338: 2015/03/01(日) 00:37:36.28 ID:5L3ZvZIx.net
【ラブライブ】希「私がウチになれたのは。」【その1】
【ラブライブ】希「私がウチになれたのは。」【その2】
「んーっ。」
「もう春やなあ…」
両手を合わせて伸びをして
カーテンを開けて外を見る
「…ふふっ。」
いつからやろ?
この景色が色づいたのは
いつからやろ?
学校に行くのが楽しみになったの
一年前の自分を思い出す
「…もう、一年経ったんやね。」
あの頃から
「…おっと、そろそろ出ないとな。」
339: 2015/03/01(日) 00:42:04.70 ID:5L3ZvZIx.net
学校に続く桜並木
そのアーチをくぐり抜けた先にある、音ノ木坂
色んな事があった去年
今でも、ちゃんと思い出せる
ウチがして来た事
全部、ここで起こった事
その中で、出会えた人・もの
それが、今のウチを作るなにもかも。
ポン、と肩を叩かれた
「…おはよう、希。」
「おはよ、にこっち。」
黒いツインテを揺らして、横に並ぶ
そのアーチをくぐり抜けた先にある、音ノ木坂
色んな事があった去年
今でも、ちゃんと思い出せる
ウチがして来た事
全部、ここで起こった事
その中で、出会えた人・もの
それが、今のウチを作るなにもかも。
ポン、と肩を叩かれた
「…おはよう、希。」
「おはよ、にこっち。」
黒いツインテを揺らして、横に並ぶ
340: 2015/03/01(日) 00:43:10.91 ID:5L3ZvZIx.net
「今年もよろしくな?にこっち。」
「それは、初詣の時に言ったじゃない。」
「えへ、何となく♪」
「…まあいいわ。」
「それより、クラス替えに寄ってはアンタ一人なのかもよ?」
「あ、忘れてた。」
「…にこっち、遊びに行ってもいい?」
「…アンタ、ほんとに変われたの?」
「にこ離れしなさいよね。」
そうは言っても、にこっちも嬉しそうやん?
「そりゃあ、他の皆とも仲良くするけど…」
「にこっちは、トクベツやん?」
「なっ…!?///」
「それは、初詣の時に言ったじゃない。」
「えへ、何となく♪」
「…まあいいわ。」
「それより、クラス替えに寄ってはアンタ一人なのかもよ?」
「あ、忘れてた。」
「…にこっち、遊びに行ってもいい?」
「…アンタ、ほんとに変われたの?」
「にこ離れしなさいよね。」
そうは言っても、にこっちも嬉しそうやん?
「そりゃあ、他の皆とも仲良くするけど…」
「にこっちは、トクベツやん?」
「なっ…!?///」
341: 2015/03/01(日) 00:49:35.92 ID:5L3ZvZIx.net
「…あら?そのトクベツに、私は入っていないのかしら。」
「おはよ、えりち。」
「ちゃんと、入っとるよ?」
「…にこっちもえりちも、大好きやもん♪」
「「…!///」」
「ん?照れてるん?」
ニヤっと笑って、二人を見る
「…はあ。希は今日も絶好調ね。」
「ホント、いつのまにこんなひねくれた性格になったのよ。」
「変えてくれた人のが、うつってしまっただけやもーん。」
「ちょっと、それどういう意味!?」
「おはよ、えりち。」
「ちゃんと、入っとるよ?」
「…にこっちもえりちも、大好きやもん♪」
「「…!///」」
「ん?照れてるん?」
ニヤっと笑って、二人を見る
「…はあ。希は今日も絶好調ね。」
「ホント、いつのまにこんなひねくれた性格になったのよ。」
「変えてくれた人のが、うつってしまっただけやもーん。」
「ちょっと、それどういう意味!?」
342: 2015/03/01(日) 00:50:42.96 ID:5L3ZvZIx.net
たわいない話をして、並木道を抜ける
この門をくぐれば、新しい一年が始まる
ここにいる二人といれば、何だって出来る
もう、あのときとは違う
振り返らない
ここがまた、新しいスタート
どんな事があっても、今のウチらなら乗り越えられる
本気で、そう思える
…ここに来て、良かった
校舎を見上げると、春風が吹いた
「さ、いこっか♪」
そう言って、足を踏み出した
この門をくぐれば、新しい一年が始まる
ここにいる二人といれば、何だって出来る
もう、あのときとは違う
振り返らない
ここがまた、新しいスタート
どんな事があっても、今のウチらなら乗り越えられる
本気で、そう思える
…ここに来て、良かった
校舎を見上げると、春風が吹いた
「さ、いこっか♪」
そう言って、足を踏み出した
343: 2015/03/01(日) 10:39:09.50 ID:5L3ZvZIx.net
「クラス分け、張り出されてるわよ。」
生徒が、掲示板の前に集まってる
「今になって緊張して来た…」
もし、二人と離れてしまったら…
「今更どうしようもできないし…」
「とにかく、見てみない?」
えりちに言われて、三人で掲示板の前に
「えーっと…」
「…」
あ、ウチの名前、あった!
同じクラスは…
「あ。」
「ふふっ。今年も、よろしくね?」
えりちがウインクした
生徒が、掲示板の前に集まってる
「今になって緊張して来た…」
もし、二人と離れてしまったら…
「今更どうしようもできないし…」
「とにかく、見てみない?」
えりちに言われて、三人で掲示板の前に
「えーっと…」
「…」
あ、ウチの名前、あった!
同じクラスは…
「あ。」
「ふふっ。今年も、よろしくね?」
えりちがウインクした
344: 2015/03/01(日) 10:39:37.46 ID:5L3ZvZIx.net
「にこっちは?」
「に…」
「にこだけ、違うクラス…」
「に、にこっち…」
まさか、言ってた本人がそうなるなんて
「あ、でも、部員の子は同じクラスやん!」
「え、ほんと!?」
「うん、ほら!」
掲示板を指差す
「…よかった。」ボソッ
なんだかんだ、にこっちも不安なんやね
「それじゃ、教室に行きましょうか。」
「に…」
「にこだけ、違うクラス…」
「に、にこっち…」
まさか、言ってた本人がそうなるなんて
「あ、でも、部員の子は同じクラスやん!」
「え、ほんと!?」
「うん、ほら!」
掲示板を指差す
「…よかった。」ボソッ
なんだかんだ、にこっちも不安なんやね
「それじゃ、教室に行きましょうか。」
345: 2015/03/01(日) 10:40:07.28 ID:5L3ZvZIx.net
階段を使って、今までとは違う階に
見慣れた風景でも、高さが変わると新鮮に思える
「…さ、ここでお別れね。」
「にこっち、寂しくなったらいつでも来るんよ?」
「べっ、別に寂しくなんか…!」
「…でも、たまにはお邪魔するわ。」
「もう、にこっちも素直じゃないなあ♪」
ぎゅっと、抱きしめてみる
「ちょっと、離しなさい!!」
じたばたするにこっちを離して
服の乱れを軽く直す
見慣れた風景でも、高さが変わると新鮮に思える
「…さ、ここでお別れね。」
「にこっち、寂しくなったらいつでも来るんよ?」
「べっ、別に寂しくなんか…!」
「…でも、たまにはお邪魔するわ。」
「もう、にこっちも素直じゃないなあ♪」
ぎゅっと、抱きしめてみる
「ちょっと、離しなさい!!」
じたばたするにこっちを離して
服の乱れを軽く直す
346: 2015/03/01(日) 10:42:05.43 ID:5L3ZvZIx.net
「…それじゃ、行くわ。」
「またね、にこっち。」
にこっちは、教室に入って行った
「私たちも、行きましょうか。」
「うん♪」
ガラッと扉を開け、中に入る
見知った顔や、初めて見る顔もそこにはある
みんなと、早く仲良くなりたいなあ…
数人が、こっちに近づいてくる
「おはよう!希ちゃん、絵里ちゃん。」
「今年も、同じクラスだね!」
「ええ、よろしくね。」
ここで、今年は一体どんな事が起こるのか
今からワクワクしてる
楽しい一年に、なりますよーに♪
「またね、にこっち。」
にこっちは、教室に入って行った
「私たちも、行きましょうか。」
「うん♪」
ガラッと扉を開け、中に入る
見知った顔や、初めて見る顔もそこにはある
みんなと、早く仲良くなりたいなあ…
数人が、こっちに近づいてくる
「おはよう!希ちゃん、絵里ちゃん。」
「今年も、同じクラスだね!」
「ええ、よろしくね。」
ここで、今年は一体どんな事が起こるのか
今からワクワクしてる
楽しい一年に、なりますよーに♪
347: 2015/03/02(月) 02:49:32.83 ID:t3ItBqDd.net
-----
「…」
「どうしたの?希。」
「楽しい…一年に、なるはずやったのに…」
「勉強、ここまで難しいん…?」
学校が始まって一ヶ月
新しい友達もできて、順風満帆!
…やったはずが
まさか勉強でつまずくなんて
「…でも、意外ね。」
「希は、案外勉強できると思ってたのに。」
えりちが、くすくす笑う
「赤点は、回避できてるけど…」
「あんまり、楽しくないんよ…」
「…」
「どうしたの?希。」
「楽しい…一年に、なるはずやったのに…」
「勉強、ここまで難しいん…?」
学校が始まって一ヶ月
新しい友達もできて、順風満帆!
…やったはずが
まさか勉強でつまずくなんて
「…でも、意外ね。」
「希は、案外勉強できると思ってたのに。」
えりちが、くすくす笑う
「赤点は、回避できてるけど…」
「あんまり、楽しくないんよ…」
348: 2015/03/02(月) 02:50:13.00 ID:t3ItBqDd.net
「まあ、確かに一年生の頃に比べれば難しくはなってるわね。」
「えりちが羨ましいよ…」
「私は、ちゃんと予習と復習をしてるから。」
「希は、家に帰ったらだらけきっちゃうんでしょう?」
「うん…なんとなく、気分が乗らなくて。」
「もうすぐ、定期考査があるのに…」
「…仕方ない。」
「放課後、一緒に勉強しましょうか。」
「ほんま!?」
神さんは、ここにおったんやね
「その代わり、ちゃんと勉強するのよ?」
「はーい!」
「えりちが羨ましいよ…」
「私は、ちゃんと予習と復習をしてるから。」
「希は、家に帰ったらだらけきっちゃうんでしょう?」
「うん…なんとなく、気分が乗らなくて。」
「もうすぐ、定期考査があるのに…」
「…仕方ない。」
「放課後、一緒に勉強しましょうか。」
「ほんま!?」
神さんは、ここにおったんやね
「その代わり、ちゃんと勉強するのよ?」
「はーい!」
349: 2015/03/02(月) 02:50:46.76 ID:t3ItBqDd.net
「それに…」
「どうやら危ないのは、希だけじゃ無いみたいだし。」
そう言って、えりちは視線を向ける
「…にこぉ。」
「にこも、どうにかしないと…ね。」
まさか、赤点取ったら部活が一時禁止になるなんて…な
「それもあるわ…」
「でも、それ以上に。」
「部長が赤点なんて…流石に笑えないでしょ?」
にこっちの顔に、覇気が無い
て言うか、にこっちよく進級できたね
「どうやら危ないのは、希だけじゃ無いみたいだし。」
そう言って、えりちは視線を向ける
「…にこぉ。」
「にこも、どうにかしないと…ね。」
まさか、赤点取ったら部活が一時禁止になるなんて…な
「それもあるわ…」
「でも、それ以上に。」
「部長が赤点なんて…流石に笑えないでしょ?」
にこっちの顔に、覇気が無い
て言うか、にこっちよく進級できたね
350: 2015/03/02(月) 02:51:19.82 ID:t3ItBqDd.net
「…絵里。」
「私もお願いしていい?」
「もちろん。」
「部活のためにも、ここは頑張らなきゃ…!」
「うんうん、にこっち頑張って♪」
「アンタも似たり寄ったりじゃない…」
「ウチは、ぎりぎり赤点だけは回避してるから。」
「…どんぐりの背比べ、ね。」
「「うっ…」」
流石えりち
痛いとこを突いてくるなあ…
「ほら、喋ってる暇はないわよ?」
「うん、それじゃあ頑張ろかー。」
「おー…」
「私もお願いしていい?」
「もちろん。」
「部活のためにも、ここは頑張らなきゃ…!」
「うんうん、にこっち頑張って♪」
「アンタも似たり寄ったりじゃない…」
「ウチは、ぎりぎり赤点だけは回避してるから。」
「…どんぐりの背比べ、ね。」
「「うっ…」」
流石えりち
痛いとこを突いてくるなあ…
「ほら、喋ってる暇はないわよ?」
「うん、それじゃあ頑張ろかー。」
「おー…」
351: 2015/03/02(月) 02:51:59.19 ID:t3ItBqDd.net
---
某ファーストフード店で教科書を開く
開いて…閉じた
「…希?」
「あはは…」
いや、流石に全教科危ないってことは無いんよ?
英語とか、国語はまだ出来る方やし…
ただ、理科はちんぷんかんぷん
摩擦係数やら、molやら熱化学方程式やら…
だいたい、こんなの覚えて使うときが来るとは思わんし…
「ほら、教科書開いて。」
「理科は、暗記さえすれば7割とれるんだから。」
「うう…頑張ります…」
某ファーストフード店で教科書を開く
開いて…閉じた
「…希?」
「あはは…」
いや、流石に全教科危ないってことは無いんよ?
英語とか、国語はまだ出来る方やし…
ただ、理科はちんぷんかんぷん
摩擦係数やら、molやら熱化学方程式やら…
だいたい、こんなの覚えて使うときが来るとは思わんし…
「ほら、教科書開いて。」
「理科は、暗記さえすれば7割とれるんだから。」
「うう…頑張ります…」
352: 2015/03/02(月) 02:52:36.73 ID:t3ItBqDd.net
「…にこも、やるわよ?」
「!?あ、うん…!」
さっと何かをポケットに入れた
「…えりち、右ポケット。」
「う、裏切り者!」
「はい、没収ー。」
「ま、待って!」
「せめてフォロワーに返事してから…」
あ、えりちがめっちゃニコニコしてる
これは…あかんで、にこっち
「…ねえ、部長さん。」
「部活、どうなってもいいのかしら…?」
「に…」
「にっこにっこにー!」
…ぷちん
「あ、終わった。」
思わず、口からでた
「!?あ、うん…!」
さっと何かをポケットに入れた
「…えりち、右ポケット。」
「う、裏切り者!」
「はい、没収ー。」
「ま、待って!」
「せめてフォロワーに返事してから…」
あ、えりちがめっちゃニコニコしてる
これは…あかんで、にこっち
「…ねえ、部長さん。」
「部活、どうなってもいいのかしら…?」
「に…」
「にっこにっこにー!」
…ぷちん
「あ、終わった。」
思わず、口からでた
360: 2015/03/03(火) 18:40:09.89 ID:arhhvZHq.net
そこからのえりちはすごかった
冷静に、にこっちを追いつめて行く
「私がいてもしないってことは…」
「帰っても問題ないという事よね?」
「え…」
「さ、希。行きましょうか。」
そう言ってえりちは荷物をまとめる
「え…にこは…?」
「え?私がいなくても勉強できるんでしょ?矢澤さん♪」
「に、にこぉ…」
ごめん、にこっち
ウチも必氏なんよ…
にこっちの視線を感じつつ、えりちの後に着いて行く
冷静に、にこっちを追いつめて行く
「私がいてもしないってことは…」
「帰っても問題ないという事よね?」
「え…」
「さ、希。行きましょうか。」
そう言ってえりちは荷物をまとめる
「え…にこは…?」
「え?私がいなくても勉強できるんでしょ?矢澤さん♪」
「に、にこぉ…」
ごめん、にこっち
ウチも必氏なんよ…
にこっちの視線を感じつつ、えりちの後に着いて行く
361: 2015/03/03(火) 18:47:43.39 ID:arhhvZHq.net
たたたっと、にこっちが追いかけてくる
「ご、ごめんって絵里!」
「あら?別に怒ってはないわよ?」
「それに、一人で勉強する邪魔になっちゃだめだから…」
えりちはまた、歩を進める
「ちょ、ちょっと待って!にこには、絵里ちゃんが必要ニコ♪」
決めポーズ…も、むなしく
えりちは一切振り返らない
「わ、悪かったって!」
「お願いだから、勉強教えて…!」
「何でもするから!」
ピタっと、えりちが立ち止まる
「…本当に?」
「ご、ごめんって絵里!」
「あら?別に怒ってはないわよ?」
「それに、一人で勉強する邪魔になっちゃだめだから…」
えりちはまた、歩を進める
「ちょ、ちょっと待って!にこには、絵里ちゃんが必要ニコ♪」
決めポーズ…も、むなしく
えりちは一切振り返らない
「わ、悪かったって!」
「お願いだから、勉強教えて…!」
「何でもするから!」
ピタっと、えりちが立ち止まる
「…本当に?」
362: 2015/03/03(火) 18:48:29.71 ID:arhhvZHq.net
「ほ、ほんとほんと!」
「今なら、すっごく頭に入る気がするの!」
くるっと、えりちが振り返る
「そう?」
「なら、一人でやっても大丈夫ね♪」
「そ、そんなぁ…」
そしてえりちはスピードをあげた
見かねたウチが、えりちに声をかける
「え、えりち…」
「ウチも、にこっちと一緒にしたいかな~…なんて。」
「…」
「う、ウチも頑張るから!」
「…そう。」
「それじゃ、この課題を全部やりましょうか♪」
ニコニコしながら、分厚い冊子をとりだした
…にこっち、ウチも恨むで
「今なら、すっごく頭に入る気がするの!」
くるっと、えりちが振り返る
「そう?」
「なら、一人でやっても大丈夫ね♪」
「そ、そんなぁ…」
そしてえりちはスピードをあげた
見かねたウチが、えりちに声をかける
「え、えりち…」
「ウチも、にこっちと一緒にしたいかな~…なんて。」
「…」
「う、ウチも頑張るから!」
「…そう。」
「それじゃ、この課題を全部やりましょうか♪」
ニコニコしながら、分厚い冊子をとりだした
…にこっち、ウチも恨むで
363: 2015/03/03(火) 18:54:13.73 ID:arhhvZHq.net
カリカリ…と鉛筆が走る音だけがする
鬼教官…もとい、えりちは
ウチらの後ろで仁王立ちしてる
一切妥協を許さない雰囲気に
ウチらは手を止めず書き続ける
「えりち、ここがちょっと…」
「どれ?」
「質量パーセント濃度って…」
「ああ、食塩水ね。」
聞いたら、ちゃんと教えてくれる
こういうとこは、やっぱりすごいなあ…
「…ほら、ちゃんと聞いてるの?」
「は、はい!」
鬼教官…もとい、えりちは
ウチらの後ろで仁王立ちしてる
一切妥協を許さない雰囲気に
ウチらは手を止めず書き続ける
「えりち、ここがちょっと…」
「どれ?」
「質量パーセント濃度って…」
「ああ、食塩水ね。」
聞いたら、ちゃんと教えてくれる
こういうとこは、やっぱりすごいなあ…
「…ほら、ちゃんと聞いてるの?」
「は、はい!」
364: 2015/03/03(火) 19:03:28.63 ID:arhhvZHq.net
「溶液とか溶質とか、言葉が…」
「難しく考えるから、分からなくなるのよ。」
「溶液は、お湯。」
「そこに溶質である紅茶葉を入れたら、何パーセントの紅茶が出来るのか、ってだけ。」
「ってことは…?」
「だから、分母は出来上がった紅茶の量。」
「分子は、入れた紅茶葉の量。」
「それに100をかけるだけよ。」
おお、わかりやすい…!
「じゃ、じゃあ、これは!?」
にこっちが、横から割り込んでくる
『40%の食塩水200gに300gの水を入れると何%の食塩水ができるか』
「…自分で考えなさい。」
えりち、まだ許してないみたい…
「難しく考えるから、分からなくなるのよ。」
「溶液は、お湯。」
「そこに溶質である紅茶葉を入れたら、何パーセントの紅茶が出来るのか、ってだけ。」
「ってことは…?」
「だから、分母は出来上がった紅茶の量。」
「分子は、入れた紅茶葉の量。」
「それに100をかけるだけよ。」
おお、わかりやすい…!
