385: 2015/03/15(日) 21:45:22.70 ID:CLN5otY60


前回翔鶴「瑞鶴、あまり提督の邪魔をしちゃだめよ?」【4】

・---・鶴タチノ休息・---・


『……私は、今も十分幸せですよ』

『ですから今だけはこうして一緒にいようと。むしろ同じ部屋や混浴は好都合かもしれませんね』

『もう少しだけ、こうしていてもいいですか?』

『……崩壊してもいいのに』

『提督は抱きしめてくれないんですか?』

『将来当たり前になるかもしれませんよ』



………………

…………

……



翔鶴「私は……勢いに乗ってなんてことを……!! 思い返すと恥ずかしいを通り越してはしたないわ」マッカッカ

瑞鶴「ん? どうかしたの翔鶴姉ぇ」

翔鶴「自分にあんな一面があったなんて今じゃ信じられない」ウン

瑞鶴「ねえ、だからどうかしたの翔鶴姉ぇ」

翔鶴「やっぱり提督と二人でいると気持ちが急いてしまうのかしら……」

瑞鶴「うん。なんだか分からないけどあの日絡みだってことは理解した」

翔鶴「……えっ? 瑞鶴、今なにか言った?」

瑞鶴「非情に興味深いことを口走ってたねぇ。恥ずかしいとか、あんな一面とか。ナニしたの?」

翔鶴「な、何もなかったわよ……?」

瑞鶴「いや、嘘はもうちょっと上手くつこうよ」


艦隊これくしょん -艦これ- 海色のアルトサックス(3) (角川コミックス・エース)

386: 2015/03/15(日) 21:50:50.28 ID:CLN5otY60

瑞鶴「それで、やっぱりあの日の夜に提督さんとなんかあったの?」

翔鶴「い、言いません。何もありませんでした」

瑞鶴「エOチな事とかあったんじゃないのー?」ニヤニヤ

翔鶴「ち、違いますっ」

瑞鶴「じゃあエOチなハプニングとかー」

翔鶴「あっ……ありません」

瑞鶴「じゃあエOチなイベントー?」

翔鶴「もぅ、どうしてさっきからずっとえ、……ぇっち、な事ばかり限定してくるの?」

瑞鶴「そりゃ普通のこと聞いてもしょうがないじゃん。私は絶対何かあったって踏んでるからね! あんなオイシイ展開で何もないなんてあり得ないよっ」

翔鶴「だ、だから何もないって」

瑞鶴「手を繋いだ、抱きしめた、キスをした、身体に触れた――――いっこもないの?」

翔鶴「そ、それは」

瑞鶴「それとも、更に進んでもう致しちゃったとか?」

翔鶴「いた……?! ず、瑞鶴ッ!」

瑞鶴「……まあ私も鬼じゃないからね。翔鶴姉ぇが嫌だって言うのなら聞かないよ。それに提督さんのことも信用してるしっ」

翔鶴「………………」

瑞鶴「と言うわけで翔鶴姉ぇ、喉乾いてない? 鳳翔さんからイイモノ貰ってきたんだー♪」ドンッ



大吟醸:鶴頃し『』ヒャッハアァァァァァァッ!



翔鶴「」

瑞鶴「たまには姉妹二人で一杯っていうのもいいでしょ? ……もっとも私はお酒飲んだことないけどね」



大吟醸:鶴頃し『』一番場内、高速進行オォォォォォォッ!



翔鶴さん、ぴーんち



394: 2015/03/17(火) 22:00:56.60 ID:Qi9G57O30

・---・アル日ノ鎮守府:瑞鶴・---・


瑞鶴「――と言うわけで、結局なんも覚えてなかったんだよねぇ」アシプラプラ~

提督「そうかー覚えてなかったのか―」サラサラ

翔鶴「………………」

瑞鶴「翔鶴姉ぇがお酒に弱いからこそって狙ったんだけどねー。気がついたら二人揃って布団に倒れこんでた」

翔鶴「私もお酒を飲み始めた所までは覚えているのですが……」

提督「にしても鶴頃しとはまた直球な名前の酒とはね。二人にしてみればまさにその通りになったわけだ」

瑞鶴「うん。私はやっぱりお酒はいらないかな。もしかしたら聞けたのかもしれないけどさ、覚えてないんじゃなーんの意味もないし」

提督「二人でひとビン全部開けたのか?」

翔鶴「半分くらいですね。残ったのは部屋に置いたままです」

提督「せっかくだから俺もどんなのか呑んでみたいな。もし要らないなら貰ってもいいかな」

翔鶴「はい。では後ほど持ってきますね」

提督「今日は雨上がりのいい天気だからな。花粉が少し気になるが夜にはイイ月が見られそうだ」

瑞鶴「私はお茶かラムネでいいかなー」


395: 2015/03/17(火) 22:05:57.72 ID:Qi9G57O30

瑞鶴「でさ、提督さんと翔鶴姉ぇって一緒に寝たの?」

提督「ここで俺たちに聞くか」

瑞鶴「搦手がダメなら直接聞くしかないでしょ?」

翔鶴「もういいでしょう瑞鶴」

瑞鶴「だって気になるんだもんー」ブーブー

提督「じゃあハッキリと言ってあげようかな。俺は翔鶴と寝ました」キリッ

翔鶴「て、提督?!」

瑞鶴「うはっ。ついに提督さんと翔鶴姉ぇのカンケイが明らかになった!」

提督「更に言うならば部屋も同じ……まあ一緒に寝たんなら分かることだけどな」

翔鶴「ううぅ……」マッカ

提督「なんせ本来翔鶴が使うはずだった部屋が不具合で急遽使えなくなってしまってなぁ。他に部屋も空いてなくて仕方なく一緒に寝てもらったんだ」

瑞鶴「うんうんっ……うん?」エ?

提督「だからちゃんと布団も二組敷いてあったんだぞ。なあ翔鶴」

翔鶴「えっ? あ、はははい!」コクコク

瑞鶴「じゃ、じゃあ一緒に寝たってのは……」

提督「そういう事になるね。寝不足だったのは温泉入ってて時間的に遅くなったのと布団に入りながら話してたからな。なんだか学校の修学旅行を思い出したよ」

瑞鶴「……なぁーんだー。結局ナニもなかったのか―」ツマンナイー

提督「期待に沿うようなことはないぞ」

瑞鶴「ちぇーっ。面白くなぁい。せっかくの機会だったのに、提督さんも男見せないと!」

提督「海軍軍人は常に紳士たれ、ってのはいい言葉だと思う」

瑞鶴「はぁーっ。こりゃあまだまだ時間かかりそうな予感だよ」ヤレヤレ


嘘はついてませんネ


404: 2015/03/19(木) 22:05:47.41 ID:0X1t0frm0

・---・コンナノデキマシタ・---・



――――ドドーンッ!



偵察妖精1『鳳翔さんの部隊、全弾命中です』

偵察妖精2『優勝はこれで決まりなのです』

偵察妖精3『と言うか急降下爆撃の的は全部同じ所にあたってるので見た目的には一発なのです』



オメデトーデス!!



鳳翔「あらあら」ニコニコ

瑞鶴「むむぅ。今回こそは行けると思ったんだけどなあ」←二発外れた

翔鶴「やっぱりまだ鳳翔さんには敵わないわね」←一発外れた

大鯨「はい……。そしてやっぱり最下位は私ですかぁ」トホホ

鳳翔「大鯨さんはまだ空母としての日が浅いですからね。初めから上手い人はいません。私もお手伝いするので頑張っていきましょう」

大鯨「と言うことは昔は鳳翔さんも……?」

鳳翔「もちろんです。航空隊の皆と切磋琢磨したからこそ、こうして結果となって実を結んでいます」

大鯨「なるほど。が、がんばりますっ!」

瑞鶴「全部同じ所に当てるとか、一体どれだけの訓練を積んだらなれるんだろう」ウムム……



九九妖精『』フンスッ

九七妖精『』クルクルクル



鳳翔「うふふっ。本日もお疲れ様でした」ナデナデ



補足:鳳翔さんは彩雲を例外として、意図的に零式ニ一、九九艦爆、九七艦攻を使用しています ただし練度は他所で言うFanatic
   詳しくは前スレ最後の方を参照のほど……


405: 2015/03/19(木) 22:10:52.04 ID:0X1t0frm0

瑞鶴「もうこうなったら練度よりも火力に走った方がいいかもなあ」

翔鶴「火力?」

瑞鶴「多少命中率が悪くても、当たれば一撃で仕留められる程の大火力! 80番よりも威力のある爆弾とか魚雷とかさ。例えるなら41センチ砲に対する46センチ砲みたいなやつ」

大鯨「扶桑さん達や武蔵さんの……。確かに訓練で見るあの威力は凄いですよね」

瑞鶴「でしょ? だから私もそんなの欲しいなーって」

翔鶴「確かにそれはありかもしれないけれど……」ウーン

鳳翔「そう言えば、瑞鶴さんたちが真珠湾で使った80番は長門さんの41センチ砲弾を加工したものでしたよね」

瑞鶴「5号ね。実際に使ったのは戦艦を狙った赤城たちの組だけど」

翔鶴「私たちは練度の問題もあって、主に飛行場や小型艦艇への攻撃でした」

瑞鶴「だから実際に私たちがアレを使ったことってないのよねぇ。最も今はまた別だけど」

鳳翔「あ、あらあら……。失礼いたしました」

大鯨「でっでも、同じことを考えると46センチ砲弾でも加工すれば作れるってことですよねっ? もし完成すれば威力も高いのでは……?!」

瑞鶴「でしょでしょ。妖精さんに頼んだら作ってくれるかな?」

翔鶴「ちょっと瑞鶴。そんな勝手なことしたらダメよ」

瑞鶴「えぇー。ちょっとだけだから、ね? いいでしょ翔鶴姉ぇ」オネガイー

翔鶴「でも……」

瑞鶴「お願いお願い、おねがーいっ!」ネ?

