1: 2009/02/01(日) 18:12:37.23 ID:miyenumN0
「彼女、アメリカだっけ?ゾナハ病に感染したとかで」
「ええ。―――正直、私、あの子が苦手でした…。あの子、心を開いてくれなかったから…」
「君、そういうこと言うもんじゃないよ…。しかし……」
「―――ええ。彼女、もうもたないんじゃ……」

鼻くそをよくほじりますか

     →よくほじる
     →一度もないわ

ぼくはきのうししゃもを

     →たべました
     →たべてないよ




まきますか まきませんか
     
     →まく
     →まかない


鳴海「……クソッ!」

2: 2009/02/01(日) 18:14:59.64 ID:miyenumN0
~数日前 イリノイ州空港~




「うっ、うわああああああああああああああっ!なんだこいつらぁあああああ!」

「た、たすけてくr……!」

自動人形A「バーカ!テメエラヲ助ケニコサセルノガ目的ヨォ!シロガネヲ釣ル”エサ”ッテヤツ?」

自動人形B「ソーソー、テメエラハエサダ!…アレ?デモヨ、エサッテノハ一匹デイインダヨナァ?」

自動人形A「イインジャネエカァ?ト、ユーワケダ…“一人残シテ”皆殺シダゼェ~~~!」





鳴海「その必要はねえぜ。――もう”釣れて”やった」



自動人形A・B「「シ、シロガッ―!『ガシュッ』 ゲエェ~~~~」」ブシャアアアアアアアアアア

4: 2009/02/01(日) 18:16:22.37 ID:miyenumN0
鳴海「へっ、ざまーみろ!みんな、早く逃げろォ!」

ルシール「ここから東の階段から逃げるといい…そっちには奴らはいないからね」

「あ、ありがとう~!「…し、氏ぬかとっ…」「ひぃぃぃ」
「…う、うあっなんだお前ぇぇ」ザシュッ

自動人形「助けてくれてありがとうよ!」「ヒャハハハ!」

鳴海「ッ!…自動人形がまぎれてやがったのか!」

ルシール「そうみたいだね。半分は一般人か…私が逃がすとするよ」

鳴海「ああ、頼む――てめえら、覚悟しな!」



鳴海「おい、自動人形。”一人残して”みんな壊したぜ?」

自動人形「ヒヒヒッヒヒィ…確かに俺しかいないみたいだな…」

自動人形「だけどさあ、まだ負けてねんだよなぁ」

自動人形「俺には運があったからなァ!」


水銀燈「何なのよぉ…トランクから出ればこの騒ぎ…いったい何が…っ!」ガシィッ

5: 2009/02/01(日) 18:18:04.48 ID:miyenumN0
鳴海「ちィ~!その子を離しやがれ!」

自動人形「無理だなしろがねェェ!俺がこうしている限りてめーらは近づけねえからな!」

鳴海「クソオ…!おいルシール!なんかいい方法はねぇのかよ!」

ルシール「いちいちうるさい男だねぇお前は。もう少し冷静な判断というものを身につけたらどうだい」

鳴海「そんなこと言ってる場合じゃねぇだろうが!・・・ギイの野郎はまだ戦ってんのかあ!?」

ルシール「居ない奴なんて頼りにするんじゃないよ。お前が何とかするしかないのさ」

鳴海「んなこと言われても…!クソッ、あの子さえ離れられれば――!」

自動人形「ごちゃごちゃうるせぇーなぁ!ゲームの始まりだぜぇ?」ポイッ

鳴海「ナ、ナイフ……?」

自動人形「こいつを助けたかったら自分で自分をブッ刺しな。おっ氏ぬまでなァ!」

鳴海「な…!」

自動人形「それとも、そのババアをブッ頃してくれるかい?さあ、どうするよ?どっちもやっちまってもいいぜぇ?」

ルシール「ふん、口の減らない奴だね。その子を離す気もないくせに」

自動人形「そんな口きいていい立場か?ババア。――そうだな、コイツの腕でも壊せば理解するかな!」

鳴海「や、やめろぉぉぉぉぉぉぉ!」

6: 2009/02/01(日) 18:19:39.37 ID:miyenumN0
水銀燈「…不愉快だわぁ。私を人質にするなんて」

自動人形「ギッ!?カ、体ガ動カネ…!?」

水銀燈「私たち以外に動ける人形がこんなに下品だなんて」

自動人形「グギッ!グゲゲゲゲゲゲゲゲェッ」ギギギギ

水銀燈「…私を 壊そう だなんて。ホントぉに不愉快だわぁ」

自動人形「ギャアアアアアアッ」ベキベキ ブシャァッ ドサッ

水銀燈「最期まで下品だわぁ。ドレスに血がついて・・・血?」


鳴海(………な、何が起きたってんだ!?)




水銀燈「この人形は血が流れるの…?まるで人のように」

鳴海「…オイ、嬢ちゃん。大丈夫か?」

水銀燈「…あなた、私が壊れているように見えるのかしらぁ?」

鳴海「い、いやそーゆうわけじゃなくて」ガッシャンガラガラ

7: 2009/02/01(日) 18:21:55.20 ID:miyenumN0
ギイ「すまないな、少し休憩させてもらう。ナルミ、あとは任せた」

鳴海「ギイ!奴らは倒しきれ・・・てねえみてえだな」

ギイ「数が数だからな・・・面倒だから一般人も避難したようだしココに引き付けてきた」

鳴海「て、てめえ、『僕に任せろ』とか言ってたじゃねぇかよ!」

ギイ「なに、お前がしろがねとして立派になれるよう経験を積ませてやるんじゃないか。感謝しろよ」

鳴海「ぐむむ…ちくしょう、さっさとケリつけてやらぁ!嬢ちゃん、お前はさっさと逃げろ!」

水銀燈「そうはいかないわぁ」


人形「な、なんだぁああ、体が勝手に…!」

人形「なんでお前に銃口が向いてんだヨォ~~~~!」

人形「や、やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
ダダダダダダダダダダダダダダダダ

水銀燈「…なぁんだ、血が流れている以外”ただ”の人形ねぇ。つまんなぁい」

8: 2009/02/01(日) 18:24:45.49 ID:miyenumN0
ギイ「…何たることだナルミ。お前はレディに助けられるほど残念な奴だったんだな」

鳴海「ち、ちげーよ!俺がどうこうとかじゃなくてさ…!」

ギイ「ああ、情けない。ママン、この東洋人はやっぱりダメ野郎だよぉ~」

鳴海「て、てめぇ、それムカツクから止めろ!」

ルシール「漫才は後におし。…ともかくありがとうよ、不思議なお人形さん」ニイィ

鳴海「な、なに…?」



自動人形「ど、どういうごどだあ?!お前のような奴がいるなんでえよォ!」

自動人形「俺らの体を操るなんでよお!勝てねえじゃねえかぁ!」

自動人形「”人形”のくせに俺らをこわすだなんてよオオげぶあ」ドシャッ


鳴海「な……」

ギイ「……」

9: 2009/02/01(日) 18:27:48.99 ID:miyenumN0
水銀燈「おばかさぁん。お父様に作られた私が、あなたたちのようなジャンクに負けるはずないわあ」


