1: 2024/07/03(水) 21:32:56 ID:???00
瑠璃乃「あっつ~」ガララッ

花帆「コーラ! コーラ!」

瑠璃乃「冷えてっかなー」

花帆「大丈夫だよ! バッチェ冷えてるよ!」

さやか「なんですかその言葉遣い……。暑いのでエアコン点けますね」ポチッ

瑠璃乃「んぐんぐ……。ぷはぁ! やっぱコーラだねぇ!」

花帆「はぁ~、生き返るね~」

さやか「ですねぇ……。ですが、糖質の塊なのでどうしても罪悪感がありますが……。それで、どうしますか? エアコンが効いてから配信を始めますか?」

瑠璃乃「どうしよっか花帆ちゃん」

花帆「ふっふっふー。愚問だね瑠璃乃ちゃん。あたしたちが今からする配信は何かな?」

瑠璃乃「はい! 夏の暑さをぶっ飛ばす、納涼怪談配信です!」

花帆「大正解! 景品に特大のフラワーをプレゼントです! フーラワ~」ホワワ…

瑠璃乃「やーりぃ! フラワーもらっちった!」

さやか「では、配信の準備しちゃいますね」イソイソ

花帆「うん! さやかちゃんにもフラワーあげるね! フーラワ~」ホワワ…

瑠璃乃「え゛ぇ!? クイズの正解者だけじゃないの!?」ガビーン

花帆「フラワー株は投げ売りになりました~」

さやか「二人共、配信が始まるのでそれくらいで。では、ぽ~ちっ」

:キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

:繋がった!

:待ってた!

:がい

:待ちわびたぞ

花帆「ふんふん。配信始まってるみたいだね。こんばんはー! あたしは蓮ノ空女学院二年生の──」

2: 2024/07/03(水) 21:33:28 ID:???00


花帆「とゆーわけで! 暑い夏にぴったりな怪談話を各自披露して、納涼しましょうというのが今回の企画でーす! わ~、ぱちぱちぱち!(回転拍手)」

さやか「初めてですねー。ホラーテイストな配信って」

瑠璃乃「ふっふっふ……そうだねぇ、さやかちゃん(腰に手を当てながら)」

さやか「どうしたんですか瑠璃乃さん。不敵な笑みを浮かべて」

瑠璃乃「今宵のルリは、一味も二味も三味も違いますぜ。にやり」

さやか「自分でにやりって言ってる!」

瑠璃乃「お゛っ、さすがショートコントを経験した人のツッコミは違いますなぁ~」

花帆「だねぇ。よっ、芸達者!」パフパフ

さやか「や、やめてください! ほらそこ! DOLLCHESTRAのDの構えを取らないでください!」

花帆「あははっ、ごめんさやかちゃん。それで瑠璃乃ちゃん、なにやら含みのある感じだったけど……」

瑠璃乃「あっ、そうだった。今回のために、きちんと怖い話を考えてきました!」

3: 2024/07/03(水) 21:34:01 ID:???00
花帆「えらい! えらいよ瑠璃乃ちゃん!」

さやか「……考えてきた、ですか?」

瑠璃乃「あっ、ちゃうちゃう。ちゃ~んと聞き込みして、怖い話をしゅーしゅーしてきやした!」ビシッ

花帆「これは期待できそう! だよね! コメントのみんな!」

:るりちゃんは偉いなぁ

:早く怖い話をしてくれ。寒い

:脱ぐな

:みんなはホラーとか平気なの?

花帆「あー……正直あたしはホラーって苦手、カモ……。でもでも! さやかちゃんと瑠璃乃ちゃんっていう心強い味方がいるからきっと大丈夫! がんばるぞー!」

さやか「わたしは肝試しを経験したくらいなので何とも。もしかすれば、瑠璃乃さんに縋り付いてしまうかもしれません」

瑠璃乃「そん時はどーんと来いだよ!」バンッ

さやか「ふふっ。頼もしいです」ニコッ

花帆「じゃあ、順番はどうする? 期待感上がってるだろうし、瑠璃乃ちゃんからはどうかな?」

瑠璃乃「おっけー! では僭越ながらこのルリくしが、怪談話を語らせて貰います──」

4: 2024/07/03(水) 21:34:38 ID:???00


 二人は知ってると思うけど、蓮ノ空って全寮制なんだよね。全生徒学年関係なくみ~んな寮で独り暮らしを始めんの。最初は心細かったりするけど、友達ができればもう怖くない! 気軽にお泊りとかできるし、ルリはすっごい気に入ってる!