鳳翔「せっかくですから提督に話してみては如何でしょうか。この事は私もちょっと興味あります」

大鯨「私もありますっ!」



九七妖精『』キラキラキラッ☆



鳳翔「この子たちもですね」

翔鶴「鳳翔さんたちまで……。わ、分かりました。では汗を洗い流したら聞いてみましょうか」

瑞鶴「やたっ! じゃあ急いでシャワー済ませなきゃ」タタタタッ

翔鶴「あ、瑞鶴……! もぅ」

鳳翔「ふふ。瑞鶴さんはやる気満々みたいですね」


406: 2015/03/19(木) 22:16:14.08 ID:0X1t0frm0

―執務室―


提督「ん? 46センチ砲弾を爆弾に改造したいって?」カミノケ マダ ヌレテルゾ

瑞鶴「そう! 目指せ"46センチ砲爆弾"」イイノッ

提督「砲なのに爆弾とはこれ如何に……は置いとくとして。一体急にどうしたんだ?」

翔鶴「私たちが普段使っている爆弾や魚雷よりも威力のあるものは作れないかという話になりまして」

鳳翔「それで、41センチ砲弾から作れたのなら46センチ砲弾でも出来るのではないか、と」

提督「ふーむ。どうしたものかな」

大鯨「や、やはりダメでしょうか」

提督「ダメとは言わないよ。ただなんともタイミングがいいと言うかな。ちょうどこんな情報があるんだ」ハイ

瑞鶴「あ、今月の艦隊広報」

提督「なんでも前線には新型の深海棲艦が多数目撃されてるらしい。そのどれもが重武装・重防御で、通常の攻撃ではなかなか通らないとか」

鳳翔「そう言えばそんな事も書いてありましたね」

提督「うちにはあまり縁がない話かもしれないけれど、この先も無いとは限らないからな。いざという時に歯がたたないんじゃどうしようもない」

翔鶴「では、改造の許可をいただけるんですか」

提督「まずは試しでってことで。妖精さんが作れるかもあるし、効果があるかも試してからだな。その範囲でなら……うん。許可しよう」

瑞鶴「いよっし!」グッ

大鯨「良かったですね、瑞鶴さんっ」

提督「妖精さんには俺の方から話をしておくから、完成したら誰か試験を――――」



ガチャッ


工廠妖精1『そんなこともあろうかと!』

工廠妖精2『すでに手は打っていたです!』

工廠妖精3『パパパッパッパッパ、パァウァー!!』

工廠妖精4『Power is everything』



『?!』ビクッ


407: 2015/03/19(木) 22:20:47.88 ID:0X1t0frm0


提督「て、手を打っていた……?」エ?



工廠妖精1『はいです。もう完成してるです』フンスッ

工廠妖精2『私たちにかかればそんなのはオチャノコサイサイです』フンスッ



瑞鶴「ってことはもうすぐにでも使えるってこと?」



工廠妖精1『モチの』

工廠妖精2『ロンです』



瑞鶴「やったあ! それじゃあ早速沖に出て試験開始よっ」

大鯨「はい! 頑張りましょう」ワクワク

提督「せっかくだから俺も見に行こうかな」



ワイワイガヤガヤ……



………………

…………

……




鳳翔「……あら? そう言えば」

翔鶴「鳳翔さん。どうかしましたか?」

鳳翔「え、えぇ。今更になって思ったのですが、46センチ砲弾って重さはどれくらいなんでしょうね? 41センチで80番相当となると46センチでは重量過多になりそうで、その……飛べないかもと」

翔鶴「あ」ソウイエバ

鳳翔「な、なんともなければそれで良いのですが……ね」アハハ……


もちろん飛べませんでしたとさ


413: 2015/03/22(日) 15:10:29.81 ID:80zCfcxd0

・---・アル日ノ鎮守府・---・


提督「平和だなあ」

瑞鶴「ねー。何もすることがない休日の昼下がりって感じ」

提督「今日は天気もいいし、外出するにはもってこいの日和だよ。でも俺は鎮守府から出られないけどな」

瑞鶴「私も同じく―」

提督「何事も無く淡々と一日が過ぎていく。うん。イイ日だ」

瑞鶴「このご時世でそんな事考えてるのって提督さんだけだと思うなー」

提督「だよな」ウン

瑞鶴「私としては出撃とか出撃とか、演習とか演習とか……」

提督「ついこの前までの極限状態と比べればだいぶ余裕もできてきたし、みんなの不満もたまってる。通常モードに戻すのもアリかな?」

瑞鶴「そうしようよー。もう退屈すぎて頭からキノコ生えてきそう」ダルーン

提督「なんだそりゃ」

瑞鶴「それだけ退屈なの―」

提督「俺が不甲斐ないばっかりに申し訳ない」

瑞鶴「じゃあ頭撫でて」ン

提督「仰せのままに」ナデナデ

瑞鶴「んー、癒やされる」キラキラ

提督「そうか? 男の手だぞ?」

瑞鶴「いいのー」

提督「さいですか」ナデナデ

瑞鶴「はぁー。今日はこのあと何してよっかなー」ゴロン

提督「……そう言いながら俺の脚を枕に寝転がるな。この状態でも頭を撫でてればいいのか?」

瑞鶴「んー」ゴロニャーン



ガチャッ



翔鶴「あの、提督……」

提督「おかえり翔鶴。どうした、なんか妙な顔して」

翔鶴「いえ、あの、それが……」

瑞鶴「んー?」ムクリ



翔鶴「作戦命令書が、届きました」




――――発動 渾作戦




420: 2015/03/25(水) 21:05:13.71 ID:MmwG8kZf0
注意:独自要素の塊につき、以下の内容に嫌悪感のある方回避推奨
(オリジナル展開・<現状>オリジナル艦娘・ご都合主義)




・・-・・渾沌トシタ海原ニ煌メク月ノヨウニ・・・




――今度こそ、今度こそ私は護りぬいてみせる。絶対に――






提督「………………」

翔鶴「………………」

瑞鶴「………………」



渾作戦命令書概要:○月△日ヨリ、作戦本隊進軍支援ノタメ敵部隊ニ対シ遊撃部隊ヲ以ツテ陽動作戦ヲ実施セヨ
         敵ノ目ヲ引キ付ケ戦力分断オヨビ誘導セシメルコトヲ第一トシ、陽動ノ成功ヲ期待ス



提督「指令書だな……」

翔鶴「そう、ですね」

瑞鶴「うわーここに来てから初めて見たかも」

提督「俺もここに来て初めて見たな」

翔鶴「私もですね」

瑞鶴「………………」エー


421: 2015/03/25(水) 21:10:21.16 ID:MmwG8kZf0

提督「作戦自体は予定通りだったが、まさかウチからも戦力を出せとはなぁ。こっちは正直想定外だった」

翔鶴「命令書を見る限りでは作戦支援のためみたいですね」

瑞鶴「これ、支援っていうか陽動……囮よね?」

提督「下に書いてあるのが本筋っぽいけどな。本隊の安全な進軍のために敵前で声高に叫んで敵艦隊を釣り上げろってことだろう」

瑞鶴「敵艦隊の釣り上げ……なんかイヤな事思い出すなあ」エンガノ

翔鶴「作戦支援のため、と言うのはわかりますが……」

提督「別にハッキリ言っていいぞ?」

翔鶴「その、まるで捨て駒のような感じがします」

提督「するっていうかまんまだろうね。被害が出ようがとにかく目立ってくれってことだろうし」

瑞鶴「もともと期待してないから上手く行けば儲けもの、みたいな?」

提督「アレの考えそうなことだよ。反吐が出るな」



翔鶴「それで提督。如何がいたしますか?」

提督「如何もなにも命令だからね。出ろと言われたからには従わにゃならん」

翔鶴「し、しかし……」

瑞鶴「んーますますアノ事が頭に過るわね。うん。あんまり気分良くないわ」

提督「……まあ、安心してくれ。俺はバカ正直にこの命令に従うつもりはない。軍人たるもの、やはり出るからにはしっかり戦果はあげてこようじゃないか」

翔鶴「いいんですか?」

提督「構うもんか。釣り上げろとは書いてあるけれど戦うなとは書いてない。書いてないってことはやってもOKと言うことだ」

瑞鶴「それって屁理屈って言うんじゃないかなあ」

提督「応用力があると言って欲しいな。とにかく、うちは戦って誘き寄せる方法で行こうと思う。いいかな」

翔鶴「私は問題ありません」

瑞鶴「やっぱソッチの方がいいわよね」



422: 2015/03/25(水) 21:15:10.13 ID:MmwG8kZf0

瑞鶴「と言うことは、いざ接敵となれば全力でやっちゃう感じ?」

提督「敵本隊までを狩ることはしないがね。さすがに命令そのものを無視する訳にはいかないから、目的の第一は囮で行くさ」

瑞鶴「ざーんねん。でもまあ動き回れるだけいいかな」

提督「それで翔鶴。今回の編成についてだが……」

翔鶴「主任務は囮ですので、ある程度の規模の方が誘引と言う面からすれば効果的かと思われます」

提督「となると最大で主力級か」

翔鶴「はい。扶桑さんを中心とした打撃艦隊、私たちを中心とした航空艦隊が"撒き餌"としてより引き付けやすいかと」

提督「……囮で出てくれって言ったら山城あたりにどやされそうだ」

瑞鶴「あとは水雷戦隊って手もあるんじゃない? ちょっと規模は小さくなるけど、古鷹や川内たちだったら足も速いし」

提督「ふむ。姉妹間の連携に富む古鷹たちなら昼間さんざん引っ掻き回して夜戦で派手にやるなら大いにありだな。夜戦限定なら川内たちが凄いことになるか」

翔鶴「せ、川内さんですとわざと夜戦まで延ばしそうですね……」

瑞鶴「あーでも、肝心の資源ってどうなの? せっかくの出番なのにまた動けない戦えないとかだったら意味ないし」

翔鶴「現在の資源備蓄は最大時の六割程となっています。瑞鶴の言うような戦闘についても、ある程度まとまった戦力でも余程のことがない限り対応できますね」

提督「わかった。編成についてはもうちょい詰めようと思うからいくつか候補を出していこうか」

翔鶴「はいっ」

瑞鶴「囮って響きは嫌だけど、戦闘なら望むところよね。やってやろうじゃない!」





??「………………」


432: 2015/03/27(金) 21:10:21.99 ID:m1tDodF70

―翌日―

提督「みんなおはよう」



オハヨウゴザイマース!