ギイ「オリンピア!」キュィッ

ガァン

水銀燈「っ!?――何かしらぁ、随分なごあいさつねぇ」

ギイ「遠慮はいらないだろう…お前ら自動人形にはな!」グワッ

水銀燈「自動人形?…意味わからないけどぉ…あなた達は私の敵ってことねぇ?」

ギイ「そうだ…破壊されるべき…我々の敵さ」キュンッ

水銀燈「…ホントぉにおばかさぁん。私が人形操っていたのを忘れたのかしらぁ!」ギンッ

ギイ「――オリンピアも動けないか。だが関係はないね。ナルミ!」

鳴海「応!」バッ

水銀燈「ッ!いつの間にぃ!」

鳴海「オラァ!」バキィィ

10: 2009/02/01(日) 18:31:19.88 ID:miyenumN0
水銀燈「きゃあああっ!がっ、は…!……なんなんのよぉ、あんた達…!」

ギイ「ふん、自動人形のくせに考えたじゃないか。本命のお前を人質にすることで油断させるとはな」

ギイ「御覧の通りオリンピアは動かせないが……良かったな、ナルミ。お前でも役立つようだ」

鳴海「けっ、言ってろスケコマシ!……あばよ、自動人形!」

水銀燈「くっ!」ブワァッ

鳴海「な、なんだぁ!?翼ぁ!?」

水銀燈「ふふっ…残念だけど、あなたたちをジャンクにしてる暇はないわぁ」

水銀燈「じゃあねえ、お馬鹿さん達」


鳴海「くそっ…逃げられちまったか」

ギイ「…オリンピアもようやく動けるようになったが…奴の姿は見えないか」

鳴海「それにしても、どういうことだよ!?空を飛ぶのはまだいいけどよ、人形を操ってたぜ!?」

ギイ「…さあな。それもこれもどっかの馬鹿が逃がさなければ分かったのだがな」

鳴海「グギギギ……言い返せねえ俺が情けねーぜ…」

ギイ「―――仕方がない、我々は本来の目的を果たすとしよう」

ルシール「……そうさね。グリーンタウンの住民が聞いた『柔らかい石』の話を聞きにね……」

11: 2009/02/01(日) 18:32:46.69 ID:miyenumN0
~上空~

水銀燈「あの人形達と、奇妙な人間の3人組…」

水銀燈「いったい何が起こっているのぉ…?」

水銀燈「――私には関係ないことよねぇ。」

水銀燈「―――くっ、それにしてもあの人間…この私を殴るなんて」

水銀燈「少し、ダメージが大きいかしらぁ…」




水銀燈「……あと少し…あと少しなのよぉ……」

水銀燈「…めぐ…」

12: 2009/02/01(日) 18:39:09.57 ID:miyenumN0
~レイ疫病研究所~


「わあああああああ~~~~~!」

鳴海「な、なんだぁ?」

少女「ねぇ、おじちゃん…さっきのカオ、おもしろかった…もう一回やって…」

鳴海「こ、こうか?」

「あっははははははあはは!」「おもしろ~~~い!」

鳴海「へ、へへへへ…」

男「遅かったな、先生、ギイ。」

男「飛行機の到着時刻からしても、2時間14分は早く着くはずだろう」

ルシール「少しトラブルがあってね。――いつものことさ」

ジョージ「ふん…君が新しい東洋人のしろがねか。私の名はジョージ・ラローシュ。会えてうれしい」

鳴海「あ、ああ…」

ギイ「ナルミ、おまえは新しい看護人として、あの子達と遊ぶため来たと言ってある」

ギイ「その方が「真夜中のサーカス」を目撃した子供達から話を聞きやすいだろう。お前の頭も子供に近いし」ゲシ

13: 2009/02/01(日) 18:42:32.30 ID:miyenumN0
子供「ねえ、おじちゃんは日本人なの?だったらめぐとお話ししてあげてよ!」

子供「めぐは日本じゃ治せない病気を持ってたからここに来たんだって。だけど私たちと一緒に遊ばないでいつも一人なの」

子供「おじちゃん!めぐも笑わせてあげてよ!」

鳴海「お、おっしゃ!兄ちゃんに任せときな!(おじちゃんかよ…)」





~病室~


めぐ(ゾナハ病……か)

めぐ(わざわざアメリカにまで連れてこなくったてさ)

めぐ(私はあのまま黒い天使に連れて行ってもらうはずだったのに)

めぐ(……水銀燈…)