 それで本題に入るんだけど、蓮ノ空にも学園七不思議的な怖い話が伝わってるんだ。やっぱ伝統ある学園だからさ、ちょ~っと古すぎね? って奴とか、ぜんぜん意味わかんない話までたくさんあんの。その中でルリがいっちば~ん印象に残ってる話がね、夜な夜な寮で聞こえてくる、奇妙な声の話なんだ。

 あ、一つ断っておくけど、怖かったら席を離れてもいいかんね。あくまで怖いのを楽しむ企画だからさ、怖いだけになっちったらルリも嫌だし。うん、さやかちゃん。花帆ちゃんの手、握っててあげて。ありがと。

 ではでは、寮で聞こえてくる奇妙な声を始めていきやす。

 まず初めに、実は蓮ノ空の寮ってさ、一度建て替えられてるらしいんだよね。ルリたちが生まれてくるより前の話でね、火事が原因なんだって。

 当時を知る寮母さんによると火の不始末が大元だったらしくて、木材建築だった寮は一気に燃えちゃったんだって。

 時刻は深夜。急いで外に出た生徒が見たのはね、真っ赤に燃え盛る寮の建物。直視できないくらい眩しかったらしくて、遠くから呆然と見守るしかなかったんだって。

 それで、避難した生徒が校庭に集まる中、何か音が聞こえたんだって。ぱちぱちって木材が弾ける音、じゃない。ごうごうって、酸素を取り込んで勢いを増していく炎の音、でもない。

 鈍くて低い、金属が叩かれるような音だったんだ。

 どこからだろうって、手持無沙汰な生徒が寮を見てたらね、悲鳴があがったの。そこには尻餅を突いた生徒がいて、とある一点を指差してた。みんなね、自然とそこに視線を注いで、目を細めて、眩しいけどだんだん見えてきたみたいで。

 そこには、鉄格子を必氏に叩く、赤黒い生徒がいた。

 たぶん、寝ちゃってて避難が遅れたんだろうね。起きた時には既に遅くて、玄関奥の廊下は炎で進めなくて、窓からは鉄格子が邪魔で脱出できない。

 それでも、生きるのを諦めるなんてできるわけないじゃん?

 炭になっていく腕で鉄格子を外そうと頑張るけど、簡単に外れるわけもなくて、断末魔みたいな絶叫を声にしながら生き足掻く。

 痛みと恐怖で流れる涙は蒸発して、肺に入る空気は灼熱で。一分一秒ごとに擦り減っていく命を、校庭にいる生徒たちはじっと見てるしかなかった。

 でも、その時は必ずくるみたいで、ずるって落ちたんだ。立っていられる余裕もなくて、鉄格子の内側に消えちゃった。

 でも、炭化した腕だけは、鉄格子を掴んで残ったままだった。

 それと、これは後日談なんだけど、〝見ちゃった〟生徒の多くが心の病気に罹っちゃったみたいで、幻覚とか幻聴の症状が出たんだって。

 燃えて消えた寮跡地に、揺らめく人影を見たって話とか、両耳をつんざくような絶叫が聞こえたとか。

 それからなんだ。蓮ノ空でその噂が流れ始めたのは。

 今ルリたちが住んでる寮のとある一室。

 焼氏しちゃった生徒とちょうど同じ位置にある部屋からね、うめくような、でも叫ぶような奇妙な声が、ときおり聞こえてくるんだって……。

5: 2024/07/03(水) 21:35:09 ID:???00


瑠璃乃「──とゆーのが、ルリからの怖い話でした。ごせーちょー、ありがとーございましたっ!」ペコリ

花帆「ふぇ、ふぇぇぇ……さやかちゃぁん……」ガクブル

さやか「だ、大丈夫ですか花帆さん。あの、制服が伸びちゃうのであまり強く引っ張らないでいただけると──」

花帆「むぅりぃ!!!!!」ガシッ

さやか「むりかぁ……」トホホ…

瑠璃乃「あはは……。大体ルリのそーぞーした通りの結果だなぁ。コメントのみんなはどうだった? ルリの声でも怖かったかな?」

:怖いっていうか、悲しい😭

:るりちゃんの低い声こわい😭

:あの時は熱かったなー

:ご本人登場とか熱いな

:火事だから熱いってかw

:さむ

:同じ位置に住んでる娘から話って聞いてる?

