625: 2015/03/10(火) 20:15:01.90 ID:MTTp9GXt.net


【ラブライブ】希「私がウチになれたのは。」【その1】
【ラブライブ】希「私がウチになれたのは。」【その2】
【ラブライブ】希「私がウチになれたのは。」【その3】

数日経って

どうやらあの日、何人か見てた生徒がいるみたいで

穂乃果ちゃんは、その子達を誘ってるみたいやった

…ほんと、行動力はあるんやね



一方、ウチらはと言うと…

えりちが、理事長に進言するって息を巻いてた


「先日のライブですが…」

「生徒は全く集まりませんでした。」

「彼女達の活動は、音ノ木坂学院にとってマイナスだと思います。」

「…そんな人たちの頑張りを認めてほしいと言ったのは、絢瀬さん自身でしょう?」

「だからこそ、学校の事情で生徒の活動を制限するのは…」

「でしたら…!」

「学院存続のために生徒会も独自に活動させてください!」
#8 やりたいことは

626: 2015/03/10(火) 20:15:46.34 ID:MTTp9GXt.net
「…それは駄目よ。」

「何故ですか!?」

「…それに。」

「全然人気がない訳じゃないみたいですよ?」

そう言って理事長は、パソコンの画面を見せた

「…!この前のライブの…」

あの子達3人が必氏に歌ってる姿が、そこにはあった


「誰かが撮ってたんやなあ…」

えりちは、その動画を見つめる



…なあ、えりち

何で、理事長は生徒会に活動させたくないか分かる?

…今のえりちには

見えてないものがあるって、気付かん?

627: 2015/03/10(火) 20:16:31.89 ID:MTTp9GXt.net
「…失礼しました。」


理事長室を出て、生徒会室へ

「…」

えりちが、イライラしてるのが分かる

…こんな時は。ウチの声は届かない


ちょっと、一人にさせようか

「えりち、ウチちょっと用事あるから…」

「…分かった。」



えりちがしてる事は

今までのえりちを否定する事

それに…早く気付いてよ、えりち


ウチが一言、言えば済むんかもしれん

でも、それでえりちは変われる?


…えりちには、ウチみたいになってほしくない

628: 2015/03/10(火) 20:26:34.79 ID:MTTp9GXt.net
荷物を持って、屋上へ


「ん~。気持ちいいなあ…」

屋上にある、はしごを上ってさらに上へ

最近見つけた、お昼寝ポイント


…ひとりになりたい時は、たまに来るん



と、思ってたけど

穂乃果ちゃんたちが来た


「…ここで、練習してるんか。」

何となく、隠れて覗く


…いや、別にそういう趣味はないんやけど

629: 2015/03/10(火) 20:27:26.03 ID:MTTp9GXt.net
ストレッチをして、基礎練

なんだか、まだ日は浅いのに様になってるやん?


…すると、二人の女の子に連れられて

眼鏡をかけた子が屋上に来た

いや、引っ張られて来た、って方が正しいんかな?


ショートカットの、かわいい子が口を開く

「かよちんも、参加させてあげてください!」


なるほど、そうきたか…


「…つまり、メンバーになるってこと?」

南さんが、聞き返す


途端に、連れて来た二人がまくしたてる

アイドルをやりたがってた

歌唱力がある

そんな事を、口々に穂乃果ちゃん達に伝える

630: 2015/03/10(火) 20:28:30.83 ID:MTTp9GXt.net
当の本人はと言うと…

「わ、私はまだ…なんて言うか…」


…なんだか、昔のウチを見てるみたい

自信が無くて、表に立てなくて…


二人に励まされつつ、向き合うその子

「えっと…私…こ、こいずみ…」


その時、二人が背中を押した

「がんばれ」って、言ってるみたいに


「私、小泉花陽と言います。」

「一年生で、背も小さくて。」

「声も小さくて、人見知りで…」

「得意な物は何もないです。」

631: 2015/03/10(火) 20:29:20.94 ID:MTTp9GXt.net
「でも…でも…!」

彼女は、顔を上げる

「アイドルへの想いは、誰にも負けないつもりです!」

「だから…」


「μ'sのメンバーにしてください!」

深々と、頭を下げた


「…こちらこそ。」

穂乃果ちゃんが、手を差し出す

「よろしく♪」

その手を取った彼女の顔に

さっきまでの、不安さは少しも感じんかった


…まるで、穂乃果ちゃんの元気が

彼女に、伝わったみたいに

632: 2015/03/10(火) 20:30:08.95 ID:MTTp9GXt.net
「…それで、二人は?」

南…ことりちゃんが、尋ねる

「二人は、どうするの?」

「「えっ?」」

「「どうするって…ええ!?」」


「まだまだメンバーは…募集中ですよ?」

海未ちゃんと、ことりちゃんが手を伸ばした


顔を見合わせて、手を取る二人


…こうやって君たちは

周りの人を、巻き込んでいくんやね


見てるウチまで、あったかくなる





…こんな3人みたいに

ウチは、なりたかったんよ


なあ?にこっち…えりち…

633: 2015/03/10(火) 21:14:38.66 ID:MTTp9GXt.net
---


「んん~…」

「朝は気持ちいいなあ…」

何となく早く目が覚めたから

神田明神の掃除でも…と思ってやってきた


…それに

あの子達が頑張ってるの

近くで見れるしね♪





…と、思った矢先

懐かしいツインテールをした不審者がおった


あれは…にこっちやんな?

634: 2015/03/10(火) 21:15:18.97 ID:MTTp9GXt.net
なんとなく、様子を見る

「もしかしてにこっち、勧誘に…?」


そうなったら、きっと絶対上手く行く!

にこっちと穂乃果ちゃん

二人がいれば、きっと…!



と、いう甘い期待は

にこっちの言葉にかき消された



「アンタ達…」

「とっとと解散しなさい!」



…いきなり何を言ってるん?にこっち

635: 2015/03/10(火) 21:15:59.74 ID:MTTp9GXt.net
---


「これで…」

「…何してるん、にこっち。」


「の、希…!?」


「さっきの、どういう事?」

「アンタ、見て…?」


「ウチはてっきり、一緒にやろうって言いに来たんかと…」

「ありえないわ!!」


「にこっち…?」

「私を、あんなやつらと一緒にしないで!」

「私はただ…!」


「…いいえ。何でも無いわ。」

「とにかく、邪魔しないでよね。」


そう言って、にこっちは走っていった

…何をするつもりなんよ

636: 2015/03/10(火) 21:37:51.63 ID:MTTp9GXt.net
---


今日は、雨

屋上が使えないから

穂乃果ちゃん達も練習は取りやめみたい


何より…


「どうやらあの子ら…」

「辞めるつもりはないようやで?にこっち。」

「…ふんっ。」



にこっちが、何をしたいんかは、分からない

でも…にこっちには悪いけど

あの子らの邪魔は、させたくないんよ

637: 2015/03/10(火) 21:38:28.86 ID:MTTp9GXt.net
「…と、言う訳で。」

「あの子らに、にこっちに会いに来るように伝えたから♪」

「なぁ~にが、と、言う訳で。よ!」

「だって、あれこれ考えんのめんどいし…」

「直接、ちゃんと話し合った方がいいと思って。」

「大きなお世話よ!!」

「…なあ、にこっち。」

「なんで、そんなにあの子らを嫌うん?」

「あの子らは…」


「…分かってる。」

「希の言いたい事、何となく分かる。」


「なら…!」

「だからこそ、よ。」

「…もう、あんな思いはしたくないの。」


にこっち…

638: 2015/03/10(火) 21:39:08.01 ID:MTTp9GXt.net
---

「…やっぱり追い出されたみたいやねえ。」


穂乃果ちゃんたちなら、もしかしたら…って期待もあったけど

やっぱり、断られたみたいやった



そもそも事の発端は

えりちがアイドル部はすでにある、って焚き付けたから

穂乃果ちゃん達がにこっちの部活に入ろうとした訳で



えりちはえりちで

穂乃果ちゃん達に諦めてほしいのか

そうじゃないのか


…でも

もし本当に、にこっちと穂乃果ちゃん達が一緒にアイドルやったら…

こんなに心躍る事、応援せずにはいれんやん?

639: 2015/03/10(火) 21:58:17.96 ID:MTTp9GXt.net
「…スクールアイドル?」

「にこ先輩が?」

…順番は逆になってしまったけど

やっぱり、伝えないと進まないと思ったん

だから、穂乃果ちゃん達には話しておかないと


「…だった、が一番正しいかな。」

「それって…」


「…ちょっと、話が長くなるから。」

「よかったら、空いてる教室で話そうか。」



認めたくないけど…

ウチじゃ、にこっちの力にはなれんかった

でも、穂乃果ちゃんなら…

なんとか、してくれるかも

640: 2015/03/10(火) 21:58:55.23 ID:MTTp9GXt.net
「…一年の頃。」

「にこっちは、アイドル研究部を立ち上げたんよ。」

「理由は、にこっちの夢のため。」

「夢…?」

「にこっちは、本気でアイドルを目指してた。」

「…いや。」

「今も…目指してるんよ。」



「でも…」

言葉に、詰まる


…でも、伝えんと


「だからこそ、にこっちは穂乃果ちゃん達を認めたくないんやと思う。」

641: 2015/03/10(火) 21:59:33.91 ID:MTTp9GXt.net
「どういう…事ですか?」

「…」

「初めて穂乃果ちゃんを見たとき、思ったんよ。」

「にこっちと、似てるなあ…って。」

「え…?」

「いつだって前向いて。」

「どんな事にだって、挑戦して。」

「決して諦めずに、自分のしたい事をやってた。」


「…それが、ウチの憧れやった。」



「希先輩…」


「…話を戻すな?」

642: 2015/03/10(火) 22:00:17.50 ID:MTTp9GXt.net
「にこっちが活動をはじめてしばらくしてから。」

「部員が二人、増えたんよ。」

「…二人とも、すっごく真面目で。」

「この間の穂乃果ちゃん達みたいに、講堂を借りて。」

「3人で、小さなステージをしたんよ。」


「にこ先輩も…?」

「そう。」

「結果は…少し、心残りがあったけど。」

「それでも、ウチにはにこっち達が輝いて見えた。」


「まさか、にこ先輩も…同じ事をしていたなんて。」

「ふふっ…今の意地悪なにこっちからは、想像できんやろ?」

「…でも、頑張ってた。」



「自己紹介の時に…」

「にこっちは、こんな事を言ったんよ。」


『この講堂を、ファンの皆でいっぱいにしてみせます!!』



「それって…!」

「な?そっくりやろ?」

くすくすと、笑う

643: 2015/03/10(火) 22:00:55.37 ID:MTTp9GXt.net
「…ライブ中に、ぶつかって倒れてしまったんよ。」

「プレッシャーも、すごかったと思うし…」

「それでも、にこっちは立ち上がって、最後まで踊り続けた。」

「最後まで、必氏に頑張ってた。」

「悔しくて、終わってから泣いてしまうぐらい…」

「にこっちにとって、アイドルはそれだけの物なん。」


「…」


「…だからこそ、あんな事になってしまったんよ。」


思い出すのも、辛い事

ウチらが変わってしまった、原因


それでもウチは、彼女達に伝えた

あの日から…今まで、起こった事を

644: 2015/03/10(火) 22:01:51.10 ID:MTTp9GXt.net
「…」

…やっぱり、話したのは間違いやったかな?

誰も、一言も喋らない


ガタッと音を立てて、穂乃果ちゃんが立ち上がる


「…もう一回、にこ先輩のとこ行ってくる。」

「穂乃果ちゃん!?」


「だって…だって、悔しいよ!」

「それだけ、真剣にアイドルの事考えてるんだよ!?」

「そんな人が、穂乃果達には必要なんだよ!」


「ですが…!」

「…きっと。」

「きっと、にこ先輩だって…!」


そう言って、穂乃果ちゃんは走り出した

645: 2015/03/10(火) 22:15:26.75 ID:MTTp9GXt.net
---

「上手く、いってるかなあ…」

中庭のベンチに、腰掛ける


「…上手く行く訳無いでしょ。」

「えっ?」


「…にこっち。」

「アンタが、けしかけたんでしょ。」

「一緒にアイドル目指しましょう、って。」

「…はは。」


やっぱり、そう上手くは行かんか…

えりちにも言われたもん

フィクションなんかじゃない、って。



「…ごめんな。」


「…」

646: 2015/03/10(火) 22:16:01.08 ID:MTTp9GXt.net
「…別に。」

にこっちが、横に座る

「なあ、にこっち。」

「一つだけ、聞かせて?」

「…なによ。」


「なんで…穂乃果ちゃん達じゃ駄目なん?」

「あの子らなら、きっと…」


「…あの時も、そう思ってた。」

「あの二人となら、どんな事だって…」


「…」


にこっちは、まだ引きずって…


「…意識が、足りないのよ。」

「あれじゃ…きっと、同じようになる。」

647: 2015/03/10(火) 22:16:36.46 ID:MTTp9GXt.net
「あいつらは、廃校にしないために頑張ってる。」

「それは…嫌というほど、知ってるわ。」

「だからこそ…」

「私との意識が、違うのよ。」

「やりたい事が…ね。」


「結局は、そこよ。」

「意識のズレが、あの結果を招いた。」

「きっと…今度だってそう。」

「いずれ、私について来れなくなる。」


「そうなったら…苦しむのはあいつらよ。」

「…」


「また、そうなるくらいなら…」

「私は、一人でいい。」

648: 2015/03/10(火) 22:17:19.84 ID:MTTp9GXt.net
「…」

にこっちの、手を握る

「希…?」



「…聞いて、にこちゃん。」

「アンタ…!」


「私は、にこちゃんのおかげで変われたの。」

「にこちゃんは、私の憧れだった。」


「…いつだって前向きで。」

「明るくて、笑顔で。」

「周りに何を思われたって…」

「可能性が無くたって。」

「自分が決めた事に向かって、突き進む。」


「…そんなにこちゃんに、憧れてたんだ。」

649: 2015/03/10(火) 22:17:57.66 ID:MTTp9GXt.net
「あの時のにこちゃんは。」

「絶対に、後ろを振り向いたりはしなかった。」

「常に、前だけを見てた。」


「…私がくじけそうになったとき。」

「頑張れ、頑張れって、励ましてくれた。」


「…そんなにこちゃんが、好きだったんだよ。」


「なのに。」


「今のにこちゃんは、後ろばかり向いてる。」

「失敗を恐れて。」

「過去にとらわれてる。」


「…いつから、そんなに臆病になったの?」


「…ッ!」

650: 2015/03/10(火) 22:18:36.85 ID:MTTp9GXt.net
「きっと、あの頃のにこちゃんなら。」

「穂乃果ちゃんの手を取って。」

「行こう!って、皆を引っ張って行くと思う。」


「どれだけその道のりが辛くても。」

「諦めずに、突き進むと思う。」


「…もう、辞めようよ。」

「意地張るの、辞めよう?」


「可能性が、すぐそこにあるんだよ?」


「そんなの…!」



「逃げ道を作ってるのは、自分だって気付いてよ!!」

651: 2015/03/10(火) 22:19:11.03 ID:MTTp9GXt.net
「…」

「にこちゃん、言ったよね?」

「私たちといると、逃げ道を作っちゃゃう、って。」

「作ってるのは自分じゃない!」


「何のために、離れたの?」

「…」


「ただ、逃げたかっただけ?」

「やめて…」

「怖かったの?」

「やめてよ…」

「これ以上、大事な物を失いたくないから?」

「…やめてってば!!」




「にこちゃんの、曲げられない物って…なに?」

652: 2015/03/10(火) 22:19:50.49 ID:MTTp9GXt.net
「曲げられない…物…?」

「これだけは譲れない、って物。」


「にこちゃんにとって、それは…」


「自分一人の力で頑張る事?」

「それとも…」



「夢を叶える事?」



「それは…」



「…そこが同じなら。」

「きっと、願いは叶うよ。」


「一緒に叶えてくれる、仲間がいるんだから。」

653: 2015/03/10(火) 22:20:45.00 ID:MTTp9GXt.net
「でも、にこは…」

「…」

「…一人の力じゃ、無理な時もある。」

「どんなに頑張っても、到底越せない壁だってある。」

「なら、諦めるん?」


「…力を貸してくれる人たちが、そこにおるんよ?」

「ウチも、穂乃果ちゃんも…そして、きっとえりちも。」

「みんなが、いるんやから。」

「みんなでなら、叶えられるんよ。」


「込める想いは違っても…」

「目指してるのは、同じアイドルやろ?」

「…なら、きっと大丈夫や。」



「にこっちの夢は…叶うよ。」

654: 2015/03/10(火) 23:01:14.10 ID:MTTp9GXt.net
---

「にこの…夢。」

「アイドル…」


「曲げられない物…か。」


ガチャッ

…パタン



パチッ


「「おつかれさまでーす!」」


「…!なっ…」

「お茶です、部長!」

「部長!?」

「今年の予算表になります、部長!」

「…っ!?」

「部長ー!ここにあったグッズ、邪魔だったんで棚に移動しておきましたー。」

「こら!勝手に…!」

655: 2015/03/10(火) 23:01:56.51 ID:MTTp9GXt.net
「さ、参考に…ちょっと貸して。」

「部長のオススメの曲。」

「な、なら迷わずこれを…!」

「ああー!!だからそれは…!」

「ところで、次の曲の相談をしたいのですが、部長!」

「やはり次は、更にアイドルを意識した方が良いかと思いまして…」

「それと~、振り付けも何か良いのがあったら…♪」

「歌のパート分けもよろしくお願いします!!」


「…」


「…こんな事で押し切れると思ってるの…?」



「…押し切る?」

「私はただ、相談しているだけです。」



「音ノ木坂アイドル研究部所属の…」

「μ'sの7人が歌う、次の曲を。」

656: 2015/03/10(火) 23:02:29.76 ID:MTTp9GXt.net
「7人…?」


「…」


「にこ先輩!」

「…」

「みんなで、叶える…ね。」ボソッ



「…いい?」

「アイドルっていうのは笑顔を見せる仕事じゃない。」

「笑顔にさせる仕事なの!」

「それをよーく自覚しなさい!」


「そして…」

「自分の曲げられない想いを、アイドルとしての自分に込めなさい!」

657: 2015/03/10(火) 23:03:17.26 ID:MTTp9GXt.net
「曲げられない、想い…?」

「そうよ!にこなら、必ず本物のアイドルになる事!」


「…なら、穂乃果は廃校を阻止する事!」


「…そうよ。」

「それがあれば、例え苦しい事があっても絶対に乗り越えられる!」

「目指すのは同じ、アイドル!」

「想いは、そのための原動力よ!!」


「「…はい!!」」


「それじゃ、練習よ!」

「着替えて、屋上に集合!!」

「「はい!!」」

658: 2015/03/10(火) 23:04:27.94 ID:MTTp9GXt.net
「…希。」

廊下で、にこっちと会う

「…決めたんやね。」

「悩むのは、後にする事にしたの。」


「うん。」


「…ありがとね。」

「にこっち…」


「それじゃ、行くわ。」

そう言って、にこっちは屋上へと駆けて行った



「…アンタも、叶えなさいよ!」


「…え?」


---

えりちと、穂乃果ちゃん達の入部申請を受理する


「えりち。」

「…?」

「見てみ。」



「…雨、止んでる。」



やっと、ピースが7つ揃った

…あと、1つ


最後のピースは…

666: 2015/03/11(水) 19:23:32.22 ID:4dnOGkgI.net
「…どうするつもり?」

理事長室から出て来たえりちに、問いかける

「決まってるでしょう?」


理事長からのお話で

今度のオープンキャンパスの結果で

廃校が決定するらしい

逆に言えば、いい結果をだせれば

存続が決定するかもしれん、と言う事



「…えりち。」

「さ、戻って会議よ。」


生徒会室に戻って、会議を始める

「これより生徒会は独自に動きます。」

「なんとかして、廃校を食い止めましょう!」

667: 2015/03/11(水) 19:24:07.41 ID:4dnOGkgI.net
「…」

役員に、動揺が見えた

多分…きっと


ウチと、同じ事を考えてるんちゃうかな?