15: 2009/02/01(日) 18:47:43.75 ID:miyenumN0
鳴海『エート、あの子が言ってた病室ってのはここ、か?』


めぐ「はあ……ここでも、変わらないのね」
コンコン
鳴海「失礼するぜ」

めぐ「……なに?お兄さん。入っていいと言って覚えはないのだけれど」

鳴海「あ、ス、スマネェ!いや別に変なことしようってわけじゃねぇんだ!」

めぐ「……お兄さん、日本人なのね。……そこまでして機嫌を取る必要があるのかしら」

鳴海「そ、そーゆうわけじゃねぇって!みんなお前が元気になるようにって――」

めぐ「残念。私もともと不治の病なの。”ゾナハ病”なんて無くったってね」

鳴海「……」

めぐ「それに、私早く氏にたいの。それなら放っておいてくれた方が早く氏ねると思わない?」

めぐ「だから早く出てって、デカゴリラさん。この病室にはせま苦しいから」

鳴海「ゴリッ…!」

めぐ「出てけ!」ガシャン

鳴海「…ちっ、なんでぇなんでぇ、氏にたがりかよ!出てってやらぁ!」バダム

めぐ「……ふん」

16: 2009/02/01(日) 18:49:38.99 ID:miyenumN0
ギイ「どうだった?ナルミ。日本人の少女は」

鳴海「駄目だ駄目だ!あーゆうもう自分の命なんてどうでもいいって奴は、俺は一番嫌いなんだよ!」

ギイ「その様子だと、追い返されたってとこか」

鳴海「ああ!クソッ…気分が悪ィぜ…」

ギイ「……むしろ、そういう子供の方が我々もある意味で、楽なのだがな」

鳴海「はあ!?てめぇ何言ってやがる!」

ギイ「…ここは、”地獄”だからな」






   ぜひ      ぜひ    ぜひ

17: 2009/02/01(日) 18:51:16.24 ID:miyenumN0
~~~~~~~~~~~


鳴海「ふああ、つっかれた~。ガキどもはタフだね~」

鳴海(何が地獄だよ、みんないい子ばっかじゃねえか)

鳴海(ここにいる間は誰も抱きしめるな、とかよ……まったく、しろがねってのは皆ああなのかねえ)

鳴海(…?なんか今だれか通ったような………)






水銀燈「…この建物のどこかに……」

水銀燈「……はぁ……はぁ」

水銀燈「行かなくちゃ……」


鳴海「て、てめえは―――!」

18: 2009/02/01(日) 18:53:00.44 ID:miyenumN0
水銀燈「ッ!お前…!なぜこんなところにいるのぉ!」

鳴海「自動人形ァ!」ブワッ

水銀燈「っく!……もう少しなのよぉ!邪魔しないでぇ!」ボォッ シュババババ

鳴海「うおっ!?は、羽か!」

水銀燈「もう少しで…!」ダッ

鳴海「て、てめえ!待ちやがれ!」




鳴海「へっ!あんな羽当たっても痛くもねえぜ!」

水銀燈「くっ!(どこ!?どこなのよぉめぐ!)」

鳴海「追いついたゼェ!」

水銀燈「……っ!」ギンッ

シュバッ 

19: 2009/02/01(日) 18:55:15.57 ID:miyenumN0
水銀燈「と、止まらない…! 『バキィ』 ぐっ…!」ドシャァッ

水銀燈「このままじゃぁ……っ!」

水銀燈「…この感じぃ!めぐの…!」

鳴海「まだ動くか!」

水銀燈「邪魔だって言ってるのよぉ!」

鳴海「!?い、いきなり速く!?逃がすかよ!」





めぐ「……指輪が…?」

めぐ「もしかして… 『バキイイ』 !ドア、が…」

水銀燈「うふふふふ…見つけたわぁ…めぐぅ…」ドサァ

めぐ「…!水銀燈!」

20: 2009/02/01(日) 18:58:50.42 ID:miyenumN0
鳴海「ここか!確かここはめぐとかいう子の病室…!」

鳴海「おい!その人形から離れろ!」

水銀燈「どこまで、じゃまするのぉ…!?めぐに、やっとめぐにあえたのにぃ…!」

鳴海「ぶっ壊れなぁ!」グワッ

めぐ「やめて!」バッ

鳴海「んな…!」ピタ

めぐ「水銀燈に…てを出さないで…!」

鳴海「や、やめろ!そいつから手を放せ!」

めぐ「お断りだわ…ぜひ、私の天使を、傷つかせるわけには…ぜひ…いかないもの…!」

鳴海「!ゾナハ病の!」

水銀燈「めぐ…」ニコ カクン

めぐ「水銀燈…」

鳴海「…発作が、止まっただと…?」

21: 2009/02/01(日) 19:10:27.43 ID:miyenumN0
めぐ「……そう、一人で動く人形が、ゾナハ病をばらまいたってわけ」

めぐ「なら、水銀燈はそいつらとは違うわ。だって私に来てくれた天使様だもの」

鳴海「だけどな…!奴らはそうやって人間を」

めぐ「なら、私ごとぶっ壊してくれない?そうすればあなたにも私にもいい結果だから」

鳴海「…てめぇ」

めぐ「私は本気よ?」

鳴海「…クッ!できるわけねぇだろうが…!」

めぐ「なぁんだ…つまんない」

鳴海「…くそ…おい、その人形氏んでんのか?」

めぐ「ねじが切れてるのかしらね。ゴリラさん、そこのトランクからねじ巻きとってくれない?」

鳴海「はあ!?なんで俺が人形のために――!」

めぐ「じゃあ私氏んじゃうから。あ、そうだ。ついでに巻いてあげてくれない?背中に巻くとこあるから」

鳴海「ふざけんな!俺はやらねぇぞ、そんな人形を動かしてたまるか!」

26: 2009/02/01(日) 19:15:49.81 ID:miyenumN0
めぐ「早くしてよ。――私、舌を噛み切るぐらいの覚悟あるから」

鳴海「………」

めぐ「 ま く の ?  ま か な い の ?」




鳴海「……クソッ!」









キリキリ――キリキリ―――


鳴海(……どうする!?この人形が動いた瞬間に奪い取るか?)

鳴海(いや、このめぐとかいう奴、よっぽど強く抱きしめてやがるみてえだし…)

鳴海(八方ふさがり、って奴か…?)

29: 2009/02/01(日) 19:21:26.47 ID:miyenumN0
水銀燈「……ん…」

鳴海「っ!人形が!」

めぐ「水銀燈……」

水銀燈「…め…ぐ………めぐっ!?」

めぐ「そうよ、水銀燈。――私の天使さん」

水銀燈「めぐぅ……!う、うぁああああああああああ…!」

鳴海「……」

鳴海(この人形…泣いてやがる…)

水銀燈「めぐ、ひっく、どうして勝手に、ぐすっ、行っちゃったのよぉ」

めぐ「……ごめんね、水銀燈。私もね、勝手に連れてこられたから…」

水銀燈「あなたは私の糧なのよぉ…!勝手に消えちゃぁ…ぐすっ、困るんだからぁ!」


めぐ「水銀燈…」ギュッ


鳴海(どうやら…本当に…”唯の”自動人形じゃないみてえだな…)

30: 2009/02/01(日) 19:24:54.51 ID:miyenumN0
鳴海「―――おい、人形」

水銀燈「――何よぉ」

鳴海「てめえには話がある。お前が本当に奴らの仲間じゃねえかわかんねえからな」

水銀燈「…ふん、あなたのような凶暴な山猿が、まともに話ができるとは思わないのだけど」

鳴海「口の減らねえ人形だなァオイ……明日でいい。今はソイツと寝てろ」

水銀燈「……ふん」

鳴海「…それとよ、めぐ」

めぐ「え?」

鳴海「てめえは、氏にたがりじゃねえな。そこの人形を守るときの顔はそんな面じゃなかったぜ」

めぐ「……」

鳴海「じゃあな」バタン


鳴海(……あいつは自動人形のはずだ。殴った時の感触は人のものじゃなかったしよ)
鳴海(なのに…なんだ?あの面は…)

鳴海(まるで、人間じゃねえか……)

36: 2009/02/01(日) 19:32:00.16 ID:miyenumN0
~~~翌日~~~
ギイ「ローゼンメイデン…か」

