1: 2012/03/02(金) 18:01:23.17 ID:w7CzSoXd0
アイリ「セイバー」トントン

セイバー「なんでしょうか?」

ぷにっ

アイリ「ふふっ」プニプニ

セイバー「にゃんのまにぇでしゅか?」

アイリ「肩を叩くと、叩かれたほうへ顔を向けるでしょ?」

セイバー「ええ」

アイリ「それを利用して、人差し指で頬を突くの。今、みたいにね」

セイバー「なんて程度の低い悪戯ですか、全く」

アイリ「でも、みんなひっかかるのよね」

セイバー「当たり前です。そんなことをされるとは誰も思いません」
Fate/Grand Order -First Order
2: 2012/03/02(金) 18:04:41.04 ID:w7CzSoXd0
アイリ「この前、切嗣もひっかかったの。あの人、意外に可愛いのよね」

セイバー「キリツグも……ですか?」

アイリ「ええ」

セイバー「そうですか」

アイリ「ごめんなさいね。でも、セイバーも可愛かったわ」

セイバー「別に嬉しくないですね」

アイリ「それじゃあ、またあとでね」

セイバー「はい」

アイリ「ふんふふーん♪」トコトコ

セイバー「……」

セイバー「……」キョロキョロ

切嗣「……」スタスタ

セイバー「……」トテトテ

切嗣(……ん?なんだ?)

セイバー(肩を叩いて人差し指を突き出すだけ……簡単ですね)

3: 2012/03/02(金) 18:07:47.13 ID:w7CzSoXd0
セイバー「きりつぐー」スッ

切嗣「……」バッ

セイバー「!?」

セイバー(よけられた……)

切嗣(何をするつもりだったんだ……?)

セイバー「……」ジリジリ

切嗣「……」ジリジリ

セイバー「あ、どうぞ。特に用事はありませんから」

切嗣「……」クルッ

セイバー(チャンスです!)クワッ

切嗣「―――ふっ!!」バッ

セイバー「な……!?」

切嗣(なんだ……何がしたいんだ……?)

セイバー(くそ……。流石はマスター……。隙がない……)

6: 2012/03/02(金) 18:13:24.31 ID:w7CzSoXd0
セイバー(一体、どんな反応をするのか見てみたい……)

切嗣「……」スタスタ

セイバー「……」トテトテ

切嗣(ついてくる……。何が目的だ……?)

セイバー(んー……。どうしたらいいのでしょうか?)

切嗣(口をきかないことを気にしての行動か?いや、それにしてはあまりにも殺気立っている)

セイバー(アイリスフィールと話している隙を狙うとか……どうでしょうか?)

切嗣「……」チラッ

セイバー「むぅ……」トテトテ

切嗣(なるほど。わかった。―――僕を頃す気だな)

セイバー(こちらの様子を伺っている。しばらくは手出しができませんね)

切嗣(いや。頃すのであれば魔力を解放するだけでいいはず)

切嗣(腕ずくでも僕を喋らせようとでもいうのか……?)

セイバー「……」

セイバー(アイリスフィールに頼んでみましょうか……)

8: 2012/03/02(金) 18:19:11.96 ID:w7CzSoXd0
切嗣(だが、僕も甘くはない。サーヴァントを御すことができないのでは聖杯戦争を生きて終えることはない)

セイバー(こう……すっと、指を)スッスッ

切嗣(早速、僕を刺し頃すシミュレーションか……)

セイバー「……」スッ

切嗣(なんだ?あの手の動きは……?まるで指先だけで……頃すみたいじゃないか)

セイバー(きりつぐー。トントン。えいっ。そして、ぷにっと……うむ)

切嗣(人間ごとき人差し指だけでいいということか……)

セイバー(キリツグも照れるのでしょうか。非情に気になります)

イリヤ「キリツグー」テテテッ

切嗣「イリヤ。どうした?」

イリヤ「みてみて。雪ダルマつくったの」

切嗣「すごいな」ナデナデ

セイバー(好機!!)シュバッ

切嗣「―――っ!!」バッ

セイバー「あ―――!?」

9: 2012/03/02(金) 18:23:14.79 ID:w7CzSoXd0
どんっ

イリヤ「きゃっ!!」

ぼとっ

セイバー「あ……」

イリヤ「あ……ゆきだるま……こわれた……」

セイバー「あ……あの……申し訳ありません……」

イリヤ「……」ウルウル

セイバー「あの……もう一度、作りましょう」オロオロ

切嗣「イリヤ……」

イリヤ「……」ポロポロ

セイバー「あぁ!!よし!!今すぐ、この城を越える雪ダルマを私が生成します!!」オロオロ

切嗣「行っておいで」

イリヤ「……うん」

セイバー「さぁ!!行きましょう!!」

切嗣(とりあえず、セイバーに任せてみよう)

10: 2012/03/02(金) 18:26:59.90 ID:w7CzSoXd0
中庭

セイバー「ふーん!!ふーん!!」ゴロゴロ

イリヤ「がんばってー」

セイバー「ふぅ……よし。これでいいでしょう」

イリヤ「わーい!!おっきー!!!」

セイバー「まぁ、私にかかればこんなものです」キリッ

イリヤ「でも、これだと雪ダルマが城に入らないわ」

セイバー「まぁ、そうですね」

イリヤ「セイバー、小さいのも作って」

セイバー「わかりました」

イリヤ「……」

セイバー「えーと……」コロコロ

イリヤ「セイバー?」トントン

セイバー「なんですか?」クルッ

イリヤ「えい」プニッ

14: 2012/03/02(金) 18:31:06.91 ID:w7CzSoXd0
セイバー「む……にゃんのまにぇでしゅか?いりゅあしゅふぇーりゅ?」

イリヤ「あはは。ひっかかったー!!」

セイバー「全く。アイリスフィールと同じことをするのですね」

イリヤ「これは私がお母様に教えたの」

セイバー「そうなのですか?」

イリヤ「そうよ」ムフー

セイバー「キリツグにも試しましたか?」

イリヤ「ええ。見事にひっかかったわ」

セイバー「……」

イリヤ「あの時は面白かったなぁ」

セイバー「むむ……無性に悔しいのですが」

イリヤ「ゆだんたいてきってことよ」

セイバー「わかりました。以後、気をつけましょう」

イリヤ「うん」

セイバー(しかし、私が二度も引っかかったのです。恐らくキリツグなら三度引っかかってくれるはず)

15: 2012/03/02(金) 18:35:30.77 ID:w7CzSoXd0
城内

切嗣「―――ああ、これが今後の行動予定だ」

舞弥「わかりました」

切嗣「それから―――」

セイバー「お……」

セイバー(なにやら作戦会議中ですね。今なら書類に気をとられている……)

セイバー(行きましょう)コソコソ

舞弥「ん?」

切嗣「どうした?」

舞弥「いえ」

セイバー「……」ジリジリ

舞弥(セイバー……何をする気……?)

