178: 2014/07/26(土) 22:51:12.96 ID:FgCk1PH8o
ちょっと遅い時間にこんばんは


シリーズ最初へ:【艦これ】提督「暇っすね」
前回:【艦これ】提督「暇っすね」part5


179: 2014/07/26(土) 23:10:00.69 ID:FgCk1PH8o
-演習場-

鈴谷「それっ!」


ボボボン


鈴谷「やっりぃー♪」

熊野「まだまだですわね。それっ!」


ボンボンボン ボボボボン


鈴谷「うげっ…すご!」

熊野「いい?狙いを定めるときは、こう…脇を締めて、砲撃の反動を体で吸収出来るようにするんですわ」

鈴谷「ほぇー」

提督「実技指導感謝する」

鈴谷「あっ、提督!チーッス♪」☆(ゝω・)v

提督「だからそのチーッスやめろつってんだろ」ペシッ

鈴谷「あうち…!」

熊野「あ、提督。改めて、今回は助けて頂いてありがとうございます」ペコリ

提督「他人行儀過ぎだ。そんな畏まるな。最も鈴谷はこれくらい畏まってくれるほうがいいんだがな」

鈴谷「えー、それ鈴谷のキャラじゃないしー」

提督「ったく…熊野、さっき病院から連絡貰ってな。阿賀野、意識が戻ったそうだ。体調も良好で快方に向かっ
てる。そんな訳だから今から見舞いに行くがお前も来るか?」

熊野「ほ、本当ですの!?」

提督「ああ」

熊野「あ、あの…その、中将提督は…」

提督「そちらはまだ、依然として意識は戻ってない。だが、医師の話では時間の経過に伴って意識は戻るだろう、
とのことだ。致命傷を避けてたのが功を奏してたそうだ」

熊野「そうでしたの…」

提督「取り敢えず陸路を使っていくから、行くなら準備してくれ。玄関で待ってるぞ」

熊野「は、はい!解りましたわ!」
艦隊これくしょん -艦これ- 海色のアルトサックス(4) (角川コミックス・エース)
180: 2014/07/26(土) 23:30:13.27 ID:FgCk1PH8o
-艦娘病院-

受付「…はい。提督鎮守府、提督大佐様ですね。面会先は……先輩鎮守府に籍を置かれている阿賀野型軽巡洋艦
一番艦の阿賀野さん、ですね」

提督「ええ、そうです」

受付「はい。受付の受理、完了しました。A棟5Fの504号室になります。面会時間は夕方の18時までになりますの
で、お時間のほうお気をつけ下さい」

提督「解りました。熊野、いくぞ」

熊野「はい」


コンコン ガラ…


阿賀野「あ…」

熊野「阿賀野さん、良かった…」

提督「寝てなくていいのか?」

阿賀野「はい、今は…」

提督「そうか、ならいいんだがな」

阿賀野「提督大佐、それに熊野さん…私……」

提督「今は何も言うな。俺が言えるのはお前が無事で良かった。ただ、それだけだ。暫く俺は席を外してる。少
し寄る所もあるからな」

阿賀野「あ、あの…!」

提督「ん?」

阿賀野「話は、大本営の方から伺ってます。先輩提督のこと、本当にありがとうございます」

提督「お前は他人の心配より、まずは自分の心配だ。その気持ちは受け取っておくがな」

阿賀野「は、はい…///」

提督「それじゃ、阿賀野の退屈凌ぎに熊野置いてくから有効活用してくれ」

熊野「わ、私は物ではありませんわよ!?」

阿賀野「うふふ」

提督「はは、そいつは悪かった」

181: 2014/07/26(土) 23:54:45.77 ID:FgCk1PH8o
-特別病棟-

医師「元帥殿からお話は伺っております。提督大佐の面会は拒否しないようにと」

提督「仰々しいな…まぁ、あんま悪い気はしないけど。今意識が戻ってるのは誰ですか?」

医師「はい。金剛、霧島、筑摩の意識は戻ってます。三人とも始めこそ混乱していましたが、今は落ち着いてます」

提督「一同に面会は可能かな?」

医師「艤装は全て取り外してありますし、監視カメラも取り付けてありますから問題はありません」

提督「そうか。ならその三人を呼び出してくれ」

医師「では少々お待ち下さい」


コンコン


提督「どうぞ」

金剛「失礼しマス」

霧島「失礼、します」

筑摩「失礼致します」

提督「怪我も余り酷くないようで何よりだ」

金剛「あの……」

提督「まぁ待て。別に俺はお前達を咎める為に呼びつけた訳じゃない」

筑摩「ですが、私達は…」

霧島「ちゃんと、記憶にあるんです…言葉も、行動も、全て……」

提督「……なるほど。なぁ、霧島」

霧島「は、はい!」

提督「正直な話、お前や大鳳ほどの手練が丸め込まれたのが信じられん。同じように、金剛たちに戦力で劣って
いたとも考えられないんだよ。何故、先輩の鎮守府が崩壊したのか、その顛末を聞かせてくれるか。あの武蔵や
加賀をもってしても抑えることの出来なかった敵の戦力。断言するが、金剛たちだけでどうにかできるとは到底
思えない」

霧島「……深海、棲艦です。見た事もない種別でした。戦艦の艤装を備えているのに、航空戦や雷撃戦もこなす、
異様な深海棲艦でした」

提督「なんだと…?」

霧島「その深海棲艦とは別に、その深海棲艦達を指揮していた男が【姫】と呼んでいる深海棲艦が居ました」

提督「ひめ…?」

霧島「私や大鳳達は圧倒的な戦力の前に成す術もなく、大破にまで追い込まれました────」

182: 2014/07/27(日) 00:11:31.22 ID:+Gnzd1VVo
────────

────

──

霧島「ま、だ……負ける訳には……!」

後輩「粘るねぇ…ああ、うん。お前ともう一匹、あの装甲空母でいいかな…」


ガシッ


霧島「うぐっ…」

後輩「試験段階だけど、これで成功すればよし、しなくても…まぁ一時的な駒としては使えるかな?」

──

────

────────


提督「何かの試験薬を強引に服用させられた?」

霧島「はい…暫くして、体の自由が全く利かなくなりました。なのに、頭の中はクリアになり、体の痛みも全て
消えて、頭で考えていることとは全く別の思考が働き、言葉にしている状態でした。それでも、男は失敗かと…
吐き捨てる感じでした」

提督「金剛や筑摩も同じか?」

金剛「はい、そうだったと、思いマス」

筑摩「はい…」

提督「それが事実なら、比叡や翔鶴、大鳳、天龍に龍田も同様で間違いはなさそうだな」

金剛「あの、私達は、やはり……その……」

提督「解体処分なのか?って事か?」

金剛「」ビクッ

提督「元帥殿の言葉をそのまま伝える。今回起こした事件に関しては後輩が原因であることは疑いようもない。
それに従っていた艦娘達も、脅され、あるいは洗脳されていたとは言え、共に志を持つ仲間である艦娘達に牙を
向いた事に変わりはない。よって、いかなる理由がそこにあろうとも、今回の八名を無罪放免で許す訳には行か
ない。しかし、致し方なかったのも事実、故に……」

霧島「……」

筑摩「……」

金剛「グス……」ポロポロ

提督「……今回の八人の処分は特例として、提督鎮守府・提督大佐に判断の全てを委ねる」

金剛「ぇ……?」

提督「元帥殿の真意は、正直こういう決断って心労に負担がハンパないから自分で決めたくない。今回事件の渦
中にいた俺に決定権上げるから、泥被ってチョンマゲってことだ」

霧島「チ、チョンマゲ?」

提督「無罪放免にすれば周りの鎮守府の反感買うだろ?」

筑摩「そ、それは、まぁ…」

提督「だからと言って、解体処分にすると今度は人権団体がギャーギャーと煩い。艦娘にだって人権が云々って
そりゃあもう烈火の如く、鬼の首でもとったみてぇに煩い。でな、近々うちの鎮守府は今回の事件の沈静化に一
役買ったって事で、元帥殿からの報奨として可能な範囲でこっちの要望を呑むって内容のものを契約書として頂
く事になった。その要望ってのが、鎮守府の増設とリニューアルだ。中将鎮守府の再建は正直時間が掛かる。同
じ理由で後輩鎮守府のほうも再建と再構築には同等かそれ以上に時間が掛かるだろう。それまでの間、龍驤、熊
野、阿賀野とお前達を含めた十一名をうちで預かることになった」

