104: 2015/01/16(金) 21:15:24.97 ID:1Cl1JAZe0


前回翔鶴「瑞鶴、あまり提督の邪魔をしちゃだめよ?」【1】

・---・沈ム夕日ヲ浴ビナガラ・---・


提督「……よしっ。今日の書類作業終了っと」ノビー

翔鶴「お疲れさまでした」

提督「翔鶴もお疲れさま。時間は早いけどする事もないからあがっちゃっていいよ」

翔鶴「そう、ですね」

提督「瑞鶴も部屋に戻っていったし、夕飯前に一緒に風呂へ入ってきたらどうだ」

翔鶴「え、えぇ……」

提督「おやおや、なんだか歯切れが悪い」

翔鶴「………………」ジー

提督「……ま、せっかく時間があるんだ。良かったら見まわりがてら散歩でも一緒にどうかな」

翔鶴「はい。お供いたします」

艦隊これくしょん -艦これ- 海色のアルトサックス(3) (角川コミックス・エース)

105: 2015/01/16(金) 21:20:35.91 ID:1Cl1JAZe0


ザザーン……

提督「こうして夕暮れ時に歩くのは久しぶりだな」

翔鶴「そうですね」

提督「ついこの間までは暑い暑いって言ってたのに、今じゃ上着を羽織っても寒くてしょうがない。海風がしみるのなんのって」

翔鶴「私たちは艤装である程度は耐えられますが、それでも寒い時は寒いですね」

提督「特にみんなはスカートだからなぁ。この季節に素足を晒すなんてとてもじゃないが真似出来そうもないよ」

翔鶴「あはは……。まあ、スカートは確かに寒いですが、これは慣れもありますね」

提督「いっそ冬の間は冬眠よろしく鎮守府に篭もるか」

翔鶴「個人的には賛成したいですが……」

提督「または総出で南方へ出向くのもありかもしれない。冬なのに暑い暑い言いながら汗をかくっていうなんとも違和感満載の体験ができるぞ」

翔鶴「確かに暖かいですが、戦況を考えるとバカンスにはならないかもしれませんね」

提督「まあな。そう言うのは全部終わってからのお楽しみってか」

翔鶴「ですね」


106: 2015/01/16(金) 21:25:12.91 ID:1Cl1JAZe0

提督「目の前に広がってるのは、こうやって見える限りは何も変わらない平和な海なんだがなぁ」

翔鶴「一歩外に出たら、そこはもう戦場です」

提督「今もどこかの海域では深海棲艦が暴れ回り、そして艦娘が戦ってるんだよな」

翔鶴「はい」

提督「早く平和にしたいものだよ」

翔鶴「でないと結婚もできない、と?」

提督「ん? ああ……確かにそれもあるな」ハハハ

翔鶴「………………」

提督「そう言えば、あの時もこんな感じの夕日だったよな。まだそんな経ってないのにずいぶんと昔に感じるよ」

翔鶴「……はい」

提督「今になって考えてみれば、知り合って間もないというのによくぞあそこまで言ったものだと我ながら関心だ」

翔鶴「私も驚きました。その、まさか自分が求婚されるなんて……。私は人間ではなく艦娘なのに」

提督「人間だろうが艦娘だろうが関係ないさ。俺は"翔鶴"を好きになったんだから。好きな人に結婚を申し込む。自然な流れだろう?」

翔鶴「あ、ぅ……」マッカッカ

提督「―――でもまあ、さっきも言ったがその先のことは全部終わってから! そのために俺たちはここにいるんだからな」

翔鶴「は、はいっ」

提督「それにまだやり残してることがあるからな。これを片付けんと結婚も何もない。みんなのためにも翔鶴のためにも、頑張らねば」

翔鶴「ふふっ。よろしくお願いしますね。提督」

提督「任せとけって。でも、こうして手を繋ぐくらいはいいよな?」ギュッ

翔鶴「……あと、腕を組むのもいいと思います」ギュッ

提督「日が落ちてきたからかな。翔鶴の体温が暖かくてちょうどいいや」

翔鶴「もう。提督ったら」ニコニコ


ちょっとだけ、前進


110: 2015/01/18(日) 18:19:21.72 ID:KmpW5XnV0

・---・青葉ガイナクテヨカッタ・---・


瑞鶴「提督さん。昨日夕方姿を見かけなかったけどどこか行ってたの?」

提督「ん? まあね。ちょっとした散歩だよ」サラサラペタン

瑞鶴「翔鶴姉ぇもいなかったし、ひょっとして一緒だったりした?」

提督「散歩という名の見回りだ」

瑞鶴「二人っきりで? この寒いのに?」

提督「二人っきりで。この寒いのに」

瑞鶴「詳細を聞いてみちゃったりなんかして?」

提督「散歩です」サラサラサラ

瑞鶴「むぅー内容を聞いてるんだけどぉ!」

提督「特に取り立てて話すようなことでもないさ。なあ翔鶴」

翔鶴「え、えぇ」

瑞鶴「むうぅぅぅぅ。なんか怪しいっぽいんですけど―!」   ――――ッポイ?  ユウダチ、ドウカシタ?

