594: 2015/11/06(金) 23:35:51.06 ID:R/lhVhuXo

595: 2015/11/06(金) 23:36:16.82 ID:R/lhVhuXo
-決闘-

戦艦水鬼「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……ふふ、ハハハッ……これダケ撃ち込め……」


ボゴオオオォォォォォォン


戦艦水鬼「ガァ…ッ!」 小破


ザザザッ


長良「悪手だね。そういう砲撃は、対人戦には不向きだよ。どちらかと言えば対軍戦や対城戦。
大体数を一手に相手する時にこそ、その真価と威力が発揮される。
そんな相性の悪い砲撃に打ち負けるほど、私の足は、安くない!」 中破

戦艦水鬼「グゥ…おの、レェ…!その、ナリで……マダ、諦めヌのか…!」

長良「終わりにしよう、深海棲艦」

戦艦水鬼「終わりダト…?貴様が終ワル以外に結末ハないぞ?」

長良「軽巡が戦艦に勝てないなんて道理はない」

戦艦水鬼「何…?」

長良「石の上にも三年って諺、知ってる?堅固なものは一点を集中して狙え。水でもやがて岩に穴を空ける…!」ジャキッ

戦艦水鬼「」(先ノ一撃…私の、腹部…)ズキッ…

長良「…………」

戦艦水鬼「」(思い出セ…ヤツの、攻撃の全てヲ……ヤツは、ヤツは…ヤツは……ッ!)ズキンッ…

長良「骨身に、沁みるよね。頑丈が取り柄って言うのも、裏を返せば鈍感って事よね。今更庇った所で、後の祭りってね」

戦艦水鬼「」(この、艦娘…ッ!駆けるダケしか能のナイと…私が、見誤ッタ…?まさか、コレまでの行動も……
全て、ヤツの演技?いや、ソンナ様子は見らレナかった。ならば、ドウして…ここまで、冷静ナ…クソッ!)
艦隊これくしょん -艦これ- 海色のアルトサックス(4) (角川コミックス・エース)
596: 2015/11/06(金) 23:36:44.22 ID:R/lhVhuXo


以前に提督は加賀達五人を発展途上と称し、輝く原石と例えた。

それはその通りであり、やり方次第で彼女達は腐りもすれば輝きもした。

進化し、成長し、更なる上のステージへと駆け上がるべき資質を秘めた五人の艦娘達。

長良は、何処かでまだ踏ん切りの付け所が不十分だった。

言葉に表すのは簡単だ。

それを口にするのも簡単だ。

だがそれを行動に移すのは困難だ。

更には、それを達成するとなれば困難の度合いは最早筆舌に尽くし難いことだろう。

だからこそ長良は今わの際に至ってもまだ、その過程で藻掻き続けた。

失敗もし、反省もし、悔やみ、嘆き、己の不甲斐無さに涙した。

そうして得られた経験は己の血肉となって漸く彼女の力として還元された。

戦艦水鬼の邪推はそんな長良のこれまでの過程を知る由もなく練られた推測と憶測に基く。

故に矛盾を孕み、噛み合わない歯車が更にその円環を歪にしていき、深みに嵌る。

演技ではない本心、計算し尽くされてなどいない、偶然による結果。

一度疑ってしまったその考えは、ちょっとやそっとでは払拭できない。

戦艦水鬼にとって、今の長良の行動は計画性を孕んだ危険な存在として認識される。

己が勝手に踏み外し、勝手に深みに嵌った沼で、無様に足掻く結果となる。


長良「いくよ、戦艦水鬼!」スッ…

戦艦水鬼「…ッ!」バッ

597: 2015/11/06(金) 23:37:11.76 ID:R/lhVhuXo


真っ直ぐに見据えてきた長良の瞳に戦艦水鬼は一瞬気圧され、無意識に後方へとたじろぐ形で身構えた。

自分でも気付いていない、あってはならない失態。

海面に小波を起こして、長良の姿がそこから消える。


戦艦水鬼「どれダケ速く動こうト、水面にはソノ行く先が反映されル!同じ手は二度ハ通じんゾッ!!」ジャキッ

長良「聞いたよね。私の足に、ついてこれるかどうかって」ザッ…


ドォン ドォン

サッ


ボボボボボボボボボボボン


戦艦水鬼「ナッ…!」


戦艦水鬼の砲塔が捉えた先、予測された射線軸とその範囲に入るよりも前に、長良は方向を直角に、行き先を変える。

結果、その動きについていけなかった戦艦水鬼は制御しきれずに何もない海域へ向けて砲撃を放つ。

そして生まれた砲撃後の抗いようのない隙。

狙い澄ましたようにして長良は砲身を既に構え、そこへ向けて砲撃を見舞う。


ドン ドンッ

ボゴオオオォォォォォォン


戦艦水鬼「ガッ…!グゥ、おの、レェ…ッ!!」 中破

長良「残りの弾数なんて数える必要ない。お前を倒すまで、撃ち続けるだけなんだから!」

戦艦水鬼「……認識ヲ……改めるベキか。ククッ…中々……ヤルじゃないカ……認めヨウ」

長良「……?」

戦艦水鬼「貴様ハ、強い。軽巡ダカラ、戦艦ダカラ……そんな事ハもうどうでもイイ。
小細工も、小賢シイ戦略も不要…ッ!ただ無心デ、この20インチ連装砲の砲弾ヲ、貴様へ撃チ込ムのみッ!!」ジャキッ

長良「絶対勝つ!」

戦艦水鬼「絶対負ケンッ!」

598: 2015/11/06(金) 23:37:39.55 ID:R/lhVhuXo


最終局面。

最後の最後、土壇場に至って戦艦水鬼は長良と同じ土俵に立った。

これで条件は五分と五分。

雌雄を決するのは互いの持つ武装のみ。

意図した訳でもない。

長良にしてみれば、このまま混乱に乗じて戦艦水鬼を沈める事が出来るチャンスだったはずだ。

しかし、長良も別にそこまで計算していたわけでもなく、ましてや考えてなど微塵もない。

これは結果としてそうなったというだけの話だ。

だから、長良は全力を持ってこの勝負に臨む。

真正面から勝負を挑み、これを打ち破り、勝利を手にし、そして皆との約束を果たす。


ザッ


互いに構えを取り、同時に動き出す。

水面に波紋を残し、その場から消失する長良。

赤黒く怪しく蠢く艤装を従え、周囲を警戒する戦艦水鬼。

全神経を集中させ、戦艦水鬼は長良の動く先、その未来を見据える。

僅かな所作、現象、違和感を見逃さずに万全の態勢で次の行動を選択する。


戦艦水鬼「」(コノ艦娘は強い。クラスと言う物差しデ図れる範囲ヲ超越した存在。油断ハこちらの氏ヲ意味スル)


いつ以来か……物事ヲ作業と思ウ様になったノハ。

煩わシサが前面に立チ、考える事ヲ止めて、どれくらい時は過ギタだろう。

抑えきれナイ衝動。

抗いきれナイ躍動。

忘れてイタ、これが……感動。

私は……コノ艦娘に勝ちタイ。

是が非デモ、何を犠牲にシテでも!

この戦いダケは、譲れないモノがある!

この身ハ既に朽ち果テタ残骸。

どこマデ行こうト、変わらぬのナラ!

せめてこの者ガ賭した想いト願いに、応エル!

そうでなけレバ、今この場に私が存在スル意味は皆無!

ダカラこそ、全力で合間見エル!

599: 2015/11/06(金) 23:38:08.81 ID:R/lhVhuXo


戦艦水鬼「ソコダッ!全砲門解放ッ!ソノ全てヲ……焼き尽くす!泣き叫ンデ……沈んでイケ……ッ!!」

長良「く…っ!」バッ


ドォン ドォン

ボゴオオオオオオォォォォォォォォン


戦艦水鬼「…………フッ」ニヤッ…

戦艦水鬼「……勝ッタ」


──遅い!全然遅い!──


戦艦水鬼「……ッ!」バッ


ジャキッ


戦艦水鬼「……ククッ、艦娘、風情ガ……見事ダ」


ドン ドンッ

ボゴオオオオオォォォォォォォン


戦艦水鬼「軽巡、洋艦……長良……ソノ名、忘れヌ。光……溢レル……水面に……私モ……」 大破


ガシッ


戦艦水鬼「…!?」

長良「……待ってる。リベンジ…だから、この手は、ここで離すよ」 大破


パッ…


戦艦水鬼「そう……ダナ……さらばだ。貴様は生きろ、長良……」 轟沈

長良「…バイバイ、戦艦水鬼。でも、正直……もっと鍛えておけば……悔しいっ…!」バシャァァァン


沈み逝く戦艦水鬼の手を取り、最期の別れを告げて手を離すと同時に、長良もその場に仰向けに倒れ込む。

盛大な水飛沫を上げてそのまま海を揺蕩うように力なく浮き続ける。

空を見上げ、満天の星空が顔を覗かせているのに気付き、夜なのだと悟り、何故か笑みが零れる。


長良「ゴメン、皆……ちょっと、一休み、してくね……」

長良「…………」

??「無茶ばかりして…よい、しょ…!はぁ、満足そうな顔だなぁ…よし、それじゃ行きますか!」

606: 2015/11/10(火) 20:12:06.98 ID:Gy+FzMiPo
-やり残した事-

山城?「なんで?そういう言い回しは、墓穴を掘るだけって飼い主に習わなかったの?」

レ級FS「何ぃ…!」

山城?「最も、解っていて聞き返しただけだから、別にどうって事ないけど。はぁ、やっぱり不幸だわ。
殺されかけて、植物状態になって、やっと目が覚めたと思ったら枕元には不幸の手紙…見てはダメと分かっていたのに、
誘惑に負けて開封して、やっぱり後悔して、見て見ぬ振りも出来たのに……はぁ、不幸だわ」


言葉の端々に『不幸』の一言とため息を織り交ぜ、ブツブツと独り言のように呟き続ける山城。

もとより、彼女は本当に山城なのか。

今、榛名と戦闘を行っている山城は何なのか。

それらを払拭するように彼女の緋色の瞳が真っ直ぐにレ級FSを見据える。


レ級FS「くっ…」

山城?「ご丁寧に私の影分身を拵えて、提督を狼狽させたんですって?うろたえる提督を見るのはそれはそれで
面白そうではあるけど、少し前までだと扶桑姉さまが直に怒ってしまうから噴出す事も躊躇ってしまうのよね。
でも、今度ばかりは流石の私も腹に据えかねているの。提督の肩を持つわけじゃないのよ?
それを差し引いても、あなた達は到底許せないわね」

漣「唖然、騒然、ですけど…ダレ?」

満潮「山城とか、言ってなかった…?」

山城?「無事で何よりね。氏期が少し延びて、不幸だったかしら?」

満潮「な、なんですって…!」

漣「み、みっちゃん…!落ち着くです!」

山城「私なんて数年間病院で管に繋がれて延命処置されて…氏んだとばかり思っていたのに目が覚めたらベットの上。
病院だと理解してため息一つ、生きていたという現実に直面してため息二つ、おまけに不幸の手紙もあってため息三つ。
はぁ……もう、ほんっと不幸だわ。どうして扶桑姉さまと一緒に居られないのかしら。どうして一緒じゃないのかしら」

レ級FS「だったら、今度は望み通りにあの世に送って上げるよ…山城ッ!」

山城「断るわ。だって、提督と扶桑姉さまにお願いされてるんだもの。もしも、気持ちがあの当時のままならば、
一度で構わないから戦場に立ってほしいって。扶桑姉さまの無念をそこで晴らしてほしいって。
私が不幸なのは別にいいのよ。でも、扶桑姉さまが不幸なままなのは……我慢ならないわ。せめて、元凶たる存在…
あなたくらいは血祭りに上げたいところよね?」

レ級FS「ボクを血祭りに上げるって?ククッ…生き遅れの戦艦風情に何が出来るってのさ」

満潮「勝手に、視界から外してんじゃないわよ」

漣「ぶっ飛ばす、です!」

607: 2015/11/10(火) 20:12:35.10 ID:Gy+FzMiPo

レ級FS「どこまでボクをコケにすれば気が済むのさ……どこまでボクを愚弄する気だ……どこまで、お前等はバカなんだ!?
実力の差も解らないほど愚かで、無知で、無様な存在をボクは見たことがないよ」

