336: 2015/03/27(金) 21:03:34.65 ID:QhR7oO5h.net

【ラブライブ】希「私がウチになれたのは。」【その1】
【ラブライブ】希「私がウチになれたのは。」【その2】
【ラブライブ】希「私がウチになれたのは。」【その3】
【ラブライブ】希「私がウチになれたのは。」【その4】
【ラブライブ】希「私がウチになれたのは。」【その5】

「だいたい、私達らしさの話からどうしてこうなったのよ?」

「まあまあ、にこ。」

「希だって、何か考えがあるんだろうし…」


「そうなの?希ちゃん。」

「いや、ごめん。」

「完全に思いつきなんよ…」


「ちょっと!?」


「まあ、思う所が無い訳じゃないんやけど…」


「それって…?」

「うーん…」


「って言うか、穂乃果と希。」

「貴女達、髪型変えてなかったでしょ。」


「真姫ちゃん、気付いてたんだ?」
#8 やりたいことは

337: 2015/03/27(金) 21:04:25.57 ID:QhR7oO5h.net
「だって、ウチの髪でサイドテールは無理やし。」

「穂乃果も、希ちゃんみたいにボリュームないしね。」


「まったく、やるならちゃんとやりなさいよ…」


「でも、それじゃどうするの?」

「う~ん…」


「このままじゃ時間がどんどん無くなっちゃう…」

「…結局、何も変えられないままですね。」


「ねえ、ちょっと思ったんだけど…」

えりちが、口を開いた

「一度、アイドルらしいってイメージから。」

「離れてみるのはどうかしら…?」


「アイドルらしくなく、って事?」

「例えばかっこいいとか…」

「あ、それいいにゃー!」

花陽ちゃんが案を出す

338: 2015/03/27(金) 21:04:49.77 ID:QhR7oO5h.net
「でも、かっこいいって…どんな感じ?」

「例えばロックとか?」

「もっと荒々しい感じとか…?」

みんなで、意見を出してみる

「新しいというのは。」

「そういう根本のイメージを変える事…」

「だとすると…」




----


にこっちの一声で始まった計画によって

ウチらは今…




理事長室に呼び出される事になった


「…」


「…」


「…説明してもらえるかしら?」

339: 2015/03/27(金) 21:05:17.01 ID:QhR7oO5h.net
…まあ、当然の結果というか

顔を白と黒で塗りたくった

海外ロックバンドみたいな9人が

生徒の前に飛び出したとか…


間違ったら通報ものやん?


ノリノリだった皆も

やっと現実に目を向けたみたい



「…り、理事長!違うんです!」

苦し紛れにえりちが答える

「ふざけていた訳ではないんです…!」

「…」


「そうなの!」

「ラブライブに出るためには。」

「どうしたらいいかって事を、皆と話し合って…」


ことりちゃんが、援護してくれるけど…

340: 2015/03/27(金) 21:05:47.86 ID:QhR7oO5h.net
「…わかったわ。」

「じゃあ、最終予選は。」

「それで出ると言う事ね?」


「…うぇっ?」


「それならば。」

「今後その姿で活動する事を許可するわ?」


…やっぱり、強敵やった



「「すみませんでしたあっ!!」」




----


「どーしてこうなるの!?」

「そうです!」

「もっとインパクトを与えるためには。」

「どうしたら良いか真面目に話していたはずです!」

「…最初は海未ちゃんだよ!?」

「色んな部活の格好をしてみよう、って!」

341: 2015/03/27(金) 21:06:16.13 ID:QhR7oO5h.net
結局良い案も出ずに放課後になって

いつものお店にきたけど…

時間がない事と、決まらない事の板挟みで

…みんな、イライラしてる



「責任のなすり付け合いしてても、しょうがないよ…」

ことりちゃんの声に、皆が少し落ち着く

…でも、状況は変わらなくて



「そうよ。」

「それより今は具体的に。」

「衣装をどうするか考えた方がいいんじゃない?」


「そうだね…」


「…?」

「ことりちゃん?」

342: 2015/03/27(金) 21:06:41.15 ID:QhR7oO5h.net
「…うん。」

「一応、考えてはみたんだけど…」

「やっぱり、皆が着て似合う衣装にしたい、って思うんだ。」

「だから、あまりインパクトは…」



「でも、それじゃA-RISEには…!」

にこっちは、ずっと彼女達を追ってる


「「…」」








その後、場の空気は動かず

ウチらは、お店を後にする

「…どうしたらいいんだろう?」

花陽ちゃんに、えりちが声をかける


「それはまた明日考えましょう?」

「とりあえず、衣装作りだけでも始めていかなくちゃね…」

343: 2015/03/27(金) 21:07:08.46 ID:QhR7oO5h.net
「…」

海未ちゃんと穂乃果ちゃんが

ちょっと離れた所にいる


「…ハロウィンって。」

「昼と夜とじゃ、印象が全然違うんだね…!」


「綺麗だなあ…」


えりちが、二人を連れてくる


「…ねえ、希ちゃん。」

「どうしたん?穂乃果ちゃん。」

帰り際、穂乃果ちゃんに話しかけられる


「昼間に言ってた、思う所…って?」

「もし、何か考えがあるなら、言ってほしいな、って。」


「穂乃果ちゃん…」

344: 2015/03/27(金) 21:07:45.26 ID:QhR7oO5h.net
穂乃果ちゃんたちと別れて

花陽ちゃん、にこっちは

ことりちゃんの家で衣装を作ってる


穂乃果ちゃんと、つい話し込んじゃって

遅くなったけど…


なにか差し入れでも、買って行ってあげよかな?



----


ことりちゃんの家について

ドアノブに、手をかける


「…衣装係って言われて、損な役回りに慣れちゃってるんじゃない?」

「…!」


にこっち…


手に、力が入る

345: 2015/03/27(金) 21:08:14.78 ID:QhR7oO5h.net
「…私には、私の役目がある。」

「…」

「今までだってそうだよ?」

「私はみんなが決めた事…」

「やりたい事に、ずっとついて行きたい。」


「道に迷いそうになることもあるけれど。」

「それが無駄になるとは私は思わない。」



「…この衣装は、にこちゃんのだよ?」

「…!」


「みんなが集まって、それぞれの役割を精一杯やりきれば…」

「素敵な未来が待っているんじゃないかな?」



ウチの役割…か

壁に、もたれる


「もし、言えるなら…」

346: 2015/03/27(金) 21:08:39.47 ID:QhR7oO5h.net
「…」

ふるふる、と頭を横に振る


それは、ウチのする事じゃない

皆を支える事

それが、ウチの役割

μ'sでの…立ち位置



「…ふふっ。」


ガチャッ


「お疲れさま~。」

「差し入れ、持って来たよ♪」


「希ちゃん…!」

「わあ…ありがとう、希ちゃん♪」


「…ほら、にこっちも。」

「…ありがと。」


これで、いいんよ

347: 2015/03/27(金) 21:09:04.49 ID:QhR7oO5h.net
----


「…衣装、どうかな?」

「バッチリだよ、ことりちゃん!」


今日はステージの衣装合わせ

ついでに、ステージの立ち位置や

動き方なんかもおさらいする


今回はストリートでやるから

皆がそれぞれ色んなとこに動く

その確認と、練習のため



「…みんな、良く似合ってるわよ。」

えりちがみんなを褒める

「ありがとう、ことり。」

「それから、にこと花陽も。」


「は、花陽は本当に、お手伝いしただけで…///」

348: 2015/03/27(金) 21:09:45.40 ID:QhR7oO5h.net
「それでも、間に合ったのは二人が手伝ってくれたからよ。」

「ありがとう。」

「は、はい…///」



「それで、今回の配置なんだけど…」

「あ、絵里ちゃん。」

「出来たらお願いがあるんだけど、いいかな…?」


「何?ことり。」


「今回の衣装ね、ハロウィンの中でも、3つのイメージがあるんだ♪」

「穂乃果ちゃん、海未ちゃん、絵里ちゃんはクール。」

「花陽ちゃん、凛ちゃん、私はキュート。」

「にこちゃん、希ちゃん、真姫ちゃんはパステルをイメージしたの。」


「だから、それぞれの衣装が映えるように。」

「それぞれ3人の3グループで動いたらどうかな…って。」


「…なるほど。」

「言われてみれば、そうね。」

349: 2015/03/27(金) 21:10:19.25 ID:QhR7oO5h.net
「作ってから、それに気付いてね?」

「希ちゃん達と話し合ったら、その方がインパクトがあるんじゃないか、って。」


「…そうね。」

「見た目でインパクトを与えるなら、その方がいいかも。」

「それじゃ、ことりの考えで組んでみましょう?」



----



「…とりあえず、組み分けは。」

「花陽、にこ、私。」

「真姫、海未、ことり。」

「穂乃果、希、凛…で、決まりね。」


「とりあえず、穂乃果のグループをセンターにして…」


「ステップは基本的に一緒だから、ラストだけ変えれば大丈夫ね。」

350: 2015/03/27(金) 21:10:50.28 ID:QhR7oO5h.net
「穂乃果ね、思うんだけど…」

「それなら、希ちゃんをセンターにしない?」


「…穂乃果ちゃん?」

「動くから、あんまり関係ないかもだけど…」

「せっかく、こんな可愛い衣装なんだし、もったいないよ!」


「ハロウィンなんだから、似合ってると思うし!」


「…希はどう?」


「え、でも…」

「それなら、にこっちや真姫ちゃんでもいいんと違う?」


「にこちゃんや真姫ちゃんも、グループの中では一番前が良いと思う!」

「そしたらラストも、一番ハロウィンらしい3人が目につくし!」

351: 2015/03/27(金) 21:11:42.28 ID:QhR7oO5h.net
「でも…」


いくら時間が短いとは言え、ウチがセンターとか…


「…言ったでしょ?」

真姫ちゃんに言われる

「ハロウィンが似合うのは、希だ、って。」

「せっかくの機会なんだし、甘えちゃいなさいよ。」

「緊張する性格でもないでしょ?」


「そうだよ、せっかくなんだから!」

穂乃果ちゃんにも、後押しされる


「…変な気使ってんじゃないわよ。」

「どっちにしたって、μ'sは全員がセンターでしょ?」

「ただ、ほんの少し真ん中にいる時間が長いだけよ。」


「にこっち…」


「ウチで…いいん?」


「「もちろんっ!」」

352: 2015/03/27(金) 21:12:04.45 ID:QhR7oO5h.net
----


そして当日

会場に向かうウチら


…正直、センターに関しては

やりたくない、って言ったら嘘になるけど

やっぱり、ウチの柄じゃないというか…



「ねえ、希ちゃん。」

「穂乃果ちゃん?」


「希ちゃんの言ってた事、正解だったね!」

「…え?」



「私も、このままでいいと思うんだ。」

「A-RISEが凄くて…」

「私達もなんとか新しくなろう、って頑張ってきたけど…」


「私達は、きっと今のままが一番いいんだよ…!」

353: 2015/03/27(金) 21:12:37.89 ID:QhR7oO5h.net
「希ちゃんが言ってた通り。」

「性格も、考えもバラバラな、個性的な私達だからこそ…」

「今のままが、一番私達らしいんだよ。」


「時間をかけてお互いの事を知って。」

「お互いの事を受け入れあって…」

「ここまで来られたんだから。」

「私は、そんなμ'sが好き!」



「…!」


「だから、今日は頑張ろう?」

「あんな可愛い衣装で、あんなに良い曲を歌うんだもん!」

「きっとみんな、私達の事見てくれるよ!」

「好きになってくれるよ!」


「穂乃果ちゃん…」


「ほら、行こっ?希ちゃん!」

「…うんっ!」

354: 2015/03/27(金) 21:13:44.88 ID:QhR7oO5h.net
こんなに個性的なみんながいて

性格も全然違うのに

何故かなんとなく、うまくいって


問題もあるし

迷う事だってある


…でも、そんなウチらだから

歌える曲があって、届けられる歌詞があって



ことりちゃんの言う、素敵な未来

このみんなで、叶えられたらいいな




そのためにも

ウチがやるべき事は…


「…」










「よ~っし!」

「絶対にラブライブで…」

「優勝するぞーっ!!」



「「おーっ!!」」

362: 2015/03/28(土) 21:58:44.54 ID:1fFwQ8gA.net
-----


「…え、一体何があったん?」

今日も練習頑張ろう!

って、屋上の扉を開けたら


花陽ちゃんはうなだれてるし

穂乃果ちゃんは頭を抱えてる


「海未、どういう事…?」

「実は…」


どうやら二人とも

最近、体重が増えて来たらしく

穂乃果ちゃんに至っては

ファーストライブの衣装が入らないほどに


花陽ちゃんは…

食欲の秋、やね



「う…うう…」

「新米が…」


花陽ちゃんに関しては

体重よりご飯が心配みたい

363: 2015/03/28(土) 21:59:11.73 ID:1fFwQ8gA.net
「…まさか、こんな事になっていたなんて。」

「まあ二人とも育ち盛りやから。」

「そのせいもあるんやろうけど…」


「でもほっとけないレベルなんでしょう?」

にこっちの言う通り

問題はそこなんよなあ…


肩を落とす二人に

海未ちゃんが残酷な事を告げる

「…これが、今日からのメニューです。」


突きつけられたノートには

『ダイエット ギリギリまで絞るプラン』


…きっと、2人にとっては地獄やね

364: 2015/03/28(土) 21:59:46.41 ID:1fFwQ8gA.net
「ええーっ!?」

「夕飯これだけ!?」

「お、お米が…」


「夜の食事を多くとると、体重増加に繋がります。」

「その分、朝ご飯はしっかり食べられるので。」

「ご心配なく♪」


海未ちゃんは、2人のお世話が出来て少し嬉しそう?



「…頑張るしか無いよ、穂乃果ちゃん。」

「そうだね…」


「でも、よかったよ!」

「…へ?」


穂乃果ちゃんが、花陽ちゃんの手をとる

365: 2015/03/28(土) 22:00:12.82 ID:1fFwQ8gA.net
「私と同じ境遇の…」

「仲間がもう一人いてくれて…!」


「…ナカマ?」

「目、逸らした…?」


まあ、ダイエット仲間って言われて

嬉しくはない…よなあ?



「あの…今、休憩中ですよね?」

屋上の扉が開いて

3人の生徒が、入ってくる


「良かったら、サインいただきたいんですけど…」


どうやら、前のハロウィンイベントを見て

ウチらに、興味を持ってくれたみたい

知名度があがるのは、素直に嬉しい



…んやけど

366: 2015/03/28(土) 22:00:42.48 ID:1fFwQ8gA.net
「ありがとうございます!」

「実は私…」

「園田先輩みたいなスタイルに憧れてたんです…!」


「そ、そんなスタイルだなんて…///」


「私、ことり先輩のすらっとした所が綺麗だなあ…って!」


「全然、すらっとしてないよ…?」


やっぱりそのルックスもあってか

2人はよく憧れられるみたい

でも…


「私は穂乃果先輩の…!」

「…」


「ゲンキな所が大好きですっ。」

「あ、ありがとう…」


これで、少しは自覚してくれるといいんやけど…ね?