提督「早速だが聞いてくれ。この鎮守府にもついに大規模作戦への出撃命令が来た」



ザワザワザワッ



扶桑「大規模作戦への……」

山城「出撃命令……」ゴクリ

武蔵「ほぅ」ニヤリ


川内「大規模作戦って言ったら、当然夜戦は付きものだよね!」ワクワク

夕立「素敵なパーティー、よりどりみどりっぽい!」

深雪「ッしゃあ! ついに深雪スペシャルの本領を発揮する時が来たぜッ」



提督「ちなみに我々に課せられた命令は陽動……つまりは囮だ」



――――ピタッ


433: 2015/03/27(金) 21:15:14.00 ID:m1tDodF70

神通「陽、動……?」

川内「あれ、最近じゃ夜戦のこと陽動って言うんだっけ?」

那珂「まず間違いなく言わないんじゃないかな」

叢雲「朝から頭痛くなってきたわ……」ハァ



提督「最前線にて敵の部隊を刺激して、戦力を釣り上げて攻略本隊の進軍を援護するのが目的となる」



ザワザワザワ……



時雨「……と言うことは、戦闘よりもわざと見つかるように騒ぎ立てる方が重要みたいだね」

村雨「釣り上げってことは、意外と戦力よりも素早さを求められてるのかも」

涼風「んじゃほとんど戦闘はしないって感じかぁ」

川内「戦闘しないってことは夜戦もない……」ジャアイイヤー

夕立「ソロモンの悪夢はお預けっぽいー」ツマンナイッポイー



ナーンダァー
ソレダケカァ
ジャアドウデモイイカナー



敷波「……こんな空気が許されてるの?」

綾波「ま、まあまあ」ネ?



434: 2015/03/27(金) 21:20:26.73 ID:m1tDodF70


提督「――まあみんなが言いたいことは分かるが、内容はともかくとして命令が来た以上出ない訳にはいかない。そこで今作戦への出撃編成についてだが……」



提督「まず鳳翔――――陽動部隊旗艦として全体への指示を頼む。艦載機を活かしての対潜哨戒も行ってくれ」

鳳翔「……はい。かしこまりました」

提督「続いて、神通――――砲雷撃戦時の切り込み隊長かな。麾下の駆逐艦とともに戦闘及び対潜任務に当ってくれ」

神通「っ。……了解いたしました」キリッ

川内「神通ガンバ~」フリフリ

那珂「川内ちゃんあからさまにやる気なくなったね―」

提督「神通の麾下に入るのは、吹雪。頼んだぞ。作戦中は神通や鳳翔の指示に従って動いてくれ」

吹雪「は、はい!」

提督「そして最後に――――瑞鶴」

瑞鶴「……へっ? ここで私?」

提督「ああ。鳳翔には対潜哨戒を主任務としてもらうので、索敵と敵艦隊への先制攻撃は瑞鶴が頼りだ。よろしく頼んだぞ」

瑞鶴「う、うんっ。わかったわ!」

提督「以上が陽動部隊の編成だが、それに加えて――――今回は俺自身も出撃する」



ヘー、提督モ出ルンダー
囮ナノニネー
モノズキダネー
ネー



………………



『えぇーッ?!』ザワザワッ!!


440: 2015/03/28(土) 14:00:52.65 ID:3bnTq0Ru0

古鷹「て、提督ご自身も出撃されるんですかっ?!」

那珂「いくらなんでもムチャクチャじゃないかなっ?」

白露「そーだそーだ」

夕立「それなら夕立も一緒に行くっぽい!」



ギャーギャー!!



武蔵「まあ待て皆。そういっぺんに騒ぎ立てては話が進まんではないか。ここはこの武蔵に任せてもらおうか――――提督よ。二三質問があるがいいかな」

提督「ああ。なんだ」

武蔵「まず皆が疑問に思った提督自身の出撃。私は新参者ゆえここの勝手は把握しきれてないが、反応を見る限りよくあることではなさそうだ。囮任務になぜ提督まで出る必要がある?」

提督「簡単に言えばみんなを守るため、かな。もっとも戦場じゃ俺が護って貰う完全お荷物な立場だが」

利根「守るじゃと? どう言うことじゃ」

提督「攻略本隊にとって陽動部隊は無視できる存在じゃない。自分たちの進軍がかかってるからな。となると自分の都合に合わせて動いてもらいたいものだろう? 例えこちらが損害を受けていたとしてもだ」

筑摩「まさか陽動部隊を犠牲にしてでも進軍する可能性がある、とでも……?」

提督「ないとは言えないだろう? みんなの中にはかつてソレを身をもって経験した者がいるはずだ」


扶桑「………………」

山城「………………」

時雨「………………」

瑞鶴「………………」

武蔵「むぅ」


提督「何も被害怖さに囮を演じないとは言わない。でも勝手に他所の指揮下に置かれて無闇に被害を受けたら無駄骨、沈んだら犬氏もいいところだ。その点俺が一緒ならゴリ押してでも話をつけることができると言うわけだ」


441: 2015/03/28(土) 14:05:42.37 ID:3bnTq0Ru0


武蔵「……なるほどな。まあ提督が出る理由は理解した。しかし危険なことに変わりないな。我々は艦娘だが提督は人間なんだぞ」

提督「まあそこはみんなに迷惑をかけるかも知れないが……うん」



鳳翔「ご安心ください。私たちがいる限り提督には弾一発と当たらせはしませんから」

神通「陽動任務も提督の護衛も、完遂してみせます」

吹雪「私たちにお任せください!」

瑞鶴「そうね。幸運艦の真髄を提督さんにも見せてあげよっかな―」

提督「――――だそうだ」



武蔵「ふっ。そうまで言われてはもうどうしようもないな。では二つ目の質問だが、今回の編成の意図はなんだろうか。軽装機動部隊とも取れるが、直掩艦が少なすぎるし些か艦種の纏まりにも欠けると思うが」

提督「うん。まあ最初は足の速い水雷戦隊や囮として魅力的な主力隊の投入も考えたんだが……率直に言うと、まとまった戦力を動かす資源がない」

武蔵「………………」ピクッ

川内「うわ、切実」

那珂「現実ってキビシイねー」

叢雲「情けなすぎて涙も出ないわ」

提督「正確には無くはない。これまでみんなが遠征を頑張ってくれたおかげでほぼ全盛期並みに回復したと言ってもいいだろう」

武蔵「……では、何故だ?」

提督「実はこれは箝口令が出てるんだが……先に行われた味方主力部隊を中心としたAL/MI作戦。作戦自体は大成功に終わったんだが、その帰り道に本土近くで敵の大規模な機動部隊と遭遇したんだ」

武蔵「なんだと? 敵艦隊の接近を許していたのかッ?」

提督「幸いにして主力部隊がたまたま放っていた連絡機が早期発見したおかげで撃破し事なきを得たが……一歩間違えば戦勝に湧いた所に本土空襲を許して大変なことになっていたかもしれん」

古鷹「でも何故そんな大部隊が本土近くまで、それもちょうど主力艦がいない時に――――って、まさか」

提督「どうもアチラさんに我々の暗号が解読されている節がある。でないとあんな都合よく合間を狙うなんてできっこない。それくらいタイミング的には良すぎたんだよ。もっとも上は偶然と取り付く島もなく一蹴したがな。なんせ認めたら責任問題は自分たちに来るから」


442: 2015/03/28(土) 14:11:03.49 ID:3bnTq0Ru0

武蔵「……無能めが」チッ

提督「まあ最も、お茶を濁したのかすぐに"当初の予定通り暗号改正と言う名目"で暗号が変わった。だからもう大丈夫だと思うが、今回も攻略本隊は全力で出る。当然早い段階で察知されるだろうから強襲と言う名の二度目があったって不思議じゃない」

武蔵「つまり残った我らは本土防衛のための切り札、と?」

提督「うん。今回の作戦に重巡以上と翔鶴を連れて行かないのもそのためだ。本当は瑞鶴も防衛に回したいが……一応空母二人ずつに分けるからなんとかなるだろう。みんな俺がいない間は翔鶴の指揮で動いてくれ」

翔鶴「提督不在の間は、すべての遠征任務を中止し交代で索敵・哨戒を行います。編成についてはまた後ほど発表しますね」



利根「(ほうほぅ。となると決め手となるのはやはり索敵! ここは索敵も攻撃もこなせる我ら利根型の本領発揮と言ったところかのぅ)」

川内「(出撃と違って防衛なら近い分戦う時間も長いはず。となると念願の夜戦も――――ッ!)」

白露「(敵を見つけたら真っ先に突撃するのはきっと駆逐艦! そしてこのあたしが一番乗り、いい響きよね~っ)」

夕立「(ソロモンの悪夢って意外と近くにあったっぽい? 夕立頑張ったら、あとで提督さんにたくさん褒めてもらえるっぽい?!)」



ズゴゴゴゴゴゴゴ……



敷波「……なんだろ。なんか周りから邪なオーラが漂ってくるような」

綾波「?」



提督「とにかく、これはこの鎮守府始まって以来の大規模作戦参加だ。もしかしたら防衛側の方が激戦になるかもしれない。残った皆も気を引き締めて哨戒にあたってほしい。武蔵、他に質問はあるか?」

