1: 2009/04/21(火) 11:08:25.14 ID:SkPCud0E0
ハルヒ「この中に食べ物を恵んでくれる人、無理しでお金を貸してくれる人、連帯保証人になってくれる人がいたら私のところに来てください。以上です」

これ、笑うとこ?

と思いつつ後ろを振り返ってみたらこの子が言ってることはマジもマジ、大マジということがわかった

なんでかって?

簡単だ、この見てくれだけで判断できる

他の生徒(俺も含め)は真新しく、着慣れない制服に身を包んでいるというのにこの子の制服はどこかのゴミ箱からかすめてきたんじゃないかと思うほどに黄ばみ、ツギハギだらけだった

お世辞にもお下がりと言えないところが涙を誘う
涼宮ハルヒの憂鬱 「涼宮ハルヒ」シリーズ (角川スニーカー文庫)
5: 2009/04/21(火) 11:15:15.11 ID:SkPCud0E0
俺の後ろの席という立地条件も助けになり、俺は涼宮ハルヒという子がひどく気になった

しかし・・・見れば見るほど黄色い制服である

そしてよく見ると(いや、よく見なくても)ハルヒの髪の毛がギトギトに脂ぎっているのがわかった

おいおい、一体何日髪の毛を洗ってないんだよ

それに臭うし、勘弁してくれマジで

6: 2009/04/21(火) 11:18:08.74 ID:SkPCud0E0
キョン「なあ、自己紹介のあれ、どこまでが本気なんだ?」

気付くと、俺はハルヒに話しかけていた

ハルヒ「自己紹介のあれって?」

キョン「連帯保証人がどうとか」

ハルヒ「あなた、連帯保証人になってくれるんですか!?」

キョン「ならんけど」

ハルヒ「ならんけど、なんですか?」

キョン「いや、なんもない」

ハルヒ「そうですか・・・」

横目で見ると、ハルヒはひどく落ち込んでいるように見えた

おいおい、初めて話したクラスメートに何を期待してるんだ?

8: 2009/04/21(火) 11:21:43.07 ID:SkPCud0E0
谷口「キョンよお、お前さっき涼宮と会話をしてたみたいだが・・・悪いことは言わん、やめとけ」

今、俺に話しかけてきたのは谷口

ハルヒと同じ中学校だったそうだ

しかし、やめとけもなにも、ハルヒとは何も始まってないし、始めるつもりもない

だって、なあ?確かに顔は可愛いけどさ

キョン「やめとけって何がだ?」

谷口の言わんとすることはわかるが、とりあえず聞いてみる

9: 2009/04/21(火) 11:24:47.55 ID:SkPCud0E0
谷口「自己紹介聞いてただろ?ありゃマジもんの貧乏人だ」

キョン「自己紹介を聞かなくても一目でわかるが」

谷口「まあ、聞け。あいつの頭の中は今日生きるための金と食い物のことで埋め尽くされている」

泣ける話だ

谷口「いや、違うな。将来の金づるのことも結構頭にあるみたいだぜ?」

キョン「どういうことだ?」

10: 2009/04/21(火) 11:28:07.42 ID:SkPCud0E0
谷口「なんだかんだいって顔は可愛いだろ?あいつ。だから言い寄る男は結構いたんだよ」

キョン「その男たちの趣味を疑わせてもらう」

谷口「まあ・・・な。でだ、奴は付き合って5秒後には結婚しましょうだの、無理なら連帯保証人になってだの言うんだぜ?」

キョン「どんなレベルで金がねえんだよ。悲しくなってくるなおい」

谷口「ああ、だからあいつは告白されて断るってことをしねえんだよな」

キョン「まさか・・・」

谷口「いやいや!聞いた話だってマジで!」

12: 2009/04/21(火) 11:31:17.45 ID:SkPCud0E0
ハルヒ「・・・」せっせこ

キョン(ん?何をしてんだハルヒの奴)

キョン「ハルヒ、お前何をやってんだ?」

ハルヒ「見て分からない?内職よ」せっせこ

さすがに我が耳を疑ったね

だってそうだろう?どこの世界に学校の休み時間に内職をする女子高生がいるってんだ

学校でカーネーションを作らねばならないほど金がないのか。よっぽどだぞおい

キョン「なあ・・・良かったら俺の弁当食べるか?」

ハルヒ「え!?」

15: 2009/04/21(火) 11:36:38.53 ID:SkPCud0E0
ハルヒ「い、いいの?」

キョン「う・・・ヨダレヨダレ」

キョン(くさ・・・)

ハルヒ「あ、ごめんなさい。そんなことより弁当くれるの?」

キョン「ああ、半分くらいなら」

ガッ!

ハルヒ「バクバク!」

ハルヒ「ハフッハフッ!」

キョン「あ!半分だけだ!何全部食ってんだ!」

ギネスの申し込みはどこにすればいい?