ギイ「悪いが、僕はそんな話聞いたこともないし、信じるつもりもないね」

ギイ「目の前にいるのは自動人形だ。なのにどうして見逃した?ナルミ」

鳴海「…そりゃそうだけどよ…」

ギイ「それに、だ。お前はどうやってここまで入った?ここの警備は尋常じゃないレベルのはずだが」

水銀燈「ふふ、おばかさぁん。この程度の警備、私には造作もないわぁ」

ギイ「…そのようだな。お前が使った人形を操る能力、あれは何だ?」

水銀燈「別にぃ?ローゼンメイデンである私が下等な人形を操っただけじゃなぁい」

ギイ「話にならないな。仕方ない、少しお前の体を調べさせてもらおうか」

めぐ「うーわ、お兄さんそういう趣味が…」

ギイ「な、なに?」

めぐ「人形のお洋服脱がして調べるんじゃないの?私には変態のすることだと思うんだけどなあ」ニヤニヤ

ギイ「ち、違うぞ!僕はそういうつもりがあるわけじゃ…」

鳴海「やめとけよ~ギイ、マザコンに加えて人形マニアなんてよ~」ニヤニヤ

ギイ「うるさいぞナルミ!」スコン  チュー

38: 2009/02/01(日) 19:37:51.35 ID:miyenumN0
ギイ「ふん、いいだろう、そこまでいうならあきらめてやるよ。だが、水銀燈とやら。お前にはこいつを見張りにつける」