武蔵「いや、もう大丈夫だ。提督が留守の間はこの武蔵が皆を守る盾となり敵を倒す鉾となろう」

提督「よろしく頼む。他に誰か質問はあるか? ――――ないようならこれで締めよう。以上だ」



『はーいッ!!』←思惑のある者達の元気な返事



提督「あ、作戦参加者は申し訳ないがこの後も残ってもらえるか。詳細を伝えるから」


443: 2015/03/28(土) 14:16:19.27 ID:3bnTq0Ru0


・・-・・・・-・・・・-・・


提督「――さて、関係者だけになった所で本当のコトを打ち明けるとするかね」

瑞鶴「へっ? 本当のって……さっきは違うの?」

提督「翔鶴、ドアに鍵はかかっているな?」

翔鶴「はい。大丈夫です」

提督「今回の作戦、囮を演じるのは本当だ。この通りちゃんと正規の命令書もきてる。ただみんなには裏方及び敵味方両方の囮役になってもらいたい。6人の艦娘たちのために」

瑞鶴「6人……? えっ、それってもしかして」

鳳翔「この人選を聞いた時にまさかとは思いましたが、そういう事でしたか」

提督「うん。この作戦に真の意味で参加するのは俺たちじゃない。本人たちの強い希望によって雲龍たち第三艦隊だ。つまり俺たちは第三艦隊の影武者かエスコート役と言うわけだな」

神通「雲龍さんたちが……」

翔鶴「鳳翔さんたちには通常通りの囮を演じて頂きながら、万一に備えて攻略本隊より雲龍さんたちの存在を秘匿しきって頂きます」

瑞鶴「なるほど。つまり囮の囮ってコトかぁ」


瑞鶴「(て言うか命令書来たのって昨日よね? それでこの展開ってあれから一体何があったのか)」ムムム


提督「どこから仕入れてきたのか知らないが、俺よりも早くこの作戦のことを察知しててなぁ。命令書が届いた夜に全員で直談判に来たよ」

吹雪「そ、そうだったんですか……」スゴイ

提督「本来だったらダメって言う所なんだがなぁ。これならどうだとばかりに資源を出してきた。鎮守府の備蓄資源は彼女たちナシには語れないからダメとは言えなかったんだよ」

瑞鶴「まさにワイロ……何があの子たちをここまで駆り立てるのか」

翔鶴「さ、さあ……。たぶん、かつての鬱憤かなぁ?」

提督「俺が出るのも本当の所はソレなんだ。最初は翔鶴に頼もうと思っていたんだが、本土のことも考えると戦力を減らしたくなかった。残った皆への指揮の問題もあるからな。……夏に瑞鶴に打ち明けたことがこんな所で生きてくるなんてなぁ」

瑞鶴「ふふん。伊達に執務室に入り浸ってないもんねっ!」フンスッ

翔鶴「何度も言ったけれど、あまり褒められたことではないのよ瑞鶴」


444: 2015/03/28(土) 14:20:44.50 ID:3bnTq0Ru0


提督「そしてもう一つオマケの情報だ。先に本土に接近しかけた敵機動部隊だが、報告上は攻略隊の戦果となってるが事実は違う。すでに満身創痍だった状態に介錯しただけだ」

瑞鶴「あ、なんかもうオチが読めたかも。ソレも実際は雲龍たちがってことでしょ」

提督「その通り。いつもの襲撃帰りに発見したらしくてな。まあ装備の差でもって一方的に叩いていたんだが、間が悪いというかそんな時に攻略隊が帰って来たものだから強制的に切り上げて撤退したらしい」

鳳翔「戦闘中でも己の枷を忘れず冷静に行動できる。あの子たちはもう立派に一人前ですね」

提督「立派になりすぎて大規模戦闘に参加したがるようにもなってしまったがね」

吹雪「わ、私も冬月ちゃんたちと話しますけど、なんだか最近白雪ちゃんに似てきたと言うか……弾幕がどうとか速射性がどうとか」

提督「頼もしいがこの先も隠し通せるか心配でしょうがない……」ハァ

翔鶴「あはは……」

提督「と、そう言えば翔鶴。第三艦隊の現在の状態はどうなってるかな」

翔鶴「はい。雲龍さんたち第三艦隊は現在整備、補給を終えて待機中です。出撃が深夜なのでお休み中かと」

提督「わかった。それじゃあ鳳翔たちも時間まで準備と休憩に入って構わない。ここへの集合は二二○○。出撃はその三十分後に秘密ドックからだ。よろしく頼むぞ」



『はいっ!』



渾作戦陽動部隊参加艦

・提督(非戦闘艦座乗)
・陽動表本隊:鳳翔(旗艦)、瑞鶴、神通、吹雪
・陽動裏本隊:雲龍、天城、葛城、冬月、夏月、花月



450: 2015/03/30(月) 21:55:14.50 ID:b4WmUhPI0


―――― 二二三○ 母港秘密ドック ――――


妖精1「出撃準備急ぐです」

妖精2「出撃準備よ~そろ~」

妖精3「もやいを解くです」

妖精4「連絡電話線切り離しちゃいます」


パタパタフワフワ……


鳳翔「総員整列」



ザッ



鳳翔「提督、全員揃いました。いつでも出撃可能です」

提督「ありがとう鳳翔。しかしまあ、このメンバーで揃うのもなんだが不思議な感じがするな」

鳳翔「そうですね。特に出撃前ですから尚更でしょうか」クスッ

提督「まさかウチでこんな事をやるなんて思いもしなかったよ。やっと"らしく"なったのかもな」

鳳翔「うふふっ。かもしれませんね」ニコニコ

提督「それと……雲龍、その日の丸ハチマキはなんだ? 第三艦隊はみんなお揃いみたいだが」

雲龍「こレ? せっかくだから作ってみたノ。戦って感じするでショ?」

天城「すみませン提督……。雲龍姉様がどうしてもト言うものですから」←でも嬉しそう

提督「ダメとは言わないさ。気合入れるのはいいが、本来の目的が陽動ってことは忘れないでくれよ」

雲龍「見敵必殺。派手に暴れて敵艦隊をおびき寄せればいいのよネ?」

提督「oh... お願いだから悪目立ちだけは止めてくれよ」

雲龍「善処するワ」

天城「わ、私たちモ注意しますので……」

瑞鶴「もういっそ露払いのごとくやっちゃえばいいんじゃないかなー」

提督「はぁ~。まぁいいか……。この方が普段のうちっぽいよ。それじゃあここで長く喋ってるのもアレだからそろそろ行くか。翔鶴、あとのことは頼んだよ」

翔鶴「はい。秘書艦翔鶴、鎮守府での指揮を引き継ぎます。提督も皆様もお気をつけて……ご武運を!」ビシッ

瑞鶴「うんっ。翔鶴姉ぇもね!」ビシッ

雲龍「夜明けまでは私たちが提督のフネを護衛するワ。大型空母に乗ったつもりでいてちょうだイ」

天城「提督のフネにハ指一本触れさせません!」

提督「よし、では陽動部隊出撃だ」



妖精1『出港です』

妖精2『両舷微速前進。出だしは寝台特急の如くゆっくりとです』



ザザザザザ……



翔鶴「皆さん、どうかお気をつけて……」


451: 2015/03/30(月) 22:00:41.30 ID:b4WmUhPI0


………………

…………

……



瑞鶴「なんだろうなぁ。もう今度から出撃はこのフネで行けばいいんじゃないかなー」ダルーン

神通「ず、瑞鶴さん……っ」オロオロ

鳳翔「まあ、瑞鶴さんが言わんとしていることはわかりますが……」

吹雪「出撃してすぐなのにもの凄い力の抜け方ですね」

瑞鶴「どうせ敵さんなんてすぐに出てこないでしょ? 交代はまだだから今のうちに休んでおかないと。ね、提督さん」

提督「本来の用途は艦艇間とかの短距離移動用、つまり外海を航行するのには速力・航続力共に極めて不向きな"ハズ"のフネなんだけどなー」コレ

瑞鶴「やっぱり妖精さん?」

提督「何をどうやったか検討もつかないが、サイズにして倍以上になったな。短艇どころかもはや立派なフネだし。他にも各種外洋航行能力が飛躍的に増したらしい。残念ながら武装はないが、電探はあるから索敵もある程度はできる」

瑞鶴「それってもう別物って言うんじゃあないかな。元は内火艇なんでしょ?」

提督「だよなぁ。まあ操船も妖精さんがやってくれるからこちらはこうしていられる訳だがね」

瑞鶴「オマケに狭いながらも台所にお風呂に仮眠室付き。うんっ、至れり尽くせりよね。このソファーも執務室のみたいにフカフカだしー」ゴロン

提督「……そう言いながら俺の足に頭を乗っけるのは何故かね」

瑞鶴「いいじゃーん。提督さん頭撫でてー」ゴロニャーン

提督「しょうがないなぁ」ナデナデ

鳳翔「あらあら、まあまあ」ニコニコ


神通・吹雪「(いいなぁ……)」


神通「で、でも提督……。私たちは外で警戒していなくても、いいんでしょうか?」

提督「今は雲龍たちが夜間哨戒中だから大丈夫だ。その代わり交代の時間になったらよろしく頼む」

神通「は、はい……!」

吹雪「それにしても、艦娘である私たちがフネを使うってなんだかおかしな感じがしますね」

瑞鶴「いいのいいの。着艦した艦載機の気持ちになってのんびr――――



ドドーンッ!!