提督「翔鶴、お茶をもらえるかな」

翔鶴「はい。すぐ用意しますね」


瑞鶴「気になるー!!」


ひみちゅ

113: 2015/01/21(水) 20:20:43.00 ID:FItHwT+l0

注:独自解釈が強めなので予めご了承の程を



・---・アノ日ノ鎮守府:序・---・


吹雪「司令官、お茶が入りました!」

提督「お、ありがとう吹雪。ちょうど喉が渇いたところだったんだ」

吹雪「ちょっとだけお休みしますか?」

提督「せっかくお茶を淹れてくれたからね。美味しいうちに飲まないともったいない」

吹雪「お茶請けに間宮さんの水羊羹もありますよ」

提督「これはこれは。ますます仕事を放り出さないといけなくなったなぁ」

吹雪「休憩も立派なお仕事ですからね!」

提督「まったくだ。じゃあ、そっちのソファーで一休みするか」

吹雪「はいっ」



提督「……ほぅ」ズズズ……

吹雪「……はぁ」ズズズ……



提督「やっぱりお茶を飲むと癒されるな」

吹雪「ですね。とっても落ち着きます」

提督「そしてこの間宮さんお手製の水羊羹。またお茶と合うんだこれが」

吹雪「私はあんみつ派ですけど、これも美味しいです」

提督「オトナの味とも言うかもな」ズズズ……




114: 2015/01/21(水) 20:25:40.14 ID:FItHwT+l0

吹雪「なんだか、司令官と二人でいるってとっても久しぶりな気がします」

提督「今日は翔鶴も瑞鶴もそして鳳翔も演習でいないからなぁ。秘書艦として頼れるのが吹雪だけだよ」

吹雪「秘書艦は久しぶりだったので、始めはちょっぴりバタついてしまいました」アハハ

提督「こうしてると昔を思い出すよ。と言っても、あれからそんなに経ってないんだけど」

吹雪「最初は本当に二人でしたからね」

提督「二人には広すぎる鎮守府に二人では足らなすぎる仕事の量。あれは大変だった……」シミジミ

吹雪「仕事も大変でしたけれど、戦闘も一苦労でしたよ」

提督「最初の戦闘で吹雪が中破して還って来た時は大騒ぎしてたよな」

吹雪「司令官ったら、たった一個しかない高速修復剤を使いましたもんね」

提督「あれは今でも必要だったと思っている。故に反省はしていない」キリッ

吹雪「それで後々困ったことになったんじゃないですかぁ」


115: 2015/01/21(水) 20:30:27.46 ID:FItHwT+l0

提督「―――やっぱり人数が増えると一人あたりの触れ合う時間が減って良くないなぁ。こうして吹雪と話しててそう感じたよ」

吹雪「そうですか? 司令官はみなさんとも結構お話してるように思いますが……」

提督「日常会話はね。こうしてじっくりっていうのはなかなか難しい」

吹雪「でも、私は姉妹たちがやってきて嬉しいです」

提督「俺もコミュニケーションはもっとしっかりした方が良さそうだ」

吹雪「司令官と二人で始まった鎮守府も今では二十九人ですからね」

提督「吹雪だから言えるが、雲龍たちを入れたら三十五人……時の流れを感じるなぁ」

吹雪「初めましてっ! この鎮守府に初期艦として配属されました駆逐艦、吹雪です――――って、私最初に言ったんですよね」

提督「ここではだろ? 最初と言ったらもっと前だ」

吹雪「……そうでしたね」



提督「ああ。なんだかあの時までのことを思い出してきたよ」



―――そう言えば今日の演習相手は同期の艦隊だったっけ。アイツは元気にしてるだろうか



………………

…………

……


116: 2015/01/21(水) 20:35:29.97 ID:FItHwT+l0

――兵学校卒業式


男「結局俺たち二人だけだったな」

友「ホントになー。あとはみんな普通科……って言うかこの名前の付け方ってまるで普通の学校みたいだよな。こちとら兵学校だっつーのに」

男「やっぱり得体の知れないモノにはこれ以上近寄らないってか。そんな悠長なこと言ってられる状況じゃないのになぁ」

友「そりゃほら。あれだよ。意思や感情を持った兵器なんて情も生まれるし扱い辛いことこの上ない。ならば通常兵器で名を上げようって」

男「通常兵器じゃ対抗できないから艦娘がいるのに。そう言うお前は違うのか?」

友「俺はむさ苦しい野郎ばかりの空間よりかは兵器とて女の子に囲まれて生活がしたい!」キリッ

男「………………」

友「いやほら、ソコはツッコんでくれないとさあ」

男「ヨメさんはいいのか」

友「ソレはソレ。こっちはコッチってな。どうせなかなか会えないんだしー」

男「浮気を疑われた時の行動について練習どうぞ」

友「俺は無実だ! だからその薙刀は側において、ね? ねっ?! ついでに振り上げたこぶちも降ろしてくれるとボクうれしいなーって」←実体験済み

男「やれやれ」

友「そっそれよりも、お前こそこれからどうするんだ――って、考えるまでもないか」

男「ま、な」

友「ヨッ、この主席卒! エリート街道まっしぐらで同期としても友人としても羨ま氏刑だぜ」ケッ

男「るせー次席卒」

友「一番と二番には越えられない壁ってのがあるんだよ」

男「二番じゃだめなのか」

友「向上心のないやつは生き残れんぞ。それに二番を目指すバカがどこに居る」

男「だよな。なあ、友」

友「どうした。急に真面目な顔して」



男「あとは、任せたわ」



友「は?」


117: 2015/01/21(水) 20:40:59.63 ID:FItHwT+l0


――少尉任官後


友「おい男! 一体これはどういうことだよ!」

男「……久しぶりに会って早々騒がしいなあ」ヤレヤレ

友「ふざけるな。俺は至ってまじめに聞いてんだ」

男「………………」

友「何しやがった? いや、何をしでかした? えぇ?」

男「………………」

友「任官直後のヒヨッコが―――それも主席卒が一年で予備役なんて、どう考えても普通じゃないぞ。噂では命令に背いたり尽くミスを連発したとも聞く。一体何したってんだよ」

男「噂通り、ミス連発だよ。やっぱり俺には軍は向いてないのかもな」

友「……男、話を逸そうとするな。でないと次は殴るぞ。言っとくがこれはマジだからな」

男「おぉ怖い。まあ立ち話も何だから座ってくれ。最初に聞くが、艦娘たちはどうだ?」

友「は?」カンムス?

男「仲良くやってるか? 特務少佐と言う名の少尉だからってナメられてないか?」

友「そりゃ鎮守府って場所じゃみんな家族みたいなものだから仲良くやってるさ。名ばかり少佐のペーペーゆえミスもあるけどナメられんようやってるつもりだが……」


男「まあお前なら大丈夫だろうな。でなきゃたった二人の艦娘科なんて来ないし」

友「あ、うん……?」

男「艦娘たちとうまくやってるなら良かったよ。どっかの誰かと違って暴君やってたらどうしようかと」

友「お、おぅ……?」

男「本題に入ろう。兵学校でもそうだったが、戦場や日常での艦娘の扱われ方。いくらなんでも酷すぎるとは思わないか」

友「………………」

男「確かに艦娘は兵器だ。でも鉄の塊と違って意思もあれば感情もある。モノと同じ使い方をしていい道理はない」

友「……確かに、周りじゃいい話は聞かない。でもそれとなんの関係が」


男「もしこの戦が終わって平和になったとしよう。全世界念願の平和だ」

友「ああ」

男「その時、艦娘たちはどうなる? 人間が遠く及ばない力や能力を持ち、そして人間と同じように意志も感情もある。平和になったからじゃあ後は自分たちでやりますんでサヨナラと言って、納得すると思うか?」

友「それは……」

男「得体の知れないモノだし、人間よりも強い。万一仲違いでもして戦となれば負けるのは人間……となれば答えなんて出てるだろ」

友「まさか人間が次に排除しようとするのは艦娘だとでも言いたいのか?」

男「おとぎ話の勇者と同じさ。強すぎる力は平和においては忌み恐れられる。今度はその力がバランスを崩すかもしれないんだからな」


118: 2015/01/21(水) 20:45:28.08 ID:FItHwT+l0

友「それと……お前の行動と、一体なんの関係があるんだ? 艦娘を危険視するかもって、今は戦の最中だからで、もしかしたらみんな笑って過ごせるかもしれないじゃないか。だって女の子だぞ? 艦娘でも?!」

男「普通はそう思うはずなんだけどな。残念ながら上の連中はそう思ってないみたいだぞ?」

友「!」

男「元帥……俺の親父だってそう。敵に有効だから使う。でなければ主人の手を噛む恐れのある狂犬など不要、とな」

友「なんだよ、それ」

男「学校にいた頃、艦娘と二人で話す機会があったが……本音はともかく、悟ってはいたな。自分たちは兵器だからって。戦って、指示がどうあれ沈むのも覚悟はできていると」

友「くっ……!」ギリッ

男「そんなの絶対におかしい……。だから俺はそれを変えたい。変えるための時間がほしい。例え変えられなくても、せめて笑って別れることが出来る結末がほしい」

友「そのために、わざと外れたのか? 出世も名誉も捨てて、艦娘のために」

男「まぁね」

友「今は耐え忍んで、出世してから自分で変えるって手もあったのにか」

男「時間掛かり過ぎるだろう。今すぐ上を消さない限り完遂する頃には爺さんだ」

友「そんな事しなくても、普通に軍人やりながら果たせたかもしれないのにか」

男「途中で氏んだら元も子もない」


119: 2015/01/21(水) 20:50:41.06 ID:FItHwT+l0

友「はっきり言って短絡的すぎだろ。浅はかとも言うな。俺はこの意見を曲げる気はないぞ?」

男「承知のうえさ。罵られたって殴られたって文句は言わないよ」

友「……しねぇよ。はぁーったくよぉ。なんでこんなのが主席なんだよぉ。納得いかねぇっつの」アタマイテェ

男「こんなのでも主席だ」

友「るせー。……で、やるからには目算はあるんだよな? いくらなんでも考えナシじゃないんだろ?」

男「なくはない。けど、確証はない」

友「はあぁぁぁぁ~やっぱ短絡的だ。こんな事がなくとも、お前は結局どっかで失脚しそうな気がするよ俺はさぁ。つーか軍組織に向いてないってレベルじゃねーぞ」

男「否定出来ないなあ」

友「ったくコイツはもぅ……まぁいいか。同期であり友のよしみだ。お前の考えには賛同するしなんかあればバレない範囲で力にはなってやる。今日のことも口外せず俺の胸にしまって封印する」

男「助かるよ。じゃあ俺からも。これは内密だが、どうも俺は体裁上予備役にはならないようだ。腐っても親が元帥であるからってところかね。世間体もあるし。ま、良くて地方か閑職かなぁ」

友「主席卒が早々閑職とか、ないわー。マジないわぁ」

男「だな。……とまあこれが俺の目的だ。だからくれぐれも艦娘沈めたり悲しませたりするなよ」

友「相手あっての戦闘だから確約はできん。が、最大限努力しよう。夜枕元に立たれたらチビるからな」

男「バレたらヨメさんにドヤされるぞ」

友「否定出来ないのが怖い!」


120: 2015/01/21(水) 20:55:08.89 ID:FItHwT+l0


――処分決定



――○月△日ヲ以ツテ、新規開設ナル**鎮守府司令官職ヲ命ズ



男→提督「まさか俺も鎮守府勤めになるとは……人生どうなるかわかったものじゃないな」

提督「とは言っても都市圏から遠く離れた僻地で、配給される資源も半分以下。オマケに設備も最低限……主席卒のお情けで役職はやるからここで大人しくしてろってことか」

提督「目的を達成するためにはむしろ好都合だな。ここなら誰の邪魔も入らないだろうし」

提督「そして配属される艦娘は――――」



??「あっ、あなたが司令官ですか?」



吹雪「初めましてっ! この鎮守府に初期艦として配属されました駆逐艦、吹雪です!」ビシッ


……

…………

………………


提督「―――あの時学校で話した娘が初期艦って言うのも、縁の一つだよな」

吹雪「司令官?」

提督「いや、なんでもない」

吹雪「?」

提督「さて、一息ついたことだしまた書類作業頑張るかな! 早く終わらせないと演習組が還って来ちまう」ナデナデ

吹雪「ど、どうしてそう言いながら私の頭を撫でてるんですか……?」

提督「最近吹雪の頭を撫でてないなと思って」ナデナデ

吹雪「く、くすぐったいですよぉ」テレテレ


提督「なあ吹雪。今幸せか?」

吹雪「えっ? それは……」

提督「………………」

吹雪「まあ、戦争中というのはありますけど、幸せですよっ。姉妹もみんな仲良く元気ですし、司令官もいますから!」

提督「そっか」


吹雪「はい!」キラキラ


こうしてはじまった提督の運命


125: 2015/01/23(金) 21:00:26.87 ID:CVpcKw0r0

・---・アル日ノ鎮守府:瑞鶴・---・


瑞鶴「ふんふふーん」タタミ オキーノ

翔鶴「?」

瑞鶴「ふふふふーん」テーブル オキーノ

提督「?」

瑞鶴「ふーんふふー」モウフ シキーノ

瑞鶴「どっこいしょっとー」ゴソゴソゴソ



『土足厳禁!』ドスッ



翔鶴・提督『!』マサカ

瑞鶴「ふふふふっふふー」ポチットナ!