「じゃ、じゃあ、これは!?」
にこっちが、横から割り込んでくる
『40%の食塩水200gに300gの水を入れると何%の食塩水ができるか』
「…自分で考えなさい。」
えりち、まだ許してないみたい…
365: 2015/03/03(火) 19:09:42.90 ID:arhhvZHq.net
「う、ウチも知りたいかなーって。」
実際、ウチもわからんし
「…これも、さっきの応用よ。」
「今、濃度は分かってるのよね?」
「40%…」
「そう。って事は、まずは最初の食塩水に入れた溶質の質量を求めるの。」
「じゃあ、分母は200?」
「そうよ。で、分子が分からないから、xと置く。」
「それで、xについて解けばいいのよ。」
「えーっと、x/200、かける100=40%やから…」
紙に書いて、計算してみる
「そうか、x=80や。」
「…正解。」
「それじゃ、次も求められるでしょ?にこ。」
「え!?ええっと…」
実際、ウチもわからんし
「…これも、さっきの応用よ。」
「今、濃度は分かってるのよね?」
「40%…」
「そう。って事は、まずは最初の食塩水に入れた溶質の質量を求めるの。」
「じゃあ、分母は200?」
「そうよ。で、分子が分からないから、xと置く。」
「それで、xについて解けばいいのよ。」
「えーっと、x/200、かける100=40%やから…」
紙に書いて、計算してみる
「そうか、x=80や。」
「…正解。」
「それじゃ、次も求められるでしょ?にこ。」
「え!?ええっと…」
366: 2015/03/03(火) 19:28:13.03 ID:arhhvZHq.net
にこっちが、うんうん唸りながら悩む
「…これが解けたら、許してあげる。」
「え!?えっと…じゃあ…」
「さっきの食塩水に、水を300g混ぜるから…分母は500。」
「それに、溶質の質量が…80g?」
「そう。」
「えっと、分子に80を置いて、100をかける…」
カリカリ…と動いた、にこっちの手が止まる
「分かった!16パーセント!!」
にこっちが立ち上がる
「…」
「…あれ?」
「くすっ。正解。」
「…これが解けたら、許してあげる。」
「え!?えっと…じゃあ…」
「さっきの食塩水に、水を300g混ぜるから…分母は500。」
「それに、溶質の質量が…80g?」
「そう。」
「えっと、分子に80を置いて、100をかける…」
カリカリ…と動いた、にこっちの手が止まる
「分かった!16パーセント!!」
にこっちが立ち上がる
「…」
「…あれ?」
「くすっ。正解。」
367: 2015/03/03(火) 19:28:45.79 ID:arhhvZHq.net
「よ、よかったぁ~…」
ドサッと、にこっちが椅子に座る
「これで、もう覚えたでしょ?」
「た、多分…」
「…ちゃんとやれば、出来るんだから。」
「最初から、ちゃんとやる事。」
「…はい。」
えりち、にこっちのお姉さんみたい
くすくすと笑ってると、えりちが口を開く
「…で、希。」
「手が止まってるようだけど?」
「や、やります!!」
…やっぱり、鬼教官や
ドサッと、にこっちが椅子に座る
「これで、もう覚えたでしょ?」
「た、多分…」
「…ちゃんとやれば、出来るんだから。」
「最初から、ちゃんとやる事。」
「…はい。」
えりち、にこっちのお姉さんみたい
くすくすと笑ってると、えりちが口を開く
「…で、希。」
「手が止まってるようだけど?」
「や、やります!!」
…やっぱり、鬼教官や
368: 2015/03/03(火) 19:36:20.95 ID:arhhvZHq.net
-----
「…それじゃ、今日はここまでにしましょうか。」
「お、終わった…」
「疲れたにこぉ…」
「ふふっ。二人とも、お疲れさま。」
「やれば出来るじゃない。」
も、もうこりごりや…
「…えりち、ありがとな?」
「うん…これだけ勉強したら、テストだって…」
「何言ってるの?」
「これからテストまで、毎日続けるわよ?」
「そ、そんな…」
「当たり前じゃない。」
学生って…大変なんやね
「…それじゃ、今日はここまでにしましょうか。」
「お、終わった…」
「疲れたにこぉ…」
「ふふっ。二人とも、お疲れさま。」
「やれば出来るじゃない。」
も、もうこりごりや…
「…えりち、ありがとな?」
「うん…これだけ勉強したら、テストだって…」
「何言ってるの?」
「これからテストまで、毎日続けるわよ?」
「そ、そんな…」
「当たり前じゃない。」
学生って…大変なんやね
369: 2015/03/03(火) 19:42:59.22 ID:arhhvZHq.net
-----
そして、定期考査も終わって、テストも帰って来た
ウチは、えりちのお陰で
自己最高点を10点も超える事ができた
「頑張ったじゃない、希。」
「うん、ありがとな。」
「でも…当分、勉強はいいかな…?」
「へえ…?」
「う、うそうそ!ちゃんとやるよ!!」
「…にこは、どうだったかしら?」
「赤点は、無いと思うけど…」
「とりあえず、屋上で待ってよっか。」
そして、定期考査も終わって、テストも帰って来た
ウチは、えりちのお陰で
自己最高点を10点も超える事ができた
「頑張ったじゃない、希。」
「うん、ありがとな。」
「でも…当分、勉強はいいかな…?」
「へえ…?」
「う、うそうそ!ちゃんとやるよ!!」
「…にこは、どうだったかしら?」
「赤点は、無いと思うけど…」
「とりあえず、屋上で待ってよっか。」
370: 2015/03/03(火) 19:43:35.54 ID:arhhvZHq.net
屋上で、えりちとにこっちを待ってる
「…にこっち、遅いなあ。」
「先に、お昼食べてた方がいいかしら?」
「うーん、もうちょっと待ってみよか…」
そんな話をしていると、屋上の扉が開いた
にこっちが、とぼとぼ歩いてくる
「に、にこっち…?」
にこっちの目は、遠くを見てる
「にこ、もしかして…」
まさか、にこっち…
「…てた。」
「え?」
「全部…平均点、超えてた。」
「…にこっち、遅いなあ。」
「先に、お昼食べてた方がいいかしら?」
「うーん、もうちょっと待ってみよか…」
そんな話をしていると、屋上の扉が開いた
にこっちが、とぼとぼ歩いてくる
「に、にこっち…?」
にこっちの目は、遠くを見てる
「にこ、もしかして…」
まさか、にこっち…
「…てた。」
「え?」
「全部…平均点、超えてた。」
372: 2015/03/03(火) 20:13:28.45 ID:arhhvZHq.net
「や…」
「やったやん、にこっち!」
「希…」
「お疲れさま、にこ。」
「絵里。」
「良かったわね。」
「あ、ありがと…」
「アンタのお陰よ。」
「ふふっ。」
えりちは笑って、にこっちの頭を撫でた
「なっ…!?」
「よく…がんばったわね。」
「…///」
えりちって、飴と鞭の使い方が上手いよな…
「やったやん、にこっち!」
「希…」
「お疲れさま、にこ。」
「絵里。」
「良かったわね。」
「あ、ありがと…」
「アンタのお陰よ。」
「ふふっ。」
えりちは笑って、にこっちの頭を撫でた
「なっ…!?」
「よく…がんばったわね。」
「…///」
えりちって、飴と鞭の使い方が上手いよな…
373: 2015/03/03(火) 20:14:44.13 ID:arhhvZHq.net
「さて、無事にこっちも赤点免れたことやし。」
「お昼食べよっか。」
「そうね♪」
こうして、三人でお昼を食べた
いつか一人でいたこの屋上が
二人になって、三人になって
こうして日なたに座る事も、普通になった
「にこっち、これも~らいっ!」
「ちょっと!」
「じゃあ、私はこれを…」
「せ、せめてにこにも何かちょうだいよ!」
毎日毎日がたのしくて
まるで、これから来る梅雨のじめっぽさも
吹き飛ばしてくれるように
「お昼食べよっか。」
「そうね♪」
こうして、三人でお昼を食べた
いつか一人でいたこの屋上が
二人になって、三人になって
こうして日なたに座る事も、普通になった
「にこっち、これも~らいっ!」
「ちょっと!」
「じゃあ、私はこれを…」
「せ、せめてにこにも何かちょうだいよ!」
毎日毎日がたのしくて
まるで、これから来る梅雨のじめっぽさも
吹き飛ばしてくれるように
374: 2015/03/03(火) 20:24:03.29 ID:arhhvZHq.net
-----
…とは、言ったものの
「やっぱり、梅雨は好きじゃないなあ…」
無駄に長い髪の毛が爆発するし
お手入れだって大変やし…
なにより、毎日暗いと気が滅入りそう
にこっちも、外で練習できないって文句言ってる
「ああ、今すぐ晴れんかなあ…」
「…どうしたの、ぼーっとして。」
「…えりちの髪、綺麗やね。」
「いきなり何?」
「いやあ…ウチの髪、湿気でぼさぼさやから。」
「ちゃんとトリートメントはしてるの?」
「うん、してるけど…」
…とは、言ったものの
「やっぱり、梅雨は好きじゃないなあ…」
無駄に長い髪の毛が爆発するし
お手入れだって大変やし…
なにより、毎日暗いと気が滅入りそう
にこっちも、外で練習できないって文句言ってる
「ああ、今すぐ晴れんかなあ…」
「…どうしたの、ぼーっとして。」
「…えりちの髪、綺麗やね。」
「いきなり何?」
「いやあ…ウチの髪、湿気でぼさぼさやから。」
「ちゃんとトリートメントはしてるの?」
「うん、してるけど…」
376: 2015/03/03(火) 20:33:03.84 ID:arhhvZHq.net
「希の場合、お風呂上がりに髪の毛を乾かしてないとか…」
「まあ、流石にそれはないわね。」
「え、なんで分かったん?」
「…もう少し、女子だって自覚してみたら?」
…だって、めんどくさいし
「えりち、乾かしに来て?」
「貴女が堕落の一途をたどるから、だめね。」
「えりちのいけず~。」
6月になって、気分は下がる一方で
なにか、楽しいことでも起こらんやろか…
「まあ、流石にそれはないわね。」
「え、なんで分かったん?」
「…もう少し、女子だって自覚してみたら?」
…だって、めんどくさいし
「えりち、乾かしに来て?」
「貴女が堕落の一途をたどるから、だめね。」
「えりちのいけず~。」
6月になって、気分は下がる一方で
なにか、楽しいことでも起こらんやろか…
377: 2015/03/03(火) 20:33:42.05 ID:arhhvZHq.net
そんな期待は、降り続く雨にかき消される
雨、雨、雨
ずっと、雨が続く
「今日も雨、かあ…」
呟くと、机に突っ伏した
何か…眠気が…
自習なのも手伝ってか、まぶたが重くなる
起きてないと、えりちに怒られるのに…
そうは思っても、眠気に誘われるウチ
そっと、目を閉じた----
雨、雨、雨
ずっと、雨が続く
「今日も雨、かあ…」
呟くと、机に突っ伏した
何か…眠気が…
自習なのも手伝ってか、まぶたが重くなる
起きてないと、えりちに怒られるのに…
そうは思っても、眠気に誘われるウチ
そっと、目を閉じた----
379: 2015/03/03(火) 20:42:43.37 ID:arhhvZHq.net
「…ちゃん。」
「…ぞみちゃん!」
声につられて、がばっと飛び起きる
「…あれ?」
教室の時計は、お昼の時間を指していた
「ぐっすりだったね♪」
「…そうね。」
「涎の後がつくぐらい…ね。」
「え、えりち…」
やってもうた…って顔のウチと
にこやかな顔のえりち
「…そんなに余裕なら、次の試験は一人で大丈夫そうね♪」
「そっ…!」
「…ぞみちゃん!」
声につられて、がばっと飛び起きる
「…あれ?」
教室の時計は、お昼の時間を指していた
「ぐっすりだったね♪」
「…そうね。」
「涎の後がつくぐらい…ね。」
「え、えりち…」
やってもうた…って顔のウチと
にこやかな顔のえりち
「…そんなに余裕なら、次の試験は一人で大丈夫そうね♪」
「そっ…!」
380: 2015/03/03(火) 20:43:16.24 ID:arhhvZHq.net
そんなあ…と、言いかけて
ふと窓の外を見た
「…にこっち?」
渡り廊下に、にこっちの姿
「希、聞いてるの?」
「え!?えっと…」
チラッと目を戻すと、にこっちはいなくなってた
「…まだ、寝ぼけてるの?」
「むぐっ!?」
えりちに、鼻をつままれた
「…さ、ご飯にしましょう?」
「ふぁーい…」
ふと窓の外を見た
「…にこっち?」
渡り廊下に、にこっちの姿
「希、聞いてるの?」
「え!?えっと…」
チラッと目を戻すと、にこっちはいなくなってた
「…まだ、寝ぼけてるの?」
「むぐっ!?」
えりちに、鼻をつままれた
「…さ、ご飯にしましょう?」
「ふぁーい…」
381: 2015/03/03(火) 20:46:47.96 ID:arhhvZHq.net
「…ごちそうさまでした。」
手を合わせた後、お弁当をしまう
いつもなら、ここで一眠り…やけど
授業中寝たせいか、あんまり眠くない
「それじゃ、私は職員室に行って来るわね。」
「いってらっしゃい、えりち。」
うーん、えりちもいないとなると…
ガラララッ
「ごめーん、にこっちいるー?」
隣のクラスに顔を出してみた
「あ、希ちゃん…」
「お、久しぶり!にこっち、どこ行ったか知ってる?」
「え?えと…あの…」
「…にこちゃんなら、知らないよ。」
「おお、二人ともいたん?」
「でもそっか、知らなかったら仕方ないか…」
手を合わせた後、お弁当をしまう
いつもなら、ここで一眠り…やけど
授業中寝たせいか、あんまり眠くない
「それじゃ、私は職員室に行って来るわね。」
「いってらっしゃい、えりち。」
うーん、えりちもいないとなると…
ガラララッ
「ごめーん、にこっちいるー?」
隣のクラスに顔を出してみた
「あ、希ちゃん…」
「お、久しぶり!にこっち、どこ行ったか知ってる?」
「え?えと…あの…」
「…にこちゃんなら、知らないよ。」
「おお、二人ともいたん?」
「でもそっか、知らなかったら仕方ないか…」
383: 2015/03/03(火) 20:52:36.87 ID:arhhvZHq.net
「あの、希ちゃん…?」
「ん?どしたん?」
「あの、えっと…」
「?」
「う、ううん!何でも無い!」
「それじゃあね!」
そう言って、急ぎ足で教室を出て行った
「…?」
どうしたんやろ?
とりあえず、ウチも教室を出た
「ん?どしたん?」
「あの、えっと…」
「?」
「う、ううん!何でも無い!」
「それじゃあね!」
そう言って、急ぎ足で教室を出て行った
「…?」
どうしたんやろ?
とりあえず、ウチも教室を出た
384: 2015/03/03(火) 20:53:21.48 ID:arhhvZHq.net
「う~ん…」
えりちも、にこっちも捕まらんとなると…
考えながら歩いていると
屋上に続く階段についた
「…そういえば。」
「雨の日に屋上って、上がった事ないなあ…」
まあ、屋根が無いからそもそも出ても意味ないんやけどね
「あれ?でも…」
屋上の扉の前が、少し濡れてる
誰か、外にでたんかな…?
「いやいや、今日は土砂降りやし…」
ガチャッと、ノブを回してみる
冷たい扉が、開いた
えりちも、にこっちも捕まらんとなると…
考えながら歩いていると
屋上に続く階段についた
「…そういえば。」
「雨の日に屋上って、上がった事ないなあ…」
まあ、屋根が無いからそもそも出ても意味ないんやけどね
「あれ?でも…」
屋上の扉の前が、少し濡れてる
誰か、外にでたんかな…?
「いやいや、今日は土砂降りやし…」
ガチャッと、ノブを回してみる
冷たい扉が、開いた
385: 2015/03/03(火) 21:02:46.20 ID:arhhvZHq.net
「うわ…やっぱり、すごい雨。」
風に吹かれて、雫がウチの顔にも当たる
「やっぱり、こんな時に外に出る子はいないよな。」
振り返ろうとした時
目の端に桃色の何かが映った
「…にこっち?」
次の瞬間、駆け出した
「にこっち!!何してるん!?」
「にこっち!!」
揺すぶっても、反応がない
ずっと、虚空を見つめてる
「と、とりあえず中に…!」
風に吹かれて、雫がウチの顔にも当たる
「やっぱり、こんな時に外に出る子はいないよな。」
振り返ろうとした時
目の端に桃色の何かが映った
「…にこっち?」
次の瞬間、駆け出した
「にこっち!!何してるん!?」
「にこっち!!」
揺すぶっても、反応がない
ずっと、虚空を見つめてる
「と、とりあえず中に…!」
386: 2015/03/03(火) 21:03:21.75 ID:arhhvZHq.net
ぐいっと、引っ張ろうとした手が止まる
…にこっちは、動かない
「にこっち…」
「…ほっといて。」
「出来ると思う?」
「いいから。」
「こんなとこいたら、風邪ひくやん。」
「とりあえず中入ろう?な?」
手を引っ張ろうとした…けど
はらわれた
「いいから、ほっといて。」
「もう…いいの。」
「一体、何があったんよ…?」
…にこっちは、動かない
「にこっち…」
「…ほっといて。」
「出来ると思う?」
「いいから。」
「こんなとこいたら、風邪ひくやん。」
「とりあえず中入ろう?な?」
手を引っ張ろうとした…けど
はらわれた
「いいから、ほっといて。」
「もう…いいの。」
「一体、何があったんよ…?」
387: 2015/03/03(火) 21:04:04.31 ID:arhhvZHq.net
雨の中動かないにこっち
足下に目をやると
雨でぐしゃぐしゃになった紙があった
「これ…」
拾い上げて、開いてみる
所々、読めなくなってる…けど
「……届?」
なんやろ…
入部届け?
え、でも、入部届けに『しんにょう』ってあったっけ?
え?しんにょうって…
「にこっち!!これ!!」
にこっちの目は、遠くを見ていた
足下に目をやると
雨でぐしゃぐしゃになった紙があった
「これ…」
拾い上げて、開いてみる
所々、読めなくなってる…けど
「……届?」
なんやろ…
入部届け?
え、でも、入部届けに『しんにょう』ってあったっけ?
え?しんにょうって…
「にこっち!!これ!!」
にこっちの目は、遠くを見ていた
390: 2015/03/03(火) 21:39:31.68 ID:arhhvZHq.net
「一体、何があったんよ…」
にこっちはまだ、目を合わさない
「…な、にこっち。」
「とにかく、中入ろ?」
「…いいから。」
「良くないって!風邪引くやん!!」
「良いって言ってんでしょ!?」
急な大声に、ドキッとする
「もう…ほっといて。」
そう言ってまた、宙を見つめる
雨が、顔にかかる
…泣いてるん?にこっち
にこっちはまだ、目を合わさない
「…な、にこっち。」
「とにかく、中入ろ?」
「…いいから。」
「良くないって!風邪引くやん!!」
「良いって言ってんでしょ!?」
急な大声に、ドキッとする
「もう…ほっといて。」
そう言ってまた、宙を見つめる
雨が、顔にかかる
…泣いてるん?にこっち
391: 2015/03/03(火) 21:40:06.01 ID:arhhvZHq.net
「…早く、帰りなさいよ。」
にこっちが、口を開いた
「だから、にこっちも…」
「私は、いいから。」
「…服、びしょびしょやん。」
「早く、着替えよ?」
「…別に。」
キーン…コーン…
「…ほら、授業始まるで?」
「いいから、ほっといてって。」
「嫌や!!」
「…」
「…にこっちが入るまで、ウチもここにいる。」
にこっちが、口を開いた
「だから、にこっちも…」
「私は、いいから。」
「…服、びしょびしょやん。」
「早く、着替えよ?」
「…別に。」
キーン…コーン…
「…ほら、授業始まるで?」
「いいから、ほっといてって。」
「嫌や!!」
「…」
「…にこっちが入るまで、ウチもここにいる。」
392: 2015/03/03(火) 21:41:15.49 ID:arhhvZHq.net
どれくらい、時間が経ったんやろ
お互い、黙りっぱなしで
雨に濡れて、びしょびしょになっても
そんなの…気にしてられんかった
「私は…」
にこっちが、告げる
「…」
「アンタには、関係な…」
「…?」
どさっ…
「にこっち!!!」
ウチには、全てがスローに見えた---
お互い、黙りっぱなしで
雨に濡れて、びしょびしょになっても
そんなの…気にしてられんかった
「私は…」
にこっちが、告げる
「…」
「アンタには、関係な…」
「…?」
どさっ…
「にこっち!!!」
ウチには、全てがスローに見えた---
393: 2015/03/03(火) 21:45:49.12 ID:arhhvZHq.net
「希!!」
勢い良く保健室の扉を開けて、えりちが飛び込んでくる
「えりち…」
ウチは、口に指を当てる
「あ…にこ…」
にこっちは、まだ目を覚ましてない
「ごめんな?授業勝手に休んで…」
「そうじゃなくて!」
「教室にいたら、クラスの子が飛び込んで来て!」
「二人とも、びしょ濡れで保健室に、って…」
「一体、何があったのよ…!」
「…ウチも、詳しくは分からん。」
「でも…」
ウチは、あの紙をえりちに差し出す
「これって…!!」
勢い良く保健室の扉を開けて、えりちが飛び込んでくる
「えりち…」
ウチは、口に指を当てる
「あ…にこ…」
にこっちは、まだ目を覚ましてない
「ごめんな?授業勝手に休んで…」
「そうじゃなくて!」
「教室にいたら、クラスの子が飛び込んで来て!」
「二人とも、びしょ濡れで保健室に、って…」
「一体、何があったのよ…!」
「…ウチも、詳しくは分からん。」
「でも…」
ウチは、あの紙をえりちに差し出す
「これって…!!」
394: 2015/03/03(火) 21:46:33.01 ID:arhhvZHq.net
「退部…届…」
「やっぱり、そうやんなあ…?」
「…にこは、何て?」
「…なにも。」
「なにも…言ってくれんかった。」
「…そう。」
無言の時間が、続く
「…あのとき。」
「?」
「屋上に行く前、あの子達に会ったんよ。」
「あのとき、少し様子がおかしかった。」
「もっと早く気付いて、聞いてれば…」
「やっぱり、そうやんなあ…?」
「…にこは、何て?」
「…なにも。」
「なにも…言ってくれんかった。」
「…そう。」
無言の時間が、続く
「…あのとき。」
「?」
「屋上に行く前、あの子達に会ったんよ。」
「あのとき、少し様子がおかしかった。」
「もっと早く気付いて、聞いてれば…」
395: 2015/03/03(火) 21:47:45.43 ID:arhhvZHq.net
「そしたら…」
「そしたら、こんな事には…!」
ぎゅっ
「…まずは、泣き止みなさい。」
「それと…希のせいなんかじゃないわ。」
「にこが、自分でしたことよ。」
「でも…でも!」
「貴女には、まだ出来る事があるでしょう?」
「…」
「今は…私がいるから。ね?」
「えりち…ッ!!」
言葉にならなかった
ただただ、枯れるまで---泣いた
「そしたら、こんな事には…!」
ぎゅっ
「…まずは、泣き止みなさい。」
「それと…希のせいなんかじゃないわ。」
「にこが、自分でしたことよ。」
「でも…でも!」
「貴女には、まだ出来る事があるでしょう?」
「…」
「今は…私がいるから。ね?」
「えりち…ッ!!」
言葉にならなかった
ただただ、枯れるまで---泣いた
400: 2015/03/04(水) 09:46:34.52 ID:C/MpjZGx.net
「…落ち着いた?」
「…」
ウチは、こくりと頷く
「…にこ、まだ目を覚まさないわね。」
「…うん。」
コンコン…
誰かが、ドアをノックした
「はい。」
えりちが答える
「…すみません。」
「貴女達は…!」
「にこちゃん…希ちゃん…」
「「ごめんなさい!!」」
「…」
ウチは、こくりと頷く
「…にこ、まだ目を覚まさないわね。」
「…うん。」
コンコン…
誰かが、ドアをノックした
「はい。」
えりちが答える
「…すみません。」
「貴女達は…!」
「にこちゃん…希ちゃん…」
「「ごめんなさい!!」」
401: 2015/03/04(水) 09:47:34.72 ID:C/MpjZGx.net
「…ちょっと、説明してもらえるかしら。」
えりち…怒ってる
「貴女達の事は、希から聞いた。」
「一度、諦めようとした事も。」
「続けようって、決めた事も。」
「…だからこそ、分からない。」
「どうして今、またこうなってるのか。」
「どうして今、にこが倒れているのか。」
「私は直接貴女達と関わった事は無い。」
「でも…教えてくれないかしら?」
「中途半端な気持ちなら。」
「…私は、貴女達を許せない。」
えりち…怒ってる
「貴女達の事は、希から聞いた。」
「一度、諦めようとした事も。」
「続けようって、決めた事も。」
「…だからこそ、分からない。」
「どうして今、またこうなってるのか。」
「どうして今、にこが倒れているのか。」
「私は直接貴女達と関わった事は無い。」
「でも…教えてくれないかしら?」
「中途半端な気持ちなら。」
「…私は、貴女達を許せない。」
402: 2015/03/04(水) 09:53:10.85 ID:C/MpjZGx.net
「えりち、さすがに…」
「いいんです。」
「本当の、事ですから…」
「…希ちゃん。」
「あの時、言った事覚えてる?」
「…うん。」
「私たち、変わりたいって、思ってた。」
「にこちゃんみたいに、可愛くなって。」
「歌ったり、踊ったり…それが、大好きだった。」
「…でも。」
「…」
「…限界は、あるんだよ。」
「いいんです。」
「本当の、事ですから…」
「…希ちゃん。」
「あの時、言った事覚えてる?」
「…うん。」
「私たち、変わりたいって、思ってた。」
「にこちゃんみたいに、可愛くなって。」
「歌ったり、踊ったり…それが、大好きだった。」
「…でも。」
「…」
「…限界は、あるんだよ。」
403: 2015/03/04(水) 09:53:43.34 ID:C/MpjZGx.net
「え…?」
「いくら頑張っても。」
「どれだけ練習しても。」
「私たちじゃ、無理だった。」
「にこちゃんに追いつけなくて。」
「…前に、意識の問題だ、って言ってもらったけど。」
「私からすれば、その意識だって才能だよ。」
「絢瀬さんの事も、クラスの子達から聞きました。」
「今までのイメージより、もっと丸くなったって。」
「親しみやすくなった、って。」
「…」
「…結局、全ては才能なんだよ。」
「いくら頑張っても。」
「どれだけ練習しても。」
「私たちじゃ、無理だった。」
「にこちゃんに追いつけなくて。」
「…前に、意識の問題だ、って言ってもらったけど。」
「私からすれば、その意識だって才能だよ。」
「絢瀬さんの事も、クラスの子達から聞きました。」
「今までのイメージより、もっと丸くなったって。」
「親しみやすくなった、って。」
「…」
「…結局、全ては才能なんだよ。」
404: 2015/03/04(水) 09:54:40.89 ID:C/MpjZGx.net
「頑張れば報われる、なんて言うけど。」
「それは、その人の才能が開花しただけ。」
「希ちゃんや、絢瀬さんみたいに。」
「…ましてや、もともとその才能があったにこちゃんに。」
「私たちが、並べる訳無かったんだよ…」
「そ、そんなん、頑張ってみんと…!」
「にこちゃんにも、言われたよ。」
「頑張っていれば、いつか芽を出す、って。」
「だったら…!」
だったら、もう少し頑張ってみたら…
「いつかっていつ?」
「後、一年とちょっとしか無くて。」
「それでも耐えていれば、本当に?」
「それは、その人の才能が開花しただけ。」
「希ちゃんや、絢瀬さんみたいに。」
「…ましてや、もともとその才能があったにこちゃんに。」
「私たちが、並べる訳無かったんだよ…」
「そ、そんなん、頑張ってみんと…!」
「にこちゃんにも、言われたよ。」
「頑張っていれば、いつか芽を出す、って。」
「だったら…!」
だったら、もう少し頑張ってみたら…
「いつかっていつ?」
「後、一年とちょっとしか無くて。」
「それでも耐えていれば、本当に?」
405: 2015/03/04(水) 09:55:32.96 ID:C/MpjZGx.net
「…!」
「ここにいても、私たちは変われなかった。」
「変わりたかったけど、無理だった。」
「…そんな才能、持ってないんだもの。」
「そんなの…」
「…変わろうと思えば、変われる。」
「にこちゃんが、言ってました。」
「…けど結果は、同じ。」
「意識の差が埋められる訳でもなく。」
「努力が、実る訳でもなく。」
「ただ…ただ、どんどん差が開いて行くだけだった。」
「…もう、疲れたよ。」
「ここにいても、私たちは変われなかった。」
「変わりたかったけど、無理だった。」
「…そんな才能、持ってないんだもの。」
「そんなの…」
「…変わろうと思えば、変われる。」
「にこちゃんが、言ってました。」
「…けど結果は、同じ。」
「意識の差が埋められる訳でもなく。」
「努力が、実る訳でもなく。」
「ただ…ただ、どんどん差が開いて行くだけだった。」
「…もう、疲れたよ。」
406: 2015/03/04(水) 09:57:01.40 ID:C/MpjZGx.net
「…」
「…」
ウチもえりちも、何も言えんかった
この子達が、頑張ってたこと、知ってるから
「…それじゃ、これで失礼します。」
「あっ…!」
「…ごめんね、希ちゃん。」
「ばいばい。」
無機質な扉の音を聞いて
ウチは、口を開いた
「…ウチのした事は、間違ってたんかな。」
あの時、ウチが楽屋に飛び込んでなければ
にこっちに、同意していれば
あの子達を、元気づけていなければ…
ここまで辛くはならなかったんかな…
「…」
ウチもえりちも、何も言えんかった
この子達が、頑張ってたこと、知ってるから
「…それじゃ、これで失礼します。」
「あっ…!」
「…ごめんね、希ちゃん。」
「ばいばい。」
無機質な扉の音を聞いて
ウチは、口を開いた
「…ウチのした事は、間違ってたんかな。」
あの時、ウチが楽屋に飛び込んでなければ
にこっちに、同意していれば
あの子達を、元気づけていなければ…
ここまで辛くはならなかったんかな…
407: 2015/03/04(水) 09:57:54.30 ID:C/MpjZGx.net
「希…」
「ごめん、えりち。」
「ちょっと…にこっちと、二人にしてくれん?」
「…分かった。」
「放課後、迎えに来るわ。」
そう言って、えりちも出て行く
「にこっち…」
「にこっちは今、悲しいん?」
「…それとも、怒ってる?」
「ウチの、せいなんかな?」
「ウチが…ウチが、余計な事したから…」
にこっちの手に、雫が落ちる
この小さな手で
一体、どれほどの物を抱えて来たんやろ
「ごめん、えりち。」
「ちょっと…にこっちと、二人にしてくれん?」
「…分かった。」
「放課後、迎えに来るわ。」
そう言って、えりちも出て行く
「にこっち…」
「にこっちは今、悲しいん?」
「…それとも、怒ってる?」
「ウチの、せいなんかな?」
「ウチが…ウチが、余計な事したから…」
にこっちの手に、雫が落ちる
この小さな手で
一体、どれほどの物を抱えて来たんやろ
408: 2015/03/04(水) 09:58:30.54 ID:C/MpjZGx.net
「ん…」
「!…にこっち!?」
「あれ?屋上にいたんじゃ…」
ぎゅっ
「…希?」
「にこっちのあほ…」
「…なんで、泣いてるのよ。」
「にこっち、倒れたんよ?」
「…ああ。」
「馬鹿ね…自業自得なのに。」
「にこっちの、あほ…」
それ以外、言えなかった
抱きしめる以外、何もできんかった
「!…にこっち!?」
「あれ?屋上にいたんじゃ…」
ぎゅっ
「…希?」
「にこっちのあほ…」
「…なんで、泣いてるのよ。」
「にこっち、倒れたんよ?」
「…ああ。」
「馬鹿ね…自業自得なのに。」
「にこっちの、あほ…」
それ以外、言えなかった
抱きしめる以外、何もできんかった
411: 2015/03/05(木) 00:21:38.47 ID:WSpOzB9d.net
「…もう、大丈夫だから。」
「…なにがよ。」
「いいから、離して。」
そっと、にこっちから離れる
「…」
「…もう、私の事は放っておいて。」
「…なんで?」
「なんでそんなこと言うん?」
「…」
「ウチじゃ、にこっちの力にはなれんの?」
「にこっちが、ウチを変えてくれたやん。」
「だから、今度はウチが…」
「もういいって言ってんでしょ!?」
「…なにがよ。」
「いいから、離して。」
そっと、にこっちから離れる
「…」
「…もう、私の事は放っておいて。」
「…なんで?」
「なんでそんなこと言うん?」
「…」
「ウチじゃ、にこっちの力にはなれんの?」
「にこっちが、ウチを変えてくれたやん。」
「だから、今度はウチが…」
「もういいって言ってんでしょ!?」
412: 2015/03/05(木) 00:22:19.89 ID:WSpOzB9d.net
「え…?」
「もう、ほっといてよ!!」
「確かに、希は変わった!」
「私がしたことかもしれない!!」
「でも!」
「それじゃあ、希は何が出来るって言うのよ!!」
「それは…」
「希がいたら、あの子達が帰ってくるの!?」
「また、部員が増えるの!?」
「また…!」
「また、笑えるようになるの…?」
泣き叫ぶにこっちが
ウチには、とても小さく見えた
「もう、ほっといてよ!!」
「確かに、希は変わった!」
「私がしたことかもしれない!!」
「でも!」
「それじゃあ、希は何が出来るって言うのよ!!」
「それは…」
「希がいたら、あの子達が帰ってくるの!?」
「また、部員が増えるの!?」
「また…!」
「また、笑えるようになるの…?」
泣き叫ぶにこっちが
ウチには、とても小さく見えた
413: 2015/03/05(木) 00:32:01.64 ID:WSpOzB9d.net
「なにか…なにかできるかも…」
「なんにも出来ないわよ!!」
「私がアンタを変えたように!」
「アンタは私を変えてくれるの!?」
「私は…!」
「私は、何一つ変われなかった!!」
「ずっと一人だった!!」
「そして…また、一人になるのよ。」
「…」
「こんな夢、叶うわけないじゃない…」
「で、でも!!」
これからもきっと頑張れば…!