山城「所詮、影と中身の伴わない取るに足らない艦娘もどき……本物の艦娘を、あなた相手にしてこなかったの?」

レ級FS「はぁ?ボクが何でボクより劣ってるお前等の相手をマジメにしなきゃならないのさ。馬鹿馬鹿しい」

満潮「だったら教えて上げるわよ。何度だって蘇ってきなさいよ。その度に同じ…いいえ、それ以上の屈辱と苦痛を与えて、
深海に沈め直してやるっ!」

レ級FS「駆逐艦風情が…このボクを沈める?笑わせるなッ!」

山城「そこの二人の駆逐艦。確か、漣、満潮、だったかしら?」

満潮「何よ」

漣「む?」

山城「あなた達の提督は恐らく本丸…エリート提督が監視を勤める中部海域に居ると思うわ。
この子達をあなた達に託す。その程度の怪我なら何とかなるでしょうし……」

満潮「……応急修理要員の妖精達?」

漣「そ、それで、どうするです?」

山城「元々、捨てるはずだった命なの。でも、当時はよく、あなた達の提督に命を粗末にするなと説教されていたわ。
はぁ……怪我をすれば即入渠。扶桑姉さまが直に密告するから怪我を隠していてもバレて即撤退・入渠、かーらーのー……
説教……はぁ、ホント不幸だわ。怪我した上に説教されて、部屋に戻ったら扶桑姉さまにまた説教されて、ホント不幸だわ。
あ、いいえ…扶桑姉さまと二人一緒で居られたあの時間は至福だったかしら…思わずにやけてしまって説教の時間が延びたけど…」

漣「不幸自慢がハンパないです…」

満潮「私達に、この場で背を向けて逃げろっていうわけ?」

山城「やり残した事があるの。それを、やり遂げない事には氏んでも氏に切れない。けどそれにあなた達を巻き込む訳にはいかないもの。
あなた達は、ここで氏ぬべきではないと思うし……はぁ、人身御供って言うのも、不幸だわ…」

満潮「何言ってんのよ。既に巻き込まれてるってのよ。あのアホ面オヤジの下についた瞬間から、巻き込まれてるのよ」

漣「ですねー。ご主人様って、そういう星の下に生まれたんじゃないかってレベルで、災難降り注ぎますからねぇ」

山城「…はぁ、嫌な予感しかしないけど、それでもいいかしら?」

満潮「何より、やられっぱなしじゃ私達の気が済まない!」

漣「です!」

レ級FS「井戸端会議は終わったかい?じゃあ頃すけど、誰が最初が良いかだけ決めさせてあげるよ。手を上げなよ。
そいつから真っ先に首を刎ね飛ばして頃して上げるからさぁ!」

608: 2015/11/10(火) 20:13:08.58 ID:Gy+FzMiPo

山城「ですって?」クスッ…

漣「みっちゃん?」ニコッ…

満潮「何してんのよ。さっさと手を上げたら?」ニッ…

レ級FS「何…?」

満潮「最初に氏ぬのはあんただって言ってんのよ。煽り耐性ゼロの癖に偉っそうに挑発とかしてんじゃないわよ。
バッカじゃないの?そういうところが……ウザイのよッ!!」


ザバアァァァァン

ザバアァァァァン

ザバアァァァァン

ザバアァァァァン


漣「な、なっ…!?」

山城「…っ!まさか、援軍…!?」

レ級FS「…ッ!」


レ級FSと満潮達を隔てるようにその間に大きな水飛沫が立ち、そこに四体の深海棲艦が出現する。


タ級FS「マスターガ、オヨビデス」

ル級改FS「イチド、ヒイテクダサイ」

リ級改FS「アトハ、ワレワレガ…」

ネ級EL「シトメマス」

レ級FS「…っ!ふざけるな!こいつ等はボクの獲物だぞ!!」

タ級FS「マスターノメイレイニ、サカラウト?」

ル級改FS「アマリオススメデキナイ、ホウホウデスネ」クスッ…

レ級FS「お前等…」ギリッ…

リ級改FS「ワレワレニホコヲムケナイデクダサイ。イイブンガアルノナラ、ソレハマスターヘ」

ネ級EL「ワタシタチハ、マスターノメイデココニイマス」

レ級FS「……フッ、命拾いしたね、艦娘……けど、お前等は必ずボクが頃す。そう、ボクのこの手で…ッ!
だからこの四匹を見事引き裂いてみせろ」

タ級FS「ナッ…!」

レ級FS「この程度の深海棲艦に負けるのなら、ボクが本気を出した意味がない。失望させないでくれよ?」クルッ…


レ級FSはそれだけ口にするとペ口リと口の周りを一舐めして踵を返し、その場を後にした。

609: 2015/11/10(火) 20:13:43.18 ID:Gy+FzMiPo


山城「…あっさり引き下がる辺り、訳有りかしら?でも、面倒そうなのが四匹……はぁ、不幸だわ」

満潮「そこ、退きなさいよ。不出来な深海棲艦!」

ル級改FS「クチノキキカタヲシラナイカンムスネ」

ネ級EL「カンムスフゼイガ…」

リ級改FS「ソレモタカガクチクカン…ナメラレタモノネ」

タ級FS「ナンデモカマワナイ。ガ……カノジョノハツゲンニハ、ヒッカカルブブンモオオイ。ワレラヲヒキサク?
ジョウダンデモ、ワラエナイジョウダンダ」

漣「じゃ、試してみるです?」

リ級改FS「タメス?ナニヲタメスキダ?」

ネ級EL「キサマラガニクヘンニナルコトシカ、タメシヨウハナイゾ!」

山城「見縊られたものね」

満潮「あんた、戦えるんでしょうね」

山城「あら、これでも少し前は一線を駆けていたのよ。白夜の艦隊、その第一艦隊に所属していた主力級よ」

漣「え、それって鳥海と一緒?」

山城「あの子もしぶとく生きてるのね。まぁ、それはどうでもいいわ」

漣「どーでもいいって…」ニガワライ

山城「レ級FSの追撃に移るわ。この場は…瞬頃します」ギュッ…

漣「おぉ、鉢巻カックイー」

満潮「当然よ。ここまで馬鹿にされて、氏の淵に立たされて…生かされて…黙ってられるかってのよ!」

ネ級EL「シュンサツダト…ジョウダンモ、ヤスミヤスミ……」

610: 2015/11/10(火) 20:14:11.29 ID:Gy+FzMiPo


ドォン ドォン

ボゴオオオォォォォォォン


ネ級EL「ナ……ニ……?」 轟沈

山城「…まず、一匹」ジャキッ

満潮「……っ!」

漣「す、ご…」

リ級改FS「バ、バカナ…!」

ル級改FS「ネキュウELヲ、タッタイチゲキ…?ア、アリエン…!」

タ級FS「キサマ、イッタイ…!」

山城「自己紹介、まだだったかしら?元・白夜の艦隊第一部隊主力、扶桑型戦艦二番艦の山城…」

満潮「」(こいつ、本当に強い。誰よ、こいつを欠陥戦艦なんて言った奴…目玉、何処につけてんのよ)

山城「残りも、綺麗に消すわよ」

満潮「」(いける、レ級FSにこれなら、追いつける!)

漣「みっちゃん!」

満潮「漣、あんたは一先ず修理要員の妖精に患部の手当てしてもらいなさい。治療が済み次第、戦線に合流。いいわね?」

漣「……ヤダって言うとご主人様ばりにキレますもんねー。了解ですよぅ」

満潮「アホ面オヤジと一緒にすんなっての!山城、一点突破よ」

山城「はぁ……後輩に『さん』付けもしてもらえないなんて……不幸だわ」

満潮「ぐっ……わ、悪かったわね。や・ま・し・ろ・さ・ん!」ピキッ…

山城「別に良いわよ。それがあなたのスタンスなんでしょう?」クスッ…

満潮「」(んも~~!やり辛い!)

タ級FS「アノセンカンハ、ワタシガオサエル」

ル級改FS「ワタシトアナタデ、アノクチクカンヲカクジツニホウムル」

リ級改FS「リョウカイ…!」

山城「くるわよ…!そっち、複数だけどどうかしら?」

満潮「上等…!目に物、見せてやるわ!」

山城「……!」

満潮「な、何よ…」

山城「…いいえ、何でも。ふふ、そうね……目に物、見せてあげましょう」クスッ…

満潮「何笑ってんのよ…」

山城「一念天に通ず……やってやれない事はない。一途に、ただ真っ直ぐに、自分の秘めた信念を貫き通す……
そうよね……扶桑姉さまも、そうだった。その信念を、あなたもまだ持っているのね、提督…柄じゃないんだけど、
こういうのは嫌いじゃないかも、ね」

614: 2015/11/20(金) 12:40:08.52 ID:2DPB3Ucko
皆様こんにちは
本日も宜しくお願いします

615: 2015/11/20(金) 12:40:55.79 ID:2DPB3Ucko



~結束~



-負の終焉-

キメラ男「戦艦級から排除しろ!それ以外の連中は深海棲艦に任せればいい!」

ル級改艦娘「心得ました。タ級、我等でフェアルストを制圧します」

タ級艦娘「了解」

ル級改艦娘「同じようにネ級とト級で金剛型の二番艦、リ級とツ級で三番艦を制圧」

四人「「了解」」

フェアルスト「こいつ等…」

比叡「私達に照準絞った!?」

霧島「不愉快ですね」

衣笠「私達はシカトって訳か」

木曾「舐め腐りやがって…!」

北上「だったらさぁ、みせてやればいいっしょ。うち等を無視すると、もれなくどうなるかってね」

木曾「へへっ、そりゃいいな。だったらまずは暴れやすいように周辺綺麗に掃除といくか!」

衣笠「オッケー。じゃ、お二人さん!挨拶代わりに一発景気の良いのお願いね!」

木曾「っしゃあ!いくぜ!」ジャキッ

北上「四十門の酸素魚雷は伊達じゃないからねっと!」ジャキッ

ル級改艦娘「ちっ、先制雷撃か。深海棲艦を盾にして被害を最小限に留める。雷巡共の雷撃が終わり次第、
我々は先の概要に沿って行動を開始する。目標は戦艦艦娘三名の制圧とその捕縛だ」

タ級艦娘「ふん、雷巡如きの雷撃、恐れるほどのものか」

木曾「だったら…」

北上「受け取りなよ!」


バシュッ バシュッ バシュッ バシュンッ


ル級改艦娘「タ級艦娘!『それ』はヤバイ…避けろッ!!」

北上「」ニヤッ

木曾「」ニヤッ


ボゴオオオオオォォォォォォォン


タ級艦娘「くっ……!貴様等…ッ!」 小破

木曾「テメェの相手はフェアルストだ。精々『遊んで』もらえよ。言っておくがな、伊達や酔狂でそいつ等は艦娘になってねぇぞ」

北上「狙われたら最後…そう思っておいた方がいいかもね~」

616: 2015/11/20(金) 12:41:25.28 ID:2DPB3Ucko

衣笠「お二人さん、お先っ!」バッ

木曾「あっ、待ちやがれ衣笠!」バッ

北上「じゃっ、お三方の心配とかしないから適当に頑張っちゃって下さいな」バッ

フェアルスト「全く、言いたい放題言ってくれるな」

比叡「あははは」

霧島「それだけ信頼されていると割り切るべきかしら」

比叡「よしっ!霧島、私達もいくよ!」

霧島「はい!」

フェアルスト「杞憂だとは思うが…別に問題はないわね?」

比叡「勿論!」バッ

霧島「お任せを!」バッ

フェアルスト「わざわざ向こうからのご指名だしね、存分に暴れればいい……さて、私の相手をするんだったな?」ザッ

ル級改艦娘「随分と余裕ね」

タ級艦娘「あの程度の雷撃で痛むとでも思ったか!」

フェアルスト「避け損ねたくせに…」クスッ

タ級艦娘「き、さま……ッ!」

ル級改艦娘「挑発よ。乗る必要は無い」

フェアルスト「まさかとは思うけど、彼女達や私をあなた達二人だけで、何とかできるなんて思ってないわよね?
良くて足止めって所かしら?」

ル級改艦娘「何を言っている。ここで再起不能にした上で捕縛するに決まっている」

フェアルスト「正気の沙汰とは思えない発言ね。それとも、私達は見縊られすぎているのかしら?
だとするのなら、教えて上げる必要があるわね。実力の差、というものを」

タ級艦娘「戯言を…!」

フェアルスト「きなさい。分不相応な自信が招く最悪の結末というものがどんなものか。初体験で終わりにして上げるわ。
戯言かどうか、それを証明してあげる。あなた達は、この海域に沈みなさい!」