「…何か?」

「…言いたい事あったら、言った方がええよ?」

「…はい。」

「あの…これって、この学校の入学希望者をふやすために。」

「何をするかの話し合い、ですよね…?」

会計の子が、答える

「…ええ。」

「だったら…!」

「楽しい事を、いっぱい紹介しませんか?」

668: 2015/03/11(水) 19:25:06.52 ID:4dnOGkgI.net
「学校の歴史や…」

「先生が良いってことも大事だと思うんですけど…」

「ちょっと、今までの生徒会は堅苦しい気がしていて…」

「例えばここの制服って、可愛いって言ってくれる人多いんですよ…?」

書記の子も、それに続く

「…それいい!」

「そう言うのを、アピールして行きましょうよ!」

「スクールアイドルとかも、人気あるよね。」

「いいねえ!うちらの学校にもいるし!μ'sだっけ?」

「あの子達に頼んで、ライブやってもらおうよ…!」

「いいね!!」



「…他には!?」

えりちの言葉に、みんなが萎縮する


…やっぱり、壁はえりちやね

669: 2015/03/11(水) 19:25:46.51 ID:4dnOGkgI.net
だからウチは

ちょっとだけお手伝いをする事にした

一年の頃、えりちが見せてくれた映像

…それを、あの子に託してみたん



「嫌でしょう?自分の学校が廃校になったら…」

「あんなに、頑張ってきたのに…!」

えりちが、聞いてくる

「それはそうやけど…」

だからこそ、頑張って来た訳やし

でも…

「廃校をなんとか阻止しなきゃ、って…」

「無理しすぎてるんやない?」


…なんでえりちは、廃校を阻止したいんやっけ?

670: 2015/03/11(水) 19:26:32.32 ID:4dnOGkgI.net
「そんな…無理なんて…」

「…えりちも頑固やね。」


「私はただ…学校を存続させたいだけ。」

「なんで?」

「なんでって…」

えりちの顔が、変わる


コンコン

「…?」

「はい…」


えりちが、扉を開ける


「貴女達…!」


…やっぱり、託して正解やったかな?

671: 2015/03/11(水) 19:27:12.53 ID:4dnOGkgI.net
「お願いします!」

「私たちに、ダンスを教えてください!」


「…私にダンスを?」

「はい!教えて頂けないでしょうか?」

「私たち、上手くなりたいんです!!」


「…どうして、私に?」

「生徒会長のバレエ、見させてもらいました!」

「なっ…!?」


ちょっ…そんな睨まんといてよ、えりち


「だとしても…」

「貴女達は、私に目の敵にされてるのよ?」

「なのになぜ…」


「この学校を、存続させたいからです!!」

672: 2015/03/11(水) 19:27:46.32 ID:4dnOGkgI.net
「私が、良い顔をしないと知ってて、頼みに来たの?」

「…私、考えたんです!」

「どうして、生徒会長が認めてくれないのか!」

「…」


「それは、私たちが認めてもらえるレベルにいないからじゃないか、って。」

「だったら!」

「そのレベルになれるまで、頑張りたいんです!」


「だから…お願いします!」

「私たちに、ダンスを教えてください!」


「…」



「…わかったわ。」

673: 2015/03/11(水) 19:28:21.20 ID:4dnOGkgI.net
「本当ですか!?」

「…貴女達の活動は理解できないけど。」

「人気があるのは間違いないようだし。」


「…引き受けましょう。」


「「ありがとうございます!!」」

「…それじゃ、放課後に。」

「はいっ!!」

笑顔で、彼女達は帰って行った


「…さ、教室に戻るわよ。」

「…なあ、えりち。」

「認めたくない理由って…」

「さっきので、合ってるん?」


「…」



「…そんな訳ないじゃない。」

674: 2015/03/11(水) 19:57:45.14 ID:4dnOGkgI.net
---


「…どうやった?初めての練習。」

教室に戻って来たえりちに、声をかける


「…駄目ね。」

「むしろ、良くこれまでやって来た物よ。」

「…じゃあ、もう見限るん?」

「…それは。」


ふふっ

なんだかんだで、えりちも期待してくれてるんかな?



「…ほら、帰りましょう。」

「うん♪」

675: 2015/03/11(水) 19:58:23.78 ID:4dnOGkgI.net
---

今日も、えりちはみんなの練習に行ったみたい

あんまり覗くのも悪いから、待ってるけど…

えりちが凛ちゃん達に連れられて、入って行くのが見えた


ちょーっとだけ、耳を傾けてみると…


「…辛くないの?」

「昨日あんなにやって、今日また同じ事をするのよ?」

「…第一、上手くなるかどうかも分からないのに。」

「やりたいからです!」

第一声は、穂乃果ちゃん

「確かに、練習はすごくきついです。」

「身体中痛いです。」

「…でも、廃校をなんとか阻止したいと思う気持ちは!」

「生徒会長にも負けません!」

「だから今日も!」

「よろしくお願いします!!」

「「お願いします!!」」

676: 2015/03/11(水) 19:59:03.04 ID:4dnOGkgI.net
「…!」

えりちが飛び出してくる

ウチはあわてて、隠れた


…なんで、認めたくないん?

あんなに…

あんなに、同じ想いを持ってるのに





もしかして、えりちは…



えりちが立ち止まった所で、声をかける


「…ウチな?」


「希。」

677: 2015/03/11(水) 19:59:43.98 ID:4dnOGkgI.net
「えりちと友達になって。」

「生徒会やってきて。」

「ずぅーっと思ってた事があるんや。」

「…えりちが、本当は何がしたいんやろう、って。」

「…え?」

「一緒にいると、分かるんよ?」

「えりちが頑張るのは、いつも誰かのためばっかりで。」


にこっちのときだって…そう


「…だから、いつも何かを我慢してるようで。」

「全然自分の事を考えてなくて…!」


初めて会った頃の

あの、自分を変えたがってたえりちに戻ってほしくて…!

678: 2015/03/11(水) 20:00:20.61 ID:4dnOGkgI.net
えりちが、歩き出す

聞きたくないと、言わんばかりに

「学校を存続させようって言うのも。」

「生徒会長としての義務感やろ!?」

「だから理事長は!」

「えりちの事を、認めなかったんと違う!?」


「えりちは…」

「えりちは、何のために生徒会長になったん!?」

「何が、えりちの曲げられないものなん!?」


「えりちの本当にやりたい事は…!?」




また…

笑う、えりちが見たいよ

679: 2015/03/11(水) 20:01:04.67 ID:4dnOGkgI.net
「…」

「…なによ。」

「なんとかしなくちゃいけないんだからしょうがないじゃない!!」


「私だって、好きな事だけやって…!」

「それだけでなんとかなるんだったらそうしたいわよ!!」


えりちの目から、それが溢れる


「自分が不器用なのは分かってる…!」

「でも!」

「今更アイドルを始めようなんて…」

「私が言えると思う…?」


「それが出来ないから、生徒会を頑張ってるんじゃない!!」

「認めてしまったら…」

「認めたら、私たちが今までやって来た事は何だったのよ!?」

「にこを突き放してまでやって来た事は、一体何だったのよ!?」

680: 2015/03/11(水) 20:01:48.80 ID:4dnOGkgI.net
「あっ…」

えりちは、走って行っちゃった


…やっぱり

えりちは、いつも人のために動いてるんやね

だからこそ、えりちがμ'sには必要なんよ…?


…にこっちは、そんなのもう、分かってるんやから




「…よし。」


足早に、屋上に向かう


えりち…待ってて?

681: 2015/03/11(水) 20:23:09.49 ID:4dnOGkgI.net
-----


「…そうだったんだ。」

「てっきり…」


「えりちは、きっとみんなとやりたいんよ。」

「でも、今までの自分が足かせになってる。」

「えりち自身が、自分を縛ってるん…」


「…今も昔も、えりちは誰かのために動いてる。」

「だからこそ、悔しいんやと思う。」

「自分が出来なかった事を、すんなりやってのけようとする、みんなが。」



「だから…!」


「分かってます。」

「だからこそ、私たちには絵里先輩が必要なんです。」

682: 2015/03/11(水) 20:23:43.59 ID:4dnOGkgI.net
「この学校のために、頑張って来た人だから。」

「だから…」


「一緒に、叶えたい。」

「ここにいるみんなの想いは、一つです!」


「穂乃果ちゃん…」


「…まあ。」

「やってきた事は強引だけど、間違ってないし…」

「そのお陰で、にこは今ここにいるんだし?」


「…今更、恨んだりなんかしないわよ。」

「にこっち…」


「行こう、絵里先輩の所へ!!」


みんなが、走り出した


「…頼むな、みんな。」







「…なに言ってるのよ?」

683: 2015/03/11(水) 20:24:28.55 ID:4dnOGkgI.net
…そっと、肩に手を置かれる

「アンタも、行くんでしょ?」

「え?でも…」


「アンタがいたから、私はここにいる。」

「アンタがいたから、絵里も素直になれたんでしょ。」


「…今更、部外者ヅラしてんじゃ無いわよ。」


「ウチは…」


「アンタが、μ'sを作り上げたのよ。」

「もっと、胸を張りなさい。」


「いつも、どんな時も、私たちのために動いてたのは知ってる。」

「結成時も、講堂でのライブも。」



「…そして、私の事だって。」

684: 2015/03/11(水) 20:25:02.94 ID:4dnOGkgI.net
「…出来る事を、しただけやし。」

「…そ?」

「なら、アンタの曲げられない物って、なに?」

「…え?」

「教えてよ、希の曲げられない物。」


「それは…」


ウチの曲げられない物…

それは、誰かを支える力に…



「それは、μ'sにいちゃ、叶えられない物なの?」


…え?



「少なくとも私には、アンタが必要よ。」

「…」


「また私の隣にいてよ、希。」

685: 2015/03/11(水) 20:25:40.45 ID:4dnOGkgI.net
「にこっち…」

手を、伸ばされる


「…今まで、ありがとう。」

「今、にこがここにいるのは。」

「絵里と…希の、おかげなんだから。」


「そ・れ・に!」

「μ'sなんて神話の名前付けるのはアンタぐらいでしょ?」

「にこっち、気付いて…!」


「…だいたい、自分も入りたかったんじゃないの?」

「わざわざ、9人の女神、なんてつけてさ。」


「…気付いて、欲しかったんじゃないの?」

「頑張ってる8人を、支える存在として。」


「…」

686: 2015/03/11(水) 20:26:23.19 ID:4dnOGkgI.net
「…まあ、余計な詮索はしないわ。」

「今、目の前には可能性があるの。」

「…掴むの?掴まないの?」


「…ふふっ。それ、ウチの台詞やん?」


「い…いいでしょ、気に入ってるんだから…///」

「だから…ほら。」


「…うん、ありがとう。」


にこっちの手を、掴む


「行きましょ?」

「…絵里が待ってるわ。」



「…うん!」

687: 2015/03/11(水) 20:31:28.17 ID:4dnOGkgI.net
---


「私の…やりたい事。」

「そんな物…」


「…」


「…えっ?」

穂乃果ちゃんが、手を伸ばす


「…貴女達。」

「生徒会長…いや、絵里先輩。」

「お願いがあります。」


「…練習?」

「なら、昨日言った課題をまず全部こなして…」

「絵里先輩!」







「μ'sに入ってください!!」

688: 2015/03/11(水) 20:32:07.34 ID:4dnOGkgI.net
「え…」

「一緒にμ'sで歌ってほしいです!」

「スクールアイドルとして!」


…こんな笑顔、なかなか見られんよ、えりち

向けられてる好意に、気付こうよ


「…な、何言ってるの?」

「私がそんな事する訳無いでしょ?」


「…さっき希先輩から聞きました。」

…海未ちゃん


「やりたいなら素直に言いなさいよ。」

「…にこ先輩に言われたくないけど。」

「むっ…!」


「ちょっと待って!別に、やりたいなんて…」

「だいたい、私がアイドルなんておかしいでしょう?」






…じれったいなあ

689: 2015/03/11(水) 20:32:51.27 ID:4dnOGkgI.net
「…やってみればいいやん?」

「特に理由なんか必要ない。」

「やりたいからやってみる。」

「本当にやりたい事って…」


「そんな感じで始まるんやない?」


「希…」



「…誰も、えりちを恨んでなんかないんよ。」

「えりちは、叶えたい物のために何かを捨てないとあかん、って言ったけど。」

「捨てなくても…叶えられる事もあるん。」


「みんなと一緒に…叶えてみいひん?」

「想いは…同じやろ?」


---廃校を、阻止する事


「…!」


…えりちが、穂乃果ちゃんの手をとった

690: 2015/03/11(水) 20:33:21.44 ID:4dnOGkgI.net
「…絵里さん。」

「これで、8人…!」


「いや。」


…そう

やっぱりウチも、みんなと一緒がええんよ


「…9人や、ウチを入れて。」

「え、希先輩も…?」



「…占いで、でてたんや。」

「このグループは9人になった時…」

「未来が開ける、って。」


言い訳に、使うけど…いいよね



「…だからつけたんや。」

「9人の歌の女神…μ'sって。」

691: 2015/03/11(水) 20:33:55.02 ID:4dnOGkgI.net
「じゃ、じゃあ…」

「あの名前付けてくれたのって、希先輩だったんですか…?」


「…ふふっ。」


「希…」

「…まったく、呆れるわ。」

…にやついてる、くせに


そう言って、えりちは出て行こうとする


「…どこへ?」


「…決まってるでしょ?」


「練習よ!」




…これで、本当の本当に、ピースが揃った

ありがとう…


にこっち

えりち



…笑顔に、なれたよ

704: 2015/03/12(木) 01:39:05.18 ID:rJbhM2JK.net
-----

「んん~っ…」

晴れた日の放課後

練習後の屋上


そこには、9人の笑顔があって


その中に、にこっちとえりちがいる


憧れてた、幸せ

望んでた景色が、ここにある


「…よし!」

オープンキャンパスは大成功した

理事長も、廃校までもう少し猶予を、って決めてくれた


ラブライブに向けて、やっと一つになった、ウチら

705: 2015/03/12(木) 01:39:47.32 ID:rJbhM2JK.net
…そうそう

ラブライブ、って言うのが開催されるみたいで

詳しい事は、ウチもよく分からんけど…


とにかく、注目されるに越した事は無い

この学校を守るために

この学校を、存続させるために

なにより、みんなで楽しむために


…この9人なら、叶えられるって信じてる


みんなの目標を改めて決めて

今、ウチら9人はスタートした!





…はず、やったんやけど

706: 2015/03/12(木) 01:40:31.35 ID:rJbhM2JK.net
「あつい…」

「そうだね~…」

にこっちと穂乃果ちゃんの、困り果てた顔


ウチらの熱が伝わったみたいに

夏がやってきた

当然、練習場所である屋上は炎天下になる訳で…


「っていうか、バカじゃないの!?」

「この暑さの中で練習とか…!」

「そんな事言ってないで…早くレッスンするわよ?」

「は、はい…」


凛ちゃんの影に隠れる、花陽ちゃん


…やっぱり、下級生にはえりちの怖いイメージが染み付いてるみたい

707: 2015/03/12(木) 01:40:59.03 ID:rJbhM2JK.net
「は、花陽…」

「これからは、先輩も後輩もないんだから…ね?」

ちょっと、困り顔のえりち

もっと仲良く、団結するためには

ここらへんをどうにかしないとなあ…


「そうだ!」

穂乃果ちゃんの、元気な声

「合宿しようよ、合宿!」

まーた、穂乃果ちゃんの思いつき

…でも、不思議と悪い気はしないんよね

708: 2015/03/12(木) 01:41:35.23 ID:rJbhM2JK.net
穂乃果ちゃんの勢いに負けて

真姫ちゃんが別荘の手配をしてくれる事になった


お金持ちって…すごいなあ


と、素直に感心する




「…そうだ。」

「…?」

「これを機に、やってしまった方がいいかもね。」

えりちが、にこっと笑う


ああ…多分

前に、えりちが言ってた事


…それにしても

えりちもずいぶん柔らかくなったなあ…

709: 2015/03/12(木) 01:42:03.12 ID:rJbhM2JK.net
---


「ええ~!?」

集合場所の駅に、穂乃果ちゃんの驚いた声が通る

「先輩…禁止?」

「前から、ちょっと気になっていたの。」

えりちが、続ける

「先輩後輩はもちろん大事だけど…」

「踊ってる時に、そういう事気にしちゃ駄目だから。」


「…そうですね。」

「私も、3年生に合わせてしまう所がありますし…」

えりちと一緒に、メニューを作ってる海未ちゃんが同意する

「…そんな気遣い、全く感じないんだけど?」


そりゃあ…

にこっちは、見た目がね?

710: 2015/03/12(木) 01:42:36.32 ID:rJbhM2JK.net
「それは…にこ先輩は上級生って感じじゃないからにゃ。」

あ、凛ちゃんが同じ事思ってた

「上級生じゃなきゃなんなのよ?」

「う~ん…後輩?」

凛ちゃんの、特大スマイル

「…っていうか、子供?」

無邪気な穂乃果ちゃん

少しばかり苦笑しながら、ウチも加わってみる

「マスコットかと思ってたけど…」

「どーゆー扱いよ!?」


…こんな感じで

最後に、するっと入ったウチも歓迎してくれてる

正直、何で?って言われるかと

最初はドキドキしてたけど…


みんな、受け入れてくれた

711: 2015/03/12(木) 01:43:11.46 ID:rJbhM2JK.net
「…じゃあ早速、今から始めるわよ?」

「穂乃果?」

「あ、はい!良いと思います!」

「え…え…」

「ぅ絵里ちゃん!」

「…うん♪」


ま、そう簡単にはいかんよな

それでも、メンバーの空気は

どことなく柔らかくなった気がする


そして

「しゅ、しゅっぱあ~つ…」

にこっちの気の抜けた一言で、合宿は始まった

712: 2015/03/12(木) 01:43:37.15 ID:rJbhM2JK.net
「「おお~っ!!」」


別荘の前で、気の抜けた声を出す

だって…想像してたより、ずっと大きくて

なんか…悪い気がしてくるやん?



「ここなら、練習もできそうね…!」

リビングで、えりちが言う

みんなは、他の部屋を見に行ってるみたい

「そうやね~♪」

「でも、せっかくなんやし…」

「外の方がええんやない?」

「海に来たとはいえ…」

「あまり大きな音を出すのも迷惑でしょ?」


「もしかして、歌の練習もするつもり…?」

713: 2015/03/12(木) 01:44:05.57 ID:rJbhM2JK.net
「もちろん♪」

「ラブライブ出場枠が決定するまで…」

「あと、一ヶ月無いんだもの。」

「…やる気やね♪」


「…で、花陽ちゃんはどうしてそんな端にいるん?」

「なんか…広いと落ち着かなくって…」

そう言うと、観葉植物に隠れちゃった


…まあ、確かに広いよなあ


---

そんなこんなで、集合したけど

海未ちゃんの変なやる気スイッチから逃げ出して

ウチらは海で楽しむ事にした

714: 2015/03/12(木) 01:44:43.15 ID:rJbhM2JK.net
海では、みんなすっごく笑顔で

何度も、感謝したくなる


受け入れてくれて

一緒にいてくれて、ありがとう、って


みんなでビーチバレーをしてると

にこちゃんにボールをぶつけちゃった

せっかくやし、穂乃果ちゃんが誘うけど…

隣にいた真姫ちゃんは、我関せず、と言った顔で…


「…なるほどね。」

「真姫はなかなか大変そうねえ…」

そういうえりちに、ウチは吹き出す

「何か、おかしい事言った?」

「…別に?」

あーんなに、みんなと敵対してたの…

誰やったかな?

