126: 2014/05/17(土) 11:55:51.59 ID:FPO/jZim0

前回提督「甘えん坊」潮、北上、あきつ丸の場合


     榛名の場合



127: 2014/05/17(土) 12:05:02.30 ID:pbFKuo1W0

榛名「──────わ、私がですか?」

提督「ああ、榛名が今月の戦果トップだ」

提督「尽力、大変感謝する」

榛名「い、いえ! 榛名は当然のことをしていたまでです! 特別なことは何も!」

提督「ははっ、当たり前のことを当たり前にやることこそが一番難しいんだ。そう謙遜するな」

提督「────さて、そういうことで榛名には何か報奨を与えなければならない。叶えられる範囲なら何でもいいから口にしてみてくれ」

提督「先に言っておくがこれは我が鎮守府の規則でもある。何も要らないというのは無しだぞ?」

榛名「え、ええと………………」

榛名「……それではその──────」


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提督「…………こんなことで良かったのか?」

榛名「はい! 榛名は満足です!」


 胸元から榛名の嬉しそうな声が届く。

 榛名のお願いは『添い寝をしてほしい』というものだった。それを聞いた俺は、早速執務室に仮眠用として置かれていた布団を引き出す。
 上着を脱ぎ、下はベルトだけを外す。一方の榛名は普段の格好のままだ。薄い布地が主であるため添い寝をする分に支障は無いのだろう。
 そして二人で並んで寝転がり、布団をかける。榛名が俺の胸元に顔をうずめる形で密着してきたのは、布団に入ってすぐのことだった。
 時折感じられる吐息の熱さがこそばゆい。眼下に広がる艶やかな長髪を撫でてやると、榛名の可愛い声が漏れた。


榛名「んっ……!」

提督「嫌か?」

榛名「…………いえ」

榛名「もっと、お願いします……」


 隠れて表情は見えないが、その顔は朱に染まっていることだろう。胸元に感じる熱さが僅かながらに増し、俺の腰へと回されている腕の力が強くなったのだから。


提督「さて、時間を決めていなかったがどうする?」

榛名「て、提督の好きなようにどうぞっ」

提督「そう言われてもなぁ……」

提督「それじゃあ寝て起きるまででいいか?」

提督「正直心地良すぎて、起きることが出来ないかもしれないがな」

榛名「…………か、構いません!」

榛名「は、榛名はその…………それまでずっとこうしてますから!」


 そう言って回された腕に更に力がこもる。
 それに合わせて俺も回した腕の力を強める。
 そうしている内に俺の意識は徐々にまどろみに落ちていき、しばらくして他の艦娘に叩き起こされることになるのだった。


 ……それから数日の間、榛名の戦意がやけに高揚し多大な戦果をあげることになるのだが……これは完璧な余談である。



榛名「て、提督……、その……もし今月も榛名の戦果がトップでしたら……」

榛名「────や、やっぱり何でもありませんっ!」

榛名「榛名はご褒美がなくても大丈夫ですっ!」

艦隊これくしょん -艦これ- 海色のアルトサックス(3) (角川コミックス・エース)

136: 2014/05/17(土) 16:55:04.38 ID:fy++zpAw0


     比叡の場合



137: 2014/05/17(土) 16:56:00.34 ID:fy++zpAw0


提督「──────ん?」


 ペンを走らせていた手をふと止める。

 先ほどから何かが足りないと感じていたのだが、視線を上げることでその原因にようやく気付くことが出来た。


比叡「……すぅ…………すぅ……」


 ソファに横になった比叡が、すやすやと寝息を立てていた。仕事を放って寝るとは呆れた奴だと思いながらも、椅子から立ち上がった俺はそのそばへと移動し、風邪をひいてしまわないよう自身の上着をかける。
 テーブルの上に目をやると、船を漕いだ筆跡があった。書き直しか……、と額に手をやるが、比叡を怒る気にはなれなかった。


比叡「……おねえさまぁー…………」

提督「…………夢でも金剛を追いかけてるのか」


 一体どんな状況なのだろうか?
 無意識に伸ばされた比叡の手がふらふらと宙をさまよい、空を掴む。すると比叡の顔がにへら、と綻んだ。現実では掴めなかったものの夢の中では金剛に手を届かせることが出来たらしい。
 そしてもう一方の手も、宙へと伸ばされる。


