383: 2015/04/03(金) 22:39:05.51 ID:S8wgXG61o

大泉洋「私立希望ヶ峰学園?ドッキリじゃないの?」【前編】
大泉洋「私立希望ヶ峰学園?ドッキリじゃないの?」【中編】
大泉洋「私立希望ヶ峰学園?ドッキリじゃないの?」【後編】
葉隠「一度は行きたい希望ヶ峰学園」大泉洋「ダメ人間っ!」【前編】
葉隠「一度は行きたい希望ヶ峰学園」大泉洋「ダメ人間っ!」【中編】

江ノ島「くそくそくそくそくそっ!動け動け動けえええええ!!」ぽちぽち

戦刃「……盾子ちゃん……もう」

江ノ島「だあってろ残姉ェェェ!!」

がしゃんっ!

十神「!」

セレス「コントローラーが!」

舞園「と、取ります!」

江ノ島「……かくなる上はこんなもの使わなくたってかまわない……アンタは!ここで頃す!そうでもしないと!」

江ノ島「私の!アタシの!わたしの!私達の!一番の絶望が消えてしまう!!」

江ノ島「だから氏ね、戦刃むくろ!残姉!おねぇちゃん!」

大神「そうはさせんっ!」

大和田「だな!テメェはここで終わり……」

すっ

大神「霧切!なぜ止める!?」

霧切「……大丈夫。もう大丈夫」

十神「何?」

霧切「……大丈夫だから」

江ノ島「シャラポワァァァァ!!」




モノクマ「……ガ、ガガ……あ、」


江ノ島「……?!」


モノクマ「……イズ……く……やめ……」


江ノ島「……あ?」


モノクマ「……」


モノクマ「…………」


モノクマ「………………………………」


江ノ島「なんだってのよぉ!」
『水曜どうでしょう』スペシャルブック 2013-2023 特別編集版 (角川書店単行本)
384: 2015/04/03(金) 22:39:31.71 ID:S8wgXG61o
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どうも 絶望の皆さん





ーーーーーーーーーーーーーーー

385: 2015/04/03(金) 22:40:13.21 ID:S8wgXG61o


江ノ島「!?」

十神「!!?」

霧切「……間に合ったみたいね」

『……システム……停止……』

江ノ島「!」

朝日奈「い、今の声って……」

桑田「ああ、間違いねーけど……」

不二咲「……なにが、どうなってるのぉ……?」


386: 2015/04/03(金) 22:40:39.81 ID:S8wgXG61o
ーーーーーーーーーーーーーーー





どうも 絶望の皆さん
知ってるでしょう?





ーーーーーーーーーーーーーーー

387: 2015/04/03(金) 22:41:49.95 ID:S8wgXG61o

セレス「今までどこで何してたんですの!?」

桑田「つか、マジに全く状況掴めてないんすけど!?」

腐川「ぶぇくしっ」

大和田「なんかわかんねぇぞ、霧切!なにが大丈夫なんだ!?」

霧切「……氏人は出ない、けど、氏に近い人はひとりいるかも……」

朝日奈「それってある意味ダメじゃない!?」

石丸「貴方は今どこにいるんですか!?」


388: 2015/04/03(金) 22:42:17.65 ID:S8wgXG61o
ーーーーーーーーーーーーーーー






どうも 絶望の皆さん
知ってるでしょう?
大泉洋で





ーーーーーーーーーーーーーーー

389: 2015/04/03(金) 22:43:43.55 ID:S8wgXG61o

江ノ島「まさか……まさかとは思うけど、アタシのしらないところで」

苗木「監視カメラの映像は……江ノ島さんすら見られなかった」

葉隠「はは、当然だろ……あんなちっちぇー画面で何が出来んだって」

霧切「甘く見てたわね、江ノ島さん」

江ノ島「こんな風にしろなんて……アタシは言ってない……!」

江ノ島「こんな風にめちゃくちゃにしろなんて!」

江ノ島「何の味付けもしてない料理の方が旨いような調理しろなんて言って言ってねぇんだよぉぉぉぉぉ!!」


390: 2015/04/03(金) 22:44:10.00 ID:S8wgXG61o
ーーーーーーーーーーーーーーー






どうも 絶望の皆さん
知ってるでしょう?
大泉洋で
ございます






ーーーーーーーーーーーーーーー

391: 2015/04/03(金) 22:45:35.33 ID:S8wgXG61o


「―――おい」


大和田「あ……?」

石丸「そんなところに!」

舞園「よかった……」

ジェノ「なにこれ?大団円?」

桑田「つか、これマジどういう事?」

戦刃「分かんないけど……」



江ノ島「……!!」









大泉「パイ食わねぇか」









苗木(そして、その瞬間……地下にあったモニターの全てに、大泉洋が大写しになったのだった)

392: 2015/04/03(金) 22:46:02.57 ID:S8wgXG61o
ーーーーーーーーーーーーーーー





Chapter6

どうも 絶望の皆さん
知ってるでしょう?
大泉洋で
ございます
おい パイ食わねえか


非日常編





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401: 2015/04/29(水) 13:28:06.66 ID:hYwC2CuMO
(地下の会場、大写しのモニターには不敵な笑みの大泉が映っている。光がないのか、なんだか画が暗い)

江ノ島「なん、で………!?」

大泉『待たせて悪かったねぇ、子猫ちゃん?』

霧切「……待ちましたよ、大泉さん」

苗木「ええっ、と……?」

大泉『さて、どっから説明してやろうか……』

大泉『……とその前に、みんなにひとり紹介したい人がいるんだわ』

石丸「ん?僕達に?」

ジェノ「なになに?何の話これ今」

舞園「………私もよく分かりません」

大泉『はいこの方』

(大泉がハンディカムのようなものを持ち上げた)

(よく見ればその場所はメカメカしい……カメラやらマイクやらが備わり、多くのボタンが目の前に置いてある)

(画面がそのままくるっと反転して)

男性『』

(黒髪の男性が何か食べながら床にうなだれている)

霧切「鈴井さん!!?」

大泉『はいこれうちの会長です』

「「「「!!?」」」」

桑田「は?は?はあ?」

大泉『いやー、モノクマ操作してたのはうちの会長でした』


◆Tips…【鈴井貴之】
言わずと知れた【クリエイティブ オフィスキュー】の代表取締役社長、現在は会長。
北海道で強烈な人気を誇った伝説の演劇グループ【OOPARTS(オーパーツ)】の主宰であり、映画監督でもあり、(音痴すぎる)歌手でもある。
その様はかつて本人が【ハイパーメディアクリエイター】と名乗っていた事があるほど(とある番組の企画での肩書き。実際に名乗ったわけではない)。
【生涯現役】を掲げ、下の人間には全くその座を譲るつもりがない事が分かる。実際、ナックスと共演すると誰よりも笑いを取りに行く。
多くの番組の企画構成にも参加しており、【水曜どうでしょう】の企画もまた彼である。そして自分で企画したロケで誰よりも苦しむ。
安田顕に対して「僕によく似ている」と語った事がある。安田もまた鈴井を尊敬しており、師弟関係が成立している。
その一方でオクラホマ・藤尾とは【友人の関係】らしい。色々と一線越えすぎである。まぁドラマ撮影時に、ディープキスの手ほどきした間柄だから、多少はね?
ちなみに事実かどうかは不明だが、【水どう】内では「僕はバイですよ」と発言した事がある。大泉のケツが心配されているが、特に問題はなさそうで何よりである。

402: 2015/04/29(水) 13:28:55.03 ID:hYwC2CuMO
鈴井『不味いよぉ大泉くぅん………』しくしく

大泉『あんたは黙ってそこで食べてなさいよ、絶望したかったんでしょ!勝手に食って勝手に絶望してなさいよ!!』

鈴井『もういいってこれ……ほんとに不味いから……』しくしくげふげふ

大泉『ミスター!あんたにはほとほと困らされましたよ、我々は!』



(大泉「子猫ちゃんにも困っちゃうねぇ……全部話せばいいのに」)

(大泉「………?」)

(大泉「……あ?なんだこれ」)



大泉『朝子猫ちゃんから、カメラが動いていない事を知らされた俺は、黒幕とっつかまえるための準備をしてたんだ』

大泉『パイを作ってねぇ、おみまいしてやろうと!』

石丸「なぜそうなるんです!?」

霧切「シェフ大泉だからよ」

山田「↑結論!?」

十神「こいつがおかしい事は今更言う必要も無いだろう」

大泉『おかしいって言われちゃ心外だねぇ』

苗木「それで……」

大泉『……ああ。厨房で僕ぁ、自分のポケットにカードキーがあるのを知った。江ノ島さんに……本物の江ノ島さんにハメられたんだ』

大泉『前日の夜、俺の部屋には江ノ島さんが来ていた。その時に恐らくポケットに、俺が気付かない間に入れられたものだろうな』

大神「しかし勘のいい、などと言われるお主が違和感に気付かない事はあり得るのか?」

大泉『色々あってね……心身共に喪失状態で寝たもんだからさっぱり気付かんかったよ』

大泉『で、厨房だ。違和感がしたからポケットまさぐったらカードキーだろ?意味もなく僕にこんなもの託すか?僕ぁ考えたよ』

大泉『そこで気付いた。ひょっとしてカメラが動いてないのは……これを仕掛けるためだったのではないかと』

葉隠「つまりどういう事だべ?」

大神「我らを出し抜き、モノクマをも出し抜き、戦刃を頃すつもりだったと?」

403: 2015/04/29(水) 13:29:45.96 ID:hYwC2CuMO
大泉『ま、そうなるね。カードがここにあるんだ、モノクマが気付いてんならその時点で勝敗が決した事をアナウンスすべき』

苗木「でもアナウンスはなく、戦刃さんも見つからず、モノクマも来なかった……」

霧切「江ノ島さんは、モノクマをも頃すつもりだった。監視能力のない、まして校則に従っていない黒幕を生かしておく理由はないもの」

大泉『カードキーは、このモノクマ操作室に入るための物だったよ。……こいつが本当に最後の勝負になる予定だったみたいだね』

石丸「で、では、アルターエゴは」

大泉『まあまあ、そこは追々説明するさ』

霧切「江ノ島さん。白状するわね?」

江ノ島「……」

十神「お前のやろうとしていた事は全て破綻した。もう言い逃れも、新しいゲームもない。どうする?」

江ノ島「……あ、」

十神「なに?」

江ノ島「この状況に飽きました。」

舞園「あ、飽きた?って、そんな……」

江ノ島「………はー、仕方ねーか……こうなったらネタばらしするしかねーし」

不二咲「え?な、なにぃ?ネタばらし?」








江ノ島「そう、黒幕は初めから2人いたのよ」



404: 2015/04/29(水) 13:30:24.14 ID:hYwC2CuMO
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回想・入学式より遙か前




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学園長「霧切仁です」名刺すっ

鈴井「これはどうもすいません……鈴井です」

学園長「まさか引き受けていただけるとは思っていませんでした……学園の宣伝ですし、てっきり断られるものかと」

鈴井「まさか!うちのタレントを使って頂けるだけでありがたいですよ。うちのはみんな仕事大好きですから」

学園長「は、はぁ……」

鈴井「それに実際、入学を考えてる学生さんとか、頑張ってる学生さんの応援もしたかったと言いますか……」

学園長「しかし、今回オファーするのはご多忙な大泉さんですし」

鈴井「ああ、それも安心してください」

学園長「………と、言いますと」

鈴井「いや、ほら、最近は物騒じゃあないですか?色々と。ここ数年に比べて、謎の暴徒が発生したり」

学園長「まあ確かに……」

鈴井「僕もロケを中止しなければならない事態が度々発生してます。アレがなんなのか、誰も分からないみたいですけどね」

鈴井「でももしアレがヒドくなったら……もしかすると移動出来なくなる可能性もある、大泉が怪我する可能性だってある」

鈴井「なので出来れば、大泉を共同生活させたいんです」

学園長「それは……体験入学と言う事ですか」

鈴井「一年間の体験入学。生活を学生と共にする……そのくらいやらせないと、大泉にはドキュメンタリーは撮れませんよ」

鈴井「って、すいません……そんな事可能ですか?」

学園長「勿論!と言うより、学生が喜びます!いいんですか、そんな事を?」

鈴井「スケジュールは切ろうと思えばいくらでも切れます。それにここは交通の便もいい」

鈴井「大泉にも言って聞かせますし、あいつも中身は学生みたいなもんですから」

学園長「ああ、ありがとうございます……」




405: 2015/04/29(水) 13:31:12.39 ID:hYwC2CuMO
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現在




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江ノ島「最初は本当に、本当に純粋に大泉……アンタの身を案じて、あの会長さんはここにアンタを入れた……」

大泉『え?そうなんですか?』

鈴井『当たり前でしょ……自分とこのタレント心配しない取締役なんていないでしょ……』ぐったり

山田「なんか氏にかけてるーーー?!」

霧切「会長、貴方が食べているモノは……その、何ですか?」

大泉『ん?パイ』

セレス「パイ……ですか」

大泉『僕の得意の、タイのパイ包みだね。中身はちょっとアレだけど』

葉隠「んな不味そうなパイがあるわけねぇべ!」

舞園「確かに……焦げてますし……」

山田「にもかかわらず中身半生ってDo you court on?!」

大泉『るせぇなぁ!おみまいするぞ!』

葉隠「」

江ノ島「すべてが変わったのは、1年前。そうでしょ、ミスター?」

鈴井『………ああ、そうだね』

朝日奈「1年前?なんかあったっけ?」

ジェノ「もしかしてあれ、かしらァ」

十神「何だ、言ってみろ」

ジェノ「【人類至上最大最悪の絶望的事件】」

石丸「それは確か、アルターエゴが言っていたな。だが」

大泉『待てよ、今から1年前?そんな事件微塵も覚えて………』

江ノ島「そらそうよ」

鈴井『君達の記憶は消されたんだからさ』

大泉『………は?』

鈴井『ごめんね大泉君』





鈴井『君達の共同生活は、これで3年目なんだ』




大泉(一瞬、意味が分からなかった)


406: 2015/04/29(水) 13:31:45.92 ID:hYwC2CuMO
十神「なにを……言っている?」

山田「ええと……事件が起きたのは1年前なのですよね?」

大和田「なのにオレらは3年も一緒にいる?どう言う事だぁ?」

不二咲「じ、じゃあみんなは……ずっと一緒に勉強してきたクラスメイトにもうなってたの?」

霧切「3年目……つまり、もうすでに2年間共に勉強している……と言う事になるわ」

十神「バカな……そんなはずはない!こいつらとはほんの短いつきあいだ!」

朝日奈「そ、そうだよね?私達が一緒に過ごすのが、3年目?そんなはず……」

鈴井『ない、とは言い切れないよね?君達は覚えがあるはずだよ』

大泉『………あんた、ほんと何言ってんだ?』

鈴井『おかしいと思わなかったの?』

霧切「学園に入った途端、意識を失い……」

苗木「気付いたら教室で寝てた!あれの事!?」

鈴井『そう。あれは君達の記憶の接合点が、学園の門を潜ったところと……』

江ノ島「あたし達によって記憶消去の処置が終わり、全てを忘れ眠っているところだったから」

鈴井『君達は眠っているだけだと思っただろうけど』

石丸「その間に……目が覚める間に2年も経過していた……?」

舞園「おとぎ話やファンタジーじゃあるまいですし……まさか……」

鈴井『……それが、事実なんだ』

407: 2015/04/29(水) 13:32:12.04 ID:hYwC2CuMO
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回想・学園 校門前







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408: 2015/04/29(水) 13:32:42.39 ID:hYwC2CuMO
大泉「今日あれなんですよね、入学式なんですよね?」

(カメラが頷く)

大泉「だってねぇ、僕も事前にね?今年の入学生がどんな人なのかっつって資料もらってさぁ…」

大泉「俺入学すんじゃないのにちょっと緊張してたっつうの」

大泉「うちの娘もおっきくなったら、こんなとこに入学すんのかねぇ」

大泉「………」

大泉「あ、やべ、泣きそ」

「大泉さん、早く中に入ってください」

大泉「うるせぇなぁ!!人がコメント考えて喋ったっつうのに!!」

大泉「…とりあえず行きましょうか」すたすた

大泉「いやぁ、なまらすげぇ!もう門からしてデカ―――」






―――~~~~~~~~~~~~~~―――






大泉「―――い!」


すたすた

大泉「びっくりするねぇ……こんなん見た事ないもの。凱旋門くらいかい?こんなデカい門ったら」

「会場はこっちです」

大泉「はいはい、行きますよぉ……待ってなさいよ、学生諸君……」すたすた

409: 2015/04/29(水) 13:33:16.43 ID:hYwC2CuMO


がらららっ!




