91: 2014/10/04(土) 14:44:45.60 ID:Y6ieGMp+o
少し時間が出来たので更新



シリーズ最初へ:【艦これ】提督「暇っすね」
このpart最初へ:【艦これ】提督「暇じゃなくなった」



92: 2014/10/04(土) 15:18:40.23 ID:Y6ieGMp+o



~ヴェールヌイ~



-執務室-

榛名「提督っ!提督っ!早く来て下さい!」

提督「なんだ、榛名。まだ陽も昇りかけた早朝だぞ」

榛名「…っ!」グッ

提督「こんな朝早くに、任務なんて……」

榛名「しっかりしなさいっ!」ブンッ


パァン


提督「っ……!」

榛名「あなたは、私達の提督です!」

提督「……」

榛名「私は、今のあなたが嫌いです」

提督「そうかい…」

榛名「今のあなたを、響ちゃんが見たら何て言いますか?」

提督「……っ!その話をするな」


バンッ  『до свидания』


提督「っ!」

榛名「一人で自己完結して、見て見ぬ振りをして、勝手に響ちゃんを思い出にして、終わらせないで下さい!」

提督「これは…電文?」ガシッ…

榛名「見ましたか?見ましたよね?なんて書いてあるかまでは私には解りません。けど、これは提督、あなたに
宛てられた言葉だと私は感じています。これを見てそれでもまだ下を向いて、俯いて、自分の殻に閉じ篭ろうと
するのなら、榛名は……!」
艦隊これくしょん -艦これ- 海色のアルトサックス(4) (角川コミックス・エース)
93: 2014/10/04(土) 15:19:11.09 ID:Y6ieGMp+o
提督「……ダスビダーニャ」ボソッ…

榛名「…え?」

提督「ダスビダーニャ。ロシア語で、また会おうって意味だ」

榛名「また会おうって……それじゃ、まさかこの電文は!」

提督「響……なのかもしれない。けど、お別れとも取れる文章なのも確かだ」

榛名「そんな…!」

提督「ああ、解ってるよ…それでも、一縷の望みが出来たのも事実だ」

94: 2014/10/04(土) 15:55:42.88 ID:Y6ieGMp+o
-作戦室-

電「司令官、響ちゃんが生きてるって本当なのです!?」

提督「確固たる証拠とは言い切れないが、ロシア語を扱う艦娘は、俺が知る限り響だけだ」

暁「本当に、本当に本当の本当に!響なのね!?」

提督「ああ、その可能性が極めて高い。楽観視できる状況でもないが、それでも消息を絶ってから二十日間が過
ぎて、生存も絶望視していた矢先の電文だ。期待せずにはいられない」

榛名「提督…」

提督「ああ、解ってる。皆……色々と、すまなかった」ペコッ

榛名「……」

赤城「提督…」

利根「お主が人一倍、我輩等を大切に思うてくれとるのは解っておる」

川内「涙脆いのもね」

金剛「一人で抱え込むなんてNonsenseデース!」

夕張「私達は全然気にしてないですよ!」

夕立「でも、もっと頼って欲しいっぽい!」

瑞鳳「私達の仲じゃないですか、提督!」

イムヤ「それにさ、前に言ったじゃん?私達はさ、提督の笑顔が元気の源なんだよ」

衣笠「そりゃねぇ、提督がションボリしてたら、私達だってションボリするっての」

鈴谷「提督が笑わないとテーンションさーがるぅー」

提督「ははっ、テンション下がるか」

熊野「あら、漸く笑ったと思えば苦笑いですわね?」

比叡「ほらっ、提督!もっと!笑顔で!笑いましょう!」

大鳳「響ちゃんはきっと戻ってきます。だから、彼女が戻ってきたときの為に、笑いましょう」

提督「ああ、そうだな。響を笑顔で出迎えてやらないとならないからな」

103: 2014/10/04(土) 20:24:53.88 ID:Y6ieGMp+o
-執務室-

榛名「提督、さっきは、その…えっと、ごめんなさい」ペコリ

提督「ん、おう。ははっ」

榛名「へ?」

提督「いや、榛名が本気で怒ったのって、あれが初めてかなってさ。結構痛かった」

榛名「ご、ごご、ごめんなさい!あの、えっと、その、大丈夫?」オロオロ

提督「そんな気にするなよ。良い教訓になった。艦娘のビンタは相当痛いってな」

榛名「はぁ…」ションボリ

提督「ほら、いつまでもしょげるな。仕事だ仕事!サボった分取り返すからな。ヒトゴーマルマルまでに終わら
んと間宮さんのおやつ抜きになるぞ!」

榛名「え、えぇ!?なんで私まで!提督が勝手にいじけて滞ってたんじゃないですかぁ!」

提督「秘書艦も連帯責任」

榛名「納得できません!」

提督「じゃあ榛名は今日、おやつ抜きね」

榛名「んなぁ!どうしてそうなるんですか!?」

105: 2014/10/04(土) 20:49:57.37 ID:Y6ieGMp+o
-弓道場-

赤城「…少し、勝負をしましょうか」

瑞鳳「勝負?」

飛龍「むっ、何を対象にするんでしょうか?」

赤城「……ふふ、そうですねぇ。成績優秀者は、ヒトゴーマルマルのおやつの時間、二人から半分ずつ摂取でき
る、という天国と地獄ゲームはどうでしょう」

瑞鳳「あ、赤城さん攻めるね…」

飛龍「ま、負けられない戦いがありますっ!」ギュッ

瑞鳳「は、鉢巻までしちゃうレベルですか!?」

赤城「瑞鳳ちゃん、おやつ…要らないのなら頂きますが?」

瑞鳳「」ビクッ

飛龍「赤城さん、言っておきますが以前の私と同じとは思わない方がいいですよ!」

赤城「あら、一航戦の実力をもう一度知らしめる必要がありそうですね」

瑞鳳「二人が潰しあった所を、私が…」ボソボソ

二人「」キランッ

瑞鳳「ひぃっ」

飛龍「隙は、ありません」

赤城「ズルは、ダメですよ?」

瑞鳳「」コクコクッ


龍驤「おーおー、あっちは火花散っとるなぁ」

大鳳「弓を使わないのに、龍驤は何をしてるのよ」

龍驤「んー、ここ広いやんか」

大鳳「ええ、まぁね」

龍驤「せやから、こーしてやな…」バサァ

大鳳「ま、まさか…」

龍驤「せやっ、ここやったら艦載機の整備もし放……」


ビュオッ

カッ

バイィィン……


赤城「気が散りますので」ニッコリ

龍驤「す、すんません…」アセ

107: 2014/10/04(土) 21:39:01.00 ID:Y6ieGMp+o
-花壇-

阿武隈「ふふ~ん、ふふふ~ん♪」サー…

春雨「あ、阿武隈さん!肥料もって来ました、はい」ドサッ

阿武隈「あっ、ありがとー、春雨ちゃん」

春雨「色とりどりですねぇ」

阿武隈「そりゃね。一杯、種蒔いたからね!」

春雨「この勢いで作物とかまで育てちゃうんですか?」

阿武隈「あははは!流石にそこまでの敷地って言うか、スペースがないよ。農業とガーデニングはまたちょっと
っていうか、規模も量も違うからね」

春雨「そ、それもそうですよね」

阿武隈「それより、ここでの生活は慣れた?」

春雨「は、はい!お姉ちゃん達も優しいし、他の皆も色々と親切で、ちょっとビックリです」

阿武隈「ふふ、そっか。あっ、でもね…」

春雨「??」

阿武隈「北上さんって言う人には注意だよ!直にちょっかい出してきて、人の嫌がることをヘラヘラ笑いながら
やるいや~な人だからっ!」

北上「だぁれがいや~な人だ!」

阿武隈「で、でたぁ~!」

北上「人をお化けかなんかと一緒にするな!」

春雨「あ、こ、こんにちは!」

北上「お~、白露っちんところの五女だっけ?」

春雨「はい!」

阿武隈「も~、何しに来たんですか、北上さん」

北上「ん、いや~、別に~…」ススッ…

阿武隈「むっ、後ろ手に何隠してるんですか!?」

北上「うっさいなー、なんでもいいじゃん」

阿武隈「あーっ!また何か企んでたんですか!?ほんっと、サイッテー!」プンプン

春雨「あの~、それ…如雨露、ですよね?」

北上「こ、こらっ、覗き見るな!」

阿武隈「如雨露…?え?なんで、如雨露?」

北上「うぅ~、これだから駆逐艦は…!」

春雨「?」キョトン

北上「……はぁ~、この花壇……あんたと日向くらいしか世話してなかったじゃん。んまぁ、当番制だったし?
水遣りくらいは他の子達もやってたけどさ。荒れてたら荒れてたで、色々と面倒なのよ」