瑞鶴「はぁ~……極楽極楽♪」ヌクヌク


126: 2015/01/23(金) 21:05:37.77 ID:CVpcKw0r0


瑞鶴「いやぁもう快適すぎるわこの装備。発明した人天才よ天才~」ヌクヌク


翔鶴「な、流れるような行動に思わず固まってしまいましたが……」

提督「うん。俺もだ」

翔鶴「執務室に畳敷いてコタツ潜る子なんて、私初めてです」シカモ イモウト

提督「うん。俺もだ」


瑞鶴「これでお茶とみかんがあれば完璧よねっ。翔鶴姉ぇー、瑞鶴お茶飲みたーい」


翔鶴「瑞鶴……」ハァ

提督「世にも珍しい艦娘型コタツムリ、まさかこんな近くにいたとはね」

翔鶴「提督、このままにしていいんですかっ?」

提督「まぁ良くはないんだろうけれどなぁ。どこから持ってきたか畳まで用意されちゃあすぐ退かせとも言いにくいし。それに……」


127: 2015/01/23(金) 21:10:17.31 ID:CVpcKw0r0

ガチャッ


加古「んぅー寒いと眠く……おぉっ。コタツじゃーん。なになに準備良すぎでしょー」ゴソゴソ

瑞鶴「ちょっと加古―足冷たいからくっつけないでよ」

加古「いいじゃーん。ヌクさを分けとくれよー」

瑞鶴「つーめーたーいー!」

加古「あぁ、もう今日から春まではずっとここでいいや」

初雪「……ぬくぬく」←頭だけ外に出すスタイル



提督「―――な?」

翔鶴「加古さんと初雪ちゃんまで」

提督「執務室に誰かいるなんて慣れたものだから、静かにしててくれるぶん都合が良さそうじゃないか」

翔鶴「確かにそうは思いますが……」


翔鶴「(あからさまに目の前でゴロゴロされると、ちょっとイラッと、ね?)」


(瑞鶴によって)執務室にコタツが設置されました


128: 2015/01/23(金) 21:15:32.06 ID:CVpcKw0r0


・---・オマケノ鎮守府:翔鶴・---・


翔鶴「………………」


コタツ『』ヤァ


翔鶴「………………」キョロキョロ


コタツ『』ヌクーイノ アリマッセ!


翔鶴「………………」ゴソゴソ


コタツ『』一名サマゴアンナーイ!


翔鶴「……はあぁぁぁぁ♪」ヌクヌク







瑞鶴「――――ニヤッ」

翔鶴「ッ!」


翔鶴さんだって、コタツに入りたいのです


134: 2015/01/25(日) 21:00:23.03 ID:H0PEYpwb0

・---・コタこみゅ:翔鶴型・---・


瑞鶴「暖房も暖かいけど、やっぱりこの魔力には誰にも勝てないわよねっ」

提督「それは言えてる。このヌクさが肝なんだろうなぁ」ヌクヌク

翔鶴「もぅ、提督まで」

瑞鶴「そう言う翔鶴姉ぇもコタツ入ってるじゃん」

翔鶴「うぅっ」ヌクヌク

提督「まぁまぁそう言わずに。でも瑞鶴、本当だったらこれは褒められた行為じゃあないんだからな? もし誰か来るようだったら片付けるぞ」

瑞鶴「はぁーい」

提督「……と言っても誰か来るなんてうちの娘達以外にありえないんだけどね。だから春までこのままになるかと」

瑞鶴「ねー」

翔鶴「(喜ぶべきなのか、悲しむべきなのか……複雑です)」


135: 2015/01/25(日) 21:05:36.12 ID:H0PEYpwb0

提督「いやぁしかしコタツはいい。こうしてると実家を思い出すよ」ミカンムキムキ

翔鶴「ご実家にもあるんですか?」

提督「そりゃもう。ほとんどの家庭にあると言っても過言じゃあない」

瑞鶴「ふーん。あ、提督さん瑞鶴にもみかんひと粒ちょーだい」アーン

提督「ん? あぁ」

翔鶴「!」

瑞鶴「もぐもぐ……んん~あまくて美味しい」キラキラ

翔鶴「………………」

提督「間宮さんの仕入れるものにハズレはないってか。どれ俺も」

瑞鶴「あーん」

提督「なに? またか」ハイ

瑞鶴「んーおいひー」

提督「自分で剥けばいいだろうに」

瑞鶴「手が寒いってコタツから出てこないのー」アーン

提督「……しょうがないなぁ」

翔鶴「っ」



ぱくっ



提督「!」

瑞鶴「!」



翔鶴「………………」モグモグ

136: 2015/01/25(日) 21:10:03.19 ID:H0PEYpwb0


翔鶴「……うんっ。確かに甘くて美味しいですね」

提督「あ、あぁ」

瑞鶴「翔鶴姉ぇ、顔真っ赤だよー?」

翔鶴「い、言わないで……」プシュウゥゥゥゥ

提督「まあ瑞鶴にだけあげて翔鶴にあげないのは不公平だからなあ」ハハハ

瑞鶴「じゃあ次は私だよね?」

翔鶴「ず、瑞鶴はもう二回も食べたでしょう」

瑞鶴「回数は関係ないと思うなー」

翔鶴「あ、あるのっ!」

提督「これこれ喧嘩するでないよ。ちゃんと順番にあげるからさ」

瑞鶴「あーん」

翔鶴「あ、あーん……」

提督「なんだか親鳥になった気分だ」


全部なくなってから俺の分は? となった提督でした


137: 2015/01/25(日) 21:14:26.69 ID:H0PEYpwb0
とりあえず試験的に……



吹雪「司令官に!」

川内「ミカンを食べさせてもらえると!」

古鷹「き、聞いてきました!」


提督「」



執務室のコタツは絶好のコミュニケーションの場。艦娘たちは提督とお話をしたがっています。今回は誰がやって来るのでしょう?

一人で提督を独占するもよし……
二人で仲良く語らうもよし……
三人で賑やかに過ごすもよし……


<<現在鎮守府に所属している艦娘>>

戦艦
・扶桑 山城 武蔵

空母
・翔鶴 瑞鶴 鳳翔

巡洋艦
・古鷹 加古 利根 筑摩
・川内 神通 那珂

駆逐艦
・吹雪 白雪 初雪 深雪 叢雲 磯波 綾波 敷波
・白露 時雨 村雨 夕立 春雨 五月雨 涼風


潜水母艦
・大鯨


↓1の方に参加人数(1~3)を
↓2,3,4の方に参加艦娘をそれぞれお願いいたします

参加人数が三人未満の場合は、それぞれ↓2,3の艦娘が対象になります
鎮守府に所属しない艦娘や関係無かった場合は更に↓の方の採用となります
よろしければモノは試しと放り込んでいってみてください