大泉「やあやあやあ、新入生諸君!」

大泉「いやあ突然で悪いねぇ、けど僕も混ぜちゃくれないかい?大事な発表があるんだよ」

大泉「僕は大泉洋!北海道の大スターって呼んでもらって構わないです!」

大泉「君ら風に言うなら【超高校級の料理人】とでも名乗っちゃおうかな?」

大泉「とにかーく!僕ぁなんか君らと共同生活する事になったらしいからよろしく!」


苗木「………え?お、大泉洋!?」

霧切「本物!?そんなバカな」

江ノ島(―――!?)

学園長「本物さ。これから君達と共に生活をしてもらう事になる」

葉隠「マジか……専務がよかったべ」

大泉「はぁい、これから僕のパチモンである上杉の方がいいって言った人は次々におみまいしていきまーす」

葉隠「」!?


※注
ウエスギはパチモンではありません。【第二の大泉洋】とは呼ばれていますが。
そんなウエスギのバラエティ【ブギウギ専務】はこの春、実に2年ぶりのレギュラー放送を再開しました。おめでとう。
ついでに言うと、ウエスギ銀幕デビューも果たしました。バナナマン日村勇紀主演の【新撰組オブザデッド】に出演。おめでとう。


戦刃「じ、盾子ちゃん………」

江ノ島(落ち着け……落ち着いて素数を数えろ……どうしてこうなった……)

大和田「………ケッ、タレントかよ」

大泉「タレントって呼ばない、マルチタレントね!マルチ!そこ大事!それ魅力!ってぇか俳優ね!舞台俳優!チームナックス!!」

十神「黙れ、ただの愚民が」

大泉「愚民じゃないでしょ、北海道の大スター!ご存じ!大泉洋でしょう?ほら、年上には敬意を払いなさいよ、ちゃんとねぇ?大泉さんと呼びなs」

朝日奈「大泉!」

大泉「」カチッ

410: 2015/04/29(水) 13:33:58.30 ID:hYwC2CuMO
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現在





ーーーーーーーーーーーーーーー





大泉『そんな、バカな……話が……』

鈴井『それがあるんだ、大泉君』

大泉『……』

鈴井『最初の一年間は、君達は普通に過ごした』






ーーーーーーーーーーーーーーー




回想・入学式後の夜




ーーーーーーーーーーーーーーー

411: 2015/04/29(水) 13:34:30.69 ID:hYwC2CuMO
大泉「何で僕が君らと同じここに泊まらなきゃなんねぇんだい?おい」

苗木「まあまあ……」

舞園「事務所公認なら仕方がありませんよ、大泉さん」

大泉「かもしれないけどねぇ?」

舞園「私も一緒ですから、ね?」

大泉「……はぁー……」

石丸「溜息を吐くと幸運が逃げると言うのは本当だろうか?」

十神「迷信だ、とも言い切れんな。溜息を吐く人間のイメージはあまりよくない。陰気な印象を与えるからな」

腐川「そ、そうなの……?」

十神「……」

桑田「っつかさ、そんならみんなでわーっと笑えるような事しねー?枕投げとか!」

朝日奈「あ、いいね枕投げ!」

石丸「良い子はもう寝る時間だぞ!」

十神「くだらん、俺は帰るぞ」

葉隠「むっ!?十神っちは明日の早朝、悪夢で目覚めると出たべ!」

大神「なんだそれは……」

大泉「おいそこのもじゃもじゃ!俺とキャラ被ってんだよ!パーマキャラ被ってんじゃねえっつーの!!」

葉隠「うっせぇな!コレは地毛なんだよ!」

大泉「地毛でそんなんなるわけねーべや!」

石丸「むっ?大泉さんの髪型も随分ですが」

霧切「彼のは天然パーマにパーマをかけているそうよ……」

苗木「いつの間に調べたの!?」

江ノ島「あ、アタシはちょっと具合悪いから寝るわ……」よろよろ

戦刃「盾子ちゃん?」

江ノ島(なぜだ……どうして?どうして私様が知らなかった?分からなかった?なぜ?)

桑田「えー?江ノ島ちゃん来ねーの?んだよ……」

舞園「調子が悪いみたいですし、初日から無理したら大変ですよ」

葉隠「ま、そうだけどよ。若い子とわいわい出来るタイミングってのもなかなかねーから新鮮だべ!」

大泉「おめぇも充分若いからな」

セレス「くだらないですわね」

桑田「んな事言わずにいいから枕投げだ!枕投げ!」

朝日奈「うんうん、ほらセレスちゃんもやろうよ!」

セレス「私はそんな下品な遊びはしませんの!」

朝日奈「そう言わずさ!ね!」

石丸「僕は就寝する、君達もバカな真似は止めて寝るんだ!」

十神「俺も部屋に戻るぞ」

桑田「けっ、なんだよ十神の潔癖症!金髪!あと……黒!」

戦刃「色って悪口なの?」

苗木「それは違うよ!?」

412: 2015/04/29(水) 13:35:13.12 ID:hYwC2CuMO
ーーーーーーーーーーーーーーー




現在




ーーーーーーーーーーーーーーー


江ノ島「そう、学生生活の最初の1年。それは……すっごく平和でとても楽しくてムカつくほど希望に溢れた生活でした」

江ノ島「ですが、その後に起きてしまうのです」

石丸「そ、それが先程からあがっている」

鈴井『【人類史上最大最悪の絶望的事件】、なんだよ』

大泉『………!?』

江ノ島「そゆこと」

苗木「……それは……一体どんな」

江ノ島「どんな事件か?まあそうねー、テロにテロがテロって繰り返すこのテ口リズムって感じよ」

鈴井『簡単に言えば全世界で同時に崩壊が一気に加速したんだ。今までよりも、目立って、わかりやすく……』

戦刃「それまで表面上に出ていなかった絶望が、今までみんな見て見ぬ振りしてた恐怖が全面に現れたの」

江ノ島「もちろん希望ヶ峰学園も半壊、生徒もほぼ氏亡……そしてアンタらはその事件の戦火を逃れるために、学園長が主体になりある計画を実行した」

不二咲「まさか、アルちゃんが言ってた事?」

山田「ああ、確か半永久的に、学園で……生活…………え?」

ジェノ「……アタシはその時表立って出てないからよく知らないわよ。でも、それならなるほどねェ」

桑田「えーと、待て待て?んじゃこうなるわけか?オレらはそのナントカ事件に巻き込まれないために」

大泉『俺達自らで……自分達で学園をシェルター化した?!』

苗木「え……?」

大神「なるほど……それなら、内側から鉄板が付けられている事も納得が出来る」

舞園「じゃあ、閉じ込められたんじゃなくて!」

十神「閉じこもっていた……のか!」

413: 2015/04/29(水) 13:36:15.22 ID:hYwC2CuMO
鈴井『記憶を奪われた君達は、それを作り上げた事を忘れていた』

江ノ島「だからこそ誰かに捕まった、閉じこめられたと思っちゃったんですよねぇ……」

江ノ島「つまりこうです」



みんなで仲良く入学

ーーーーーーーーーーーーーーー
幸せで平和な学園生活の1年

1年後、人類史上(ry が勃発

学園長「こーれはあかん」
希望ヶ峰旧校舎を改造してシェルター化
高校生(とついでに大泉)を保護する計画実行
本人同意あり

シェルターと化した学園生活の1年

同じクラスメイトのと生活、3年目突入
私様達、期を見て作戦実行
全員の記憶を喪失させる
ーーーーーーーーーーーーーーー

コロシアイ学園生活開幕(3年目の学園生活)



葉隠「なーるほど!つまり俺達全員、仲良く揃って【2年分の記憶喪失】ねー!そんなら納得………」



葉隠「 す る わ け ね ー だ ろ ! ! 」



鈴井『まあ、そうだろうと思うよ』

霧切「でも、それなら色んな事に説明が付くのよ」

大和田「ちっと待てや霧切、色んな事っつーのは何だ?」

霧切「そうね、色々上げて見たらいいんじゃないかしら?」

十神「5階の異質な部屋」

苗木「ボクが見た謎の写真……」

朝日奈「こ、黒板に書いてあったイラスト?」

石丸「扉をばーん……」

朝日奈「いやそれは関係ないと思うけど……」

苗木(朝日奈さんのはどうなんだろ)

大神「だが、2年も経てば体も変わる。我等が誰一人とて、肉体の変化に気が付かない訳が……」

鈴井『そこね、不思議に思ったでしょ?』

414: 2015/04/29(水) 13:36:51.38 ID:hYwC2CuMO
江ノ島「アンタ達の記憶は、うっすらと―――少しだけ、自分でも認識出来ないレベルで残ってたの」

桑田「ちょっと何言ってんのかわかんねんだけど……」

江ノ島「つまり!自分の体の変化が分からないようにしてあったって事!」

鈴井『あたかも最初から、自分の肉体がこうであったかのように思いこませてきたって事だよ』

葉隠「で、でもよ!んな事、実際に可能なんか?俺はオカルトは信じねーぞ!」

鈴井『信じないなら信じないで結構。だけど証拠ならある―――寄宿舎の2階にね』

苗木「寄宿舎の……2階?」

大泉『鍵かかってたとこじゃねぇか』

鈴井『そこに痕跡が残っているはずだよ、壊れてなければね』

霧切「………私達が、共に過ごしてきた時間の証拠、と言う事?」

鈴井『そうなるね。みんなでいろいろやったんだよ』

鈴井『たまに大泉の友達も来てくれてね、楽しかったなぁ』

大泉『あのおっさん達の事言ってる?それ友達って言ってる?いや友達だけどさ』

鈴井『……もっとも、この2年で君達の身長体重はさほど変わりないけどさ』

苗木「!!」がーんっ

大泉『苗木少年の未来潰すなよミスター!!』

戦刃「………だ、大丈夫だよ、苗木君はそのままが一番」

江ノ島「黙れや残姉」ぺちーん

不二咲「そ、そうなんだぁ……」しゅん

江ノ島「体重管理については、主に石丸……アンタとこの残姉がやってたからね。学生たるもの、運動不足はいけないぞ!とか言いながら、ギャハハ!」

石丸「なんだと!?では僕は、気付かないうちにこの事象の手伝いをしていたのか!」

江ノ島「ま、結果的にはそうなったわね」

鈴井『そこにいるのは、紛れもない【超高校級の絶望】だ。この【事件】を起こして、犯罪を犯して、世界中を破滅させようとしているのが彼女だ』

山田「いやいやいや……またまた、スケールが大きすぎやしませんか?」

石丸「……ふむ、確かにな。一個人どうこうでなんとか出来るレベルじゃないだろう?」

江ノ島「そうね、そう聞くと無理っぽく思うだろうけど、やることは簡単だった」

霧切「……火のあるところに燃料を撒く……」

苗木「え?」

415: 2015/04/29(水) 13:37:24.88 ID:hYwC2CuMO
大和田「つまり、ドンチキやってる奴らを焚きつけたって事か?」

江ノ島「そゆこと。そして【超高校級の絶望】は完成した、いや、完成しかけていた……」

江ノ島「人を越えた、事象として絶望が世界を覆っていたはずだったの、そのはずなの!」

戦刃「そして世界は滅亡に動き出したんだよ……」

セレス「ダウト―――そんなはずはありませんわね。世界が崩壊しているのならば、なおさら私達を閉じこめる必要がありません」

江ノ島「バカかテメェはよ!世界が滅んだって生きてるやつはいるんだ!」

山田「……はい?」

霧切「監視カメラ……それってもしかして……」

鈴井『そうだよ。君が気付いた通り』

十神「どう言う事だ?」

霧切「……本当にこれで、私達を撮っていて……誰かに見せているとしたら……」

セレス「まぁ……その人達に私達の生活を見せていると?」

江ノ島「今更どうだっていいでしょ、アンタらには」

鈴井『あ、今だから言うけど、この学園生活は全世界に生中継で配信しているから』

江ノ島「あっ、ネタばらしすんな!」

大泉『あ?』

桑田「……アポ?」

舞園「全世界に……生中継……?」

苗木「は……?」

霧切「DVD化よりタチが悪いわね……」

朝日奈「それまだ引きずってたんだね」

十神「そんなバカな、そんな……電波ジャックだと?簡単に」

鈴井『出来たんだよ。ま、それは僕が手助けしたんだけどさ』

葉隠「………今も誰かに見られてる、って事かいな?」

霧切「そうね、この地下でも数個、それに大泉さん達のカメラが生きている」

ジェノ「いえーい!見てるー?」

大和田「何見てんだゴルァ!」

石丸「止めんか兄弟!目のところに線を入れられるぞ!」

江ノ島「これ生放送だからそう言うのしないから」ムリムリ

鈴井『彼女は、そうする事で君達を、世界を、何もかもを絶望させるつもりだったんだ』

鈴井『ただひとつ、彼女の―――江ノ島盾子の想定した未来に間違いがあったとするなら』

鈴井『それは間違いなく、大泉君。君がいた事だ』

大泉『……は?』

416: 2015/04/29(水) 13:37:50.90 ID:hYwC2CuMO
江ノ島「何回も、このコロシアイ学園生活をシュミレーションした」

大泉『………』

江ノ島「何回も……何万回ってレベルのシュミレーションもした」

江ノ島「そのたびに筋書きは違った、氏ぬ人間も違った。全員氏んだ事もあるし、何人か残った事もある」

江ノ島「私は……なによりもアンタ達を絶望させて、自分も絶望したかったの……」

江ノ島「自らを完全に絶望に浸すため、世界中を絶望させるため……自分のクラスメイトは残しておいた」

苗木「……え………ちょっと待って、よ」

江ノ島「待たないし待てないわね。それが現実なんだから」

江ノ島「アンタらはこの世界が絶望した事だけ知ってればいいの」

江ノ島「でも世界の中には、希望を諦められない人がいた」

江ノ島「当然、世界がそう簡単にある日突然滅亡したわけでもない。じわじわと、そして時にぼうぼうと……世界は壊れていったわけ」

鈴井『そして……わずかに残った希望を全て潰すための作戦。それがこの学園生活だったんだよ』

霧切「学園に残ったはずの、人類の希望と呼ばれる学生達が」

舞園「監禁されたと思いこんで、自分達で頃し合いを……?」

石丸「そんなふざけた道理があってたまるか!」

鈴井『けれど実際、君達は踊らされた、踊らされてしまった』

江ノ島「何回も何回もシュミレーションした!」

江ノ島「必ず誰かが殺人を犯して、必ず誰かが裁かれて、お互いが憎しみあって恨みあってさぐり合っていたのッ!」

江ノ島「虫一匹殺せない不二咲でさえ!アタシの脳内では!最低1回、全員殺害してる!」

江ノ島「舞園も大神も朝日奈も霧切も!石丸も十神も葉隠も苗木も!桑田も大和田も山田も、セレスも腐川も……どいつもこいつも!一皮剥けばただの人!」

江ノ島「薄汚いッ!奇麗事ばっかり言って結局自分が可愛いだけのクソ野郎共ッ!」

江ノ島「だからッ!だからこそッ!アンタ達ならコロシアイをしてくれると!アタシは知ってたのッ!」

江ノ島「……それなのに、アンタがいた。いてしまった。」

417: 2015/04/29(水) 13:39:19.29 ID:hYwC2CuMO
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回想・入学約1年後