阿武隈「」(そういえば、雑草の除去とか花壇の手入れとか、凄い行き届いてる…)

108: 2014/10/04(土) 22:16:19.83 ID:Y6ieGMp+o
────────

──────

────


北上「あ~、このまま真っ直ぐ艦娘寮行くとまた白露っち達に捕まりそうだし、私は鎮守府寄ってから戻るわ~」

夕立「鎮守府に何かあるっぽい?」

北上「ははは…野暮用」

時雨「?」

北上「若人は気にしなさんな~。じゃね~」ヒラヒラ


北上「はぁ~、鎮守府誰も居なかったら花とか余裕で枯れるってーの」ガサゴソ

北上「…流石に戻ってきて荒れ放題じゃあの子も凹むだろうしねぇ。まっ、あの軽巡が戻るまでは私があんたら
の世話して上げるわよ。木曾っちはそうでもないかもしんないけど、大井っちは花とか好きだったよね~」サー…

北上「っていうか、提督もわざわざ大井っち達の慰霊碑、海の見えるこの花壇の横に作るしさぁ…ここが荒れて
たら荒れてたで大井っち絶対化けて出てくるっての。北上さん?お花、枯れてるんだけど?とか言ったりして…」サー…

北上「……な~んてね。私相当アホっぽいわぁ」サー…


ザァァァァァ……


北上「うわっと…な、なに?いきなり突風ってなにさ!?」キョロキョロ

北上「え゛……」アトズサリ

加賀「……」

武蔵「……」

大井「……」

北上「う、うそぉ…」

109: 2014/10/04(土) 22:16:47.02 ID:Y6ieGMp+o
加賀「…貴女にも花を尊ぶ、と言う感性が備わっていたのね」

北上「んなぁ!?ちょっとそれどーいう意味さぁ!」

武蔵「ふっ、だがここは居心地が良くてな。常に手入れが行き届いていて実にいい。海も見える。暗い水底では
なく、海原を眺めていられる。初めて進水した日を、思い出す」

大井「北上さん、ふふっ、なんだかこうして喋るのも久しぶりね」

北上「お、大井っち…」

大井「ああっ、安心してね。別に私達、化けて出てきたとかじゃないから」

北上「ぶっ…!」

加賀「出来れば私は赤城さんに伝えたかったけれど、まぁ貴女でもいいわ」

北上「イラッとくるなぁ、あんたさぁ!」

武蔵「加賀」

加賀「ごめんなさい。赤城さんと話をしたかったのは本当。けれど、居ないんだから仕方ないわね」

北上「な、なにさぁ」

大井「北上さんにね、あとは…いつもこの花壇を世話してくれてる阿武隈ちゃんに、日向さんに、お礼を言いたかったの」

北上「はい…?」

武蔵「貴様はクラバウターマン、と言う言葉を知っているか?」

北上「ク、クラ…?」

大井「クラバウターマン…一説には船に宿る妖精とも言われていてね、私達の手助けをしてくれている妖精達は、
このクラバウターマンなんじゃないか、とも言われているのよ」

武蔵「そして、氏後の私達もな」

北上「えっ」

加賀「一つ、教えて上げるわ。強い念を帯びて散った私達艦娘には、三つの道がある」

武蔵「一つは輪廻転生、とでも言うのか。新たな魂を受け継ぎ、この世に転生する」

北上「なっ…」

大井「一つは、クラバウターマンとして、現世に生きる皆を支えること」

加賀「そして、最後の一つ────」


────

──────

────────

110: 2014/10/04(土) 22:36:13.35 ID:Y6ieGMp+o
北上「……」

春雨「あ、あの…北上さん?」

北上「…っ!んあ、なに?」

春雨「あっ、いえ…何だか思い詰めたような表情だったから…」

阿武隈「北上さんが、花壇…手入れしてくれてたの?」

北上「あぁ、はいはい…そーですよ。勝手にいじって悪かったわね」

阿武隈「別に、そんな言い方しなくても…その、ありがと。感謝、してるわよ…あたし的には、だけど…」

北上「……まっ、大事にしなさいよ。じゃないと、化けて出るらしいから」

阿武隈「は…?」

北上「あと、たまにだけど…ここにある花、そこの慰霊碑に手向けるのに使いたいから、よろしくね。んじゃね」スタスタ

阿武隈「え?あ、うん…それは、別にいいけどって、行っちゃったし…」

春雨「どうしたんでしょうか…」

阿武隈「さぁ…?」

115: 2014/10/05(日) 21:08:53.25 ID:9fzcj0qpo
北上は、皆に一つ黙っていたことがあった。

それは加賀、武蔵、大井の霊と対話し、自分達のこと、またそれに関わるであろう事象に関しての真実。

厳密には黙っていたというよりも、言い出せずに居た、と言った方が正しいのかもしれない。

夢幻の白昼夢を見ていただけと断じればそれまでであり、また自身だけが経験した事柄であり、これを立証する

術も、方法も、何もないのだから仕方がない。

ただ、前にも増して彼女の中で艦娘同士の繋がり、絆、思いやりが増したのは事実だろう。

先のキス島での一件で激昂したのも、自らの感情の昂ぶりを抑え切れなかったのも、これに起因する所が大きい。

以前に、大本営に務める大淀が艦娘には既存とする性能や実力とは別に、彼女達から発せられる感情による性能

の向上と言う推測が立てられていた。

不確かなもので、必ずしもそれがプラスに働くという根拠も理由もない上に、感情とは光と闇という薄皮一枚で

成り立つ表裏一体の関係を秘めている以上、全てを鵜呑みにして良いものでもないと結論付けている。

だが、この感情と言う喜怒哀楽から成り立つものこそ、光と闇を凌駕する新たな艦娘の成長の一旦である事もま

た事実であるとも感じていた。

想う力とは、有限として捉える事は不可能であり、また不確かでありながら無限の可能性を秘めている。

その片鱗は既に北上のみにならず、この提督鎮守府の艦娘達で幾つかの事例と共に実証されつつあった。

想いが生み出す、新たなる進化。それは、例え離れていても変わらない。

116: 2014/10/05(日) 21:26:14.21 ID:9fzcj0qpo
-???-

??「礼を言う」

??「フッ、それはお互い様さ。キミ達の技術は実に素晴らしい。近い将来、また再び邂逅を果たそうじゃないか」

??「いや、それでも…これは、私にとっては奇跡に等しいのさ。願いが通じたと言っても過言ではない」

??「そうか。まぁ、ここからの航海もまた難儀だろうが、途中までは私達も護衛として付き添おう」

??「感謝するよ。スパスィーバ」

??「フフッ、バジャールスタ。では行こうか、キミの言う、暁の水平線とやらに再び勝利を刻むために」

??「ああ、行こう!」

117: 2014/10/05(日) 21:40:59.26 ID:9fzcj0qpo
-母港-

提督「はぁ~、潮風が超気持ち良い」

イク「提督!海の中ならもっと気持ちいいよ!?」プカプカ

提督「アホ抜かせ」

イムヤ「司令官も入ればいいのに」プカプカ

ゴーヤ「ねー?」プカプカ

提督「スキューバダイビングはまた今度だ。しっかし、お前ら朝っぱらから海に潜って何してたんだ?」

イムヤ「私はお魚と朝の水中散歩」

ゴーヤ「早朝水泳でち」

イク「周辺海域見て回ってたの!」

提督「じーさんやばーさんの思考だな…」ボソッ…

イムヤ「今なんか言ったー?」グッ…

ゴーヤ「悪口な発言に思えたでち」ググッ…

イク「イクはまだおばーちゃんじゃないのね!」グググッ…

提督「わー!解った、悪かった!だからその溜めた両手を収めろ!」

118: 2014/10/05(日) 22:11:12.80 ID:9fzcj0qpo
イムヤ「そう言えば、この間のキス島攻略でその先に広がるアルフォンシーノ方面へ進出できたんだって?」