720: 2015/03/12(木) 22:34:51.03 ID:rJbhM2JK.net
「…買い出し?」

「なんか…スーパーが結構遠いらしくて。」

海で遊び尽くしたウチらは

真姫ちゃんの別荘に戻って来てた

で、もうすぐご飯という事で買い物に行く話をしてたんだけど…

「じゃあ、いくいく!」

元気に穂乃果ちゃんが手を挙げる

「…別に、私一人で行ってくるから良いわよ。」

真姫ちゃんが、止める

「私以外、お店の場所分からないでしょ?」


…やっぱり、難しい子やね

そんなときは…


「じゃあ、ウチがお供する♪」

「たまにはいいやろ?」

「こういう組み合わせも。」


…仲良く、なりたいから

721: 2015/03/12(木) 22:35:24.96 ID:rJbhM2JK.net
別荘を出て、路肩を歩く

「おおーっ!」

「綺麗な夕日やねえ…」

どこか少し緊張してる真姫ちゃんに、声をかける

「…どういうつもり?」

「別に?」

「真姫ちゃんも面倒なタイプだなーって。」


「…本当はみんなと仲良くしたいのに。」

「なかなか素直になれない。」


「私は普通にしているだけで…」

「そうそう♪」

「そう言って素直になれないんよね。」


「…っていうか、どうして私に絡むの!?」

「う~ん…」

722: 2015/03/12(木) 22:35:59.79 ID:rJbhM2JK.net
「…ほっとけないのよ。」

「よく知ってるから。」

「貴女に似たタイプ。」

真姫ちゃんと同じで

素直になれなくて、誤解を生んで

…結果、一人になった子を


「…なにそれ。」

「ま、たまには無茶してみるのもいいと思うよ?」

「…合宿やし♪」


ここにいるみんなは

…きっと、真姫ちゃんの事も受け入れてくれるから


あの、不器用な子だって、受け入れたんやから

723: 2015/03/12(木) 22:36:39.22 ID:rJbhM2JK.net
そうやってカレーとサラダの材料を買って

ウチらは元来た道を戻る


「ねえ、希せん…」

「どうしたん?真姫ちゃん。」

「えっと…」


「…言葉使いなら、無理しなくてええんよ?」

「徐々に、慣れて行けば良いんやから。」


「…うん。」

「…でも。」

「?」

「真姫ちゃんが仲良くなりたいと思うなら、意識は変えんとね♪」


「わ、わかってるけど…」

「…ふふっ。」

724: 2015/03/12(木) 22:37:17.50 ID:rJbhM2JK.net
そしてにこっちの作ったカレーを食べた

にこっち…

隠そうとしてても、ウチとえりちは知ってるからな?


ていうか…

前よりも猫かぶってるのは何でなんやろ?


なんにせよ

そんな事を考えてる間に

この後の事でみんなが揉めだした


これは、収拾つかなそうやなあ…

仕方ないから、ちょっとだけ先輩らしく

「じゃあ、もう今日はみんな寝ようか。」


「「え?」」

725: 2015/03/12(木) 22:37:52.87 ID:rJbhM2JK.net
「みんな疲れてるでしょ?」

「練習は明日の早朝、それで花火は明日の夜する事にして…」


あんまり、こうみんなに意見をするのは

ウチの柄じゃないけど…


せっかく合宿に来てるんやし

楽しく終わりたいやん?


「じゃあ、決定やね♪」


そして、みんなでお風呂に入って


さあ、寝る準備や!





…の、はずが…

726: 2015/03/12(木) 22:38:32.34 ID:rJbhM2JK.net
「いっくぞー!」

「にゃあ~!!」

穂乃果ちゃん、凛ちゃんの元気コンビ

…プラスにこっちが布団の上でゴロゴロする


この元気っ子たちは、見てて気持ちええなあ…


とりあえずみんなの寝る場所を決めて

電気を消したけど…

やっぱり、みんな元気な子達で、そうそう眠れる訳も無く…


せっかくやし、きっかけでも作ってみよか♪


「さっさと寝るわ…ぶっ!?」

面白い顔のにこっち目掛けて

ウチの枕を投げつける


「真姫ちゃんなにするのー?」

…さあ、どうなる?

727: 2015/03/12(木) 22:39:00.65 ID:rJbhM2JK.net
「えっ?何言ってるの…?」

「アンタねえ…!」

「いくらうるさいからって…」

今度は真姫ちゃんの枕に手を伸ばす

「そんな事しちゃ駄目…やんっ?」

それを今度は凛ちゃんに

…おお、ナイスキャッチ!


「何する…にゃっ!」

凛ちゃんはそれを、穂乃果ちゃんの顔に

「…よぉ~しっ!!」


穂乃果ちゃんの投枕を、真姫ちゃんが防ぐ


「投げ返さないの?」

「貴女ねえ…!」

728: 2015/03/12(木) 22:39:25.68 ID:rJbhM2JK.net
そんな真姫ちゃんに、まさかのえりちが投げつけた

「…ふふっ。」

「…」

「もぉ~!!」

「良いわよ、やってやろうじゃない!!」


枕投げ、スタートやね♪


空中を舞う枕

下で一人寝る海未ちゃん


みんな、すっごく笑顔になったけど…

海未ちゃんを怒らせちゃって、まさかの暴走


止めるためには…

「…!」

真姫ちゃんと目を合わせる

「…せーのっ!」

729: 2015/03/12(木) 22:39:56.48 ID:rJbhM2JK.net
「…よしっ。」

なんとか、海未ちゃんを倒す事が出来た


「全く…」

「でも、元はと言えば真姫ちゃんが始めたにゃ…」

「ち、ちがうわよ…!」

「あれは希が…」

「ウチは何にも知らないけどねー?」

「アンタねえ…!」

真姫ちゃんが何か言う前に、枕で口を塞ぐ

「ッ…!」

「って何するの希ー!」


「…自然に呼べるようになったやん。」

「…名前。」

730: 2015/03/12(木) 22:40:30.42 ID:rJbhM2JK.net
「…えっ。」


「本当に面倒やなっ♪」

「べっ…別に。」

「そんな事頼んでなんかいないわよっ!!」

真姫ちゃんに投げられた枕をひらりとかわす


「…そ?」

「なら、もう大丈夫やね♪」


「そ、それは…」


「さ、寝よっか。」


-----


「んっ…」

朝日に、目を覚ました

「…みんな、寝顔可愛いなあ。」

起こすのも悪いから、外に出てみる

731: 2015/03/12(木) 22:41:12.40 ID:rJbhM2JK.net
「…やっぱり、海は気持ちいいなあ。」

ゆっくり、伸びをする


「…みんなと、もっと仲良くなれたかな?」

風が、塩の香りを運んでくれる

「…ふふっ。」

「応援…してくれてるん?」


何も答えてはくれないけど

何かが、そこにはあるような気がした


「…ん?」

足音に、振り返る


「…お、早起きは三文の徳♪」

「お日様から、た~っぷりパワーもらおっか。」

732: 2015/03/12(木) 22:42:00.97 ID:rJbhM2JK.net
「…どういうつもり?」


「別に真姫ちゃんのためや無いよ?」

海に向き直る

「…海はいいよね。」

「見ていると大きいと思ってた悩み事が。」

「小さく見えて来たりする。」

「…」

「…ねえ、真姫ちゃん?」

「?」

「…ウチな、μ'sのメンバーの事が大好きなん。」

「ウチはμ'sの誰にも欠けてほしくないの。」

「確かに、μ'sを作ったんは穂乃果ちゃん達だったけど。」

「ウチもずっと見て来た。」

…支えて、あげたくて

「何かある度に、アドバイスもしてきたつもり。」

733: 2015/03/12(木) 22:42:38.51 ID:rJbhM2JK.net
「…それだけ、思い入れがある。」

ウチらを、受け入れてくれたから


「…あ、ちょっと話し過ぎちゃったかも♪」

「みんなには秘密ね?」


…真姫ちゃんも、そんな大事な人のひとり、って事


「…めんどくさい人ね、希。」


真姫ちゃんの、笑顔が見れた

…伝わって、くれたんかな?

「あ、言われちゃった♪」



「真姫ちゃーん!希ちゃーん!」


穂乃果ちゃん達が、駆けてくる

734: 2015/03/12(木) 22:43:10.65 ID:rJbhM2JK.net
朝日に向かって一列にならんで

何となく、手をつないでみる

まるで、決意したみたいに


「…ねえ、絵里。」

真姫ちゃんが、口を開く

…うん♪


真姫ちゃんに、目配せする



「…ありがとう。」


「ハラショー!」





「よーしっ!ラブライブに向けて。」

「μ's、がんばるぞー!!」




「「おーっ!!」」

739: 2015/03/12(木) 23:31:36.74 ID:rJbhM2JK.net
「…さあ、朝ご飯を食べたら練習です!」

「よーっし、いっぱい食べるにゃー!!」


「…さ、行こっ?希ちゃん。」

「うん、花陽ちゃん♪」


みんなで、別荘に戻る






「…行きましょ、絵里。」

「ええ、そうね。」


「…ねえ、真姫。」

「?」

「ひとつだけ、聞いてもいいかしら?」

「何よ、改まって。」


「どうして、私に言ってくれたの?」

740: 2015/03/12(木) 23:32:13.14 ID:rJbhM2JK.net
「…え?」

「…だって、希のお陰でしょ?」

「それは…」


「確かに、話せるようになったのは希のお陰だけど…」

「私のためじゃない、って言われちゃったし。」


「…それに。」

「希から聞いたわ。」

「いつだって不器用で…」

「素直になれない、誰かさんのことを。」


「それって…!」


「そんな誰かさんが。」

「…私の事に気付いて、行動に移してくれた。」

「先輩禁止も…そうでしょ?」

741: 2015/03/12(木) 23:32:49.86 ID:rJbhM2JK.net
「…買いかぶりすぎよ。」

「…でも、そうね。」


「私も、おせっかいな誰かさんに助けてもらったから。」


「そのおせっかいな誰かさんは。」

「私を、変えてくれたの。」

「…だから今度は。」

「私が、誰かの力になれたら、って。」

「…そう、思ったのよ。」


「…そっか。」


「…でも、それこそ。」

「真姫のため、だけじゃないわ♪」


「ふふっ…そうね。」


「さ、行きましょう、真姫♪」

「分かったわ、絵里。」




「おーい!えりち、真姫ちゃーん!」


「おせっかいな誰かさんも、呼んでることだしね♪」

「ふふっ…そうね♪」

745: 2015/03/13(金) 00:20:08.69 ID:k/pdpXsp.net
---

合宿から帰って来て数日

ネットの速報で

ウチらμ'sがランキング20位以内に入った事が知らされた

…これはつまり

ラブライブ出場の切符を手に入れたという事で…

穂乃果ちゃんも、みんなも喜んでた

もちろん、ウチも嬉しいよ?

でも、やっぱり簡単に行く訳じゃなくって…


「…まだ喜ぶのは早いわ。」

「決定した訳じゃないんだから。」

にこっちの言う通りや

「ラブライブ出場チームは。」

「2週間後の時点で20位以内にはいったグループ。」

「どのスクールアイドルも、最後の追い込みに必氏なん。」

746: 2015/03/13(金) 00:20:45.88 ID:k/pdpXsp.net
「…20位以下に落ちた所だって。」

「まだ諦めてないだろうし。」

えりちが、ウチに続く


「…つまり、これからが本番、って訳ね。」

「ストレートに言えばそう言う事よ、真姫。」

「喜んでる暇はないわ。」


…とは言え

今ウチらに出来る事は限られてる訳やし

まずは、もうすぐある学園祭で最高のステージをすることが一番



…と、言う訳で

ウチらは、ある教室に来てた


「なんで講堂がくじびきなワケ…?」

「昔から伝統らしくて…」

747: 2015/03/13(金) 00:21:24.52 ID:k/pdpXsp.net
なんにせよ、講堂が使えんと厳しいのは事実やし…

にこっち、頼むで!


「…では次、アイドル研究部。」

にこっちが、前に出る


「見てなさい…!」

「が、頑張ってください…」


「にこちゃん、頼んだよ!」

「講堂が使えるかどうかで。」

「ライブのアピール度は大きく変わるわ!」

よし、ウチのスピリチュアルパワーも…!

手を合わせ、念を送る



結果は…!

748: 2015/03/13(金) 00:21:50.66 ID:k/pdpXsp.net
----

「どーしよー!?」

結果を受けて、ウチらは屋上に来てた

「だ、だってしょうがないじゃない!」

「くじびきで決まるなんて知らなかったんだから…」

「あー!開き直ったにゃ!!」

「うるさーい!!」


どうしよう…空気が重い…


「にこっち…」

「ウチ、信じてたんよ…?」

「うるさいうるさいうるさーい!」

「悪かったわよ…!」



ず~ん…って音が聞こえてきそうな屋上で

穂乃果ちゃんが叫んだ

749: 2015/03/13(金) 00:22:21.13 ID:k/pdpXsp.net
「…じゃあ、ここ!」

「「えっ?」」

「ここに簡易ステージを作ればいいんじゃない?」

「お客さんもたくさん入れるし!」

「…屋外ステージ?」

たしかに、それなら…

「なによりここは。」

「私たちにとってすごく大事な場所。」

「ライブをやるのに、ふさわしいと思うんだ♪」


…ふふっ

思わず、笑みがこぼれる


そう、いつだって

ウチらはこうして、進んで来た

穂乃果ちゃんが引っ張って来てくれた道

支えるのが、ウチら

750: 2015/03/13(金) 00:22:59.25 ID:k/pdpXsp.net
「…さて、何を歌おうかしら?」

解散して、近くのカフェに

「…やっぱり、μ'sらしいのがええんかな?」

「ここは、このにこがセンターでぇ…」

「何曲披露するのかにも寄るわよね…」

「ちょっと、絵里!?」


「…ふふっ。」


…まさか

この3人でこんな事を話すなんて

昔のウチらに言ったら誰が信じたやろ?


別々の道を歩き出したはずが

今、同じ場所で同じ事をしてるなんて


「…希は、何がいいと思う?」

751: 2015/03/13(金) 00:23:28.02 ID:k/pdpXsp.net
「う~ん、そうやなあ…」

3人で、思いを膨らます


…さて、どんな曲がいいかな


---

二人と別れて、部屋に戻る

「…ふう。」


結局、決まらずに個人で考える事になった


「…こういう時は♪」

鞄から取り出す、青いカード

「さて、今のウチらの運勢は?」

プールして、一枚を引く

「さて、これは……!?」


『氏神』のカード

意味は---試練・別れ

752: 2015/03/13(金) 00:23:56.28 ID:k/pdpXsp.net
「よりにもよって、このカードか…」


でも、あんまり悲しくはなかった

それは多分、μ'sにいるから


どんな困難だって、ウチらは乗り越えて来た

…むしろ、困難しか無かった気がする


それでも、ウチらはここまで来たんよ

だから…


怖くない

きっと、道は開ける


「…うん、大丈夫。」

自分に、言い聞かせる

まずは、学園祭や!







---そしてそれは、唐突に訪れた

754: 2015/03/13(金) 15:42:12.23 ID:k/pdpXsp.net
---


「ええっ!?曲を?」

学園祭に向けたミーティングで、穂乃果ちゃんが言う

「うん!」

「昨日、真姫ちゃんの新曲聞いたら、やっぱり良くって!」

「これ、一番最初にやったら盛り上がるんじゃないかな、って。」

「…まあね。」

「でも、振り付けも歌もこれからよ…?」

えりちが、少し穂乃果ちゃんを抑える

「…間に合うかしら。」


「頑張ればなんとかなると思う!」

「…でも、他の曲のおさらいもありますし。」

海未ちゃんも、どうやら乗り気じゃないみたい


…ウチとしては、面白そうとは思うけど

755: 2015/03/13(金) 15:42:41.52 ID:k/pdpXsp.net
「わ、私、自信ないな…」

花陽ちゃんも、弱気になってる

ここは、何か言った方がいいかな?

そう考えていると…


「μ'sの集大成のライブにしなきゃ!」

「ラヴライブの出場がかかってるんだよ?」

やっぱり、穂乃果ちゃんやね

「…まあ確かに、それは一理あるね。」

「でしょ!?」

「ラブライブは、今の私たちの目標だよ!」


「…そのためにここまで来たんだもん!」


みんな、同じ気持ちなんかな?

756: 2015/03/13(金) 15:43:03.70 ID:k/pdpXsp.net
「私、頑張りたい!」

「そのために、やれる事は全部やりたい!」

「…ダメかな!?」


誰も、反対なんてしなかった

ここにきて、みんなの気持ちは一つやもん


絶対、上手く行く

そのために、頑張ろうって

ラブライブに向けて

学園祭に向けて


ウチら9人は、同じ方向を向いてた











…はずやった

757: 2015/03/13(金) 15:43:31.69 ID:k/pdpXsp.net
「…海未ちゃん、どうしたん?」

「…希。」


練習後

なんとなく海未ちゃんの様子が気になって

声をかけてみた


「穂乃果ちゃんの事?」

「…確かに、それもありますが。」


「ことりの雰囲気が、どこか…」

「ことりちゃん?」


「希から見て、ことりはどうですか?」

「うーん、特に目立った所は何も…」

「…そうですか。」

「やはり、私の気のせいでしょうか。」

758: 2015/03/13(金) 15:44:04.37 ID:k/pdpXsp.net
「でも、幼なじみしか分からん事もあるやろうし…」

「ウチも、気にはかけてみるよ。」


「ありがとうございます、希。」


「それに、穂乃果ちゃんも心配や。」

「以前よりやる気になったのはいいことやけど。」

「オーバーワークの可能性もあるから、気をつけて。」


「…はい、分かってます。」


「でも、何かあったら相談してな?」

「…ふふ。希は本当に、お姉さんみたいです。」


「海未ちゃんさえ良ければ、来てもええよ?」


「なっ…!?///」


「それじゃあね~♪」

759: 2015/03/13(金) 15:44:34.21 ID:k/pdpXsp.net
---

学園祭当日

土砂降りの雨の中

それでも、みんなで頑張ろう、って意気込んでた


ウチは、生徒会の方で少し用事があって

みんなとは別行動してたんやけど…


だから、気付けなかってん


ことりちゃんと、海未ちゃんが話してた事に

そして、穂乃果ちゃんの様子に



「…全然弱くならないわね。」

「って言うか、さっきより強くなってない?」

「これじゃあ、例えお客さんが来てくれたとしても…」

760: 2015/03/13(金) 15:45:04.76 ID:k/pdpXsp.net
「やろう!」

「…ファーストライブの時もそうだった。」

「あそこで諦めずにやって来たから。」

「今のμ'sがあると思うの。」

「だからみんな…行こう!!」


「…そうだよね。」

「そのためにずっと、頑張って来たんだもん。」

花陽ちゃんの、笑顔

「後悔だけはしたくないにゃ!!」


「…泣いても笑っても、このライブの後には結果が出る。」

えりちに、ウチも続く


「なら、思いっきりやるしかないやん♪」

「進化した私たちを見せるわよ!」

「やってやるわ♪」

761: 2015/03/13(金) 15:45:30.37 ID:k/pdpXsp.net
そして始まったウチらのライブ

曲は『No brand girls』

いつだって、前を向いてきたウチら

どんな壁だって、壊していける

この、9人なら


新曲なのに、ばっちり揃って

ステップも、ターンも大丈夫

土砂降りの中でも、笑顔で、声だして


最高の、ステージやった

ラブライブに、手が届く


そう、本気で思えるステージやった

762: 2015/03/13(金) 15:46:15.13 ID:k/pdpXsp.net
アウトロに合わせて、ポーズをとる

最後まで、笑顔で


曲が、終わる


…そのとき、穂乃果ちゃんが倒れた


「穂乃果!!」








…壁は、いつだって壊せる

この、9人なら


それじゃあ、この9人じゃなかったら?


