1: 2009/04/21(火) 22:49:04.27 ID:Qy018cNs0
「ジューン・・・・・・、置いてかないでよぉ」

「柏葉が遅すぎるんだよー みんなに置いてかれちゃうよ」

ぶつぶつ言いながらもジュンが巴に手を伸ばす。
その手をギュッと握り、巴が微笑む。

「えへへ、やっぱりジュンは優しいねー」

「・・・・・・うるさい、早く行くぞ」

「うんッ!」
ローゼンメイデン 愛蔵版 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

4: 2009/04/21(火) 22:54:14.91 ID:Qy018cNs0
――久しぶりに見た夢がこれか
ジュンが目を覚ます。時計はまだ午前4時を示している。

「くそ・・・・・・、疲れてんのかな」

独り、愚痴をこぼす。

再び寝ようと試みるが、どうしても寝付けない。

・・・・・・

柏葉も覚えてるのかな。

5: 2009/04/21(火) 22:58:08.73 ID:Qy018cNs0
結局、寝付けないまま翠星石がいつものように起こしに来る。
今日は片手にフライパン、もう一方におたまの組み合わせで。

ガンガンガーァァァン

「う、うるさいッ! もう起きてるからやめろっ!」

「あれ、今日は珍しいですね もうトーストが焼けてるですよ」

少しだけ、翠星石が驚いていた。
僕ってそんなに寝るキャラでもないだろ・・・・・・。

「ぐあぁぁぁ! 何の音なのよッ!」

真紅も目を覚ました。

7: 2009/04/21(火) 23:02:31.33 ID:Qy018cNs0
「あー・・・・・・、朝から頭がガンガンするわ」

真紅が愚痴をこぼし、翠星石が申し訳なさそうな顔を見せる。

「あのまま寝て朝ごはんを食べ損ねるのよりはマシだろ、文句言うな」

再び翠星石が驚く。

「・・・・・・それもそうね」

「お前なんかにかばってもらう筋合いはねえですッ!」

9: 2009/04/21(火) 23:06:55.12 ID:Qy018cNs0
「あ、ようやく降りてきたのー!」

雛苺がテーブルに人数分のコップを並べている。
みんなの飲み物と違って、雛苺の飲み物だけオレンジ色をしている。

「こらッちびちび! トーストには牛乳だって言ってるですぅ!」

「ふーんだ!のりの許可はもらったのー!」

「きぃぃぃぃぃ! のりッ! 甘すぎるですぅ!」

「まぁまぁ・・・・・・、たまには良いじゃない ね、ヒナちゃん?」

「たまにはいいの!」

「・・・・・・朝っぱらから元気な奴らだな」

「・・・・・・ええ」

10: 2009/04/21(火) 23:09:57.98 ID:Qy018cNs0
「それじゃ、行ってきまーす」

「行ってらっしゃいなのー!」

のりが遅刻ぎりぎりの時間に家を出る。
僕達が心配なのか知らないが、もう少し余裕を持ってでればいいのに。

「あ、ジューン 今日はねー、巴が来るのー!」

「んー、柏葉は学校じゃないのか?」

「今日はサボるって言ってたのー!」

普段まじめな巴が学校をサボってジュンの家にくる――
ジュンが急いで顔を洗いに行った。


30分ほどあけます

14: 2009/04/21(火) 23:24:58.03 ID:Qy018cNs0

ピンポーン

「トゥモエーーーーーーーーー!」

雛苺が普段の倍以上の高さで飛び掛かる。

「雛苺・・・・・・、元気だった?」

「元気一杯なのーッ!」

その様子をこっそり覗いているジュンと巴の目が合う。
ジュンが一瞬のけぞった。

「こんにちは、桜田くん」

16: 2009/04/21(火) 23:30:50.89 ID:Qy018cNs0
「あ、あぁ・・・・・・ よくきたな」

ジュンが視線を合わせずにぶっきらぼうに言う。