183: 2014/07/27(日) 00:16:44.17 ID:+Gnzd1VVo
霧島「それは、一体…」

提督「今回のお前達の様子を観察して問題ないと判断したから決めたことだ。意識が回復して他の五人も起きた
らお前達から伝えておけ。あと聞いておきたいことはあるか?」

金剛「あの、だけど、私達は皆さんにヒドイことしてマス。それなのに…」

提督「はぁ…うちの艦娘たちはそこまで心狭かない。何より、うちの秘書艦に懇願されちゃどうしようもない」

筑摩「秘書艦さん、ですか?」

霧島「長門さん、ですか?」

提督「金剛、比叡、霧島、お前達の姉妹だよ。榛名だ」

金剛「榛名が…?」

提督「洗脳されてたのなら彼女達自身に罪はないはずです。私は金剛お姉さまや霧島、勿論他の皆が自分の意思
でこんな事をしたなんてとても信じられません。だから、解体処分にだけはしないように、提督から何とか口添
えお願いできませんかってな。因みに発言まんま復唱してみた。目に涙いっぱい溜めてそんな事言われたら、聞
いてやらないわけにはいかんだろ。甘やかし提督No.1の称号は俺のものだな」


ガタッ


提督「取り敢えず今回はお前達の様子見と今回の処分についての通達だ。最も、これだけじゃただの異動となん
ら変わりはない。よって、これに付属させて処分を言い渡す」

金剛「は、はい」

霧島「謹んで受け入れます」

筑摩「異論は何もありません」

提督「よし。お前たち八人には、提督鎮守府着任後、鎮守府にいる皆に謝罪をすること。そして、言い渡される
任務は基本拒否権がないものとして受け入れること。規律にも無論従って行動してもらう。言ってる意味が解る
な?」

金剛「はい、理解してるデス」

提督「そうか。では次回は八人全員いる時に改めて挨拶に来る」

187: 2014/07/27(日) 19:36:35.37 ID:E0ISFZVio
-数週間後・鎮守府-

提督「……って事で、心機一転、鎮守府もパワーアップして施設や部屋なんかも増設、ついでにお前たちの宿舎
もバージョンアップしてもうなんか色々とヤバイ。ここまで変わるとは俺も想定外だった」

羽黒「先ほど神通さんと一緒にチラッと見ましたけど、宿舎がなんか、ホント凄かったです」

神通「あれは、凄かったですね。なんだか、新品!っていう感じで」

提督「まぁ、それらは前座だ。本命はそれに伴って、今回後輩鎮守府と先輩鎮守府に居た艦娘の行き場がないっ
てことで、うちで引き受ける事になったのは以前に話したな」

榛名「提督、ありがとうございます」ペコリ

提督「元帥殿から丸投げされた時点で決めてたことだったしな。あの日の戦いのことを忘れろとは言わない。だ
が、彼女たちも被害者だと言う事をお前たちにも解ってもらいたい。だから……」

北上「も~、話長いよ。そんなん、皆言われなくたって解ってるよ!」

木曾「へへっ、だな」

電「電達はいつでもうぇるかむ、なのです!」

夕立「賑やかになるのはいいことっぽい!」

提督「ったく、話の腰をそうやって折るなよ。ほら、皆入って来い」パンパン


ゾロゾロ


日向「こうして見るとまた一段と壮観なものだな」

提督「自己紹介は適当に済ませてくれ。ある意味顔馴染みばかりだろうしな。その後、龍驤、熊野、阿賀野以外
の八人は会議室に来るように。今後のことについて話をしておく。あぁ、あと…お前たち八人は言う事あるだろ
うから、そこはきっちり伝えておけよ。じゃ、後でな」

188: 2014/07/27(日) 20:38:20.30 ID:E0ISFZVio
-会議室-

金剛「失礼しマス」

提督「おう、きたか。入れ入れ」

金剛「……」ドキドキ

比叡「……」ソワソワ

霧島「……」ウツムキ

翔鶴「……」ウツムキ

大鳳「……」ソワソワ

筑摩「……」ドキドキ

天龍「……」ウツムキ

龍田「……」ウツムキ

提督「これまた、雁首揃えて見事に意気消沈だな。これから無茶振りな任務でも言われるかと気が気じゃないっ
て感じで、顔に出すぎてるぞ」

天龍「べ、別に怖いとかそんなんじゃ龍田「天龍ちゃん、言葉は流石に選ばないとダメよ~?」

天龍「ぐっ…す、すまん…」

霧島「大丈夫です。覚悟は、出来ています。南方方面の海域でも何でも、与えられた任務には従事します」

提督「あのな、なんかお前ら勘違いしてるみたいだけど、別にお前らだけでどこぞの深海棲艦がウジャウジャい
る海域にいって一団撃滅させるまで帰ってくるな、とかそんな無茶を言う気はない。むしろそんな事したら俺が
憲兵にしょっぴかれるわ」

比叡「で、でもですね…!」

提督「だー、もう煩い黙れ。でもでもだっては聞き飽きた。いいか、よく聞け────」

189: 2014/07/27(日) 21:07:11.33 ID:E0ISFZVio
俺がお前たちに望むのはこういう渦中にあっても腐らないで欲しいってことだ。

お前たちは常に完璧に全てをそつなくこなしてきたのか?そうじゃないだろ。

失敗も成功も全てを経験して、それらを糧にして今までを生きてきたんだろ。

だったら同じでいいだろ。望んでいなかったことに関してはお前たちではどうすることも出来なかった。

だから俺たちがどうにかした。後悔だけ残して勝手に腐るのは簡単だ。

だがな、腐ってるだけじゃ何にもならないんだよ。

挫けたなら前を向いてもう一度立ち上がって、一歩を踏み出さない限り、そのままなんだよ。

今のお前たちは挫けてもうダメだ、無理だ、諦めようって顔しかしてない。

どんな思いでお前たちの同志は果てていった。

どんな思いで今居る同志はお前たちを救った。

もうそろそろ目を覚ませ。甘ったれるのは今日までにしろ。

失ったものはどうしたって戻らない。だが残されたものがある以上、お前たちはそれを汲んで先へ進める。

その流してる涙があれば十分だ。誰もお前たちを責めたりはしない。だから前を向け。一歩を踏み出し先へ進め。


提督「と、まぁ言いたい事を言った所で改めて任務を伝える。今日より正式にお前たちにはこの鎮守府に着任し
てもらう。与える任務はただ一つだ。決して氏ぬな。この意味を一番理解しているのはお前たちも含めたこの鎮
守府の艦娘全員だ。さぁ、答えろ…この任務、完遂できるか?」

金剛「して、みせマス!当然ネ!」

比叡「必ず…完遂してみせます!」

霧島「お任せ下さい!」

翔鶴「期待に、お応え致します!」

大鳳「大丈夫…必ず成し遂げるわ!」

筑摩「勿論です!」

天龍「やってやる!ぜってぇに成し遂げる!」

龍田「ええ、勿論、私も成し遂げて見せるわ」

提督「よし、八名の艦娘諸君。よくぞこの鎮守府に着任してくれた。今後の活躍に期待する!」

190: 2014/07/27(日) 21:31:59.41 ID:E0ISFZVio
-ある日の執務室-

提督「あ゛ー、暇じゃねぇ」カキカキ

榛名「提督、前回の任務報告書は…」ポン サッ ポン サッ カタッ

提督「書斎棚の右上から三段目にファイルで纏めてある」カキカキ

榛名「あ、これですね」ガラッ スッ

提督「榛名、昨日の遠征の奴……」カキカキ

榛名「それなら提督の机一番下の引き出しに」ポン サッ ポン サッ

提督「お、あったあった」ガラッ バサッ


コンコン


提督「へーい」カキカキ


ガチャ


金剛「Hey!提督ぅ~、そろそろTea Timeの時間ネー!一緒にTea Timeするヨー!」

提督「無理」カキカキ

金剛「えっ」

提督「てか、榛名。これチャンスじゃね?」ピタッ

榛名「そうですね!」パタン カチャカチャ

金剛「No!榛名、何で鍵かけてますカー!?」

榛名「この時間、執務室に足を踏み入れてしまったのがお姉さまの不運と自身を呪って下さい」

金剛「What?」

提督「金剛、俺達のティータイムはヒトゴーマルマルではない。ヒトロクマルマルだ」

金剛「Why…?」

榛名「執 務 処 理 が 膨 大 だ か ら で す !はい、お姉さまもどうぞ!」バサッ

提督「す ま ん な 、 金 剛 !」ドサッ

金剛「えっと、あの…Oh!そうデス!ワタシ、急に用事が……!」

榛名「逃げ場、ありませんよ、お姉さま」ニコッ ササッ

提督「いやー、悪いな、金剛。手伝ってくれて」ニコッ ガシッ

金剛「」

191: 2014/07/27(日) 22:23:52.34 ID:E0ISFZVio
-休憩所-


ノオオォォォォォォォ……!!