鳴海「うえっ!?俺は子供たちから柔らかい石のことを聞くんじゃねえのかよ!?」

ギイ「ならばそいつも連れて行け。能力もお前には通用しないようだしな」

鳴海「けどよ!こいつを一緒に連れて行っても、どうすりゃ――」

ギイ「そいつも人形だろう?じっとさせておけば、ただのおもちゃさ」

ギイ「もしそいつが子供達を襲おうとしてもだ、お前ならばそいつを破壊できる。違うか?」

水銀燈「……ふん、そんなことしないわぁ」

ギイ「そんなことは関係ないね。お前はそこのめぐという子といっしょに居たいのだろう?」

水銀燈「………」

ギイ「今はおとなしく従うことが賢明だと思うがな」



42: 2009/02/01(日) 19:42:04.96 ID:miyenumN0
~~~~~~~~~~~~~~~~

鳴海「おい、ギイ。お前にしては随分と早く引き下がったじゃねえか」

ギイ「――あの人形、ヤクルトを飲みたいなどと言い出しただろう?」

鳴海「あ、ああ…」

ギイ「そしてこの部屋に来るとき、僕が持ってきたわけだ。少し僕の血が入っている奴をだがな」

鳴海「な――」

ギイ「飲み干しても何もないのだからな…確かに奴はただの自動人形ではないらしい」

鳴海「……そう、か」

ギイ「用心はしておけよ、ナルミ」

45: 2009/02/01(日) 19:47:28.17 ID:miyenumN0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「うわあ!かわいいお人形さん!」「ナルミ、さわってもいい~?」

鳴海「お、おい、あんまり引っ張るなって…!」


水銀燈(…屈辱だわぁ)ビキビキ

水銀燈(ローゼンメイデン第一ドールのこの私が…こんなガキ共に…)

水銀燈(ってどこひっぱってるのよぉ!ちょ、いた、痛いって)

水銀燈(ひゃっ…くすぐった…あ…い、痛い!やっぱ痛い!)

水銀燈(いたたたたたたたた!い、いい加減に…!)

水銀燈「いい加減にしなさいよぉ!」ぐわー

「うわあ!お人形さんが動いた!」「しゃべったよ~!」

水銀燈「ちょっとぉ!さっき私の腕引っ張ったの誰よぉ!出てきなさぁい!」

「おもしれ~!」「きれいな声~!」グイグイ

水銀燈「え、ちょ、ちょ…」

鳴海「おい…マジかよ…」

48: 2009/02/01(日) 19:52:08.55 ID:miyenumN0
水銀燈「なんなのよぉ…こいつら元気ありすぎよぉ…」

少女「ねえ大丈夫?お人形さん」

水銀燈「…大丈夫じゃないわぁ。こいつら、躾がなってないのかしら」

少女「あたしベスっていうの!お人形さんのお名前はなんていうの~?」

水銀燈「――水銀燈よぉ」

ベス「スイギントーね!じゃあスイギントー、いっしょにお絵かきしましょ!」

水銀燈「え、ちょっとぉ……―――!」

55: 2009/02/01(日) 20:06:29.51 ID:miyenumN0
水銀燈「も、もう駄目ぇ…」フラフラ

鳴海「…大変だったみてえだな」

水銀燈「当たり前よぉ!どいつもこいつも、遠慮もなしに引っ張り回すし…」

鳴海「その割にはお前、ちゃあんと付き合ってやってたじゃねえかよ」

水銀燈「そ、それは…この私がこれくらいで怒るなんて、馬鹿みたいじゃなぁい!」

鳴海「…プッ!あっはははははは!おまえ、なんだかんだいってやっぱいい奴なんだな!」

水銀燈「な、なによぉ!ホ、ホントぉに―――」

鳴海「…やっぱりお前は、俺の知ってる自動人形とは違えみてえだ」

水銀燈「なによ…人間のくせにわかった様な口聞いちゃって」

鳴海「やっぱ口の減らねえ人形だな…そういやオレの名前を言ってなかったな」

水銀燈「別に知りたくないわあ」

鳴海「コイツは…!オレは加藤鳴海ってんだ。改めてよろしくな、水銀燈」

水銀燈「――――ふん」

64: 2009/02/01(日) 20:45:06.30 ID:miyenumN0
めぐ「それでそれで?早速ばれて、あそばれたってわけ?」

水銀燈「ガキ共ったらホントウザったいのよぉ!お父様からもらったこの大事な体を――」

めぐ「でも、やり返したりはしなかったんでしょ?」

水銀燈「だ、だって怪我させたら大人の職員にばれるじゃなぁい…!あそこにはナルミとガキどもしかいなかったから―」

めぐ「はいはい。――変わっちゃったよね、水銀燈。前ならそんなことなかった」

水銀燈「……めぐ」

めぐ「前のギラギラしたわっる~い水銀燈、好きだったんだけどなぁ」

水銀燈「……あなたも変わったと思うわぁ」

めぐ「―そうね。だって、私今の優しい水銀燈も好きだもん―ぜひ!―ぜひ―」

水銀燈「めぐ!?」

めぐ「―ぜひ―笑って、水銀燈―私なら、大丈夫―ぜひ!―」

水銀燈「……」ニコ

めぐ「……ふふふ。ありがとう、私の天使さん―」

水銀燈「……めぐぅ」

めぐ「あなただけは…私を見捨てないで…」ギュウ

67: 2009/02/01(日) 20:52:58.96 ID:miyenumN0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~



鳴海「今日も大変だったなぁ~、水銀燈またもみくちゃにされてたもんな」


水銀燈『誇り高きローゼンメイデン第一ドールの私が…!あの餓鬼共タダじゃおかないわぁ…』


鳴海「なんて言ってたけどよ…結局」


水銀燈『抱っこするなら優しく抱っこしなさい、おばかさぁん!』

水銀燈『絵本?ちょっと興味あるから読んでみようかしら…あなたのためじゃないわぁ!』

水銀燈『私を描いたって言うの?―――ま、まあまあうまいんじゃないの?』



鳴海「なんだかんだ言って結局いつも遊んでやってるもんなア」

鳴海「…?この部屋明かりが……!?」

71: 2009/02/01(日) 20:56:12.93 ID:miyenumN0
鳴海(おいおいどういうことだ!?この病院の職員、みんな薬漬けじゃねえか!)

看護婦「バンハート博士は今手が離せないので…」

鳴海「どけ!」グイ

鳴海「バンハート!あんた知ってんのかよ!薬漬けのこの…!」

バンハート「知ってるさ。それがどうした?」

バンハート「職務遂行のためには必要なことだ。わかったら出て行ってもらおう」

鳴海「ジョージ…?あんたら…なにやってんだ……?」

ジョージ『よく思い出せ。人形は次どこに行くって?』

鳴海「じ…尋問じゃねかよ。子供を…犯罪者みてえに…」

バンハート「私だってこんなものに立ち会いたくはない!だが―――ナルミ!?」

ジョージ『答えな、お前も長いことないんだ。どうせなら…」

ジョージ『 役に立ってから氏にな 』

ガシャアアアアアアンン
鳴海「ジョージ!このバカヤロオ!!」


―――――………

73: 2009/02/01(日) 21:00:53.38 ID:miyenumN0
鳴海「五日だ…。あの日すべてを知ってから――マークがいなくなってまだ五日なんだ…それなのに」

鳴海「もう…20人もいなくなっちまった…」






水銀燈「ナルミ、最近遊ぶ子供の数が減ったような気がするのだけれど」

鳴海「―そう、だな。みんなちょっと検査があるらしくてさ…」

水銀燈「ふぅ~ん…まあ、私には何の関係もないものねぇ」

鳴海「そう…かよ…」

水銀燈「……ふん」

75: 2009/02/01(日) 21:04:42.93 ID:miyenumN0
ルシール「ナルミ。馬鹿なことを考えるでないよ」

ルシール「お前の血で、せめてあの子達だけでもと考えているのだろう」

ルシール「でも他の子はどうするんだい?ここには二千人のゾナハ病の子供が収容されているんだよ」

ルシール「あんたの血はぜんぜん、足りないねぇ」

鳴海「くそう、オレは…どうしたら、いい?」

ルシール「仮面、でもかぶってみるかい?」

ルシール「あの方がかぶっていた仮面さ…」

ルシール「我々『しろがね』は無情にならねば、地獄を渡っては行けない」

