700: 2015/06/06(土) 21:00:38.27 ID:RB8lgbPG0
前回:翔鶴「瑞鶴、あまり提督の邪魔をしちゃだめよ?」【7】
・---・ナカナオリ・---・
川内「あ」
花月「あ」
夏月「……ム」
秋月「川内さん。こんにちは」
川内「や、やぁ」
夏月「………………」グイッ
花月「あっちょ、ちょっとぉ」ズルズル
川内「あはは……」
秋月「? 夏月はどうしたんだろう」
冬月「そノ。ちょっとイロイロありましテ」
川内「やっぱりまだ警戒されてるよね」
冬月「妹がすみませン」
川内「あーうん。それは大丈夫だよ。夏月の気持ちもわからなくないからさ」
秋月「川内さんと仲が悪くなるようなことありましたか?」
川内「いやその、ね? ほら、他のみんなといっしょで私も"知らない側"だったじゃん?」
秋月「そうですね」
川内「で、ちょうどあの日の夜中に知らない集団が鎮守府前で移動してたから、つい防衛行動をとっちゃってね」
秋月「ふむふむ」
川内「その時一番後ろにいた花月を羽交い締めにして、魚雷をこう……首元に当てちゃったの」ミブリテブリ
秋月「あー……」oh
701: 2015/06/06(土) 21:05:27.62 ID:RB8lgbPG0
川内「その事がまだ尾を引いてるみたいでね……。こうして警戒されちゃってるというわけなの」
秋月「なるほど。だいたい事情はわかりました」
川内「秋月もごめんね。妹にそんなコトしちゃって」
秋月「いえ、そんなっ。川内さんが謝ることではありませんよ」
川内「でも」
秋月「確かにそれだけ聞けば驚きますけれど、原因と理由まで知ったならば怒る理由がありません」
冬月「むしろ夏月が余計に警戒しているようなものですシ。ちなみに花月はもう気にしてないそうでス」
川内「……そう言ってもらえるとこっちとしても気が楽になるかな」
秋月「たぶん夏月にとって唯一の妹だからというのが関係あるかもしれませんね。とは言え、せっかく一緒に生活できるようになったのですからいつまでもこのままなのは良くないです」
川内「なんか良い案はないかなぁ。現状こっちから話しかけられない状態だし」
秋月「止めなさいと注意しても根本的な解決にはならないですよね」ウーン
??『何かお困りですか?』
??『どうかしたの』
川内「あ、翔鶴さんに瑞鶴さん」ドモー
秋月「お疲れさまです!」ビシッ
冬月「こんにちハ」
翔鶴「こんにちは。冬月さんはもうこちらの生活には慣れましたか?」
冬月「はイ。おかげさまデ」
瑞鶴「秋月も堂々と妹たちと一緒にいられて嬉しいでしょ」
秋月「そうですね。受け入れてくださった皆さんには感謝ばかりです」
翔鶴「それで、何か悩んでいたみたいですが」
川内「実はこの間の私の件でチョット」
秋月「花月のことを思っての行動でしょうけれど、夏月が必要以上に警戒しちゃってて……」
瑞鶴「あーあの時のねぇ」
冬月「それで、解決できる良い方法がないものかト」
702: 2015/06/06(土) 21:05:27.62 ID:RB8lgbPG0
川内「その事がまだ尾を引いてるみたいでね……。こうして警戒されちゃってるというわけなの」
秋月「なるほど。だいたい事情はわかりました」
川内「秋月もごめんね。妹にそんなコトしちゃって」
秋月「いえ、そんなっ。川内さんが謝ることではありませんよ」
川内「でも」
秋月「確かにそれだけ聞けば驚きますけれど、原因と理由まで知ったならば怒る理由がありません」
冬月「むしろ夏月が余計に警戒しているようなものですシ。ちなみに花月はもう気にしてないそうでス」
川内「……そう言ってもらえるとこっちとしても気が楽になるかな」
秋月「たぶん夏月にとって唯一の妹だからというのが関係あるかもしれませんね。とは言え、せっかく一緒に生活できるようになったのですからいつまでもこのままなのは良くないです」
川内「なんか良い案はないかなぁ。現状こっちから話しかけられない状態だし」
秋月「止めなさいと注意しても根本的な解決にはならないですよね」ウーン
??『何かお困りですか?』
??『どうかしたの』
川内「あ、翔鶴さんに瑞鶴さん」ドモー
秋月「お疲れさまです!」ビシッ
冬月「こんにちハ」
翔鶴「こんにちは。冬月さんはもうこちらの生活には慣れましたか?」
冬月「はイ。おかげさまデ」
瑞鶴「秋月も堂々と妹たちと一緒にいられて嬉しいでしょ」
秋月「そうですね。受け入れてくださった皆さんには感謝ばかりです」
翔鶴「それで、何か悩んでいたみたいですが」
川内「実はこの間の私の件でチョット」
秋月「花月のことを思っての行動でしょうけれど、夏月が必要以上に警戒しちゃってて……」
瑞鶴「あーあの時のねぇ」
冬月「それで、解決できる良い方法がないものかト」
703: 2015/06/06(土) 21:10:29.95 ID:RB8lgbPG0
翔鶴「なるほど」
瑞鶴「そりゃ確かに難しい問題だわ」
川内「あんまり間を置くと本当にこじれそうで怖くて」
翔鶴「………………」ウーン
瑞鶴「ここは間宮さんところのお菓子でも差し入れるとか。お詫びって感じで」
川内「なんか、モノで釣ってるみたいでそれはちょっと」
瑞鶴「やっぱりかー」
冬月「は、花月は喜びそうですけれどネ。甘いもの大好きですシ」
瑞鶴「夏月ってお菓子嫌い?」
冬月「辛党なんでス……しかも大がつく程ノ」
瑞鶴「」oh...
秋月「ま、まあ食べ物は仲直りしてからの方が良いかと」
瑞鶴「じゃあなんとかして話し合いの場を設ける。腹割って話せば仲直りするでしょ」
川内「問題はどうやって夏月を呼ぶかなんだけどなぁ」
秋月「下手にごまかすと余計にこじれそうですし、ただ呼ぶだけだと今の状態では拒否されそうです」
瑞鶴「うむむ。難問だ」
川内「はぁ……夜戦に行けない分も含めて憂鬱」ショボーン
翔鶴「夜戦……」ピクッ
瑞鶴「どうかしたの翔鶴姉ぇ」
翔鶴「川内さん。あの時は後方から忍寄った川内さんが花月さんに武器を押し当てたんですよね」
川内「うん。クナイ型の魚雷を首元にこうサッと」クイッ
翔鶴「その後はどうなったんですか? 鏑矢を射る前の時です」
冬月「私と夏月が反撃しようとした所を雲龍さんに止められましタ。正直に言えば私もですが、あの時が一番夏月の表情が険しかったでス」
翔鶴「なるほど……つまり中途半端な所で終わっていると」フムフム
瑞鶴「?」
翔鶴「なんとか、なるかもしれませんね」
704: 2015/06/06(土) 21:16:05.54 ID:RB8lgbPG0
―深夜 鎮守府沖―
花月「こンな時間にこンな所に連れてきて、どうかしたの~?」
夏月「……出撃なのカ?」
冬月「まあ出撃といえば出撃に近いのかモ」
花月「でも、なンで私たちだけで?」
冬月「それハ……」
バッ―――――!
花月「!」ビクッ
夏月「ッ?」スチャッ
??『さあ、一緒に夜戦しよ?』
花月「えぇっ?」
夏月「なん、ダト」
冬月「こんばんハ。川内さン」
川内「こんな時間にみんなごめんね。でも、これが一番効果があるって言われたからさ」ススッ←探照灯をすっごく弱めた
花月「効果、ですか?」
夏月「?」
川内「端的にいうと……この間の続き、かな。演習って形だけど私相手に思う存分やってみない? 特に夏月はさ」
夏月「……ム」
川内「言いたいこともぶつけたいこともたくさんあると思う。私が全部受け止めるからさ、まずは思いっきりやりあってみない? 夜の私は――――強いよ?」
夏月「……ほぅ。面白イナ」ガチャン
花月「川内さンはお一人でですか?」
川内「あっちに妹たちはいるけどね。でも参加はしないよ」
神通「私たちは判定と対潜警戒に専念しますので。思う存分どうぞ」
那珂「夜間ライブは―、思い切りが大事なんだよ―!」キラッ☆
川内「模擬弾といえど当たればそれなりに痛いから注意してね」
夏月「……ソックリ返そう」
冬月「もうご存知かもしれませんが、私たちの主砲ハ……」
川内「すっごい発射間隔が短いんだってね。でも当たればの話でしょ? だったら当たらなければイイ。そう簡単には当てさせないよ―」
夏月「……後悔サセル」
花月「花月としてはもう過ぎたことだけどぉ。せっかくだから、ね」ガションッ
冬月「では、私もホンキでいかせて頂きまス」ジャキンッ
川内「……いいねェ。影として戦い続けたその実力、見せてもらうよ」
夏月「――――イざッ!」
昨日の敵は今日の友
705: 2015/06/06(土) 21:22:55.12 ID:RB8lgbPG0
なんか途中で投稿が二重になったけど……なんだろ
個人的に、秋月型は全部『○○づき』と読みたくなる
ここの冬月もホントは『ふゆつき』だけど『ふゆづき』みたいな
イイよね、秋月型
オマケは明日にでも よろしければまたお付き合いください
個人的に、秋月型は全部『○○づき』と読みたくなる
ここの冬月もホントは『ふゆつき』だけど『ふゆづき』みたいな
イイよね、秋月型
オマケは明日にでも よろしければまたお付き合いください
713: 2015/06/07(日) 16:00:30.12 ID:Wb6sLEVr0
・---・オマケノ鎮守府:瑞鶴、川内・---・
瑞鶴「――まさか川内たちに演習させるなんてねえ。しかも発案が翔鶴姉ぇって言うのがすっごく意外かも」カモカモ
翔鶴「不完全燃焼では心に残るものがあるかと思いまして」
提督「確かに翔鶴の言う通りだな。いっそ思いっきりやりあった後の方が話もできるってものだろう」
瑞鶴「資源余裕ないのに良かったの?」
提督「資源なんてまた溜めればいい。これで仲直りが出来るのならむしろ安いものさ」
翔鶴「更に川内さんも希望された夜戦なので、これでしばらくは落ち着くかと」
瑞鶴「川内対策も兼ねてたのか……」ゴクリ
提督「まあ当事者たちには思う存分戦ってもらうとしてだ。翔鶴」
翔鶴「はい。沖合では依然敵潜水艦の活動が報告されているため、神通さんたちに協力を依頼して演習中は対潜警戒をしていただこうかと思います」
雲龍「それなら広域哨戒は私がやるワ。夜間任務はお手の物だかラ」←たまたま遊びに来ていた
提督「決まりだな。じゃあ資源と模擬弾の準備。あとは夜間演習のお知らせを張り出しておこう。敵襲と取られたらまたややこしくなるし」
翔鶴「わかりました」
瑞鶴「これで仲直りのきっかけになればいいんだけど……」
提督「なるさ。正々堂々とやりあった結果に悔恨は残らないものだよ」
瑞鶴「決着が付かなかった場合は?」
提督「………………」
瑞鶴「あらら」
提督「まあ、そこは大丈夫だろう」タブン
714: 2015/06/07(日) 16:05:40.45 ID:Wb6sLEVr0
そして――――
夏月「……墜チロッ!」ドンドンドンッ
冬月「花月、そっちに行っタ!」
花月「当たらないわぁ」ブオォォォォォッ
川内「うっは……。ナニコレ主砲が機銃のごとく飛んでくるって信じらんない。しかも機銃は機銃で変な音立てて弾バラまいてくるし。これじゃ近づけないじゃん」ヒラリヒラリ
冬月「簡単に避けながら言うセリフじゃないですネ!」ドンッ、ドンッ
花月「あの人動きがニンジャみたいだわぁ」
川内「正攻法がダメなら……搦め手よねっ」フッ……
夏月「! ……消エタ!」
花月「あれ? あれっ?」
冬月「くっ。探照灯を切っタ……電探に反応ハ?!」
花月「な、ないわぁ」
冬月「マズイ。あの時と同ジ……ッ! 花月、後方注意!」
花月「えっ?」
川内「……遅いよ」ガシッ
花月「あっ……あらぁ」ハガイジメー
神通「……花月さん。氏角からの一撃で戦闘不能と致します。これが実戦ならば大破以上は免れないでしょう」
川内「ふっふーん。まずは一人っと。さぁつぎはどの子n――――」バンッ!! ……ドサッ
花月「ヒッ」
冬月「エ……」
夏月「………………」ヨシッ
神通「……し、勝負あり。姉さん。夏月さんからの一撃を顔面直撃したため戦闘不能と致します……って、聞いてませんね」イタソウ
那珂「これ実戦だったら捕まってた花月チャンもタダじゃ済まなかったかもねー」
冬月「ち、チョット夏月。今のハ……」
夏月「……模擬弾ダ。問題ナイ」キリッ
花月「実戦だと私の顔も……」
夏月「……演習ダ。問題ナイ」キリッ
川内「」バタンキュー
夏月「……ウム。問題ナイ」ニコッ
一応仲直りは出来たようです
715: 2015/06/07(日) 16:13:11.26 ID:Wb6sLEVr0
見えない所で雲龍が哨戒してたり、神通や那珂がコッソリ足元でカ級やヨ級をやっちまったゾしちゃったりしたのは別のお話
よろしければまたお付き合いください
あきづきDD なぜ四番艦ははつづきじゃなかったのか……
いっそ春夏秋冬でも良かったような?