セイバー(ふふ……あともう少し……)

切嗣「……」チラッ

セイバー「あ……ど、どうも。こんにちは」アセアセ

16: 2012/03/02(金) 18:39:02.32 ID:w7CzSoXd0
切嗣「……このポイントで待機しておいて欲しい」

舞弥「はい」

セイバー「……」ソーッ

舞弥(まさか……)

切嗣「以上だ。頼んだ」スッ

セイバー「あ……」

切嗣「……」スタスタ

切嗣(危うく怪我をするところだったな。セイバー、所構わずか……)

セイバー「もうすこしだったのに……」

舞弥「……」

セイバー「はぁ……もう一度、作戦を考えなければ……うーむ……」

舞弥「セイバー?」トントン

セイバー「はい?」クルッ

舞弥「……」プニッ

セイバー「……にゃんてこりょりゃ。ましゃか、しゃんどもひゃきゃきゃりゅとりゃ」

18: 2012/03/02(金) 18:43:18.47 ID:w7CzSoXd0
舞弥「まさかとは思いますが、これがしたかったのですか?」

セイバー「……はい」

舞弥「どうして、そんな幼稚なことを?」

セイバー「いえ。キリツグの反応が見てみたくて」

舞弥「……」

セイバー「それでは」

舞弥「待って」トントン

セイバー「え?」

舞弥「これが通じる相手ではないと思います」プニッ

セイバー「……みゃこりょでふふぁ?」

舞弥「はい。本当です。あの切嗣ですよ?」

セイバー「しかし。アイリスフィールもイリヤスフィールも成功しています」

舞弥「それは……」

セイバー「あの二人にできて私ができない道理はない」

舞弥「むきになってませんか?」

21: 2012/03/02(金) 18:48:36.00 ID:w7CzSoXd0
セイバー「いえ。全く」

舞弥「なら、いいのですが」

セイバー「貴女もみたくはないですか?キリツグがひっかかるところを」

舞弥「……見たくないといえば嘘になります」

セイバー「では、徒党を」

舞弥「いや。あの人にそんなことをしては後が怖い」

セイバー「大丈夫です。私も謝ります」

舞弥「謝罪するなら初めから実行しないほうがいいのでは?」

セイバー「キリツグが罠に陥り、赤面するところを見たくはないのですか?」

舞弥「ですから、見たくないといえば嘘になります」

セイバー「それは見たいということですよね?」

舞弥「いえ。決して自分から進んで見ようとは思いません。何かの拍子に見ることができればいいなという程度です」

セイバー「誰かが実践しなくてはそのような奇跡は永遠に訪れません」

舞弥「そうですが」

セイバー「行きましょう。キリツグのほっぺたをぷにぷにしてするのです」

23: 2012/03/02(金) 18:52:36.18 ID:w7CzSoXd0
セイバー「きりつぐー。どこですかー?きりつぐー」

舞弥「いました」

切嗣「……?」

切嗣(舞弥がいる……)

セイバー「では、手筈通りに」

舞弥「……」コクッ

切嗣(まさか、舞弥が敵に……?)

舞弥「……あの」

切嗣「なんだ?」

舞弥「行動予定に関して少しばかり質問が」

セイバー「……」コソコソ

切嗣「珍しいな」

舞弥「実は―――」

セイバー「はっ!!!」

切嗣「……?!」バッ

24: 2012/03/02(金) 18:58:16.73 ID:w7CzSoXd0
セイバー「バカな……!!」

切嗣(疑惑が確信に変わった。―――僕はセイバーに狙われている)

セイバー(今の一撃をかわすとは……流石、我がマスター)

舞弥「……」

切嗣「舞弥?」

舞弥「は、はい」ビクッ

切嗣「なんの真似だ?」

舞弥「え……」

切嗣「僕が憎いのならそう言えばいい」

舞弥「ち、違います……私は……セイバーに……その……」モジモジ

切嗣(やはり、そうか)

切嗣「……」ギロッ

セイバー「あ、みてくださいキリツグ。外の雪ダルマ、私が作ったのです!!」アセアセ

切嗣「……」

セイバー「いやー!!私は雪ダルマのスキルがあるのではないかとおもってしまいますねー!!」アセアセ

34: 2012/03/02(金) 19:08:22.98 ID:w7CzSoXd0
切嗣(どうやら認識を改める必要がありそうだ。もしものときは令呪も使うか)

セイバー「みてください、キリツグ!!腕はイリヤスフィールと共同で……」

切嗣「……」スタスタ

セイバー「キリツグ!!ほら!!頭の帽子は大木の切り株ですよ!私がエクスカリバーで切って―――」

切嗣「……」スタスタ

セイバー「待ってください、きりつぐー」トテトテ

切嗣「……」ギロッ

セイバー「うっ……」

切嗣「……」クルッ

セイバー「きりつぐぅ……」シュン

舞弥「諦めましょう。あからさまに警戒されていますし」

セイバー「そうですね。では、しばらく時間をあけましょう。忘れた頃にしかければ、キリツグも……」

舞弥「がんばってください」

セイバー「はい、がんばりましょう」ガシッ

舞弥「私もですか……?」

36: 2012/03/02(金) 19:14:17.81 ID:w7CzSoXd0
数日後 街

セイバー「アイリスフィール」トントン

アイリ「なぁに?」クルッ

セイバー「な……!?ひ、ひきょうです!!叩かれた肩のほうへ顔を向けてください!!」

アイリ「ふふ。駄目よ。セイバーが肩を叩くときはその悪戯の合図みたいなものだもの」

セイバー「くっ……!!」

アイリ「ほら、行きましょう」

セイバー「わかりました」

アイリ「そういえばあれから切嗣とは?」

セイバー「もはや半径数メートル以内にすら近づけません」

アイリ「そう……。切嗣も悪気があるわけじゃないから。気にしないで」

セイバー「ええ……気には……してません……」

アイリ(分かりやすい子……)

セイバー「む……気をつけてください。サーヴァントの気配がします」

アイリ「……わかったわ。切嗣に連絡するから動くのはそのあとで」

38: 2012/03/02(金) 19:16:51.55 ID:w7CzSoXd0


セイバー「この辺りですね」

アイリ「どこにいるのかしら……?」キョロキョロ

セイバー「……しっ」

アイリ「え?」

セイバー「あそこに」

アイリ「あの人?」

ランサー「……」

セイバー「はい。間違いありません」

アイリ「どうする?」

セイバー「私に考えがあります」

アイリ「え?」

セイバー「……」コソコソ

アイリ「セイバー?なにする気なの?」

セイバー「……」ソーッ

39: 2012/03/02(金) 19:19:51.16 ID:w7CzSoXd0
セイバー「すいません」トントン

ランサー「ん?」クルッ

ぷにっ

セイバー「……ふっ」

ランサー「にゃんのまにぇかな?」

セイバー「ひっかかりましたね」

ランサー「……」

セイバー「アイリスフィール、私の作戦勝ちです」

アイリ「……」

セイバー「ふふっ……やった……」グッ

アイリ(初対面の相手にする人……はじめて見たわ……)

ランサー「何の真似かときいた」

セイバー「引っかかるほうが悪い」ムフー

ランサー「会話になっていないが?」

セイバー「私は満足です。帰ります」

46: 2012/03/02(金) 19:25:42.47 ID:w7CzSoXd0
ランサー「……まて。セイバーと見るが、このまま刃も交えず寝屋に戻っていいのか?」