『?!』


452: 2015/03/30(月) 22:05:13.80 ID:b4WmUhPI0

ドドドーンッ!!


瑞鶴「な、なにっ?」ガバッ

提督「敵襲か?」

神通「甲板へ出ます。吹雪、続きなさいッ」ダッ

吹雪「は、はい!」タタタ……

提督「さすが深海棲艦。少しでも外海に出たらそこはすでに奴らの庭ってか。夜とは言え幸先良くとは行かなかったな」

鳳翔「どうやら爆撃や砲撃ではないようですね。それに誰かに直撃したわけでもないようです。音も連続して聞こえてきませんし、雷撃……? 潜水艦でしょうか」

提督「時間的にそうかも知れない。外の雲龍に連絡をとってみるか。――こちら提督。雲龍、今の音は何だ? 敵の攻撃か?」


雲龍『ザザッ――こちら雲龍。音探に感あリ。敵対行動を取ったため今冬月たちが対潜制圧を行ったところヨ』


提督「敵潜……。それで、仕留めたのか?」


雲龍『ザザッ――夜だから視認したわけじゃないけれド……音探に反応はなくなったわネ。それに魚雷を放った形跡もないワ』


提督「了解した。冬月たちにはありがとうと伝えておいてくれ。夜は潜水艦の時間だ。引き続き哨戒を厳に頼む」


雲龍『ザザッ――了解!』


提督「ふぅ。いつもみんなはこんな思いをしてるのかと考えると、本当に頭が上がらないなぁ」

瑞鶴「特に私たち空母は夜は艦載機飛ばせないからねえ。丸腰もいいところよ」

鳳翔「頑張れば飛行甲板を照らすなどして飛ばせないことはありませんが、得られる戦果の割に危険度が高すぎますからね」

提督「煌々と飛行甲板の明かりを照らすなんて、海上じゃ私はココにいますって敵に教えるようなものか」

瑞鶴「そうね。……って、そう考えると雲龍たちはどうして平然としてるの? 出撃しすぎて慣れたとか?」

鳳翔「雲龍さんたちが運用している艦載機には夜間戦闘能力が付与されているんですよ」

瑞鶴「あぁー。そう言えば前に夜襲が基本って聞いたことあったかも。なんか信じられないなあ」

鳳翔「艦載機の世代の違いを痛感してしまいますね」



瑞鶴「(でも鳳翔さん所の子たちならちょっと練習すればすぐにでも実用化しそうでコワイ)」


458: 2015/04/01(水) 20:50:17.62 ID:nR63C4N80

提督「――――○五○○、夜明けか。そろそろ雲龍たちの交代の時間だな」チラリ

鳳翔「そうですね。あれ以降戦闘がなかったのは幸運でした」

提督「全くだ。だいぶ気の持ちようも変わってくる。何より空が明るくなるってだけでこんなに安心できるなんてな」フゥ

鳳翔「闇夜の一撃ほど怖いものはありませんから」

提督「いつだったか武蔵が言ってたっけ。夜はまるで自分が底見えぬ大穴の上に立ってるみたいだって」

鳳翔「特に月の出ていない日は、常に誰かに見られているんじゃないかと思う時もありますね。それくらいフネにとっても艦娘にとっても、夜は危険な時間です」

提督「みんないざ戦となればこう言う事を幾度と無く経験してるんだと思うと……ああ、一部を除いてか」

鳳翔「ま、まあ川内さんはトクベツですからね……。でも、だからこそ太陽が登った時の安堵と感謝があるんですよ」ニコニコ

提督「お日様サマサマってかね。さ、じゃあ雲龍たちも疲れてるだろうから交代させようか」

鳳翔「では、瑞鶴さんたちを起こしてきますね」スッ

提督「ああわかった。しかし鳳翔はほとんど寝てなかったようだが大丈夫か?」

鳳翔「昨日のうちにお休みを頂きましたから問題ありません。それでしたら提督の方こそ徹夜になってしまっていますが……」

提督「さすがにあとで少し眠るさ。こういう時は責任者が一番休めないからな」

鳳翔「ご無理なさらないでくださいね。戦闘は私たちが行いますが、作戦指揮などは提督が行なうのですから」

提督「だな。ありがとう鳳翔」


459: 2015/04/01(水) 20:55:18.32 ID:nR63C4N80


瑞鶴「さってとーっ。それじゃ行ってきますかね!」

雲龍「瑞鶴姉。あとはよろしくネ」

瑞鶴「任せといて。敵が来てもサラッとやっとくから」

雲龍「できれば私たちの分も残しておいてくれると嬉しいんだけド……」

瑞鶴「今のアンタたちの任務は休むことなんだから、次に備えて寝ときなさいよー。大丈夫だって! 獲物なんてこれからたくさん出てくるんだから」

雲龍「……そうネ」クスッ

提督「む、そう言えば雲龍たちが戻るとなると護衛役は神通と吹雪だけになってしまうな。二人だと陣形組めないから単縦陣にすべきか……」

雲龍「そういう事なら交代で冬月たちを残しましょうカ?」

提督「んーいや、現状は大丈夫だろうからゆっくり休んでくれ。哨戒を密にすれば奇襲は防げるしな。ただ万一の時は悪いが起きてもらうぞ」

雲龍「わかったワ。じゃあ、私たちは休むわネ」

瑞鶴「となると、彩雲は多めに持っておいた方がいいかなー」

鳳翔「当初の予定通り私は周囲の対潜哨戒を行いますので、索敵は瑞鶴さんの彩雲が頼みです。よろしくお願いいたします」

瑞鶴「了解! ……うーん、そう考えるとココで艦載機入れ替えとか出来るのって結構大きいかも?」

鳳翔「そうですね。本来でしたら一度出撃したら変更はおろか補充もできませんから」

瑞鶴「やっぱり今度からコレで出撃したいなー?」チラッ

提督「楽しようとしない。さ、みんな頼んだぞ」

瑞鶴「はぁーい」



………………

…………

……


460: 2015/04/01(水) 21:00:40.41 ID:nR63C4N80

―それからしばらく時間は流れ……―

瑞鶴「あっつぅ……日差し強いなぁ」グイッ

鳳翔「鎮守府からはるか南方となると、赤道も近いので気候は常夏ですからね」

瑞鶴「日焼け止め塗ってないとあっと言う間に日焼けしそう。やる気なくなるなあ」


提督『ザザッ――そう言うと思って、ちゃんと冷たい飲み物を用意してあるから休憩の時にでも飲んでくれ』


瑞鶴「やたっ。提督さん気が利く―♪」


提督『ザザッ――もう敵の勢力圏だからな。気を抜いてもらっては困るが張り過ぎてもいざって時に良くない。適度な緊張感で行こうじゃないか』


瑞鶴「ほーんと、普通じゃ考えられない空気よねえ。きっと本隊って今頃ピリピリしてるんじゃない?」

鳳翔「まあ、それも軍としてあるべき姿なのかもしれませんけれどね」

瑞鶴「カタッ苦しいのは嫌だなー。そう言えば、もう本隊って近くまで来てるのかな」


提督『ザザッ――最後の通信では俺たちより南西ニ○○キロ後方を進軍しているらしい。その内偵察機とかも飛んでくるかもな』


鳳翔「もしも雲龍さんたちが外に出ていたら急いで入れ替わらないといけませんね」

瑞鶴「エスコート役も大変だー」


提督『ザザッ――さっきも言ったが気だけは抜かないでくれよ。特に雲龍たちが出てきた時は、だ』


瑞鶴「んー、うちで一番気合入ってるのって言ったらやっぱり神通かなあ。海の上とフネの中じゃあエライ違うし」

神通「ず、瑞鶴さんが普段と変わりなさ過ぎるんですっ」

瑞鶴「んんー、こればっかりはもう性分としか言いようが」ウムッ

神通「もうっ……。索敵はお願いしますよ」

瑞鶴「そこは大丈夫。こう見えて気は抜いてないから!」

461: 2015/04/01(水) 21:05:05.40 ID:nR63C4N80
昨日からインフルエンザにかかったって言ったらエイプリルフール扱いされそうな今日この頃
39度台うろうろしてるので今日はここまで……
よろしければまたお付き合いください





