1: 2015/04/22(水) 13:38:53.56 ID:/zbKJQ+s.net

3: 2015/04/22(水) 13:42:58.81 ID:/zbKJQ+s.net
-----


「みんな、お疲れー。」

「どんな感じ?」


「やっぱり、3人とも凄いよ!」


「…ええ。」

「アドバイスも的確ですし…」


「わ、私にも、ひとつひとつ教えてくれて…」


「うんうん♪」


「そうね。」

「いきなり来た時は、どうなるかと思ったけど…」

「お互いにとって、いい刺激になったんじゃないかしら。」


「凛も、そう思う!」

「だって、前よりずっと仲良くなれたもん!!」
#8 やりたいことは

4: 2015/04/22(水) 13:43:51.22 ID:/zbKJQ+s.net
「…そう言ってもらえると、光栄ね。」


「あ、ツバサちゃん…」


「こちらこそ、勉強になったわ。」

「こんなに、練習が楽しいと思えたのは…」


「久しぶりだから。」


「…!」


「そこで、せっかくだし提案があるんだけど…」


「提案?」


「ええ。」


「もし、貴女達が良ければ…」








「一緒に、ライブをやらないかしら?」

5: 2015/04/22(水) 13:44:22.41 ID:/zbKJQ+s.net
「合同ライブ…ってこと?」


「ええ。」


「私達も、目標が無いままじゃモチベーションが続かないし。」

「貴女達も、A-RISEとのライブ、って事で注目される。」


「…悪くないと思うけど?」


「…たしかに。」

「キャッチフレーズを付けたとは言え。」

「もっと知名度をあげる方法は、考えていましたからね。」


「…そうね。」

「私も賛成よ。」

「この、新曲は出来ないけど…」


「それでも、やる価値はあると思うわ。」


「…穂乃果はどう?」

6: 2015/04/22(水) 13:44:48.24 ID:/zbKJQ+s.net
「うん、いいと思う!」

「私達も、もっとA-RISEとステージに立ちたかったし。」


「なにより、すっごく面白そう!」


「みんなも、いいよねっ?」


「うん、楽しそう♪」

「あ、憧れのA-RISEとライブ…!」


「もちろん、貴女達が一番目立つように組ませてもらうわ。」

「私達は、貴女達の前座でいい。」


「…それで、いいかしら?」


「「はーいっ!!」」





「…ちょっと待って。」

7: 2015/04/22(水) 13:45:16.91 ID:/zbKJQ+s.net
「…にこちゃん?」


「話が、上手く行き過ぎじゃない?」

「いきなり来て、私達の練習見て。」

「あげくの果てに、私達メインのライブ?」


「怪しいに決まってるじゃない。」


「にこ…」


「何が、狙いなの?」


「…別に、何も無いわ。」

「貴女達に、力を貸したいだけ。」


「…それじゃ、駄目かしら?」


「…」


「…意外ね。」

「にこちゃんなら、泣いて喜ぶと思ってたのに。」

8: 2015/04/22(水) 13:45:52.75 ID:/zbKJQ+s.net
「…もちろん、お誘いとしては嬉しいわ。」


「あんなに憧れてたA-RISEと、同じステージに立てるんだもの。」

「…それに、今までのライバルの関係とは、違った形で。」


「…だったら、いいんじゃないの?」


「よくないわ!」


「無礼を承知で言うけど、A-RISEにメリットなんて無いじゃない。」

「私達の引き立て役としてステージに立つ、って言ってるのよ?」


「あんなに私達に負けたくない、って言ってた連中が。」

「そんなプライドをけがすような事、自ら言うなんて信じられると思う?」


「…」


「私は、このμ'sの皆と本気で優勝したいと思ってる。」

「そのためなら、何だって利用したいとは思ってるわ。」


「…でも、結成した時からずっと憧れてるA-RISEを。」

「こんな形で踏み台になんてしたくないの!!」

9: 2015/04/22(水) 13:46:25.77 ID:/zbKJQ+s.net
「にこちゃん…」


「だって、そんなの…」


「私の憧れた、A-RISEじゃない!」

「ずっと、ずっと憧れてた!」


「A-RISEみたいになりたいって、アイドル研究部を作ったの!」

「孤高の存在として、常にトップに立っていた…」


「そんな貴女達に、私は憧れたのっ!!」


「矢澤さん…」


「…」


「そこに、私は納得できないの。」

「貴女達を嫌う理由なんて…ないんだから。」


「「…」」

10: 2015/04/22(水) 13:52:41.13 ID:/zbKJQ+s.net
-----


…にこの言葉に、みんなは言葉を失った


だって、確かに上手く出来すぎている

A-RISEを…英玲奈を、疑う訳じゃないけれど


なぜ…今、このタイミングで?


もちろん、私達の知名度をあげるため

それは、間違いないと思う


でも、にこの言う事も筋が通っている


一体…何が、真実なのかしら


「英玲奈…」

思わず、声が出た


「…絵里。」

「君は…どう思う?」


私は…

11: 2015/04/22(水) 13:53:13.38 ID:/zbKJQ+s.net
「…私は。」

「にこには申し訳無いけど、賛成よ。」


「だって、私達のメリットが大きいもの。」

「もしかしたら、にこの言うように。」

「何か、裏があるのかもしれない。」


「絵里…」


「でも、私は。」

「こんなに私達を認めてくれた…」

「彼女達を、信じたいの。」


「絵里…!」


「貴女はどう?海未。」



「わ、私ですか…?」

12: 2015/04/22(水) 13:53:42.31 ID:/zbKJQ+s.net
-----






「…確かに、にこの言う事にも一理あります。」

「明らかに、A-RISEにとって分の悪い話です。」


「そう言う意味では、考えた方が良いのかもしれません。」

「ですが…」


「私は、A-RISEと…英玲奈と出会う事で。」

「自分の中の、ひとつの気持ちに気付けました。」


「この気持ちに気付かせてくれた、英玲奈を。」

「A-RISEを…信じてみたいのです。」


「海未…」




あの時の、英玲奈の言葉

言い方とは裏腹に


…とっても、あたたかかったですから

14: 2015/04/22(水) 13:54:55.55 ID:/zbKJQ+s.net
-----


「…あのね、にこちゃん。」


「私…最後の衣装、ずっと悩んでたの。」


「ことり…?」


「みんなを、一番可愛くしたい。」

「最後に、ふさわしい衣装を、って。」


「ずっと…悩んでたの。」


でも、私は表面上しか、見えてなくて…


「実際に作ってみても。」

「なんだか、納得できなくて。」


「…そんな時に、あんじゅちゃんが教えてくれたの。」

「何が、一番大切なのか。」


みんなの個性を

想いを、届けるために





「これ以上はない、ってくらい…」


「最高の衣装が、出来たよ。」

15: 2015/04/22(水) 13:55:24.73 ID:/zbKJQ+s.net
-----


「ことり…アンタ…」


「ごめんね?にこちゃん。」

「にこちゃんの気持ちも分かるよ?」


「…でも、私も海未ちゃんたちと同じように。」

「あんじゅちゃんを…A-RISEを、信じたいの。」


「…ッ。」


何よ…


まるで、にこが信じてないみたいじゃない


そんな訳ない


むしろ、信じてるから


信じたいから…!





「…にこっち。」

16: 2015/04/22(水) 13:55:53.38 ID:/zbKJQ+s.net
「希…」


「にこっちの気持ちは、みんな分かってるよ。」


「…」


「…アンタはどうなのよ。」

「ウチ?」


「アンタが、信じるって言うなら…」

「私も、それに従うわ。」



…希は、いつも先を見てる

なら、今回だって…


「うーん、ウチかあ…」


みんなが、希に注目する



「ウチは…」





「信じれない…かな?」

17: 2015/04/22(水) 13:56:31.21 ID:/zbKJQ+s.net
-----


「希ちゃん…?」


希ちゃんが言った言葉に、耳を疑いました

だって…その言葉が、唐突すぎて



「…」


ツバサさんも…黙ってしまいました


「希…?」

絵里ちゃんも、心配そうに声をかけます

まるで、信じられない、と言うように



「希ちゃん…どうして?」


希ちゃんなら、絶対信じるって言うと思ったから

聞かずには…いられませんでした

18: 2015/04/22(水) 13:57:03.86 ID:/zbKJQ+s.net
「うーん…」

「花陽ちゃんなら、分かる気がするよ?」


わ、私なら…?

どういう、意味でしょうか…



「まあ、長引かせても混乱するだけやし。」

「理由を、言わせてもらうな?」


「「…」」

みんなが、希ちゃんを見ます


「…にこっちの言ってる事は、当たってるよ。」

「ツバサちゃんは、ひとつだけ嘘をついてる。」


「…ううん。言ってない事、って言った方がいいんかな?」


「嘘…?」


「そうやろ?ツバサちゃん。」


「…」

19: 2015/04/22(水) 13:58:20.39 ID:/zbKJQ+s.net
-----



ツバサさんは、下を向いてる

嘘って…どういう事だろ?



でも、希ちゃんがこうやって言う時は

なにか、大事なものがある時だから


合宿の時も

にこちゃんの事も

ファッションショーの時も


…いつだって、何かを考えてた

誰も、傷つかないように



もちろん、あんじゅちゃん達の事も信じてる

でも、凛は…


希ちゃんを、信じてる


今まで、何度も助けてもらったから

20: 2015/04/22(水) 13:58:51.03 ID:/zbKJQ+s.net
-----


「…ふふっ。」


長い沈黙を破って、声を出す

思わず、笑みがこぼれた


「本当…」

「希には、敵わないわ。」


「ツバサさん…?」


「…なあ、にこっち。」

「ツバサちゃんが、ここまで隠してたのって、なんでやと思う?」


「…え?」


「…それは、知られたらまずい事があるからじゃないの?」

「まずい事というか…」



「恥ずかしい事、やね。」


「…恥ずかしい?」

21: 2015/04/22(水) 13:59:58.03 ID:/zbKJQ+s.net
「の、希…!」


「もう、隠し事は出来んよ?ツバサちゃん♪」


「…ツバサ。」

「…分かったから。」



「…矢澤さん。」

「確かに私は、貴女達に嘘をついていた。」

「…いや、言えなかったの。」


「…」



「貴女達が、羨ましくなった…なんて。」



「羨ま…え?」


「貴女が、私達に憧れてくれたように。」

「私達も、貴女達に憧れたの。」


「貴女達みたいに…なりたい、って。」

22: 2015/04/22(水) 14:07:34.19 ID:/zbKJQ+s.net
「…私達は、勝つために努力してきた。」

「それが、間違っていたとは思わない。」


「…実際、それで勝ち上がってこれたんだから。」


「…でもね。」

「貴女達に負けて…」


「…ううん。」

「きっと、会った時から。」


「貴女達を、羨ましいと思うようになった。」



「…貴女達みたいに、なりたいと思った。」


「どういう…こと?」


「…今日、一緒に練習してみて、分かったの。」

「練習って…こんなに楽しいんだ、って。」

23: 2015/04/22(水) 14:08:23.78 ID:/zbKJQ+s.net
-----


「…我々は。」

「今まで、勝つために努力をしてきた。」

「常に、上を目指して練習をしてきた。」


「…だが、負けた。」

「確かに悔しかったが。」

「それ以上に、何故負けたのかが気になったのだ。」


「それから、今まで以上に君たちに注目した。」

「我々と、君たちとの違いは何なのか。」



「…単純な、問題だったのだ。」

「我々は今まで、自分たちのために努力してきた。」

「…だが、君たちは。」


「今までずっと…誰かのために、努力してきた。」



それが…我々との、違い

我々が、持っていなかったもの

24: 2015/04/22(水) 14:09:05.91 ID:/zbKJQ+s.net
-----



「それで、希ちゃんに誘われて。」

「今日、一緒に練習してわかったの。」


「…こんなに、笑顔になれたんだもん♪」



「みんなが、それぞれ助け合って。」

「夢を叶えるために、努力して。」



「みんなバラバラな性格なのに…」

「練習になると、それがピッタリそろって。」

「見てて、気持ちよくなるくらいに。」


「…いつのまにか、こっちまで笑顔になれるような。」


「そんな貴女達に、ツバサは惹かれちゃったの♪」

「あ、あんじゅ…!」



「もちろん、それは私も、英玲奈も一緒なんだから♪」

25: 2015/04/22(水) 14:09:56.24 ID:/zbKJQ+s.net
-----


「そう、だったんだ…」


「黙っていて、ごめんなさい。」

「確かに、聞くだけだと都合が良すぎるわ。」


でも、それって…

本当に、A-RISEが私達を認めてくれた、って事だよね?


