425: 2014/11/20(木) 19:41:50.23 ID:9Zto6Uwdo
皆様こんばんは
本日も宜しくお願いします

シリーズ最初へ:【艦これ】提督「暇っすね」
このpart最初へ:【艦これ】提督「暇じゃなくなった」

前回:【艦これ】提督「暇じゃなくなった」part5


426: 2014/11/20(木) 19:45:32.71 ID:9Zto6Uwdo
-鎮守府前-

提督「はぁ、疲れた…」

榛名「」キョロキョロ ソワソワ…

提督「ん、あれ榛名か?何やってんだ…」

榛名「あっ!」

提督「よう」

榛名「お、お帰りなさい!」

提督「よくも途中で電話を切ってくれたな?」

榛名「あぁ…あははは、何と言いますか。電波が、悪いぞ?的な?なんちゃって…?」

提督「ったく、次からはもう少し落ち着いて対処しろ」デコピン


ペチッ


榛名「はうっ」

提督「別にどやしたりなんてしないって。それに、盗聴の件についてはスピード解決だ」

榛名「うぅ、痛い…あの、それはどういう事ですか?」

提督「犯人は大本営の大将の一人だった。ピーコックと俺たちとのやり取りも全部筒抜けだ。そのお陰で要らん
手土産まで持参する羽目になったが、これはこれでありだと思ってる」

榛名「どういう事ですか?」

提督「掻い摘んで話すが、まず盗聴の件に関しての謝罪は貰った。着せられた濡れ衣も晴れたが、代わりに面倒
ごとを持ち帰ってきた感じだ。取り敢えず全員を会議室に集めろ」

榛名「わ、解りました!」
艦隊これくしょん -艦これ- 海色のアルトサックス(4) (角川コミックス・エース)
427: 2014/11/20(木) 20:17:32.21 ID:9Zto6Uwdo
-会議室-

提督「────出揃っている情報は以上だ。裏に控えているのは間違いなく新鋭だろう」

イムヤ「で、その智謀大将からの依頼で新鋭元司令官が占拠したって言われてる鎮守府へ進軍するって事?」

提督「そうだ。結論として、何処に出現するかも解らん以上、それを追いかけるのは得策ではない。新鋭がどれ
ほどの数のレ級を揃えているかも未知数。ならば、まずは眼前に捉えているレ級三匹が張っている防衛線を破壊
し、その道筋を作る。そうすれば相手も空いた穴を塞ぐために戦力を徐々に投入せざるを得ないはずだ」

陸奥「戦艦レ級、か…」

大鳳「……」

提督「お前たちは本当に強くなったと思う。だが、奴等もまた進化・成長しているというのを考えると、謝らな
ければならんのかもしれない。それでも、俺はお前たちを信じる」

木曾「……バーカ。今更そんな事言うなっつーの」

神通「お見せします。提督から学んだ全てを。それが正しいという事実を」

赤城「レ級は危険な相手です。駆逐艦の子達や潜水艦の子達は、今回はお留守番してもらう方が良いかと思います」

暁「そんな…!」

白露「私達だってやれるってば!」

金剛「何言ってるネ。暁達が居なくなったらこの鎮守府どうするヨ」

Bep「金剛…」

川内「それにさ、何も暁達だけいけないって訳じゃない。選抜されなきゃ私達だってお留守番だよ」

北上「そーそー。んでも、戦力外でお留守番とかじゃないっしょ。言わば残された側は予備戦力。いざって時の
切り札みたいなもんだよね~」

春雨「切り札…」

利根「抜かるな。驕るな。気を引き締めよ。提督が率いるこの鎮守府に、不足な者など誰一人として居らぬ」

阿武隈「それで、選抜はもう決まってるんでしょ?」

提督「レ級が三匹居るとして、一艦隊六名、一匹に対して必ず二名で応戦する形を取る。編隊は以下の通りだ」

428: 2014/11/20(木) 20:55:16.34 ID:9Zto6Uwdo

陸奥
霧島
赤城
大鳳
羽黒
神通

提督「だが新鋭のことだ。必ず罠を張り巡らせてある。どこかに必ずな…だから、別働隊を編成する。こちらは
周辺の哨戒を密に行い、陸奥たちを間接的にサポートするのが役割だ。敵が居ればその殲滅を行い、背後を狙わ
せないようにすること。編隊は以下の通りだ」

瑞鳳
比叡
利根
阿武隈

白露

提督「残りの皆は鎮守府で待機。個別隊や陽動艦隊がこちらを強襲してこないとも限らない。同じく警戒は密に
行い、決して油断はするな。それと、陸奥、霧島、大鳳、羽黒、神通、きてくれ」

陸奥「ん?」

霧島「なんでしょうか、司令」

大鳳「あ、はい!」

羽黒「はい!」

神通「なんでしょうか」

提督「他の皆はそれぞれ準備に取り掛かってくれ」

艦娘「「「了解!」」」

429: 2014/11/20(木) 21:18:44.93 ID:9Zto6Uwdo
提督「さて…」

陸奥「どうしたのよ」

提督「幾つかお前たちには伝えておくことがある」

霧島「赤城さんは、宜しかったんですか?」

提督「ん?あぁ、赤城か。あいつには既に話をしてあるからな」

羽黒「え?」

大鳳「話と言うのは?」

神通「何なのでしょう」

提督「以前にお前たちと面談をしたな。質問の内容は二種類、覚えのない記憶があるかどうか、うなされる様な
悪夢を見たことはあるかどうか、だ」

霧島「それは…!提督、まさか何か答えが…」

陸奥「え、ちょっと何よ、霧島は何か解ってるの?」

提督「まぁ待て。事の発端から話をしてたんじゃ今日一日を潰す。だが知っておいて欲しい。特に、近代化改修
を受けた霧島と神通以外の三人にはな」

神通「あの、それでは何故、私も…」

提督「お前は、覚えのない記憶を持っているな?コロンバンガラ島の話だ」

神通「ぁ……」

提督「この話はまだ実証の段階には入っていないが、お前たちには仕入れておいて欲しい情報の一部だ────」

430: 2014/11/20(木) 21:29:37.30 ID:9Zto6Uwdo
陸奥「…つまり、榛名のあの驚異的な身体能力の謎が、今提督が言ったものに起因してるかもしれないって事?」

提督「そうだ。そして、恐らく榛名に起こっている事象はお前たちにも起こりえる。条件が何かは解らん。だが
榛名が言うには、あいつは誰かを護ろうと、誰かの遺志や想いを汲もうと強く念じると、体の内側から力が漲っ
てくると表現していた。以前に金剛と榛名、陸奥と衣笠、川内、大鳳で模擬演習を行っていたな」

陸奥「え?あぁ、うん。それが何よ」

提督「あの時、金剛もまた似た力をいくらか発揮していたのに気付いたか?」

神通「……そう言えば────」


金剛「例え演習でも、油断はしないネ!隙も、作らない!私を止める術は、ここには無いネ!」ザンッ

衣笠「は、速い…!」

川内「臆すな、衣笠!いくよ!」ザッ

衣笠「ダメ、川内ちゃん!」

川内「なっ…!?」

金剛「川内、詰が甘いネ」サッ


ビュッ ドゴォッ


川内「がはっ…!」

金剛「後ろ手に隠してるのバレバレネ。それを投げる間合い、作らせないヨ」

川内「」(知覚とかそういうレベルなの、これ。反射神経が尋常じゃない…!)サッ

金剛「No good. それじゃダメネ」

431: 2014/11/20(木) 21:52:22.52 ID:9Zto6Uwdo
神通「あの時の金剛さんは、まるで姉さんの動く先が解っているかのように、全ての行動が先手先手で、結局あ
れ以降は衣笠さんも姉さんも手も足も出ずに制圧されたんです」