ルシール「だから我々は仮面をかぶる。心のなかに、誰にもわからないように…ね」

ルシール「今は無力感にさいなまれるがいい。自分で答えを出さない限り、お前は戦えない男なのだろう」

ルシール「それだからこそ、おまえは特別なしろがねなのかもしれないね」

77: 2009/02/01(日) 21:07:25.77 ID:miyenumN0
鳴海「ルシール――ん?」

ルシール「何かあったかい、ジョージ」



ジョージ「ああ、ルシール。我々を追って自動人形が来た」






ジョージ「パウルマン先生と、アンゼルムスさ」

79: 2009/02/01(日) 21:08:56.22 ID:miyenumN0
『自由時間ですが、廊下、中庭にいるお友達は、急いでお部屋に戻ってください』

『何も心配いりません。急いですぐ行動しましょう』



「こわいようナルミィ!」

鳴海「大丈夫だ、オレがついてる!」

「ぜひ…ぜひ…ぜひ……」

医師「ゾナハ病の発作が―!急がなくては氏者が大勢出てしまう!」

鳴海「――――クソォ!」






水銀燈「な、なによぉ…何が起こっているのぉ…?」ゴゴ…ズズウン…

水銀燈「―――めぐのところへ…!」

85: 2009/02/01(日) 21:11:45.34 ID:miyenumN0
先生『この施設は我々自動人形が制圧した、抵抗は無駄な行為と知り給え』

先生『ところで君らの中に人形破壊者、及びに裏切り者の人形がいるだろう。出てきなさい』

先生『私たちは、そいつらの首をもぎとり、愛するフランシーヌ様へ捧げよう』

アンゼルムス「パウルマン、向こうもやる気だったみたいだよ」




ジョージ「ふん、壊してやる」


90: 2009/02/01(日) 21:15:54.37 ID:miyenumN0
ベス「ぜひ…ぜひ…ぜひ…」

鳴海「ベス!がんばれよ!ベス…!」

ベス「ナルミ…おねがいがあるの…」

ベス「ナルミが、初めて来たとき…ドアに、ぶつかってさ…とってもおもしろかった…」

ベス「あの顔…またやって…」

鳴海「ああ!何度でもやってやるよ!だから―――!」

ベス「あとね…ハリーを…スイギントーにあげたいんだ…」

ベス「スイギントー…いつも優しくしてくれたから…」

鳴海「約束する!絶対に渡してやるから…!」

ベス「ありがとう、ナルミ…」

鳴海「ほ、ほら、ベス!こうかい?」

ベス「うふ、うふふ…ナルミは、おもしろいねぇ…」ニコ

ぜひ    ぜひ    ぜひ          ぜひ 

95: 2009/02/01(日) 21:19:55.71 ID:miyenumN0
「この子も第三段階に入ったか…!運び出せ!」

鳴海「待てよ!ベスを…ベスをあんな暗い所に…!」






ヘレン「わかってナルミ!ベッドが足りないの!たくさんの子が苦しんでるわ!」

ヘレン「そして、これからももっと…もっとたくさんのゾナハ病の子がここに来るのよ!」

鳴海「も、もっと――たくさんの―――」





鳴海「う、うあ、あ、あ―――!」

97: 2009/02/01(日) 21:22:26.85 ID:miyenumN0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~


水銀燈「――――めぐ、が、いない……?」

ルシール「――あの子なら、もうここにはいないよ」

水銀燈「っ!?ねぇ、めぐは!?もう、避難したのぉ…?」

ルシール「……ついてきな」






医者「急げ!人形たちのせいで、第三段階の発症した子が……!」

医者「っ!?ルシール!人形の相手は…!?そ、それにその子は…」

ルシール「大丈夫さ、すぐ終わる」

100: 2009/02/01(日) 21:26:36.39 ID:miyenumN0

水銀燈「……なんなのよぉ…ここは……」

水銀燈「みんな……私が遊んでやった子…ばかりじゃなぁい…」




ルシール「ゾナハ病には三段階あってねぇ……第一段階なら…他人を笑わすだけで、症状を緩和できる」

ルシール「二段階目は、免疫力の低下による合併症が現れる。普通ならここで氏んでしまう…だけど」

ルシール「”運悪く”、生き延びてしまったものには地獄が待っている…」

ルシール「第三段階目は、――――”氏ねなくなる”のさ」


水銀燈「!!――――めぐぅ!」

102: 2009/02/01(日) 21:28:10.87 ID:miyenumN0
ルシール「―――人形たちが来る少し前に、第三段階が発症したみたいさ」

ルシール「その子のもともとの病は運良く進行することはなかったみたいだね。しかし」

ルシール「その抵抗力の無さから第三段階に移るのも早かったみたいだがね」

水銀燈「いやぁ……めぐぅ……私よぉ…返事してよぉ…」ニコ

ルシール「いくら笑ってあげても、その状態が緩和されることはない」

ルシール「そしてその状態のまま、彼らは生きてゆかなければならないのさ――」

めぐ「す…ぜひ……ぎ……と……ぜひ」

水銀燈「!?め、めぐ!?な、何」

めぐ「   こ  ぜひ   ろ    し  ぜひ  て」





水銀燈「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

105: 2009/02/01(日) 21:31:03.14 ID:miyenumN0
水銀燈「うああ、あ、ああああ………」






ルシール「―――子供たちを、その子を、そうしてしまったのが自動人形の奴らさ」

ルシール「そして、あんたも”人形”さ。だけど、あんたは違う。その子のために泣ける人形だ」

ルシール「だから――もし…あんたが自動人形を…ゾナハ病を許せないと思うなら――――」





ルシール「――――”しろがね”に、ならないかい」

111: 2009/02/01(日) 21:36:35.07 ID:miyenumN0
また4人発症した!頼む!」「畜生!どうすることもできねえのかよお!」


水銀燈「!……ベス……」

水銀燈「……奴らを壊せば…みんなは…?」

ルシール「……治るわけじゃないよ。だけど、奴らの主…フランシーヌ人形なら止められるかもしれない」

ルシール「そして…ゾナハ病の子が増えることもなくなる」

水銀燈「………………………………」

水銀燈「…ふふふふふふ…あはははははははは…」

水銀燈「……うふふ……ふふふふふふふ……待っててねぇ…めぐぅ…みんなぁ」

水銀燈「わたしがぁ…水銀燈がぁ……」



水銀燈「奴らをッ!!ジャンクにしてやるわぁッ!!!」
バッ

113: 2009/02/01(日) 21:39:03.51 ID:miyenumN0
「な、なんだ!?今の黒い子は!?」

ルシール「……さて、私も向かうとするかねぇ」




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~





ジョージ「こ、この私が…攻撃を受ける、だと?」

先生「人間は殴られるのが一番、屈辱だという」

アンゼry「だから、そうしてやったのさ、『しろがね-O』」




ギイ「―ふん、やはりぼくがやるしかないのか。……!」ピンポーン

114: 2009/02/01(日) 21:40:21.02 ID:miyenumN0
『子供達、聞いてくれ。――もう…怖がらなくていい』



『人形はすぐにいなくなる。約束する。だから見ていてくれ…』






『 自 動 人 形 は、 オ レ が 全 部 ぶ ち 壊 す 』

125: 2009/02/01(日) 21:53:20.94 ID:miyenumN0
鳴海「ベスが…ゾナハ病の第三段階だってよ…」

鳴海「みんな…フレッドもメイも、ティモシーもアンジーも…ショーンもみんな…」

ギイ「あれが ゾナハ病 だ。ナルミ。我々『しろがね』は柔らかい石を探し出し、自動人形を倒さねばならない」



鳴海「 『柔らかい石』だと……そんなモンあとまわしだ! 」ギンッ