「…本当に、それだけかな?」


希ちゃんが、にやっと笑う


「希ちゃん…どういうこと?」

「あのな、穂乃果ちゃん…」

「ツバサちゃんは、もうひとつ隠してる事があるんよ♪」


「の、希、それは…!!」

ツバサさんが、隠してる事…?







「μ'sと一緒に、ステージに上がりたい、って事♪」

26: 2015/04/22(水) 14:10:31.03 ID:/zbKJQ+s.net
-----


「…だから、それはさっき言ったじゃない。」


「違うんよ、にこっち。」


「…へ?」

「μ'sと一緒にって…」


「…!?」


「ま、まさか…!」


「そ、言葉通りの意味♪」


「同じ曲を、って事ぉ!?」



「「ええええええっ!?」」





「…///」



…希のばか

27: 2015/04/22(水) 14:11:00.75 ID:/zbKJQ+s.net
-----



「…それ、本当なの?」


「…」


静かに、ツバサさんは頷く


「…はあ。」


「どう思う?にこっち。」


「どうもこうも無いわよ。」



「あの、矢澤さ…」


「そんな面白そうな事、やらないワケにいかないじゃない…!」


「…!」


「…最初から、そう言ってくれれば良かったのに。」


こんな事、言うつもりなかったんだから…

28: 2015/04/22(水) 14:12:48.64 ID:/zbKJQ+s.net
-----


「…ごめんなさい。」


「…こちらこそ、ごめんなさい。」

「最初から、疑ったりして…」


「それは、私が言わなかったからで…」


「ツバサちゃん。」

「…もう、みんな分かってるから。」


「…」


「矢澤さん…」

「にこでいいわ。」


「もう…意地を張る必要もないでしょ。」

「A-RISEだって、歌とダンスが大好きな…」

「私達と同じ、女子高生なんだから。」


「…ね?ツバサ。」

「…!」


「…ええ、にこ。」

29: 2015/04/22(水) 14:13:22.71 ID:/zbKJQ+s.net
-----



「…って事で、決まりね。」

「μ'sとA-RISEの合同ライブよ!!」


「絶対、成功させるわよ…!!」



「「おーっ!!」」



「…」


「…ツバサちゃん。」


「本当…おせっかいね。」


「…ウチの、妹やからね♪」


「もう…」








「ありがとう。」



…本当に


出会えて良かった

31: 2015/04/22(水) 14:14:23.43 ID:/zbKJQ+s.net
一旦ここまで
これだけ書いたら、もう落ちないでしょう

今からまた外出しますので
また、夜に更新します

それでは

35: 2015/04/22(水) 22:59:05.30 ID:/zbKJQ+s.net
-----


こうして、ウチらの合同ライブの企画はスタートした

UTX、音ノ木坂共に大々的に告知をしながら

それぞれが出来る事を選んで

練習を重ねて行った





「それじゃあ、MCだけど…」

「やっぱり、入れ替えなんかも考えてそれぞれから出た方がいいわね。」


「…なら、A-RISEはあんじゅに決定ね。」

「意外と、場を繋ぐのが上手いのよ。」


「はーい、任されました♪」


「それなら、μ'sはにこちゃんがいいんじゃない?」

「こういうの、得意そうだしっ!」


「良いと思いますっ!」

「にこちゃんなら、アイドルのライブMCは完璧だもんっ!」


「…ま、伊達に何年もアイドルの追っかけやってないわ。」

「やってやろうじゃない。」

36: 2015/04/22(水) 22:59:47.30 ID:/zbKJQ+s.net
「…ただし。」

「花陽、アンタもよ。」


「ええっ!?」


「アンタも、十分分かってるでしょ。」

「不測の事態も考えて、3人いた方がいいわ。」


「かよちん、頑張って!!」


「で、出来るかなあ…?」


「大丈夫♪」

「みんなで、フォローしあおう?」


「あんじゅさん…」


「それから、セットリストだけど…」


「それなら、私がやるわ。」

「…!」


「真姫ちゃん…!」

37: 2015/04/22(水) 23:00:23.17 ID:/zbKJQ+s.net
「もちろん、絵里も一緒よ。」

「…私も?」


「ダンスの流れや、着替えなんかも考えないとだから。」

「私は、その間を繋ぐBGMや、音響関係をやるわ。」


「分かったわ。」


「それじゃ、ことりは衣装の用意をするね?」


「あ、それならウチも手伝うよ!」

「2人でやった方が、断然早いし♪」


「ありがとう、希ちゃん。」


「それじゃ、穂乃果達は?」

「私達は、歌の練習と告知関係をやりましょう。」


「…それで、いいかしら?」


「了解にゃ!」

38: 2015/04/22(水) 23:00:48.27 ID:/zbKJQ+s.net
「それじゃ最後に、各チームの連携だけど…」

「海未、お願いできるかしら?」


「私が、ですか…?」


「ええ。」

「海未なら、きちんとやってくれそうだから♪」


「海未、私も手伝おう。」


「…分かりました。」

「それでは、何かあったら私に言って下さい。」



「それじゃ、時間もない事やし…」

「みんなで、精一杯がんばろー!」



「「おーっ!!」」

39: 2015/04/22(水) 23:01:38.79 ID:/zbKJQ+s.net
-----



「…とは言っても。」

「曲が決まらないと、穂乃果達も動けないよね。」


「それはそうだにゃー。」


「海未が今、確認しに行っているな。」


「それなら、私達は…」

「い、一緒に踊る曲…考えてみる?」


「…!」


「うんっ!」


「そうだな…」

「μ'sの曲で、使えそうな曲はあるだろうか?」


「盛り上がるなら、No brand girlsとかかなあ?」


「でも、あれはなかなか合わせるのが難しいにゃ…」

40: 2015/04/22(水) 23:02:55.51 ID:/zbKJQ+s.net
「最終予選の曲はどうかしら?」

「私達がやれば、インパクトは大きいと思うけど…」


「だが、ライブの最後に持ってくるのはどうか…」


「「うーん…」」



「…!」


「そうだ、あれだよ!!」


「…穂乃果さん?」

「いっちばん良い曲、あったよ!!」


「え、どれどれ?」

「ほら、あれだよ凛ちゃん!!」

「絵里ちゃん達が入るから、ってなった時の!」

41: 2015/04/22(水) 23:03:22.63 ID:/zbKJQ+s.net
「あーっ!!」

「それいいにゃ!」


「私、真姫ちゃん達のとこ行ってくるね!!」


そう言うと、穂乃果ちゃんは走っていっちゃった


「その曲って?」

「あ、プレイヤーに入ってるよ!」


「えっと…」

画面を、スクロールしていって…


…あった!


「はい、どうぞ!」


~♪


「これは…!」


「うん、良い曲ね♪」

42: 2015/04/22(水) 23:03:47.77 ID:/zbKJQ+s.net
-----


…さて、進んでいるのでしょうか


「失礼します。」


「…あ、海未。」

「ちょうどいい所に。」


「…?」

「出来たわよ、セットリスト。」


「本当ですか?」

「ええ、ばっちり♪」


「…どう?」

手渡された紙を見ます

1曲目…

2曲目…


…おや?

43: 2015/04/22(水) 23:04:29.26 ID:/zbKJQ+s.net
「3曲目と4曲目の間、ずいぶん時間があるんですね。」


「ああ、それは…」

「なにかあった時の、保険みたいな物よ。」

「…なるほど。」


「…って言うのが、表向きの理由。」

「…ね?真姫♪」


「…?」


「ねえ、海未。」

「どうして私が、絵里を呼んだか分かる?」


「それは、流れをより正確にするためでは…?」


「確かに、それもあるわ。」

「でも…本当は、海未も呼びたかったのよ。」


「…なぜ?」

「本当に…わからない?」

44: 2015/04/22(水) 23:05:06.06 ID:/zbKJQ+s.net
「…!」


「ま、まさか…」


「そう、そのまさかよ。」


「そ、そんな事、いいんですか!?」


「だって、そっちの方が面白いじゃない♪」

「真姫…」


「ちなみに、これを伝えるのはMCである、にこちゃんにだけよ。」

「他には一切情報を漏らさないわ。」


「…本格的ですね。」


「もちろん、賛成してくれるわよね?」

「で、ですが…」


「…あら?海未。」

「貴女、英玲奈に何を教わったんだっけ?」


「…!」

「その話は卑怯です…!!」

45: 2015/04/22(水) 23:08:57.36 ID:/zbKJQ+s.net
「…じゃ、これで決まり。」

「後は、全員で踊る曲だけど…」


その時、音楽室の扉が勢いよく開きました


「真姫ちゃんっ!!」


「…穂乃果?」

「どうしたのよ、息切らして…」


「もう、最後の曲、決まった?」

「いいえ?」

「今から決めようとしてたの。」


「だったら…」

「これにしようよっ!」


「そのCDは…?」

46: 2015/04/22(水) 23:09:42.69 ID:/zbKJQ+s.net
…変ですね

使うCDには、きちんとラベルが張られているはずですが

あのCDには、何も…


…!