こいつ、俺の弁当をものの3秒で平らげやがった

21: 2009/04/21(火) 11:45:19.28 ID:SkPCud0E0
ハルヒ「うう・・・」ポロポロ

キョン「どうした?舌でも噛んだのか?」

ハルヒ「白いお米を食べたのが2ヶ月ぶりで嬉しいやらおいしいやら・・・」ポロポロ

キョン「あ、ああ。春休みは休職ないものな」

キョン「まあ、俺は食いっぱぐれたが、お前みたいな奴に食われたなら弁当も本望だろうよ」

ハルヒ「うう・・・ありがとう・・・ありがとう・・・」ポロポロ

手を握られた

ごめん、離して?マジで、ホントに

28: 2009/04/21(火) 11:50:45.48 ID:SkPCud0E0
谷口「驚天動地だ」

キョン「わかった、何も言うな」

谷口「あの涼宮に触れられるなんて・・・」

キョン「ガキみたいなこと言ってんなよ。馬鹿か?」

キョン(まあ、俺もちょっと不快だったけど)

谷口「お前なあ・・・クラスの反応見てみろよ」

「涼宮さんて・・・」ヒソヒソ

「なんか臭うし・・・」ヒソヒソ

谷口「わかっただろ?あんまりあいつとは関わり合いにならないこった」

キョン「うるさい、誰と友だちになろうが俺の勝手だ」

31: 2009/04/21(火) 11:56:24.28 ID:SkPCud0E0
ハルヒに触れられた時より、クラス全員がハルヒの陰口を叩くほうがよっぽど不快だ

国木田「キョンは昔から変な女が好きだったからね」

お前まで言うか国木田

しかも好きってなんだ好きって

中学時代のことは否定せんがハルヒのことは断じて否と言える

だが、ハルヒのことが気にならないと言えば嘘になる

今の俺はハルヒに興味津々だった

35: 2009/04/21(火) 12:02:47.42 ID:SkPCud0E0
俺が興味を引かれたハルヒの生態その1

こいつはまったく部活をする気がない

天地がひっくり返っても、明日世界が滅亡しようとも絶対に部活をしないのだそうだ

ひどくありきたりな理由だが、アルバイトで忙しいのだそうだ

それにしたってそこまで部活を否定することもないだろう・・・

帰宅部の俺が言えた義理じゃないが

生態その2

こいつ絶対風呂はいってない

だって髪からけじらm・・・なんでもない。これ以上言えない言いたくない

生態その3

授業中腹鳴らすな

しかも一時限目から

81: 2009/04/21(火) 15:52:33.81 ID:SkPCud0E0
ハルヒの生態その37・・・

っておいおい、俺はどんだけハルヒのことが気になってんだよ。もはやストーカーレベルではないか・・・

キョン「なあハルヒ、お前なんのバイトしてるんだ?」

ハルヒ「えーっと、定期的にやってるのはコンビニとパチ屋の閉店後の掃除とパン工場よ」

キョン「そんなにやってるのか?きつくないのか?」

ハルヒ「きついとか、そんなことよりお金が大事だから・・・」せっせこ

そう言うとハルヒはまたいつもの内職作業に戻っていた

しかしこんなにアルバイトをしていて金がないってのはどういうこった?

益々気になってきたな

88: 2009/04/21(火) 15:59:03.85 ID:SkPCud0E0
キョン「仕事中すまんが、お前なんでそんなに金がないんだ?そんなにバイトしてりゃ普通の高校生よりウハウハだろうに」

ハルヒ「・・・」

ハルヒの反応を見、こんな質問をした自分に腹が立った。最低な奴だな俺は

我ながら深く突っ込みすぎた

ハルヒ「・・・」

キョン「すまん、デリカシーってもんがなかったな。気にせず続けてくれ」

ハルヒ「うん・・・」せっせこ

キョン「・・・」

キョン「なあハルヒ、今日俺の家で飯食わないか?」

94: 2009/04/21(火) 16:07:45.16 ID:SkPCud0E0
自分でもひどく驚いた、何を言ってるんだろうね俺は

しかしただの女子高生が内職までするほど金に困ってるのにほっておけるかよ。理由は・・・奴が話したくなったら聞けばいいだろ

ハルヒ「ホントに!?い、いいんですか!?」

割かし喜んでいるようだ

キョン「お、おお。いいぞ。俺のカーチャンの料理は絶品だ」

親がいないから・・・という感じで工口い展開になりはしないのであしからず

だってハルヒととか・・・俺には無理

100: 2009/04/21(火) 16:16:52.93 ID:SkPCud0E0
ハルヒはコンビニのバイトがあったので奴が我が家に来たのは9時をまわってからだった

母「あんた・・・あの子・・・ちょっと」

なんてこった、カーチャンまでハルヒを見た目で判断するのか・・・人のことは言えないか・・・

キョン「そんなこと言うなよ。ああ見えてすごい頑張りやなんだぜ、あいつ。さあさあそんなことより飯を出してやってくれ」

リビングに顔を出すとハルヒは我が妹とテレビゲームをしていた

さすが妹、ハルヒを見かけで判断したりしない清い心を持っているな

しかし普段はべたべた人にひっつく妹だが、さすがにハルヒにはくっつけないみたいだな・・・

まあ、臭いしな・・・

107: 2009/04/21(火) 16:23:44.50 ID:SkPCud0E0
ハルヒは大皿のカレーを3杯もおかわりをしやがった

しかも食事時間はわずか1分

マジでギネスに申請しようかな

妹「ねえねえハルヒちゃん、お風呂に入っていったら~?」

妹よ・・・なんてことを言いやがる

妹「ハルヒちゃん可愛いんだからそんな汚い格好はもったいないよ~」

無邪気とはいえこの言葉、精神の弱い奴は自殺レベルだぞ

幸い、ハルヒは精神の強い子だったみたいだ

ハルヒ「そんな・・・そこまでお世話になるわけには・・・」

キョン「まあ・・・せっかくだ、入っていけよ」

111: 2009/04/21(火) 16:30:11.76 ID:SkPCud0E0
ハルヒ「なにからなにまで・・・ありがとう・・・」ポロポロ

泣くほどか?