提督「金剛には、俺が最初に言った明確な記憶もなければ夢も見ていない。が、何かとリンクしたことであれ程
の力を発揮して見せた。それは言い換えれば今のお前たちでも成せるということだ」

霧島「それって、つまり…」

羽黒「私達にはまだ、成長が見込めるという事なんですか?」

提督「成長、と言うよりもむしろ覚醒、お前たちが個々に内に秘めている力を解放する、と言うほうが正しいな」

大鳳「内に、秘めた力…」

提督「今のところ、この力の片鱗を見せているのは俺が知る限りで三人。榛名、長門、金剛だ」

大鳳「いえ、もう一人、居ると思います」

提督「何?」

大鳳「感じ取った程度ですけど、恐らく赤城さんも…」

提督「赤城が…?」

大鳳「赤城さんの錬度は凄まじく高いです。最初はだからだろうと、でも…幾ら錬度が上がろうと、空母組には
抗えないものが存在します。それは損傷の度合いによっては艦載機の発着艦が出来なくなる、と言う点です」

提督「ああ、それは…そうだな」

大鳳「ですが、以前の演習で赤城さんは────」

432: 2014/11/20(木) 22:11:12.47 ID:9Zto6Uwdo
大鳳「ここまでです、赤城さん…!」

赤城「はい、少し前までなら…ですが」スッ…

大鳳「えっ…?」(腕を真上に上げて、何を…)

赤城「…艦載機の皆さん、敵機直上より、急降下っ!!」サッ

大鳳「なっ、そんな、まさか…!」バッ


ブゥゥゥゥゥゥゥン……


ボゴオオォォォォン


大鳳「きゃあっ」 大破

赤城「油断も慢心もしません。この身が朽ち果てない限り、私は血の一滴すらも戦力に変えて見せます」


陸奥「流石と言うか、驚嘆するわね」

大鳳「驚嘆なんてもんじゃありません。愕然としました。常識を覆されたと表現するほかありません」

羽黒「私も、以前に川内さんと演習戦を行ったときに、何か掴めそうな気配はあったんですが…それが何なのか
がどうにも上手く表現できなくて…」

神通「羽黒さん…」

霧島「ですが、皆何かしらの切っ掛けで司令の言われる覚醒を果たせる可能性があるという事ですよね」

提督「あぁ、確証はないがな。しかもそれぞれに引き金となるものが違う。が、霧島…恐らくだが、お前たち金
剛型は概ね、皆同じ引き金を持っていると思われる」

霧島「え?」

提督「榛名も金剛も、どちらも姉妹のため、仲間のためと奮戦するときこそ本領を発揮していた。根っこの部分
じゃおそらくこれはお前たち艦娘全員に言えることかもしれない。ただ切っ掛けが違うだけでな。まっ、伝えた
かったのは以上だ。相手は戦艦レ級、くれぐれも油断は無論だが無茶もしないでくれ」