「アンタの占いみたいには、なれないのよ…」
「なんにも出来ないわよ!!」
「私がアンタを変えたように!」
「アンタは私を変えてくれるの!?」
「私は…!」
「私は、何一つ変われなかった!!」
「ずっと一人だった!!」
「そして…また、一人になるのよ。」
「…」
「こんな夢、叶うわけないじゃない…」
「で、でも!!」
これからもきっと頑張れば…!
「アンタの占いみたいには、なれないのよ…」
414: 2015/03/05(木) 00:32:51.97 ID:WSpOzB9d.net
「…ッ。」
「アンタ言ったわよね。」
「変化があるって。」
「きっと上手く行く、って。」
「…何一つ、上手くなんていって無いじゃない。」
「所詮、占いなのよ。」
「結果、変われなかったんだから!!!」
「…」
「…」
「…出てって。」
「でも…」
「出てってってば!」
「アンタ言ったわよね。」
「変化があるって。」
「きっと上手く行く、って。」
「…何一つ、上手くなんていって無いじゃない。」
「所詮、占いなのよ。」
「結果、変われなかったんだから!!!」
「…」
「…」
「…出てって。」
「でも…」
「出てってってば!」
415: 2015/03/05(木) 00:44:09.71 ID:WSpOzB9d.net
「こんな事言うの、間違ってるって分かってる。」
「アンタの気持ち、踏みにじってるのも分かってる。」
「…でも。」
「結果上手く言ったアンタの顔を、今は見たくない。」
「…」
「私の事、許さなくて良い。」
「でも、お願い。」
「…一人にして。」
「…分かった。」
「ごめんな、にこっち。」
「…ばいばい。」
不思議と、この時涙は出んかった
ただただ、悔しかった
そして、もう会えないかのように
静かに、扉を閉めた---
「アンタの気持ち、踏みにじってるのも分かってる。」
「…でも。」
「結果上手く言ったアンタの顔を、今は見たくない。」
「…」
「私の事、許さなくて良い。」
「でも、お願い。」
「…一人にして。」
「…分かった。」
「ごめんな、にこっち。」
「…ばいばい。」
不思議と、この時涙は出んかった
ただただ、悔しかった
そして、もう会えないかのように
静かに、扉を閉めた---
416: 2015/03/05(木) 00:45:33.74 ID:WSpOzB9d.net
「…希。」
保健室を出たら、えりちがいた
「…ごめんなさい。」
「…」
「聞くつもりは無かったのだけれど…」
「…」
何も言わず、首を振る
「…とりあえず、帰りましょう?」
「…」
「希…!」
「…」
ぐいっと、腕を引っ張られる
…ごめん、えりち
今は…何もしたくないんよ
保健室を出たら、えりちがいた
「…ごめんなさい。」
「…」
「聞くつもりは無かったのだけれど…」
「…」
何も言わず、首を振る
「…とりあえず、帰りましょう?」
「…」
「希…!」
「…」
ぐいっと、腕を引っ張られる
…ごめん、えりち
今は…何もしたくないんよ
417: 2015/03/05(木) 00:53:21.74 ID:WSpOzB9d.net
気付いたら、家の前まで来てた
どうやって帰って来たかも、覚えてない
でも、えりちがずっと繋いでくれてる
左手の暖かさは、覚えてる
「…希。」
「…」
「家、着いたわよ。」
「…ひとりで、大丈夫?」
「…」
何も、考えられん
えりちが、何て言ってるのかもわからない
ただ、にこっちの言葉が頭を埋める
どうやって帰って来たかも、覚えてない
でも、えりちがずっと繋いでくれてる
左手の暖かさは、覚えてる
「…希。」
「…」
「家、着いたわよ。」
「…ひとりで、大丈夫?」
「…」
何も、考えられん
えりちが、何て言ってるのかもわからない
ただ、にこっちの言葉が頭を埋める
418: 2015/03/05(木) 00:53:57.58 ID:WSpOzB9d.net
「ねえ、希!」
ごめんなあ…えりち
そんな顔、せんといてよ
えりちは、笑ってる顔が…
一番、綺麗なんやから…
…あれ?
えりち…どこ行ったん?
何も、見えない
「…希っ!!」
ウチの記憶は、そこで途切れた---
ごめんなあ…えりち
そんな顔、せんといてよ
えりちは、笑ってる顔が…
一番、綺麗なんやから…
…あれ?
えりち…どこ行ったん?
何も、見えない
「…希っ!!」
ウチの記憶は、そこで途切れた---
419: 2015/03/05(木) 01:00:21.73 ID:WSpOzB9d.net
---ふと、目が覚めた
ここは…?
ウチの、家のベッド?
あれ?
いつの間に家に入ったっけ…?
当たりを見渡す
ベッドのそばに、えりちがもたれて寝てた
「えりち…」
だんだん、思い出す
…そっか、家まで来て、倒れたんや
運んでくれたんやね、ありがとう
そっと、えりちの頭を撫でる
「んん…」
「えりち、ごめんな?」
ここは…?
ウチの、家のベッド?
あれ?
いつの間に家に入ったっけ…?
当たりを見渡す
ベッドのそばに、えりちがもたれて寝てた
「えりち…」
だんだん、思い出す
…そっか、家まで来て、倒れたんや
運んでくれたんやね、ありがとう
そっと、えりちの頭を撫でる
「んん…」
「えりち、ごめんな?」
420: 2015/03/05(木) 01:01:02.23 ID:WSpOzB9d.net
「…ん。」
「希…?」
「おはよう、えりち。」
えりちが、ガバッと飛び起きる
「嘘!?寝てた!?」
「…みたいやね。」
「それより、大丈夫なの!?」
「…うん、ありがと。」
「はあ…ビックリさせないでよ…」
そう言って、えりちは大きなため息をつく
ウチ、心配かけさせてばかりやな…
「…きっと、疲れてたのよ。」
「そう…なんかな。」
「色々…あったから。」
「…うん。」
「希…?」
「おはよう、えりち。」
えりちが、ガバッと飛び起きる
「嘘!?寝てた!?」
「…みたいやね。」
「それより、大丈夫なの!?」
「…うん、ありがと。」
「はあ…ビックリさせないでよ…」
そう言って、えりちは大きなため息をつく
ウチ、心配かけさせてばかりやな…
「…きっと、疲れてたのよ。」
「そう…なんかな。」
「色々…あったから。」
「…うん。」
421: 2015/03/05(木) 01:01:33.68 ID:WSpOzB9d.net
「それより、お腹空いてない?」
「おかゆ、作っておいたんだけど…」
「何から何まで、ごめんなあ…」
「いいのよ。」
「そのかわり、早く元気になりなさい。」
「…うん。」
「とりあえず、温めて持ってくるから。」
「もう少し、横になってて?」
「…うん。ありがとう。」
時計を見たら
もう夜の10時過ぎ
えりち、ずっと看病してくれてたんやね
ウチなんかのために
「おかゆ、作っておいたんだけど…」
「何から何まで、ごめんなあ…」
「いいのよ。」
「そのかわり、早く元気になりなさい。」
「…うん。」
「とりあえず、温めて持ってくるから。」
「もう少し、横になってて?」
「…うん。ありがとう。」
時計を見たら
もう夜の10時過ぎ
えりち、ずっと看病してくれてたんやね
ウチなんかのために
422: 2015/03/05(木) 01:02:04.84 ID:WSpOzB9d.net
「…ごめん。」
ぽつりと、呟く
誰に対してなのかは、自分でも分からなかった
-----
「…ごちそうさま、えりち。」
「もう、いいの?」
「…うん。」
「残しちゃって、ごめんな?」
「いいのよ。」
「無理して、食べる必要ないわ。」
「…うん。」
「それじゃ、そろそろ私は帰るから。」
「…」
「…希?」
きゅっと、えりちの裾を掴む
ぽつりと、呟く
誰に対してなのかは、自分でも分からなかった
-----
「…ごちそうさま、えりち。」
「もう、いいの?」
「…うん。」
「残しちゃって、ごめんな?」
「いいのよ。」
「無理して、食べる必要ないわ。」
「…うん。」
「それじゃ、そろそろ私は帰るから。」
「…」
「…希?」
きゅっと、えりちの裾を掴む
423: 2015/03/05(木) 01:02:35.97 ID:WSpOzB9d.net
「…」
「…」
「…しょうがないわね。」
えりちは、電話をかけ始めた
「もしもし?亜里沙?」
「今日、友達の家に泊まるから。」
「…うん、そう。」
「戸締まりしっかりして…うん。」
「それじゃ、朝に帰るから。」
「えりち…」
「ほら、そんな泣きそうな顔しないの。」
「でも…」
「いいから。」
「今日は一日、そばにいるから。」
「…うん。」
「…」
「…しょうがないわね。」
えりちは、電話をかけ始めた
「もしもし?亜里沙?」
「今日、友達の家に泊まるから。」
「…うん、そう。」
「戸締まりしっかりして…うん。」
「それじゃ、朝に帰るから。」
「えりち…」
「ほら、そんな泣きそうな顔しないの。」
「でも…」
「いいから。」
「今日は一日、そばにいるから。」
「…うん。」
424: 2015/03/05(木) 01:03:11.04 ID:WSpOzB9d.net
---
えりちとベッドで肩を並べる
シングルは、二人には少し狭いけど…
「ねえ、希。」
「やっぱり、私ソファで寝るわよ?」
「…」
えりちの腕にしがみつく
「もう…」
そう言いながらも、えりちは頭を撫でてくれた
「…ほら、もう寝ましょう?」
「…うん。」
「おやすみなさい、希。」
「おやすみ、えりち。」
えりちとベッドで肩を並べる
シングルは、二人には少し狭いけど…
「ねえ、希。」
「やっぱり、私ソファで寝るわよ?」
「…」
えりちの腕にしがみつく
「もう…」
そう言いながらも、えりちは頭を撫でてくれた
「…ほら、もう寝ましょう?」
「…うん。」
「おやすみなさい、希。」
「おやすみ、えりち。」
425: 2015/03/05(木) 01:03:43.73 ID:WSpOzB9d.net
---
えりちの寝息が聞こえ始めた頃
すうっと、目を開ける
「…」
目に入るのは、天井
浮かぶのは、にこっちの顔
「…ッ。」
声を押し頃して、泣いた
隣にいるえりちに、感づかれないように
この手の温かさを、消してしまわないように
枕に顔を埋めて、泣いた
どうか、気付かれませんように---
えりちの寝息が聞こえ始めた頃
すうっと、目を開ける
「…」
目に入るのは、天井
浮かぶのは、にこっちの顔
「…ッ。」
声を押し頃して、泣いた
隣にいるえりちに、感づかれないように
この手の温かさを、消してしまわないように
枕に顔を埋めて、泣いた
どうか、気付かれませんように---
433: 2015/03/06(金) 00:50:51.75 ID:Rn09ipq/.net
---
「38度2分、かあ…」
あの日から高熱が出て
ウチは家でごろごろしてる
そりゃ、あれだけ雨に打たれたらな…
「…これも、自業自得、か。」
自虐的に呟いても、誰も返してはくれない
「えりちに笑われそう。」
…あかん、あかん
一人でいると、独り言が増えるってホントなんやね
ウチの意思とは裏腹に、体は言う事を聞いてくれない
起き上がるのもしんどくて
ずっとベッドに横たわってる
「38度2分、かあ…」
あの日から高熱が出て
ウチは家でごろごろしてる
そりゃ、あれだけ雨に打たれたらな…
「…これも、自業自得、か。」
自虐的に呟いても、誰も返してはくれない
「えりちに笑われそう。」
…あかん、あかん
一人でいると、独り言が増えるってホントなんやね
ウチの意思とは裏腹に、体は言う事を聞いてくれない
起き上がるのもしんどくて
ずっとベッドに横たわってる
434: 2015/03/06(金) 00:52:15.29 ID:Rn09ipq/.net
pipi…
「…返事も無いなあ。」
ウチが熱を出した日から
にこっちも、学校を休んでるみたい
大丈夫?ってメールにも、返信は無い
「…もう、これで終わりなんかな。」
浮かぶ涙を必氏にこらえる
「…ううん。」
「きっと、またあの頃みたいに戻れる。」
三人で、笑い合ったあの時みたいに
ごろん、と寝返りをうって
えりちが買って来てくれた水に手を伸ばす
「…返事も無いなあ。」
ウチが熱を出した日から
にこっちも、学校を休んでるみたい
大丈夫?ってメールにも、返信は無い
「…もう、これで終わりなんかな。」
浮かぶ涙を必氏にこらえる
「…ううん。」
「きっと、またあの頃みたいに戻れる。」
三人で、笑い合ったあの時みたいに
ごろん、と寝返りをうって
えりちが買って来てくれた水に手を伸ばす
435: 2015/03/06(金) 00:53:11.47 ID:Rn09ipq/.net
「…ん。」
美味しい
熱を出したからなのか
それとも、気持ちが沈んでるからなのか
…お腹が全然減らない
「喉は乾くのになあ…」
えりちが色々買って来てくれたけど
どれも、食べれんかった
「えりちにも、いっぱい迷惑かけてるなあ…」
何かしてあげたいとこやけど
体が動かないからどうしようもない
「…寂しい。」
美味しい
熱を出したからなのか
それとも、気持ちが沈んでるからなのか
…お腹が全然減らない
「喉は乾くのになあ…」
えりちが色々買って来てくれたけど
どれも、食べれんかった
「えりちにも、いっぱい迷惑かけてるなあ…」
何かしてあげたいとこやけど
体が動かないからどうしようもない
「…寂しい。」
436: 2015/03/06(金) 00:54:00.68 ID:Rn09ipq/.net
prrrr
「…電話?」
「もしかして…!」
pi
『希?起きてた?』
「あ、うん…」
『何か、買って来てほしいものある?』
「ううん、大丈夫。」
『…何か食べた?』
「えっと…」
『…流石に何日も食べないと治らないわよ?』
「…うん、分かってる。」
『じゃ、もう少ししたらそっちに行くから。』
「うん。ありがと、えりち。」
pi
「…そんな訳、無いやんな。」
「…電話?」
「もしかして…!」
pi
『希?起きてた?』
「あ、うん…」
『何か、買って来てほしいものある?』
「ううん、大丈夫。」
『…何か食べた?』
「えっと…」
『…流石に何日も食べないと治らないわよ?』
「…うん、分かってる。」
『じゃ、もう少ししたらそっちに行くから。』
「うん。ありがと、えりち。」
pi
「…そんな訳、無いやんな。」
437: 2015/03/06(金) 01:01:36.45 ID:Rn09ipq/.net
コンコン
「…希、起きてる?」
「あ、えりち。いらっしゃい。」
「一応、ゼリーとか買って来たけど…」
「…今は良いかな。」
「冷蔵庫、入れといて?」
「…寝込んでから、ずっとそれじゃない。」
「あはは…ごめん。」
「…」
「…」
「…ねえ。」
「お願いだから、何か食べて?」
「…」
「ごめん、えりち。」
「…希、起きてる?」
「あ、えりち。いらっしゃい。」
「一応、ゼリーとか買って来たけど…」
「…今は良いかな。」
「冷蔵庫、入れといて?」
「…寝込んでから、ずっとそれじゃない。」
「あはは…ごめん。」
「…」
「…」
「…ねえ。」
「お願いだから、何か食べて?」
「…」
「ごめん、えりち。」
438: 2015/03/06(金) 01:02:42.72 ID:Rn09ipq/.net
「…いいのよ。」
「それじゃ、また明日来るから。」
「別に、いいのに。」
「元気なったら、ちゃんと学校行くから。」
「だから、無理して来なくても…」
「無理してるのは希じゃない!!」
「たった数日でこんなに痩せて!!」
「辛いのは分かる!」
「けど、こんな希を見たくなんかない!!」
…えりちの泣くとこ、初めて見た
「お願いだから…」
「お願いだから、早く元の希に戻ってよ…」
「ごめんなあ、えりち。」
「自分でも、分かってはいるんやけど…」
「それじゃ、また明日来るから。」
「別に、いいのに。」
「元気なったら、ちゃんと学校行くから。」
「だから、無理して来なくても…」
「無理してるのは希じゃない!!」
「たった数日でこんなに痩せて!!」
「辛いのは分かる!」
「けど、こんな希を見たくなんかない!!」
…えりちの泣くとこ、初めて見た
「お願いだから…」
「お願いだから、早く元の希に戻ってよ…」
「ごめんなあ、えりち。」
「自分でも、分かってはいるんやけど…」
439: 2015/03/06(金) 01:04:24.68 ID:Rn09ipq/.net
「希…」
「多分、もう少し。」
「時間が、欲しいんやと思う。」
「でも、希の体が…!」
「心配してくれて、ありがと。」
「でも…もう、ウチの事は気にしなくてええよ。」
「えりちまで、辛い思いする必要は無いから。」
ウチが、してしまったことやし
「…」
「…」
「大丈夫、だから。」
「心配、せんといて。な?」
えりちの手を、握る
「多分、もう少し。」
「時間が、欲しいんやと思う。」
「でも、希の体が…!」
「心配してくれて、ありがと。」
「でも…もう、ウチの事は気にしなくてええよ。」
「えりちまで、辛い思いする必要は無いから。」
ウチが、してしまったことやし
「…」
「…」
「大丈夫、だから。」
「心配、せんといて。な?」
えりちの手を、握る
440: 2015/03/06(金) 01:05:10.88 ID:Rn09ipq/.net
「えりちには、迷惑かけてばっかりでごめん。」
「いつか、ちゃんと何かで返すから。」
「そんな事いいから。」
「早く、元気になって…」
「うん。」
「だから、また学校で会お?」
「このままやと、えりちに甘えてしまうだけやもん。」
「でも…!」
「…大丈夫。」
「ウチは、大丈夫だから。」
「希…」
「な?えりち。」
頑張って、笑顔を作る
ちゃんと、笑えてるかな?
---だから、えりちも笑って?
「いつか、ちゃんと何かで返すから。」
「そんな事いいから。」
「早く、元気になって…」
「うん。」
「だから、また学校で会お?」
「このままやと、えりちに甘えてしまうだけやもん。」
「でも…!」
「…大丈夫。」
「ウチは、大丈夫だから。」
「希…」
「な?えりち。」
頑張って、笑顔を作る
ちゃんと、笑えてるかな?
---だから、えりちも笑って?
441: 2015/03/06(金) 01:29:57.18 ID:Rn09ipq/.net
「…ふう。」
えりちが帰って、また一人になる
「…ほんとは、辛いよ。」
ひとりは、寂しい
ひとりが嫌やから、変わったのに
結局また、ひとり
「…にこっち、どうしてるんやろう。」
ウチより長い間雨に打たれて
その後、あんなに無茶したんやもん
「…心配なんよ、にこっち。」
えりちもウチを見て、同じように思ってるんかな?
水を取ろうとして目に入る
やせ細った右手
…今、にこっちよりも軽いんちゃうかな?
えりちが帰って、また一人になる
「…ほんとは、辛いよ。」
ひとりは、寂しい
ひとりが嫌やから、変わったのに
結局また、ひとり
「…にこっち、どうしてるんやろう。」
ウチより長い間雨に打たれて
その後、あんなに無茶したんやもん
「…心配なんよ、にこっち。」
えりちもウチを見て、同じように思ってるんかな?
水を取ろうとして目に入る
やせ細った右手
…今、にこっちよりも軽いんちゃうかな?
442: 2015/03/06(金) 01:39:06.11 ID:Rn09ipq/.net
---
「ん…」
いつの間にか、寝てたみたい
悪夢でも見たんじゃないか、ってくらい
汗びっしょりになってる
「ああ、気持ち悪い…」
でも、一人で動く元気も無い
時計を見ると、夜の8時過ぎ
えりちが帰って、3時間くらいか…
「んん…べとべとする。」
重たい体を起こして、洗面所に向かう
「ああ…あかん。」
言うのが早いか遅いか
廊下に倒れ込む
床、ひんやりして気持ちいい…
「ん…」
いつの間にか、寝てたみたい
悪夢でも見たんじゃないか、ってくらい
汗びっしょりになってる
「ああ、気持ち悪い…」
でも、一人で動く元気も無い
時計を見ると、夜の8時過ぎ
えりちが帰って、3時間くらいか…
「んん…べとべとする。」
重たい体を起こして、洗面所に向かう
「ああ…あかん。」
言うのが早いか遅いか
廊下に倒れ込む
床、ひんやりして気持ちいい…
443: 2015/03/06(金) 01:39:53.13 ID:Rn09ipq/.net
-----
「んん…」
不意に、目が覚める
「…あれ?」
いつのまにか、ベッドに戻ってる
服も、着替えてるし…
「それに、なんかいいにおい…」
ガチャッ
「…目が覚めた?」
「うそ…」
だって、そんな…
きっと、夢やんな?
だって…
「何よ?」
「にこっち…」
「んん…」
不意に、目が覚める
「…あれ?」
いつのまにか、ベッドに戻ってる
服も、着替えてるし…
「それに、なんかいいにおい…」
ガチャッ
「…目が覚めた?」
「うそ…」
だって、そんな…
きっと、夢やんな?