セイバー「はい」

ランサー「……」

アイリ「セイバー、何言ってるの?」

セイバー「私はこれがサーヴァントに通じるかどうか知りたかったのです」

アイリ「いや。でも、そう簡単に返してはくれないと思うわ」

セイバー「……む。それもそうですね」

ランサー「剣を抜け」

セイバー「いいでしょう。しかし、先ほどの人差し指が我が剣だったのなら、貴殿は既に氏んでいる身」

ランサー「それは……」

セイバー「勝敗は決しているといっても過言ではありません」

ランサー「くっ……」

セイバー「ハンデとして私は右腕を使わずに戦いましょう」

ランサー「なんだと……?」

アイリ「セイバー!!油断はだめ!!」

48: 2012/03/02(金) 19:29:35.37 ID:w7CzSoXd0
切嗣「……セイバーが暴走しているな。早くランサーのマスターを狙撃しなくては」

舞弥「……」コソコソ

切嗣「……どこだ……?」

舞弥「……」ソーッ

切嗣「……うしろか!!」バッ

舞弥「!?」ビクッ

切嗣「舞弥?なにをしている?」

舞弥「あ、えと……どこに待機するか忘れて……」オロオロ

切嗣「無線でいいなさい」

舞弥「すいません……」

切嗣「ここだ。このポイント」

舞弥「思い出しました」

切嗣「頼むぞ」

舞弥「はい」タタタタッ

舞弥(こんなときでも隙がない……流石です)

50: 2012/03/02(金) 19:36:42.14 ID:w7CzSoXd0
セイバー「やぁー」ギィィン

ランサー「くっ……!!」

アーチャー「―――ふははははは!!!!」

セイバー「ん?」クルッ

ランサー「何者だ」クルッ

アーチャー「雑兵風情が心地の良い剣戟を響かせているとおもえば、この体たらくか!!」プニップニッ

セイバー「むにゅ……」

ランサー「ふきゃく……」

アーチャー「あはははは!!!!実に下らん!!下らんぞ!!やはり貴様ごときでは我に触れることもできんようだ!!」

アーチャー「まぁ、触れているのは我だがな。あははははは!!!!」

セイバー「おのれ……!!二人同時とは!!」

ランサー「貴公は?」

アーチャー「俗物に名乗る名などないわ!!そもそも我とこうして言葉を交わすことすらおこがましいというのに」

セイバー「その悪戯……だれに教わったのですか?」

アーチャー「ん?これは街を歩いていると童子にやられたのだ。腹が立ったからお前らにしてやっただけのことよ」

55: 2012/03/02(金) 19:43:15.06 ID:w7CzSoXd0
セイバー「なるほど。イリヤスフィールの魔の手はそこまで……」

アイリ「うそ……そんなわけ……」

アーチャー「さて。気が変わったぞ。ここでお前たちを我が財宝で塵にしてやろう。光栄に思え」

ランサー「なに……?!」

アーチャー「さぁ……くらうがよい!!―――ゲート・オブ……」ゴォォォ

バーサーカー「……」ツンツン

アーチャー「ん?」

バーサーカー「……」プニッ

アーチャー「ばびゅりょん」

ドンドンドン!!!

セイバー「危ない!!!」バッ

アイリ「きゃぁ!!」

ランサー「これは……!?」

切嗣「まさかサーヴァントが4体も……予想外だ……!!」

舞弥「……」コソコソ

60: 2012/03/02(金) 19:49:00.40 ID:w7CzSoXd0
アーチャー「おのれぇ!!何者だ!!!」

バーサーカー「……」ヤーイヤーイ

アーチャー「―――ころすっ!!!」ドンドンドン

バーサーカー「……」サッ

セイバー「ふぅ……標的が変わったようですね」

ランサー「まさか、このような展開になろうとは……。セイバー、この勝負あずけるぞ」

セイバー「分かりました」

アイリ「行きましょう。これ以上は危険だわ」

セイバー「そうですね」

切嗣「……退却を選んだか。各サーヴァントのマスターもどこにいるかわからないな」

舞弥「……」ソーッ

切嗣「舞弥」

舞弥「は、はい!!」ビクッ

切嗣「撤退だ」

舞弥「わ、わかりました……」

62: 2012/03/02(金) 19:50:55.42 ID:w7CzSoXd0
飯くってくる

67: 2012/03/02(金) 20:08:26.39 ID:w7CzSoXd0
アイリ「はぁー……あのまま戦っていたらどうなっていたか……」

セイバー「ですが、自信がつきました」

アイリ「え?」

セイバー「あのランサーに通じたのです。キリツグに効かないわけがない」

アイリ「セイバー……」

セイバー「さあ、帰りましょう」トテトテ

アイリ「どれだけ切嗣の頬を突きたいのかしら……?」

セイバー(今度は必ずキリツグの頬をぷにぷにしてやります……!!)

アイリ「……」


切嗣「舞弥、どうして勝手に持ち場を離れた?」

舞弥「……申し訳ありません」

切嗣「これ以上、下手なことをするなら君とは縁を切るほかない」

舞弥「……!?」

切嗣「……」

舞弥「これからは真面目にやります」

68: 2012/03/02(金) 20:12:45.55 ID:w7CzSoXd0


セイバー「お疲れ様です」

舞弥「どうも」

セイバー「これからキリツグを―――」

舞弥「私はもういいです」

セイバー「え?」

舞弥「それでは」

セイバー「待ってください。どうしたのですか?」

舞弥「……私の居場所はここしかないのです」

セイバー「意味が分かりません」

舞弥「分からなくて結構」

セイバー「そんな……」

舞弥「さよなら」スタスタ

セイバー「まいやぁー!!」

セイバー「そんな……独りになってしまうとは……」ガックリ

70: 2012/03/02(金) 20:17:03.27 ID:w7CzSoXd0
セイバー「ふむ……これからどうしたら……私だけではキリツグを肉眼で確認するのも難しいのに……」

イリヤ「らんらーん」スキップスキップ

セイバー「……」トコトコ

イリヤ「お母様はどこかな?」キョロキョロ

セイバー「イリヤスフィール」トントン

イリヤ「んー?」クルッ

セイバー「……」プニッ

イリヤ「ふにゃ」

セイバー「ふふ」

イリヤ「もうひどいー!!」

セイバー「申し訳ありません。つい」

イリヤ「セイバーなんてきらいっ!!キリツグとお母様にいいつけちゃうんだから!!!」

セイバー「そ、それは困ります……」オロオロ

イリヤ「じゃあ、今から中庭にいこ!また雪ダルマつくって!」

セイバー「分かりました。いきましょう」

72: 2012/03/02(金) 20:20:51.84 ID:w7CzSoXd0
中庭

イリヤ「よいしょ……よいしょ……」ゴロゴロ

セイバー「ふーん……!!」ゴロゴロ

イリヤ「ふぅ……おっきい雪玉ができたね」

セイバー「ええ」

イリヤ「じゃあ、これをのっけて」

セイバー「はい。―――ふんっ」ガシッ

イリヤ「おぉ!」

セイバー「とうっ!!」シュバッ

セイバー「はっ!!!」ドンッ

イリヤ「かんせー!!」

セイバー「ふふっ。我ながら恐ろしいスキルをもってしまったものです」キリッ


アイリ「楽しそうね」

切嗣「……あの二人、仲がいいな」

アイリ「ふふ、嫉妬?」

75: 2012/03/02(金) 20:25:19.25 ID:w7CzSoXd0
切嗣「……」クルッ

アイリ「切嗣?」

切嗣「……セイバーは僕を亡き者にして、僕の全てを奪うつもりなのか?」

アイリ「……へ?」

切嗣「……僕は……絶対に生き延びる……」

アイリ「切嗣……?ねえ……ちょっと……」

切嗣(令呪を使うときが来たのかもしれない……)