617: 2015/11/20(金) 12:42:00.23 ID:2DPB3Ucko
比叡「さぁ、掛かってきなさい!」

ネ級艦娘「ふん、威勢だけは良いみたいね。けど、重巡クラスだからって侮ってもらっては困るのよ」

ト級艦娘「そうね。軽巡クラスでも、戦艦クラスを出し抜く術くらいは心得ています」

比叡「そんな事、言われなくても身内で経験済みですっ!油断も!隙も!与えません!」ジャキッ

ネ級艦娘「こいつ…!」

ト級艦娘「な、はやっ…!」

比叡「姉さま譲りのこの艤装、たっぷりと味わってもらいます!」


ドォン ドォン


ネ級艦娘「くっ…!」サッ

ト級艦娘「おのれ…!」サッ


ボゴオオオオォォォォォォン


比叡「金剛型二番艦、高速戦艦比叡…いざ、参ります!」ザッ

ネ級艦娘「立て直せ、ト級艦娘!」 小破

ト級艦娘「言われなくたって…!」 小破


素早い構えから先制打撃を与え、比叡が一気に前に出る。

そして呆気無い程に勝負は一瞬で着く。

比叡自身も想定していたわけではない。

ある程度の苦戦は強いられるだろうという目測の元に、出だしから全力で捻じ伏せるという作戦に準じて動いたまでだ。

そう、力の差とはこの場合、双方の圧倒的なまでの経験の差から来る力量だったのだ。

結果、比叡の起こした行動によってネ級艦娘とト級艦娘は瞬殺された。

厳密には、比叡はたったの一撃で両者を再起不能にまで追い込んでしまった。


ボゴオオオオオォォォォォォォン


ネ級艦娘「がっ……!」 大破

ト級艦娘「うぐっ……!」 大破

比叡「とっと、ひえぇ~…あれれ、お、終わり?」


体勢を整える前に一気に二人の懐へ入り込み、左右に展開させた二基の主砲を同時に発射。

一度のアクションで双方を一瞬で無力化させてしまったのだ。

自分のやった事とは言え、余りの拍子抜けっぷりに比叡自身も目が点の状態になり、思わず呆けて頭を掻く。


比叡「えー…結構気合、入れてただけに、これは……」ポリポリ…


同じ事が霧島にも言えた。

程なくして二人のハイブリット艦娘を両手に引っ提げながら、霧島が比叡に近付いてくる。


リ級艦娘「…………」 大破

ツ級艦娘「…………」 大破

霧島「あ、あの、お姉さま…なんていうか、弱すぎました」

比叡「あ、あははは…これは、ちょっとねぇ…」

618: 2015/11/20(金) 12:42:29.34 ID:2DPB3Ucko


決して弱かったわけではないだろう。

力量差が、互いの経験値の差が歴然としすぎていたのだ。

彼女達が自身を分析する以上に、実力も錬度も、何もかもがハイブリット艦娘を遥かに凌駕していた。

その結果がこの圧倒的な力の差として現れてしまったのだ。

言わずもがな、フェアルストもこれでは苦戦などするはずもない。


フェアルスト「……お前達、弱すぎるぞ」


率直な感想だった。

彼女も秘めた思いがあっただけに、別の意味で挫かれそうになるほどに相手にならない力量差がそこにはあった。

火力だけは上等なものを秘めてはいたが、ただそれだけだった。

戦術眼、戦略面、立ち回り、動き出し、全てが稚拙で錬度の欠片も見られない。

高次元の戦闘を幾重にも経験してきたからこそ解る、相手の完成度の低さがそこには存在した。


ル級改艦娘「そん、な……」 大破

タ級艦娘「うそ、だ……」 大破

フェアルスト「はぁ、口ほどにも無いとはこの事か。ガッカリさせてくれたな…ハイブリットが聞いて呆れる」

不動「こりゃあ、なんつーか…」

新月「……哀れ、ですね」

キメラ男「何故だ…どうして、なんでそんな簡単に負ける!おいッ!人形共!自爆するくらいはしろよ!!」

不動「ピーピー五月蝿ぇなぁ……生まれたての雛でもそこまで喚かねぇよ、バァカ」

新月「キメラ男、お前の艦隊もこれで終わりだ。今一度、縛についてもらいます!」

キメラ男「ふざけるな!私は、私には…まだ!やらねばならない事が山ほどあるんだ!!」グワッ…

不動「ちっ、こいつやっぱてめぇ自身も変えてやがったか…!」

木曾「っるせーんだよ、変態野郎」スタッ

キメラ男「……ッ!」

不動「木曾、おま……」

619: 2015/11/20(金) 12:42:58.20 ID:2DPB3Ucko
木曾「散々仲間姉妹を弄びやがって…」チャキッ…

キメラ男「く、くるな…!」ビュオッ


ザンッ


キメラ男「がっ…!」

木曾「今のは、今までてめぇに弄られた艦娘の分」ビュッ


ザンッ


キメラ男「あがっ……!」

木曾「今のは、薄汚ぇてめぇの施設で、俺の身内を愚弄した分!」


ザンッ


キメラ男「あひゅ……」

木曾「今のは、今は亡き不動艦隊、鋼鉄艦隊の面々が味わった辛酸の分!」

不動「お前……」


ザンッ


キメラ男「も……やめっ……」

木曾「ざけんなボケッ!そう言って懇願した艦娘にてめぇは何をした!寝言言ってんじゃねぇぞ!」

新月「木曾、それ以上は…!」

木曾「今のは、新月大将の苦労を馬鹿にした分だ!」

新月「木曾……」

620: 2015/11/20(金) 12:43:25.72 ID:2DPB3Ucko

木曾「いいか、この腐れゴミ屑野郎……俺達は、俺達はなぁ…てめぇの呈のいい道具でも、玩具でもなんでもねぇッ!
そんな俺等にも越えちゃならない一線ってのはある。けどなぁ、てめぇだけは許せねぇ…絶対にだ!」チャキッ

キメラ男「ひっ……」

北上「はいストーップ」パシッ

木曾「…!止めんな、北上!」

北上「皆一緒だからさ、そんくらいにしなよ。あんた一人が全部やっちゃったら、他の連中の憂さが晴れないっしょ」ニコッ

木曾「北上……」

不動「悪ぃな、北上」

北上「私も一回、似たような時あったからねぇ…あれは、うん…まぁ、迷惑、だったよねぇ…」

不動「ありゃあ俺の失言だった。お前に非はねぇよ。怒って当然だぁな」ポリポリ…

木曾「ちっ…はぁ、分かったよ」スッ…

衣笠「こらぁー!さぼるなー!っと…まだ深海棲艦居るんだから!衣笠さんのお肌荒れたら二人のせいよ!」

木曾「へへっ、しょうがねぇな」キンッ

衣笠「しょーがないって何さ!うわっと…!あぶな…!っとー!」サッ ササッ

北上「おぉ~、避けるねぇ…」パチパチ

衣笠「拍手とかいいから!」

不動「やれやれ、なんだかなぁ。ほら、後は俺がやっとくから、てめぇ等はもう一暴れしてきやがれ」

木曾「あぁ、いってくる」

北上「私、疲れたから木曾っちの後ろに隠れててもいい?」

木曾「あ゛?」ギロッ

北上「うっ…じ、冗談だって…」


ザザザ…


不動「…全く、進撃の野郎んとこの艦娘はホント、天使にも悪魔にもなるってなぁガチだな」

新月「な、なんですか、それ…」

不動「あーいうこったよ」クイッ…

キメラ男「うっ……あ、が……」

不動「さて、と…見事にズタズタにされちまったなぁ、キメラ男くん。ま、これも因果だと思えや。
てめぇで蒔いた種だ。こういう結末だって別に驚きゃしねぇわな」


圧倒的な戦力の差を見せつけ、文字通り足許にも及ばない強さで隷属の艦隊を捻じ伏せたフェアルスト達。

キメラ男の捕縛にも成功し、忌避の艦隊に続きここに二つ目の敵艦隊の撃破が成された。

628: 2015/11/23(月) 16:39:36.80 ID:DzyPAqWTo
-存在意義-

山城CL「こいつ…っ!」


ザザザッ


榛名「いい加減、諦めたらどうなんですか!」ジャキッ

山城CL「うるさいっ!私は……なっ!」


何かを言おうとし、その言葉を飲み込んで彼女は大きく目を見開いて遠くを見据える。

その視線の先に見える六つの影。

それを視認して奥歯を強く食い縛り、榛名とその後方を交互に目線で追った。


大和「全く、大人しくできないお年頃か何かでしょうか、榛名さん?」

榛名「大和さん!?あー……あはは、えっと……」ニガワライ

大和「懲りもせず、新鋭の技術を転用してこのような艦娘と言う器を利用した兵器を使っているとは…」

榛名「えっ!?」

大和「貴女も記憶に新しいでしょう。妹の武蔵をはじめとし、幾人かの艦娘のクローンが過去に存在しました。
そして今また、同じ過ちが繰り返されている。何度…何度、彼女達の誇りを穢せば気が済むのか…!」

榛名「大和さん…」

大和「山城は…そこにいる山城は偽者です。彼女は、あなた達が以前に合間見えたクローンと呼ばれる存在です」

榛名「…!」

山城CL「だったら何よ。勝者が全てよ!ふふっ、もう、誰にも、欠陥戦艦なんて言わせないッ!!」

大和「どこまでも、愚か…どこまでも、嘆かわしい。せめてもの情け…彼女を雷撃処分にします」

榛名「だとしても、悲しいですね」

大和「だからこそ、その悲しみをこれ以上増やすわけには参りません」

榛名「はい!」

大和「開闢の艦隊旗艦大和、これより戦列に加わります。目標は前面海域に布陣する煉獄の艦隊とそれに随艦する深海棲艦。
榛名さん、細かい事は後です。今は、貴女の戦果を期待します」

榛名「お任せ下さい!」

629: 2015/11/23(月) 16:40:11.45 ID:DzyPAqWTo


ピーコック「あら?」

天城「ここからは、私が…この、天城が参ります!」

葛城「まだ、増えるの?いい加減、鬱陶しいわね」

ピーコック「貴女、確か…」

天城「彼女は、私達雲龍型の末っ子…長女の雲龍姉様、次女の私、三女の妹…雲龍型三番艦、葛城……葛城、私や姉様を覚えてない?」

葛城「知ってるわ。どっちも、抹殺の対象よ!」チャキッ

ピーコック「一つ、忠告して上げるわ。彼女のあの目を覚まさせるには、相応の代償が必要よ」

天城「……葛城っ!」

葛城「…………」

ピーコック「言葉は届かない。届くのは、その手だけよ。Dead or Alive……皮肉ね、ここまできて決氏の覚悟を抱かなければならない」

天城「これ以上、仁を尽くさぬ、尽くせぬ、あまつさえ理に反した不仁の限りを尽くすというのなら、この天城が粛清します!」ヒュンッ

ピーコック「」(次女はこれ、棒?杖?弓…じゃないのね。まぁ、どうでもいいけど…それはそうと…)チラッ…

葛城「天城姉ぇ……氏んでよ。私の目の前から、消えてッ!!」ザッ

ピーコック「」(人物を認識してるのに口から出る言葉と剥き出しの感情は劣の極み、か……そう、まるで……)

天城「深海棲艦…」ボソッ…

ピーコック「あなた…」

天城「……どれほど経過しているのか解りません。あれは、艦娘と深海棲艦のハイブリット型の兆候です。
早期であれば、まだ望みはあります。ですが、後期、末期の症状が出始めているのなら…」

ピーコック「…無理なのね?」

天城「……はい」

ピーコック「けど、まだそうと決まったわけではない。なのに、自分から修羅の道を行くわけ?」

天城「それが、せめてものあの子に対する慰めと弔いになるのなら、そうします」

ピーコック「……私達がそうだったように、艦娘の信念とやらに最後は縋ってみなさいよ」

天城「…………」

ピーコック「艦娘は、そこまで弱くは無い。私がそれを知っているわ。最後の最後まで諦めない…みっともなくても、
それが例え結果として報われなくても、賭すべき時に命を賭さなくて何処で賭すと言うの?」