提督「ん?あぁ…別の鎮守府で進軍して、見事溜まってた膿を吐き出させたようだ。その中の鎮守府の一つは先輩
の鎮守府、新生鋼鉄の艦隊だ」

ゴーヤ「新生、なのでちか?」

提督「旗艦は長門、随艦には翔鶴や天竜たちも加わってたみたいだ」

イムヤ「おー、早速活躍してるわね」

イク「イクはまだ出撃してないの!」

提督「その内な。何よりイクと春雨は決定的に実戦経験が少ない。無理をさせて怪我でもされたら大変だからな」

イク「提督、優しいのね…」ウルウル

イムヤ「イク、目をウルませても多分何もでないわよ」

ゴーヤ「散々ゴーヤ達で試験運用して失敗に終わってるでち」

提督「散々やられたから免疫できてるんだ、アホタレ」

イムヤ「私は殆ど参加してないでしょ!」

提督「まぁ、概ねゴーヤだな」

ゴーヤ「テヘペロでち」

イク「ちっ…」ボソッ

提督「今お前舌打ちしただろ!?」

イク「え?」キョトン

イムヤ「ははは…」(いい性格してるわ)

提督「ったく、ほら…もう直ミーティングの時間だから海から上がって、体シャワー室で洗ってこい。言ってお
くが、遅れましたは通用せんからな」

三人「「「はーい!」」」

119: 2014/10/05(日) 22:38:09.96 ID:9fzcj0qpo
-作戦室-

提督「────とまぁ、今日は比較的平和だ。遠征の任務がある潜水艦隊と一部水雷戦隊は準備が出来次第順次
発つこと。潜水艦隊はイムヤを旗艦とし、随艦にゴーヤとイク、夕張が付くように」

夕張「はいはーい!」

提督「後は、護衛任務と輸送任務だが、護衛任務は旗艦を阿武隈、随艦に白露と春雨、熊野だ。輸送任務は暁を
旗艦とし、随艦は電、川内、神通でそれぞれ頼む」

木曾「残りは何すんだ?」

提督「午前と午後にAとBで分けてそれぞれ実技演習、座学で頭の体操だ」

木曾「げっ…」

北上「木曾っち~、寝るなよ~」

木曾「う、うっせーな!解ってるよ!」

120: 2014/10/05(日) 22:57:12.66 ID:9fzcj0qpo
木曾「」スピー…

提督「誰かそこの眼帯馬鹿を起こせ」

衣笠「ティッシュ丸めて…コチョコチョ~」サワサワ

木曾「ふぐっ…へあ……はぁっくしょん!」ガバァッ

北上「お~、起きた起きた」

木曾「んあ…」キョロキョロ…

瑞鳳「あはは、寝惚け眼だ」

提督「木曾、悲しいお知らせだ」

木曾「はぁ?んだよ……あっ」

提督「この後の休憩時間、俗に言うお前らのおやつタイムだ。お前無しね」

木曾「あ、ちょっ、たんま、たんまっ!お、おい、北上!なんで起こしてくれないんだよ!」

北上「姉は時として厳しいのだよ、木曾っち」

木曾「んだよそれ!」

提督「良かったな、榛名。お前は定時でおやつタイムだ」

榛名「」ニヤリッ

木曾「おいっ!おい、提督!今の榛名の顔見たか!?」

提督「あ?」

榛名「?」キョトン

木曾「この、アマ…!」プルプル

赤城「榛名さんのダークサイドを見た気がします」ヒソヒソ

瑞鳳「普段から提督の相手してるとああなっちゃうのかな…」ヒソヒソ

霧島「さ、司令。早いところ続きを」

提督「ん、おお、そうだな」

瑞鳳「絶対、霧島さんとか学級委員長とか風紀委員長とか生徒会委員長とか似合うんだろうなぁ…」

赤城「因みに、瑞鳳ちゃんは?」

瑞鳳「私はぁ…う~ん、なんだろう?体育委員とか楽しそうだなぁ」

赤城「ふふふ、私は是非給食委員で!」テカテカ

瑞鳳「」(初日でつまみ食いしてクビになりそうだなぁ、赤城さん…)

126: 2014/10/07(火) 20:47:35.98 ID:oDWpQ4lWo
-執務室-

提督「木曾、次はこの書類だ」

木曾「勘弁してくれ提督…俺は文字と睨めっこってガラじゃねぇんだよ…」

提督「戯け。お前の報告書ひどすぎんだよ。大体な、この前のだってお前のだけ大本営から送り返されてきたん
だからな?詳細理由部分が理由になっていません。経過報告部分が報告の意味を成していませんって注意書きの
おまけ付きでな!」

木曾「うへぇ…」

提督「うへぇじゃねぇ!それは俺の台詞だアホタレ!」バンバン

木曾「だってよぉ…」

提督「おっ?言い訳?言い訳しちゃう?そっかー、言い訳しちゃうかー」

木曾「あっ……ちょ、まって……!たんま、今のたん……」

提督「おめでとうっ!君のおやつタイムは塵と消えました!さぁ、夕方までみっちり付き合ってもらうぞ、コラ」

木曾「…………ッ!!」プルプル



モウ、イヤダァァァァァァァァァ……ッ!!




