ニコ

翔鶴「だから……」ニ



翔鶴「私の誕生日を忘れたなんてこと、ありませんよね?」ゴゴゴゴゴゴゴゴ



提督「」←簀巻き宙吊り

翔鶴「6月1日……昨日ですよ?」

提督「言い訳というか、純粋な疑問を言わせてくれ」

翔鶴「許可します」

提督「そもそもの誕生日なら起工日たる12月12日なんじゃないのか?」

提督「いや、それとも竣工日の8月8日なのか?」

翔鶴「………………」

提督「翔鶴?」

翔鶴「……全部祝ってくれてもいいじゃないですか」プクー


ちなみに沈没は6月19日

147: 2014/06/02(月) 21:35:02.80 ID:9++oKBUR0

・・-・・誕生日2・・・


鳳翔「そうですねぇ。人によって解釈が変わってしまうので決定的なことは言えないのですが……」←ほろ酔いLv.5

鳳翔「起工日というのは人間で言うと受s 提督「これ以上はいけない!」

鳳翔「進水日が誕生日で、竣工日が一人前になった日、でしょうかね?」

鳳翔「あ、それとも竣工日というのは処j 提督「鳳翔ー!!」

鳳翔「あらあらぁ? 私、なにか変なことを口にしてしまいましたか?」ウフフ

提督「いかん。つい鳳翔に酒を飲ませすぎてしまった……」

鳳翔「ちなみに提督、私の誕生日などはもちろんご存知ですよね?」ジー

提督「も、もちろんだとも」ウン

鳳翔「ふふふっ」ニコニコ


このお話はフィクションです

151: 2014/06/02(月) 22:00:03.33 ID:9++oKBUR0

・・-・・瑞鶴ト提督2・・・


瑞鶴「ねえねえ提督さん」

提督「なんだ?」

瑞鶴「鳳翔さんとはどういう関係なの?」

翔鶴「」ピタッ

提督「すまん。言ってることの意味がわからないんだが……それは、上司と部下以外の答えを期待して、だよな?」

瑞鶴「うん」トウゼンッ

翔鶴「………………」

提督「ふむ。一言では言い表せないが、酒を飲む仲、静かに語り合う仲、かな。というか瑞鶴、あの夜見てただろ?」

瑞鶴「てへっ」バレテタ!

翔鶴「……提督。あの夜、とは何ですか?」ユラ~リ……

提督「二三日前に満月が綺麗な夜があっただろう? あの時にちょっと縁側で鳳翔と、な」

翔鶴「具体的にお願い致します」ゴゴゴゴゴ

提督「お、おいどうした翔鶴? なんかキラキラとは間逆なものが見えるような気がするんだが……」

翔鶴「頭にきました」カガッ


翔鶴「ダイタイテイトクハイロンナコニイロメヲツカイスギデス!」

提督「色目って……。お、俺は艦娘達との円滑なコミュニケーションをだなぁ……!」

翔鶴「ジャアワタシトモモットコミュニケーションヲトッテクダサイ!」トイウカ カマッテ!

提督「翔鶴、落ち着けって……!」

翔鶴「ワタシハレイセイデス!」



瑞鶴「うわー。あんな翔鶴姉ぇ初めて見たかも」イガイナ

瑞鶴「お酒はいらないけど、提督さんとゆっくりお話するのも楽しそうだな―」

瑞鶴「……何よりこの場で一人置いてきぼりなのもつまんない」



瑞鶴「てぇーとくー! 瑞鶴も構ってよー!」

提督「ず、瑞鶴まで?! ちょ、二人共落ち着けって……!」

翔鶴「テイトク! ハナシハマダオワッテマセン!!」


鶴姉妹と提督の夜の席が(半ば強制的に)セットされました

157: 2014/06/03(火) 21:01:29.90 ID:suqVz+ED0

・・-・・ズルイ・・・


扶桑「翔鶴たちだけ……ずるいわ」

古鷹「私ももっと提督とお話したいです」

川内「そろそろ」ヤセン!