天城「……そう、ですね。はい、そうですよね。私があの子を信じなきゃダメ。だからこそ、あの子は私が救い出す!」

ピーコック「周りの雑魚は私が掃除して上げるわ。思う存分、じゃじゃ馬の相手しなさい」ザッ

天城「恩に切ります」ザッ

630: 2015/11/23(月) 16:40:53.35 ID:DzyPAqWTo



ボゴオオオォォォォォォン


神通「くっ…!」 小破

川内「この…!」 小破

羽黒「この、火力は…!」 小破

武蔵CL「言ったはずだ。まだだ、とな」ジャキッ


ボボボボボボボボボボンッ


武蔵CL「ちっ!援軍か!」バッ

川内「あれ、確か大本営の…!」

神通「着て下さったみたいですね」

羽黒「妙高姉さん、それに足柄姉さん!?」

妙高「…………」

足柄「羽黒、お痛が過ぎるんじゃないかしら?」

羽黒「え、えぇ…!?」

武蔵CL「妙高姉妹か。次から次へと鬱陶しい連中だな。重巡や軽巡がどれだけ束になろうと、この武蔵は落とせはせんぞ!」

妙高「同じ理屈です。貴女がどれだけ強かろうと、彼女達をはじめ、私達を沈める事は適いません」

武蔵CL「何だと…?」

妙高「私達は海軍の誇る最後の盾。この牙城、崩せるものなら崩して御覧なさい」

武蔵CL「ならばその悉くを破壊し尽くしてやる。破片の一片すら、余さず粒子になるまでな!防げるものなら防いでみせろ!」

足柄「羽黒、まずはこのクローンを蹴散らすわ」

羽黒「ク、クローンって…」

川内「それって、まさか…!」

足柄「そっ…あなた達も記憶に新しいでしょう?色が褪せるにはまだ少し時間が経ってないんだもの…」

武蔵CL「消し飛べッ!」


ドォン ドォン

ドン ドンッ


ボボボボボボボボボボボボボボボボン


武蔵CL「なっ」

妙高「言ったはずです。この牙城、崩せるものなら崩してみせよと。この妙高型一番艦重巡洋艦妙高が立つ限り、
ここより先にあなたの砲撃は破片の一片すら通らせはしません。私が、イージスの名を冠する限り、決して!」

631: 2015/11/23(月) 16:41:24.16 ID:DzyPAqWTo


雲龍「次から次へと、ホント数だけは無尽蔵ね。深海棲艦って連中は…」

三隈「安請け合いし過ぎてしまいましたわね。私達だけでこの数、捌ききれますでしょうか?」

雲龍「ふふっ、今更じゃないかしら、それ。それに、天城が頑張ってるのに私がのほほんとはしてられないわ。
この程度の苦難、二つや三つは乗り越えないと顔向けの一つもできないでしょう」

三隈「背負うものがあると、言う事もまた厚みが出来ますわね」


ボゴオオオォォォォォォォン


三隈「っ!」

雲龍「なっ、まさか相手の援軍…!?」

ビスマルク「冗談、一緒にされるのはゴメンだわ」

雲龍「ビスマルク!」

プリンツ「ビスマルク姉さま、後続の追撃はなしです!」

イタリア「あらら~、また深海棲艦?」

ローマ「右を見ても深海棲艦、左を見ても深海棲艦…はぁ、ウンザリしそう」

レーベ「ふふ、ローマ、表情がひどいよ」

ローマ「んなっ!」

マックス「あと少し、踏ん張り所だと思うわ」

ローマ「はぁ、駆逐艦ズは元気ね」

雲龍「淵源の艦隊もようやっとお出ましって事ね」

ビスマルク「全く、大和ったら自分の艦隊が揃ったらソソクサといっちゃうんだもの」

雲龍「取り敢えず、あのエリート艦隊は進撃の艦隊と大和達できっと封殺できる。私達は周囲の憂いを消し去る事が先決よ」

三隈「終わりは近いはずです。気を緩めずにいきますわよ」

ビスマルク「ええ、そうね」

イタリア「ビスマルクさん、わらわらと凄いけど、どうする?」

ローマ「掃射よ!掃射!見晴らしよくしてやるわ!」

ビスマルク「そうね、大盤振る舞いしてあげようじゃない。残りありったけ、余さず撃ち込むわよ!」

プリンツ「はい、ビスマルク姉さま!」

イタリア「ねぇ、ローマ」

ローマ「何、姉さん」

632: 2015/11/23(月) 16:41:50.12 ID:DzyPAqWTo

イタリア「ローマもたまには、プリンツちゃんみたいに『はい、イタリア姉さま!』とか言ってみ……」

ローマ「言 い ま せ ん !」

イタリア「……拒否、早すぎないかしら?っていうか強調しすぎてないかしら?」

ローマ「艤装で殴りますよ、姉さん」メガネ クイッ

イタリア「はぁ、妹が怖い…」

那智「全く、やる気があるのか無いのか…」

ローマ「ありまくりです!」

阿賀野「あははっ」

ローマ「姉さんがもう少ししっかりとしてくれればいいだけです!」

イタリア「まぁ…!聞きました、阿賀野さん?ひどい妹だと思わない?」

阿賀野「お姉ちゃんはもっと立てて上げないとダメだよぉ」ニヘラァ

ローマ「」(このダメ姉ーズ…!)ピキッ

那智「…もういい、勝手にやっていろ。私は先んじて深海棲艦の殲滅に入る。お前等を見ていると進撃の連中とダブって不愉快だ」

阿賀野「あーっ!なっちちゃん、直にそうやって阿賀野の事バカにする~!」

那智「なっちじゃない、那智だ!ちっちゃい『つ』を入れるな!」

阿賀野「あはは、ちっちゃいって言い方可愛いねぇ♪」

那智「」(泣いて謝るまで平手打ちを打ち込みたい)ピキッ

ローマ「毒されてるわね…」ボソッ

イタリア「んん?」

ローマ「いいえ、何でもありません。さぁ、ビスマルク達に遅れを取るわけにはいきません。いきましょう!」

レーベ「マックス、僕達も急ごうか」

マックス「ええ、そうね。周りに居る深海棲艦はまだ多いし、これを放っておいていい道理なんてないわ」

636: 2015/11/24(火) 19:54:49.44 ID:CkwhHRvGo
-再会-

加賀「…………」


ザザァァァァ……


加賀「…………」チリッ…

加賀「…………」クルッ…

鳥海「流石ですね、一番乗り」

加賀「無事で何よりです」

鳥海「まぁ、ご覧の通り結構痛んではいますけどね。他の皆はまだですか」

加賀「無事だと、私は信じてますから」

鳥海「ふふっ、それもそうですね」

加賀「……これは」チリッ…

??「あっ、居た!」

鳥海「あなたは、鬼怒さん!?」

鬼怒「そーっれ!」ポイッ


バシャァァァァン


長良「わぷっ…!はばばば、しょっぱ!塩、辛っ!」

鬼怒「長良お姉ちゃん?」

長良「はへ?えっ、鬼怒!?えっ、どうして?あっつ…いたた…あ、あれ?私、確か……」

鬼怒「あんな状態で海原で寝てたら沈んじゃうよ。応急修理要員連れてきて正解だったよ」

加賀「随分と激戦だったみたいね」

長良「あっ、加賀さん…と、鳥海!」

鳥海「ついでみたいな言い方はどうなんですか!」

長良「えへへ、ごめんごめん」

加賀「動けるくらいには回復しているのかしら」

鬼怒「応急修理要員に治させてましたから、少しはって所かと…」

長良「あはは、ごめんね。結構梃子摺っちゃって…」

鳥海「でも、こうして居るんだもの。それが答えでしょう?」

長良「うん!あっ、でもどうして鬼怒がここに?」

637: 2015/11/24(火) 19:55:20.55 ID:CkwhHRvGo

鬼怒「これ…!」ピラッ…

長良「手紙…?」

鳥海「これ…」

加賀「どうかしましたか?」

鳥海「いえ、この手紙の字…」

加賀「……汚いですね」

鳥海「いや、そこじゃなくて!」

加賀「冗談です。これを書いたのは恐らく提督でしょうね」

鬼怒「えっと、長良お姉ちゃんの所の、提督?」

加賀「ええ、そうです」

鳥海「ホント、どこまで見通しているのやら…」

長良「後は満潮達だけか…大丈夫かな?」

加賀「問題ないでしょう」

鳥海「ひょっこり現れるんじゃないでしょうか」

漣「呼ばれて飛び出……はぶっ」バシッ

満潮「うるっさいのよ!」

山城「あら、騒がしいわねぇ」

鳥海「えっ……」

加賀「あなたは…!」チャキッ

満潮「あーっ!加賀、たんま!ちょっとあんたも弁解くらいしなさいよ!」

山城「はぁ、事情無視で矢を突きつけられる……不幸だわ」

満潮「弁解する気ないでしょ、あんた…」

加賀「これは、どういう事ですか、満潮」

鳥海「いえ、その前に…山城、あなた…本当に、あなたなの!?」

山城「ええ、不幸にも目覚めてしまったのよ。あのまま眠り続けていられれば、夢の中で扶桑姉さまと永遠に一緒で居られたのに…」

鳥海「あ、相変わらずですね…」

加賀「…………」

山城「あなたが私を見た、と言うのは恐らくエリート提督の下に居た私よね」

加賀「相違ありません」

山城「知ってるかどうかはこの際省かせてもらうけど、過去に新鋭と言う女性の提督が起こした大規模な叛乱事件、覚えてるかしら?」

加賀「知っています」

山城「その渦中に居て、餌食となったのが私達元・白夜の艦隊よ」

鳥海「……」

山城「そして、エリート提督は氏んだと思っていた私のクローンを作成し、自分の傍に置く事で提督の心理を揺さぶろうとした」

加賀「では、あの時居たあなたは…」

山城「本当の私ではなく、クローンの私でしょうね」

鳥海「幻の六人目…」

山城「え?」

鳥海「この鎮守府に着任するに当たって、提督は以前私にこんな話をしたんです────」

638: 2015/11/24(火) 19:55:47.62 ID:CkwhHRvGo


提督「折角のチャンスを自分から捨てるとは、大した玉だな、お前」

鳥海「司令官さんが変わったように、私だって心境の変化はあるという事ではないでしょうか」

提督「違いない。未だに山城は昏睡から目覚めない。もしもだ…もしも、あいつが目覚めて敵として立ちはだかっても…」

鳥海「最善は尽くします」

提督「はぁ……そんで、てめぇは本当にあの鎮守府に行くつもりか」

鳥海「私の力を最大限に発揮するには、規律を重んじる大本営では無理です」

提督「言い切りやがって…まぁ、俺様もご覧の通り不手際働いて降格処分&左遷のダブルコンボだ。
が、てめぇが居るのなら戦術用法に関しちゃ問題はなさそうだ。しかし、どうにもアクの強い馬鹿共が揃ってる」

鳥海「以前の司令官さんの態度では凡そ無理でしょうね。っていうか不手際って何やらかしたんですか…」

提督「……うっせー。それと、それ以上過去を持ち出したらてめぇ殴り頃すぞ」

鳥海「はぁ…脅し文句だけは超一流になりましたね」

提督「っせーんだよ。ったく、小賢しい連中だぜ。巧妙に尻尾まで隠して着々と力を蓄えてやがる。
あの糞野郎に賛同して同志になってる連中が少なくとも六匹は居る。おまけに……」ブツブツ…

鳥海「なんの話ですか?」

提督「ちっ、うるせーな。てめぇは山城の動向だけ気にしてりゃ良い。いいか、山城は相手にとっても、俺達にとってもジョーカーだ。
どちらに転んでも腹ぁ括れ…例え、一度は肩を並べて共に戦った戦友であってもな」

鳥海「そうならなかったら、どうなんですか」

提督「…言っただろ。あいつはジョーカーだ。そん時は、幻の六人目だ……行き着くべくして行き着いた、海軍の墓場。
この腐りきった海軍に教えてやるのさ…てめぇ等が切り捨ててきた人材がどれだけ優秀なのか、どれだけてめぇ等が見る目がないのか。
そいつを身をもって落とし込んでやる」