127: 2014/10/07(火) 21:01:38.87 ID:oDWpQ4lWo
-談話室-

北上「おー、聞こえてきたね~、木曾っちの断末魔」モグモグ

瑞鳳「恒例の断末魔。最近は皆ボロを出さないからなぁ」ニガワライ

榛名「この、時間は、提督も、休憩したくて、ウズウズしてますからね」モキュモキュ

赤城「普段、榛名さんと、一緒には、あまり休憩、できませんからね」モキュモキュ モキュモキュ

榛名「はぁ、美味しい。幸せ…」テカテカー

瑞鳳「休憩時のレア艦娘、それが榛名さんですからね」モグモグ

霧島「……」カリカリカリカリ…

衣笠「霧島さん、休憩時間でもお構い無しでめっちゃノートに色々書き込むね」

霧島「日々データは更新されてますからね!何より、提督の座学は非常にためになります!」

128: 2014/10/07(火) 21:21:15.57 ID:oDWpQ4lWo
衣笠「うわっ、すご…文字とグラフと…これ、何?」

霧島「各艤装の図解と特性を記載した表です」

衣笠「うへぇ…」

榛名「霧島にノートとペン持たせると、凄いよ」

衣笠「そういえば、この間もキリちゃんの妨害をものともせずに黙々となんか書いてたよね」

北上「今も、かなぁ…」チラッ…

キリ「うにゃ~…」ウロウロ ウロウロ

霧島「……」カリカリカリカリ…

キリ「にゃっ」テテテテ…


ムンズ…


キリ「んにゃ!?」


ヒョイ…


榛名「預けられた…」

129: 2014/10/07(火) 21:32:48.36 ID:oDWpQ4lWo
キリ「にゃーん…」ショボーン

榛名「よしよし…」ナデナデ

瑞鳳「名義上、金剛さんの飼い猫なのに完全に榛名さんに懐いてるよね」ツンツン

キリ「うにゃぁ」ゴロゴロ

瑞鳳「あはは、可愛い」

榛名「普段は金剛お姉さまの部屋でくつろいでるけど、キリが自分の意志で日替わり感覚で私達四姉妹の部屋へ
出たり入ったり、かな」

赤城「うふふ、四姉妹の部屋を行ったり着たりですか?贅沢なネコさんですね」ナデナデ

キリ「にゃ?」

衣笠「本人は解ってないみたいね」

キリ「」ペロペロ

北上「この前は確か提督と庭で戦ってたね」

キリ「にゃん!」フンスッ

榛名「提督は煙たがってますけど、この子は結構提督がお気に入りみたいですね」

北上「呈のいい遊び相手なんじゃないの~?」

榛名「あははっ、かもしれないですね」

130: 2014/10/07(火) 21:53:21.53 ID:oDWpQ4lWo
金剛「Oh!キリ、こんなところにいたネー!」ワキワキ…

キリ「にゃっ」ビクッ

榛名「あら、金剛お姉さま。どうかしたんですか?って…何、両手ワキワキさせてるんですか…」

金剛「これからキリはIt's bath time.ネ~!」バーン

キリ「うにゃ~!」ドタバタ

衣笠「ち、ちょっとちょっと、暴れだしたわよ…」

瑞鳳「あはっ、そっかぁ、お風呂苦手なんだ?」

キリ「シャー」

金剛「Hey!キリ、それじゃよくないヨ~?体綺麗にしないと、また提督が怒るネ~。主に怒られるのは私なんだかネッ!」

キリ「にゃにゃにゃっ」フルフルフル

瑞鳳「あはは、首振って拒否してる。金剛さんの言葉解ってるのかな?」

金剛「キリ~、頼むネ~」

キリ「フシャー」

赤城「臨戦態勢です」


ダッ


赤城「あらら、敵前逃亡…」クスッ

金剛「待つネー!キリーッ!!」ダッ

榛名「提督に見つかったら、金剛お姉さまも執務室に缶詰でお説教プラス書類整理のお手伝い確定ですねぇ」クスッ

北上「第二の犠牲者か…ってか、金剛っちは良く悲鳴上げてたか…あんま面白みないなー、それだと…」

赤城「あなたは相変わらずね」クスッ

北上「んふふ~、まぁ楽しい事はいいことだよ、うん」

131: 2014/10/07(火) 22:14:20.43 ID:oDWpQ4lWo
-???-

??「さぁ、ここまでくればもう良いだろう」

??「感謝するよ。この恩は忘れない」

??「よしてくれ。これも何かの縁…そう、私達という存在が紡ぎだした一つの奇跡だ。キミは、その先駆けに
過ぎないのかもしれない。だが、確かな一歩と確かな奇跡の始まり、それがキミさ」

??「ふふっ、そうかもしれないね。ダスビダーニャ」

??「ダスビダーニャ、ヴェールヌイ」


Bep「……帰ってきたよ。司令官、皆…」


彼女の見据える先には提督鎮守府の灯す明かりが燦々と夜空を照らして輝いていた。

普段は余り感傷的にならない彼女も、この時ばかりは熱いものが込み上げてきた。

期間にすれば大した事はないのかもしれない。

いや、それでも二十日間と言う期間は鎮守府の皆にとって、彼女自身にとっては途方もない時間に感じた事だろう。

だからこそ、この瞬間は奇跡が起こった瞬間であり、待望の瞬間であり、かけがえのない瞬間だったのかもしれない。

紆余曲折を経て、漸く提督鎮守府へと彼女は帰還を果たす。響改めヴェールヌイ、提督鎮守府へついに邂逅を果たす。

137: 2014/10/08(水) 21:36:04.21 ID:uqHXliPAo



~If~



-???-

そこは深くて暗くて寒々とした印象だけが支配する。

誰も近寄らない、誰も近寄れない、暗闇だけが全てを支配する水底。

静かで、ゆったりと流れる時間。

手を差し伸ばしても、誰もその手を取ってはくれない。

差し伸ばした手、腕、白い素肌がすぅっと青白く変わっていく。

不思議と恐怖はない。

心地良ささえ感じる。

寒さは消えて、変わりに心の奥底に芽生える感情。入れ代わるように消えてゆく感情。

仲間の顔、仲間の声、明るい……未来。全てが消える。

それら全てが消えて、新しく生まれるのは、悔しさ、悲しさ、孤独感……負の感情。

違うと心の中で叫んでも、その声はもう表には届かない。

やがて心も暗闇に支配され、それは出でる。


??「ヨウこそ、こちら側ノ世界へ……」

138: 2014/10/08(水) 22:00:29.04 ID:uqHXliPAo


バサッ…!


響「…はぁ、はぁ…夢?」



提督「響…なのか?」

Bep「やあ、司令官……ただいま」



響「ここは、現実…?海、上……?」



艦娘には、氏後三つの世界が待ち受けている。

響……改め、ヴェールヌイは氏に直面したことでその内の一つの狭間を垣間見た。

厳密には感じ取ったと言うべきで、彼女自身はそれを現実としては捉えておらず、夢として処理していた。

これは、彼女に起こったであろう最悪の結末。

起こって欲しくないという願望が生み出す悲劇。

そして起こりえる可能性を秘めた悪夢。

139: 2014/10/08(水) 22:00:56.03 ID:uqHXliPAo



加賀「そして、最後の一つ……水底へ沈み、深海棲艦として生まれ変わる」

武蔵「残した念が強ければ強いほど…」

大井「悲しみを帯びて、憂いを引き摺れば引き摺るほど…」

加賀「それは負の感情となって自分が想像しえる最低最悪のイメージとして具象化し、氏後私達に牙を剥く」

140: 2014/10/08(水) 22:26:02.85 ID:uqHXliPAo
-鎮守府-


ビー、ビー、ビー


榛名「提督っ!深海棲艦が……!」

提督「くそっ、残ってる連中を集めろ!防衛ラインを形成し、なんとしても食い止めるんだ!」


??「やっと、戻ってコレたよ……司令官」


暁「あ……あぁ…」

電「そんな、どうして……」


??「あぁ、暁…電…タダイマ。戻って、キタよ……」


暁「ごめん、ごめんね、響……!」ジャキッ

電「せめて、安らかに眠って欲しいのです…!」ジャキッ


??「どうして、何、シテるの?」


ドン ドン ドン ドン


ボゴォォォン


グギャァァァ……


アアアァァァァァ……


??「え……?」チラッ


──深海、棲艦?──


??「私が、連れてキテ、しまったのか…?」


ボゴォォン


??「うぐっ…!」

暁「はぁ、はぁ…」

??「あか、つき…?ドウして、私を撃つんだ?」

暁「響は…響は氏んだんだからぁ!卑怯よ…深海棲艦、こんな卑怯なマネ……許さないんだからっ!!」ジャキッ

??「やめろ、アカツキ……私だ、ヒビキだよ……!」

暁「響の仇は、私が取るんだから!」ドン ドン

??「……ッ!」

141: 2014/10/08(水) 22:49:36.42 ID:uqHXliPAo
-医務室-


ガバァッ


Bep「……ッ!はぁ、はぁ、はぁ……」

提督「おい、響!響、大丈夫か?どうした、凄いうなされてたぞ」

Bep「し、司令、官…?」

提督「そこの砂浜んところで倒れてるのをイムヤたちが知らせてくれてな。取り敢えず、入渠ドックへ運んで、
怪我は治したんだがお前の意識が戻らなくて、皆心配してたんだぞ」

Bep「…私、戻ってこれた、のか」

提督「ああ、そうだ。戻ってきた。ったく、無茶ばかりして…後であの当時、作戦に参加したメンバーにはちゃ
んと謝るんだぞ?特に暁がもうひどくてな…宥めるのに苦労した。俺も、相当迷惑かけたから余り暁のことは言
えないんだがな…」ニガワライ