367: 2015/03/28(土) 22:15:43.89 ID:1fFwQ8gA.net
この日から

海未ちゃん作成のダイエットメニューが開始された


練習の合間をぬって

穂乃果ちゃん達は、走りに行く


神田明神で練習という事で

2人は今、男坂をダッシュしてる



「「すごーい!!」」


「ものすごい再生数ね…!」


ウチらは休憩という事で

ハロウィンイベントの映像を見てたんやけど…

何やら、いつの間にか注目度があがってるみたい


「A-RISEに強力なライバル出現…」

「最終予選は見逃せない、って…」



ふふっ

よかった♪

368: 2015/03/28(土) 22:17:01.17 ID:1fFwQ8gA.net
「どうやら、今まで通りの自分たちのスタイルで行って。」

「正解やったみたいやね…!」

素直に、嬉しいと思う


「よーし!」

「最終予選も突破してやるにゃー!!」


「…それまでに。」

「2人にはしっかりしてもらわないとね…!」

えりちの言う通り

今出来る事はまず

穂乃果ちゃん達のダイエットを成功させる事




男坂を、2人が重い足取りで上がってくる



「「はあ…はあ…」」

369: 2015/03/28(土) 22:17:34.88 ID:1fFwQ8gA.net
「な、何これ…?」


「この階段…」

「こんな…キツかったっけ…?」


2人は肩で息してる

…もうちょっと、早く気付けたら

もう少しだけ楽やったかな?



「…アンタ達は今。」

「体に重りつけて走ってるようなもんなのよ?」

「当然でしょ?」


「はい。」

「それじゃあこのままランニング5キロ。」

「スタート…!」


「「ええっ!?」」

370: 2015/03/28(土) 22:18:01.56 ID:1fFwQ8gA.net
「早く行く!」


「「うう…」」


「何してるんです!」

「さあ、早く!」



「…もう!」

「海未ちゃんの鬼ー!!」


ぶつぶつ言いながらも

しっかり、言う事は聞くんやね


…でも、どこかで反動が出ないと良いけど



「さあ、私達も休憩は終わりです。」

「練習再開しましょう!」



「「はーい!」」

371: 2015/03/28(土) 22:18:31.85 ID:1fFwQ8gA.net
----


「行ってきまーす!!」

「行くよっ!花陽ちゃん!」

「はいっ!」


あれから1週間

なぜか2人のモチベーションも続いて

ランニングも元気に走るようになった


「頑張ってるにゃー!」

「順調そうね…ダイエットも。」

皆の顔が、明るくなる



「…そうでしょうか。」

「え?」


「この1週間。」

「このランニングだけは妙に積極的な気がするのですが。」

372: 2015/03/28(土) 22:19:10.04 ID:1fFwQ8gA.net
「気のせいじゃないかなあ…?」

「…ちょっと見てきます。」


そう言うと、海未ちゃんは走り出した


「…どう思う?」

「ウチは…海未ちゃんに一票、かな?」


信じてない訳じゃないけど…

あのモチベーションには、何かある気がする

「でも、頑張ってるのに…」


ことりちゃんが心配そうな顔をする

「…ま、待ってみましょうよ。」

「海未の言ってる事が、合ってるとは限らないんだし。」


「そうよ!」

「私達は先に練習しときましょ?」


真姫ちゃんとにこっちに言われて

ウチらも準備をする



「大丈夫かしら…?」

373: 2015/03/28(土) 22:19:53.12 ID:1fFwQ8gA.net
えりちの期待は

笑顔の海未ちゃんにかき消される事になった



「…皆様、ごきげんよう。」

「海未…ちゃん?」


「遅くなって申し訳ありません。」

「なにぶん、美味しいご飯を食べていたので…♪」


「「え…?」」

「「ええーっ!?!?」」







「申し訳ございませんでした…」

「…でした。」


「まさか、ランニング途中に定食屋に寄るなんて。」

「これは流石に、予想出来んかったなあ…」


あはは…と笑うけど

みんな、顔がひきつってる


海未ちゃんの笑顔が、元に戻らない

374: 2015/03/28(土) 22:20:25.28 ID:1fFwQ8gA.net
「…さて、それでは。」

「美味しいご飯を食べて。」

「体力をつけた事ですし…」



「軽く20キロほど、走りましょうか♪」

「にじゅっ…!?」


「どうされましたか?穂乃果。」

「い、いやあ…」

「流石に、20キロは…」


「…」


「や、やりますやります!」

「ねっ、花陽ちゃん!」


「ええっ!?穂乃果ちゃん…」

「とにかく、フリでもしないと海未ちゃんの怒りが…」


「…何をこそこそ話してるんですか?」


「「い、いえ!別に何も!」」


「…それでは。」

「逝ってらっしゃい♪」



前途多難…そうやね

375: 2015/03/28(土) 22:29:46.81 ID:1fFwQ8gA.net
----

そんな事もあったりしたけど

なんとか2人はダイエットを続けて…

「それでは。」

「これまでのダイエットの状況を報告します。」


「「…はい。」」


「まずは花陽。」

「運動の成果もあって、なんとか元の体重までもどりました。」

「…本当!?」


「しかし、穂乃果!」

「はいっ!?」


「貴女は変化なしです。」

「えーっ!?」

「そんなあ…」


「…それはこっちの台詞です。」

376: 2015/03/28(土) 22:30:15.18 ID:1fFwQ8gA.net
「本当にメニュー通りトレーニングしてるんですか?」

「してるよ!」

「ランニングだって、腕立てだって…!」


「昨日ことりからお菓子をもらっていた。」

「という目撃情報もありますが。」

「あ、あれは…一口だけ。」


「雪穂の話によると…」

「昨日自宅でお団子も食べていたとか。」

「あれは…お父さんが新作を作ったから味見してて…」


「ではその後のケーキは?」

「あれは、お母さんがもらって来て…」

「ほら、食べないと腐っちゃうから…!」


「…問題外ね。」

にこっちの言う通り

逃げ場は無いよ?穂乃果ちゃん

377: 2015/03/28(土) 22:30:41.59 ID:1fFwQ8gA.net
「何考えているんです!」

「貴女はμ'sのリーダーなのですよ!?」


海未ちゃんの気持ちも分かる

あんなに一生懸命

穂乃果ちゃん達の事考えてメニュー作ってたもんね

穂乃果ちゃんも、それは分かってると思うけど…



「…穂乃果ちゃん、可哀想。」

「海未は穂乃果の事になると…」

「特別厳しくなるからね。」


「穂乃果ちゃんの事、嫌いなのかなあ…?」


「ううん。」

「大好きだよ?」


ことりちゃんが、真姫ちゃん達に告げる

何となく…

前のえりちとにこっちの関係やんな♪

378: 2015/03/28(土) 22:32:00.14 ID:1fFwQ8gA.net
「あのー…」

海未ちゃんが穂乃果ちゃんをしかってると

穂乃果ちゃんの友達が顔をだした


「どうしたの?」

「それが…」


「?」





「…どうしたのかしら?」

「海未たちも行った、って事は。」

「生徒会がらみの事じゃないの?」



「えりち…」

なんか、良くない事が起こってる気がする


「私達も行きましょう、希。」

「うん。」

379: 2015/03/28(土) 22:32:29.75 ID:1fFwQ8gA.net
-----


「穂乃果ちゃん達、どこ行ったんやろ?」

「とりあえず、ここで待ってましょう?」

「帰ってくるだろうし…」


ガラッ


「…!」

「絵里ちゃん…希ちゃん…」

「一体、どうしたの?」

「それが…」



どうやら、手違いで

美術部の本年度予算案を承認してしまったらしい

予算会議はまだだから

事前に承認するなんてありえない事やけど…


でも、今更言っても仕方が無い

どうにかしないと…



「…面倒な事になったね。」

380: 2015/03/28(土) 22:33:39.44 ID:1fFwQ8gA.net
「…すみません。」

「注意していたつもりだったんですが…」


「海未ちゃんが悪いんじゃないよ…!」

「私が…」


「ううん。」

「私が悪いんだよ…」

「仕事溜めて、海未ちゃん達に任せっぱなしだったし…」


みんな、落ち込んでる

でも、まずはこの状況を変えないと


「その話は後や。」

「今は予算の事、どうにかしないと。」


「…3年生に、美術部OGの知り合いがいるから。」

「私からちょっと話してみるわ。」


「…そうやね。」

それが、今出来る事かな

381: 2015/03/28(土) 22:35:28.51 ID:1fFwQ8gA.net
「元生徒会長の言う事やったら。」

「強力してくれるかもしれないしね。」


「…すみません。」


えりちと2人で、すぐに動く

時間がかかればかかるほど、こじれて行くから


でも、生徒会室を出ようとした時…



「でも…」

「…?」


「私達でなんとかしなきゃ、駄目なんじゃないかな?」

「…穂乃果ちゃん。」


「自分たちのミスだもん!」

「私達でなんとかするよ!」


「今の生徒会は、私達がやってるんだから…!」

382: 2015/03/28(土) 22:36:31.89 ID:1fFwQ8gA.net
穂乃果ちゃん…


「でも…!」

えりちを、止める


「希…?」

「…ま、ここは任せてみようや。」

「…」


「それじゃ、3人とも頑張って。」

「…でも、何かあったらすぐに言うんよ?」


「えりちもウチも。」

「支えたい気持ちは一緒やから。」


「…希ちゃん。」

穂乃果ちゃんに、ウインクする


「…さ、えりち行こう?」

「一般の生徒は、下校時刻や。」

383: 2015/03/28(土) 22:36:57.79 ID:1fFwQ8gA.net
校門の前で、えりちが振り返る


「…」


「気になる?」

「…!」


「あ、いや…まあ。」

「…帰り、パフェでも食べてこうか。」


「…へ?」


「…ウチらが卒業したら。」

「3人でやって行かなきゃいけないんやから。」


「行こっ。」

「…うん。」



-----


「…大丈夫かしら。」

「えりちは心配性やなあ。」


「だって…」

384: 2015/03/28(土) 22:37:30.47 ID:1fFwQ8gA.net
「凛ちゃんの時にも言ったけど。」

「…信じる事って、大事なんよ。」



「確かに、まだまだあの3人はひよこで。」

「えりちには、遠く及ばんかもしれない。」


「…でも、なんとかしたいって気持ちは、えりちと一緒。」


「ウチは、あの子達を信じてるよ。」

「きっと…上手く行く、って。」


「希…」


「もし、穂乃果ちゃん達が。」

「どうしようも無くなって、助けを求めて来たら。」

「そのときは、ウチらの出番や。」


「…でも。」

「頑張って頑張って、上手くいった時。」



「『お疲れさま』って言う人に、ウチはなりたいんよ。」




「…そうね。」

385: 2015/03/28(土) 22:38:14.24 ID:1fFwQ8gA.net
「だから、今は待とう?」

「あの子達を信じて。」


「…ええ。」


「それに、えりちの気持ちは分かってるよ。」

「え?」


「…」


「…希?」


「ほら、パフェ食べよ?」

「晩ご飯、入らなくなるで?」



「…これだけ食べて、晩も食べるの?」

「もちろん♪」


「デザートは別腹やん?」

386: 2015/03/28(土) 22:43:33.40 ID:1fFwQ8gA.net
-----


予算会議当日


ウチらは、生徒会室の外にいた

…やっぱり、気になるのは当然の事やし


「…」

何となく、ウチらの空気も固くなる



『…各部の代表も揃ったようなので。』

『これより、予算会議を始めたいと思います!』


「…!」

「始まった…」


『まず始めに、私から…』

『はい!』

『その前にまず、美術部の件について説明してもらえますか?』


「穂乃果ちゃん…どうするつもりなんやろ?」

「なにか、上手い方法が…?」

387: 2015/03/28(土) 22:44:10.55 ID:1fFwQ8gA.net
『無い袖は振れません!!』


「「なっ!?」」

2人同時に声が出た


「…お前ら、何してるんだ?」


「…!」


「大方、後輩がちゃんとやってるか心配で…ってとこか?」


「…はい。」


「…大丈夫だよ。」

「え?」


「毎日毎日、家に帰らず遅くまで残って。」

「3人でずっと仕事してたんだ。」

「心配する事なんか、何も無いよ。」


「お前らも、あいつらを少しは信用してやれ。」

「それじゃあな?」

388: 2015/03/28(土) 22:44:42.24 ID:1fFwQ8gA.net
「「…」」


「「ぷっ…」」


「あはは、結局心配してたんやなあ…」

「信じよう、って言ったのは希なのに。」


「まあ、やっぱり先輩としての想いはあるやん?」

「…そういう事にしておくわ。」


『…勝手ながら…予算案を作成…』


「…もう、大丈夫そうね。」

「そうやね。」


「さ、行きましょう?」

「皆も待ってるわ。」


「どうなったかは、また練習終わってから聞きましょう?」

「はーい!」

389: 2015/03/28(土) 22:45:08.44 ID:1fFwQ8gA.net
-----


「それで予算通しちゃったのぉ!?」

花陽ちゃんの叫び声

…まさか、自分たちで全部調べ上げて

各部の希望額の8割をねじ込むなんて


時間、かかったはずなのに…


美術部の件も、一応解決したみたい


「ほんっと危なかったー…!」

「でも上手く言ってよかったね♪」

喜ぶのもつかの間

「その前にダイエットです!」


海未ちゃんはぶれないなあ…


「それがさあ…」

「さっき計ったら、戻ってたの!」


「「えっ?」」

390: 2015/03/28(土) 22:45:38.68 ID:1fFwQ8gA.net
「3人で一生懸命頑張ってたら。」

「食べるの忘れちゃって…」


「分かりやすいにゃー。」



「…とりあえず、3人とも。」


「お疲れさま。」


「希ちゃん…」


「…信じてたよ。」

「ウチも…えりちも。」



「ありがとうっ!!」


そう言うと、ポケットからパンを出す

「穂乃果、それは…!」

海未ちゃんが、食べようとする穂乃果ちゃんを追いかける



戻って来た、いつもの日常

391: 2015/03/28(土) 22:49:00.00 ID:1fFwQ8gA.net
「…生徒会、大丈夫そうやね。」

「ええ…」


「…」


…うん、うまくいってる

何も、心配する事なんて無い



「…」


やるべき事を、見失わないように

自分の役割を、こなせるように


「…」


「…今日もパフェ、食べに行く?」

「…」


「そうやね。」



全部、上手くいってる


上手くいってる…はずなのに









この気持ちは一体、なに?

