446: 2018/01/20(土) 22:35:33.85 ID:nW33nO5X0
ホステスな楓さんですか
ちょっと書いてみます

シリーズ:○○な楓さん

前回:【モバマス】スナイパーな楓さん


447: 2018/01/20(土) 22:41:46.66 ID:nW33nO5X0
「……なんだこれは」

会議室に一つが異様な雰囲気を放っている

と言うか、外装も扉も違うけどどういうこと?

白を基調として、凝ったデザインの……まるで西洋の城みたいだ

良く見てみると、看板が掲げられており、こう書かれている


『Club Cinderella』
THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 004 高垣楓
448: 2018/01/20(土) 22:45:58.61 ID:nW33nO5X0
「いらいっしゃいませ」

慇懃に頭を下げる女性は、俺の良く知る女性だ

「いらっしゃいました……何してるんですか? ちひろさん」

いつぞやの黄緑色のドレスを着たちひろさんが俺を出迎える

「ここは疲れたお客様を労う場所……まぁ、ちょっとしたお遊びですよ♪」

お遊びにしては金がかかってる気がするんですけどね

449: 2018/01/20(土) 22:49:45.87 ID:nW33nO5X0
「ほら、とにかく座ってください」

黒塗りのソファに促され、腰を下ろす

「それでは少々お待ちくださいませ」

俺に何の説明もないまま、ちひろさんが去っていく

手持無沙汰な俺は、店内を見渡してみる

ボックス席が何セットかあるようだ、それにしても煌びやかな店内だな

豪華なシャンデリアと綺麗なテーブル、それにソファの座り心地が安物ではないことを教えてくれる

450: 2018/01/20(土) 22:52:38.68 ID:nW33nO5X0
しばらくすると、これまた見知った女性がこちらへやって来た

「かえでです、初めまして」

「何してるんですか? 楓さん」

今日二回目の質問

それに楓さんは笑って返事をする

「私は『かえで』です」

「はぁ……そうですか」

これも遊びの一つなんだろうか? 

451: 2018/01/20(土) 22:57:06.51 ID:nW33nO5X0
「お飲み物はどうなさいますか?」

アルコールとソフトドリンクどちらもあるとのことだ

今日の仕事はもう終わりだが、流石にアルコールはまずいだろう

「コーラで」

「……お飲み物はどうなさいますか?」

「コー……」

「お飲み物はどうなさいますか?」

「ハイボールにしようかな」

俺が折れる形になった

「心を込めて作りますね♪」

今日も笑顔が眩しいなぁ……


452: 2018/01/20(土) 23:06:06.33 ID:nW33nO5X0
持ってきたのは白州の18年……18年!? また高い酒持ってきたな

こんな酒プライベートでも買うことはない、せめて12年くらいだ

こんなものを店で飲んだらと思うとぞっとする

「良いお酒ですねよね、豪華なハイボールです」

楓……かえでさんが手慣れた手つきでハイボールを作っていく

ウィスキーをきちんと計り、丁寧にステアしている

綺麗な指が流れるように動き、少しどきりとした

453: 2018/01/20(土) 23:07:09.57 ID:nW33nO5X0
持ってきたのは白州の18年……18年!? また高い酒持ってきたな

こんな酒プライベートでも買うことはない、せめて12年くらいだ

こんなものを店で飲んだらと思うとぞっとする

「良いお酒ですよね、豪華なハイボールです」

楓……かえでさんが手慣れた手つきでハイボールを作っていく

ウィスキーをきちんと計り、丁寧にステアしている

綺麗な指が流れるように動き、少しどきりとした

454: 2018/01/20(土) 23:11:09.22 ID:nW33nO5X0
「はい、完成でーす♪」

俺の前にグラスが置かれた

「ありがとうございます」

「どういたしまして」

にこにこと楓さんが答える

自分が作ったハイボールを見つめながら、とても優しい笑みで

「かえでさんは……」

「はくしゅん! はくしゅっ……はくしゅう……」

「……かえでさんもどうぞ」

「まぁ、ありがとうございます♪」

455: 2018/01/20(土) 23:15:06.33 ID:nW33nO5X0
二つのグラスが揃い、乾杯となった

「「乾杯」」

声が重なり、グラスがかちりと音を鳴らす

ハイボールを一口頂いてわかったが、べらぼうに旨い

若い時は濃いめで頼んでいたが、歳をとって適度な濃さがあるのに気付いた

これはその点ばっちりだ、酒の美味さが相まって何杯でも飲めてしまいそうだ

456: 2018/01/20(土) 23:20:04.11 ID:nW33nO5X0
「ふぅ、おいしい……」

ほうっとかえでさんが吐息を吐く

こんなに美味そうに飲んでくれるなら、酒も喜ぶだろう

「少し、寒いです……もう少しそちらに寄っても良いですか?」

かえでさんのとうとつな言葉に

「ええ、どうぞ」

声を上ずらせながら、返事をした

457: 2018/01/20(土) 23:25:44.98 ID:nW33nO5X0
「それでは失礼します」

少しの衣擦れの音とともに、かえでさんがぴたりと俺の横につく

……とても良い匂いがする

それに、その洋服と言うかドレス? 丈が短くないですか?

