34: 2010/10/08(金) 03:53:07.83 ID:WxsaxAgnO
前回:唯「第一話:梓の猫」
【第二話:春を憂い】
手を二回叩き神様にお願いをする。
梓「私の絵が売れますように」
本当に売れて欲しい。
飯も満足に食べれない程に金が無い。
目の前にある賽銭箱に金を入れるのを躊躇うぐらい金が無い。
心の寄り所であったむったんはあまり家には帰って来ないし……。
梓「はぁ……」
35: 2010/10/08(金) 04:00:31.15 ID:WxsaxAgnO
やっぱり絵だけじゃ喰っていけないのかなぁ?
いやいや、私に才能が無いだけかも知れない。
いっそ春画にでも手を出して……やっぱりそれだけは無理だ。
憂「あ!お姉ちゃん!」
振り返ると鳥居の所で女が何かを叫んでいる。
憂「お姉ちゃーーん!」
胸に柔らかい物があったっかと思うと私の体は宙を舞い地面へと落ちた。
いやいや、私に才能が無いだけかも知れない。
いっそ春画にでも手を出して……やっぱりそれだけは無理だ。
憂「あ!お姉ちゃん!」
振り返ると鳥居の所で女が何かを叫んでいる。
憂「お姉ちゃーーん!」
胸に柔らかい物があったっかと思うと私の体は宙を舞い地面へと落ちた。
36: 2010/10/08(金) 04:08:25.06 ID:WxsaxAgnO
梓「あ痛てててっ……ひゃあ」
犬が倒れた私の体の上に乗っている。
小さな可愛いらしい犬だったが今の私にとっては凄く怖く見えた。
憂「あ、お姉ちゃんダメ!」
噛まれる!
そう思いギュッと目を閉じて腕を顔の前に差し出した。
何かヌメヌメした物が私の腕を這う。
このヌメヌメした物……舌?。
犬が倒れた私の体の上に乗っている。
小さな可愛いらしい犬だったが今の私にとっては凄く怖く見えた。
憂「あ、お姉ちゃんダメ!」
噛まれる!
そう思いギュッと目を閉じて腕を顔の前に差し出した。
何かヌメヌメした物が私の腕を這う。
このヌメヌメした物……舌?。
39: 2010/10/08(金) 04:14:57.07 ID:WxsaxAgnO
うっすらと目を開けて見ると犬が私の腕を舐めている。
憂「ご、ごめんなさい!」
鳥居で叫んでた女が犬を抱き抱えた。
憂「もう!ダメでしょ!お姉ちゃん」
唯「ワンワン!」
梓「い、いえ……よいしょ」
立ち上がり犬を抱き抱えている女を見る。
憂「何処かお怪我はありませんか?」
梓「あ……ありません……」
何処と無く私を舐めた犬と顔が似ている。
流石に失礼か……でも綺麗な顔をしていた。
憂「ご、ごめんなさい!」
鳥居で叫んでた女が犬を抱き抱えた。
憂「もう!ダメでしょ!お姉ちゃん」
唯「ワンワン!」
梓「い、いえ……よいしょ」
立ち上がり犬を抱き抱えている女を見る。
憂「何処かお怪我はありませんか?」
梓「あ……ありません……」
何処と無く私を舐めた犬と顔が似ている。
流石に失礼か……でも綺麗な顔をしていた。
40: 2010/10/08(金) 04:21:46.44 ID:WxsaxAgnO
憂「お姉ちゃんはすぐに私から離れて綺麗な人に飛び付いちゃうだから!」
唯「ワン!」
何故か彼女は犬に向かってお姉ちゃんと呼んでいた。
同じ母親から産まれたのかな?
そんな分け無いか……。
憂「あの~……ご迷惑を掛けて本当にすみませんでした!」
梓「あ、いえいいんです……」
唯「ワン!」
何故か彼女は犬に向かってお姉ちゃんと呼んでいた。
同じ母親から産まれたのかな?