よろしければまたお付き合いください
あきづきDD なぜ四番艦ははつづきじゃなかったのか……
いっそ春夏秋冬でも良かったような?
722: 2015/06/10(水) 19:45:30.41 ID:R1JmTSr00
・---・アル日ノ鎮守府:翔鶴、瑞鶴・---・
翔鶴「今日も雨ですね……」
提督「こっちも梅雨入りしたからな。こうなったら天気は悪いばっかりだ」
翔鶴「今年も雨天出撃は中止ですか?」
提督「翔鶴だって雨の中外に出たくないだろ。ましてや傘さして出撃なんて滑稽もいいとこだ」
翔鶴「それはまあ、はい」
提督「雲も厚く雨も降ってるとなれば航空哨戒もできない。逆を言えばあちらさんも出来ないというわけだ。昔の戦争を出すわけじゃないけれど雨天休戦ってやつさ」
翔鶴「我が鎮守府には雨天休戦をしていられるような資源の余裕はありませんよ?」
提督「………………」
翔鶴「……もっとも、誰も出撃をしなければ資源の消費はほぼないんですけれどね」
提督「どうしてここはいつもカツカツの生活なんだろうなあ。主に俺のせいなんだけどさ」
翔鶴「ある程度貯まった所で何かが起こるせいですね」
提督「まったくだ。今回こそは平和であってほしい。心配の種が大幅に減ったぶんプラスになってほしいよ」
翔鶴「現在の備蓄状況は――――」
―鎮守府の備蓄資源(統合後)―
燃料:欲しがりません増えるまでは
弾薬:今なら武蔵補給三回分
鋼材:大破はヤメテね
ボー:航空機は極力使うな
提督「……今日は何も出来ないし、今後の遠征計画でもするか」
翔鶴「それが一番かと」
723: 2015/06/10(水) 19:50:51.22 ID:R1JmTSr00
ガチャッ
瑞鶴「あーもう何処も湿度でベタベタ。雨はやーねぇ」
翔鶴「いらっしゃい瑞鶴。麦茶飲む?」
瑞鶴「うんっ。飲む飲むー」
提督「建物が古いせいかね。窓閉めてても廊下とかジメッとするんだよな」
瑞鶴「部屋は空調がついたから除湿できるけどさあ。今度はこの差を何とかしてほしい気分」
翔鶴「何かを解決すれば次なる欲求が出る……分かってはいますけれどどうしようもないですね」
提督「性だな。生きる者の」
瑞鶴「あ、そうそう提督さん。はいコレ、郵便受けに入ってたよ」
提督「ん、ああ。ありがとう。……やっぱりこの天候じゃあ郵便も湿ってるな」
翔鶴「あはは……」
提督「普通の封筒だし任務とかの書類じゃないな。鎮守府と言うよりも俺宛か。どれどれ送り主は……げ」ゲ
瑞鶴「どうかしたの?」
提督「送り主は元帥……親父だ」
翔鶴「まぁ」
瑞鶴「お父さんから?」
提督「………………」ジシャク クルクル
翔鶴「何をされてるんですか?」
提督「ん? カミソリでも仕込まれてないか確認中」
瑞鶴「カミソリって……不幸の手紙じゃないんだから」
提督「こんなこと初めてなもんでね。普段を考えると警戒して損はないかと思って……ふむ。異常はなし。毒物反応もない、と」ゴソゴソ
瑞鶴「一手紙に一体何をしてるんだろ」
翔鶴「毒って……」
提督「えーなにナニ。……渾作戦作戦完了報告書はまだか?」エ
翔鶴「え?」
瑞鶴「?」
提督「……そう言えば、作戦に参加したら別途戦果・損害報告出すんだっけ」ワスレテタ
翔鶴「あ」
瑞鶴「えー」ウソン
724: 2015/06/10(水) 19:55:48.27 ID:R1JmTSr00
提督「溜まってた普段の書類ですっかり忘れてたわ」
翔鶴「秋月さんの件もあったので記憶にも留めていませんでした」
提督「うんうん」
瑞鶴「」
提督「ん、まだ続きがあるな。報告書の提出を怠るは言語道断。軍令部まで出頭せよ……?」
瑞鶴「わー。なんかヤな予感が」
提督「」ヤベ
翔鶴「い、いかがいたしましょうか?」
提督「呼ばれたんだから行くしかないだろうなあ」
瑞鶴「こりゃあお説教だね。いい大人がいい大人に」ニヨニヨ
提督「」
翔鶴「私も秘書艦としてお供いたしますので」
瑞鶴「軍令部かあ。せっかくだから私もついていこっかなー。ついウッカリ爆撃するかもしれないけど」
提督「あ、遊びじゃないからな? ごめんなさいしに行くのは俺と翔鶴で十分だよ」
瑞鶴「むぅっ。また私のことノケモノにして―! この間だって二人で行ったんだし、私も行きたい!」
翔鶴「瑞鶴。無理言わないの」
瑞鶴「むうー!」
提督「わ、わかったわかった。今度は瑞鶴も一緒に三人でな」
瑞鶴「やたーっ」
翔鶴「提督っ!」
提督「しょうがないさ。でも、真面目な話いい気分じゃないかもしれないぞ。ちゃんと落ち着いててくれよ」
瑞鶴「そりゃもう! 大丈夫だって……たぶん」
提督「はあ……自らの巻いた種とはいえ憂鬱だ」
いくぜ 軍令部
731: 2015/06/13(土) 19:50:34.09 ID:bFbkIHPl0
注:提督の口調と出番がアレな事になりますが仕様です
・---・俺ノ親父ガコンナニ○○ナ訳ガナイ・---・
~軍令部前~
提督「来ちゃったな……」
翔鶴「来ちゃいましたね」
瑞鶴「んんーっ。なんかココに来るのも久しぶりだなあ。みんな元気にしてるかな」
提督「なあ瑞鶴。何度も言うがくれぐれも問題は起こさないでくれよ? 特にウチに来た理由の点で」
瑞鶴「大丈夫だって。念のため流星改と彗星を持ってきたくらいだから」
提督「妖精さんが二人一緒にいるからまさかと思ったら」
彗星妖精『』ヤァ
流星改妖精『』オカマイナク
提督「まあ、俺自身もおや……元帥閣下相手に平静を保てるかなんて自信はないがね」
瑞鶴「生々しい親子喧嘩が始まっちゃったりして?」
提督「否定しきれないのが辛い」
翔鶴「瑞鶴ったら遊びに来たわけじゃないのよ。ちゃんと真面目になさい」
瑞鶴「もちろん。お説教されに来たんだよね?」
提督「………………」
翔鶴「」ハァ
瑞鶴「それじゃ、各々覚悟を決めて入りましょ。この時間だとサクッと終われば街に出られそうだしね」
提督「瑞鶴くらい気軽にいきたいものだ」
翔鶴「妹がすみません……」
・---・俺ノ親父ガコンナニ○○ナ訳ガナイ・---・
~軍令部前~
提督「来ちゃったな……」
翔鶴「来ちゃいましたね」
瑞鶴「んんーっ。なんかココに来るのも久しぶりだなあ。みんな元気にしてるかな」
提督「なあ瑞鶴。何度も言うがくれぐれも問題は起こさないでくれよ? 特にウチに来た理由の点で」
瑞鶴「大丈夫だって。念のため流星改と彗星を持ってきたくらいだから」
提督「妖精さんが二人一緒にいるからまさかと思ったら」
彗星妖精『』ヤァ
流星改妖精『』オカマイナク
提督「まあ、俺自身もおや……元帥閣下相手に平静を保てるかなんて自信はないがね」
瑞鶴「生々しい親子喧嘩が始まっちゃったりして?」
提督「否定しきれないのが辛い」
翔鶴「瑞鶴ったら遊びに来たわけじゃないのよ。ちゃんと真面目になさい」
瑞鶴「もちろん。お説教されに来たんだよね?」
提督「………………」
翔鶴「」ハァ
瑞鶴「それじゃ、各々覚悟を決めて入りましょ。この時間だとサクッと終われば街に出られそうだしね」
提督「瑞鶴くらい気軽にいきたいものだ」
翔鶴「妹がすみません……」
732: 2015/06/13(土) 19:55:28.11 ID:bFbkIHPl0
提督「なんと言うかあれだな。やっぱり中央だけあって人の数も多いしそれに……みんな忙しそうだ」
瑞鶴「ウチとは大違いだね」
提督「もしもこんなに多くなったら息苦しくなるかもしれないぞ。現に俺はそう感じてる」
瑞鶴「……まあ、正直言うと私も。この間までココいたのになぁ」
翔鶴「人数は多いみたいですが、艦娘の姿があまり見えませんね」
提督「これも元帥閣下殿の意向なんじゃないかね。不穏分子は近くに置かない、みたいな幼稚極まりないクソ理論」ケッ
瑞鶴「お父さんに会うせいか提督さんの口調が荒くなってる」
翔鶴「まあ、気持ちはわかるのだけれどね?」
提督「翔鶴。いざという時は翔鶴が頼りだ。よろしく頼む」
翔鶴「はい。かしこまりました」
瑞鶴「なにかやるの?」
翔鶴「万一提督とお父さまが口論などに発展した場合のなだめ役をね」
瑞鶴「なだめ役……私でも出来そうだな―」
翔鶴「あなたの場合はむしろ手を出しちゃうでしょう」
瑞鶴「……そうだった」
彗星妖精『』デバン?