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418: 2015/04/29(水) 13:39:53.10 ID:hYwC2CuMO

「鈴井さんが行方不明ッ!?」


◆クリエイティブ オフィスキュー事務所内


森崎「あんまおっきい声出すんでない、安田」

安田「だ、だけど!」

音尾「顕ちゃんが狼狽えてるとこって珍しいね」

安田「………ッ」

森崎「なんも、わかんねぇんだ。まだな」

北川「そもそも、私達は何が起きてるのかも把握出来てませんし……」

スタッフ「朝から連絡が付かないと社長(鈴井嫁)から聞いたのが数日前です」

安田「そこから……消息不明?」

北川「と言う事になりますね」

戸次「誘拐か……失踪か……」

大下「それで僕ら全員集合した、と?」


※Tips…【大下宗吾】
おおした・しゅうご。オフィスキューのお笑い芸人の1人。黒髪にメガネの、とても控えめな印象の好青年。
元はピンで活動しており、北海道では深夜の映画番組を長らく勤めている。
オクラホマとの合同ライブや、小橋亜紀とのユニット【大小】としての活動も多い。
ちなみに、【エンタの神様】に一度だけ出た事がある。


安田「………なるほどね」

音尾「確かに電話もつながんないし、メールも全然帰って来ないんだわ」

スタッフ「僕達も分かる範囲では探してるんですが、社長も……マネージャーすら連絡が取れなくて……」

安田「なんで黙ってた」

スタッフ「………思い違いであって欲しかったからですよ。でも」

戸次「もう黙ってられなくなった、と。そりゃそうだわな、この数日、誰も姿見てねーわ連絡取れねーわだもんな!」

北川「……誰でもいい、誰か会長の事を知ってる人は……」

戸次「知ってりゃ言ってるだろ……」

森崎「じゃあ……いないんだな」

419: 2015/04/29(水) 13:40:21.60 ID:hYwC2CuMO
安田「なんで……」

音尾「………安田さん?」

安田「なんでみんな、そんなに冷静でいられんだよ……これが、どうして」

戸次「仕方ねーだろ、状況が状況ですよ?」

安田「お前ッ……!」

戸次「んなら俺らがわーわー言やぁ会長帰ってくんのかよ!ただでさえ大泉は向こう(希望ヶ峰)だぞ!?俺らだけで何とかしねーとなんねーんだ!」

安田「だからって!警察でも何でも言えるだろ!なんでここでみんなで固まってんだって言ってんだよ!」

戸次「警察も今それどころでねぇべや!」

安田「それどころって!!」

森崎「うるさーーーーーい!!」机ばんっ!!

安田「!」

音尾「……洋ちゃんは安全が確保されてるからさておいても……さ。全員、道内にいる時でよかったよ」

北川「って言っても飛行機がもう飛べないですけどね……」

安田「……あ……」

大下「ニュース、みました?安田さん」

安田「そうか……千歳空港」

森崎「占拠されたんだってな、絶望とか名乗ってる奴らに」

音尾「……はぁー……なんなんだろうね、あの人達」くしゃくしゃ

大下「僕達は手出し出来ないし、大泉さんの無事を祈るしかないですよね」

森崎「まあ、……大丈夫だろ、あいつは。希望ヶ峰はセキュリティすげぇって話だしな」

戸次「それに頃しても氏ななそうだしな」

森崎「やーめーれー、シゲ!縁起でもねぇ!」

戸次「な事でも言ってないともう持たねって」

安田「……俺」

がたんっ

森崎「どこ行くのよ、安田」

安田「探してくる……!」

戸次「馬鹿、勝手にどっか行ったら……」

安田「絶望だかなんだかしんないけど、市内も危ないんでしょ」

音尾「かもしんないけど、顕ちゃんも!」

安田「でもこのままだったら……会長だって危ないでしょ」


ばたんっ


420: 2015/04/29(水) 13:41:01.70 ID:hYwC2CuMO
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回想・約1年後のその頃




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藤尾「もしもしー、あ、ごめんな突然」

『あ、おはざいます……どうしたんすか?突然』

藤尾「今大丈夫?」

『これから番組の収録が……でも今日中止かもしんないっす』

藤尾「やっぱそっか……」

『道内の主要な交通機関はマヒしてますし……それで、どうしたんすか?』

藤尾「いやな、うちの会長知らへん?」

『はい?』

藤尾「いや、原田君やったら知ってるかなと思ってさ。なんか交友関係広そうやし」

『……よく別事務所の後輩に軽率に電話出来ますよね、藤尾さん』

藤尾「それ誉めてるやろ」

『誉めて……るようなないような……って言うか会長さん、なんかあったんすか?』

藤尾「まぁー……うん、どこにもいてないから」

『はっ!?』

河野「ふーじーおー!言うていい事とあかん事あるやろ!」

藤尾「んあ?あ、うん、ごめん」

『どういうこと、ですか』

藤尾「………いなくなったんや。それで探してる」

河野「藤尾!」

『そうだったんすか……』

藤尾「うん。ごめんな、原田君」

『いや、全然。とりあえずオレ、周りの芸人とか友達当たってみます。誰も知らないかもしんないですけど……』

藤尾「おん、頼むでー」




421: 2015/04/29(水) 13:41:36.62 ID:hYwC2CuMO
河野「……確かにスタッフ誰も知らんけど、だからってほかの事務所かけんなよ!」

藤尾「もうしゃあないやろ?河野君、このままじゃ見つからんって」


※Tips…【他事務所の芸人】
北海道で芸人の事務所、と言われると真っ先に挙がるのが【札幌吉本】である。正式名称は【よしもとクリエイティブ・エージェンシー 北海道事務所】。
かつて【タカアンドトシ】【アップダウン】、マイナーどころでいけば【ジェリービーンズ・コレクション】などを排出した。
が、タカトシがかつて語った通り、北海道のお笑い文化はオフィスキューによって作られた歴史が濃く、札幌吉本はあまり語られない。
現存メンバーだと【タカトシ牧場】で牛の世話をした、初代牧場芸人こと【しろっぷ】がやや有名か。
なお、上記に名前が出た【原田】とは、漫才師の【市原】の原田。この春をもって東京へと進出した(藤尾と電話出来る仲かどうかは知らん)。
コンビの解散と結成が非常に激しい事務所であり、テレビのレギュラーがあるコンビ・トリオすら簡単に解散する。
具体的に行けば、男2女1の近年では珍しい編成であった【サンモジ】は、元々別のコンビとピン芸人の合体した姿。
その後レギュラーなども持っていたが、夏に女性メンバーのあゆみが脱退。コンビで活動後、3月末でツッコミのたいちも芸人を引退した。
札幌吉本に残るのは、元【加我正源】【サンモジ】で、現在ピン活動中の【加我卓也】である。
ちなみに勿論当然だが、札幌吉本以外にも事務所は存在し、お笑い芸人も数多くいる。無所属と言う人も。


藤尾「使えるもんは全部使わんと……」

河野「せやけど他の事務所巻き込むんは」

藤尾「事務所がどうとか関係ないやろ!」

河野「ッ!?」

藤尾「人が!ひとり!いなくなってんねんぞ!」

河野「………藤尾」

藤尾「あ、えっと……ごめ」

河野「そうやな」

藤尾「………」

河野「………ちょっと出てくるわ」

すたすた……



藤尾「………何やねん、絶望どうのこうのって……訳わからんわ……」くしゃっ

422: 2015/04/29(水) 13:42:07.84 ID:hYwC2CuMO
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現在




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江ノ島「アンタがいたからアタシの計画は狂った、狂ってしまった」

江ノ島「それでも世界は順調に狂っていて、少しずつおかしくなっていた」

江ノ島「アタシの最終計画を遂行するために、答えを導き出した」

鈴井『それが―――大泉君、君を効率的に頃す方法だった』

葉隠「じゃ、邪魔だったから消そうとしてたってか?」

戦刃「そう……絶望の為の糧になってもらいたかった」

江ノ島「でもただ頃したって面白くない。だからこのまま計画を実行する事にしたわけよ」

苗木「……希望ヶ峰学園での、コロシアイ学園生活……」

朝日奈「そんな事のために、私達と2年一緒にいて……その記憶を奪って……」

ジェノ「異常、アブノーマル、まさに最悪で災厄よねぇ」

鈴井『けどこのままじゃ大泉君を絶望させて頃す事は出来ない』

江ノ島「そのためには協力者が必要」

鈴井『だからこそ僕はここに呼ばれたんだよ』

大泉『じゃあ、まさか……』

江ノ島「1年前のその時の時点で」

鈴井『僕はすでに絶望していた』

霧切「……!」

葉隠「はぁっ!?ちょ、意味がわかんねーぞ!」

鈴井『分からない分からないばかりだねぇ君は……あー、もう大泉の飯マズい』

大泉『おっさんもう食うの止めれ』

江ノ島「説明しなくていいとこは全部省くから、あと脳内補完よろしくー」

十神「それで納得すると思っているのか?」

江ノ島「思ってるわよ」

舞園「そんなわけ……ないじゃないですか」

江ノ島「……うっせーな!オメーらは黙ってろモブ!」

423: 2015/04/29(水) 13:42:36.63 ID:hYwC2CuMO
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回想・その時





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424: 2015/04/29(水) 13:43:05.56 ID:hYwC2CuMO


「か、会長見つk……なんだよ!」

「あんまでけぇ声出すなって……いいか?周りには気づかれんなよ」

「な、なにそれ………なんかあったの」

「メールが来たんだよ」

「メール?」

「どうやって送ったかしんねぇけどな、オレのケータイに……たぶん会長のケータイから情報抜き取ったんだろうけど……ほら」

ぴっ


【鈴井貴之はこのビルの中にいる(地図が添付されている)】

【事を荒立てたくなければ、お前達NACS4人だけで来い】

【お前達以外の人物がビル内に入ったら鈴井は頃す】

【警察に通報してもまた頃す】

【このメール送信から48時間以内に来なくても頃す】


「これっ、て……!」

「完っ全に脅迫状だな」

「………なあ、なんで俺らが4人だけって知ってんだ」

「そんなのオレが知るかよ。あー、あれじゃね?希望ヶ峰の入学式ってニュースになるから」

「空港が使えないんでここにいねーって分かってたとでも?」

「としか考えらんねぇよ」

「………」

「で、どうする?行くか?」

「………」

「………はぁー………」

「他のふたりは」

「もう知ってる」

「なんて答えたか、分かってるよ」






扉「ばんっっっっ!!」





安田「鈴井さんッ!」


425: 2015/04/29(水) 13:43:49.48 ID:hYwC2CuMO



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現在




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大泉『………ん?1年後のその時点……つまり、【絶望的事件の起きた時点で鈴井さんは絶望していた】?』

大泉(つー事はもしかして……)

大泉『お、おい、おおい、待てよ……んじゃあよぉ……』

江ノ島「あ、気づいた?気づいてしまった?」

鈴井『君が思った通りさ』

霧切「……鈴井さん、なぜ」

鈴井『僕も呑まれたんだ。絶望という現象そのものにね』

江ノ島「幸い接触は簡単だったし、状況調べんのにこの人、ちょくちょく希望ヶ峰に来てたからねー」

戦刃「………だから、脅した。そして、壊した」

鈴井『それが君達の過ごした、平和な1年で起きていた出来事』

鈴井『僕が自ら作り上げた希望を壊すために転じた出来事』

江ノ島「語るに及ばないバックグラウンドよ」

苗木「………!」




ーーーーーーーーーーーーーーー





さかのぼって、その時





ーーーーーーーーーーーーーーー




こつ……こつ……


安田「鈴井、さん」


鈴井「」


426: 2015/04/29(水) 13:44:33.36 ID:hYwC2CuMO
音尾「誰がやったんだろうね、こんな事」

森崎「いすに縛られるって罰ゲームでしか見た事ねぇぞ俺」

音尾「罰ゲームだったらいいんだけどさ」

こつ、こつ……

戸次「つうか、おい……目ぇ開けてくれよ鈴井さん……」

鈴井「」

音尾「………いやいやそんな、まさか」

安田「そうだよ……俺達はちゃんと約束守ったぞ……会長が氏ぬわけ……」

こつ……

安田「………そうですよね………」

鈴井「」

安田「………鈴井さんッッ!!」がっ

森崎「安田、あんま興奮すんでない!」

音尾「……」

鈴井「」

安田「なぁ!寝てる振りなんだろ鈴井さんっ!目ぇ開けてくださいよ……!」

安田「俺……まだ貴方に返せてない……」

安田「恩とか!感謝とか!まだまだいっぱいあんのに!!寝てるふりとか止めてくれよ……!」

鈴井「うんわかった」

安田「よかっ………は?」

鈴井「寝てるふりなんてよく分かったねー」

安田「………え」


とす


安田「!?」

音尾「……おっと?」

戸次「なん、だ?」

安田「………か、はっ………?」

森崎「え?え?ちょっ、安田……」

安田「あれ、からだが、うごか……」

どさ

音尾「………顕ちゃん!?」

戸次「なんかおかしいって……なに、これ、どうなってん」

縄するするする

安田「………ぁ………」

すたんぬ



鈴井「あ、ごっめーん☆安田君にはちょっと強めの麻酔打っちゃったー☆」



安田「………!?」

427: 2015/04/29(水) 13:45:21.47 ID:hYwC2CuMO
森崎「あ?な、なによこれ、なんの悪い冗談……」

鈴井「ごめんね、ほんとにごめん、めんごめんご」

鈴井「でもさぁ、見たいじゃない?僕が捕らわれたーって事を聞いて必氏に探しにくる愛弟子の姿?」

音尾「……え?な、え?」

鈴井「見たくない?みたいよね?」

鈴井「自分が手塩にかけて育てた愛弟子が、自分の危険を省みずにこうして僕を助けてくれた愛弟子が」

鈴井「泣きそうになりながら起きてくれって、僕に氏なないでくれって嘆願する愛弟子がさぁ………」

鈴井「この僕に!裏切られて!地面を這い蹲るところ!!」

森崎「……何、言ってんだ……この人……」

戸次「あんた誰だ」

鈴井「………え?」

戸次「あんたは……違う、オレらの知ってる鈴井貴之じゃ、ない」

鈴井「んー?」



鈴井「 オ レ ら の 知 っ て る ? 」ぎろっ



戸次「………!?」ゾクッ

鈴井「なーにちょっとでも僕の事理解した気になってんのかなぁ、君達は」

音尾「どう言う事、ですか」

鈴井「君らが知ってるだけが僕じゃない、君らが見た事ある場所だけが世界じゃない……」

鈴井「とんだ思い違いもいい加減にしてくれよ、迷惑だからさ」

戸次「ッ……!!」ぎりっ

森崎「なんっか、わかんねぇけど……会長、帰りましょう?みんな心配してますし……」

鈴井「……どうしよっかなー?」

安田「………、………ッ」ずる……

音尾「っちゅうか、なんか顕ちゃんがヤバいしょ!もう会長ッ!」

戸次「あー……音尾運んでくんね?」

音尾「またそうやって人に任せてぇ……!」つかつか

安田「………」

森崎「……っ!?走れ音尾!」

音尾「え?」

とすっ

戸次「おい、おいおい、おいぃ………」

音尾「あ、れ……な、だれ……」ずるずる……

こつこつこつ………

音尾「う………そぉ………」べちゃ

ざっ


名も無き青年達「「「………」」」


428: 2015/04/29(水) 13:46:01.10 ID:hYwC2CuMO
戸次「………クマの被り物?」

ざっざっざっざっ!!