もしかして、あれは…


「穂乃果、それはもしかして…」


「うん、あの時の!」


「「…?」」


「ほら、真姫。」

「オープンキャンパスの時の…」


「…ああ、なるほどね。」

「確かに、ピッタリかもしれないわ。」


「絵里も、知ってる曲ですよ?」


「タイトルは---」

47: 2015/04/22(水) 23:10:21.43 ID:/zbKJQ+s.net
-----


pipipipi…


「…あ、海未ちゃんからメール。」

「ん?」

「なんて?」


「セットリスト、決まったって。」

「えっと、曲は…」


「…!」


「…どれどれ?」

「…」


「なるほど。」


「これは、確かに面白そうやん♪」

「ことりちゃん、この衣装って…」


「うん、ばっちり準備できてるよ♪」

「あと、数着作れば良いだけだから。」


「…それじゃ、早く作ってみんなと合流しよか!」

「うんっ!」

48: 2015/04/22(水) 23:10:48.21 ID:/zbKJQ+s.net
-----


「って感じで、間をつないで…」


「きっと、曲は交互に入るから。」

「着替える間とか、それぞれがフォローして…」


「うん、いいと思う♪」

「花陽も、それで大丈夫だと思います。」


「あとは、曲順ね…」


「…あれ?」

「海未からメール入ってる。」


「あ、私にも届いてる。」

「一斉送信したみたいね。」


「えっと…あ!」

「曲順、決まったみたいだね。」

49: 2015/04/22(水) 23:11:28.61 ID:/zbKJQ+s.net
「…なるほど。」

「これなら、思ってたより動きやすくなるわね。」


「それに、この最後の曲…」

「今の私達に、ふさわしいじゃない。」


「あ、あんじゅさん、これ…」

「プレイヤー?」


「最後の曲、聞いてみて下さい。」

「…ありがとう♪」



…ん?

真姫ちゃんから、個別でメール…






やるじゃない、真姫

いいわ、乗ってあげる♪

50: 2015/04/22(水) 23:12:04.09 ID:/zbKJQ+s.net
-----




「ふう、疲れたー…」

「では一度、休憩にしましょうか。」



「そういえばことり、衣装出来たんだって?」


「うん♪」

「希ちゃんが手伝ってくれて…」

「思ったよりも、早く出来ちゃった。」


「持って来てあるから、後で衣装合わせお願い♪」


「ほんと!?」

「楽しみだにゃーっ!」



「後は、この全体練習だけですね。」


「…でも、いい感じにまとまってきたよね!」

「流石、A-RISEだよ!」

51: 2015/04/22(水) 23:12:42.00 ID:/zbKJQ+s.net
「…ふふ。」

「そう言ってもらえると、助かるな。」


「そうね。」

「今までのダンスとはまた違うから…」

「なかなか、難しいわ。」


「…でも、楽しそうやね♪」

「希…」


「そうやろ?」


「…そうね。」


「…」


「すごく、高揚してるのが分かる。」

「楽しみ…なんだ、って。」


ツバサちゃんの言葉に

みんなが、笑顔になる





…そして、一週間後

ウチらの合同ライブが



今、幕を開けた---

60: 2015/04/23(木) 22:28:33.05 ID:/gkYoWus.net
-----


「いやー…」

「それにしても、すごい人だね。」


「仕方ないよ。」

「だって、あのA-RISEとの合同ライブだもん。」


「穂乃果たち、大丈夫かなあ…?」

「変に、緊張してないと良いけど。」


「まあ、穂乃果なら大丈夫だよ。」

「それより、心配は…」


「…海未ちゃんか。」


「でも、ここまで頑張って来たんだもん!」

「きっと、大丈夫だよ♪」

「それに、今回は対決とかじゃないから。」


「…そうだね。」



「あ、そろそろ始まるみたい!!」

61: 2015/04/23(木) 22:29:11.81 ID:/gkYoWus.net
----



「んん…こほん。」

「みなさん、こんにちは!」

「A-RISEの優木あんじゅです♪」


「今日は、ここ、UTX学院屋上ステージに来てくれてありがとう!!」

「精一杯、楽しんでもらえるように頑張ります♪」


「…とまあ、挨拶はこのくらいにして。」

「今日の主役に、登場してもらおうかな♪」


「…それでは!」

「ミュージック、スタート♪」







「…行こう!」



~♪


『I say…』

『Hey, hey, hey START:DASH!!』

『Hey, hey, hey START:DASH!!』



62: 2015/04/23(木) 22:29:48.88 ID:/gkYoWus.net
-----



~♪



1曲目が、終わる


「…改めて、ご紹介しましょう!」

「μ'sの皆さんです♪」


あんじゅちゃんの声に合わせて

会場も、盛り上がる


あんじゅちゃんが、マイクを渡す


「…皆さん、こんにちは!」

「音ノ木坂学院、スクールアイドルμ'sの、高坂穂乃果です!」

「今日は、私達のライブに来てくれてありがとうございます!」


「さっき、あんじゅさんが今日の主役、って言ってくれたけど…」

「今日の主役は、A-RISEのメンバーも含めた全員が主役です!」


「皆の頑張りを、是非最後まで見ていって下さい!」

63: 2015/04/23(木) 22:31:01.64 ID:/gkYoWus.net
「それでは!」

「私達の合同ライブ!」

「『μ's&A-RISE☆Music Festa』、開催します!!」


この言葉に、歓声が上がる

改めて、ウチらの現状を理解する

…ここまで、来れた事を



「…はい、穂乃果ちゃんありがとう♪」

「私達も、負けないように頑張るね!」


「…そして、ここからは。」

「私、優木あんじゅと…」


「にっこにっこにー☆で、お馴染み。」

「私、矢澤にこと!」


「わ、私、小泉花陽がお送りします…!」




「って、言ってるそばから次の曲ね!」

「挨拶だけになっちゃったけど…」


「今日は、楽しんでいってくださいね♪」

64: 2015/04/23(木) 22:31:35.08 ID:/gkYoWus.net
-----



「…準備が完了したみたい♪」

「それでは、早速2曲目にいってみましょう♪」



「2曲目は…なんと、この9人になって初めての曲!」

「それでは、聞いて下さい!」


『僕らのLIVE 君とのLIFE』


~♪


『確かな今よりも』

『新しい夢、捕まえたい』

『大胆に飛び出せばO.K.マイライフ』


~♪






「…本当、凄い人気ね。」

「それだけ彼女達が、頑張って来たという事だろう?」

「我々も、負けてはいられないな。」


「…当然♪」

65: 2015/04/23(木) 22:32:11.33 ID:/gkYoWus.net
~♪


『あこがれを語る君の』

『ゆずらない瞳が…だいすき』


『ダイスキ!!』


~♪



「ありがとうございました!」

「それでは、MCをバトンタッチしちゃいます♪」



「…はい、ここからはにこ達がMCにこっ♪」

「さっき、あんじゅさんが言ってたように。」

「この曲は、にこ達が9人になって初めての曲なのよね~。」


「絵里ちゃんと希ちゃんが入って、やっと揃った!って時の曲だね♪」


「そうそう!」

「それで、音ノ木坂のオープンキャンパスで初ライブ!」



「このライブがあったからなのか…」

「廃校の決定が、すこし延期になったんだよね。」

66: 2015/04/23(木) 22:32:41.78 ID:/gkYoWus.net
-----


「おお…!」

「2人とも、すっごく慣れてるみたい!」


「花陽も、人前に出ても緊張しづらくなりましたね。」


「そういう海未ちゃんは、どうなのかにゃー?」

「り、凛…!」



「…ふふ。」

「貴女達は、いつも楽しそうね♪」


「お、準備できたんやね。」

「ええ、おかげさまで。」


「やっぱり、衣装もメンバーも格好いいね♪」

「ありがとう、ことり。」



「…それじゃ、行きましょうか。」

「しっかり見ててね~♪」

67: 2015/04/23(木) 22:45:16.73 ID:/gkYoWus.net
「…行きましたね。」

「行くわよ、2人とも。」


「みんなに疑われないうちに、早く。」



-----



「…さあ、お待たせしました!」

「クールなメンバーと格好良いダンス!」


「私達μ'sの最大にして最高のライバル!」

「A-RISEの登場よ!!」



~♪


『Can I do? I take it, baby! 』

『Can I do? I make it, baby!』

~♪

68: 2015/04/23(木) 22:45:46.62 ID:/gkYoWus.net
-----


真姫ちゃんたち、動いたわね

にこも、準備しなくちゃ


~♪


『What'cha do what'cha do? I do “Private Wars”』

『ほら正義と狡さ手にして』

『What'cha do what'cha do? I do “Private Wars”』

『ほら人生ちょっとの勇気と情熱でしょう?』


~♪





「…あれ?そう言えば、真姫ちゃん達は?」

「さっき、音響とか確認してくる、って言ってたにゃー。」


「なら、問題ないね!」

「それにしても、やっぱりA-RISEはすごいなあ…」

69: 2015/04/23(木) 22:46:38.26 ID:/gkYoWus.net
-----


『Can I do? I take it, baby! 』

『Can I do? I make it, baby!』



「…今日は、来てくれてありがとう!」

「そして、ライバルと言ってくれてありがとう、にこ♪」


「…!」


「この後も、μ'sに負けない歌、期待しててね♪」


「はああ~…♡」

「やっぱりA-RISEは格好いいですね!」

「まさにクールビューティー!」


「女の子達の憧れですっ!!」




~♪


「「!?」」


「この曲は…!?」

70: 2015/04/23(木) 22:47:18.55 ID:/gkYoWus.net
「ふっふっふ…」

「にこちゃんっ!?」


「褒めておいてもらってなんだけど…」


「クールビューティーの称号は。」

「なにも、貴女達A-RISEだけじゃないわ!」



「うちにだって、役者は揃ってるの。」

「勝負よ、A-RISE!」


派手なスモークと、クールな楽曲

…さあ、出て来なさい!!