1人でも、欠けてしまったら…?




夢は、追えるんかな---

766: 2015/03/14(土) 17:06:50.60 ID:RQsI5dkY.net
ライブは中止

急いで穂乃果ちゃんを保健室に連れて行く


…幸い、風邪がこじれただけみたいで

寝ていれば、回復するみたい

でも…


「とりあえず、私は理事長に呼ばれてるから、行ってくるわ。」

「今日は、解散しましょう。」


「「…」」


無理も無い

ほんとに、いきなりの事で

ウチらも、どうして良いか分からなくなったから

767: 2015/03/14(土) 17:07:17.92 ID:RQsI5dkY.net
---


「…おかえり、えりち。」

「希…にこ…」


えりちが理事長室から帰ってくるのを

ウチとにこっちは待ってた

「みんなには、帰ってもらったよ。」

「…そう。」


「…話さなきゃいけないんでしょ、これからの事。」

「…そうね。」


「理事長から、言われたわ。」

「無理しすぎたんじゃないか、って。」

「こういう結果を招くために、アイドル活動をしていたのか、って。」

768: 2015/03/14(土) 17:07:55.99 ID:RQsI5dkY.net
「…」

「…だから。」

「活動、休止ってこと?」

「いいえ。」

「これからも、続けていいそうよ。」

「でも…」


「ライブイブの事?」

えりちに、聞いてみる

「ええ。」

「穂乃果が倒れた事で。」

「μ'sのみんなのメンタルも心配よ。」

「それに、次誰がこうなるか分からない。」


「…そうやね。」

海未ちゃんが言ってた、ことりちゃんの事も気になる

769: 2015/03/14(土) 17:08:32.65 ID:RQsI5dkY.net
「…なら、ラブライブの出場は辞退ね。」

「にこっち…!?」

「何よ?」

「てっきり、にこは反対するかと思ってたから。」


「別に。」

「これが、にこ一人の問題なら、絶対に諦めないわ。」

「でも…今は、一人じゃないから。」


「…そうね。」

「活動できなくなる訳じゃない。」

「ラブライブに出れなくても、廃校を阻止する事は出来るはずよ。」


「…」


仕方ない、のかなあ…?

770: 2015/03/14(土) 17:09:09.49 ID:RQsI5dkY.net
「珍しく、希が弱気じゃない。」

「…だって。」

「ここまで、頑張って来たから…」


「確かに、私たちは今まで精一杯頑張って来た。」

「でも、この結果になってしまったのは。」

「私たち全員のミスよ。」


「…それに。」

にこっちが続ける

「もう…あんな事には、なりたくない。」


「…そうやね。」


本当は、にこっちが一番辛いはずやのに

771: 2015/03/14(土) 17:09:43.47 ID:RQsI5dkY.net
「…とにかく。」

「きっと、この先続けても。」

「どこかで無理が来るはずよ。」

「…うん。」


「意思の統一が出来なくなったチームは。」

「ほんの少しの事で瓦解するわ。」


「私たちが私たちであり続けるために。」

「ここは、耐えるべき時よ。」


「…にこも、賛成。」

「確かに、ラブライブに出れなくなった事は悔しい。」

「…でも、それでμ'sがμ'sで無くなるくらいなら。」

「出場出来ない事ぐらい、諦められる。」

772: 2015/03/14(土) 17:10:36.43 ID:RQsI5dkY.net
「…こう、考えられるようになったのは。」

「希、アンタのおかげよ。」

「だから、今度は私たちを信じなさい。」


「…うん、そうやね。」


実際に経験したにこっちやからこそ

どうするのが最善か、分かってると思う

なら、ウチもそれを信じるよ


「…ごめん、感傷的になって。」

「ウチも、みんなと一緒にまだまだ楽しみたいもん。」

「だから、その次を考えよう。」


「ええ、もちろんよ。」

「それに…」

773: 2015/03/14(土) 17:11:10.91 ID:RQsI5dkY.net
「えりち?」

「…いえ。」

「理事長が、何か言おうとしてたのよ。」

「何かって…?」


「…ごめんなさい、分からないわ。」

「でも、今私たちは出来る事をすべきよ。」


「…それが、最上級生として。」

「μ'sに受け入れてもらった私たちが出来る事よ。」


「うん。」

「そうね。」


「この事は、明日みんなと相談しましょう。」

「そして、放課後に穂乃果のお見舞いに…ね?」

774: 2015/03/14(土) 17:11:38.60 ID:RQsI5dkY.net
「そうやね。」

「とにかく、うじうじ悩んでても、仕方ないわ!」

「私たちまで暗くなってちゃ駄目でしょ?」

「まだ半年あるんだから!」


「にこの言う通りね。」

「さすが、部長やね♪」


「ふふん!」




「それじゃ、帰りましょうか。」

「何があっても、私たち3人は後ろを向かない事。」

「…分かってる。」

「…うん。今度は、ウチらが支える番やね♪」


「さ、行きましょう?」

775: 2015/03/14(土) 17:39:16.35 ID:RQsI5dkY.net
----


「申し訳ありませんでした!」

えりちが、穂乃果ちゃんのお母さんに頭を下げる

あの、良く来てた和菓子屋さん

「貴女達…」

やっぱり、無茶させちゃったし…

「なーに言ってるの?」

「あの子がどうせ、できるできるって。」

「全部背負い込んだんでしょう?」

「昔からずっとそうなんだから…」

怒られは、しなかった

それが本気なのか

ウチらに気を使ってくれてるからなのかは分からなかったけど


とにかく、上がらせてもらって

穂乃果ちゃんの部屋に

776: 2015/03/14(土) 17:39:48.60 ID:RQsI5dkY.net
「あ、海未ちゃん!ことりちゃん!」

ベッドにいる穂乃果ちゃんは、思ったより元気そうやった


でも、穂乃果ちゃんが言った

『もう一度ライブ』の言葉に

みんなの顔が曇る


「…穂乃果。」

「?」

「ラブライブには、出場しません。」

「…え?」

えりちが、理事長に言われた事を話す

「それで、みんなで相談して。」

「エントリーを辞めたの。」






「…もうランキングに。」

「μ'sの名前は…無いわ。」

777: 2015/03/14(土) 17:40:20.84 ID:RQsI5dkY.net
「そんな…」

落ち込む穂乃果ちゃんに、海未ちゃんが声をかける

「私たちがいけなかったんです。」

「穂乃果に無理をさせたから…」

「…ううん。」

暗くなってる子たちを、えりちが制する

「誰が悪いなんて話してもしょうがないでしょう?」


「…あれは全員の責任よ。」

「体調管理を怠って、無理をした穂乃果も悪いけど。」

「それに気付かなかった私たちも悪い。」


「…えりちの、言う通りやね。」

「今は、少しでも早く治す事に専念しよ?」

「これで、終わりじゃないんだから。」


「…うん。」

778: 2015/03/14(土) 17:40:53.22 ID:RQsI5dkY.net
穂乃果ちゃんのお母さんに再度頭を下げて

ウチらは帰路についた



「…少し、強く言いすぎちゃったかしら。」

「そんなことないよ。」

「誰かが、言うべき事やから。」

「そう…なのかも知れないけど。」


「…」


「…なあ、えりち。」

「なに?」




「ちょっと、気になる事があって…」

779: 2015/03/14(土) 17:41:25.43 ID:RQsI5dkY.net
-----


それから数日経って

穂乃果ちゃんも登校してくるようになった


…けど


「…相変わらずやね。」

「学校復帰してから、ずっとあんな感じじゃない。」

ラブライブのポスターが学区に張り出されてから

穂乃果ちゃんは、立ち止まってそれを見る事が多くなった

…そんなすぐには、吹っ切れんよなあ


「…希?」

「任せといて♪」


そっと穂乃果ちゃんに近づき

その膨らみに手をかける

780: 2015/03/14(土) 17:42:16.01 ID:RQsI5dkY.net
「うわあああぁぁぁぁああ!?」

「希ちゃん!?」


「ぼんやりしてたら、次はアグレッシブなの行くよー?」

「い…いえ、結構です…」


よかった、ちょっとだけ気を紛らわせられたみたい


「…アンタも諦め悪いわねー。」

「いつまでそのポスター見てるつもりよ?」

にこっち、言い方…


「うん、分かってはいるんだけど…」

「けど?」

「けど…」

また、暗くなる


「希?」

781: 2015/03/14(土) 17:42:55.21 ID:RQsI5dkY.net
にこっちの声に合わせて

ウチはさっきみたいに両手を上げる

「けっ、結構ですー!!」


「…そうやって元気にしていれば。」

「みんな気にしないわよ?」

えりちが励ます

「それともみんなに気を使ってほしい?」

「そういう訳じゃ…」


「今日から練習にも復帰するんでしょ?」

「そんなテンションで来られたら。」

「迷惑なんだけど?」


…まあ、この言い方がにこっちらしいかな?


「…そうだね。」

「いつまでも気にしてちゃ、しょうがないよね!」

782: 2015/03/14(土) 17:43:32.89 ID:RQsI5dkY.net
「そうよ?」

「それに、私達の目的は。」

「この学校を存続させる事、でしょ?」


「うん!」


そう言って、穂乃果ちゃんは友達の所に駆けていった



「…大丈夫そうやね♪」


うん、きっと大丈夫

これでまた、9人揃ったんやし


このメンバーなら


きっと廃校だって…



そう思っていた時

一年生組がドアから飛び出して来た


「た、助けて…」

783: 2015/03/14(土) 17:44:09.65 ID:RQsI5dkY.net
何事かと思って、廊下の掲示板の所に行くと


『来年度入学者受付』のお知らせが

その下には

『このたび音ノ木坂学院は』

『来年度の入学者受付を行う運びとなりました』


「「これって…!!」」

「中学生の希望校アンケートの結果がでたんだけど…」

「去年より志願する人がずっと多いらしくて…!」

花陽ちゃんと、真姫ちゃんが答える

「ってことは…」

「学校が…」

思わず、叫んでしまった

「存続するってことやん!!」

784: 2015/03/14(土) 17:44:44.26 ID:RQsI5dkY.net
遅れて来たことりちゃんに

穂乃果ちゃんが抱きつく


本当に嬉しそうな二人を見て…

思わず、目が潤む


「…ハラショー。」

えりち、泣いてる

にこっちも…顔は見えないけど

肩が、少し震えてる


二人を、後ろから抱きしめる

「…何一つ、無駄なんかじゃなかったんよ。」


「「…うん。」」

こぼれそうな涙を我慢して

二人を、力いっぱい抱きしめた




…諦めなくて、良かった

785: 2015/03/14(土) 18:00:04.68 ID:RQsI5dkY.net
-----


「では、とりあえず…」

「にっこにっこにー☆」

「みんなー?グラスは持ったかなー?」

「学校存続が決まったという事で。」

「部長のにこにーから一言。」

「挨拶させて頂きたいと思いまーす!」


次の日

ウチらは学校存続を祝って小さな祝賀会を開催した

えりちが理事長から聞いてきた話やと

あの時、理事長が言いかけたことはこの事やったらしい

「…でも、どうして最初に言ってくれなかったのかしら?」

「…例えばやけど。」

「あの状況で、ウチらの目標が無くなってしまったら。」

「μ's、解散してた可能性があるからとか?」


「…まさか。」

786: 2015/03/14(土) 18:00:31.80 ID:RQsI5dkY.net
「…ま、今は気にしなくていいやん?」

「せっかくやし、楽しもっ?」

「…そうね♪」


でも、ウチは不安を拭えないでいた

何故、理事長はその時に言わなかったのか

もし、もし本当にそんな理由だったら


…そして、それが今のウチらに大事な事だったら



「…流石に、考え過ぎかな。」

自分の頭を整理するように

小さな声で、呟く


あかん、あかん

今は、楽しまないと!

787: 2015/03/14(土) 18:01:04.56 ID:RQsI5dkY.net
みんなが、食事したり

笑い合ったり

楽しんでるのが見て取れる



「…ほっとした様子ね、えりちも。」

「…まあね。」

「肩の荷が下りた、って言うか…」

「μ's、やってよかったでしょ?」

「…どうかしらね。」

「正直、私が入らなくても。」

「同じ結果だった気もするけれど。」


「…そんな事ないよ。」

「えりちが、今までやって来た事、ウチは全部知ってる。」

「だからこそ、今、ウチらはここにおるんよ?」


「…そうかしら。」

「絶対、そう。」

「カードがウチに、そう告げるんよ♪」

そしてそれは、きっとにこっちも…

788: 2015/03/14(土) 18:01:34.52 ID:RQsI5dkY.net
「…ごめんなさい。」

海未ちゃんが、立ち上がる

どうしたんやろ?


「みんなにちょっと話があるんです。」


「…聞いてる?」

「…ううん。」


えりちも、聞いてないってことは…

まさか…


「…実は。」







「突然ですが、ことりが留学する事になりました。」

789: 2015/03/14(土) 18:25:27.35 ID:RQsI5dkY.net
「…2週間後に、日本を発ちます。」



「…なに?」

「うそ…」

動揺が、連鎖する

いきなりすぎて、思考が追いつかない


「ちょっと、どういう事…?」

ことりちゃんが、口を開いた

「…前から、服飾の勉強したいって思ってて。」

「そしたら、お母さんの知り合いの学校の人が。」

「来てみないか、って…」

「ごめんね?」

「もっと早く話そうって、思っていたんだけど…」


「学園際のライブでまとまってる時に言うのはよくないと。」

「ことりは気を使っていたんです。」

790: 2015/03/14(土) 18:25:51.75 ID:RQsI5dkY.net
「それで、最近…」

海未ちゃんが気にしてたのは、その事やったんや

「…行ったきり、戻って来ないのね?」

えりちが、尋ねる

「…」

「高校を卒業するまでは、多分…」

それじゃあ、もう…



「どうして…」

穂乃果ちゃんが、立ち上がる

「言ってくれなかったの?」

「だから、学園祭があったから…」

「…海未ちゃんは知ってたんだ。」


「それは…」

791: 2015/03/14(土) 18:27:06.96 ID:RQsI5dkY.net
穂乃果ちゃんが、跪いてことりちゃんの手を握る

「どうして言ってくれなかったの…?」

「ライブがあったから、って言うのは分かるよ…?」

「でも、私と海未ちゃんとことりちゃんは、ずっと…!」


「…穂乃果。」

「ことりちゃんの気持ちも分かってあげなよ。」

ウチとえりちで、フォローしてみたけど…


「…分からないよ!!!」

「だって、いなくなっちゃうんだよ!?」

「ずっと一緒だったのに、離れ離れになっちゃうんだよ!?」

「なのに…」





「…何度も、言おうとしたよ?」

792: 2015/03/14(土) 18:27:37.70 ID:RQsI5dkY.net
「…!」

「でも…穂乃果ちゃん、ライブやるのに夢中で。」

「ラブライブに夢中で…」

「だから…ライブが終わったら、すぐ言おうと思ってた。」

「相談に乗ってもらおうと思ってた…!」


「でも…」

「あんな事になって。」

「…聞いてほしかったよ?」

「穂乃果ちゃんには、一番に相談したかった…!」

「だって、穂乃果ちゃんは…」

「初めて出来た友達だよ!?」

「ずっとそばにいた友達だよ!?」


「…」


「そんなの…」

「そんなの、当たり前だよっ!!」


「…ことりちゃんっ!!」


ことりちゃんは、走って出て行ってしまった

793: 2015/03/14(土) 18:28:08.78 ID:RQsI5dkY.net
「…ずっと、行くかどうか迷っていたみたいです。」

「いえ…むしろ行きたがってなかったようにも見えました。」


「ずっと穂乃果を気にしてて。」

「穂乃果に相談したらなんて言うか、ってそればかり。」


「…黙っているつもりは無かったんです。」

「本当にライブが終わったら、すぐ相談するつもりでいたんです。」


「…分かってあげてください。」

そう…海未ちゃんは告げる



「そんな…」

「そんなの、全然…」


「…ッ!!」

「穂乃果っ!?」


穂乃果ちゃんも、出て行ったきり戻らなかった

794: 2015/03/14(土) 18:29:17.10 ID:RQsI5dkY.net
「みんな、今日はもう…」

えりちが、お開きにしようとする


「ねえ、海未。本当なの…?」

「…はい、真姫。」

「知っていて、黙っていた事はすみませんでした。」


「海未が…悪いんじゃないわ。」

「ことりちゃん…海外に行っちゃうの?」

「…そう、みたいだね。」


「…」

こんなときに、みんなにかける言葉が見つからない

こんなときに支えるために、ウチは今ここにいるのに


なんで、何も言えんの…?

なんで、何も言葉が出てこないん…?



これじゃ…ウチのいる意味は…

795: 2015/03/14(土) 18:29:59.33 ID:RQsI5dkY.net
「…ライブ、するわよ。」


えっ?