流星改妖精『』ワクワク
翔鶴「妖精さんに何を吹き込んだの瑞鶴」
瑞鶴「いやぁ生きた動く目標を攻撃できるかもーって」テヘッ
翔鶴「あのねぇ」
提督「間違えちゃいないな。俺も立場を考えなくて済むならお願いしてたかも」
翔鶴「提督まで……」
提督「ははは――――さ、それじゃあお遊びはここまでにして、ホントに覚悟決めないとな。目的地へ到着だ」
瑞鶴「いよいよってワケね」
翔鶴「………………」
knock knock knock
733: 2015/06/13(土) 20:00:26.77 ID:bFbkIHPl0
―――総長は多忙のため少々遅れていらっしゃるそうなので、こちらでお待ちください
提督「……そしてこのオチだよ」イライラ
瑞鶴「まさかの放置展開とはね」
翔鶴「そ、それだけお父さまもお忙しいということでしょう」
提督「仮にも元帥なんだからドンと構えて責任だけ取ってりゃいいんだよ。なのに部下の手柄を横取りするようじゃ」
翔鶴「ま、まあまあ提督」ネ?
瑞鶴「お説教に待機が入るとなんと言うか、懺悔的な?」
提督「悔い改めろってかね。余計なお世話だっての」
瑞鶴「荒れてるねぇ」
提督「なんかもう吹っ切れた。礼儀とかそんなの知ったこっちゃないな。こっちから直接出向いてやるか」スクッ
翔鶴「えっ? て、提督」
提督「呼んだのは向こうなんだから押しかけたって文句はあるまいて」
瑞鶴「いやさすがにそれはマズイんじゃない? なんかあって処分とか嫌だよ?」
提督「もう昔から何度もやってるさ。その度に喧嘩してたけど処分とか出されたことはない」
瑞鶴「えぇー……な、なんか提督さんって本当はやんちゃさん?」
翔鶴「そんなことはないと思うけれど……」
提督「個人的にはさっさとこの時間を終わらせてこの場から去りたい。親父と同じ空気を吸いたくない」
瑞鶴「あ、本音だ」
翔鶴「提督……」
提督「と言うわけで俺はいってくる。なんかあったらアレだから二人は待っててもいいよ」
翔鶴「そう言う訳には参りません。提督の秘書艦として最後までお供いたします」キリッ
瑞鶴「爆撃役も必要でしょ?」ニコニコ
彗星妖精『』ワクワク
流星改妖精『』キラキラ
提督「……ありがとう。じゃあいくか」
翔鶴「はいっ」
瑞鶴「やっちゃいますか」
………………
『――――――』
『――――――』
翔鶴「話し声は聞こえますが、内容までは聞き取れませんね」
瑞鶴「なんか女の人の声がするような? それも複数。会議とかじゃないのかな?」
提督「昼間っから盛ってたら脳天ぶち抜いていいからな、瑞鶴」
瑞鶴「了解っ。全力でやるわ♪」
提督「すー……はぁー……。オラ来てやったぜクソ親父よぉ!!」バンッ
734: 2015/06/13(土) 20:05:42.74 ID:bFbkIHPl0
提督「――オラ来てやったぜクソ親父よぉ!! さっさとはじめやが……れ…………?」アレ
雷「司令官。お茶が入ったわよ」
げんすい「ほっほっほ。雷は本当にお茶を淹れるのがウマイのう。オジイチャン感激」ニッコニコ
雷「もっと私に頼ってもいいのよ」フンスッ
暁「こらぁ響! お酒飲んじゃダメっていつも言ってるでしょう」
響「……хорошо こいつは力を感じる」ウィッ
電「おじいちゃん、みんなで掛軸を書いたのです」ハイ
げんすい「ほほぅ。『すぱしーば。第六駆逐隊』か! これは素晴らしい。さっそく壁に掛けなくてはな。額縁は何処へいったかのぅ……。ありがとう電。それにみんなも。オジイチャン幸せじゃあ」デッレデレ
ワイワイキャッキャ
翔鶴「え……?」
瑞鶴「なに、アレ?」
提督「」ポカーン
電「あれ、どなたかいらっしゃったみたいなのです」
元帥「うん? な、なんだお主ら、勝手に入ってきおって! ここは関係者以外立入禁止だぞ!」クワッ
暁「ふぇッ」ビクッ
響「………………」
げんすい「あ、あぁーいやっ。オジイチャン怒ってないよ? ほら、怖くない怖くない」ネ? ネ?
電「怒ってないのです?」
げんすい「もちろん! ただちょっとお話することができちゃったから、みんな向こうの部屋で遊んできなさい。冷蔵庫にジュースとプリンが入ってるからね」
電「はいなのです」
雷「了解。暁、響、行くわよ」
暁「ちょ、ちょっと。暁がお姉さんなのにっ」
響「Ураааа!」
彗星妖精『♪』オヤツ~
流星改妖精『☆』オヤツ~
……パタン
翔鶴「………………」
瑞鶴「………………」ヨウセイサン イッチャッタ……
提督「」
元帥「……ゴホンッ。ま、まあそこに座りたまえ。勝手に入った件についてはこの際不問にしよう」
瑞鶴「失礼しまーす」
翔鶴「失礼いたします。提督……提督?」
提督「」
瑞鶴「気絶してるね。しかも立ったまま」
翔鶴「そ、そうね……」
提督「」
736: 2015/06/13(土) 20:10:39.10 ID:bFbkIHPl0
提督「」@ソファーに放置
元帥「本人があの状態じゃ何も話すことなどないではないか。まったく……」ブツブツ
翔鶴「ま、まあ仕方がないかと……? ですので、提督に代わりまして私が此度の非をお詫び申し上げます」ペコリ
元帥「……ふんっ。艦娘なんぞに頭を下げられてもなんもなりゃあせんわ」
翔鶴「………………」
瑞鶴「えー、今のかなり無理があるんじゃない? さっきのアレ見せといてずいぶんな身の変わり方だと」
翔鶴「ず、瑞鶴! すみませんおとう……元帥。妹が無礼を」
元帥「………………」
翔鶴「………………」
瑞鶴「………………」ジー
元帥「……アレから、どのくらい聞いておる」
翔鶴「えっ?」
元帥「私とアレの関係じゃ。良くないくらいは聞いてるだろう?」
翔鶴「それはまあ、その……はい」
瑞鶴「私もあっちに行ったおかげでいろいろ知ることが出来てむしろ良かったって感じかな。セクハラもないしね!」
元帥「瑞鶴よ。どうやら向こうではずいぶんと気を抜いてると見えるな。礼儀も抜けたか?」
瑞鶴「セクハラする人に礼儀も何もありませんー」
翔鶴「ず、瑞鶴」
元帥「ふん。話を戻すが、確かにアイツ……息子との関係は冷えきっておる。だが謝るつもりもない。間違えているのは私でなくアイツだからだ。しかもさんざん私の顔に泥を塗りおって」
翔鶴「その点につきましては部外者である私が申し上げることはありません。ただ、私は提督を信じております」
元帥「……アイツのことを信じておるのか」
翔鶴「はい。私だけではありません。ここにいる瑞鶴も、そして鎮守府にいるみんなも提督のことを信じております」
元帥「ではアイツが国のために氏ねと言ったら氏ぬか?」
翔鶴「本当に提督が望んでいるならば」
瑞鶴「と言っても、そうなったら結局提督さんもみんなの後を追いそうだけどね」
元帥「………………」
737: 2015/06/13(土) 20:15:52.09 ID:bFbkIHPl0
ギシッ
元帥「はぁ……。ここから先のことはアイツには秘密にしておいてくれ。これでも親であり上官の威厳ちゅうもんがある」
翔鶴「は、はぁ」
瑞鶴「?」
元帥「艦娘とは……いや、駆逐艦とはなんとかわいい存在であるか。私はそれを大いに思い知らされたのだ」
翔鶴「え」
瑞鶴「」ポカーン
元帥「それまで、私は艦娘を警戒していた。いや、ともすれば排除すらしようともしていた」
翔鶴「以前提督からお聞きしました。この戦争が終わった後の私たちはむしろ国にとって害であると」
元帥「うむ。今は共に戦ってくれる存在であるが、その力は計り知れん。ヒトと同じでありながらヒト以上の力と能力を持つ存在。それが艦娘であり妖精じゃ。その前ではヒトなんぞ虫けらと変わらん」
瑞鶴「………………」
翔鶴「………………」
元帥「敵に回ってしまったら負けるのは人間。だから私はお前たちを兵器としての扱いと決めていた。瑞鶴の言うセクハラについてはまぁ……身体つきが若いおなごであれば、なあ?」
瑞鶴「……ヘンタイ」
元帥「んんっ。とにかく、私はそう考えていた。だからこそ反目したアイツは私が敷いてやったレールから飛び出し独自の道を進んだわけだ。ここまではアイツも知っている部分だ」
瑞鶴「それがどうしてまた駆逐艦は~みたいになっちゃったのかねぇ」
げんすい「すべてはあの子たちと巡り合ってからじゃ。会った瞬間に私は身体に電撃が走った。この子たちは私の孫に違いないと!」クワッ
瑞鶴「ヲイ」
翔鶴「えっと……」ウーン
元帥「それまで憎悪の対象であったのはずの艦娘なのにのぅ。あの子たちを前にするとそんな考えすら馬鹿らしいと思えてしまうくらい愛らしい、それはもう愛らしい子たちなのだ」
瑞鶴「軍のトップがまさかの口リコンな件について」
翔鶴「ず、瑞鶴……やめなさい」
元帥「だが、そんな掌を急に返すようなことをしたら怪しまれるだろう? だからこうして関係者以外は絶対に入れないようにした上でコッソリと遊んでいたのだ。それをアイツときたら昔の勢いそのままに入ってきおって……あの子たちが怖がって追ったわい」ブツブツ
翔鶴「あ、あはは……」
瑞鶴「もうこれ分かんないわー」
元帥「それ以来私は艦娘に対しての考えを改めた。完全にではないがね。いい子だとはわかっているがその力は依然として脅威。それはあの子たちと言えどなんら変わりようがない」
元帥「だが少なくとも手は取り合っていけるのではないかと……そう、思っておる。仲違いせぬ限りな」
738: 2015/06/13(土) 20:21:07.12 ID:bFbkIHPl0
元帥「……とまあこんな所だ。アイツに嫁さんがいて子供もいたらまた違ったかもしれんがね」
翔鶴「お、お嫁さん……」
瑞鶴「あーそれなら大丈夫かも。ここにいる翔鶴姉ぇが揺りかごから墓場まで寄り添っていくみたいだし」
翔鶴「ずっ瑞鶴?!」ボッ
元帥「ほぉ! ならばもうケッコンは済ませたのかっ?」
翔鶴「け……ッ?! い、いいえっそんな! まだ戦争の最中ですし」アタフタ
元帥「なんだまだなのか。孫の顔が見られると思ったんだが」
瑞鶴「まだなのかなー?」ニヨニヨ
翔鶴「あうあぅ」マッカッカ
元帥「なら、お主にいいものをやろう。この間実用化したばかりのものなんだが……その名も"ケッコンカッコカリ"じゃ」