アイリ「まって!切嗣!!ねえってば!!」


イリヤ「いくわよ!!―――すのーきゃのん!!」シュッ

セイバー「うわっ?!」バサッ

イリヤ「あははは!!セイバー、まっしろー!!」

セイバー「―――くらえっ!!!」バッ

イリヤ「ぎゃぁ!?」ドンッ

セイバー「私を甘く見ないほうがいい」

イリヤ「ふぇ……いたぃ……よぉ……」ウルウル

78: 2012/03/02(金) 20:30:05.88 ID:w7CzSoXd0
セイバー「あ!?イリヤスフィール!?」

イリヤ「おでこぉ……いたい……」ポロポロ

セイバー「も、もうしわけありません!!つい力が!!」オロオロ

イリヤ「うぅぅ……」ポロポロ

セイバー「こ、ここが痛むのですか……?」ナデナデ

イリヤ「……」

セイバー「それとも……こっちですか……?」ナデナデ

イリヤ「ふふ……」

セイバー「え……?」

イリヤ「うそ。いたくないよー」

セイバー「なっ……?!」

イリヤ「あはは。セイバーってすぐにひっかかるよねー」

セイバー「嘘泣きとは……!!イリヤスフィール!!!」

イリヤ「やーいやーい」

セイバー「まちなさい!!許しません!!!」

80: 2012/03/02(金) 20:35:24.53 ID:w7CzSoXd0
城内

セイバー「全く。イリヤスフィールは悪戯が過ぎますね」

セイバー「……」

セイバー「……ふむ」

切嗣「……」スタスタ

セイバー「あ。きりつぐー、おひさしぶりです」トテトテ

切嗣「……」ギロッ

セイバー「な……」

切嗣(ここで令呪を使う。これ以上、僕のものを奪わせない)

セイバー「キリツグ……?」

切嗣「……令呪をもって命じる」

セイバー「なにゆえ?!」

切嗣「……」ピカー

セイバー(キリツグのようすがおかしい……!!)

セイバー(まさか……悪戯しようとしていることがばれて……令呪を……?!)

82: 2012/03/02(金) 20:40:29.91 ID:w7CzSoXd0
切嗣(黙って僕に従うように命令しよう……)

セイバー(そ、そうです!!)

セイバー「うっく……どうして……ですかぁ……きりつぐぅ……」ウルウル

切嗣「?!」

セイバー「れいじゅ……なんて……わた、し……マスターのために……がんばってるのに……」ポロポロ

セイバー「ひどいです……きりつぐぅ……」ポロポロ

切嗣(セイバーが泣いた……!?令呪がそんなに嫌なのか……!?)オロオロ

セイバー(よし……動揺している……。これは効果アリですね)

切嗣(どうする……?い、いや……強行するまでだ。サーヴァントに情けなど―――)

セイバー「……」ポロポロ

切嗣「……」クルッ

セイバー「あ……」

切嗣「……」スタスタ

セイバー(すきありっ!!)バッ

切嗣「……?!」

84: 2012/03/02(金) 20:46:02.92 ID:w7CzSoXd0
セイバー「きりつぐー」トントン

切嗣「……」

セイバー「きりつぐー」ツンツン

切嗣(なんだ……しきりに肩を叩かれている……)

セイバー(おかしい……振り向いてくれませんね)

切嗣「……」スタスタ

セイバー「あ、まってください、キリツグ」トントン

切嗣(なんだ……どうしたらいい……?)

セイバー「きりつぐー?」ツンツン

切嗣(振り向いたらなにをされるからわからないな……無視しておこう)スタスタ

セイバー「キリツグ?キリツグ?どうしてこちらを振り向いてくれないのですか?」

切嗣「……」スタスタ

セイバー「キリツグっ!!!」ドンッ!!

切嗣(ぐぁ……!!肩を思い切り殴打してくるとは……やはり僕に危害を……)

セイバー(むぅ……ここまでしても気がつかないとは、キリツグは鈍感なのですね)

86: 2012/03/02(金) 20:51:20.87 ID:w7CzSoXd0
セイバー「はぁ……気づいてもらわなければ意味がありません」

アイリ「セイバー?まだ寝ていなかったの?」

セイバー「アイリスフィール」

アイリ「さっき切嗣が私のところにきて治療を受けたわ。何か知ってる?」

セイバー「え?」

アイリ「肩を脱臼してて……戦闘でもしたのって聞いても「いえない」の一点張りで」

セイバー「キリツグ……そうか……痛みで私が叩いたことに気がつかなかったのですね……」

アイリ「もしかして港の戦闘のときに……」

セイバー「え?キリツグは見かけませんでしたが……」

アイリ「いいえ。あの人はいつでも私たちを見守っているの」

セイバー「そうなのですか?」

アイリ「ええ」

セイバー「……そうですか」

セイバー(嫌われているというわけではないのですね)

セイバー(どうやら怒っているわけでもないようですし……また、機会があれば頬を……こう……ぷにっと……)