瑠璃乃「あ~……実はさ、ちょいいいにくいんだけど……あの部屋に住んでるの、ひめっちなんだよね。あはは……」ポリポリ

:深夜に聞こえる奇妙な声……🤔

:ゲーマー、発狂、ゴキゲンな声

:謎は解けたようだな

6: 2024/07/03(水) 21:35:38 ID:???00
瑠璃乃「ま、まぁ、ひめっちも極力叫ばないよう気を付けてるって言ってたからさ、うん! 大丈夫だよ! 一回寮母さんに怒られてたけど!」

さやか「寮の壁、厚いわけじゃありませんからね……」

花帆「……ふぅ。ようやく落ち着いてきた。あたしもね、コメントにあったけど、怖いってよりも悲しいって気持ちの方がおっきいかなぁ」

さやか「その割にしがみついてくる力、強かったですけどね」

花帆「それはいーの! ほら、さやかちゃんは思わないの? 廊下は火がいっぱいで出られない。窓からは鉄格子が邪魔で出られない。それって、すごく痛くて怖くて……氏んじゃった人のことを考えたら、辛くて悲しいよ……」カニョーン

さやか「花帆さん……」

瑠璃乃「うん。ルリ、花帆ちゃんの気持ちすっげーよく分かる。実はさ、今回この話を選んだのには別の理由があるんだ」

花帆「……別の理由?」グスッ

瑠璃乃「うん。コメントのみんなにもお願いなんだけど、十秒くらいでいいからさ、黙とうを一緒にして欲しいなって」

さやか「なるほど。瑠璃乃さんらしい提案ですね」

瑠璃乃「二人はどう? 配信でやるには重いってルリ分かってんだけど、この話を聞いたルリには責任があるってゆーか、あまりに氏んじゃった娘が浮かばれないってゆーかさ……」

さやか「ふふっ、わたしは賛成です。いいですよね、花帆さん」

花帆「うん! がくぶるする怖さだったけど、悼む気持ちに変えるね!」

花帆「……そうすれば、怖い思いも少なくなるかもしれないし」ボソッ

:るりちゃんマジ天使

:黙とうして欲しいスクールアイドル第1位

:名誉なんだか不名誉なんだか

:俺にも黙とうしてくれ!!!!!

:黙とう配信たぁ、斬新だぁ

:全力で黙とうを遂行する

瑠璃乃「ありがと! 好き好きクラブのみんなもお願いね! ではでは、十秒間の黙とうを始めます。黙とう──」

さやか「……」

花帆「……」

瑠璃乃「……」

7: 2024/07/03(水) 21:36:07 ID:???00


花帆「じゃあ、次はあたしが話してもいい?」ピッ

さやか「はい、もちろん。とすると、トリはわたし、ですか」

花帆「うん。トリは頼んだよ!」グッ

さやか「まぁ、構いませんが……二番目にしたいって理由とかあるんですか?」

花帆「えっ、あ、あはは……。じ、実はね、ほら、あたしって怖いのとか苦手でしょ? だからそもそも、怪談に向いてないっていうか、自信がないんだよね」タハハ…

さやか「なるほど。けれど、そういう方が話す怪談というのも惹かれますね」

瑠璃乃「うんうん。怖がりの方が怖いポイントとか押さえてきそうだよね」

さやか「たしかに」コクリ

花帆「え、えぇ? そうかなぁ……。でも、期待されたからには日野下花帆、頑張ります!」グッ

8: 2024/07/03(水) 21:36:50 ID:???00


 納涼に使う怪談ってことで、得意じゃないけど色んな怖い話を漁ってみたんだ。でもね、そのどれもが怖くって、背筋が冷えるには十分で、どれを選べばいいかってわかんなくなっちゃったの。だから、どこかの誰かの話を引用するのはやめて、自分の話をすることに決めたんだ。自信がないって言ったのは、この辺にも由来してて……。ってだめだね、冷めること言っちゃ!