「アンタ達、このままでいいの?」

「ことりと、もう会えなくなるのよ?」

「もう、μ'sじゃ無くなるのよ!?」


「ことりが、自分の夢のために頑張るって言うなら。」

「そう決めたのなら!」

「応援してあげるべきでしょう!?」


「にこっち…」


「私は、このバラバラな状態のまま終わるのは嫌よ。」

「例えどんな理由があっても。」

「今まで私達の仲間だったことりを。」

「…笑顔で、旅立たせてあげたいじゃない。」


「じゃなきゃ…きっと、後悔するわ。」

796: 2015/03/14(土) 18:31:14.25 ID:RQsI5dkY.net
「にこ…」

「ほら、絵里も、希もシャキッとする!」

「私達が下向いてどうすんのよ!?」


「今までの私達が無くなる訳じゃない。」

「なら、その仲間の門出ぐらい…」

「笑顔で送り出してあげましょ?」




「凛は賛成!!」

「は、花陽も…」

「やっぱり、このみんなで笑いたいです。」


「…にこちゃんにしては、いい事言うじゃない。」

「ちょっと真姫ちゃん!?」




「…ふふっ。」

「流石、にこっちやね。」

「ええ、悲しんでる場合じゃ無いわ。」

「…みんなで、最高のステージにしましょう!」


「「おーっ!!」」

797: 2015/03/14(土) 18:31:53.57 ID:RQsI5dkY.net
一旦終わり
また夜に

遅くなってごめんなさい

800: 2015/03/14(土) 21:49:08.71 ID:RQsI5dkY.net
>>799
使えるとこは使って、アニメに無いシーンは勝手に作ってます
一応ifストーリーなので矛盾が出て来たり
アニメとシーンや台詞が違うのはすみません

10時半頃から再開します

803: 2015/03/14(土) 22:36:11.20 ID:RQsI5dkY.net
放課後

えりちが、穂乃果ちゃんを呼びに行った

昨日みんなで話した事

穂乃果ちゃんがいないと、始まらんもん♪


「…お待たせ。」

「みんな…どうしたの?」

「穂乃果、ライブをしましょう?」

えりちが、伝える

「…ライブ?」

「そう!みんなで話したの。」

「ことりがいなくなる前に、全員でライブをやろう、って。」

「来たらことりちゃんにも言うつもりよ♪」

「思いっきりにぎやかなのにして、門出を祝うにゃ!!」


「…にゃっ!?」

飛び出した凛ちゃんの頭に

にこっちのチョップが落とされる

「はしゃぎすぎないの!!」

804: 2015/03/14(土) 22:36:51.18 ID:RQsI5dkY.net
2人のほのぼのしたやりとりを見て、笑う


…でも、穂乃果ちゃんだけは違った

「…まだ落ち込んでいるのですか?」

穂乃果ちゃんは答えない

「明るく行きましょう?」

「これが9人の、最後のライブになるんだから。」

えりちが、励まそうとする

「…」


…穂乃果ちゃん、どうしたんやろ

見た事無い…顔


「…私がもう少し周りを見ていれば。」

「こんな事にはならなかった。」


「そ、そんなに自分を責めなくても…!」

「自分が何もしなければ、こんな事にはならなかった…!!」

805: 2015/03/14(土) 22:45:03.24 ID:RQsI5dkY.net
花陽ちゃんのかけた言葉にも、反応しない

「アンタねえ…!」

「そうやって、全部自分のせいにするのは傲慢よ…?」

「でも…!」

「それをここで言って、何になるの?」

「何も始まらないし、誰も良い思いをしない。」


…そう

それを変えたくて

次に繋げたくての、提案

このままじゃ…

「…ラブライブだって、まだ次があるわ。」

真姫ちゃんも、穂乃果ちゃんを気遣ってる

「そう、今度こそ出場するんだから。」

「落ち込んでる暇なんて無いわよ?」

にこっちのやせ我慢も…

その想いも、穂乃果ちゃんには届かない

806: 2015/03/14(土) 22:45:45.91 ID:RQsI5dkY.net
「…出場して、どうするの?」


「…えっ。」

「もう学校は存続できたんだから。」

「出たってしょうがないよ。」


…なんで

なんで、今それを言うん?

それじゃ、ウチが予想したみたいに…


「…それに、無理だよ。」

「A-RISEみたいになんて。」

「いくら練習したって、なれっこない。」


今、それはあかん…!

「ほのかちゃ…!」




「アンタそれ…本気で言ってる…?」

807: 2015/03/14(土) 22:49:49.57 ID:RQsI5dkY.net
「本気だったら許さないわよ…?」

「許さないって言ってるでしょ!?」


真姫ちゃんが、慌てて止める

それでもにこっちは、止まらない


「にこはね…!」

「アンタが本気だと思ったから!」

「本気でアイドルやりたいんだ、って思ったから!」

「μ'sに入ったのよ!!」

「ここに賭けようって思ったのよ…!!」



「アンタ、希から聞いたんじゃないの!?」

「私が、今までどんな思いでやって来たか…!!」

「それを知って、にこの所に来たんじゃないのっ…!?」

808: 2015/03/14(土) 22:50:19.47 ID:RQsI5dkY.net
「これじゃ…」

「これじゃ一緒じゃない!!」

「うちを辞めてった連中と一緒じゃない!!」

「こんな事くらいで諦めるの!?」




「…一緒だよ。」

「にこちゃん、前に言ったよね。」

「曲げられない想いを、アイドルに込めろって。」




「…私にとっての曲げられない物は。」


「海未ちゃんとことりちゃんと一緒に。」

「この学校を廃校から守ること。」




「…!」

809: 2015/03/14(土) 22:50:52.84 ID:RQsI5dkY.net
「…廃校を阻止できた事は、嬉しいよ。」

「だって、それが夢だったんだもん。」

「そのために、スクールアイドル始めたんだから。」


「だったら…!!」


「やってみて、すごく楽しかった。」

「ずっとずっと歌ってたい、踊ってたいって思えた。」

「すっごく…楽しかったんだよ。」





「…この、9人でいる事が。」


「…」



「でも、そこにはもうことりちゃんはいないんだよ?」

「曲げられない物って…なに?」

「その2つが無くなっちゃったら…私はどうすれば良いの?」

「教えてよ、にこちゃん…!」


「…ッ!」

810: 2015/03/14(土) 23:01:07.80 ID:RQsI5dkY.net
「…じゃあ穂乃果はどうすればいいと思うの?」

「どうしたいの?」


「…」


「…答えて。」


…なんで、こうなったんやろ

いつから…?

ことりちゃんの様子に気付かなかったから?


穂乃果ちゃんが無理してることに気付けなかったから?


それとも…


穂乃果ちゃんの譲れない物が

無くなるなんて思わんかったから…?



ウチは、どうしたら良かったん…?

もう二度と、こんなとこなんか見たくなかった

そのために、頑張って来たはずやのに…

811: 2015/03/14(土) 23:01:29.80 ID:RQsI5dkY.net
「…辞めます。」


その言葉を聞いて

ウチの時間は止まった

…ううん、壊れたん


気付けなかった自分に

支えてあげられなかった自分に

何の力も無い自分に


…ただただ、嫌悪感しかなかった


「穂乃果ちゃん…」


なにも出来ないのに

届かないと分かってるのに

自然に…声が出た




引き止める力なんて…無いのに

812: 2015/03/14(土) 23:02:04.09 ID:RQsI5dkY.net
走り出す長い髪と

乾いた音が響く


数秒経って

それが海未ちゃんである事と

穂乃果ちゃんを叩いた音であると理解した



「…!」


「貴女がそんな人だとは思いませんでした…」

「最低です…!」


「貴女は…」


「貴女は最低ですっ!!」



駆け出す穂乃果ちゃんと

座り込む海未ちゃん



ウチは…一体、何が出来るんよ

813: 2015/03/14(土) 23:02:39.72 ID:RQsI5dkY.net
-----


「…希。」

また、心配かけてる

こんなこと、もう無いように、って決めたのに


「…えりち。」

「ウチ…ウチな?」


えりちが、そっと抱きしめてくれた


「希の気持ち、分かってる。」

「にこの事も…」

「他のみんなの、事も。」


「何が、間違ってたんやろ…?」

「どうすればよかったん…?」


「希は、間違ってないわ。」

「もちろん、みんなも。」


「…前に言った事、覚えてる?」

814: 2015/03/14(土) 23:03:17.90 ID:RQsI5dkY.net
「…?」

「バタフライ効果の話。」

「小さな、きっかけ…?」


「…そう。」

「ことりの様子に。」

「穂乃果の想いに。」

「私達は、誰も気付けなかった。」


「その結果が、今よ。」

「これは、受け止めなきゃ駄目な事。」

「…!」


そんな事、今言われても…


「ごめんなさい。」

「でも…聞いて?」


「…?」

815: 2015/03/14(土) 23:04:38.85 ID:RQsI5dkY.net
「未来は、可能性の集まりよ。」

「ちょっとした選択から、始まって。」

「…やがてそれは、大きな結果を生む。」


「その選択は、誰にでもあるわ。」

「そこに気付けるか、気付けないかなの。」

「私達は、気付く事が出来なかった。」

「全てが、上手く言ってると思ってた。」


「…そう、上手く行き過ぎてたのよ。」


「もっと、周りを見なければならなかった。」

「そうやって失敗をして来た私達だから。」

「そこに気付けた私達だったから、気付くべきだった…!」



「えりち…」


えりちも、悔しいんだ

816: 2015/03/14(土) 23:05:52.14 ID:RQsI5dkY.net
「だからこそ…」

「だからこそ、私達なの。」


「次は、見落としちゃいけない。」

「そのきっかけに、ちゃんと気付くの。」

「もう二度と…」

「もう二度と、こんな事起こさないように…!」


「だから…ッ!」


「…」


えりちも、ウチと同じ

ただ必氏に、どうすればいいかを考えてる

気持ちを整理するのにいっぱいいっぱいやのに


思わず、下を向いてしまう



『私達が下向いてどうすんのよ!?』


「…!」


ハッと、顔を上げる

817: 2015/03/14(土) 23:06:32.43 ID:RQsI5dkY.net
「…そうやね。」

えりちの頭を、撫でる

「希…?」


「もう大丈夫、えりち。」

「でも…」


「大丈夫、もう泣かない。」

「もう、下は向かない。」


「次こそ、ちゃんと掴み取ってみせる。」


「…もう、誰も悲しまないように。」


「ウチらに出来る事、しよう…!!」



ウチらの出来る事

ウチらにしか、出来ない事がきっとある



前を向こう

もう一度、みんなで笑うために

821: 2015/03/15(日) 00:13:54.21 ID:OeDux/sn.net
仕事が終わらない

あともうちょっと時間ください
必ず来ます

825: 2015/03/15(日) 02:19:13.91 ID:OeDux/sn.net
-----

「活動休止!?」

にこっちが叫ぶ

「ええ…それで少し、見つめ直して見た方が良いと思うの。」


「…ラブライブに出場できないどころか。」

「活動も休止なんて…」


「何も、ずっとなんかやない。」

「今一度、ウチらは考える必要があると思うんや。」

「何が、ウチらにとって一番大事なのかを。」


「…今のままで続けても、意味があるとは思えないわ。」

真姫ちゃんが、賛同してくれる

「μ'sは穂乃果がいなければ、解散したような物でしょ?」


「…ッ!」

826: 2015/03/15(日) 02:29:03.79 ID:OeDux/sn.net
「…にこっち。」


「…?」

「少しだけ、時間をくれん?」

「どういうこと?」


「…ウチは。」

「μ'sは、9人揃ってこそやと、思ってる。」

「それって…!」

「…」


「…いいわ。」

「いつか言ってた恩返し。」


「楽しみにしてるわよ。」


「…うん♪」


絶対…叶えてみせる

827: 2015/03/15(日) 02:40:03.70 ID:OeDux/sn.net
---

「正直、穂乃果が言いださなくても。」

「この問題にはぶつかっていたと思う。」


「…そうやね。」

ウチらの気持ちは

『廃校を阻止する』

それに、みんなが向いていた


それじゃ、それが無くなったら…?

穂乃果ちゃんの言う通り、そこでおしまい?




…そんな訳ない!!