  自動人形が   ゾナハ病をまき散らす


ギイ「待てナルミ。お前一人では勝てない、ぼくm「必要ないわぁ」!」

水銀燈「私が直々に………奴らを全員……ジャンクにするのだから」

鳴海「……お前」




ジャキキキイイイン

バサァァァッ


131: 2009/02/01(日) 22:00:55.70 ID:miyenumN0

アンry「あっけないねえ、カンタンに入れちゃった」

先生「ああ、アンゼルムス。よく待ったな、お前たち。中の人間の血を吸い放題だよ」

先生「うん、そういえばギイがいたか?」

アンムス「けけけけけ、ジョージとかいう新型があのザマだ!旧型なんて目じゃねえよ」


「人形が入ってきたらみんな…血を吸われちゃうんでしょ…」

「大人には止められないよ~」「てっぽうもきかないんだもの~」

「あたし達…みんな氏んじゃうのね!」

ぜひ     ぜひ       ぜひ




キリキリキリ
ドカアアアアン

134: 2009/02/01(日) 22:10:05.44 ID:miyenumN0
「な、なんだ!?体が…」パキョ

「人間どもの、新兵器か!?」

アン「……いや違う!」


「人間と…人形か!?」

「たった2人かよォ!…な」ドン

ガシャン ボゴォ ゴキ



「どういうことだァ!体がうごかェ…あ」スパァン ブシイイイイイイイイ

「な、なんでお前が俺を……」ズン ベキイ


ブシュウウウウウウウウウウウウウウウウウ



135: 2009/02/01(日) 22:14:25.31 ID:miyenumN0
ドカアアアアン

先生「ふふ……なかなかやるな、人間…新人の『しろがね』だな、おまえ…そして……人形」





鳴海「好きに…呼びな、人形」

鳴海「さびついた…声が出るうちにな!そして」

水銀燈「動くことのない―――ただのジャンクに!してあげるわぁ!」





先生「ほう、これはいい授業になってきたな」

アンムス「ひひひひ、チャイムまで勉強させてくれよな」

138: 2009/02/01(日) 22:21:30.57 ID:miyenumN0
ジョージ「ば、バカな…私より…「しろがね-O」より…」

ジョージ「あいつらは…強いというのか」



ギイ「ナルミと水銀燈………強いな、ルシール」

ルシール「ああ…今の二人、もはや我々「しろがね」を超えた強さだろう。―――だがね…」

ルシール「怒りは、精神を滞らせ、視界を狭くし、―――いずれは負けるのさ」

ルシール「ギイ、準備しておきなさい」

ギイ「時間の問題か?」



鳴海(こいつらが…ゾナハ病をばらまいた…)

水銀燈(めぐから……子供達から…笑いガオを奪った……)

鳴海(家族も………夢も………人生すら………)



鳴海・水銀燈(ゆ る さ ね(な) ぇ(いわぁ) !)

141: 2009/02/01(日) 22:25:43.68 ID:miyenumN0
「我々の攻撃を…よけた!?」

ズドドドドドドド  キュパ


鳴海「土は土に…人形は人形に還せ…」

水銀燈「あんた達は地獄に落ちなさぁい」


バキィ  ボゴォオ






ブシイイイイイイイイイ







143: 2009/02/01(日) 22:28:28.76 ID:miyenumN0
ギイ「2人は、どうやら違ったらしい…」

ギイ「どんなに怒ろうと、身に付いた体さばき、心の置きどころは見失っていない」

ルシール「そうだね…だけどあの強さのかわりに、何かを捨てている」

ギイ「ああ、僕にもわかるよ…2人は、何かを捨てて変身しているのだな」



         自動人形にとっての     悪魔に!





先生「気を打ち込む『しろがね』と、人形を操る人形か」

アンムス「人間の仲間をするできそこないだ!パウルマン、やろうぜやろうぜ!」

150: 2009/02/01(日) 22:33:28.73 ID:miyenumN0
先生「興味深い…キミは実に興味深いよ。―――生徒たちは全員欠席したようだし」

アンムス「パウルマン、やろうぜやろうぜ!」

先生「ああ。そうだな、アンゼルムス」


水銀燈「―――次は、お前らねぇ!」ブワッ

鳴海「水銀燈、気をつけろォ!」

ガキィィン

水銀燈「―――っ!私の剣が…!」

アンry「けひひひ!バーーカ!」

ズキュ

水銀燈「っ……!」

先生「手応えがない…?ふんっ」ベキッ ドシャアアア

153: 2009/02/01(日) 22:35:09.40 ID:miyenumN0
鳴海「水銀燈!」

ギイ「ナルミ、来るぞ!」

ガキイイイイイン

鳴海「く……」

アンry「ムダさ!俺の歯ははダイヤと同じ硬さなのよ。だからおまえは……」

アンry「おしめえなのさ!」ビキィッ ブシャアアアア


ギイ「ナルミ、水銀燈!」

ルシール「ギイ、行くよ!」



アンry「ハイ、授業おw「な…に、言ってんだよ」

鳴海「子供たちに……約束たんだ…お前らを、叩き…潰すって」

鳴海「そして誓ったんだ…そのために鬼にも…悪魔にもなってやるってな。だから――――」


鳴海「 悪魔が、ここでくたばるわけにゃ、いかねえんだよ!!!! 」

155: 2009/02/01(日) 22:37:56.30 ID:miyenumN0
水銀燈「ぐうっ…操れないっていうのぉ…」

先生「お前は人形のくせに、人形を壊すのか。まったくもって不良品だな」ガシイィ

水銀燈「ふん…!ローゼンメイデンである私が、あなた達に、劣っているはずがないわぁ…!」

先生「ローゼン…?聞いたことがあるな。どこかの錬金術師が、我々のような自動人形を作ろうとしたらしいが…落第点だな」

水銀燈「な―――!?」

先生「球体関節…非力な能力…旧型にもほどがある。いや…旧型にしてはよくがんばったな」

水銀燈「お、まえ――――!」

先生「おまけに、腹には穴が空いてるようだ。―――”ジャンク”はお前のほうだったな」

水銀燈「…………………………あは、あはははは――――」ギンッ

先生「!?か、体が…」

158: 2009/02/01(日) 22:42:40.82 ID:miyenumN0
アンry「恐怖と絶望でおかしくなっちっまったな!素直に泣き叫べば、カワイ気があるのによォ」パキパキ キュドン

鳴海「……」コオオオオオオオオオオ

アンry「よくかわしたなァ!けどよ、そんだけ体液だせば、動けないはずだろよォ!?」ギュアッ



先生「な、なぜだ…なぜいきなり…!?」

水銀燈「私を、わざわざ怒らせるなんてぇ…ホントぉに、おばかさぁん」

水銀燈「こぉんなに、あなたより強いのに…私がジャンクのはずないわよねぇ」

水銀燈「でもね、わかるぅ?私の翼が治っていくの。ゾナハ病のマスターから生命力をもらってるのよぉ…?」

水銀燈「あんなに苦しそうだっためぐから…生命力をねぇ…」

水銀燈「許せないのよぉ…自動人形を…そしてこんな私自身を…!」

水銀燈「だから…この悔しさ……今はあなたにすべてぶつけてあげるわぁ…そして」


水銀燈「 あなたは一片残さず!ジャンクになりなさぁい!! 」

159: 2009/02/01(日) 22:44:46.97 ID:miyenumN0
アンry「な、なんだァ!?どうして先生が俺に突っ込んでくるんだァ!?」ガシィィィン

先生「あの”不良品”、私の体を操った…!アンゼルムス!」

ドゴォォォォォォォォ
アンry「ブゲェェェ!」ドシャァァァァ

鳴海「お前ら、オレに人間らしさを期待してるのか?残念だなァ――オレは人間じゃねえ!」シュウウウウウウ

先生「そうかね、ナルミ」ドキコ

鳴海「!!…おまえは、油断させて、相手を封じる役か…あざといな…」

先生「堅実と言ってくれたまえ。アンゼルムス!まずは、頭のない『しろがね』が生きていられるか実験だ!」

アンry「わかったぜ先生!――あばよォ、『しろがね』え!!」ガシャアァァ

鳴海「……」ニヤリ   ブワァ ガチン

キュア