138: 2015/01/25(日) 21:17:24.64 ID:zj5iIyBOO
3
艦娘の安価とってたら涼風

139: 2015/01/25(日) 21:17:56.84 ID:63MzVeO0O
五月雨

140: 2015/01/25(日) 21:20:08.87 ID:NZ46kJcZ0
叢雲

141: 2015/01/25(日) 21:25:02.24 ID:bO57Mqu/o
磯波

143: 2015/01/25(日) 23:31:02.61 ID:H0PEYpwb0
>>五月雨・叢雲・磯波



・---・コタこみゅ:五月雨 叢雲 磯波・---・


五月雨「て、提督にミカンを食べさせてもらえるってホントですか?」

提督「そんなつもりじゃあなかったんだが……どうしてこうなったんだろうな」

五月雨「瑞鶴さんが食堂でみんなに話してました」

提督「瑞鶴……」

五月雨「それで、羨ましいなって思って……ダメ、ですか?」

提督「う」

叢雲「自分で言い出したコトにはちゃんと責任を持ちなさいよ」

提督「そもそも言い出したのは俺じゃないんだが……と言うか叢雲はいいのか?」

叢雲「私に食べさせることを許してあげるわ。特別にね」

提督「お、おぅ」

磯波「あの、私も……」

提督「磯波がこういうのに乗ってくるのも意外というか」

磯波「こういう時でもないと提督とお話ができないので……」


提督「(もっと積極的に話しかけないとダメだな。俺)」


144: 2015/01/25(日) 23:35:13.85 ID:H0PEYpwb0

叢雲「それにしても、執務室にコタツねえ。快適なのは認めるけど違和感満載ね」ヌクヌク

磯波「確かにこれだけ浮いてるというか目立つというか」ヌクヌク

五月雨「でも、暖かくて気持ちいいねぇー」ヌクヌク

提督「最初は俺もそう思ったんだけど、一度入ったらもうどうでも良くなったな。むしろ仕事してる時の誘惑が凄い」

磯波「あ、それわかる気がします。見てるだけで入りたくなりますよね」

叢雲「気持ちはわかるけど、ちゃんと仕事もしなさいよ」

提督「大丈夫大丈夫。分別はつけるさ」ミカンムキムキ


提督「さて、誰からこのミカンを食べさせてあげればいいものか」

五月雨「じゃあ私からいいですか? 初めてじゃんけんで一番になれたので!」

提督「じゃんけん?」

五月雨「瑞鶴さんのお話のあとに、みんなで羨ましいって話になって……」

叢雲「それでみんなで行こうってことになったんだけど、よく考えたらコタツって普通四人用でしょ? だからじゃんけんで勝った三人までってなったのよ」

磯波「五月雨ちゃんが最初に勝って、次に叢雲ちゃんと私が勝ち抜きました」

提督「そんなことがあったのか……」

磯波「今回は私たち駆逐艦が提督を独占ですね」

叢雲「光栄に思いなさいよ」


145: 2015/01/25(日) 23:40:34.29 ID:H0PEYpwb0


提督「それじゃあ五月雨には特別にどの粒がいいか選ばせてあげよう」

五月雨「えっ? なにか違うんですか?」

提督「何も変わらないよ。粒によって大きい小さいもあるし、好み的なね」

五月雨「なるほど……? じゃあ、これにしますね」

提督「これね。了解っと」ハイ、アーン

五月雨「い、いざとなると結構恥ずかしいですね……」ア、アーン……

叢雲「これって側で見てる方も気を使うというか」

磯波「ね、ねー?」

提督「間宮印のミカンだから甘いはずだがどうだろう」

五月雨「もぐもぐ……し、正直緊張して味がよく分かんないですぅ」

提督「そんな緊張しなくていいよ」

五月雨「で、でもぉ!」

提督「じゃあもう一口行こう。一度食べれば慣れるだろうし」アーン

五月雨「わわっ。あ、あーんっ」パクッ

提督「……五月雨。俺の指ごと食べてるぞ?」

五月雨「ふぁわわわっ?! ふぉ、ふぉめんまふぁい!!」

提督「まずは口を離すところから始めようか」ユビガ アッタカイナ

叢雲「なーにやってるんだか」

磯波「あはは……」


146: 2015/01/25(日) 23:45:21.01 ID:H0PEYpwb0

提督「という訳で次は叢雲かな。この中だとどの粒がいい?」

叢雲「別にどれも一緒だと思うけど、そうね。あんたが一番美味しいと思うものをちょうだい」

提督「え? 俺が決めていいのか?」

叢雲「味が薄かったり種が入ってたりしたら指ごと噛んであげるわ」

五月雨「あぅぅぅー」マッカ

提督「そりゃまた責任重大な……じゃあ、これなんかどうだろうか」アーン

叢雲「もぐもぐ……ま、普通ね」

提督「作用でございますかお嬢様」

叢雲「という訳でもう一口ちょうだいな。今度もあんたが選んでいいから」

提督「もう一口でございますか」

叢雲「五月雨だけ二口で、私と磯波が一口じゃあ不公平でしょ?」

磯波「わ、私は別に一口でも……」

叢雲「こういう時は賛同しときなさいって。積極的でいいのよ」

磯波「う、うん」

提督「じゃあ今度はこれにしようかな。はい、あーん」

叢雲「……ちょっと小粒かしら。でも甘みが強くて美味しいわね」

提督「お気に召していただけたようで」

叢雲「まあこういうのも悪くないかしら。嫌いじゃないわ」


147: 2015/01/25(日) 23:50:05.76 ID:H0PEYpwb0

提督「じゃあ最後に磯波か」

磯波「は、はいっ。よ……よろしくお願いいたします!」ドキドキ

提督「ははは。最初の五月雨よりも緊張してるみたいだな」

叢雲「まあ磯波だしねぇ」

磯波「叢雲ちゃんが落ち着き過ぎなだけだと思うよ……?」ドキドキ

提督「どれが食べたいかな? と言ってももう半分くらい減ってるんだけどね」

磯波「え、えっと……じゃじゃあこれで、お願いします」

提督「ほいきた。それじゃあ口を大きくあーんと開けようか」

磯波「えっ。お、大きくですか?!」

提督「小さいと上手く口に入らないからね」ハイ、アーン

磯波「あ、ぅ……ぁ、あーん」

提督「さて、これは甘いかな」

磯波「むぐむぐ……あ、甘い……」

提督「だろう? 酸っぱいミカンも美味いけど、甘いとなんか安心するよな」

磯波「は、はいっ」

提督「もう一口いく?」

磯波「あ、じゃあこれを……」アーン

提督「今度は緊張してなさそうだな。はい」

磯波「お、美味しいです……ふふっ」


148: 2015/01/25(日) 23:55:08.69 ID:H0PEYpwb0


叢雲「あ、そうそう司令官」

提督「ん?」

叢雲「今回は私たち三人が来たけど、これで終わりじゃないからね?」

五月雨「確かに悔しがってた人もいたからねぇ」ユウダチトカ

磯波「たぶん、また誰か来ると思いますよ」

提督「それは……ミカンを食べさせてもらうのを目当てに?」

叢雲「それ以外に何があるのよ」

提督「……ですよね」

五月雨「あ、あのっ! もしまたじゃんけんに勝ったら来てもいいですか?」

磯波「わ、私も……!」

提督「まあそれは構わないけど……」

磯波「じゃ、じゃあ次のじゃんけんではみんなまたライバルですね……」

五月雨「私、負けません!」

叢雲「ミカンはオマケに、コタツ目当てで来るのもいいわね」

提督「やれやれ……」パクッ

磯波「あっ……」

提督「ん?」

磯波「ちょうどミカンの残りがさん粒ですね」

叢雲「と、言うことは……」

五月雨「私たち三人で食べきれちゃいます」

提督「いや、俺はまだひと粒目なんだが」

叢雲「また剥けばいいじゃない」

五月雨「そう言えばなん粒までって言ってなかったよね。瑞鶴さん」

磯波「じゃ、じゃあもうちょっとだけ……いい、ですか?」

提督「……まあせっかくの機会だしな。ゆっくり話しながらミカンを食べるか」

叢雲「その前にお茶も飲みたいわね。準備してもらえるかしら」

提督「了解いたしました。お嬢様方」


コタこみゅ



152: 2015/01/28(水) 20:25:23.50 ID:e0lJSs0Z0

・---・アル日ノ鎮守府:川内、神通、那珂・---・


川内「さて、今日も元気に探索しよっか!」フンス

神通「………………」

那珂「………………」

川内「あれ、どしたの二人とも。元気ないね」


那珂「ねぇー川内ちゃんさー」

川内「ん?」

那珂「別に夏に見つけた洞窟をちょこちょこ探検すること自体は那珂ちゃんも賛成だよ? でもね」

神通「いくらなんでも、今日は良くないと思う、の」

川内「えぇ、なんでさ」

那珂「なんでって、外の気温何度だと思ってるのさ―!!」



『本日の外気温 2℃ 雲量10――――曇りである』


153: 2015/01/28(水) 20:30:39.52 ID:e0lJSs0Z0


那珂「こんな日に外出て探検とかしなくてもいいと思うな―!」サムイ

神通「お部屋に戻って温まりましょう……?」

川内「確かに寒いけどさ。冬ってこんなものじゃない?」

神通「それは、そうだけれど……」

那珂「別に今日じゃなくてもいいと思うな―。もっと暖かい日とか晴れた日とか」

川内「こう言うのは思い立ったが吉日だよ」

神通「それが、今日だったと?」

川内「うん! 寝てたらこう、夢の中でぶわっと出てきた感じ。今日はコレだって」



那珂「(相変わらず直感型だなぁ……)」←姉妹で最も直感型

神通「あはは……」←姉妹で最も非直感型


154: 2015/01/28(水) 20:35:32.37 ID:e0lJSs0Z0


川内「それに二人は気にならない? あれから何度となく挑んだこの洞窟。空気の流れはあるのに出口がないんだよ?」

那珂「普通なら反対側から流れてくるものなんだけどね」

神通「なのに、必ずここに戻ってくる……」

川内「絶対何かあるって。そう考えると冒険魂がうずくじゃん」

神通「冒険魂って……」

那珂「夜戦とどっちがいいの?」

川内「夜戦!」

神通・那珂『(あ、そこは即答なんだ……)』



川内「とにかく! これより第七次洞窟攻略作戦開始するよ!」

神通「お、おー……」

那珂「那珂ちゃん洞窟よりもコタツに入りたいなあ」



神通「………………」チラッ



……クチュンッ!