392: 2015/03/28(土) 22:50:03.41 ID:1fFwQ8gA.net
今日はここまで
駆け足の7話、終わりです

次は多分、一日じゃ終わらないです
のんびり待っててください

399: 2015/03/29(日) 22:27:35.77 ID:InKJOns4.net
Side Story

あのダイエットの裏で

Another Side: H

400: 2015/03/29(日) 22:28:08.29 ID:InKJOns4.net
「かよちん、お疲れさま!」

「お疲れさま、凛ちゃん。」



「それじゃ、早速帰るにゃ!」

「ちょ、ちょっと待ってよぉ…」



練習が終わって

いつもの、帰り道

今日は真姫ちゃんは用事があるみたいなので

私と凛ちゃんだけで帰ります




「あ、かよちん!」

「ちょっと公園寄って行かない?」


凛ちゃんの一言で

少しだけ、帰り道から外れた公園に


…何より

いつもの帰り道だと

商店街が近いから、いいにおいがして…

401: 2015/03/29(日) 22:28:31.91 ID:InKJOns4.net
ダイエット中の身なので

買い食いなんて、もってのほか

それに、ただでさえお米が食べられないとなると…

うう…


「…かよちん?」


凛ちゃんも気遣ってくれて

2人でいるときは、ご飯の話を避けてくれます


…いつもなら

今日みたいに練習が早く終わるときは

『ラーメン食べに行くにゃ!』

って、お誘いが来るけど…


私の事を考えて

凛ちゃんも我慢してくれています

402: 2015/03/29(日) 22:28:59.37 ID:InKJOns4.net
「かよちん…大丈夫?」

「うん、大丈夫だよ?」


「海未ちゃんも、もう少しかよちんに優しくしてくれてもいいのにっ。」

ぷくっとむくれる凛ちゃんは可愛いけど


「…でも、こうなったのは花陽のせいだもん。」

「でも…」


「大丈夫だよ、凛ちゃん。」

「海未ちゃんは確かに厳しいけど…」

「私達の事、一生懸命考えてくれてるんだもん。」


「頑張って、ダイエットするから。」


「…うん。」


私の事になると、すごく優しい凛ちゃん

でも、花陽はちょっと不満です

403: 2015/03/29(日) 22:29:26.42 ID:InKJOns4.net
「…あれ?」

「花陽ちゃん、凛ちゃん。」


「…!」


優しい声に振り返ると

希ちゃんが立っていました


「こんばんは、希ちゃん。」

「こんばんは、花陽ちゃん、凛ちゃん。」

「こんばんは!」


「二人とも、まだ帰ってなかったん?」


「うん!」

「かよちんと、ちょっと公園で遊んで行こう、って!」


「そっか♪」

くすくすと笑う、希ちゃん

404: 2015/03/29(日) 22:29:56.85 ID:InKJOns4.net
「…2人とも、ご飯はまだやろ?」


「「…?」」


「よかったら、家に来ない?」

「ごちそうするよ♪」


「ほんとにっ!?」

凛ちゃん、とっても嬉しそう


「あ、でも…」

あんまり食べれないのも、希ちゃんに悪いし…


「…心配しなくて良いよ、花陽ちゃん。」

「花陽ちゃんのメニューも、海未ちゃんに聞いて来てるから。」


「えっ…?」


「なら、問題ないにゃ!」

「行こっ?かよちん!」


「…うん///」

405: 2015/03/29(日) 22:30:33.87 ID:InKJOns4.net
-----


「美味しかったにゃー…」

「ほーら、凛ちゃん。」

「食べてすぐ寝たら、牛になるよ?」


「凛は猫さんがいーにゃー…」


「ふふっ。」


希ちゃんは、ちゃんと海未ちゃんのメニュー通り

美味しいご飯を、作ってくれました

ちょっとだけ、メニューよりも豪華だったけど


希ちゃんたちも、同じ物を食べてくれて

…なんだか、ちょっとだけ嬉しかったです



「そういえば、どうして今日呼んでくれたの?」

素朴な疑問


「最近、にこっちに料理習ってて。」

「その、味見役…かな?」


希ちゃんは、いつも笑顔

406: 2015/03/29(日) 22:31:31.38 ID:InKJOns4.net
「それにしても…」

「希ちゃんって、一人暮らしだったんだね!」


「…あれ、言ってなかったっけ?」

「うん。初耳…だよ?」


「…そっか。」


「寂しくないの?」

「まあ、1年生の時から、一人やから。」

「もう、ほとんど慣れたよ?」


いつもの、笑顔




…でも、なんだかちょっとだけ悲しそうな


「じゃあじゃあ!」

「今度から、凛達が遊びにくるにゃ!!」


「ふふっ…いつでもどうぞ♪」


いつもの…希ちゃんだ

407: 2015/03/29(日) 22:31:59.63 ID:InKJOns4.net
希ちゃんの部屋を見渡して

ふと、棚の上に目を止めます


倒れた写真立てが、そこに

ぶつかっちゃったのかな?


そっと、手を伸ばすと…

「…それじゃあ2人とも。」

「…!」

「準備して行こっか♪」


「「…?」」


「どこにいくの?」

「花陽ちゃんのダイエット、手伝おうと思って♪」



「裸のお付き合い…やね♪」


「…へっ?///」

408: 2015/03/29(日) 22:48:27.21 ID:InKJOns4.net
-----


「…生き返るにゃー。」


連れてこられたのは、銭湯でした

凛ちゃん、すっごく気持ち良さそう


「たまには、こういうのもいいね。」

「そうそう。」

「あんまり、ダイエットばかりに気を取られてもあかんよ?」


「でもでも!海未ちゃんも、もう少し優しくしてもいいのに!」

「こんなにやる事押し付けて、かよちんも可哀想にゃ!」

「凛ちゃん…」

また、この話題


「ねえ、希ちゃんもそう思わない?」

「うーん…」


「まあ、凛ちゃんの言ってる気持ちも分かるよ?」


希ちゃんも、同じ気持ちなのかな…?


…そんな事、ないのに

409: 2015/03/29(日) 22:48:46.99 ID:InKJOns4.net
「…でもな、凛ちゃん。」

「ウチは、海未ちゃんの方が正しいと思うよ?」


…え?


「えーっ!?どうして?」

「かよちん、すっごく我慢してるんだよ?」

「もうちょっとご飯とか、食べさせてあげても良いと思うにゃ!」




「…凛ちゃんは、ほんとに花陽ちゃんの事が好きなんやね。」

「もちろん!」

「…///」



「…でも、時にはその好意が。」

「人を駄目にする事もあるんよ。」


「…どういう事?」


「凛ちゃんは、分かると思うんやけどなあ…」

410: 2015/03/29(日) 22:49:26.98 ID:InKJOns4.net
「凛が?」

「そう。」

「凛ちゃんやから、分かると思うんよ。」

「…」


希ちゃん、もしかして…


「…ファッションショーの時の事、覚えてる?」

「…?」


「あの時、凛ちゃん。」

「自分には似合わないって、断り続けてたやろ?」

「…でも、本心じゃどうだった?」


「着てみたいって。」

「可愛くなりたい、って。」

「…思ってたんと違う?」



「…うん。」

411: 2015/03/29(日) 22:49:55.93 ID:InKJOns4.net
「でも、凛ちゃんはそれが言えなくて。」

「花陽ちゃんが、最初着る事になった。」

「…そうやろ?」


「うん。」


「花陽ちゃん、すっごく悩んでたんよ?」

「あんまり凛ちゃんを困らせたくない、って。」


「…」

希ちゃん、知ってたんだ


「でも、花陽ちゃんは。」

「凛ちゃんの気持ち、分かって。」

「ウチらに、頼んだんよ。」


「凛ちゃんの気持ち、無駄にしたくない、って。」


「かよちん…」

412: 2015/03/29(日) 22:50:20.77 ID:InKJOns4.net
「花陽ちゃんは、凛ちゃんの気持ちに気付いてた。」

「だから、結果としてああなった。」


「…じゃあ、凛ちゃんは。」

「花陽ちゃんの気持ちに、気付いてる?」


「…え?」


「花陽ちゃんが、海未ちゃんの決めた事に不満をもらした?」

「やりたくないって、言った?」


「それは…」


凛ちゃんが、下をむく



「ウチはな?凛ちゃん。」

「凛ちゃんには、花陽ちゃん達を支える人になってほしいんよ。」


「支える人…?」

413: 2015/03/29(日) 22:50:59.84 ID:InKJOns4.net
「今回の事も。」

「言ってしまえば、花陽ちゃんの自己責任やん?」



「だからこそ、花陽ちゃん自身がどうにかしないと駄目。」

「…やろ?花陽ちゃん。」


「…はい。」


「でも、花陽ちゃんはちゃんと決めて。」

「海未ちゃんのメニューをこなして、頑張ろうとしてる。」

「確かに、ダイエットはしんどいと思うし。」

「よく…頑張ってると思うよ。」


「でも、花陽ちゃんはそれで頑張ろうとしてるのに。」

「凛ちゃんが海未ちゃんのやり方を否定しちゃったら。」

「…それは、花陽ちゃんの頑張りも否定する事になるんよ?」



「…!」

414: 2015/03/29(日) 22:51:26.18 ID:InKJOns4.net
「凛ちゃんが、花陽ちゃんの事を大事に思ってるのは分かるよ。」

「同じように、他のμ'sのメンバーの事、思ってくれてるのも分かる。」


「…だからこそ。」

「その気持ちに、気付いてあげてほしい。」


「その想いを、頑張りを。」

「支えてあげられる人になってほしい。」


「…」


「今、花陽ちゃんはしんどくても頑張ってる。」

「それは、隣にいる凛ちゃんが一番分かってるはず。」


「…頑張ってるのに、結果が出ないなんて事は無い。」


「必ず、結果は出るから。」


「希ちゃん…」

「かよちん…」


「…」

415: 2015/03/29(日) 22:52:03.16 ID:InKJOns4.net
「…私ね、凛ちゃん。」

「確かに、海未ちゃんのメニューはしんどいよ?」

「ご飯も食べられなくて、辛い、って思うときもある。」

「…でもね。」

「それ以上に、皆に迷惑をかけてるのが嫌なの。」

「皆を心配させてるのが嫌なの。」



「希ちゃんの言った通り。」

「こうなっちゃったのは、花陽の責任だから。」


「だから、凛ちゃんの気持ちも嬉しいけど。」

「今は、頑張りたいの。」



「μ'sに入れて、本当に嬉しい。」

「いっぱい、幸せ、って感じる事があった。」


「だから、今は辛いけど…頑張れるの。」


「海未ちゃんの気持ちも、みんなの気持ちも分かるから。」

416: 2015/03/29(日) 22:52:36.93 ID:InKJOns4.net
「だから、海未ちゃんも厳しくしてるんだと思うの。」

「海未ちゃんは、もっとずっと先を見てる。」

「私達の事を考えてくれてる。」


「海未ちゃんだって、きっと辛いはずだよ?」

「でも、だからこそ頑張りたいの。」


「海未ちゃんが、花陽なら出来る、って作ってくれたメニューだから。」


「凛ちゃんも、我慢してくれてるの知ってるよ?」

「帰り道も、ご飯の話しないし。」

「ラーメンも、全然食べに行けてないよね?」

「…私は、その気持ちに応えたいの。」


「かよちん…」


「だから、ダイエットが成功するまで。」

「花陽の事、応援してくれると嬉しいな♪」

417: 2015/03/29(日) 22:53:05.47 ID:InKJOns4.net
「…」

「ごめんね、かよちん。」

「凛…!」


凛ちゃんの頭を、そっと撫でます


大丈夫だよ、って

ちゃんと分かってるよ、って



「ごめんね、凛ちゃん。」

「私も、知ってて言えなかったから。」


「違うよ、凛が悪いの…」



「はい、そこまで♪」


希ちゃんが、私達の頭を撫でてくれました

「謝るのはいいけど、そこで終わり。」

「気分が沈んで、良い事なんて無いよ?」

418: 2015/03/29(日) 22:54:03.00 ID:InKJOns4.net
「…うん。」


「…でも、ウチもごめんな?凛ちゃん。」

「ちょっと言い方、きつかったな。」


「…ううん。」

「希ちゃん、ごめ……にゃっ!?」


希ちゃんが、後ろから凛ちゃんの胸に手を当てて…


「それ以上謝ったら…」

「わしわしMAXやで?」


「は、はい…!」


「ふふっ。」

思わず、笑っちゃいました

…だって、あんなに真剣な話してたのに

もう、こんなに明るくて


「…ありがとう、希ちゃん。」

「どういたしまして、花陽ちゃん♪」

419: 2015/03/29(日) 22:54:41.92 ID:InKJOns4.net
-----


「…ほら、二人とも。」

少しのぼせちゃった体を冷ますために

休憩所で、希ちゃんがコーヒー牛乳を買って来てくれました


「わーいっ!!」

「ありがとう、希ちゃん!」

「どういたしまして♪」


「は、花陽は…」

結構、カ口リー高いし…


「ふふっ。」

希ちゃんは、そんな花陽を見て笑います


「…いつも、ダイエット頑張ってるから。」

「これは、ご褒美って事で。」

「海未ちゃんには、ウチから言っとくから…ね?」

「我慢ばっかりも、しんどいよ?」


そう言って、私に差し出します

420: 2015/03/29(日) 22:55:06.66 ID:InKJOns4.net
「そうそう!」

「これ一本ぐらい、大丈夫にゃ!」

「凛ちゃん…」


「また明日から、もうちょっとだけ頑張るために。」

「少しだけご褒美があっても、いいんと違う?」



2人に言われて、それに口をつけます


「…美味しい。」

2人が、すっごく笑顔になりました


「また明日から、頑張ろう?」

「凛も、一緒に頑張るから!」


「ありがとう、凛ちゃん。」


花陽は、こんな素敵な友達を持てて

本当に、幸せです

421: 2015/03/29(日) 23:10:20.78 ID:InKJOns4.net
希ちゃんと別れて

凛ちゃんと、家の方へ

もうどっぷりと日が落ちて

少し涼しくなった夜道を歩きます


「それにしても、希ちゃんはすごいにゃー。」

「凛たちの事気付いて。」

「本当に、いいお姉ちゃんみたいっ。」


「…そうだね。」

本当に、希ちゃんにはいっぱい感謝してます


いつも、私達を支えてくれて


「希ちゃんって、不思議だよね。」

「みんなの思ってる事、何でも叶えちゃうんだもん!」

422: 2015/03/29(日) 23:10:48.77 ID:InKJOns4.net
…そう

いつも希ちゃんは

私達の気持ちを理解してくれて

手助けをしてくれます




みんなの願いを叶えてくれる、希ちゃん



なら



希ちゃんの願いは、誰が叶えるんだろう?