そんな分け無いか……。
憂「あの~……ご迷惑を掛けて本当にすみませんでした!」
梓「あ、いえいいんです……」
41: 2010/10/08(金) 04:27:36.35 ID:WxsaxAgnO
憂「何かお詫びをさせて下さい!」
唯「ワーン!」
梓「お詫びなんていいですよ」
憂「近くに美味しい団子屋があるんです!」
梓「団子!是非お詫びをして下さい!」
団子なんて久しぶりに食べる。
まさかこんな事で今日のご飯にありつけるなんて……たまには神頼みをしてみるものだ。
唯「ワーン!」
梓「お詫びなんていいですよ」
憂「近くに美味しい団子屋があるんです!」
梓「団子!是非お詫びをして下さい!」
団子なんて久しぶりに食べる。
まさかこんな事で今日のご飯にありつけるなんて……たまには神頼みをしてみるものだ。
43: 2010/10/08(金) 04:40:06.81 ID:WxsaxAgnO
憂「ここですよ~美味しい団子屋さん」
梓「団子……団子……」
純「あ、憂こんにちは」
憂「こんにちは純ちゃん!」
唯「ワン!」
純「唯もこんにちは」
どうやらこの人の名は憂と言うらしい。
そして、この犬の名は唯……人間っぽい名だ。
アレ?この犬……首に何か付けてる。
都忘れの花柄の布だ。
梓「団子……団子……」
純「あ、憂こんにちは」
憂「こんにちは純ちゃん!」
唯「ワン!」
純「唯もこんにちは」
どうやらこの人の名は憂と言うらしい。
そして、この犬の名は唯……人間っぽい名だ。
アレ?この犬……首に何か付けてる。
都忘れの花柄の布だ。
44: 2010/10/08(金) 04:45:10.86 ID:WxsaxAgnO
憂「どうぞ、お団子ですよ」
梓「あ、ありがとうございます!」
一口……二口と団子を口の中に入れる。
あぁ……久しぶりの団子だ。
梓「美味しいです!」
純「そりゃあ私が作る団子だからね」
憂「もう純ちゃんったら……気に入って貰えて何よりです」
梓「は、はい!ありがとうございます!」
梓「あ、ありがとうございます!」
一口……二口と団子を口の中に入れる。
あぁ……久しぶりの団子だ。
梓「美味しいです!」
純「そりゃあ私が作る団子だからね」
憂「もう純ちゃんったら……気に入って貰えて何よりです」
梓「は、はい!ありがとうございます!」
45: 2010/10/08(金) 04:51:49.43 ID:WxsaxAgnO
唯「ワン!ワン!」
犬がくれと言わんばかりに私に吠える。
梓「や、やらないよ!」
憂「お姉ちゃんの団子はこっちだよー!」
唯「ワンワーン!」
ふぅ……私の団子は氏守する事が出来た。
自分でもけち臭いとは思うがそれほど生活に切羽詰まっているのだ。
憂「お姉ちゃん美味しい?」
唯「ワン!」
何故この人はこの食いしん坊な犬をお姉ちゃんと呼ぶのだろうか……。
非常に気になる。
犬がくれと言わんばかりに私に吠える。
梓「や、やらないよ!」
憂「お姉ちゃんの団子はこっちだよー!」
唯「ワンワーン!」
ふぅ……私の団子は氏守する事が出来た。
自分でもけち臭いとは思うがそれほど生活に切羽詰まっているのだ。
憂「お姉ちゃん美味しい?」
唯「ワン!」
何故この人はこの食いしん坊な犬をお姉ちゃんと呼ぶのだろうか……。
非常に気になる。
46: 2010/10/08(金) 05:04:15.40 ID:WxsaxAgnO
梓「あ、あの~」
憂「何ですか?あ!もっと団子が……」
梓「ち、違います!何でこの犬……」
憂「あ、お姉ちゃんの名前は唯です」
知っている。
梓「唯をお姉ちゃんと呼んでいるんですか?」
憂「お姉ちゃんの魂が乗り移っているからですよ」
お姉ちゃんの魂が乗り移っているから?
意味が全然分からない。
憂「何ですか?あ!もっと団子が……」
梓「ち、違います!何でこの犬……」
憂「あ、お姉ちゃんの名前は唯です」
知っている。
梓「唯をお姉ちゃんと呼んでいるんですか?」
憂「お姉ちゃんの魂が乗り移っているからですよ」
お姉ちゃんの魂が乗り移っているから?