キョン「お前ハルヒと一緒に風呂はいれよ」

妹「え~やだ~だって臭いもん」

おいwwww

キョン「こら!本人の前で言うんじゃねえ!」ポカッ

妹「ぎゃん!」

ハルヒ「フフ、いいんです。慣れてますから。それよりお二人は仲がいいんですね」

キョン「まあ、妹というよりはペットみたいな感じだがな」

妹「キョン君ひどいよ~ぶ~」

121: 2009/04/21(火) 16:37:28.94 ID:SkPCud0E0
ハルヒの入浴シーンは割愛させていただく

だって覗いてたわけじゃないから書きようがないしな

風呂からあがったハルヒを見て俺達は言葉を失った

おいおい、この美少女は一体誰だ?

俺はハルヒを誘ったつもりだったのだが、風呂の最中に入れ替わったのか?

妹「ハルヒちゃんきれ~」

人は風呂に入るだけでこんなにも変わるものなのか、やはりこいつはハルヒだった

脂ぎっていたときには見ることができなかったが、ハルヒが動くたびに髪がふわりと揺れる

さらに動くたびにシャンプーの香り・・・服装は俺のスウェット、どこからどう見てもそれは美少女の風呂あがりだった

127: 2009/04/21(火) 16:43:04.69 ID:SkPCud0E0
キョン「お前みたいなきれいな子を家に呼んだつもりはないが」

ハルヒ「キョンったら・・・茶化さないでください!」

妹「ハルヒちゃ~ん」抱き

ハルヒ「フフフ、よしよし」ナデナデ

oh・・・妹め、ハルヒの胸に顔をうずめてやがる・・・俺と変われ。このハルヒとなら俺は最後までいけるぜ

138: 2009/04/21(火) 16:54:24.87 ID:SkPCud0E0
その後俺達3人はゲームをしたり学校の話をしたり妹をいじったりして遊んでいた

そしてあろうことか、妹の提案によりハルヒが我が家に泊まっていくことになった

おいおい、何か間違いが起きてしまうんじゃないか?

と一瞬不安になったが、杞憂だった

俺はヘタレ高校生、美少女に手を出すどころか、告白する勇気すらなかった

139: 2009/04/21(火) 16:58:37.52 ID:SkPCud0E0
ハルヒは妹と寝ることになった

はあ・・・隣の部屋でハルヒが寝てると思うとムラムラするな・・・抜いとくか

トントン

キョン「あひゃっ!?は、はひっ!」ガサゴソ

ハルヒ「あたし。起きてる?」

キョン「ちょ、ちょっと待った!」ガサゴソ

ドカン!バッタン!ドゴス!

キョン「ああ、起きてるぜ」キリッ

145: 2009/04/21(火) 17:08:17.98 ID:SkPCud0E0
ハルヒ「ごめんね、こんな時間に」

キョン「気にするな・・・だぜ」キリッ

ハルヒ「あんたこの前聞いてきたよね?なんであたしは貧乏なんだって」

キョン「ああ、そのこと」(残念)

この後、ハルヒが貧乏な理由を延々と聞いていた

話しによると両親が事故で亡くなり、ハルヒは親戚に預けられたという

だが、その生活に馴染めなかった中学生のハルヒはアルバイトをしながら一人暮らしを始めたのだそうだ

さらに何かの理由で生活保護も受けることができなかったらしい。説明されたがなんだかよくわからなかった

ハルヒの話を聞きながら「ああ」とか「うう」しか言えない自分がひどく情けなかった

148: 2009/04/21(火) 17:10:36.04 ID:SkPCud0E0
ハルヒ「こんなによくしてくれたキョンには話したいと思ってさ」

キョン「ああ」

ハルヒ「それだけ!じゃあ寝るね?」

キョン「・・・。待て!」

ハルヒ「な、何?」

キョン「お前がやってるコンビニのバイト・・・紹介してくれ」

157: 2009/04/21(火) 17:18:47.04 ID:SkPCud0E0
俺も帰宅部で暇だったし、いい社会勉強になるしな

しかもちょっとした考えがあるんだ・・・フッフッフ

その後、何事もなく朝を迎え俺達は並んで登校した

ハルヒは相変わらず黄ばんだ制服・・・あまり並んで歩きたくないが・・・だが制服以外は美少女そのものだった

159: 2009/04/21(火) 17:22:37.14 ID:SkPCud0E0
谷口「キョンよお・・・」

キョン「もうわかった、言うな」

谷口「だったらやめとけよマジで。知らんぞどうなっても」

キョン「意味がわからん」

谷口「だが今日の涼宮はなんだか可愛いな。きれいな制服を着ていたら告白するところだぜ」

ハルヒにも選ぶ権利はあるだろうよ

それに人を見た目で判断するような奴とは付き合いたくないだろう

161: 2009/04/21(火) 17:31:29.04 ID:SkPCud0E0
次の日、谷口の言う意味がわかってしまった

DQN1「おいwwwお前なに色気づいてんだよww」

DQN2「風呂に入っても制服はそのままかよwwきったねwww」

谷口「くっさwwwくっさwww」

今までハルヒの臭いによって奴に近づく人間がいなかったため、いじめられることはなかった

だが、下手に臭いがとれたため(制服は若干臭うが)DQN共があからさまな行動をとっていた

しかも谷口・・・てめえなんて奴だ

ハルヒ「・・・」せっせこ

DQN1「無視かよwww内職してんじゃねーよwww」

ハルヒ「あ!やめて!それ一個2円なんです!」

DQN2「2円wwwwならいいだろwww」グシャグシャ

ハルヒ「ああ・・・」ポロポロ

キョン「・・・!」

167: 2009/04/21(火) 17:36:18.05 ID:SkPCud0E0
言葉にならなかった

言葉ともわからないことを叫びながら俺はDQNをぶん殴っていた

ハルヒ「キョン!」ポロポロ

DQN「ってえな。てめえやけにこいつの肩もつな。仲間かよ」

DQN2「こいつも貧乏人なんじゃね?」

キョン「・・・!」

谷口「っぐはあ」

俺の右手は谷口を襲う

臨戦態勢のDQNには勝ち目はないと悟ったからだ

いくら俺でも・・・谷口には勝てるだろ

169: 2009/04/21(火) 17:38:31.68 ID:SkPCud0E0
その後は・・・言わなくてもわかるだろ?