陸奥「レ級には因縁があるもの。雪辱、晴らさせてもらうわ」

羽黒「同じ過ちは、もうしません」

大鳳「必ず、レ級は倒して見せます!」

霧島「お任せ下さい、司令!」

神通「この任務、確実に成し遂げて見せます」

439: 2014/11/22(土) 20:24:41.78 ID:ZQ765JCqo



~交戦、敵機動部隊~



-敵領域近海-

陸奥「ここまでは敵機確認無しね」

赤城「哨戒隊すら存在しないと言うのは、それほどまでに戦艦レ級三匹の信頼が厚いという事でしょうか」

大鳳「だとしても、その一箇所だけが通り道じゃありませんし、腑に落ちませんね」

霧島「どちらにしても、新鋭鎮守府へ向かう最中で必ずレ級は出現するという事です」


──ワカッテルナラ、ハナシガハヤイ──


神通「…っ!」

羽黒「二百海里ほど前方です!」

陸奥「この距離でもう射程内って訳か……現れたわね、戦艦レ級…!」

レ級1「ボクラノアソビアイテ、ナカナカコナクテネ」

レ級2「ダイカンゲOダヨ」

レ級3「クウカクワレルカ、ソレダケサ」

赤城「……皆さん、戦術はさっきの通りです」

大鳳「了解です!」

陸奥「ええ、任せて」

神通「はい…!」

羽黒「了解です…!」

霧島「問題なしです!」

赤城「大鳳さん、いきます!」サッ

大鳳「はい!」サッ

レ級1「アイサツモナシナンテ、ブレイダナァ…」ニヤァ…

レ級2「シニイソギタイダケデショ」

レ級3「ネンイリニツブシテ、クッテヤル…」

赤城「無礼がどちらか、教えて差し上げます。その前に礼を尽くすほどの相手なら、ですけどね」

レ級1「オマエ、ムカツクナァ…オマエハ、ボクガクウ…」

赤城「すぅー……はぁー……」

440: 2014/11/22(土) 20:48:15.53 ID:ZQ765JCqo


静かな呼吸、この土壇場においても赤城から動揺は微塵も伝わってこない。

それほどまでに集中するのには一つの想いが彼女を突き動かしているからだ。

直接的ではないにしろ、加賀を殺めたであろう仇敵を眼前に捉え、これまでにない集中力を赤城は見せる。


赤城「いきますよ、加賀さん。今度こそ、貴女の無念を私が晴らします!第一次攻撃隊、発艦してください!」サッ


続くように大鳳も腰を据えて発艦の構えを取る。

幾度となく氏線を越えて蘇ってきた今の大鳳に恐れるものは微塵もなかった。

あるとすれば、それはここで再び朽ち果てること。

しかし彼女には確信に近い自信が備わっていた。

やれるだけの事を、今自分にできる全てを、注ぎ込めるだけ力の限り全てを賭して挑む。


大鳳「あの時の屈辱は忘れない。二度と、この大鳳は揺るがない!第一次攻撃隊、全機発艦!」サッ


ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン


レ級1「アハッ!イイヨ、コウクウセン!ウケテタツッ!!」ヒュン ヒュン

レ級2「ボサットシテルトサァ、ソノキャシャナカラダニカザアナアケルヨ?」バシュン

レ級3「クヒヒヒ、ボクハキミニキメタ、キミヲマズハクオウ…」バシュン


ボゴオオォォォォン


陸奥「敵の雷撃は夾叉!全員散開!標的を定めて一気に行くわよ!」

霧島「赤城さん!」

赤城「了解です!」

羽黒「大鳳さんの背中は私がお守りします!」

大鳳「期待してるわ!」

神通「いざ、参ります。陸奥さん、標的は…」

陸奥「ええ、あいつね。行くわよ!」

神通「はい!」

441: 2014/11/22(土) 21:17:34.61 ID:ZQ765JCqo
-赤城・霧島 vs レ級1-

レ級1「ハァ…ブツリョウサクセンハダイセイコウミタイダケド、イタイナァ、モウ…」 被害軽微

霧島「あらそう?なら、無駄口叩けないように徹底的にやらせてもらうわ!」

レ級1「アハハハハッ!ボクヲタオスッテコト?ムリダヨ、ソレハ…ナゼナラ、ボクガアットウテキニ、ツヨイ
カラサッ!!」バッ


霧島は以前、提督から言われた内容を自分なりに思い返してみることにした。

悪夢については一つも思い当たることがなかった。

至って正常、ただし記憶に関しては一つだけ思い当たるものがあった。

それは何処かの海上で榛名と二人、手を繋いで水平線を眺めている映像。

元からあった記憶、と自分の中では認識しており、それが『覚えのない記憶』という結論に至るまでに霧島自身

も考えさせられたが、何処での記憶なのかがハッキリしない以上、それは提督の言う『覚えのない記憶』として

認識するほかなかった。

そして出撃前に提督からもたらされた情報で霧島にも一つの望みとも言える光が差した。

自身もまだ強くなれると。姉妹と交わした約束を果たす為にも、越えられる壁は全て越える。


霧島「榛名、私は約束、覚えてるわよ。だから私、頑張るわ!」バッ

レ級1「オマエハ、アトダ。マズハ、ソッチノクウボノオンナカラッ!」サッ

赤城「…っ!」スッ

霧島「冗談、それを私が許すわけないわよね!?」ブンッ

レ級1「ナッ!?」


ドゴォッ


霧島の脇をすり抜けて赤城へ切迫しようとした直後、それに併走するように霧島が追いすがってレ級1を全力で

殴り飛ばす。


レ級1「アガッ…!」ザザザザザッ

霧島「あら、ごめんなさいね?顔は殴らない方が良かったかしら?ともかく、戦況分析が不十分みたいね」

レ級1「ウグッ…オマエェ…ッ!」

赤城「一航戦の誇り、今こそお見せします!」サッ

442: 2014/11/22(土) 21:43:19.17 ID:ZQ765JCqo


静かに弓を構え、赤城はそれを真っ直ぐレ級1へ差し向ける。


赤城「私達は、この胸に刻み込んだ誇りがある限り決して折れはしません。貴方に、私達は倒せない」

レ級1「ボクニ、カテルト、ホンキデオモッテル?アハハハハハッ!!ゼツボウヲ、ミセテアゲルヨ…」ビュッ

赤城「…っ!」サッ

レ級1「ムダダァッ!!」ビュオッ

霧島「赤城さん!」


ボゴォッ


レ級1の艤装が飛距離を伸ばし、鞭のようにしなって真横に赤城の胴を薙ぎ払う。


赤城「ぐっ…!」ズザザザザッ…

レ級1「リョウリニスパイスハツキモノダカラネェ…」

赤城「げほっ…」 小破

レ級1「カミツイテクルノハ、チョットウザイナァ…イキガルノハイイヨ。スキナダケホエルノモイイ……クヒ、
クヒヒヒ…デモ、シネ!」ビュッ


サッ


再び放たれたレ級1の攻撃を、しかし赤城は今度こそかわす。


レ級1「ナニ…?」

赤城「…頭にきました」サッ ビュッ


再度構え直した弓と番え直した矢を目にも留まらぬ速さで放ち、赤城は大きく後方へと距離を取る。

それに応えるように霧島が間合いを詰めて赤城と入れ代わるようにレ級1の前に立ち塞がった。


サッ


放たれた矢をレ級1は上体を反らすだけで往なし、口角を吊り上げてニタリと笑う。

しかし同じように入れ代わった霧島もまた、不敵な笑みを浮かべた。

443: 2014/11/22(土) 22:01:04.65 ID:ZQ765JCqo


レ級1「ナニガ、オカシイ…」

霧島「備えあれば、憂いなし、って言葉を知ってるかしら?」

レ級1「シルカ、ソンナモノ…!」バッ

霧島「なら、後学に覚えておきなさい!」バッ


同時に飛び出し、至近距離の殴打戦に入るが間も無く霧島が大きく吹き飛ばされる。


バチィィッ


霧島「ぐっ…!」 小破

レ級1「モロイヨ。モロスギルッ!ソレデボクトヤリアオウッテ?サイショノイッテイガイ、ゼンゼンコウゲキ
アタッテナイジャナイ。アソビニモナッテナイヨ」

赤城「慢心は身を滅ぼしますよ」

レ級1「ハァ?」

赤城「艦載機のみなさん、敵機直上より急降下!」バッ

霧島「さぁ、砲撃戦、開始するわよ~!」ジャキッ

レ級1「ナッ…!」バッ


空を仰ぎ、自身の上空に無数の艦載機が急降下してくる様を目の当たりにしてレ級1の表情が強張る。

そして正面に向き直って霧島の砲塔、その悉くが自身へ向けられている事にその表情は更に引き攣った。


レ級1「ジョウダンデショ…」

霧島「いいえ、本気よ。主砲!敵を追尾して!撃てっ!」ドォン ドォン

赤城「艦載機のみなさん、撃ち漏らさないように!」

レ級1「ウオオオオオオオオオオオオアアアアァァァァァ……ッ!!」


ボゴオオオォォォォォン


レ級1の咆哮と共に水面が爆煙と水飛沫で視界を塞ぎ、その姿を一瞬にして掻き消した。

450: 2014/11/23(日) 20:03:46.22 ID:1Q9QZ4bbo
-大鳳・羽黒 vs レ級2-

レ級2「アレアレ…ボクノライゲキ、アタッテナカッタ?」

大鳳「ええ、ノロマ過ぎてね」

レ級2「イラツクコトヲ、スズシイカオデイッテクレルネェ…オマエ、ゲンケイナクナルマデグチャグチャニシ
テサァ、モトノカタチガワカラナクナルマデ、クイチラカシテヤルヨ…!」

大鳳「私の装甲を噛み砕くですって?笑えない冗談ね」

レ級2「イッテロ…ショセン、ホショクサレルガワノザレゴトダッ!」ビュッ


ドンッッ


レ級2の跳躍に合わせ、大鳳は更に後方へと身を泳がせる。

しかし、レ級2は不敵な笑みを浮かべながら一直線に大鳳へ向かって直進していくが、途中で強い衝撃を受けて

後方へと押し戻される。

451: 2014/11/23(日) 20:19:47.31 ID:1Q9QZ4bbo


レ級2「ヌグッ…!」ザザザッ

羽黒「その汚らわしい手を引いて下さい」

レ級2「……オイオイ、ジュウジュンフゼイガ、ボクニナニヲシタ…?」

羽黒「この拳で殴り飛ばしました」グッ

レ級2「ソンナニ、サキニクワレタイノカッ!!」

羽黒「お好きにどうぞ」

大鳳「言うわね、羽黒…!」

レ級2「ジョウトウダ、カンムスフゼイガァッ!!」ザッ

羽黒「」(追いつける。私ならやれる。今まで培ってきた全てを、信じたもの全てを、余さず出し切る!)