意味が全然分からない。
47: 2010/10/08(金) 05:10:56.73 ID:WxsaxAgnO
梓「魂が乗り移っている?」
憂「はい!この犬はお姉ちゃん何です!」
この人は自信満々に変な事を言うなぁ……。
梓「でも、何で魂が乗り移ったんですか?」
憂「お姉ちゃん……私が小さい頃に氏んでしまったんです」
梓「……え?」
憂「はい!この犬はお姉ちゃん何です!」
この人は自信満々に変な事を言うなぁ……。
梓「でも、何で魂が乗り移ったんですか?」
憂「お姉ちゃん……私が小さい頃に氏んでしまったんです」
梓「……え?」
49: 2010/10/08(金) 05:18:53.92 ID:WxsaxAgnO
梓「あ、ごめんなさい……」
しまった……色々聞き過ぎてしまったようだ。
憂「いえ、いいんですよ!」
唯「ワン!」
憂「あ、もう日が落ちて来てる……私達はもう帰りますね」
梓「あ、はい!団子ありがとうございました」
憂「いえ……お姉ちゃん行こう?」
唯「ワン!」
しまった……色々聞き過ぎてしまったようだ。
憂「いえ、いいんですよ!」
唯「ワン!」
憂「あ、もう日が落ちて来てる……私達はもう帰りますね」
梓「あ、はい!団子ありがとうございました」
憂「いえ……お姉ちゃん行こう?」
唯「ワン!」
50: 2010/10/08(金) 05:24:48.49 ID:WxsaxAgnO
憂「お姉ちゃんもうすぐ春だね」
唯「ワン!」
憂「お姉ちゃんが氏んだ時も春だったよね」
唯「ワン!ワン!」
憂「早く神社に帰ろっか!和さんも帰って来てると思うし!」
唯「ワーン!」
憂「……春か」
唯「ワン!」
憂「お姉ちゃんが氏んだ時も春だったよね」
唯「ワン!ワン!」
憂「早く神社に帰ろっか!和さんも帰って来てると思うし!」
唯「ワーン!」
憂「……春か」
51: 2010/10/08(金) 05:42:34.19 ID:WxsaxAgnO
もうすぐ春が近い。
私は春が嫌いだ。
春になると嫌な事ばかり起きる。
両親に捨てられた日も春だったしお姉ちゃんが氏んだ日も春だった。
他の人はようやく寒さから逃れられると言って喜ぶが、私は冬のあの冷酷なまでの寒さが心地良い。
私は冬が1番好きだ。
冬になると楽しい事ばかり起きる。
私は春が嫌いだ。
春になると嫌な事ばかり起きる。
両親に捨てられた日も春だったしお姉ちゃんが氏んだ日も春だった。
他の人はようやく寒さから逃れられると言って喜ぶが、私は冬のあの冷酷なまでの寒さが心地良い。
私は冬が1番好きだ。
冬になると楽しい事ばかり起きる。
53: 2010/10/08(金) 05:51:42.21 ID:WxsaxAgnO
和さんと出会い一人っきりの私を引き取ってくれた。
他にも沢山あるけど1番嬉しかった事はお姉ちゃんが再び犬と成って私に会いに来てくれた事。
お姉ちゃんが着ていた都忘れの花柄の着物を首に巻き付けた犬。
私は一目でこの犬はお姉ちゃんの生まれ変わりだと強く確信した。
他にも沢山あるけど1番嬉しかった事はお姉ちゃんが再び犬と成って私に会いに来てくれた事。
お姉ちゃんが着ていた都忘れの花柄の着物を首に巻き付けた犬。
私は一目でこの犬はお姉ちゃんの生まれ変わりだと強く確信した。
54: 2010/10/08(金) 06:04:23.71 ID:WxsaxAgnO
私はお姉ちゃんに会った瞬間すぐにお姉ちゃんに抱き着いた。
お姉ちゃんに抱き着くと私の体や心が暖かくなっていった。
寒さの中で何時も以上にお姉ちゃんの体温を肌で感じた。
あの冷酷なまでの寒さだからこそ暖かさをより強く感じたんだと思う。
だから、私は冬が好きだ。
寒さの中で人に優しくして貰うと何時も以上に心が暖かくなる。
お姉ちゃんに抱き着くと私の体や心が暖かくなっていった。
寒さの中で何時も以上にお姉ちゃんの体温を肌で感じた。
あの冷酷なまでの寒さだからこそ暖かさをより強く感じたんだと思う。
だから、私は冬が好きだ。
寒さの中で人に優しくして貰うと何時も以上に心が暖かくなる。
55: 2010/10/08(金) 06:13:01.93 ID:WxsaxAgnO
幼い頃から今までずっと私を守ってくれたお姉ちゃん。
ちょっと食いしん坊で甘えん坊だけどお姉ちゃんは何時だって私の味方だ。
私をずっと守ってくれている。
私達は二人で唯一。
唯「ワン!」。
冷酷なまでの寒さの中で微かな暖かみを感じた。
第二話
おわり
ちょっと食いしん坊で甘えん坊だけどお姉ちゃんは何時だって私の味方だ。
私をずっと守ってくれている。
私達は二人で唯一。
唯「ワン!」。
冷酷なまでの寒さの中で微かな暖かみを感じた。
第二話
おわり
続き:唯「第三話:都忘れ」
引用: 紬「江戸時代の私達」
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