先生が来るまで殴られてたさ

俺をかばうため、ハルヒは俺に覆いかぶさっていたが・・・正直はなれてほしかった

至近距離でこの臭いはさすがにきつかった

171: 2009/04/21(火) 17:42:14.46 ID:SkPCud0E0
ハルヒ「ごめんねキョン。でも私のことなんてほっておけばよかったのに。あんなの慣れっこだから」

キョン「慣れっこ?泣いてたくせにか?」

ハルヒ「それは・・・」

キョン「友だちがいじめられてて黙って見過ごすほど馬鹿な男じゃないぜ、俺は」

ハルヒ「キョン・・・」

173: 2009/04/21(火) 17:46:16.98 ID:SkPCud0E0
まあ、結果的にこの事件が俺達を近づけたのだろう

ハルヒは時々俺の家に来ては飯を食ったり風呂に入ったり妹と遊んだりしていた

さらにアルバイトも一緒ということもあいまって俺とハルヒは四六時中一緒にいるようになった

断っておくが付き合っているわけではない

ほうっておけないというのは認めるが

174: 2009/04/21(火) 17:49:02.90 ID:SkPCud0E0
そうこうしているうちに初の給料日となった

おいおい、アルバイトってのはこんなに金がもらえるもんなのか?

ハルヒはバイトを3つもやっているし、どんだけもらってんだよ

そしてどんだけ借金返済に充ててんだよ

177: 2009/04/21(火) 17:52:15.27 ID:SkPCud0E0
ハルヒ「初給料は何に使うの?」

キョン「フッフッフ、ハルヒ・・・買い物に行くぞ・・・」

ハルヒ「え?」

キョン「お前の服やら髪やらを今時の女の子みたくするってんだよ」

ハルヒ「え?でも・・・」

キョン「いいから、好意は素直に受け取っておくもんだ」

ハルヒ「・・・」

ハルヒ「うん!いこ!」

179: 2009/04/21(火) 17:53:15.93 ID:SkPCud0E0
>>175
ゴールとネタは考えてあるよ

181: 2009/04/21(火) 17:55:49.04 ID:SkPCud0E0
キョン「まずは上着か?」

ハルヒ「あの・・・下・・・」

キョン「下?」

ハルヒ「下着・・・」

キョン「あー!下着な!キレイは中からってな!アッハッハ!」

なんだこの意味のわからんテンションは

184: 2009/04/21(火) 18:01:03.16 ID:SkPCud0E0
下着と上着を身につけたハルヒはそれだけで美少女に変貌した

すれ違う人が振り返るほどに

だがせっかくブランド物の服を買ってやろうとしたのだが、しまむらでいいと断固拒否されてしまった

あれ?こいつ、すげえいい子じゃね?

211: 2009/04/21(火) 18:18:52.56 ID:SkPCud0E0
キョン「次は・・・髪だな」

ハルヒ「何から何まで・・・ごめんね?」

上目遣いで謝るハルヒは美少女、というよりもはや天使だった

おいおい、これでお洒落な髪になんてした日にはどうなるんだ?

そろそろ自分を抑える自信がないぞ

212: 2009/04/21(火) 18:22:56.02 ID:SkPCud0E0
長門「っしゃあせー」

キョン(おいおい、ずいぶん無愛想だな・・・)

みくる「いらっしゃいませーこの店は初めてですかぁ?ポイントカードお作りしますかぁ?」

キョン(こっちは愛想はいいけどとろそうだな)

ハルヒ「キョン・・・ここ髪切るだけで1万円だって・・・帰ろう?」

1万!?カットで1万!?QBハウス常連の俺からしたら天文学的な数字だぞ

216: 2009/04/21(火) 18:27:36.97 ID:SkPCud0E0
キョン「いや、大丈夫だ。俺にまかせろ」

キョン「この店で一番腕のいい人のカットをお願いします!この子をとびっきり可愛くしてやってください!」

みくる「一番腕のいい人ですかぁ?うーん」

長門「店長」

みくる「そうですねぇ、じゃあそちらでおまちくだひゃあい」

220: 2009/04/21(火) 18:31:16.10 ID:SkPCud0E0
店長「次の方どうぞー」

キョン「お前だぞ、俺はここで待っているから」

ハルヒ「うん・・・」

ハルヒ(美容室なんて始めてきた・・・いつも自分で切ってたから)

ハルヒ(それに・・・美容室ってなんだか独特な匂いがするのね)

人のことは言えないハルヒであった

225: 2009/04/21(火) 18:38:32.68 ID:SkPCud0E0
店長「いらっしゃい」

ハルヒ(男・・・?なんで女装してるんだろう)

店長「・・・」チョキチョキ

店長「あなた、この髪自分で切ってるう?」

ハルヒ「はい」

店長「ダメよお、女の子なんだからお洒落しないと」

ハルヒ「はあ・・・」

店長「あっちの子は彼氏?」

ハルヒ「そ、そんなんじゃないです・・・!」

店長「ウフフ、なるほどねぇ」

店長「終わり!どうかしら?ついでにメイクもしておいたわ。もちろん無料でね」

ハルヒ「これ・・・私ですか!?すごくかわ・・・あ、すいません・・・」

店長「フフフ、いいのよ。頑張りなさい、女の子」

ハルヒ「?」

229: 2009/04/21(火) 18:48:10.77 ID:SkPCud0E0
キョン「おお、終わったか。ってええ!?」

ハルヒ「ど、どうかな・・・」モジモジ

キョン「いや、これはたまげた・・・」

とりあえず今すぐにどこで何かのオーディションを受けたらいいと思う

みくる「きれいですぅ」

長門「ユニーク」

246: 2009/04/21(火) 19:13:11.75 ID:SkPCud0E0
髪を切り、メイクを施したハルヒが街を歩けばそりゃあもうひどいもんだった

男共はもちろん女の子までがハルヒに憧れの目を向けている

こりゃあハルヒと並んで歩いている俺のほうが気が引けるな

ハルヒ「キョン・・・なんかいっぱい見られてるみたい・・・やっぱり変なんじゃないこれ?」

おいおい、マジで言ってんのか?

自分の可愛さに気付いてないのかハルヒのやつは

251: 2009/04/21(火) 19:21:14.12 ID:SkPCud0E0
視線に耐えられなくなったハルヒは俺の背中に隠れ、うつむきながら歩いている

これなんて工口ゲ?

月並みだがこんな言葉しか思い浮かばなかった

その後、俺達は雑貨屋に行ったり、喫茶店で茶を飲んだりして過ごした

どこの店でも「おー」だの「これすごい」だのと驚くハルヒ

今までこんな普通の生活すら送れなかったのかと思うと、少し涙が出てきた

259: 2009/04/21(火) 19:28:31.17 ID:SkPCud0E0
ついでと言ってはあれだが、制服も新しいのを買ってやった

買ってやった、だと語弊があるな・・・

なんせ制服は高価で俺のバイト代だけで買える代物じゃないのでハルヒと折半した

なんてことだ、これでどこからどう見ても普通の女の子じゃないか

ハルヒも喜んでくれたみたいだし、ハルヒ改造計画は成功だな、うん

264: 2009/04/21(火) 19:41:12.49 ID:UhGVnqxJO
ハルヒ「キョン、今日はありがとね」

キョン「いいさ、友達として当然のことだ」

なぜか『友達』という言葉を強調してしまう俺

ヘタレにもほどがあるぜ

ハルヒ「友達…か。そうね、これからも友達としてよろしくね。じゃあ、また明日」

バイバイと手を振りながら駅へ入っていくハルヒ

風に揺れる髪を押さえながら歩く姿がたまらなく可愛かった

俺は…ハルヒとどうなりたいんだろうか…?

269: 2009/04/21(火) 19:46:17.56 ID:UhGVnqxJO
それからというもの、ハルヒをいじめる者は誰一人としていなかった

それどころか、いじめた本人たち(谷口含む)がハルヒに告白する始末

ハルヒといえば、あんなことをされたというのに不良にもやんわり丁重にお断りを入れていた

もし俺がお前だったら一発ぶん殴るけどな

272: 2009/04/21(火) 19:51:10.36 ID:UhGVnqxJO
ハルヒに人気が出たことはとても喜ばしいが、休み時間の俺との会話は激減していた

言い寄ってくる男共のせいでハルヒの内職にも遅れが出て、その遅れを取り返すために会話が減る、という悪循環だ

だが、俺も手が空いている時は内職を手伝ったりしていた

その後ろでは今日も男共がわんさか集まってやがる

いい加減にしろ、ハルヒが困ってんだろ

277: 2009/04/21(火) 19:56:04.57 ID:UhGVnqxJO
キョン「今日も疲れたなーっと」

ハルヒ「キョン、バイト後で疲れてるところ悪いんだけど、ちょっと付き合ってくれない?」

キョン「ああ、いいけど」

ハルヒ「ありがと。ちょっと行きたいところがあるの…」

キョン「いいぜ。どこでも付き合ってやるよ」

278: 2009/04/21(火) 19:59:04.32 ID:UhGVnqxJO
キョン「来たかったところってここか?」

ハルヒに促されるまま川原にきた

Why?なぜ?

ハルヒ「こんなとこでごめんね。最近、キョンとあんまりお話出来てなかったから静かなところで話したかったの」

おいおい、マジで言ってるのかこいつは

これって、そういうことだよな?

282: 2009/04/21(火) 20:05:27.66 ID:UhGVnqxJO
ハルヒ「やっぱり私、おとこの人と話すのって苦手」

キョン「おいおい、俺も男だぜ?それにお前は今まで言い寄ってくる男全員と付き合ったんじゃないのか?」

ハルヒ「うん…あの時は生きることしか頭になかったから…今考えると馬鹿だったなと思うわ」

キョン「俺との会話は大丈夫だってのか?」

ハルヒ「うん、キョンは優しいし、すごくキレイな心を持ってるもん」

うわあ、正直もう我慢できん!キョン、いきまーす!

285: 2009/04/21(火) 20:09:29.86 ID:UhGVnqxJO
ヘタレな俺に、そんなことを実行する勇気はなく、二人エOチの真さんばりの妄想でなんとかその場を治めた

その後は、何を話すでもなく、二人してボーッと川の流れを見つめていた

なにをしてるんだろうね、一体

しかし、無言でも苦にならないのはハルヒが初めてだな

297: 2009/04/21(火) 20:20:24.37 ID:UhGVnqxJO
それからというもの、バイトの帰りや、我が家に飯を食いに後、ハルヒを送るついでに川原でボーッとするのが常となっていた

本当になにをしてるんだか

こんな生活をしてふた月は経っただろうか、ある日ハルヒはこう切り出した

ハルヒ「キョンって好きな人いるの?」

316: 2009/04/21(火) 20:32:26.43 ID:UhGVnqxJO
キョン「きゅ、急になんだよ」

ハルヒ「ずっと気になってたの。それで、好きな人は?」

顔を赤らめ、今にも泣きそうな顔で俺に迫るハルヒ

こいつなりに勇気を出して聞いているに違いない

ならば俺も期待に答えねばなるまい

キョン「あーうん、いる…のかなぁ?あはは」

あー!もう俺の馬鹿!氏ね!

329: 2009/04/21(火) 20:40:06.45 ID:UhGVnqxJO
トスッ

俺の肩にハルヒの頭がよりかかる

あばばばば

どうすりゃいいんだ?肩に手をまわせばいいのか?

ていうかなんだこれ

ハルヒ「私は…いるよ」

キョン「へ、へー良かったな」

ハルヒの顔は紅潮したまま、俺は顔面蒼白

ハルヒ「キョンあのね…」

キョン「さーて、そろそろ行くか!見たいテレビがあるしな!」

ハルヒ「あ、うん…」

ヘタレここに極まれり

339: 2009/04/21(火) 20:45:53.12 ID:UhGVnqxJO
それからというもの、ハルヒは若干俺を避けるようになっていた

内職の手伝いをしたり飯を食いに来たりはするのだが、川原で過ごす時間はなくなってしまっていた

好きな男にあんな反応をされたのだから当たり前だ

あの状況、犬でもどんな言葉を喋ればいいのかわかりそうなものだが…つまり俺は犬以下か

本当に情けないな

343: 2009/04/21(火) 20:50:28.23 ID:UhGVnqxJO
谷口「キョンよお」

キョン「なんだよ」

谷口「お前、涼宮とケンカでもしたのか?」

キョン「別に」

谷口「クックック、俺にもチャンスができたってわけだな?」

こいつは…あれほど貧乏人はやめとけと言ってたくせに…調子のいい奴だよ本当に

後ろを見ると、今日も今日とてハルヒは男共に言い寄られていた

350: 2009/04/21(火) 20:56:42.80 ID:UhGVnqxJO
男の俺も少しは勇気を出してみるべきか

よし、今日のバイトの帰り、デートに誘う

絶対誘う、よーし誘う

ハルヒ「お疲れ様でしたー、じゃあねキョン」

キョン「ちょっと待ったぁ!」

ハルヒ「え?」

キョン「ハルヒ、俺は微力ながら日本経済に貢献したいと思う」

ハルヒ「え?…うん」

キョン「そこでだ、今週の土曜日、買い物に行かないか」

デートといえないところがまた俺らしい

ハルヒ「…」

ハルヒ「うん、いいよ」

357: 2009/04/21(火) 21:03:06.98 ID:UhGVnqxJO
土曜日、ハルヒは前回の買い物で俺が買った服を着ていた

憂い奴じゃ

キョン「どこか行きたいとこあるか?」

ハルヒ「んー特にないかな。キョンにまかせる」

そういうのが一番困るわけだが

まあ、そんなこんなで俺達はウィンドウショッピングを楽しんだ

良かった、なんか普通に会話できてるぞ

368: 2009/04/21(火) 21:12:04.32 ID:UhGVnqxJO
キョン「そういえばお前髪伸びたんじゃないか?」

ハルヒ「そうかな。最近切ってないから」

キョン「じゃあ、前にいったとこで切ってもらえよ」

ハルヒ「え…でもあそこ高いし」

キョン「俺が出すからいいって!さあさ、行くぞ行くぞ」

ハルヒが生まれ変わったあの美容室

今回もまた何かが変わると思っていた

372: 2009/04/21(火) 21:15:12.47 ID:UhGVnqxJO
長門「っしゃあせー」

みくる「いらっしゃいませー」

キョン「カット!あとメイクも!一番腕がいい人で!」

ハルヒ「ちょっとキョン…す、すいません」

みくる「一番腕がいい人ですかぁ?うーん」

長門「店長」

みくる「そうですねぇ、じゃあそちらでお待ちくだひゃあい」

379: 2009/04/21(火) 21:21:58.65 ID:UhGVnqxJO
店長「あらお久しぶりね」

ハルヒ「どうも…」

店長「今日も彼と一緒なのね?妬けるわあ」チョキチョキ

ハルヒ「彼なんかじゃ…ないです」

店長「あら、どうしたの?」

ハルヒ「彼、他に好きな人がいるんです。だから私のためにあんまり時間を使って欲しくない」

店長「そうなの?でも普通好きでもない子をこんなに待てるかしらねぇ」

ハルヒ「今日はただ日本経済のために買い物をしてるだけなんです…」

382: 2009/04/21(火) 21:26:50.12 ID:UhGVnqxJO
ハルヒ「この間も強引に迫ったんだけど拒否されちゃって…」

店長「強引て、キスしたの?」

ハルヒ「キキキ、キス!?そんなことできませんよぅ。彼に寄りかかったんです」

店長「プッ…アハハハハハ!あなた面白い子ね!いいえ、あなただけじゃなく彼もね」

ハルヒ「笑うなんてひどいです」

店長「ごめんごめん、じゃあ今日もう一度迫ってごらん?前とは何か違うことが起きるかもね」

385: 2009/04/21(火) 21:29:58.94 ID:UhGVnqxJO
長門「っしゃあせー」

みくる「いらっしゃいませー」

古泉「予約してました古泉です」

みくる「はーい、あちらでお待ちください」

古泉「ありがとう」ニコッ

みくる「キューン」



古泉「失礼」

キョン「あ、どうも」

キョン(うわーイケメンだなあ。友達にはなりたくないなあ)

395: 2009/04/21(火) 21:37:44.04 ID:UhGVnqxJO
ハルヒ「もう迫れないです」

店長「どうして?」

ハルヒ「私、今身寄りがないんですけど、遠い親戚が私を引き取ってくれることになったんです」

店長「それはそれは…場所は?遠いの?」

ハルヒ「はい、親戚は今イギリスにいるんですけど、海外留学も兼ねて私もイギリスに行くことにしました」

店長「そう…彼にそのことは?」

ハルヒ「まだ…」

店長「そっか、でもあなた、後悔だけはしないようにね。やらないで後悔するよりやって後悔って誰かが言ってたわ」

ハルヒ「はい…」

店長「はい!終わり!メイクもバッチリ。留学の餞別よ。メイク代はタダにしておくわ!

ハルヒ「え!?あ、ありがとうございます」

店長「いいのよ。その変わり、頑張りなさい。留学も恋も、ね」

405: 2009/04/21(火) 21:44:11.29 ID:UhGVnqxJO
店長「終わりよー」

キョン(うわっなんだこいつ。キモッ)

ハルヒ「ど、どうかな…」モジモジ

キョン(!?おいおい、前回の5割増しの可愛さかよ…店長…あんた腕は確かだ…!)

店長「あなたがキョン君ね?ハルヒちゃんのこと頼むわね?」

キョン「へ?ああ、はい」

キョン(なんだぁ?)

店長「次の方ー」

古泉「んっふ、どうも」

店長「あーらお久しぶりね。さっそく始めましょうか」

古泉「お手柔らかに」

キョン(ブルッ)

409: 2009/04/21(火) 21:49:40.15 ID:UhGVnqxJO
ハルヒ「な、なんかまた見られてる気がする…」

当たり前だ

こんな可愛い女の子が通ったら誰でも振り向くに決まっている

俺がハルヒと出会わなかったとして、街でこいつを見かけたらガン見するね、服に穴があくほど

決めた、今日言うしかない。

もう迷わん

キョン「ハルヒ、話があるんだ。あの川原に行こう」

ハルヒ「うん」

420: 2009/04/21(火) 21:59:41.29 ID:UhGVnqxJO
キョン「ボーッ」

ハルヒ「ボーッ」

ハァ、切り出せないなあ

なんだ、俺と付き合ってとか言うのか?

ハルヒに?俺が?

ヤバいまたヘタレ精神が

ハルヒ「ねぇキョン?」

キョン「お、おお!なに?」

ハルヒ「私の話、聞いてくれる?」

435: 2009/04/21(火) 22:17:41.37 ID:UhGVnqxJO
キョン「え?ぁ、ああ」

ハルヒ「私ね…」

ハルヒ「私、イギリスに行くことにしたの」ポロポロ

キョン「へーイギリスに。イギリス?」

ハルヒ「…」ポロポロ

なんで泣いてんの?意味がわからん

イギリス?旅行か?金あんの?

ハルヒ「ずっと前から決まってたんだ。私がキョンに告は…なんでもない」ポロポロ

ハルヒ「一ヶ月後には行くから、これから準備とかで忙しくなる。キョンと会えるのも今日が最後」ポロポロ

言葉が思い浮かばん。おい俺は今どんな顔してるんだ?

447: 2009/04/21(火) 22:22:01.42 ID:UhGVnqxJO
ハルヒ「じゃあね」

キョン「あ…」

言葉が出ない

待ってくれ、俺のはなしを聞いてくれと叫びたい

ハルヒは振り返ることなく、切ったばかりの髪を揺らしながら帰路についた

イギリス?マジで?冗談だろ?

ハルヒが去った後、俺はこんなことばかりを考えていたクソ野郎だった

459: 2009/04/21(火) 22:27:29.30 ID:UhGVnqxJO
その日を境にハルヒはバイトもやめ、俺の家で飯を食うこともなくなっていた

もちろん学校での会話もなし

内職手伝うから、と言っても「いい」の一言で一蹴

「そうか」としか言えない俺の情けなさったらないな

473: 2009/04/21(火) 22:35:26.75 ID:UhGVnqxJO
何もできないまま一週間、二週間、三週間が過ぎる

アハハハ…時が経つのってこんなに早かったっけ?

キョン「谷口よお…俺ぁダメな奴だよ、本当に」

谷口「なんだ?女に振られたみたいな顔して」

キョン「はあ…そうかもなあ…遠回しに振られたのかもなぁ」

谷口「涼宮の話か?あいつは今度イギリス留学するだろ。遠距離恋愛か?無理無理諦めろ」

キョン「はあ…空が青いなあ。あーちょうちょだぁウフフ」

いかんいかん、自分をしっかり持て

476: 2009/04/21(火) 22:42:20.80 ID:UhGVnqxJO
キョン「ハルヒ…明日いっちまうんだな…いいよもう…どうすることもできねえよ…」

キョン「ハァ…さて、今日の番組はっと」パラッ

キョン「ん?」

キョン「美容室の割引券?ハルヒが切ってもらったとこか」

キョン「せっかくだから行ってみるか」

479: 2009/04/21(火) 22:45:17.85 ID:UhGVnqxJO
長門「っしゃあせー」

みくる「いらっしゃいませー。ぁ、こんにちは。一番腕のいい人ですか?」

キョン「いや…誰でもいいです…」

みくる「はぁ、今空いてるのは…店長ですぅ。結局いつも通りですね」

キョン「はあ」

なんでもえーです

店長「あらこんにちは、今日は一人?」

キョン「へい」

481: 2009/04/21(火) 22:48:47.95 ID:UhGVnqxJO
店長「その後、どうなの?」

キョン「どうって何が?」

店長「ハルヒちゃんよぅ」

キョン「…。なんで知ってるんすか」

店長「ハルヒちゃんに色々聞いてね。で、どうなの?」

キョン「どうもなにも…告白する前に振られたってやつですよ」

店長「告白してないの?あれ?そろそろハルヒちゃん、イギリスに出発する日じゃないの?」

どこまでしってんだい、あんたはストーカーか

キョン「明日っすね」

487: 2009/04/21(火) 22:53:03.00 ID:UhGVnqxJO
店長「明日…」

なんであんたが深刻なんだ?関係ないだろ

店長「後悔はしないのね」

キョン「はあ?」

店長「後悔はしないのかって!」

コワッ何怒ってんの?