Bep「うん、反省してる。けど、私は強くなって戻ってきたんだ、司令官」

提督「強くなって?そういえば、被ってた帽子が暁たちと違ったが…」

Bep「私の名はヴェールヌイ…信頼できると言う意味の名なんだ」

提督「お前、まさかロシア海域まで行ってたのか!?」

Bep「実は良く覚えてないんだ。案の定、奴等は待ち伏せしていた。その時は虚勢を張ってでも切り抜けるつも
りだったけど、相手は戦艦級に重巡級、他にも沢山いたように思う。夜の闇に紛れて何匹かは沈めたところまで
は覚えてるけど…弾薬も底をついてきて、燃料も相当厳しかったのもあったから、隙を見て闇と煙幕を利用して
逃げた」

提督「けど相手は追ってきたんだな?」

Bep「随分としつこい連中でね。方角なんてもう気にしてる余裕はなかったよ。途中で、ついに追いつかれて万策
尽きて、これまでかと意識が遠のき、気付いたらベッドの上に横たわっていた」

143: 2014/10/08(水) 23:08:34.48 ID:uqHXliPAo



響「……ここ、は?」

??「プリヴィエート。気が付いたか」

響「君は…?」

??「私はポルタヴァ級第一等戦列艦、ポルタヴァだ」

響「…聞いた事のない、名前だ」

ポルタ「それはそうだろう。私達はキミ達、ヤポーニャとは違う。ロシアに属する艦隊なのだから」

響「ここは、ロシアなのか…?」

ポルタ「ああ、その通りだ。丁度うちの艦隊が遠征任務を行っていてな。道中砲撃の音に釣られてキミ達の戦闘
区域に遭遇したという事だ。深海棲艦は共通の敵という事だな」

響「そうか…わざわざすまない」

ポルタ「気にするな。それよりも、その成りで戦艦級や重巡級を相手にするというのがそもそも無謀だ。それで
は命がいくつあっても足らんぞ」



Bep「それで、暫くそこの鎮守府で厄介になって、様々な技術を交換したというわけさ」

提督「ロシアの鎮守府か。はは、連絡の取りようもないな。まぁ、とにかくお前が無事だった事をみんなに伝え
てくるよ」


ガチャ…パタン


Bep「……あれは、本当に夢だったのか?現実味が、ありすぎた……」



その後、響改めヴェールヌイは皆の前で謝罪をした。

勝手な行動を取ってしまった事、心配させてしまった事、溢れてくる感情は抑えきれず、後半は言葉にもなって

いなかったように思う。

それでも、全員が響の帰還を心より歓迎し、安堵し、涙した。

改めてヴェールヌイは皆の温かい心に触れて、この鎮守府にこれてよかったと実感した。

150: 2014/10/10(金) 23:38:33.00 ID:aBqxSBjuo
-あくる日・某所-

提督「…こういう所、あんま慣れてないんですけどね」

榛名「わぁ…」キョロキョロ

先輩「何よ、快気祝いもしない不逞の後輩の分際で、偉そうに文句垂れるわけ?」

提督「だぁからぁ、それ所じゃなかったって言ってんでしょうが、全くもう…」

長門「ふっ、相変わらずだな、提督大佐は」

榛名「提督、提督!高そうなお酒がいっぱいあります!」ワクワク

先輩「ふふっ、榛名ちゃんはお酒、イケる口かしら?」

榛名「えっ、あ、えーっと…す、少しなら…」ニガワライ

長門「榛名は一定量のアルコールが入ると愚痴が始まるから注意だな」

榛名「な、長門さん…!///」

提督「で、秘書艦を随伴させる意味はなんなんですか。実務的な内容なら、別に俺らだけでもいいでしょ」

先輩「まぁそう急くな。私やお前、それに榛名ちゃんや長門にも大いに関連が深い話だ」

提督「この場の面子にとって重要って事ですか?」

先輩「厳密にはこの場限りではない。が、代表してといったところだな」

151: 2014/10/10(金) 23:56:59.68 ID:aBqxSBjuo
事の発端は、つい先日の事さ。うちの艦隊でアルフォンシーノ方面を攻略した事は記憶に新しいと思う。

問題は、そこから更に哨戒地域を広げている段階で発生した。

もはや積年の相手と言っても過言じゃないな。新鋭元提督の姿をそこで確認した。

実際にこの目で確かめた訳じゃないが、空母組の艦載機からの情報だ。まず間違いはあるまい。

それとは別に、西方海域方面と南方海域方面へ向かう敵影をそれぞれ確認した。

どちらも今までに認識した事がない容姿と聞いてね。まず、間違いなくお前達が交戦した通称「鬼」や「姫」と

呼ばれていた連中だと思ったよ。

それと、これも正式な識別として決まった呼称、戦艦レ級も確認されている。

ここにきて局面が一気に動いたって訳さ。

で、一つは実際に合間見えた事があるお前達に生の情報を貰いたかった事。

で、残りもう一つ、長門達の戦闘を見て感じた事だが…正直驚きのほうが勝っていてね。

152: 2014/10/11(土) 00:09:26.70 ID:rs6GQxFvo
提督「長門たちの戦闘…?」

先輩「長門に限った話じゃないだろうが、それでも頭一つ抜きん出ていたのはやはり長門だ」

長門「……」

先輩「で、直感的に思ったわけ。あんた、どういうコネでいったか知らないけど、大本営のトップシークレット
にもなってる近代化改修を施したわね?」

提督「元帥殿自らが話をしてくれたんですよ」

先輩「父さんが…?」

提督「先のモーレイ海を掌握するために、俺たちは一度挑んで大敗していました。相手は戦艦レ級…たった二隻
でしたが、その戦力は予想を遥かに凌ぐ脅威でした。主力の第一艦隊に第二艦隊を随伴させて挑みましたが結果
は散々なものでしたよ」

榛名「…途中、機転を利かせて陸奥さんが自爆に等しい特攻を仕掛けてくれて、そこに生じた隙をついて私達は
なんとか逃げ遂せたんです」

長門「私もあの場では全くと言っていいほど手も足も出なかった。結果として、無様な姿を晒す事にもなった」

先輩「なるほどね…それを皮切りに、近代化改修か。けど、その効果は未だ実戦で本領を発揮していなかった。
それ所か、元帥お抱えの部隊でもまだ主力艦隊でしか実証が完璧にはなされてないものだったのよ?」

提督「ええ、賭けでしたね。結果論ですから素直には喜べていません。正直、安堵の方が勝ってます」

153: 2014/10/11(土) 00:41:53.73 ID:rs6GQxFvo
先輩「けど、そうね…榛名ちゃんと長門に、それぞれ聞いてみたかったのよ。近代化改修、聞くだけならきっと
内容としては容易く感じたはず。けど、実際に行って見てどうだったのか。また、その後の感じとしてもどうな
のか。非常に気になるところなのよね」

榛名「私の場合、瞬発的にですけど、力や速さが増したというか…普段なら到底無理な動きとか反射速度とか、
そういったものを半ば少し無視した動きが出来るようになりました。周りの皆からも『ありえない動き』なんて
言われるくらいですから…」

長門「潜在的な力と言うものを余さず引き出せるトリガーと私は認識している。よく言うだろう、火事場の馬鹿
力と…それに近いものを意識的に出せるようになる、とでも言うのかな。しかし、最も大きいのは私の場合は、
だが…誰かを守ると決意した瞬間だな」

榛名「…それ、解る気がします。私は、あの時…散っていった武蔵さんや加賀さん、大井さん達を強く想って、
彼女達の遺志を背負ってみせるって、決意した時に力が発揮された気がします」

先輩「艦娘個々でその『トリガー』は別々に存在するって事か。榛名ちゃんなら託された想いを汲む事で、長門
なら誰かを守ると決意した時、それぞれ近代化改修で得たパワーを表面に発現させられる、と…」