鳥海「ですけど、司令官さんから貰った資料はどれも…」

提督「あぁ、そこに書いてあるのは大体が事実だ。が…どれも小賢しいレベルで細工がしてある」

鳥海「えっ!?」

639: 2015/11/24(火) 19:56:40.80 ID:CkwhHRvGo


加賀はエリート艦隊に属していた空母の中でも最高峰の艦娘だ。

進撃の艦隊に属している赤城と共に第一航空戦隊を牽引し、その双翼を担ったほどのな。

そんな優秀な艦娘をあっさりと手放したエリートの野郎はまさに馬鹿と言わざるを得まい。

じゃあなんで捨てたのか……突き詰めれば色々あるだろうが、恐らくは隠蔽だ。

加賀に知られては不味い案件でもあったんだろう。

あわよくばと戦場で轟沈を狙ったんだろうが、そうは問屋が卸さねぇ。

結果として奴は生き残ったが、これ幸いとこれ以上近くを飛ばれないようにあの鎮守府へ左遷同然で弾き飛ばしたわけだ。

長良は確かにこれはてめぇ自身で引き起こしたミスで変わりは無い。

変わりはないが、こいつの持つポテンシャルはこの程度じゃない。

はじめて見たぜ、深海棲艦の戦艦ル級FSを相手に単身乗り込んで相手取る軽巡なんてよ。

そんなのを相手にしながら前線の指揮までこなすとなれば、状況判断にはずば抜けた嗅覚を持っていると見てまず間違いはない。

が、先も言ったとおりこいつは自分のミスを未だ自覚していないしそこから逃げる傾向にある。

尻上がりって奴だろうが、それじゃ使い物になる前に氏ぬのが落ちだ。

ある程度、荒療治が必要かもしれないな。

満潮だが、こいつも俺様が今までに見てきた駆逐艦の中では群を抜いている。

以前に進撃のところに居る白露型を見た事があったが、あれとはまた毛色の違う群の抜き方だ。

一言で言えばあれはただ氏に急いでる。

なりふり構わず出だしからぶっ飛ばしていく姿はさながら鬼神だろうよ。

その姿勢はてめぇ自身が何とかしないとならないという強迫観念に常に突き動かされている。

周りがどうにかなる前に、てめぇが何とかしようとするから入渠後も直に再出撃しようとする。

勝つ事で周りを救えたと言う安堵からそこに至高の喜びを得る。

だがそれは長良と同じで辿り着く先は氏だ。

必ず氏ぬ。

だからこそ手綱が必要になるわけだが、あの沛艾を手懐けるにはこちらも相応の力を示さねぇとならん。

最後に漣だ。

こいつは特殊と言うより、一言で言っちまえばただのコミュ障だ。

対人恐怖症とは少し違うが解りやすいくらいに周りとの壁を形成し、それ以上は絶対自分から踏み込まないし相手にも踏み込ませない。

だが戦場じゃあその特性上、常に一歩引いた位置で周囲を上手い事見ている。

結果として戦場での状況判断、最善策が何か、そういった決断力がずば抜けている。

四面楚歌の状況で半数の仲間を失いながらも無能な馬鹿提督の進軍命令から脱却できたのもこの判断力による所が大きい。

そして何より、こいつは事射撃に関しては相当な腕前だな。

射程範囲内であればほぼ確実に標的を撃ち抜けるだけのセンスを持っている。

640: 2015/11/24(火) 19:57:12.95 ID:CkwhHRvGo


提督「磨けば輝く原石の宝庫。それがあの墓場なんぞと呼ばれてる鎮守府の実態だ。
その調書にあるのは大まかな現実とそれに肉付けされただけの、残りは全て改ざんされた虚偽ものだ」

鳥海「こんなものが、許されるのですか!?そ、それに、これだけ大それた事、大本営が気付かないわけが…」

提督「さて、精査している部署がどこかは知らないが、適当に目を通しているだけならすり抜けられるだけの偽装だ」

鳥海「それと、山城の関連性は…?」

提督「内部に膿が溜まっている。そんな中に山城を置いておく訳にはいかない。全て信じるな。
お前が真に足りえるとその目に適った連中以外は全て敵と思え。お前の目は、それを見極めるだけのものを有しているはずだ」

鳥海「あの鎮守府でも、それは変わりありませんよ?」

提督「構わん。その時は俺様も同様の事をするまでだ────」

641: 2015/11/24(火) 19:57:46.41 ID:CkwhHRvGo


加賀「では、はじめから…」

鳥海「申し訳ありません。ですが、山城の事もある以上、提督も私にすら細かい内容を話す訳にはいかなかった」

山城「……とんだ策士、いいえ腹ぐろ提督ね。とは言っても、扶桑姉さまが亡くなってそうなってしまった。
そう言う方がまだ報われるのかしら?」

鳥海「……それは、解りません」

山城「はぁ、扶桑姉さまの居ない世界をこの先も生きていくのかと思うと……不幸だわ」

漣「通算で16回目っと……」メモメモ…

満潮「何で数えてんのよ…」アセ

長良「ん~、まぁでもさ、また会えたね、皆!」

加賀「当然です」

鳥海「ふふっ」

鬼怒「ば、場違いでごめんなさい!」アタフタ

満潮「気にするだけ損でしょ」

漣「でーすよねー!」

山城「乗りかかった舟だもの、行くわ。それに、逃してしまったのもあるしね?」

満潮「……ええ、次こそ潰す!」

漣「結局、邪魔してきた深海棲艦を殲滅してる間に逃げられちゃいましたしねぇ…」

加賀「鬼怒さん」

鬼怒「えっ、あ、はい!」

加賀「あなたは万が一に備えて大本営に戻って現状を元帥に報告しに行って下さい」

642: 2015/11/24(火) 19:58:13.26 ID:CkwhHRvGo

鬼怒「で、でも…」

長良「だいじょーぶ。私達は掃除屋!」

鳥海「私達が愛するこの海を汚されたままじゃ困るもの」

漣「クリーニングは必要ですよねー」

山城「粗大ゴミはきっちりと焼却処分よ」

加賀「お願いできますか?」

鬼怒「…解りました。私は、お姉ちゃんやその仲間を信じます!」コクッ

満潮「あの顔面に絶対にキツイの一発……いいえ、撃ち込めるだけ全弾撃ち込んでやるわ」

漣「漣は受けた恩は決して忘れません!そしてやられたらやり返す……倍返しだ!」

鳥海「ドラマの見過ぎです。そして古いです。ついでに今後テレビ視聴の時間制限設けますよ」

漣「えー!?」

鳥海「さっ、それじゃ行きましょう、加賀さん」

漣「スルー!?」

加賀「そろそろ緩めている兜の尾を締め直して下さい。この出撃で、全てを終わらせます。
目標はエリート提督の計画阻止、その全てを完膚なきまでに破壊する事です」

山城「言うわねぇ。自信の程は?」

加賀「そんなもの必要ないわ。ただ、成すだけよ」

鳥海「私達は、そういう集まりですから」

山城「そう。確かにそうね、そういう集まりだものね」

漣「いっちょやってみっか~!ですよ!」

長良「うん、ただの勝利じゃなくて大勝利!しちゃおう!」

満潮「当然よ。絶対勝つ!」

加賀「行きましょう」


再度集まった五人。

そして新たに加わった一人。

改めて邂逅を果たしたこの六人。

見据える先に何が待っていようと、彼女達に迷いは一切ない。

今、最後の出撃が始まる。

645: 2015/11/25(水) 15:50:39.17 ID:BdERJ8/Go
皆様こんばんは
今日で完結させれると思います
書き溜め分と残りはリアルタイムの更新で終わらせる予定です

646: 2015/11/25(水) 15:51:27.52 ID:BdERJ8/Go



~最強のNo.2~



-志の違い-

エリート「ふふっ、はは……あはははははッ!!」

提督「何が可笑しい!」

エリート「見てご覧よ。この僕が、長い年月を掛けて築き上げた一つの理念の下に集約された一群とも言える存在が、
君たちと言う烏合の衆に等しい存在如きに蹂躙されているんだよ。これを笑わずに何を笑えと言うんだい?」

提督「サイコパス野郎が…!」

エリート「人も艦娘も深海棲艦も…氏に際こそ美しい。それが例えどんな氏に方だろうと、神は平等に扱ってくれるさ。
何故なら、氏と言う概念は氏に方こそ千差万別を極めるが、その後は一つの線で繋がっているからだ。
氏んだ先は、皆が平等で一つになる。そこには格差も、贔屓も、優劣も無い!完全なる無だ!」

提督「何をほざいてやがる…」

エリート「この世界を破壊する。この僕が、頂点に立つ事で全世界に平等な氏を齎す。自分の欲に忠実に塗れるから、
人は何かをするのに全力を賭せる。それは真理だよ…見紛う事無き真理だ。深海棲艦は何故艦娘を憎悪するか解るかい?」

提督「…………」

エリート「何を黙ってるのさ」ニヤッ…

647: 2015/11/25(水) 15:51:55.50 ID:BdERJ8/Go


君も解ってるんだろう?

そこに答えが無いから決定的と認められずにいる。

彼女達は何処から来て何処へ行くのか。

これは一種の哲学だよ。

僕はそんな彼女達の道標になっているだけに過ぎない。

答えは、目の前に常にあるんだからねぇ!

けどそれを手にする事は深海棲艦にとっては禁忌、決してしてはならない、地獄への片道切符なのさ。

深い海の底から生まれ出でて、成長を遂げる毎に知恵を、力を、規模を増やしていく。

未曾有のシーハザードさ。

遥か昔、この海洋各地の底で無念の最期を遂げた数々の軍艦たちが存在した。

救われたものと、見捨てられたもの。

拾われたものと、拾われなかったもの。

生まれ変わったものと、生まれ出でたもの。

艦娘と深海棲艦は表裏一体……元は、同じ存在だ。

その宿した魂が人に宿るのか、物に宿るのか、それだけの違いさ。

深海棲艦は憎いんだよ。

自分達と違う道を行った同じ魂が。

艦娘と成った存在が、憎いのさ。

人と人が争う時代はもう終わった。

今は、人と物が争い、頃し合い、永遠と終わりの無い闘争を繰り広げる時代!

だからこそ、世界は滅ぶべきなのさ。

君たち人が争っている相手は、物だ。

その物はどこから生まれる?

この海だ!

人類は、僕たちちっぽけな人間は、愚かにも海と争っているのさ!

自然の驚異を認識できもしない愚かな人類が、何をどう足掻こうとこの海に、大海に敵う訳が無いだろう!

子供のプールで水の掛け合いをしているのとは訳が違う。

これは定められたもの……運命なんだよ。

例え僕をどうにかしようと、このうねりは、この悲劇は、この未曾有のシーハザードは決して止まりはしない!


エリート「そうだろう……戦艦レ級FSッ!!」バッ

提督「ッ!?」

レ級FS「そう……お前達人間は、艦娘は……神に逆らおうとしているんだよ。ボクこそが絶対だ」

エリート「哀れにも中身の無い言葉に縋って、それを信じて自らの身が傷付く事も厭わない…愚かで、無様で、無益な存在」

648: 2015/11/25(水) 15:52:33.31 ID:BdERJ8/Go


山城CL「沈めッ!沈めッ!沈めッ!!」ドォン ドォン


サッ

ボボボボボボボボボボボボンッ


榛名「大和さん!」ジャキッ

大和「合わせますよ!」ジャキッ

山城CL「どうして…あんた達は!沈まないのよ!!」

大和「志の違いです」

榛名「それでも、ごめんなさい。私達は、こんな悲劇が起こらない未来を必ず作って見せます」

大和「敵艦捕捉…」

榛名「主砲…!」

大和「全主砲薙ぎ払え!」

榛名「砲撃開始!!」


ドォン ドォン ドォン ドォン


山城CL「私は……私はッ!!」


ボゴオオオオオォォォォォォォォン


榛名「ごめんなさい…」

大和「…………」


爆発の収まった後には何も残っておらず、ただただ穏やかな水面だけがそこにあった。

榛名と大和は暫し、その場に佇み静かに頭を垂れて、本来は生まれてくるはずも無い、

出会う筈も無かった艦娘の冥福を祈った。

649: 2015/11/25(水) 15:53:09.58 ID:BdERJ8/Go


武蔵CL「邪魔だ、退けぇ!!」ジャキッ

妙高「お断りします」ジャキッ


ドォン ドォン

ドン ドンッ

ボボボボボボボボボボンッ


武蔵CL「おのれ…ッ!」

足柄「無理よ。妙高姉さんの鏡面射撃は大本営随一よ。あなた程度に、このイージスの盾は破れはしないわ。
そ・し・て……防御したら反撃が待ってるって事、忘れちゃダメよ?」クスッ