だって…
「何よ?」
「にこっち…」
446: 2015/03/06(金) 01:51:25.44 ID:Rn09ipq/.net
「…ほんとに、にこっちなん?」
「はぁ?」
「にこじゃなかったら、誰なのよ。」
…間違いない
やっぱり、にこっちや
「にこっち…!」
思わず、飛びつく
「ちょっ!?」
「にこっち…」
ぎゅっと、力いっぱい抱きしめる
「…アンタ、痩せ過ぎ。」
「にこがお姫様だっこ出来るって、相当よ?」
「だって…だって…」
「はいはい。」
「まずは、ちゃんとベッドに座りなさい。」
「はぁ?」
「にこじゃなかったら、誰なのよ。」
…間違いない
やっぱり、にこっちや
「にこっち…!」
思わず、飛びつく
「ちょっ!?」
「にこっち…」
ぎゅっと、力いっぱい抱きしめる
「…アンタ、痩せ過ぎ。」
「にこがお姫様だっこ出来るって、相当よ?」
「だって…だって…」
「はいはい。」
「まずは、ちゃんとベッドに座りなさい。」
447: 2015/03/06(金) 01:52:01.74 ID:Rn09ipq/.net
にこっちに、ベッドに戻される
「ちょっと待ってなさい。」
そう言うとにこっちは、キッチンの方に向かった
---
「…はい。」
「おかゆ作ったんだけど…食べれる?」
「…多分。」
「あれから、何も食べてないんだって?」
「そりゃあ、こんなに痩せる訳よ。」
「何日経ったと思ってんの?」
「うん…」
「ほら、冷めないうちに食べて。」
「…残したら、許さないから。」
「ちょっと待ってなさい。」
そう言うとにこっちは、キッチンの方に向かった
---
「…はい。」
「おかゆ作ったんだけど…食べれる?」
「…多分。」
「あれから、何も食べてないんだって?」
「そりゃあ、こんなに痩せる訳よ。」
「何日経ったと思ってんの?」
「うん…」
「ほら、冷めないうちに食べて。」
「…残したら、許さないから。」
448: 2015/03/06(金) 01:52:40.45 ID:Rn09ipq/.net
スプーンに、少しだけ掬ってみる
「ふーっ…ふーっ…」
おそるおそる、口にいれる
「…あつっ!」
「…はあ。」
「貸しなさい。」
「え…?」
「ふーっ…ふーっ…」
「…はい。」
「に、にこっち…!?」
「いいから、口開けなさいよ。」
「え、えっと…」
「ほら、早く!」
「う、うん…///」
「ふーっ…ふーっ…」
おそるおそる、口にいれる
「…あつっ!」
「…はあ。」
「貸しなさい。」
「え…?」
「ふーっ…ふーっ…」
「…はい。」
「に、にこっち…!?」
「いいから、口開けなさいよ。」
「え、えっと…」
「ほら、早く!」
「う、うん…///」
449: 2015/03/06(金) 01:59:32.00 ID:Rn09ipq/.net
「…美味しい?」
「…うん。」
「ま、このにこにーが作ったんだから、トーゼンだけど!」
「…」
「な、何か言いなさいよ…///」
「…にこっち、なんで来たん?」
「…」
にこっちは、答えない
「…ごめん、変な事聞いて。」
「でも…」
「…絵里が、ウチに来たのよ。」
「…えりちが?」
「…」
「…うん。」
「ま、このにこにーが作ったんだから、トーゼンだけど!」
「…」
「な、何か言いなさいよ…///」
「…にこっち、なんで来たん?」
「…」
にこっちは、答えない
「…ごめん、変な事聞いて。」
「でも…」
「…絵里が、ウチに来たのよ。」
「…えりちが?」
「…」
450: 2015/03/06(金) 02:00:14.34 ID:Rn09ipq/.net
-----
「…何しにきたのよ。」
「…正直。」
「にこのした事、私は許せない。」
「希が、どんな気持ちでにこの事を見て来たか。」
「どんなに、にこに感謝しているか。」
「知らない訳じゃないでしょう?」
「…そんなことを言いに、家まで来たの?」
「…」
「…それでも、希にはにこが必要なのよ。」
「…はあ?」
「もう、終わった事じゃない。」
「…にこ、お願い。」
「希を…助けてあげて。」
「…何しにきたのよ。」
「…正直。」
「にこのした事、私は許せない。」
「希が、どんな気持ちでにこの事を見て来たか。」
「どんなに、にこに感謝しているか。」
「知らない訳じゃないでしょう?」
「…そんなことを言いに、家まで来たの?」
「…」
「…それでも、希にはにこが必要なのよ。」
「…はあ?」
「もう、終わった事じゃない。」
「…にこ、お願い。」
「希を…助けてあげて。」
451: 2015/03/06(金) 02:00:57.15 ID:Rn09ipq/.net
「ちょ、ちょっと!!」
「何でアンタが頭下げるのよ!?」
「今!!」
「…今、希を助けてあげられるのは、にこだけなのよ…」
「あの日から高熱が出てる。」
「なのに、何も口にしてくれない。」
「日に日に痩せて行く希を、もう見たくないの!!」
「あんなにやせ細って…」
「なのに、にこの心配ばかりしてる!!」
「…正直、悔しいわよ。」
「あんなに酷い事言われて、それでもにこの事しか考えてないんだもの。」
「希が…?」
「何でアンタが頭下げるのよ!?」
「今!!」
「…今、希を助けてあげられるのは、にこだけなのよ…」
「あの日から高熱が出てる。」
「なのに、何も口にしてくれない。」
「日に日に痩せて行く希を、もう見たくないの!!」
「あんなにやせ細って…」
「なのに、にこの心配ばかりしてる!!」
「…正直、悔しいわよ。」
「あんなに酷い事言われて、それでもにこの事しか考えてないんだもの。」
「希が…?」
452: 2015/03/06(金) 02:02:55.38 ID:Rn09ipq/.net
「…でも。」
「だからこそ…」
「希が元気になってくれるなら。」
「また笑ってくれるなら!」
「…私は、いくらでも頭を下げるわ。」
「希が変われたきっかけが、にこであるように。」
「私にとってはそれが希なの。」
「感謝しても、しきれない。」
「そんな希が、これ以上苦しんでるのを見るのは嫌なの!」
「だから…!!」
「だからお願い、にこ。」
「希を…助けてあげて。」
「お願い…」
-----
「だからこそ…」
「希が元気になってくれるなら。」
「また笑ってくれるなら!」
「…私は、いくらでも頭を下げるわ。」
「希が変われたきっかけが、にこであるように。」
「私にとってはそれが希なの。」
「感謝しても、しきれない。」
「そんな希が、これ以上苦しんでるのを見るのは嫌なの!」
「だから…!!」
「だからお願い、にこ。」
「希を…助けてあげて。」
「お願い…」
-----
454: 2015/03/06(金) 02:12:25.79 ID:Rn09ipq/.net
「にこっち?」
「…何でも無いわ。」
「…ありがとな、にこっち。」
「…別に。」
「…」
「…」
「…また、一緒に笑える?」
「にこっちと、えりちと三人で…」
「色んなとこ遊びに行ったり、勉強したり。」
「また、買い食いしたりとか…」
「元気なったら、いっぱい二人としたいんよ。」
「だから…」
「だから、また…!」
前が、見えないや…
「…何でも無いわ。」
「…ありがとな、にこっち。」
「…別に。」
「…」
「…」
「…また、一緒に笑える?」
「にこっちと、えりちと三人で…」
「色んなとこ遊びに行ったり、勉強したり。」
「また、買い食いしたりとか…」
「元気なったら、いっぱい二人としたいんよ。」
「だから…」
「だから、また…!」
前が、見えないや…
455: 2015/03/06(金) 02:18:40.51 ID:Rn09ipq/.net
ぎゅっ
「…!にこっち…」
「…あの時は、ごめんなさい。」
「希が悪いんじゃない。」
「こうなってしまったのは、にこのせい。」
「にこっち…」
「初めてのステージの時。」
「あの時に、もう結果は出てたのよ。」
「だから、今回みたいな事があっても、仕方なかったの。」
「…所詮、高校の部活なんだから。」
「あの子達に言われて、思ったの。」
「…にこの意識は、才能だって。」
「でもそれは、にこの中でだけなの。」
「…!にこっち…」
「…あの時は、ごめんなさい。」
「希が悪いんじゃない。」
「こうなってしまったのは、にこのせい。」
「にこっち…」
「初めてのステージの時。」
「あの時に、もう結果は出てたのよ。」
「だから、今回みたいな事があっても、仕方なかったの。」
「…所詮、高校の部活なんだから。」
「あの子達に言われて、思ったの。」
「…にこの意識は、才能だって。」
「でもそれは、にこの中でだけなの。」
456: 2015/03/06(金) 02:20:39.20 ID:Rn09ipq/.net
「だから…」
「にこも、変わらなくちゃいけない。」
「変われなかったんじゃ、ない。」
「変わろうと、してなかったの。」
「希と知り合って。」
「一人でいる事が少なくなって。」
「…それに、甘えてた所もあると思う。」
「でも…」
「でも、希がいてくれたから…」
「毎日が、楽しかった。」
「笑える日が、増えた。」
「幸せって、こういう事なのかな、って。」
「じゃあ…!」
「…だから。」
「これで…お別れよ。」
「にこも、変わらなくちゃいけない。」
「変われなかったんじゃ、ない。」
「変わろうと、してなかったの。」
「希と知り合って。」
「一人でいる事が少なくなって。」
「…それに、甘えてた所もあると思う。」
「でも…」
「でも、希がいてくれたから…」
「毎日が、楽しかった。」
「笑える日が、増えた。」
「幸せって、こういう事なのかな、って。」
「じゃあ…!」
「…だから。」
「これで…お別れよ。」
463: 2015/03/06(金) 10:16:12.82 ID:Rn09ipq/.net
「え…?」
にこっち…今なんて?
「今日で、私たちはおしまい。」
「明日からは、それぞれの道を進むの。」
「なんで…」
「これからだって、一緒に…!」
「…それじゃ、だめなのよ。」
「え…」
「私は、私の目指す物のために。」
「一人で、やらなきゃいけないの。」
「アンタ達がいると、甘えちゃうから。」
「逃げ道を、作っちゃうから。」
「だから…終わりにしましょ?」
にこっち…今なんて?
「今日で、私たちはおしまい。」
「明日からは、それぞれの道を進むの。」
「なんで…」
「これからだって、一緒に…!」
「…それじゃ、だめなのよ。」
「え…」
「私は、私の目指す物のために。」
「一人で、やらなきゃいけないの。」
「アンタ達がいると、甘えちゃうから。」
「逃げ道を、作っちゃうから。」
「だから…終わりにしましょ?」
464: 2015/03/06(金) 10:16:54.79 ID:Rn09ipq/.net
「いやや…」
「そんなん、嫌!」
「わがまま言わないの。」
そう言って、にこっちはウチから離れる
「にこっち…行かんとって…」
にこっちに、追いすがる
「…希。」
「…」
「私、言ったわよね。」
「希は変われた。」
「でも…」
「私がいなくちゃ元に戻るなら。」
「それは変われたとは言えないわ。」
「…」
「だからここで、終わりにするの。」
「そんなん、嫌!」
「わがまま言わないの。」
そう言って、にこっちはウチから離れる
「にこっち…行かんとって…」
にこっちに、追いすがる
「…希。」
「…」
「私、言ったわよね。」
「希は変われた。」
「でも…」
「私がいなくちゃ元に戻るなら。」
「それは変われたとは言えないわ。」
「…」
「だからここで、終わりにするの。」
465: 2015/03/06(金) 10:17:28.58 ID:Rn09ipq/.net
「お互い、頼らずに。」
「一人で、歩いて行くために。」
「でも…」
「希の気持ちは、正直嬉しい。」
「あんな酷い事言ったのに、受け入れてくれるんだもの。」
「…だから、終わりにするの。」
「そんな…」
「いつからか…」
「いつの間にか、共依存みたいになってたのよ。」
「私たちは。」
「だからこそ、ここで終わりにしなきゃいけないの。」
「私たち自身のために。」
「一人で、歩いて行くために。」
「でも…」
「希の気持ちは、正直嬉しい。」
「あんな酷い事言ったのに、受け入れてくれるんだもの。」
「…だから、終わりにするの。」
「そんな…」
「いつからか…」
「いつの間にか、共依存みたいになってたのよ。」
「私たちは。」
「だからこそ、ここで終わりにしなきゃいけないの。」
「私たち自身のために。」
466: 2015/03/06(金) 10:33:13.20 ID:Rn09ipq/.net
「今すぐ理解してとは言わない。」
「…でも、分かって。」
「これから学校に行って、会ったとしても。」
「挨拶ぐらいはするわ。」
「それでも、一緒にはいない。」
「…それぞれが、自分の道を進むの。」
「そんなん…」
「生徒会、誘われてるんでしょ?」
「なんでそれ、知って…」
「前に、少し聞いちゃったのよ。」
「…でも、分かって。」
「これから学校に行って、会ったとしても。」
「挨拶ぐらいはするわ。」
「それでも、一緒にはいない。」
「…それぞれが、自分の道を進むの。」
「そんなん…」
「生徒会、誘われてるんでしょ?」
「なんでそれ、知って…」
「前に、少し聞いちゃったのよ。」
467: 2015/03/06(金) 10:33:55.35 ID:Rn09ipq/.net
「ここで離れても、嫌いになった訳じゃない。」
「…希の事を、嫌いになんてなれない。」
「でも、そういうのは今日で終わり。」
「だから…」
「…もういい。」
「希…?」
「もういい。」
「そこまで言うんやったらもう知らん。」
「にこっちの勝手にしたらいい。」
「…」
「そのかわり、ちゃんと叶えて。」
「したい事、にこっちの夢を。」
「…」
「…希の事を、嫌いになんてなれない。」
「でも、そういうのは今日で終わり。」
「だから…」
「…もういい。」
「希…?」
「もういい。」
「そこまで言うんやったらもう知らん。」
「にこっちの勝手にしたらいい。」
「…」
「そのかわり、ちゃんと叶えて。」
「したい事、にこっちの夢を。」
「…」
468: 2015/03/06(金) 10:34:25.90 ID:Rn09ipq/.net
「…でも、ウチは信じてる。」
「いつかまた、三人で笑えるって。」
「…」
「…ありがとう、希。」
「アンタは…」
「私の一番の、親友だったわ。」
「…」
「それじゃあね。」
「ちゃんと、ご飯食べるのよ?」
「…またね。」
にこっちが出て行く
『またね』って言葉が
『さよなら』に聞こえた
「いつかまた、三人で笑えるって。」
「…」
「…ありがとう、希。」
「アンタは…」
「私の一番の、親友だったわ。」
「…」
「それじゃあね。」
「ちゃんと、ご飯食べるのよ?」
「…またね。」
にこっちが出て行く
『またね』って言葉が
『さよなら』に聞こえた
469: 2015/03/06(金) 10:44:18.41 ID:Rn09ipq/.net
-----
どれくらい、時間が経っただろう
ふいに、ドアをノックされた
「にこっち…?」
「ごめんなさい、私よ。」
「えりち…」
「にこが、来たみたいね。」
「えりちが、呼んでくれたんやね。」
「…たいしたことは、してないわ。」
「…」
「…」
「…なあ、えりち。」
「何?希。」
えりちは、なんで…
「何でえりちは、こんなにウチを気にしてくれるん?」
どれくらい、時間が経っただろう
ふいに、ドアをノックされた
「にこっち…?」
「ごめんなさい、私よ。」
「えりち…」
「にこが、来たみたいね。」
「えりちが、呼んでくれたんやね。」
「…たいしたことは、してないわ。」
「…」
「…」
「…なあ、えりち。」
「何?希。」
えりちは、なんで…
「何でえりちは、こんなにウチを気にしてくれるん?」
470: 2015/03/06(金) 10:45:08.38 ID:Rn09ipq/.net
「…正直、えりちに嫌われても仕方ないと思ってる。」
「色々、してくれてるのに…」
「ウチは、にこっちの事しか考えれてないし。」
「なのに、なんで…」
ぎゅっ
「…希。覚えてる?」
「私を変えてくれたのが、希だって。」
「あれは、えりちが変わりたいって思ったから…」
「もしかしたら、そうなのかもしれない。」
「でも、そんな私に手を差し伸べてくれたのは、希なの。」
「私を、変えてくれた人。」
「私に…力をくれた人。」
「そんな人が辛い時は、助けてあげないと。」
「そう思うのは…私だけじゃないでしょう?」
「色々、してくれてるのに…」
「ウチは、にこっちの事しか考えれてないし。」
「なのに、なんで…」
ぎゅっ
「…希。覚えてる?」
「私を変えてくれたのが、希だって。」
「あれは、えりちが変わりたいって思ったから…」
「もしかしたら、そうなのかもしれない。」
「でも、そんな私に手を差し伸べてくれたのは、希なの。」
「私を、変えてくれた人。」
「私に…力をくれた人。」
「そんな人が辛い時は、助けてあげないと。」
「そう思うのは…私だけじゃないでしょう?」
471: 2015/03/06(金) 10:45:57.92 ID:Rn09ipq/.net
「…!」
「…ごめん、えりち。」
えりちも、今のウチと同じ気持ちやったんやね
「ウチ、自分の事で精一杯で…」
例えれば、それは三角関係みたいに
「…いつもウチの事を見ててくれて、ありがとう。」
それぞれが違う人を見てた
「やっと、分かった。」
「ウチが、何をしないとあかんのか。」
「希…」
「えりち。」
「いつも支えてくれて、ありがとう。」
「…今度は、ウチが支えるから。」
「生徒会、手伝うよ。」
「…ごめん、えりち。」
えりちも、今のウチと同じ気持ちやったんやね
「ウチ、自分の事で精一杯で…」
例えれば、それは三角関係みたいに
「…いつもウチの事を見ててくれて、ありがとう。」
それぞれが違う人を見てた
「やっと、分かった。」
「ウチが、何をしないとあかんのか。」
「希…」
「えりち。」
「いつも支えてくれて、ありがとう。」
「…今度は、ウチが支えるから。」
「生徒会、手伝うよ。」
472: 2015/03/06(金) 10:46:40.47 ID:Rn09ipq/.net
「希…!」
「…ほら、泣かんとって?」
「待たせて、ごめんな。」
えりちが、首を振る
「その言葉で、十分よ…」
「十分、私は救われた…」
ほんとに、何も見えてなかった
こんなに、大切に思ってくれる人がいることも
何を、すべきなのかも
…ありがとう、にこっち
ウチも、また歩き始めるよ
「…ありがとう、えりち。」
「…ただいま。」
「おかえり…希。」
「…ほら、泣かんとって?」
「待たせて、ごめんな。」
えりちが、首を振る
「その言葉で、十分よ…」
「十分、私は救われた…」
ほんとに、何も見えてなかった
こんなに、大切に思ってくれる人がいることも
何を、すべきなのかも
…ありがとう、にこっち
ウチも、また歩き始めるよ
「…ありがとう、えりち。」
「…ただいま。」
「おかえり…希。」
476: 2015/03/07(土) 01:54:04.39 ID:CxxXurtO.net
---
それからウチは、えりちと一緒に
生徒会に向けて、動き出した
この学校を、存続させたい
ウチらの気持ちは、その一つだけやった
ウチらが変われたこの場所を
きっかけをくれた場所を守るために
水面下での活動が始まった
「…けど、なかなか進まんなあ。」
「そんな簡単に事が進むなら、そもそも廃校にはならないでしょう?」
「それはそうやけど…」
それからウチは、えりちと一緒に
生徒会に向けて、動き出した
この学校を、存続させたい
ウチらの気持ちは、その一つだけやった
ウチらが変われたこの場所を
きっかけをくれた場所を守るために
水面下での活動が始まった
「…けど、なかなか進まんなあ。」
「そんな簡単に事が進むなら、そもそも廃校にはならないでしょう?」
「それはそうやけど…」
477: 2015/03/07(土) 01:54:33.84 ID:CxxXurtO.net
「とにかく。」
「この話はタブーなんだから、絶対に言っちゃ駄目よ?」
「それは分かってるよ。」
「でも、それが言えん事には…」
「まあ、いきなり皆に声をかけるのもおかしいし…」
「そもそも、ウチらまだ生徒会役員と違うから。」
「あんまり表立った行動もできんしね。」
「…とにかく、出来る事から始めましょう。」
「時間は、幾ばくもないわ。」
「…うん!」
「この話はタブーなんだから、絶対に言っちゃ駄目よ?」
「それは分かってるよ。」
「でも、それが言えん事には…」
「まあ、いきなり皆に声をかけるのもおかしいし…」
「そもそも、ウチらまだ生徒会役員と違うから。」
「あんまり表立った行動もできんしね。」
「…とにかく、出来る事から始めましょう。」
「時間は、幾ばくもないわ。」
「…うん!」
478: 2015/03/07(土) 01:55:17.99 ID:CxxXurtO.net
あの決別の日から、ひと月
季節は、夏に突入した
生徒会選挙は9月
そこから何かが出来たとして
ウチらの卒業まで一年とちょっとしかない
だからこそ、今から何かをしないといけないんやけど…
「やっぱり、無理があるよな…」
「泣き言言わないの。」
「…やるって、決めたんでしょう?」
「…うん。」
季節は、夏に突入した
生徒会選挙は9月
そこから何かが出来たとして
ウチらの卒業まで一年とちょっとしかない
だからこそ、今から何かをしないといけないんやけど…
「やっぱり、無理があるよな…」
「泣き言言わないの。」
「…やるって、決めたんでしょう?」
「…うん。」
479: 2015/03/07(土) 02:00:46.05 ID:CxxXurtO.net
にこっちとえりちが、示してくれた道
今のウチが、出来る事
にこっちが始めた活動を、終わらせないために
えりちの思いの詰まった場所を、消さないために
そして何より、ウチ自身のために
この学校は、続いてほしい
…ウチみたいな子は、きっといる
そんな子達に、この場所で
変わるきっかけが出来るように
今のウチが、出来る事
にこっちが始めた活動を、終わらせないために
えりちの思いの詰まった場所を、消さないために
そして何より、ウチ自身のために
この学校は、続いてほしい
…ウチみたいな子は、きっといる
そんな子達に、この場所で
変わるきっかけが出来るように
480: 2015/03/07(土) 02:01:17.25 ID:CxxXurtO.net
果てしない夢を語ってるだけなんかも
…でも、もしもそれが叶うなら
その可能性がゼロじゃないなら
ウチは、頑張ってみたいんよ
また、三人で笑える日がくるように
三人の思い出の詰まった、この場所で
「…ふう、こんなところかしら。」
「アンケート?」
「ええ。まあ、目安箱みたいな物だけど。」
「少しでも生徒から、こんなのがあれば、って話が出ればと思って…」
…でも、もしもそれが叶うなら
その可能性がゼロじゃないなら
ウチは、頑張ってみたいんよ
また、三人で笑える日がくるように
三人の思い出の詰まった、この場所で
「…ふう、こんなところかしら。」
「アンケート?」
「ええ。まあ、目安箱みたいな物だけど。」
「少しでも生徒から、こんなのがあれば、って話が出ればと思って…」
481: 2015/03/07(土) 02:01:54.10 ID:CxxXurtO.net
「でも、これをどうするん?」
「理事長から生徒に向けて、配ってもらおうと思って。」
「ああ、あの綺麗な人やね。」
「廃校の話を出すのは無理だから…」
「せめて、学校をより良くするために、って名目で。」
「なるほど…」
「もうすぐ夏休みだし。」
「この機会を逃したら、二ヶ月ほど猶予が無くなっちゃうのよ。」
むむ…それは、由々しき事態やん?
こんなん、協力するしかないやんな♪
「理事長から生徒に向けて、配ってもらおうと思って。」
「ああ、あの綺麗な人やね。」
「廃校の話を出すのは無理だから…」
「せめて、学校をより良くするために、って名目で。」
「なるほど…」
「もうすぐ夏休みだし。」
「この機会を逃したら、二ヶ月ほど猶予が無くなっちゃうのよ。」
むむ…それは、由々しき事態やん?