羽黒「」ビクッ

飛鷹「出たわね、犠牲者」

阿賀野「ぎ、犠牲者って…」

瑞鳳「は、ははは…」

響「魔の一時間と言われる時間帯があるのさ…」トオイメ

大鳳「今の悲鳴、金剛さんですね。あ、羽黒さん、お茶のおかわり良いですか?」

羽黒「あ、はい。淹れてきますね」

夕立「ヒトゴーマルマルに執務室に足を踏み入れると、提督さんと榛名さんの餌食になるっぽい」

比叡「お姉さま、許してください…」←事前に情報仕入れてた奴


時雨「……」ペラ…ペラ…

霧島「時雨?」

時雨「ん…あぁ、ごめん。夢中で…何か用かな?」

霧島「いえ、読書が好きなのかなと」

時雨「うん、大好きだよ。本の世界は一つじゃない。数多の世界が広がっていて、その世界に自分を置き換えて
第三者の視点から客観的に見るのが好きなんだ」

霧島「今度お部屋にお邪魔してもいいかしら?どんな本を読んでるのか興味があるの」

時雨「勿論、大歓迎さ」

霧島「ふふ、ありがとう。因みに今は何を?」

時雨「ああ、これかい?これはね……」

192: 2014/07/27(日) 23:02:10.38 ID:E0ISFZVio
暁「むー…!」

天龍「へっへっへ」

電「……!」ドキドキ

龍田「……」ニコニコ

翔鶴「これ、美味しいですね」モグモグ

赤城「こっちにクッキーもあります」モグモグ

島風「もーっ!暁ちゃん、おっそーい!」

暁「う、うるさいわね!こ、これは戦略なのよ!」

天龍「オラオラ、どーした?」ニヤニヤ

暁「こ、これよっ!」ビッ

天龍「あ゛……」

暁「やったー!そろったわ!あっがりー!」キラキラ

天龍「うおおおお、またオレかよ!」ダンダン

龍田「あらあら~、これは天龍ちゃん、また罰ゲームね~?」ガシッ

天龍「あ、て、てめぇ!龍田、放しやがれ!」ジタバタ

暁「いくわよ、電、島風…」リョウテワキワキ

電「むふふふふ…電の本気をみるのです」ワキワキ

島風「それじゃ、いっくよー!せーの……!」ワキワキ

天龍「は、放せ…!放せーっ!!」ジタバタ

龍田「あらあら、暴れると危ないわよ~?」ギュッ


ドタン バタン


翔鶴「赤城さん、このお煎餅もいいですよっと、危ない」ヒョイッ

赤城「はぁー、ありがとうございます!お礼に私のお饅頭を…っと、駆逐艦の子達は元気ですね」サッ


アッ…ヤメ……ッウヒャヒャヒャヒャヒャ!! ヤ、ヤメロ……イキ、クルシ……ウヒヒヒヒヒ……


天龍「」ゲッソリ

龍田「あら~、ちょっとくすぐり過ぎたかしら?」

暁「はぁ~、楽しかった」マンゾク

電「このすりるがたまらないのです」テカテカ

島風「さてと、連装砲ちゃんのお手入れしてこよっと!」

赤城「はぁ、お茶が美味しいです」

翔鶴「平和で何よりです」

197: 2014/07/28(月) 20:13:01.89 ID:mc3+P2QNo
-花壇-

阿武隈「~~♪」

北上「な~にしてんの、阿武隈っち」

阿武隈「見れば解るじゃないですか。お花に水遣りです」

北上「そっかー、じゃあ私も手伝…阿武隈「結構です!」

北上「な、なんでさ…」

阿武隈「そもそも花に水をあげるのになんでホースの口を潰してるのか…既にそこから意味不明です!」

北上「ちっ、カンが鋭くなってるな…」ボソッ…

阿武隈「舌打ちも愚痴も全部聞こえてますけど!?ホント信じられない…」

日向「君は相変わらずだな、北上」

北上「うおっ、花壇にいるとかそっちこそちょーレアじゃん」

日向「失敬な。私だって花くらいは愛でるさ。阿武隈、こっちの水遣りは終わったぞ」

阿武隈「あっ、ありがとうございます!」

日向「このガーデニングと言うのは楽しいものか?」

阿武隈「あたし的には、ですけど」

日向「ふむ、こういう経験も必要だ。是非とも教えてもらおう」

阿武隈「はい、オッケーですよ!」

北上「私の居場所なっしんぐ」

日向「なら北上も一緒にどうだ?」

北上「えっ!?いや、私そういうの苦手だし…」

日向「苦手なままは良くないな。安心しろ、私も今日が初体験だ」

北上「む~、まぁいっか」

198: 2014/07/28(月) 20:46:28.31 ID:mc3+P2QNo
-砂浜-

龍驤「いくでー!」

筑摩「ええ、いつでもどうぞ」

長門「うむ!」

陸奥「うーん、ちょっと動きにくい。サイズ間違えたかしら…」

神通「ちょっと、恥ずかしいですね…」

利根「な~にを言うか!もっとドーンと、ドーンと構えておれば良いのじゃ!」

川内「うぅ、眩しい…もう、今すぐにでも部屋に篭りたい…」

木曾「今日の晩飯デザートがかかってんだぞ!気合いれろ、川内!」

川内「夜なら元気あるんだけどさー…」

長門「おい、龍驤」

龍驤「んお、なんや?」

長門「勝てばアイス…とは本当だろうな」

陸奥「そこ重要よ?」

龍驤「ウチはしょーもない嘘は言わへんで!ほな、いくでぇ…それっ!」パシッ

木曾「っしゃー!そんなヘロヘロのサーブ、この木曾様が、はぶっ!」ドサッ

利根「ぬおおお、木曾!何をしておるのじゃ!ああああ…!」


ポスッ


筑摩「苦せずにまずは一点ね」

龍驤「ふっふっふ…」

長門「アイス、アイス、アイス、アイス…」ブツブツ

陸奥「」(これ、勝てなかったら姉さん主砲乱射事件起こしそうね…)