------


次の日

海未ちゃんに伝えとく、とは希ちゃん言ってましたけど

やっぱり、自分で言った方が良いと思って

海未ちゃんの所にやってきました


「…おや、花陽。」

「海未ちゃん…」

423: 2015/03/29(日) 23:11:27.72 ID:InKJOns4.net
少し、言葉に詰まります

…褒められるような事では、ないので



「昨日は、楽しめましたか?」


「…へ?」


「希から、花陽が頑張りすぎている、と話を聞いて。」

「なんとかしてあげたい、と伺った物ですから。」


「それって…」


「おっと、この話は内緒にするようにと言われましたね。」

「花陽も、忘れて下さい。」


「…それから、昨日だけですよ?」

「今日からまた、ダイエットです。」


「海未ちゃん…」



「あまり、無理はしないでくださいね?」

「別のメニューにする事も、出来ますので。」

「…それでは。」

424: 2015/03/29(日) 23:12:17.50 ID:InKJOns4.net
----



「…希ちゃん。」

「花陽ちゃんやん。」

「どうしたん?」


お昼休み

絵里ちゃんに聞くと、屋上にいると思う、って


そしたら、いました


「昨日の事…」

「海未ちゃんから、聞きました。」


「希ちゃんが、計画してくれた事だって。」


「…バレちゃったか。」

「海未ちゃん、言わないように、って言ったのに…」

「後でお仕置きやね♪」


希ちゃんは、恥ずかしそうです

425: 2015/03/29(日) 23:13:10.24 ID:InKJOns4.net
「…ありがとう、希ちゃん。」

「…どういたしまして。」

「花陽ちゃんが少しでも元気になれたなら、良かったよ。」


「…うん。」

「本当に、ありがとう。」

「…」

「希ちゃんは、いつも陰で私達を支えてくれるよね。」

「誰にも言ってない願いだって、叶えてくれる。」


「…買いかぶりすぎやで、花陽ちゃん。」

「ウチは、自分がしたいと思ってる事を、しただけ。」

「それ以上でも、それ以下でもないよ?」



「でもっ…!」

「…それで、叶えてもらってるのも事実だから。」


「…ありがとう。」

426: 2015/03/29(日) 23:14:11.54 ID:InKJOns4.net
「…」

希ちゃんは、複雑な顔をしています


「ありがとう、花陽ちゃん。」

「でも、ウチは。」

「卒業するまでは、みんなを支える存在でありたいんよ。」

「それが、ウチの役割やから。」


「…だから、何も特別な事は無いよ?」

「やりたい事を、やってるだけ。」


「…だったら。」

「今度は、花陽が希ちゃんの願いを叶えたいです。」


「…!」


「みんなの願いを叶えてくれる希ちゃんの。」

「その願いを叶える人に、私はなりたいです。」

「だから…何かあったら、言ってほしいな。」


「花陽も…凛ちゃんも。」

「他のみんなだって…」


「そう思ってる、はずだから。」

427: 2015/03/29(日) 23:15:03.30 ID:InKJOns4.net
「花陽ちゃん…」


「え、えっと…///」

「は、花陽ひとりで叶えられることなんて。」

「たいした事じゃないと思うけど…」


「…!」


また、頭を撫でてくれました


「…そんな事、ないよ。」

「…ありがとう。」


そう言う希ちゃんの顔は、どこか寂しげで

昨日、みたような…


「ありがとう。」

「なにか思いついたら、言うね?」


「…はいっ!」

そう言ってもらえた事が嬉しくて

笑顔になった、希ちゃんを見て

笑顔で、希ちゃんとばいばいします




希ちゃんの寂しそうな顔を

…背中に感じる事も、できずに






「ウチの願い…か。」






To Be Continued...

436: 2015/03/30(月) 23:54:45.71 ID:oHAXZ+ZN.net
-----



「…それでは!」

「最終予選に進む最後のグループを紹介しましょう!」


「…音ノ木坂学院スクールアイドル、μ'sです!」


「この4組の中から、ラブライブに出場する一組が決まります。」

「では、一組ずつ意気込みを聞かせてもらいましょう!」


「まずは、μ'sから!」

「あ、はい…!」


「私達は、ラブライブで優勝する事を目標に。」

「ずっと頑張ってきました。」

437: 2015/03/30(月) 23:55:16.03 ID:oHAXZ+ZN.net
「…ですので!」

「私達は、絶対優勝します!!」


「すすす凄ぉい!」

「いきなり出ました、優勝宣言です!!」


「…あれ?」


「バカ…ッ!」

「言いきっちゃった…」





「ついに…」


「ついにここまで来たんや…!」

438: 2015/03/30(月) 23:55:38.66 ID:oHAXZ+ZN.net
-----


「…ほんと、穂乃果ったら何やってるのよ。」

「まあまあ。」

「実際、それが目標なんだし。」

「最初から睨みきかせてどうすんのよ!?」

「これで落ちたら、シャレになんないわよ!?」


「ほら、穂乃果も勢いというか…ね?」

「アンタは、穂乃果に甘過ぎ!!」


「…はあ。」

「まあ、もう言ってしまったものはしょうがないわ。」

「必ず、優勝するわよ。」



「…もちろん。」

「最初から、そのつもりでしょ?」


「…ふんっ。」

439: 2015/03/30(月) 23:56:05.05 ID:oHAXZ+ZN.net
「…それで、今日はその最終予選の曲決めでしょ?」

「そうするつもりよ?」


「まあ、それは皆が揃ってからにしましょう?」

「…それより。」


「にこに、聞いておきたい事があって。」


「…?」

「何よ、聞きたい事って。」


「…」


「最近の希、どこか変じゃ無い?」

「希が?」


「ええ。」

「どこか、遠くを見てるような。」

「心、ここにあらず…みたいな。」

440: 2015/03/30(月) 23:56:33.26 ID:oHAXZ+ZN.net
「…そう?」

「希は元からあんな感じじゃない?」


「…」


「なにか、思う所があるのね?」


「最初は、卒業するのを寂しく思ってるのかと思ってた。」

「こうして9人揃って、μ'sでいられる時間も少なくなった。」

「その事を考えてるんだと思ってた。」


「…でも。」

「なんだか、それだけじゃ無いような気がして…」


「…」


「にこは、感じない?」

441: 2015/03/30(月) 23:57:13.79 ID:oHAXZ+ZN.net
「…私には、普通に見えた。」

「でも、絵里がそう感じるなら…」

「…」


「…にこ?」


「…私は。」

「変わるまでの希しか知らない。」

「変わった後、ずっと一緒にいたのは絵里の方。」


「別に、それが寂しいとかじゃないけど…」

「私には、今の希の心はよくわからない。」

「だから…」


「変わった希を、隣でずっと見て来た絵里が。」

「そう言うのなら、そうかもしれない。」


「にこ…」


「別に、気にしてなんかないわよ?」

「元々、そうなる原因を作ったのはにこ自身だから。」

442: 2015/03/30(月) 23:58:34.07 ID:oHAXZ+ZN.net
「でも…!」


「…だからこそ。」

「そんな私を、アイドルにしてくれた希。」

「…今まで、たくさんの物をもらったわ。」


「今、感じるこの想いも。」

「楽しいと思える気持ちも。」


「…全部、あの子からもらったの。」

「絵里も…そうでしょ?」


「…ええ。」


「してあげた、なんて思っちゃいないけど。」

「それでも、希にキッカケを作った私達が。」

「希に救ってもらってばかりで良いと思う?」



「…そうね。」

「今度は、私達が叶える番。」

443: 2015/03/30(月) 23:59:15.23 ID:oHAXZ+ZN.net
「…もう希は。」

「陰にいる存在なんかじゃない。」

「一人のアイドルなの。」

「私達の…仲間なの。」


「そんな希の想いを、無駄にしたくない。」



「…」



「…やるわよ、絵里。」

「…ええ、にこ。」



「私達を、大好きと言ってくれた。」

「特別だって…言ってくれた希に。」


「今度は希の、夢を叶えてほしい。」

「私達も…希の事が、大好きだから。」



「…言うわね、絵里。」

「でも、間違いじゃないでしょ?」



「…そうよ。」


「もらったもの以上のものを。」

「…あの子に、返してあげないと。」

447: 2015/03/31(火) 22:08:37.34 ID:TR5ERdvg.net
ガチャッ

「お待たせーっ!!」

「ほ~の~か~?」

「何堂々と優勝宣言してんのよ!?」

「い、いやあ…勢いで…」


「…ほら、言った通りでしょ、にこ。」

「…ふんっ。」



「でも…実際目指してるんだし。」

「問題ないでしょ。」


「確かに、A-RISEも…」

『この最終予選は…』

『本大会に匹敵する、レベルの高さだと思っています。』

「と、言っていましたしね。」



「そっか…」

「認められてるんだ、私達。」

448: 2015/03/31(火) 22:09:02.91 ID:TR5ERdvg.net
「それじゃあこれから。」

「最終予選で歌う曲を決めましょう?」


「歌える曲は1曲だから…」

「慎重に決めたい所ね。」


「勝つために…!」

「かよちんの言う通りっ!」



「私は新曲がいいと思うわ!」

「おおーっ、新曲…!」

「おもしろそうにゃっ!」

「にこちゃん、さすがっ♪」


「予選は新曲のみとされていましたから…」

「その方が有利かもしれません。」

449: 2015/03/31(火) 22:09:34.27 ID:TR5ERdvg.net
「でも…」

「そんな理由で歌う曲を決めるのは…」


「花陽に賛成。」

「新曲が有利って言うのも、本当かどうか分からないじゃない…」


「それに、この前やったみたいに。」

「無理に新しくしようとするのも…」


「ことりの言う事も、もっともですが…」




「…例えばやけど。」

「このメンバーでラブソングを歌ってみたらどうやろか?」



「「…」」


「「ラブソング!?」」






ウチの、ひとつだけの…わがまま

450: 2015/03/31(火) 22:10:16.49 ID:TR5ERdvg.net
「なるほどっ!!」

「アイドルにおいて恋の歌すなわちラブソングは必要不可欠…!」

「定番曲の中に必ず入ってくる歌の一つなのに。」

「それが今までμ'sには存在していなかった…!!!」

「は、花陽…」




「…」

「希…?」


…やっぱり、えりちは鋭いなあ



「でも、どうしてラブソングって今まで無かったんだろう…?」

「それは…」


「な、何ですかっ!?その目は…」


「だって海未ちゃん、恋愛経験ないんやろ…?」


「…えっ?」

451: 2015/03/31(火) 22:10:42.45 ID:TR5ERdvg.net
「何で決めつけるんですかっ…!!」

「ひえっ!?」


「じゃあ、あるの!?」

「あるの?」


「なんでそんなに食いついてくるのですか…!」


「あるのっ?」

「あるにゃっー?」

「あるのっ!?」


「なんで貴女達まで…!」


みんなが、海未ちゃんに詰め寄る

…これで、ちょっとは紛らわせたかな?