こんなん、協力するしかないやんな♪
482: 2015/03/07(土) 02:02:48.85 ID:CxxXurtO.net
ごめんなさい、今日はこれで
明日の朝、多めに更新しますので
明日の朝、多めに更新しますので
486: 2015/03/07(土) 10:54:08.14 ID:CxxXurtO.net
---
えりちの目論みは、半分成功した
生徒のみんなも、いろいろ思う所があるらしく
アンケートは予想以上の結果が帰って来た
…ただ、実現できそうなのはほとんど無かったけど
それでも、生徒の気持ちがわかっただけでも、収穫やった
夏休みに入って、時間の出来たウチらは
それをまとめる作業に入った訳やけど…
まとめているうちに
やらなあかん事がいっぱいでてきて
ブルーな気持ちを一新すべく
今日はそれから少し離れてみることにした
えりちの目論みは、半分成功した
生徒のみんなも、いろいろ思う所があるらしく
アンケートは予想以上の結果が帰って来た
…ただ、実現できそうなのはほとんど無かったけど
それでも、生徒の気持ちがわかっただけでも、収穫やった
夏休みに入って、時間の出来たウチらは
それをまとめる作業に入った訳やけど…
まとめているうちに
やらなあかん事がいっぱいでてきて
ブルーな気持ちを一新すべく
今日はそれから少し離れてみることにした
487: 2015/03/07(土) 10:54:49.53 ID:CxxXurtO.net
---
「…で、どうしてプールなの?」
「だって、夏なんよ?」
「照りつける日差し、熱い砂浜。」
「塩のにおいと、はしゃぐ女の子達。」
「これこそ夏の醍醐味やんか!!」
「…プールだけどね。」
「それはほら、お金の関係で…」
ちょびーっと生活費が苦しくて
学生に無料開放してる市民プールに来た
「…まあ、確かに夏らしい事はしてないからね。」
「そうそう!」
「ウチら、女子高生なんやから!」
「…で、どうしてプールなの?」
「だって、夏なんよ?」
「照りつける日差し、熱い砂浜。」
「塩のにおいと、はしゃぐ女の子達。」
「これこそ夏の醍醐味やんか!!」
「…プールだけどね。」
「それはほら、お金の関係で…」
ちょびーっと生活費が苦しくて
学生に無料開放してる市民プールに来た
「…まあ、確かに夏らしい事はしてないからね。」
「そうそう!」
「ウチら、女子高生なんやから!」
488: 2015/03/07(土) 10:55:44.94 ID:CxxXurtO.net
「とにかく、早く着替えて泳ぎましょう?」
「はーい♪」
そう言って、脱ぎ始めるえりち
うーん…やっぱり、スタイルいいな
つるっと、お腹を触ってみる
「ひゃあっ!?」
…うん、すべすべしてる
「ちょっと希!何やってるの!?」
えりちは脱いでる途中で、うちの事が見えてない
それにしても…
この目の前で揺れるものは、けしからんなあ…
「はーい♪」
そう言って、脱ぎ始めるえりち
うーん…やっぱり、スタイルいいな
つるっと、お腹を触ってみる
「ひゃあっ!?」
…うん、すべすべしてる
「ちょっと希!何やってるの!?」
えりちは脱いでる途中で、うちの事が見えてない
それにしても…
この目の前で揺れるものは、けしからんなあ…
489: 2015/03/07(土) 11:02:21.57 ID:CxxXurtO.net
誰にも見せられないような顔をして
えりちの背後に回る
「うう、脱げない…」
「ちょっと希、手伝って?」
「…ちょっと待っててなー。」
えりちが、万歳した状態で止まってる
この機、逃す訳にはいかんやん?
それっ
「わしわし~♪」
「いやあぁぁぁ!?」
えりちの背後に回る
「うう、脱げない…」
「ちょっと希、手伝って?」
「…ちょっと待っててなー。」
えりちが、万歳した状態で止まってる
この機、逃す訳にはいかんやん?
それっ
「わしわし~♪」
「いやあぁぁぁ!?」
490: 2015/03/07(土) 11:02:58.28 ID:CxxXurtO.net
「おお…!これは…!」
思わず、驚きの声を上げる
メリハリのついたスタイルなのに
ここはすごく柔らかくて…
「ウチ、もう氏んでも良い…」
「…じゃあ、氏になさい。」
いつの間にか、えりちは脱ぎ終わってた
「あ、あははー…」
「覚悟は、出来てるんでしょうね?」
「に…にっこにっこにー☆」
「…」
「す、すみませんでした…」
思わず、驚きの声を上げる
メリハリのついたスタイルなのに
ここはすごく柔らかくて…
「ウチ、もう氏んでも良い…」
「…じゃあ、氏になさい。」
いつの間にか、えりちは脱ぎ終わってた
「あ、あははー…」
「覚悟は、出来てるんでしょうね?」
「に…にっこにっこにー☆」
「…」
「す、すみませんでした…」
491: 2015/03/07(土) 11:03:31.07 ID:CxxXurtO.net
「…」
えりちが、すごくニコニコしてる
これは…終わったな
「…さあ、希。」
「こういう事をするってことは。」
「される覚悟もあるんでしょう?」
「い、いや、ウチはそんなに柔らかくないし…?」
がしっと腕を掴まれて、壁際に追い込まれる
「今なら、まだ誰もいないし…」
えりちがそっと、お腹を撫でる
「ひゃっ…!?」
あかん、変なスイッチ押してしまったかも…
えりちが、すごくニコニコしてる
これは…終わったな
「…さあ、希。」
「こういう事をするってことは。」
「される覚悟もあるんでしょう?」
「い、いや、ウチはそんなに柔らかくないし…?」
がしっと腕を掴まれて、壁際に追い込まれる
「今なら、まだ誰もいないし…」
えりちがそっと、お腹を撫でる
「ひゃっ…!?」
あかん、変なスイッチ押してしまったかも…
493: 2015/03/07(土) 11:19:30.94 ID:CxxXurtO.net
「さて、ちゃちゃっと終わらせちゃいましょうか♪」
えりちは、ウチのチャームポイントに手を伸ばす
「え、えりち。待っ…」
「すぐ、終わらせるわ♪」
「あッ…///」
「なによ、希もすごく柔らかいじゃない。」
片手でウチの腕を押さえつつ
もう片方がウチの体を這う
「やっ…ちょお…ッ///」
「…あら、案外かわいらしいのね。」
「えりち…待っ…ンッ///」
「どうしたの?希。」
ウチに構わず、えりちは手のひらを動かす
えりちは、ウチのチャームポイントに手を伸ばす
「え、えりち。待っ…」
「すぐ、終わらせるわ♪」
「あッ…///」
「なによ、希もすごく柔らかいじゃない。」
片手でウチの腕を押さえつつ
もう片方がウチの体を這う
「やっ…ちょお…ッ///」
「…あら、案外かわいらしいのね。」
「えりち…待っ…ンッ///」
「どうしたの?希。」
ウチに構わず、えりちは手のひらを動かす
494: 2015/03/07(土) 11:20:08.10 ID:CxxXurtO.net
「…そろそろ、懲りたかしら?」
「ちがっ…えりち…」
「?」
「みんな…見てるんよ…///」
周りには、他の学生達
こんなん…ただの痴女やん…
「あっ…///」
えりちも、分かってなかったみたいで…
「「…」」
------
「希、悪かったわよ…」
「ウチ、もうお嫁に行かれへん…」
「も、元はと言えば、希が…!」
「ちがっ…えりち…」
「?」
「みんな…見てるんよ…///」
周りには、他の学生達
こんなん…ただの痴女やん…
「あっ…///」
えりちも、分かってなかったみたいで…
「「…」」
------
「希、悪かったわよ…」
「ウチ、もうお嫁に行かれへん…」
「も、元はと言えば、希が…!」
495: 2015/03/07(土) 11:20:48.05 ID:CxxXurtO.net
「「…はあ。」」
「来て早々、何してるんだろ…」
「えりちに辱めをうけるし…」
「の、希が始めたんでしょ!?」
「でも、あんな舐めるようには触ってないもん。」
「う…だ、だって、希色っぽいんだし…」
「初めてやったのに…」
「待って、その発言はどうかと思うわ。」
「…えりち、場合に寄っては責任とってな?」
「なっ…!?///」
ばしゃっと、えりちに水をかける
「ッ…!?」
「えりちのあほー!」
まだ少し冷たいプールに、飛び込んだ
「来て早々、何してるんだろ…」
「えりちに辱めをうけるし…」
「の、希が始めたんでしょ!?」
「でも、あんな舐めるようには触ってないもん。」
「う…だ、だって、希色っぽいんだし…」
「初めてやったのに…」
「待って、その発言はどうかと思うわ。」
「…えりち、場合に寄っては責任とってな?」
「なっ…!?///」
ばしゃっと、えりちに水をかける
「ッ…!?」
「えりちのあほー!」
まだ少し冷たいプールに、飛び込んだ
496: 2015/03/07(土) 11:33:01.71 ID:CxxXurtO.net
「…ふう。」
「いやー、結構遊んだなー。」
「そうね。そろそろ、お腹もすいて来たし…」
「一旦、お昼にしましょうか。」
「…あれ?希ちゃん?」
「え…?」
「あ、絵里ちゃんもだ!久しぶりー!」
「あ、クラスの…」
「なーんだ、来るなら言ってくれたらよかったのに!」
「なんや、皆もきてたんやね。」
「最近暑くなってきたからさ、たまにはね♪」
「よかったら、一緒にご飯行かない?」
「…えりち?」
「ええ、行きましょうか♪」
「いやー、結構遊んだなー。」
「そうね。そろそろ、お腹もすいて来たし…」
「一旦、お昼にしましょうか。」
「…あれ?希ちゃん?」
「え…?」
「あ、絵里ちゃんもだ!久しぶりー!」
「あ、クラスの…」
「なーんだ、来るなら言ってくれたらよかったのに!」
「なんや、皆もきてたんやね。」
「最近暑くなってきたからさ、たまにはね♪」
「よかったら、一緒にご飯行かない?」
「…えりち?」
「ええ、行きましょうか♪」
497: 2015/03/07(土) 11:33:52.47 ID:CxxXurtO.net
---
更衣室に、財布を取りに来る
「いやー、まさか皆来てるなんてな。」
「まあ、この辺でプールはここしか無いし。」
「案外、これが普通なのかしら。」
「それにしても…」
「なんかこういう所のごはんって、美味しく感じん?」
「ああ…確かに。」
「プラスチックの、いかにもマズそうって感じの見た目なのにね。」
「ああ、なに食べよっかな~♪」
「食べるのは良いけど、お腹出してるのよ?」
「食べ過ぎたら…」
「うっ…」
冷たい、汗が流れた
えりち、よく見てるなあ…
更衣室に、財布を取りに来る
「いやー、まさか皆来てるなんてな。」
「まあ、この辺でプールはここしか無いし。」
「案外、これが普通なのかしら。」
「それにしても…」
「なんかこういう所のごはんって、美味しく感じん?」
「ああ…確かに。」
「プラスチックの、いかにもマズそうって感じの見た目なのにね。」
「ああ、なに食べよっかな~♪」
「食べるのは良いけど、お腹出してるのよ?」
「食べ過ぎたら…」
「うっ…」
冷たい、汗が流れた
えりち、よく見てるなあ…
498: 2015/03/07(土) 11:41:04.72 ID:CxxXurtO.net
「…!」
「どうしたの?希。」
「ごめん、えりち。」
「先に行っといてくれん?」
「いいけど…どうしたの?」
「いやあ…お花を摘みに…」
「…はいはい。」
えりちが、苦笑する
「待ってるから、早く来なさい。」
「ありがと、えりち。」
えりちを送り出して、トイレに向かう
トイレを通り過ぎて、お子様プールの方へ
「どうしたの?希。」
「ごめん、えりち。」
「先に行っといてくれん?」
「いいけど…どうしたの?」
「いやあ…お花を摘みに…」
「…はいはい。」
えりちが、苦笑する
「待ってるから、早く来なさい。」
「ありがと、えりち。」
えりちを送り出して、トイレに向かう
トイレを通り過ぎて、お子様プールの方へ
499: 2015/03/07(土) 11:41:49.98 ID:CxxXurtO.net
「…やっぱり。」
「げっ…。」
「あ!希さん!お久しぶりです。」
「希おねーちゃん、久しぶりー♪」
子供用プールで、同じ顔が三人並んでた
-----
「まさか、アンタ達も来てるなんて…ね。」
「…さっき、クラスの子達にも会ったで?」
「うわ、まさか…」
「今日は、虎太郎くんは?」
「流石にまだ危ないし、今日はママと家にいるわ。」
「そっか…」
「「…」」
「…最近、どう?」
「漠然とした質問ね。」
「…ごめん。」
「そうね…」
「まだ、諦めてないわよ。」
「げっ…。」
「あ!希さん!お久しぶりです。」
「希おねーちゃん、久しぶりー♪」
子供用プールで、同じ顔が三人並んでた
-----
「まさか、アンタ達も来てるなんて…ね。」
「…さっき、クラスの子達にも会ったで?」
「うわ、まさか…」
「今日は、虎太郎くんは?」
「流石にまだ危ないし、今日はママと家にいるわ。」
「そっか…」
「「…」」
「…最近、どう?」
「漠然とした質問ね。」
「…ごめん。」
「そうね…」
「まだ、諦めてないわよ。」
500: 2015/03/07(土) 11:42:23.83 ID:CxxXurtO.net
「…そっか。」
「何?アンタ、まさかにこが諦めると思ってたの?」
「ううん、違うよ!」
慌てて、手を横に振る
「…ただ。」
「寂しく、無いんかなあ…って。」
「…」
「…そうね。」
「心配しないで、とは…」
「とてもじゃないけど言えないわ。」
「でもね。」
「私は一人でも、絶対に諦めない。」
「アイドルになる、それが私の目標。」
「…うん。」
やっぱり、にこっちや
ぶれずに、しっかり前向いてる
「何?アンタ、まさかにこが諦めると思ってたの?」
「ううん、違うよ!」
慌てて、手を横に振る
「…ただ。」
「寂しく、無いんかなあ…って。」
「…」
「…そうね。」
「心配しないで、とは…」
「とてもじゃないけど言えないわ。」
「でもね。」
「私は一人でも、絶対に諦めない。」
「アイドルになる、それが私の目標。」
「…うん。」
やっぱり、にこっちや
ぶれずに、しっかり前向いてる
501: 2015/03/07(土) 11:42:48.40 ID:CxxXurtO.net
「ねーねー、希お姉ちゃん!」
「一緒に遊ぼー?」
ここあちゃんが、駆け寄って来た
「ごめんな?」
「人、待たせてるから…」
「また今度、一緒に遊ぼ?」
「えー。」
「…ほら、ここあ。迷惑かけないの。」
「はーい。」
「希さん。また、うちに来てくださいね♪」
「ありがと、こころちゃん。」
「…それじゃ、にこっち。」
「行くね?」
「ええ。またね。」
「うん。頑張ってな。」
「…ありがとう。」
「一緒に遊ぼー?」
ここあちゃんが、駆け寄って来た
「ごめんな?」
「人、待たせてるから…」
「また今度、一緒に遊ぼ?」
「えー。」
「…ほら、ここあ。迷惑かけないの。」
「はーい。」
「希さん。また、うちに来てくださいね♪」
「ありがと、こころちゃん。」
「…それじゃ、にこっち。」
「行くね?」
「ええ。またね。」
「うん。頑張ってな。」
「…ありがとう。」
502: 2015/03/07(土) 11:47:41.28 ID:CxxXurtO.net
「お待たせー!」
「希ちゃん、遅ーい!」
「ごめん、ごめん。」
「トイレ混んでてさあ…」
「…本当?」
「うっ…」
やっぱり、えりちは鋭いなあ…
「ま、とにかく。」
「お昼にしましょうか。」
「「はーい!!」」
こうして皆といる、日常も
話す事はめっきり減ったけど
にこっちとの、静かに過ごす時間
どっちもウチにとっては大切で
どっちも、無くしたくないもの
だからウチは
やれる事を、やる
改めて、心に誓った
「希ちゃん、遅ーい!」
「ごめん、ごめん。」
「トイレ混んでてさあ…」
「…本当?」
「うっ…」
やっぱり、えりちは鋭いなあ…
「ま、とにかく。」
「お昼にしましょうか。」
「「はーい!!」」
こうして皆といる、日常も
話す事はめっきり減ったけど
にこっちとの、静かに過ごす時間
どっちもウチにとっては大切で
どっちも、無くしたくないもの
だからウチは
やれる事を、やる
改めて、心に誓った
506: 2015/03/08(日) 01:10:34.25 ID:A9TWSb6M.net
再開します
507: 2015/03/08(日) 01:11:10.82 ID:A9TWSb6M.net
9月---
夏休み開け
ウチらは教室で、ポスター作りに取りかかってた
「…よし、これで完成かしら。」
「いい感じやない?」
「それじゃ、先生の所まで持って行きましょうか。」
『絢瀬絵里に清き一票を』
…なんて、書く日が来るとは夢にも思わんかった♪
でも、初めて二人で作ったポスター
何となく、思い入れが強くなってしまう
えりちと廊下を歩いていると
理事長とばったり出くわした
夏休み開け
ウチらは教室で、ポスター作りに取りかかってた
「…よし、これで完成かしら。」
「いい感じやない?」
「それじゃ、先生の所まで持って行きましょうか。」
『絢瀬絵里に清き一票を』
…なんて、書く日が来るとは夢にも思わんかった♪
でも、初めて二人で作ったポスター
何となく、思い入れが強くなってしまう
えりちと廊下を歩いていると
理事長とばったり出くわした
508: 2015/03/08(日) 01:11:56.74 ID:A9TWSb6M.net
「あら。絢瀬さんと…東條さんね?」
「え?ウチの名前、知ってたんですか?」
「もちろん♪」
「生徒の事は、ちゃんと頭に入ってるわ。」
「貴女の名前も、持つ雰囲気が変わった事も。」
「…!」
「まあ、生徒数が少ないから覚えられる、ってだけの話なんだけれど。」
くすくすと笑いながら、理事長は続けた
「…そういえば、今は何をしていたのかしら?」
「あ、生徒会選挙に使うポスターを…」
「え?ウチの名前、知ってたんですか?」
「もちろん♪」
「生徒の事は、ちゃんと頭に入ってるわ。」
「貴女の名前も、持つ雰囲気が変わった事も。」
「…!」
「まあ、生徒数が少ないから覚えられる、ってだけの話なんだけれど。」
くすくすと笑いながら、理事長は続けた
「…そういえば、今は何をしていたのかしら?」
「あ、生徒会選挙に使うポスターを…」
509: 2015/03/08(日) 01:12:35.62 ID:A9TWSb6M.net
理事長の目が丸くなる
「…?」
えりちと二人で、顔を見合わせる
なんか、変な事言ったかな…?
「えっと…理事長?」
「ああ、ごめんなさい。」
「一応、見せてもらってもいいかしら。」
「これです。」
そう言って、丸めていたポスターを広げる
「あら、素敵じゃない!」
一瞬で明るくなったその顔は
まるでウチらと同じ学生のように見えた
「…?」
えりちと二人で、顔を見合わせる
なんか、変な事言ったかな…?
「えっと…理事長?」
「ああ、ごめんなさい。」
「一応、見せてもらってもいいかしら。」
「これです。」
そう言って、丸めていたポスターを広げる
「あら、素敵じゃない!」
一瞬で明るくなったその顔は
まるでウチらと同じ学生のように見えた
511: 2015/03/08(日) 01:24:26.36 ID:A9TWSb6M.net
「これを、今月の選挙で使いたいのですが…」
「そうねえ…」
理事長はまた、難しい顔をする
「あの、何か…?」
「その、頑張ってこんなに良い物を作ってくれて。」
「非常に申し訳無いんだけれど…」
「会長の立候補者は絢瀬さんだけだから。」
「選挙をせずに、就任なのよね…」
今度はウチらの目が丸くなる
…そんなこと、すっかり忘れてた
「そうねえ…」
理事長はまた、難しい顔をする
「あの、何か…?」
「その、頑張ってこんなに良い物を作ってくれて。」
「非常に申し訳無いんだけれど…」
「会長の立候補者は絢瀬さんだけだから。」
「選挙をせずに、就任なのよね…」
今度はウチらの目が丸くなる
…そんなこと、すっかり忘れてた
512: 2015/03/08(日) 01:25:05.99 ID:A9TWSb6M.net
「でも、せっかく作ってくれたんだから…」
「思い切って、校内に張っちゃいましょうか♪」
「え、でも…」
「なにより、皆に知ってもらえるチャンスでしょ?」
「それは…」
確かに、そうやけど
二人で、目を合わせる
「「…ふふっ。」」
「いやあ、すっかり忘れてたなー。」
「本当ね。希に振り回されたわ。」
「ちょっと、えりち…?」
「思い切って、校内に張っちゃいましょうか♪」
「え、でも…」
「なにより、皆に知ってもらえるチャンスでしょ?」
「それは…」
確かに、そうやけど
二人で、目を合わせる
「「…ふふっ。」」
「いやあ、すっかり忘れてたなー。」
「本当ね。希に振り回されたわ。」
「ちょっと、えりち…?」
513: 2015/03/08(日) 01:36:44.43 ID:A9TWSb6M.net
---
理事長にポスターの事を頼んで、学校を後にする
「…本当、なんで気付かなかったのよ?」
「完全に、選挙に向けて準備してたもんなあ…」
「全く…」
「選挙に勝つには、運気が必要だ、って誰かさんが言うから。」
「デザインまでこだわったのに。」
「おっと、乗ったえりちも同じやで?」
「背景の色とか、めっちゃこだわってたくせに…!」
「ふふっ。でも…いいじゃない。」
「これも、私たちの思い出でしょ?」
「…そうやね。」
理事長にポスターの事を頼んで、学校を後にする
「…本当、なんで気付かなかったのよ?」
「完全に、選挙に向けて準備してたもんなあ…」
「全く…」
「選挙に勝つには、運気が必要だ、って誰かさんが言うから。」
「デザインまでこだわったのに。」
「おっと、乗ったえりちも同じやで?」
「背景の色とか、めっちゃこだわってたくせに…!」
「ふふっ。でも…いいじゃない。」
「これも、私たちの思い出でしょ?」
「…そうやね。」
514: 2015/03/08(日) 01:37:27.04 ID:A9TWSb6M.net
「こうして、小さな事でも。」
「誰かと思い出が作れる学校。」
「どこの学校もそうかもしれないけど…」
「私たちにとっては、ここしか無いのだから。」
「…廃校させる訳には、いかないもの。」
「そうでしょ?希。」
振り返るえりちの顔が夕日に照らされて
思わず、見とれてしまう
「…?どうしたの?」
「ううん!」
「生徒会、がんばろーなっ♪」
えりちの腕に飛びつく
「もう…」
夕焼けのその向こうへ、ウチらは向かった
「誰かと思い出が作れる学校。」
「どこの学校もそうかもしれないけど…」
「私たちにとっては、ここしか無いのだから。」
「…廃校させる訳には、いかないもの。」
「そうでしょ?希。」
振り返るえりちの顔が夕日に照らされて
思わず、見とれてしまう
「…?どうしたの?」
「ううん!」
「生徒会、がんばろーなっ♪」
えりちの腕に飛びつく
「もう…」
夕焼けのその向こうへ、ウチらは向かった
515: 2015/03/08(日) 01:45:19.59 ID:A9TWSb6M.net
----
えりちの生徒会就任から2週間
やはりえりちには人前に立つ才能があるようで
そのカリスマ性とも言うべき力で
ウチら生徒会のメンバーを引っ張ってくれてる
たまに、常識知らずな所もあるけど…ね
「希、話を聞いてるの?」
「えっ?も、もちろん聞いてるよ!」
「…そう。それじゃ、希の意見を聞かせてもらおうかしら?」
「えっと…」
あかん
何の話してたっけ…?
えりちの生徒会就任から2週間
やはりえりちには人前に立つ才能があるようで
そのカリスマ性とも言うべき力で
ウチら生徒会のメンバーを引っ張ってくれてる
たまに、常識知らずな所もあるけど…ね
「希、話を聞いてるの?」
「えっ?も、もちろん聞いてるよ!」
「…そう。それじゃ、希の意見を聞かせてもらおうかしら?」
「えっと…」
あかん
何の話してたっけ…?
516: 2015/03/08(日) 01:50:59.85 ID:A9TWSb6M.net
「…はあ。」
「ちゃんと聞いてよね、副会長さん。」
「…はーい。」
「それじゃ、もう一度説明するわよ?」
「部活動の予算管理だけど…」
やっぱり、えりちはすごいなあ…
成り行きで副会長になったけど…
ウチがいなくても回る気がする
「で、希はどう思う?」
でも、こういう最終決定はちゃんと聞いてくれるとことか
やっぱり、性格やね
「うん、いいと思うで?でも、例えば…」
同調しつつも、自分の意見はしっかり伝える
…えりちから、教わった事
「ちゃんと聞いてよね、副会長さん。」
「…はーい。」
「それじゃ、もう一度説明するわよ?」
「部活動の予算管理だけど…」
やっぱり、えりちはすごいなあ…
成り行きで副会長になったけど…
ウチがいなくても回る気がする
「で、希はどう思う?」
でも、こういう最終決定はちゃんと聞いてくれるとことか
やっぱり、性格やね
「うん、いいと思うで?でも、例えば…」
同調しつつも、自分の意見はしっかり伝える
…えりちから、教わった事
518: 2015/03/09(月) 00:27:51.61 ID:uZUNMv5T.net
お待たせしました
明日は休みなので
書き溜めた分全部あげます
明日は休みなので
書き溜めた分全部あげます
519: 2015/03/09(月) 00:28:35.27 ID:uZUNMv5T.net
<生徒会長の絢瀬絵里さん
<校内におられましたら、職員室までお越し下さいませ
<繰り返します…
「あら?何かしら?」
「えりち、まさか非行を…?」
「希は私をなんだと思ってるのよ…?」
「正直に話すなら今やで、えりち。」
「だから、話すも何も…」
「とにかく、行ってくるから。」
「ん、わかった。」
「申請する書類のまとめ、やっとくよ。」
「本当、仕事ができるんだか出来ないんだか…」
「でも、よろしくね。」
「いってらっしゃ~い。」
よし、それじゃ始めよか!