提督「そんなに凄いのか?」

長門「ああ、得られる力は絶大と言えるな。だが、それに振り回されることもある」

榛名「自分の身体なのに、言う事を聞かないというか…」

提督「狂乱状態だな」

154: 2014/10/11(土) 00:42:59.76 ID:rs6GQxFvo
榛名「だけど、表現が難しいんですけど…頭の中で、カチッてスイッチが入った感じで、そうなると暴れている
力も難なく御せるようになるんです」

先輩「なるほどね。そして、その結果が深海棲艦の幹部クラスと目された泊地棲姫の撃破に繋がった…」

提督「それなんですけどね」

先輩「ん?」

提督「鬼や姫と呼ばれる存在です。どうやら、鬼と呼ばれる状態はあいつらにしてみれば通常形態で、本領発揮
をすることで姫へと進化しているのではないかって思いまして…更に、途中途中で聞こえてきた深海棲艦の言葉
なんですが、少し気になる部分もあります」

長門「……以前にも、戦った事がある口ぶり、か」

提督「気付いてたか、長門」

長門「なんとなく程度だ」

榛名「それに、なんだか私達を憎んでいる口ぶりでもありました」

提督「その通りだ。少なくとも奴らは艦娘を憎む、あるいは遠ざけたい、近寄りたくない存在として捉えている」

先輩「その癖、人間に向ける意識は薄い…」

提督「その通りです。ですが、俺は以前にその艦娘に対して全く敵意を向けない深海棲艦を目の当たりにしました」

先輩「何…?」

榛名「え、それって…」

長門「…電達から私も話を聞いたことがある」

提督「外見は空母ヲ級でしたが、容姿が成長途中と言うか…」

先輩「幼子って感じだったわけ?空母ヲ級って言えばみた感じ、確か人間でいう所の中~高校生に近かったわよね」

提督「ええ、ですがその見かけたヲ級は容姿は幼子、扱う言葉はカタコトでしたが、こちらに敵意を全く向けて
こないので、印象に残ってました」

155: 2014/10/11(土) 00:44:20.70 ID:rs6GQxFvo
先輩「それ以外で何か気になる事はいってたの?」

提督「私自身は敵意はないが、他の深海棲艦がそうとは限らない。私はもう戻る事もできない、と…」

先輩「はぐれ深海棲艦って事か…」

提督「深海棲艦…本当に謎の部分が多いです。合わせて、新鋭元提督の動きも気になります」

先輩「深海棲艦の生態についてはこっちで調べておくわ。あんたには危険と承知でお願いするけど、新鋭のその
後の動向を探って欲しいのよ」

提督「お願いって…俺たちが独断に見える動きをしてたのは、元帥殿のお墨付きがあったからですよ?先輩みた
いにホイホイあちこち出歩くなんて基本出来ませんよ」

先輩「あんたねぇ…まるで私が夢遊病患者みたいな言い方やめなさいよね!?」

提督「事実でしょうが…」ボソッ

先輩「長門、提督命令。こいつ押さえつけなさい」

長門「……恨むなら自分を恨んでくれ、『元』提督」ガシッ

提督「あっ、おいこら長門!おま、薄情すぎるだろ!?しかも何『元』強調してんだ、ふざけんな!元だろうが
上官は敬え、ちくしょう!っていうか、榛名も助けて欲しいんですけどね!?」ジタバタ

榛名「面白そうなので傍観に徹して見ます」

提督「どんだけ薄情だ!ぐおぉぉ…ち、力つえぇ…!」ググッ

長門「ビッグセブンの力は伊達ではないよ」グググッ…

提督「力の使いどころ間違ってんだろぉ……!」

161: 2014/10/12(日) 22:10:17.46 ID:5hhnrXcUo



-???-

リコリス「ポート、アクタン以外は全員集まったワネ」

装空鬼「西方海域ダケじゃなく、他の海域のモノ達まで呼ぶノハどういうコト?」

リコリス「既に泊地棲姫が沈めラレたと言う話は聞いてイルはず」

??「マサカ決起会デモしようと言うの?」

リコリス「寝首ヲ掻かれナイ様に対策が必要ダト言ってイルのよ」

??「不必要に感じるケレど?」

??「デモ、リコリスの言う事も事実カナ?」

??「けど、ここマデこれるのカシラ?泊地棲姫モ浮遊要塞のみで、単独で挑んで、相手の力量ヲ見誤って、こ
うナッタんでしょう?ナラ、始めカラ全力で潰しにイケばいい。アノいけ好かナイ人間の女ノ方針になど、基本
私達ハ従う理由ナドないのだから…」

リコリス「ピーコック……」

162: 2014/10/12(日) 22:27:22.42 ID:5hhnrXcUo
ピーコック「なぁに?モシかして、普段の私の働きの事ヲ言ってイルのかしら?それとも、パートナーのコトかしら?」

リコリス「……」

ピーコック「フフッ、怖い顔ね。いいわ…だったら私達が少し、その噂の艦隊ト遊んデあげる」

??「私もついてイクの?」

ピーコック「イイじゃない、どうせ暇ナンだから。ソウでしょ、フェアルスト?」

フェアルスト「はぁ…貴女の奔放さにつき合わサレる私の身ニモ、たまにはナリなさい?」

リコリス「少なくトモ、私達と一対一デモ引けを取らナイ艦娘が存在するノハ事実よ」

ピーコック「…なんですって?聞き捨てナラないわ。私達と、同等デスって?」

フェアルスト「六隻ヲ相手に、沈めらレタ訳ジャないと?」

リコリス「報告デハ初回、一隻…その後、三隻ヲ相手にシテ一方的に攻撃を受けテ沈めラレた、とあるわね」

??「泊地棲姫がタッタの三隻に沈めラレたと言うノ!?」

??「信じラレない…」

装空鬼「……つまり、艦娘達も私達に対応デキる何かヲ、掴んだと言うコトね」

163: 2014/10/12(日) 22:59:22.13 ID:5hhnrXcUo
??「フフ、なら…絶望するマデ、何度でも水底へ落とセバいい……」

装空鬼「南方棲戦鬼……忘れてイルみたいダケど、新型の戦艦モ、こちらはヤラれているのよ」

南戦鬼「変わりはシナい。私の理念はな…私の砲撃は、ホンモノよ……」

??「……何度デモ繰り返す、コノ愚かな戦いヲ……」

??「フフッ、それこそ慢心がモタラス発言かもね?」

??「……随分と辛口ネ」

??「あら、ゴメンなさいね?」

ピーコック「いいわ。少しヤル気も出た…あの計画の下準備ノ前にする準備運動ニハ丁度いいでしょう?」

フェアルスト「それもソウね」

リコリス「二人トモ、くれぐれも……」

フェアルスト「解ってイル」

ピーコック「名目は敵情視察…遠征ヨ。遠征…」

164: 2014/10/12(日) 23:19:56.82 ID:5hhnrXcUo
深海棲艦達が何かの計画を企て、時を同じくして提督と先輩提督が今後の方針について語り合っていた頃、鎮守府