キョン「やって後悔もやらなくて後悔も同じ後悔ですよ、人生の格言です」

我ながらのヘタレぶり

店長「やらなくて後悔よりやって後悔って誰かが言ってたわ」

キョン「戯言っすね」

店長「…かげんにしろよ」

キョン「え?」

店長「いい加減にしろよゴラア!」

501: 2009/04/21(火) 23:00:57.74 ID:UhGVnqxJO
店長「あんたハルヒちゃんの気持ちに気付いてるんでしょ?」

キョン「…」

店長「初めて信頼できる男の子と出会って、ハルヒちゃんがどれだけ嬉しかったことか…」

キョン「…」

店長「ハルヒちゃんは何度も何度も勇気を出した。あんたに迫った時だって、ここに来て自分を変えようって時もね」

店長「今度はあんたが勇気を出す番じゃないの?ほら、さっさとハルヒちゃんのところに行っててキスのひとつでもしてきなさい!」

キョン「店長」

キョン「行くわ」ダダダ


なんだこの展開くせえうぜえ、まあもうすぐ終わるんで

507: 2009/04/21(火) 23:03:22.24 ID:UhGVnqxJO
キョン「…!」ダダダ

みくる「ああ!お金お金!」

店長「いいのよ」

みくる「店長…でも」

店長「この数ヶ月いいものを見れたわ。それがお代よ」

みくる「はあ」

店長「頑張りなさい、男の子」

長門「がんばれー」

516: 2009/04/21(火) 23:09:17.65 ID:UhGVnqxJO
そうか、俺はこれっぽっちも勇気を出していなかったんだな

不良に向かっていった時も結局最初だけで、あとはずっとハルヒが盾になってくれてた

告白だってそうだ、全部切り出したのはハルヒから

ハルヒ、こんな情けない俺でごめん、そして好きになってくれてありがとう

今なら心から言える、俺もお前のことが大好きだハルヒ

520: 2009/04/21(火) 23:13:21.97 ID:UhGVnqxJO
業者「荷物はこれで最後っすかー」

ハルヒ「はい、ありがとうございます」

業者「どうもー」ブーン

ハルヒ(明日か、最後にあの美容室の店長に挨拶していきたかったな。さて明日も早いし寝ようかな)

「~…ぃ!」

「~…ルヒぃ!」

ハルヒ「ん?誰…?」

キョン「ハルヒ!」

ハルヒ「キョン!?どうしたの!?」

527: 2009/04/21(火) 23:17:43.08 ID:UhGVnqxJO
ハルヒ「髪ボサボサで服に髪の毛がいっぱい…」

キョン「あぁ、ちょっとな…ハアハア」

キョン「そんなことより、俺はどうすりゃいい?裁判所に行けばいいのか?それとも相手方に直接出向けばいいのか?」

ハルヒ「?なんの話?」

キョン「馬鹿だな、お前最初の言葉忘れたのかよ」

ハルヒ「最初のって?」

キョン「あーもう、俺がお前の連帯保証人になるってんだよ!あと結婚しようぜ!まだ年齢的にできねーけどな。アハハ」

536: 2009/04/21(火) 23:21:16.38 ID:UhGVnqxJO
ハルヒ「え?ぇ?」ポロポロ

キョン「泣くな泣くな。ほら、鼻かめ」

ハルヒ「チーン!」

ハルヒ「え?連帯…結婚…」

キョン「あぁ、今まで待たせてごめんな。ハルヒ、俺はお前が好きだ。ずっとずっと俺の側にいろ」

543: 2009/04/21(火) 23:25:35.78 ID:UhGVnqxJO
まあ、結果的にハルヒはイギリスに旅だっちまった

さすがに親戚の顔に泥を塗れないんだと

つくづくできた女だよな?

なんで俺がこんなにすがすがしいかって?

そりゃあお前、高校卒業と同時に帰ってくるハルヒが楽しみで仕方ないからに決まってるじゃないか

谷口曰く3年も会えないのに続くわけがないだろ、だと

つくづく馬鹿だね、こいつは

俺達をそこら辺のカップルと一緒にすんなっての

551: 2009/04/21(火) 23:31:24.40 ID:UhGVnqxJO
最後にヘタレエピソードをひとつ

ハルヒを空港まで送った俺は一大決心をしていた

そう、キスである

飛行機出発5分前にハルヒの唇を奪う。そんな算段だった

だったのだが…

キョン「ハルヒ!」
ハルヒ「なに?」

キョン「…」
ハルヒ「…」

キョン「あの…」
キョン「…」

ハルヒ「…」
ハルヒ「プッ…アハハハ!」

キョン「!!!」
ハルヒ「いいよ、それは3年後にとっておいて。それまでに少しは勇気がついてるといいね」

一本とられた、まいったねこりゃ


553: 2009/04/21(火) 23:32:07.90 ID:AYZPCPXg0

554: 2009/04/21(火) 23:32:32.00 ID:hdoeUd2i0
乙 久々に面白いもの読ませてもらった

589: 2009/04/21(火) 23:49:51.59 ID:UhGVnqxJO
なんかほんとすいませんマジで
もし今度立てる時は淡々とやります

じゃあの。

引用: ハルヒ「ただの友人には興味ありません」