<校内におられましたら、職員室までお越し下さいませ
<繰り返します…
「あら?何かしら?」
「えりち、まさか非行を…?」
「希は私をなんだと思ってるのよ…?」
「正直に話すなら今やで、えりち。」
「だから、話すも何も…」
「とにかく、行ってくるから。」
「ん、わかった。」
「申請する書類のまとめ、やっとくよ。」
「本当、仕事ができるんだか出来ないんだか…」
「でも、よろしくね。」
「いってらっしゃ~い。」
よし、それじゃ始めよか!
521: 2015/03/09(月) 00:32:22.17 ID:uZUNMv5T.net
「ん~…だいたい、こんなもんやね。」
後はウチだけで出来るからって
他の役員たちには帰ってもらった
…一応、副会長としての仕事はせんとな
「えりち、遅いなあ…」
今すぐやらないといけない分は終わったし
えりちが来るまで何をしようか…
鞄から、カードを取り出す
「久々に、やってみよかな。」
カードをプールして、ひとつにまとめる
「さて、今の状況は…」
一番上のカードを、めくる
後はウチだけで出来るからって
他の役員たちには帰ってもらった
…一応、副会長としての仕事はせんとな
「えりち、遅いなあ…」
今すぐやらないといけない分は終わったし
えりちが来るまで何をしようか…
鞄から、カードを取り出す
「久々に、やってみよかな。」
カードをプールして、ひとつにまとめる
「さて、今の状況は…」
一番上のカードを、めくる
522: 2015/03/09(月) 00:33:27.99 ID:uZUNMv5T.net
『塔』のカード
それも、逆位置
意味するのは…
緊迫・突然のアクシデント
「なんなん、これ…」
タロットの中で唯一
正位置でも逆位置でも悪い意味を持つカード
それが、なんで今…?
占いの結果に呆然としていると
えりちが、飛び込んで来た
それも、逆位置
意味するのは…
緊迫・突然のアクシデント
「なんなん、これ…」
タロットの中で唯一
正位置でも逆位置でも悪い意味を持つカード
それが、なんで今…?
占いの結果に呆然としていると
えりちが、飛び込んで来た
523: 2015/03/09(月) 00:41:04.68 ID:uZUNMv5T.net
「…希!!!」
「えりち!?」
えりちは、肩で息をしてる
「ど、どうしたん…?」
占いの結果が、頭をよぎる
「…はあ、はあ。」
この短い時間が、じれったい
「…ごめん。」
「何があったん…?」
「落ち着いて聞いてね?」
「アイドル研究部が…」
「…廃部になるって。」
「えりち!?」
えりちは、肩で息をしてる
「ど、どうしたん…?」
占いの結果が、頭をよぎる
「…はあ、はあ。」
この短い時間が、じれったい
「…ごめん。」
「何があったん…?」
「落ち着いて聞いてね?」
「アイドル研究部が…」
「…廃部になるって。」
524: 2015/03/09(月) 00:49:19.79 ID:uZUNMv5T.net
「…は?」
「だから…」
「ちょっと待って!」
「なんで!?」
えりちに詰め寄る
「…だから、落ち着きなさい!!」
えりちの大声で、少し正気に戻る
「…ごめん、えりち。」
「いいのよ。ただ、ちゃんと聞いて。」
「さっき先生から、廃校がほぼ決定する事を伝えられたの。」
「だから、それをウチらでどうにかしようって…」
「言ったわよ!!」
「…言ったからこそ、こうなったの。」
「だから…」
「ちょっと待って!」
「なんで!?」
えりちに詰め寄る
「…だから、落ち着きなさい!!」
えりちの大声で、少し正気に戻る
「…ごめん、えりち。」
「いいのよ。ただ、ちゃんと聞いて。」
「さっき先生から、廃校がほぼ決定する事を伝えられたの。」
「だから、それをウチらでどうにかしようって…」
「言ったわよ!!」
「…言ったからこそ、こうなったの。」
525: 2015/03/09(月) 00:50:05.03 ID:uZUNMv5T.net
「どういう…こと?」
「私たちが、なんとかするって。」
「廃校を阻止するために、生徒会に入ったって。」
「だから、決定するのはもう少し待ってほしい、って。」
「私は…そう、伝えたわ。」
「…うん。」
「先生方の答えは、イエス。」
「絢瀬さんが言うなら、もう少し賭けてみる、って。」
「よかった…」
「でも…」
「ぎりぎりまで決定を伸ばすには、予算が足りないのよ。」
「だから、先生は。」
「廃校を決定しないのなら…」
「部員のいない部活は今年度いっぱいで、廃部にするって。」
「私たちが、なんとかするって。」
「廃校を阻止するために、生徒会に入ったって。」
「だから、決定するのはもう少し待ってほしい、って。」
「私は…そう、伝えたわ。」
「…うん。」
「先生方の答えは、イエス。」
「絢瀬さんが言うなら、もう少し賭けてみる、って。」
「よかった…」
「でも…」
「ぎりぎりまで決定を伸ばすには、予算が足りないのよ。」
「だから、先生は。」
「廃校を決定しないのなら…」
「部員のいない部活は今年度いっぱいで、廃部にするって。」
526: 2015/03/09(月) 01:04:12.05 ID:uZUNMv5T.net
「そんな…」
「…現時点で廃部が決まってるのは5つ。」
「そのなかに、アイドル研究部も入ってるの。」
「なんで、廃部なんかに…」
「どんなに小さな部活でも。」
「存在するだけで部費を捻出しないと駄目なのよ。」
「だから…」
「そんなん、大人の事情やんか…」
「ただ、例外があって。」
「今年中に部員が増えるか。」
「何かしら大きな業績を残せば、廃部は無くなるそうよ。」
「大きな、業績…」
「…現時点で廃部が決まってるのは5つ。」
「そのなかに、アイドル研究部も入ってるの。」
「なんで、廃部なんかに…」
「どんなに小さな部活でも。」
「存在するだけで部費を捻出しないと駄目なのよ。」
「だから…」
「そんなん、大人の事情やんか…」
「ただ、例外があって。」
「今年中に部員が増えるか。」
「何かしら大きな業績を残せば、廃部は無くなるそうよ。」
「大きな、業績…」
528: 2015/03/09(月) 01:11:09.74 ID:uZUNMv5T.net
「それすら、私たちの理想が実現しなければ。」
「一年足らずの話だけど…」
「それでも、その二つのどちらかを満たさないと…」
「…廃部になる。」
業績…
アイドル研究部の、業績って…?
「にこに関して言えば…」
「前みたいにライブをして、お客が一定数以上いれば。」
「そして、その子達がもっと見たいって思えれば。」
「…きっと、存続できるはずよ。」
「ライブ…」
苦い記憶が、よみがえる
また、あんな事になったら…
「一年足らずの話だけど…」
「それでも、その二つのどちらかを満たさないと…」
「…廃部になる。」
業績…
アイドル研究部の、業績って…?
「にこに関して言えば…」
「前みたいにライブをして、お客が一定数以上いれば。」
「そして、その子達がもっと見たいって思えれば。」
「…きっと、存続できるはずよ。」
「ライブ…」
苦い記憶が、よみがえる
また、あんな事になったら…
529: 2015/03/09(月) 01:17:58.14 ID:uZUNMv5T.net
「…とにかく。」
「もう決まってしまった事を話してもしょうがないわ。」
「このことは…」
「希から、にこに伝えて。」
「ウチから…?」
えりちが、困った顔をした
「…私が言うと、非情になりすぎてしまう気がするの。」
「学校の決定を、私たちが変えることは出来ない。」
「私じゃ、従って、としか言えないと思うから。」
「だから…お願い、希。」
「えりち…」
ウチが、伝える?
どうやって…?
「もう決まってしまった事を話してもしょうがないわ。」
「このことは…」
「希から、にこに伝えて。」
「ウチから…?」
えりちが、困った顔をした
「…私が言うと、非情になりすぎてしまう気がするの。」
「学校の決定を、私たちが変えることは出来ない。」
「私じゃ、従って、としか言えないと思うから。」
「だから…お願い、希。」
「えりち…」
ウチが、伝える?
どうやって…?
530: 2015/03/09(月) 01:26:08.86 ID:uZUNMv5T.net
その日は一日、何も考えれんかった
えりちと、生徒会室の戸締まりをして
学校からでた
…けど、どうも家に帰る気がしなくて
公園のベンチに、腰を下ろした
「なんで、廃部になんか…」
あんなに頑張ってるにこっちが
にこっちの夢が、消えてしまう…
そんなの…
「…こんな所で何してるのよ?」
「にこっち…」
一番会いたくない時に
一番会いたい人に会ってしまった
えりちと、生徒会室の戸締まりをして
学校からでた
…けど、どうも家に帰る気がしなくて
公園のベンチに、腰を下ろした
「なんで、廃部になんか…」
あんなに頑張ってるにこっちが
にこっちの夢が、消えてしまう…
そんなの…
「…こんな所で何してるのよ?」
「にこっち…」
一番会いたくない時に
一番会いたい人に会ってしまった
531: 2015/03/09(月) 01:33:43.32 ID:uZUNMv5T.net
---
「…ほら、入って。」
「お邪魔します…」
なんとなく断れずに、家まで招かれてしまった
「あ、希さん!お久しぶりです♪」
「希おねーちゃん、こんばんはー。」
「…二人とも、久しぶり。」
「元気やった?」
「はい♪」
「あ、虎太郎は寝ちゃってるんですけど…」
「そっか、起こさんようにしないとな。」
にこちゃんの部屋に、通される
「…久しぶりね、ここにアンタが来るのも。」
「…うん。」
「…ほら、入って。」
「お邪魔します…」
なんとなく断れずに、家まで招かれてしまった
「あ、希さん!お久しぶりです♪」
「希おねーちゃん、こんばんはー。」
「…二人とも、久しぶり。」
「元気やった?」
「はい♪」
「あ、虎太郎は寝ちゃってるんですけど…」
「そっか、起こさんようにしないとな。」
にこちゃんの部屋に、通される
「…久しぶりね、ここにアンタが来るのも。」
「…うん。」
532: 2015/03/09(月) 01:38:00.88 ID:uZUNMv5T.net
「…で、何があったの?」
ウチの隣に座って、にこっちが尋ねる
「それは…」
…口から、出てこない
引き延ばしても、いいことないのに…
「…部活の事?」
「え…」
「…やっぱり。」
「なんで…?」
「前に言ったでしょ?」
「アンタは、分かりやすいって。」
「今日会ってから一度も、目を見て無いじゃない。」
…そんな事、言われるまで気付かんかった
ウチの隣に座って、にこっちが尋ねる
「それは…」
…口から、出てこない
引き延ばしても、いいことないのに…
「…部活の事?」
「え…」
「…やっぱり。」
「なんで…?」
「前に言ったでしょ?」
「アンタは、分かりやすいって。」
「今日会ってから一度も、目を見て無いじゃない。」
…そんな事、言われるまで気付かんかった
533: 2015/03/09(月) 02:06:43.38 ID:uZUNMv5T.net
「…詳しく、教えて?」
「…うん。」
言葉を選びながら、にこっちに伝える
---
「…そう。」
全部聞き終わると、にこっちが呟く
「にこっち…」
「…そんな、心配そうな顔しないの。」
「なんとなく…分かってた事だから。」
「でも…」
「要するに、結果を出せばいいんでしょ?」
「…ライブ、やるわよ。」
「でも…」
「一人じゃ出来ないって、誰が決めたの?」
「私は、やってみせる。」
「自分の、夢のために。」
「…うん。」
言葉を選びながら、にこっちに伝える
---
「…そう。」
全部聞き終わると、にこっちが呟く
「にこっち…」
「…そんな、心配そうな顔しないの。」
「なんとなく…分かってた事だから。」
「でも…」
「要するに、結果を出せばいいんでしょ?」
「…ライブ、やるわよ。」
「でも…」
「一人じゃ出来ないって、誰が決めたの?」
「私は、やってみせる。」
「自分の、夢のために。」
534: 2015/03/09(月) 02:07:17.93 ID:uZUNMv5T.net
「にこっち…」
「教えてくれて、ありがと。」
「言ってくれたのが、希で良かったわ。」
「…先生に言われたら、きっと反発しちゃうから。」
「…」
「…ほら、元気だしなさいよ。」
「変わったんでしょ?」
「もっと、笑いなさい。」
「にこっちぃ…」
思わず、抱きつく
「…まったく。」
にこっちが、頭を撫でてくれる
「私の前では、いつまでもあの頃のままね。」
にこっちの笑顔、久々に見た気がする
「教えてくれて、ありがと。」
「言ってくれたのが、希で良かったわ。」
「…先生に言われたら、きっと反発しちゃうから。」
「…」
「…ほら、元気だしなさいよ。」
「変わったんでしょ?」
「もっと、笑いなさい。」
「にこっちぃ…」
思わず、抱きつく
「…まったく。」
にこっちが、頭を撫でてくれる
「私の前では、いつまでもあの頃のままね。」
にこっちの笑顔、久々に見た気がする
535: 2015/03/09(月) 02:24:20.07 ID:uZUNMv5T.net
部屋の扉を、ノックされる
「お姉様、そろそろ…」
「はいはい、今行くわよ。」
「…よかったら、ご飯食べてく?」
「え?」
「どうせアンタの事だから、またコンビニとかでしょ?」
「う…」
「準備するから、リビングで待ってて。」
「でも…」
「いいから。」
今日のにこっち、すごく優しい
ウチが…沈んでるからかな
「お姉様、そろそろ…」
「はいはい、今行くわよ。」
「…よかったら、ご飯食べてく?」
「え?」
「どうせアンタの事だから、またコンビニとかでしょ?」
「う…」
「準備するから、リビングで待ってて。」
「でも…」
「いいから。」
今日のにこっち、すごく優しい
ウチが…沈んでるからかな
536: 2015/03/09(月) 02:24:59.90 ID:uZUNMv5T.net
---
「…ごちそうさまでした。」
「はい、お粗末様。」
にこっちのご飯はすごく美味しくて
思わず、顔が緩んでしまう
「ねーねー、希おねーちゃん。」
「ん?どうしたん?」
「今日、泊まって行きなよ!」
「へっ?」
「…ホント、希ってば気に入られてるわね。」
「にこっち…」
「私は、構わないけど?」
「でも…」
「…お布団、もう一枚出しておきますね。」
こころちゃんが、テキパキと動く
「…みんな、アンタの事が好きなのよ。」
「…ごちそうさまでした。」
「はい、お粗末様。」
にこっちのご飯はすごく美味しくて
思わず、顔が緩んでしまう
「ねーねー、希おねーちゃん。」
「ん?どうしたん?」
「今日、泊まって行きなよ!」
「へっ?」
「…ホント、希ってば気に入られてるわね。」
「にこっち…」
「私は、構わないけど?」
「でも…」
「…お布団、もう一枚出しておきますね。」
こころちゃんが、テキパキと動く
「…みんな、アンタの事が好きなのよ。」
537: 2015/03/09(月) 02:25:33.23 ID:uZUNMv5T.net
にこっちの言葉に泣きそうになりながらも
みんなとお風呂に入って、パジャマに着替える
「にこっち…」
「何よ!?」
「それしかないんだから、仕方ないじゃない!」
にこっちの服を借りたけど、胸元が…
「悪かったわね、誰かさんみたいに大きくなくて!」
そんなこと言ってないのに…
---
皆で、川の字で布団に入る
「明日も学校だから、もう寝るわよ。」
みんなとお風呂に入って、パジャマに着替える
「にこっち…」
「何よ!?」
「それしかないんだから、仕方ないじゃない!」
にこっちの服を借りたけど、胸元が…
「悪かったわね、誰かさんみたいに大きくなくて!」
そんなこと言ってないのに…
---
皆で、川の字で布団に入る
「明日も学校だから、もう寝るわよ。」
538: 2015/03/09(月) 02:26:13.88 ID:uZUNMv5T.net
「えー!」
「まだ、希おねーちゃんと話したいのに!」
「駄目。」
「…はーい。」
こういう所は、やっぱりお姉ちゃんなんやね
「…ほら、希も早く寝なさい。」
「いつもより早く起きないと、家に帰れないわよ?」
「…ありがと、にこっち。」
「おやすみなさい。」
---
「…絶対、廃部になんかさせない。」
「私が作ったんだから…」
「まだ、希おねーちゃんと話したいのに!」
「駄目。」
「…はーい。」
こういう所は、やっぱりお姉ちゃんなんやね
「…ほら、希も早く寝なさい。」
「いつもより早く起きないと、家に帰れないわよ?」
「…ありがと、にこっち。」
「おやすみなさい。」
---
「…絶対、廃部になんかさせない。」
「私が作ったんだから…」
539: 2015/03/09(月) 02:35:27.99 ID:uZUNMv5T.net
それからにこっちは
以前にも増して活動的になった
ビラ配りや、告知をいっぱいして
ライブだってした
一人でも、とても大きく見えた
どんな時だって、笑顔やった
「…上手く行くといいわね。」
「…きっと、上手く行くよ。」
「あんなに、頑張ってるんやもん。」
そう
にこっちなら、大丈夫
きっとまた、笑顔で乗り越えられる
そう、信じてる
-----信じてた
以前にも増して活動的になった
ビラ配りや、告知をいっぱいして
ライブだってした
一人でも、とても大きく見えた
どんな時だって、笑顔やった
「…上手く行くといいわね。」
「…きっと、上手く行くよ。」
「あんなに、頑張ってるんやもん。」
そう
にこっちなら、大丈夫
きっとまた、笑顔で乗り越えられる
そう、信じてる
-----信じてた
540: 2015/03/09(月) 02:39:55.26 ID:uZUNMv5T.net
---11月
年末度、活動報告
先生方とえりち、ウチで生徒会の活動報告を行う
淡々と進められた報告会は
最後の議題である部活動の報告だけになった
「えー。それでは。」
「以前話していた廃部の件ですが…」
にこっち…!
「変更は無し。」
「よって該当する部活動は、本年度をもって廃部とします。」
あんなに、頑張ったのに…?
年末度、活動報告
先生方とえりち、ウチで生徒会の活動報告を行う
淡々と進められた報告会は
最後の議題である部活動の報告だけになった
「えー。それでは。」
「以前話していた廃部の件ですが…」
にこっち…!
「変更は無し。」
「よって該当する部活動は、本年度をもって廃部とします。」
あんなに、頑張ったのに…?
541: 2015/03/09(月) 02:40:33.44 ID:uZUNMv5T.net
「ちょ、ちょっと待ってください!!」
「希…」
「アイドル研究部は、もうちょっと待ってもらえませんか!?」
「きっと…きっと、後少しで…!」
「そうは言っても…」
「先日のライブも、お客さんは少なかったみたいじゃない。」
「それに、未だ部員は一人。」
「…むしろ、今までよく保った方よ?」
「そんな…!」
「…東條さん。」
「貴女が、アイドル研究部と密な関係であることは知ってるわ。」
「希…」
「アイドル研究部は、もうちょっと待ってもらえませんか!?」
「きっと…きっと、後少しで…!」
「そうは言っても…」
「先日のライブも、お客さんは少なかったみたいじゃない。」
「それに、未だ部員は一人。」
「…むしろ、今までよく保った方よ?」
「そんな…!」
「…東條さん。」
「貴女が、アイドル研究部と密な関係であることは知ってるわ。」
542: 2015/03/09(月) 02:41:05.08 ID:uZUNMv5T.net
「…それでも。」
「生徒会役員としてここにいる以上。」
「感情ばかりで動くのは、賢いとは言えないわよ?」
「それは…」
「とにかく。」
「この決定は覆る事はありません。」
「以上の部活動は、今年で廃部とします。」
「…」
「それでは、報告会を終わります。」
「…おつかれさまでした。」
「生徒会役員としてここにいる以上。」
「感情ばかりで動くのは、賢いとは言えないわよ?」
「それは…」
「とにかく。」
「この決定は覆る事はありません。」
「以上の部活動は、今年で廃部とします。」
「…」
「それでは、報告会を終わります。」
「…おつかれさまでした。」
543: 2015/03/09(月) 03:12:36.92 ID:uZUNMv5T.net
四時ごろから再開します
545: 2015/03/09(月) 03:58:34.83 ID:uZUNMv5T.net
「…」
「ねえ、希…」
「…ウチ、理事長先生のとこ行ってくる。」
そう言って、理事長室に向かう
「ちょっと、希!?」
えりちが、慌てて着いて来た
「…気持ちは分かるけど。」
「今更、無理よ。」
「提示された条件も、クリア出来なかったんだし…」
「…」
「ちょっと、希ってば!」
えりちに、腕を掴まれた
「ねえ、希…」
「…ウチ、理事長先生のとこ行ってくる。」
そう言って、理事長室に向かう
「ちょっと、希!?」
えりちが、慌てて着いて来た
「…気持ちは分かるけど。」
「今更、無理よ。」
「提示された条件も、クリア出来なかったんだし…」
「…」
「ちょっと、希ってば!」
えりちに、腕を掴まれた
546: 2015/03/09(月) 03:59:08.33 ID:uZUNMv5T.net
「…落ち着いて。」
「…落ち着いてるよ。」
「でも、納得がいかん。」
「だから、直接理事長にかけあってみる。」
「無理に決まってるでしょう!?」
「やってみんと分からんやん!!」
「…ウチが、したくてしてることやから。」
「えりちは、生徒会室に戻ってて。」
「…無理ね。」
「希が行くなら、私も行く。」
「えりち…」
「今更、水臭い事言わないでよ。」
「…聞いてみなくちゃ、分からないものね。」
「…落ち着いてるよ。」
「でも、納得がいかん。」
「だから、直接理事長にかけあってみる。」
「無理に決まってるでしょう!?」
「やってみんと分からんやん!!」
「…ウチが、したくてしてることやから。」
「えりちは、生徒会室に戻ってて。」
「…無理ね。」
「希が行くなら、私も行く。」
「えりち…」
「今更、水臭い事言わないでよ。」
「…聞いてみなくちゃ、分からないものね。」
547: 2015/03/09(月) 03:59:50.11 ID:uZUNMv5T.net
---
「どうにか、なりませんか!?」
「貴女の気持ちも分かるけど…」
「廃校か、廃部か。」
「どちらかに決めないと、八方ふさがりなのよ。」
「…ごめんなさいね。」
理事長は、続ける
「…それに。」
「もし、アイドル研究部だけを存続させてしまうと…」
「他の廃部になった部活に、顔向けできないでしょう?」
「それなら、他の部活も…という形には出来ませんか?」
「部費の件だって、話せばきっと…!」
「えりち…」
「どうにか、なりませんか!?」
「貴女の気持ちも分かるけど…」
「廃校か、廃部か。」
「どちらかに決めないと、八方ふさがりなのよ。」
「…ごめんなさいね。」
理事長は、続ける
「…それに。」
「もし、アイドル研究部だけを存続させてしまうと…」
「他の廃部になった部活に、顔向けできないでしょう?」
「それなら、他の部活も…という形には出来ませんか?」
「部費の件だって、話せばきっと…!」
「えりち…」
548: 2015/03/09(月) 04:07:22.04 ID:uZUNMv5T.net
「それは無理よ。」
「例え、部費がゼロでも構わないという部活がいたとしても…」
「校内で活動する以上、設備にお金はかかるのよ。」
「貴女達高校生に、大人の事情を伝えるのはいけない事だけど…」
「それほど、この学校が窮地に立たされているという事を理解して頂戴。」
「…」
「…私だって、できるなら生徒達の夢を壊したくはない。」
「でも、そうする事で訪れるのは廃校よ。」
「だったら私は、理事長として。」
「より多くの生徒を守らなければならない。」
「…言ってる意味、貴女達なら分かるでしょう?」
「…はい。」
「例え、部費がゼロでも構わないという部活がいたとしても…」
「校内で活動する以上、設備にお金はかかるのよ。」
「貴女達高校生に、大人の事情を伝えるのはいけない事だけど…」
「それほど、この学校が窮地に立たされているという事を理解して頂戴。」
「…」
「…私だって、できるなら生徒達の夢を壊したくはない。」
「でも、そうする事で訪れるのは廃校よ。」
「だったら私は、理事長として。」
「より多くの生徒を守らなければならない。」
「…言ってる意味、貴女達なら分かるでしょう?」
「…はい。」
549: 2015/03/09(月) 04:07:44.33 ID:uZUNMv5T.net
-----
「駄目…だったわね。」
「…」
「…もう、どうしようも無いわ。」
「…」
「…ウチは、諦めん。」
「あんなに頑張ってるの見て来たんやもん。」
「許してくれるまで、何度だって頼みに行く。」
「希…」
それからウチは、何度も
毎日、理事長室に向かった
何度断られようと
何度も、何度も、頭を下げた
無理なのは分かってた
でも、何もせずにはいられなかった
「駄目…だったわね。」
「…」
「…もう、どうしようも無いわ。」
「…」
「…ウチは、諦めん。」
「あんなに頑張ってるの見て来たんやもん。」
「許してくれるまで、何度だって頼みに行く。」
「希…」
それからウチは、何度も
毎日、理事長室に向かった
何度断られようと
何度も、何度も、頭を下げた
無理なのは分かってた
でも、何もせずにはいられなかった
550: 2015/03/09(月) 04:09:02.12 ID:uZUNMv5T.net
---
「…今日も、だめだったのね。」
「…うん。」
「ほら、落ち込んでどうするの?」
「…」
「…ふう。今日はもう、帰りなさい。」
「えりちは?」
「私はもう少し、整理してから帰るわ。」
「なら、ウチも…」
「いいから。」
「貴女は、ちゃんと休みなさい。」
「…目の下のクマ、目立つわよ。」
気付かれちゃってたか…
「…ごめんな、えりち。」
「いいのよ。」
そう言って、ウチは生徒会室から出た
「…よし。」
「…今日も、だめだったのね。」
「…うん。」
「ほら、落ち込んでどうするの?」
「…」
「…ふう。今日はもう、帰りなさい。」
「えりちは?」
「私はもう少し、整理してから帰るわ。」
「なら、ウチも…」
「いいから。」
「貴女は、ちゃんと休みなさい。」
「…目の下のクマ、目立つわよ。」
気付かれちゃってたか…
「…ごめんな、えりち。」
「いいのよ。」
そう言って、ウチは生徒会室から出た
「…よし。」
551: 2015/03/09(月) 04:20:28.61 ID:uZUNMv5T.net
-----
コンコン
「…はい。」
「失礼します。」
「…絢瀬さん。どうしたの?」
「今日は、私もお願いに来ました。」
「…廃部の事ね。」
「…」
「…貴女は、肯定的なんだと思っていたわ。」
「…そうですね。」
「以前までの私なら、希を抑える側にいたと思います。」
「でも、今は…」
「彼女達を、応援したいんです。」
「彼女…達?」
コンコン
「…はい。」
「失礼します。」
「…絢瀬さん。どうしたの?」
「今日は、私もお願いに来ました。」
「…廃部の事ね。」
「…」
「…貴女は、肯定的なんだと思っていたわ。」
「…そうですね。」
「以前までの私なら、希を抑える側にいたと思います。」
「でも、今は…」
「彼女達を、応援したいんです。」
「彼女…達?」
552: 2015/03/09(月) 04:21:08.75 ID:uZUNMv5T.net
「希は…」
「彼女は、まっすぐで。」
「いつも、人の事を考えて動いています。」
「誰かのためって決めたら、それに向かって一直線で。」
「周りの意見や、声なんて気にせずに、ぶつかって行くんです。」
「…そんな、馬鹿な子なんです。」
「…」
「…でも、彼女がこうなったのは、ある人の背中を見てたからです。」
「その子は、いつだって前向きで。」
「胸を張って、信念をもって生きています。」
「諦める事を知らない、辛くても笑顔でいる。」
「…希が目標とする、馬鹿な子です。」
「…でも、そんな馬鹿な彼女達だから…出きる事が、あるんじゃないか、って。」
「…そう、思えるんです。」
「彼女は、まっすぐで。」
「いつも、人の事を考えて動いています。」
「誰かのためって決めたら、それに向かって一直線で。」
「周りの意見や、声なんて気にせずに、ぶつかって行くんです。」
「…そんな、馬鹿な子なんです。」
「…」
「…でも、彼女がこうなったのは、ある人の背中を見てたからです。」
「その子は、いつだって前向きで。」
「胸を張って、信念をもって生きています。」
「諦める事を知らない、辛くても笑顔でいる。」
「…希が目標とする、馬鹿な子です。」
「…でも、そんな馬鹿な彼女達だから…出きる事が、あるんじゃないか、って。」
「…そう、思えるんです。」
553: 2015/03/09(月) 04:27:23.28 ID:uZUNMv5T.net
「…貴女は、もっと達観してる人だと思ってたわ。」
「もちろん、良い意味でね。」
「…そうですね。」
「馬鹿な子達と、一緒に馬鹿な事をしてると…」
「私まで、馬鹿になってしまったみたいです。」
「ふふっ。若いって、すばらしいわね。」
「…でも、思いだけじゃどうにもならない事だってあるのよ。」
「…」
「分かってます。それでも、私は彼女達に賭けてみたいんです。」
「…これを、見てください。」
「…これは?」
「嘆願書です。」
「…廃部の危機に晒されている、部活。」
「その部長さんから、預かってきました。」
「もちろん、良い意味でね。」
「…そうですね。」
「馬鹿な子達と、一緒に馬鹿な事をしてると…」
「私まで、馬鹿になってしまったみたいです。」
「ふふっ。若いって、すばらしいわね。」
「…でも、思いだけじゃどうにもならない事だってあるのよ。」
「…」
「分かってます。それでも、私は彼女達に賭けてみたいんです。」
「…これを、見てください。」
「…これは?」
「嘆願書です。」
「…廃部の危機に晒されている、部活。」
「その部長さんから、預かってきました。」
554: 2015/03/09(月) 04:28:08.29 ID:uZUNMv5T.net
「…もっと、続けていたい。」
「もっと、こんなことがしたい。」
「自分たちには、こんな夢がある。」
「…そういった事が、書かれています。」
「…」
「…これを出したからって、どうにかなるとは思いません。」
「こんなのは、ただの理想論です。」
「…ですが、私たち生徒会が目指すのも。」
「そんな、理想の学校なんです。」
「廃校は、私たち生徒会がなんとしても阻止してみせます!」
「だからどうか、廃校が決まる最期のその時まで!」
「彼女達に、夢を追いかけさせてあげてください!」
「お願いします!!」
「…」
「もっと、こんなことがしたい。」
「自分たちには、こんな夢がある。」
「…そういった事が、書かれています。」
「…」
「…これを出したからって、どうにかなるとは思いません。」
「こんなのは、ただの理想論です。」
「…ですが、私たち生徒会が目指すのも。」
「そんな、理想の学校なんです。」
「廃校は、私たち生徒会がなんとしても阻止してみせます!」
「だからどうか、廃校が決まる最期のその時まで!」
「彼女達に、夢を追いかけさせてあげてください!」
「お願いします!!」
「…」
559: 2015/03/09(月) 17:59:57.92 ID:uZUNMv5T.net
-----
「うそ…?」
「本当よ。」
「理事長から、正式に通達が来てね。」
「廃部の話が、無しになったわ。」
「ほんまに…?」
「ええ。」
「やったー!!」
思わず、飛び跳ねる
「さっそく、にこっちに伝えんと!!」
「あ、でも…」
「?」
「どうして理事長は、辞めてくれたんやろ?」
「あんなに、反対してたのに…」
「うそ…?」
「本当よ。」
「理事長から、正式に通達が来てね。」
「廃部の話が、無しになったわ。」
「ほんまに…?」
「ええ。」
「やったー!!」
思わず、飛び跳ねる
「さっそく、にこっちに伝えんと!!」
「あ、でも…」
「?」
「どうして理事長は、辞めてくれたんやろ?」
「あんなに、反対してたのに…」
560: 2015/03/09(月) 18:00:34.99 ID:uZUNMv5T.net
「…きっと、希が何度も頭を下げたからじゃ無いかしら。」
「うーん…」
「まあ、どうしてかは分からないけれど。」
「とにかく、部の存続は決まった。」
「まずは、にこに伝えて来なさい。」
「きっと、さっきの希と同じ反応するわ♪」
「…うん!」
「行ってくる!!」
やった…!