では一つの催しが行われていた。

泊地棲姫との戦闘以降、休息も含めてこれといって遠征任務程度しか活躍の場がなかった面子は体の鈍りを解す

目的と大本営で培った能力をさび付かせないという名目で、身内同士で演習戦を行う事を決定していた。

その戦いに、同じく自分の実力を再確認したいとヴェールヌイも名乗り出た。

170: 2014/10/16(木) 20:40:51.81 ID:Lf9Vye1Zo
-演習場・夜-

北上「ほいっ、ちにっ、さんっ、しっ、と…」

羽黒「司令官さんと榛名さんいらっしゃらないのに、大丈夫でしょうか…?」

衣笠「んまぁ、なんとかなるっしょ」

大鳳「それに、遊びではないですからね」

木曾「っし、準備は万端!いつでもいけるぜ!椅子に座りっぱなしで鬱憤溜まってるからよ…マックスでわりぃ
がいかせてもらうぜ」

陸奥「私はまぁ、小手調べ程度かしらね」

龍驤「そないな事言うて、ひっくり返ってもしらんでぇ」

川内「ふっふーん、そぉれはどっちかなぁ?足元掬われないようにしなきゃね」

赤城「戦力差が明確に分かれてしまうと思いますが、出来る限り均等になるように私の方で分けて見ますね」

北上「よろしくね~」

陸奥「最も、タイマン仕様でやるからどっちに転ぶかなんて解らないだろうけどね」


■赤組
陸奥 龍驤 川内 北上 夕立

■白組
衣笠 大鳳 羽黒 木曾 Bep

171: 2014/10/16(木) 21:09:26.77 ID:Lf9Vye1Zo
赤城「…こんな感じでしょうか?」

神通「大本営で演習に臨んだ皆さんの実力、凄く期待してしまいます」

夕張「データの更新にもなるなぁ、ねっ、霧島さん!」

霧島「ええ、榛名の実力を鑑みても、確実に他の子達も戦力は大幅に上がっているはず。あの時は本領発揮とま
ではいかなかったみたいだけど、衣笠や羽黒も実力は格段に上がってると思うしね」

瑞鳳「何より、あの時の長門さん達の強さは本物だった…」

暁「ひび…じゃないや、ヴェル」

Bep「別に響でも構わないよ、暁」

暁「う~…」

電「ベルちゃん、余り無理はしたらダメなのです」

Bep「正直、改装を施した後でどれだけ性能が強化されてるのか自身でも解ってないんだ。だから、こういう場
で確認したかったんだ」

夕立「病み上がりなんだからさぁ」

Bep「解ってる。無理はしないよ」

夕立「むぅ、ホントに頑固なんだから!それなら、私だって容赦しないっぽい!」

Bep「ふふっ、臨むところさ。信頼の名は伊達じゃないところを見せるよ」

172: 2014/10/16(木) 21:50:52.79 ID:Lf9Vye1Zo
-陸奥 vs 衣笠-

陸奥「艦隊戦じゃなく、一対一ってこと?別にいいけど、ちょっと物足りないわねぇ」

衣笠「あらら、もしかして衣笠さんじゃ役不足ぅ?」

陸奥「なんてね。あなたや羽黒をそこら辺の重巡型と一緒にしたら泣きを見るのはこっちでしょ?リハビリつい
での練習台なんて思わないわよ。全力で倒しに行くわ!」

衣笠「それはそれは、重畳の至り、なんちゃってね!ヴェルちゃん同様、病み上がりだからって私も容赦はしな
いんだからね!?」

陸奥「上等よ。ビックセブンの力、思い知らせてあげるわ!」


比叡「陸奥さんはどうでるかな?」

金剛「陸奥は一発が強力な戦艦ネ。足で稼ぐより手数で稼ぐのが得策に思うけど…」

霧島「…今までは、ですよ。長門さんの戦いを目の前で見ていた私からしてみれば、足元を掬われるかと…」

比叡「そっか…今回の面子って、夕立やヴェールヌイ以外は…」

金剛「大本営帰りネー」

173: 2014/10/16(木) 22:03:55.18 ID:Lf9Vye1Zo
衣笠「先手…必勝!」ダッ

陸奥「」(足回りはどう頑張っても衣笠には及ばない。なら、まずは正攻法ね)ジャキッ

衣笠「む……」

陸奥「足は使わせないわよ」ドォン ドォン


ボボボボン


衣笠「っとぉ!それそれ!」ドン ドン

陸奥「っ!」(こっちの攻撃の合間を狙って撃てるの!?)


ボゴォォン


衣笠「宣言通りっ!先手頂きぃ!」

陸奥「……何が宣言通りですって?」 無傷

衣笠「あ、あれ…?」


比叡「は、速い…衣笠って、あんなに速かったの!?」

金剛「命中精度も格段に上がってるネ。あれだけ速く動き回れば、夾叉になっても不思議じゃないのに…」

霧島「はい…的確に陸奥さん目掛けて砲撃してました」

比叡「けど無傷って辺り、流石ビックセブンって感じなのかなぁ」

金剛「はぁ、比叡ぃ~、しっかり見るネ~!着弾の瞬間、陸奥はきっちりガードの姿勢をとって防いでたヨ?」

比叡「え゛……」

174: 2014/10/16(木) 22:22:03.39 ID:Lf9Vye1Zo
衣笠「むぅ…」(あれ防いじゃうのかぁ。硬直上手く狙ったと思ったんだけどなぁ…)

陸奥「じゃ、行くわよ?」サッ

衣笠「え、行くわよって…なんで砲撃の構えじゃないの?」

陸奥「そりゃあ…」

衣笠「ちょ、ちょ、ちょっと待ったぁ!ダメダメ、衣笠さん殴り合いなんて無理だってばぁ!」

陸奥「問答…」

衣笠「うわ、やば…」

陸奥「…無用ッ!」ビュッ

衣笠「このっ…!」ドン ドン


ヒュン ヒュン……ボゴォォン


陸奥「精密性欠けてるところを見ると、こういった距離が満更でもないみたいね?」

衣笠「」(痛い所突くなぁ…でもまぁ、短所を克服するのもありだけど、長所を伸ばして更に短所までカバーす
るのも、またありよね)チャキ チャキ

陸奥「む…連装砲じゃない?」

衣笠「そっ、これは私専用にカスタマイズしたものよ。20.3cm(3号)三連装砲…」

陸奥「」(もう一個は…従来と同じもの。二門同時に主砲を扱えるって言うの?)

衣笠「そんじゃま、いくわよぉ!」ダッ

陸奥「手数で勝負なら負けないわよ!」

衣笠「ほらっ!」ドン ドン

陸奥「これしき!」サッ


ボボボォォン


衣笠「もう一つ!」ドン ドン

陸奥「くっ…!」(この子、ホント的確ね)


ボゴォォン


陸奥「……少しはやるじゃない」 小破

衣笠「直撃させたと思っても最小限に抑えてくるなぁ…」

175: 2014/10/16(木) 22:23:15.65 ID:Lf9Vye1Zo
陸奥「火遊びが過ぎるわね」ジャキッ

衣笠「やばっ……射線…」

陸奥「全砲門、開け!」ドォン ドォン


ボゴォォォォォォン


衣笠「夾叉…危なかった…」

陸奥「何処がかしら!?」サッ

衣笠「えっ」


ドゴォッ


衣笠「きゃあ!」 小破

陸奥「姉さん譲りなのよ、殴り合いはね」グッ

衣笠「げほっ、やばい…」

陸奥「悪いけど、私の前に立つ以上、徹底的に撃ち落すわ!もう二度と、私は倒れない!!」ジャキッ

衣笠「はは、ウソでしょ。速すぎるって…」(時間、あと少し…なんとしても!)

