666: 2018/01/29(月) 21:08:41.06 ID:l+oEqn1S0
バツイチ子連れな楓さんですか
ちょっと書いてみます

シリーズ:○○な楓さん

前回:【モバマス】実は密かにPと付き合っている楓さん


667: 2018/01/29(月) 21:11:11.23 ID:l+oEqn1S0
事務所に見慣れない女の子がいる

はて? 新しいアイドルの子か……と思ったが幼すぎる

「お嬢ちゃん、どこから来たの?」

女の子は、んーと悩んだ後に

「あっち、かな」

と、指さした。うん、全然わかんねぇ
THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 004 高垣楓
669: 2018/01/29(月) 21:16:22.63 ID:l+oEqn1S0
「そっか、お母さんは一緒じゃないの?」

目線を合わせるようにしゃがみ、できるだけ優しく聞いてみる

「おかあさんはおしごとだって」

なるほど、プロダクション関係のお子さんで間違いはないかな

……しかし、この子は誰かに似ているような気がする

涼し気な瞳と、ふわりとした髪質

それに、声は幼いが、身長は割と高い


670: 2018/01/29(月) 21:24:21.37 ID:l+oEqn1S0
「どうしたの? もみじのかおに、なにかついてる?」

少女がじいっと俺の顔を見返してきた

どうやら、もみじちゃんと言うらしい

秋を連想させる名前だ、楓さんも秋っぽい名前だけどまさかな

「もみじちゃん、お母さんの名前ってもしかして、かえでって……」

「お疲れ様です、戻りました」

もみじちゃんに質問しようとすると、楓さんが仕事から戻ってきた

671: 2018/01/29(月) 21:30:26.60 ID:l+oEqn1S0
「おかあさん! おかえりなさい」

「ただいま、良い子にして待ってた?」

もみじちゃんが楓さんに抱き着く、『おかあさん』と呼びながら

「うん、もみじいいこにしてた」

「もみじは良い子ね。よしよし」

楓さんに頭を撫でられて、もみじちゃんはご満悦のようだ

……そっかー、もみじちゃんのお母さんは楓さんだったのかー、知らなかったなー

672: 2018/01/29(月) 21:38:01.24 ID:l+oEqn1S0
「お腹空いてない? 今日はどこかで食べて帰りましょうか」

「んー……はんばーぐがたべたいな」

「ちゃんとお野菜も食べるのよ?」

微笑ましい親子の会話が繰り広げられていて、俺が入る隙がない

というか、楓さんが子持ちだったことに驚いた

「ではプロデューサー、お疲れ様でした。行きましょう、もみじ」

「うん」

「あっはい、お疲れ様でした……じゃなくて! ちょっと待ってください」

自然に帰ろうとした楓さんたちを呼び止めた

673: 2018/01/29(月) 21:42:38.06 ID:l+oEqn1S0
「言っていませんでしたっけ。私、バツイチ子持ちなんです」

「……今日初めて知りましたよ」

説明を求めると、楓さんはあっさりと言い切った

それに、バツイチって離婚してんのかよ……

「いや、これはアイドルとしてのイメージダウンにも繋がりますし……」

お熱のアイドルに子供がいて、しかもバツイチってどうよ?