森崎「ちょ、おおおお!?」がしっ

戸次「んだオラァ!誰だオメーらッ!?はーなーせー!」


どすどすっ 
どさぁっ……


鈴井「んなっはっはっはっはっは……はぁー」

鈴井「いやー、ほんとめんごめんご。」

鈴井「テラ茶番なわけ、これって。」


戸次「………っ、が……!?」

森崎「な……かい、ちょ……」

安田「ど、いう……」

音尾「こと……で……」


安田(ダメだ、体がもう……意識が……)






鈴井「捕まったなんて嘘に決まってるじゃん(笑)」







安田「―――そん、な……」


がくん……

429: 2015/04/29(水) 13:47:56.98 ID:hYwC2CuMO
鈴井「どう?した?しちゃった?絶望しちゃった??」

鈴井「誰よりも何よりも信じていたはずの事務所の会長に騙されて裏切られて絶望しちゃった?」

鈴井「ねぇ、どんな気持ち?今どんな気持ち?うぷぷぷぷ……」

鈴井「バカ面晒しながら今にも殺されてもおかしくないのに体が動かないってどんな気持ち?」

鈴井「悔しい?ねぇ悔しい?w」

鈴井「ほんと爽快だよ、痛快だよ」

鈴井「あはははは、今まで大切だったものを壊すなんてこんな気分だったんだねぇ……」

鈴井「あ、もう氏にたいとか思った?ダメだよぉみんな」

鈴井「僕はまだまだ足りないんだ、君達ももっともっともっと絶望したいよね?」

鈴井「大丈夫だよ、そのための手はずは全部整ってるんだ」

鈴井「君達にも見せてあげるよ」

鈴井「僕がもっともっともーっと」

鈴井「絶望させてあげるからね」

430: 2015/04/29(水) 13:49:16.53 ID:hYwC2CuMO
ーーーーーーーーーーーーーーー




そして現在




ーーーーーーーーーーーーーーー


大泉『……!!』

鈴井『君を焚き付ける口実が必要だった。君が道を違える口実が』

鈴井『と言うわけで、僕のひと芝居であの四人は簡単に捕まえられたわけ』

江ノ島「それでもアンタは道を間違えなかった」

鈴井『だからこうして、他の生徒を焚き付ける方向に戻したんだ』

山田「にわかには信じがたいですな……」

霧切「騙しやどっきりは……彼らの十八番よ」

大和田「けどそりゃあんまりだろうが……!」

大泉『おいオッサン』

苗木(……今までに聞いた中で一番低い声だ)

ぐいっ

大泉『あいつらは今どこだ』

鈴井『どこだろうね』

大泉『言えよ!!』

鈴井『……氏んではないよ』

大泉『アンタもう絶望してないんだろ!いいから言えよ!』

霧切「………待って、もう絶望してないってどう言う事なの!?」

大泉『今それどころじゃあないんだよ、待ってくれ!』

苗木「気持ちは分かりますけど!」

鈴井『そう、気持ちは分かるけどね』

大泉『………あ?なんだ、なんだよ………』

鈴井『確かにもう、僕は絶望はしていない』

不二咲「それって……」

鈴井『アルターエゴをあのパソコンから避難させておいたのは僕だ』

山田「な?!ではあのアルたんの亡骸には」

十神「既にアルターエゴはいなかった……」

鈴井『さっきの局面、僕ではもうコントロールが取り戻せなかった。だからアルターエゴに、江ノ島さんからコントロールを奪ってもらった』

江ノ島「最悪です……私に裏切られた的な事言っておきながら、しっかり私の邪魔をしてくるなんて最悪です……」

苗木「なんでそんな……」

鈴井『………君達を見ているうちに、思い出しちゃったんだよ』

鈴井『あ、そっか、僕はこれを期待してたんだって』

鈴井『世界が滅んでも、君達が生きていれば』

鈴井『この世界に希望があれば―――きっと、必ず人々はやり直せるって』

苗木「………鈴井さん」

431: 2015/04/29(水) 13:49:43.64 ID:hYwC2CuMO
大泉『だからって、だからって今まで黒幕のふりして頃し合い起きないようにコントロールしてたってのかい!』

江ノ島「本来だったら、誰も動かねー場合は大神さくらが動く予定だったからな!」

大神「我に釘を刺したのはモノクマだ。まだ動くなとな」

鈴井『スタンスを崩していないように見せながら、江ノ島さんにバレないようにしながら、それでもなんとかなるかと思ってた』

鈴井『今回も、こんな事にさえならなければ……』

大泉『な事もういいべや、誰も氏んでねぇ!貴方もまだこっちに戻ってこれる!だから!』

鈴井『もうダメなんだよ、大泉君。』

大泉『あ?何が!?』

江ノ島「そう、その人はもう戻れないの。アンタ達と同じ場所には」

大泉『………は?』






鈴井『本当に、ごめんね』





432: 2015/04/29(水) 13:50:54.70 ID:hYwC2CuMO

大泉『……あ……』


大泉(胸騒ぎがする)


大泉(それは言うな、と叫びたい)



鈴井『もう戻れないんだよ』



大泉(ダメだ、それ以上喋るな)



鈴井『だって僕は』



大泉(言うな)



鈴井『一年前のあの時点で』



大泉(お願いだから)



鈴井『犯してしまったんだ』



大泉(………鈴井さん)


鈴井『大きな罪を―――』



433: 2015/04/29(水) 13:51:26.99 ID:hYwC2CuMO










鈴井『僕はあの時、学園長を』




鈴井『霧切仁を、頃した。』






大泉(―――俺の世界の、時が止まった。)






446: 2015/05/05(火) 18:12:04.96 ID:MJH7dNGxo
大泉(……)

大泉(……あ?)

大泉(何も………聞こえない、感じない)

大泉(今、なんて言った?)

大泉(すずいさんがひとをころした?)

大泉(意味が、分からない。)

大泉(分からない。分からない。分からない。)

大泉(………改めて理解しようと、言葉にしてみる)


大泉『………鈴井貴之が、霧切仁を、頃した』


大泉(分からない。分からない。意味が、理解出来ない)




大泉『鈴井さんが、人を、頃した』




大泉(理解したくない、出来るならそれは誰も信じて欲しく、ない)

大泉(俺自身否定したい。鈴井さんにも、否定されたい)

大泉(嘘だって、たちの悪い冗談だって)

大泉(縋るように鈴井さんを見る)


鈴井『そうだよ、大泉君。それが事実なんだ』

447: 2015/05/05(火) 18:13:25.94 ID:MJH7dNGxo
鈴井『絶望に身を落とした僕は、正常な判断を持ち得なかった』

鈴井『全てを壊して快楽を得ようとしていた』

鈴井『その足がかりが、君達を束ねる学園長の殺害。』

鈴井『そうして完全に無防備になった君達を、僕達は無力化した』


大泉『うそだ、って……演技だって……言ってくださいよ……』


鈴井『僕はね、大泉君。』

鈴井『君の氏に様すら、面白おかしく見ようとしていたんだ』

大泉『―――!』

鈴井『僕が作り上げた希望が、絶望的に氏ぬところをみようとしていたんだ』

鈴井『だから僕が許されちゃいけない、』


鈴井『……君達と共には、歩めない』


大泉(絶望が、足下に―――)


がしゃんっ!


大泉『………』


(地下室の大写しのモニターの一つが暗転した)


大泉『………』


(持っていたカメラを落とした事に、大泉洋は気付かない)

(モノクマ操作室に設置された他のカメラが、彼の有様を非情にも映し出している)


大泉『………』



(大泉は微動だにしない)


448: 2015/05/05(火) 18:14:04.23 ID:MJH7dNGxo
霧切「ちょっと、待って……」

桑田「つ、つかさ、今名前!」

霧切「学園長、学園長……【学園長の名前が霧切仁】……?」

セレス「どう言う事ですの、霧切さん!」

霧切「なぜ、その名が……!?」

江ノ島「まだ分かんねーのか、霧切響子?」

鈴井『この学園の、希望ヶ峰学園の学園長は、霧切仁……君のお父さんなんだ』

霧切「………!!?」

江ノ島「そしてアンタの父親は、あの鈴井貴之に殺されたの」

霧切「………」

苗木「ちょっと待ってよ!何でそう言い切れ……」

江ノ島「鈴井さんがボタンを押したんだよぉ?そう!宇宙旅行への、二度と生きては戻れない旅のボタンをね!」

霧切「………」

不二咲「……き、霧切さん……」

霧切「………」

苗木「それでも………」

江ノ島「あ?」

苗木「それでも僕は……認めない……!」

苗木「絶望がなんだ、こんなのがなんだ!」

苗木「希望は前に進むんだ……お前なんかに屈さないぞ……!」


江ノ島「………ウザイ」


戦刃「盾子ちゃん……」

449: 2015/05/05(火) 18:14:51.14 ID:MJH7dNGxo
江ノ島「あーーーーーウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザい!!」

江ノ島「ついでだから苗木ィ!アンタも含めて全員黙らせる!」

翔「何?やる気スイッチ押しちゃう感じ?」

江ノ島「うるせぇよ」胡椒ふりふりー

翔「あっテメッずり……っくしゅんっ!」

十神「何をするつもりだ?もう足掻いてもお前の負けは決まっている」

舞園「……そ、そうですよ、私達は頃し合いなんてしません」

江ノ島「あー、もうそれいいや。」

朝日奈「へ?それ、って?」

江ノ島「計画失敗で充分アタシは絶望したしさ、後はアンタらが穏やかに絶望すればいいや。」

石丸「僕達は何があろうと決して屈しないぞ!」

大神「……ふ、そうだな。例えお主がまた人質を取っても……我らは引かぬ!」

江ノ島「つべこべつべこべうるさいゾ☆」

山田「そら(絶望がどうこう言われたら)そう(反論したくなる)よ」

江ノ島「いいからいいからー、盾子を信じてー」

葉隠「それ信じられんやつだろ!?っつーか、いい加減何する気なんだべ!?」

江ノ島「現実を教えてあげるだけだよ……鈴井さん」

鈴井『……』



江ノ島「ほら、見てごらん」


(江ノ島の指示で、モニターがひとつを除き全て切り替わる)


桑田「は?何見ろって……」

腐川「ん、んん……今なんの話……」

苗木「……!?」


(映ったのは―――)





(大凡、自分達の記憶からかけ離れた、世界だ。)




苗木「……!?」

450: 2015/05/05(火) 18:16:19.83 ID:MJH7dNGxo
十神「………は?」

大和田「なん、っだこりゃあ……」

霧切「………」

朝日奈「うそ、だよね?」

江ノ島「まさか」




(瓦礫、瓦礫、瓦礫。)

(爆発、何かを壊す人々、爆弾、銃声)

(叫び声、怨みの言葉、人の形をした、ナニカ)

(血、肉、骨、眼球、壊れた町並み、幸せそうな家族写真、氏。)

(見た事があるような建物が複数爆発している)

(どこかでは大きなキノコ雲が、膨れ上がってクマの形になった)

(クマの被り物をした集団が、世界各国で、あちこちの建物を破壊したり、人を襲ったり、争いを起こしたりしている映像が)

(幾重にも幾重にも流されてきた)




苗木「……なんだよこれ……!?」

江ノ島「これがアンタ達の目指した外の世界」

鈴井『君達が学園長と約束して隔離してもらった世界だ』

十神「ば、かな……そんなわけ……」

江ノ島「だからこれが事実なの」

大泉『………』

戦刃「これが、貴方達が忘れていた現実、だよ」

霧切「………」

朝日奈「そんな……はず……」

451: 2015/05/05(火) 18:16:55.08 ID:MJH7dNGxo
江ノ島「十神君?どう?十神財閥は今どうなってると思う?そう、正解!滅びました!親族一類ありとあらゆる、十神財閥に関係している人物の氏亡ないし失踪を確認済みだよ?よかったね!もう十神財閥の事を知っているのは十神君ただひとり!ねぇ?どんな気持ち?後ろ盾失って、御曹司(笑)になったのってどんな気持ち?お金も地位も名誉ももう形無しだね!」

十神「……!」

江ノ島「石丸君、君の大好きな風紀やルール、人としてあるべき姿ってナニかな?それってやっぱり、自分がやりたい事を好きなだけやるって事だと思うんだよね。だからそのために他人が犠牲になったって構わないし、自分のルールを守らせるためなら他人の意志はどうでもいいと思わない?それにほら、君の嫌いな総理大臣のデータも跡形もなく消えたよ?よかったじゃん!」

石丸「風紀が……ない……」

江ノ島「大和田くーん?こんな秩序もない希望もないこの世界で戦うのに必要なのは君みたいな、何も考えずただ暴走して走り回ってモノを壊していく蛮勇だと思うなー。ま、外に出たら全員暴走族みたいなもんだし(笑)がんばってね。あ、そうそうチームは解散したよ、アンタがいないから存続出来るわけないじゃん。お兄さんの残したモノ?なにそれ、多分それトラウマだけだよ?」

大和田「ああ?何?チームが……解散……?!」

江ノ島「不二咲君。君、ここにいてよかったんじゃない?外に出たら一発で氏ぬと思うんだよね、アンタ貧弱だし。貧弱貧弱ゥ!男らしいって何?じゃあアンタ男じゃないの?ちなみに外ではパソコンらしきものは大体機能停止してるからアンタ能なしだね。かわいそうにね。でもここにいれば安心安全!それにちーたんマジ天使!掘られないし!」

不二咲「そん、なぁ……」

江ノ島「葉隠君!君が大切にしていたコレクション?アレ全部ぶち壊しました、私が。あんな偽物で喜ぶなんて、よっぽど脳味噌お花畑?って言うか見えてなかったの?この未来は。はー、アンタのインスピレーションとやらほんと使えないよねぇ。3割?嘘言えバーカ。アンタはただのクズ、それ以上でも以下でもない。才能もない上、根性もないの。ねぇ、なんで生きてるの?」

葉隠「俺……もう、未来が……見えねーよ……」

江ノ島「山田君?こんな瓦礫と崩壊した世界で君の好きな二次元の世界って存在すると思ってる?そんな事より日々の生活だ!ってなってんの、漫画家とか声優とか小高和高は必要ないわけ。分かる?この意味。紙切れに意味はない、文字を理解する必要はない、アニメなんて必要ない世界なの。残念だったね。これが現実、だから部屋の外に出なよピザ」

山田「ぶー子がいない……世界……」

江ノ島「桑田君。ね、言わなくても分かるよね?LL学園も当然なくなってまーす。あ、それに野球なんかもやってる場合じゃないし?アンタが走り回りたかったグラウンド、ね。あれもう瓦礫に埋まっちゃってるし、多分地雷とかあるから危ないよ。今やバットで打つのはボールじゃなくて人の頭蓋骨。知ってるルールじゃない?アンタならすぐ馴染めるんじゃない?」

桑田「嘘だ……そんな……アホな……」

452: 2015/05/05(火) 18:17:43.86 ID:MJH7dNGxo
江ノ島「舞園さーん。そう、あなたのアイドルグループも当然!解散しました。ウケるよね、最初何にも知らないで桑田殺そうとしてたんだし。出れたところでお前の帰る場所ねーから。なのにあんな必氏になってさぁ……夢?希望?ファンサービス?くだらねぇ事言ってんじゃねぇよ、枕営業してんだろ?ま、もう枕する相手もいねーけどよ!ギャーハハハ!」

舞園「私の帰る場所が……ない……?」

江ノ島「大神さん。道場の門下生は全員無事と言ったな、すまん。ありゃ嘘だ。何人か絶望に立ち向かっていって、そして氏んだらしい。らしいってのは、アタシがやったわけじゃないから分かんないのよね。残念!でもでも何人か残ってるし、その全員が全員、アンタの道場で学んだ技術で世界を、人間を壊してるよ!よかったねー、リアル北斗の拳じゃん!」

大神「そんなバカな真似をする門下生が……いるはずは……」

江ノ島「腐川さーん………あ、アンタはもう充分絶望してるからいっか?とりあえずアンタの父親も、ふたりいた母親もみんな揃って行方知らずらしいからそんだけ。アンタがふたりになっちゃった理由を作った人が軒並みいなくなってよかったねぇ?ちなみに腐川さんの本は聖書並によく燃えるとみんなに評判です。純文学?シラネ」