神通「わ、私たちにも……」オドオド

那珂「出番を―!!」ナカチャンダヨー

吹雪「司令官、私の事忘れてませんよね?!」

時雨「提督、雨を見ながら静かに語らうのはどうだい?」


以後、皆かわりばんこで提督との時間を設けることになったそうです

159: 2014/06/03(火) 21:31:06.43 ID:suqVz+ED0
本日は以上ですが、ここで一つ
艦娘達の希望により、提督とのコミュニケーションタイムが設けられることになりました
そこで、この艦娘とのイベントが欲しいなどを募集しようかなと
募集した内容は週のどこかで載せます(いつ……と言えないのが社畜提督の悲しい所)

<<駆逐艦以外は縁側での夜の席、駆逐艦は日中でのふれあいとなります>>


現在鎮守府に所属している艦娘

戦艦
・扶桑型 扶桑 山城

空母
・翔鶴型 翔鶴 瑞鶴
・鳳翔型 鳳翔

巡洋艦
・古鷹型 古鷹 加古
・川内型 川内 神通 那珂

駆逐艦
・吹雪型 吹雪 白雪 初雪 深雪 叢雲 磯波
・白露型 白露 時雨 村雨 夕立 五月雨 涼風


どのくらいの方に見てもらってるかわからないので、とりあえずは

↓2 ↓5 の方にします

鎮守府に所属しない艦娘や関係無かった場合は更に↓の方となります
よろしければモノは試しと放り込んでいってみてください

160: 2014/06/03(火) 21:33:46.40 ID:lItsC+qSO
鳳翔さんと星を眺めながらの一杯


164: 2014/06/03(火) 21:59:06.49 ID:fQrewQrL0
古鷹

171: 2014/06/04(水) 22:16:53.89 ID:eu73vpFM0

・・-・・翔鶴ト瑞鶴4・・・


瑞鶴「いやーまさか提督さんのことで翔鶴姉ぇがあんな風になるとはねー」

翔鶴「き、嫌われたりしてないかしら」アワアワ

瑞鶴「いやいや大丈夫でしょ。翔鶴姉ぇをキライになるとかありえない」

翔鶴「……私ったら、ついはしたない事を」

瑞鶴「翔鶴姉ぇさ、提督さんのこと好きでしょ?」

翔鶴「」ボッ

瑞鶴「うん。わかりやすい反応ありがと」

翔鶴「」プシュー


翔鶴さんは初心

172: 2014/06/04(水) 22:21:13.38 ID:eu73vpFM0
お題:鳳翔さんと星を眺めながらの一杯



・・-・・鳳翔ト夜ノ席1・・・


鳳翔「さあ提督、どうぞ」オツギシマス

提督「ありがとう……んっ、ふぅ。やっぱり静かなところで呑む酒は最高に美味いな」

鳳翔「そうですね。特に今日は良い星が出ています」

提督「雲もないし抜群の眺めだな。こりゃあ、月見酒ならぬ星見酒と言ったところか」

鳳翔「星空を肴にお酒というのも、なんだか風流ですね」

提督「全くだ。ついつい呑み急いでしまうよ」

鳳翔「あまり呑み過ぎないでくださいね」

提督「はははっ。酔ったらせっかくのこの時間が台無しになるからな。鳳翔にも迷惑がかかってしまう」

鳳翔「私は気にしませんよ」

提督「俺がするんだ。それに、この場では鳳翔にも仕事を忘れて寛いでいてもらいたい」

鳳翔「提督……」

173: 2014/06/04(水) 22:26:11.01 ID:eu73vpFM0

提督「本当ならこれだけでなく、もっといろいろと労うべきなんだがなぁ」

鳳翔「いいえ。もう十分に頂いていますよ。私はこの場に、この鎮守府にいることが何よりも幸せです」

鳳翔「これ以上なにかを頂いたら、他の子達に申し訳ないです」

提督「……そうか」

鳳翔「はい」ニコニコ

提督「でも、せめて酌ぐらいはさせてくれ。一人で呑む酒は美味しくない」

鳳翔「まあ。さっきは静かなところで呑むお酒は美味しいと仰っていたのに?」クスクス

提督「……これは一本取られたようだ」マイッタナァ


鳳翔「ふふふ―――あ、流れ星……」


提督「む。見逃したか……」

鳳翔「ほんの一瞬でした。願い事もできませんでしたね」

提督「じゃあ、その代わりに俺が願いを聞いてあげよう。叶うかどうかは別だけど」

鳳翔「あら、そんなことを言ってしまってよろしいんですか?」

提督「もちろん。鳳翔なら妙なことを言わないってわかってるから」

鳳翔「ふふふっ。そうですね……では、こういたしましょう」ピトッ

提督「ほ、鳳翔……?」

鳳翔「ちょっと夜風で身体が冷えてしまったようです。ですから、今だけ提督の温もりに甘えようかと」ウデクミー