87: 2012/03/02(金) 20:56:29.94 ID:w7CzSoXd0
数日後 城内

アイリ「セイバー!!」

セイバー「アイリスフィール、どうしたのですか?」

アイリ「敷地内に敵が……!!」

セイバー「……わかりました」シャラン

アイリ「切嗣によればキャスターのサーヴァントみたいだから気をつけて」

セイバー「キャスター……ふっ。なら安心してください。キャスターごときに遅れはとりません」キリッ

アイリ「私もできる限りのサポートはするわ」

セイバー「キリツグは?」

アイリ「マスターを捜すって」

セイバー「なるほど。ではこちらもうってでましょう。キャスターに時間を与えればどんな術式を展開してくるか……」

アイリ「そうね。セイバー、お願い。私を守って」

セイバー「はい。任せてください」

アイリ「行きましょう」

セイバー「ええ」トテトテ

89: 2012/03/02(金) 21:01:58.61 ID:w7CzSoXd0


キャスター「りゅうのすけぇ!!!!」

龍之介「旦那?」

キャスター「みてください!!!私のゆきだるまぁ!!!」

龍之介「すっげー!!COOLだぁ!!」

キャスター「触ってください!!龍之介ぇ!!」

龍之介「え……すっげー!!冷たい!!COOLだぁ!!」

キャスター「ええ、ええ。これは最高傑作ですよ」

龍之介「相変わらず旦那は芸術的だな」

キャスター「しかし……雪ダルマには鮮度があります。これはこの日限りの作品。明日になれば溶けてしまう」

龍之介「一日で溶けるもんなの?」

キャスター「いま、この瞬間の雪は!!もう二度と手にはいりませんっ!!!」


セイバー「居ました」

アイリ「邪魔しないほうがいいかしら……?」

セイバー「そういうわけにもいきません。敷地内で遊ばれては安心して寝ることもできませんから。いきます」コソコソ

91: 2012/03/02(金) 21:07:49.61 ID:w7CzSoXd0
龍之介「旦那、みてくれ!!」

キャスター「おぉぉ……!!これは……!!」

龍之介「雪のオルガンだ!!」

キャスター「うーん……流石は龍之介ですね。素晴らしい」ニッコリ

龍之介「いやいや。真球に近い……いや真球そのもので作った旦那の雪ダルマには敵わない」

キャスター「そう卑下にすることは―――」

セイバー「もしもし?」トントン

キャスター「え?」

セイバー「……」プニッ

キャスター「……」

龍之介「え?誰?」

セイバー「貴方は今、氏んだも同然です。帰りなさい」

キャスター「お……おぉ……ジャンヌ……」ポロポロ

セイバー「……ん?だれのことですか?」プニップニッ

キャスター「こんにゃときょりょで……あえりゅとは……じゃんにゅぅ……」ポロポロ

96: 2012/03/02(金) 21:15:44.02 ID:w7CzSoXd0
キャスター「私です!!ジル・ド・レェめでございますぅ!!」

セイバー「知りません」プニプニ

キャスター「そんにゃぁぁ……じゃんにゅぅぅ……」ポロポロ

セイバー「……」プニプニ

キャスター「しぇいしゅりょーじゃんにゅぅぅ……」

アイリ「ジャンヌ……?」

龍之介「誰?」

アイリ「この敷地を管理する者よ。即刻立ち去ってください」

龍之介「ちょっと待ってくれ。これからこの雪のオルガンに手を加えて音が出るようにするから」

アイリ「いや……」

キャスター「わすれたのですかぁー!!雪が積もったときは一緒に雪合戦をしたではありませんかぁー!!」

セイバー「記憶にありません」プニプニ

キャスター「むぐぐ……そんにゃばかにゃぁ……!!!」

セイバー「私はジャンヌではありません。ブリテンの王、アーサーペンドラゴンです」

キャスター「おぉ!!なんと嘆かわしい!!はっ!!まさか、あのとき私が投じた雪玉で記憶を……!?」

100: 2012/03/02(金) 21:21:53.08 ID:w7CzSoXd0
キャスター「ふふ……そういうことですねー!!ジャンヌー!!!」

セイバー「独りで盛り上がらないでください」

キャスター「わかりました……では、もう一度……あの日の記憶を思い出してもらうために!!」ガバッ

セイバー「む……?!」

キャスター「この純白の雪のごとく清らかだった貴女にもどってくださいぃぃ!!!」シュッ

セイバー「わぷっ!?」バサッ

キャスター「ふふふふ……まだ、腕は衰えておりませんよ……?」

セイバー「―――えくすかりばぁー!!!」シュッ

キャスター「おぶっ?!」バンッ

セイバー「……雪玉の作りが甘いっ!!」

キャスター「うぐぐぐ……まさに……あのときの……雪合戦で必氏に玉を作っていた……あのときの……貴女ですよー!!!」

龍之介「ふんふーん♪」ザッザッ

アイリ「……」ソーッ

龍之介「ん?安心しなって。できたら演奏させてやるよ」

アイリ「ほ、ほんとに……?」ドキドキ

102: 2012/03/02(金) 21:28:09.64 ID:w7CzSoXd0
キャスター「はぁ……はぁ……」ギュッギュッ

セイバー「……」

キャスター「はっ!?」

セイバー「―――アヴァロン!!」シュッ

キャスター「ひゃぁぁ!!!」

ばんっ

キャスター「うぅ……まいりました……」

セイバー「ふん。雪玉は尽きないようにするのが基本です」

キャスター「―――かくしだまもありますよぉ!」シュッ

セイバー「ぐっ!?」バンッ

キャスター「ふふふー!!」

セイバー「―――覚悟してくださいっ!!!」ドンドンドン

アイリ「~♪」ポロンポロン

龍之介「すげぇ!!COOLだよぉ!!あんたぁ!!」

アイリ「そ、それほどでも……」テレッ

104: 2012/03/02(金) 21:35:04.38 ID:w7CzSoXd0
ライダー「アララララーイ!!!」

セイバー「なんですか?」

キャスター「あれは……!?」

ライダー「ようし!!ここがいい!!降りるぞ!!」ガバッ

ウェイバー「だから!!ここは敵の敷地内だっていってるだろ!!ばかぁ!!」

ライダー「なにをいう。ここにはこれだけの銀世界が広がっている。カマクラを作るにはもってこいではないかぁ」

ウェイバー「なんでカマクラをつくるんだよ?!意味を教えろ!!訳をいえ!!理由を述べろ!!!!」

ライダー「うるさいのぉ。余がしたいといえばしたくなるものだろ?」

ウェイバー「わっけわかんないな!!」

ライダー「とにかくいくぞ」ガシッ

ウェイバー「ばか!!こんなところから飛び降りたら氏ぬ!!氏ぬんじゃう!!!」

ライダー「下は雪だ。氏にはせん」

ウェイバー「お前はなっ!!!」

セイバー「む!?人が落ちてきます!」

キャスター「りゅうのすけぇ!!にげてください!!」

107: 2012/03/02(金) 21:40:26.26 ID:w7CzSoXd0
ライダー「ふーん!!!」ドシーン

セイバー「アイリスフィール!!危ない!!」ガバッ

アイリ「きゃ!!」

ウェイバー「あぁぁぁぁ!!!!!」

龍之介「なにぃ!?」

キャスター「りゅうのすけぇ!!」ガバッ

ドシーン!!!