「海未ちゃん答えて!」

「どっち…!?」

「海未ちゃん…!」

452: 2015/03/31(火) 22:11:11.28 ID:TR5ERdvg.net
「そっ、それは…」


「…」


「…ありません。」


「なーんだー、やっぱりかー。」

「ビックリしちゃった…!」


「もー、変にタメないでよー!!」

「ドキドキするよー…」


「ううっ…」

「何で貴女達に言われなきゃ行けないんですかっ!!」

「穂乃果もことりもないでしょう!?」


「「…うん。」」



「…にしても。」

「今から新曲は無理ね。」


「真姫…」

453: 2015/03/31(火) 22:11:55.78 ID:TR5ERdvg.net
「…」

「でも…諦めるのはまだ早いんじゃない?」

「…!」

「絵里…?」



「そうやね。」

「曲作りで大切なんは…」

「イメージや想像力だろうし。」



「…まあ。」

「今までも経験した事だけを詩にして来た訳ではないですが…」


「でも、ラブソングって要するに恋愛でしょ?」

「どうやってイメージを膨らませればいいの?」


「…」

「そうやね…」

「例えば、シチュエーションを作ってみるとか?」

454: 2015/03/31(火) 22:12:34.12 ID:TR5ERdvg.net
「シチュエーション?」

「恋愛を、疑似体験してみよう、って事で。」


「ちょっと、廊下にでようか。」

「なんだか楽しそうっ!」


「それじゃ、皆で行こ♪」

「はいっ!」




「…なんだか、花陽達仲良くなったわね。」

「それも気になるけど…」

「希が、まさか自分で提案するなんて。」

「あんな希、私も…」


「絵里もそうなの?」

「…にこも、だけど。」



「今まで、大きな決めごとなんかは。」

「ずっと、前に出ようとなんてしなかったのに。」

455: 2015/03/31(火) 22:12:55.03 ID:TR5ERdvg.net
「積極的になった…とか?」

「このタイミングで?」

「…そうね。」


「一体、何を考えているんだか…」

「でも、あの希がやってみよう、って言ったのよ?」


「…当たり前。」


「仮に失敗に終わったとしても。」

「…決して、無駄にはならないわ。」



「おーい、にこっち!えりちー!」


「ええ、今行くわ。」



「…それじゃ、行くわよ。」

456: 2015/03/31(火) 22:13:42.49 ID:TR5ERdvg.net
-----


『う、受け取って下さい…!///』


「お、いい感じやん♪」


「シチュエーションをイメージしてみよう、と言う事で。」

「バレンタインの女子にチャレンジ…」

「ですが、これでイメージが膨らむんですか?」


「そうや。」

「こういう時、とっさに出てくる言葉って。」

「結構、重要よ?」


「でも、何でカメラが必要なの…?」

「穂乃果ちゃんも、そっちの方が緊張感出るやろ?」


「…それに。」

「記録に残して、後で楽しめるし…///」


「明らかに後者が本音ね…」

「まあまあ♪」

457: 2015/03/31(火) 22:14:07.33 ID:TR5ERdvg.net
「じゃあ…次。」

「真姫ちゃんいってみよー!」


「…!」

「な、何で私が…!」

「ほらほら、結局順番は回ってくるんやし…」


「も、もう…」


「それじゃ、ちょっと場所を変えてみようか。」

「中庭に、レッツゴー!!」


「「おーっ!!」」



「いい気な物ね。」

「こっちはアンタに振り回されてるっていうのに…」


「ふふっ、ほんとにね。」

458: 2015/03/31(火) 22:14:56.43 ID:TR5ERdvg.net
「…」

「…真姫?」

「…!」


「あーっ、真姫ちゃん、恥ずかしいんでしょー?」

「なっ…?」


「だ、だれが!」

「見てなさい!」

「完璧に演じてやるんだからっ!!」



「ハラショー…」

「真姫、お手本にするわね?」


「えっ…」

459: 2015/03/31(火) 22:15:59.45 ID:TR5ERdvg.net
-----


「3・2・1…キュー!」



『…はいコレ。』

『いいから、受け取んなさいよ…!』


『べ、別に貴女だけにあげた訳じゃ無いんだから…』

『勘違いしないでよねっ。』





「…おおーっ!」

「パーフェクトです…!」

「漫画で見た事あるにゃー!!」



「どう!?これで満足!?」

「…!」


「にこ…?」

「ふんっ。何調子に乗ってるの…?」


「にこ、張り合わないでよ…」

460: 2015/03/31(火) 22:16:45.03 ID:TR5ERdvg.net
「別に乗ってなんかいないわよ…!!」

「じゃあ、にこっちもやってみる…?」


「ふふっ。」

「全く…しょうがないわねえ…」


「それじゃ、場所変えるわよ!」


-----

にこっちが、リボンをほどく


『どうしたかって…分からないの?』

『…!』

『だめっ!恥ずかしいから見ないで…?』


「「…」」



『もう…しょうがないわね…』

『ちょっとだけよ…?』

461: 2015/03/31(火) 22:17:13.60 ID:TR5ERdvg.net
『…髪、結んでない方が。』

『前、好きだって言ってたでしょう…?』

『…あげる。』


『にこにーから、スペシャルハッピーなラブ…』


「あ、バッテリー切れた。」

「ぬぁんでよっ!?」




「バッテリーも無くなっちゃったし…」

「今日はここまでかな?」


「ちょっと、もう一度…!」

「はいはい、帰るよー。」



-----



「…結局なにも決まらなかったねー。」

「難しいものですね…」

462: 2015/03/31(火) 22:17:48.77 ID:TR5ERdvg.net
「やっぱり…無理しない方がいいんじゃない?」

「次は最終予選よ?」


「そうですね…」

「最終予選はこれまでの集大成。」

「今までの事を精一杯やりきる。」

「それが一番大事な気がします。」


「ことりもそれが良いと思う。」

「…うん。」


やっぱり…そうやんね


大丈夫


ただ…何となく、言ってみただけやから



「でも…もうすこしだけ。」

「頑張ってみたい気もするわね。」




「…え?」

463: 2015/03/31(火) 22:18:15.01 ID:TR5ERdvg.net
「絵里…」

「絵里ちゃんは、反対なの?」


「反対って訳じゃないけど…」

「でも、ラブソングはやっぱり強いと思うし。」

「そのくらい無いと、勝てない気がするの…」



「うーん…そうかなあ?」

「難しい所ですが…」


「それに…」

「絵里ちゃん?」

「…ううん。」

「希の言う事は、いつもよく当たるから。」


「…」

「…!」



「…じゃあ、もうちょっとだけ考えてみようか。」

464: 2015/03/31(火) 22:20:14.22 ID:TR5ERdvg.net
「私は、別に構いませんが…」


「それじゃあ、今度の日曜日。」

「みんなで集まって、アイデア出し合ってみない?」


「資料になりそうな物、私も探してみるから。」

「希も…それでいいでしょ?」


「…」


「…希?」


「…」

「…へ?」

「ああ…そうやね。」


「…」



「じゃあ、今日はもう帰りましょう。」

466: 2015/03/31(火) 22:36:45.41 ID:TR5ERdvg.net
-----



「…おかしい。」

「おかしい?」

「絵里ちゃんが…?」


「変じゃない?」

「絵里があそこまで率先してラブソングにこだわるなんて。」


「それだけラブライブに出たいんじゃないかなにゃあ…?」

「だったら逆に止めるべきよ!」

「どう考えたって。」

「今までの曲をやった方が完成度は高いんだし…!」


「希ちゃんの言葉を信じてるとか…?」

「あんなにこだわる所、見た事ある?」


「じゃあなんで…」

「それは…わからないけど。」


「でも、この間まで、希ちゃんも…!」


「花陽?」

「あ、ううん。」

「なんでも…ないよ。」


「「?」」

467: 2015/03/31(火) 22:37:22.79 ID:TR5ERdvg.net
-----




「…えりち!」


「どうしたの…?」


「…いくらなんでも、強引すぎやない?」

「みんな戸惑ってたみたいやし…」



「…いいの。」

「私がそうしたいんだから。」


「…」

「多分…だけど。」


「ずっと、やりたかったことなんでしょ?」


「…」


「じゃあね!」

そう言って、飴を渡して、えりちは走っていった



「まったく…」

「おせっかいやね…えりちは。」

468: 2015/03/31(火) 22:56:09.78 ID:TR5ERdvg.net
------


おせっかい…


それは、ウチの方か


今まで、して来た事も

相手からしたらおせっかいやんな


…なら、えりちのそれも


「…やっぱり、違うなあ。」


帰ろうと、横断歩道へ向き直る

歩道の信号が、点滅しはじめた


「おっと、早くいかないと…」


歩き出す方向


…とは、逆向きに腕が動く





「…花陽ちゃん。」



信号が、赤に変わった

469: 2015/03/31(火) 23:05:25.37 ID:TR5ERdvg.net
-----



「…ごめんね、引き止めちゃって。」

「ううん。」


「…」

「それで、どうしたん?」


「…ラブソング。」

「ん?」


「あれって、やっぱりこの間の…」


「…ふふっ。」

「やっぱり、花陽ちゃんにはバレてたか。」


「…」


「…ちょっとした、ウチのわがままなんよ。」


「それが…希ちゃんの、叶えたい事?」

470: 2015/03/31(火) 23:06:30.00 ID:TR5ERdvg.net
「…ウチが、叶えたい事は。」

「みんなの叶えたい事を、叶える事。」

「だから、みんなの夢が叶うなら、それで…」


「嘘だよっ!!」


「…花陽ちゃん?」


「私はまだ、希ちゃんの事知らない事いっぱいあるし。」

「絵里ちゃんやにこちゃんほど、仲良くもない…」

「でも、分かるよ!」

「今の希ちゃんが嘘をついてるってことは、分かる!!」


「…」



「…なにか、あるんだよね?」

「だから、ラブソングをつくろう、って。」

「それで、最終予選にでよう、って言ったんだよね!?」


「花陽ちゃん…」

「私、言ったよ!?」

「今度は、希ちゃんの夢を叶えてほしい、って!」

「そのためなら、私も手伝うよ…!」

471: 2015/03/31(火) 23:07:08.53 ID:TR5ERdvg.net
「…」

「だから…教えてよ。」

「希ちゃんの…したいこと。」


「大事な…ともだちだから。」


「…!」

「希ちゃん…」

「…」


「…ウチは。」

「ウチの想いは、変わらんよ。」


「みんなの夢を叶えたいのも、ほんと。」

「ラブライブで優勝したいのも、ほんと。」


「…そこは、みんなと変わらんよ。」


「でも…!」


「…そうやね。」

「夢…なんてだいそれた事じゃ無いんよ。」

472: 2015/03/31(火) 23:07:55.46 ID:TR5ERdvg.net
「ただ…」


「やっと、ここまで来て。」

「皆で、夢を繋いで。」

「その気持ちを、紡いで。」


「そして、ここまで来たウチらやから。」



「…できるなら。」

「そんなみんなで、何かを作りたいんよ。」


「それが…ラブソング?」


「ラブソングじゃなくてもいい。」

「ウチには、それしか思いつかなかったから。」


「この9人で歩んで来た軌跡を。」

「形に…残したいんよ。」



「それが…ウチの夢。」

「みんなと、出会えたから。」


「ウチにとっては…」







「やっぱり、そんな事だろうと思った。」

476: 2015/04/01(水) 20:04:32.74 ID:7WC7SKGp.net
「…!」


「えりち…」



「聞いちゃって、ごめんなさい。」

「…でも。」


「どうして、相談してくれなかったの?」

「それは…」


「…」

「単なる、ウチのわがままやから。」

「こんな大事な時に、言ったら駄目なのは分かってたけど…」


「なんでかな。」

「花陽ちゃんに言われて…」

「少し、欲が出てしまったんかもしれん。」


「希ちゃん…」


「でも、2人の気持ちも嬉しかったよ。」

「ありがとうな、えりち。花陽ちゃん。」

「…さ、もう遅いし帰ろうか♪」


「「…」」

477: 2015/04/01(水) 20:05:04.08 ID:7WC7SKGp.net
-----



「…ふう。」

「2人には、悪い事しちゃったかな。」


あんなに、真剣に話されたら…



「ふふっ。」


「…ちょっと、期待しちゃうやん。」


「…あかんよ。」

「今は、最終予選が一番大事なんやから。」


わがまま、言える時じゃない


「それに…ウチの願いは…」


「…ッ!」

「…」


「…グスッ。」


「だい…じょうぶ。」

「また、明日も…」




---きっと、笑える

478: 2015/04/01(水) 20:05:42.56 ID:7WC7SKGp.net
-----




「…」

「むぅ…」


「…!」

「好きだ!愛してる!!」


「…」


「うあーっ!!」

「こんなんじゃないよねーっ!?」


穂乃果ちゃんが、頭を抱える

今日は前に言ってたように

穂乃果ちゃんの家で、皆でラブソング作り


…でも、思うように行かなくて


「ま、まあ…間違っては、ないわね。」

「…」

479: 2015/04/01(水) 20:06:16.09 ID:7WC7SKGp.net
「…はあ。」

「ラブソングって難しいんだねえ…」


「ラブソングは結局の所。」

「好きという気持ちをどう表現するかだから…」

「ストレートな穂乃果には、難しいかもね。」


「ストレートと言うより、単純なだけよ…」

「と言ってるにこっちも、ノート真っ白やん。」

「こ、これから書くのよ!」



「…まあまあ。」

「じゃあ参考に、恋愛映画でも見てみない?」


ことりちゃんの提案で、映画を見てみるも…

穂乃果ちゃんたちは寝ちゃうし

海未ちゃんはキスシーンが見れずに画面消しちゃうし…


やっぱり、ここまでなんかな。

480: 2015/04/01(水) 20:06:44.57 ID:7WC7SKGp.net
「…」

「なかなか映画のようにはいかないわよね。」

「じゃあ、もう一度皆で言葉を出し合って…」


「待って!!」

「「…?」」


真姫ちゃんが、えりちを遮った

「もう諦めた方がいいんじゃない?」

「今から曲を作って。」

「振り付けも歌の練習もこれからなんて。」


「完成度が低くなるだけよ…!」


「でも…!」

「…実は私も思ってました。」

「ラブソングに頼らなくても…」

「私達には、私達の歌がある。」


「…そうだよね。」

481: 2015/04/01(水) 20:07:12.07 ID:7WC7SKGp.net
「…相手はA-RISE。」

「下手な小細工は通用しないわよ?」


「にこちゃん…」


「でも…!」

「確かに皆の言う通りや。」

「今までの曲で、全力を注いで頑張ろう…?」


「…希?」


「今見たら、カードもそれが良いって。」


---TEMPRERANCE…『節制』のカード


このままやと…

ウチらが、バラバラになる


それだけは…避けないと

ウチの想いなんて、ちっぽけなものやから

482: 2015/04/01(水) 20:07:43.35 ID:7WC7SKGp.net
「待って希。貴女…」

「ええんや♪」

「一番大切なのは…μ'sやろ?」


「…」



「…?」

「どうかしたの?」


「ううん?何でも無い♪」

「…じゃあ、今日は解散して。」

「明日からみんなで練習やね♪」


「…分かりました。」

「それでは、今日は希の言う通りにしましょう。」

「みんな、帰りましょう。」


「…うん。」


「…」

483: 2015/04/01(水) 20:08:11.35 ID:7WC7SKGp.net
「希…」

「どうしたん?海未ちゃん。」

「いえ…」

「叶える事が出来ずに、すみませんでした。」


「…!」

「…言ったやろ?」

「一番大事なのは、μ'sやって。」

「大事な目標の為に、努力してるんやもん。」


「みんなが、一つになって頑張れるなら。」

「それに越した事は無いよ。」


「…そうですね。」


「それじゃ、また明日な♪」

「ええ、失礼します。」



「…いこっか、えりち♪」

484: 2015/04/01(水) 20:08:37.35 ID:7WC7SKGp.net
「…本当にいいの?」

「いい、って言ったやろ?」

「ちゃんと言うべきよ…」

「希が言えば、みんな絶対強力してくれる。」

「それだけの事を、貴女はやって来たじゃない。」



「…ウチには、これがあれば十分なんよ。」

…そして、みんながいれば



「…意地っ張り。」

「えりちに言われたくないなあ…」





----


「…どういう事?」

「一体、何を…」



「それさえ分かれば楽なんだけどねえ…」


「!?」

485: 2015/04/01(水) 20:09:16.23 ID:7WC7SKGp.net
「にこちゃん…」

「ま、どうせ聞いてもはぐらかされるんだけどね。」


「なんで来たのよ…」

「…別に?」

「ただ、絵里とちょっとした約束があってね。」


「約束…?」


「そろそろ追いかけないと、見失うわよ?」

「…!」


「私の知らない所で何が起こってるのよ。」

「…聞かなきゃ収まんないんだからっ!」



「あ!ちょっと真姫ちゃん!?」

「…はあ。」


「行くしかないわね…」

486: 2015/04/01(水) 20:09:42.59 ID:7WC7SKGp.net
「…じゃ、また明日♪」

「希…」



「待って!」

「「…!」」

「真姫ちゃん…」



「前に私に言ったわよね?」

「…面倒くさい人間だって。」

「そうやったっけ…?」


「…自分の方がよっぽど面倒くさいじゃない。」

「…」

「気が合うわね。」

「同意見よ。」

「…!」



「…あら、そこはみんな同じみたいね。」


「にこっちまで…!」

487: 2015/04/01(水) 20:10:17.06 ID:7WC7SKGp.net
「…さあ、希。」

「もう、隠すのは無しよ。」

「逃がさないんだから。」


「そんなにこっち、逃げるだなんて…」


「ごまかそうとしても無駄よ!」


「ここにいる全員。」

「アンタの本音を聞くまで、帰らないんだから。」


「…」



「…わかったよ。」

「とりあえず、家に来て。」


「…ちゃんと、話してくれるのよね?」


「…」


「行こ、3人とも。」


…もう

本当に、面倒な子達ばっかりやね。

489: 2015/04/01(水) 20:37:41.68 ID:7WC7SKGp.net
-----



「…お茶でええ?」

「あ…うん。」


「一人暮らし…なの?」

「うん。」


「そう…なんだ。」

「って、にこちゃん達は知ってたの?」

「まあね。」

「何回か、お邪魔させてもらってるし…」



「…子供の頃から。」

「両親の都合で、転校が多くてね。」


「…そう。」


「だから…音ノ木坂に来て、やっと居場所が出来たって…」

「その話はやめてよ…」

「こんな時に話すことじゃないよ?」

そう言いつつ、沸いたやかんの火を止める

490: 2015/04/01(水) 20:38:11.26 ID:7WC7SKGp.net
「…それじゃ、こんな時に話す事を話しましょ?」

「絵里から、私は少し聞いた。でも…」


「ちゃんと話してよ。」

「もう、ここまで来たんだから…」


「ほらね。」

「真姫ちゃんは興味津々みたいよ?」


「茶化さないで…!」


「…そうよ。」

「隠しておいても、しょうがないでしょう…?」


「…」



「…別に、隠していた訳やないんよ?」

「えりちが大事にしただけやん…」



---本当に、そうなん?