翔鶴「ケッコン……」
瑞鶴「カッコカリ?」
元帥「本当に籍を入れるわけではないぞ? あくまでもカッコカリだ。これは指揮官と艦娘が強い絆を結んだ場合限定に効果を発揮するもので、艦娘の更なる能力向上が現れるものだ」
翔鶴「そ、そんなものが」
瑞鶴「それ以外の効果はあるの?」
元帥「ない」
瑞鶴「あらら。これってやっぱり名前が名前だけに一人にしか使えないの?」
元帥「そんな事はない。さきも言った通り本当の意味でケッコンする訳ではないからな。名前自体はちょっとした洒落みたいなものだ」
瑞鶴「じゃあ私も欲しいなー」
元帥「お前は本当に……。自由なやつじゃなあ」
瑞鶴「素直に生きてますっ。そして提督さんも許してくれてます。ね、翔鶴姉ぇ」
翔鶴「私としてはもう少し遠慮と配慮を覚えて欲しいんだけれど……提督は瑞鶴には甘いもので」
元帥「未来の嫁さん放っぽらかして妹に浮気とはエラクなったものだ。まあこんな愚か者だが嫌いにならないでやってくれ」
翔鶴「ご安心ください。気持ちは変わりませんので」
元帥「ふっ……。さ、それじゃあ私はいい加減仕事に戻るとするかな。それにあの子たちを寂しがらせるわけにはいかんのでな。そこでノビてる奴は適当に起こして持ってかえってくれ。ここで話したことは内緒でな」
翔鶴「よろしいのですか? その、仲直りをされては……」
元帥「お互いに頭がカタいんだ。簡単には直せんよ。それに……素直になるには時間を置きすぎた。だから二人にしか言わん」
翔鶴「………………」
瑞鶴「まあその内でもいいんじゃない? 提督さんも言ってるじゃん。戦争が終わってからって」
翔鶴「それは、まあ」
元帥「ほっほっほ。その日が一日も早く来るようこっちも頑張らねばな。平和にならんことにはあの子たちや孫とゆっくりできんわい」
………………
…………
……
739: 2015/06/13(土) 20:25:30.59 ID:bFbkIHPl0
提督「――――はっ?! こ、ここは」キョロキョロ
翔鶴「帰りのバスの中ですよ。よくお休みになられましたか?」
提督「や、休み? 俺はクソオヤジと決着をつけに……」
瑞鶴「もう帰ってる最中だよ提督さん。あと30分もすれば鎮守府に着くと思う」
提督「ち、鎮守府だって?! いや、でもそんな……なんで」
翔鶴「元帥閣下への謝罪などは私と瑞鶴で済ませました。これからは気をつけるようにとのことでした」
提督「いやでも……そ、それにだ。ドアを開けた時になんかとんでもない光景が広がってたよな? 親父がその、子供相手に」
瑞鶴「提督さんなに言ってるの。何もなかったじゃん」
提督「えぇっ?」ウソン
瑞鶴「何もなかったってば。ねー?」
彗星妖精『』ネー
流星改妖精『』ウンウン
瑞鶴「ほら、妖精さんもそう言ってるよ」
提督「……まさか、俺の夢だと……?」
翔鶴「もしかしたら疲れが溜まっていたのかもしれません。帰ったら今日はゆっくりと休みましょうね」
提督「うーん???」←状況に納得がいってない
翔鶴「ふふっ」ニコニコ
提督「な。なんかご機嫌だなぁ翔鶴。いい事でもあったのか」
翔鶴「えぇ。とっても」
提督「……ますますわからなくなった。俺は一体なんのために出向いたっていうんだ」
翔鶴「うふふふふっ」
……知らぬは本人ばかりけり
748: 2015/06/14(日) 19:25:55.62 ID:OItRmGSa0
・---・鶴タチノ休息・---・
瑞鶴「ところで翔鶴姉ぇ。元帥に貰ったコレどうするの?」
翔鶴「どうすると言われても……どうしたら良いと思う?」
瑞鶴「私に聞かれても困るよ。能力も上がることなんだし、提督さんに渡してケッコンカッコカリしちゃえばいいんじゃない」
翔鶴「うーん……」
瑞鶴「納得いかない?」
翔鶴「そう言うワケではないのだけれどね。ただなんと言って提督に切り出せばいいものか……」
瑞鶴「こんなニセモノじゃなくて、やっぱり提督さんにはホンモノ渡して欲しいって?」
翔鶴「………………」コクン
瑞鶴「ごちそうさま~」ニヤニヤ
翔鶴「」ボッ
瑞鶴「しっかしこんなカッコカリなんて中途半端な名前つけるからタチが悪いというか余計に困るのよねっ。ッて言うかなんでカッコカリなんだろ」
翔鶴「そもそもこの箱には何が入ってるのかしらね」
瑞鶴「せっかくだから開けてみよっか。なんか振ってみるとカラカラ言ってるし」ゴソゴソ
翔鶴「見た目はプレゼント箱なのに軽い音ってことは、箱よりも小さいものが入ってるのかしら」ゴソゴソ
瑞鶴「はいっご開帳~っと。さぁーて何が入ってるのかなあ」カパッ
ケッコンカッコカリ指輪『』ヤァ
ケッコンカッコカリ書類『』シクヨロー
瑞鶴「……何気に本格的な内容だった。カッコカリなのに」
翔鶴「ますます渡しにくくなった……」コマッタ
カッコマジはまだですかねぇ
749: 2015/06/14(日) 19:30:22.48 ID:OItRmGSa0
・---・結局話シマシタ・---・
提督「まったく親父のやつ……いや、この場合は軍令部か。なんて名前をつけるんだよなあ」
翔鶴「で、ですよね……」
提督「中身だけみるなら全員にあげたいくらい素晴らしい物なのは間違いないな」
翔鶴「艦娘にとっても能力が上がるのは戦力的に考えても有効ですからね」
提督「ただしかしこの、なんだ。やけに本物っぽい指輪と書類には困るというか、無用な勘違いを引き起こしそうで怖いというか」
翔鶴「能力の差が出るというのもそうですけれど、指輪はあからさまに誤解を招きます」
提督「持ってるからズルイ、贔屓されてるなんて思われたら士気に多大な影響が出るし最悪仲間割れで戦闘にならなくなる。やっぱり余計だわコレ」
翔鶴「確かにそうですよね……。では、これはどうしましょうか」
提督「翔鶴はどうしたい? ……って言うのは酷な質問か」
翔鶴「………………」
提督「能力アップは魅力的だが、贔屓は良くない。人数ぶん揃えるか代替案を見つけるまでは封印が一番かな」
翔鶴「……ですね。お父さまには申し訳ないですが」
提督「アイツの事は気にしなくていいよ。どうせそれを盾に向こうでもセクハラ三昧キメようとしてるんだろ全く。ホント身内の恥だ」
翔鶴「あ、あはは……」ドウシヨウ
提督「しかし本当に本物ソックリに作ってるというか。パッと見ただけじゃ判断つかないな」
翔鶴「指輪用の小箱もとてもこだわっていますしね」
750: 2015/06/14(日) 19:35:33.31 ID:OItRmGSa0
提督「………………」ウーン
翔鶴「提督?」
提督「翔鶴、右手を拝借」スッ
翔鶴「え、あっはい」
提督「今だけのちょっとしたお遊びって言うことで、ね」スススッ
翔鶴「あっ……!」
提督「おぉーサイズぴったりだった。スゴイなあ」
翔鶴「えっ、えぇっ?! て、提督……っ」オロオロ
提督「うん。似合ってる似合ってる」
翔鶴「あわあわあわわわっ」
提督「まぁなんと言うか、さすがにニセモノを左手の指にはめる訳にはいかないからね。本物はまだしばらく我慢してもらえると嬉しい」ポリポリ
翔鶴「――――――ッ!!」
提督「い、いやあ。お遊びとはいえこれはなんか……は、恥ずかしいな!」
翔鶴「………………」ポフッ
提督「おっと」
翔鶴「あの……例え遊びでも、私、本当に嬉しいです」キュッ
提督「……なら良かった」ナデナデ
翔鶴「提督――っ!」
ふわっ……
提督「!」
翔鶴「んっ……」
提督「………………」ギュッ
翔鶴「………………」
やっちゃったZE
758: 2015/06/17(水) 19:30:31.96 ID:39RjpZGB0
注:ちょっと独自要素強めで話が重たいし、分割されてます あらかじめご承知のほど……
・---・アノ日ノ鎮守府:始・---・
翔鶴「ふふっ♪」ギューッ
提督「翔鶴が離してくれない」
翔鶴「今日この時ばかりはお許し下さい。だって本当に嬉しいんですもの」
提督「本物渡したらどうなるんだろうな」
翔鶴「たぶん一日中くっついてるかと」
提督「それは魅力的かもしれん」
翔鶴「服を着てないかもしれませんよ?」ジー
提督「……それも魅力的かもしれん」
翔鶴「もちろんその時は提督もですよ」
提督「いや俺は……む、むぅ」
翔鶴「うふふ。でも、今のところそうなる見込みがありませんね」
提督「まあ、まだまだ戦は続いてるからなぁ」
翔鶴「いつになったら終わるんでしょうね……と言うのは私たちが考えるのは本末転倒でしょうか」
提督「完全なる当事者が何を言ってるってか。だからこそ努力をしないといけない。一日でも早く終わるように」
翔鶴「攻略などは同期の方任せなのに?」
提督「……何事も適材適所があるってことさ。ヤツにはヤツの、俺には俺の戦場がある」
翔鶴「まさかこんなにも戦闘から遠いところだとは――――ここへ来た当初は考えもしませんでした」
提督「俺も最初は鎮守府初の大型空母がやって来ると期待したものだがなぁ」
翔鶴「むぅ。それは言わないお約束ですよ」
提督「だったな。スマンスマン。でも、翔鶴がココへ来てくれたからこそ俺は今こうしていられる。それだけは揺るぎない」
翔鶴「私もです……。あの日の私たちに聞かせたらどうなりますかね」
提督「俺はまあ納得の結果だけど、翔鶴は完全に逆だろう」
翔鶴「それどころでなかった、と言うのもありました」
提督「……だな。まさか――」
――艦載機すらロクに持ったことがないなんて、思いもしなかったよ
………………
…………
……
・---・アノ日ノ鎮守府:始・---・
翔鶴「ふふっ♪」ギューッ
提督「翔鶴が離してくれない」
翔鶴「今日この時ばかりはお許し下さい。だって本当に嬉しいんですもの」
提督「本物渡したらどうなるんだろうな」
翔鶴「たぶん一日中くっついてるかと」
提督「それは魅力的かもしれん」
翔鶴「服を着てないかもしれませんよ?」ジー
提督「……それも魅力的かもしれん」
翔鶴「もちろんその時は提督もですよ」
提督「いや俺は……む、むぅ」
翔鶴「うふふ。でも、今のところそうなる見込みがありませんね」
提督「まあ、まだまだ戦は続いてるからなぁ」