『Three,two,one,zero! ここで登場』

『見てなさい、私の本気』

『スリルと美意識で勝つのよ必ず』



「「!!」」

71: 2015/04/23(木) 22:47:46.84 ID:/gkYoWus.net
----


「真姫ちゃんっ!?」

「えりち!」


「う、海未ちゃんまでっ!?」



「これって、プロモーション用に撮影した…」


「って言うか、聞いてないよっ!!」



「…なるほど。」

「希ちゃん?」


「おかしいと思ってたんよ。」

「3曲目と4曲目の間、長い休憩とるな、って。」


「にこっちは…知ってたみたいやね。」


「言ってくれたらよかったのに!」


「…多分、みんなを驚かせたかったんちゃうかな?」


「ほら、A-RISEも驚いてるもん。」

72: 2015/04/23(木) 22:48:43.72 ID:/gkYoWus.net
『いまが勝負よ!』

『私は誰でしょ?知りたくなったでしょう?』

『ならば恋かも』

『私の中には秘密があるとして…』

『それを君は?』




『私と来るでしょ?触れたくなったでしょう?』

『すでに恋だよ』

『私といつかは戦うべき相手』

『それは君の理性かも』

『It's soldier game』

『また会えたのに I'm soldier heart』




「どうも、ありがとう!!」


「…A-RISEだけに、かっこいい所を持っていかれるなんて。」

「そんなの、認められないわ!!」

73: 2015/04/23(木) 22:49:30.62 ID:/gkYoWus.net
「…やられたわ、貴女達。」

「まさか、こんな形で勝負を売られるなんて。」


「少々、卑怯かとは思いましたが…」


「せっかく同じステージに立つんだし…」

「こういう事があったほうが、面白いでしょ?」




「これが、μ'sのクールビューティー組よ!」

「そして…ツバサ。」

「売られた勝負は…?」



「もちろん、買うわ!」

「我々も、負けるのは癪だからな。」


「何より、私達のアイデンティティだもの♪」



「と、言う訳で!」

「次は、またまたA-RISEの曲よ!!」

「どっちがクールビューティーにふさわしいか!」

「ここで決着をつけるわよ!!」

76: 2015/04/23(木) 22:58:53.64 ID:/gkYoWus.net
-----


「…て、言うかにこちゃん。」

「せめて私には教えてくれても…」


「甘いわ、花陽。」

「何事もサプライズでやってこそ、栄えるのよ!」


「…と、言う訳で。」

「早速、準備ができたみたいね。」


「それじゃあ、登場してもらいましょう!」


「A-RISEで、『Shocking Party』!!」


~♪


『Dancing, dancing! Non-stop my dancing』

『Dancing, dancing! Let me do!』


『Party! Shocking Party!! 始める準備はどう?』

『さあ来て ここに来て』

『Party! Shocking Party!! 世界が回りだす』

『さあ来て ここに来て』


~♪

77: 2015/04/23(木) 22:59:19.99 ID:/gkYoWus.net
-----


「…ふう。」


「海未ちゃーんっ!」

「穂乃果…」


「ヒドいよっ!!」


「なっ…」


「教えてくれたっていーのにー!」

「そうにゃそうにゃ!」


「真姫ちゃんも、こーんなずるい事考えてたんだねっ!」


「ずるいって何よ!!」



「…でも、ほんとにビックリしたよお~。」

「ふふ、成功だったみたいね。」



「ほーんと、えりちも2人も上手く隠すんやから♪」


「さあ、お話は後です。」

「最後の準備をしますよ!」

78: 2015/04/23(木) 22:59:56.50 ID:/gkYoWus.net
-----


『もっと知りたい知りたい過剰なLife』

『いま夢の夢の中へ』

『もっと知りたい知りたい過剰なLife』

『だから…Shocking Party!!』



『Dancing, dancing! Non-stop my dancing』

『Dancing, dancing! Let me do!』




「…やっぱり、A-RISEは凄いわね。」

「改めて、憧れるわ♪」


「さっきのを見た後だと、挑発されてるように感じるわね。」


「…なんの事か分からないにこー。」


「でも、本当にA-RISEはすごいです!」

「今日、一緒にステージに立ててる事が、奇跡みたいですっ!!」


「…ありがとう、花陽ちゃん♪」

79: 2015/04/23(木) 23:00:24.98 ID:/gkYoWus.net
「…ふう。」

「改めまして、優木あんじゅです♪」


「…なんと、次の曲が最後になってしまいました。」

「みんな、たのしんでくれたかな?」



「ちょっと、これで終わるのは寂しいけど…」

「μ'sのみんなは、もうすぐ本番だから。」

「だから、次でおしまい♪」


「そ・の・か・わ・り。」


「今日来てくれたみんなと、ネット配信を見てくれるみんなにだけ。」

「私達からの特別なプレゼントがあります♪」



「用意してくるから、ちょっとだけ待っててね♪」

80: 2015/04/23(木) 23:00:53.85 ID:/gkYoWus.net
-----



「みんな、お待たせ♪」

「来たか、あんじゅ。」


「…これで、全員だね。」


「それじゃ、ツバサさん。」

「最後に、意気込みを!」


「わ、私が…?」

「だって、提案してくれたのはツバサさんだもん!」

「みんなも、いいでしょ?」



「希…」

「うん♪」


「…」


「…みんな、今日はありがとう。」

82: 2015/04/23(木) 23:01:31.10 ID:/gkYoWus.net
「正直、これは私達の…私の、わがままで。」

「μ'sのみんなは、本番が控えてるのに。」

「急遽、一緒にステージに立ってくれて…」


「とっても、嬉しかった。」


「ほんの短い時間だったけど…」

「貴女達と同じステージに立てて。」

「最高に楽しかった。」


「でも…」


「「…?」」


「これで、終わりじゃない。」

「これからも、私達は進んでいく。」


「…今日は、本当にありがとう。」

「今日この日を、私達は絶対に忘れない。」



「…行きましょう。」

83: 2015/04/23(木) 23:09:21.28 ID:/gkYoWus.net
「あっ!」

「…どうしたの?穂乃果さん。」


「せっかくだし…みんなで、あれやろうよ!」


「「…!」」


「賛成にゃー!」

「せっかくだし…ね。」



「それじゃあ、行くよ!」


「1!」

「2!」

「3!」

「4!」

「5!」

「6!」

「7!」

「8!」

「9!」

84: 2015/04/23(木) 23:09:54.78 ID:/gkYoWus.net
「…10!」

「11!」

「12!」



「μ's&A-RISE!!」

「ミュージック…」



「スタート!!」






競ってた相手と、同じ場所に立ってる

偶然かもしれないけど

みんな、同じ明日を見てる

立ち止まったって、振り向いたって

また、歩き出すために


同じ時間、同じ場所に

…この仲間が、ライバルがいるから

だから、ウチらは頑張れる









『僕らは今の中で』

85: 2015/04/23(木) 23:15:54.57 ID:/gkYoWus.net
-----


~♪


『真っ直ぐな想いがみんなを結ぶ』

『本気でも不器用 ぶつかりあうこころ』


『それでも見たいよ大きな夢は』

『ここにあるよ 始まったばかり』



ラブライブっていう目標はなくなっちゃったけど

今まで、私達がやって来た事が無駄になる訳じゃない


今までも、何度もぶつかって、苦しんで

その度、乗り越えて来た私達だから


ツバサも、英玲奈も…気持ちは、きっと同じ


『楽しいだけじゃない 試されるだろう』

『だってその苦しさもミライ』

『集まったら強い自分になってくよ』

『きっとね 変わり続けて』


---いつか、また輝けるから


『We'll be star!!』

86: 2015/04/23(木) 23:16:29.79 ID:/gkYoWus.net
-----


~♪


『それぞれが好きな事で頑張れるなら』

『新しい場所がゴールだね』


負けて、確かに悔しかった

だが、足りない物がある事に気付いた

我々が、この先必要な物



『それぞれの好きな事を信じていれば』

『ときめきを抱いて進めるだろう』


簡単な事だった

どうして、始めたのかを考えればよかった


みんなを、笑顔にしたい

歌って、踊りたい


3人とも、同じ想いを持っていた



---ただ、好きだという事

87: 2015/04/23(木) 23:16:59.34 ID:/gkYoWus.net
-----


~♪


『夢が大きくなるほど試されるだろう』

『胸の熱さで乗り切れ』

『僕の温度は熱いから』

『熱すぎて止まらない』

『無謀な賭け?』

『勝ちにいこう!』



いつだって、私達は挑戦者だった

自分たちの力で、勝ち取って来た

出来ないと思う事だって、何度でもあった

…でも、2人がいたから

支え合って、乗り越えて来れた



これからだって、きっとそう

…だって、まだまだ歌い足りない

踊り足りない



この場所が、仲間が

支えてくれる、人たちが



---大好きだから

88: 2015/04/23(木) 23:18:24.14 ID:/gkYoWus.net
-----


~♪


『怖がる癖は捨てちゃえ とびきりの笑顔で』

『跳んで跳んで高く 僕らと今を---』


『弱気な僕にさよなら 消さないで笑顔で』

『跳んで跳んで高く 僕らは今の中で---』



ウチらは、色んな人たちに支えられてる

その人たちからパワーをもらって

初めて、ウチらはμ'sとしてステージに立てる


辛い事があっても、仲間がいる

喧嘩が出来る、友達も

競い合う、ライバルも


そんな人らが、ウチらを照らしてくれるから

ウチらは、その光に向かって進むだけでいい

みんなが繋いでくれたその光そのものが

みんなで叶えて来た、夢だから


だから、ウチらはずっと、その光を追いかけてた

そして今、A-RISEもきっと

その光が照らし出した



---輝きを待ってた

90: 2015/04/23(木) 23:27:51.55 ID:/gkYoWus.net
-----



「やりきった。」

「…そんな顔だな。」


「…ええ。」


「…」


「すっごく、楽しかったね♪」


「…そうね。」


「ツバサ…」



「ねえ…2人とも。」


「「…?」」


「今まで、ありがとう。」



「ツ、ツバサ!?」

91: 2015/04/23(木) 23:28:35.42 ID:/gkYoWus.net
「…」


「μ'sは…彼女達は。」

「足りなかった物を、教えてくれた。」


「…いいえ、気付かせてくれた。」



「誰かのために、頑張るってこと。」


「言葉にすると、陳腐に聞こえるけれど。」

「…でも、大事な事。」



「…」


「気付いたこの気持ちを、嘘にしたくない。」

「だって…」



「2人が、歌う事が。」

「大好きだから。」


「「…」」


「…我々も、同じ気持ちだ。」

92: 2015/04/23(木) 23:29:17.71 ID:/gkYoWus.net
「…!」

「どうした?あんじゅ。」


「えっと…考えてみたんだけど。」

「初心に返って、もう一度やり直す、って事よね?」


「…?」

「確かに、そういう事だけど…?」


「じゃあ…」

「『Re:A-RISE』って、こと?」


「「…」」


「まったく…あんじゅは。」

「フルハウスで、懲りたと思ったが…」


「そ、それは今は無しっ!!///」



「…ふふっ。」


「…ツバサ?」

93: 2015/04/23(木) 23:30:08.25 ID:/gkYoWus.net
「…いいじゃない。」

「リアライズ。」


「気付かされたのは、本当でしょ?」


「…ああ。」


「ここから、リスタート。」



「彼女達が夢を叶える為に、私達がいたのなら。」

「…その逆も、あるはずよ。」


「私達も、これから紡いでいくの。」





「…私達だけの。」


「みんなで叶える、物語を。」



To Be Continued…

94: 2015/04/23(木) 23:33:48.16 ID:/gkYoWus.net
これにてサイド完結です

A-RISE要素が強くなったけど
書いてて楽しかったです
最初にヒフミが声だけの参加も出来ましたし
一応、リクエストにあった部分を詰め込んでみました
あと、ぼらららだと思った人、ごめんなさい