--・-・ ・・ ・-・-・ ・--・ ・・-


神通「こんな私でも、提督のお側にいられて……本当に嬉しいです」



奥様の名前は神通。そして、だんな様の名前は提督。



提督「まだまだ平和には遠いかもしれないけど、それでも神通となら絶対上手くやっていけると俺は思ってる。これからもよろしくな」



ごく普通(?)の二人は、ごく普通(?)の恋をして、ごく普通(?)のケッコン(結婚)をしました。



神通「は、はい……! あの、不束者ではありますが……末永く、よろしくお願いいたします」



でも、ただ一つ違っていたのは……



………………

…………

……



神通「――そこ、突っ込みが甘い! もっと身体を捻って。でないと急旋回の寸前に速度が落ちた所を集中砲火浴びますよ!」


駆逐艦's『は、はい!』


神通「実戦においては射程距離を素早く掴めるようになさい。目や兵器の性能に頼らず感覚も鍛えるのです。その一瞬の判断が戦況を左右します」

神通「ではもう一度最初から――――かかりなさい!」



……奥さまは二水戦だったのです



<<奥さまは二水戦、6月31日から始まるよー>>

467: 2015/04/04(土) 10:15:26.81 ID:b+izS+E90

提督『ザザッ――これから雲龍たちも出るぞ。数が増えるから陣形を一旦変えるんで各自そのつもりで』


瑞鶴「お、いよいよかぁ。そう言えば雲龍たちと一緒に戦うのはフネだった頃も含めて初めてだっけ。なんか感慨深いかも」

鳳翔「普段のあの子たちの様子がわかるいい機会ですね」

瑞鶴「鳳翔さんとしてはみんなの力量も見ちゃう感じ?」

鳳翔「そんな偉そうなことは言えませんよ。これまでの戦果と貢献が十二分な証明かと」

瑞鶴「第一航空戦隊って?」

鳳翔「ふふっ。かもしれませんね」ニコニコ

瑞鶴「……だって。良かったわね雲龍たち。初代一航戦からのお墨付きよ!」


雲龍『ザザッ――鳳翔に言われると悪い気はしないわネ。これからももっと頑張るワ』

天城『ザザッ――天城たちでモ皆さんのオ役ニ立てる。それだけで、天城ハ幸せです』

葛城『ザザッ――ボクも二人に負けないようにしないトなあ』


瑞鶴「頑張んなさいよ。あと、もちろん冬月たちもねっ。秋月型対空駆逐艦としての名に恥じないように」


冬月『ザザッ――はイッ! もちろんでス。いつか秋月姉さまにお会いしたいですネ!』

夏月『ザザッ――ン。……頑張ル』

花月『ザザッ――瑞鶴さンは、秋月姉さまと一緒に戦ったことがあるンですよね?』



瑞鶴「もちろん。あの子は私や翔鶴姉ぇの側でその名に恥じぬ活躍をしてくれたわ――――初めて会った時も、別れの時もね」



468: 2015/04/04(土) 10:20:17.16 ID:b+izS+E90


妖精1『――んっ? 電探に反応。航空機接近です』



瑞鶴「っ」ピクッ

鳳翔「あらあら。いらっしゃいましたか」

雲龍「私たちが出た途端? 早いわネ」

天城「対空戦、準備します!」

神通「……吹雪。準備を」

吹雪「はい!」



妖精2『あ、あー……。ゴメンナサイです。味方識別に応答したので、味方偵察機みたいです』



雲龍「あらラ」

瑞鶴「んもぅ、ビックリしたなあ」

神通「………………」



妖精1『ゴメンチャイです。でも、こちらに接近してきているです』

提督『ザザッ――本隊の偵察機だろう。俺たち次第とはいえ偵察はしっかりやってるようだな。雲龍たちの姿を見られるとマズイから一旦こっちに戻ってきてもらえるか』



雲龍「了解。戻るワ。 ……出たばっかりだけどネ」ボソッ

瑞鶴「味方の偵察機が来るたびにこうするのって面倒くさいね」

天城「こればかりハ仕方がありませんからね。では、ちょっト失礼いたします」



提督『ザザッ――しばらく戦闘から遠のいてたからな。今のでいい感じに気が引き締まったんじゃないか』



瑞鶴「こんな引き締まり方ヤダー」

雲龍「むしろ出鼻をくじかれた気がしてしょうがないワ」



提督『ザザッ――こんな事もあるさ。瑞鶴、こちらも偵察機は随時出しておこう。雲龍たちもまた出た時には頼むぞ』



瑞鶴「はーい」

雲龍「了解。ま、今は戻るわネ」


469: 2015/04/04(土) 10:25:24.80 ID:b+izS+E90

………………


瑞鶴「そう言えばさっきの事で思ったんだけど、普段アンタたちが外に出てる時って味方と遭遇しかけたらどうしてるの?」

雲龍「逃げてるわヨ。そのための念入りな偵察だし、性能の良い電探だし、景雲改だかラ」

瑞鶴「さっきみたいな味方識別が来た時とかの対応は?」

雲龍「もちろん無視してるかナ。仮に迎撃機を上げられても姿を見られないうちに逃げればいいわけだし、レシプロじゃあの子には追いつけないかラ」

瑞鶴「うわー。味方からすれば深海棲艦の正体不明の高速機って思われてそう」

雲龍「かもネ。……っと、そろそろ偵察機が還ってくるワ。交代を出すから一旦風上に向かうわネ」

瑞鶴「はーい」



………………



天城「そろそロ時間ですね。後続ノ偵察機、発艦させます」

瑞鶴「うん。了解」



………………



葛城「すみマせん。偵察機を発艦さセます!」

瑞鶴「あ、うん……わかった」



ゴオォォォォォォォォォ……



瑞鶴「相変わらず雷みたいな音だけど、なんて言うか……さ。念入りなのはわかるけどずいぶん頻繁に偵察機出してるよね」

雲龍「噴式機の欠点ってネ。速いのはいいけれど、レシプロと比べて艦載機としては足が極端に短いかラ」ショウガナイノ

瑞鶴「彩雲なんてまだ還ってこないのに、こんなに違うとはなぁ。……あ、だから私が長距離担当なのか」ナットク

雲龍「これでも他のよりは長いのヨ? 同じだったら索敵すら満足にできないもノ」

瑞鶴「これでまだ長い方って……うーん。噴式機って憧れたけど結構扱いが大変なのね。ちょっと予想外だったかも」

雲龍「夢を壊してゴメンネ」

瑞鶴「でも速いのは羨ましいわね。みんな400kt超えるんでしょ? 私の烈風改でも辛うじて350kt超えるかどうかなのに」

雲龍「噴式震電は頑張れば480ktくらいかしラ。橘花改や景雲改でも450~60ktは出てるはずヨ」

瑞鶴「」ウソン

雲龍「うふフ。速さもそうだけど、私たちの全力を見せる時に期待してテ」



雲龍「たぶン――――――まもなく引っ掛かるかラ」ボソッ



雲龍「」サッ

天城「」コクッ

冬月「」ビシッ

瑞鶴「?」


473: 2015/04/05(日) 19:10:43.60 ID:WEdpZGWD0
※戦闘描写がちょっとアレなのは仕様です※


神通「ッ?! 敵艦隊発見セリ 大型艦ニ、小型艦四! 方位三-五-○、距離約ニ○○○○」

吹雪「っ」ギュッ

瑞鶴「近ッ?! いつの間に接近されたの。偵察機は何やってたのよ」

雲龍「違うワ。湧いた……いえ、浮上してきたノ。海の底からネ」

瑞鶴「海の底? どうしてそんなの分かる――――あ」マサカ

雲龍「……そう言うこト。艦娘に"戻った"とは言え、昔の名残なのか感覚とか直感でなんとなく来るってわかっちゃうノ。絶対じゃないしあんまり遠いとわからないけれどネ」トオイメ

瑞鶴「………………」

神通「敵艦進路変更。単縦陣で急速接近中! 大型艦は詳細不明なれど重巡一、軽巡一の模様。牽制射撃開始します」ドンドンッ



敵艦隊『』パパパッ



吹雪「発砲炎! 敵艦発砲を確認、司令官は回避を! 私も牽制続きます。いっけぇー!」ドンッ

鳳翔「相手も撃ってきましたね。今はお互い牽制ですが体勢を整えられる前に対処してしまいましょう。……こちら鳳翔です。神通さんが敵艦隊を発見しました。瑞鶴さんたちに航空攻撃をお願いしてもよろしいでしょうか」


提督『ザザッ――ああ構わん。隠密行動は終わりだ。他も呼び寄せるくらい盛大にやってくれ! こちらも回避行動を取りながら本隊に向けて暗号を飛ばす』


瑞鶴「暗号? そんなの飛ばしてこちらが囮ってバレないの?」


提督『ザザッ――バレない。なんせ一言"お腹が鳴ったらかーえろ"って送るだけだ。ソレだけで向こうは分かる』


瑞鶴「な、なにそれ……。まいいや。それじゃあ攻撃隊発艦させるわね」

雲龍「冬月、周りに他の反応はあル?」


冬月『ザザッ――こちら冬月。今のところ周囲に敵潜水艦及び艦船の反応はありませン! 遠方に第二波とみられる反応が出ましたが圏外なので今は無視できまス。発艦いつでもどうゾ』


474: 2015/04/05(日) 19:15:44.20 ID:WEdpZGWD0


雲龍「了解。私たちも発艦行くワ。天城、葛城。風上に転舵。兵装は甲、橘花改のみ出すわヨ」

天城「わかりました!」シャンッ

葛城「ウん。了解!」シャンシャンッ

雲龍「よし、発艦開始!」ジャランッ



ゴオォォォォォォォォォ……



神通「!」ドンドンッ

吹雪「これが、噴式機……ッ」ドンッ  ザバーッ


瑞鶴「……ホント数が揃うと耳が痛いって言うか凄い音。私も負けてられないわね。彩雲、攻撃隊の指揮管制よろしくね。彗星、流星改、必中を期してちょうだい。発艦開始っ!」


彩雲妖精『』グイッ

彗星妖精『』ニコッ

流星改妖精『』ビシッ


瑞鶴「よし、続いて第二次攻撃も用意しないと。……そう言えば雲龍たちは橘花改ってやつだけ出したみたいだけど、爆装と雷装どっちなんだろ。兵装偏ってもアレだし……」

雲龍「そのどちらでもないワ」

瑞鶴「え、違うの?」

雲龍「でも強いて言えば爆装、なのかしラ?」

天城「天城たちニ普通ノ爆弾ヤ魚雷なんテ必要ありません。ましテ対艦戦闘デ"無誘導"でハ足手まといにしかならないので……」

瑞鶴「無誘導って……」ン?

葛城「まあ、見ていてくダさい。初めてだと凄いものが見られまスから♪」

475: 2015/04/05(日) 19:20:22.95 ID:WEdpZGWD0

重巡リ級『………………』ドンッ   ザバーッ!   ドドンッ


爆弾?『』ヒュウゥゥ……


重巡リ級『ッ』ヒラリ


爆弾?『』クイッ


重巡リ級『ッ?!』



カ―――――ッ!!