バババッ


武蔵CL「貴様等…!」

川内「終わりにしようか、戦艦武蔵の亡霊さん」

神通「次発装填済みです。神通、突撃致します!」ザッ

羽黒「五倍の相手だって、支えてみせます!神通さん、後ろは気にせずに!」ジャキッ

神通「はい!」

川内「羽黒!」

羽黒「川内さん、いきますよ!」サッ

足柄「あの子達、何を…」

妙高「……?」


神通は真っ直ぐに武蔵CLへ向かい駆け出し、川内と羽黒は左右に展開する。

そして羽黒は陣痛の進む少し先に主砲を翳し、躊躇う事無く砲撃を開始した。


羽黒「これ以上、やらせません!」


ドン ドンッ


神通と武蔵CLの中央付近、斜めに射線を取り二人を別つようにして羽黒の砲撃が放たれる。


カカカッ


その直後、乾いた音と共に神通と武蔵CL、両者の中央で大きな爆発が巻き起こった。

650: 2015/11/25(水) 15:53:37.92 ID:BdERJ8/Go


ボゴオオオオォォォォォォォォォン


武蔵CL「な、に…!?」

羽黒「やった!」

川内「ビンゴ!」

妙高「まさか、擬似的な煙幕!?」

足柄「うそでしょ…」

武蔵CL「くそ…!小賢しいッ!!」ジャキッ


──言ったはずです。次発装填済みと──


武蔵CL「ッ!?」


カッ


武蔵CL「これは…魚雷だと!?」


ボゴオオオォォォォォン


武蔵CL「ぐぅ…!」 中破

651: 2015/11/25(水) 15:54:20.98 ID:BdERJ8/Go


羽黒の放った砲撃が両者の丁度中央に迫った瞬間、川内の放ったクナイ型の爆雷が羽黒の砲弾に接触し誘爆を引き起こした。

結果として周囲は一瞬にして煙幕に包まれ、視界は白み、武蔵CLにとっては照準を絞る事もできなくなった。

そんな中、神通だけは目標を見失わず、先に捉えていた場所へ向かい抜刀の要領で魚雷を放つ。

その爆発によって生じた音と気配で更に場所の把握をし、一気に射程内へと忍び込んだ。


ヒュンヒュンッ

ズババババッ

キンッ…


武蔵CLと交錯した瞬間、空を何かが薙ぐ音と、それによって何かが切断される音が静かに響き渡る。

一拍置いて、更に爆発音が響き渡り、武蔵CLの堪えるようなうめき声が続いた。

神通が斬り捌いたもの、それは武蔵の艤装だった。


ボゴオオオォォォォン


武蔵CL「おの、れ…!」 大破

神通「終わりです」ジャキッ


振り返った神通は手にする主砲を構え、それを躊躇う事無く解き放つ。


神通「よく……狙って!」


ドン ドンッ


武蔵CL「おのれえええぇぇぇぇぇぇぇっ!!」


ボゴオオオォォォォォン

ザザザザッ


神通「あなたの想いは榛名さんが受け継いでいます。ですから…どうか、お心、静かに…」


猛々しい咆哮の様な叫びと共に武蔵CLの姿は静かに水面の底へと沈んでいった。

それを神通は最後まで見送り、胸の前に手を添えて静かに瞳を閉じて冥福を祈った。

652: 2015/11/25(水) 15:54:56.76 ID:BdERJ8/Go


ガシッ


葛城「離せ…!」ググッ

天城「離さない!戻ってきて、葛城!あなたは、一航戦から脈々と受け継がれてきた航空戦隊の歴史を背負っているのよ。
二航戦の飛龍さんを始めとして、五航戦の意志を継いで、あなたは生まれたの!それを、あなたが忘れるはずが無い!
あなたは新生第一航空戦隊の筆頭、改飛龍型、雲龍型三番艦の葛城よ!深海棲艦に意識を乗っ取られるような柔な子じゃない!」

葛城「うる、さい…!五月蝿い!五月蝿いッ!!わた、しは……!」

天城「戻ってきなさい、葛城!あなたは弱くない。だから、目を覚ましなさい、葛城!!」

葛城「あ…あぁ……」

天城「…!」バッ


遥か遠くを目を見開いて葛城は凝視する。

その先に天城も視線を巡らせ、その目を大きく見開いた。


飛龍「安心しなよ。私達は沈まない」

蒼龍「ご覧の通りってね?」

翔鶴「まだまだ、やる事は多いですよ」

瑞鶴「さっさと戻ってきなさいよ、葛城!」

天城「皆さん…」

葛城「瑞……鶴……先、輩……」パシャ…


葛城は力なくその場に崩れ落ち、両手で自らの顔を覆い、静かに肩を震わせた。

その肩にそっと手を置いて最後に現れた赤い袴の艦娘が優しく微笑んだ。


赤城「やっと、海軍の誇る空母が揃いましたね。過去、現在、未来、私達が護るべきものはとても多いです。
だから、誰一人として、失う訳には参りません。そうですよね、天城さん」

天城「はい…!はい…!」

赤城「翔鶴さんも瑞鶴さんも、私達一航戦の後釜です。そう易々と沈みはしません。同じように二航戦のお二人も、
あなたが思うよりもずっと強い。だから、あなたは悔やむ前にまずは顔を上げて前を見て下さい。
その目に映っているのがどんな光景か、絶望なのか希望なのか、それを見極めてからでも遅くはありませんよ」


ザッ…


赤城はそっと葛城の肩から手を離し、周囲を見渡す。

本丸からは結構離れたところ、まだ深海棲艦の数は数え切れないほどに居る。

けど不安は微塵も無い。

きっと彼女達がこの元凶を絶ってくれると信じているから。

だから赤城は自分のすべき事に心血を注げる。

653: 2015/11/25(水) 15:55:30.97 ID:BdERJ8/Go


赤城「天城さん、葛城さんはもう大丈夫なはずです。そうですよね、飛龍さん?」

飛龍「ん…まぁ、そうだね。私もね、同じような目に遭った事あるけど、大丈夫だよ。この子なら、戻ってこれる」

蒼龍「うん、そうだね」

天城「はい、ありがとう、ございます…!」

赤城「では、二航戦のお二人はまずは修復と補給に専念して下さい」

飛龍「オッケー」

蒼龍「ごめんね」

赤城「翔鶴さん、瑞鶴さん」

翔鶴「はい!」

瑞鶴「はい!」

赤城「見せて頂きます。その手腕、今一度」

翔鶴「……!」

瑞鶴「え、それって…」

赤城「加賀さんも言っていましたね。私達一航戦を越えるのならば、この程度の障壁は跳ね除けて下さい」

翔鶴「良いんですか?」

瑞鶴「翔鶴姉ぇ?」

赤城「はい?」

翔鶴「赤城さんの見せ場、無くなってしまうかもしれませんよ?」クスッ

赤城「うふふ、それは大変ですね。では、程々にして頂く方が良いのでしょうか?
けど、そうなると加賀さんがブツブツと五月蝿いですよ、きっと」

瑞鶴「あなた達、まさかこの程度を蹴散らしただけで図に乗っているのかしら?だとしたら勘違いもいい所ね。
とか絶対言う!絶対に言う!」

赤城「ふふっ」

翔鶴「では、赤城さん。赤城さんも今しばらくは腕の怪我の治療に専念して下さいね?応急修理要員は居ると思いますから」

赤城「…バレていましたか」ニガワライ

瑞鶴「無理すると加賀さんが五月蝿いよー」

赤城「はい、そうですねぇ…では、お言葉に甘えるとします。頼みました、五航戦」

翔鶴「お任せ下さい。いい、瑞鶴?」

瑞鶴「勿論!」

翔鶴「行くわよ!」

瑞鶴「了解!」

655: 2015/11/25(水) 16:34:02.20 ID:BdERJ8/Go
-遺恨-

エリート「さぁ、提督。見物はここからさ…あの時と同じ悪夢を、今一度お前の目に焼き付けてやるよ!
前回と違うのは、絶望を焼き付けたその先で、今度は共に氏ね」ニヤッ


──滅びの時を迎えるのはあなたです──


エリート「……!?」バッ

レ級FS「お前等……ッ!」

提督「…………」ニヤッ

加賀「……やはり、あなた程度を立てた所で物事が穏便に済むとは思えませんね、エリート提督。器の差、でしょうか」

エリート「加賀……貴様ッ!」

加賀「今更になって私の名を覚えた当たり、学習能力は高い方なのでしょうか。いえ、そもそも今更ですから低いのかもしれません」

エリート「ほざくなよ、艦娘風情が……取るに足らない存在の顔と名前を一々覚える方が無駄と言うものだ。
僕の為に成らない存在を、何故僕がご丁寧に覚えてなきゃならない。寝言は寝て言えッ!」

満潮「どんだけ脳みそ小さいのよ。一人や二人の名前も記憶に残せないとか、馬鹿も通り越してただの痴呆ね」

漣「ご主人様~、生きてます?氏んでたら心マした上でぶっ頃しますよ~」

提督「けっ、うっせーんだよ。片方のお下げ切り飛ばして、バランス取れなくしてやろうか、小娘が!」

漣「ふふっ」ニコッ

長良「司令官、最後の大掃除、始めちゃうよ!」

鳥海「存外しぶとく健在なようで、安心しました。司令官さん」

提督「言いたい放題言ってく……」

山城「はぁ、随分と様変わりしてるわね、提督?」

提督「……山、城」

山城「ふふ、その顔を見れただけでも役得かしら。レアケースだものね」

エリート「馬鹿、な……何故、お前が、生きている……お前は、昏睡していたはずだろうッ!」

山城「遺恨を残さない為、かしら?扶桑姉さまに呼ばれたから、かしら?どっちにしても、目覚めるべくして目覚めたのよ」

レ級FS「のこのこと現れて…だったらここで確実に沈めてやる。忘れた訳じゃないよね?一度は氏に掛けてるんだからさぁ」ニヤァ

鳥海「そちらこそ、先とは状況が違うという事を認識して下さい」

加賀「これ以上、この海も、艦娘も、何もかも、穢させはしません」

656: 2015/11/25(水) 16:34:39.69 ID:BdERJ8/Go

エリート「小賢しい……レ級FS、知らしめるんだ……君がこの世の頂点であるという事を。矮小な存在がどれだけ足掻こうと、
無駄だという事をさ……教えて上げなよ!」

山城「こっちも教えて上げるわ。あなたがやってきた事がどれだけ無意味だったのかをね?提督、最後くらいは指揮しなさいよ」

提督「ちっ……後からひょっこり湧いた分際で偉そうに……」

鳥海「内心嬉しいくせに…」ボソッ

提督「あぁ!?」

鳥海「いいえ、別に?」クスッ

提督「このクソメガネ……いいかてめぇ等。でけぇ粗大ゴミが二つだ……掃除を始めろ!」

エリート「ゴミだと…?クズがこの僕をゴミ扱いとは、分不相応にも程がある発言だよ。粋がるなよ…!」

進撃「それはあなたですよ、エリート提督」スタッ

エリート「進撃……!」

進撃「大層なお題目を並べたところで、結局あなたがやってる事は新鋭の延長に過ぎないでしょう。もう終わりです。
既に忌避の艦隊、隷属の艦隊は壊滅しました。野望と言うには余りに稚拙なあなたの計画もここまでですね」

エリート「くくっ……あの連中も結局は僕の駒さ。存外、糞の役にも立ってなかったみたいだったけどね」

提督「どこまでも、糞を地で行くゴミ野郎だな、てめぇは…」

エリート「それで、僕をどうする気なんだい?」

進撃「決まってるでしょう。どうせ大人しく縛に付く気はないんでしょうし、だったら実力行使に出るまでです」スッ…

エリート「知ってるよ。君は海軍の中でも刀の扱いがずば抜けて達者だ。君の間合いには決して入らないよ」

進撃「待つだけが剣術じゃないですよ」

エリート「解っているとも」ニヤッ


パァンッ


進撃「っ!」

エリート「ははっ、威嚇だよ。そんなにビビるなよ。けど、そうだな…次はその腕を貰おうか?」チャキッ

提督「クソガキ、選ぶ武装間違えたんじゃねぇのか」

進撃「痛んでる人は黙ってて下さいよ」

提督「ちっ、あぁそうかよ。だったら精々片腕持ってかれねぇようにしとけや」

エリート「安心しなよ、提督。お前は最後だ…一番最後に最も惨たらしく頃してやる」

提督「くくっ……だ、そうだ。クソガキ、精々生きろよ」ニヤッ

進撃「ちっ」(ホント性格最悪だな、この人!)