翔鶴「いつになったら終わるんでしょうね……と言うのは私たちが考えるのは本末転倒でしょうか」
提督「完全なる当事者が何を言ってるってか。だからこそ努力をしないといけない。一日でも早く終わるように」
翔鶴「攻略などは同期の方任せなのに?」
提督「……何事も適材適所があるってことさ。ヤツにはヤツの、俺には俺の戦場がある」
翔鶴「まさかこんなにも戦闘から遠いところだとは――――ここへ来た当初は考えもしませんでした」
提督「俺も最初は鎮守府初の大型空母がやって来ると期待したものだがなぁ」
翔鶴「むぅ。それは言わないお約束ですよ」
提督「だったな。スマンスマン。でも、翔鶴がココへ来てくれたからこそ俺は今こうしていられる。それだけは揺るぎない」
翔鶴「私もです……。あの日の私たちに聞かせたらどうなりますかね」
提督「俺はまあ納得の結果だけど、翔鶴は完全に逆だろう」
翔鶴「それどころでなかった、と言うのもありました」
提督「……だな。まさか――」
――艦載機すらロクに持ったことがないなんて、思いもしなかったよ
………………
…………
……
759: 2015/06/17(水) 19:35:31.71 ID:39RjpZGB0
――鳳翔秘書艦時代
提督「うん? なんだこりゃ」
鳳翔「どうかされましたか?」
提督「この書類なんだがな、書いてあることが本当なら近々ウチに転属してくる艦娘がいるらしい」
鳳翔「まあ。こちらへですか?」
提督「こんな辺境に来るなんてよっぽど何かをやらかしたか、やらかしそうだから……くらいしか要因が思い当たらないよな」
鳳翔「ご自分で仰らないでください。それならばここへ来た私や他の方も同じになってしまいますよ?」
提督「む、そうか」
鳳翔「と言っても、私は実際は似たような感じでしたね」ニコニコ
提督「俺からすれば鳳翔程の腕前を持つ人材を放置していたあの鎮守府こそがやらかしだと思うな。個艦の性能が全てでないことを教えてくれたのが鳳翔だった」
鳳翔「私は旧式艦ですから、ただ皆さんより少し長く鍛錬をできただけですよ」
提督「それが何よりの財産だ。まだウチには空母戦力は鳳翔だけだが、その叡智は是非とも将来に役立ててもらいたい」
鳳翔「ふふっ。こんな私でもお役に立てるのであれば嬉しいですね」
提督「むしろ今じゃあ鳳翔なしだと鎮守府が回らない状態だよ。で、えっと……これは"しょうかく"って読むのかな?」フムフム
鳳翔「まあ、いらっしゃるのは翔鶴さんですか?」
提督「知ってるのか」
鳳翔「はい。艦娘としてはまだですが、フネだった頃は何度もお会いしています」
提督「どんな娘だ? いや、この場合はどんなフネだった……か?」ヤヤコシイ
鳳翔「翔鶴型航空母艦、翔鶴と姉妹艦である瑞鶴からなる大型空母。それまで建造された海軍航空母艦の粋を集めて建造された本格的艦隊型空母ですね」
提督「ほぉ。そんなに凄いのか。と言うことは同期のところにいる赤城や加賀、蒼龍飛龍と同じか」
鳳翔「そうですね。当初は彼女たちを合わせて空母六隻――第一航空艦隊とも称されていました」
提督「おぉっ。航空艦隊か! そんな凄い空母が何故ココへ来るのか……なんだか逆に気になってきたな。性格に難ありか、素行が悪いとか」
鳳翔「翔鶴さんに限ってそんなことはないとは思うのですが、たしかに気になりますね」
提督「うん。まあ空母とあれば安心して鳳翔に任せられるな。よろしく頼むよ」
鳳翔「畏まりました。それで、いつ頃いらしゃるのですか?」
提督「○月△日……今度の週末だな」
760: 2015/06/17(水) 19:40:26.87 ID:39RjpZGB0
翔鶴「――翔鶴型航空母艦、翔鶴です。どうぞよろしくお願いいたします」ペコリ
提督「」
………………
翔鶴「え、えっと……?」
鳳翔「提督?」
提督「あ、あぁっ。すまんすまん。ついボーっとしてしまった。そそうか、君が翔鶴か。私はこの鎮守府の責任者である提督だ。そしてこっちは秘書艦である鳳翔」
鳳翔「鳳翔です。翔鶴さん、お久しぶりですね」ニコニコ
翔鶴「は、はい。鳳翔さんもお元気そうで……」
提督「話は鳳翔から聞いている。我が鎮守府発の大型空母としての戦力、大いに期待しているよ。……戦闘は少ないがね」
翔鶴「あ、はっはい……」
提督「? まあ今日は移動で疲れているだろうからお休みで構わないよ。鎮守府内のことは鳳翔に案内してもらうとしてだ、何か質問はあるかな? 真面目でも洒落でもなんでもいいぞ」
翔鶴「で、ではその、二つだよろしいでしょうか?」
提督「うん」
翔鶴「あの、まずこちらに妹の瑞鶴はいませんよ……ね?」オドオド
提督「……うん?」
鳳翔「瑞鶴さんでしたら、確か軍令部――中央にいらっしゃったかと記憶しています」
翔鶴「ホッ……良かったぁ」ボソボソ
提督「?」
鳳翔「?」
翔鶴「あ、あともう一つなんですが、その……」
提督「ついでに言うと先輩にあたる赤城や加賀もここにはいないぞ。蒼龍、飛龍もだ」
翔鶴「いえ、そうではなくて。あの、その……」
翔鶴「か、艦載機を、よろしければいただけないでしょうか……?」
761: 2015/06/17(水) 19:45:30.69 ID:39RjpZGB0
提督「か、艦載機を」
鳳翔「ですか……」
翔鶴「も、申し訳ございません!」
提督「――やっぱり開発しておけばよかったかな」
鳳翔「で、ですが私たちのような小型空母ならまだしも、翔鶴さんは大型空母ですよ。専用の航空隊を持つのが常識かと……」
提督「ここへ来るにあたって元いた所に預けたんじゃないかな。艤装と違って練成が必要と聞いてるし、苦労と時間をかけてたのならおいそれと手放さないだろう」
鳳翔「それは、そうかもしれませんが……うーん」オカシイナア
翔鶴「あ、あのぉ」
提督「……ああ。すまない。艦載機だが、あいにく予備が殆どないんだ。開発も潤沢には行えないし、定数揃えるのはチョットだけ待ってもらえるかな」
翔鶴「いえ、そんなっ。いただけるだけでも嬉しいので」アタフタ
鳳翔「?」
提督「それにしても、翔鶴がここへやって来てくれたことでウチもついに航空戦隊を作れるようになった。今までは鳳翔に頼りっきりだったから一安心かな」
鳳翔「あとは翔鶴さんとの連携ですね。こればかりは個々の練度とは異なりますので、どうしても時間がかかります」
提督「規模的にも攻撃は翔鶴に任せて、直掩や索敵は鳳翔みたいに分業も出来そうだ。作戦の幅が広がるよ」
翔鶴「あ、えっと、その……」
鳳翔「どうかされましたか?」
翔鶴「す、すみません。私、出撃はおろか訓練もほとんど行えてないんです……」
提督「え?」
鳳翔「訓練も、ですか?」
翔鶴「ですので、その……艦載機も残してきたではなく持たせてもらえなかったというか」オロオロ
提督「なん、だと……」
鳳翔「」ナゼ
翔鶴「み、皆さんのご期待を裏切ってしまって申し訳ございません! 役に立たなくて、ごめんなさい……!」ポロポロ
762: 2015/06/17(水) 19:50:25.79 ID:39RjpZGB0
提督「………………」
ガチャッ
鳳翔「……戻りました」
提督「あぁ。おかえり鳳翔。それで、どうだった」
鳳翔「今は落ち着かれて、用意したお部屋でお休みになっています」
提督「そうか……なら良かったよ」
鳳翔「しかし提督。これは一体……」
提督「いま、鳳翔が翔鶴を連れて行ってる間に電話で聞いてみたんだ。と言ってもこの事実をあの鎮守府に問い合わせたわけじゃない。周りからの話レベルなんだがな」
鳳翔「何かわかったのですか?」
提督「うん。どうやら翔鶴は……厄介者とされていたようなんだ。だから出撃や訓練をほとんど行えていない」
鳳翔「厄介者ですか? まさか翔鶴さんがそんな」
提督「幸運艦と不幸艦、こんな言葉を聞いたことがあるか?」
鳳翔「幸運と不幸……当てはまるものはいくつか浮かびますが、ないですね」
提督「では被害担当艦と言うのはどうだ? 出撃の度に必ず被害を受けるという意味だ」
鳳翔「それはもしや――――で、でもあれはフネだった頃の事です。艦娘となった今では意味を成しませんよっ」
提督「もちろん俺もそう思ってたよ。でも聞いてみる限り、どうやら今でもその体質は残っていたらしい」
鳳翔「そんな……っ」
提督「相手あっての戦闘だから被害も受ける。むしろ受けることの方が当たり前で、練度が低いなら尚さらなんだ。なのに、あの鎮守府ではそれをヨシとしなかったらしい」
鳳翔「では、つまり翔鶴さんは」
提督「どうせ出撃しても被害を受けるからと艦隊に加わることも殆ど無く、予備艦として日々を過ごしていたらしい」
鳳翔「……なんて事を」グッ
提督「ここへ来たのも転属というのも名ばかりで実際は追い出した・追い出されたという感じのようだ。まったく、聞いてて最後の方は腸が煮えくり返ってたよ」
鳳翔「私も境遇は違えど似たような扱いを受けましたので翔鶴さんの気持ちは理解できます」
提督「……ああ。だったな」
鳳翔「提督にこんなことを言うのは完全に筋違いかもしれませんが、人間はどうしてこう自分勝手なのでしょうか」
提督「ソンな奴がたまたま海軍に入り、たまたまのし上がってしまった結果だ。こればかりはどうしても排除できない……。すまない。人間全てが同じじゃないことだけはわかって欲しい」ペコリ
鳳翔「……すみません。こちらこそ取り乱しました」
提督「まったく。周りは艦娘のことを本当になんだと思ってるんだろうな。誰のお陰で今こうしていられるか分かっているんだろうか」
鳳翔「………………」
提督「とりあえず、今は何より翔鶴のことだ。まずは艦載機をどうにかしないとな。資源に余裕はないが……そんなこと言ってる場合じゃない」
鳳翔「練度につきましては、私が付きっきりで指導いたします。一通りこなしていけば自信につながるかと」
提督「うん。そうしよう。あとは……」
鳳翔「翔鶴さんご自身の気持ちですね」
769: 2015/06/19(金) 20:20:35.40 ID:q/I3JdjO0
………………
~吹雪日記 ○月○日~
今日から一週間鳳翔さんの代理で秘書艦復帰。
久しぶりの秘書艦はやっぱり緊張する!