レ級2の飛び出しに合わせ、羽黒は静かに構える。


羽黒「」(距離、速度、左の艤装…横から、これは伸びる…!)サッ


ビュオッ


姿勢を低く、身を屈めた直後に羽黒の頭上を物凄い勢いで何かが真横に払われる。


レ級2「ナンダト…!?」


ザンッ


驚愕の表情を浮かべたのはレ級2。予期していなかった、と言うよりも想定すらしていなかった羽黒の素早い動き。

羽黒自身は屈めた身体に力を込めて、そのまま前方への飛躍へと変えて突進する。

452: 2014/11/23(日) 20:50:53.59 ID:1Q9QZ4bbo


レ級2「コザカシイッ!」ビュッ


ガシィッ


空振りした艤装を振り子の要領で再度真横に振り抜くレ級2だが、羽黒はそれを全体重を乗せて艤装を盾に防ぐ。

それでも勢いは頃しきれず、そのまま飛ばされ羽黒の身体は俄かに宙を舞って真横へと弾き出された。


羽黒「くっ…!」ザザザッ

レ級2「ハハハハッ!ウケキレルハズナイダロ!バカガ……」

大鳳「馬鹿は貴方よ」バッ

レ級2「ッ!?」

大鳳「注意力散漫過ぎ…虚しか突けないようじゃ、戦場では生き残れないわよ。さぁ、やるわ!」ヒュン ヒュン

レ級2「ダレガコウクウセンハデキナイッテ、イッタヨッ!!」ヒュン ヒュン

大鳳「…誰が私には勝てるって言ったのかしら?見縊らないでもらいたいわ。攻撃隊、発艦始め!」サッ


ボゴオオォォォン


レ級2「ナッ…!」


大鳳とレ級2の艦載機は真正面でぶつかり合い、その悉くを大鳳の艦載機が制圧した。


大鳳「いい風ね。この風に乗って、皆!目標を掃射よ!」

レ級2「ウットウシイナァ!」ジャキッ


ドン ドン ドン ドン


ボボボボボンッ


掲げられた艤装から無数の砲弾が空を舞い、大鳳の艦載機を片っ端から迎撃する。

だがそこに出来上がった隙を羽黒が見過ごすわけがなかった。


ザッ


気配を感じ取りレ級2も視線を再び正面へと戻すが、それと同時に羽黒の気合いの篭った掛け声と砲撃音が轟く。


羽黒「全砲門…一斉射っ!」ドォン ドォン

レ級2「……ッ!」


ボゴオオオオォォォォン


大鳳「これが大鳳の、私たちの力よ!」

羽黒「まだまだ、これからです!」

453: 2014/11/23(日) 21:10:49.74 ID:1Q9QZ4bbo
-陸奥・神通 vs レ級3-

レ級3「ドコカラガイイ?」

陸奥「何ですって?」

レ級3「ドコカラクワレタイカッテ、キイテルノサ」

神通「……」ヒュッ ヒュンッ……チンッ

レ級3「ナニ、ソノギソウ…」

神通「貴方を討滅する刀です」スッ…チャキッ

レ級3「ナンダ、ソノカマエ…」

神通「…………」

レ級3「シカト?コタ工口ヨッ!!」ジャキッ


ドォン ドォン


キンッ……


ボゴオオオォォォ……


最初の問答にのみ答え、神通は静かに刀を鞘に納め、腰を落とし右足を前に、左足を後ろに添えて身体の重心を

前のめりに沈めるとピタリと止まる。

直後、レ級3の砲撃が真っ直ぐに神通へと飛来するが静かに乾いた音を響かせたその直後、空間を切り裂くかの

ように神通を先頭に縦に陣を敷く二人の両脇を火柱と爆煙が奔り抜ける。


レ級3「ナ、ニ…?」

陸奥「もはや神業ね。お見事っていうか、驚きの方が大きいかも…」クスッ

レ級3「オマエ、ソノギソウ、イツヌイタ…?」

神通「見えてないのだとしたら、貴方に勝機はありませんよ」

レ級3「イチイチ、ウットウシイヤツダナ、オマエッ!!」ジャキッ

神通「それは……」


イラつきながら艤装の砲塔を神通へ差し向け恫喝の如く吼えるレ級3を前に、神通は再び武刀剣を鞘へ納めて最

初と同じ構えを取りつつ小さく微笑む。


神通「……褒め言葉ですね────」

454: 2014/11/23(日) 21:22:25.15 ID:1Q9QZ4bbo
神通は因果もあるのか、川内と一緒に今までに二つの鎮守府を渡り歩いてきている。

最初の鎮守府では第一艦隊は愚か、遠征が主任務の第二艦隊にすら抜擢されなかった。

姉の川内はその快活さと要領の良さも合わせて、あっと言う間に第一艦隊の主力に数えられるまでになっていた。

彼女が始めに抱いた感情は劣等感。

姉の川内と逐一比べられる事によって、必ず下に評価される抗いようのない屈辱感。

実力にそぐわないのならば別に転属願いを出しても構わん。こちらとしてはお荷物が消えて一石二鳥だ。

そう言い放った提督の言葉に辛うじて保っていた自尊心すらも粉々に打ち砕かれる思いだった。

そんな中、じゃあ実力にそぐわないから私達は出て行くよ。そう発したのが川内だった。

神通は一度、川内に詰問したことがある。

後にも先にも、神通があれほど強い口調で自分の意見を姉の川内へぶつけた事があるのはその時の一度きりだ。

455: 2014/11/23(日) 21:47:38.26 ID:1Q9QZ4bbo
神通「どうして、姉さんだって解ってるのに!」

川内「何がさ?」

神通「私が居たって、意味なんてないでしょう!?」

川内「なんでそう思うのさ」

神通「戦力にもならない、優柔不断で、自分の意見もハッキリ持てない、いつも姉さんの陰に隠れてるような、
そんな自他共に認めるようなお荷物の私が、何の存在価値があるの!?」

川内「神通、あんたは私の妹。川内型二番艦の神通だよ?私には自慢の妹が居てさ、優しくて、少しおっとりと
しちゃいるけど一生懸命で、変なところで負けず嫌いで、ふふっ…そんな自慢の妹さ。存在価値、大有りだよね」

神通「姉さん…」

川内「そんな自慢の妹をさ、トロイとか鬱陶しい奴とか、んな事言ってくれるとこなんてこっちから願い下げだ
ってのよ。丁度引き取り手あるっていうし、そっちの鎮守府に乗り換えてやろうって思ってたのよ」

神通「けど、それは…」

川内「ゆっくりでいいのさ。自分のペースでゆっくりと、着実に成長すればいい。良く言うじゃん?大器晩成型
って奴なんだよ、神通はさ」


その後、今の鎮守府へと行き着き、提督と出会い。そこでまた神通にとって転機が訪れた。

今までどこの鎮守府でもアドバイスなどされた事はなかった。

むしろその悶々とした態度に業を煮やし、勝手にしろと突き放されるのが関の山だった。

そんな彼女に、提督はしっかりと付き合った。

456: 2014/11/23(日) 21:58:07.50 ID:1Q9QZ4bbo
提督「今日の演習を見てても思ったんだが、神通は演習じゃ思い切りの良さはあると思うんだよ」

神通「…え?」

提督「ほら、お前この間なんか言いかけてただろ。途中で勝手に切り上げちゃったけど、深海棲艦と戦うとなる
といつも手元がどうとかってやつだよ」

神通「そ、それは…」

提督「俺ね、思ったんだけど、やっぱ実戦が少ないからだと思うんだよね。無論危険も付き纏うだろうが、そう
していかなきゃ伸び代ってのはついてこないと思うんだよ」

神通「あ、あの…でも、私は…」

提督「あー、はいはい。拒否権無しね」

神通「…ぇ、あの、はい?」

提督「私は戦力にはならないから~、とかそう言うの無しね。ゆっくり結構、失敗上等、塵も積もれば山になる
かもしれないし、道が出来て進めるかもしれないだろ。やる前から可能性を捨てるような真似は俺が許さん」

神通「…………」

提督「全てやってみて、何度も試して試しようがなくなるまでやって見て、それでダメなら俺も改めて考慮しよ
うと思うが、そこに至る前で諦めることは絶対に許さん。だから神通、自分が信じたものを最後まで信じてみろ」

神通「最後まで…」

提督「そうだ。最後まで信念を貫いて見せろ。初志貫徹、継続は力也、だ────」

457: 2014/11/23(日) 22:15:17.44 ID:1Q9QZ4bbo
神通「為せば成る、です。その言葉があればこそ、今の私です。だから、それは私にとっては褒め言葉です」