昨日見た夢のせいか変に巴を意識してしまう。

「じゃあ、あがるわね」

「あぁ」

ジュンがリビングに巴を案内する。

「・・・・・・桜田くんの家に入るの、久しぶりね」

「今飲み物もって来る 紅茶でいいか?」

「ええ、ありがとう」

19: 2009/04/21(火) 23:36:59.80 ID:Qy018cNs0
「おい、チビ人間」

翠星石がジュンと巴が離れるのを見計らって尋ねる。

「あの人間とお前はどんな関係ですぅ?」

「いや、ただの幼馴染だ・・・・・・」

紅茶を淹れながら、ジュンが答える。
しかし、ジュンに動揺があったのか翠星石が追求する。

「"ただの"ですぅ?」

「・・・・・・関係ないだろ」

23: 2009/04/21(火) 23:42:03.68 ID:Qy018cNs0
翠星石の追求をかわし、巴に紅茶を持っていく。

コト

「ありがとう」

「どういたしまして」

会話が続かない。

「あ、それじゃ僕は勉強してくるよ」

「桜田君・・・・・・」

「ん?」

「私も手伝おうか?」

26: 2009/04/21(火) 23:46:01.22 ID:Qy018cNs0
思いもかけずに、巴がジュンの部屋に上がる事になった。
緊張する。

「ま、まぁ適当に座ってよ」

「ええ」

「そ、それじゃ・・・・・・ 数学でも勉強しようk」

「桜田君は・・・・・・、覚えてる?」

「何を?」

「昔・・・・・・、私と結婚の約束をしたことを」

29: 2009/04/21(火) 23:51:14.58 ID:Qy018cNs0
「うゅー、巴の所に行って一緒に遊びたいのー!」

「す、翠星石もあんな野蛮なチビ人間と女人間を一緒にするなんて反対ですぅッ!」

「二人とも、ジュンは勉強をしてるのよ?」

真紅が二人をなだめる。

「で、でも・・・・・・」

「でも じゃないわ ジュンの邪魔をすることは私が許さないわ」

「・・・・・・わかったですぅ」

少し強引に納得させた。

31: 2009/04/21(火) 23:54:12.65 ID:Qy018cNs0
「どうして急に?」

「急じゃないわ、遅すぎるくらいよ」

「けど・・・・・・、子供の頃の約束だからなぁ!」

ジュンが虚勢を張ってみせる。
だが、巴は微動だにしない。

「私は本気だけど」

再び、場を沈黙が襲う。

ピリピリと緊張感が走る。

32: 2009/04/21(火) 23:56:48.23 ID:Qy018cNs0
ジュンが視線を本棚に向ける。

「そ、そうだ・・・・・・ 勉強しないと」

「勉強なんていつでも教えてあげるわ」

「で、でも・・・・・・」

巴がジュンの目を見る。
ジュンは視線を逸らせなかった。

「桜田君・・・・・・ いえ、ジュンは私のことが嫌い?」

35: 2009/04/21(火) 23:59:05.31 ID:Qy018cNs0
嫌いな訳がない。

けど、何故か"いいえ"も"はい"も言えなかった。

「・・・・・・返事はまた後で聞くわ」

心なしか巴の頬が真っ赤になっていた。

「・・・・・・勉強しましょ?」

「あ、あぁ」

教科書を開き、勉強を始める。

37: 2009/04/22(水) 00:02:15.01 ID:BqSRrVhI0
何事もないまま時間が過ぎる。
しかし、ジュンの頭に公式が入らない。

「桜田くん、聞いてるの?」

「え、ああ うん 聞いてるよ」

「ボーっとしてたよ?」

集中できるはずがない。

「じゃぁ、次はこの例題ね」

ジュンの頭は確実に違うことを考えていた。

38: 2009/04/22(水) 00:05:31.77 ID:BqSRrVhI0
バタン

静寂を切り裂くように扉が開く。