腐川「………あ………」

江ノ島「朝日奈さん。あなたの愛してやまなかったプール、全部なくなっちゃいました。今ではプールらしきところには水じゃなくて血が溜まってるとかいないとか。怖いね。絶望のみんながピラニアとかワニを中に入れてアスリート泳がせて遊んでたんだって、怖いね。あ、そうそうドーナツも壊滅的。食べるなら作ってあげてもいいよ?中身がナニカは知らないけどね」

朝日奈「……プールはそんな事する場所じゃ……ないよ……」

江ノ島「セレスさん?いや、安広多恵子って呼ぼっか。何セレスって、セレスティア・ルーデンベルクってだっせぇ(笑)とりあえず言っとくと宇都宮も絶望のみんなが占拠したから、アンタの愛する餃子も食べられませーん。それと、夢だったらしい西洋のお城?あー、あれね、全部ぶっ壊したから。要らないもん、そんなもの。お金も不要、必要なのは毎日生き延びる命だけだよ」

セレス「……私の……愛する故郷が……」

江ノ島「霧切さん?まず教えて上げると、あなたの才能は【超高校級の探偵】でーす。で、なんで教えたかって?だってもう使えないでしょ、探偵の才能。意味ないもんこんな世界じゃ。氏神のw足音wが聞こえるらしいけどwこの世界じゃ人なんて簡単に氏ぬから、そんなの聞こえてたら氏神タップダンスするわwwwwあ、あとアンタさ、お父さんに絶縁言い渡すためだけにこの学園に来たらしいね。うぜー、あーうぜーうぜーファザコンうぜー」

霧切「………」

江ノ島「ついでだぜ、大泉さん。ね、分かるでしょ?北海道のみならず、全国あらゆる舞台たる舞台は崩落した訳よ。スタジオ?セット?スタッフ?全部消えてなくなりました!残ってるのはかの学園生活を生中継してくれてる人達だけ!何かの役柄を演じる、なんて悪人がする事だよね。だってそれって詐欺師にも似てるでしょ?自分も他人も偽ってさぁ、それで楽しい?」

大泉『………』

苗木「………みんな………」



江ノ島「さて苗木君、苗木誠君。希望は前に進むと言った、苗木誠君」

江ノ島「この状況のどこに希望があるか述べよ」

苗木「………!!」

453: 2015/05/05(火) 18:18:22.23 ID:MJH7dNGxo
舞園「私の……居場所が、夢が……」

山田「ぶー子が、僕が認められていた、唯一の世界が……」

セレス「私の愛したものが、すべて……存在していない?」


苗木「みんな……」


大和田「兄貴、すまねぇ……オレ……」

腐川「……何なのよ、あたしだって好きでこうなったわけじゃ……」

葉隠「なんで世界がこうなったって?俺がなにしたっつーんだべ……」


苗木「……みんな……!」


石丸「秩序が、風紀が、人としての在り方が……」

朝日奈「プール……ドーナツ……スポーツ……」

十神「………」


苗木「………どうしたら………」


桑田「んだよ……なんだよ、なんなんだよコレッ!」

大神「我の門下生に限ってそのような……」

不二咲「うう……どうせ僕は……」


苗木「………」



454: 2015/05/05(火) 18:19:04.14 ID:MJH7dNGxo
江ノ島「ゲームセット、終了。完了。私様の大勝ち。それ以外あり得ない」

江ノ島「現実を知って打ちのめされて、それから這い上がる気力だって絶対にもうない」

江ノ島「大切なモノはもう残ってない」

江ノ島「自分に出来る事なんて何もない」

江ノ島「アンタ達は自分達で選んでこうしている」

江ノ島「今に絶望しろ」

江ノ島「過去に絶望しろ!」

江ノ島「明日に絶望しろ!!」


苗木「………」







鈴井『それは違うね』






苗木「………え?」
大泉『………は?』


鈴井『確かに外の世界は滅んだ。けれど』

鈴井『彼らは、それでもやっぱり世界の希望なんだよ』

戦刃「………なんで」

鈴井『………』

戦刃「なんで諦めないの……貴方が犯した殺人で、みんなが絶望してるのに……どうして……」

鈴井『どうして?』

鈴井『そうだね、希望は前に進めるからだよ』

戦刃「………は?」

大泉『鈴井さん……?』

455: 2015/05/05(火) 18:20:06.43 ID:MJH7dNGxo
江ノ島「虫のいい事言ってるんじゃねぇよ、人頃し」

鈴井『確かに僕は罪を犯した。だからその償いはするつもりさ……アルターエゴ』

『制御完了したよ、ご主人たま♪』

不二咲「……え、あ、アルターエゴ?」

鈴井『残念だったね、江ノ島さん。君が持っていた主導権は今、僕が握らせてもらった』

江ノ島「今更何するつもり?」

鈴井『………みんな、よく聞いて欲しい』


鈴井『確かに君達に戻る場所はもうない。夢も希望も、秩序もない。この世界は滅びに向かっていると言ってもいい』

鈴井『でもね、みんな。君達は間違いなく希望なんだ。この世界に期待された希望なんだ』

大泉『そんな、わけ……ねぇよ。アンタのせいで希望なんかねぇのに、なんで……』

鈴井『これを見て欲しいんだ』

ぶんっ




(モニターの全てが、とある映像に映り替わる)





『これを見ている……と言う事は、もしかしたら私はこの世にいないのかもしれない』

『私は今代の希望ヶ峰学園、学園長の霧切仁だ』


霧切「……霧切仁……!」

江ノ島「……」

十神「これが、本物の学園長……」

456: 2015/05/05(火) 18:21:38.83 ID:MJH7dNGxo
『絶望と呼ばれる人々の支配が強くなってきた……君達に何かあった時のために、このビデオを残そうと思う』

『なにかの足しになれば幸いだが、そうならなかったのなら僕の事を罵ってくれればいい』

『……君達にこの、希望ヶ峰学園シェルター化の選択を取らせたのは、本当に申し訳なかったと思っている』

『けれど、それが最善だと私は信じていた』

『君達さえこの世界に残っていれば、他にどんな事があったって必ず、この世界はやり直せるからだ』

『私は性善説を信じているんだ、みんな。きっと君達なら、超高校級と呼ばれた君達なら……必ず世界を正しい方向に導く事が出来る』

『外の混乱が収まるのが何年、何十年後になるかは分からない。だが、君達が力を合わせれば、世界はきっと変わる』

『君達もそう約束してくれた。君達自身が自分を信じてくれた。だから、私も安心して君達に全てを託す事が出来る』

『みんな、これからの世界を頼んだよ』


苗木「学園長……」

山田「そんな事を、生前にビデオに」

江ノ島「……」

舞園「自分に何か起きるかもしれないと、予期していた……?」

セレス「私達を案じて……私達達を信じて?」

大和田「本気かよ……こいつ……」

大泉『………』




『惜しむらくは響子』



霧切「………え?」




『最後までお前のそばにいてやれなかった事だ』




霧切「………!」

457: 2015/05/05(火) 18:22:21.46 ID:MJH7dNGxo
『私はお前を、愛していた。お前が誇る【名誉ある探偵である霧切家】の名を捨ててもなお、愛していた』

『お前には多くの苦労をかけた。幼いながらに母も亡くし、私もまた家を追われ、お前だけを残してしまって』

『謝ってお前が許してくれるとは思わない。けれど、私はお前を愛していた』

『学園長として、愛していた。そして、それ以前に、父として、お前を愛していた』


霧切「―――!」


『響子、迷惑をかけてばかりでごめんな』

『でも父さん、お前が希望ヶ峰学園からのスカウトに乗ってくれた時、本当に嬉しかったんだ』

『歴史の闇に隠れ、名をひた隠しにしてきた探偵の一家であるはずのお前が、私に分かるように活動をしてきて』

『私を恨んでいる、憎んでいると言う報告も聞いていた。それでも嬉しかったんだ』

『なんと言われてもいい、お前に堂々ともう一度会いたかった』


霧切「………学園、長」

桑田「随分恥ずかしい事喋ってんな」


『そして私の生徒として、この学園に入ってくれた。お前がどう思って、どう考えていたのかは私には分からない』

『それでも、間違いなく、お前は私の希望だったよ。響子』


『……そして、お前と私をつなぐひとつの絆が【水曜どうでしょう】だった』


大泉『……え……?』

霧切「!」

458: 2015/05/05(火) 18:23:06.42 ID:MJH7dNGxo
『お前が小さい頃から好きだったと風の噂で聞いていたよ……誰から教えてもらったかは分からないが、友達に勧められたのだと後から聞いた』

『お前はそんなバラエティなんて見るような人ではないのに、なんでまたそんな?私もあの時ばかりは驚きが止まらなかった』

『なぜあんな旅番組もどきに?と最初こそ私も疑ってかかっていたのだが、見ている内に私もどっぷりハマってしまってね、ははは』

『お前は人前ではあまり笑わない子だったので、それを見て笑ってくれているのだと思ったらいてもたってもいられなくなった』


大泉『………あ!』

鈴井『だから僕に話が来た。だから君達は出会った』


『だからサプライズで大泉さんを呼んだ。そして、共同生活なんて大がかりな真似までした』

『あの時、本当に嬉しそうに目を細めて笑っていた事を、今でもすぐに思い出せるんだ』

『お前の喜ぶ顔が見れたから、私はもう満足だよ―――響子』

『生きていてくれてありがとう。そして、このビデオを響子が生きて見てくれている事を願う』


霧切「なによ……それ……」

霧切「………勝手なのよ………」


『最後に、学生諸君』

『私の我が儘に最後までつきあってくれて本当にありがとう』

『君達が例え今日に絶望しても』

『やりきれない思いが、今日雨を降らせたとしても』

『新しいこの朝が、いつものように始まるから』

『何もなかった頃から同じように、地球は回っているから』


大泉『………【6分の1の夢旅人】………!』


459: 2015/05/05(火) 18:23:53.17 ID:MJH7dNGxo
『疲れ切った足下から凍り付くしたとしても、』

『いつの日にか、きっとまた南風は歌い出す』

『だから君達は、前に進み続けてくれ』

『だって』




『一人きりでは出来ない事も』

『タフな笑顔の仲間となら、乗り切れるだろう?』





ぽたっ

霧切「なによ……それ……」

苗木「霧切さん……」

霧切「思い出したわよ……、才能の事も父の事も……!どうでしょうの……事も……!」

ぽろぽろっ

大泉(泣いてるのか、子猫ちゃん)

霧切「そう……昔の、一番大切な【親友】との思い出……」

霧切「あの人が……、【この手の傷を作ったあの人が】……最初に勧めてくれたのが、どうでしょうだった……!」

霧切「結局その人とは、喧嘩別れしたけれど!でも!……忘れられなくて、貴方は悪くないから……大泉さん、だから忘れられなくて」

霧切「それより父はなんで……本当に、こんなの……なんなの、本当に身勝手で……でも……」

霧切「………ありがとう………!」ぽろぽろ


ぷつんっ


江ノ島「………は?は?は?は?は?」

江ノ島「こんな安っぽいビデオ一本で何とかなるとか思ってんの?ねぇ鈴井貴之!!」

鈴井『ところが思ってるんだよ』

江ノ島「………あ?」

460: 2015/05/05(火) 18:24:32.40 ID:MJH7dNGxo
鈴井『江ノ島さん、君が握っていた主導権は全部剥奪したと言ったよね』

鈴井『だから、僕は今、あらゆる学園のセキュリティないしシステムを使いこなす事が出来るようになった』

鈴井『君達にはふたつの道がある』


鈴井『ひとつ、学園長の意志に従ってこのまま学園に残り、絶望した世界の片隅から希望を作り出す』

鈴井『ひとつ、この安全な学園を出て、絶望と危険がある、ほんのわずかに残った希望を探しに行く旅に出る』


鈴井『どちらを選ぶかは君達次第だ。そしてどちらを選んでも、僕が協力しよう』

鈴井『その後で僕はちゃんと、けじめをつける』

大泉『……何する、つもりなんですか』

鈴井『僕も氏ぬ。』

大泉『………あ………?』

鈴井『それが僕の出来る最善の……』

がたんっ!

大泉『冗談じゃねぇ……!』

鈴井『……苦しいよ大泉君、胸倉掴まないで』

大泉『アンタが氏んだら!本当に、本当に希望なんか無くなっちゃうじゃねぇか!!』

鈴井『……』

大泉『俺はアンタを!ずっと尊敬してて!アンタがいたから!ずっとやれてたのに!』

大泉『安田を……残して逝く気か?おい、何も言わずに逝く気なのか?』

大泉『なんでそんな事簡単に言えんだよ!なんでそんな事出来んだよ!アンタ、アンタはぁ!!』

大泉『………なぁ………!』ずるずる……

鈴井『………』

大泉『……』床ぺたん

霧切「………で」

鈴井『?』

霧切「氏なないで……貴方は生きて、生きて、生きるの」

鈴井『……霧切さん』

461: 2015/05/05(火) 18:25:07.61 ID:MJH7dNGxo
霧切「父がなんて言ったのか、分からない。どんな状況で氏んだのか、それも分からない」