---もちろん

491: 2015/04/01(水) 20:38:58.46 ID:7WC7SKGp.net
「嘘…」

「その程度の事なら、あんな話しないでしょう…?」


「…そんな事ない。」

「希…!」



「…ウチが。」

「ちょっとした希望を持っていただけよ…?」


「いい加減にして!!」

「いつまで経っても話が見えない。」


「どういう事…!?」

「…」

「希…!」






「…簡単に言うとね。」

「夢だったのよ…希の。」


「えりち…!」

492: 2015/04/01(水) 20:39:38.08 ID:7WC7SKGp.net
「ここまで来て、何も教えない訳にはいかないわ。」

「それに…」


「そうよ。」

「にこ達だって、あんたの事全然分からないんだもの。」

「…話してよ。」


「それとも、私達はその程度の関係なの?」

「…!」

「違う!!」

「そんなんじゃ…」


「…なら、話してよ。」

「私達は、今、何のためにここにいるのか。」


「希なら…分かるでしょ?」

「アンタが…してくれた事なんだから。」


「…」



---ここまで想ってくれるともだちを、見捨てるん?


---そんな事、出来ない

493: 2015/04/01(水) 20:40:05.89 ID:7WC7SKGp.net
「ラブソングが…夢?」

「…ううん。」

「大事なのは…ラブソングかどうかじゃない。」

「9人みんなで、曲を作りたいって。」


「…」


「一人ひとりの言葉を紡いで…」

「想いを紡いで。」

「本当の意味で、全員で作り上げた曲。」


「この9人が歩んで来た道を。」

「…その、軌跡を。」

「形として、残したい。」


「そんな曲で、ラブライブに出たい。」


「それが…希の夢だったの…!」



---ほら。言ってない事まで、知ってくれてる


---そんなこと、分かってる

494: 2015/04/01(水) 20:56:32.24 ID:7WC7SKGp.net
「…だから、ラブソングを提案したのよ。」

「上手く…いかなかったけどね。」


「…言ったやろ?」

「ウチが言ったのは、夢なんてだいそれた物やない、って。」


「…じゃあ、何なの?」


「真姫ちゃんの言う通り。」

「希にとって。」

「その想いは…一体なに?」


「…」


「…なんやろうね。」


「ただ、曲じゃなくてもいい。」

「9人で集まって、力を合わせて。」

「何かを生み出せれば…それで良かったんよ。」


「ウチの夢は…皆の願いを、夢を、叶える事やから。」



---本当に?


---うん

496: 2015/04/01(水) 20:58:03.33 ID:7WC7SKGp.net
「ウチにとってこの9人は…」


「奇跡だったから。」


「奇跡…?」


「…そう。」

「ウチにとって、μ'sは…」


『奇跡』



---そんな奇跡の中で、貴女は何を得たの?

---幸せを、知る事が出来たよ


---みんなの事、どう思ってるの?

---もちろん、大好き


---貴女は、願いを叶えたいの?

---みんなの、願いを叶えたい


---みんなの願いを、貴女は知ってる?

---ラブライブで、優勝する事


---もう一つ、彼女達には願いがある事、貴女は知ってる?

---え?






『貴女の願いを叶える事』

498: 2015/04/01(水) 21:19:39.83 ID:7WC7SKGp.net
「…」


「希…」


「…転校ばかりで、友達はいなかった。」

「…当然、分かり合える相手も。」


「毎日。」

「毎日、周りの顔色を伺って。」

「話しかける事もせず。」

「すぐに、また引っ越すから。」

「それまでの、我慢だからって…人を避けてた。」


「音ノ木坂に入学したときも。」

「ここでなら変われるかも…なんて思って。」

「でも、自分じゃ何もしなくて。」

「変わろうと…しなくて。」

500: 2015/04/01(水) 21:21:00.33 ID:7WC7SKGp.net
「…当然。」

「そんな性格のウチに声をかけてくれる。」

「物好きな人なんかいる訳なくて。」


「ここでも一緒。」

「…そう、思ってた。」





「毎日変わらない日々を過ごして。」

「色褪せた景色を見て。」

「友達なんてものの声も聞こえない。」


「…それが、ウチの毎日やった。」




「そんな毎日に嫌気がさして。」

「ひとり、屋上に上がるのが。」

「ウチの、日課になってたんよ。」

501: 2015/04/01(水) 21:21:38.88 ID:7WC7SKGp.net
「…」

「ずっと一人で、空を見上げて。」

「自分の世界がちっぽけな物だって、思ってた。」

「誰も、ウチの事なんか気にしない。」


「それでも、空を見上げてると。」

「少しだけ…こんな悩みも小さく思えた。」




「そんな時に…」

「鈴の音が、聞こえた気がしたんよ。」


「鈴…?」


「その音の方に目を向けたらな?」

「ウチと話す物好きが、そこに立ってたんよ。」


「まあ、その子は最初。」

「ウチの名前すら知らなかったけど。」

502: 2015/04/01(水) 21:22:30.36 ID:7WC7SKGp.net
「…でも、その子が毎日。」

「約束した訳でもない屋上に来て。」

「ウチと、喋ってくれた。」

「何にもないウチに、笑顔をくれたんよ。」


「いつだって、その子はウチを気にかけてくれた。」

「その子の中では、そんな事無かったのかもしれんけど。」


「…それでも、その子は。」

「ウチを毎日、照らしてくれた。」


「…まるで、太陽みたいに。」


「ウチに、暖かさをくれたんよ。」



「このカードも。」

「この喋り方も。」


「全部、その子がウチにくれたもの。」


「とっても…大事な物なん。」

503: 2015/04/01(水) 21:36:40.08 ID:7WC7SKGp.net
「…ある時、その子に聞いた事があるんよ。」

「どうして、ウチなんかに構ってくれるん?って。」


「だって、いつもウチはもらってた。」

「その子に励まされて、手を貸してもらって。」


「それでやっと、頑張る事が出来たんよ。」

「…なにも、ウチはしてあげられてなんか無かったのに。」


「…」


「その子は、答えてくれた。」

「『似ていたから』って。」


「最初は、何を言ってるのか分からなかった。」

「自分で言うのも何やけど。」


「こんな根暗なウチと、対象的すぎて。」

「…言ってる意味が、分からなかった。」

504: 2015/04/01(水) 21:37:22.67 ID:7WC7SKGp.net
「…でも、一緒に過ごしていくうちに。」

「その子は、叶えたい夢のために。」

「何度も挫折して、泣いて。」

「ウチなんか比べられないくらいの、辛い過去もあった。」


「…そんな子が、ウチを見て。」

「変われる、って言ってくれた。」


「何度も何度も励ましてくれて。」

「…ウチに、友達を作ってくれた。」



「あの時は、分からなかった。」

---自分の事で、いっぱいだったから


「…けど、今は分かるよ。」

---貴女もウチと同じ

---『それ』を願った人だから



「ウチに…変わる勇気をくれて、ありがとう。」


「にこっち。」

505: 2015/04/01(水) 22:09:50.19 ID:7WC7SKGp.net
「のぞ…み…」


「ずっとずっと。」

「ウチと一緒にいてくれて。」

「ウチに力をくれて。」


「…ありがとう。」


「そんなこと…」

「ふふっ。」





「にこっちのお陰で、ウチは違う世界を見る事ができた。」

「…ほんとに、嬉しかった。」


「そんなウチを見てた、また物好きな子がいたんよ。」

「その子は、いつでも人の上に立ってるような子で。」

「ウチとは、生きてる次元が違うってくらい、完璧に見える子やった。」



「…そんな子が、ウチを羨ましい、って。」


「そう…言ってくれた。」



「…」

506: 2015/04/01(水) 22:10:19.44 ID:7WC7SKGp.net
「…はじめは、何の冗談かと思ったよ。」

「だってその子は。」

「ウチに出来ないような事を簡単にやってのけて。」

「知らない事を、沢山教えてくれて。」


「…そんな子が、ウチを羨む事なんてあるわけがない。」




「…でも、違ったん。」

「その子は、とても不器用で。」

「下手したら、ウチ以上に人付き合いが苦手で。」


「…」


「…その子もまた、願ってたんよ。」

「変わる勇気が、欲しいって。」



「それを手に入れる事が出来たウチが。」

「…羨ましい、って。」

507: 2015/04/01(水) 22:10:57.21 ID:7WC7SKGp.net
「…根っこが、そっくりやったんよ。」

「重ねて来た想いは違っても。」


「ウチが、友達が欲しかったように。」

「その子も、友達がほしかった。」


「その子についてたイメージを崩せるような。」

「…みんなと、仲良くなれるような。」




「…その時、ウチは思ったんよ。」

「自分がにこっちからもらった物を。」

「今度は、ウチが伝える時やって。」


「それからその子は。」

「もとからの素質もあってか、すぐに皆と打ち解けた。」

508: 2015/04/01(水) 22:11:35.05 ID:7WC7SKGp.net
「…ちょっと、嫉妬しちゃったりもしたんよ?」

「だって、皆の前で笑うその子が、すごく可愛くて。」

「…その顔は、ウチだけが知ってたのにな…なんて。」


「ふふっ。」

「今思い出したら、笑える話なんやけどね。」




「…それからの毎日は凄く楽しくて。」

「すぐに、時間が過ぎて行った。」


「でも…」

「…」



「…良いわよ。」

「もう…済んだ事だから。」




「…うん。」

509: 2015/04/01(水) 22:31:04.74 ID:7WC7SKGp.net
「毎日楽しくて。」

「ずっと、こんな日が続けば、なんて思ってた。」


「…そんな時に、にこっち達のファーストライブがあった。」

「ずっと前から楽しみにしてた事で。」


「けど、あんな結果になって…」

「その時ウチは、にこっちに酷い事言ってしまったんよ。」


「何度もその事を悔やんで。」

「でも、どうする事も出来なくて。」


「恩を…仇で、返したみたいで。」



「…そんな時、その子は。」

「そんなウチの気持ちに同情する訳でもなく。」

「…放っておく訳でもなく。」



「…信じる事を、教えてくれた。」



「にこっちを…」

「自分を、信じる事を。」

510: 2015/04/01(水) 22:31:48.18 ID:7WC7SKGp.net
「それからウチらは、今まで以上に仲良くなって。」

「3人で、遊ぶ事も多くなった。」

「…本当に、楽しかったんよ。」



「…」


「…でも、それも長くは続かなくて。」

「アイドル研究部の…部員の退部が決まった。」






「…正直、耐えれなかった。」

「それを受け入れるだけの余裕がウチには無くて。」


「それをきっかけに、にこっちとはほとんど話す事はなくなったんよ。」

「すごく…辛かった。」

511: 2015/04/01(水) 22:33:45.65 ID:7WC7SKGp.net
「何もかも諦めようとした時。」

「その子は、ウチに手を差し伸べてくれた。」


「ずっとにこっちしか見てなかったウチを。」

「その子は、いつも見ていてくれた。」

「悩んだり、ぶつかったりしたときは。」

「いつも、その子が手を引っ張ってくれた。」



「ウチがあげた、ほんのちょっとのきっかけに。」

「その子は、全力で応えてくれたんよ。」


「…ウチは、その子の事なんて目に入ってなかったのに。」

「自分の事しか、考えてなかったのに。」


「いつだって…その子は。」

「にこっちと同じように、ウチを支えてくれた。」


「ウチを、信じさせてくれた。」

「ウチを…導いてくれたんよ。」



「だから…ありがとう。」


「ウチに、信じる勇気をくれて。」




「…な?えりち。」

512: 2015/04/01(水) 23:07:10.11 ID:7WC7SKGp.net
「…」


「…この2人に出会えて、ウチは変われたんよ。」

「きっとそれは、えりちも…にこっちも、そうやと思う。」


「変わりたいと願ったウチらが。」

「変わろうと、努力した結果。」


「叶えたい想いを、持ってたウチら。」


「…でも。」

「そのときのウチらは、まだバラバラやって。」


「…その後も、同じ想いを持つ人が目の前にいるのに。」

「どうしても、手を取り合えなくて…」


「真姫ちゃんを見たときも。」

「熱い想いはあるけど、どうやって繋がっていいか分からない。」

「そんな子が…ウチらの周りに、溢れてた。」

513: 2015/04/01(水) 23:07:40.67 ID:7WC7SKGp.net
「…」

「そんな時。」

「それを、大きな力で繋いでくれる存在が現れた。」

「想いを同じくする人がいて。」

「それを繋いでくれる存在がいる。」


「その存在が、にこっちと同じ事を、あのステージで言った。」

「ここを、満員にしてみせる、って。」


「…その時、感じたんよ。」

「たった今、この場所に。」

「想いを同じくする人が9人もいる事。」

「年齢も、育って来た環境も違うけど。」

「このメンバーなら、その想いはきっと叶う、って…!」



「必ず形にしたかった…」

「この9人で、何かを残したかった…」

514: 2015/04/01(水) 23:08:20.57 ID:7WC7SKGp.net
「…確かに、歌という形になれば良かったのかもしれない。」

「けど、そうじゃなくても…」


「μ'sはもうすでに。」

「何か大きな物を、とっくに生み出してる。」

「叶えたい物を、叶える力を持ってる。」


「ウチはそれで十分。」

「夢はとっくに…」


「…!」



---それが、貴女の夢?

---そう


---叶えたい願いは、無いの?

---この9人でなら、きっと叶えられる


---もう、迷わないの?

---迷っても、大丈夫


---みんながいるから?

---みんなとなら

515: 2015/04/01(水) 23:08:57.29 ID:7WC7SKGp.net
---自分の想いは、決まった?

---決まったよ


---それじゃ、『私』はもう必要ない?