ウェイバー「―――ぷはぁ!!!」

龍之介「うわぁぁぁ!!!!!ひでぇええ!!!!俺のさくひんがぁぁ!!!こんなのあんまりだぁぁぁ!!!!」

アイリ「雪のオルガンが……」

ウェイバー「え……あ。なんかあったのか?」

龍之介「なんかあったじゃねえよ!!ここには……ここには……俺の最高……けっさ……く……がぁ……」ウルウル

ウェイバー「な、なんかごめん……」

龍之介「うぅ……」

ライダー「なにかを壊してしまったようだ。すまなかった。詫びといってはなんだが、これからカマクラを作って鍋をするのだが、一緒にどうだ?ん?」

111: 2012/03/02(金) 21:47:08.56 ID:w7CzSoXd0
切嗣「……なんだ。またサーヴァントが増えたぞ」

舞弥「そのようですね」

切嗣「……もうすこし様子をみるか」

舞弥「はい」


龍之介「……」プイッ

ライダー「むむ……すっかり臍を曲げたか」

キャスター「致し方ないでしょう。形あるものはいつか崩れるとはいいますが、これはいささか酷い結末……」

ウェイバー「あ、あの……また作れば……」

アイリ「あれはもう二度とできないのよ?!」

ウェイバー「ひっ!?」

ライダー「まてまて。こちらの非は認めているだろうに。―――これで許せ」スッ

セイバー「それは?」

ライダー「特上の酒だ。あと一人呼んでいるのだが……こんなぁ」

アイリ「もう一人……?」

ライダー「うむ。余も先日出会ったばかりだが、これが中々に気骨のある者でなぁ。酒の席を設けようという話になったのだ」

113: 2012/03/02(金) 21:52:48.05 ID:w7CzSoXd0
セイバー「ところで……」

ライダー「おぉ!!これは余としたことが。―――余は征服王イスカンダル!!」

セイバー「私はアーサー・ペンドラゴンです」

ライダー「おぉ!!お前が世にきくアーサー王か!!ふははは!!これはいい!!」

キャスター「私はジル・ド・レェです」

ライダー「ふーん」

キャスター「!?」

セイバー「なにか?」

ライダー「うむ。お前も王ならこの酒の席は王の宴となろう!!」

セイバー「王の……?」

アーチャー「―――ふははははは!!!!!」

ライダー「おお!!きたか!!」クルッ

アーチャー「ああ。感謝せよ」プニッ

ライダー「ふはははは!!!余の頬は突き甲斐があろう!!ほれほれ!!!」ズイッ

アーチャー「むうぅぅ!!離れろ!!指が折れる!!」

116: 2012/03/02(金) 21:58:41.50 ID:w7CzSoXd0
ライダー「―――ほれほれ。もっと雪だ!!」ペンペン

ウェイバー「なんでこんなことをしなきゃいけないんだよぉ……!!」ザッザッ

アイリ「はぁ……はぁ……」ザッザッ

セイバー「すいません。そこ、補充してください。穴を埋めます」

アーチャー「貴様。我に指図するか?」ペタペタ

セイバー「いいではありませんか」

アーチャー「ぬかせぇ!!もう補充を済んでいる!!」

キャスター「ほーら、りゅうのすけぇ?新しい雪の像をつくりましたよぉ」

龍之介「……」

キャスター「りゅうのすけぇ……」


切嗣「なんだ……何が始まろうとしている……?」

舞弥「……」コソコソ

切嗣「全く予想が……ん?舞弥」

舞弥「は、はい!!」ビクッ

切嗣「あそこに何かいる……あれは……なんだ……?舞弥も確認してほしい」

119: 2012/03/02(金) 22:02:48.19 ID:w7CzSoXd0
ライダー「―――完成だぁ!!」

アーチャー「よし。入るか」

セイバー「アイリスフィールたちはそちらのカマクラをご利用ください」

アイリ「ええ」

ウェイバー「つかれた……」

龍之介「……」

キャスター「さ、龍之介。ここは寒い。カマクラで暖をとりましょう」


セイバー「乾杯」

ライダー「うむ!!」

アーチャー「ふんっ」

ライダー「うむ!!英雄王!!これは旨い酒だな!!」

アーチャー「当たり前だ。我が手にするものは全て宝具のそれだ」

セイバー「ほう」

アーチャー「我を称えよ!!ふはははは!!!」

セイバー「わかりました」プニプニ

121: 2012/03/02(金) 22:08:26.12 ID:w7CzSoXd0
アーチャー「侮辱と受け取った」

ライダー「アーチャーはすごいなぁ」プニプニ

アーチャー「にりょめりゃはゆるふふぁ、しゃんりょめはにゃいりょ?」

セイバー「ふふ……なんて言っているのか、わかりません」プニプニ

アーチャー「ぐにゅにゅ……!!」

ライダー「さてと……!!余はお前たちに聞きたいことがある!!」

セイバー「なんでしょうか?」

アーチャー「下らんことなら言わんぞ?」

ライダー「聖杯を手に入れたら……何を願う?」

セイバー「……」

ライダー「我らは王となり、願いは数多く手に入れた。それでも尚、手にしたい願いはなんだ?」

アーチャー「……」

ライダー「ん?ないのか?」プニプニ

アーチャー「やめりょ……」

セイバー「……私はあります」

123: 2012/03/02(金) 22:12:46.77 ID:w7CzSoXd0
アーチャー「言ってみろ」

セイバー「それは―――」

アサシン「さむ……さむ……」

ライダー「ん?」

アサシン「おーい。この辺でいいと思う」

アサシン「では、早速カマクラを」

アサシン「「御意」」

アーチャー「なんだ!!この雑兵の群れは!!!見ているだけで吐き気がする!!!」

セイバー「アサシン……?!」

アサシン「あ、どうも。すいません」

ライダー「わざわざ新たに作る必要などないわ。早くこっちにこい」

アサシン「いいのですか?」

ライダー「うむ!!」

アサシン「じゃあ、お邪魔します。みんなー、こっちだぁー。鍋もあるぞー」

アサシン「「わーい」」ワラワラ

124: 2012/03/02(金) 22:15:37.04 ID:w7CzSoXd0
ライダー「おぉぉ……!!!」

アーチャー「ぐおぉ……?!」

セイバー「くるしぃ……!!!」

アサシン「あったかいですねー」

アサシン「ぎゅうぎゅうですねー」

アサシン「あ、肉もらいますね」

ピキッ……

セイバー「カマクラに亀裂が……!?」


アイリ「そちらは関係が良好そうで羨ましいわ」

キャスター「ふふ。そうですか?」

龍之介「……ふん」

ウェイバー「機嫌直してくれよ」

バコーン!!!!

アイリ「?!」

キャスター「なんの音でしょうか?」

125: 2012/03/02(金) 22:18:07.30 ID:w7CzSoXd0
切嗣「……!?」

舞弥「アサシンがカマクラから溢れてくる……」

切嗣「何をやっている……!!アイリは無事か……?」

舞弥「……」ソーッ

切嗣「……」

舞弥「……」トントン

切嗣「ん?」クルッ

舞弥「……」プニッ

切嗣「……」

舞弥「あ……すいません……」

切嗣「……帰っていいよ」

舞弥「!?」

切嗣(アイリ……無事でいてくれ)

舞弥「切嗣!!もうしません!!!ゆるしてください!!」ユサユサ

切嗣「……」

129: 2012/03/02(金) 22:24:58.46 ID:w7CzSoXd0
アサシン「カマクラが壊れましたね」

アサシン「意外と脆かったですね」

ライダー「……」

アーチャー「……」

セイバー「……」

アサシン「な!?ちょっと!!入っていいと言ったのは貴方たちですよ!!」

アサシン「「そーだ!そーだ!!」」

ライダー「余のマスターが必氏に雪をかき集めたカマクラを侮蔑したであろうが……!!!」ゴォォォ

アーチャー「雑種の分際で我に密着したこと……万氏に値するぞ!!!」ゴォォォォ

セイバー「お肉……あれは私が酒と共に味わおうとしていたもの……」ゴォォォ

アサシン「これはまずい!!逃げろ!!」

アサシン「「きゃー!!きゃー!!」」

ライダー「アイオニオン・ヘタイロイ!!!!」

アーチャー「エヌマ・エリシュ!!!!」

セイバー「エクスカリバァァァァ!!!!」

132: 2012/03/02(金) 22:30:09.34 ID:w7CzSoXd0
ドォォォォォン!!!!!