霧切「けれど、性善説を信じる父ならば、貴方に氏ねとは言わない……貴方だって、世界と同じようにやり直せる」

霧切「それに証拠がない、自白でしかない。物的証拠もないのに殺人の罪には問えない」

霧切「仮に氏体が見つかって、殺害方法は?そもそも本当に貴方が頃したの?」

霧切「それに貴方の背後には江ノ島盾子がいた。精神的に薄弱状態の貴方に、ボタン一つ押させて殺人なんて到底出来るはずがない」

霧切「例えそんなシステムが可能だったとしても、貴方は既になにも考えられなくなっていたはず。それに実質、安田さん以下4名の人質も取られていた」

霧切「殺人教唆の可能性はあっても、それが確定した殺人とは言い切れないんじゃないかしら」

鈴井『………ほんと理詰めだね、霧切さんは』

苗木「違います」

鈴井『ん?』

苗木「信じてるんです、霧切さんも……」

苗木「ボク達が希望なら、この世界に残ったら希望ならば」

苗木「ちゃんと前に進めるんだって」

苗木「全部引きずりながら、後悔しながら、それでも忘れないようにしながら、思い出しながら、たまには喧嘩しながら、思いやりながら」

苗木「どんな世界でも、ボク達が選んだ世界だから、ちゃんと正しく前に進めるんだって」

江ノ島「だからウゼェんだって!どこも進めねーよ!希望がないって、世界は滅んだって言ったろうが!聞いてなかったのかよ!」

苗木「だからって諦めたくない!」

江ノ島「!?」

苗木「ボクは………どんな理由でも、ただひとつ」

苗木「お前(ぜつぼう)に屈したくない!」

大泉『苗木君……どうしてそこまで……』

苗木「悪い事があれば、必ずいい事もある。それが人生だ。悪い事ばっかりなんて絶対に起きる訳ない」

苗木「ボクはそう信じてます」

苗木「後ろを向いて全て諦める前に、今出来る事を全部やりたい」

霧切「……苗木君……」

462: 2015/05/05(火) 18:26:36.47 ID:MJH7dNGxo
苗木「十神クン」

十神「………苗木風情が説教か」

苗木「確かにこの世界に、もう財閥はないのかもしれない」

苗木「でもキミはその程度で全てを放り出すような人じゃないって、ボクは知ってる」

十神「………」

苗木「今までの学園生活でも、率先してみんなを引っ張ってくれた。何も起こらないように、実は誰よりも気を使っていてくれた」

苗木「そんなリーダーが、選ばれた存在が、世界が滅んだからって真っ先に諦めていいのかよ!」

十神「……苗木……、愚民のくせに……くくっ」

苗木「石丸クン!」

石丸「………ああ、苗木くん………」

苗木「ルールや風紀、人があるべき姿はこれからまた作っていけばいいじゃないか」

苗木「古いモノを守るのも大切だけど、新しいルールを作るのだって立派に【風紀を守る事】だと思うよ」

石丸「だが、僕にはそんな……」

苗木「何事も諦めず、努力すれば立ち向かえるんじゃないのかよ!」

苗木「何もせずに力不足だって、そうやって諦めるような人じゃないだろ!」

石丸「……それは……ああ、苗木くん、僕は……!」

苗木「……大和田クン」

大和田「オレは……オレは兄貴の、約束を……大切なモンを……」

苗木「お兄さんが言いたかったのはそう言う事じゃないんじゃないかな」

大和田「………あ?」

苗木「チームと言う目に見える形じゃない、自分の信念を貫ける仲間を作って欲しいって、そう言いたかったんだと思うんだ」

苗木「もしバラバラになっても、キミが声をかければ必ず戻ってくるって!そう信じようよ、キミと仲間の絆を」

苗木「大丈夫。全部知ったその時でも、絶対にキミに着いてくる仲間はいる。ボクは、そう思う」

大和田「オレは……オレもまだやれるのか……?」

463: 2015/05/05(火) 18:27:57.07 ID:MJH7dNGxo
苗木「不二咲クン」

不二咲「あ、あの……僕、どうしたら……」

苗木「パソコンが壊れた、インターネットがなくなった?そんなの絶対に嘘だよ」

不二咲「………へ?」

苗木「この映像はインターネットでも中継されているんだよ?って事は、外にはインフラ環境が整っているはず」

苗木「そして映像を見るための機械だって絶対にあるはずだよね?」

不二咲「あ……!」

苗木「絶望の映像を届けるだけがパソコンやインターネットじゃない。キミにはアルターエゴって味方もいるじゃないか」

苗木「もし壊れたらまた組み立て直せばいい……ボクも、詳しくないけど手伝うからさ」

不二咲「苗木君……優しいね……」

苗木「………葉隠クン」

葉隠「なんだべ!なんだべ……俺は、もう……」

苗木「ボク達が出会えたのは、きっと偶然じゃなくて運命だったんだと思うんだ」

苗木「未来が見えなくても、先に進もうよ。今日を、今を積み重ねた先が未来なんだから」

葉隠「でも!俺ぇ……」

苗木「今まで集めてたのが仮に偽物でも、それなら本物は必ずどこかにあるって事だよね」

苗木「いいの?葉隠クン。キミが手に入れる前に本物が無くなるなんて、ボクはイヤだよ」

苗木「一歩、踏み出そうよ。例えその道筋が真っ直ぐじゃなくても、キミの占いなら乗り切れる」

葉隠「……信じるんか、俺を……?」

苗木「山田クン」

山田「ふあああ……僕はっ……」

苗木「ボクはアニメの、マンガのちからを信じてるよ」

苗木「今の世界に必要ないなんて絶対に嘘だ。今だからこそ、鼓舞するためのモチーフって必要なんだよ」

苗木「それは時に二次元だからこそ表現出来るものがある。どんな写真より、どんな現実よりイラストの方が美しい事だってあるじゃないか」

山田「ぶひぃ!?な、苗木誠殿ェ……」

苗木「キミの力は絶対にこの未来に必要なんだ。今の空は晴れてなくても、キミが描く空は絶対に青く澄んでいるはずだよ」

苗木「このまま屈するなんていやだよ……かわいい女の子に負けて終わりなんてアニメは絶対に流行らない!」

山田「……うう……た、確かに……女の子は剥かれてナンボですぞ……!」

苗木「桑田クン!」

桑田「………あ?アホ……何でオレこんなヘコんでる訳?マジで……」

苗木「桑田クン、ほんとは野球大好きだったんだよね」

桑田「あ、改めて言うなっつーの恥ずかしいじゃねーかっ!」

苗木「ロックスターなんか、歌手なんかならなくたってキミはすばらしい」

苗木「もちろんなれるのかも知れないけど、でも桑田クン。キミが求められてるのはあのグラウンドなんだよ」

苗木「そんなグラウンドが、野球のやの字も知らない人にぐちゃぐちゃにされてるんだよ。許せる?ボクは、イヤだな」

桑田「オレ……オレやっぱ、野球が……!」

464: 2015/05/05(火) 18:28:57.42 ID:MJH7dNGxo
苗木「舞園さん」

舞園「私は、私は……私の夢は……」

苗木「ボクは絶対に舞園さやかを忘れたりしない。前にも言ったと思うけれど」

苗木「ボクは絶対にキミを忘れない。舞園さやかを忘れない!」

舞園「……苗木、君」

苗木「今だって舞園さんはアイドルじゃないか!ボク達のアイドルなんだよ!」

苗木「みんな舞園さんを待ってる。舞園さんがいれば、メンバーもきっと必ず揃う、再結成出来るんだよ!」

苗木「終わりじゃない、これは始まりなんだ。だから絶望しちゃだめだ!」

舞園「……これは始まり……、そうだ……終わってなんかない……!」

苗木「大神さん」

大神「……苗木よ、我は」

苗木「大神さんが伝えたかった技術が悪用されてしまった事は、拭えない」

苗木「でもこのままにしておいたら、本当にみんなに誤解されたままで終わってしまう」

大神「ぬ……」

苗木「違うんだ、大神さんはもっと強くて、もっと優しいのに……そんな暴力的な拳を教えたかったわけじゃないのに!」

苗木「だからみんなにちゃんと教えようよ、大神さんが伝えたかった事、この力でしたかった事を!」

大神「我の力で、したかった……事……!」

苗木「腐川さん」

腐川「……なな、なによ、あたしは……」

苗木「腐川さんの小説、燃やされてるんだね」

苗木「ボク、悔しいよ。腐川さんの小説、何冊か持ってたから……その中身の、よさを知らないまま火を付けられてるのが」

腐川「苗木、あんた……」

苗木「文学がこの世界から消えてしまうなんて、イヤだ。ボクは確かに活字はあんまり読まないけど、でもそう思うんだ」

苗木「腐川さんが生きてさえくれれば、この絶望の先に必ず文字が、活字が必要になる世界は存在する!だから!」

腐川「でもあたしは、殺人鬼の……」

苗木「翔さんだってきっと!殺人は止められる!」

腐川「……!」

苗木「ボクが止める……だからボクを信じて欲しい!」

腐川「あ、そんな……な、何よ……!」

465: 2015/05/05(火) 18:30:13.77 ID:MJH7dNGxo
苗木「朝日奈さん……」

朝日奈「ねぇ、苗木……どうしよう、プールが、グラウンドが、ドーナツが……」

苗木「しっかりするんだ、朝日奈さん!プールは、泳げる場所は必ず存在してるはずだ!」

苗木「キミが絶望して諦めてしまったら、残っているはずのプールだって全部なくなってしまうかも知れない!」

朝日奈「……え?プールが!?」

苗木「朝日奈さんがやりたいと思う事に取り組める未来がボクはみたいよ、朝日奈さん」

苗木「プールを悪用している、アスリートを脅かしている、そんな悪いやつらを野放しにはしておきたくない」

苗木「ちゃんとプールの正しい使い方を教えて上げようよ。泳ぐのは楽しいんだって、後ろ向きなだけじゃないんだって伝えようよ、ね」

朝日奈「プールの楽しさ……泳ぐ事の……、そうだよね……!」

苗木「セレスさん」

セレス「あら、安広多恵子でもいいですわよ」

苗木「……安広さん。ボクはキミのその名前、好きだ」

セレス「!?」

苗木「多くの恵みの子。ご両親が望んでくれた事じゃないか。たくさんの恵みを、たくさんの出会いをキミは得てきた」

苗木「それでも隠したいって言う話なら、ねぇ、セレスさん。簡単に絶望して諦める前にボクとひとつ賭をしようよ。」

セレス「……何ですって?」

苗木「この世界は完全に絶望したか、していないか。ボクはしていないに、ボクの命をかけてもいい」

苗木「ギャンブラーとして、ボクとの賭は受けてもらってもいいよね?命を懸けたギャンブルに、さ」

セレス「good……私は、貴方の誘いに……、ギャンブラーとして誘われてあげても……」

苗木「……」

霧切「……」

鈴井『……』

江ノ島「は、はは、なんだよそれ……あり得ねー……」

江ノ島「そんな……やすっぽい説得で……!ここまでの絶望が……!!」

苗木「霧切さん」

霧切「ええ、覚悟は出来たわ」

江ノ島「……ぁあ?誰よりヘコんでたファザコンが何だって?」

霧切「私は未来を見たい、真実が知りたいだけ。それがたとえ希望でも絶望でも」

苗木「……どうだ、江ノ島盾子……!」

苗木「ボク達は、諦めない……!」

466: 2015/05/05(火) 18:31:07.43 ID:MJH7dNGxo
江ノ島「だからぁ!そんなくっせーことやってんじゃねぇっての!今時かっこいいセリフで立ち直ってがんばるとか流行ってねーっての!」

苗木「大泉さん!!」

大泉『……少年……君は……』

苗木「北海道の大スターなんですよね、カリスマなんですよね……エンターテイナーなんですよね!!」

苗木「そんな貴方が、悲しい顔してたら!全国の子猫ちゃんが悲しみます!」

大泉『……は、はは……そうだねぇ……』

苗木「ほら、笑ってください。そして行きましょうよ、次のステージに」

苗木「貴方が信じたものが無くたって、貴方には自分の足がある」

苗木「それに鈴井さんは貴方に全てを託してくれている!」

大泉『……鈴井さん、アンタは……』

鈴井『僕はきちんと責任を取るよ、この場でね』


鈴井『【僕の命を絶つ事が責任の取り方だ、それ以外はあり得ないよ】』

苗木「……それは違うッ!」


大泉『―――苗木!』

鈴井『……苗木君、君は僕までも救おうとしているのかい?』

苗木「僕は貴方を信じている!氏ぬ事が責任の取り方なんて、そんなの僕は認めない!それは負の連鎖を起こすだけだ!」

苗木「だから!貴方も外に出るんだ!貴方も進むべきなんです!!」

鈴井『……でも、僕は』



葉隠「でもでもうっせーぞ?会長さん」



鈴井『!』

467: 2015/05/05(火) 18:32:54.51 ID:MJH7dNGxo
江ノ島「………は?なに割って入っちゃってんのパーマ」

葉隠「コレはドレッド!地毛!……それはともかく!」

葉隠「少なくとも俺の知ってる鈴井貴之はそんな人間じゃねーべ。それはそこの大泉っちの方が知ってると思うけどよ」

葉隠「………俺、思ったんだ。生きるってのは前に進む事なんだよな、つらくても……怖くても……前に向かう事なんだ」

葉隠「だから、そっから見りゃ氏ぬって事はそこで立ち止まる事だ」

鈴井『………』

葉隠「北海道のエンタメを最前線で開拓してきたアンタが、そんな辛いから怖いからで足を止めるような人とは思えんべ」

葉隠「アンタはここで氏ぬ人間じゃない。俺のインスピレーションもそう言ってんだ」

葉隠「なぁ、アンタはこのまま逃げていいんか?このまま足止めてていいんかよ……そんなん俺が納得いかねー……!」

苗木「……葉隠クン」





江ノ島「ああああ!うっざぁぁぁいっ!」




江ノ島「お涙頂戴とかざっけんじゃねぇって言ってんだろボケがぁ!お前等の帰る場所なんざねぇ!希望はねぇ!!」

江ノ島「この世界は滅びる!」

江ノ島「くだらねぇ理想論で!現実逃避してんじゃねぇぞオラアアアア!!!」

江ノ島「なにが希望は前に進むだ、ポカホンタス!希望なんかどこみたってねぇんだよ!悪を憎んだって、戦ったって、正義もないんだ!」

江ノ島「見ろよ!現実見ろ!世界が終わってんの!SEKAI NO OWARIなの!ドラゲナイの!!」

468: 2015/05/05(火) 18:33:39.20 ID:MJH7dNGxo
江ノ島「なのに………」


石丸「……ありがとう、苗木君。目が覚めたよ」

舞園「これは終わりじゃない……新しい未来の始まりです」

苗木「ボク達はもう迷わない」


江ノ島「なのになんで………」


大泉『僕らのやる事ぁもう決まってるからねぇ』

セレス「城がないならまた建てればいいだけですものね。餃子だって、職人は世界各地におります」

不二咲「全部無くなった訳じゃない……僕達にはまだ残されてるものがあるんだよぉ……!」


江ノ島「なんでどいつもこいつも………」


葉隠「全くしゃーねーなぁ、手の掛かるおっさんだべ!」

鈴井『君も説得されてたけどね』

腐川「さっきの苗木……ちょっと格好良かったわ……ハッ!いや、あ、あたしは白夜様一筋で!」

十神「ふん……黙れと言いたいが今日は許可してやる。俺もまた愚民に下がりかけていたのだからな」


江ノ島「なんでそんなに!前を向けるんだよ!!」


苗木「それが、ボク達だからだ」

江ノ島「………!!!?」

469: 2015/05/05(火) 18:34:21.11 ID:MJH7dNGxo
戦刃「盾子……ちゃん」

江ノ島「……あ?な、なにこれ?ナニコレ?ナニコレ珍百景?」

戦刃「……」

江ノ島「はは、バカじゃね……うそだろ……寒いんだよ……そう言うの、そう言う逆転劇……!」

戦刃「盾子ちゃん」

江ノ島「あ?」

戦刃「私も……見たくなっちゃったよ」

江ノ島「……なに?」

戦刃「誰よりも悪いはずの私が、誰よりも生きて生きて、誰よりも愛している盾子ちゃんが絶望する未来」

江ノ島「は……?なに、アンタまで……そんなくっせー事言うの……」

戦刃「私はここで止まりたくない、終わらせたくないな」

江ノ島「そんな……お姉ちゃん……?」

戦刃「絶望してくれてる?それは本当に幸せ?私は盾子ちゃんの幸せになれてる?」

江ノ島「………あ………」

戦刃「もうわかんないよ……もう分かってあげられないんだよ……」

江ノ島「………」

鈴井『ゲームオーバーは君の方、みたいだね』

大泉『………決まったな』

江ノ島「………ふ」

苗木「……?」

470: 2015/05/05(火) 18:35:17.95 ID:MJH7dNGxo
江ノ島「ふふっ、くくく………あっはっはっは………!」

江ノ島「いいねぇいいねぇ……最高に絶望的ィ……!」

江ノ島「ほらほらほらほら、もっとつまんねぇ事言いなよ……勝手に希望感じちゃいなよ……!」

大泉『……こいつは……』

江ノ島「希望くそ食らえ!現実見れないおこちゃまの話なんかどうだっていい!!」

山田「じゅんこは こんらんしている!」

霧切「……」

石丸「江ノ島くん、投降したまえ」

大和田「今なら半頃し……いや九分九厘頃しで済ましてやるぜ……オレァ女は殴んねー趣味だけどよ!」

桑田「むしろそれ氏んだ方が楽な奴じゃね!?」

セレス「いえ、それよりは首だけ残して体を地面に埋めましょう」

大泉『さりげなくみんな残酷な事考えすぎだからね!?』

苗木「ボクは君を逃がさない、ボクは君を殺さない」

苗木「希望はいつだって前に進める、君を絶望から救う事だって諦めない……!」

鈴井『おや、プロポーズじゃないか江ノ島さん。これは受けてあげなよ』

江ノ島「……」





江ノ島「 だ が 断 る 」





ぽち

舞園「ぽち?」

ゴゴンッ

苗木「……え」

471: 2015/05/05(火) 18:36:56.92 ID:MJH7dNGxo
舞園「な、なんで舞台装置が動いて!コントローラーは私が……」

鈴井『セキュリティも全てこちらの支配下のはず……まさか江ノ島さん、緊急用のスイッチを!?』

十神「バカな!最後まで俺達を愚弄するつもりか!江ノ島ァ!!」

大神「それよりも奴を止めろ!!」

戦刃「待って!」

朝日奈「え、江ノ島ちゃん……!」

大神「止めるな戦刃ッ!」

戦刃「……違う、今行くと危ない!貴方も氏んじゃう!」





江ノ島「いいかい希望の諸君」




すたっ


苗木(江ノ島盾子は、特設のステージの上に立った)