でも頭や身体は覚えているのですぐに対応できたのは良かったことかな?
新しくやって来た翔鶴さんのことを司令官から簡単に聞いた……うん、これはヒドイと思う。
鳳翔さんが秘書艦を離れてまでお手伝いする理由がわかった。
私もなにか力になれればいいな。
鳳翔「まず、どんな時でも冷静を欠いてはいけません。逸る気持ちももちろん分かりますが、そのままではただの矢の投射となってしまいます」
翔鶴「は、はいっ」
鳳翔「常日頃から妖精さんとの意思疎通は行ってくださいね。いざと言う時の技量は妖精さんとの絆に大きく左右されます」
翔鶴「意思疎通……絆……」
鳳翔「ふふっ。あまり固く考えなくて大丈夫ですよ。母艦と艦載機は一心同体。互いの信頼こそが練度を高めていくのですから」
翔鶴「信頼、ですか」
鳳翔「はい。信頼です。まず本日は妖精さんと仲良くなる所から始めましょうか」ニコニコ
ヨロシクネー
ナットウニ ネギ イレルタイプ?
エ、エット……
提督「――さっそく妖精さんが翔鶴に群がってるなー」
吹雪「みんな遊ぶのが大好きですからね」
提督「この分だとすぐに仲良くなれそうかもな。まずは一安心か」
吹雪「でも鳳翔さんの教え方はなんと言うか、ちょっと変わっていますね。私たちの場合は習うより慣れろでやってきたもので……」
提督「差がある、とまでは言わないがね。己の技量が直結する砲雷撃と違って航空戦ともなると妖精さんの力が必要になる。だからこそ技量よりも先にお互いを知ることから始めてるんじゃないかな」
吹雪「なるほど……!」
提督「ここは鳳翔に任せても大丈夫そうだし、俺たちは俺たちの仕事を片しに行くか」
吹雪「はいっ」
提督「………………チラッ」
770: 2015/06/19(金) 20:25:36.66 ID:q/I3JdjO0
―夜―
knock knock knock
提督「俺だ。ちょっといいかな」
翔鶴『て、提督?! すすすみませんっ。少々お待ちください』ガタガタガタッ
ガチャッ
翔鶴「お、お待たせしました……!」ハァハァ
提督「そんな慌てることはないよ。こちらこそこんな時間に訪ねてきてしまって申し訳ない」ペコリ
翔鶴「い、いえっ。そんな」
提督「翔鶴さえ良ければ話でもどうかなと思ったんだが、今大丈夫かな?」
翔鶴「は、はい。私なら大丈夫です」
提督「じゃあ立ち話もなんだから食堂にでも行こう。まだ鳳翔がいるはずだからなにか飲み物でも作ってもらおうか」
鳳翔「はちみつ入りのホットミルクです。お休み前にはちょうど良いかと」コトッ
翔鶴「ありがとうございます」イイニオイ
鳳翔「提督はいつものでよろしかったですよね」
提督「うん。ありがとう鳳翔」
鳳翔「お話ということですから、私は席を外した方がいいでしょうか」
提督「いや、いきなり二人きりだと申し訳ないから一緒にいてくれると助かる」
鳳翔「畏まりました。ではお隣失礼いたしますね」
提督「……うん。やっぱり鳳翔の淹れてくれるお茶は美味いな。翔鶴も、遠慮せずに温かいうちに飲みなさい」
翔鶴「あ、はい。いただきます」
提督「ここへ来たばかりで緊張するなと言うのも無理があると思うけれど、せめてこの場ではリラックスしていこうじゃないか」
771: 2015/06/19(金) 20:30:31.03 ID:q/I3JdjO0
翔鶴「美味しい……」
提督「だろう。それに鳳翔は料理も上手いからついついいろいろと頼ってしまうんだ」
翔鶴「では、普段の食事も鳳翔さんが?」
鳳翔「はい。間宮さんと一緒の時もありますが、毎日ここへいらっしゃるわけではないので自ずと私の担当になりますね」
翔鶴「すごい……。秘書艦も担当されてて、それに日々の食事までこなされるなんて」
鳳翔「食事については前にいた所の名残りですね。私は旧式艦故戦闘には出させてもらえなかったので」
翔鶴「えっ?」
提督「実は鳳翔も最初からここの所属ではないんだ。翔鶴と同じように別の所から移動してきた。……いや、この場合は俺が無理やり連れてきた……かな?」
鳳翔「ふふっ。確かにあの時は半ば無理やりでしたね」ニコニコ
翔鶴「えっ、え?」
提督「他にもウチ唯一の戦艦……いや、航空戦艦の扶桑と山城も同じだ。みんな言ってしまえば以前は"邪魔者"とされていた」
翔鶴「………………」グッ
提督「おかしいよなあ。必要とされてるから呼ばれたのに、やっぱり使えないからいらないって。そう言うテメェは何様だって話だよ」
翔鶴「そ、それは……!」
提督「自分たちでどうにもならないから、お願いしてる立場なのに勘違いしてる奴が多すぎる。翔鶴や鳳翔、扶桑たちの指揮官や……アイツもだ」
翔鶴「いや、あの。でも」オロオロ
提督「……あ、すっすまん。つい熱くなりすぎた。悪い癖かなコレは」ポリポリ
翔鶴「で、でも少し嬉しかったです。提督は私たちのことを本当に考えてくれているんだって」ニコッ
提督「お、おぅ」テレッ
鳳翔「あらあらまぁまぁ」ニコニコ
提督「と、とにかく翔鶴も! 前のことを引きずるなとは言わない。忘れろとも言わない。でもここにいる限りは俺が全力で守るし全力で力になる。もちろんみんなもそうだ。だから翔鶴も全力でぶつかってきてくれ」
翔鶴「提督……」
鳳翔「いっその事、見返すつもりでいるのもアリかもしれませんね。自分はこんなにも役に立てるのに使いこなせなかったアナタが悪い、のような感じで」ウフフ
翔鶴「鳳翔さん……」
提督「遠慮なんてしなくていい。いっぱい頼ってくれ。俺もいっぱい頼るから」
鳳翔「それは指揮官としてどうなのでしょうか」
提督「やっぱダメか」
翔鶴「……ふふっ」
翔鶴「(――ここの提督はチョット変わっている人。だけどものすごくいい人なのかもしれない。ここだったら私も、変われるのかな……? いつか瑞鶴に胸を張って会えるようになれるかな……?)」
772: 2015/06/19(金) 20:35:30.14 ID:q/I3JdjO0
~吹雪日記 ○月X日~
私は、今日の出来事を一生忘れないと思う。
提督「……翔鶴もだいぶ基礎が出来上がってきたかな」
鳳翔「そうですね。そろそろ次の行程に進んでもいいかもしれません」←秘書艦復帰
提督「実戦も経験させてあげたいけれど、まずは実戦訓練からだな」
鳳翔「では、本日は演習を行いますか?」
提督「うーん……演習もいいが、鳳翔。攻撃機役をやってみないか?」
鳳翔「私がですか?」
提督「今までは発艦を含めた基礎だった。いわば攻撃の練習だ。なら今度は苦手としている防空に力を入れてもいいだろう。もちろん一人だけでなく、簡単な艦隊を組んだ上でなら効果も増す」
鳳翔「総合的な動きと言うことですか」
提督「ああ。実戦を意識し始めるにはいいかもしれない。それに、翔鶴に実際に見て体験してもらうのが早いんじゃないかな。ウチの主力航空隊の腕前をネ」
鳳翔「……そう言う事ならば、手加減するのは失礼に当たりますね」
提督「挫折じゃなく、乗り越えるための壁。これを乗り越えた時きっと翔鶴には大きな自信になるはずだ」
鳳翔「人選はいかがされますか? 本格的な防空となると扶桑さんや山城さんにお願いするのがいいかもしれません」
提督「ふむ。とは言えあんまり資源を多く使えないからなあ。最初のうちは駆逐艦か軽巡でいこう。今一番練度が高いのは……」
鳳翔「吹雪ちゃんと神通さんですね。もちろん皆さんの練度もありますが、やはり着任が早かった分だけ高いですね」
提督「特に吹雪は初期艦だしな。神通も川内姉妹の中では最も早かった。二人がいれば防空も頼りになるな」
鳳翔「では私は二人を呼んでまいります。出発はいつにしましょうか」