アイリ「きゃぁ?!」

キャスター「おぉぉぉ!!!!麗しのジャンヌー!!!」

ウェイバー「な、なんだこれぇ?!」

龍之介「……」


切嗣「なんて力だ……」

舞弥「きりつぐ!!きりつぐ!!」ユサユサ

切嗣「ライダーもアーチャーも……あの有名な征服王と英雄王か……」

舞弥「出来心!!できごころ!!」ユサユサ

切嗣「……要注意だな」

舞弥「魔が差したんです!!まぁやだけに」

切嗣「……」チラッ

舞弥「あ……♪」

切嗣「……もう顔を見せないでくれ」

舞弥「……」ガーン

133: 2012/03/02(金) 22:34:18.39 ID:w7CzSoXd0
セイバー「ふぅ……」

アーチャー「……聞きそびれたな。セイバー?」

セイバー「え?」

アーチャー「お前の願いとはなんだ?」

セイバー「それは……ちょっとこちらへ」

アーチャー「なんだ?耳打ちか?」

セイバー「あのですね……」ゴニョゴニョ

アーチャー(セイバーの息が耳に……)ゾクゾク

セイバー「―――というわけです」

アーチャー「ふははははははは!!!!!」

セイバー「なにがおかしい?!」

アーチャー「愛いやつめ」ナデナデ

セイバー「むぅ」

アーチャー「応援してやろう。セイバー」

セイバー「え?いいのですかっ?!」

135: 2012/03/02(金) 22:38:38.19 ID:w7CzSoXd0
ライダー「なんだ?余が宝具を展開しておるあいだになにがあった?」

アーチャー「それはな」

セイバー「アーチャー!!」

アーチャー「……秘密だそうだ」

ライダー「なんだ意地悪だのぉ」

ウェイバー「おい!!派手にやらかしすぎだ!!」

ライダー「おぉ?そうか。では、今宵は幕をひくとしよう。乗れ!!」ガバッ

ウェイバー「うわぁ!?」

アイリ「セイバー!!大丈夫だった?!」

セイバー「はい」

キャスター「ジャンヌー!!大丈夫でしたかぁ!?」

セイバー「それ以上寄れば、斬る」

キャスター「!?」

アーチャー「セイバー。おって連絡する。予定を空けておけ」

セイバー「わかりました」

137: 2012/03/02(金) 22:43:27.61 ID:w7CzSoXd0
数日後 城内

セイバー「キリツグ!!大変です!!」

切嗣(なんだ……?)

セイバー「アーチャーが中庭に現れました!!」

切嗣「?!」

セイバー「ついでにイリヤスフィールが人質に!!」

切嗣「……」ダダッ

セイバー「キリツグ!!私もいきます!!」テテテッ

切嗣(そんなことあるわけ……!!結界をすり抜けてきたのか……!!!)

切嗣「イリヤ……!!!」ダダダッ

アイリ「ふわぁぁ……ん?おはよう、切嗣、セイバー?」

切嗣「アイリ!!イリヤが大変だ!!すぐにパジャマからいつもの服に着替えて中庭に!!」

アイリ「え?え?」

セイバー「アイリスフィール、お早うございます。ゆっくりでいいですよ?」

アイリ「なに?なにがあったの?」

140: 2012/03/02(金) 22:54:58.67 ID:w7CzSoXd0
中庭

アーチャー「ふはははははは!!!!」

イリヤ「うわーん!!たすけてー!!」ポロポロ

アーチャー「ふはははは!!!あーっはっはっはっは……ごほっごほっ……あーっはっはっは!!!」

イリヤ「だいじょうぶ?」

アーチャー「黙っていろ」

イリヤ「うん」

アーチャー「ふははははは!!!!」

イリヤ「……」

アーチャー「助けを乞え」

イリヤ「おかあさまぁ!!たすけてぇ!!」ポロポロ

切嗣「イリヤ!!」

セイバー「大丈夫ですか!!」

アイリ「う、うそ……!?イリヤ……!?」

アーチャー「やっときたかぁ!!待ちくたびれて五分ほど居眠りしていたわぁ!!」

144: 2012/03/02(金) 23:00:11.51 ID:w7CzSoXd0
切嗣「くっ……頼む、その子だけは……!!」

アーチャー「なんだぁ?きこえんなぁ?」

アイリ「イリヤー!!」

イリヤ「たすけてよぉ!!!おかあさまぁ!!」ポロポロ

アーチャー「ふはははは!!!」

切嗣「なにが目的だ!!」

アーチャー「すぐに分かる。それまでこの愛娘に注視していろ、雑種ぅ!!」

イリヤ「やだぁー!!」ポロポロ

切嗣「ぐっ……!!!」

アイリ「あぁ……イリヤ……イリヤ……」オロオロ

セイバー(今です)コソコソ

セイバー(今なら確実にキリツグのほっぺたを突ける……!!)

アーチャー(もう少しだセイバー)

イリヤ(がんばって、セイバー)

舞弥「―――そこまでだっ!!」

145: 2012/03/02(金) 23:04:42.38 ID:w7CzSoXd0
アーチャー「なぬ!?」

舞弥「はっ!!」ガバッ

イリヤ「きゃん!?」

セイバー「え?」

舞弥「切嗣。助け出しました」

切嗣「舞弥……」

舞弥「……これが私の最後の仕事です」

アイリ「え?どういう……」

イリヤ「……」

セイバー「……」

アーチャー「あれ……?」

切嗣「舞弥……やはり君は最高のパートナーだ」

舞弥「切嗣……」

アイリ「よかった……イリヤ……」ギュゥゥ

セイバー(今しかない!!!)ガバッ

147: 2012/03/02(金) 23:08:23.48 ID:w7CzSoXd0
切嗣「!?」バッ

セイバー「よけられた!?」

切嗣「……」

セイバー「……」

舞弥「あとはアーチャーだけです」

アイリ「セイバー!!お願い!!」

セイバー「え……」

アーチャー「ぬぅぅ……ばかなぁ……!!!」

アイリ「セイバー!!いまよ!!」

セイバー「エクス―――」ウルウル

アーチャー「セイバー!?」

セイバー(許してください!!アーチャー!!)