199: 2014/07/28(月) 21:30:23.66 ID:mc3+P2QNo
-夕方・執務室-

榛名「おわっ……」バンザイ

提督「ったぁーーーっ!!」ガッツポーズ

金剛「無理デース…もう、虫の、息…デース」グデーン

提督「はぁー、肩凝るし腰いてぇし、長時間こんなことやるもんじゃねぇな」ノビノビー

榛名「いやー、今回は金剛お姉さまのお陰でヒトロクマルマル、ジャストですよ!ジャスト!」

提督「だな!いやー、金剛お前何気に要領良くて助かったぞ」

金剛「今なら海の底に沈めそうな気がしマース…」グッタリ

提督「ははっ、お前は大袈裟だな。それより金剛、今度こそ楽しいティータイムといこうじゃないか」

金剛「Oh!Tea Timeですカー!?」ガバッ

榛名「ふふっ、それじゃ私は何かお菓子を用意しますね」イソイソ

金剛「Hey、榛名!紅茶に合うのをお願いするデース!」

提督「お、金剛のティータイムは紅茶なのか」

榛名「お姉さまは紅茶にうるさいんです」

金剛「今回はダージリンティーにしてみたデース。セカンドフラッシュ、なので少し渋みあるかもデース」

提督「セカンドフラッシュ?」

榛名「夏摘み、の意味です。ファーストフラッシュは春摘み、秋摘みはオータムナルって言うんですよ」

金剛「ダージリンティーは世界最高と称されるその香りが特徴的ネー。紅茶のシャンパンって言われてるヨ!」

提督「紅茶のシャンパンか、凄いな」

金剛「さぁ、どうぞ!」カチャ

提督「へぇ、綺麗なオレンジ色だ。それに香りもいい。いつも珈琲だったんだが、紅茶もこれはこれでいいかも
しれないな」

榛名「さぁ、それじゃ少し遅いですが休憩としましょう!」


新しい鎮守府で新しい仲間を加え、今日もとある鎮守府は前と変わらず日々を過ごす。

200: 2014/07/28(月) 22:21:41.70 ID:mc3+P2QNo
閑話休題




~神通~




-仁義礼智信-

201: 2014/07/28(月) 22:33:58.10 ID:mc3+P2QNo
神通「あ、提督、おはようございます」

提督「おお、おはよう。早起きだな」

神通「そうですか?普通、だと思いますが…」

提督「お前を見習えと、是非川内に言ってくれ」

神通「せ、川内姉様は…あはは…」ニガワライ

提督「それより、前の怪我はもう癒えたか?」

神通「はい、正直本調子ではありませんが、演習などを行う分には…」

提督「そうか…」ニコッ

神通「あ、あの…なんですか?」

提督「はは、いやな、お前と初めて会った時をちょっと思い出してた」

神通「あ……///」セキメン

提督「あれは流石にショックだった」

神通「も、申し訳ありません」ペコペコ

提督「同時に、今のお前が本当のお前なんだなってのも解って嬉しいけどな」

神通「本当の、私…ですか」

提督「ん?」

神通「あ、いえ…えっと、今日は炊事の当番なので間宮さんのお手伝い、行ってきます」

提督「おお、そうか。いってこい」

神通「はい、失礼します」ペコ

202: 2014/07/28(月) 22:52:42.97 ID:mc3+P2QNo
-道場-

神通「…………」

提督(今のお前が本当のお前なんだなってのも解って嬉しいけどな)

神通「……本当の、私……私は、本当の私は、勇敢でもなんでもない、ただの臆病者です……」

提督「お、いたいた」

神通「……!」

提督「あ、すまん。禅の最中だったか」

神通「ぁ……いえ、大丈夫です」(き、聞かれてないですよね…)

提督「最近はいつもここにいるのか?」

神通「はい、こうしていると心が落ち着きます」(今は、乱れているのでしょうか…)

提督「赤城も似たようなこと言ってたな。あいつは海が見える庭先でやってたが」

神通「あの、提督は、何をしに?」

提督「ん、お前と話をしに、かな」

神通「え?」

提督「ん?なんだ、変か?」

神通「あの、なんで私なのかなと…」

提督「ダメか?」

神通「い、いえ!ダメだなんてそんな!」アタフタ

提督「神通とはゆっくり話、したことなかったからな。あとは、そうだな…悩み事の相談、とかか」

神通「へ…?」

提督「ふふ、そんな顔してたぞ」

神通「はぁ、提督に隠し事とかきっと無理なんでしょうね」ニガワライ

提督「まぁ、誰しも悩みの一つや二つはあるだろ。俺だってあるんだぞ」

神通「そう、なんですか?」

提督「おう。毎日毎日書類書き、常に榛名に監視されて少しでも手を止めようものなら『提督!榛名はサボった
りすることは許しませんよ!』ってブツブツ言われるし、一日ずーっとグータラしたいのにさせてもらえないし
で、ストレスは溜まる一方だ」

神通「それは、悩み…なんでしょうか…」

提督「ん、まぁ…愚痴、とも言うな」

神通「ぷっ、ふふふ…」

提督「ははは」

神通「それじゃ、少し、話を聞いてもらえますか?」

提督「ん?」

神通「どうせですから、少し歩きながらにしましょうか」

提督「散歩しながらか、いいな」

207: 2014/07/29(火) 18:53:57.78 ID:n144Rk/mo
-湾岸-

神通「あ、提督、見て下さい。トビウオです」

提督「おぉ、って…あんな遠いところでビチビチやってんのが見えるのか…」

神通「提督見えませんか?」

提督「俺にはなんか波立ってるようにしかみえんぞ…」

神通「そうですか…」シュン

提督「でも海はいいよな。広いし、風は気持ち良いし…」

神通「私は、余り好きじゃありませんでしたね…」

提督「え?」

神通「怖かったんです。この海と、深海から現れた深海棲艦が、怖かった」

提督「だけど、コロンバンガラじゃ先頭に立って奮戦したんだろ?」

神通「我武者羅でした。皆を守ることに必氏でした。矢尽き刀折れようと、最後まで立ち続ける覚悟で…」

提督「それが、どうして怖いに繋がるんだ」

神通「誰かの犠牲の上に立つのが、私は怖いのかもしれないです」

提督「そうか…なら───」

神通「……?」

提督「───戦いのない、こんな生活とは無関係の、普通の女の子に戻してやろうか…」

神通「……え?」

提督「…って言ったら、お前は頷くか?お願いしますって」

神通「そんな……」

提督「ぷっ、はっは、そんな不安そうな顔するなよ」

神通「だ、だって…!」

208: 2014/07/29(火) 19:35:02.48 ID:n144Rk/mo
提督「誰だって怖いよ。それが当然だ。怖くない奴なんているものか」

神通「提督は、強いですね…」

提督「強いとか弱いとか、お前たちはよく口にするな」

神通「えっと…」

提督「じゃあ聞くが、強いってのは何が強いのかな。そして、弱いってのが何が弱いのかな」

神通「それ、は…意思の、強さとか、あるとおもいます」

提督「意思の強さか。神通は自分の意思を持ってないのか?」

神通「自分の意見を持ってるかどうか、と言う意味でなら自分の意思はあると思います」

提督「なるほど。じゃあ弱いってなんだろうな」

神通「やはり、気持ちが弱いとか…色々あるとおもいます」

提督「神通は気持ちが弱いのか?」

神通「……わかりません」

提督「なんだ、解らないのか」

神通「……」

提督「でもまぁ、少なくとも神通が弱いってことはないんじゃないかな」

神通「そんなこと…」

提督「ないか?……強い弱いの解釈ってのは今、神通が答えられないように、俺にも答えられない。明確な答え
ってのが存在しないんだよな。仁義礼智信って言葉を知ってるか?」

神通「じんぎ、れいちしん…?」

提督「仁とは人が守るべき理想の姿也。義とは人の歩むべく正しき道の事也。礼とは礼儀正しき事也。智とは人
事、物事の善悪の成否を判断できる力の事也。信とは誠を尽くし、偽らず欺かぬ、立てた誓いを破らぬ信頼の証
その事也。まぁ、俺が教わった五訓と呼ばれる誓いだな。迷いがあるならこれを実践して見ろ。意外と難しい」

神通「難しい…?」

提督「人は人を容易く見限る。また人の道を容易く踏み外し、礼を欠いて、物事の善悪の境界で常に彷徨う。し
まいには約束を簡単に破り、嘘をついて、欺いて、人をあっさりと奈落へ陥れる。これを人は心の弱さから……
なんて揶揄して一言で片付ける。そうじゃない…心が強い者でも簡単に堕落する。むしろその方面に心血を注ぐ
ような、誤った芯を立てる者すら居る」

神通「そんな、簡単に…?」

提督「そうだ。だが難しく考えるな。常にお前は然として在れ。普段通りのお前で良い…金剛たちと戦ったとき
のお前はまさに仁義礼智信、その全てを体現していた。身を呈し仲間を守り、歩むべき正しき道を行き、仁を明
確な行動として体現し、その場においての善悪をきっちりと見分け、自らを盾とし、仲間を矛に変え、その仲間
を信じ抜いた。俺との約束を、ちゃんと守った。だからそれでいいじゃないか」

神通「仁義礼智信…」

209: 2014/07/29(火) 20:09:42.87 ID:n144Rk/mo
提督「ほら、最近の映画でもなんかやってたろ…えーと、なんだっけ…ありの~、ままの~って…」