---今まで、ありがとう


---これからは、貴女が想いを紡ぐんだよ

---分かってる。今度は『ウチ』が、みんなと


---それじゃあ、またね

---うん


---最後に教えて?これからの貴女の、叶えたい事

---もう、ウチだけじゃないよ

---これは…




---『みんなで叶える物語』




「一番の夢は、とっくに…!」









---叶ったんだから

523: 2015/04/02(木) 19:36:23.95 ID:I0V5+mjB.net
「…だからこの話はおしまい。」

「それでええやろ?」


「…って、希は言うんだけど。」

「どう思う?」


「…」


「そうね。」

「まあ、一言で言うと…」



「面倒臭い人、かな。」

「なっ…!?」


「結局の所、みんなの事しか考えて無いじゃない。」

「…希自身は、どうなのよ。」


「ウチ自身…?」

524: 2015/04/02(木) 19:36:57.67 ID:I0V5+mjB.net
「そうよ。」

「希の気持ちは分かった。」

「それだけ、μ'sの事を考えてくれている事も。」

「…この2人を、大切に思っている事も。」


「「…」」


「…でも、それは結局。」

「μ'sの為に、希が我慢してるって事じゃないの?」


「そんな事ないよ…!」

「ウチはもう、十分なん。」

「十分…幸せやから。」


「なら、どうして曲を作ろうって言ったのよ。」

「それは、さっきも言った通り…」


「…嘘。」

「やりたいんでしょう?」


「…」

525: 2015/04/02(木) 19:37:25.92 ID:I0V5+mjB.net
「…希の気持ち、なんとなく分かるのよ。」


「私も、同じだから。」

「真姫ちゃんも…?」


「私も、貴女達と同じ。」

「ずっと…変わりたかった。」


「私をここに連れて来てくれたのは、花陽と凛。」

「そして、穂乃果。」


「…でも。」

「私が、決めたのは。」

「私が、このμ'sに足を踏み入れたのは。」


「…希。」

「貴女が、背中を押してくれたからよ。」


「穂乃果達に作曲を依頼されたときも。」

「講堂での、ライブのときも。」


「…そして、合宿のときも。」

526: 2015/04/02(木) 19:37:54.62 ID:I0V5+mjB.net
「いつも、希は私達を支えてくれた。」

「前に立たなくても、ずっと皆の事を考えてくれた。」


「そんな希が、やりたい事に。」

「それだけ、想いが詰まった言葉に。」


「私達が、手を貸さないと思ってるの?」

「何のための…ともだちなのよ。」


「真姫ちゃん…」



「…はあ。」

「真姫ちゃんに、全部言われちゃったわね。」


「にこっち…?」


「いーい?希。」

「私も絵里も、真姫ちゃんと同じ気持ち。」

527: 2015/04/02(木) 19:38:21.94 ID:I0V5+mjB.net
「アンタが、私たちに感謝してくれてるのはわかった。」

「確かに、変わるキッカケをあげたのは私かもしれない。」

「続ける勇気…」

「信じる事を教えたのは、絵里かもしれない。」


「…でも、それで終わりなんかじゃない。」

「アンタは、努力したの。」

「自分の力で、想いで、行動したの。」



「…そして。」

「その行動で、私と絵里は救われたのよ。」


「…え?」


「覚えてないとは言わせないわよ?」


「でも、ウチは何も…」

528: 2015/04/02(木) 19:38:56.05 ID:I0V5+mjB.net
「…アイドル研究部のファーストライブの時も。」

「絵里と、出会った時も。」

「部員の退部の時も。」

「廃部の危機の時も。」

「希は、いつも私のそばにいてくれた。」

「私のために、動いてくれた。」

「希の言葉に、行動に、私は動かされたの。」


「…変わらなきゃって、思えたの。」




「…そうよ?希。」

「私がみんなと打ち解けられたのも。」

「生徒会に、入った時も。」

「廃校を阻止するために動いた時も。」

「貴女は、私と共に歩んでくれた。」


「私が道を踏み外した時だって。」

「…貴女はちゃんと、私の事を理解してくれた。」

529: 2015/04/02(木) 19:39:24.84 ID:I0V5+mjB.net
「…そして、何より。」

「私達を…μ'sに、入れてくれた。」


「でもそれは、穂乃果ちゃんが…!」


「…希。」


「私も、にこも。」

「穂乃果の言葉だけじゃ、動かなかった。」

「変なプライドに縛られて。」

「私達は、自分しか見えていなかった。」



「そんな私達に、声をかけてくれたのは。」

「…他でもない、希自身なのよ。」


「貴女にとっては、何気ない一言だったのかもしれない。」

「…それでも、その言葉に救われたの。」


「ウチが…?」

530: 2015/04/02(木) 19:40:01.48 ID:I0V5+mjB.net
「貴女は、今まで自分がしてきた事に気付いてないだけ。」

「その言葉に、私達がどれだけ感謝してるかを分かってない。」


「今ここにいないみんなだって、そう思ってる。」

「…それは、間違いなく言える事よ。」


「えりち…」



「いい加減、気付きなさいよ。」

「アンタはもう、このμ'sに必要な存在なの。」


「このμ'sを作った、第一人者なの。」

「ともだちなんかよりも…ずっと。」


「ずっと大事な、仲間なの。」

「…親友だと、思ってる。」


「そんな希が、叶えたい夢なら。」


「それはもう…」



「私達みんなの、夢なのよ。」

531: 2015/04/02(木) 19:40:47.87 ID:I0V5+mjB.net
「…!」



「…さあ、希。」

「貴女の叶えたい夢は、何かしら?」


「…ウチの、叶えたい夢。」


「そうよ、希。」

「私達は、いつだって貴女の味方なんだから。」


「…もう、アンタは。」

「音ノ木坂学院スクールアイドルμ'sの、東條希なのよ。」


「私達はいつだって、希のそばにいるから。」


「ウチは…」


ウチの、叶えたい夢は…

今一番、やりたい事は…



「みんなと一緒に、最高の曲を作りたい…!」



「「「合格っ♪」」」




---また…あの、鈴の音が聞こえた

532: 2015/04/02(木) 19:41:31.22 ID:I0V5+mjB.net
「えりち…にこっち…」

「真姫ちゃん…」


「ウチ…」

「ウチ…!」


ピンポーン


「…?」

「ちょっとごめんな…?」




「…絵里も、なかなか粋な事するじゃない。」

「…何の事かしら?」


「…ホント。」

「面倒な人ばっかりなんだから…」


「真姫ちゃんはどうなのかなー?」

「にこちゃん、うるさい。」


「なぁっ!?」

533: 2015/04/02(木) 19:42:01.52 ID:I0V5+mjB.net
「はーい…」

ガチャッ


「…え?」


「…こんばんは、希ちゃん。」

「花陽ちゃん…?」


「凛たちもいるにゃー!!」

「凛ちゃん…それに、みんなまで…」


「…水臭いですよ、希。」

「言ってくれれば、私達だって協力したのに。」


「海未ちゃん…」


「え、でも、なんで…?」



「ごめんね、希ちゃん。」

「私が、話しちゃったの。」


「花陽ちゃん…」

534: 2015/04/02(木) 19:42:31.21 ID:I0V5+mjB.net
「もう、ビックリしたよー!」

「花陽ちゃんから話聞いてたら。」

「いきなり絵里ちゃんから希ちゃんの家に来て、ってメールくるんだもん!」


「えりちが…?」



「…ほら、そこにいると迷惑でしょ?」

「とりあえず入って?」


「…えりち、どういう事?」



「…」

「みんな、貴女の力になりたいと思ってるのよ。」


「希ちゃん、みんなで力を合わせて、頑張ろう?」

「ことりちゃん…」



「早く入ってきなさいよー!」



「「お邪魔しまーす!!」」

535: 2015/04/02(木) 19:43:00.95 ID:I0V5+mjB.net
「…希ちゃん。」


「いつも、私達を支えてくれて、ありがとう!」



「穂乃果ちゃん…」


「花陽ちゃんから聞くまで、全然気付けなかったの。」

「希ちゃんが、どういう気持ちで、私達を支えてくれたのか。」

「いつもいつも、ありがとう、って伝えたかった。」

「…でも、希ちゃんはそんな事当たり前、って感じで。」

「私達も…それが普通になってたんだと思う。」



「…だから、今度は私達の番!」

「みんなで、希ちゃんの夢を叶えるよ!」


「私達は、9人でμ'sなんだから!!」


「みんな…」

536: 2015/04/02(木) 19:43:38.37 ID:I0V5+mjB.net
「…これは、私達からのクリスマスプレゼントよ。」

「μ'sから。」

「μ'sを作ってくれた女神様に…ね?」


「…!」

「みんなの想いを、言葉で紡ぎましょう。」


-----



「みんなで言葉を出し合ってか…」

「…?」

「これって、前の写真立て…」


「…!」


「あっ…!!」


慌てて、花陽ちゃんから取り上げる

だって、これは…



あの、講堂でのライブの…

537: 2015/04/02(木) 19:44:09.17 ID:I0V5+mjB.net
「そういうの飾ってるなんて…意外ね♪」


「べ、別にいいやろ…?」

「ウチだって、そのくらいするよ…」




「ともだち…なんやから///」


「希ちゃん…!」

「可愛いにゃーっ!!」


凛ちゃんの飛びつきを、枕で防ぐ

だって…はずかしいやん…!



「…もう!笑わないでよ!!」

「話し方変わってるにゃー!!」


「ふふっ。」

「…!」


えりちに、抱きとめられる

538: 2015/04/02(木) 19:44:38.76 ID:I0V5+mjB.net
「…暴れないの。」

「たまにはこういう事もないと…ね?」


「…もう。」

みんな、おせっかいなんやから…




「あっ…見て!!」

穂乃果ちゃんに指差されて、外を見る


…夜空に降る、雪



「外でてみようよ!!」

元気なその一言に、みんなが賛成する



「突撃にゃーっ!!」


「ちょっと!近所迷惑に…」


「まあ、いいやん。」

「…な?えりち。」



「…そうね。」

539: 2015/04/02(木) 19:45:11.43 ID:I0V5+mjB.net
「…ほら、希。」

「行きましょ?」


「真姫ちゃん…」


「…」


「ありがとう。」

「…どうしたのよ?改まって。」



「もちろん、みんなにも感謝してるよ。」

「…でも、真姫ちゃんがあんな風に思っててくれたなんて。」

「ウチ…知らなかった。」


「お互い様でしょ?」

「全然、本音を言わないのは。」

「…自覚、あったんやね♪」


「…!」

「もうっ…!!」

540: 2015/04/02(木) 19:45:56.16 ID:I0V5+mjB.net
「…ありがとう。」

「…別に。」



「希のため…だけじゃないわ。」

「…!」

「それって…」



あの、合宿の時の…


「もう、希ひとりの夢じゃないんだからっ。」


そう言って、真姫ちゃんに手を取られて、外へ



「わあ…!」


舞い散る雪を、輪になって見上げる

落ちてくる雪の結晶が


手の中で、すっと消える

541: 2015/04/02(木) 19:47:00.84 ID:I0V5+mjB.net
「…想い。」

穂乃果ちゃんが、呟く

まるで、みんなの想いが重なったように


「…メロディ。」

また聞こえた、あの鈴の音


「…予感。」

この9人なら、叶えられる…確信とも、言えるもの


「…不思議。」

バラバラだったウチらが、ひとつになれた理由


「…未来。」

描いて行ける、ウチらのこれから


「…ときめき。」

みんなの心が、言葉が、胸を弾ませる

542: 2015/04/02(木) 19:48:02.91 ID:I0V5+mjB.net
「…空。」

あの日見上げた空が、みんなのお陰で色づいた


「…気持ち。」

もう、自分ひとりのものじゃない



みんなの願いは、ウチの願い

ウチの願いは、みんなの…


降り注ぐ雪の中

…少し大きな、その結晶


手に落ちたら、すぐに無くなった

…けど、どこか暖かい


心が、とっても暖かいんよ


愛情や、友情や、情熱や

ウチらの想いを、束ねた、この気持ち


これを一言で表すなら…



「…好き。」


これ以外に、ない






---ありがとう、これまでの『ウチ』

---見守ってるよ、これからの『私』





静かな空に

またあの、鈴の音が聞こえた---気がした

547: 2015/04/02(木) 22:47:32.82 ID:I0V5+mjB.net
-----


「んんーっ…」

「もう朝か…」


冷たい床に、足を下ろして

…そっと、カーテンを開けてみる



「おお…!」

見渡す限りの、白銀の世界


窓を開けて、空気を吸い込む

澄んだ空気が肺に入って

白い息がこぼれる


「…応援、してくれるん?」

何となく、呟いた



「神様の、いたずらかな?」



---最終予選が、始まる

548: 2015/04/02(木) 22:48:11.36 ID:I0V5+mjB.net
----


「おっとと…」

制服を来て、外に出る

思ったよりも雪が深くて

思わず足を取られた


「…穂乃果ちゃん達、大丈夫かな?」


生徒会のメンバーは

今日は新入生の学校説明会があって、遅れてくる

出場までには十分、時間に余裕があるけど


…なんとなく、不安になる


「…あかんあかん。」


「きっと…大丈夫。」


願えば、きっと叶うから

549: 2015/04/02(木) 22:48:39.78 ID:I0V5+mjB.net
-----


ピンポーン


かじかんだ手で、チャイムを鳴らす

…まだ、支度中かな?