「おいチビ人間!女人間! 昼飯が出来たですぅ!」

今のジュンにとっては助け舟だった。
あの空気の中で勉強したら精神的に追い詰められる。

「ああ、今すぐいくよ」

「私もご馳走に・・・・・・?」

「もう準備はしてあるですぅ!」

「ありがとう」

40: 2009/04/22(水) 00:08:36.66 ID:BqSRrVhI0
「あ、これおいしい・・・・・・」

「あったりまえです、翠星石が作ったですぅ!」

「あ、雛苺 口の周りが」

巴がハンカチを取り出し、雛苺の口の周りを拭う。

「はい、綺麗になった」

「ありがとなのー!」

「あら、桜田君まで」

41: 2009/04/22(水) 00:10:13.22 ID:BqSRrVhI0
昼食が終わり、ジュンと巴は部屋に逃げ込む。
後方では、翠星石が喚いていた。

「ふぅ・・・・・・、いきなり怒り出すなんてな」

「ふふっ、桜田君は人気者ね」

つい、手を握ってしまっていたことに気づき慌てて振りほどく。

「ごっごめん! わざとじゃないんだ!」

「何も謝ることはないわ」

44: 2009/04/22(水) 00:14:03.76 ID:BqSRrVhI0
ジュンが勉強しながらチラチラと巴を見る。

「どうしたの?」

「い、いや・・・・・・」

「そう、分からないことがあったらいってね」

そういって巴が目を閉じる。
間もなく、寝息が聞こえてくる。

「・・・・・・はぁ」

47: 2009/04/22(水) 00:17:49.20 ID:BqSRrVhI0
急にジュンの緊張がとける。
男の部屋で何て無防備な・・・・、僕じゃなかったら襲われているぞ とジュンは思う。

カリカリカリ・・・・

カリカリカリ・・・・

「何を描いているの?」

いつの間にか、ジュンは巴の寝顔をスケッチしていた。

「うわッ・・・、びっくりした」

「これ私? 上手ね」

49: 2009/04/22(水) 00:20:57.36 ID:BqSRrVhI0
「あ、ありがとう」

「でも、勉強しないとダメよ?」

巴が注意する。

「わ、悪い」

「それで、質問はある?」

「いや、特に・・・・・・」

巴がずっとジュンを眺める。

「な、なんだよ」

「サボらないように見張ってるの」

51: 2009/04/22(水) 00:23:35.44 ID:BqSRrVhI0
「もうこんな時間かぁ」

「桜田君、お疲れ様」

「あ、柏葉 さっきの返事なんだけど・・・・・・」

空気が変わり、緊張が走る。
欠伸をした巴が目に少し涙を溜めてジュンを見る

「返事は桜田君が学校に来るようになってから聞くわ」

「それじゃ、学校でね」

53: 2009/04/22(水) 00:26:01.36 ID:BqSRrVhI0
「うわーん!巴もう帰っちゃうのぉおー!?」

「ごめんね雛苺、また来るわ」

巴が雛苺と口約束をして、玄関を出る。

「ばいばい桜田君、また月曜日に」

ジュンが巴の後姿を見送る。

「復学・・・・・・、しようかな」

「お、チビ人間がようやくやる気を出したですねッ!」

56: 2009/04/22(水) 00:29:09.89 ID:BqSRrVhI0
「お嫁さん・・・・・・かぁ」

「ともえ将来はジュンのお嫁さんになるーッ!!」

自分で言って少し恥ずかしくなる。

「ふふっ ジュン、頑張ってね」

巴は走り出した。

家まで全速力で。

fin


オチの弱さに定評のある>>1の提供でお送りいたしました。

文才が欲しいです。

思いつきでパパッと書いたけど、次からはもう少し練ろうと思いました まーる

98: 2009/04/22(水) 14:13:13.06 ID:HHw5NY5o0

引用: 巴「ともえ将来はジュンのお嫁さんになるーッ!!」