提督「んー、今からじゃ昼を挟むから時間的によくないな。準備もあるだろうから午後にしよう。せっかくだから今回は俺も同行しようかな。直接見て指揮するのもいいかもしれない」
鳳翔「あらあら。ではますます気合いを入れないといけませんね」ニコニコ
778: 2015/06/21(日) 16:35:35.66 ID:4CaClA0C0
『空母ヲ級及び駆逐ニ級と見られる艦影各3。そのいずれも改装型の恐れが強く、更に黄色乃至青色のオーラを纏っているとの事です!』
………………
『じ、上空直掩機、全滅?! 敵は戦闘機のみの制空戦闘を行っています!』
………………
『――――提督、提督はどうかお逃げください。殿はこの神通が努めます』
………………
『私も……不本意ですが敵の攻撃を引きつけるのは得意ですので』
………………
『あなたたち……っ……そんな、そんな姿になってまで……戦いたかったっていうの?!』
………………
『ワレラ……タタカウ……コンドコソ、ナカマ……マモル』
………………
…………
……
779: 2015/06/21(日) 16:40:30.97 ID:4CaClA0C0
ザザーン
翔鶴「………………」
提督「こんな所にいたのか。探したよ」
翔鶴「あ、提督」
提督「隣いいかな」
翔鶴「……はい」
ザザーン
提督「なんと言うか今日は、とんでもない日だったな」
翔鶴「あのヲ級……いえ、雲龍さんたちはどうなりましたか?」
提督「秘密裏に工廠へと運び込んだが、まだ全員意識は戻ってない。正直戻るかどうかもわからない」
翔鶴「あれは一体何だったんでしょうか」
提督「俺も理解しきれてない部分が多すぎる。まさか深海棲艦が艦娘になるなんて、そんなこと聞いたこともないし。判断もできそうにないや」
翔鶴「私たちは一体何と戦っているんでしょうね。艦娘って、深海棲艦って……」
提督「………………」
翔鶴「ごめんなさい。私もこんな展開になるなんて考えもしなかったものですから、まだ混乱しています」
提督「こればっかりは無理ないかもな。あまりにも衝撃的すぎた」
翔鶴「誰にも言えませんよね……」
提督「ああ。ここに残ってたみんなにも言えない。混乱を巻き起こすおそれがあるし、最悪戦闘すらできなくなるかもしれない。それこそ恐怖だよ」
翔鶴「では雲龍さんたちはどうされるんですか」
提督「隔離かなぁ。まずは意識が戻るまでこの事は箝口令を厳しく敷こうと思う。万一にも外に漏らす訳にはいかないからね」
翔鶴「……わかりました。この事は私も墓場まで持っていきます」
提督「氏なれちゃ困るなあ」
翔鶴「物の例えですよ」クスッ
提督「ははは。だが真面目な話本当にそれくらいの心づもりでいてほしい。最重要機密ってやつだ」
翔鶴「はい」
780: 2015/06/21(日) 16:45:40.58 ID:4CaClA0C0
提督「この戦争が終われば、あるいはこんな事をせずとも済むかもな。人間も艦娘も関係なく平和に過ごせる世……そんな世界になってほしい」
翔鶴「人間も艦娘も……」
提督「腕っ節は別として、艤装を装備してなければパッと見て違いなんて誰もわからないじゃないか」
翔鶴「確かにそうですね」
提督「そんな世の中のためにも、俺達は俺達のできることをやるしかない。翔鶴にはこれからも力を貸してほしい」
翔鶴「私でもお役に立てるのでしょうか」
提督「もちろん。今はまだ練成の最中だが、翔鶴なら必ず鳳翔とともに航空戦隊の基幹を担ってくれると信じてる」
翔鶴「……あの、提督。一つだけ質問してもよろしいですか?」
提督「うん?」
翔鶴「なぜ私のことをそこまで評価してくださるのですか?」
提督「………………」
翔鶴「練度も低く被害を受けてばかりで皆さんの足を引っ張ることしか出来ないのに、戦時下の戦力的には放置されても仕方がn――――」
提督「ストップ。それ以上は言うな」ムニッ
翔鶴「うにゃっ?!」←ほっぺを掴まれた
提督「あまり自分を卑下した言い方はしない方がいいぞ翔鶴。自分の気が楽にはなるかもしれんが自虐なんぞ聞いてる方はハッキリ言って不愉快だ」
翔鶴「ぅあ……」コクコク
提督「それにな、自分が好きになった娘にそんな事を言われるとこっちまで悲しくなる」
翔鶴「ふぁ…………ふぇえっ?」エ
提督「あ、やべッ」パッ
翔鶴「て、提督、あの、その」
提督「………………」ポリポリ
翔鶴「……う、嘘とか冗談じゃあ、ないんですよね?」
提督「まあ、な。気を悪くしたなら申し訳ない」
翔鶴「えっと……えっと」
781: 2015/06/21(日) 16:50:33.93 ID:4CaClA0C0
提督「……贔屓とか同情とかじゃあないぞ。いっちゃなんだがその……一目惚れだった」
翔鶴「あぅ」
提督「勢いに任せて口に出てしまったが、決して嘘ではないし本気だ」
翔鶴「………………」
提督「……あー、いきなりこんなこと言ったって困るだろうし正直迷惑だったよな」
翔鶴「あ、いえ……」
提督「こんなこと言う奴と一緒にいたくないかもしれないが翔鶴は必要な戦力だし、できればこれからもこの鎮守府の……」
翔鶴「て、提督待ってください!」ストップ
提督「むっ」リョウカイ
翔鶴「確かに、その、突然そんなことを言われて驚いてます。あまりにも予想外でしたから」
提督「」ウンウン
翔鶴「でも迷惑だなんて思ってません! ただ……私、人間じゃなくて艦娘ですよ? なんで……」
提督「……人間も艦娘も関係ない。言ってしまえば惚れた女性が翔鶴で、たまたま艦娘だったってだけだよ」
翔鶴「ほ、本気なんですか?」マッカ
提督「さっきからそう言ってる。ぶっちゃけ結婚したいくらい」
翔鶴「い、言うならもうちょっと場所とムードを考えてください!」
提督「それはまあ、すまないとしか」ネ
翔鶴「もぅ。一体何を考えてるんですかぁ」プリプリ
提督「あはは……まあ、嫌だと言われないだけマシなのかな」
翔鶴「イヤなんて言いませんよ。少なくとも悪い印象はありませんから。でも提督のことを全然知らないから返事ができないだけです」
提督「まだ一週間くらいしか経ってないもんな」
翔鶴「はい。まだ一週間です。もっと言うとこの鎮守府にもまだ慣れ始めたばかりです」
提督「なら鎮守府にも慣れて、俺のこともこの先分かってくれたら……返事はもらえるのかな」
翔鶴「確約は致しませんよ。それに良いお返事を出来るとも限りません」
提督「その時はその時だ。煮るなり焼くなり好きにしてくれ」
翔鶴「あら、良い返事がもらえるように頑張る、ではないんですか?」ニコニコ
提督「……言ってくれるなあ」
翔鶴「せっかく提督が本音で語ってくださっているので、私も本音でお話させてもらっています。ご迷惑でしたか?」
提督「いや、全然。それこそ望むところだよ。ここで生活するのに遠慮なんて要らない。言いたいことはどんどん言ってくれ。みんなもそうしてるし俺もそうしてる」
翔鶴「変わってるって言われませんか?」
提督「言われすぎて耳にタコだよ」
783: 2015/06/21(日) 16:55:31.20 ID:4CaClA0C0
~吹雪日記 ○月☆日~
今日は鎮守府内の人事異動(?)があった。
なんと秘書艦が鳳翔さんから翔鶴さんに。
司令官曰く鎮守府に慣れてもらうには一番いいってことだけど、まあ私もそうだったし経験上ありなのかもしれない。
それに鳳翔さんの負担も最近大きくなっていたのも関係あるかも?
あとはなんだか翔鶴さんが急に明るくなったというか、元気になったというか
やっとここにも慣れてきたからかな?