「えOちさんですね、めっですよ♪」

視線に気づいたのか、俺の顔を覗き込むかえでさん

「す、すみません!」

ぱっと視線をずらすが、頭の中では白くて柔らかそうな太腿が離れない

460: 2018/01/21(日) 10:52:56.25 ID:b3S/cBj/0
煩悩退散! とグラスを一気に煽る

「まぁ♪ 良い飲みっぷりですね」

手をぱちぱちと叩きながら、かえでさんは上機嫌のようだ

「おかわり作りますね」

グラスを無言で差し出すと、少しだけ彼女の手と触れる

「すみません……」

「いいえ、お気になさらず」

俺だけどきまぎして、かえでさんは随分と余裕がある

「次はロックでお願いします」

こうなりゃ飲もう、とことん飲もう


461: 2018/01/21(日) 11:01:43.79 ID:b3S/cBj/0
「今日はお仕事だったんですか?」

ロックグラスに氷を入れながらかえでさんが聞いてくる

「そうです、今日もありがたいことに忙しくてね」

多方面にわたり、うちのアイドルたちは頑張ってくれている

嬉しい悲鳴というやつだ

でも、何事も上手くいくわけではなく、裏方は頭を下げることも少なくない

「頑張ってらっしゃるんですね、でも……無理はしないでください」

どうぞ、とグラスを渡され、琥珀色のグラスを傾ける

462: 2018/01/21(日) 11:07:33.86 ID:b3S/cBj/0
何杯目か忘れてしまったころ、俺はもうほろ酔いを通りこして出来上がっていた

「ふざけんな、あのディレクターやらしい目でうちの子たち見やがって」

もう、抑制が効かなくなっている

「知ってますか? この前の俳優のこと、あいつこの前俺に何て言ってきたか」

「うーん……わかりませんね」

グラスを傾けながらかえでさんが答える

463: 2018/01/21(日) 11:12:37.20 ID:b3S/cBj/0
「高垣さんと飲みたいからセッティングしてくれませんか? だってさ」

ちょっと自分が売れてるからって調子に乗ってるんじゃねぇ

「へぇ、貴方は何て答えたんですか?」

「ふざけんな、一昨日きやがれ! って言ってやりましたよ」

……本当はそう言いたかった。けれど、へーこら頭を下げて丁寧にお断りするしかなかった

金と力があれば大抵のことは何とかなる、良い世の中だよ本当に

くそったれしかいねーんだからよ

464: 2018/01/21(日) 11:18:42.69 ID:b3S/cBj/0
「その……高垣さんはオッケーを出すかもしれませんよ?」

かえでさんが挑発的な視線で俺を射抜く

「楓さんが? ないない! あの人とあんな奴じゃ似合わねぇし、俺が許さねぇ」

「ふふふ、随分と高垣さんを気にかけてるんですね」

かえでさんが嬉しそうにほほ笑む

「そりゃあね! 俺は、楓さんが……」

楓さんがなんだ? 俺は何を言いかけたのだろう

「……同じものを」

言いかけた言葉とともに、残ったウィスキーを呷った

465: 2018/01/21(日) 11:23:58.05 ID:b3S/cBj/0
頭がふらふらする

きっともう呂律も回っていない、と思う

「大丈夫ですか?」

かえでさんが心配してくれている、俺だせぇ

「大丈夫、そろそろ帰ります」

俺がそう言うと、かえでさんがそっと手を重ねてくる

すべすべでしっとりしてる、触り心地が良い

466: 2018/01/21(日) 11:29:09.69 ID:b3S/cBj/0
「貴方の想いはきっと届いています」

かえでさんが続ける

「貴方の頑張る姿をきっと見ています」

気付けば、目の前にかえでさんの顔がある

青と緑の綺麗な瞳が、すぐ目の前に

「だから、貴方の行いは間違ってません」

かえでさんの瞳に吸い込まれそうだ

そして、最後に耳元でこう囁かれた

「またいらしてください、私はいつでも貴方を待っていますよ」

467: 2018/01/21(日) 11:34:56.87 ID:b3S/cBj/0
手を振るかえでさんにお別れをしていると、ちひろさんが声をかけてきた

「いかがでしたか? たまにはこういうのも良いでしょう」

「そう、ですね……たまには」

たまにはなんて言っているが、とても楽しい時間を満喫できた

公式にアイドルを酒が飲めるってすごくね? さすが千川ちひろだ

「それではこちらが今日のお会計です」

ウィンクと共に渡されたものを見て、一気に酔いがさめる

「カードも使えますので♪」

まぁ、楽しかったし……良いか



おしまい

468: 2018/01/21(日) 11:36:09.52 ID:b3S/cBj/0
読んでくれた方に感謝を
続きは夕方過ぎになりそうです
それではまたー

引用: 【モバマス】楓さんで安価