提督「……ここでお酒を呑めば温まるだなんてのは無粋だな」

鳳翔「ふふっ」


穏やかな夜は、ゆっくりと流れていく……

181: 2014/06/05(木) 20:58:42.45 ID:F0+q80Tv0
お題:古鷹さん



・・-・・古鷹ト夜の席1・・・


古鷹「な、なんだか不思議な感じがします」

提督「ん?」

古鷹「いつもなら部屋に戻っている時間に、提督と二人でいるなんて……」キンチョウスル

提督「まあそんな気負わなくていいよ。ここは、肩肘張らずにゆっくりと語らう場として作ったんだ」

古鷹「そうなんですか?」

提督「ああ。だから古鷹も寛いでいってくれ。せっかくだからとお茶を用意したんだ。濃い目に淹れてあるからゆっくりと味わってみてくれ」

古鷹「あ、はい。いただきます」

提督「ふむ……。普段はお茶でなく酒なんだが、こう言うのもアリだな。一際ゆったりと時間が流れる気がする」

古鷹「そう、ですね。夜空を見ながら縁側に腰掛けてお茶を飲んでいると、心が落ち着くようなそんな気分になります」

提督「戦ってばかりでは気も滅入るからな。気分転換は必要だよ」

古鷹「ふふふ」ニコニコ

182: 2014/06/05(木) 21:03:19.57 ID:F0+q80Tv0

提督「古鷹と、今はここにいない加古とも、もう結構な付き合いになるなあ」

古鷹「私たちがこの鎮守府最初の大型艦でしたしね。でも、まさか今でも重巡は加古と二人だけだとは思いませんでした」

提督「本当なら戦力拡大とかするべきなんだろうけどな……。どうしても頼る場面が多くなってしまって申し訳ない」

古鷹「いいえっ。むしろ感謝しています。私たちも、まだまだお役に立てると思うと」

提督「古鷹たちほど頼りになる重巡はいないと思うよ。あの見えない糸で繋がっているかのような連携は他の誰も真似できないだろう」

古鷹「……今だから言えますが、あれは私たちが生き残るために二人で考えたんです。後に生まれた人たちと比べると、どうしても戦力的に劣りますので」

提督「………………」

古鷹「でも、突撃こそ重巡の誉とも思うんです。戦艦のように華はなくてもいい。泥臭く生き、軽巡や駆逐艦を率いて敵陣に突っ込む――これが重巡洋艦なんだって」


提督「そう言えば、二人は夜戦も好きだったな」

古鷹「はい。さすがに川内さんほどではありませんが」

提督「いつだったか、夜襲をかけた時は川内型をも上回る戦果をあげていたなあ。あの時は驚いたものだよ」

古鷹「私たちだって、まだまだやれば出来るんですよ。戦力の低さは技と気合で補います」

提督「はははっまったくだ。これからも、最新型が強いわけではないってことを皆に知らしめてやってくれ。古鷹と加古こそが最も勇敢な重巡だって、な」

古鷹「はい」


提督「でも、これだけは約束してくれ。絶対にここに還ってくるってな」ナデナデ

古鷹「あっ……て、提督」カアァァァァ

提督「どんなに戦果をあげても、沈んでしまったら元の子もない。さっき古鷹が言ったように、泥臭くなってもいいから絶対に還ってきてくれ」ナデナデ

古鷹「……はい。約束します」

提督「ありがとう。もちろん、沈まないための作戦は俺がこれからもしっかりと考えるから」

古鷹「はい。じゃ、じゃあ……あの」

提督「うん?」

古鷹「か、還ってきたらまた……加古と一緒にお昼寝したり、頭を撫でてもらっても、いいですか?」ウワメヅカイ

提督「あぁ。もちろんだ」ナデナデ


古鷹型だって、まだまだやれるのです

183: 2014/06/05(木) 21:30:06.72 ID:F0+q80Tv0

・・-・・翔鶴ト提督4・・・


翔鶴「提督、遠征部隊が帰投しました」ガ……

提督「またか」

翔鶴「はい」マタデス……

提督「で、今度はなんと言ってきてるんだ?」

翔鶴「えっと
  『扶桑さんたちが敵艦隊と交戦するって聞いたんで、近くにいたから先に傷めつけておきました!
   完全な薄暮奇襲だったからこっちは無傷だったよ。次はもう一回ピンポンダッシュしてきます!』
   と……」

提督「……だから扶桑たちが不思議がっていたのか」アト ハクチコウゲキト イッテホシイ……

翔鶴「それであの、今回なんですけど」

提督「なんだ? また後光がさしてたのか?」

翔鶴「今回は虹色のようなものが見えました」

提督「」


瑞鶴「ねえ、だから誰なのその人達?」イイカゲンオシエテ!