657: 2015/11/25(水) 17:12:05.64 ID:BdERJ8/Go


レ級FS「さぁ、氏刑執行の時間だよ。墓場在住の皆様方?」

満潮「逆に氏刑執行してやるわよ。覚悟しなさい」

漣「超本気モードでいくです!」

長良「絶対勝つ!」

鳥海「これで最後……是が非でも勝利をもぎ取ります!」

山城「それじゃ、いきましょうか」

加賀「預かり受けたこの力、如何無く発揮してみせます。友永隊……鎧袖一触よ」ビュッ

鳥海「目標、前方の戦艦レ級FS!全艦散開後砲戦用意……大掃除を開始しますよ」メガネキランッ


バババババッ


加賀の艦爆艦攻に続けて、六人が一斉に陣形を崩して散開する。


レ級FS「掃除?ふふっ、今更艦娘一人の放つ艦爆艦攻に、この僕がたじろぐとでも思ったのか!逆に掃除してやるよ!」サッ


ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン


加賀「友永隊を、余り見縊らない方がいいわ」

レ級FS「……ッ!?」


ボン

ボボボン

ボボボボボン


空中でレ級FSの艦載機と衝突した友永隊だが、出てきたのは友永隊の艦載機群。

その翼で煙を切り裂き、相手の制空領内へ進出し、大きく弧を描いて目標を補足する。

友永隊の妖精達も志す部分は同じなのだろう。

加賀に敬礼するその姿からは、任せておけという意思がしっかりと伝わってきた。

妖精の姿をしっかりと見届け、加賀は小さく頷く。

658: 2015/11/25(水) 17:12:37.56 ID:BdERJ8/Go


山城「鳥海、戦術の展開を」

鳥海「加賀さんの艦爆艦攻後、長良、満潮、漣による波状攻撃を展開!」

長良「よしきたー!任せといて!満潮、漣、いくよ!」

満潮「上等じゃない!」

漣「漣、狙い撃つ!ですよ!」


ボゴオオオォォォォォン


加賀の放った友永隊による艦爆艦攻がレ級FSを襲うが、それを物ともせずにレ級FSが煙を撒いて姿を現す。


レ級FS「効かないねぇ!」バッ 被害軽微

長良「私の足についてこれる?」ザッ

レ級FS「ほざけ、軽巡風情が!」ジャキッ


ドォン ドォン

サッ

ボボボボボボボボボンッ


レ級FS「何…!?」


レ級FSの砲撃と同時に、視認していた長良の姿がそこから消える。

レ級はFS眼球を動かし、神経を研ぎ澄ませてその行方を追う。

周囲に聞こえる海面を蹴る音、爆ぜる海面によって巻き起こる水飛沫、しかし長良の姿を視認するには至らない。


レ級FS「この、ボクよりも……速いっていうのか……ッ!?」ギリッ…


──そこっ!──


レ級FS「ッ!」バッ


ボゴオオオォォォォォン


レ級FS「ぐっ…!」 被害軽微

レ級FS「軽巡洋艦風情がァッ!!」ジャキッ


ドォン ドォン

ボボボボボボボボボンッ


満潮「長良一人にムキになってんじゃないわよ。ほら、精々顔面偏差値落ちないように気を付けなさい!」ジャキッ

レ級FS「ほざくな、駆逐艦が!!」バッ

659: 2015/11/25(水) 17:13:06.89 ID:BdERJ8/Go

満潮「」ニヤッ サッ

漣「漣からは、逃げられないよ!」ジャキッ サッ


ドン ドンッ

ボゴオオオォォォォォン


レ級FS「ぐぅ…!ウロチョロウロチョロ、貴様等ァッ!!」 小破

満潮「一々そうやって見下してる所がウザイのよッ!!」ザッ


一度目の構えをフェイクにしてレ級FSを誘い出し、後方に位置していた漣とスイッチする事で漣の砲撃に対する反応を遅らせる。

攻撃を受けたレ級FSは高確率で攻撃を加えてきた相手に矛先を向ける傾向がある。

そう満潮は推察して漣とスイッチした際にレ級FSの氏角に回り込んでいた。

本来であればその動きにもレ級FSは気付けたはずだった。

が、長良の高速移動、加えて満潮の三次元の動き、漣の的確な射撃による弾幕がレ級FSの動きを大きく制限させた結果だった。


レ級FS「お前……何処から!」ザッ

満潮「撃つわ!」ジャキッ


ドン ドンッ

ボゴオオオォォォォォォン


レ級FS「がぁぁ……ッ!」 小破

660: 2015/11/25(水) 17:41:15.89 ID:BdERJ8/Go


エリート「馬鹿な……彼女は、最強なんだぞ。たかが六人の艦娘如きに、遅れをとる訳が…!」

進撃「世界最強…?」

エリート「何がだ…!?」

進撃「いや、日本最強……」

エリート「何が言いたい!」

進撃「あぁ、市区町村で最強程度だから、遅れを取るのでは?」

エリート「お前…何処まで僕等を見下すつもりだ」

進撃「見下すだなんてとんでもない。敬意は示してますよ。敬語でしょう?でもだからって、尊敬はしませんけどね」

提督「くくっ……嫌味言わせたら、そこのクソガキの右に出れる奴は、そうそういねぇよ」

進撃「」(あんたが言うな!)

エリート「…………」ギリッ…

提督「……はぁ、いやぁ~しかしなんだね……エリートくん、俺は今非っっっ常に愉快だ」

エリート「何…?」ピクッ

提督「くくっ……そう、その顔。その顔が見たかった。その呆けた馬鹿面を、どれだけ待ち望んだ事か」

661: 2015/11/25(水) 17:41:42.42 ID:BdERJ8/Go


いいか、このノータリンの痴呆持ちゴミクズ意識高い系気取ったなんちゃって糞屑野郎。

てめぇ等如きがチンケな小細工を幾重に展開させようと、俺様にしちゃ前座も前座、お遊戯レベルのしょぼい策な訳だ。

粋がって俺様の前を走ってたみてぇだが、勘違いも甚だしい。

じ・つ・に、甚だしい!

どうだ?実は先をいってるようでてんで後方、俺様の足許にも及んでなかったその腐った脳みその程を知って。

結果はご覧の通り、頭が良けりゃこうはならねぇんだよ、バァカ。

欠陥だらけな上に内容も稚拙、深海棲艦の手を借りなきゃまともな策も考え付かない。

最早提督と言う業務すらもまともにできない、雑魚以下の畜生にも劣る存在だな。

戦艦レ級ってのは生物を捕食する事で、その知能と能力を得て強化されるんだろ?

だったらてめぇ食わせれば、めでたく退化でもして消滅してくれるんじゃねぇのか。

馬鹿で無智!

ノータリンな上に医学界を震撼させる痴呆持ち!

ゴミでも今時リサイクルできるご時勢でリサイクルは不可!

その上クズときたもんだ!

こんだけマイナス要素取り込めばレ級も最速イ級クラスまで退化してくれんじゃないのかねぇ!

一丁前に意識高い振りはしてるが相手が悪かったなぁ……俺様を相手にするなんて正気の沙汰とは思えねぇよ。

分を弁えろよ、糞屑野郎。

解ったらさっさと銃なんぞ捨てて俺様の前に平伏せ、詫びを入れろ、てめぇがクズであると認めて自覚しろ。

言ってる意味は理解できましたか?

この糞屑野郎!