 えっと、ごほん。この話は一年前。あたしが一年生だった頃の話なの。確か、六月頃、だったかな? その日はいつも通り学園に行く準備をして、玄関の前に立ったの。そしたらね、玄関扉に小包が投函されてたの。

 宛先はあたし、日野下花帆。差出人は書いて無かったんだ。誰だろうって思って中を開けたら、ラナンキュラスが入ってたの。それも、造花だった。つまり、誰かがあたしにラナンキュラスを贈ってくれたんだって思った。

 今思うと差出人不明って時点で怪しいんだけど、当時のあたしはスクールアイドルになりたてだったからさ、アイドルならそういうこともあるんだーって変に納得しちゃって。それに、ラナンキュラスってあたしの好きなお花だったし、嬉しい気持ちの方が上だったんだ。

 それから何度か、同じように造花が送られることがあってね。とある日、どういう時にお花が送られてくるのか法則性が分かったんだ。

 あれは、練習の成果が出なくてちょっと落ち込んでる時だった。配信でも、ちょっと凹んだあたしを見せちゃってね、その時こう言ったの。「こんな時、カモミールを見れば元気出るかも」って。カモミールはね、逆境に耐える力って花言葉があって、ちっちゃいけど勇気と元気を貰えるお花なんだ。

 でね、数日後、玄関扉に小包が投函されてて、中にはカモミールの造花があったの。察しの悪いあたしでも、さすがに気付いた。配信で言ったお花が贈られてるんだって。それとね、花弁にちっちゃいお手紙が挟まってて、「いつも応援してます」ってメッセージまであったの。こんなあたしでも見てくれてる人は確かにいて、応援してくれる人がいるんだって思ったら元気が沸いて来てね、落ち込んでばかりいられない! って思ったんだ。

 それから配信でお花の名前を出す度にあたし宛ての造花は増えていって、お部屋の一角に造花コーナーも作ったんだ。テスト勉強してる時とか、それを見ると勇気を貰えたりして、本当にありがたかったの。

 でもね、ある日貰ったリンドウだけは、身が竦むような思いだったんだ。

 うん。リンドウ。そこにもお手紙が入ってた。

 「いつもあなたを見てます」って。

 その時のあたしは、起き抜けに外の風でも浴びようかって玄関に向かってたの。寝ぼけてて理解するのに時間が掛かったんだけど、少しずつ怖くなっていったんだ。

 あのね、数日前の配信でちょっとネガティブな言葉は言っちゃったんだ。配信も好きだけど、やっぱり顔が見えない分、本当に画面の向こうにみんながいるのか不安になっちゃうなって。

 だから、「いつもあなたを見てます」なのかなって。お手紙は手書きで書かれてたから、コメントに比べると本当の人って感じがするでしょ? そういう意図があったのかなって。でも、やっぱり言葉が言葉だから、ちょっと怖かった。

9: 2024/07/03(水) 21:37:23 ID:???00
 一瞬ストーカーって文字も過ったけど、好き好きクラブのみんなに失礼だと思ってすぐ考えるのをやめた。一応、造花のコーナーにリンドウは置いたけど、もやもやはお腹に溜まったままだった。

 そのままいつも通り学園に登校したんだけど、授業を受けてる途中も、お昼休みの時も、放課後の練習の時も、小骨が喉にあるみたいな違和感がずっとあって、なんでだろうって、思ってた。

 寮に帰ってから、違和感を払拭するために昨晩の配信を見返したの。何かヒントがないかなって。

 大正解だった。それに気付いた瞬間、背筋が凍っちゃった。血管に氷が流れてるみたいに冷たくなって、思わず立ち上がっちゃった。

 だってあたし、配信でリンドウなんて一言も言ってないんだもん。

10: 2024/07/03(水) 21:38:03 ID:???00


さやか「……え」ゾッ

瑠璃乃「リンドウなんて言ってないって……」

花帆「うん。その配信で、あたしはリンドウなんて一言も口にしてないよ」

さやか「で、では、なぜリンドウを……あっ、花言葉、ですか?」

花帆「うーん。どうだろ。リンドウの花言葉って、勝利とか誠実とか、ちょっと意味深なので悲しむあなたを愛する、とかあるけど……」

花帆「んー、でもね、この話であたしがゾッとした一番の理由って、リンドウって言ってないことじゃないんだ」

さやか「では、なんなんですか……?」

花帆「うん。実はあたし、リンドウって言ってたの」

瑠璃乃「……ん? ど、どゆこと? 言ったんなら贈られてもいつも通りじゃね?」

花帆「あはは。ごめんね、分かり辛くて。配信では言ってないけど、蓮ノ空では言ってたの」

花帆「学園でした雑談の中に、リンドウがでてきたんだ。だから、画面向こうのみんなが知るわけないんだよね。」

さやか「は……そ、それってつまり、盗聴、とか、そういうこと、ですか……?」

瑠璃乃「え、えぇ!? や、やばやばじゃん! あっ、アレだよ! 『いつもあなた見てます』って、造花に隠しカメラでも仕込んであったんじゃね!?」

:こっわ

:ストーカーじゃん

:やっぱ生きてる人間が一番怖いんだよな

:氏人なんてなんもできないんだから怖くないねんな

:今すぐ警察に駆け込もう!