泊地攻撃=ピンポンダッシュ(奪取)

188: 2014/06/06(金) 20:05:59.66 ID:5LszbVsD0
注意:いつもと空気がガラリと変わります ご注意ください



・・-・・艦娘ハ大鯨ノ夢ヲ見ルカ・・・


提督『ああ。遂にこの時が来てしまった』

提督『戦力増強命令、か。この鎮守府にそんな余裕など無いというのに』

提督『しかも早急に四隻建造すべしとは。こっちの都合も知らないでまったく』

提督『……しかし命令には従わねばならぬ。仕方がないか』

提督『ちょっと工廠まで行ってくる。留守を頼んだよ』


パタン……

???『………………』

189: 2014/06/06(金) 20:10:07.74 ID:5LszbVsD0

提督『――と言うわけで、久しぶりの建造はドック4つをフル稼働させることになった。すなまいが協力してもらえるか』

妖精?『了解です! それで、どんな配分で造りますか?』

提督『本来なら各種資源を調整して望むところだが、そんな余裕はウチにない。最低限の資源で揃えようと思う』

妖精?『んー、となると最大で重巡までですね』

提督『この際構わないよ。上にはうまく行かなかったとでも報告するさ』

妖精?『では、この資源で承りました! 少ししたらまた来てみてください』

提督『ああ。それじゃあそこら辺を歩いてくるから、よろしく頼んだ』


スタスタスタ……

妖精?『……うけたまわりました』

190: 2014/06/06(金) 20:15:51.04 ID:5LszbVsD0

提督『そう言えば、鎮守府の周りを歩くなんて久しぶりだなあ』

吹雪?『あれ、司令官! お疲れさまです!』

提督『おー。吹雪じゃないか。どうしたんだ?』

吹雪?『ちょっと海を見ていました。もう出撃や遠征がないものですから』

提督『そうか。確かに真っ赤に染まってキレイだもんな』

吹雪?『司令官は?』

提督『上からセッツカれて、したくもない建造をな……今頃ドックでは新たな艦娘が生まれようとしているよ』

吹雪?『今度はどんな子が来ますかね。私の姉妹たちだったら嬉しいです』

提督『ははは。そう言えば吹雪は一番上のお姉さんだったな』

吹雪?『はい! 世界をあっと言わせた特型一番艦です!』

提督『吹雪の活躍もあって今の平和を取り戻せたと言ってもいい。ありがとう』

吹雪?『いえ、そんな……私なんて』

提督『平和にはなったけど、これからも頼むよ』

吹雪?『はい!』

提督『じゃあ、俺はぼちぼちドックの様子でも見てくるかな』

吹雪?『私はもう少しここから海を見てます』

提督『ああ、それじゃあ』

吹雪?『はい』

191: 2014/06/06(金) 20:20:21.29 ID:5LszbVsD0

カーン カーン

提督『建造はどんなものかな』

妖精?『あ、提督さん。もうまもなく完成ですよ』

提督『おぉ早いな。でも、と言うことは……』

妖精?『やはり駆逐艦でした』

提督『まあ最低量だから仕方ないだろう。報告さえしてしまえば問題ない』

妖精?『……あ、そろそろ終わりますね』

提督『では、俺自らが迎えるとするかな』


???『はじめまして、吹雪です。よろしくお願いいたします!』

提督『…………は?』

吹雪?『え?』

提督『いや……吹雪?』

吹雪?『はい、そうですが……?』

提督『(ど、どうなってるんだ? 吹雪だって? 吹雪なら既にウチにいるはず。なのに、どうして……?)』

妖精?『提督さん、二隻目も完成ですよ』

192: 2014/06/06(金) 20:25:47.20 ID:5LszbVsD0

???『はじめまして、吹雪です。よろしくお願いいたします!』


提督『はぁ?!』

吹雪2『あ、あなたも同じ吹雪なんだ。よろしくね』

吹雪1『うん。こちらこそよろしく!』

提督『いやいやいやいやいや! おかしいだろう?!』

吹雪1・2「「おかしい、ですか?」」

提督『な、なな……』ガタガタガタ


チョンチョン

提督『?!』ガバッ


???『はじめまして、吹雪です。よろしくお願いいたします!』

提督『――――――ッ?!』


吹雪1『あなたも吹雪! うわぁすごいなあ』

吹雪2『三人いっぺんに揃うのって初めてじゃないかな?』

吹雪3『私も初めて!』


提督『そんな、そんなバカな……吹雪が、吹雪が……!』


キャアァァァァァァァァァ!!!

