496: 2018/01/22(月) 20:34:06.32 ID:YASyyLDT0
男装麗人な楓さんですか
ちょっと書いてみます

シリーズ:○○な楓さん

前回:【モバマス】戦闘機パイロットな楓さん


497: 2018/01/22(月) 20:38:12.26 ID:YASyyLDT0
最近、楓さんの雰囲気が少し変わった気がする

「今日も仕事を頑張ろうじゃないか、はっはっは」

いや、少しじゃない……とても変わってしまった

「プロデューサー、思い詰めた顔をしてどうしたんだ?」

「い、いえ……なんでもないです」

俺の肩を叩きながら、イケメン風な笑顔で俺に言う楓さん

歯がきらりと輝いてるぜ、ちくしょう
THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 004 高垣楓
498: 2018/01/22(月) 20:42:46.90 ID:YASyyLDT0
俺の中の楓さんはダジャレ好きの、綺麗な女性というイメージだった

後、付け加えるなら、自分を特別扱いするのを嫌うと言うか……

ともかく、女性らしさがある人だったんだが

「おいおい、そんなんじゃうちのアイドルたちが困っちまうぜ」

こんな男言葉を使う人ではなかったはずだ

いったい彼女を何が変えてしまったのか……

499: 2018/01/22(月) 20:50:15.25 ID:YASyyLDT0
今日の恰好もそうだ

いつもならスカートなどの女性的な恰好を好むはず

なのに、最近の恰好はパンツルックを好んでいる

黒のスキニーパンツにシャツとジレ、タイこそ結んでいないがイタリアの伊達男のようなファッション

高身長なのでとても似合っているのだが、俺からすると少し寂しい

こう……脚、いや違う、太腿、いや……違くないか

「私の顔に何かついているのかい?」

髪をアップにした楓さんが、不思議そうに俺の顔を覗き込んだ

500: 2018/01/22(月) 20:53:54.56 ID:YASyyLDT0
「い、いえ……ちひろさん、ちょっと営業に行ってきますので」

同僚のちひろさんにそう言い残し、俺は事務所を足早に去った

「あっ……」

その言葉は楓さんかちひろさんかはわからない

けれど、これ以上事務所にいたくないと思ったのだ

外に出たは良いものの、営業なんてするつもりもないし

俺は適当な喫茶店に逃げ込むことにした

501: 2018/01/22(月) 21:11:07.82 ID:YASyyLDT0
からんと鈴がなって、マスターが出迎えてくれる

好きな席で良いとのことなので、日が当たる窓際を選ぶ

すると、見知った顔が静かにコーヒーを飲んでいた

「おや、プロデューサーもコーヒーブレイクか?」

「まぁそんなところです」

木場さんがカップを傾ける様は、とても絵になっている

502: 2018/01/22(月) 21:14:17.77 ID:YASyyLDT0
何を頼もうか、メニューを広げてみると、コーヒー豆の種類が多くてわからない

「私と同じものでよければ飲むかい?」

木場さんが助け舟を出してくれたので、頷く

しばらくするとコーヒーが運ばれてくる

きちんと焙煎して、丁寧に入れているであろうそのコーヒーはとても匂いが良い

「美味いですね」

豆の種類はよくわからないが、美味いということはわかった

503: 2018/01/22(月) 21:17:27.92 ID:YASyyLDT0
「ふむ、何かあったと見える」

ぎくりとした

「営業中にさぼってるだけです、特になにも」

そう言いながらカップを傾ける

「果たしてそうかな? 顔に書いてあるよ、楓さんが変わったことに困っていると」

にやりと木場さんが悪戯っぽい笑みを浮かべる

で、どうなんだ? と聞いてくる木場さんに、俺は打ち明けることにした

504: 2018/01/22(月) 21:24:20.28 ID:YASyyLDT0
「ふぅん、楓さんが変わってしまったと」

「ええ、まるでがらりと変わってしまいました」

それはもう対極のように

「なるほど、それで君は楓さんを嫌いになってしまったのか?」

俺は首を横に振る

「そんなことはないです。ただ、違和感が凄いと言うか……」

嫌いうんぬんの前に、あれだけ変わってしまうと話しづらいと言うかなんというか……

505: 2018/01/22(月) 21:30:32.78 ID:YASyyLDT0
「ちゃんと話してみたのか? 何故変わってしまったのか」

俺はまた首を横に振る

「いえ、それはまだ……」

そして、木場さんはカップを傾けると、ふぅと息を吐いた

「わかならいなら聞けば良いじゃないか。イメージがどうのとかアプローチはあるだろう」

「それにだ、あの人は君の担当だろう? 逃げ腰でどうする」

506: 2018/01/22(月) 21:31:37.16 ID:YASyyLDT0
「ちゃんと話してみたのか? 何故変わってしまったのか」

俺はまた首を横に振る

「いえ、それはまだ……」

そして、木場さんはカップを傾けると、ふぅと息を吐いた

「わからないなら聞けば良いじゃないか。イメージがどうのとかアプローチはあるだろう」

「それにだ、あの人は君の担当だろう? 逃げ腰でどうする」

507: 2018/01/22(月) 21:35:37.28 ID:YASyyLDT0
「君は一人の女の面倒も見れないのか?」

そう言って、挑発的な視線を送る木場さん

いや、これは木場さんなりの叱咤なのだろう