:花帆ちゃんを守れ!

:助けて梢先輩!!!!!

花帆「あ、うん。造花を贈ったのって、梢センパイだったの」

さやか・瑠璃乃「……は?」ポカーン

11: 2024/07/03(水) 21:38:35 ID:???00
花帆「ほら、梢センパイって、平安貴族の文のやり取りとか好きそうだよね。風流というか雅やかとかいうか。応援のお花を一輪贈るのも、そんな感じだったみたい」

さやか・瑠璃乃「……(絶句)」

花帆「あれ、どうかした? 二人共」キョトン

さやか「はっ! で、では……『いつもあなたを見てます』は……」

花帆「『いつも(頑張る)あなたを見てます』って意味だったみたい。言葉足らずだよね、もうっ」

瑠璃乃「配信で言ってないリンドウは……」

花帆「リンドウの話を学園でしたの、梢センパイとだもん」

さやか・瑠璃乃「……はぁ」

花帆「そもそも、最初から気付くべきだったんだよね。差出人不明の小包なんて生徒にまで届くはずないって。梢センパイが注文して、あたしの部屋に投函されるまで数日。サプライズ気分でわざわざ深夜に届けてくれたんだって」

:こずパイはさぁ

:浮かれポンチ先輩はさぁ

:おとむーほんまお前……

:梢先輩を惑わす花帆ちゃんも悪いと思います。いややっぱ梢先輩が悪いわ

:面白けりゃなにやってもいいわけじゃねーぞ!

花帆「でねでね、その一件以降、たまに造花を贈り合うようにしてるんだ! 梢センパイの部屋にもね、あたしの贈った造花コーナーがあるみたい! えへへ。一輪ごとに幸せが広がってくみたいだよね~」ニコニコ

:スリブが幸せそうでよかった

12: 2024/07/03(水) 21:39:13 ID:???00


さやか「えぇと、ホラーの空気が壊れましたが一応……わたしの順番なので」

花帆「ごめんね。やっぱりあたしの話、怖く無かったよね」

瑠璃乃「とちゅーまでは満点だったんだけどなー……」

さやか「それでわたしの怪談なんですが、少し、趣向を凝らしたものにしようかと思っていて」

瑠璃乃「しゅこー。なんだなんだ?」

さやか「ふふっ、慌てないでください。好き好きクラブの皆さんにも参加して貰いますから」

:お、マジ?

:やったー!

:コメント参加型ほんまたすかる

さやか「わたしが提案するのは、ウミガメのスープです」ピッ

瑠璃乃「ほー、ウミガメのスープ」

花帆「いいねいいね! 怖い話の真相に、あたしたちの手によって迫っていくんだ!」ワクワク

瑠璃乃「なんかホラゲーっぽい!」

※ウミガメのスープとは、『男は水を飲んだ。次の日、男は氏んだ』みたいな、『なんで?』に関して出題者に質問して『なんで?』の答えを探っていくゲームです。質問数が少なければ少ないほど優秀とされます※

さやか「では、出題します」

さやか「たいへん賑やかで盛況なお祭りがありました。その女の人はとても楽しくお祭りを過ごしました。満足してベッドに入って寝る直前、女の人は血の気が引き、蒼褪めました。さて、なぜでしょう?」

瑠璃乃「お祭りは賑やかで、女の人も楽しんだ。なのに血の気が引く……ふむふむ」

花帆「わー! ウミガメのスープだ! なんでだろなんでだろ! コメントのみんなもどんどん質問送って来てね!」

:怪談、それもお祭りとなると、奇祭とかなのかな

:賑やかで盛況だけど、普遍的に楽しいお祭りではないかもしれない。女の人が楽しいだけで、他の人にとっては違うかもしれない

:まずは俺らパンピーが体験しても楽しいのかどうか質問するべきじゃね?