それでは、明日から本編に戻ります
ありがとうございました

104: 2015/04/25(土) 21:38:49.53 ID:QdENXKnA.net
-----


「合格、したんやってね。」

「おめでとう。」


「ありがと、希。」

「でも、私が頑張った訳じゃないんだけどね。」


「ふふっ。確かに。」

「…今度、亜里沙ちゃんに何かプレゼント買いにいこうか♪」


「本当?」

「きっと、喜ぶわ。」




「…で、えりち。」

「…?」


「わざわざ呼んだのは…」

「それが、理由じゃないやろ?」



「…お見通し、ってワケね。」

105: 2015/04/25(土) 21:39:19.35 ID:QdENXKnA.net
「…亜里沙が、言ってたの。」

「合格した時に。」



「…μ'sに、入るって。」


「…そっか。」


「ラブライブが終わるまで…って、話だったけど。」

「決めるなら、早い方が良いのかもしれない。」


「…そうやね。」


「もう…あと、ほんの少しなんやね。」



同じ季節を、2回繰り返して

毎日毎日、この日はもう来ないのか、なんて感じたりした


ウチらが作った、μ's

ウチらがいなくなったら


どう…なるんかな

106: 2015/04/25(土) 21:39:53.36 ID:QdENXKnA.net
-----



「…ラブライブの本大会まであと1ヶ月。」

「ここからは負荷の大きいトレーニングは避け。」

「体調を維持する事に努めます。」


「練習…ずいぶん少ないんだね。」

配られたプリントを見ながら

凛ちゃんが呟く


「うん、完全にお休みの日もある…」



「はい。」

「英玲奈さんやA-RISEの方にもアドバイスしてもらって。」

「そういう日があった方がいいと言われましたので。」


「あれから、ずいぶん仲良くなって。」

「最近はご飯まで一緒に行ったとか…?」




「の、希…///」

107: 2015/04/25(土) 21:40:21.87 ID:QdENXKnA.net
「…こほん。」

「とにかく、これからはこういった段取りで進めていきます。」


「…!」


「…穂乃果?」


「…ん?」

「聞いてましたか?」


「う…うん、ごめん。あはは…」



「そういえば…」

「亜里沙ちゃんと雪穂ちゃん、合格したんでしょ?」



「…うん!」

「2人とも…春から音ノ木坂の新入生。」


「亜里沙ちゃん、ずっと前からμ'sに入りたい、って言ってたもんね♪」


ことりちゃんの言葉に

穂乃果ちゃんが、少しだけ目を曇らせる

108: 2015/04/25(土) 21:40:47.27 ID:QdENXKnA.net
「…」


「じゃあ、もしかして新メンバー?」

「ついに10人目誕生!?」


「…!」


「ちょっと、そういう話は…」

慌てて、真姫ちゃんが止める


「「…」」



「卒業…しちゃうんだよね。」


空気が、少し重たくなる


…もう、しょうがないなあ


「…ふふっ。」


「どーやろ?」


そう言って、にこっちに視線を向ける


「…!?」

109: 2015/04/25(土) 21:41:58.40 ID:QdENXKnA.net
「にこっちは卒業できるかどうか…」


「するわよっ!!」



「「…」」


…やっぱり


気にしない、とは言ったけど

みんなの、頭から離れない


ウチらは、もう…


ウチまで暗くなりかけた時

えりちが、手を叩いた



「ラブライブが終わるまでは。」

「その先の話はしない約束よ?」


「さ、練習しましょ!」



「「…はい。」」

110: 2015/04/25(土) 21:42:59.19 ID:QdENXKnA.net
「…」


「…えりち。」


「しょうがない…事なのかもね。」

「話した方がいい、とは言ったけど。」


「こうも暗くなるんじゃ…」


「うん。」

「なにか、きっかけがあれば…」



「…!」

「ほら、穂乃果ちゃん。」


「あ…」


「練習、始まるよ?」


「うん、希ちゃん…」


「い、今行くね!」

111: 2015/04/25(土) 21:43:29.26 ID:QdENXKnA.net
-----


グラウンドで基礎トレーニング

…とは言っても

体をならす事がメインやけど


「…」


あえて、えりちと先頭に立つ

今の表情を、見せる訳にはいかないから


…後ろから、穂乃果ちゃん達の声が聞こえてくる



「…私も同じです。」

「3人が抜けたμ'sを、μ'sと言っていいものなのか…」


「…そうだよね。」



「なんで卒業なんてあるんだろう…?」





「続けなさいよ…!」

112: 2015/04/25(土) 21:44:03.01 ID:QdENXKnA.net
「「えっ?」」


にこっち…



「メンバーの卒業や脱退があっても。」

「名前は変えずに続けていく。」

「…それがアイドルよ。」


「アイドル…」


「…そ。」

「そう言って名前を残していってもらう方が。」

「卒業していく私達だって、嬉しいの。」


「だから…っぷ!?」


にこっちの言葉を、体で止める

それ以上は、言うべきじゃないから


「…痛あ~。」


「その話はラブライブが終わるまでしない約束よ?」


不安を煽って、良い事は無いから

113: 2015/04/25(土) 21:44:30.91 ID:QdENXKnA.net
「分かってるわよ…」

…そう

これは、仕方ない事で…


「…本当に、それでいいのかなあ?」

「…!」


「花陽…」


「だって…」

「亜里沙ちゃんも雪穂ちゃんも、μ'sに入るつもりでいるんでしょう?」

「ちゃんと…答えてあげなくて、いいのかな?」


「…」


「もし…私が同じ立場なら、辛いと思う。」


「かよちんは…どう思ってるの?」

「…!」


凛ちゃんが、そう告げる

114: 2015/04/25(土) 21:45:03.80 ID:QdENXKnA.net
「μ's…続けていきたいの?」


「それは…」


「何遠慮してるのよ!」

「続けなさいよ…?」


「メンバー全員入れ替わるんならともかく。」

「貴女達6人は残るんだから。」



「…遠慮してる訳じゃないよ?」

「ただ…私にとってのμ'sって。」

「この、9人で…」


「一人欠けても、違うんじゃないか、って。」



「…私も、花陽と同じ。」


真姫ちゃんが続ける

115: 2015/04/25(土) 21:45:30.38 ID:QdENXKnA.net
「でも…にこちゃんの言う事も分かる。」


「μ'sという名前を消すのは辛い。」

「だったら…続けていった方がいいんじゃないか、って。」


「…でしょ?それでいいのよ。」


「…」


「…えりちは?」


「…私は決められない。」

「それを決めるのは…穂乃果達なんじゃないか、って。」


「…!」



「私達は、必ず卒業するの。」

「スクールアイドルを続ける事はできない。」

116: 2015/04/25(土) 21:45:57.38 ID:QdENXKnA.net
「だから…その後の事を言ってはいけない。」

「私は、そう思ってる。」


「決めるのは、穂乃果達。」

「それが私の考え。」



「絵里…」


にこっちの頭に、手を置く

「…!」


「…そうやね。」


きっと、それが正しい

なにより、このμ'sがμ'sであれたのは

作ってくれたのは


まぎれも無く、穂乃果ちゃん達なんやから





「…さ、練習再開しましょ?」

117: 2015/04/25(土) 21:46:23.39 ID:QdENXKnA.net
-----




「…で、どうするの?」

「どうするって?」


「決まってるでしょ?」

「これからも、μ'sであるかどうかよ。」


「「…」」


やっぱり、ちゃんと話し合おうと言う事で

ウチとにこっち、えりちはカフェに来てた


「…だから、穂乃果達に任せましょう?」

「それは、私達の役目じゃないわ。」


「それは…」


「でも、せっかくの居場所が。」

「μ'sが無くなるのなんて、嫌よ!」


「にこ…」

118: 2015/04/25(土) 21:47:02.79 ID:QdENXKnA.net
「絵里も、そうじゃないの!?」

「私達にとって…」


「μ'sは、やっとできた私達の居場所なのよ?」

「それまで、避けて来た私たちが…」


「やっとひとつになれた、かけがえの無い場所でしょ?」


「それが消えてほしくなんてない!」


「それは…そうだけど…」


「でもやっぱり、それは私達のわがままよ。」

「穂乃果達だって、真剣に考えてる。」


「これから、どうするべきか。」

「どうなるのが、最適解なのか。」


「…私は、それに従いたい。」


「じゃないと…諦められないもの。」

119: 2015/04/25(土) 21:47:31.99 ID:QdENXKnA.net
「えりち…」


「…」


「私達が今、ここにいるのは。」

「あの子達の、おかげ。」


「それに、卒業して続けていくのは、あの6人。」

「だから…」

「私はそれで、良いと思う。」


「私達が、出しゃばるべきじゃない。」


「…」


「…希も、同じ考え?」


「ウチは…」


ウチは、どうしたいんかな?

120: 2015/04/25(土) 21:48:04.25 ID:QdENXKnA.net
「…」


「ウチも、えりちと答えは一緒。」


「…でも、理由はちょっと違うんよ。」


「理由?」


「…うん。」


今でも、思い出せる

あの時の事


そうありたいと願った

夏の終わり


「2人は、覚えてる?」

「あの…」




「南十字星を。」



1年半前の、あの日の記憶

122: 2015/04/25(土) 22:02:32.77 ID:QdENXKnA.net
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時期は夏の終わり頃

ウチらは、沖縄に修学旅行に来てた

この時は、にこっちとウチらの間にまだ溝があって

あまり…話せなくなってた


…実質、沖縄観光もウチとえりちで回ってたし

にこっちが、どうしてたのかも分からない


でも、最終日を翌日に控えたあの日


無くしてしまったにこっちの財布を捜すため

ウチらは…少しだけ、昔に戻れた



思えば、あの日初めてツバサちゃんや

英玲奈さんやあんじゅちゃんに会ったんやね


結局、財布は見つかって

ホテルについたのは、もう遅い時間で

ウチらは、先生方にこっぴどく怒られる事になった

123: 2015/04/25(土) 22:11:48.06 ID:QdENXKnA.net
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「…はあ。」

「まさか、あんなに怒られるとは…」


「…当たり前でしょ?」

「どれだけ時間経ってたと思ってるのよ。」


「…別に、絵里は先に入ってても良かったのに。」


「…にこっち。」

「ひゃわっ!?」


「そんなこと言って、ええんかな~?」

にこっちの未発達のそれに手を当て、力を入れる


「すっ、すいませんでしたあ!!」



「…分かればよろしい♪」

124: 2015/04/25(土) 22:12:12.86 ID:QdENXKnA.net
「…えりち?」


ふと、立ち止まったえりちは

窓の外を見ている


「もう…帰るのね。」

「もっと、遊びたかったな…なんて。」


少し寂しそうに笑うえりちを見て

ああ、やっぱり美人さんは悩む姿も綺麗やなあ…

なんて、考えていると



「…もう、一度怒られたら何やっても一緒よね♪」

「どういう事?にこっち。」



「屋上…行きましょ?」

「屋上?」


「にこだって…希みたいに。」

「ただ何となく、空を見たい事だってあるの。」

125: 2015/04/25(土) 22:18:33.92 ID:QdENXKnA.net
-----



「うわあ…!!」

「綺麗ね…」


「やっぱり、沖縄は空も綺麗やね…」


沖縄の空は光が少なくて

星が東京よりも綺麗に見える


満天の星空にきらめくそれらを見ながら

ウチらは、、少しだけ静かになる


「…」


地元から離れて、見る星空

でも、この空で繋がってるんやね


もしかしたら

お父さんもお母さんも

この空を見てるかもしれない


そう考えると、ちょっとだけ勇気がでた

126: 2015/04/25(土) 22:19:05.58 ID:QdENXKnA.net
「あの、一番光ってる星…一等星…だっけ?」

「こっちじゃ、こんなに綺麗に見えるのね。」


えりちに言われて、その星を探す


その時、後ろから声が上がった



「…こら、お前達!」

「もうすぐ消灯時間だぞ…!」


3人で、やばい、という顔をする

見つかっちゃったか…



「…!」


「なんだ、またお前達か…」

「まだ、怒られ足りなかったのか?」


「い、いやあ…」

127: 2015/04/25(土) 22:20:18.32 ID:QdENXKnA.net
「沖縄でも、夜は冷えるんだぞ?」

「何してたんだ、一体…」


「…星を、見てました。」

「…星?」



「こっちだと、綺麗に見えるなあ…って。」


「…」


こんなこと、なんの言い訳にもならないけど

ただ…素直に、そう感じたから


「…ふう。」



「ま、今日は見逃してやるよ。」

「明日、帰るんだしな…」


「…しっかり、目に焼き付けとけ。」

128: 2015/04/25(土) 22:38:44.07 ID:QdENXKnA.net
「しっかし、お前達は…」



「仲良さそうに一緒にいたかと思えば。」

「いつの間にか、話さなくなったり…」


「かと思えば、こうして空を見上げたり。」


「忙しいな。」


「…ッ。」


痛い所を突かれた

やっぱり、見てる人は見てるんやね



「そんなお前達には、星が似合うよ。」


「「…?」」


「私は、生徒はみんな星だと思ってる。」

「それぞれに個性があって、磨けば光る所がある。」

129: 2015/04/25(土) 22:39:18.35 ID:QdENXKnA.net
「…いくつもの星が、星座を作って。」

「またその星座が、星空を作る。」


「英雄をかたどった星座や。」

「その英雄に倒される星座。」

「そんな相反する物が、ひとつの雲河を作る。」


「意味や捉え方も違う星達が、私達の頭上には広がってる。」


「だからこそ、面白いと思うんだ。」


「「…」」


「先生は…好きな星座とかって、あるんですか?」


「私か?」

「そうだな…」






「南十字星…って、知ってるか?」

134: 2015/04/26(日) 09:04:22.68 ID:MWQaq3ib.net
「南…十字星…」

聞いた事はある

たしかあれは、世界史の授業で…



先生は、手に持ってた手帳を開いて

その中から、一枚の写真を取り出した


「…ほら、これだ。」


3人で、その写真を覗き込む

あまり、鮮明ではないその写真に

仄暗い星達が映っていた



「これが…南十字星…」


「…昔。」

「まだ私が学生だった頃。」


「沖縄に来て…撮った写真なんだ。」

135: 2015/04/26(日) 09:04:57.67 ID:MWQaq3ib.net
「…ここでも、見えるんですか?」

えりちが、そう尋ねると


「…いや。」

「今はもう、ほとんど見えない。」

「時期も悪いし…」


「きちんと見えるのは、沖縄でも南に位置する島だけだ。」

「私がこれを見たのは。」


「友人との卒業旅行で、波照間島に行った時だった。」


先生が、思い出に耽る


「…」



「世界史の授業で習っただろう?」

「昔…大航海時代を生き抜いて来た人たちは。」

「この星の光を目印に、暗い海を進んでいたんだ。」

136: 2015/04/26(日) 09:05:23.60 ID:MWQaq3ib.net
「南十字星…」

「正式名称は、南十字座だな。」

「その名の通り、星座のひとつだ。」

「そして、この星座は…」


「空にある、全ての星座…」

「全天88星座の中で最も小さい星座なんだ。」



「…一番、小さい?」


「ああ。」

「にもかかわらず、この星達は南を照らして。」

「船乗り達を目的地へと導いた。」


「…言うなれば、彼らにとっての道標が、この星だったんだ。」



「…」

137: 2015/04/26(日) 09:05:53.66 ID:MWQaq3ib.net
「…私はな、お前達。」

「教師とは…大人とは、そうあるべきだと思うんだ。」


「「え…?」」


「決して、目的地を教える訳ではない。」

「進むべき道を、教える訳でもない。」

「それは、お前達が悩んで、悩み抜いて決める事だ。」


「…時には、失敗するかもしれない。」

「迷う事があるかもしれない。」


「だが、そんな時に…」

「私は、お前達の道標でありたいと思う。」


「お前達が足を止めた時に。」


「その道を指し示す、光でありたいんだ。」




「…少し、クサいがな。」

138: 2015/04/26(日) 09:06:17.92 ID:MWQaq3ib.net
「お前達は、この学校で様々な事を経験して来ただろう。」

「辛い事も、苦しい事もあったと思う。」


「そんな経験を乗り越えて、人は大人になるんだ。」

「…だが、お前達はまだ若い。」

「まだ、子供なんだ。」


「大人になったから、いいという訳でもない。」

「大人も、大人で悩む事だってある。」


「だが、それをお前達に見せる事は無い。」

「それが、我々大人の義務だ。」


「…だが、お前達は関係ない。」

「おおいに悩んで、壁にぶち当たるべきだ。」


「そうやって、人は大人になっていくんだから。」

139: 2015/04/26(日) 09:06:49.84 ID:MWQaq3ib.net
「だが、お前達が道に迷った時。」

「何かを抱え込んでしまった時に。」


「私は、お前達が進むと決めた道を…」

「その道を照らしたいんだ。」


「…」


「お前達だって、そうだろう?」

「人は、いつまで経っても悩みが尽きない生き物なのさ。」

「だが…」



「1人は、自分の夢を叶えるために。」

「1人は、皆の夢を繋げるために。」


「…そして一人は、皆の夢を叶えるために。」



「それぞれ、悩んで悔やんで、先に進もうとしている。」

「そんな連中を、応援したいと思うのは、当然の事だろう?」

140: 2015/04/26(日) 09:07:29.98 ID:MWQaq3ib.net
「先生…」


「さっきも言ったが。」

「私は、お前達に何が正しいかを教える事は無い。」

「どうすればいいのか。」

「それを考えるのは、お前達自身だ。」


「…だが。」

「お前達の足が止まりそうなとき。」

「悩んで、立ち止まってしまった時は。」


「私は、必ずお前達のそばにいる事を忘れないでくれ。」


「お前達は、これから輝いていける星、ひとつひとつなんだ。」

「誰よりも輝いて、この先を進んでいくだろう。」



「…私は。」

「そうやって輝いていく、お前達を見たいんだ。」

「それが、私の役目だと思うから。」


「自分は、輝けなくても良い。」

「…でも、お前達の道標として。」

「道を照らす者として。」


「そう…ありたいと、思うんだ。」





「あの、南十字星のように。」

141: 2015/04/26(日) 09:13:27.47 ID:MWQaq3ib.net
「…話が長くなってしまったな。」

「私は、下に戻るよ。」


「消灯まで、あと20分だからな。」

「…遅れるなよ?」


「「はいっ!」」



先生が出て行った屋上で

…また、ウチらは空を見上げる



「輝けなくてもいい…か。」

にこっちが、ぽつりと呟く


「本当…大人って、凄いわね。」


「ウチらも…なれるんかな。」



「…なるわよ。」


「えりち…」

142: 2015/04/26(日) 09:13:49.34 ID:MWQaq3ib.net
「今すぐには、無理かもしれない。」

「先生の言うように、私達はまだ何も知らないもの。」


「…でも。」


「もし、なれるのなら…」

「ううん、なれたなら。」


「それはきっと…私達が目指してる、生徒会のあり方だと思うの。」


「…そうやね。」


全ての生徒を、導けるなんて思ってない

まだまだ、出来ない事、知らない事もたくさんあるだろう


でも…

それでも、あの先生のように、ありたいと思う



「…」


「…にこっち?」

143: 2015/04/26(日) 09:14:16.43 ID:MWQaq3ib.net
「…何でもない。」

「…」


「全部、知られてたのよね。」


「…ほんとにね。」


「まあ…分かりやすかったんと違う?」


「…はあ。」

「これから、あの先生の見る目変わりそう。」


「見られてるのは、きっと私達だけじゃないと思うけど…」



「それでも…」

「まだ全然周りが見えてなくて…」



「まだまだ子供なんだ、って事、思い知らされた。」


「…」

144: 2015/04/26(日) 09:14:45.71 ID:MWQaq3ib.net
「先生も、言ってたやろ?」

「まだまだ、ウチらには時間がある。」

「悩んで、悩み抜いたらいいと思う。」


「でもいつか、ウチらもその立場になるんよ。」

「それが1年後か、10年後かは分からんけど。」


「…そうなった時に。」

「ウチは、後輩や、他の生徒達にとって。」

「道標になりたいと思う。」


「ウチらが、先生に教えてもらった事。」

「これだけ、ウチらの事を想ってくれてる事。」


「…少しでも、まだ知らない人たちに伝えていけたらいいな。」



「…そうね。」

145: 2015/04/26(日) 09:15:14.22 ID:MWQaq3ib.net
「…でも、素敵な話だったわね。」



「…そうね。」

「いつか…見れたらいいな。」



「きっと、見れるよ。」

「だってまだまだ、これからなんやから。」



「伝えてもらった想いを、繋げていこう。」

「ウチらは、まだまだ輝ける。」


「そう…信じてくれてるんやから。」


「「…」」


選んだ道を照らして

他の星を、見守ってる




「あの、南十字星のように。」

146: 2015/04/26(日) 09:23:31.55 ID:MWQaq3ib.net
-----



「…あれから、いっぱい悩んで。」

「ぶつかり合って、ここまで来た。」


「それが正解だったのかは、分からないけど…」

「今、ウチらはこうして。」

「上級生として、μ'sにいる。」


「だからこそ、ウチは…」

「今が、その時やと思う。」


「ウチらは、もう十分輝いたよ。」

「それはまぎれも無く、先生や、他の生徒や、μ'sがいたから。」



「…今度は、見守る番やと思う。」

「あの子達が、必氏に悩んで、考えて…」

「決めた道を、照らしてあげたいんよ。」


「希…」

147: 2015/04/26(日) 09:25:03.17 ID:MWQaq3ib.net
「それでも…」

「それでも、にこは…!」


「…分かってる。」

「にこっちの気持ちも、ちゃんと分かってるよ。」


「希…」


「でもな。」

「ウチらはこれから、スクールアイドルとしてじゃなく。」

「また、新しい自分として進んでいくんよ。」


「…だったら。」

「スクールアイドルとしての夢や、想いは。」

「あの子達に、託していこう?」


「あの子達は、ウチらの事を考えて、必氏に考えてるんよ。」

「その気持ちを、無駄にしたら駄目なんよ。」

「あくまでウチらは…」

「皆の願う道の、道標なんやから。」





「…あの、南十字星のように。」

148: 2015/04/26(日) 09:33:19.20 ID:MWQaq3ib.net
-----



「…帰る。」


「にこっち…」


「…大丈夫よ。」


「アンタが私の気持ちを分かるように。」

「私も、アンタの気持ち…」


「分かるから。」



「…今は、一人になりたいの。」

「ちゃんと、考えたいから。」


そう言うと、にこっちは出て行った


「…にこには、辛い話だから。」

「…うん。」


「でも、きっとこうなる気がしてたの。」

「何故だか、分からないけど…」


「これが、大人になった、って…ことなのかしら?」



「…ふふっ。」

「そうやって感じてるうちは。」

「まだまだ、子供なんと違うかな?」


「…!」

149: 2015/04/26(日) 09:33:53.08 ID:MWQaq3ib.net
「やっぱり、今の無し。」

「まだまだ、終わらないんだから。」


「ラブライブが終わる、その時まで。」

「子供らしく、はしゃいじゃいましょう♪」



「…そうやね♪」




「それと…」

「いつか、行きましょう?」

「本物の、南十字星を探しに。」


「…!」


「…きっと、見つかるよ。」

「ウチらなら…きっと。」


決して、ウチらの気持ちが決まった訳じゃない

でも…笑顔で、帰る事が出来た


そしてウチらは週末

穂乃果ちゃんに、呼び出されることになった

154: 2015/04/27(月) 23:22:53.89 ID:kCys4a9v.net
-----


「よ~しっ!!」

「遊ぶぞ~!!」


日曜に呼び出されたウチ達

てっきり、この間の話かと思ったんやけど…



「…遊ぶ?」


「いきなり日曜に呼び出して来たから。」

「何かと思えば…」


にこっちとえりちも、驚いてる


「休養するんじゃなかったん…?」


「それはそうだけど…」

「気分転換も必要でしょ?」


「楽しい、って気持ちを沢山持って。」

「ステージに立った方がいいし♪」

155: 2015/04/27(月) 23:23:26.78 ID:kCys4a9v.net
「そ、そうですよ…!!」

「今日、あったかいし♪」


「遊ぶのは、精神的な休養だって、本で読んだ事あるし…!」


「そうそう!」

「家に籠っててもしょうがないでしょ?」


「にゃーっ!!」


穂乃果ちゃんの話に、皆がすんなり同意する

海未ちゃんなんかは、何か言いそうやのに…



「なによ…」

「今日はやけに強引ね。」


にこっちも、勘ぐってる



「…ほら、それに。」

156: 2015/04/27(月) 23:24:04.31 ID:kCys4a9v.net
「μ's結成してからみんな揃って遊んだ事ってないでしょ?」

「一度くらい、いいかな?って♪」


「でも…」

「遊ぶって、何するつもり?」



「遊園地行くにゃ!」


「子供ね…」

「私は美術館。」


「えっと、私はまずアイドルショップに…!」


花陽ちゃん達が、一斉に行きたい所を言う

やっぱり1年生は、好奇心旺盛なんかな?



「バラバラじゃない!!」

にこっちのツッコミに、穂乃果ちゃんは…




「う~ん…」


「じゃあ、全部!」

157: 2015/04/27(月) 23:25:04.36 ID:kCys4a9v.net
「「はああ!?」」

ウチらの、声が揃う


「行きたい所、全部行こう?」


「…本気!?」


「うん!」

「みんな行きたい所を1個ずつ挙げて。」

「全部遊びに行こう!!」


「いいでしょ!?」


すっごく笑顔で、答える穂乃果ちゃん



「…なによそれ。」


…でも

158: 2015/04/27(月) 23:25:28.40 ID:kCys4a9v.net
「でも、ちょっと面白そうやね♪」


「…しょうがないわね。」


なんだかんだ言って

ウチらも、楽しくなってきた♪


みんなの顔も、笑顔になる

やっぱり、μ'sで何かをするって事は

みんな、楽しみなんやね



穂乃果ちゃんが、飛び出す


「しゅっぱーつっ!!」



「「おーっ!!」」

159: 2015/04/27(月) 23:26:02.63 ID:kCys4a9v.net
-----


まず、回って来たのは

アイドルショップ



「…すごい!!」

「これ全部μ'sだ!」

「μ'sだよ!?」


ショップの至る所に置かれてる、ウチらのグッズ

嬉しいやら、恥ずかしいやら


…前は、探さないと見つからなかったのにね



自分のグッズを見つけては、恥ずかしがる海未ちゃんに

他のアイドルグッズを探す、花陽ちゃん


能天気に辺りを見回す穂乃果ちゃん


「なんだか、照れるわね。」

そう言いながらも、嬉しそうなえりち


…こうして見るのも、新鮮やね

160: 2015/04/27(月) 23:26:38.16 ID:kCys4a9v.net
-----



「ああーっ!」

「負けたあ…」


「…ふふん!」

「これで宇宙No.1ダンサーは、私よ!」


にこっちのリクエストで、ゲームセンター

…だけど、目的は穂乃果ちゃんとの再戦やったみたい



そんな2人をよそ目に

ウチとえりちは、譲れない闘いを繰り広げてた


「…とりゃあーっ!!」

「…たあーっ!!」


「このっ!!」

「まだまだあっ!!」


「修学旅行での決着、ここでつけるわよ!!」


「エアホッケーでウチに勝とうなんて、100年早いわあーっ!!」

161: 2015/04/27(月) 23:27:14.25 ID:kCys4a9v.net
-----


「「はあ…はあ…」」


「ま、まさかタイムアップまで決着がつかないなんて…」

「どれだけお互い負けず嫌いなのよ…」


「「次こそ勝つっ…!!」」


…パシャッ


お互いにらみ合ってると

前から聞こえたシャッター音


「…ことりちゃん?」


「…あはは、ごめんね?」

「せっかくだし…と、思って♪」


「ちょ、流石に今の顔は恥ずかしいって…///」


「2人で勝手に熱くなってた罰でしょ?」

「次、行くわよ。」


真姫ちゃんに言われて、次の場所へ

162: 2015/04/27(月) 23:27:54.59 ID:kCys4a9v.net
-----


それから、動物園でペンギンの真似したり

フラミンゴの真似したり


えりちが行った事のないボーリングで

まさかの連続ストライクを出したり


真姫ちゃん希望の美術館では

仲のいい1年生組がふざけ合ったり


みんなで、思い思いの場所を楽しんでる



「…また、写真?」

「うん、記念になるかな?って。」


「穂乃果ちゃんの言う通り。」

「こうして9人で遊んだ事、無かったから♪」



「よーしっ!」

「それじゃ、次に行こう!!」

163: 2015/04/27(月) 23:28:33.29 ID:kCys4a9v.net
-----


緑地公園で、みんなとぶらぶら

そしたら、凛ちゃんが面白い物を見つけて来た


「スワンボートだって!!」

「あら、でも…2人乗りなのね。」


…おっと、一人余るんか

まあ、それならウチが…



「あ、みんなで乗って来ていいよ?」

「ことり、みんなの写真撮るから♪」


「え?でも…」


「いいの!」

「ほら、いってらっしゃい♪」


ことりちゃんに勧められて

ウチらみんなで、レースをしてみたり


…優勝は、やっぱり仲のいい凛ちゃん、花陽ちゃんチームやった♪

164: 2015/04/27(月) 23:29:15.51 ID:kCys4a9v.net
「…楽しかったにゃー!」


「凛ちゃん、おかえり♪」

「あ、ことりちゃん!」


「みんなの可愛い所、バッチリ撮れたよ♪」


「…それじゃあ。」

「はい、ことりちゃん♪」


「…え?」

「ほら、穂乃果ちゃんたちも♪」


「はーいっ!」


「…はい、チーズ!」


パシャッ


「の、希ちゃん…?」


「…思い出を残すなら。」

「全員、揃ってないとね♪」



「ことりちゃんも、μ'sの一員なんやから♪」


「…うんっ!」

165: 2015/04/27(月) 23:30:12.22 ID:kCys4a9v.net
-----



それからは、みんなで代わりばんこにカメラマン


ウチの希望で、雷門に行ったり


遊園地で、絶叫系を制覇したり


お化け屋敷前で、えりちが腰を抜かしたり



楽しい時間は、どんどん過ぎて

ウチらを照らす太陽さんは


少しずつ、色褪せていった


「それで後は…穂乃果が遊びに行きたい所だけど。」

「私は…」


「海に行きたい。」


「海?」

「うん。」



「誰もいない海に行って。」

「9人しかいない場所で。」

「9人だけの、景色が見たい。」

169: 2015/04/28(火) 21:30:14.31 ID:82BiO4Ne.net
「…ダメかな?」


「穂乃果…」

そう言う穂乃果ちゃんは、どこか寂しげで

でも、しっかりとそう言った


「賛成にゃーっ!!」

「…なんか、冒険みたいでわくわくするね♪」

花陽ちゃんたちが、肯定する



「今から…行くの?」


「行くだけ行ってみようよ!!」


「…ね?」


「しょーがないわねえ…」

「そうと決まったら、急ぐわよ!」

170: 2015/04/28(火) 21:31:26.45 ID:82BiO4Ne.net
-----



暗くなる前に、急いで海へ

本当は駄目なんやけど…

ぶつからないスピードで、ホームを走る


「これです!」

「みんな乗ってー!」


出発直前の電車に、飛び乗る


「「はあ…はあ…」」


「間に合ったー…」


みんなが、息を落ち着かせる


「…間に合って、良かったね。」

「もう、穂乃果はいつも急なんだから…」


えりちと、そんな話をする

171: 2015/04/28(火) 21:32:01.14 ID:82BiO4Ne.net
「…?」


穂乃果ちゃんと真姫ちゃんが、何か話してる


「どうしたん?穂乃果ちゃん。」


「…!」

「う、ううん?」

「ちょっと、走るの疲れちゃって…。」


「ほ、穂乃果は本当に、たるみすぎですっ!」


「ご、ごめんね?海未ちゃんっ。」



「…でも、なんだか楽しみやね。」

「希ちゃん…」


「この9人で眺める海。」

「きっと…綺麗なんやろうね。」



「…うん。」

172: 2015/04/28(火) 21:32:47.15 ID:82BiO4Ne.net
-----


電車に揺られて、数十分

落ちてくる日が、オレンジ色に変わる頃


ウチらは、海岸沿いの駅に着いた


なんとなく、薄暗くなった雰囲気がウチらを包んで

あんまり言葉を交わす事も無く


浜辺に足を運ぶ


塩の香りが立ちこめる中

荷物を濡れない所に置いて


…いざ、波打ち際まで




「「…わあ~っ!!」」


ちょうど、水平線に沈み始める

紅く染まった夕日を見る事が出来た

173: 2015/04/28(火) 21:33:15.60 ID:82BiO4Ne.net
「ちょうど沈むところにゃーっ!!」

そう言って駆けていく凛ちゃんを、追いかける


「スピリチュアルパワーのおかげやね♪」


「日頃の行いが物を言うのよね。」

「…こういう時は。」


にこっちに続いて、みんなも来る



「…それっ!」

「ちょっと、凛!」

凛ちゃんが、真姫ちゃんに水をかける


「…子供ねえ。」


「にこっちー。」

「何よ…ッ!?」


「ふっふっふ…」


「やったわね?希…」

174: 2015/04/28(火) 21:34:11.33 ID:82BiO4Ne.net
「お返しよっ…!!」

「なんのっ!」


「きゃあっ!?」

えりちで、ガードする


「の~ぞ~み~?」


「それっ!」

「ちょっ…!?」

えりちが怒る前に、先制攻撃



日が沈むまでの、ほんの少しだけの時間

みんなが思い思いに、海を楽しんだ



やっぱり、海は好き

みんなで見る、この海が好き


μ'sの仲間と見る…この海が

175: 2015/04/28(火) 21:34:34.49 ID:82BiO4Ne.net
みんなで、顔を合わせて

海に向かって、そっと手を繋ぐ


影を帯びて来た茜空の下

ウチらは、静かに海を眺めてた




「…合宿の時も。」

「こうして、朝日見たわね。」


えりちがふと、口を開いた


「…そうやね。」


あの時は、昇る日差しに

その先の、夢を馳せた


…なら、沈む夕日の前で

ウチらは、何を思うんやろ?



「…あのね。」

176: 2015/04/28(火) 21:41:36.52 ID:82BiO4Ne.net
「…」

穂乃果ちゃんの顔を、みんなが覗く

でも、覗くその顔は…



「…あのね。」

「私達、話したの。」



「あれから6人で集まって…」

「これからどうして行くか。」



「希ちゃんと、にこちゃんと、絵里ちゃんが卒業したら。」

「μ'sを、どうするか…」



「穂乃果…」



急に、世界が現実味を帯びる

できれば、聞きたくない事

でも、聞かないと進めない事


…答えが、知りたい

177: 2015/04/28(火) 21:42:03.31 ID:82BiO4Ne.net
「…ひとりひとりで、答えをだした。」

「…そしたらね?」


「全員一緒だった…!」



「…みんな同じ答えだった。」


「だから…」


「だから、決めたの。」

「…そうしよう、って。」


「…」



「言うよ?」

「せーっ…」


「…」


「ごめん。」

「言うよ…」







「せーのっ…!!」

178: 2015/04/28(火) 21:42:40.11 ID:82BiO4Ne.net
「「大会が終わったら…」」


「「μ'sは…」」











「「おしまいにします…!!」」

179: 2015/04/28(火) 22:09:31.75 ID:82BiO4Ne.net
「…」



「…やっぱり、この9人なんだよ。」

「この9人が、μ'sなんだよ。」



「…誰かが抜けて、誰かが入って。」

「それが普通なのは、分かっています。」



「…でも、私達はそうじゃない。」



「μ'sはこの9人…」



「…誰かが欠けるなんて、考えられない。」



「1人でも欠けたら、μ'sじゃないの…!」




「…」



「…そう。」


「絵里…!!」

180: 2015/04/28(火) 22:10:07.71 ID:82BiO4Ne.net
「…ウチも賛成だよ?」


「希…」



「…当たり前やん。」

「そんなの…」



「ウチがどんな想いで見て来たか。」


「…名前をつけたか。」


「9人しかいないんよ…!」


「ウチにとって…」



「μ'sはこの9人だけ。」


「…ッ。」



---本当に?


---もう、自分の気持ちに嘘はつかない

181: 2015/04/28(火) 22:10:34.64 ID:82BiO4Ne.net
「そんなの…。」

「そんなの、分かってるわよ…っ。」



「…私だってそう思ってるわよ。」

「でも…」


「でも、だって…!」



「にこちゃん…」



「私が、どんな想いでスクールアイドルをやってきたか。」


「…分かるでしょ?」



「3年生になって諦めかけてて。」

「それがこんな奇跡に巡り会えたのよ!?」



「こんなすばらしいアイドルに…」

「仲間に巡り会えたのよ!?」

182: 2015/04/28(火) 22:12:33.55 ID:82BiO4Ne.net
「終わっちゃったらもう、2度と…」

「だからアイドルは続けるわよ!!」


「絶対約束する!!」

「何があっても続けるわよ…!!」


「真姫…」


「でも…μ'sは私達だけの物にしたい!!」

「にこちゃんたちのいないμ'sなんて嫌なの…」


「私が嫌なの!!」





「…かよちん。」

「泣かない約束なのに…」

「凛、頑張ってるんだよ…?」

「なのに…もう…」





「あーっ!!」

183: 2015/04/28(火) 22:13:06.45 ID:82BiO4Ne.net
「「!?」」



「時間!!」

「早くしないと、帰りの電車なくなっちゃう!!」


「えっ?」

「穂乃果ちゃん…!?」



「と、とりあえず追いかけるわよ!」

「みんな、荷物もって…」



「…希?」


「…ううん。」

「よし、急ごうっ!!」





…悲しみは

沈む夕日とともに、ここに置いていこう


もう…


みんなの泣く所なんて、見たくないから

184: 2015/04/28(火) 22:22:23.51 ID:82BiO4Ne.net
-----


「「はあ…はあ…」」


「…電車は?」


「まだまだあるわよ…?」


「…えっ?」


「…えへへ。」

「ごめん。」



「穂乃果ちゃん…」


「…だってみんな、泣いちゃいそうだったから。」

「あのままあそこにいたら。」

「涙、とまらなくなりそうだったから。」


「…へへ。」



「穂乃果に一杯食わされましたね。」

185: 2015/04/28(火) 22:22:50.60 ID:82BiO4Ne.net
「もう…本気で走っちゃったじゃない。」


「そうよ…」

「体力温存って言ってたのに。」

「使っちゃったじゃないの…」


「もうちょっと、海見てたかったなー…」



「…でも良かったです。」

「9人しかいない場所に来られました。」


「…そうね。」

「今日あの場所で海をみたのは…」

「私達、9人だけ。」



「…この駅で、今こうしているのも。」

「私達、9人だけ。」



「…なんか素敵だったねえ。」

186: 2015/04/28(火) 22:23:17.08 ID:82BiO4Ne.net
「…ねえ、記念に写真撮らない?」


「あ、じゃあまたケータイで…」


「…そうじゃなくて。」

「…?」


「ここでみんなで、撮ろうよ。」


そう言って、穂乃果ちゃんが顔を向けた先は…

駅前にある、証明写真



「…記念に♪」



みんなで狭いブースの中で

くっついて、撮った写真


プリクラみたいに、分ける事は出来ないけど

それでも、大切な


…大切な、ウチらの思い出

187: 2015/04/28(火) 22:24:19.98 ID:82BiO4Ne.net
-----



「…ぷっ。」

「にこちゃん、頭切れてる…」


「…あはは。」

「真姫ちゃん、変な顔にゃーっ。」


「凛だって、こっちの手しか映ってないでしょー?」


現像された写真を見ながら

ウチらは、帰りのホームへ


すこしだけ、いつもよりゆっくり流れる時間


「にこっち、これはないやーん。」

「あえてよ、あえて!」


「これ、私の髪…?」


「ふっ…なんですか?これ…」

188: 2015/04/28(火) 22:24:50.54 ID:82BiO4Ne.net
「…ふふっ。」

「見て…?」

「この希。」


「にこの髪が、ヒゲみたいになってる…っ。」



みんなで、寂しさを吹き飛ばすように

ずっと、笑い続ける


ウチらしかいない、駅のホームに

ウチらだけの笑い声が、飛び交う






「…ッ。」


「う…っく…」



「かよちん、泣いてるにゃ…」

「だって…」


「おかしすぎて、涙が…」

189: 2015/04/28(火) 22:25:13.10 ID:82BiO4Ne.net
「…ッ。」


「泣かないでよ…!」

「泣いちゃヤダよう…!」


「せっかく、笑ってたのに…」



「うっ…うう…」


「…もう。」

「やめてよ…」



「やめてって、言ってるのに…」




「なんで、泣いてるの…?」

「もう…変だよ…」


「そんなの…」


「穂乃果ちゃん…」

190: 2015/04/28(火) 22:25:40.66 ID:82BiO4Ne.net
「…もう!」

「めそめそしないでよっ!」


「なんで泣いてるのよ…っ!」



「にこっち…」

「…!」


「泣かない!」

「私は泣かないわよっ!」


意地を張ってる、その小さい体を抱きしめる

みんな、気持ちは同じなんやから…


「泣かないんだから…っ!」

腕に、力が入る


「やめてよ…」


「そういうの、やめてよ…ッ。」

191: 2015/04/28(火) 22:33:47.20 ID:82BiO4Ne.net
暗いホームに

ウチらの泣き声が、こだまする


…よかった、他に人がいなくて


今、この時間だけは

この瞬間だけは


泣くのを、許してほしい


これから、前に進むために

ウチらの、夢を繋ぐために



泣きつかれて、ぼーっとしていると

暗いホームに、光が射した


「…電車だ。」

みんなが、目元をこする


「…行こう。」


「ラストライブに向けて…!」

193: 2015/04/28(火) 22:48:23.38 ID:82BiO4Ne.net
-----


帰りの電車の中

一日遊び回ったからか

みんなは寝息を立ててる


「…やけに静かね。」

「真姫ちゃん…」



「…無理も無いよ。」


「…そうね。」


揺れる電車に、身を任せて

…そっと、目を閉じる



「…あの時の真姫ちゃん。」

「ちょっと、かっこ良かったよ。」


「…!?」


「ありがとう。」

194: 2015/04/28(火) 22:48:55.15 ID:82BiO4Ne.net
「べ、別に…」

「…」



「希達の…ためじゃないわ。」


「あ…」



「…やっと分かったの。」

「どうしてあのとき。」


「希が、私のためじゃない、って言ってくれたのか。」

「どうして絵里が、私に気付いてくれたのか。」



「…だから、今度は私の番。」

「希達の…希達だけの、ためじゃない。」


「これは、私達自身の。」

「μ's全員のため。」



「希達のくれた想いを、夢を。」

「…私達が、紡いでいくの。」

195: 2015/04/28(火) 22:49:26.14 ID:82BiO4Ne.net
「…うん。」


「今日、ここで。」

「みんなでした決意を、私は忘れない。」


「流した涙も。」

「辛かった悲しみも全部、ここに置いていく。」


「…希も、そうでしょ?」


「…うん。」

「これから、歩いていくために。」


「…そうね。」



「…私ね?」

「希には、すごく感謝してるの。」


「…え?」


「私も…海が、好きになったから。」

196: 2015/04/28(火) 22:49:56.28 ID:82BiO4Ne.net
「それって…」


「きっと、いつか。」

「…ううん、明日にでも。」


「なんでこんなに小さな事で悩んでたんだろう、って、思える。」

「だって…」


「私達の今までが、無くなる訳じゃないんだから。」

「今まで感じた喜びや幸せ。」


「ずっと…私達は覚えてる。」



「…本当、海はいいわね。」

「大きいと思ってた悩み事が。」

「いつのまにか、小さく感じるんだから。」


「…でしょ?希。」




「…そうやね。」

197: 2015/04/28(火) 22:50:24.57 ID:82BiO4Ne.net
「私にとって…」

「凛も花陽も、やっとできた親友。」

「でも…」


「私が、こうしてここにいられるのは。」

「やっぱり、希のおかげなの。」



「…私を、μ'sと引き合わせてくれて。」

「μ'sに、入れてくれて。」


「ありがとう。」


「…希。」



「私にとって、希は。」

「かけがえのない、親友なんだから。」



「真姫…ちゃん…ッ。」



「…ほら、泣かないの。」

198: 2015/04/28(火) 22:51:02.54 ID:82BiO4Ne.net
「きっと、こんなこと言えるのも。」

「みんなで、海を見たから。」


「…私の、不器用なプライドも。」

「きっと、小さくなったから。」


「…ふふっ。」

「そしたら、毎日海に来ないとね。」


「…それが出来れば、苦労しないわよ。」


「「…」」

「「…ふふっ。」」



「…希。」


「…ん。」


「絶対…優勝するわよ。」

「うん、頑張ろう。」


柔らかい言葉とは裏腹に、ウチらは


強く、強く…手を繋いだ





ラストライブまで、あと---

199: 2015/04/28(火) 22:52:39.77 ID:82BiO4Ne.net
今日はここまで
11話が終わって、気付けばあと2話
これも終わってしまうのかと、少し寂しいです

それでは、ラストライブまであと1週間
また、明日
【ラブライブ】希「私がウチになれたのは。」【完結】

引用: 希「私がウチになれたのは。」3