レ級3「ゴチャゴチャト、ウルサインダヨッ!!」ドォン ドォン

神通「陸奥さん!」サッ

陸奥「りょーかいよ!」サッ


ボボボボボボン


レ級3の砲撃と同時に二人は真横に飛んで射線をずらし、レ級3を二人で挟み込むように立ち位置を変える。


レ級3「ウロチョロウロチョロ、ウザイナァ…ッ!」

陸奥「ご自慢の足で捕まえてみたらどうなのよ」

レ級3「アマリ、チョウシニノルナ…!」ビュッ


狙いを神通から陸奥に変更し、レ級3が突進していく。

しかし陸奥は砲撃の構えは取らずに右腕を後方へ引き絞り、左腕は前へ、迫りくるレ級3の顔面に照準を合わせ

て静かに腰を落とす。

458: 2014/11/23(日) 22:31:12.92 ID:1Q9QZ4bbo


陸奥「砲撃戦だけじゃないのよ、ビックセブンはね!」シャッ

レ級3「ナッ…」ザザザッ サッ


真っ直ぐ伸びてきた陸奥の右の拳を間一髪で真横に飛んで回避したレ級3は、反撃に転じれなかったショックと

微かに頬を掠め、一筋の傷が出来上がった事実に怒りを露にする。


レ級3「…コロスッ!アソバナイ、コロス!ミナゴロシダッ!!」

陸奥「あらあら…火遊びが過ぎたかしら?」

レ級3「シズメ、ミナゾコニッ!!」ドォン ドォン


ボゴオオォォォン


目にも留まらぬ速射でレ級3が放った砲撃は今度こそ陸奥を捉えたかのように映る。

しかし、立ち昇った爆煙を巻いて陸奥は表情一つ変えずに躍り出てくる。


陸奥「…少しはやるじゃない。けど、直撃じゃないのなら何発撃ち込んでも一緒よ!」 被害軽微

レ級3「バ、バカナ…!」

陸奥「あの時の苦労に比べれば、この程度はなんとも思わないわ!」ドォン ドォン


ボゴオオォォォン


照準を定めた一撃はレ級3を直撃しその身体を大きく吹き飛ばす。


レ級3「ウガッ…!」 中破

464: 2014/11/24(月) 17:18:23.83 ID:pSJF2YOxo
-進化の頂-

赤城「…霧島さん」

霧島「…はい!」


立ち昇る爆煙の中に揺らめく陽炎のように人型をしたそれは静かに姿を現す。

トレードマークであろう首に巻いていたマフラーは焼け千切れ、偽装を含め身体のそこかしこに裂傷を負いなが

らも悠然とした足取りで静かに一歩、また一歩と前に進み、ついに爆煙の幕を潜り抜けてその全貌を明かす。


レ級1「イタイヨ、イマノハサスガニ…」 中破

霧島「頑丈ね…腹立たしいくらいに」

赤城「……」スッ

レ級1「フフ、ハハハ…アハハハハハッ!!」ビュッ



レ級2「クククク、イタイイタイ…イマノハ、キイタナァ…」 中破

羽黒「…っ!」ジャキッ

大鳳「直撃させたはずなのに、なんて耐久力…!」

レ級2「……」サッ



レ級3「コザカシイ、レンチュウダ…!」

陸奥「何度でも撃ち込んで上げるわ」ジャキッ

神通「立ち塞がるなら、押し通ります」チャキッ


それぞれの組がそれぞれのレ級を窮地まで追い込む中、レ級1とレ級2は薄っすらとした笑みを浮かべてレ級3

の背後へ移動する。

465: 2014/11/24(月) 17:48:22.31 ID:pSJF2YOxo
霧島「なっ…!」

赤城「何を…」

羽黒「えっ!?」

大鳳「まさか…!」

レ級3「ナ、ナンダ…」

陸奥「こいつら…」

神通「……!」

レ級1「トモダオレヨリ、イイヨネェ…」グイッ

レ級2「サンセイカナ」ガシッ

レ級3「ナッ……!ハ、ハナセ、ナニヲ…!」ググッ


グシャアアァァ……


レ級1とレ級2に挟まれるようにして両腕を掴まれたレ級3は、その是非も無く一瞬の内に左右から引き千切ら

れて綺麗に半分にされる。


レ級2「イイヨ、ギソウハアゲル」

レ級1「ジャアエンリョナク」


この二匹は躊躇う事無く仲間であるはずのレ級3を背後から襲い、文字通り食い散らかした。

そしてこのレ級の特色は食う事で取り込んだ艦娘や深海棲艦の力を我がものとし、進化をするという事。


クチャクチャクチャ……


耳障りな音、気味の悪い音、聞くに堪えない音が入り混じる中、下品な笑い声だけがそこに響き渡る。


レ級EL1「ヒヒ、アハハハハ!美味い、美味いナァ…!」

レ級EL2「艦娘もイイケドさぁ、身内もコレハこれでいいよネェ…」


陸奥や大鳳は、以前にも似たものを見たことがあった。

それは初めてレ級を目の当たりにした時の事だ。

手負いになった片方のレ級を、もう一匹が食い散らかす。

食ったその場で知能から、身体能力から、全てを向上させて陸奥達に恐怖を植え付けたのは記憶に新しい。

今度こそ、レ級との決着をつける……これが陸奥達にとっての最終決戦となる。

466: 2014/11/24(月) 18:15:35.35 ID:pSJF2YOxo
~阻止せよ、敵別働侵攻部隊~



-数時間前-

提督「いいか、陸奥たちとの距離を一定に保ち、周辺の哨戒を密に行うのが今回のお前たちの任務だ。敵がどう
攻めてくるかは定かじゃないが、不測の事態にも決して動じるな。その場の空気を感じ取って判断しろ」

比叡「陸奥さん達を背後から狙おうとする連中が居れば、それを迎撃ですね」

提督「そうだ。今一度確認するぞ」

瑞鳳「確認?」

提督「瑞鳳」

瑞鳳「あ、はい!」

提督「調子はどうだ」

瑞鳳「え?調子…?えっと、絶好調…かな?えへへ」

提督「そうか。利根と二人で比叡達の目を司れ。決して逃すなよ」

瑞鳳「はいっ!」

提督「よし、お前ならできる。信じてるからな」ポンッ

瑞鳳「…ぁ///」

提督「比叡」

比叡「はい!」

提督「この部隊の主力はお前だ。やるべき事はなんだ」

比叡「正解があるか解りませんけど、私は皆を信じて前だけを向きます!全力で!ありったけ!撃ち込みます!」

提督「解った。なら最後まで信じろ。他の姉妹にも見せ付けてやれ。お前の凄さってのをな」

比叡「お任せ下さい!」

467: 2014/11/24(月) 18:59:27.16 ID:pSJF2YOxo
提督「利根」

利根「おう!」

提督「いつも皆へのアフターケアをしてくれてること、感謝してるぞ。お前の優しさはそのまま強さになる」

利根「うぅ、面と向かって言われるとちと恥ずかしいぞ///」

提督「言葉は不要か。ならば、行動で見せてくれ。お前の強さ」

利根「う、うむ!任せておけ!吾輩が艦隊に加わる以上、もう、索敵の心配はないぞ!」

提督「阿武隈」

阿武隈「は、はい!」

提督「まだ戦場は怖いか?」

阿武隈「…もう、大丈夫!沢山の人に、迷惑かけちゃったから、だからあたし提督や皆にちゃんとお礼言いたく
て、けど…自信、一歩踏み出して少しだけ自信をつけたい!だから、あたし的には大丈夫です!やれます!」

提督「そうか。ならやってやれ。お前の底力、他の奴等に見せ付けてやれ!」

阿武隈「はい!阿武隈、ご期待に応えます!」

提督「暁」

暁「な、なによ!」

提督「今まで電やヴェールヌイを牽引してきたお前の手腕を俺は高く評価する」

暁「ぇ…?」

提督「一人前の、立派なレディを目指すんだろ?だったらここらで一旗上げて見事なって見せろ。期待して待っ
ててやる。暁こそ、艦娘を代表する大人のレディだって所を見せ付けて来い」