やったやった…!
にこっち、これからもアイドル続けられる!!
おめでとう、にこっち…!
「うーん…」
「まあ、どうしてかは分からないけれど。」
「とにかく、部の存続は決まった。」
「まずは、にこに伝えて来なさい。」
「きっと、さっきの希と同じ反応するわ♪」
「…うん!」
「行ってくる!!」
やった…!
やったやった…!
にこっち、これからもアイドル続けられる!!
おめでとう、にこっち…!
561: 2015/03/09(月) 18:11:34.75 ID:uZUNMv5T.net
---
「にこっち!!」
「どうしたの、希?」
「ちょっと、こっちに…!」
「ちょっ!?引っ張らないでよ…!」
「…で、一体なんなの?」
にこっちを、屋上に連れて来た
「えっと…えっとな!」
「廃部の話、無くなったんよ!!」
「…え?」
「理事長が、取りやめてくれてん!」
「だから、これからも活動できるんよ!」
「にこっち!!」
「どうしたの、希?」
「ちょっと、こっちに…!」
「ちょっ!?引っ張らないでよ…!」
「…で、一体なんなの?」
にこっちを、屋上に連れて来た
「えっと…えっとな!」
「廃部の話、無くなったんよ!!」
「…え?」
「理事長が、取りやめてくれてん!」
「だから、これからも活動できるんよ!」
562: 2015/03/09(月) 18:23:46.91 ID:uZUNMv5T.net
「うそ…」
「ほんとやって!!」
「…」
「…にこっち?」
「…グスッ。」
「…泣いてるん?」
「べ、別に!?」
「きっと、このにこの活動が認められたって事よね!!」
「無駄じゃ…なかったんだ…」
「にこっち…」
本当に、そうなんかな…?
あんなに、先生達に否定されてたのに…
「ほんとやって!!」
「…」
「…にこっち?」
「…グスッ。」
「…泣いてるん?」
「べ、別に!?」
「きっと、このにこの活動が認められたって事よね!!」
「無駄じゃ…なかったんだ…」
「にこっち…」
本当に、そうなんかな…?
あんなに、先生達に否定されてたのに…
563: 2015/03/09(月) 18:24:23.04 ID:uZUNMv5T.net
…ううん、きっと努力が実ったんや!
「にこっち、おめでとう。」
「これからも、頑張ってな♪」
「トーゼンよ!!」
「もっと頑張って、学校一のアイドルになるんだから!」
「そこから、もっと有名になってやるわ!!」
「うん、楽しみにしてる。」
「みてなさい、希。」
「一人でも出来るってことを、証明してみせるわ!」
「…よし!」
「もっともっと、アピールしなきゃ…!」
「まずはライブね!!」
「客席を、にこのファンで埋め尽くすわよ!!」
「にこっち、おめでとう。」
「これからも、頑張ってな♪」
「トーゼンよ!!」
「もっと頑張って、学校一のアイドルになるんだから!」
「そこから、もっと有名になってやるわ!!」
「うん、楽しみにしてる。」
「みてなさい、希。」
「一人でも出来るってことを、証明してみせるわ!」
「…よし!」
「もっともっと、アピールしなきゃ…!」
「まずはライブね!!」
「客席を、にこのファンで埋め尽くすわよ!!」
564: 2015/03/09(月) 18:24:56.08 ID:uZUNMv5T.net
こんなに笑顔のにこっち、久々に見た
…これできっと、大丈夫
後は…ウチらが、頑張る番
にこっちが作り上げた部活を
皆が頑張る部活を
ウチらが、守るんや!
「本当におめでとう、にこっち。」
「ウチも、頑張るな?」
「ええ!」
「最高の学園生活にするわよ!!」
「…うん!!」
…これできっと、大丈夫
後は…ウチらが、頑張る番
にこっちが作り上げた部活を
皆が頑張る部活を
ウチらが、守るんや!
「本当におめでとう、にこっち。」
「ウチも、頑張るな?」
「ええ!」
「最高の学園生活にするわよ!!」
「…うん!!」
565: 2015/03/09(月) 18:34:49.85 ID:uZUNMv5T.net
---
「…あ。」
「こんにちは、矢澤さん。」
「どうも…」
「これからも、頑張ってね?」
「あ、あの、理事長!」
「…はい?」
「部活の事…ありがとうございました!!」
「感謝する相手が、違うわよ?」
「…え?」
「感謝するなら、貴女の友達に…ね。」
「どういう…事ですか?」
「あの二人がいなかったら…」
「私は、取りやめてなんかいなかったから。」
「…あ。」
「こんにちは、矢澤さん。」
「どうも…」
「これからも、頑張ってね?」
「あ、あの、理事長!」
「…はい?」
「部活の事…ありがとうございました!!」
「感謝する相手が、違うわよ?」
「…え?」
「感謝するなら、貴女の友達に…ね。」
「どういう…事ですか?」
「あの二人がいなかったら…」
「私は、取りやめてなんかいなかったから。」
566: 2015/03/09(月) 18:38:39.63 ID:uZUNMv5T.net
「それって…」
「東條さんはね。」
「毎日、私の所に来て頭を下げてたの。」
「絶対に、努力は実るから。」
「もう少し、待ってほしい、って。」
「絢瀬さんは、他の部活に掛け合って…」
「みんなが何をしたいか。」
「どんな夢を叶えたいか。」
「それぞれの部活から、嘆願書を持って来たわ。」
「…それに。」
「あの生徒会長が、声を荒げてまで頭を下げたのよ?」
「…信じてみたいと、思うじゃない。」
「東條さんはね。」
「毎日、私の所に来て頭を下げてたの。」
「絶対に、努力は実るから。」
「もう少し、待ってほしい、って。」
「絢瀬さんは、他の部活に掛け合って…」
「みんなが何をしたいか。」
「どんな夢を叶えたいか。」
「それぞれの部活から、嘆願書を持って来たわ。」
「…それに。」
「あの生徒会長が、声を荒げてまで頭を下げたのよ?」
「…信じてみたいと、思うじゃない。」
567: 2015/03/09(月) 18:39:12.59 ID:uZUNMv5T.net
「そんな…」
「いい友達を、持ったわね。」
「私も…期待してるのよ?」
「あの子達に、そこまで言わせる貴女の事。」
「頑張ってね♪」
「ありがとう…ございます。」
「それじゃ、私はここで。」
「希…」
「絵里…」
『きっと、このにこの活動が認められたって事よね!!』
「…ッ!」
「バカ…みたい。」
「いい友達を、持ったわね。」
「私も…期待してるのよ?」
「あの子達に、そこまで言わせる貴女の事。」
「頑張ってね♪」
「ありがとう…ございます。」
「それじゃ、私はここで。」
「希…」
「絵里…」
『きっと、このにこの活動が認められたって事よね!!』
「…ッ!」
「バカ…みたい。」
568: 2015/03/09(月) 18:55:10.04 ID:uZUNMv5T.net
-----
「いやー…それにしても、良かったなあ♪」
「ふふっ…さっきから、そればっかり。」
「だって、嬉しいやんか。」
「…でも、それとこれとは話が別。」
「これで、私たちは今まで以上に頑張らなきゃいけなくなったのよ?」
「…分かってる。」
「それでも、やっぱり良かった。」
「…」
「…そうね。」
「それじゃ、書類の整理、終わらせるわよ?」
「はーい!」
ガラッ
「…」
「…あれ、にこっち?」
「いやー…それにしても、良かったなあ♪」
「ふふっ…さっきから、そればっかり。」
「だって、嬉しいやんか。」
「…でも、それとこれとは話が別。」
「これで、私たちは今まで以上に頑張らなきゃいけなくなったのよ?」
「…分かってる。」
「それでも、やっぱり良かった。」
「…」
「…そうね。」
「それじゃ、書類の整理、終わらせるわよ?」
「はーい!」
ガラッ
「…」
「…あれ、にこっち?」
569: 2015/03/09(月) 18:55:43.82 ID:uZUNMv5T.net
「どうしたん、生徒会室まで来て…」
「…どういう事よ。」
「え…?」
「一体…何様のつもりよ…」
「ど、どうしたん?にこっち…」
「理事長から聞いたわよ!!」
「アンタ達が、影で動いてたって!!」
「…!」
「それは…」
「アンタ、毎日理事長に頭下げたんだって!?」
「努力はきっと実る、って!」
「でもそれは、にこっちが…」
「アンタに私の何が分かるのよ!!」
「…どういう事よ。」
「え…?」
「一体…何様のつもりよ…」
「ど、どうしたん?にこっち…」
「理事長から聞いたわよ!!」
「アンタ達が、影で動いてたって!!」
「…!」
「それは…」
「アンタ、毎日理事長に頭下げたんだって!?」
「努力はきっと実る、って!」
「でもそれは、にこっちが…」
「アンタに私の何が分かるのよ!!」
570: 2015/03/09(月) 18:56:22.85 ID:uZUNMv5T.net
「にこ、そんな言い方…!」
「アンタもよ、絵里!!」
「他の部活と嘆願書まで作って!!」
「みんなの想いを無駄にしないでほしいって!」
「夢を追いかけさせてあげてほしいって、頭下げたそうじゃない!!」
「えりち、それって…」
「…」
「何勝手な事してんのよ!!」
「結局、アンタ達のお陰じゃない!!」
「良い友達を持った、って…」
「そんな事、私は望んでない!!」
「にこっち!!」
「アンタもよ、絵里!!」
「他の部活と嘆願書まで作って!!」
「みんなの想いを無駄にしないでほしいって!」
「夢を追いかけさせてあげてほしいって、頭下げたそうじゃない!!」
「えりち、それって…」
「…」
「何勝手な事してんのよ!!」
「結局、アンタ達のお陰じゃない!!」
「良い友達を持った、って…」
「そんな事、私は望んでない!!」
「にこっち!!」
571: 2015/03/09(月) 18:57:11.55 ID:uZUNMv5T.net
「これじゃ、私が馬鹿みたいじゃない!!」
「結局、私ひとりの力じゃ何も出来ない!!」
「理事長のお情けで、活動を続けられるだけじゃない!」
「私は、何もできてない!!」
「にこっち…」
「いつだって、そう!」
「私は、アンタ達に頼りたくない!」
「自分自身の力で、勝ち取りたいの!!」
「なのに…」
「なのに最後は、いつもアンタ達が入ってくる!!」
「こんなの…」
「こんなので、私が喜ぶと思う…?」
「いつまでも、私はアンタ達に支えられて…」
「それで、胸はってアイドルやります、なんて言えると思う…?」
「結局、私ひとりの力じゃ何も出来ない!!」
「理事長のお情けで、活動を続けられるだけじゃない!」
「私は、何もできてない!!」
「にこっち…」
「いつだって、そう!」
「私は、アンタ達に頼りたくない!」
「自分自身の力で、勝ち取りたいの!!」
「なのに…」
「なのに最後は、いつもアンタ達が入ってくる!!」
「こんなの…」
「こんなので、私が喜ぶと思う…?」
「いつまでも、私はアンタ達に支えられて…」
「それで、胸はってアイドルやります、なんて言えると思う…?」
573: 2015/03/09(月) 19:04:16.16 ID:uZUNMv5T.net
「…だったら、辞めなさい。」
「えりち!?」
「私たちがした事が、間違ってるとは思わないわ。」
「現に、他の部活の人たちも、活動を再開してる。」
「私は、私ができる事をしただけよ。」
「もし、それが嫌だと言うなら…」
「辞めなさい。」
「アンタ、何様のつもりよ!」
「自分が何でも出来るからって、こんなことしたの!?」
「ありがた迷惑よ!」
「…私は。」
「生徒会長になった時に決めたの。」
「この学校を、守るって。」
「ここにいる生徒達のために、動くって。」
「えりち!?」
「私たちがした事が、間違ってるとは思わないわ。」
「現に、他の部活の人たちも、活動を再開してる。」
「私は、私ができる事をしただけよ。」
「もし、それが嫌だと言うなら…」
「辞めなさい。」
「アンタ、何様のつもりよ!」
「自分が何でも出来るからって、こんなことしたの!?」
「ありがた迷惑よ!」
「…私は。」
「生徒会長になった時に決めたの。」
「この学校を、守るって。」
「ここにいる生徒達のために、動くって。」
574: 2015/03/09(月) 19:05:12.92 ID:uZUNMv5T.net
「その生徒の中に、貴女も入ってる。」
「ただ…それだけの理由よ。」
「…だから。」
「嫌なら、辞めなさい。」
「人の好意を否定してまで、やりたくないと言うのなら。」
「貴女は、そこまでの器でしかなかったという事よ。」
「…好き勝手言ってんじゃないわよ!!」
「なら、努力しなさい!!」
「…結果がどうあれ、貴女には一年の猶予が与えられた。」
「それをどうするかは、貴女次第よ。」
「このまま変な意地を張ってチャンスを無駄にするのか。」
「それとも、成功を目指すのか…」
「…ッ!!」
「にこっち、待って…!」
「放っておきなさい。」
「ただ…それだけの理由よ。」
「…だから。」
「嫌なら、辞めなさい。」
「人の好意を否定してまで、やりたくないと言うのなら。」
「貴女は、そこまでの器でしかなかったという事よ。」
「…好き勝手言ってんじゃないわよ!!」
「なら、努力しなさい!!」
「…結果がどうあれ、貴女には一年の猶予が与えられた。」
「それをどうするかは、貴女次第よ。」
「このまま変な意地を張ってチャンスを無駄にするのか。」
「それとも、成功を目指すのか…」
「…ッ!!」
「にこっち、待って…!」
「放っておきなさい。」
575: 2015/03/09(月) 19:05:47.23 ID:uZUNMv5T.net
「えりち…」
「できるだけの事はやった。」
「これから先は、にこ自身の問題よ。」
「でも…」
「これ以上は、余計惨めな気持ちにさせるだけよ。」
「…」
「希も、薄々感づいてはいたんでしょう?」
「にこの頑張りだけじゃ、無理だって。」
「それは…!」
「だから、あんなに必氏に頭を下げたんじゃないの?」
「自分が、なんとかしないと、って…」
えりちは…間違ってない
「できるだけの事はやった。」
「これから先は、にこ自身の問題よ。」
「でも…」
「これ以上は、余計惨めな気持ちにさせるだけよ。」
「…」
「希も、薄々感づいてはいたんでしょう?」
「にこの頑張りだけじゃ、無理だって。」
「それは…!」
「だから、あんなに必氏に頭を下げたんじゃないの?」
「自分が、なんとかしないと、って…」
えりちは…間違ってない
576: 2015/03/09(月) 19:06:21.12 ID:uZUNMv5T.net
「…結局は、何だって自己満足なのよ。」
「相手のためを思っても。」
「相手には伝わらない事がある。」
「にこっち…」
「私たちは、みんな傲慢なの。」
「全て上手く行くなんて事、ありはしない。」
「…フィクションじゃ無いんだから。」
「…だから。」
「もう、にこの事は放っておきなさい。」
「そんな…!」
「相手のためを思っても。」
「相手には伝わらない事がある。」
「にこっち…」
「私たちは、みんな傲慢なの。」
「全て上手く行くなんて事、ありはしない。」
「…フィクションじゃ無いんだから。」
「…だから。」
「もう、にこの事は放っておきなさい。」
「そんな…!」
577: 2015/03/09(月) 19:11:34.64 ID:uZUNMv5T.net
「…希。」
「貴女が生徒会に入ったのは、なぜ?」
「それが揺らぐなら…」
「貴女も、辞める事を勧めるわ。」
「え…?」
「もう一度、自分がどうしたいかを考えなさい。」
「時には、今日みたいに何かを捨てなければならない時が来る。」
「思いだったり、友情だったり…」
「自分の中の、曲げられない物を守るために。」
「時には…非情にならないといけないの。」
「曲げられない、物…?」
「私は、この学校を守ると誓った。」
「貴女がくれた想いを、守ると決めたの。」
「貴女が生徒会に入ったのは、なぜ?」
「それが揺らぐなら…」
「貴女も、辞める事を勧めるわ。」
「え…?」
「もう一度、自分がどうしたいかを考えなさい。」
「時には、今日みたいに何かを捨てなければならない時が来る。」
「思いだったり、友情だったり…」
「自分の中の、曲げられない物を守るために。」
「時には…非情にならないといけないの。」
「曲げられない、物…?」
「私は、この学校を守ると誓った。」
「貴女がくれた想いを、守ると決めたの。」
578: 2015/03/09(月) 19:12:14.56 ID:uZUNMv5T.net
「それこそが、私の曲げられない物。」
「信念…とも、言うべき物よ。」
「だから、選びなさい。」
「自分が、何をしたいか。」
「何を、望むのか。」
「そして…」
「何を、捨てるのかを。」
何かを、捨てる…?
そんな事、出来ないよ
だって…
だって、全部大切な物なんよ…?
「信念…とも、言うべき物よ。」
「だから、選びなさい。」
「自分が、何をしたいか。」
「何を、望むのか。」
「そして…」
「何を、捨てるのかを。」
何かを、捨てる…?
そんな事、出来ないよ
だって…
だって、全部大切な物なんよ…?
579: 2015/03/09(月) 19:13:09.41 ID:uZUNMv5T.net
「えりち…」
「…ごめんなさい。」
「貴女は、悪くないわ。」
「そんなんと違うよ…」
「えりちは、これでよかったん…?」
「良かったも何も。」
「私は、私がするべきと思った事をしただけよ。」
本当に…?
にこっちに嫌われてまで
えりちがやりたかった事がこれなん…?
「…さあ、仕事を終わらせましょう?」
「あと、一年しかないんだから。」
ウチらの間に大きな溝が出来たまま
それを修復する事はできなかった
…そのやり方が、ウチには分からなかった
そして、そんな傷跡を残したまま
18の、春が来た---
「…ごめんなさい。」
「貴女は、悪くないわ。」
「そんなんと違うよ…」
「えりちは、これでよかったん…?」
「良かったも何も。」
「私は、私がするべきと思った事をしただけよ。」
本当に…?
にこっちに嫌われてまで
えりちがやりたかった事がこれなん…?