神通「……ぷっ」クスッ

提督「な、なんだよ」

神通「提督、歌…下手です…」クスクス

提督「ばっ、おま…あのね、俺は歌手じゃないから下手でもいいんだよ!」

神通「不思議ですね、提督とこうしてお話してるとなんだか自分が悩んでるのが空しく思えて…」

提督「それは何か、俺が何も考えてないみたいじゃねぇか」

神通「そうですね、じゃあ…提督は何も考えてない、と言う事にしておきましょうか?」

提督「こいつ…」ワシャワシャ

神通「きゃっ、うふふ。もう、止めて下さい、髪の毛クシャクシャになっちゃいますよ」

提督「いいや許さん。両手でやってやる!」ワシャワシャワシャー

神通「ああん…もう、怒りますよ!」

提督「おうっ、怒れ怒れ!ははは…!」

神通「うぅ、もう…!なら、こうしてやります!」バッ ガシッ

提督「え……?」ブワッ

神通「えいっ」ブンッ

提督「おおおぉぉぉっ!?」


ヒューン ザッッッバアァァァァン


提督「ぶはっ…!お、お前なぁ!上官を海に投げ飛ばす奴があるかぁぁ!?」ザバザバ

神通「海ぃー!好きなんですよねぇー!?」

提督「くっそ…神通の奴、いつの間に柔道なんて…お、おい!神通!!」ザバザバ

神通「はぁーい?」

提督「お前ぇ!覚えてろよ!!」ザバザバ

神通「ごめんなさぁーい!波の音でぇー!聞こえませぇーん!うふふっ…」

提督「ははは…はぁ、しっかしこれ…戻ったら遊んでないで仕事して下さいって怒られるんだろうなぁ…」ザバザバ


~神通~ -仁義礼智信- 完

210: 2014/07/29(火) 20:10:19.12 ID:n144Rk/mo



~大鳳~



-存在の証明-

211: 2014/07/29(火) 20:45:27.55 ID:n144Rk/mo
大鳳「……」


タッタッタッタッタ


大鳳「ふぅ、はぁ…タイム、落ちてる…もう一度…」グッ ダッ


タッタッタッタッタ


大鳳「はぁ、はぁ、はぁ……どうして…」

提督「よう、大鳳」

大鳳「あっ、はぁ、はぁ…て、提督…」

提督「お前、いっつもこうやって走ってるのか」

大鳳「ふぅ……はい、走り込みもそうですが、体力作りは基本中の基本です。朝ごはん前に軽く流す程度、筋ト
レでもいいのでやると食事の消化にもいいですね」

提督「はぁ、なるほどねぇ…てか、呼吸整えるのはや…」

大鳳「それで、私に何か用でもありましたか?」

提督「ん、いやまぁこれといってある訳じゃないんだが、執務室の窓からお前が走ってるの見えたんでな」

大鳳「そ、そうでしたか。見苦しいところを見られてしまいました。しかし、提督もたまには体を動かすことを
お勧めします。やはり基本となる体力はいざと言うとき、自らを裏切りませんから!」

提督「に、苦手なんだよなぁ…その、運動とかそういうのは…」

大鳳「…?神通さんや夕張さんから聞きましたが、剣道には精通してると伺いましたが…」

提督「精通しちゃいるが、今はやなの」

大鳳「む…意外と意固地ですね。いいでしょう。不肖、この大鳳が微力ながらでも運動の素晴らしさを提督へお
伝えさせて頂きます!」

提督「はい…?」

大鳳「さぁ、提督!そうと決まればまずはストレッチ体操です!」

提督「いやまて、大鳳。俺、今言ったよね?やらn大鳳「聞こえません!」

提督「まじかよ…」

212: 2014/07/29(火) 21:10:55.88 ID:n144Rk/mo
-運動場-

提督「やって参りました…運動場…」ドンヨリ

大鳳「何をブツブツ言ってるんですか?」

提督「いや、気にしないで」

大鳳「さあ、ストレッチ体操が終わったら早速走り込みです!」

提督「やれやれ…こうなったらトコトン付き合うか」

────────

────

──

提督「ゼェ、ハァ、ゼェ、ハァ…」

大鳳「提督、体力が落ちてるのではありませんか?」

提督「はぁ、はぁ、お前の、だな…速度に、合わせて、走ったら……誰でも、ゲホッ、こうなるわ…」

大鳳「さぁ、休憩終わりですよ!」

提督「へ…?」

大鳳「次は腹筋二十回を三セットです!」

提督「ま、まじか…」

大鳳「さぁ、いきますよ!」

提督「えぇい、こなくそ…!」


大鳳「はい、お疲れ様です!」

提督「ハヒィ、ハヒィ……し、氏ぬ……」

大鳳「少しは体力付きましたか?」

提督「そんな瞬発的についてたまるか……」

大鳳「あ、もう直お昼ですね」

提督「む、もうそんな時間か。時間経つの早いなぁ。まぁ、それじゃ食堂にでも戻るか」

大鳳「あっ……」

提督「ん?どうしたんだ」

大鳳「あぅ、えっと…その、ですね。実はちょっと……」

提督「なんだ、ダイエットか?」

大鳳「ッ!!?」

提督「え、図星か!?」

大鳳「ち が い ま す !」ブンッ

提督「うおっ、あぶねぇ!」サッ

大鳳「じ、自分で料理を仕込んでたので……その、一緒にどうかと、思っただけです///」

提督「まじか!?」

大鳳「ま、前の鎮守府では当番制で、皆で作っていましたから…」

提督「おう、食べる食べる。大鳳の手作りか?」

大鳳「ま、まぁ…そう、ですけど…」

提督「よし、それじゃどこ行けばいいんだ」

大鳳「わ、私の部屋です」

提督「」(榛名に見られたら殺されるな……)

213: 2014/07/29(火) 21:18:50.91 ID:n144Rk/mo
-大鳳私室-

提督「秘密の花園~…」

大鳳「あ、余りジロジロ見ないでくださいね」

提督「」ジロジロ

大鳳「……」

提督「」ジロジロ

大鳳「……」

提督「」ジロジロ

大鳳「第一機動部隊……」ヒュン ヒュン

提督「だーっ、解った、解ったから!」

大鳳「もう……それじゃ、少し待っててください」

214: 2014/07/29(火) 21:32:49.61 ID:n144Rk/mo
大鳳「お待たせしました!」

提督「お、海軍定番のカレーだな」

大鳳「金剛さんなら知ってるかもしれませんが、英国式で今回は作って見ました」

提督「英国式?」

大鳳「長時間かけてルーと一緒に具を煮込んで、具が崩れてルーに溶け込むまで煮込み続けるんです。野菜の旨
味が凝縮されてコクと深みが一層増します」

提督「ほぅ…」

大鳳「さぁ、どうぞ」ヨソイ

提督「いい香りだな。やっぱ海軍といったらカレーだ、うん。あむ…」モグモグ

大鳳「……」ドキドキ

提督「おぉ、美味い!」

大鳳「ほ、本当?私のカレー、美味しかった、の?」

提督「あぁ、っていうか大鳳、お前こんな美味いもん作れるのに独り占めかよ。ズルいやつだなぁ、ははは」

大鳳「べ、別にそういう訳じゃ……でも、よかった!」

提督「大鳳、おかわりだ!」

大鳳「え…?も、もう食べたんですか!?」

提督「あんだけ動いたからな。腹減りまくってるし、まだまだ入るぞ!」

大鳳「……」

215: 2014/07/29(火) 22:04:19.66 ID:n144Rk/mo
────────

────

──

先輩「うん、やっぱり大鳳の作るカレーは美味しいわね!」

大鳳「ありがとうございます」

先輩「特にあれよね、こう…体を動かした後に食べるっていうのが、やっぱり良いわよね」

大鳳「同感です」

先輩「はぁ、日々日々こうのんびりとできればいいんだけどねぇ」

大鳳「それにも同感ですが、この時間帯から夕方にかけては事故が起こりやすいです。気を引き締めていきましょう!」

先輩「もう、貴女といい武蔵といい、真面目一辺倒も考え物ね」

大鳳「ですが提督、私はあなたがいるから、何の心配もしていません。安心しています」

提督「ふふっ、大袈裟ね。でも、私だってあなたが居てくれるなら何も心配はしてないわ。あなたと加賀や飛龍
が空を睨み、水平線を武蔵たちが見据え続ける。最強の艦隊だもの」

──

────

────────


提督「どうしたんだ、大鳳」

大鳳「提督…私は、あなたの期待に十分応えていますか?」

提督「藪から棒だな」

大鳳「武蔵さんや加賀さん、私よりも優秀な人たちが亡くなって、どうして私が残ったのか、今でも考えます」

提督「大鳳は誰かの期待に応えることを存在の証明にしてきたのか?武蔵や加賀が居れば、自分は要らないって
考えてたのか?」

大鳳「実際、戦力の比較をすればその差は歴然です。私なんて…」

提督「そうか…だがもう、武蔵も加賀も居ない。残ったのはお前と霧島、熊野に阿賀野の四人だけだ。それに、
要る要らないって話はするな。初めに聞いただろう。それとも大鳳は俺との約束は守れないか?」