今だからこそ、見つめ直せる

今だからこそ、向き合える



ウチらの、これからに

828: 2015/03/15(日) 02:49:58.80 ID:OeDux/sn.net
「…そっか。」

「ええ。」

「にこ達は、このまま練習を続けるわ。」

「にこの曲げられない物は、変わらない。」

「最初から、ずっと。」


「…だから。」


「信じてるわよ、希。」

「…!」


「たとえ結果がどうなったって。」

「アンタの出した結論に、私達は従う。」


「にこっち…。」


「元はと言えば、アンタと一緒に出来たら私は満足だったのよ!」


「…ッ。」

「それでも、信じてるから。」


「…うん!」

829: 2015/03/15(日) 02:51:04.46 ID:OeDux/sn.net
「海未には、断られたみたいね。」

「えりち…」


「…海未ちゃんにとっても。」

「二人の存在は大きかったみたいなんよ。」


「そう…」

「やっぱり、あの二人をどうにかせんと。」


「…諦めてないのね?」

「もちろん!」


「諦めるとしたら、ことりちゃんが出発してしまうまで。」

「その瞬間まで、ウチは信じたい。」



「…今まで、そうやって叶えて来たんやもん。」

「奇跡みたいな、ウチらの今を。」

830: 2015/03/15(日) 03:04:32.47 ID:OeDux/sn.net
-----

「…きっと、すごいアイドルになるんだろうなあ。」



「…今度は、誰も悲しませない事をやりたいなあ。」

「自分勝手にならずに済んで。」

「…でも、楽しくて。」

「沢山の人を笑顔にするために、頑張る事が出来て。」


「そんな物、あるのかなあ…?」


「…あるよ。」


「えっ…?」


「…希ちゃん!」


「こんにちは、穂乃果ちゃん。」




「…今、少し時間あるかな?」

831: 2015/03/15(日) 03:05:08.42 ID:OeDux/sn.net
-----


「…!凛ちゃん、花陽ちゃん!」

「穂乃果ちゃん…」

「練習、続けてるんだね?」

「うん…」


「当たり前でしょ?」

「…スクールアイドル続けるんだから。」

「…えっ?」

「悪い…?」

「いや…」


「μ'sが休止したからって。」

「スクールアイドルやっちゃいけない、って決まりは無いでしょ?」


「でも、なんで…?」





「…好きだから。」

832: 2015/03/15(日) 03:05:35.31 ID:OeDux/sn.net
「…!」

「…にこはアイドルが大好きなの!」

「みんなの前で歌って、ダンスして。」

「みんなと一緒に盛り上がって。」

「また明日から頑張ろうって。」

「そういう気持ちにさせる事が出来るアイドルが…」


「私は大好きなの!」


「穂乃果みたいないい加減な好きとは違うの。」


「違う!私だって…!!」

「どこが違うの?」

「…」








「…穂乃果ちゃん、行っちゃったね。」

「うん、でも…」

「希ちゃんの、言った通りだった。」


「…」

「にこちゃん?」


「いいえ。」

「さ、練習するわよ!」


「うんっ!」

833: 2015/03/15(日) 03:15:37.96 ID:OeDux/sn.net
-----


「…ごめんね?」

「いえいえ、お気になさらず♪」

「今、お茶を…」


「違うわ!」

「μ's、活動禁止にしようなんて言った事。」

「本当は私にそんな事言う資格ないのに…つい。」


「…ごめんなさい。」


「そ、そんな事ないよ。」

「って言うか…私が辞めるって言ったから。」


「…私ね?」

「すごくしっかりしてて、いつも冷静に見えるって言われるけど。」

「本当は全然そんな事ないの…」




「絵里ちゃん…」

834: 2015/03/15(日) 03:16:05.73 ID:OeDux/sn.net
「いつも迷って、困って、泣き出しそうで…」

「希に実際、恥ずかしい所を見られた事もあるのよ?」


「…でも、隠してる。」

「ううん、隠してた。」


「自分の、弱い所を。」


「私は、穂乃果が羨ましかった。」

「素直に自分が思っている気持ちを。」

「そのまま行動に起こせる姿が…すごいな、って。」


「そんなこと…」



「…美味しい。」

「…」


「ねえ、穂乃果。」

「私には、正直何を言ってあげれば良いのか分からない。」

835: 2015/03/15(日) 03:16:34.20 ID:OeDux/sn.net
「私達でさえ、ショックなんだから。」

「海未や穂乃果の気持ちを考えると、辛くなる。」


「…でもね。」

「私は、私が見て来た貴女達を信じたい。」


「いつだって前向きで。」

「自分の想いを押し出して。」

「それで、夢を叶えて行けるような…」

「…」


「そんな姿が、羨ましかったの。」


「絵里ちゃん…」


「私ね?」

「穂乃果達に教えられたの。」




「変わる事を恐れないで、突き進む勇気。」

836: 2015/03/15(日) 03:17:10.55 ID:OeDux/sn.net
「…私のこの手は。」

「貴女達みんなに救われたの。」


「希に、変わる勇気をもらって。」

「にこに、想いと向き合う勇気をもらって。」

「そして…あの時の穂乃果の手に、救われたの。」


「だから、今度は私が救いたいの。」

「何が出来るのかも分からない。」

「それでも…」


「何か一つ、力になれれば、って…」



「…」

「穂乃果。」


「…希ちゃんも、同じ事言ってた。」


「希が…?」

837: 2015/03/15(日) 03:25:45.62 ID:OeDux/sn.net
「自分は今まで、自分の事が嫌いだった。」

「何一つ変われない、自分の事が。」


「でも、にこちゃんや絵里ちゃんと会って。」

「手を、引いてもらえて。」


「ずっと…ずっと、助けてもらって来た、って。」


「希…」


「そうやって、いっぱいもらった幸せを。」

「今度は、返したいんだ、って。」

「前を向いて、歩く楽しさを知って。」

「誰かと笑える喜びを知って。」


「そんなみんなが、大好きだから…って。」



「…先を越されちゃったわね。」

838: 2015/03/15(日) 03:26:09.07 ID:OeDux/sn.net
「絵里ちゃん…」


「私の想いは、希と一緒よ。」

「私も、希も、にこも…」

「お互いがいたから、ここまで来れた。」

「お互いに、感謝してもしきれないのよ。」


「…貴女達、3人みたいに。」


「…!」


「私達も、喧嘩する事だってあった。」

「口を聞かなくなった時期もあった。」

「すれ違う日々が続いた時もあった。」



「じゃあ、どうやって…?」

839: 2015/03/15(日) 03:26:32.71 ID:OeDux/sn.net
「…簡単よ。」

「素直に、なる事。」

「断られたっていい。」

「嫌われたって良い。」


「自分の、本当の気持ちを言葉にするの。」


「本当の、気持ち…」



「私達は、そうやって乗り越えて来た。」

「だから…」


「きっと貴女達も、そうだと信じてる。」


「伝えても、それでも駄目なときは…?」

「それは、そのとき考えなさい。」

「まずは、やってみないと始まらないわよ?」

840: 2015/03/15(日) 03:26:59.21 ID:OeDux/sn.net
「…」


「希の、押し売りだけどね。」

「可能性は今、目の前にある。」

「穂乃果は、それを掴む?掴まない?」


「私は…」


「無数にあるチャンスの、どれを貴女の物にするか。」

「それは穂乃果自身が決める事よ。」


「その手助けができるなら。」

「私達は、いくらでも力になるわ。」


「…」


「選ぶのは、穂乃果。」

「でも、叶えるのは…私達がいる。」


「もう…一人で抱え込むのはやめて。」

「みんなで…叶えるんでしょう?」

841: 2015/03/15(日) 03:40:12.90 ID:OeDux/sn.net
-----


「…」


「…ごめんね、急に呼び出したりして。」

「いえ…」

「ことりちゃんは?」

「今日、日本を発つそうです。」


「…そうなんだ。」

「穂乃果…」



「私ね、ここでファーストライブやって。」

「ことりちゃんと海未ちゃんと歌った時に思った。」

「もっと歌いたい、って。」

「スクールアイドル、やっていたい、って。」



「…やめるって言ったけど、気持ちは変わらなかった。」

842: 2015/03/15(日) 03:40:46.27 ID:OeDux/sn.net
「学校のためとか、ラブライブのためとかじゃ無く。」

「私…好きなの!」

「歌うのが!」


「…それだけは譲れない。」

「だから…」



「ごめんなさい!!」


「これからも、きっと迷惑かける。」

「夢中になって、誰かが悩んでるのに気付かなかったり…」

「入れこみすぎて、空回りすると思う。」


「だって私…不器用だもん!」


「…でも、追いかけていたいの!」

「わがままなのは分かってるけど…」

「私…!」

843: 2015/03/15(日) 03:51:09.73 ID:OeDux/sn.net
「ぷっ…くくく…」

「…ふぇ?」


「…海未ちゃん!なんで笑うの!?」

「私、真剣なのに…!」


「…ごめんなさい。」

「…でもね。」


「はっきり言いますが…」

「穂乃果には、昔からずっと迷惑かけられっぱなしですよ?」


「…うぇっ?」


「ことりとよく話していました。」

「穂乃果といると、いつも大変なことになる、と。」


「どんなに止めても、夢中になったらなんにも聞こえてなくて。」


「…だいたい、スクールアイドルだってそうです。」

844: 2015/03/15(日) 03:51:33.73 ID:OeDux/sn.net
「私は本気で嫌だったんですよ…?」


「海未ちゃん…」


「…どうにかして辞めようと思っていました。」

「穂乃果を恨んだりもしましたよ?」

「全然、気付いてなかったでしょうけど。」


「ごめん…」


「…ですが。」

「穂乃果は連れて行ってくれるんです。」

「私やことりでは、勇気がなくて行けない、すごい所に。」


「…海未ちゃん。」


「私が怒ったのは、穂乃果がことりの気持ちに気付かなかったからじゃなく…」

「穂乃果が自分の気持ちに嘘をついているのが分かったからです。」

845: 2015/03/15(日) 03:52:12.47 ID:OeDux/sn.net
「穂乃果に振り回されるのは、もう慣れっこなんです。」

「だからその代わりに、連れて行ってください!」

「…私達の知らない世界へ!」


「…」

「それが穂乃果のすごい所なんです。」

「私もことりも…μ'sのみんなもそう思っています…!」


「それって…」


「希から、聞きました。」

「みんなが、これからどうしたいのか。」


「…」


「…私達、9人そろってこそ…だそうです。」

「希ちゃん…」



「…」

846: 2015/03/15(日) 04:03:44.70 ID:OeDux/sn.net
「だって、可能性感じたんだ。」

「そうだ進め---」

「…!」

「後悔したくない。」

「目の前に…」


『僕らの道がある---』



「希から、教えて頂きました。」

「穂乃果は、掴むんでしょう?」

「今ある、9人の未来に繋がる可能性を。」



「…!」


「さあ、ことりが待っています!」

「迎えに行って来てください!」


「ええっ!?」

「でも、ことりちゃんは…!」

847: 2015/03/15(日) 04:04:19.71 ID:OeDux/sn.net
「…私と一緒ですよ。」

「ことりも引っ張って行ってほしいんです。」

「わがまま言ってもらいたいんです!」


「…わがまま!?」


「そうですよ。」

「有名なデザイナーに見込まれたのに、残れなんて…」


「でも、そんなわがままを言えるのは…!」



「…行ってくる!!」

「必ず、つれて帰ってきてくださいね!!」


「任せてっ!!」

------

「ええと、空港まで…」


「穂乃果ちゃん!」


「の、希ちゃん!?」

848: 2015/03/15(日) 04:04:49.26 ID:OeDux/sn.net
「やーっぱり、来ると思った。」

「なんで…」


「決まってるやん?」

「カードがウチに、そう告げたんよ♪」


「行き先は伝えてある。」

「さあ、行って?」


「いつのまに…」


「時間無いんと違うん?」


「あっ!えと…!」


「…ほら、急いで!」

穂乃果ちゃんの背中を、押す


「絵里ちゃん…にこちゃん…」


「行きなさい、穂乃果!」

849: 2015/03/15(日) 04:05:32.63 ID:OeDux/sn.net
「…全く。急に呼び出したりして。」

「ちゃっかり、タクシーも呼んでるし。」


「…やってみたかったんよ。」

「これが…?」

「ふふっ。」


あの時の、凛ちゃん達みたいに

誰かを、応援する力

誰かの力に、なる力


「…信じてるよ、穂乃果ちゃん。」


「それじゃ、私達はステージの準備よ。」

「…絶対、二人で帰ってくるんでしょうね!?」


「…だーいじょうぶ♪」


「穂乃果ちゃんなら、きっと…!」

851: 2015/03/15(日) 04:14:23.31 ID:OeDux/sn.net
「うう…緊張する…」

「それより、凛達制服のままだよ…?」

「…スクールアイドルらしくていいんじゃない?」

慌てる二人を、真姫ちゃんがまとめる


「穂乃果とことりは間に合うの…?」

「…絶対来ます、必ず。」


「って言ってる間にそろそろ時間やけど…」

「お客さんを待たせる訳にはいかないわ。」

そんな話をしていると


穂乃果ちゃんが飛び込んでくる


「…いったーいっ!」


「穂乃果ちゃん!?」

852: 2015/03/15(日) 04:14:50.27 ID:OeDux/sn.net
「ことり…!」

「えへへ…」

「くぅ~…お待たせー!」


「…まったく、ハラハラしたにゃー。」


「…じゃあ、全員揃った所で。」

「部長?一言っ。」


「ええーっ!?」

「…なーんてね♪」

「ここは考えてあるわ。」



「…今日みんなを、一番の笑顔にするわよ!?」

にこっちが、ピースサインを前に出す


…ウチらも、それに合わせる

853: 2015/03/15(日) 04:27:44.66 ID:OeDux/sn.net
「…みんな、ありがとう。」

「穂乃果?」


「私…みんなと出会えて、良かった。」

「これからは、このみんなと!」

「一緒に、夢を追いかけて行きたい!」

「みんなと、同じ夢を見たい!!」


「トーゼンでしょっ?」

「にこ…」


「…そうね。」

「この9人なら、何だって叶えられる。」



「…ありがとう、みんな。」

「この9人で、夢を追いかける事!」

「それが今の穂乃果の、曲げられない物!!」

854: 2015/03/15(日) 04:28:01.56 ID:OeDux/sn.net
「1!」

「2!」

「3!」

「4!」

「5!」

「6!」

「7!」

「8!」

「9!」



「よーし…行こう!!」

855: 2015/03/15(日) 04:29:02.01 ID:OeDux/sn.net
曲が始まり、幕が開く

まばゆいほどに光る、ペンライト

…埋まる、客席


今までやってきて、本当によかった

諦めなくて、本当によかった


これからも、きっと何度も壁に当たる

…でも、この9人なら

ウチの信じる、この子達となら…!


そのためなら、ウチは何だって出来る

みんなを、影で支える

それがウチのやる事でいい


前に立てなくていい

気付かれなくてもいい

ただ、みんなの為に



…それが、ウチに出来る事

856: 2015/03/15(日) 04:29:40.85 ID:OeDux/sn.net
曲が終わって、ポーズをとる


「…もう、アンタは変われたわ。」

「影の存在なんかじゃない。」

「一人の…アイドルよ。」



今…

今、そんなこと言われたら


溢れる涙を、必氏に押し頃す


…ありがとう


おかげで、ウチはここまで来れた








…ね?


にこっち

857: 2015/03/15(日) 04:30:45.43 ID:OeDux/sn.net
観客の前に、整列する

穂乃果ちゃんが、口を開く


「私達のファーストライブは、この講堂でした!」

「その時、私は思ったんです。」

「いつか、ここを満員にしてみせる、って!」

「一生懸命頑張って…」

「今、私達がここにいる!」

「この想いを…いつかみんなに、届けるって!」


「その夢が今日…叶いました!」


「だから…」

「私達はまた駆け出します!」




「新しい夢に向かって!!」

858: 2015/03/15(日) 04:31:22.36 ID:OeDux/sn.net
「穂乃果…!」

「穂乃果ちゃん…!」


「皆さん!」

「今日は本当にありがとうございました!!」



「あっ、そうだ!」

「大事な事を言い忘れてました…!」


「…?」



「…さあ、皆さん!ご一緒に!!」





『μ's!』

『ミュージック…スタート!!』






新しい夢の扉が開く---音がした

859: 2015/03/15(日) 04:36:47.93 ID:OeDux/sn.net
ここまでありがとうございました

手帳に書き留めてた話がここまで広がって
アニメクロスなんかもしちゃったりして
約1スレ分、お付き合いありがとうございます

ここから、話は2期に
そして希の成長に、進んで行きます

区切りが良いので、このスレはここまでにします
明日、一日休んで月曜日から新スレで始めたいと思います

ここがまだ残っていれば、ここにurl張りますので
無くなっていたら、同じスレタイで探してください

それでは、長い間ありがとうございました
また次のスレでお会いしましょう

あと、なにか質問あるなら答えますし
欲しいエピソードがあれば
サイドで展開するかもしれません

それでは、本当にありがとうございました

860: 2015/03/15(日) 04:59:20.40 ID:8E9wpiWB.net
乙乙やん
素晴らしかった
こういう話を俺も書けるようになりたいよ
欲しいエピソードというと修学旅行編が見てみたいな

865: 2015/03/15(日) 15:18:17.81 ID:OeDux/sn.net
スレ埋めがてら
リクエストのあった修学旅行編上げます

短編ですがお楽しみください

866: 2015/03/15(日) 15:19:01.50 ID:OeDux/sn.net
Side Story

修学旅行編


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「青い海!白い砂浜!」

「来たで、沖縄!!」


「…もう、テンション上がり過ぎよ。」

「だって、沖縄なんよ!?」

「修学旅行なんよ!?」

「テンションあげない方が無理やん!」


「…ふふっ。」


夏休み明け早々に、ウチらは修学旅行先である沖縄に来てた

これが終わったら、生徒会選挙もあるし

廃校の事だって…

867: 2015/03/15(日) 15:19:22.33 ID:OeDux/sn.net
「…今は、考えるのは辞めましょう?」

「せっかく、来たんだから。」


「…そうやね。」

「よし、行くでえりち!」



「希ちゃーん!絵里ちゃーん!」

「一緒にビーチバレーしよー?」


「…さっそくお誘いやね♪」

「あら?負けないわよ?」


「それじゃ、負けた方はジュースな!」


「望む所!!」

868: 2015/03/15(日) 15:19:45.52 ID:OeDux/sn.net
クリアブルーの海をよそ目に

ウチらの対決が始まった


「…希ちゃんっ!」

「任せてっ!!」


思いっきりジャンプして、腕を振り下ろす


「ふっ!」


「…甘いわ!」


えりちに、軽く受けられた

「…そっち!」


「えーいっ!!」


「なんの、まだまだっ!!」

869: 2015/03/15(日) 15:20:07.30 ID:OeDux/sn.net
「…ふう、お疲れさま。」

「お疲れさま、えりち。」


「結局、勝ち負け着かなかったわね。」

「えりちが負けず嫌いやからやん?」


「なっ…!?///」

「希も、精神的に揺さぶりをかけて来たじゃない!」


「…こういう事?」

にやっと笑って両手を挙げる


「…また、夏休みのプールみたいになりたいのかしら?」


「あー、シークワーサージュース美味しーなー。」


「…もうっ。」

870: 2015/03/15(日) 15:20:34.46 ID:OeDux/sn.net
---


「シーサーの色付け体験だって。」

「自分で好きな色塗れるんやね♪」


「ちょっと、やってみましょうよ。」

「ええよ~。」

「ほな、えりちが塗った奴ウチにちょーだい?」


「え?」

「ウチのを、えりちにあげるから。」

「なんかその方が、守ってくれそうやし♪」


「…いいわよ。」

「とびきりすごいの、作ってあげるんだから!」

871: 2015/03/15(日) 15:20:54.59 ID:OeDux/sn.net
「…えりち、これ…」


「…何も言わないで。」

「でも…」


「し、仕方ないじゃない!///」

「いや、個性的というかなんと言うか…」


「だ、だって意外に難しくて…」


「ごめんなさい。」



「…じゃあこれ、えりちに。」

「え?でも…」


「えりちの、もらうな?」

「…悪いわよ。」


「いいんよ。」

「世界に一つだけの、えりちが作ってくれたものやから♪」


「希…」

872: 2015/03/15(日) 15:29:20.87 ID:OeDux/sn.net
楽しい時間はすぐ過ぎるとは良く言う物で

いつの間にか、明日が最終日になってた


「…早かったわね。」

「そうやなあ…」

「でも、楽しかったな♪」


「ふふっ、そうね。」

「生徒会選挙前の、良い息抜きになったわ♪」


暗くなった夜道を、二人で歩く

涼しい風が、気持ちいい


「…それじゃ、そろそろホテルに戻りましょうか。」

「うん!」

ホテルに向かって、歩き出す


「?あれ…」



「にこっち…?」

873: 2015/03/15(日) 15:29:38.98 ID:OeDux/sn.net
ホテルへと帰る道の途中

にこっちが、一人で何かをしていた


「にこっち。」

「…!」

「なんだ、希か…」

「私もいるけど?」


「げっ!絵里…」

「なによ、その反応は…」


「…それより、どうしたん?」


「え?ええっと…」

にこっちが、言葉を濁す

「何か、探してたみたいだけど…?」

874: 2015/03/15(日) 15:30:02.08 ID:OeDux/sn.net
「…ふ。」

「え?」


「財布…無くしたの。」

「うそっ!?」


「いくら探しても、見つからなくて…」

「どこかで落としたのかもしれないって、探してたけど…」


「この暗さじゃ、もう…」


「にこっち…」



「どこまではあったの?」

「…?」

「いつ無くしたか、分かる?」


「えっと…国際通りのモールで買い物した時はあって。」

「そのあと裏路地から出て自販機でジュースを買ったとこまでは覚えてる。」

875: 2015/03/15(日) 15:30:22.80 ID:OeDux/sn.net
「…なら、その間のどこかね。」

「希はにこと、この当たりを探して?」

「私は、通りの方に行ってくる!」


「えりち!一人は危ないで!」

「大丈夫、すぐ戻ってくるから!」

そう言うと、えりちは走って行っちゃった


「いいわよ、私一人で…」

「もう、関わっちゃったんやから。」

「力に、なりたいんよ。」



「…ありがと。」



にこっちと、探すのを再開した

876: 2015/03/15(日) 15:30:43.41 ID:OeDux/sn.net
「やっぱり、こう暗いと…」

「…もういいわ、希。」


「でも…」

「無くしたのは私のミスだし。」

「中身も、あと千円くらいしか入ってないから…」


「千円くらい、って何!?」

「お金はお金やん!」

「無くなっていい物なんてない!」


「なにより、修学旅行やもん!」

「こんな嫌な思い出で、終わらせたくないやん!!」



「希…」


「ちゃんと、見つけるから。」

「だから、もうちょっと頑張ろ?」


「…うん。」

877: 2015/03/15(日) 15:31:10.81 ID:OeDux/sn.net
それでもやっぱり

そう簡単に見つかる訳もなく

大通りの方に出て来てしまった

「やっぱり、もう…」

諦めるしかないんかな…

そう思ったとき、それは目に入った


「…なによ、希。」

にこっちの背中を、叩く


「…だからなに?」

上手く…言葉にできずに、もっと強く叩く


「痛いって!!」

「一体なんなのよ!?」


ウチの目線の方に、指を指す

「…?」


何度も、ポスターで見た

にこっちの、大好きな…




「綺羅…ツバサ?」

879: 2015/03/15(日) 15:39:00.45 ID:OeDux/sn.net
「…?」

彼女が、こちらに気付く


「貴女たちは…?」

言うのが早いか

にこっちが、手帳とペンを取り出した


「あああああああの!!」

「綺羅ツバサさんですよね!?」

「大ファンなんです!!」

「よ、よろしければ、サインを…!!」



「…ふふっ。良いわよ?」

「本当ですかっ!?」

無くした財布の事なんて気にも止めずに

にこっちのテンションは、うなぎ上りや


「名前、教えてくれる?」

「い、いいんですかっ!?」

880: 2015/03/15(日) 15:39:23.95 ID:OeDux/sn.net
「もちろん♪」

「私達を、知ってくれてるファンだもの♪」


「あ、ありがとうございますっ!!」

「や、矢澤にこですっ!」


「ええっと、や・ざ・わ…あら?」

「…?」


「もしかして、いつもお花届けてくれてる…」

「し、知ってるんですか!?」


「…結成当初から、ずっと届けてくれてるんだもの。」

「流石に覚えるわ♪」


「そう…貴女だったのね。」

「いつも、ありがとう。」


「そ、そんな!」

「とんでもないです!!」

881: 2015/03/15(日) 15:39:50.59 ID:OeDux/sn.net
「…はい、どうぞ♪」

「あ、ありがとうございますっ!!!」


にこっちの笑顔が見れて、よかった

あとは、財布だけやね…


「そういえば、こんな夜遅くに何をしていたの?」

「あ、にこっちが、財布無くしちゃって…?」


「財布?」

「はい、長いピンクの財布なんですけど…」

「…もしかして。」


ツバサさんが、何処かに電話をかける


「…もしもし、あんじゅ?」

「貴女さっき…ええ。ええ、そうよ。」

「それで、良かったら…」


「ありがとう。」

「それじゃ、お願いね?」

882: 2015/03/15(日) 15:40:15.29 ID:OeDux/sn.net
「「…?」」

「矢澤さん。」

「は、はいっ!!」


「貴女の財布、ウチのメンバーが拾ってたみたい。」

「今、警察署の近くらしいから、待っててくれるって。」


「本当ですか!?」

「だから、良かったら…」

「一緒に行かない?」


そう言って、ツバサさんはタクシーを止める

動きの一つひとつが凛としてて


…これが、オーラなんかな?


「じゃあ、お言葉に甘えて…」

暴走するにこっちを抑えながら

タクシーに乗り込む

883: 2015/03/15(日) 15:40:48.62 ID:OeDux/sn.net
「…~~~!!!!!」


A-RISEの他のメンバーとも合流して

にこっちのメーターは、もう振り切ってた


えりちにもメールしといたし

もう時間遅いから、帰らんとなあ…


「ほら、にこっち。」

「もう帰るよ?」


「で、でも…!」


「ふふっ。こんなに応援してくれて、私達も嬉しいわ♪」

「…そうだな。」

「これからも、よろしく頼む。」


「精一杯、頑張るからね♪」


「は、はい!!」

「もちろんです!!」

884: 2015/03/15(日) 15:41:09.91 ID:OeDux/sn.net
「それじゃ、そろそろ行こうか。」

「応援よろしくね♪」


「は、はいっ!!」



「あの…ありがとうございました。」

「いいえ?これも、何かの縁だもの。」


「それでも、ありがとうございます。」

3人に、頭を下げる


「…貴女、名前は?」

「え?」

「貴女の、名前。」

「あ…」

「東條…希です。」


「希さんね?」

「また、どこかで会いましょう♪」


「…はい!」

885: 2015/03/15(日) 15:41:47.61 ID:OeDux/sn.net
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ホテル前に帰ると、えりちが待ってた