苗木(道化のように、人形のように)

苗木(ひどく笑顔で)


江ノ島「希望の先には絶望しかないんだ。それでも進むの?」

苗木「……ああ、ボクは進む」

江ノ島「あっそ」



苗木(そして、次の瞬間)



苗木(ボク達の目の前で―――)






ぐちゃっ。







苗木(江ノ島盾子は、大きなプレスマシーンに潰された)

472: 2015/05/05(火) 18:37:31.30 ID:MJH7dNGxo
ーーーーーーーーーーーーーーー





Chapter6

どうも 絶望の皆さん
知ってるでしょう?
大泉洋で
ございます
おい パイ食わねえか


非日常編


【END】


残り【18人】→【17人】


ーーーーーーーーーーーーーーー

473: 2015/05/05(火) 18:38:12.06 ID:MJH7dNGxo
鈴井『えのっ……!大泉君、走るよ!』

大泉『……!!』

ばたばたばたばた……




朝日奈「……ッ、うぐ……」

霧切「これが彼女の結論、なのね」

石丸「人は……分かりあえると思ったのだが」

葉隠「あいつの負けだろ。足止めたんだ、現実に面食らったのはあいつの方だったんだべ」

苗木(無駄に葉隠クンがかっこいい……)

戦刃「……盾子ちゃん、最後すごい楽しそうだった」

苗木「え?」

戦刃「きっと……貴方達への挑戦状。焚きつけた本人がいなくなった、この混乱を収束出来るのかって、挑戦状」

戦刃「私もまた、全てを失った。生きるべき目標を、必要性を失った」

苗木「……だから、ここから始めるんだ」

霧切「私達はまだ、スタートラインにすら立てていないのだから」



苗木「出よう」




舞園「……ここから、外へ」

不二咲「そうだね……」

十神「……ふん、導いてやってもいいぞ?【最後の十神】の名にかけてな」


苗木(これは、避けられなかった結末だったんだろう)

苗木(ボク達は静かに、ただ静かに)

苗木(誰とも言わず、真っ直ぐ見つめていた)

474: 2015/05/05(火) 18:42:02.77 ID:MJH7dNGxo
ここまで。
さて、ぼかぁ君達に謝らなければならん事がある。



今回が最終回と言ったな、すまん。ありゃ嘘だ。



そう、まだ【エピローグ】があります。
なのでエピローグをもって、この大泉ロンパは最終回となります。
ほんとに次回が最後です。


それと、もうひとつ。江ノ島盾子は氏んだんだ。もう帰ってこないんだ。



>>443-444
2のクロスで大泉さんが出る事はおそらく出来ないでしょう(諸般の事情で)。
ですが、きっと違う人が入ってくれるでしょう。書けるかどうかは別として、ですが。
今はまだ、囚われているおっさん達の事が心配です。

483: 2015/05/06(水) 17:49:42.34 ID:EpH04o0KO
最終回!おみまいするぞー!
……また誤字脱字見つけたら心に閉まっておけ!絶対それただのミスだから!おっかしいなぁ、見直してるのになぁ……。

「だからえらくなれねぇんだろ、おぉい」

………ぁあ?

484: 2015/05/06(水) 17:50:19.45 ID:EpH04o0KO
ーーーーーーーーーーーーーーー




【エピローグ】




Never
~抗い続けた絶望の先に~




ーーーーーーーーーーーーーーー

485: 2015/05/06(水) 17:50:56.63 ID:EpH04o0KO
チーンっ
がらららら………



鈴井「江ノ島さんッ!」

大泉「こりゃあ、よぉ」

苗木「あ、大泉さん………」


大泉(俺と鈴井さんは、あのあと急いで4階から走ってきた)

大泉(今になって汗が噴き出した。無理もない、ここからじゃ地下は遠すぎた)


大泉「………江ノ島盾子は」

十神「氏んだ」

鈴井「………」

大神「押しつぶされた。あの大きな機械にな」


大泉(特設ステージがある。俺達のいる裁判場みてーなとこからすぐ目の前に)

大泉(その舞台は今、大きな機械が占領していた)

大泉(中央が真っ赤に染まって……いて……)

大泉(………氏んだ)

大泉(江ノ島盾子は……氏んだんだ)


鈴井「……救えなかったんだね、彼女は」

鈴井「誰よりも希望していたのに」

舞園「絶望に対する希望、ですか」

戦刃「………私は………」

山田「可愛い子は制服剥かれてナンボですぞ、戦刃むくろ殿。氏んだらそれも出来ないでしょう」

葉隠「一部にはそっちの気の奴もいるけどな」

山田「氏姦ダメ、絶対。ただし2次元で、他人に迷惑かけないならその限りではありませんぞ」

戦刃「……はは、なにそれ」

鈴井「………」

486: 2015/05/06(水) 17:52:00.80 ID:EpH04o0KO
霧切「………鈴井さん」

鈴井「………君達、ここを出るんだったね」

苗木「はい」

鈴井「約束だ、僕が力を貸そう」

苗木「でもその前に」

鈴井「………ん?」

苗木「寄宿舎2階……そこだけ見せてください」

セレス「あの、私達がともに生活した記録が残っていると言われた場所ですか?」

苗木「最後に見ておきたいんだ、どんな記録が残っているのか」

鈴井「分かった。鍵を開けておくよ」

大泉「おぉーし、それじゃあみんなぁ、早速見に行こうか。ね?」

戦刃「……了解、した」

鈴井「ああ、みんなで先に行ってくれないかな」

苗木「……鈴井さんは?」

鈴井「これを片付けないと」

大泉(鈴井さんは血塗れのステージを見つめた。誰もが何も言わない)

十神「………そうか。それがお前の責任の取り方ならそうすればいい」くるっ

苗木「え?十神クン」

十神「行くぞ。望みを叶えてやれ」

苗木「………う、うん………」

すたすたすた

大泉「ちゃんと後から、来ますよね?」

鈴井「………」にこ

大泉(扉が、閉まった)


ごうんごうんごうんごうん………



鈴井「………」

487: 2015/05/06(水) 17:53:32.06 ID:EpH04o0KO




鈴井「………ごめんね、みんな」

鈴井「コレで僕も逝ける」

こつこつ………

鈴井「長いようで短かっただろうけど、」

鈴井「僕にとってこの3年、本当に楽しい日々だった」

鈴井「ありがとう、希望の高校生達」

鈴井「そんな君達を裏切る真似をする僕を、どうか許して欲しい」

ぽち

ういいいいん

……ぽた、ぽた、ぽた……


鈴井「………」

鈴井「本当なら、僕も君達の隣にいたい」

鈴井「それでもやっぱり、僕はこの方法しか分からないんだ」

鈴井「僕の氏で、負の連鎖に終わりを作ろう」

鈴井「………」

鈴井「さよなら大泉君」




鈴井「未来を頼んだよ」






ぽち





488: 2015/05/06(水) 17:53:59.18 ID:EpH04o0KO
ーーーーーーーーーーーーーーー






2階






ーーーーーーーーーーーーーーー

489: 2015/05/06(水) 17:56:06.91 ID:EpH04o0KO


こつこつこつ


桑田「うっわ、瓦礫!」

腐川「ず、随分ボロボロね……」

セレス「そして崩壊した部分を鉄板で直した跡がありますわね」

大泉「僕ら、本当に大変な争乱に巻き込まれてたらしいねぇ」

朝日奈「……ぜんぜん、実感無いね」

大泉「全くだ」

十神「随分な荒れようだな。入れる部屋も限られているとは」

石丸「外は……もっと酷いのだろうか?」

十神「さぁな。見てもいないのに判断は出来んだろう?」

大泉「覚悟するんならしておけよ。あの映像みたいなのがばーっと広がってるかもしんないからね」

舞園「そうですけど、あんなに前向きに言っておいて脅さないでくださいよ……」

十神「さて、そっちは?」

がちゃ

石丸「ここは………ロッカーか?」

苗木「みたいだね。ボロボロだけど」

戦刃「ここはみんなのロッカーだった。だから、機械が生きてるロッカーに、決まった人物の電子生徒手帳を翳せば開く」

舞園「私のは………ダメですね。他の人のも……あれ、霧切さん!葉隠君!」

霧切「このふたつだけ無事なようね」

大泉「さっさと開けてごらんなさいよ」

葉隠「言われなくても……」



ぴぴっ


がちゃん

490: 2015/05/06(水) 17:58:18.07 ID:EpH04o0KO
桑田「………あ?水晶玉?」

葉隠「ああああ!!これはっ!!」

大泉「あ?何よ?」

葉隠「一億の水晶玉!!」

セレス「!?」ぴく

大神「………一億………それがか」

葉隠「そうだべ!こいつは象が踏んでも大魔神が踏んでも壊れねぇと言う代物のっ!」

大泉「また随分なしろもんだねぇ……つーか一億て」

葉隠「あのナポレオンが所有したと言われてるもんなんだ!マジでだからな!!」

苗木「騙されてる、絶対騙されてるよ……」

腐川「外に出たら少しは治るといいわね、その残念な頭……」

戦刃「自分が言われてるみたいで辛いよ……」

朝日奈「戦刃ちゃんどんだけ残念残念言われてたの!?」

桑田「つかそれ割れないんなら投げていいか?」

葉隠「なぜそうなる」真顔


がちゃん


霧切「こちらは……」

苗木「手帳みたいだね」

霧切「………学園の事、絶望の事、父の事……色々書かれているわ」

苗木「………」

がちゃ

大和田「おい、奥にも部屋があるみてぇだぞ」

霧切「………そう」

大和田「多分ありゃあ……誰かの個室なんだろうけどよぉ、見るか?」

苗木「………うん」

491: 2015/05/06(水) 17:58:45.15 ID:EpH04o0KO
ーーーーーーーーーーーーーーー








地下








ーーーーーーーーーーーーーーー

492: 2015/05/06(水) 17:59:12.91 ID:EpH04o0KO


















ぽた………















鈴井「あれ?」











493: 2015/05/06(水) 18:00:18.50 ID:EpH04o0KO
鈴井「なんで僕は氏なない?」

鈴井「なんで僕が氏ねない?」かち

鈴井「なんで機械が動かない?」かちかち

鈴井「なんで、なんで!」かちかち

鈴井「僕が、僕さえしっかりしていれば、こんなに人は氏なずに済んだんだ、だから……だから頼む」かちかち

鈴井「僕を!」かち


かちかちかちかちかちかち


『ダメ………貴方は、氏なないでよぉ………』


鈴井「!?」はっ



『貴方がいなくなったら……僕、本当に悲しいから……!』



鈴井「アルターエゴ!?だ、ダメなんだよ!」

鈴井「命の対価は払わなきゃいけないんだ!僕がこの場ですべてを償わなきゃいけないんだよ!」かちかちかち

鈴井「分かってくれアルターエゴ!!」かちかちかちかちかち




ざ、ざざざ








   『って言ってますよ先生』

『いやぁそらぁ違うねぇミスター』







鈴井「………あ………!?」

494: 2015/05/06(水) 18:01:48.37 ID:EpH04o0KO
『いやぁ、遅れちゃいましたなぁwww』

   『大遅刻ですよ』

『僕ら一応電波扱う仕事だからねぇ、電波ジャックに対抗とか、法に触れない方法では出来ない訳よ』

   『藤やんは単に技術ないだけでしょ』

『うるさいですよぉwww』

   『本当の事でしょ、ずっとどれがなんだか分かってなくって』

『それは嬉野さんもそうだったでしょう?貴方この手のもの詳しいって言うから任せたのにねぇ』

   『その話は関係ないでしょ!』



鈴井「……無事、だったんですか……」



『……ん?ぁあ?当たり前でしょう?僕ら4人は運命共同体なんですから』

   『そうそう、みんなで旅しながら氏ぬんでしょ?』

『貴方がねぇミスター、先に氏んだら、嬉野さんの出番なくなるもの』

   『そうだよミスター、年功序列は守んないと』


鈴井「………そん、なの」


『アンタがいなかったら、次の旅、誰が大泉君騙すのよ』


鈴井「………でも、僕は………」

495: 2015/05/06(水) 18:03:40.91 ID:EpH04o0KO
『でもでもうっさいねぇ!赤福食わせるよ!』


※Tips…【赤福】
三重県の名物。どうでしょう的には、ミスター鈴井の苦手なものツートップ(もうひとつはずんだ餅)。
あーかふく!あーかふく!
餅の上にこし餡を乗せた餅菓子であり、その起源は今から300年以上前の1704年。川のせせらぎ、川底の小石をモチーフにしている。
2011年の【原付西日本完全制覇】では、伊勢市に入った途端数多の赤福の看板が町に現れ、これを【赤福コール】と呼んだ。
あーかふく!あーかふく!
その後藤やんとミスターは赤福対決をする事になるのだが、ミスターはなんと1箱6つ(ハンデあり)のうち4つを一気に口に放り込むと言う作戦にでた。
結果藤やんが笑ってしまい「氏んじゃうってミスター!」を連呼、赤福が進まずミスターが勝つ。が、いろいろな理由を付けてこの甘味対決の結果自体は次回に持ち越しとなった。



鈴井「いや、赤福はちょっと………サンフルーツか梅干しにしません?」

『ダメだよ、そんなのミスターが絶対勝つじゃない』

鈴井「いやいやいや、ずんだとかだと藤村さん有利すぎますから」

『そんなにサンフルーツ対決したいんなら生きてそっから出てきなさいよ』

鈴井「………」

『ちゃんと全うに出てきたら、ちゃんと全うに対決組んでやるからさ。いいかい?』

鈴井「………僕は」

『確かにアンタは許されない事をしたよ、ミスター』

   『そうだね。ミスター……ミスターがやった事は多分、みんな許さないよ』

『でもさぁ、それではいおしまいってのは、僕の流儀じゃあないんだよねぇ』

鈴井「………」

496: 2015/05/06(水) 18:05:37.57 ID:EpH04o0KO
『我々、代替わりとかもしてないわけ。もう老化してくだけよどうでしょう班。あとはさ、全員氏ぬまでどっか旅出ましょうよ、ミスター』