「…さあ、仕事を終わらせましょう?」
「あと、一年しかないんだから。」
ウチらの間に大きな溝が出来たまま
それを修復する事はできなかった
…そのやり方が、ウチには分からなかった
そして、そんな傷跡を残したまま
18の、春が来た---
580: 2015/03/09(月) 19:13:54.42 ID:uZUNMv5T.net
一旦終わり
9時くらいに再開します
9時くらいに再開します
584: 2015/03/09(月) 21:04:09.46 ID:uZUNMv5T.net
-----
あれから、ウチらがやったいくつかの案もむなしく
時間だけが過ぎて行った
そして、時間が経つにつれて…
えりちから、笑顔が消えた
まるで、何か焦ってるみたいな…
そんな感じ
それでも、ウチはウチのために
そして、えりちのために
えりちの隣に、立つって決めた
あれから、ウチらがやったいくつかの案もむなしく
時間だけが過ぎて行った
そして、時間が経つにつれて…
えりちから、笑顔が消えた
まるで、何か焦ってるみたいな…
そんな感じ
それでも、ウチはウチのために
そして、えりちのために
えりちの隣に、立つって決めた
585: 2015/03/09(月) 21:04:37.06 ID:uZUNMv5T.net
えりちが一生懸命頑張るのなら
ウチが、えりちの息抜きになろう
えりちが迷ってる時は
えりちの背中を押そう
そう…決めたんよ
そう思った、矢先…
校内に、廃校の張り紙が張り出されるようになった
「なんで…」
「まだ、時間は…」
「行くわよ、希。」
「私たちが出来る事が、まだあるでしょう?」
「…」
ウチが、えりちの息抜きになろう
えりちが迷ってる時は
えりちの背中を押そう
そう…決めたんよ
そう思った、矢先…
校内に、廃校の張り紙が張り出されるようになった
「なんで…」
「まだ、時間は…」
「行くわよ、希。」
「私たちが出来る事が、まだあるでしょう?」
「…」
586: 2015/03/09(月) 21:05:13.41 ID:uZUNMv5T.net
---
それからウチらはまず
理事長の娘である、後輩の南さんの所に向かった
「いくらなんでも、私たちに報告無しに生徒に発表なんて急すぎるわ。」
「…でも、流石に娘さんも知らんのとちゃうかな?」
「だから、聞きにいくんでしょ?」
「動かなければ、何も変わらないわ。」
「…うん!」
それでも、やっぱり聞かされてはいないようやった
悪い事、しちゃったかな?
…でも
あの、真ん中にいた子
あの子だけは、どこか違う所を向いてた気がする
…昔の、えりちみたいやった
それからウチらはまず
理事長の娘である、後輩の南さんの所に向かった
「いくらなんでも、私たちに報告無しに生徒に発表なんて急すぎるわ。」
「…でも、流石に娘さんも知らんのとちゃうかな?」
「だから、聞きにいくんでしょ?」
「動かなければ、何も変わらないわ。」
「…うん!」
それでも、やっぱり聞かされてはいないようやった
悪い事、しちゃったかな?
…でも
あの、真ん中にいた子
あの子だけは、どこか違う所を向いてた気がする
…昔の、えりちみたいやった
587: 2015/03/09(月) 21:11:28.04 ID:uZUNMv5T.net
コンコン
「失礼します。」
「…?」
えりちと、理事長の前に並ぶ
あんな事が発表された後やけど…
「…生徒会としても、学校存続に向けて。」
「活動していこうと思います。」
「発表には、入学希望者が定員を下回った場合…」
「廃校という決定をせざるを得ない、とありました。」
ウチも、続ける
「つまり、定員を上回れば…」
「…たしかに。」
「ですが…そう簡単に生徒が集まらないからこそ。」
「この結果なんです。」
「失礼します。」
「…?」
えりちと、理事長の前に並ぶ
あんな事が発表された後やけど…
「…生徒会としても、学校存続に向けて。」
「活動していこうと思います。」
「発表には、入学希望者が定員を下回った場合…」
「廃校という決定をせざるを得ない、とありました。」
ウチも、続ける
「つまり、定員を上回れば…」
「…たしかに。」
「ですが…そう簡単に生徒が集まらないからこそ。」
「この結果なんです。」
588: 2015/03/09(月) 21:12:06.89 ID:uZUNMv5T.net
「なにか良い方法があるんですか?」
「…」
何も…ない
だって、どれも成功なんてしなかったから…
「思いつきで行動しても、簡単に状況は変わりません。」
「…生徒会は、今いる生徒の学園生活を。」
「よりよくする事を考えるべきです。」
「でも、このまま何もしない訳には!」
「えりち!」
思わず、止める
「…ありがとう、絢瀬さん。」
「貴女が、そこまで学校の事。」
「生徒の事を考えてくれているのは、知っています。」
「…」
何も…ない
だって、どれも成功なんてしなかったから…
「思いつきで行動しても、簡単に状況は変わりません。」
「…生徒会は、今いる生徒の学園生活を。」
「よりよくする事を考えるべきです。」
「でも、このまま何もしない訳には!」
「えりち!」
思わず、止める
「…ありがとう、絢瀬さん。」
「貴女が、そこまで学校の事。」
「生徒の事を考えてくれているのは、知っています。」
589: 2015/03/09(月) 21:12:48.79 ID:uZUNMv5T.net
「…だからこそ。」
「あの時、貴女を信じてみようと思ったの。」
「結果が伴わなくても。」
「貴女の努力は、確かにこの学校のためにあった。」
「それは事実よ。」
「…だから。」
「その気持ちだけ、ありがたく受け取っておくわ。」
「…」
えりちが、下を向く
…そう、えりちは頑張った
何があろうと、前を向いて来た
でも…やっぱり
ウチらだけじゃ、無理なんかな
なにか、変化があれば…
「あの時、貴女を信じてみようと思ったの。」
「結果が伴わなくても。」
「貴女の努力は、確かにこの学校のためにあった。」
「それは事実よ。」
「…だから。」
「その気持ちだけ、ありがたく受け取っておくわ。」
「…」
えりちが、下を向く
…そう、えりちは頑張った
何があろうと、前を向いて来た
でも…やっぱり
ウチらだけじゃ、無理なんかな
なにか、変化があれば…
590: 2015/03/09(月) 21:22:03.01 ID:uZUNMv5T.net
---
生徒会室で、今後の事を考える
「…」
なんて声をかけて良いかも、分からない
すると、ドアをノックされた
「失礼します。」
あれ?この子らは、お昼の…
「生徒会長に、お願いがあって来ました!」
「…お願い?」
「これです!」
そう言って、彼女は一枚の紙を机に置いた
「…これは?」
「アイドル部、設立の申請書です。」
生徒会室で、今後の事を考える
「…」
なんて声をかけて良いかも、分からない
すると、ドアをノックされた
「失礼します。」
あれ?この子らは、お昼の…
「生徒会長に、お願いがあって来ました!」
「…お願い?」
「これです!」
そう言って、彼女は一枚の紙を机に置いた
「…これは?」
「アイドル部、設立の申請書です。」
591: 2015/03/09(月) 21:22:47.82 ID:uZUNMv5T.net
「…それは見れば分かります。」
「では、認めて頂けますね?」
「いいえ。」
「え…?」
えりちの返答に、三人がたじろぐ
「部活は同好会でも、最低5人は必要なの。」
ロングヘアの子が、口を開いた
「…ですが、校内には部員が5人以下のところも沢山あるって聞いてます。」
「…私たちが入学した頃は、それも可能だった。」
「でも今は、最低5人いないと認められないの。」
「そんな…」
確かに、それは本当の事
入学したての頃は、にこっち一人で部活を立ち上げたんやから
「では、認めて頂けますね?」
「いいえ。」
「え…?」
えりちの返答に、三人がたじろぐ
「部活は同好会でも、最低5人は必要なの。」
ロングヘアの子が、口を開いた
「…ですが、校内には部員が5人以下のところも沢山あるって聞いてます。」
「…私たちが入学した頃は、それも可能だった。」
「でも今は、最低5人いないと認められないの。」
「そんな…」
確かに、それは本当の事
入学したての頃は、にこっち一人で部活を立ち上げたんやから
592: 2015/03/09(月) 21:23:15.97 ID:uZUNMv5T.net
でも…
なんとなく
ここで、終わらせたら駄目な気がした
そんな目を、真ん中の子はしてたんよ
「あと二人やね…」
何となく、助け舟をだしてみた
ほんの小さな、気まぐれ
でも、何かが起こる気がした
「あと、二人…分かりました。」
「行こ。」
三人が、出て行こうとする
「…待ちなさい。」
えりちが、そんな彼女達を呼び止めた
なんとなく
ここで、終わらせたら駄目な気がした
そんな目を、真ん中の子はしてたんよ
「あと二人やね…」
何となく、助け舟をだしてみた
ほんの小さな、気まぐれ
でも、何かが起こる気がした
「あと、二人…分かりました。」
「行こ。」
三人が、出て行こうとする
「…待ちなさい。」
えりちが、そんな彼女達を呼び止めた
593: 2015/03/09(月) 21:24:21.81 ID:uZUNMv5T.net
「どうしてこの時期にアイドル部を始めるの?」
「貴女達2年生でしょ?」
「廃校をなんとか阻止したくて…!」
「スクールアイドルって、今すごい人気があるんですよ?だから…」
彼女の言葉を、えりちが遮る
「だったら、例え5人揃えて来ても…」
「認める訳にはいかないわね。」
「ええっ!?どうして…」
「部活は生徒を集めるためにやる物じゃない。」
「思いつきで行動した所で、状況は変えられないわ。」
…そう
ウチらは、見て来たから
自分の夢に向かってひたむきに努力するにこっちを
努力しても、結果を変えられない、自分たちを
「貴女達2年生でしょ?」
「廃校をなんとか阻止したくて…!」
「スクールアイドルって、今すごい人気があるんですよ?だから…」
彼女の言葉を、えりちが遮る
「だったら、例え5人揃えて来ても…」
「認める訳にはいかないわね。」
「ええっ!?どうして…」
「部活は生徒を集めるためにやる物じゃない。」
「思いつきで行動した所で、状況は変えられないわ。」
…そう
ウチらは、見て来たから
自分の夢に向かってひたむきに努力するにこっちを
努力しても、結果を変えられない、自分たちを
594: 2015/03/09(月) 21:30:17.79 ID:uZUNMv5T.net
そうしてえりちは、彼女達を返しちゃった
もちろん、えりちの言ってる事はもっともや
3年間、変えようと必氏になって来たのが、ウチらなんやもん
それでも、気付いてる?
自分を変えたいって言った時の、えりち
さっきの子と、そっくりなんよ…?
どんな事があっても、頑張るんと違うん?
「…さっきの。」
「誰かさんに聞かせたい台詞やったなあ…」
ちょっと意地悪に、えりちに言ってみる
「いちいち一言多いのよ、希は…」
「ふふっ。それが、副会長の仕事やし…♪」
よかった
えりちも、思う所はあるみたい
「でも…」
「「どうすればいいの…?」」
もちろん、えりちの言ってる事はもっともや
3年間、変えようと必氏になって来たのが、ウチらなんやもん
それでも、気付いてる?
自分を変えたいって言った時の、えりち
さっきの子と、そっくりなんよ…?
どんな事があっても、頑張るんと違うん?
「…さっきの。」
「誰かさんに聞かせたい台詞やったなあ…」
ちょっと意地悪に、えりちに言ってみる
「いちいち一言多いのよ、希は…」
「ふふっ。それが、副会長の仕事やし…♪」
よかった
えりちも、思う所はあるみたい
「でも…」
「「どうすればいいの…?」」
595: 2015/03/09(月) 21:38:31.41 ID:uZUNMv5T.net
---
次の日になって
彼女達は、またやってきた
「…朝から何?」
えりちも、朝やからか少し機嫌が悪い
「講堂の使用許可を頂きたいと思いまして!」
「部活動に関係なく。」
「生徒は自由に講堂を使用できると、生徒手帳に書いてありましたので。」
…この子、もしかしたらすごい真面目な子なんかも
だって、ウチはそんなの知らなかったし…?
えりちに隠れて、苦笑する
それで、時間は…
「新入生歓迎会の日の放課後やなあ…」
「…何をするつもり?」
「ライブです。」
彼女は、恥ずかしがる事も無く、そう言った
…だれかに、そっくりやね
次の日になって
彼女達は、またやってきた
「…朝から何?」
えりちも、朝やからか少し機嫌が悪い
「講堂の使用許可を頂きたいと思いまして!」
「部活動に関係なく。」
「生徒は自由に講堂を使用できると、生徒手帳に書いてありましたので。」
…この子、もしかしたらすごい真面目な子なんかも
だって、ウチはそんなの知らなかったし…?
えりちに隠れて、苦笑する
それで、時間は…
「新入生歓迎会の日の放課後やなあ…」
「…何をするつもり?」
「ライブです。」
彼女は、恥ずかしがる事も無く、そう言った
…だれかに、そっくりやね
597: 2015/03/09(月) 21:56:27.81 ID:uZUNMv5T.net
えりちが疑いの目を向けるから…
ちょっと、この子らの味方をしたくなった
…まあ、部活と違って、単に使用許可を申請してるだけやしね
えりちを制して、許可を出す
3人は笑顔で、生徒会室を出て行った
「…なぜあの子達の味方をするの?」
えりちに聞かれる
ウチは、窓を開けて…こう答えた
「…何度やっても、そうしろって言うんや。」
「カードが…」
部屋に、風が舞い込む
「カードが、ウチにそう告げるんや!」
ちょっと、この子らの味方をしたくなった
…まあ、部活と違って、単に使用許可を申請してるだけやしね
えりちを制して、許可を出す
3人は笑顔で、生徒会室を出て行った
「…なぜあの子達の味方をするの?」
えりちに聞かれる
ウチは、窓を開けて…こう答えた
「…何度やっても、そうしろって言うんや。」
「カードが…」
部屋に、風が舞い込む
「カードが、ウチにそう告げるんや!」
599: 2015/03/09(月) 21:56:55.41 ID:uZUNMv5T.net
風に舞ったタロットが
壁に打ち付けられる
一枚のカードだけが、表を向いていた
『太陽』のカード
意味するのは…
「成就・兆し。」
「なんとなく…」
「なにかが、変わる気がするんよ。」
「…」
「もちろん、頑張るのは彼女達や♪」
壁に打ち付けられる
一枚のカードだけが、表を向いていた
『太陽』のカード
意味するのは…
「成就・兆し。」
「なんとなく…」
「なにかが、変わる気がするんよ。」
「…」
「もちろん、頑張るのは彼女達や♪」
600: 2015/03/09(月) 21:57:32.20 ID:uZUNMv5T.net
そして、いつの間にか校内には
彼女達のポスターが貼られるようになった
手書きの、なんとも可愛らしいポスター
そして下には、グループ名募集の文字
「ふふっ。名前はまだ、無い…か。」
今日は、生徒会の仕事も一段落したし
早めに、バイトに向かう
結局、居心地が良くて
3年間、ここでずっとバイトしてる
境内を掃いて回ってると、
男坂の方で声が聞こえた
…あ、あの子たちや
彼女達のポスターが貼られるようになった
手書きの、なんとも可愛らしいポスター
そして下には、グループ名募集の文字
「ふふっ。名前はまだ、無い…か。」
今日は、生徒会の仕事も一段落したし
早めに、バイトに向かう
結局、居心地が良くて
3年間、ここでずっとバイトしてる
境内を掃いて回ってると、
男坂の方で声が聞こえた
…あ、あの子たちや
601: 2015/03/09(月) 21:58:15.42 ID:uZUNMv5T.net
頑張ってる姿がなんとなくほっとけなくて
思わず、声をかけてみた
…せっかくこんなとこにいるんやから
しっかり、お参りしとかんとね♪
真剣に手を合わせる3人を見て
にこっちの事を思い出す
「…初ライブ、上手く行きますように。」
「「上手く行きますように。」」
「…あの3人、本気みたいやな。」
応援、したくなってしまった
思わず、声をかけてみた
…せっかくこんなとこにいるんやから
しっかり、お参りしとかんとね♪
真剣に手を合わせる3人を見て
にこっちの事を思い出す
「…初ライブ、上手く行きますように。」
「「上手く行きますように。」」
「…あの3人、本気みたいやな。」
応援、したくなってしまった
602: 2015/03/09(月) 22:04:32.51 ID:uZUNMv5T.net
…だからかな?
ほーんのちょっと、魔が差して
小さく丸めた手紙を、廊下のボックスに入れてみた
なんとなく、励みになればと思って
…えりちが、お昼に彼女達に会って来たみたい
「いざやってみて、出来ませんでした…じゃ、意味が無いでしょ。」
えりちは、そう言って仕事をする
確かに、それはその通りやけど…
えりち、可能性は誰にでもある、って言ったよな
…ならウチは、その小さな可能性を、信じてみたいんよ
ほーんのちょっと、魔が差して
小さく丸めた手紙を、廊下のボックスに入れてみた
なんとなく、励みになればと思って
…えりちが、お昼に彼女達に会って来たみたい
「いざやってみて、出来ませんでした…じゃ、意味が無いでしょ。」
えりちは、そう言って仕事をする
確かに、それはその通りやけど…
えりち、可能性は誰にでもある、って言ったよな
…ならウチは、その小さな可能性を、信じてみたいんよ
603: 2015/03/09(月) 22:09:24.12 ID:uZUNMv5T.net
---
風の噂に聞く所によると
彼女…高坂穂乃果ちゃん達は作曲者を探してるみたい
いろいろ探ってみると
一年生の子が、ピアノがうまいって話やけど…
どうも、断られたらしくて
そんなある日、バイトをしてると
男坂の下から、練習中の穂乃果ちゃんたちを覗く
赤い髪の女の子を発見した
…ああ、なるほど
どっかの誰かさんと一緒で、素直じゃないんやね♪
風の噂に聞く所によると
彼女…高坂穂乃果ちゃん達は作曲者を探してるみたい
いろいろ探ってみると
一年生の子が、ピアノがうまいって話やけど…
どうも、断られたらしくて
そんなある日、バイトをしてると
男坂の下から、練習中の穂乃果ちゃんたちを覗く
赤い髪の女の子を発見した
…ああ、なるほど
どっかの誰かさんと一緒で、素直じゃないんやね♪
604: 2015/03/09(月) 22:10:01.62 ID:uZUNMv5T.net
後ろからそーっと近づいて
その小さめの物をもみしだく
おお、これはなかなか…
可能性を秘めてるな?
驚く彼女に、少しだけ声をかける
「…恥ずかしいんなら、こっそりという手もあると思うんや。」
「だから何?」
「…分かるやろ?」
ウチが言えるのは、ここまで
それでも、彼女に響かなかったら…
ま、それはその時考えよっか♪
その小さめの物をもみしだく
おお、これはなかなか…
可能性を秘めてるな?
驚く彼女に、少しだけ声をかける
「…恥ずかしいんなら、こっそりという手もあると思うんや。」
「だから何?」
「…分かるやろ?」
ウチが言えるのは、ここまで
それでも、彼女に響かなかったら…
ま、それはその時考えよっか♪
607: 2015/03/09(月) 22:23:49.76 ID:uZUNMv5T.net
数日後、彼女らはすごく元気になってた
いつでも笑顔で練習してるとこを見ると
…上手くいったみたいやね♪
それから、校内のポスターにも変化があった
『グループ名募集中』
の文字が消されて
『みんな来てね~』
に、変わってた
そして、その上に大きく…
『μ's』の文字が
「…ふふっ。」
思わず、笑みがこぼれる
まさか、こうなるなんて…な
いつでも笑顔で練習してるとこを見ると
…上手くいったみたいやね♪
それから、校内のポスターにも変化があった
『グループ名募集中』
の文字が消されて
『みんな来てね~』
に、変わってた
そして、その上に大きく…
『μ's』の文字が
「…ふふっ。」
思わず、笑みがこぼれる
まさか、こうなるなんて…な
608: 2015/03/09(月) 22:24:21.08 ID:uZUNMv5T.net
そして、初ライブの日がやってきた---
新入生歓迎会を終え
生徒会室で帰る準備をしていると
ふいに、えりちが講堂の方を見た
「気になる?」
「希…」
「…ウチは、帰ろうかな♪」
そう言って、生徒会室から出る
…もちろん、向かう先は
あの子達が立つ、あの場所へ
新入生歓迎会を終え
生徒会室で帰る準備をしていると
ふいに、えりちが講堂の方を見た
「気になる?」
「希…」
「…ウチは、帰ろうかな♪」
そう言って、生徒会室から出る
…もちろん、向かう先は
あの子達が立つ、あの場所へ
609: 2015/03/09(月) 22:31:07.13 ID:uZUNMv5T.net
「これは…!」
お客さんは、ゼロやった
想定してた事の一つとは言え
これじゃ、流石にあの子達でも…
「にこっち…」
あの時を思い出して
少し、辛くなる
…そんな、時やった
<~♪
曲が、流れ出した
「まさか…!」
「…」
「…ふふっ。」
やっぱり、すごいなあ…
お客さんは、ゼロやった
想定してた事の一つとは言え
これじゃ、流石にあの子達でも…
「にこっち…」
あの時を思い出して
少し、辛くなる
…そんな、時やった
<~♪
曲が、流れ出した
「まさか…!」
「…」
「…ふふっ。」
やっぱり、すごいなあ…
610: 2015/03/09(月) 22:31:53.87 ID:uZUNMv5T.net
そっと、壁に寄りかかる
…彼女達なら、大丈夫
きっと、ウチらが出来なかった事を
届かなかった夢に、手が届く
そんな、気がした
そして、きっとそれは…
そこの壁に隠れてる、素直じゃない子も
…きっと、えりちにだって伝わる
精一杯、突き進んで
諦めなくて
そんな子達が、学校を守るために動いてる
…なあ、えりち
こんな子達、えりちに止められる…?
…彼女達なら、大丈夫
きっと、ウチらが出来なかった事を
届かなかった夢に、手が届く
そんな、気がした
そして、きっとそれは…
そこの壁に隠れてる、素直じゃない子も
…きっと、えりちにだって伝わる
精一杯、突き進んで
諦めなくて
そんな子達が、学校を守るために動いてる
…なあ、えりち
こんな子達、えりちに止められる…?
612: 2015/03/09(月) 22:41:55.88 ID:uZUNMv5T.net
----曲が終わる
肩で息をする彼女達の前に、えりちが来た
「…どうするつもり?」
えりちの問いかけに、穂乃果ちゃんは迷い無く答えた
「続けます。」
「なぜ…?」
「これ以上続けても、意味があるとは思えないけど。」
「やりたいからです!」
「今、私…もっともっと歌いたい、踊りたいって思ってます。」
「きっと海未ちゃんも、ことりちゃんも。」
「こんな気持ち、初めてなんです!」
「やってよかったって、本気で思えたんです!」
「…今は、この気持ちを信じたい。」
肩で息をする彼女達の前に、えりちが来た
「…どうするつもり?」
えりちの問いかけに、穂乃果ちゃんは迷い無く答えた
「続けます。」
「なぜ…?」
「これ以上続けても、意味があるとは思えないけど。」
「やりたいからです!」
「今、私…もっともっと歌いたい、踊りたいって思ってます。」
「きっと海未ちゃんも、ことりちゃんも。」
「こんな気持ち、初めてなんです!」
「やってよかったって、本気で思えたんです!」
「…今は、この気持ちを信じたい。」
613: 2015/03/09(月) 22:44:39.64 ID:uZUNMv5T.net
「このまま誰も、見向きもしてくれないかもしれない。」
「応援なんて、全然もらえないかもしれない。」
「でも、一生懸命頑張って。」
「私たちがとにかく頑張って、届けたい…!」
「今、私たちがここにいる…この想いを!」
「いつか…」
「いつか私たち、必ず…!」
「ここを満員にしてみせます!!」
…やっぱり、面白い子達やなあ
「ふふっ。完敗からのスタート、か…♪」
なあ…にこっち、えりち
ウチ、この子達と、共に歩んでみたい
きっと、もっと楽しくなる
そして、廃校の事だって…
ウチも、今感じたこの気持ちを…信じてみたいんよ
---そして、ウチは講堂を後にした
「応援なんて、全然もらえないかもしれない。」
「でも、一生懸命頑張って。」
「私たちがとにかく頑張って、届けたい…!」
「今、私たちがここにいる…この想いを!」
「いつか…」
「いつか私たち、必ず…!」
「ここを満員にしてみせます!!」
…やっぱり、面白い子達やなあ
「ふふっ。完敗からのスタート、か…♪」
なあ…にこっち、えりち
ウチ、この子達と、共に歩んでみたい
きっと、もっと楽しくなる
そして、廃校の事だって…
ウチも、今感じたこの気持ちを…信じてみたいんよ
---そして、ウチは講堂を後にした
614: 2015/03/09(月) 22:47:55.55 ID:uZUNMv5T.net
今日はここまで
やっと、本編に絡ませる事ができました
進行度は6割ちょっとなので
いつ終わるのやら…
気長に見ててください
それでは
やっと、本編に絡ませる事ができました
進行度は6割ちょっとなので
いつ終わるのやら…
気長に見ててください
それでは
615: 2015/03/09(月) 22:53:35.45 ID:161xzoSD.net
本編に絡むSSは良作揃いな気がする
まってる
まってる
618: 2015/03/09(月) 23:01:21.46 ID:qja8Tkr6.net
この濃さでまだ六割とか有能すぎる…
621: 2015/03/09(月) 23:24:26.69 ID:uZUNMv5T.net
引用: 希「私がウチになれたのは。」
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります