1: 2009/04/28(火) 22:33:26.49 ID:Y3SfLmYJ0
時間ができたからちまちま書きます

9: 2009/04/28(火) 22:40:57.41 ID:Y3SfLmYJ0
今日は勉強会ということで、巴がジュンの家に来た。

「ま、まぁ適当にくつろいでてくれ 紅茶でも淹れてくるよ」

そう言ってジュンが部屋を出て行く。

「ふぅ・・・・・・ ここがジュン君の部屋かぁ」

久しぶりに入るジュンの部屋に、少々緊張する巴。

「翠星石の部屋でもあるですぅ!」
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11: 2009/04/28(火) 22:43:23.89 ID:Y3SfLmYJ0
翠星石がひょこっと鞄の中から姿を現す。

「あ、こんにちは」

巴が翠星石に挨拶をする。

「こんにちはじゃねえですぅ! お前がチビ人間をたぶらかしたせいで・・・・・・!」

翠星石が「ムキーッ!」と言いながら怒り出す。

「私のせいで、何?」

15: 2009/04/28(火) 22:47:21.71 ID:Y3SfLmYJ0
「え・・・・・・何って言われても困るですぅ」

真剣に返されるなんて思ってもみなかったのだろう、翠星石が戸惑う。
しかし、すぐに怒りを思い出し反撃に出る。

「す、翠星石は知っているですぅ!」

「・・・・・・何を?」

巴はあくまでも冷静に反応する。

「お前がチビ人間にまだ返事を返して貰ってねえことですぅ!」

19: 2009/04/28(火) 22:51:15.43 ID:Y3SfLmYJ0
「もしかして・・・・・・あなたもジュン君が?」

「な・・・・・・! 何を言い出すかと思えばッ!」

翠星石は否定するが、諭すように巴が話す。

「そう・・・・・、あなたも彼のことを・・・・・・」

「ええ、確かに私はまだジュン君に返事をして貰っていないわ」

翠星石が小さく「ほらみろですぅ!」とつぶやく。

24: 2009/04/28(火) 22:56:10.77 ID:Y3SfLmYJ0
「紅茶淹れたぞー」

ジュンの声が聞こえたのと同時にドアが開く。

「なッ! 翠星石いつからそこにいたんだッ」

突然で隠れる暇も無かったため、翠星石がビクッと一瞬震える。

「こ、ここは翠星石の部屋でもあるですぅ!」

威勢良く言い放ったものの、翠星石の目は明後日の方向を見ている。
これを見て、確実に焦っているとジュンが気づく。

26: 2009/04/28(火) 23:00:57.58 ID:Y3SfLmYJ0
「まさか・・・・・・、巴に迷惑かけたんじゃぁないだろうな?」

「彼女は私と喋っていただけよ」

巴に庇われるなんて夢にも思っていなかったであろう、翠星石はジーッと巴を見る。

「ふんッ!」

翠星石が鼻息を荒くした。

「あんまり迷惑をかけるんじゃないぞ、翠星石」

ジュンが軽く注意をする。

28: 2009/04/28(火) 23:05:35.34 ID:Y3SfLmYJ0
翠星石とジュンのやり取りをジーッと眺める巴。

「ジュン君、台所を貸して」

巴が言うと、翠星石がその意図に気づく。

「ぬ、抜け駆けは許さねえですぅ!」

「あ、あぁ 別に使う分には構わないけど」

ジュンが答えるのを聞いた瞬間に2人は部屋を飛び出した。

「・・・・・・勉強は?」

32: 2009/04/28(火) 23:09:28.81 ID:Y3SfLmYJ0
台所は、もはや戦場と化した。

「奇遇ですねぇ お前もスコーンを焼くですかぁ?」

翠星石が不敵に笑う。
それもそのはず、翠星石はスコーンを焼くのが世界一だと自負していた。

「あなたもスコーンを焼くの?」

巴が少し驚く。

「翠星石と言えばスコーン、スコーンと言えば翠星石ですぅ」

36: 2009/04/28(火) 23:11:12.71 ID:Y3SfLmYJ0
2人とも直接的な妨害はしないものの、台所はピリピリとした緊張感に包まれた。

「ほら、翠星石は心優しいですから女人間に先に焼く権利を譲ってやるですぅ」

翠星石がオーブンを指差す。

「あら、ありがとう」

巴がオーブンにスコーンの生地をいれ、スイッチを押す。

「イーッヒッヒッヒ! これで焼きたては翠星石が貰ったですぅ!」

翠星石の高らかな笑い声がキッチンに響く。

40: 2009/04/28(火) 23:15:31.18 ID:Y3SfLmYJ0
「私のスコーンでジュン君のお腹いっぱいになるかしら」

巴がボソッとつぶやくと、翠星石の笑いが止まる。

「なッ・・・・・・! 騙しやがったですね!?」

巴がニコッと微笑み、

「最初を譲ってくれてありがと、心優しい翠星石さん」という。

翠星石が再び怒りで「ムキーッ!」と言い出す。

42: 2009/04/28(火) 23:19:09.90 ID:Y3SfLmYJ0
翠星石の声を聞きつけて、ジュンが降りてくる。

「ど、どうしたッ!?」

「チ、チビ人間は・・・・・・、お腹すいてるですか?」

翠星石が少々涙目になりながら尋ねる。

「あ、あぁ・・・・・・ 部屋の片付けに追われて昼飯食べてないし・・・・・・」

これを聞き、翠星石が巴を向いてニコッと微笑む。

「焼きたてありがとうですぅ」

45: 2009/04/28(火) 23:23:50.92 ID:Y3SfLmYJ0
やがて、巴のスコーンが焼きあがる。

「ジュン君、これでも食べながら勉強しましょ」

「美味しいかどうか分からないけど」と、顔を赤らめながら付け足す。

「あ、あぁ・・・・・・ そうだな」

「こ、こらッ! 翠星石のスコーンが焼きあがるまで待てですぅ!」

と翠星石が言ったときには既にドアが閉まった後だった。

48: 2009/04/28(火) 23:27:05.84 ID:Y3SfLmYJ0
「ジュン君、おいしい?」

巴がジュンをまっすぐに見ながら聞く。

「うん、とても美味しいよ」

ジュンが口にスコーンを詰めたまま返事する。

「喉に詰まるといけないわ 紅茶も飲んで」

巴が紅茶を差し出す。

「お、 ありがとう」

50: 2009/04/28(火) 23:30:14.59 ID:Y3SfLmYJ0
「スコーン持ってきたですぅ!」と言いながら威勢良くドアが開く。

翠星石の手には、ジュンが今食べた量の軽く倍はあるだろうスコーンが皿に乗っていた。

「あの、翠星石さん・・・・・・?」

翠星石がジュンの机に皿を置く。

「もちろん・・・・・・食べてくれるですよね?」

目をうるうるさせながら、ジュンに言う。

57: 2009/04/28(火) 23:34:05.26 ID:Y3SfLmYJ0
結局、ジュンは翠星石の持ってきたスコーンも全部食べた。

「ど、どっちが旨かったですぅ?」

ゲフ、と息をつきながらジュンが言う。

「どっちも旨かったよ・・・・・・ もう食えん、クエン酸」

翠星石が顔をしかめる。

「ちゃんとハッキリしやがれですぅ!」


>>51
続き物なんです ごめんなさい

59: 2009/04/28(火) 23:36:54.10 ID:Y3SfLmYJ0
「仕方ないだろ、本当に2人とも旨かったんだから」

ジュンがお腹をさすりながら言う。

「ジュン君、大丈夫?」

巴がジュンの肩にくっ付く。

耳を澄ませばお互いの呼吸の音さえ聞こえてきそうなくらいに。

「だ、大丈夫だよ・・・・・・」

61: 2009/04/28(火) 23:39:12.28 ID:Y3SfLmYJ0
2人だけの空間が出来上がった。

怒りと悲しみと何かでワナワナと翠星石が震える。

「う・・・・・、うぐッ・・・・・・ひっく・・・・」

翠星石が泣いている事に、2人とも気づかない。

「・・・・・くやしいですぅ! くやしいですぅ!」

63: 2009/04/28(火) 23:42:49.88 ID:Y3SfLmYJ0
「お前らくっつきすぎですぅ!」

翠星石が顔を耳まで真っ赤に染めながら止めに入る。

「あ・・・・・・、巴ごめん」

ジュンが巴から離れる。

「私は気にしないわ」

翠星石が大きく声を張り上げる。

「翠星石が気にするですぅ!」

64: 2009/04/28(火) 23:47:42.00 ID:Y3SfLmYJ0
翠星石が「ハァ・・・・・・ハァ・・・・・」と息を荒くする。

目には涙が溜まっていた。

「翠星石・・・・・・?」

多分、翠星石は気づいたのだろう。

ジュンの「巴が好き」と「翠星石が好き」の違いに。

「ふんッ! つまんねえですぅ!」

65: 2009/04/28(火) 23:50:13.03 ID:Y3SfLmYJ0
バタンッ! と大きな音を立てて翠星石が部屋から出て行く。

「どうしていきなり怒り出したんだろうなぁ」

ジュンが不思議そうにドアを見つめる。

「ジュン君、聞いて欲しいことがあるの」

巴がジュンの手を取り、ギュッと握る。

「ん、どうした?」

冷静を装うものの、手から伝わるジュンの鼓動は正常じゃなかった。

66: 2009/04/28(火) 23:53:09.60 ID:Y3SfLmYJ0
「私はジュン君が好き」

ジュンの手から汗が出る、しかし巴は手を離さない。

「何度だって言うわ 私はジュン君が好き」

お互いに顔を赤色に染める。

「この前の返事だけど・・・・・・」

ジュンがようやく口を開く。

ジュンもしっかりと手を握り返して。

69: 2009/04/28(火) 23:57:58.73 ID:Y3SfLmYJ0
帰り道、巴はジュンと手をつなぎながら帰った。

「これからは毎日手をつないでもいい?」

巴が尋ねる。

「あぁ、僕なんかでよければ」

ジュンが素っ気無く答える。

「私達、大人になってもこうしていられたらいいなぁ」

fin

オチの弱さに定評のある>>1の提供でお送りしました。

翠星石がどうなったかはまた思いついたら書きます。
思いつかなかったら書かないけどぉっぉお!

巴の口調に違和感あるのは気にしないで欲しいですNE!

文才が欲しい。

71: 2009/04/28(火) 23:59:04.51 ID:M/2Ujbsj0
もどかしいが乙と言わざるおえない

78: 2009/04/29(水) 00:11:23.31 ID:7H47EGpe0

引用: 巴「そう・・・・・・、あなたも彼のことを・・・・・・」