大鳳「あっ…いえ、そういう訳じゃ…」

提督「俺が先輩と同等になれないのは俺の落ち度だから謝る。お前が俺と先輩を幾ら比べても構わん。だが自分
を他者と比較するようなことはするな。お前はお前だ、大鳳。お前以外の存在は居ないしそれを証明することも
不可能だ。だからもっと自分に自信を持て。その烈風と流星が描く軌跡はお前にしか出せないものだ。ついでに
このカレーもな」トントン

大鳳「あっ……」

提督「おかわりだ、大鳳。さっきからずっと待ってるんだぞ」

大鳳「は、はい…!提督、ありがとう」

提督「…おう、気にすんな」

216: 2014/07/29(火) 22:45:26.55 ID:n144Rk/mo
-運動場-

大鳳「……」


タッタッタッタッタ


大鳳「はぁ、はぁ、はぁ……上がった……!」チラッ

提督「…やったな」

大鳳「提督、どう?これが大鳳の、本当の力なんです!」フンス

提督「あぁ、見事だ。だがな…あれだけたらふく食ったあとで、このメニューを課すのは流石に拷問だと思うぞ?」

大鳳「大丈夫です!やれます!提督ならいけますよ!」ガッツポーズ

提督「……どこぞの熱血男か、お前は……」

大鳳「あ、もうこんな時間?提督といると時間が経つのが早い」

提督「おっと、じゃあおわr大鳳「ラスト一本、ダッシュで終わりましょう!」

提督「やんのかよ!」



~大鳳~ -存在の証明- 完

217: 2014/07/29(火) 22:46:43.28 ID:n144Rk/mo



~龍驤~



-横恋慕-

218: 2014/07/29(火) 23:16:18.54 ID:n144Rk/mo
提督「ふぁ~…」テクテク

龍驤「……」コソコソ

提督「はぁ、えーっと…珈琲珈琲っと…」

龍驤「……」コソコソ

提督「小銭、小銭……そこぉっ!」ビュッ

龍驤「ひぃっ!?」サッ

提督「…よけたか」

龍驤「あ、危ないやないかい!」

提督「隠れてコソコソと、お前こそ何やってんだ」

龍驤「う、うちは別になんもしてへん。た、たまたまキミが行く先がうちと同じだけだったんとちゃう?」

提督「ほぅ…」ジー

龍驤「ぅ…な、なんやねん!」

提督「たまたま、行く先が、一緒?」

龍驤「せ、せや…」

提督「ここが、目的の場所?」

龍驤「せ、せやで?」

提督「ここ、喫煙場所」

龍驤「うぅ…」

提督「龍驤、お前はいつから愛煙家になった。もし本当に吸ってるなら憲兵に連絡ものなんだが?」

龍驤「うぅぅぅぅ……てーとくのぉ、ばかぁぁぁぁっ!」

提督「はぁ!?」アゼン


タッタッタッタッタ


提督「……何なんだ、あれは」

219: 2014/07/29(火) 23:48:47.26 ID:n144Rk/mo
-休憩所-

龍驤「……」ジー

提督「…はぁ、何なんだ、龍驤」

龍驤「べ、別になんでもあれへん」プイッ

提督「膨れっ面でなんでもないって言われても説得力ないぞ…」

龍驤「ホ、ホントになんでもあれへんもん」モジモジ

提督「はぁ、ったく…じゃあ俺はもう行くからな」スクッ

龍驤「ぁ……」


テクテクテク…

トコトコトコ…


提督「……」

龍驤「……」

提督「……!」バッ

龍驤「……!」サッ

提督「……気のせいか」


テクテクテク…

トコトコトコ…


提督「って…気付かないとでも思ったかぁ!」バッ

龍驤「ぎゃあぁぁぁぁっ!」

提督「なんだ、何なんだ?新手の嫌がらせか何かか、これは」

龍驤「ち、ちゃうわ!う、うちはただ…」

提督「はぁ…いや、もういい。お前のようにウジウジして言いたい事も言えないような奴、俺はもう知らん」

龍驤「ぇ……?」

提督「なんだ、解りにくかったか?なら言い直そう。今すぐ俺の前から消えろ、そう言ったんだ」

龍驤「ぇ、なんで…そないヒドイこと、言うん…?」

提督「ひどい?言ってる意味が理解できんな。とにかく、二度と俺の前には出てくるな。今日限りで貴様はこの
鎮守府の敷居を跨ぐ事を許さん。さっさと出て行け」

龍驤「ま、待ってや!なんでいきなりそないなこと言われなあかんねん!」

提督「くどい…二度は言わん。さっさと失せろ」

224: 2014/07/30(水) 21:32:04.36 ID:0dLd4FXjo
────────

────

──

龍驤「……!」ガバッ

瑞鳳「龍驤ちゃん、どうかしたの?」

龍驤「えっ、あ、いや……な、なんでもあれへん。なんや変な夢見てな」

瑞鳳「ふーん、そっか。今日は私達給仕当番だから、龍驤ちゃんも早くしてね」

龍驤「あぁ、せやったな。ちょっち顔洗ってくるわ」

瑞鳳「っていうか、なんか顔色悪いよ?」

龍驤「寝起きやからやって、そない気にせんといてぇな」

瑞鳳「うーん、そう?」

龍驤「せやせや、うちに合わせとったら瑞鳳も遅れんで、はよ先行っとき」

瑞鳳「う、うん。無理はしちゃダメだよ?」

龍驤「最初から無理するのうちは嫌いやねんって、こんなん無理でもなんでもあれへんよ」

227: 2014/07/30(水) 23:05:35.03 ID:0dLd4FXjo
-食堂-

提督「ふぅ、ご馳走様っと…」

龍驤「ぁ……」

提督「おう、龍驤、どうした?」

龍驤「えっ、ぁ……いや、なんでも、あれへん…」

提督「ん……?」

龍驤「な、なぁキミィ……」

提督「こら、キミキミ言うなって、前の鎮守府でも言っただろ。ったく、お前はホント変わらないなぁ」

龍驤「ご、ごめん…」フラフラ

提督「んん、ホントどうしたんだ、龍驤」

龍驤「ほんま、なんでも…あれ、へん……って、あれ……」グラッ

提督「お、おい、龍驤!」


ドサッ…


龍驤「」(なんや、むっちゃ頭グルグル回っとる…)

提督「────ッ!」

龍驤「」(あぁ、提督の顔、めっちゃ近いやん…あかん、なんやめっちゃ眠い…)

228: 2014/07/30(水) 23:23:05.44 ID:0dLd4FXjo
-救護室-

龍驤「ぅ……うぅ、ん……」

提督「…起きたか?」

龍驤「ぁ……てーとくぅ……うち、どないしたん」

提督「さっき旗艦の木曾から聞いた。お前ら、俺の命令を無視して必要以上の任務に勝手についたらしいな。変だ
と思ったんだよ。この間の遠征任務、戻ってくるのが予定よりも一時間遅い上に、必要以上にお前らはボロボロ…
木曾を問い詰めたら吐露した。他の鎮守府の援護に向かってそこで戦闘になったってな」

龍驤「え……?」

提督「戻って直に別の任務、立て続けにお前は動いてたそうだな。過剰出動だ。体調を崩してもなんら不思議は
ないって診断だったよ。ったく、お前って奴は…」

龍驤「ホンマ、ごめん…うち、キミの役に立ちたかってん…うちは、うちはな…キミが好きやねん……」

提督「龍驤…」

龍驤「前の鎮守府に居った頃から、ずっと好きやねん…せやけど、提督は榛名ちゃんと一緒やろ…うちの、入れ
る場所なんて、あれへんやん…なんや、提督に見捨てられる怖い夢まで見て、うちどーしていいのか解らなって
しもたん…」ポロポロ

提督「馬鹿だな。でも、ごめんな。お前の気持ち、気付いてやれなくて、本当に済まなかった。だけどな、俺は
お前を、いや…お前だけじゃない。ここにいる誰一人として見捨てたりはしない。だから、これからも俺を信じ
てくれるか?」

龍驤「うん…うん…!誰が、なんて言おうと、うちはキミが一番好きやねん。誰にも負けへんもん!」

提督「そうか。なら、まずはゆっくりと体調を治す事から始めろ。話は、それからだ」アタマポンポン

龍驤「う、うん…」

229: 2014/07/30(水) 23:30:08.06 ID:0dLd4FXjo
-あくる日-

提督「……って事で、榛名一人に執務処理を負わせるのもちょっと可哀想に思ってな。何より、これら資料の整
理や執務処理ってのはお前たちにとっても一つの勉強になると思っている。周一の割合で榛名の補助役、と言う
形で今後はお前たちにも執務に携わってもらう機会があることを説明しておく」