「そう、ですね」

言われて気付いた、俺が楓さんから逃げていることを

滑稽な話だ、一人の女に振り回されてどうする

「私からはもう何も言う事はない。それとも、夜まで慰めてあげようか?」

それはとても魅力的な話だが、首を横に振る

508: 2018/01/22(月) 21:38:13.09 ID:YASyyLDT0
「じゃあ行くんだ、ここは私が持っておく」

ひらひらと手を振る木場さんに軽く会釈をした

「やれやれ、手のかかる男だな……本当に」

誰かの呟きが聞こえた気がする

けれど、今の俺はあの人に会って話をしなければならない

509: 2018/01/22(月) 21:47:23.04 ID:YASyyLDT0
とにかく急ごうと思って走る、息がすぐに上がるが気にしない

「楓さん!」

事務所のドアを開くが楓さんの姿は見当たらない

「楓さんなら屋上に行くって言っていましたよ」

「ありがとうございます」

ちひろさんに教えてもらった屋上へとまた走る

冬だと言うのに、ワイシャツが汗で濡れる


510: 2018/01/22(月) 21:50:43.92 ID:YASyyLDT0
階段を上って、屋上のドアを開いた

「きゃっ……プロデューサー?」

勢いあまって凄い音がしてしまった

「か、楓さん、話があります」

ぜぇぜぇと荒い呼吸をしながら話を切り出す

恰好悪いかもしれないが、そんな姿は前から見せている


511: 2018/01/22(月) 22:03:00.49 ID:YASyyLDT0
すぅはぁと深呼吸

……よし、少しは呼吸が落ち着いた

「何故、楓さんは変わってしまったんです?」

「それは……」

しばし沈黙

二人の間に風がひゅうっと吹くと、楓さんがゆっくりと口を開いた

「イメージチェンジだよ、私もそろそろ違うキャラで行こうかなと」

視線を逸らしながら、楓さんが言う

512: 2018/01/22(月) 22:07:26.84 ID:YASyyLDT0
「嘘ですよね? ようやく気付きましたよ」

楓さんの体がびくりと震えた

それは気付いてほしくなかったのか、それともきづいてほしかったのか、どちらの反応かはわからない

「楓さん、貴女……」

「言わないでください」

それは拒絶の言葉だった

けれど、俺はもう引かないことにしたんだ

「好きな人ができたんですね? それで自分を変えようと……」

「……えっ?」

あれ? 思ってたリアクションと違う

513: 2018/01/22(月) 22:11:00.45 ID:YASyyLDT0
「えっ? だって女の人が急にイメージ変えるのってそれくらいしか」

まさかの不正解である

ドヤ顔で言い切ってしまった俺はどう取り繕えば良いのか

「……はぁ」

そこで深いため息のとどめが来た

「す、すみません! 俺とち狂った事を言ってしまいました」

ここは素直に謝ろうと、頭を下げた

514: 2018/01/22(月) 22:12:53.40 ID:YASyyLDT0
楓さんの足音が聞こえる

このまま俺を通り過ぎて行ってしまうのだろうか

しかし、俺の考えとは裏腹に、楓さんは俺の目の前で止まった

「プロデューサー」

「は、はい……」

まさかビンタか? ビンタされちゃうのか!?

びくびくと返事をすると

515: 2018/01/22(月) 22:25:41.27 ID:YASyyLDT0
「顔を上げてください」

ゆっくりと顔を上げると、そこには困ったような笑顔の楓さんがいた

「てっきり怒られると思いました」

「んー……プロデューサーの答えは遠からずってところでした」

マジかぁ、やっぱり当たってたんじゃん

「木場さんやあいちゃん、それに飛鳥ちゃん、クールで人が好みなのかなと」

ははぁ、うちの事務所関係の奴か


516: 2018/01/22(月) 22:28:28.67 ID:YASyyLDT0
「それで男装も?」

「だって、ちひろさんが……」

頬をぷくりと膨らませて、楓さんが続ける

「でも、反応が悪いですし、あの目は私にドン引きしてる目でした……」

今度はよよよと泣きまねを見せる

「ちなみにどんな奴ですか? 知り合いならそれとなく聞きだしますよ」

そうすると楓さんの目が輝いたのを見逃さなかった

517: 2018/01/22(月) 22:31:08.65 ID:YASyyLDT0
「では、それはひとまず置いておいて、プロデューサーの好みを教えてください」

「俺の好み……ですか」

正直なところ、女性はこうあってほしいと言うのはない

好きになった人が好み、というのはずるい答えなのかな

「もう……それじゃわからないじゃないですか」

またまた頬を膨らませる楓さん

「次に聞くまでに答えを出しておいてください、私頑張っちゃいますから」

518: 2018/01/22(月) 22:34:16.20 ID:YASyyLDT0
楓さんはそう言うと、屋上から去って行った

「今日は風が強いですから、風邪をひかないようにしてくださいね」

と、楽しそうに言いながら

「はぁ……」

結局楓さんの本心はわからなかった

けれど、次ぎあう時には元に戻っている、そんな確信があった

さて、風邪をひかないうちに温かい所でほっとするとするか



おしまい

519: 2018/01/22(月) 22:35:11.63 ID:YASyyLDT0
読んでくれた方に感謝を
今日はこれでおしまいです
明日も多分書けると思います

引用: 【モバマス】楓さんで安価