扉が開いて

綺麗な金色の髪が目に入る

「希…!」


「おはよ。」

「まだ着替えてなかったん?」


「…!」

「す、すぐ…用意して来るわ。」



「えりち…」

「…?」

「もしかして…緊張してる?」


「…さっきまで、ね?」

550: 2015/04/02(木) 22:49:17.69 ID:I0V5+mjB.net
そういって、着替えに部屋に戻る


…よかった

大丈夫そう


あとは…



「おまたせ、希。」

「…それじゃ、行こうか♪」



「にこのところへ…でしょ?」


「えりち…」



「何となく…」

「希なら、そう言うんじゃないか、って。」


「…ふふっ。」

「付き合いが長いのも、困り者やね。」


「…ほんとにね。」

551: 2015/04/02(木) 22:49:44.32 ID:I0V5+mjB.net
-----


ピンポーン


ガチャッ

…パタン


開いた扉を、すぐに閉められた


…ガチャッ

「…」


「にこっち、おはよ♪」

「なんでアンタ達がくるのよ…?」



「…ッ!!」


扉に、足を挟む

…にこっちの考えてる事くらい、お見通しや♪



「…希がね?3人で行きたい、って。」

「なんで…!?」

552: 2015/04/02(木) 22:50:22.90 ID:I0V5+mjB.net
「…ウチやないよ?」

「カードがね♪」


このカードにも、だいぶお世話になったなあ…


「一度くらい3人で行かないと。」

「後悔が残るかもしれない、って。」


「なによそれ…」


「素直じゃないでしょう?」

「…絵里もね。」

「…へ?」


「ふふっ。」


やっぱり、にこっちも分かってる

多分、えりちも



…これが、ウチら3人

553: 2015/04/02(木) 22:50:44.62 ID:I0V5+mjB.net
「…待ってて。」

「すぐ準備するわ。」


「…」


「…寒いから、中入ってなさいよ。」

「それじゃ、お言葉に甘えて♪」






「あ、希さん!絵里さん!」

「久しぶり、こころちゃん。」


「ねーねー、希お姉ちゃん!」

「こっち来て!」


「え?ちょ、ちょっと…!」

ここあちゃんに引っ張られて

にこっちの家のベランダに向かう

554: 2015/04/02(木) 22:51:14.57 ID:I0V5+mjB.net
「わあ…これって…!」

「どうしたの?希。」


「えりち、これ…」


「…!」

「ハラショー!!」


「虎太郎が作ったの!」

「似てるでしょ!!」


「みゅーずー。」


「ふふっ。」

「ありがとう、虎太郎くん。」



「がんばれー。」

「私達も、見に行きますので。」

「頑張って下さい!」


「…うん、ありがとう。」

「絶対、予選突破するな♪」

555: 2015/04/02(木) 22:51:36.29 ID:I0V5+mjB.net
「お待たせ。」

「行くわよ、2人とも。」


「はーい♪」


「それから…」

「…?」



「ここまで、ありがとね。」

扉に手をかけて、にこっちが言う

顔は、見えない


「…これで、終わりじゃないから。」

「そうよ、にこ。」



「…そうね。」


「さあ、行くわよ!!」



「「おーっ!!」」

556: 2015/04/02(木) 22:52:09.02 ID:I0V5+mjB.net
----


「…そう。」

「それは、仕方ないわね。」


「…」


「分かったわ。」

「私から事情を話して、6人で進めておく。」



…どうやら、説明会が押してるみたいで

穂乃果ちゃん達の到着も遅れそう


それに何より、一番気になるのは…



「すごい…」

「ここが、最終予選のステージ…」

「大きいにゃー…」

557: 2015/04/02(木) 22:52:56.51 ID:I0V5+mjB.net
「あ、当たり前でしょ…?」

「最終予選の、ステージなんだから…」

「なに、ビビってんのよ…」


そう言うにこっちの膝も、笑ってる

今までで一番大きいステージ

埋まるであろう、観客席


経験した事の無いスケールの緊張感に

みんなが、気圧されてる


…これは、まずい

どうにかしないと


…空気に、飲まれてしまう

「凄い人の数になりそうね…」


6人じゃ、無理や

「これは、9人揃ってからじゃないと…」


ウチも、少し弱気になった

558: 2015/04/02(木) 22:53:22.81 ID:I0V5+mjB.net
-----


時間も過ぎて

辺りは少し暗くなる


刻一刻と迫る出演時間に

みんなの空気も、少し固い


時間が来て

ステージのライトアップが始まる

「今からここで歌うなんて…!」

「綺麗だにゃー…」


「…本当にここがいっぱいになるの?」

「この天気だし…」


「きっと大丈夫よ。」





「…びっしり埋まるのは間違いないわ。」

空気が、一気に張りつめる


「ツバサさん…」

559: 2015/04/02(木) 23:16:26.83 ID:I0V5+mjB.net
「完ッ全にフルハウス。」

「最終予選にふさわしいステージになりそうね♪」


完全にフルハウス、って…どういう意味やろ


「あ、A-RISE…」

「駄目よ、もう対等。」

「…ライバルなんだから。」

真姫ちゃんが、にこっちを止める



「…どうやら、全員揃ってないようだが。」

「あ、ええ…」

「穂乃果達は、学校の用事があって遅れています。」

「本番までには…なんとか。」


えりちも、A-RISEの気迫に圧されてる


…なんだか、胸が熱い

560: 2015/04/02(木) 23:17:00.05 ID:I0V5+mjB.net
「…そう。」

「じゃあ、穂乃果さん達にも伝えて?」

「今日のライブで、この先の運命は決まる。」

「互いにベストを尽くしましょう?」


「でも…」

「私達は負けない。」


「「…」」



…なんでみんな、そんな顔するんよ

なんでそんなに、不安なん?

A-RISEが現れたから?

穂乃果ちゃん達がいないから?



「…そんなの、関係ない。」

「…?」





「ウチらも、負けません!!」

561: 2015/04/02(木) 23:17:47.33 ID:I0V5+mjB.net
思わず、口からでた言葉

…でも、もう止まらない


「ツバサさん達が努力してきたように!」

「ウチらも、努力してきました!」

「勝ちたいって願って、ここまで来ました!」


「何度だって壁にぶつかっても。」

「このメンバーで乗り越えてきました!」

「この9人で、夢を叶えてきました!」


「…穂乃果ちゃん達は、必ず来ます。」

「そして、9人で最高のステージにします。」



「…貴女達には、負けません!!」



「希ちゃん…」



…言っちゃった

でも、不思議と


後悔はしてない

562: 2015/04/02(木) 23:18:13.01 ID:I0V5+mjB.net
「…ふふっ。」

「あはははっ…!」


「…やっぱり面白いわ、希さん♪」

「貴女と知り合えて、良かったと思ってる。」



「…でも、私達だってその気持ちは同じよ。」

「一番になるために、ここに来た。」

「勝つために、努力を重ねて来たのだから。」


「…」


「…でも。」

「貴女の言葉は、どこか信じてみたくなる。」


「ステージで、会いましょう。」


「…希。」


「…!」




…なんとなく、認められた気がした




本番まで---あと、少し

573: 2015/04/05(日) 01:46:28.98 ID:HrRoR8KT.net
A-RISEの人たちは、控え室に

また、空気がしん…となる


「…いたっ!?」

にこっちに、背中を叩かれる

「何するんよ、にこ…ッ!!」


えりちにも、同じように叩かれた


「え、えりち…?」


真姫ちゃんも、凛ちゃんも、無言で叩いてくる

花陽ちゃんは、軽くタッチやったけど


「…もう、みんな何するんよ!?」


ウチに、ばしばし叩かれる理由なんか…




「良く言ったわ、希。」


「…へ?」

574: 2015/04/05(日) 01:46:59.74 ID:HrRoR8KT.net
「希ちゃーんっ!!」

訳も分からないうちに、凛ちゃんに飛びつかれる


「…ど、どういう事?」


状況が飲み込めず、変な顔をした


「どうもこうも。」

「…よくあのA-RISEにあんな口叩けたわね。」





「…だって。」

「だって、悔しいやんか。」


「これまで、ずっと頑張って来たのに。」

「何も言い返せないと、全部意味が無くなりそうで…」


思わず、下を向く



「…こら。」

575: 2015/04/05(日) 01:47:40.36 ID:HrRoR8KT.net
にこっちに、頬をつねられた


「…ひはいよ、ひほっち。」


「…よく言った、って褒めてるの。」


「…へ?」



「あのA-RISEに、良く言ったわ。」

「…ありがとう。」



ぱっと、手を離される


「…覚悟は決まった。」

「みんなもそうでしょ?」





「…絶対、勝つわよ!!」


「「おーっ!!」」

576: 2015/04/05(日) 01:48:06.98 ID:HrRoR8KT.net
みんなの気持ちが、少しでも楽になったなら

間違いでは…なかったんかな



思わず口に出た言葉を、みんなは受け入れてくれた

ウチらの緊張は、少しほぐれたみたい


…でも、状況は変わらない


また、ウチらは新たな問題に直面する事になる



「…雪、止まないね。」


昼からは晴れると言っていた雪が

未だに降り続いている


…という事は

足下に雪が積もり続けるということで

577: 2015/04/05(日) 01:49:24.00 ID:HrRoR8KT.net
「…行こう、みんな。」


「希?」


「穂乃果ちゃん達は、必ず来る。」


「…なんでそう言いきれるのよ。」



「カードが…」


「ううん。」





「…ウチが、そう信じてるから。」

「穂乃果ちゃん達の事を。」

「μ'sのことを。」



「必ず、ウチらは9人でステージに立つ。」

「…見えるんよ。」

「精一杯、やりきったウチらが。」

「笑顔で、ステージを降りるみんなが。」




「…迎えにいってあげよ?」

「ウチらの、未来を。」



開場まで、あと---1時間

578: 2015/04/05(日) 01:50:05.79 ID:HrRoR8KT.net
だめだ眠くて氏にそう

また明日来ます






「…行こう、みんな。」


「希?」


「穂乃果ちゃん達は、必ず来る。」


「…なんでそう言いきれるのよ。」



「カードが…」


「ううん。」





「…ウチが、そう信じてるから。」

「穂乃果ちゃん達の事を。」

「μ'sのことを。」



「必ず、ウチらは9人でステージに立つ。」

「…見えるんよ。」

「精一杯、やりきったウチらが。」

「笑顔で、ステージを降りるみんなが。」




「…迎えにいってあげよ?」

「ウチらの、未来を。」



開場まで、あと---1時間

579: 2015/04/05(日) 01:52:29.23 ID:HrRoR8KT.net
うわあああミスってるorz


はあ…

また明日、会いましょう(´・∀・`)

582: 2015/04/07(火) 01:13:50.84 ID:cmuspNqv.net
----


「…あと、30分で始まるわよ?」

真姫ちゃんに言われて、気付いた


「間に合わないのかな…?」


花陽ちゃんの、不安そうな顔

「だ、大丈夫だよ!」

「穂乃果ちゃんたちなら…きっと…」

「凛ちゃん…」



「…待ちましょう。」

「私だって、これで終わりになんてしたくない。」


「…何よりも。」


「穂乃果達のいないμ'sは…μ'sじゃないもの。」


「でもこれじゃ、もう…」


真姫ちゃんの声に重ねて

ウチのケータイが鳴る

583: 2015/04/07(火) 01:14:36.38 ID:cmuspNqv.net
Sub:最終予選
============

聞いたよ。
今、どういう状況か。

でも、こんな時でも…
こんな時だから。

希ちゃんなら、大丈夫って
言うと思う。
きっと、みんなの事、信じ
てるんだよね?


希ちゃんが、私達に教えて
くれたの。

願えば、叶うって事。
叶えてくれるともだちが、
いる事。


今度は、私達の番。
希ちゃんが、その仲間が。
本当に叶えたい夢を叶える
ために。

私達の力を貸すよ。

今、希ちゃん達が叶えたい
未来は。
皆の夢でもあるんだから


だから…

こんなに、集まってくれた


添付ファイル##



必ず、応援行くからね!


頑張って!!



============

584: 2015/04/07(火) 01:15:06.88 ID:cmuspNqv.net
「これ…」


みんなが、雪かきしてる写真

正確にはわからないけど…


まさか、クラス全員…


「…希。」

「えりち…」


「私にも、送られて来たわ。」

「叶えて、って。」


「もしかして、みんな…?」



「クラスのみんなからにゃ!」

「わ、私にも来てます…」



「…ッ。」

「あーっ!!真姫ちゃんにも、届いてるにゃ!」

「ちょっと凛!!」

「見ないでよっ!!」

585: 2015/04/07(火) 01:15:34.77 ID:cmuspNqv.net
みんなにも、届いたみたい

改めて、ウチらの今を自覚する


…こんなにたくさんの人に、支えられて

ウチらは、ステージに立つ事が出来る



「…」

「にこっち…?」



「…バカなんだから。」


「…!」

「にこっち、それって…」


Sub:にこちゃんへ
============

こんな私達でも
今度は、力になれたみたい


負けるな、にこちゃん

============

586: 2015/04/07(火) 01:16:05.03 ID:cmuspNqv.net
「直接…言いに来なさいよ。」


「にこっち…」



「…無駄じゃ、無かったのね。」



「…うん。」

「ちゃんと、届いてたよ。」


「あの子達にも。」



離れていても

ウチらみんな、繋がってた

ウチらだけで、ここまで来れたんじゃない


ひとりから始まった夢が

ひとりひとりを繋いでくれた


絶対に、優勝したい

こんなに大切なともだちに、支えられて

負けたくなんてない



あと---20分

587: 2015/04/07(火) 01:29:45.41 ID:cmuspNqv.net
「きっと、穂乃果達は間に合うわ。」


「まったく…」

「これで遅れたら、全校生徒に顔向けできないじゃない。」


「…そうね。」



「…あっ!!」


凛ちゃんが、目一杯手を振る



「…よかった。」




「穂乃果ちゃーんっ!!」

「間に合った…!」





「みんな…!」

588: 2015/04/07(火) 01:30:10.57 ID:cmuspNqv.net
「穂乃果!」

「絵里ちゃあーんっ!!」


穂乃果ちゃんが、えりちに飛びつく


「寒かったよう!」

「怖かったよう!」

「これでおしまいなんて、絶対に嫌だったんだよ…!」


「みんなで結果を残せるのはこれで最後だし…」

「こんなに頑張って来たのに。」

「なんにも残んないなんて悲しいよお…!」


「だから…!」


「…ありがとう。」



これで9人

やっと…そろった


後は、全力で歌うだけ

今のこの、気持ちを

589: 2015/04/07(火) 01:31:25.36 ID:cmuspNqv.net
「…もう。」

「みんな泣いてる場合?」


「…目、うるうるしとるよ?」

「私は泣いてない。」


「…希こそ。」



「…もう。」

にこっちの、いけず



生徒達が、集まってくる

「みんな…!」

「…みんなに、お礼しなきゃね。」



「みんな…本当にありがとう。」

「私達…一生懸命歌います!」

「今のこの気持ちをありのままに!」

「大好きを…大好きなまま。」

「大好きって歌います!!」


「絶対…ライブ成功させるね!」

590: 2015/04/07(火) 01:31:52.93 ID:cmuspNqv.net
-----



「…おまたせ、みんな。」

「やっと…やっと、ここまで来れたんだよ。」


「今日、みんなが私達にしてくれた事。」

「これまで、応援してくれた事。」


「…私は、一生忘れない。」

「…」


「最高の、ライブにしよう!」

「この想いを、私達を支えてくれた、みんなに!!」



「行くよっ!」


「μ's、ミュージック…」




「「スタート!!」」

591: 2015/04/07(火) 01:47:37.46 ID:cmuspNqv.net
-----



…みんなの声援が、聞こえる

目を閉じても

まぶたの裏に、映るような


「穂乃果ー!」

「ことりちゃーん!」

「海未ー!」

「花陽ー!」

「凛ちゃーん!」

「希ー!」

「絵里ー!」

「真姫ちゃーん!」


「…にこにー!!」




「みなさん、こんにちは!」

「これから歌う曲は…」

「この日に向けて、新しく作った曲です!」

592: 2015/04/07(火) 01:48:03.93 ID:cmuspNqv.net
「たくさんのありがとうを込めて…歌にしました。」

「応援してくれた人…」

「助けてくれた人がいたお陰で。」

「私達は今、ここに立っています!」


「だからこれは…」

「みんなで作った曲です!」


「「聞いて下さい。」」





---学校が大好きで


---音楽が大好きで


---アイドルが大好きで


---踊るのが大好きで


---メンバーが大好きで






---この毎日が大好きで

593: 2015/04/07(火) 01:49:18.28 ID:cmuspNqv.net
---頑張るのが大好きで


---歌う事が大好きで


---μ'sが…大好きだったから



…そっと、目を開ける


μ'sを見守る、みんなの目

あったまる、気持ち


大好きなみんなに、最高の結果を

今ウチらが見せられる、最高ステージを

皆に、届けたい


…もう、一人じゃない

…もう、ウチらだけじゃない


降り注ぐ雪がステージに照らされて

キラキラ、星みたいに



…まだ、こらえないと

視界がぼやけて、光に包まれたみたい



…ありがとう、みんな

こう思えるようになった

この気持ちに、名前をつけるなら


それは…






---snow halation

594: 2015/04/07(火) 01:52:03.24 ID:cmuspNqv.net
時間があいてしまいすみませんでした
ようやく落ち着いて来たので
明日一日休んでから、次からは午前中の更新になりそうです


また、お付き合いください

597: 2015/04/07(火) 05:27:13.06 ID:YhjOKCpK.net
これこそまさにみんなで叶える物語やで…
涙で画面見えへん…
乙です!

598: 2015/04/08(水) 05:06:54.51 ID:YXOXlRso.net

引用: 希「私がウチになれたのは。」2