偵察妖精1『誘導弾、全弾命中したです。駆逐艦級は全滅、軽巡は大破漂流、重巡は中破の模様です』

偵察妖精2『その後の瑞鶴さんの攻撃で艦隊殲滅完了です』



瑞鶴「」ボーゼン


雲龍「戦闘終了。仕留めきれなかっタ……残念」

瑞鶴「いやいや、ソレよりも何よりも! ナニよアレ?! 誘導って」

雲龍「えエ。誘導弾ネ」

瑞鶴「そんなの聞いてないんだけど!」

雲龍「言ってないからネ」シレッ

瑞鶴「なんなのよぉ。あんなのって反則じゃん」

雲龍「そんなこと言われてモ……。これが私たちが夜間攻撃できる答えかしらネ。変な所狙わない限りは自分から向かってくれるかラ」

天城「ヨ号熱磁気探知誘導弾っテ言うらしいですね。元ハ陸軍のイ号弾ト言ウ名前だったとか」

瑞鶴「まあ、中身はともかく倒せたから良かったけどさあ。なんか、こう……うん。やっぱり反則」

雲龍「そうかなァ」


476: 2015/04/05(日) 19:25:38.99 ID:WEdpZGWD0

神通「……更ニ敵艦見ユ。冬月さんの言っていた敵第二波が接近中です」ジリッ……

吹雪「今度は戦艦らしき艦影も見えまs――うわ?! もう撃ってきた」ザバーッ!

神通「さすが前線ですね。本隊でないのにこの戦力とは」

吹雪「陽動が成功しているってことでしょうか」

神通「かもしれませんね。戦艦以外の砲撃は届かないので、航空攻撃が完了するまでは回避に専念します」

吹雪「はい!」



瑞鶴「……戦艦か」

鳳翔「徐々に集まってきていますね」

瑞鶴「さすがの私もアレ食らったらひとたまりもないなぁ」

鳳翔「そうですね。これ以上近づかれる前に撃破してしまいましょう。雲龍さんたちは戦艦の無力化を優先的にお願いいたします」

雲龍「えェ。みんな、第二波出すわヨ」


冬月『ザザッ――冬月より緊急連絡! 敵増援"浮上中"。左舷前方!』


瑞鶴「くっ。増援ですって……?」

鳳翔「あらあら。困りましたね」

雲龍「合流されたら面倒だワ」

瑞鶴「(どうする……。せめて浮かんでくる前に目の前の敵をやれるだけやっておくか……)」

雲龍「――――うン。それじゃ鳳翔。私たちは一旦別行動するわネ。あ、航空攻撃は出すから安心しテ」

瑞鶴「え? べ、別って」チョット

雲龍「新手相手に冬月たちと砲撃戦してくるワ。こう言う時は私が測距観測しなきゃいけないかラ」

瑞鶴「はぁ?! 砲撃戦ってアンタ空母でしょうが!」

天城「ゴ安心ください。周囲ニ他ノ反応はありませんので、こレ以上奇襲ノ心配はないです」

瑞鶴「いやちょっと待ってよ! だからなんで空母が……ほ、鳳翔さーん!」

鳳翔「くれぐれも無理だけはしないでくださいね」

雲龍「任せといテ。鳳翔たちには第三艦隊の本領を見せてあげるワ」

瑞鶴「」エー……


提督『ザザッ――行かせてやってくれ。これもお願いごとのうちの一つなんだ。なにかあった時は独自行動だって』


瑞鶴「行かせてやれってそんな……はぁ。もうなんなのよぉ! とにかく、私も攻撃機出すからね!」グイッ


雲龍「それじゃあまた後デ。皆、行くわヨ」


鳳翔「神通さん、私たちは瑞鶴さんの攻撃隊発艦後に回避行動を取ります。断続的に援護しますが対処はお任せしますね」

神通「分かりました。吹雪、いきますよ」

吹雪「はい!」

瑞鶴「さぁて、まずはやっかいな戦艦からやっちゃいましょうか!」グイッ


477: 2015/04/05(日) 19:31:08.67 ID:WEdpZGWD0


冬月「――浮かび上がりましタ!」ガシャッ

雲龍「軽巡一に駆逐が五ってところかしラ。慌てて飛び出してきたのカ……これならあなた達だけで対処できそうネ」

天城「雲龍姉様。それでハ天城たちハ瑞鶴さんたちノ援護ニ回ります」

雲龍「了解。戦艦は瑞鶴姉がやるだろうから露払いをしてあげてネ」

葛城「うん。わカった」ザザザッ

雲龍「冬月たち、転舵後一○○○○を割ったら射撃開始。最初の四射で夾叉とって先頭から各個撃破するわヨ。即応弾と予備砲身の用意はいイ?」

夏月「……無問題」

花月「砲身を都度交換する方針に放心した……ンー、やっぱり砲身系はイマイチマンネリ気味ねぇ」

雲龍「着弾修正は撃ちながらやるワ。各主砲二度ずつ下げておいてネ。行くわヨ。距離一○五○○……一○三○○……」ジー



敵艦隊『』パパパッ



夏月「……撃ってキタ」

花月「ちゃンと狙ってくれないと張り合いがないわぁ」

冬月「照準各各、毎秒交互射撃準備よシ! 即応弾六○発装填完了!」ギュッ


雲龍「了解。少し脚が速いわネ……修正左五度……一○ニ○○……上下角各二度デ……一○一○○……よーイ、撃ッ!」サッ



ドンッ、ドンッ、ドンッ、ドンッ



雲龍「……遠遠遠、夾叉。各砲四番砲の照準に修正。連続射撃、開始。撃ッ」



ドンッ、ドンッ、ドンッ、ドンッ……



雲龍「目標沈黙を確認。標的を二番艦に変更。照準修正右……七度。撃ッ」



ドンッ、ドンッ、ドンッ、ドンッ



………………

…………

……


478: 2015/04/05(日) 19:35:13.91 ID:WEdpZGWD0

瑞鶴「――攻撃隊より入電! 敵戦艦無力化に成功。残敵掃討に移る」

鳳翔「戦艦がこんなに早く出てきたことに少し驚かされましたが、なんとかなりましたね」

神通「いくら私たちでも、戦艦相手では少し荷が重いです」フゥ

吹雪「瑞鶴さんたちがいて本当に助かりました」

瑞鶴「空母は砲撃なんて想定してないからね。さっさとやっつけるに限るのよっ。ねー」イイコイイコ


彗星妖精『♪』キラキラ

流星改妖精『☆』ニコニコ


瑞鶴「――って、そう言えば雲龍たち大丈夫かな。空母なのに砲撃戦に参加するとか言ってたけど……」



雲龍「呼んだかしラ」

冬月「ただ今戻りましタ!」ビシッ



瑞鶴「アンタたち、もう戻って?! 被害は受けてないの?」

雲龍「せいぜい至近弾って所ヨ。なんの問題もないワ」

鳳翔「敵増援は無事に撃退できましたか?」

冬月「はイ! 殲滅完了でス!」

雲龍「大した戦力じゃなかったからこの子たちだけで十分だったワ」

瑞鶴「え」セン、メツ?

神通「この短時間で、あなた達三人だけで……?」

夏月「……問題ナイ」グッ

花月「この新式砲があれば、ただの対空駆逐艦だなンて言わせませンからー」ホラ

吹雪「なんか同じ10センチ連装砲なのにずいぶん小さな砲だね。だけど砲身が凄い長い」

冬月「八○口径でス! しかも毎分三○発も撃てるので中型艦までなら面制圧力はスグレモノでなんでス」フンスッ

吹雪「三○発も?! いいなぁ」ジー

夏月「……たダシ砲身は要交換」

花月「あンまり撃ち過ぎると爆発するかもー?」

吹雪「えぇー、それはちょっと」

瑞鶴「ま、まあ無事だったならいいけどさ。それにしてもアンタ、いつもこんな事やってるの?」

雲龍「えェ。基本見てるだけだから自分にも砲があったらいいなって思うけど、その代わり大型艦相手ならコレを飛ばすかラ」つ『橘花改』サッ

瑞鶴「……私の常識が通用しない」ハァ

雲龍「そんなことを言ったら、私たちの存在そのものが常識の外よネ」ウンウン


486: 2015/04/08(水) 22:10:18.87 ID:u+XiGXHB0

提督「みんなまずはお疲れさま。ひとまず周囲に敵影はないから一休みしてくれ。あと、念のため妖精さんによる艤装の軽い整備は受けておいてくれよ」

鳳翔「戦場でもホッと一息つける場所があるだけでもだいぶ気の持ちようが違います」

瑞鶴「まったくよ。なのに提督さんは普段は使わせてくれないって言うしー」ブーブー

提督「これありきで動いてたらいざって時困るだろうに。たまに使えるからこそありがたみもあるってものさ」

瑞鶴「そんなものかなあ」

雲龍「ところで提督。陽動ってこの後も続けるノ?」

提督「ん。現状は盛んに電波を発しながら敵をおびき寄せつつ北東へ向けて進んでる。本隊は主目的である南東方面を進軍中でまだ突入を開始してないから、それまでは続けた方がいいだろう」

雲龍「きっと獲物も多いんでしょうねェ。こっそり本隊を追いかけて漁夫の利を狙うのハ……」ダメ?