アレ、ジンツウカゼ?

ソトガサムイダケダッテー



………………

…………

……


155: 2015/01/28(水) 20:40:22.30 ID:e0lJSs0Z0


??「入っていったですか?」

??「です」

??「それじゃあ隠蔽装置作動開始です」ポチットナ

??「川内さン、頑張るなあ」

??「ある意味では深海棲艦よりも恐ろしい存在かモ?」

??「……粘る、ナ」

??「まあよっぽどの事がない限りは見つからないだろう。もし見つかりそうになったら……」

??「たラ?」

??「神通がどうにかしてくれる」

??「あとで神通さンを労わないとですね」

??「だな」


知っているのは神通のみ


156: 2015/01/28(水) 20:50:47.28 ID:e0lJSs0Z0

・---・オマケノ鎮守府:神通・---・


提督「で、今日はどうだった?」ヌクヌク

神通「今度こそ見つける、と……」ヌクヌク

提督「川内らしいというかなんというか」

神通「あの、ほ、本当にこのままで、いいんでしょうか」

提督「妖精さん曰く絶対の自信があるって言うからまあ大丈夫だろうと。神通には危険箇所は教えてあるし、なんかの拍子にバレそうになたらフォローを頼むよ」

神通「もし、間に合わなかったら……?」

提督「……こちら側に引き込むとか?」

神通「確かに雲龍さんたちは喜びそうですが……」

提督「あまり多くに知られるのは得策ではないよな」

神通「は、はい」

提督「これも娯楽が少ないのと満足に出撃させてあげられない俺の責任だ。神通にも苦労をかけて申し訳ない」

神通「いえっ、そんな……! 私なら、大丈夫ですから」

提督「まあもう少し粘って成果が出ないようなら川内も諦めるだろうし、もうしばらく付き合ってもらえるか」

神通「わかりました」



瑞鶴「……秘密を守るって大変なんだね」

翔鶴「そうよ。だから瑞鶴も気をつけてね。ただでさえ出入りが一番多いんだから」

瑞鶴「はーい」


大変なんです


160: 2015/01/30(金) 20:45:37.74 ID:64Gm7vEG0

・---・アル日ノ鎮守府:瑞鶴、山城・---・


瑞鶴「翔鶴姉ぇ、そこにある大きな箱はなに?」

翔鶴「これは節分に使う道具が入ってるの。ほら、もうすぐでしょ?」

瑞鶴「そっかーもう節分かあ。今年ももう2月って考えると早いなあ」

翔鶴「そうね」フフッ

瑞鶴「道具を出してきたってことはまた何かやるの?」

翔鶴「ええ。と言っても私たちが楽しむよりも駆逐艦の子たち向けかもしれないけれどね」

瑞鶴「なるほどっ。じゃあ私たちは鬼役かな? 豆当てられると意外と痛そうだなあ」

翔鶴「鬼役はもう決まってるわよ」

瑞鶴「え、誰だれ。提督さん?」

翔鶴「鬼のうちの一人はね。特製のお面を用意するんだって、妖精さんと相談してたわ」

瑞鶴「特製って……ん? 一人"は"? 他にも誰かいるの? 山城さんとか?」

山城「誰が鬼か」グリグリグリ

瑞鶴「いやだって乗るな山城鬼より怖いって……」イタイイタイ!

山城「フネだった昔の話でしょ。それに私自身は鬼でもなんでもないわよ」ギュウウウウウッ

瑞鶴「じゃ、じゃあこの手を離してもらえると……!」アダダダダ

山城「風評被害とか、ホント不幸だわ」

扶桑「うふふ。山城はとても優しい子よ。姉である私が誇りに思うくらいに。ね?」

山城「ね、姉さまが私のことを……!」ハァハァ

瑞鶴「吐息に合わせて頭に圧が! 圧が!!」

翔鶴「あはは……」



161: 2015/01/30(金) 20:50:28.22 ID:64Gm7vEG0

山城「ったく」

瑞鶴「あぁ痛かった……。で、山城さんじゃないなら他の鬼って?」

翔鶴「武蔵さんよ。鬼役をお願いしたら快く引き受けてもらえたわ」

山城「意外よねぇ。こう言う催し事だと利根とか川内あたりが喜んでやりそうだけど」

翔鶴「二人はむしろ武蔵さんに豆を当てるって意気込んでいて……」

山城「あー、そっちに意気込んじゃったのね」

扶桑「二人らしいと言えばらしいのかしら」

瑞鶴「じゃあ鬼は二人?」

翔鶴「そうね。この建物全体を使って豆まきをやるから、別れて登場するみたいよ」

瑞鶴「結構大掛かりじゃん。と言うことは食べ物にも期待が持てるわねっ」

翔鶴「鳳翔さんが間宮さんとなにか話していたから、期待していいかも」

扶桑「せっかくだから、私たちも柊鰯を作って玄関へ飾りましょうか」

山城「この場合の玄関って建物になるのか、鎮守府入り口になるのかどっちなんでしょうね?」

瑞鶴「入り口じゃない? 私たちにとっては敷地内全部が家みたいなものだし」

扶桑「じゃあ、せっかくだから各建物に飾りましょうか」ポンッ

山城「ぜ、全部にですかっ?」

扶桑「瑞鶴が言ったとおり、私たちにとってここにあるものは全て家と同じ。なら、贔屓は良くないでしょう?」

山城「それはまあそうですけど」

瑞鶴「手伝おっか? どうせなにもすることないしー」ヒマー

翔鶴「私もお手伝いいたします」

扶桑「うふふ。それじゃあお願いするわね」



山城「(姉さまと二人でやりたかったなぁ)」


もうすぐまめまき!


171: 2015/02/01(日) 18:25:09.78 ID:0yunJk3c0

・---・アル日ノ鎮守府:翔鶴、提督・---・


提督「あっれー。おかしいなぁ」ゴソゴソ

翔鶴「どうかされましたか?」

提督「ああ翔鶴。お面知らないか? 節分で使うやつ」

翔鶴「お面ですか? いいえ、見ていませんね」

提督「んー確かにココに置いといたんだが……」

翔鶴「そのまま置いたんですか? それともなにか箱に詰めていたとか?」

提督「箱。昨日完成してな。武蔵の分はもう渡してあるからいいが、俺のは入れたままだったんだ……が、その箱ごと消えてる」ナゼニ

翔鶴「室内に他に箱はありませんし……誰かが何かと間違えて持って行ってしまったとか」

提督「あるとしたら今朝の朝礼の時だけど、俺の机の足元なんてそっち側から見えないから気づくはずもないんだがねぇ」マイッタナ

翔鶴「うーん……困りましたね。ちなみにお面はどんなものだったんですか?」


翔鶴「(赤鬼とか青鬼みたいな感じなのかな?)


提督「翔鶴にだから言うが、お面は深海棲艦……姫とか鬼クラスをモチーフにしてみたんだよ」

翔鶴「」ワァオ

提督「このまま見つからないと困るなあ。最悪厚紙で即席お面って手もあるが、武蔵との差が出すぎてヘコむ」

翔鶴「妖精さんにお願いして、もう一つ作ってもらいますか?」

提督「……だなぁ。一応もう一回部屋中を探してはみるが、しかしせっかく作ってもらったと言うのに即座に無くすとはね」トホホ

翔鶴「て、提督が意図的に無くしたわけではありませんから……」

提督「お詫びに間宮印のモナカとアイスクリームを差し入れるか……」

翔鶴「お供いたします」


妖精さんは差し入れに歓喜乱舞してかなりリアルなお面を作ってくれましたが、結局無くしたお面はみつかりませんでした


172: 2015/02/01(日) 18:30:35.25 ID:0yunJk3c0
冬イベの内容がトラック迎撃とか
なんでも天城か葛城が実装予定?とかで、これによってこちらの彼女らも若干の性格変動が
出番は……
よろしければまたお付き合いください



<<コタこみゅ>>


吹雪「司令官に!」

川内「ミカンを食べさせてもらえると!」

古鷹「き、聞いてきました!」


提督「」



執務室のコタツは絶好のコミュニケーションの場。艦娘たちは提督とお話をしたがっています。今回は誰がやって来るのでしょう?