暁「う、うん!……あ、り、了解!」

提督「白露」

白露「はいはーい!」

提督「お前は何番目に強い?」

白露「もっちろん!一番!」

提督「よし、その一番の強さ、期待しているぞ。その勢いを保ったまま、仲間達と大暴れして来い!」

白露「まっかせてー!とことん皆に付き合っちゃうよー!でもって、一番に突っ込むよ!」

提督「…よし皆、気合い、錬度は十分。今のお前たちの戦意は十分に高揚状態だ。見せてやれ、本物の力って奴をな」

468: 2014/11/24(月) 19:33:16.70 ID:pSJF2YOxo
-敵領海域-

利根「ふぅ、まっこと戦術戦略においてはよい嗅覚を持つ男よな、吾輩等の提督は…」

比叡「暁や白露、阿武隈を連れてきたのも正解ですよ」

阿武隈「居るね…」

暁「潜水型ね」

白露「うんっ」

瑞鳳「先手必勝でいきましょう!私の艦載機で注意を一瞬こちらへ引き付けます」

比叡「任せて、それを私と利根さんで釘付けにする!」

利根「うむ!」

瑞鳳「意識が比叡さんと利根さんへ向いたら…」

阿武隈「任せて!あたし達でまずは潜水型を殲滅する!」

暁「白露、対潜装備ある?」

白露「バッチリ!」

利根「敵方は梯形陣…潜水型は奥の方じゃろうな」

比叡「それじゃ!」

利根「参ろうか!」

瑞鳳「はい!まずは道を作ります!」チャキッ

469: 2014/11/24(月) 20:02:57.70 ID:pSJF2YOxo
瑞鳳は背に掛けていた弓を取り出し、矢筒から一本矢を引き抜いて弓に番える。

はじめは赤城、次に翔鶴、今は赤城と飛龍。

常に瑞鳳は正規空母の背を見て精進してきた。

彼女達に比べて自分の火力が劣っている事に少しの劣等感は抱いていた。

人の見ていない所で塞ぎ込んだ事もあった。

それでも前を向いて一歩ずつ前進できたのは彼女を支えてくれた周りの皆が居たからだ。

常に先陣を切り、窮地に至ろうとも諦めず、勝利に向かって貪欲に突き進む。

一航戦の誇り、二航戦の執念、二人の背中を見て修練を積んできた彼女にこの二つの言葉を背負う資格は十分に

あるだろう。

軽空母と侮るなかれ。彼女こそ、一騎当千の機動部隊の一翼を担う瑞鳳である。


瑞鳳「……瑞鳳、推して参ります!攻撃隊、発艦!」ビュッ


番えた矢を前方に見える敵艦隊へ向けて真っ直ぐに射る。

放たれた矢は艦載機へと姿を変えて滑空から大空へと向かい羽ばたいた。

それを合図とするように阿武隈、暁、白露の三名がそれぞれ左右に迂回路を取る。

そして真正面、比叡と利根が並んで立ち、一気に駆け出した。

470: 2014/11/24(月) 20:19:53.40 ID:pSJF2YOxo
比叡「抜錨!」

利根「うむ!いざ、出陣だな!」


一拍遅れて瑞鳳の艦載機に感付いた敵奇襲侵攻艦隊。

旗艦を勤めるその姿は────


武蔵?「…任務の邪魔をするか。先に邪魔な連中を殲滅する。総員、戦闘配置に就け」


姿形は武蔵そのものでありながら、違和感を禁じえない。

つまり、生気を感じられない。


比叡「え…!?」

利根「莫迦な、彼奴は…武蔵!?あ、ありえんじゃろ!」

比叡「し、司令の言ってた不測の事態にも動じるなって、まさかこれの事だったの?」

利根「わからん、しかしここは戦場じゃ。迷うとる暇はない!ゆくぞ!」

比叡「はい!」


敵の奇襲侵攻艦隊の構成は異質だった。

艦娘と深海棲艦の混存型。

武蔵
戦艦タ級FS
筑摩
重巡リ級FS
潜水ソ級EL
潜水ヨ級EL

しかし、それに囚われる事無く、比叡と利根は臨戦態勢に入る。

その直後、瑞鳳の放った艦載機の艦爆艦攻隊の攻撃が開始される。


ボゴオオォォォン


身動ぎすらせず、瑞鳳の先制攻撃を一身に受けるも、彼女達は無感情に行動を開始する。

471: 2014/11/24(月) 20:33:40.34 ID:pSJF2YOxo
-比叡・利根 vs 武蔵?・タ級FS・筑摩?-

武蔵?「温い。各自、標的を定めて殲滅しろ」 無傷

タ級FS「エサニシテヤル…!」ザッ 被害軽微

筑摩?「右舷、砲雷撃戦、始めます」ジャキッ 無傷

利根「近付いて見てよう解ったわ。筑摩を模した下衆な人形など拵えよって…万氏に値するぞ!」

比叡「利根さん、武蔵さんモドキと戦艦型は私が相手します!」

利根「お主、正気か!?」

武蔵?「同時に相手だと?雑魚が…笑えもしない冗談だ」

タ級FS「ビョウサツデシズメテヤル…!」

比叡「小さな事の積み重ね。小さな道でも、自分で築いてきたこの道を私は信じて進むのみです!」


比叡の朝は毎朝道場で汗を流す事から始まる。

毎朝の精進、鍛錬、これをしないと一日が始まらないと彼女は言う。

日々積み重ねた修練の結晶と実績、その全てを遺憾無く発揮してこそ、結果が生まれると彼女は信じている。

その結果を出す場が今、この瞬間である。


ドォン ドォン ドォン ドォン


全砲門を開き、広範囲に渡って比叡が一斉射する。


ボゥン ボゥン


武蔵とタ級は片手で比叡の放たれた一撃を振り払い、変わらぬ速度で一気に間合いを詰める。


比叡の突進から遅れて利根は筑摩と対峙する。

光の宿っていない虚ろな瞳。

ニコリともしない口元、口角、真一文字に結ばれた口元が静かに開き、筑摩の声で言葉が紡がれる。

472: 2014/11/24(月) 20:54:18.16 ID:pSJF2YOxo
筑摩?「沈め」ドン ドン


短く紡がれたその言葉と共に、備えられた主砲の砲塔を利根に向けて一斉に放つ。


利根「新鋭……どこまでも腐った女よ。一度ならず二度までも吾輩の妹を愚弄するか」サッ

筑摩?「……」


ボボボボン


筑摩の放たれた一撃を利根はかわし、一気に間合いを詰める。


利根「ふん、人形とあらば躊躇いようもない。筑摩を穢してくれた業は深いぞ!」チャキッ


シャッ サッ


腰に携えた武刀剣を一閃させるも、それは間合いの外へと逃げられ避けられる。

抜刀したまま正眼に武刀剣を構え直し、利根は不敵に笑う。


利根「木偶にしてはよう動くのう。じゃが、お主のような人形に吾輩の相手が務まるのかの?」

筑摩?「雑魚が、ほざくな」ザッ

利根「言いよるわ。じゃがな…」スッ

473: 2014/11/24(月) 21:18:15.74 ID:pSJF2YOxo
筑摩は照準を絞らせないように前後左右、縦横無尽に跳躍を繰り返し利根の周囲を凄まじい速度で駆け巡る。

対する利根は正眼に構えていた武刀剣を片手に持ち替え、切っ先を前方に向ける構えに変える。

左手は的を定める照準用。

柄の先端部分を握り、刃を水平に、独特の構えを取る。

それは提督の得意とする刺突の構え。

源流は新撰組の三番隊組長として名を馳せ、刺突技を得意としていたとされるそれに似る。

これを考案した同じく新撰組の一番隊組長、近藤勇の片手平突きの構え。

斬るよりも突く方が自身には向いていると判断した利根は、暇を見つけては提督を道場に呼び込み教えを受けていた。

利根が神通とは違い居合いを習得しなかった理由の一つとして間合いの広さが上げられる。

踏み込みが神通よりも短い分、その間合いも必然的に狭くなると判断した利根はこれをすっぱりと諦めた。

更にもう一つの理由として出だしの速さを挙げている。

そしてそれらを加味した上での最大の理由、それが────


利根「…我が艦載機から逃げられるとでも思うたか!丸見えじゃ!」シャッ


自らの艦載機と併用させた精密射撃のような一撃。

瞳を見開き、一瞬の隙間。

針の穴を通すが如く、一点に集約された力が爆発的な開放を示す。

凄まじい速度で動き回っているにも関わらず、それを意にも介さず利根は一点を目指して右手を振り抜く。

繰り出された一撃はまさに弾丸。


利根「そこじゃっ!」ドスッ

筑摩?「……っ!」ググッ 小破


確かな手応え、しかし筑摩の顔色は以前変わらず真正面を能面の如く見据えたまま動かない。

片手で脇腹に突き刺さった武刀剣を引き抜き、利根の方へと衝き返し、顔色一つ変えずに筑摩は構え直す。


筑摩?「…鬱陶しい」ジャキッ

利根「っと…ふん、お姉さんに対する敬意が今一つ足りとらんみたいじゃの」スッ

474: 2014/11/24(月) 21:46:13.51 ID:pSJF2YOxo
-瑞鳳 vs リ級FS-

リ級FS「ジャマヲ、スルナ。ケイクウボフゼイニ、デルマクハナイ」 被害軽微

瑞鳳「……」スッ ググッ

リ級FS「ケイクウボフゼイノカンサイキナド、イクラトバシタトコロデ…」

瑞鳳「」(例え一歩…ううん、半歩でもいい。赤城さんや飛龍さん達のように…)

リ級FS「カニササレタヨウナモノダ…」

瑞鳳「」(…そうじゃない!憧れない!私は、私なんだから!)