162: 2009/02/01(日) 22:54:46.94 ID:miyenumN0
アンry「折れた剣を…口に…そ、そんなの…ありかよ…」プシッ

鳴海「ありさ…」ビュッ

アンry「ひぎゃぁああ」ドキャァァァ



先生「よ、よくもアンゼルムスを!こうなったら、距離をとって……!?体が……こ、この羽は!」

水銀燈「私を忘れたのぉ?失礼な木偶人形…」

先生「き、貴様あああぐええ」ドゴオオオオオオ

鳴海「……」

先生「ぐええ…なんだこいつらは…こんな…自分を痛めるような戦い方…」

水銀燈「……たった少しだったけれど、私達はあの子達と遊んだ」

鳴海「だけど、太陽の光で満ちていたはずの、あの子達の大切な時間を奪われたとき…オレ達は何もしてやれなかった」

水銀燈「何もできなかった…何もできずにただ、見ているだけだった!」

鳴海「だからせめて!子供達の痛みの。何百分の一かだけでも味わってやらねえと…」


鳴海「オレがなんなのかも…わからねえんだよォ!!」

163: 2009/02/01(日) 22:59:04.73 ID:miyenumN0

先生「わからない…おまえらの言っていることは何ひとつわからない…」

先生「だけど…なんだ?この体を震わせる…おまえらから早く去るべきだと感じるのは…」

先生「きょ、恐怖…そうか、これが人間の持つ恐怖の感情…」


先生「ならわかるぞ。人間は…あれを恐怖するのだったな…」



先生「あ…悪魔…」






鳴海・水銀燈「正解だ(よぉ)、先生」バキイイイ スパン




ドパン

167: 2009/02/01(日) 23:02:17.01 ID:miyenumN0
アンry「お……まえ…ら…」

アンry「なん、なんだ…?おまえら…化け物みてえに強い…」

アンry「おまえらもオレ達と同じなんじゃねえ?」

鳴海「てめえらと一緒にするんじゃねえ」

アンry「そうかよ…でもまわり…みな」

鳴海「へへ…自動人形はみんな、やっつけてやったからよ」

「………………」ズサア

水銀燈「あ………」

アンry「どうだ…?おまえらが笑わせたかった奴らは…笑ってるのか?」

水銀燈「……」

アンry「とっておきを見せてやるぜ…」

169: 2009/02/01(日) 23:06:28.69 ID:miyenumN0

アンry『私たちは下手くそな<道化>。名は『悪魔』と申します』
鳴海(腹話術!?)

アンry『お坊ちゃん、お嬢ちゃん、私たちを見てください』

アンry『みなさんの気をひくことは、なんでもやってさしあげましょう』

アンry『自動人形の破壊!なるべくこっけいにやりましょう。』

アンry『楽しく陽気に、なぜなら私は<道化>、名は『悪魔』』

アンry『ただし注意をば一つ。下手くそな<道化>は下手くそな<道化>。』

アンry『私たちを見て、笑うことはないでしょう』



パキョ

ドシャ

170: 2009/02/01(日) 23:08:55.45 ID:miyenumN0
鳴海「みんなを…怖がらせちまったな…水銀燈よォ…」

「あれが…ナルミ…なのか?」「ナルミ…こわいよう…」





水銀燈「―――そう、ね」

水銀燈「みんな…怖がってるわねぇ…」

「な、なんだあの子は…人形なのか…」「あの子も…自動人形…?」
「スイギントーも…僕らを…食べちゃうの…」




水銀燈「……おかしいわぁ。私、天使って呼ばれたはなのにねぇ…」

バサァ

171: 2009/02/01(日) 23:10:59.26 ID:miyenumN0


バンハート「!?と、飛んだ…」

鳴海「水銀燈!」

水銀燈「……頼みがあるわぁ」ズイッ

バンハート「な、なんだ…」

水銀燈「…めぐを…子供達を…早く…治してあげて…お願いよぉ」バサァァッ




バサァッ  バサァッ バサァッ
水銀燈「……ひぐっ…えぐぅ……ぐすっ」

173: 2009/02/01(日) 23:18:38.92 ID:miyenumN0
鳴海「ルシール…アレを貸してくれねえか…」

ルシール「―――かぶるのかい?」

鳴海「これからも子供達が…オレを怖がっちゃ…いけねえからよ…」




鳴海「バンハート先生……あなた方が俺たちを憎んでも構わねえ…けどよ、俺からも頼むぜ…」

鳴海「あなた方がその体をボロボロにしても、ゾナハ病の研究を続けるように」

鳴海「オレ達も必ず真夜中のサーカスを追い詰める」

鳴海「子供達に嫌われても…あなた方に疎まれてもいいんだ…けどよォ」

鳴海「もう…ベスみてえな子は、見たくねえからよう」

鳴海「お願いだ…ゾナハ病の薬を、一日も早く…見つけてくれ…」

174: 2009/02/01(日) 23:20:48.92 ID:miyenumN0
翌日


水銀燈(…………)

水銀燈(私はやっぱり人形……なのに)

水銀燈(どうして私は……こんなにも…悲しいのよぉ)

水銀燈(めぐぅ……)

鳴海「…―――オイ!」

水銀燈「!」

鳴海「こんなとこに居やがったのか…探したぜ」

水銀燈「な、なによぉ!探してた、って…もうあなた達とは関係ないじゃなぁい!」

鳴海「いや、関係あるね。…お前は、みんなを、めぐを治してやりんだろうが」

水銀燈「そうよぉ!!でも、無理よぉ!私は人形なのよぉ!私を見てあの子達は怖がるだけ――」

鳴海「違うね」

178: 2009/02/01(日) 23:28:36.41 ID:miyenumN0
鳴海「お前はただの人形なんかじゃねえ。あの子達のために戦い、傷つき、涙を流す『水銀燈』なんだよ」

鳴海「お前と遊んだ子供たちは、皆おまえを怖がっていたか?」

鳴海「おまえは違うんだ。みんなが笑顔になれる、優しい人形、水銀燈なんだよ」

鳴海「ほらよ」ポム

水銀燈「こ…これ…ベスの…」

鳴海「―――第三段階に移る前に、渡してくれって頼まれたんだよ。優しくしてくれたからってな…」

水銀燈「ナル、ミィ………!」ギュウ  ポウ

ポムポム

水銀燈「!…ハリー…私を慰めてくれてるの…?」

水銀燈「…ナルミ。私戦うわぁ」

水銀燈「私自身がたとえジャンクになっても…」

水銀燈「誓うわぁ…めぐのためにも、みんなのためにも、自分のためにも…!」

水銀燈「私は…自動人形の奴らを……全員ジャンクにしてやるわぁ!

179: 2009/02/01(日) 23:30:29.90 ID:miyenumN0



ギイ「やれやれ。確かに、彼女は真夜中のサーカスの奴らとは違うみたいだが……自動人形が僕らの仲間になるとはな」

ギイ「なんだか不思議だとは思わないか?ルシール」

ルシール「いや、違うね、ギイ。彼女はもう、自動人形なんてものじゃない」




ルシール「――――瞳の赤い、新しい『しろがね』さ」

186: 2009/02/01(日) 23:37:30.43 ID:miyenumN0
さて、とりあえずこの物語は幕を閉じます。

長きにわたる自動人形としろがねの戦い。これに決着をつけるのは、

「しろがね」らしくない「しろがね」か、

はたまた「人形」の「しろがね」か。


そして、ローゼンメイデンという歯車は、さらにどのような物語を動かすのか。

その行方はまだ誰にもわかりません。



期待に夢を膨らませ、いつかの物語の始まりを待ちましょう。


これにて、幕引きにござい―――!

190: 2009/02/01(日) 23:38:55.23 ID:miyenumN0
なんじゃあ これはーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!???









というENDでしたね すいませんw

191: 2009/02/01(日) 23:39:00.91 ID:PMPHyzPLO
乙!面白かったわ

198: 2009/02/01(日) 23:41:30.15 ID:vG7xO+cf0
乙、すげえ完成度だった

引用: 水銀燈「ゾナハ病……?」めぐ「ええ」