13: 2024/07/03(水) 21:39:53 ID:???00
花帆「ふんふん、ふんふん。なるほど~。あたしたちにとってもお祭りは楽しいのかどうか。確かに重要そう!」

瑠璃乃「……むむ(腕組み)」

さやか「ふふふ。質問は何かありますか?」

瑠璃乃「……ね、さやかちゃん」

さやか「はい、なんでしょう?」

瑠璃乃「その女の人は、さやかちゃんですか?」

さやか「──」ビクッ

花帆「……え?」

:なにこの村長の反応

:核心ですか? 早くも

:うせやん

さやか「は、はい……」

瑠璃乃「あ~……ごめん。ルリわかっちった」

瑠璃乃「答えは、滑ったことに気付いたから」

さやか「うぐっ……」

花帆「うぐって……もしかして、さやかちゃん……」

:うぐぅ

:あゆあゆかな

:たい焼き食え!

さやか「せ、正解、です……」

瑠璃乃「……」

花帆「……」

14: 2024/07/03(水) 21:40:23 ID:???00
瑠璃乃「……なんか、ごめんね、さやかちゃん」

さやか「いえ、いいんです……。それもこれも、滑ったわたしが悪いんですから……」

さやか「ふふふ……あの過去を怪談にして清算しようだなんて考えたわたしが愚かだったんです。猿知恵、愚昧、軽挙妄動……。ほら、見てください。この微妙な空気……。わたしは結局、なにをやっても滑るんです……」ズ~ン

:どうすんだよこの空気

:今日のお通夜会場はここですか?

:通夜きちー

:なんとかしてくれ花帆ちゃん

:フラワーって言えばなんとかなる

:通夜の献花か?

:笑えねーヨ!

花帆「ふ、フラワ~……!」ホワワ…

さやか「……ははっ」

瑠璃乃「……こんな空気にしちゃってごみん……。ルリはみじんこです……」

花帆「ああ!? 瑠璃乃ちゃんの充電まで切れた!? 嘘!? このお通夜みたいな空気あたし一人でどうにかしなきゃなんないの!?」

花帆「た、たすけてみんな!」ガバッ

:南無三

:本日二度目の黙とう

:(-人-)

:(-人-)

:(-人-)

:ブラックジョークすぎる

15: 2024/07/03(水) 21:41:00 ID:???00


花帆「そ、それじゃあ色々あったけど、またねみんな! ぽ~ちっ!」

花帆「……ふぅ」ギシッ

さやか「お、お疲れ様でした花帆さん、瑠璃乃さん。すみません、変な空気にしてしまって……」

瑠璃乃「や。元はと言えば、ルリが悪いんだし……」

花帆「あ、あーもう! やめ! やめやめ! 反省会はまた今度! なんだかんだ、好き好きクラブのみんなも楽しんでくれたし、今日はそれで満足しよ?」

瑠璃乃「……そだね。うん。初めてのホラー配信だったけど、手応えじゅーぶんかも」

さやか「え、ええ。夏本番の八月も控えていますし、もう一度するのもいいかもしれませんね……リベンジの意味も込めて」

花帆「うんうん。花帆はもう一度やりたい気持ちでいっぱいです。あ、そういえばさ、こんな話聞くよね」

花帆「怖い話をしてると、幽霊が寄ってくるって」

瑠璃乃「でた! ホラーの定番!」

さやか「ふふふ、ですね……あっ」スッ

花帆「え、なにさやかちゃん。あたしを指差して」

さやか「い、いえ。花帆さんの左肩に、その……あぁっ!?」ビクッ

花帆「えっ!? きゃあああっ!? ゆ、幽霊!? た、助けて瑠璃乃ちゃん!!!」ダッ

ドンッ

瑠璃乃「ぐえっ」

花帆「どこ!? 幽霊どこ!? こわいよー! 幽霊やだー!!!!!」

さやか「……ふふっ、ごめんなさい花帆さん。嘘ですよ」

花帆「……へ?」ポカーン

さやか「だから、嘘です。左肩に幽霊なんていません。お茶目な冗談です」ニコッ

花帆「な、なーんだ、嘘かぁ。も~、さやかちゃんったら~。あたし怖いの苦手だって知ってる癖に~!」プンスコ!!

さやか「まさかここまで怖がるとは思ってもみなかったので、ごめんなさい」

花帆「ま、いーけど……」

16: 2024/07/03(水) 21:41:36 ID:???00
ガンッ!!