リ級FS「ホラ、ゴホウビニモウイッカイダケ、カンサイキヲハナッテモイイゾ?」

瑞鳳「軽空母だからって、余り舐めないでよね!」


──敗北は負けに非ず。可能性を残す敗北は勝利よりも価値あるものと知れ。故に立つのだ!負ける事、劣る事、

知らぬ事、それらを恥じるな!負けたなら次に活かせ!劣るなら優るものを見つけよ!知らぬなら覚えよ!そし

て相手に知らしめよ!弾丸と成って、空を舞え!──


瑞鳳「……艦載機の皆、飛び立て!」ビュッ


ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン


リ級FS「ナニ…!?」

瑞鳳「さぁ皆、弾丸と成って空を舞え!!今こそ、小沢艦隊の本当の力、見せてやりましょ!」

リ級FS「バ、バカナ…ナンダ、コノカンサイキノカズハ……チッ、オノレッ!!」ダダダダダダッ

475: 2014/11/24(月) 21:46:47.50 ID:pSJF2YOxo


瑞鳳より放たれた無数の艦載機は鮮やかな編隊を見せてリ級FS直上より急降下爆撃の態勢に入る。

その錬度たるや赤城や飛龍に迫る勢いを見せた。

脳裏を過ぎった言葉の端々。

聞き覚えのない野太い声。

それでも何処か懐かしく思う。

『ああ、そうか。これが提督の言ってた記憶なのか』と感慨に耽る暇すらもない。

今はただ、己の放った艦載機を信じるのみ。

そして瑞鳳の放った艦載機の一団はリ級FSの放つ対空砲火を物ともせず、一気に攻撃に転じる。


ボゴオオオォォォォン


リ級FS「グガッ…!」 中破

瑞鳳「これ以上、仲間の…先に進む皆の邪魔は、この瑞鳳がさせません!」

483: 2014/11/26(水) 22:20:26.60 ID:Xzkua+03o
-阿武隈・暁・白露 vs ソ級EL・ヨ級EL-

暁「阿武隈さん、私と白露はヨ級を…!」

阿武隈「うん、あたし的にも大丈夫!あたしはこのまま真っ直ぐ、ソ級に照準合わせるから!」

白露「よーっし、暁やるよっ!」

暁「うん!」

ソ級EL「オマエタチノドウコウニ…」

ヨ級EL「キヅイテナイトデモ、オモッテタノ?」

阿武隈「えっ…!?」

ヨ級EL「ケイケンモ、チエモアサイ、ケイジュントクチクカン…」ジャキッ

ソ級EL「カンゲOスルワ…ミナゾコヘ、シズミナサイ」ジャキッ

阿武隈「暁、白露!」

暁「阿武隈さん、こっちは大丈夫!」

白露「一番に片付けちゃうんだから!」

484: 2014/11/26(水) 22:27:44.25 ID:Xzkua+03o


暁や白露にとって、鎮守府とは大切な仲間との憩いの場なのだ。

何より、出会いの形はどうあれ彼女達は提督の居るこの鎮守府が大好きなのだ。

そんな大好きな場所や人を傷付けるなら、相手が何であろうと彼女達は立ち向かう。

そしてその時こそ、彼女達にとっての真価が発揮される。


ソ級EL「フフッ……シッポヲマイテ、ニゲレバイイモノヲ」

阿武隈「姿晒しておいて逃げれると思ってるの!?」

ソ級EL「ハンデヨ……カンムスフゼイニ、キシュウヲカケルマデモナイワ。ホラ、ヨコヨ」

阿武隈「っ!」バッ


ボゴオオォォォ……


ソ級ELの言葉に反応するように、阿武隈は大きく後ろに一歩バックステップする。

それから一泊遅れて、眼前の水面が大きく揺らめき立ったかと思うと爆音と水飛沫を上げて海面が爆ぜた。


ソ級EL「アラ、チョットチュウコクガ、オソカッタカシラ?」

485: 2014/11/26(水) 22:40:39.15 ID:Xzkua+03o
ヨ級EL「アイサツガワリニハ、チョットニガオモイカシラネ?」バシュンッ バシュンッ

暁「…よーいっ」スッ

白露「どんっ!」バッ


ヨ級ELの放った魚雷と同時に、暁と白露は海面を蹴って一直線にヨ級EL目掛けて駆け出す。

互いに魚雷を横軸を少しずらすだけで速度を殺さず回避し、一気にヨ級ELとの間合いを詰める。


ヨ級EL「ナニ…!?」


ボゴオオォォォン……


暁と白露の遥か後方で爆音が轟き、その頃には既にヨ級ELとの間合いはかなり肉薄していた。

二人で並んで一直線にヨ級ELへ接近し、残り数メートルという所で二人同時に魚雷管を差し向け同時発射する。

そして二人はヨ級ELから離れるように左右へ分かれて駆け抜ける。


暁「挨拶代わりなんだからっ!」

白露「受け取っちゃってー!」

ヨ級EL「シマッ……!」


ボゴオォォォォン


ヨ級ELの緊迫した声を掻き消し、魚雷が炸裂して轟音を響かせる。

486: 2014/11/26(水) 22:54:55.44 ID:Xzkua+03o
-比叡 vs 武蔵?・タ級FS-


ボオオォォン ボゴオォォォン


矢継ぎ早に放たれる武蔵とタ級FSの砲撃を比叡は全て往なし、距離を取り、鮮やかに回避する。


タ級FS「ニゲマワルダケ?」

武蔵?「口ほどにも無い。雑魚はさっさとくたばれ」ジャキッ

比叡「やばっ」サッ


回避間際の硬直を狙われ、動けないと悟った比叡は咄嗟に両腕をクロスさせて完全防御の姿勢を取る。

その直後、轟音を響かせ武蔵の主砲が火を吹いた。


ドォン ドォン


ボゴオオォォォン


砲撃は比叡を直撃、凄まじい水飛沫と爆煙を巻き上げ、海上をさながら火の海に見立てる。


武蔵?「ふん、まずは一匹だ」

487: 2014/11/26(水) 23:12:22.50 ID:Xzkua+03o


ジッ……ボゴオオォォン


踵を返そうとした直後、武蔵の頬を何かが掠めて通り、直後にその背後で大爆発が起こる。

無感情だった武蔵の瞳が僅かに見開かれ、その視線の先には主砲を構えて立っている比叡が確認できた。


タ級FS「ムサシノイチゲキヲウケテ、タッテイルダト…?」

比叡「お姉さま譲りのこの艤装。隅々までその凄さを体験してもらわないと困るなぁ」ジャキッ 小破

武蔵?「虫けら風情が…」

比叡「その虫けら風情がこれから頑張っちゃうから、よーく見ててよ!私の背中には霧島が居るんだ。妹の背中
をそう易々と撃たれたんじゃ、お姉さまや榛名に合わせる顔がなくなっちゃうよ。まずは……」ビシッ