『アンタが檻の中で、反省するまで待っててやるからさ』

『そんで出てきたら、また旅に出ましょうよ。今度はちゃんと、しっかり企画作ってさw』

鈴井「………藤村、さん」

   『そうだよミスター。ミスターじゃないと、成り立たないんだから』

鈴井「嬉野さん………」

『ほら、大泉君待ってるんでしょ』

鈴井「………」

『行けよ、ミスター。アンタを待ってくれてる人の為に』

鈴井「………どいつもこいつも、ほんと優しいんだね」

『違うぞぉ?ぼかぁミスターの苦しむとこがみたいだけなんだぁwww』

   『やめようよぉwww氏んじゃうよ次www』

『そうだねwww赤福一気食いとかはダメだからねミスターwww』

鈴井「はは、ほんとに………ありがとう」








『ほらぁ、行けよ。行けよダメ人間。そんで俺らをまた四国に連れてってくれよぉ』



『さいころとボード用意して待っててやるからよ』





鈴井「………行ってきます。」





497: 2015/05/06(水) 18:06:03.78 ID:EpH04o0KO
ーーーーーーーーーーーーーーー






2階
個室








ーーーーーーーーーーーーーーー

498: 2015/05/06(水) 18:07:16.72 ID:EpH04o0KO
腐川「あ、ここ、は」

霧切「学園長のプライベートルーム、と言ったところかしら」

苗木「みたいだね」

大和田「ついでにこんなもんもあったぞ」

がちゃ

桑田「あー?これって………」

不二咲「DVDだよねぇ?多分、読み取り出来るかなぁ」

大泉「DVD?なんの」

大和田「分かんねえっす」

セレス「そこのパソコン、動いておりますの?それで再生してみては?」

霧切「そうね。どうかしら?不二咲君、パソコンは」

不二咲「確認するね」


かたかたかたかた……

不二咲「……うん、正常だね。壊れてるとこはないよ。アンチウィルスプログラムもちゃんと作動してるみたいだし」

苗木「見てみようか」



ういいいいん



499: 2015/05/06(水) 18:08:53.61 ID:EpH04o0KO


じ、じじじ………


ぱっ


『これから、君達にひとつ質問をする』


桑田「あ、この人!確かー……」

霧切「背中しか映っていないけど、学園長……父ね」

苗木「相手は………ボク、みたいだね」

大神「ほう、このようなモノが」

セレス「もしかして、全員分あるんではありませんの?」

葉隠「んあ、かもしんねーな……」



『このビデオは最終確認として撮らせてもらっている。いいね』

過去の苗木『はい』

『これから君達には、安全なシェルター化した希望ヶ峰学園旧校舎にて、共同生活を送ってもらう』

『この争乱が収まるのが何年後になるか分からないが、平和になるその時までは君達にここに入っていてもらう』

過去の苗木『………はい』

『そしてもしも世界の終わりが終わったら、この学園から出て、世界の復興に手を貸して欲しい。了承してもらえるかな、苗木君』

過去の苗木『……こうなった以上、仕方がない……ですよね』

『ありがとう、そして申し訳ない。私のわがままに付き合わせて』

過去の苗木『わがままなんかじゃないですよ、学園長』

『え?』

過去の苗木『大丈夫、ボク達はちゃんと前に進めます』

過去の苗木『例え何があっても―――』







「『希望は前に進むから』」



ぷつん



500: 2015/05/06(水) 18:11:02.29 ID:EpH04o0KO
苗木「………ボク、あんま変わってないのかな?」

大泉「やっぱり、この物語はキミの物語だったな、苗木君」

苗木「え?」

大泉「いや、つまりさぁ、」

大泉「僕らを引っ張っていけるのは、やっぱりキミだけだって事さ」

霧切「……そうかもしれませんね」くす

苗木「え?今のでどうしてそうなったの!?」

朝日奈「と、ところでさ、みんな……この部屋、隙間風が吹いてるんだけど」

石丸「欠陥が?いや、そんな風には見えないな……」

大神「否、壁に何かがあるが?」

腐川「あ、あら、本当だわ……全然気付かなかった……」

戦刃「なにこれ……知らなかった……」

大泉「どこまでも残念ねぇ、君は」

舞園「もしかして、そこの壁は扉……なんでしょうか?」

霧切「隠し部屋なのね。パスワードは………今なら分かる」


かたかたかた


苗木(………kyoko………)


ぴー……
がこん………


霧切「そして恐らく、苗木君。ここに私の父はいる」

苗木「………え?」



苗木(その部屋は、コンクリートで四方を囲まれていた。)



苗木(壁には一面霧切さんのポスター?が貼られている)

苗木(あとうちわとかネックレスとか写真とかある)

苗木(さりげなく【どうでしょう祭のポスター】も貼ってあるな)



霧切「」

葉隠「ネタにしちゃやりすぎだな」

大泉「まったくだね、怖いよ。末恐ろしいよ」

501: 2015/05/06(水) 18:12:51.48 ID:EpH04o0KO
苗木(そんな一室の真ん中に、机と………その上に大きな箱があった)

霧切「………」ぱか

朝日奈「それ、って」

大和田「骨だな……骨だ」

十神「人間、成人男性と思われるな。頭蓋骨の大きさからそう考えていいだろう」

桑田「一人分丸ごと入ってるとか、言わねー……よな……?」

大神「………本数や質量からすると、もしや」

朝日奈「わーわーわー!」
桑田「マジかよシャレんなんね……!」

霧切「………」そっ




「………お父様」ぼそ




苗木「え?」

霧切「コレはきっと、いえ、確実に………父よ。……父の亡骸よ」

大泉「これが?って……骨が……」

戦刃「………」

腐川「じ、じゃあこれをあの鈴井とか言う人が……」

霧切「………でも、やっぱり証拠がない」

苗木「!」

大泉「子猫ちゃん」

霧切「だからあの人は、罪に問えないわ。……悔しくても悲しくても、ね」

霧切「………行きましょう。感傷に浸っている場合じゃない。私達は」

苗木「……いいの?」

霧切「いいのよ。きっとあの人も、この結末は読めていた」

大泉「………行こうか」

苗木「………」



霧切「さようなら、お父様」

502: 2015/05/06(水) 18:13:19.61 ID:EpH04o0KO
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玄関






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503: 2015/05/06(水) 18:15:30.49 ID:EpH04o0KO
苗木(ボク達が玄関ホールに向かうと、そこには鈴井さんが先に待っていた)


鈴井「やぁ」

霧切「……来てくれたんですね。来ないかと思ってました」

大泉「やっぱりアンタ氏ぬ気だったな」

鈴井「ま、色々あってね」

大泉「色々ってなんですか色々って!」

鈴井「とにかく、僕は氏ねなくなっちゃったよ。君のせいだからな、大泉君」

大泉「………へぁ?」

舞園「とにかく、いいじゃないですか、今はこれで」

鈴井「……そうだね。僕が償うのは、もう少し先延ばしにさせてもらおうと思うよ」

大泉「先延ばしねぇ。なんでもかんでも先延ばしにしてぇ……」

石丸「いつか必ず守られる約束なのでしょう?ならば問題ありません!」

霧切「守るかしらね、鈴井貴之が」

鈴井「ちょっと止めてよ」

大神「だが、我らがひとりも欠けなかったのは……貴方のお陰。感謝いたします」

鈴井「いやだからほんと、いいから僕の事は」

桑田「ここ出たら胴上げしねー?」

大和田「何のための胴上げだ?鈴井さんのか?」

石丸「ああ、そうだな!僕達を案じてくれていたミスターどうでしょうを胴上げしよう!」

山田「しかし人一人持ち上げる筋力はナイーヴ……」

葉隠「んならオーガ一人で間に合うべ」

朝日奈「聞こえたよ男子……」ごごご

葉隠「なんで朝日奈っちが怒るん!」

桑田「つかオレらも巻き添え!?」

腐川「あ、相変わらずこのタイミングでうるさいのよ!」

山田「まあまあまあ、いいじゃあありませんか、今は」

戦刃「最高のエンディングではないけど、でも最良のエンディングなのかもしれないね」

苗木「エンディングじゃないよ、これは新しいスタートなんだから」

舞園「そうです、ここからまた新しい旅が始まるんです」

大泉「たどり着いたらそこがスタート、ってね。ゴールを決める余裕なんてのぁ、今はないんだよぉ」

葉隠「まんま夢旅人の受け売りじゃねぇか!」

大泉「うるせぇなぁ!」

504: 2015/05/06(水) 18:17:22.90 ID:EpH04o0KO
鈴井「………苗木君、これを」

苗木「え?」

鈴井「この扉を開けるボタンさ」

霧切「そうね、それを押すなら苗木君がいいかも」

十神「押さないなら俺が押してやってもいいぞ」

朝日奈「それはいいや」

十神「!?」

石丸「新たな門出だ。僕達を勇気づけた君こそ、そのスイッチを押す権利がある」

不二咲「そうだねぇ。お願いだよ、苗木君」

葉隠「んだな!苗木っちが押すといいと俺のインスピレーションにも出て」

大泉「お前のはマジではずれたら困るから黙っとけ」

葉隠「何で!?」

朝日奈「あー、葉隠もいいや」

葉隠「!!?」

セレス「ふふ、いつの間にか私達のナイトになっておりましたわね?苗木君」くすくす

苗木「あー、えーと、じゃあ、ボクが押すけど……」


苗木「………このボタンを押したら、外に出られるんだよね」



苗木「………こう言うのも、一応【卒業】って言うのかな?」


霧切「ふふ、そうね。卒業おめでとう」

505: 2015/05/06(水) 18:17:50.30 ID:EpH04o0KO
大泉「………つーか、ここ出たらとりあえずどうすんだ?」

鈴井「僕は少しやる事があるよ。大泉君、一緒に来るかい?」

大泉「もちろんですとも、ミスター。貴方が行くところなら、例えユーコン、北極圏、HTBの駐車場、四国……どこへでも」

朝日奈「あ、じゃあ私はドーナツ屋さん探す!」

山田「僕もまんだらけ探しますかねぇ……」

大和田「んなもんあるか?」

苗木「可能性はゼロじゃない、んじゃないかな?」

大和田「そうかよ……んならオレぁ、チームのメンバー探してみるか……」

舞園「私もメンバーを探します!……みんなきっと無事ですよね……?」

石丸「僕はどうしたらいいんだ……ううむ……」

不二咲「じゃあ、僕は大和田君に着いていくよ」

大和田「!?」

不二咲「ダメ、かな」

大和田「いや、別にダメじゃあ……」

石丸「兄弟ッ!僕も連れて行ってくれ!三人寄れば文殊の知恵だ!」

大和田「なんだそれ」

大泉「慣用句だよ」

大神「我はまずは道場の生き残りを捜してみるとするか……お主等は?」

桑田「あ?オレはー………あー、グラウンドみてーなとこねーか見てみる」

葉隠「素直じゃねーなオメーも」

桑田「うるせぇよ!オメーこそどうすんだよ!」

葉隠「わかんねー、とりあえず俺のインスピレーションの赴くままに歩いてみっかな。探してぇ人もいるからよ」

セレス「ふふ、では私も探したいものがありますので、そちらに行かせてもらいます」

十神「俺もだ。十神財閥の生き残り……一部は失踪と言っていた、まだ望みは残されている。早急に復興してみせる」

506: 2015/05/06(水) 18:19:56.41 ID:EpH04o0KO
霧切「腐川さんは………」

腐川「ダメって言われても白夜様に着いてくわよ」きりっ

十神「ダメだしその辺で倒れておけ」

腐川「あああああああ!すみません白夜様ああああ!!」

十神「俺が次に視界に入れるまで氏ぬな、面倒だからな」

腐川「了解いたしましたぁん!!」

霧切「みんなバラバラね。貴方は?戦刃さん」

戦刃「……私に選ぶ権利はないから」

霧切「そう。じゃあ、私達と一緒に、行きましょう」

戦刃「え?」

苗木「……ええと、私達って」

霧切「当然貴方も入っているわよ、苗木君。貴方にはやるべき事があるでしょう」

霧切「……最後まで諦めなかった貴方の、【超高校級の希望】を、この世界に広めるための旅」

苗木「超高校級の希望……」

霧切「それまでではないにしても、それに近い事を考えていたんじゃない?」

霧切「外に残っているはずの人を捜す旅、それを始める予定だったんじゃないの?」

霧切「違う?それともそれ以外の事を考えていた?」

苗木「すっごい考え読まれてたみたいで恥ずかしいよ……あと超高校級の希望って何?それもなんか恥ずかしい」

霧切「……言ってみただけよ」

戦刃「希望、か。私も、抱いていいんだよね、希望……」

苗木「もちろんだよ」


苗木「希望って言うのは、どんな人にでも平等に存在するんだから」


ぽちっ



507: 2015/05/06(水) 18:20:33.10 ID:EpH04o0KO
ご、ごごごご


大神「しばしの別れだな」

葉隠「まあまたどっかで会うだろ、生きてりゃな」

戦刃「そうだね、きっとまた会えるよ」


ごごごごご


セレス「ふふ、その時までみなさん、どうぞお元気で」

石丸「ああ、みんなも体調管理には気をつけるんだぞ」

大和田「風邪とか引くんじゃねぇぞ、その……心配するからよ」

舞園「ふふふ、そうですね」


ごごごごご


鈴井「もしかしたらまた近いうちに会う事になるかもしれない。その時はよろしくね」

不二咲「それって……うん、でもその時はやれる事をやります」

朝日奈「うんうん!私でよかったらなんでもするよ!」

山田「今何でもするって言ったよね?」


ごごごごご


桑田「この期に及んで変な事言ってんじゃねーよ!カッコつかねーだろ!」

十神「全くだ、折角の門出が台無しになる……」

腐川「びびび白夜様の新しい人生に何してくれてんのよぉ……」

霧切「まぁいいじゃない、いつもどおりで」

大泉「そうだねぇ、気張らすそのままでいいよ」


苗木「……行こう、未来へ」





ごごごごご―――



508: 2015/05/06(水) 18:22:02.20 ID:EpH04o0KO


苗木(そしてボク達は、歩き出す)

苗木(絶望と氏が支配している、)

苗木(それでもわずかに希望が残った現実へ)

苗木(大丈夫、きっと大丈夫)

苗木(みんなならきっとちゃんとやれるよ)

苗木(ボクはそう信じている)

苗木(例え誰かが信じるのを止めたとしても、)

苗木(ボクは絶対に諦めない)

苗木(必ずいい事が訪れる、ってボクは信じる)

苗木(みんなの事を信じてる)

苗木(この世界を信じてる)


苗木(だって―――)






苗木(人より少し前向きなのが、ボクの取り柄なんだから)





509: 2015/05/06(水) 18:27:34.41 ID:EpH04o0KO
ED:6分の1の夢旅人2002
http://youtu.be/z0Ik6-Wn4Po




彼らの戦いはこれにていったんおしまい。


この扉の向こう側に何があるのか、それはまだ誰も知りません。

けれど、きっと。

その先には、希望が待っているんじゃないかと、思います。

今はまだ、それだけです。


きっとこの先彼らには苦難がたくさん待ち受けているでしょう。
けれど、希望は前に進みます。
だから諦めないでください。
この世界はそんなに、捨てたもんじゃないと思います。


と、ちゃんと読者さんに媚びを売ってだwww

最初は「全員生還のifを大泉洋をぶち込んでやってみよう」なーんて思っちまったわけです。
いやぁ、長かったねぇ。
こんなにシリアスになるとも思ってなかったしねぇ。

完全な意味での全員生還にはなりませんでしたが、これが彼らの結論です。
舞台版見てよけいにねぇ、頃したくないなッ!みんな生き残れよッ!って思っちまったんだもんねぇ。
仕方ないよねぇ。

まあまあまあ、あんまり長く語ってもアレですから。締めますよぉ。






大泉洋「私立希望ヶ峰学園?ドッキリじゃないの?」


         完

510: 2015/05/06(水) 18:30:04.10 ID:EpH04o0KO



















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      ???




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511: 2015/05/06(水) 18:30:30.38 ID:EpH04o0KO
(……)


(………)



(………………)




(………………暑い、)


(暑い、なまらあつい……)

(今年の北海道はやったらめったら暑いなぁ、大泉ィ……)


ざざーん………


(………………)


(………………)

(………………)



「あの、えっと……」


(………………)



「大丈夫………です、か………?その、なんでこんなところで倒れてるんですか………?」


(………………)


(………………ん?)


がばっ


(ここは、北海道じゃ………ない………?)





森崎「どこよここ」

日向「俺も分かりません」



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スーパーナックスロンパ2 さよなら平岸公園

に続………く………?


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512: 2015/05/06(水) 18:33:08.42 ID:EpH04o0KO
続くとか言ってアレですけど今のところ未定です。書くかどうかも未定です。そもそもモリが出るかどうかも未定です。


大泉洋と、チームナックス。
そしてダンガンロンパの生徒達。
オフィスキューの皆さん。
スパチュンさん。ラストでなぜか呼び捨てしちゃった小高さん。

ここまで読んでくれた皆さん。
SS速報さん。
あとはもういろんな人。


全員に最大級の感謝を込めて。


本日のご来場誠にッ!!ありがとうございましたァァァァァッ!!

513: 2015/05/06(水) 18:33:54.15 ID:uouITPgGo
お疲れ様でした

514: 2015/05/06(水) 18:54:23.23 ID:pd4G680m0
お疲れ様でした、楽しかったです

516: 2015/05/06(水) 21:41:13.44 ID:FB6pj7AsO
乙!いいSSだった
大泉洋が好きになったよ
ダンガンロンパもより一層好きになっちまったよ

524: 2015/05/07(木) 01:17:20.27 ID:EbQFKXaxO

どうでしょう知らんかったが面白かった

引用: 葉隠「2・一度は行きたい希望ヶ峰学園」大泉洋「ダメ人間っ!」