花帆「ひえ!?」ビクンッ

花帆「な、なに今度は!? 入り口になにか仕込んだの!?」

瑠璃乃「え、いやルリたち、なんにも仕込んでないけど──」

ドンドン!!

ドンドン!!

瑠璃乃「ぴゃあっ!?」ビクンッ

瑠璃乃「が、ガチの心霊現象!? ルリがあんな話したから来ちゃったの!?」

さやか「み、皆さん! 部屋の隅に固まりましょう!」タッ

花帆「う、うんっ」

ガンガンッガンガンッ!!

花帆「きゃあっ!? た、たすけてさやかちゃん!」ガシッ

さやか「は、はいっ、瑠璃乃さんもこちらへっ!」

瑠璃乃「や、やばいやばいやばいやばい……っ! 本物はルリだめだって……!」ブルブル…

ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!!!

瑠璃乃「こ、こえぇっ! たすけてめぐちゃんっ!!!」ギュッ

さやか「綴理先輩……っ!」ギュッ

花帆「た、たすけて……たすけて……梢センパイっ!!!!!」

梢「花帆!? いるのね花帆! 今助けるから待っていて!」ドンドンドン!!

花帆「え……」ポカーン

さやか「梢……」ポカーン

瑠璃乃「先輩……?」ポカーン

17: 2024/07/03(水) 21:42:21 ID:???00


梢「私としたことが不覚ね……。引き戸なのに前に押していたわ……。入れないはずよね……」ズーン…

花帆「い、いえ。あたしが悲鳴なんてあげたからですよ!」

梢「……ふふっ、花帆は優しいのね。これがもし、本当に危機的状況であったなら、あなたは今頃生きていないかもしれないのに……」

花帆「……じゃあ、次こそ助けてくださいね」スッ

花帆「梢センパイのこと、信じてますから」ニコッ

梢「花帆……」

さやか「あの、ちょっといいですか? どうして梢先輩はここに? 部室に何か用事があって、その途中で花帆さんの悲鳴を聞いたから急いで来たんですよね?」

梢「ああ、そのことね。それは……あら?」ピクッ

瑠璃乃「どーかしたんすか?」コテン

梢「いえ、ずいぶん冷えていると思って、この部屋」

瑠璃乃「え? そりゃ、エアコン点けてるんで」

梢「エアコン? 直ったの?」

瑠璃乃「直った? どゆことですか?」

花帆・さやか「?」

梢「だってほら。エアコンを見て」スッ

梢「何も駆動音が聞こえないじゃない。今日の放課後から故障してるみたいなのよ」

花帆「え……。じゃ、じゃあなんで、今こんなに冷えて……」

梢「だからあなたたちに質問しているんでしょう?」

さやか「……本当だ。リモコンを押してもうんともすんとも言わない」ポチポチ

瑠璃乃「え、え。ど、どゆこと……?」

梢「今さら気付いたの? では、それが理由じゃなかったのね」

花帆「理由?」

梢「ええ。予定時刻になっても配信されていないから、心配になって来てみたのよ」

花帆「……え」ピクッ

18: 2024/07/03(水) 21:42:53 ID:???00
梢「そういえば、エアコンの故障を周知してないと思い出してね。配信が遅れている理由もそこにあるんじゃないかと思っていたのだけれど……その様子を見る限り、別の理由みたいね」

瑠璃乃「……ね、さやかちゃん。ルリ、やべー想像してんだけど」

さやか「……奇遇ですね、瑠璃乃さん。わたしも全くの同感です」

花帆「え、え……? あっ! アーカイブ! アーカイブを確認すれば────────嘘」

花帆「なにも、残ってない……?」

花帆「じゃ、じゃあ、あたしたちが読んでたあのコメントは……」ゾッ

梢「どうしたの三人共。顔が青いわよ?」キョトン

花帆「……ねぇ、さやかちゃん、瑠璃乃ちゃん」チラッ

さやか「はい……」

瑠璃乃「うん……」

花帆・瑠璃乃・さやか「今日は一緒に寝よう!/寝ましょう!」ダキッ



おしまい

19: 2024/07/03(水) 21:43:16 ID:???00
おまけ

梢(私は混ぜて貰えないのかしら……)

20: 2024/07/03(水) 22:14:46 ID:???00
面白かった
こういう締めすき

21: 2024/07/04(木) 06:53:35 ID:???Sr
おつ

蓮ノ空では毎年100-200人が消息不明になってるからね…

引用: 【SS】花帆「納涼怪談配信するよ!」