比叡はタ級FSを指差し、不敵に笑いながら宣戦布告する。


比叡「あなたから。さて、と…気合!入れて!行きます!」ザンッ

タ級FS「ハヤイ…!」ザザッ

比叡「ふっ」タンッ ジャキッ


タ級FSの横をすり抜け、振り向き様に副砲を構えて一気に放つ。


比叡「てーっ!」ドン ドン

タ級FS「ナンダ、コイツノウゴキハ…!?」サッ


ボゴオォォン


タ級FS「クッ…!コザカシイ、マネヲ…!」 小破

488: 2014/11/26(水) 23:19:46.98 ID:Xzkua+03o
比叡「護りたいものがあるから戦うんじゃない。護るべき人達が居るから、私達は戦えるッ!」

武蔵?「その全てを我々が完膚なきまでに破壊する」

比叡「絶対させない。二度と!同じ過ちは!繰り返さない!先手、必勝ッ!!」ダッ


再び駆け出し、態勢の整っていないタ級FSへ向かい比叡が猛追を掛ける。

比叡には榛名や霧島のように過去の記憶や断片的に残る記憶が無い。

しかし、兄弟姉妹は時として常識を遥かに超えた外側まででも繋がっている事があるという。

魂で繋がる。俗に言われる虫の知らせや第六感などと呼ばれるのがそれだろうか。

確かな繋がり、確かな想いの共有、離れていようと触れ合える。一人じゃないという確かな実感。

それらが比叡に無限の力を与えてくれる。

強さは時として凶器となるが、扱い方を間違えなければそれは心強い己の武器となり、盾となる。


比叡「お姉さまや榛名達妹…鎮守府の皆、司令…護りたい人達が居る限り、私の中の信念は絶対折れない!」ジャキッ

武蔵?「戯言を…」

タ級FS「ム……」

比叡「狙いは、外さない!主砲、斉射!始めっ!!」ドォン ドォン ドォン ドォン

武蔵「この弾幕は…チッ、雑魚の分際で…」バッ

タ級FS「バカナ…ナンナノ、コイツラハ…」


ボゴオオオオォォォォン


耳を劈くばかりの轟音を唸らせ、武蔵達の居た地点が大爆発を起こす。

それでも尚、武蔵は悠然と姿を現し艤装を構え直す。

489: 2014/11/26(水) 23:28:30.59 ID:Xzkua+03o


武蔵?「ふん、所詮は深海棲艦か。不測の事態に回避も出来ないとはな」 被害軽微

タ級FS「グガ……ッ!」 大破

比叡「こいっ!」

武蔵?「ククッ…いいだろう、遊んでやる。貴様もこんな雑魚が相手では締るものも締らんだろう。褒美に消し
炭にしてやる」

比叡「なっ」

タ級FS「キ、サマ……クロ……」


グシャッ


タ級FS「……」 轟沈

武蔵?「余計な事を言う。雑魚以下のゴミ虫だな」

比叡「なんてことを…」

武蔵?「深海棲艦に同情か?下らん…使い物にならないのは即時切り捨てるのが戦場での鉄則。それに習ったま
での事を、一々情に絆されてどうする。貴様も艦娘ならば腹を括って掛かって来い。在り方の違いと実力の差を
存分に味合わせた上で砲撃処分にしてやる」

493: 2014/11/27(木) 22:20:48.83 ID:Oiy9AcX8o
皆様こんばんは
少しだけ更新しにきました

494: 2014/11/27(木) 22:34:07.06 ID:Oiy9AcX8o
-利根 vs 筑摩?-

筑摩?「ふっ…姉なら、偉いの?」

利根「なんじゃと?」

筑摩?「自分よりも劣る存在が姉だと、自分の置かれた境遇を呪う他ないわね。そう、私のように…あなたのよ
うな不出来で使い道も無い雑魚が、姉と言うだけで鼻息荒くされても困るわ。それを証明してあげる。砲撃処分
という形でね?」

利根「張りがあるのは胸ばかりと思うておったが、お主はどうやら腕っ節にも張りがあるようじゃな」


ニヤリと一笑に伏して利根は筑摩の挑発を受け流す。

そして再び武刀剣を片手で構え直し、照準を筑摩に合わせた。


筑摩「馬鹿の一つ覚え。その艤装で私を本当に仕留められるとでも?」

利根「さて、どうじゃろうなぁ…手心が加わって手元が狂うかも解らん。口が悪くとも見た目は吾輩の妹そのも
のじゃからのう。倒すのに、時間を要してしまうかもしれんのう…」クスッ

筑摩?「なら私がその時間を短縮して上げる。せめてもの手向けよ。一撃でその首を吹き飛ばして上げるわ」ジャキッ

495: 2014/11/27(木) 22:47:44.08 ID:Oiy9AcX8o


利根が仕掛けるよりも早く、筑摩は先に動き出し構えた主砲を一斉に放つ。


ドン ドン


サッ


ボゴオオォォォォン


爆発音を合図とするように二人は同時に駆け出す。

一直線の水柱が徐々に近付いていき、互いの中央部分で一本に繋がり巨大な水柱となって水飛沫を撒き散らす。

利根の刺突を今度は右側の艤装で受け止め、余る左側の艤装、その砲塔を利根へ差し向ける。


筑摩?「さようなら、お姉さん?」ドン ドン

利根「お主…!」


ボゴオオォォォン


サッ


利根「くっ…!恐れも何もあったもんじゃないのう!」 小破

496: 2014/11/27(木) 23:12:47.73 ID:Oiy9AcX8o
筑摩?「あれを避けたの?運がいいのね」

利根「運じゃと?見縊られたもんじゃのう…」キンッ


利根はため息を一つ吐いて武刀剣を鞘に収める。

利根は静かに瞳を閉じて一拍の呼吸を置いた。

その刹那に脳裏を過ぎったのはこれまでの出来事の数々。

今の鎮守府に就いてどれほどの歳月が経過したのか。

劣悪な環境、信じるものなど無く、ただ只管に与えられた任務をこなすだけの日々。

そこに達成感、感動、抑揚、充実は存在せず、ただただ生きて帰る事だけを目指して戦い続けた。

今はどうだろう?

そう思って気付いた事は、提督の存在だった。

彼が就任して劇的に今の環境は変化した。

与えられた任務を達成する喜び、仲間と共有する感動、互いを解り合いたいが為に生まれる感情の起伏、遂げた

目標を果たして得る充足した日々。

何時以来か、心の底から笑みを見せたのは。

何時以来か、仲間の安否に一喜一憂したのは。

何時以来か、両者の想いを真剣にぶつけ合ったのは。

利根の願いは至って平凡で質素。それ故に、誰もが手に入れて然るべきもの。

それを手にするのは簡単に見えて思いの他と難しい。それを利根は重々承知している。

だからこそ強く願う。平穏よ、永遠なれと。

それを今の鎮守府で、提督と出会えた仲間達と迎える。

今を強く生きる仲間達と再び鎮守府へ戻る為に、利根は強い信念を持って戦う。


利根「お主の正体、粗方見当はついた。荒唐無稽な話じゃ…しかし、思いついた結論以外に到底憶測が及ばぬ」

筑摩?「だから、何?」

利根「…終わらせる。この悪夢と共に生み出されたお主の生涯そのものを」

筑摩?「終わるのはあなたよ」

利根「最終局面じゃ。全てを賭す…吾輩は、まだまだ生きたいのでな!」

497: 2014/11/27(木) 23:13:21.01 ID:Oiy9AcX8o
短いですが本日はここまで

498: 2014/11/27(木) 23:25:33.70 ID:IkiYeg94o
乙です


次回:
【艦これ】提督「暇じゃなくなった」part7


引用: 【艦これ】提督「暇じゃなくなった」