提督「そんなことできるわけないだろう」ダーメ

雲龍「ちェー」

瑞鶴「砲撃戦まで参加しといてアンタまだ足りないって言うの?」

雲龍「こんなの序の口にもならないワ。ねェ?」チラッ

天城「まダ空母とハ対峙していませんからね。戦艦だけでハ一方的すぎテ物足りないです」

葛城「泊地襲撃じゃないから夜襲もなイしねー」

瑞鶴「……次元が違うわ」

鳳翔「まだ陽動任務は続きますから、会敵する機会もあると思います。それで納得していただくしかないかと」

瑞鶴「ねー」ウン



冬月「っ……」フラリ



雲龍「冬月、どうかしたノ?」

冬月「いいエ。ちょっと目眩ガ……」フラフラ

瑞鶴「ほらー。徹夜とかしてるからやっぱり疲れてるのよ。ちゃんと休んでおかないと!」

吹雪「大丈夫? 冬月ちゃん」

冬月「すみませン……。大事な時ニ」

瑞鶴「アンタたちが元気いいのは良くわかったけど、自分の都合だけじゃなくてちゃんと全員の体調くらい考慮に入れなさいよ。アンタたちは六人で艦隊なんだから」ネ

雲龍「……そう、ネ。気をつけるワ。夏月と花月は大丈夫? 無理してなイ?」

夏月「……平気ダ」

花月「大丈夫ー」

雲龍「冬月、あなたは少し休んでなさイ。良くなるまでは外に出ちゃダメヨ」

冬月「はイ……すみませン」シュン


487: 2015/04/08(水) 22:15:19.87 ID:u+XiGXHB0

……

…………

………………



妖精1「――本隊より入電です」

妖精2「ワレ突入ヲ開始ス、繰り返すです。ワレ突入ヲ開始ス。陽動作戦成功です」


提督「本隊がついに行ったか……ちょっと早い気もするが、あちらさんも前進しててお互いに近づいてたのかもな」

瑞鶴「作戦成功ってことは、もう私たちは用ナシって?」

提督「まあ正直帰ってしまっても怒られはしないな。任務は果たしてるわけだし。だが……まだ満足してないんだろう?」

瑞鶴「んー、正直ね。連戦とはいえ一回だけだし。久しぶりだからか動き足りない気分」

雲龍「言わずもがなネ。でも今は冬月の体調も心配だから自重しておくワ」

提督「そうか……。よし、じゃあ帰る前に退路の確保くらいはやっておこうか。ここはまだ敵陣の真っ只中、帰りますと言ってそう簡単には帰してくれないだろうしな。海に出ずに甲板使っていいから、全員で当たらず何名か交代で行こう」

瑞鶴「うん。それならいいかな」

雲龍「私も異議ないワ。ところで冬月はどうしてるノ? ちゃんと寝てるかしラ」

鳳翔「はい。冬月さんは仮眠室でお休み中です。吹雪ちゃんが付き添いで控えてます」

雲龍「……そウ。なら安心ネ」

瑞鶴「さ、それじゃあ消化試合とは言え策敵しつつ見敵必殺と行きましょう!」



ゾロゾロ……



提督「……ふぅ。やっと一息つけるかな」

鳳翔「お疲れさまです。提督」ニコニコ

提督「ああ。鳳翔もお疲れさま。何事も無く終わって良かったよ。むしろちょっと拍子抜けなくらいだが……囲まれて被害を受けることまでは頭に入れてたからなぁ」

鳳翔「ふふっ。まだ終わったわけではありませんよ。鎮守府へ帰るまでが出撃ですから」

提督「だな。本当に気を抜くのは帰ってからにしよう。勢力圏を抜けるまでもうひと踏ん張りと行くか」

鳳翔「はい。頑張りましょう」

提督「……でも、お茶を飲むくらいは許されるよな? 朝から何も飲んでないんだ」

鳳翔「あらあら。ではすぐに用意いたしますね」






夏月「……ン」ピクッ

花月「どうしたンですかー?」

夏月「……イや、なんでモ」

花月「???」

夏月「………………」ズキッ……


498: 2015/04/10(金) 20:45:38.98 ID:B8P1HRUB0


天城「――偵察機よリ定時連絡。天城偵察隊、今のとこロ会敵ありません」

葛城「こっちもないカなー。どウする? 範囲広げテみる?」

雲龍「いいエ。このままでいきましょウ。前方を集中的に策敵して、確実に退路を確保しましょウ」

天城「わかりました!」

葛城「了解―」





瑞鶴「もうすぐ夕暮れねぇ」

雲龍「結局あれから敵は現れないわネ。索敵も全然引っかからないワ」

瑞鶴「出てくる時はワラワラ来るのに来ない時はサッパリ。何処にいるんだか」

神通「深海棲艦もこちらが囮と分かった以上、突入した本隊に戦力が向いているのではないでしょうか」

瑞鶴「あーそれあるかも。あからさまに戦力が違うもんね」

雲龍「本隊ってそんなに戦力が揃ってるノ?」

瑞鶴「そりゃもう! 提督さんの同期の人のところみたいだけど、戦力がこことは段違い。戦艦も空母も巡洋艦も駆逐艦も、みーんな数も質も上よ」

雲龍「へェ」キョウミシンシン

瑞鶴「まあ、と言っても質じゃあウチも負けるつもりはないけどね! 少数精鋭って」ネ!

雲龍「……本隊、戦ってみたいなア」ボソッ

瑞鶴「アンタの存在が普通になったら演習でも何でもやんなさいって。ソレまでは我慢よ」

雲龍「はーイ」

神通「私からすると、戦艦よりも空母が5人もいらっしゃるこちらの方が脅威ですけれどね」

雲龍「さすが神通よネ。神通にとって戦艦は怖くないト」

神通「そ、そう言う意味ではないです。戦艦は標的としては大きいし空を飛んでいないので……何より動きが鈍いので狙いやすいですよ」

雲龍「わォ」

瑞鶴「戦闘モードの神通ほど怖いものはないと思う」ウン

雲龍「同感ネ」ウン

神通「そう、ですか……?」

瑞鶴「あーあ、にしても連戦だったとは言えこのまま一回だけか……もうちょっと暴れたかったなぁ」



妖精1『電探に反応! 今度は味方識別はないです。敵機発見です』

妖精2『数一、距離三五○○○。哨戒中の偵察機と思われるです』


499: 2015/04/10(金) 20:50:28.95 ID:B8P1HRUB0

神通「――――ッ!」ピクッ

瑞鶴「きたか?! ここにきてついに空母のお出ましね。方角はどっち?」



妖精1『ほぼ真南を飛行中です』



瑞鶴「南か……場所は違えど本隊がいる方向ね。こっちの索敵圏外から飛んできたのかしら」

雲龍「どうすル? 見つかる前に直掩機で撃ち落としちゃウ?」

瑞鶴「まって。いっその事送り狼に――――」



妖精1『続いてほぼ同じ方向やや前方に水上電探にも感ありです。……あ、あれ?』

妖精2『どうしたです?』

妖精1『敵の反応の中に、味方と思しき反応も一つあるです?』

妖精2『距離が遠すぎて正確な情報が取れないです』

妖精1『誤認の可能性もありますがとりあえず第一報です』



瑞鶴「敵の中に味方? この付近に友軍はいないはずだけど」

神通「損傷を受けた味方が退避していたのでしょうか?」

瑞鶴「でもそれなら誰か護衛を付けるはず。なのにいないって事は……」

雲龍「まさか、もう沈んだ後じゃア」

瑞鶴「その可能性も否定出来ないわ。神通、急いで提督さんたちに連絡を」

神通「はっ!」ダッ

瑞鶴「雲龍、いつでも攻撃隊出せるようにしとくわよ。最悪を想定して全力装備で」

雲龍「了解。近くの景雲改を至急向かわせるワ。あと、天城たちも呼んでおくわネ」

瑞鶴「さぁ……今日最後の出撃かしらね」ゴクリ


500: 2015/04/10(金) 20:56:19.83 ID:B8P1HRUB0


瑞鶴「――――夏月と花月も体調不良ですって?!」

鳳翔「それが、二人とも急に頭が痛いと……」



夏月「うウゥ……」ズキズキ

花月「頭痛で頭が痛いわぁ」ズキズキ



雲龍「さっきの冬月といいこの子たちといイ……どうしたのかしラ」

瑞鶴「もう、どうしてこんな時に」

提督「とりあえず二人も仮眠室へ運ぼう。それで、電探の反応は?」



妖精1『未だ敵反応の中に味方の反応もあるです。囲まれているみたいです? あと、航空機の反応は消えたです』

妖精2『艦型反応を確認できるまであと少しです』



提督「見つけた航空機はその艦隊の偵察に来ていたんだろうか……しかし何にせよ味方が襲われている以上事態は一刻を争う。まずは攻撃機を出そう。瑞鶴、準備はいいか?」

瑞鶴「バッチリよ! 偵察機を見つけた以上近くに空母もいるだろうから、烈風改も今回は出すわ」

雲龍「私たちも全力出撃で行くワ。天城も葛城も準備完了ヨ」

提督「雲龍たちの航空機を味方に見られてしまうが……」

雲龍「緊急事態ヨ。それに、突入は誘導弾のみの一航過にするかラ。これなら見られるのは最低限になるワ。戦場での識別誤認はよくあること、でしょウ?」

瑞鶴「音はどうしようもないけど、後は私の彗星や流星改が派手に飛び回って囮になるわ。だから大丈夫」

提督「よし、じゃあ直ちに全機発艦。絶対に味方を助けるんだ」



『はっ!!』



妖精1『艦娘反応はあるです?』

妖精2『まもなく出るです……来たです――って、アレ? この反応は……』マサカ



冬月さんたちと同じ秋月型、です……?




冬月「」ピクッ

夏月「……ム」

花月「ッ」

吹雪「どうかしたの?」

冬月「……行かなきャ」ムクリ

吹雪「え?」


501: 2015/04/10(金) 21:00:33.38 ID:B8P1HRUB0
夏のお話が雲龍のためのお話なら、今回は月型のお話です
あと二回くらいですがよろしければまたお付き合いください


エヴァ……小学生の頃アニメと劇場版春を友人と見に行って『?』になってた記憶が
やたら軍艦の名前が多いなあ蒼龍の字が違うなあくらいにしか当時思ってなかったっけ

502: 2015/04/10(金) 21:12:08.73 ID:Gs22gmLi0

姉ちゃん登場か


引用: 翔鶴「瑞鶴、あまり提督の邪魔をしちゃだめよ?」