比叡「しれーも…………」

提督「今度は俺か」


 呼ばれたからな。

 そう思いふらふらと揺れる手を握る。途端に比叡の顔がついさっきと同じように綻ぶ。
 俺の存在を確かめるようににぎにぎと力を入れたり抜いたりするのが、どうにもくすぐったい。

 ぐいっ、と俺の手が比叡の胸元へ引き寄せられる。


比叡「えへへ……♪」

提督「……やれやれ」


 これはこれで悪くない気分だがこれでは仕事に戻ることが出来ない。さて、どうしようか?

 そうやって頭を悩ませながらソファの端で床に片膝を立てる。眠る比叡の頬を空いている方の手の人差し指でつつきながら、俺は比叡の寝顔を見つめるのだった。


143: 2014/05/17(土) 21:03:17.00 ID:FPO/jZim0


     金剛の場合



144: 2014/05/17(土) 21:06:00.05 ID:FPO/jZim0


金剛「────紅茶はやっぱり最高デース!」

金剛「提督も遠慮せずにおかわりして下さいネー?」

提督「…………ああ、そうだな」

提督「……なぁ、金剛?」

提督「この状態……すごく飲みにくいんだが……」

金剛「ンー?」



 ソファに腰掛ける俺の太ももの間に、その腰を降ろしている金剛。俺の胸を背もたれ代わりに上機嫌でティーカップを傾けているが、俺はといえば不便であるとしか言いようがない。
 金剛はそれなりに背丈があるため、俺は体をずらして紅茶を飲まなければいけないからだ。
 その上金剛は体をスリスリと擦りつけてくるため、揺れて飲みにくいときたから困ったものだ。



金剛「スキンシップは大事デース! 提督ぅー、私とのスキンシップは嫌デスカー?」

提督「あのな、少しは抑えてくれるとだな……」

提督「ほら、別に俺の隣でもいいだろう?」

金剛「隣じゃ触れ合いが少なすぎマース」

金剛「……このまま反転しても良いんデスヨ?」

提督「……このままで頼む」


 それは不味い。何がと言われれば絵面的に不味い。仮に誰かに見られでもしたら……。
 想像し、大人しく観念する。金剛は少しだけ残念そうな声をあげた。


金剛「提督ぅー、撫でても良いですヨー?」

提督「撫でてほしいならそう言え」

金剛「ギュッと抱きしめられたりされたいネー」

提督「こうか?」

金剛「……フフフーン♪」


 金剛の要望に応えながら時間が過ぎていく。
 思えば金剛とこうやってスキンシップを取ったのはいつ以来になるだろうか? 新しく配属された艦娘達の育成や海域攻略作戦への参加、その他諸々のことが重なって忙しい時期が続いていた。正確な期間は分からないがかなりの間放っておいてしまっていたのは間違いない。
 それでいてこれだけの好意を向けてくれているという事実。俺が想像しているよりも金剛は健気な性格をしているらしい。
 ……罪悪感が、湧いた。



金剛「んっ……」

金剛「急に抱きしめる力が強くなったネー」

提督「……駄目か?」

金剛「No! 嬉しいデース! もっとお願いしマース!」



 これだけのことで埋め合わせが出来るとは思っていない。
 ……ただ今日くらいは、金剛の自由にさせてやるのも悪くないはずだ。

 そう思い、また撫でる。
 そしてまた金剛の嬉しそうな声が響くのだった。






金剛「燃料に弾薬! それと提督分も補給した今の私は何にだって負けまセーン!」


145: 2014/05/17(土) 21:07:35.91 ID:FPO/jZim0


本日の投下終了。

それではまた。



146: 2014/05/17(土) 21:13:27.39 ID:F0BR2kk4o
乙ー。

つまり、全員書いてくれる上に、ちとちよは水母と軽母
19、58、8は潜水と潜母の2パターン書いてくれるんですね?!

やったー!

149: 2014/05/17(土) 22:58:36.85 ID:LpDVr3JP0
ん?今全員分書くって言ったよね?

とりま乙~


引用: 提督「甘えん坊」