木曾「頭使うのやなんだよなぁ」

提督「愚痴は受け付けん。では早速で悪いが、今日俺たちの手伝いをしてもらう補助艦だが、龍驤。お前だ」

龍驤「へ、うち?」

提督「あぁ、そうだ。頼りにしてるぞ」ニコッ

龍驤「……!あったり前やん!うちに任しとき!」ニッコリ

榛名「龍驤ちゃん、宜しくね」

龍驤「おう!ゼッタイ負けへんで!」

榛名「へ…?」

提督「」(ふぅ、やれやれ…)

230: 2014/07/30(水) 23:30:58.07 ID:0dLd4FXjo
~龍驤~ -横恋慕- 完

231: 2014/07/30(水) 23:31:24.99 ID:0dLd4FXjo



~龍田~



-past and present-

232: 2014/07/30(水) 23:49:32.44 ID:0dLd4FXjo
提督「おっ、よう龍たああぁぁぁぁぁぁぶねぇ!!」サッ

龍田「あら~、いい反応ですねぇ♪」

提督「ま、曲がりなりにもお前、上官に向かって抜き身の刃物を全力で振り抜くとはどういう了見だ…」ドキドキ

龍田「前にも言いましたよ~?私の後ろから急に話しかけると危ないって」

提督「ったく、変わってないなお前は…」

龍田「提督も、変わってなくて安心したわ~」

提督「素直に喜べねぇよ…」

龍田「うふふ♪」

提督「で、今日はお前の大好きなおねーちゃんはどうした」

龍田「天龍ちゃん?天龍ちゃんはさっき暁ちゃん達と一緒に鬼ごっこしてたわ~」

提督「ったく、また遊び回ってんのか。龍田は一緒しなくていいのか?」

龍田「だって、私の下に天龍ちゃんは必ず帰ってきてくれるもの~。お部屋で待ってればね♪」

提督「へぇへぇ、そうですか。んじゃま、龍田は今、暇なわけだ」

龍田「暇、と言えば暇かしら?でもどうして~?」

提督「たまにはのんびり話でもしようかと思ったんだよ。久々だしな」

龍田「あら~、それはいいわね♪」

233: 2014/07/31(木) 00:04:38.81 ID:zwAu4ndEo
-休憩場-

提督「はぁ…」

龍田「あらあら~、私を目の前にしてそのため息、覚悟は出来ているのかしら~?」ニコニコ

提督「だぁー、もう物騒なもんチラつかせるな!そういうため息じゃねぇ!」

龍田「言葉には気をつけて次をどうぞ~?」

提督「ったく……お前や天龍、筑摩に龍驤、本当に悪いことをしたなと思ってな。俺の知ってる後輩ってのは、
本当にいい奴なんだよ。下手すりゃ俺よりも艦娘を大事にするくらいに、いい奴なんだ。どのタイミングで奴と
入れ代わってたのかも、本人なのかもまだ解ってない。何より……叢雲と球磨だ……」

龍田「……」

提督「お前たちを助けることは出来たのに、あの二人を救ってやれなかった。偉そうなことは言えても、自分が
何も成長できてない。ホント滑稽だよな」

龍田「うふふっ、前と本当にお変わりのない提督ですね~。私、これでも提督に心から感謝してるんですよ~?」

提督「な、なんだよいきなり…」

龍田「天龍ちゃんはああいった性格でしょう?正直、私くらいしか扱える人なんていないかな~って」

提督「扱えるって…モノじゃねぇんだぞ」

龍田「うふふ♪だ・け・ど、あの天龍ちゃんが提督の言う事は聞くのよ?ちょっと、ううん…結構妬けちゃうわ」

提督「目、目がこえーから…」

龍田「私と天龍ちゃんはいつも一緒だったから、正直ね、北上ちゃんのお話を聞いたとき、とっても胸が痛かっ
た。私達は、本当に取り返しのつかないことをしちゃったなって…」

提督「それに関してはお前たちは悪くない。過ぎた事なんて言うつもりはないし、忘れちゃならない事なのも事
実だが、それをお前たちが気に病む必要は決してない」

龍田「あら~、これでも私はもう立ち直ってるわ~。正直、天龍ちゃんね。ああみえて、天龍ちゃんはとっても
ピュアなのよ~?」

提督「姉妹だから解るってことか」

龍田「うふふっ、かしらね~?でね、昔馴染みの好で提督にお願いがあるの~」

提督「お願い?」

234: 2014/07/31(木) 00:23:42.79 ID:zwAu4ndEo
龍田「私の前では弱気でいいわ。幾らでも♪」

提督「んなっ///」

龍田「た~だ~……天竜ちゃんの前では強気で居てくれるかしら~?」

提督「え?」

龍田「私も天龍ちゃんも、女々しい提督より凛々しい提督がいいってことかしら?」

提督「え、私も?え…?」

龍田「ほ~んと、提督って罪ね~♪」

提督「いや、あのな…」

龍田「あ~!言い訳とかいいのよ~?」

提督「言い訳って…」

龍田「うふふっ、でも…こうして提督とお話するの、私は好きよ~?昔を思い出してるみたいだもの」

提督「俺は久々にタジタジだよ…」

龍田「前の鎮守府の重荷くらい、私達が背負わなくて誰が背負うの~?提督は考えすぎ。要らない事でいっつも
悩んで、私達には『大丈夫、お前たちは気にするな』って、そんなに私達は頼りないかしら~?」

提督「いやあのな、別にそういう訳じゃ…っていうか、いきなり話戻すなよ!」

龍田「あら~、戻してなんてないわよ~?昔と変わらない、そう言ってるだけじゃな~い♪でも、だから落ち着
けるっていうのもあるのかしら……私も天龍ちゃんも、今は本当に充実してるわよ~」

提督「はぁ、まぁそれならいいんだけどな」

龍田「榛名ちゃんもいいけれど、たまには旧友を頼ってね~?」

提督「ぶっ」

龍田「きゃん♪汚い提督ね~。うふふっ、さ~、そろそろ天龍ちゃんを迎えに行こうかしら」

提督「へぇへぇ、行って来い」(ったく、色々と気負うもんでもあるだろうと励ますつもりが励まされてどーす
んだよ、ちくしょう)

239: 2014/07/31(木) 23:35:56.43 ID:EopWwg9Wo
-演習場-

提督「……」


────────

────

──

提督「よし、いいぞ叢雲!」

叢雲「ふん、まぁ当然の結果よね」

球磨「クマー、えいっ」


ベシッ


叢雲「ぃった…!ちょっとあんたねぇ!」

提督「ははは、そりゃ油断してる叢雲が悪いだろ」

球磨「さっすが提督、見る目があるクマー」

叢雲「くっ、こんな司令官のどこに見る目があるのよ!?」

提督「無茶苦茶だな、おい…」

龍田「あらあら~、今日もまたトリオ漫才かしら~?」ニコニコ

天龍「オメーら、ホンットあきねぇよなぁ」ケラケラ

提督「見世物じゃねぇっての」

筑摩「ふふ、提督も大変ですね」

龍驤「なんやおもろいことしてんやったらうちもまーざるぅ~!」

叢雲「あ、遊んでたわけじゃないわよ!」

龍驤「なんや、ちゃうんか?」

天龍「あっはっは!遊んでるようにしかみえねぇって!」

叢雲「ぬぁんですってぇ!天龍ぅ……!!」

天龍「はっはっは……え?」

叢雲「沈みなさいっ!!」バシュン

天龍「どあぁ!」ボン

龍田「あらあら~、演習弾とは言え、天龍ちゃんに手を上げるのはダメよ~?」チャキッ

球磨「クマ!紅白戦クマー!」

提督「おい、ちょっと待て、俺を巻き込むな!」

叢雲「あんたは黙ってなさい!」

提督「おまっ、上官に向かってあんたって…この野郎、上等だ!筑摩、お前の演習砲借りるぞ!」ガシッ

筑摩「え、えぇ!?」

240: 2014/07/31(木) 23:36:47.61 ID:EopWwg9Wo
提督「提督の威厳を思い知らせてやる…!うぉ、おもてぇ…」ズシッ

龍驤「あ、これあかんパターンとちゃうか…」

筑摩「あはは、ちょっとだけ、離れてましょうか」

龍田「はいは~い、邪魔よ~♪」ゲシッ

提督「ぐはっ」

天龍「おっ、踏み台か!ありがてぇ、龍田ぁ!」グニュッ

提督「ぐほっ」

龍驤「て、提督がちょっち不憫とちゃうか、あれは…」

筑摩「うーん、でもまぁ、きっと男にはやらなければならない時があるのよ、多分…」

龍驤「た、多分て…」


提督「と、とぅよかった……艦娘は、とぅよかった……」ボロッ…

龍驤「あちゃー…」

叢雲「ふん、舐めるんじゃないわよ」

龍田「これに懲りたら、私達に手を上げようなんて考えちゃダメよ~♪」

天龍「わ、わりぃ、提督…あはは、ちょっと熱くなりすぎたか」

提督「お前に腹を踏み抜かれた記憶は鮮明だ」

天龍「うっ……ま、まぁ、あれだな…あはははは、ドンマイ!」

──

────

────────

241: 2014/07/31(木) 23:39:56.47 ID:EopWwg9Wo
提督「ったく、何がドンマイだっつーの。あれは暫く痛み引かなくて大変だったなぁ」