私ももっと仲良く出来るように頑張ろう。
鳳翔「――それでは、引き継ぎは以上ですね。もしなにか困ったことがあったらなんでも仰ってくださいね」
翔鶴「はい。ありがとうございます鳳翔さん」
鳳翔「秘書艦は鎮守府全体を見て行動しますので、決して視界を狭くしないように気をつけてくださいね」
翔鶴「わかりました。それで、鳳翔さんは今後は……?」
鳳翔「主に皆さんの食事の用意と洗濯、あとは訓練や哨戒などですね。これでも提督に働き過ぎだと言われてしまいました」
翔鶴「た、確かにそうかもしれませんね……」アハハ
鳳翔「けれど、大変・辛いってことはないんですよ。皆さんのお役に立てるのは嬉しいですしね。もちろん戦闘となれば全力を持って、です」ニコニコ
翔鶴「私も早く鳳翔さんと一緒に戦えるように頑張ります」
鳳翔「ふふっ。お互いに頑張りましょうね。大事なのは腕よりも絆ですよ」
翔鶴「はいっ」
784: 2015/06/21(日) 17:00:45.32 ID:4CaClA0C0
翔鶴「……提督」
提督「ん?」サラサラサラ
翔鶴「露骨過ぎます」ジー
提督「まあ、絶対になかったとは言わないな」
翔鶴「そういうのはあまり良いとは言えませんよ」
提督「もちろんちゃんとした理由の方が大きいさ。ここに早く慣れるためにはここの事を知るのが一番。ならば普通に生活するよりも秘書艦として動いた方が早くて確実というわけだ」
翔鶴「それは、まあ……確かに」
提督「あとはやっぱり鳳翔かな。元々頼みすぎていた状態だったが、これ以上負担を強いたらオーバーワークだ。本人は平気だと言ってるが、やっぱり任せっきりは心配だよ」
翔鶴「その点については大いに同意です」
提督「となると、次に適任なのは翔鶴ってことになる」
翔鶴「まあ、そうなる……んでしょうか」
提督「そして俺と接する機会が多いから判断の足しになると」ウムッ
翔鶴「最後が本音ですね」
提督「最後"も"本音だ。つまり全部嘘はついてない」キリッ
翔鶴「全くもう。やっぱり提督は変わっていますね」
提督「褒め言葉と受け取っておこう」
翔鶴「……それで、まずは何からすればよろしいでしょうか」
提督「うーん、じゃあお茶を一杯よろしく頼むよ」
翔鶴「………………」
提督「お茶は大事だぞー。一息つかないと集中力が下がってしまう。鳳翔は美味いお茶を淹れてくれたし、是非とも翔鶴にも美味しいお茶を淹れてほしい」
翔鶴「ここで鳳翔さんの名前を出さないでください。絶対に敵いません」プクー
提督「すまんすまん」
翔鶴「それにお茶を淹れたことなんてほとんどありませんよ?」
提督「誰だって最初はそんなもの。日々の練習こそが後のタネだ」
翔鶴「……美味しくなくても文句は言わないでくださいね」
提督「大丈夫。端的に言えば急須に茶葉とお湯を入れるだけのものなんだから。薄い濃いは個人の好みだ」
翔鶴「ちなみに提督のお好みは……?」
提督「仕事中なら濃いやつで、その他なら薄い方が好きかな」
……
…………
………………
785: 2015/06/21(日) 17:05:35.10 ID:4CaClA0C0
翔鶴「――――とく、提督?」
提督「んっ? あ、あぁスマン。ボーっとしてた」
翔鶴「考え事ですか?」
提督「ちょいと昔のことを思い出してたよ。翔鶴がやって来て、秘書艦になるまで辺りを」
翔鶴「そこまで昔ってほどじゃありませんが……懐かしいですね」
提督「今じゃあ押すに押されぬ秘書艦エース。戦闘でも大いに頼りになる存在になったなぁ」
翔鶴「私も少しはお役に立てるようになりましたか?」
提督「今の翔鶴を役に立ってないと言うやつがいたら射殺モノだな!」
翔鶴「ふふっ。そう言って頂けるのでしたら幸いです」
提督「今だったらあの時の返事を貰えそうな気がするくらいね」
翔鶴「もう何度も返事をしていると思いますが……」
提督「態度では示してもらってるけれどね。言葉ではまだだよ」
翔鶴「そんなこと言ったら提督も……」
提督「俺はホラ、返事を待ってる側だから」
翔鶴「ズルイ」
提督「先に言ったもの勝ちなのデス」
翔鶴「もぅ……」
提督「まあでも、返事は戦争が終わるまではしなくていいよ。なんか縁起悪い気がするから。俺は今でも十分に幸せだし」
翔鶴「提督は散々持ち上げてから落っことすタイプなんですねっ」
提督「まあまあ。楽しみは最後まで取っておくタイプと言ってほしい」
翔鶴「それだと自分で答えを出しちゃってるような気が……」
提督「察するのと直接言われるのじゃあ全然違うだろ?」
翔鶴「本当にああ言えばこう言うんですからぁ」
提督「なんか翔鶴と話してるとこう、からかいたくなるような? ちょっかいを出したくなるような?」
翔鶴「……お返事するのを考えたくなりますね」
提督「でも腕は離さないんだろう?」
翔鶴「………………」ギュウッ
提督「やれやれ」ニコニコ
そんな 二人の カンケイ
786: 2015/06/21(日) 17:07:55.14 ID:4CaClA0C0
次回……かその次でラストです
よろしければ最後までお付き合いください
よろしければ最後までお付き合いください
787: 2015/06/21(日) 17:31:13.31 ID:dtpaXF8AO
乙!
甘々に向けて砂糖足りるか?
甘々に向けて砂糖足りるか?
788: 2015/06/21(日) 17:31:40.75 ID:pUQ5KJYSO
乙です
雲龍達に出会ったの翔鶴さんが着任してからたった一週間の出来事だったのか
雲龍達に出会ったの翔鶴さんが着任してからたった一週間の出来事だったのか
796: 2015/06/24(水) 22:05:28.96 ID:/dr74rpk0
瑞鶴「~♪」
翔鶴「朝からご機嫌ね瑞鶴。どこかに行ってたみたいだけどなにか良い事でもあったの?」
瑞鶴「まぁねーん」ルンルン
翔鶴「今度は何をしたの」
瑞鶴「ちょっといろいろと。あ、そうだ翔鶴姉ぇ。はいっ、コレ」つ
翔鶴「? これはキーホルダー? 瑞鶴が作ったの?」
瑞鶴「残念違います! あ、まだ絶対にロックしないでね。たぶん出来ないはずだけど意味なくなっちゃうから」
翔鶴「え、あっうん……」イミ?
瑞鶴「最初に聞いておくけど、提督さんとこの先もずっと一緒にいたいよね?」
翔鶴「き、急になに」
瑞鶴「いいからっ。真面目な話」
翔鶴「それはもちろん一緒にいたいけれど……」
瑞鶴「愚問だったね。じゃあ早速それ持って提督さんの所に行こうか」
翔鶴「え、え?」
瑞鶴「ほら早く行こう翔鶴姉ぇ」グイグイ
翔鶴「なんなの……一体? ちょっと瑞鶴ったら、ちゃんと説明をしてよ」
瑞鶴「すぐにわかるよー」
翔鶴「もぅ」
797: 2015/06/24(水) 22:10:33.82 ID:/dr74rpk0
ガチャッ
瑞鶴「おっはようございまーす!」
提督「やあ。おはよう瑞鶴。今日は一段と元気がいいな。なんか良い事あったのか?」
瑞鶴「提督さんったら翔鶴姉ぇと同じ事言ってる。やっぱり似た者同士だねぇ」ニヤニヤ
提督「そ、そうか」
翔鶴「あはは……おはようございます。提督」
提督「おはよう翔鶴。いったい瑞鶴はどうしたっていうんだ?」
翔鶴「さあ、それが私にもサッパリで。もうずっとこんな感じなんです」
提督「また変なこと企んでないだろうなあ?」
瑞鶴「なんにもー」ニコニコ
提督「……この笑顔で信じろってのもなかなか難しいよ」
翔鶴「ですよね」
瑞鶴「信用ないなあ。じゃあそんな提督さんに、はい」つ
提督「ん、なんだこれは。ハートのキーホルダー?」
瑞鶴「それを私の手首につけてもらえる?」
提督「じゃあブレスレットか。でもこれくらいなら自分で付けられるだろ」
瑞鶴「いいから!」ンッ
提督「しょうがないなぁ」ゴソゴソ
カチャンッ
提督「――んんっ? なんだ鍵が出てきたぞ」ピーン
瑞鶴「ほほぅこうなるのかあ」
翔鶴「?」
瑞鶴「じゃあ改めて今日からよろしくねっ。 "お兄ちゃん"♪」
提督・翔鶴「?!」
798: 2015/06/24(水) 22:15:28.06 ID:/dr74rpk0
瑞鶴「へへっ」ニコニコ
提督「な、なんだ……今度は何の遊びだ?」
翔鶴「瑞鶴、いい加減に説明をしてちょうだい。さっきから一体どうしたのよ」
瑞鶴「これはタダのブレスレットじゃなくてね。その名もズバリ"ハートロック" またの名を"ヨウシエングミカッコカリ"と言います!」ドヤァッ
提督「は、ハートロック?」
翔鶴「ヨウシエングミ……?」
瑞鶴「この間提督さんのお父さんに貰ったケッコンカッコカリってあったでしょ? まさかネタが被るとは思わなかったけど、そんな感じのやつ」
提督「そんな感じと言われても、なぁ」
翔鶴「じゃあこれをつけると能力が上がるの?」
瑞鶴「ううん。そんな効果はないよ。でももしつけたらきっと資源の消費量がコレよりも凄いことに……」
提督「今さらっと資源使ったって言ったな?」
瑞鶴「まあそこは気にしない方向でっ」テヘッ
翔鶴「もぅ瑞鶴ったら、ムダ使いはダメって普段から言ってるでしょう」
瑞鶴「でもこればっかりはムダじゃない使い方だと思ってるもん。翔鶴姉ぇやみんなにとっても必要だと思うし」
翔鶴「私たちも……?」
瑞鶴「カタチで分かる家族の絆っていうの? 一緒にいるよっていう証みたいな」
提督「……ようするに、擬似的な家族を構築したと? このブレスレットで」
瑞鶴「そんな感じ。もちろん強制力はないけどねー。でも、これお互いが望んでないと絶対にロックできないんだよ」
翔鶴「え、そうなの?」
瑞鶴「艤装の一種だから、逆に私たち艦娘から提督さんにつけることは出来ないし、作られた鍵を持つ提督さんも一方的には外せない。お互いが望まないと解除ができないの」
提督「なんとまあ。エライ物を作ったなぁ」
瑞鶴「そこもまた妖精さんの力ってね。だから翔鶴姉ぇに対しても絶対にロックできないことはないよ」フンスッ
提督「んー、試してみるか?」
翔鶴「まあせっかくですし……?」スッ
カチャンッ
翔鶴「んっ……」ピクッ
提督「なんか付ける度に電気みたいなのが身体に走るな」
瑞鶴「残念、これで翔鶴姉ぇは新妻(仮)から家族に格下げになりました~」ニコッ
翔鶴「えっ……?!」
提督「嘘だろ?」
瑞鶴「うん。ウソ☆」
翔鶴「………………」イラッ
ゴチンッ!!!
799: 2015/06/24(水) 22:20:39.94 ID:/dr74rpk0
瑞鶴「……痛い」ジンジン
翔鶴「そう言う嘘は嫌いですッ」プンプン
提督「まあまあ」
瑞鶴「で、でもコレにはもう一つ特殊効果がついててね……!」
翔鶴「今度はなあに?」ジー
瑞鶴「これをつけている限り、謎の力によって提督さんから離れることはありません! つまり移動や転属もないと」
提督「移動や転属がないって、そんなバカな……一体どうやって」
瑞鶴「だから謎の力なの。詳しくはわからないけど、誰だって無理やり家族を引き離そうって思わないでしょ?」
提督「まぁ、いや、でも……本当なのか?」
瑞鶴「実験できないからこればっかりは妖精さんの言葉を信じてもらうしかナイかも」
提督「うーむ」
瑞鶴「簡単にまとめると、これをつけた瞬間から私たちは提督さんのモノってことかな」
提督「そのまとめ方は誤解を招きそうで怖い」ヤメテ
翔鶴「でもどうしてこれを作ったの?」
瑞鶴「前に提督さんが話してた戦いの後ってコト、私なりに考えてみたんだ。今のこの時間をずっと続けられればなって」
翔鶴「瑞鶴……」
瑞鶴「やっぱり私たちは艦娘だからさ、フネよろしく今後もいざ戦闘となれば行き先バラバラになっちゃうでしょ? せっかく提督さんやみんなと仲良くなれたのにさ」
提督「………………」
瑞鶴「中央にいた頃には考えもしなかったのにね。なんだかんだすっかりここの空気に染まっちゃったのかなー」アハハ
800: 2015/06/24(水) 22:23:49.35 ID:/dr74rpk0
引っ張るつもりはないけど次回持ち越し 全部昨日の雷無双乱舞が悪い
金曜か土曜に残りとオマケを投下して〆です あと少しお付き合いいただければ
残りはどうしよ いつも通りの日常系?
金曜か土曜に残りとオマケを投下して〆です あと少しお付き合いいただければ
残りはどうしよ いつも通りの日常系?
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