一人で提督を独占するもよし……
二人で仲良く語らうもよし……
三人で賑やかに過ごすもよし……


<<現在鎮守府に所属している艦娘 >>

戦艦
・扶桑 山城 武蔵

空母
・翔鶴 瑞鶴 鳳翔

巡洋艦
・古鷹 加古 利根 筑摩
・川内 神通 那珂

駆逐艦
・吹雪 白雪 初雪 深雪 綾波 敷波
・白露 時雨 村雨 夕立 春雨 涼風


潜水母艦
・大鯨


今回欠席:叢雲、磯波、五月雨


↓1の方に参加人数(1~3)を
↓2,3,4の方に参加艦娘をそれぞれお願いいたします

参加人数が三人未満の場合は、それぞれ↓2,3の艦娘が対象になります
鎮守府に所属しない艦娘や関係無かった場合は更に↓の方の採用となります
よろしければモノは試しと放り込んでいってみてください

180: 2015/02/03(火) 23:06:01.52 ID:8ZfiFlw+0
…遅くなったのと明日朝早いのとで、分割してお送りいたします。
あと、ちょーっと駆逐艦の子たちの子供度がUPしてますのでご了承を!



・---・大豆、全門、一斉射!・---・



『――本日一八○○、総員執務室へ集合セヨ――』



わいわいがやがや……


扶桑「みんな集まってきたわね。山城」

山城「そうですね。この後のことを知ったら驚くんじゃないでしょうか」

扶桑「えぇ。私たちも、たまには童心に還って楽しみましょう」

利根「うむっ。この日のためにカタパルトは整備しておいたのじゃっ」

筑摩「あらあら姉さん。今日はカタパルトは使いませんよ」

加古「てゆーか艤装もいらないって」

古鷹「ここにいると、艤装をつけていることの方が珍しいんだけど……」

瑞鶴「うん。他を知ってるだけに私もすっごくそう思う」

翔鶴「この鎮守府でこの提督ゆえなんでしょうけれどね……」アハハ

利根「ところで翔鶴よ。提督たちを見かけないがもう準備はできているのか?」

翔鶴「はい。武蔵さんと二人で"ちょっとしたサプライズ"な登場をすると仰っていました」

瑞鶴「サプライズ? なんかやるのかな」

山城「……と言うかコレ、節分よね?」ナゼ サプライズ


181: 2015/02/03(火) 23:10:38.87 ID:8ZfiFlw+0

・・-・・・・-・・・・-・・


白露「こんな時間にみんな集めてどうしたんだろうね?」

村雨「なにか緊急のお知らせでもあるのかしら」

夕立「それよりもお腹すいたっぽいー」

時雨「もうちょっとの辛抱だよ。今日は午後から鳳翔たちが張り切っていたから、なにかご馳走がでるんじゃないかな」

春雨「えっと、今日は何かありましたっけ……?」



川内「はーい、みんな集まったかな―」



五月雨「あ、川内さんだ」

涼風「提督じゃなくて川内さんが出てきたってことは、なんか始まるんかね」



川内「……うん。集まったみたいだね。それじゃあ、今からみんなにあるものを配ります。神通、那珂ちゃん?」

神通「はい。皆さん、こちらをどうぞ」

那珂「一人一式だからねー」



深雪「なんだこれ?」マス?

磯波「それとこれは、お豆?」

叢雲「……なるほどね。つまりこれから私たちに豆まきをしろと」

白雪「あっ。そういえば今日は節分……」

吹雪「あはは。なんかすっかり忘れてたね」

初雪「ん」ポリポリ

深雪「豆の味しかしないなぁ」ポリポリ

叢雲「まだ食べるんじゃないわよ」


182: 2015/02/03(火) 23:15:39.34 ID:8ZfiFlw+0

川内「今日は2月3日、節分の日です。という訳で、やせ……もとい。豆まきをしまーす!」

涼風「……いま夜戦って言いかけたような」

五月雨「まぁまぁ」

白露「はいはーい。質問でーす!」イッチバーン!

川内「ハイ白露。どうぞ」

白露「ここで豆まきやるんですかー? いくらなんでもちょっと狭いような」

夕立「確かにあっという間に豆だらけになるっぽい?」

川内「さすがにここだけだと狭すぎるからね。ちゃんと移動"も"するよ」

時雨「じゃあ、僕もいいかな」

川内「はい時雨」

時雨「鬼役の人もいるんだよね? それは誰がやるんだい?」

川内「おぉー良い質問だね。確かに豆まきの定番鬼の役になる人がいます! さて、誰でしょう?」

夕立「……戦艦とか空母の人っぽい?」

村雨「こういう時だから提督がやるんじゃないかしら?」

涼風「五月雨やる?」

五月雨「えっ? わ、わたしっ?!」

川内「フフフ……。甘いよぉキミたちィ」



那珂「(……ねぇ、なんか川内ちゃんキャラが違くない?)」

神通「(え、えぇ)」

那珂「(なんかあったのかなぁ)」

神通「(さ、さぁ……)」



――――プツンッ



『ッ?!』


183: 2015/02/03(火) 23:20:32.30 ID:8ZfiFlw+0


敷波「な、なんだっ? 急に真っ暗に」

綾波「困りました。周りが見えません……」



??『フフ……フフフ……』



敷波「な、なんだよ綾波。そんな不気味な声出さないでよ……っ」

綾波「わ、私じゃないよっ?」



??『ナンドデモ……シズメテ……アゲル……』



敷波「でで、でも今すぐ側から……!」

綾波「し、敷波っ? 隣にいるよね? ねっ?!」ギュッ

敷波「うんっ! 当たり前じゃん!」

綾波「な、なんで左から敷波の声が……? じゃあ、右にいるのは……」



??『――――シズミナサイッ!!』懐中電灯パチー



敷波・綾波『ヒ――――――――ッ?!』



??『……ワタシハモウ、シズマナイワ……ニドト……!』ユラ~リ



深雪「ちょ、あれってまさか……!」

五月雨「深海、棲艦?!」

叢雲「ば、バカねっ。本物なわけないじゃない! どうせ誰かが被り物でもしt」ポンポン

叢雲「な、なによ急に」



??『……バァ』懐中電灯パチー



叢雲「ぴっ――――?!」ゾワゾワッ

吹雪「な、なにっ?! なに?!」



パチッ――――


184: 2015/02/03(火) 23:26:41.84 ID:8ZfiFlw+0


川内「いやぁみんな驚かせすぎちゃったかな―」ゴメンネ



??『………………』

??『………………』



吹雪「お、お面だけかと思ったら格好も深海棲艦っぽく……」

深雪「これあれじゃね? 鬼とか姫って言われてる型じゃ……」

白雪「よ、よく出来てるよ、ね?」

磯波「うん……怖いくらいにね」



川内「まあこれも余興の一つということで、。で、これから豆まきを始めるわけなんだけど」

敷波「し、心臓が止まるかと思ったじゃん!」

叢雲「そうよ! ちょっと趣味悪いんじゃない?!」

川内「まあまあ。それで、今回はこの人達が鬼となって"建物中"を逃げまわるからねー」

綾波「えっ? に、逃げまわるって……」



??『………………』チラッ

??『………………』コクン

タタタタタッ



川内「みんなはこの建物の中を動きまわって鬼退治のごとく豆をまいてね。あとそれだけじゃ面白みにかけるから……」

涼風「か、から……?」ゴクリ

川内「それぞれの鬼の腰に付いているリボンをゲットした二名様には、なななんとっ! 間宮さん特製スペシャルパフェをプレゼントしちゃいます!!」



『パフェ?!』キラキラキラ



川内「今回限定品だからみんな奮って頑張ってねー……という訳で私たちも参加っとー」ヨイショ


187: 2015/02/04(水) 23:50:18.30 ID:oU2smvk20


ソッチイッタゾー!

モウヒトリドコイッター?!