193: 2014/06/06(金) 20:31:08.34 ID:5LszbVsD0

提督『な、なんだこの悲鳴は?!』

吹雪?『し、しれいかん……』ズルッ……ズルッ……

提督『ふ、吹雪! どうしたんだその怪我?! というか、腕が……』

吹雪?『うみを、見ていたら……急に深海棲艦が……うぐっ!』

提督『し、しっかりしろ吹雪! いますぐドックに――』

吹雪?『だ、大丈夫ですよ』

提督『そんなわけあるか!』

吹雪?『だって、しれいかん……そこに、いるじゃないですか……ワタシガ』

提督『?!』


吹雪1『だいじょうぶ?』

吹雪2『うわぁ。右腕がなくなっちゃってる。代わりに私のをあげようか?』

吹雪3『だいぶ血を失ってるだろうし……私たちがワケてあげる』


ブチブチッ プシアァァァァァ


提督『うそだ……そんな……こんなの……』


吹雪1・2・3『シレイカン! モウダイジョウブデスヨ!』

吹雪?『――ダカラ、イッタジャナイデスカ』ニコォ


提督『うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』

194: 2014/06/06(金) 20:35:35.61 ID:5LszbVsD0

???『―――かん! ――れいかん!』


提督「うわあぁっ?!」ガバッ

吹雪「きゃあっ?!」ビクッ

提督「はぁっ……はぁっ……」

吹雪「だ、大丈夫ですか? 司令官……」

提督「あ、あぁ……ゆ、ゆめか」

吹雪「だいぶうなされていたようですが……」

提督「だ、大丈夫だ。ちょっと夢見が悪くてな。ふぅ……」


吹雪?『お、お茶でもお持ちしますか?』


提督「ひいぃっ?!」ガタガタッ

吹雪「し、司令官?!」

提督「ふ、吹雪が……吹雪が、二人……!」カタカタカタカタ

195: 2014/06/06(金) 20:40:15.63 ID:5LszbVsD0

磯波「あの、本当に大丈夫ですか……?」オロオロ


提督「あ、ああ……磯波かぁ。よっ良かった……」グッタリ

磯波「て、提督……?」セナカヲサスル

提督「すまない磯波。それに吹雪も。夢のせいで混乱してしまった」フゥ……

吹雪「なんだか、司令官がここまで慌てているのを見たのは初めてな気がします」

磯波「私もです」

提督「いやぁ、ははは……。みっともないところを見せてしまったな」


提督「(だよなあ。あんな事現実に起こるなんてありえないって。俺、疲れてるのかな……)」


提督「それで、二人ともどうしたんだ?」

吹雪「はい。もし司令官がよろしければ、一緒にお茶でも飲みませんかというお誘いです!」

磯波「今日は、私と吹雪ちゃんが勝ったので……。それで、宜しかったら」

提督「……なるほど。そういう事なら大賛成だよ。ちょうど喉がカラカラでカラカラで」

吹雪「では、食堂に行きませんか? 冷たい麦茶があるはずですから」

提督「うん。そうしようか。ついでに二人には口止めとして間宮さんのアイスでもご馳走しようかな」

吹雪「いいんですか?!」ヤッター!

磯波「嬉しいです!」

提督「その代わり、このことは誰にも内緒だぞ?」

吹雪「はい!」

磯波「三人だけの秘密、ですね」


トコロデ ドンナユメダッタンデスカ?
ソレハヒミツダ
エー、オシエテクダサイヨー!


……パタン   ハラリ


『戦力増強依頼書』


たまにはこんなお話を……

196: 2014/06/06(金) 20:46:34.19 ID:5LszbVsD0
以上、一辺に吹雪が三隻揃ったら……の勢いだけで書いたモノでした

みんな飛龍と大鯨(龍鳳)に忙しいだろうからここまで!

ところで、どうして友永隊だけ名指しで……?
制空の岡嶋隊や艦爆の小林隊だっていたでしょうにー
蒼龍だったらやっぱり艦爆の江草隊だろうなあ……

198: 2014/06/06(金) 21:22:53.39 ID:NGIuSA3Z0
蒼龍7月かそこらにくるって運営言ってたような

199: 2014/06/06(金) 21:51:27.92 ID:Z1IBF07SO
乙です

病んでようが何だろうが吹雪は可愛いなぁ


引用: 瑞鶴「目標、母港執務室の提督……と翔鶴姉ぇ!」