「…おかえり。」

「えりち…」


「財布、見つかったんでしょ?」

「…うん。」

「ほら、にこっち。」

「何て言うん?」


「その…」

「あ、ありがと…///」


「…ふふっ。」

「どういたしまして、にこ。」


「さ、もう遅いから。」

「行きましょう?」


「うんっ!ただいま、えりち♪」

「おかえり、希…にこ。」

「た、ただいま…///」





今までの関係から外れて

少し、素直になったウチら

学校に戻ったら、今までみたいに戻ると分かってても

思わず、顔が緩む

…そんな、夏の南の島



そして、現在へと時を進める

いつかの、3人での夏の記憶---

886: 2015/03/15(日) 15:42:45.19 ID:OeDux/sn.net
これにてリクエスト終了です

短くてすみません
またなにかあったら、答えます

887: 2015/03/15(日) 16:47:49.51 ID:IscYb74f.net

これはいいものだ

899: 2015/03/16(月) 21:23:15.85 ID:QeQYAz+r.net
夏休み中に勉強会とか遊んだ話とかどうっすか

900: 2015/03/16(月) 21:25:32.43 ID:Apxev1Un.net
>>899
帰ってきました

せっかくだし、これ応えてから本編入るよ
出来れば、勉強会or遊び
遊びだったら場所orシチュエーション決めてもらえると早く書ける

902: 2015/03/16(月) 21:32:20.69 ID:Apxev1Un.net
>>901
了解

10時過ぎには上げます

904: 2015/03/16(月) 22:03:32.48 ID:Apxev1Un.net
Side Story

とあるファミレスでの風景



「…ほら、希。」

「手が止まってるわよ?」


「…だって、面白くないもん。」

「またそんな事言って…」


「もうすぐ夏休み終わるのに、課題出来てないんでしょ?」

「それはそうやけど…」


「まったくー。」

「もっとちゃんと計画性を持ってやらないとぉー…」


「…その計画の中に英語は入ってなかったのかしら?」

「ちょ、ちょっと忘れてただけよ!!」


「はいはい、とにかく終わらせる。」

905: 2015/03/16(月) 22:04:13.30 ID:Apxev1Un.net
夏休みも気付けばあと数日

ウチらは終わらない課題を片付けていた


…といっても一人じゃやる気が続く訳も無く

えりちに監督してもらってるけど…



「…ちょっと、休憩しない?」

「まだ、初めて1時間でしょ?」


にこっちも、英語の課題を忘れてたみたいで…

せっかくやし、誘ってみた


断られるかと思ったけど

こと、勉強に関してはえりちを信頼してるみたい



「…もう、どうすればやる気を出してくれるのかしら。」

906: 2015/03/16(月) 22:05:08.79 ID:Apxev1Un.net
「にこはぁ、この甘ーいスイーツを食べれば頭が冴えるかもっ♪」


「…なら、ちゃんと出来たら食べさせてあげる。」

「えー!!今食べたいにこっ!!」


「…ほら、アイドル作ってる暇があったら手を動かしなさい。」


「作ってなんかないわよ!!」


「…ふふっ。」

「…?どうしたの、希?」


「いやあ、案外仲いい二人なんかな、って。」


「…ッ///」

「べ、別に、希が誘ったから来ただけだし?」

「そもそも、アンタ達と一緒にする必要なんか…」

907: 2015/03/16(月) 22:11:21.88 ID:Apxev1Un.net
「…ひゃあっ!?」

「そんな事言うにこっちには…」


「な、なによ…!」

「ちょおーっと犠牲になってもらおうか♪」


にこっちの凹凸のないそれをまさぐる


「…~~!!!」


声にならない声をあげる、にこっち

「まだまだ~!!」


そんなウチの頭を、えりちが叩く


「…ここをどこだと思ってるの?」

えりちの頭に、怒りマークが見える


「そんな…」

「えりちだって、ウチを辱めたくせに…」

908: 2015/03/16(月) 22:19:37.45 ID:Apxev1Un.net
「なっ!?///」

「ウチ…あれが初めてやったんよ?」

「なのに…」


「ちょ、ちょっと希!?」


「絵里…あんた、サイテーね。」


「にこまで…!」


「あんなに、他の人の前で身体を弄ばれて…」

「ウチ、すっごく恥ずかしかったんやから…」


「誤解を招く発言は辞めなさい!!」


「…絵里、ちゃんと責任とりなさいよね?」


「も、もう!」


「エリチカ、おうちに帰る!!」

909: 2015/03/16(月) 22:20:03.43 ID:Apxev1Un.net
ウチらは、手を止める


「よしよし♪」

えりちの頭を撫でる

「…って、こうさせたのは希じゃない!!」

「いやあ…息抜きがほしくて。」


「…もう。」


「…ほんと、絵里ってばいつもそうしてたら可愛いのにね。」

「なんか、刺のある言い方ね、にこ。」


「別に~?」

「これが、にこっちの言ってたギャップ萌え、ってやつなんかな?」


「…なに、それ?」

えりちまで、興味を持って聞いてくる

910: 2015/03/16(月) 22:27:00.81 ID:Apxev1Un.net
「…じゃなくて!」

「課題、やるんでしょう!?」


「ちょっとだけ、休憩せん?」

「そもそも、日本人のにこ達がそんな長時間外国語なんか見てられないわよ!!」


「…でも、アイドルを目指すなら英語が出来た方がいいんじゃないの?」

「そっ、それは…」


にこっちが、目をそらす


「…そもそも。」

「英語の何が面白いのか、わからないし…」


うーん、確かに

親しみが無さ過ぎて、あまり興味が持てないというか…



「…仕方ないわね。」

911: 2015/03/16(月) 22:27:26.32 ID:Apxev1Un.net
「それじゃ、英語に興味が持てれば、ちゃんとやるのね?」

「そ、そうそう!」

「なにか、面白い話してよ!」

「英語が好きになるような!」


「あ、それ、ウチも賛成!」


「とは言っても…」

「なにか、あるかしら?」

えりちが、思考を巡らせる


「…一旦、休憩しましょうか。」


あ、えりちも諦めた


「すいませーん!この、デラックスパフェ1つ!」

すかさずにこっちが注文する


「…もう。」

そう言いながらも、えりちもケーキのポップを見てた

912: 2015/03/16(月) 22:38:13.29 ID:Apxev1Un.net
「お、来た来た!」

にこっちの前に、大きなパフェが置かれる


「ハラショー…」

流石にえりちも驚いてる

えりちはタルト

ウチは、ショコラケーキを頼んだ


「それじゃ!いっただっきま~…」

にこっちが、止まる


「…どうしたの?にこ。」


「…ふとした疑問なんだけど。」

「英語で、頂きます、って何て言うの?」


「あ、確かに…」

「えりち、知ってる?」

913: 2015/03/16(月) 22:38:43.85 ID:Apxev1Un.net
「…そうね。」

「確かに、英語圏じゃあんまり聞かないフレーズね。」

「でも、一応あることにはあるのよ?」


「なんか、難しいん?」

「いいえ?『Let's eat.』よ。」

なんか、拍子抜け

「…そんな簡単なの?」


「まあ、特にアメリカだと家族で食卓を囲むって言うのが普通だし…」

「だいたい、料理が揃ったら主である父親が。」

「よし、食べよう!って感じで始まるらしいの。」

「熱心なクリスチャンだと、お祈りなんかもあるし…」


「あまり、使う時はないのかもね。」


「「へえ~。」」

にこっちとふたりで、話を聞く

914: 2015/03/16(月) 22:39:29.46 ID:Apxev1Un.net
「じゃあじゃあ!!」

「ごちそうさま、は?」

にこっちが、尋ねる


「…そうね。」

「希、どう訳してみる?」


「ええっ!?いきなり!?」

「だて、勉強しにきてるんだし…」

「頭のリフレッシュだと思って…ね?」


中身の無い頭で考える

「えっと…食べ終わった、って事やろ?」

「なら…食べる…eat?」


「どういう風に文を作る?」

「食べ終わった、やから…」

「『Finish eating.』とか?」

915: 2015/03/16(月) 22:40:06.10 ID:Apxev1Un.net
「…まあ、直訳するとそうかしら?」

「ホテルなんかで、ウェイターに下げてもらう時なんかはそれでも良いかも。」

「でも、正解じゃないわ。」


「…なら、正解は?」


「それじゃあ、にこ。」

「『ごちそうさま』って、誰に言う?」


「え?作ってくれた人にじゃ無いの?」

「そう。」

「って言う事は、感謝を表したいのよね?」


「まあ、そう言う事…じゃない?」


「英語では、それを伝える時は直球なの。」

「とっても、美味しかった、って。」



「え?じゃあ…」

916: 2015/03/16(月) 22:41:01.83 ID:Apxev1Un.net
「『That was delicious.』が、正解。」

「これに、副詞…」

「『so』とか付けると、とっても美味しかったです、ってなるの。」


「じゃあ、日本みたいに定型があるわけじゃないん?」

「そうよ。」

「へえ…」

またひとつ、賢くなった気がする


「日本語みたいに複雑じゃないからこそ。」

「直情的に伝えるのが英語ね。」


「だから、難しい文章でも、伝えたい事は一つだったりするの。」

「長文を解く時でも、主語と動詞さえ分かれば。」

「あとは、無くても意味が通じたりする物よ。」


「…たとえば?」

917: 2015/03/16(月) 22:47:21.62 ID:Apxev1Un.net
「たとえば…そうね。」


『The girl who reading a book which I gave her is my sister.』


「これ、どういう意味か分かる?」

「え?えっと…」

にこっちが、必氏にペンを動かす


「焦らなくて良いわ。」

「まず、主語は何?」


「『The girl』?」

「そうよ。」

「それじゃ希、動詞は?」


「え?『reading』じゃないん?」

「…そう、ここがひっかけなの。」

918: 2015/03/16(月) 22:47:51.52 ID:Apxev1Un.net
「『The girl』…主語は、少女でしょ?」

「うん。」

「確かに、少女は本を読んでいる。」

「でもここでは、関係代名詞の『who』が使われてるの。」

「関係代名詞?」

「難しい話は置いておいて…」

「ここでは、詳しく説明してる、って考えておいて?」


「…と、なると。」

「その後の『which』は、何を指してる?」

「…本?」


「正解よ。」

よかった、当たってた…


「ここでは、本と少女を詳しく説明してるだけ。」

「無くても、意味は通じるのよ。」

919: 2015/03/16(月) 22:48:47.00 ID:Apxev1Un.net
「それじゃあ動詞は、『is』?」

「…そういうこと。」


「『The girl』が、何か?」

「『is my sister』…私の妹です、って事でしょ?」


「あ、そっか…」

「ね?真ん中の長い文章を抜いても、意味は通じるのよ。」


「…それじゃあ、にこ。」

「この文、もう訳せるわよね?」


「え?えっと、少女は私の妹で…」


「『who reading…』が、少女の説明で。」

「『which I gave…』が、ほんの説明だから…」


「ひとつずつ、分けて考えるの。」

920: 2015/03/16(月) 22:49:30.26 ID:Apxev1Un.net
「少女は、私の妹です。」

「その少女は、何をしていますか?」

「その本は、どんな本ですか?って具合よ。」


「えっと…」

「少女は、私があげた?本を読んでいます。」

「だから…」


『あの、私があげた本を読んでいる少女は私の妹です』


「正解よ、にこ。」


「やった!!」

「おお~…」

素直に、感心する


「ね?」

「ここで一番言いたい事は、少女は私の妹、って事。」

「あとは、無くてもだいたい分かるのよ。」


…なるほど

922: 2015/03/16(月) 22:57:56.54 ID:Apxev1Un.net
「…どう?」

「少しはやる気になったかしら?」


「…」

「も、もうちょっとだけ…」

「…仕方ないわね。」


「なあ、えりち。」

「他にも、何か面白い事とか知らないん?」

「さっきの、いただきます、みたいに。」


「何かのフレーズ、って事?」

「そう。」

「ああいう、パッと言えるフレーズって、使えたらかっこいいやん?」

「動機が不純だけど…そうね。」



「『It's a piece of cake.』は、どう?」

923: 2015/03/16(月) 22:58:34.79 ID:Apxev1Un.net
「一切れのケーキ?」

「ええ、直訳はそうね。」

「でも、意味が違うってこと?」

「そう。」

「…」

一体、何やろ?

にこっちと二人で、考え込む


「…まあ、これは熟語みたいな物だから。」

「意味は、『朝飯前』って意味よ。」


「はああ!?なにそれ!!」


「ちょっ…落ち着きなさい、にこ。」

「だって、それらしい言葉どこにも無いじゃない!」


「…だから、言ったでしょ?」

「これは熟語だって。」

924: 2015/03/16(月) 22:59:15.73 ID:Apxev1Un.net
「簡単に言うと…そうね…」

「『一切れのケーキ程度のもの』って事になるのかしら?」

「それが転じて、そんなの朝飯前だ。」

「そんなの、簡単だ。」

「…って意味になるみたいなの。」


「そういうのも、あるんやね。」

ケーキを口にほおばって、えりちの話を聞く


「まあ、諸説あるようだけど…」

「それでも、面白いでしょ?」


「って事は、他にもあるん?」

「ええ、もちろん♪」

「例えば希は、信じられない、って英語で何て言う?」


「え?アンビリーバブル…とか?」

925: 2015/03/16(月) 23:08:22.02 ID:Apxev1Un.net
「そう。」

「『believe』に、否定の『un』がついて。」

「『~することが出来る』って意味の『able』を付けた複合語ね。」

「『unbelievable』。」

「…でも、おしゃれじゃないでしょ?」


「いや、英語におしゃれも何もないでしょ…」

「ふふっ、そうね。」

「でも、これを意味して『Blue Rose』なんて言葉が出来たの。」

「ブルーローズ?」

「青い…薔薇?」


「日本語ではそうね。」


「でも、これも『信じられない』って意味になるの。」


「…」

頭が、こんがらがって来た

926: 2015/03/16(月) 23:08:51.29 ID:Apxev1Un.net
「元々、青い薔薇なんて存在しなかった。」

「だから、そんなの存在しない、って意味で使われだしたの。」


「…ややこしいわね。」


「あれ?でも、青い薔薇って…」


「…希の言う通り。」

「最近じゃ品種改良されて実際に『青い薔薇』が開発されちゃったのよね。」


「…ますますややこしい。」


「まあ、言葉遊びだと思って頂戴?」

「『I scream ice cream.』なんて言葉遊びもあるんだし。」


「ええ?アイスクリーム、アイスクリーム?」


「ふふっ。」

「文字にすると…こうね。」


「ああ、なるほど…」

927: 2015/03/16(月) 23:12:45.14 ID:Apxev1Un.net
「直訳すると、『アイスクリームって叫ぶ!』…に、なるわね。」

「なんか、だじゃれみたいやね。」


「そう、そんな感じよ。」

「他には…」


「『desert in the desert』…とか?」

「デザートの中のデザート?マスクメロンとか?」


「にこっち…」

「な、何よ…///」


「ふふっ。音だけ聞くと、確かにデザートの中のデザートね。」

「でも、このデザートは砂漠って意味よ。」


「砂漠の中の砂漠?」


「これも、さっきのだじゃれと一緒で。」

「『desert』には意味が何種類かあって。」

「『desert in the desert』で、砂漠で見捨てる、って意味なの。」


「なにそれ、酷い。」

「いや、にこっち。」

「言葉遊びやから。」

928: 2015/03/16(月) 23:18:16.39 ID:Apxev1Un.net
「…とまあ、こんな感じよ。」


「なるほどなあ…」

「さて、食べ終わったみたいだし、続きをしましょうか。」


「え、もう!?」

「さんざん休んだでしょう?」

「さ、始めるわよ。」


「にこっち、諦めよ?」

「うう…」


「…!」

「そういうときは、これね♪」

「『Break a leg』。」


「絵里ってば、酷い!!」

「いくら、にこが勉強できないとはいえ、足を折れ、だなんて!!」


「…ふふっ。」

「これも、熟語よ。」


「『Break a leg』…頑張って・幸運を祈る。」

929: 2015/03/16(月) 23:20:37.52 ID:Apxev1Un.net
「…ふう。こんな物かしら?」


「や、やっと終わったー…」

「希は、もう少しかかりそうね。」


「…まあでも、だいぶはかどったよ。」

「ありがと、えりち。」


「どういたしまして。」


「…ありがと。」

「あら、今日は素直ね。」


「に、にこはいつも素直で可愛いんだからっ!!」

「…はいはい。」


「それじゃ、そろそろ帰りましょうか。」

930: 2015/03/16(月) 23:22:27.05 ID:Apxev1Un.net
「…」


「にこっち。」

「…?」


「アイドルの事…」

「諦めないわよ。」

「プールで、言った事は変わらないわ。」

「絶対に、叶えてみせる。」


「…うん、分かった。」




「『Break a leg』やで、にこっち♪」


「…!」


「『It's a piece of cake』…よ!!」





…頑張って、にこっち


…ありがとう、希

931: 2015/03/16(月) 23:24:14.03 ID:Apxev1Un.net
勉強会、これにて終了
満足してもらえたかな?