川内「うんうん。みんな楽しんでるみたいだね」

加古「で、あたしたちももうリボン取りに行っちゃってもいいの?」

古鷹「せめて豆まきって言おうよ……」

山城「身も蓋もないわね」

川内「皆さんもう行ってもいいけど、ちゃんと手加減してあげてくださいね。具体的には走るのはなしの方向でっ。もちろん神通や那珂ちゃんもだよ」

那珂「だよね。あーでもでも、那珂ちゃんもパフェ食べたかったな―」

加古「手加減って結構難しいんだよなぁ」

利根「ふふん。では、吾輩らも参ろうかのっ。武蔵のやつに一泡吹かせてやるのじゃ!」

筑摩「はい。姉さん」ニコニコ

瑞鶴「でも武蔵のりボンは取れるかなぁ。提督さんのなら簡単かもしれないけどさ―」

扶桑「と言うことは、まずは提督から狙うのが得策なのかしらね」

山城「ですよねっ。さすが扶桑姉さま!」キラキラ

加古「んーでもさ。どっちが提督でどっちが武蔵なワケ?」

古鷹「そう言えば衣装も変えてたから判断つかなかったような……」



『あ』


188: 2015/02/04(水) 23:55:39.03 ID:oU2smvk20


??『シズマナイワ……ニドト……』ヒラリヒラリ



深雪「くっそーッ。なかなかすばしっこいなぁ!」

白露「もぅ。あたしがイチバンにリボン取ろうと思ったのにー!」

夕立「夕立にリボンを渡すっぽい!」←ソロモンの悪夢モード



??『トラセン、ヨ……!』ヒラリ



夕立「ついでにこれでも食らうっぽい! えいっえい!」バババッ

深雪「深雪スペシャル改、くらえーッ」バババッ



??『フフ……ムダダ……』パラパラ



白露「くうぅ。当たってるのにビクともしない……っ」

深雪「やっぱ豆じゃダメかぁ」

夕立「こうなったら全力で投げるっぽいッ!」



??『フフフ……アマイ、ナ』ヒョイッ

タタタタタタ……



夕立「あぁッ……」

深雪「チクショー。逃げられたぜ」

白露「まだまだ終わらせないよっ! イチバン乗りはあたしがもらうんだから」


189: 2015/02/05(木) 00:00:40.71 ID:yzsPM0Jh0

イクゾー!



時雨「……まあ、張り切るのは良いことなんだけどね」オニハソトッ

村雨「本来の目的もちゃんとこなさないとね」フクハウチッ

春雨「あの。時雨姉さんや村雨姉さんは、パフェいらないんですか?」エイッ

時雨「ん? もちろんパフェは食べたいよ。でも、白露たちみたいに血眼にはならないってことさ」

村雨「この調子だとまだしばらくは大丈夫だろうから、ゆっくり行ってても平気だと村雨さんは判断したわ」

春雨「な、なるほど……!」

村雨「そういう春雨はいいの?」

春雨「実は……今日のおやつに夕立姉さんと白露姉さんの三人で間宮さんの最中を食べたので……」

村雨「あー、甘いものが続いちゃうのかぁ」

時雨「間宮の最中は絶品だからね。それでも、あの二人はお構いなしみたいだ」

村雨「食い意地、はってるからねぇ」



??『………………』



春雨「あっ、あそこにも鬼がいますよ」

時雨「どうやらもう一人と会敵したみたいだね。他にはいないし、せっかくだから僕たちで頂こうか」

村雨「ふふっ。ちょっといいトコ見せちゃおうかしらっ」



??『………………』トコトコトコ



春雨「あ、あれっ……?」

村雨「普通に歩いて行っちゃった……」

時雨「余裕を見せているのか、それともなにか策があるのかな。とりあえず追おうか」タタタッ


190: 2015/02/05(木) 00:05:30.56 ID:yzsPM0Jh0


・・-・・・・-・・・・-・・


叢雲「白雪、磯波、そっちに行ったわ! こっちと挟み撃ちするわよ」

白雪「了解っ。磯波ちゃん行くよ」

磯波「わ、わかった……!」タタタッ

叢雲「五月雨と涼風は後方遮断を。ここで絶対に捕まえるわよ!」

五月雨「は、はいっ」

涼風「ガッテンダー!」



キャアッ!   ベチョッ

サミダレガコケター!



叢雲「……吹雪、初雪。絶対後ろには行かせないわよ。いいわね?」

吹雪「ま、まかせてっ。やっちゃうんだから!」

初雪「初雪、出る!」

叢雲「アンタいつにも増してやる気全開ねぇ。どうしたのよ」

初雪「パフェが呼んでる……!」

叢雲「現金だこと」

初雪「そういう叢雲も、やる気、満々」

叢雲「……まあね。間宮のパフェとなれば話は別よ。言っとくけど、私たちはチームなんだから誰がとっても分け合うんだからね? そこんとこ忘れないでよ」

初雪「ん」



白雪「――叢雲ちゃん、目標反転! そっちに行ったよ!」

涼風「こっちはこのあたいが絶対に通さないぜ!」        ワ、ワタシモー!