言い訳反論は認めん、以上だ。

662: 2015/11/25(水) 17:42:08.60 ID:BdERJ8/Go


エリート「……言いたい事は、それだけか……」ブルブル…

進撃「」(はぁ…煽ってくなぁ、この人)アセ

エリート「そんなに先に氏にたいのなら、望み通り頃してやろうか、提督ッ!!」チャキッ


ザッ

ズバァッ


エリート「……っ!?」パラパラ…

進撃「言ったでしょう、待つだけが剣術じゃないって。でもって……」キンッ ガシッ

エリート「なっ」

進撃「漸く、掴まえましたよ」ブンッ


ドシャァ


エリート「くっ」

提督「おうおう、痛そうだねぇ…まぁ見てろよ。最強のNo.2連中がどんなもんかをな」

663: 2015/11/25(水) 17:42:41.55 ID:BdERJ8/Go


長良「鳥海!」

鳥海「山城、鬱憤晴らして来て下さい」

山城「言われるまでもないわね」サッ

レ級FS「雑魚が、どれだけ群れようとも、このボクには…」

山城「そうねぇ…あなたが複数でも居れば別かもしれないけど、あなた一人じゃどうかしら?」

レ級FS「何ぃ!」

山城「不思議と、今は嫌な予感がしないのよ。これって凄い事よ?それに、私ばかりに気を取られてると…」


ザッ


レ級FS「お前等…ッ!」

満潮「あんた何処いく、漣」

漣「どてっぱら!」ジャキッ

満潮「じゃあ遠慮なく顔面いくわね、私は!」ジャキッ

レ級FS「これ以上なめた真似を……」

長良「冗談、まだまだ終わりじゃないよ!」ジャキッ

レ級FS「……ッ!」


ドン ドンッ

ボゴオオオォォォォォン


レ級FS「片手で防げる程度の砲撃など…!」 小破

漣「なら防いでみるです!」

満潮「顔面とお腹、好きな方選びなさい!」

レ級FS「……くそォッ!」ザバァッ

満潮「こいつ…!」

漣「あぁ!ずっこい、潜った!?」

鳥海「加賀さんはそのまま、恐らく……」バッ


ザバァァァンッ


山城「標的が自分だって解ってたの!?」

レ級FS「ちぃ……お前、どうして」

鳥海「対水上電探って知ってます?」クスッ

レ級FS「…!」

鳥海「あなた如きに、私の展開させた戦術は破れません。ここに出てしまった事を、後悔して下さい」

レ級FS「後悔だと…?」

鳥海「目標、前方の戦艦レ級FS。砲戦用意……」バッ

レ級FS「なっ、しま……」

山城「不幸ね」ジャキッ

鳥海「……撃ち方、始め!」サッ

664: 2015/11/25(水) 18:08:42.92 ID:BdERJ8/Go


大きく手を振り翳し、その手を真っ直ぐにレ級FSを指し示すように振り下ろす。

次の瞬間、既に構えていた山城達の砲撃が一斉にレ級FSに襲い掛かる。

しかし恐るべきは相手の行動を予測した上で展開させた鳥海の戦術だろう。

開始、加賀の艦爆艦攻から息つく暇を与えず小回りと連射の利く長良、満潮、漣の三名による波状攻撃を展開。

海面を疾風迅雷の如く駆け抜ける長良と合わせ、そこに嵐を生み出すが如く、満潮による三次元の攻撃。

そんな二人が交錯する中でも的確に砲撃を命中させる漣の射撃センス。

暴風の吹き荒れた中、その間隙を縫って山城の砲撃を撃ち込む算段だったが、レ級FSもここで応戦する。

強引に包囲網を突破し、レ級FSが目星をつけたのは鳥海。

長良達三人はこちらの距離を的確に視認しており、狙い撃つにも距離が近過ぎる故に警戒態勢が万全だ。

加賀は最奥で遠すぎる。ならば、中距離に位置取り、今は動きを止めていた鳥海と山城。

その中で一番確実に仕留められると確信を得ていたのが鳥海。

だからこそ狙いを定めて突撃した。

驚くべきは相手が水上電探を備えた上に、こちらの目論見を完璧に看破し、更にそこからのカウンターに備えていた事。


ボゴオオオオオオォォォォォォォォォン


一際大きな爆発が轟き、そこに一点集中された砲撃の雨が止む。

大きく立ち昇る黒煙と硝煙の香りが辺りに充満し一時の静寂が訪れるが、直にそこから大きな雄叫びが響き渡った。

665: 2015/11/25(水) 18:14:08.43 ID:BdERJ8/Go


満潮「しぶとすぎでしょ」

漣「これだから戦艦って厄介ですー」

山城「これでもまだ足りないのね」

鳥海「ですが、この攻撃は相手にとって痛烈に効いている筈です」

加賀「…………きます」チリッ…


寡黙を貫き静観していた加賀が静かに呟き矢筒から矢を抜き取る。

それと同時に黒煙を吹き散らしてレ級FSが姿を現した。


レ級FS「ボク、こそが……絶対なんだ!忌々しい、艦娘如きに、ボクが敗れるわけには、いかないッ!!」 中破

加賀「いいえ、ここで終わりです」スッ…

レ級FS「……ッ!空母…ッ!なっ……」


加賀を真正面に捉えてその姿を認識し、レ級FSはその目を見開いた。

それは幻だったのか、いや恐らくは幻なのだろう。

幻なのかもしれないが、それはそのとき確かにそこに『存在』していたと言えるほどの威圧感を放っていた。

レ級FSが垣間見た、恐怖によって具現化した姿そのものなのかもしれない。

レ級FSにしか認識できず、レ級FSだけに具現化しているように見えていたのかもしれない。

それは加賀の背後に聳える無数の軍艦の群れ。

遥か昔、激戦を繰り広げてきた数々の歴戦の軍艦。

その誇りと魂は今を生きる艦娘達によって顕現された。

艦娘の秘めた闘志と秘めた想いは何れ、志半ばで朽ち果てていった軍艦達の無念すらも浄化してゆくことだろう。

これは、敵対するものに向ける怒りや悲しみ、憎しみ、恨みなどではない。

今を生きる者達を、共に戦う仲間達を護りたいと願う、彼女達の想いが具現化した本当の姿なのだろう。

その先陣を切るのは、第一航空戦隊の一翼を担った鎧袖一触の加賀。

その彼女を支えようと、力になろうと、共に行こうと、現れたのがそれなのかもしれない。

666: 2015/11/25(水) 18:14:57.00 ID:BdERJ8/Go


鳥海「全艦、突撃開始!加賀さんを援護して下さい!」ザッ

山城「決めなさい!全力で援護するわ!」ザッ

長良「よしきたー!がっつりいっちゃってー!」ザッ

満潮「当然じゃない!まだまだいけるわ!」ザッ

漣「キタコレ!全力で突撃ー!」ザッ

レ級FS「艦爆艦攻が放たれるのに、正気か、お前等…!?馬鹿なのかッ!?巻き添えを食って沈むだけだぞ!」

山城「果たしてそうかしら?」ジャキッ


ドォン ドォン

ボゴオオオォォォォォン


レ級FS「ぐっ…!」 中破

鳥海「今更、あの人がそんなヘマをするとでも?」ジャキッ


ドン ドンッ

ボゴオオォォォォン


レ級FS「くそっ、身動きが……!」 中破

長良「今更過ぎるね!」ジャキッ


ドン ドンッ

ボゴオオォォォォン


レ級FS「鬱陶しいぞ、お前等……ッ!」 中破

満潮「鬱陶しいのはあんた等よ!」ジャキッ


ドン ドンッ

ボゴオオォォォォン


レ級FS「この、程度で……ッ!」 中破

漣「漣達からは逃げられないよ、しつこいから!」ジャキッ


ドン ドンッ

ボゴオオォォォォン


レ級FS「がああァァ……!」 大破

加賀「ここは、譲れません」チャキッ

レ級FS「仲間、諸共……ボクを、沈めようと、言うのか……ッ!」

加賀「ありえません。みんな、優秀な子たちですから」ビュッ

レ級FS「正気、か……」

667: 2015/11/25(水) 18:15:23.57 ID:BdERJ8/Go


空を羽ばたく色とりどりの艦載機。

その後姿を見て、そして己が握る弓を見て、小さく、静かに、感謝の念を込めて呟いた。


加賀「……ありがとう」


パキッ…


その言葉と共に加賀の持つ弓が中央から真っ二つに裂け、完全に破損する。

それでも、加賀は矢を掴んでいた右手を振り翳し、飛び立った艦載機に最後の指示を出す。


加賀「鎧袖一触よ。心配いらないわ。敵機直上より急降下、全てを薙ぎ払って下さい」バッ


無数に連なる艦載機は一条の矢の如く、真っ直ぐに上昇後一気に急降下、加賀の意志を汲むように一糸乱れぬ鮮やかな動きをみせる。

そして目標へ向けて決氏の艦攻艦爆攻撃を開始した。


レ級FS「くくっ……フフフ……アハハハハハッ!何度だって、何回だって、ボクは生まれてやるッ!
いいか、覚悟しろ…海軍、艦娘ッ!!ボクは、この海の破壊者だ……どれだけ歳月を掛けようと、必ずまた……」


ブウウゥゥゥゥゥゥゥゥン……


レ級FS「……お前達を皆頃しにする為にッ!地獄の底から舞い戻ってやるよ……ッ!!」


レ級FSの呪詛とも言える咆哮を掻き消すように、加賀の放った艦攻艦爆隊の猛攻がレ級FSに一斉に降り注ぐ。

一点集中の凄まじいまでの艦爆艦攻。

乱れ撃つのではなく、目標にのみ攻撃を加え周囲への被害を出さない圧倒的な精密射撃。

攻撃の止んだ後には文字通り跡形もなく、ただ穏やかな水面だけが存在した。

668: 2015/11/25(水) 18:38:50.65 ID:BdERJ8/Go
-変わらぬ明日-

エリート提督の企てた海軍のっとり計画阻止から半年が過ぎていた。

戦艦レ級FSを撃破した後、進撃提督の手によってエリート提督は捕縛され、残っていた首謀者の三人全てが縛に付いた。

提督を始めとしたハズレ鎮守府の面々は戦艦レ級FS撃破後、何事も通達する事無くその場から撤退。

表向きの功労者は現場に居合わせた進撃、鋼鉄、不動、新月の各鎮守府と大本営本部と報道された。

だが現場に居た者はその恐るべき功績を目撃している。

たったの六人、少数精鋭と言うには心許ないほどに少ない人数でエリート提督率いる主力本隊を壊滅させた艦娘達。

大本営をも揺るがす大事を成しえ、それを公にさせずにその場から去ってしまった艦娘達。

そこは外れた鎮守府。

大本営をはじめとし、他の鎮守府ではそこをハズレ鎮守府と呼ぶ。

問題児とされた艦娘や提督の行き着く陸の孤島。別名、海軍の墓場。

そこで六人の艦娘は今も過ごしている。

669: 2015/11/25(水) 18:39:17.41 ID:BdERJ8/Go


山城「はぁ、やる事がなさ過ぎて不幸だわ…」

漣「よっ、今日も出ました山ピーの不幸自慢!」

山城「あなた、艤装の角で殴り頃すわよ?その山ピーって止めてくれないかしら」

漣「サンジョーさん?山さん?mountain castle?」

山城「」ピキッ ジャキッ

漣「わー!たんま、冗談!ジョーク!ウソ!こわっ、ヤバイってそれは!」アタフタ

満潮「あんた五月蝿いわよ!」

漣「あ、みっちゃん」

満潮「ったく…それよりアホ面オヤジまだ戻らないわけ?」

漣「恋しくなったとか、ですか?」ニヤッ

満潮「…………」ガシッ

漣「!?」

満潮「山城、良いわ。どてっぱらにぶち込んでやりなさい」

山城「あら、いいの?」

漣「ノー!良くないです!ダメです!イジメ反対!ダメ絶対!色々!」ジタバタ…

長良「あははは…相変わらずだねぇ」

鳥海「山城が加わってバリエーションが増えて、注意するのも面倒になってきたわ」

長良「何だかんだいってあの子達と山城さん、仲良いもんねー」

鳥海「元々山城は駆逐艦の子たちには良く懐かれてる所があったから、それの名残かしら?」

長良「名残って…それより加賀さんは?」

鳥海「弓道場」

長良「さ、流石…一人流されないねぇ」

鳥海「そこがあの人らしいといった所かしら?」

670: 2015/11/25(水) 18:39:48.96 ID:BdERJ8/Go


加賀「…………」ビュッ


トンッ


加賀「…………」スッ…


カチャ…


加賀「…二時間。まだまだね」


構えていた弓を静かに下ろし、時計を見て加賀は一人呟く。


加賀「集中力はある程度続くけれど、そこからの伸びが足りてないのかしら…」

??「競う相手がいねぇから気が緩んでるだけだろ、ダァホ」

加賀「……覗き見なんてついに下の下にまで落魄れましたね、提督」チラッ

提督「ぬかせ鉄面皮」

加賀「それで、今日は何かしら」

提督「全員集めろ。掃除の時間だってな」

加賀「……はぁ、平和を享受するのはまだ先という事ですか」

提督「っせーんだよ。つべこべ言わずにさっさと集めろ」

671: 2015/11/25(水) 18:40:22.92 ID:BdERJ8/Go


提督「全員揃ったな」

満潮「見て解んないわけ?あんた馬鹿?」

提督「クソチビまな板、殴り殺されてぇのか」

満潮「あっれー、算数できないのかと思って聞いただけなのに何ムキになっちゃってんの?」

提督「上等だ、即刻てめぇを解体処分にしてやる」

満潮「上等じゃない。解体される前にあんたを雷撃処分にしてやるわよ!」

加賀「……はぁ」

鳥海「……もう何も言いません」

山城「見てる分には愉快ね」

長良「あははっ、始まったー」

漣「よっ、待ってました!夫婦漫才っ!」パチパチパチ

満潮「漣……」ピキッ

提督「その口に五寸釘打ち込んで縫い合わせた上で二度と喋れねぇようにしてやろうか」イラッ

漣「」(こ、呼吸ピッタリ過ぎてヤバイんですけど…目がマジ過ぎて別の意味でヤバイんですけど!)プルプル

672: 2015/11/25(水) 18:40:51.46 ID:BdERJ8/Go

加賀「話が進みません」

提督「御託が多いんだよ。黙らせとけ!」

加賀「はぁ」

提督「ため息ついてんじゃねぇよ!」

鳥海「司令官さん…」アキレガオ

提督「ちっ…」

山城「三日間も鎮守府空けておいて、何をしていたのかしら?」

提督「あぁ?大本営はそうでもねぇが進撃のクソガキとそれに便乗したルポライターが五月蝿ぇんだよ。
だがまぁそんなのはどうでもいい。どうせここは外れに外れただぁれもしらねぇチンケな鎮守府だ。
任される任務なんてのも毛が生えたようなしょぼいもんしかねぇからな」

漣「お陰で平和すぎますけど、暇ですよぅ」

長良「体鈍っちゃうよねー」

提督「だろうと思って久々に仕方なく任務とやらを受けてやった」

加賀「任務?」

鳥海「どのような?」

提督「くくっ、何を血迷ったのか。未だに深海棲艦の残党ってのは姑息にも生きているらしい。
それの殲滅が任務だ。泊地があるのならそれ諸共消滅させて来いってなもんだ」

満潮「何それ。超まともな任務じゃないのよ。裏があるんじゃないの、それ」

提督「当然だ。だから俺様の鎮守府に話が『捨てられ』たんだからな」

山城「どう裏があるのかしら?」

提督「向かう先は中部海域、未踏の部分も多い場所だ」

鳥海「何が起こるか解らない。故に何か起きても責任は負わない」

提督「そういうこった」

加賀「やれというのならやるだけよ」

長良「どーせやる事ないもんねー」

漣「じゃあパッパとやっちまうのね!」

満潮「普段が有給休暇見たいなもんだしね」

山城「どうせ捨てるはずの命だったんだもの。今更どこに行こうと変わりはないわ」

鳥海「では、指揮をお願いします、司令官さん」

提督「ふん…どうせ頃しても氏なねぇんだろ。だったらやる事やってとっとと戻って来い。目に物を見せてやれ!」

加賀「了解です。目に物、お見せしましょう。ハズレ鎮守府艦隊、出撃します」

673: 2015/11/25(水) 18:41:19.65 ID:BdERJ8/Go


誰も見向きもしない、はみ出し者が寄せ集められた海軍の墓場。

誰が言ったのか、外れと出来損ないのハズレを掛けたハズレ鎮守府。

そんな墓場には今、一癖も二癖もある提督を筆頭とし、六人の艦娘が漂着している。

世間には決して知れ渡らない、名も知られない、誰からも認知されない。

しかし、そこに存在して然るべき六人の艦娘達。

人知れず、ただ任務を忠実に成していく影の功労者。

決して表には出てこない、常に陰を歩き、二番手に甘んじる。

それ故に彼女達の存在を知る一部の者達からは『最強のNo.2』と言われる存在達。

彼女達は今日も何処かの海域で、密かに任務を全うしている。



【艦これ】提督「バリバリ最強No.2」 Fin.

674: 2015/11/25(水) 18:47:49.07 ID:BdERJ8/Go
これにて【艦これ】提督「バリバリ最強No.2」は完結です。
今年の一月下旬から書き始め、同年11月下旬の完結と少し間延びしてしまいました。
スランプや諸事情により更新が延長された中、読み続けて頂いた皆様には本当に頭が下がります。

作品執筆中にも幾つか意見や感想など頂き、本当に勉強にもなりました。
本当は五人だけで最後まで、提督を含んで六人で完結させる予定でしたが、
物語の流れ上、山城を参加させる運びとなりました。

作品を通じてそのキャラ達をもっと皆さんが愛してくれればと思います。
今後も何かネタが思い浮かべばスレ立てするかもしれませんが、その際はまた生暖かく見守って下さい。

このスレは数日間このままとし、折を見てHTML化依頼スレに報告を入れます。
では、皆様本当に最後まで読んで頂きありがとうございました!

677: 2015/11/25(水) 21:32:15.67 ID:DBkGVJqOo
乙です

引用: 【艦これ】提督「バリバリ最強No.2」