それじゃ、本編にとりかかります
スレ立て&更新は1時を目処に行います

936: 2015/03/17(火) 01:04:10.99 ID:Bjq1I4IS.net
新スレ、アップしました

http://hope.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1426521805/

こちらからお越し下さい

937: 2015/03/17(火) 01:17:58.14 ID:Bjq1I4IS.net
あと、せっかくなんでこっちでもう一つ書こうかな

短編でリクエストあれば、やってみようと思います
何かあれば、書いて下さい

それでは

939: 2015/03/17(火) 01:51:45.92 ID:iYMvXh17.net
>>115前の夏休みの短編がみたいです

シチュは書きやすいのでいいのだけどプールはやったから夏祭りとかどうでしょうか

940: 2015/03/17(火) 19:35:35.39 ID:Bjq1I4IS.net
>>939把握

30分ほど待ってて下さい

941: 2015/03/17(火) 20:07:48.16 ID:Bjq1I4IS.net
Side Story

一年生の夏休み編

>>114の続きから


「うう…大丈夫かなあ…?」

せっかくの夏休みという事で

にこちゃんと夏祭りに行く事になった

でも…


「こ、言葉遣いも…本当に、あれでいいのかな…」


にこちゃんがいないと、やっぱり不安になる

待ち合わせ場所に近づくに連れて

前から押し寄せる人の波


「え、えっと…」

「ここで、いいんだよね…?」

942: 2015/03/17(火) 20:08:37.52 ID:Bjq1I4IS.net
「…本当に、変われるかな。」

エセ関西弁なんて…

余計、反感を買ったりしないだろうか

…それに、夏休み開けから早々なんて

やっぱり、変に思われたり…


一人でいると、やっぱりネガティブになる

下を向いて待っていると

ピンクの鼻緒が目に入った



「まーた、下向いてるの?」

「…!」


「お待たせ、希。」

「わあ…!」

943: 2015/03/17(火) 20:09:04.00 ID:Bjq1I4IS.net
「にこちゃん、可愛い!」

可愛らしいピンクの浴衣

自分の可愛さを知ってるように

にこちゃんの姿はアイドルのそれのようだった


「…っていうか、何で私服なのよ?」

「え、だって…」

「似合わ、ないし…」


「ほら、口調戻ってるわよ。」

「あ…うん。」


「…諦めるの?」

「でも…」


「せっかく出来た、希の個性よ?」


「個性…」

944: 2015/03/17(火) 20:09:37.32 ID:Bjq1I4IS.net
「まあ、強要はしないわ。」

「でも、変わりたいと言った気持ちは、忘れないで。」

「にこちゃん…」


「うん、ごめん。」

「…ウチ、頑張るから。」


「…♪」

にこちゃんのテンションが、少し上がったみたいやった


「それより、希もきっと浴衣似合うわよ?」

「そ、そんな、ウチなんて…!」


「大丈夫、このにこにーが保証するわ!」

「だから、もしよかったら…」

「…」

「来年、また一緒に来ましょ?」

「二人で、浴衣着て…///」

945: 2015/03/17(火) 20:10:05.77 ID:Bjq1I4IS.net
「にこちゃん…」

「と、とりあえず今日は行くわよ!?」

「ほら早く!」


赤くなった顔を見せないように

にこちゃんはウチの前を歩く

いつも大きく見える背中が

今日はとっても可愛く見えた


「…ほら、何してんの?」


「ふふっ。にこちゃん、可愛いなあ…って。」

「なっ!?///」


なんとなく

にこちゃんの弱い所が分かって来たような気がした

946: 2015/03/17(火) 20:17:37.16 ID:Bjq1I4IS.net
「…でも、すごくにぎわってるね。」

「まあ、この辺で一番のお祭りだからね。」

「はぐれないように、気をつけなさいよ?」

「う、うん!」


そう言って、にこちゃんの後を着いて行く


「何か食べる?」

「あ、うん…でも、いっぱいありすぎて、迷っちゃうね。」

「そうねえ…お祭りと言えば、やっぱり焼きそばかしら?」

「あ、いいね!」


「それじゃ、焼きそばにしましょうか。」

「確か、あっちにあったと…」


「…」


「…?」

947: 2015/03/17(火) 20:17:56.39 ID:Bjq1I4IS.net
「どうしたん?にこちゃん。」


「…あー。」

「何でも無い。」

「さ、行くわよ?」

「はーい。」


人ごみをかき分けて、前に進む

この辺りは出店が集中してるみたいで

他の場所より人が多い


「あっ、すみませ…」

人に肩をぶつけて、立ち止まってしまう


「…!」


にこちゃんと、はぐれちゃった…

948: 2015/03/17(火) 20:18:25.07 ID:Bjq1I4IS.net
「に、にこちゃ…」

辺りを見回しても、にこちゃんの姿は無い

「嘘…」


「にこちゃん…」

人前で

それもこんなに多い人の前で

大きな声なんか、今の私には出せなくて


人の流れに流されて、どんどんその場から離れていく


「…ッ。」

視界が、曇る






そんなとき


手を、掴まれた

949: 2015/03/17(火) 20:18:49.02 ID:Bjq1I4IS.net
「はあ…探したじゃない。」

「にこちゃん…」


「ちょっ、何で泣いてるのよ!?」

「にこちゃあん…」

思わず、飛びつく


「こ、怖くて…」


「…ったく。」

「ほら、ここだと目立つから。」

「あっちの陰に行きましょ?」


「…うん。」


---



「ほら、はぐれたぐらいで泣かないの。」

「だ、だって、いっぱい人がいて…」

950: 2015/03/17(火) 20:19:22.90 ID:Bjq1I4IS.net
「にこちゃんも、どこか行っちゃうし…」

「どうしていいか、分かんなくて…」


「…ああもう、分かったから。」

「とにかく、落ち着きなさい。」


そう言って、頭を撫でてくれた

にこちゃんの手、あったかい




「…泣き止んだ?」

「…うん。」

なんだか、にこちゃんには

自分の恥ずかしい所ばっかり見られてる気がする



「…それじゃ、行きましょ?」

にこちゃんは、手を繋いでくれた

「にこちゃん…」

「これなら、もうはぐれないでしょ?」



「…うん!」

951: 2015/03/17(火) 20:20:02.33 ID:Bjq1I4IS.net
それから、にこちゃんと焼きそばを食べて

金魚すくいをして

初めてやる型抜きに、苦戦したりして


それでも、ずっと隣にいてくれた

笑っていて、くれた



「…どう?楽しい?」

「うん、すっごく楽しいで♪」


「少し、喋り方もマシになってきたじゃない。」

「あ…」

「気付いてなかったの?」


「うん…でも、今すごく楽しいもん!」


「なら、よかった。」

「ほら、今度はあっち行ってみましょ?」

952: 2015/03/17(火) 20:25:49.04 ID:Bjq1I4IS.net
「…だいぶ、遊んだわね。」

「ふふっ。もう、全部の店回ったんと違う?」

「…それは言いすぎよ。」


「それより、いつの間にそれ買ってたのよ?」

「りんご飴、食べた事無くて…」

「さっき、にこちゃんが射的してる時に、横で。」


「ふーん…美味しい?」

「うん♪」


「あ、にこちゃんも食べてみる?」

なーんて…


「…ん、甘いわね。」

差し出したそれを、何のためらいも無く

にこちゃんは一口ほおばる


「なっ…///」

「…?どうしたのよ。」




「に、にこちゃんのアホっ!!///」

953: 2015/03/17(火) 20:26:15.69 ID:Bjq1I4IS.net
「はあ?なによいきなり。」

「な、なんでも無いもん///」


「一体どうしたのよ…」

「…」


にこちゃんは、ウチの天敵かもしれん



「でも、そろそろ良い時間ね。」

「あ、もうそんな時間?」


「いくら夏休みって言っても。」

「私達まだ学生だからね。」


「…そっか。」


せっかく、楽しめたのに

何となく、この今の楽しさが

お祭りの熱と一緒に消えてしまいそうで


…少し、寂しくなった

954: 2015/03/17(火) 20:26:41.29 ID:Bjq1I4IS.net
「…ひゃに?」

にこちゃんに、ほおを引っ張られる

「…にほひゃん?」


「そんな暗い顔しないの。」

「これから、何度だってにこと遊びに行けるんだから。」


「…うん。」


「それとも、キャラの事?」

「…それも、ある。」


本当に、上手くいくのかな、って




「…こんな事、にこが言うのはどうかと思うけど。」

「希は、にこの事信じてくれる?」

955: 2015/03/17(火) 20:27:35.89 ID:Bjq1I4IS.net
「…?もちろん。」


「にこは、希がきっとうまくいく、って信じてる。」

「だから、自分が信じれないのなら。」

「自信が無いのなら。」


「希を信じてる、にこの事を信じなさい。」

「にこは、希なら出来るって、本気で思ってる。」


「にこちゃん…」



「…絶対、できるから。」



「ありがとう。」

これだけ、想ってくれてる

期待してくれてる

その、想いに応えたい


にこっちが信じてくれた、自分を信じる


「それじゃ、帰ろっか♪」

「…!いきなり元気になったわね。」

「ふふっ。さ、手繋いで帰ろ♪」



「…今日だけだからね?」

「ありがとう、にこちゃん。」




夏の終わりと

新たな自分のスタートでした

956: 2015/03/17(火) 20:29:15.74 ID:Bjq1I4IS.net
短編夏祭りリクエスト
これにて終了です

このあとは、2スレ目で本編を開始しますので
また2スレ目で会いましょう

961: 2015/03/19(木) 18:13:02.31 ID:AQ86FPon.net
せっかくだし、埋めちゃいます

急に書いたから誤字とかあったらごめん


Short Drama

Another Side: E

962: 2015/03/19(木) 18:13:26.55 ID:AQ86FPon.net
「…来たわね、にこ。」


「…一体、どういう事よ?」

「それを、語る必要はあるかしら?」

「昨日、電話で話した事そのままよ。」


「…まったく、本当にやるつもり?」

「ええ、もちろん。」

「そのために、にこを呼んだのよ。」


「…はあ。」

「賢いアンタはどこに行ったのよ?」


「あら?まだ賢さは失われていないと思ってるわ。」

「なにより、にこも興味あるでしょう?」


「…まあ、無いとは言えないけど。」

963: 2015/03/19(木) 18:13:48.53 ID:AQ86FPon.net
「…確かに、ここまで来たのはにこのお陰よ。」

「でも…」


「ま、言いたい事は分かるわ。」

「…それが普通になったからでしょ?」


「そう。」

「その方がいいと思ってそうしてきた。」


「…でも、なんというか。」

「本音が、分からない…と?」


「…」


「ま、私も面白いとは思うし。」

「何より、いつも余裕な感じなのがね。」



「それに、いつの間にか手玉に取られてたしね。」

「…そういう事よ。」







「「希を標準語に戻す…!」」

964: 2015/03/19(木) 18:14:16.57 ID:AQ86FPon.net
なんとなく、感じていた

希があの話し方になってから


希が何を考えてるのかが分からなくなる時があった


…希の本音を引き出したい


にこに聞けば

アイドル研究部に穂乃果達が加入するとき

希がにこを説得したらしい


本音を話したとき、希は標準語だったと聞く


…なら

希を標準語に戻す事が出来れば

彼女の本音を聞くことが出来るかもしれない



…意味が分からない事を言ってるのは分かってる

一番の理由は、標準語に戻った希を見てみたい


ただ、それだけ

965: 2015/03/19(木) 18:14:42.03 ID:AQ86FPon.net
「…そういえば。」

「絵里が希と仲良くなったのって。」

「話し方を変えてからよね?」


「…そうよ。」

「だから私は、初々しい希を知らないの。」


「…結局は、絵里が希のそれを見たいだけじゃ無い。」


「だ、だって、にこばっかりずるいじゃない!」

「希の秘密というか…」

「にこだけが、知ってるって言うか…」


「何?アンタ、希の事が好きなの?」

「ちっ、違うわよ!!」


「その…」


「私といる時も、本当に希は楽しいのかな、って…」

966: 2015/03/19(木) 18:15:08.85 ID:AQ86FPon.net
「…今更、どこに気を使う事があるのよ。」

「そもそも、嫌なら3年間一緒にいないでしょうが。」


「それは…そうだけど…ね?」


「…まあいいわ。」


「にこ…!」

「手伝ってあげるわよ。」


「希の本音を知るため…」


「もとい。」


「アイツの鼻を明かすためにね!!」




こうして、私とにこは

互いの目的の為に

共同戦線を張る事にした

967: 2015/03/19(木) 18:15:35.45 ID:AQ86FPon.net
「まずは…そうね。」

「にこの時と同じ。」

「何か、真剣な話をしてみる…とか?」


「…思ったんだけどね。」

「私がμ'sに加入した時も。」

「希は…あの喋り方だったのよね。」


「…なるほど。」

「って事は、それ以上の事が無いと。」

「希の標準語は聞けそうにない、か…」


「それ以上の事って?」

「例えば…μ'sを辞める…とか?」



「い、嫌よ!?」

そんな、μ'sを辞めるなんて…!


「だから、フリだって言ってるでしょ?」

「本当に辞める訳じゃないじゃない。」

968: 2015/03/19(木) 18:15:57.45 ID:AQ86FPon.net
「そう…そうよね。」


「だいたい、ホントに辞めて、なんて言う訳ないでしょ?」

「ええ…」


それに、もし、誰にも引き止めてもらえなかったら…


「…なにテンション下がってるのよ?」

「ねえ、にこ!」

「私、μ'sにいて良いのよね?」

「誰にも、嫌われてないわよね?」



「…は?」


「あ、その…ごめんなさい。」


「…まあいいわ。」

「これは却下、と…」

969: 2015/03/19(木) 18:16:26.13 ID:AQ86FPon.net
「…なにより。」

「冗談でこんな事言ったって希にバレたら…」


思わず、生唾をのむ


「…と、言う訳で。」

「他の事をしてみましょ?」



「そうね…」

何が、良いのかしら?



「それじゃ、脅かしてみる?」

「え?」

「本音を聞ける…かは分からないけど。」

「驚いたら、標準語に戻らないかしら?」


「そもそも、元は標準語で喋ってたんだし。」

970: 2015/03/19(木) 18:16:51.05 ID:AQ86FPon.net
「…なるほど。」

「やってみる価値はありそうね。」


「それじゃ、にこは希を連れてくるから。」

「絵里は、部屋の電気を消して、何処かに隠れてなさい。」

「希が部屋に入って来たら、驚かして。」


「…え?」

「何か、不満でも?」


「二人でやるんじゃ無いの?」

「だって、それじゃ誰が希を連れてくるのよ?」


「あ…」


「ってことで、行って来るわ。」


出て行こうとするにこを、呼び止めた

「ま、待ってにこ!」



「…なに?」

971: 2015/03/19(木) 18:17:11.36 ID:AQ86FPon.net
「に、にこが驚かさない?」

「なんで?」


「な、なんとなく…」


「背の低いにこより、アンタの方が驚きそうじゃない。」

「で、でも…」


「何?アンタまさか怖いの?」


「…!」

「べ、別に怖い訳じゃ…」


急に、電気が消える



「…ひっ!?」


思わず、にこに飛びつく


「…はあ。」


そう言うと、明かりがついた

972: 2015/03/19(木) 18:17:34.76 ID:AQ86FPon.net
「いきなり消すなんて、酷いじゃない!!」


「…はあ、分かったから。」

「アンタが、希を連れて来なさい。」

呆れた顔で、にこが言う


…ごめんなさい、にこ


-----


「ところで、いきなりどうしたん?」

「何か、にこが面白い物があるって…」

希を教室から連れてくる


「…と、ついた。」

「入っていいんかな?」

「え、ええ。もちろんよ!」

973: 2015/03/19(木) 18:18:01.72 ID:AQ86FPon.net
部屋を開けると、中は真っ暗


にこは、一体どうやって…

「おーい、にこっち…?」


希と一緒に、中に入る


「えりち、どうしたん?」

「え、何が?」

「いや、肩に手を置くから…」


「…え?」


希の肩を見ると、確かに手がある


「…!」


「どうしたん、えり…」








「~~~~~!!!!!!」

974: 2015/03/19(木) 18:18:24.37 ID:AQ86FPon.net
「…ちょっと!アンタが驚いてどうすんのよ!?」

希の後ろから、にこが出てくる


「だって…だって…」


耐えきれず、その場にしゃがみ込む


「…もう、失敗じゃない。」

「ご、ごめんなさい…」


そ、そうだ、希は…?



「…クスッ。」

「えりち…おばけ、苦手なん?」


くすくすと笑いながら、私を見下ろしてる

「…///」


作戦は失敗

私が恥ずかしい思いをしただけだった

975: 2015/03/19(木) 18:18:53.16 ID:AQ86FPon.net
「…で、一体どうしたん?」


「…へ?」

「ウチに見せたかったものってこれ?」


「い、いや、えっと…」

「にこっち?」


「な、何でもないわよ!」

「ただのお遊び、っていうか…」


「ふ~ん…」

「お遊び、ね…?」


「の、のぞみ…?」


「それじゃあウチも、遊ぼっかな♪」

にこが希に捕まる


「ちょ、ちょっと待って…?」

「ふふっ…ワシワシMAXやー!!」




「いやああぁあぁぁああぁ!!!!」

976: 2015/03/19(木) 18:19:22.41 ID:AQ86FPon.net
「…なるほど。」

「ウチに、標準語を喋らせたいと…」


「…はい。」

意識がもうろうとしてるにこに変わって

私が答える


「別に、不安にさせたつもりは無かったんやけど…」

「それに、今じゃこの喋り方に慣れてしまって。」



「…どんな喋り方でも、ウチはウチやで?」

「えりちの知ってる、お調子者で。」

「にこっちの知ってる、内気な女の子やで♪」



「…これのどこが内気なのよ。」

にこが、復活した


「ん?まだ足りんのかな?」


「ひぃっ…!」

977: 2015/03/19(木) 18:19:46.98 ID:AQ86FPon.net
「…それに、今更標準語にしてみた所で。」

「多分、変に感じると思うし。」


「そんな事ないわよ?」

「そんなことあるって。」

「だいたい、そんなに器用じゃないし。」

「そんなに、可愛くないから…」



「何言ってんの?」

「…へ?」

「アンタ、可愛いに決まってるじゃない。」


「い、いや、そんなことない…やん?///」


「…!」


これは…


にこと、目を合わす

978: 2015/03/19(木) 18:20:09.47 ID:AQ86FPon.net
「そうよ、希は可愛いわよ?」

「え、えりちまで…///」


「スタイルだって良いし、歌ってる所も可愛いし。」

「なにより、その笑顔が一番可愛いじゃない。」



「なっ…そっ…///」


…もう一息ね


にことアイコンタクトして分かった

希は、褒められるのに弱い


…そういえば、褒められ慣れをしてないって

前に言っていたものね


さて、ここからどうしよう…



「…えっ?」

979: 2015/03/19(木) 18:20:38.41 ID:AQ86FPon.net
考えていると、後ろからにこに突き飛ばされた


「きゃっ!?」

希を押し倒す形で倒れる



「…いたた。」

「…!」

「の、希、大丈夫!?」


「…うん、大丈夫。」

「…けど。」


「けど?」


「えりち、顔が…///」

「えっ…」


確かに、顔が近い

鼻と鼻がふれあう距離


それよりも…


「…流石に恥ずかしいよ、えりち///」





私の中の何かが崩壊した

980: 2015/03/19(木) 18:21:08.19 ID:AQ86FPon.net
「希…」


じっ…と希の目を見つめる

「え、えりち…?」


「…可愛い。」

「えっ、ちょっ…えりち?」

「ふふっ。」

「可愛いわ…希。」


希の髪の毛に指を通す

さらさらと流れるそれから

希のにおいが漂ってくる


「…いいにおい。」

すうーっと、息を吸ってみる


「だ、駄目!えりち!」

「恥ずかしいからっ///」


また、希と目を合わせる


「駄目って言ってるのに…///」




…やったわ

希を標準語に出来た

981: 2015/03/19(木) 18:21:31.70 ID:AQ86FPon.net
…でも、そんなことはどうでも良くなってた

「…」


真っ赤になって、目を瞑る希

その顔が、とても色っぽくて


その下に、目を向ける

やわらかそうなそれに、目が止まる


希の…くちびる


そんな気はさらさら無くて

ただ、希の可愛い顔が見たかっただけなのに


なぜか、頭の中は希のそれでいっぱいになっていた


…もっと、可愛い顔をしてくれるのかしら?


そんな思いからか

無意識にそれとの距離を縮める




…あと、3センチ

982: 2015/03/19(木) 18:21:56.56 ID:AQ86FPon.net
不意に、目の前が真っ暗になる


「はい、しゅーりょー!」


にこに、顔を離される

「…アンタ、人の目の前で何しようとしてんのよ。」


「あっ、えと、これは…///」

急に、思考が戻る

一体私は、ナニをしようとしていたのか


「…そういうことは、付き合ってから。」

「人に見えない所でやりなさい。」


「そ、そんなんじゃ…!」


そう言えば、希は…?



涙目でこちらを睨む、希と目が合った

983: 2015/03/19(木) 18:22:22.45 ID:AQ86FPon.net
「の、希…」

「…か。」

「えりちのばか!!」


「怖かったんだから!」

「いきなりあんな事されて…」

「…それに。」


「初めて、なのに…///」



涙目でうずくまる希に

不意にきゅんとしてしまったのは秘密だけれど



「…はいはい。」

「アンタ達の痴話げんかは他でやってもらうとして…」



「ち、痴話げんかって…///」

「…えりち?」


照れる私を、希が睨む

いいえ、私は正常よ

決して、希がいいとかそんなのじゃ…

984: 2015/03/19(木) 18:22:57.23 ID:AQ86FPon.net
「…ま、これで絵里の願いも叶ったわけだし?」

「良かったじゃない、絵里。」


「ええ、まあ…」


「と、言う事で。」

「後は二人でよろしくっ♪」


逃げようとするにこを、希が捕まえる


「そうはいかんよ、にこっち♪」

「の、希…?」

「ウチを辱めた罰を、ちゃ~んと受けてもらわないと♪」


「に、にこぉ…」

希の手がにこを後ろからホールドする

い、いまなら…

出て行こうとした時、希が口を開いた

「…えりちも、逃げたらあかんよ?」

「逃げたら、嫌いになるで?」

985: 2015/03/19(木) 18:23:34.05 ID:AQ86FPon.net
本気で言ってる訳ではないのは分かってるけど

それ以上、足は動かなかった

笑顔のプレッシャーに、思わず後ずさりする


「…さて。」

「ウチの恥ずかしい所を存分に見た分。」

「ふたりの恥ずかしい所も見せてもらおか♪」


にこを上手くホールドしながら

ゆっくり、希が近づいてくる


「の、希…ここはひとつ、穏便に…」


「一緒に楽しい事しよ、えりち♡」


逃げられないと、観念する

とっても笑顔な希を見ながら


ああ、やっぱり笑ってる希が一番可愛い


薄れ行く意識の中で

それだけはしっかり頭にあった




そして、二人仲良く女神の制裁を受ける事になった



To Be Continued...

986: 2015/03/19(木) 18:24:56.48 ID:AQ86FPon.net
気の向くままに書いたので
矛盾点とかあったらごめんなさい

あくまで、この世界のifとしてとらえて頂けたら満足です
ちなみに、ここでの百合要素は本編に一切関係ありません

988: 2015/03/19(木) 19:04:38.00 ID:AQ86FPon.net

997: 2015/03/19(木) 22:27:17.50 ID:aRrdXkS5.net
乙乙

引用: 希「私がウチになれたのは。」