叢雲「ふふ。完璧な布陣ね。あとはいかにリボンを上手く取るか……特型駆逐艦の意地、見せてやろうじゃないの」

初雪「んっ、頑張る……!」



『……あれ? もう豆まき関係なくない……?』


191: 2015/02/05(木) 00:10:33.30 ID:yzsPM0Jh0


??『………………』



利根「……誰じゃこれは。武蔵ではなさそうじゃが」

筑摩「提督でしょうかね?」

利根「むぅ。誰が誰に扮しておるかわからん以上手当たり次第になってしまうのぅ」

筑摩「それに豆の数には限りがありますからね」



??『………………』ペコリ



利根「おや、コヤツ腰にリボンを付けておらんぞ?」

筑摩「誰かがもう取ってしまったのでしょう。駆逐艦の子たちはやる気満々でしたから」

利根「ぐぬぬ……。吾輩も狙っておったのに」

筑摩「とりあえず、節分らしく豆を投げましょうか」

利根「……そうじゃな。それにまだもう一人おる。つまり吾輩にも"ちゃんす"はあるのじゃ!」



??『………………』タタタッ



利根「むっ。逃げたぞ! 筑摩よ、追うぞ」

筑摩「はい。鬼はそとー」パラパラッ

利根「福は内じゃ!」バラバラッ


192: 2015/02/05(木) 00:15:31.70 ID:yzsPM0Jh0

………………


翔鶴「鳳翔さん。このお料理はここに置いても大丈夫ですか?」

鳳翔「はい。ありがとうございます翔鶴さん」

翔鶴「これくらいしかできませんから」

鳳翔「あとは皆さんがいらっしゃる前に温め直せば良いので……私たちのお仕事はほぼ終わりですね」

大鯨「お疲れさまですっ」

鳳翔「お疲れさま。間宮さんもありがとうございました」

間宮『』ニコニコ

鳳翔「さて、では最後に間宮さんの特製パフェのお手伝いを……」



ガラガラガラッ

??『………………』



翔鶴「あ、あら?」

鳳翔「鬼役の方が来られましたね」

大鯨「と言うことは、ここにも豆をまくんでしょうか」

鳳翔「本当はありがたいのですが、お料理をいくつか並べてあるのであまり走り回られては困ってしまいますね」

翔鶴「提督か武蔵さん。申し訳ないですがここは外していただけますか?」



??『………………』コクッ

ガラガラ……パタン



翔鶴「?」

大鯨「翔鶴さん。どうかされましたか?」

翔鶴「あ、いいえ……。二人にしては妙に大人しいというか」

大鯨「やはりお料理が並んでいたので遠慮されたんでしょうか……」

翔鶴「うーん……?」

鳳翔「ふふっ。大人しい鬼というのもなかなか新鮮なものですね」

翔鶴「それにしても、私たちには一言声をかけてもいいような気もするんですが……」

大鯨「お二人とも役になりきってるんですね」

翔鶴「???」


193: 2015/02/05(木) 00:20:46.54 ID:yzsPM0Jh0


??『……ッ』 ジリジリ……


川内「さー追い詰めた! 提督か武蔵さんかはわからないけど、その腰につけたリボンはいただきよっ」

那珂「絶対にこっちには行かせないからねー!」

神通「こ、降伏してください……!」



??『………………』



川内「往生際が悪いなあ。散々豆を当てたんだからとっくに撃沈判定でしょー」

那珂「おかげでもう豆が空っぽだもんね」プラプラ

川内「さーさー。降伏しないとそのお面取っちゃうよ? 勝手に夜戦行っちゃうよ?」

神通「あの、それは関係ないんじゃ……」



『――――いただきだぜッ!』ババッ


??『ッ?!』ビクッ



深雪「いえーい! 深雪サマがリボンゲットたぜー!!」ヤターッ

白露「あーあ。深雪に先越されちゃった」

夕立「すっごく悔しいっぽい!」

深雪「へへっ。まーざっとこんなもんよ」


川内「」パフェ……


那珂「あらら」

神通「氏角からの一撃離脱……さすがですね」

深雪「さぁさぁ。勝者にその素顔を拝見させておくれよー」



??『……やれやれ。やっぱりみんなには敵わないな』カポッ



神通「て、提督……!」

提督「いやぁ久しぶりに走り回ると足腰に来るなァ。俺ももう歳かな」

神通「す、すみませんっ。あの、たくさん……豆を……」

提督「気にするなって神通。今は提督に戻ったけどそれまでは深海棲艦(?)だ。ちゃんと豆を当てて福を呼び込まないとな」

白露「てーとくー。もうリボンってないの?」

提督「一人一本だからな」

夕立「うぅー。夕立、パフェ食べたかったっぽい―……」

川内「ぱふぇ……」

神通「ね、姉さん」

提督「……まあ、あれだ。ゲットしたのは一人だが食べるのも一人とは言ってない。分け合うのもまた良き哉、ってね」


194: 2015/02/05(木) 00:25:37.58 ID:yzsPM0Jh0

………………

…………

……



川内「――さて、みんな豆は存分にまいてきたかな? リボンをゲットできた人もできなかった人も、お疲れさま―」



加古「あーあ。やっぱり歩くだけじゃ追いつけないしリボンも取れなかったなぁ」

古鷹「また次の機会に持ち越しましょう」



川内「私としてはパフェまであと一歩だったんだけどねぇ。……勝負の世界は非情ってね」クスン



深雪「見よ! この輝き、そして量を! やっぱ特製は違うなぁ」

夕立「このたっぷりのクリームとフルーツソース、そしておっきなアイス……美味しそうっぽい……」ジュルリ

白露「深雪ー絶対に一口ちょうだいねっ」

深雪「まあ深雪サマも鬼じゃないし? 共に戦った戦友と勝利を分かち合うのも悪くないってか」


白露・夕立『み、深雪さま……ッ!!』キラキラキラ


扶桑「……なんだか、私たちだけ浮いてしまうわね」←リボンを取った

山城「幸せなのか不幸なのか素直に判断付かないところが不幸だわ……」

扶桑「でも、綾波や敷波と一緒に取れたことは間違いないから、あの子達のおかげよね」

綾波「そんなっ。私たちなんて」

敷波「扶桑さんたちが抑えこんでくれたからこそ小回りの効くあたしたちが取れたようなものですし……」



残った駆逐艦たち『じー』イイナァ



扶桑「……山城」チラッ

山城「……えぇ。その、たくさんあるしみんなも食べる……? 私と扶桑姉さまは一口食べられれば十分幸せだから」


ヤッター!!!



山城「こう言うのも幸せのカタチでしょうか」クスッ

扶桑「もちろん。これ以上の幸せなんてないわね」ニコニコ


195: 2015/02/05(木) 00:30:23.08 ID:yzsPM0Jh0

川内「それじゃあ、節分のもう一つのお楽しみ。ご馳走タイムです! みんな残さず食べてね」



イタダキマース!



叢雲「あー……悔しい悔しい悔しい」ブツブツブツ

白雪「ま、まあまあ叢雲ちゃん。結果的に取れなかったけど、善戦はしたし、ね?」

涼風「そーそー。むしろ一口でも食べられるだけめっけモンだと思えばいいじゃん」

叢雲「あれだけの戦力を投じても仕留められなかったなんて……! 私もまだまだだわ」

吹雪「でも、やっぱり武蔵さんはすごいね。私たちが連携しても敵わないんだもん」


武蔵「……ん? 私はお前たちとは対峙してないぞ?」モグモグ

磯波「えっ、武蔵さんではなかったんですか?」

武蔵「ああ。途中で相手をしたのは綾波や古鷹たちだったな。最終的に私を仕留めたのは扶桑たちだ。そういう意味では私もまだ戦艦として未熟であるがな」

五月雨「じゃあ、あれは提督だったんですか?」

提督「確かに最初に当たったのは俺だったな。でもたぶんみんなが言ってるのは違うと思う。ほとんど深雪たちに追い回されてたし」

叢雲「あれ、あんたじゃなかったの?」アレ?


利根「そう言えば、誰か序盤でもうリボンを取られていたが、あれって誰だったのじゃ?」

武蔵「序盤? では私ではないな」

提督「ああ。俺でもない」

筑摩「えっ? 二人とも違うんですか?」

武蔵「そんな簡単に捕まるほどヤワではない」

提督「どちらかと言うと鬼ごっこになってたからなぁ。結構逃げまわってたはずだよ」

利根「じゃあ誰だと言うんじゃ。吾輩がリボンを見逃すはずなどないぞ」

筑摩「私もいたので間違いないですねぇ」


196: 2015/02/05(木) 00:35:14.24 ID:yzsPM0Jh0

時雨「確認したいんだけど、武蔵と提督は近くで逃げ回っていたの?」

提督「いや、武蔵は一階で俺はニ階にいた。俺が一階にいたのは最初だけかな」

時雨「武蔵が白露たちから逃げ切った後に反対側にもう一人鬼役の人を見かけたんだけど、それが提督だよね?」

提督「うん……? そんなの見たかな」

村雨「フラッと出てきて、そのまま歩いて行ってましたけど」

春雨「ですです」コクコク

提督「……俺、そんなことしてないぞ?」

村雨「えっ?」

武蔵「見間違えではないのか?」

時雨「いや、そんな……はずは」


鳳翔「食堂に来られた方はどちらでしょうか? 私たちがちょうどパフェを作り始める時ですね」

提督「食堂? 俺は行ってないな。鳳翔たちが料理を作ってることは知ってたから」

武蔵「私もだ。いくら豆まきでも食事の場で走り回るのはマナー違反だろうからな」

大鯨「えぇっ。ふ、二人とも来られてないんですか?!」

翔鶴「では私たちが見た鬼というのは……?」



………………エ?

ジャア、アレッテ……ダレダッタノ……?






翔鶴「……あら、そういえば瑞鶴は……?」イナイ


197: 2015/02/05(木) 00:50:14.46 ID:yzsPM0Jh0

・---・オマケノ鎮守府:瑞鶴・---・


ザザーン

??『………………』

瑞鶴「………………」

??『………………』

瑞鶴「あのね。入り浸ってる私が言うのも変かもしれないけどさ。これちょっと危なすぎじゃない? ねぇ――」



――――――雲龍



雲龍「……バレちゃったのネ」カポッ

瑞鶴「お義姉ちゃんを甘く見ないことねっ。アンタの雰囲気は特徴的だからすぐわかったわよ。最初見た時は信じられなかったけどさ」

雲龍「このお面があれば大丈夫だと思ったんだけどなァ」

瑞鶴「そのお面どうしたのよ。まさかこのために作ったの?」

雲龍「提督の所からちょっト……ネ」

瑞鶴「提督さんが無くしたって言ってたのはこれかぁ。自分で全部終わるまで表出ないって言ってたくせに、こんな危ないことしてどうするのよー」

雲龍「ちょっと悪戯心が湧いちゃっテ……」

瑞鶴「……はぁ。と言うことは、提督さんや翔鶴姉ぇたちも知らないんだよね?」

雲龍「もちろン」

瑞鶴「バレてたらどうなってたことやら」

雲龍「最悪、本当に深海棲艦で通してたかモ? ほら、私って見た目が残ってるかラ」

瑞鶴「却下に決まってるでしょ。それに本当の意味で怖がらせてどうするのよ。最悪戦闘よ戦闘!」

雲龍「……ごめんなさイ」

瑞鶴「まあ、このコトは黙っておくけどさ。気をつけてよね」

雲龍「うン。……ねえ、瑞鶴姉」

瑞鶴「ん?」

雲龍「みんなと一緒にいるって、いいわネ」

瑞鶴「……そうね」

雲龍「今度は、みんなで節分やりたいワ。妹たちや、冬月たちも一緒ニ」



瑞鶴「――――あとで」

雲龍「?」

瑞鶴「あとで、翔鶴姉ぇや鳳翔さんたちとそっちに行くわ。そしたらやりましょ。ささやかだけど、豆まきを」

雲龍「っ……ありがとウ。瑞鶴姉」


鬼はそと 福はうちで おにもなか


198: 2015/02/05(木) 00:53:55.46 ID:yzsPM0Jh0
豆全然まいてないじゃんって言うのはナイショ
次回はまたコタツネタ

……明日はいよいよ五航戦がアニメに(?)
ネタバレを防ぐためにも夜までネットは絶っておこう

……沈まないよね?

199: 2015/02/05(木) 01:00:34.94 ID:fdiVHCdeo

翔鶴さんはこわいな


引用: 翔鶴「瑞鶴、あまり提督の邪魔をしちゃだめよ?」