最近は物騒な世の中だし、もしものことも起こりかねないんじゃないか

674: 2018/01/29(月) 22:06:50.11 ID:l+oEqn1S0
「ファンの方たちは大丈夫みたいですよ?」

「はぁ? そんなバカな……」

ほら、と楓さんがスマートフォンでネットの掲示板を開いて見せてきた

誹謗中傷だらけかと思ったが、それはほんの少しだけだ

逆に、庇護する内容ばかりだ。楓さんのファン統制とれすぎだろ……

「ファンに対して問題がないことはわかりました。ですが、俺に言わなかったのは何故です?」

業務的に支障が出るし、何よりもやもやとした気分だ

675: 2018/01/29(月) 22:14:51.11 ID:l+oEqn1S0
「それは……」

楓さんが俯いてしまった。けれど、俺のこのやり場のない気持ちは止まらない

「俺に相談の一つもないってのがおかしいんですよ、こんなの裏切りに近いです」

ああ……何でこんなに熱くなってるんだ俺は

「おかあさんをいじめちゃだめっ!」

もみじちゃんが俺と楓さんの間に立つ、まるで楓さんを守るように

もみじちゃんから見れば、楓さんが俺にいじめられているように映ったのだろう

その顔は涙をにじませて入るが、強い意志を感じさせる




676: 2018/01/29(月) 22:16:32.72 ID:l+oEqn1S0
「それは……」

楓さんが俯いてしまった。けれど、俺のこのやり場のない気持ちは止まらない

「俺に相談の一つもないってのがおかしいんですよ、こんなの裏切りに近いです」

ああ……何でこんなに熱くなってるんだ俺は

「おかあさんをいじめちゃだめっ!」

もみじちゃんが俺と楓さんの間に立つ、まるで楓さんを守るように

もみじちゃんから見れば、楓さんが俺にいじめられているように映ったのだろう

その顔は涙を滲ませてはいるが、強い意志を感じさせた

677: 2018/01/29(月) 22:19:05.79 ID:l+oEqn1S0
「はぁ……言いすぎました、すみません」

小さい子にあんな目で見られるのはきつい

確かに言いすぎてしまったし、ここは素直に謝ろう

「いえ、私のほうこそすみません」

「おかあさん……」

もみじちゃんが楓さんの袖をくいくいと引っ張り、不安そうな顔をしている

「お母さんはいじめられてないから大丈夫」

くしゃりともみじちゃんの頭を楓さんが撫でた

678: 2018/01/29(月) 22:34:21.66 ID:l+oEqn1S0
「言わなかった、ではなくて言えなかったんです」

もみじちゃんの手を握り、俺に楓さんが言葉を続ける

「一つは確かにアイドル活動に支障が出てしまうかも、ということ」

「もう一つはその……嫌われてしまうかなって」

もじもじとしながら、楓さんが俯きながらそう言った

「その、嫌われるってのは誰にですか?」

他のアイドルにかな? うちのアイドルたちにそんな奴いないとは思いたいが

679: 2018/01/29(月) 22:41:44.71 ID:l+oEqn1S0
「皆若くて可愛いし、それに対して私は子持ちです。もしかしたらって思ってしまって……」

顔を上げた楓さんの目尻には涙が浮かんでいる

「おかあさん……」

それを見て、もみじちゃんが心配そうな声を出した

そうか……楓さんも色々と考えてのことだったのか

「……それは気にしなくても良いいんじゃないですか」

よくよく考えると、楓さんにお子さんがいても、楓さんの魅力がなくなるわけじゃない

むしろ、母性的な楓さんの一面を見れて良かったとも言える


680: 2018/01/29(月) 22:46:02.46 ID:l+oEqn1S0
「嫌いになりませんか……?」

恐る恐るといった風に楓さんが聞いてくる

「少なくとも、俺はなりませんね」

俺は自信を持って答える、そんなことはないと

「そう……ですか」

「これからは俺も力になりますから、だから隠し事は無しですよ?」

悪戯っぽく笑って、楓さんに意趣返しだ


681: 2018/01/29(月) 22:49:22.98 ID:l+oEqn1S0
「ええ、もちろんです」

ようやく楓さんに笑顔が戻ったようだ

それを見て、もみじちゃんも笑っている

そして、くぅっと可愛らしい音が鳴った

「おかあさん、おなかすいたー」

おあずけを食らったもみじちゃんのお腹の虫が、ご飯を急かしたみたいだ

「ごめんなさいね、じゃあ行きましょうか」

あ、そうだと楓さんが振り返る

682: 2018/01/29(月) 22:53:54.45 ID:l+oEqn1S0
「その……良かったらご一緒にどうですか?」

飲みに誘う時とは違い、随分としおらしい

「もみじちゃん、おにいさんも一緒にいいかな?」

しゃがみこみ、もみじちゃんに聞いてみる

「いいよ、おじさんもごはんたべよ」

おじ……

「もう、もみじったら」

まだ若いつもりなんだけれど、まぁ……いいか

「はやくはやく」

楓さんの手をぐいぐいと引っ張るもみじちゃんを微笑ましく思いながら

俺は二人の親子の後を離れないように歩いていく




おしまい

683: 2018/01/29(月) 22:55:30.83 ID:l+oEqn1S0
読んでくれた方に感謝を
今日はこれでおしまいです

やっぱりほのぼのが良いっスね

引用: 【モバマス】楓さんで安価