龍田「あら~、また提督?」

提督「ん、なんだ天龍のところ行ったんじゃないのか」

龍田「探してるんだけど見つからないのよ。もう、天龍ちゃんったらどこ行ったのかしら?」

提督「どうせ駆逐艦の連中と駆けずり回ってるんだろ」

龍田「はぁ、妬けちゃうわ~。そういえば、提督はここで何してるの~?」

提督「昔を思い出してた。お前に足蹴にされて天龍に腹を踏み抜かれ、叢雲に演習弾ぶっ放された悲しい過去」

龍田「あらあら~♪」

提督「あらあら~、じゃねぇっつーの…ったく」

龍田「でも~、さっきよりも顔、凛々しいかもね♪」

提督「うっせ。褒めてもなんもださねーよ」

龍田「昔と何も変わらなければ、それだけでいいわ~♪これからも頼りにしてるわね~、提督♪」

提督「ったく、ゲンキンなやつだな、お前」

龍田「うふふっ♪」



~龍田~ -past and present- 完

242: 2014/07/31(木) 23:41:52.94 ID:EopWwg9Wo



~金剛~



-A while of the afternoon-

243: 2014/07/31(木) 23:48:14.39 ID:EopWwg9Wo
コチ、コチ、コチ、コチ、コチ……ボーーン ボーーン ボーーン……

バタンッ


金剛「Hey!提督ぅ~!Tea……あれ?い、いないデース…どこいったデースカー?」キョロキョロ

金剛「う~ん、執務室には居なさそうデース」

猫「ニャーン」スリスリ

金剛「Oh! Lovely cat デース!迷子デースカー?」

猫「ンニャ?」ピョン ポフッ

金剛「Oh、とても人懐っこい子デース」ナデナデ


ガチャ


提督「ん、金剛か。すまんな、何か用事でもあったか」

金剛「Oh!提督。一緒にTae Timeしようかと思ってましたが、この子が…」ダキカカエ

提督「猫…?」

猫「ニャーン」

244: 2014/07/31(木) 23:57:32.18 ID:EopWwg9Wo
-庭先-

提督「何なんだ、この猫は…」

猫「ニャン」チョコン

金剛「あははは、提督の頭の上に器用に乗ってるデース♪とってもCuteネ!」

提督「俺はアスレチック遊具じゃねぇんだぞ…」ムスッ

猫「ニャンニャン」ペシペシ

提督「ええい、頭を叩くな!」ブンッ

猫「ウニャン」ヒョイッ スタッ


ゴロゴロゴロ


金剛「カワイイデース♪」ニコニコ

提督「金剛は猫が好きなのか?」

金剛「動物全般大好きですヨー」ナデナデ

提督「……」

金剛「」チラッ

提督「……」

金剛「Hey!ていt提督「絶対に鎮守府では飼わんぞ!」

金剛「…なぜ私の言いたい事解ったデスカー…?」

提督「目が訴えてた。この猫を鎮守府で飼うデースって目をしてた」

金剛「」サッ

猫「ニャニャ!?」

提督「あぁ!こら、待て金剛!」

245: 2014/08/01(金) 00:16:31.93 ID:Zo3lx3JKo
提督「……」

金剛「いくデス!猫ちゃん!」

提督「は!?」

金剛「バァァァァァニングラァァァァァブニャァァァン!」

提督「はい!?にゃん!?」

猫「シャァァァ」バッ

提督「うぉぉぉ、お前がくんのかよ!?あ、ちょ…いてぇ!いてぇから!」


────────

────

──


提督「あ゛ー、このクソ猫…」ボロッ…

猫「ペロペロ」プイッ

金剛「ゴ、ゴメンナサイ提督ぅ~…」シュン

提督「はぁ、おい金剛」

金剛「な、なんデスカ、提督…」

提督「本当に最後まで面倒見るのか」

金剛「えっ、あ、勿論デス!」

提督「餌代とかは全部金剛名義にするけど、それでもいいんだな」

金剛「OKデース!」

提督「ただし、嫌がる奴のところには絶対連れて行かないこと。解ったな?」

金剛「了解デース!提督、やっぱり大好きデース♪」ダキツキ

提督「おぁ、こ、こら…!」

榛名「……」

提督「あ゛……」

金剛「Oh、榛名じゃないですカー」ダキツキ

榛名「二人とも、何してるんですか?」

提督「あ、いやこれはだな…猫とのドタバタがあってだな」

榛名「お姉さま?」

246: 2014/08/01(金) 00:39:15.98 ID:Zo3lx3JKo
金剛「は、榛名…?何だか雰囲気が…」ダキツキ

提督「こ、金剛。いいか…まずは離れろ」

金剛「あっ……」ササッ

榛名「最初に制裁を受けたいのはどちらですか?」

金剛「は、榛名、待つデース…」ドゲザ

提督「そ、そうだぞ、落ち着くんだ榛名」ドゲザ

榛名「言い訳無用です!」ジャキッ

猫「ニャン?」トコトコ

榛名「ふぇ?ね、猫…?」

猫「ニャー、ニャ~ン」ゴロゴロ

榛名「か、可愛い……」ポイッ

猫「ニャ?」

榛名「よーしよしよし♪」ナデナデ

猫「ニャーン♪」ゴロゴロ

榛名「この猫、どうしたんですか?」

提督「し、執務室に紛れ込んでてな…その、金剛に懐いてて、飼いたいと…」ドゲザ

榛名「そんな余分な経費、うちにあるんですか?確かに可愛いですけど…」

提督「そ、それはだなぁ…」ドゲザ チラッ

金剛「わ、私が責任を持って飼うと提督に約束したデース…」ドゲザ

榛名「自分のお小遣いで?」

金剛「そ、そうデース…」ドゲザ

榛名「途中で投げ出したりは?」

金剛「ぜ、絶対しないデース!」ドゲザ

榛名「……」ジー

金剛「うぅ…」ドゲザ チラッ

提督「」ドゲザ ビクビク

247: 2014/08/01(金) 00:47:28.06 ID:Zo3lx3JKo
-執務室-

提督「はぁ、どうしてこうなった…」

猫「ニャーン♪」チョコン

金剛「艦娘寮はペット禁制って言われたネー」

提督「俺の頭はお前の定位置じゃねぇ!」ブンッ

猫「ニャン」ササッ ストン


ゴロゴロゴロ


金剛「Oh!Fantastic!カッコイイ!」パチパチパチ

提督「こんにゃろー」

金剛「Hey!キリ、Come on!」

キリ「ニャーン」スリスリ

金剛「ふふふ、Good job♪」

提督「キリってまた変な名前だな」

金剛「No!ヘンじゃないデース!私達四姉妹のNameのAlphabet一番から四番を取って付けたのデース!」

提督「へぇへぇ、そうですか。ったく、午後のひと時が台無しだ…」

金剛「Tea Timeもイイけど、こういうひと時も必要デース♪」


こうしてとある鎮守府に新たな艦娘ならぬ猫が着任したのだった。



~金剛~ -A while of the afternoon- 完

248: 2014/08/01(金) 00:48:51.12 ID:Zo3lx3JKo
本日はこれで終わります
龍田のストーリーは台詞もそうだけど書くの難しかった…


次回:
【艦これ】提督「暇っすね」part7


引用: 【艦これ】提督「暇っすね」part3