セイバー「カリバァァァ!!!!」ポロポロ

アーチャー「セイバァァァァァ―――!!!!」ドォォォン

セイバー「はぁ……はぁ……」ポロポロ

152: 2012/03/02(金) 23:13:10.76 ID:w7CzSoXd0
切嗣「よし。さ、中に入ろう」

イリヤ「う、うん」

アイリ「怪我は?」

イリヤ「大丈夫……」

舞弥「それはよかった」

セイバー「うぅ……申し訳……ありません……アーチャー……あーちゃぁ……」

アーチャー「―――ふんっ!!」

セイバー「アーチャー!!」

アーチャー「我があの程度で氏ぬものか!!」

セイバー「よかったぁ……」

アーチャー「しかし、失敗だな」ナデナデ

セイバー「申し訳ありません。英雄王の力まで借りたというのに……」

アーチャー「落ち込むな。まだ手はある」ナデナデ

セイバー「え?」

アーチャー「我は王ぞ?不可能などない!」

156: 2012/03/02(金) 23:17:22.61 ID:w7CzSoXd0
城内

切嗣「……ん?」

切嗣「……」スタスタ

セイバー「―――あのように常に警戒されているのですが」

アーチャー「問題はない」

セイバー「信じます」

アーチャー「ふんっ」

イリヤ「あ、ピカピカの人」

アーチャー「しっ!」

イリヤ「なに?またなにかするの?」

アーチャー「黙っていろ」

イリヤ「うん」

セイバー「どうするのですか?」

アーチャー「―――雑種ぅ!!我はまだ氏んでおらんぞぉ!!」バッ

切嗣「……!?」

159: 2012/03/02(金) 23:23:36.17 ID:w7CzSoXd0
切嗣「アーチャー……何故……?!」

舞弥「……」ダダダッ

アーチャー「そこだ!!」シュッ

舞弥「うっ!?」

アーチャー「動くな。それ以上、我に近づいてみろ?両足を破断する」

切嗣「目的はなんだ?イリヤか?」

アーチャー「いいや。こいつだぁ!!」グッ

アイリ「うっ……!!」

切嗣「アイリ!?」

アーチャー「こいつさえいれば聖杯は手の内にあるようなものだ!!ふはははは!!!!」

切嗣「……」

セイバー「……」コソコソ

イリヤ「……おかあさまぁ!!」

アイリ「(なにが目的なの……?貴方ほどの英雄なら……こんなことしなくても……)」

アーチャー「(人形の分際で吼えるな。あの男の後ろに世界中の愛を一手に受けて尚、正当な評価には値しないセイバーがいるのだぞ?)」

161: 2012/03/02(金) 23:28:24.85 ID:w7CzSoXd0
切嗣「僕の命と引き換えではだめなのか……?」

アーチャー「ふんっ。日の高いうちから寝言か?」

切嗣「……」

セイバー(よぉし……)ソーッ

アーチャー「貴様の矮小な命では代えられんなぁ!!」

アイリ(セイバー!?なにしてるの?!)

切嗣「アイリ……ごめん」チャカ

アーチャー「ほう……妻を穿つか?」

切嗣「ああ……聖杯は渡せない」

アーチャー「……」

アーチャー(セイバー。はやくしろ。この男、本気だ)

セイバー「……きりつぐ」トントン

切嗣「アイリ……」

セイバー「あれ……?きりつぐ?きりつぐー?きりつぐっ!」トントン

切嗣「……」

164: 2012/03/02(金) 23:32:24.99 ID:w7CzSoXd0
セイバー「キリツグ!!キリツグ!!!」ユサユサ

切嗣「……」グッ

アーチャー「貴様……!?」

アイリ「……」

セイバー「キリツグ!!どうしてですかぁ!!キリツグ!!!」ユサユサ

切嗣「せめて……僕の手で……」

アーチャー「……!?」

アイリ「おねがい……」

アーチャー「ゲート・オブ・バビロン!!!」ドンドンドン

切嗣「くっ!?」

セイバー「きりつぐー」トントン

切嗣「いいかげんに―――!!!」

ぷにっ

セイバー「やりました!ついにひっかかりましたね!きりつぐー!!」

切嗣「……」

170: 2012/03/02(金) 23:37:00.51 ID:w7CzSoXd0
セイバー「今、どんな気持ちですか?はずかしいですか?」

切嗣「……」

アイリ「え……?」

イリヤ「やったわね!セイバー!!」

セイバー「はい!」

アーチャー「よくやったぞ!!」

セイバー「はいっ。これもアーチャーのおかげですっ」

アーチャー「ふん。ただのきまぐれだ。もう二度とないと思え」

セイバー「アーチャー……ありがとうございます」

アーチャー「ふ……ふんっ!王が気安く頭を垂れるな!!威厳が落ちるぞっ!!」

セイバー「はいっ♪」

アーチャー「全く。世話のやけるやつだ」ナデナデ

セイバー「ふふっ」

舞弥「まさ、か……この悪戯のためだけに……?」

切嗣「……」ピキッ

177: 2012/03/02(金) 23:42:06.02 ID:w7CzSoXd0
翌日

切嗣「……」スタスタ

アイリ「あ……切嗣?」

切嗣「……」スタスタ

舞弥「……南無」

アーチャー「あははは―――あ?」

切嗣「……」スタスタ

イリヤ「え……?」

切嗣「……」ピタッ

セイバー「ん?お二人ともどうかしましたか?」

切嗣「……」トントン

セイバー(ふっ……キリツグですね。ここはアイリスフィールのように叩かれた肩とは反対の方向に……)

セイバー「なんです―――」

切嗣「……」プニッ

セイバー「……裏をかかれたぁー!!!」ガーン

182: 2012/03/02(金) 23:46:47.78 ID:w7CzSoXd0
切嗣「ふっ……」スタスタ

セイバー「まって……きりつぐ……!!」

アイリ「切嗣……」

切嗣「下らない。僕は一休みする」

イリヤ「あー、キリツグは私とお母様から受けてるから学習したのかも」

舞弥(あと私です)

アーチャー「ほう……。あの男、中々やるではないか」

セイバー「くやしい……!!くやしい……!!まさか……逆とは……!!」

イリヤ「セイバー、またがんばろうね」

アーチャー「そうだ。まだまだ機会はある。王が下民に劣っていいはずがない」

セイバー「そ、そうです!!私は負けません!!」

イリヤ「がんばれー!!」

アーチャー「その意気だ」

セイバー「きりつぐー!!またリベンジしますからねー!!!」

切嗣「……」スタスタ

184: 2012/03/02(金) 23:52:52.15 ID:w7CzSoXd0
数日後 城内

セイバー「きりつぐー」トントン

切嗣「……」クルッ

セイバー「な……!?今日は逆ではなく正攻法……!?」

切嗣「ふっ……」スタスタ

セイバー「くそぉ!!キリツグにだけは勝てない……!!」

アイリ「セイバー、誰にも勝ってないわよ?」

イリヤ「ずっと負けてるよ?―――ほら、元気だして」ポンッ

セイバー「ありがとうございます、イリヤスフィ―――」クルッ

イリヤ「とう」プニッ

セイバー「はげましゅたんじゃにゃかったのでしゅね……」

イリヤ「あはは」

アイリ「ふふふ、セイバーには悪戯のし甲斐があって楽しいわ」

セイバー「次は!!次こそはぁ!!!私がぷにっとする番ですっ!!!」


おしまい。

190: 2012/03/02(金) 23:55:18.58 ID:nWoad5MM0

引用: アイリ(セイバーに悪戯しちゃえ)セイバー「……」トテトテ