陸奥「この勝負は私の勝ちよ、衣笠!」ドォン ドォン


ボゴォォォン


陸奥「……」

179: 2014/10/17(金) 21:51:01.18 ID:+IK+QPxeo
皆様こんばんは
本日も宜しくお願いします

180: 2014/10/17(金) 22:09:00.06 ID:+IK+QPxeo
霧島「決まったかしら?」

比叡「…でも、なんか腑に落ちないって言うか。衣笠だって大本営帰りでしょ。これで終わりな気がしない」

金剛「ここから、多分衣笠が巻き返してくるネ」

霧島「え?」

金剛「慌てずに良く見てたヨ。土壇場で冷静な対処が出来るって言うのは大きなAdvantageネ」


陸奥「あれを、凌いだの…?」

衣笠「はぁ、はぁ…」 中破

陸奥「やるじゃない、衣笠」

衣笠「まだまだ、これからよ。衣笠の夜戦、見せてあげる!」サッ


スッ……


陸奥「闇に紛れて…!くっ…」


ドン ドン


陸奥「っ!?」サッ


パァァァン


陸奥「うっ…!これは、照明弾!?」

181: 2014/10/17(金) 22:19:53.59 ID:+IK+QPxeo


ザバァァァン


陸奥「そこっ!」ドォン ドォン


ボボボボボボン


陸奥「え…?これ、艤装…!?」

衣笠「ほら、こっちが本命よ!」ジャキッ

陸奥「このぉ!」ジャキッ


ドン ドン ドォン ドォン



霧島「位置の把握は完全に衣笠が一歩リード」

金剛「けどそこから囮を利用して更に不意を突いたのに対応した陸奥も流石ネ~」

比叡「結果、相打ちに見えたけど…衣笠の方が被害は大きいかなぁ」


衣笠「うぅ~、まーけたー!」 大破

陸奥「夜戦まで視野に入れてたなんてね」 中破

衣笠「はぁ…いけると思ったのにぃ」

陸奥「正直冷や冷やものだったわよ。あなたも羽黒も、鬼や姫と呼ばれるクラスを相手にしたんでしょう?」

衣笠「私達はその護衛みたいなのが相手だったけどね」

陸奥「それでも、実力は確かなものよ。次やったら今度は負けるかもしれない。だから、次やってもまた勝てる
ように、もっと修練は積むわ」

衣笠「ふふーん、次は絶対に勝つわよ!」

182: 2014/10/17(金) 22:37:02.14 ID:+IK+QPxeo
-大鳳 vs 龍驤-

大鳳「艦載数の数を言い訳にはしないわ」

龍驤「とーぜんや!正規空母と軽空母じゃその差は歴然。せやけど、うちらかてやれるっちゅうとこ見せなあか
ん時があるんや。見せたるわ…軽空母でも、正規空母に引けは取らんゆーとこな」バサァ

大鳳「上等です。装甲空母の恐ろしさ。身内にもきっちりと知らしめて上げます!」バッ

龍驤「さぁ仕切るで!攻撃隊、発進!」ビュン ビュン

大鳳「第一次攻撃隊、全機発艦!」ビュン ビュン


瑞鳳「赤城さんや飛龍さんはどう見ますか?」

飛龍「単純な戦力差で言えば迷わず大鳳かなぁ。勿論、先輩鎮守府からの同僚贔屓抜きでね」

赤城「通常の正規空母の耐久力や装甲なんかに比べれば、彼女は本当に粘り強いものを感じます」

飛龍「確かにね。私や赤城さん、勿論瑞鳳もだろうけど、ある程度負傷が嵩むと発艦が困難になるけど、あの子
はもう無理でしょって思うところからでも追撃に出れるんだよね」

瑞鳳「装甲空母の名は侮れないって事ですね…」

赤城「けど、龍驤の操る艦載機は身内の私達でも戸惑う軌道を描きますからね」

飛龍「奇想天外…正攻法で理詰めにするには最も不適切な相手だね。直に横道に逸れちゃうからっ」

183: 2014/10/17(金) 22:56:17.11 ID:+IK+QPxeo
-大鳳 vs 龍驤-

大鳳「艦載数の数を言い訳にはしないわ」

龍驤「とーぜんや!正規空母と軽空母じゃその差は歴然。せやけど、うちらかてやれるっちゅうとこ見せなあか
ん時があるんや。見せたるわ…軽空母でも、正規空母に引けは取らんゆーとこな」バサァ

大鳳「上等です。装甲空母の恐ろしさ。身内にもきっちりと知らしめて上げます!」バッ

龍驤「さぁ仕切るで!攻撃隊、発進!」ビュン ビュン

大鳳「第一次攻撃隊、全機発艦!」ビュン ビュン


瑞鳳「赤城さんや飛龍さんはどう見ますか?」

飛龍「単純な戦力差で言えば迷わず大鳳かなぁ。勿論、先輩鎮守府からの同僚贔屓抜きでね」

赤城「通常の正規空母の耐久力や装甲なんかに比べれば、彼女は本当に粘り強いものを感じます」

飛龍「確かにね。私や赤城さん、勿論瑞鳳もだろうけど、ある程度負傷が嵩むと発艦が困難になるけど、あの子
はもう無理でしょって思うところからでも追撃に出れるんだよね」

瑞鳳「装甲空母の名は侮れないって事ですね…」

赤城「けど、龍驤の操る艦載機は身内の私達でも戸惑う軌道を描きますからね」

飛龍「奇想天外…正攻法で理詰めにするには最も不適切な相手だね。直に横道に逸れちゃうからっ」

184: 2014/10/17(金) 22:56:45.61 ID:+IK+QPxeo
龍驤「まずは小手調べや!」

大鳳「開幕で終わらせる!」


ドォン ドォン ボゴォォン


大鳳「そのまま…!いけっ!」

龍驤「ほんま、正規空母と軽空母じゃ自力の差がよぅ出るわ…」ニガワライ


ボフゥゥゥン


バサァ


龍驤「せやかて、指咥えて見てるだけやあらへんで」サッ

大鳳「残りの突貫だけじゃ無理か。けど、貴女の艦載機で私の装甲甲板を撃ち抜けるかしら?」

龍驤「勅命…!」バッ

大鳳「む…?」

龍驤「うちの子らかて優秀なんはおるんよ。キミんとこのハリケーン・バウにも引けはとらへんで?」

大鳳「え…?ち、ちょっと…どういうこと!?」


瑞鳳「え…?あれ!?」

赤城「見えました?飛龍さん」

飛龍「あの子って、こんなトリッキーな真似できたんだ…」

瑞鳳「え?え?龍驤さん、何したんですか?」

飛龍「ミスディレクションって言葉、知ってる?」

瑞鳳「ミ、ミスディレクション?」

赤城「マジシャンとかが良く使う誤った視線誘導の事で、一種のテクニックですね」

飛龍「あの子は今、左手を前に差し出して『勅命』って言葉発したでしょ。わざわざ、艦載機を発艦させる時に
放つ仕草と同じように」

瑞鳳「で、でも…何も起こってないし…」

赤城「そこが、ミソなんですよ。その時点で既に瑞鳳さんも、恐らく対峙してる大鳳さんも、彼女の罠にハマッ
てますよ」

飛龍「本命は…龍驤の左側とは反対の右側…更に迂回させて、大鳳の直上…!」

185: 2014/10/17(金) 22:57:56.47 ID:+IK+QPxeo
大鳳「何の真似よ…!」

龍驤「ふふん…ショータイムはこっからやで!艦載機のみんなぁー、お仕事お仕事ー!」


ブーーーン……


大鳳「えっ?なっ、直上!?い、何時の間に…!」


ヒュン ヒュン……ボゴォォォン


大鳳「くっ…!」 小破

龍驤「ちぃ、浅いか…!」

大鳳「この程度、この大鳳はびくともしないわ!装甲甲板は伊達ではないってことよ。第二次攻撃隊、発艦!」ヒュン ヒュン

龍驤「」(純粋なこの子等の錬度はきっと大鳳の方と比べたらうちの方が劣る…せやったら、その分、うちが自
分で埋めたったらええねん!当たって砕けて、砕けたら今度はしがみついてスッポンも真っ青なレベルで纏わり
ついたるわ!あん時から何も変わってへん。せやから、変わるんや…!)ダッ

大鳳「なっ…!?」

龍驤「よし、一気に決めるで!」ヒュン ヒュン

186: 2014/10/17(金) 22:58:35.47 ID:+IK+QPxeo
書き溜めと追記分、掲載終了
本日はここまでー

187: 2014/10/17(金) 23:23:04.10 ID:CjJ87pfTo
乙です


次回:
【艦これ】提督「暇じゃなくなった」part3

引用: 【艦これ】提督「暇じゃなくなった」